JP2006048879A - 光記録媒体ならびに光記録媒体を製造するためのスタンパおよびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体ならびに光記録媒体を製造するためのスタンパおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板の表面に、所望のように、凹凸を形成することができ、良好なトラッキング特性や良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる光記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 光記録媒体1は、光透過性基板2と、光透過性基板2上に形成された情報層3と、情報層3上に形成された接着層4と、接着層4上に形成されたダミー基板5を備え、光透過性基板2側からレーザビームが照射されることにより、データが記録および再生されるように構成されている。光透過性基板2の表面には、グルーブ2aおよびランド2bが形成され、ランド2bの断面は、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光記録媒体に関するものであり、とくに、基板の表面に、所望のように、凹凸を形成することができ、良好なトラッキング特性や良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる光記録媒体に関するものである。
また、本発明は、スタンパおよびその製造方法に関するものであり、とくに、光記録媒体の基板を、金型から容易に離型させることができ、光記録媒体の基板の表面に、所望のように、凹凸を形成することができるスタンパおよびその製造方法に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。これらの光記録媒体は、CD−ROMやDVD−ROMのように、再生専用のROM型光記録媒体と、CD−R、DVD+R、DVD−Rのように、ユーザーによってデータの書き込みが可能な追記型光記録媒体と、CD−RW、DVD+RW、DVD−RWのように、データの書き換えが可能な書き換え型光記録媒体とに大別することができる。
これらのうち、追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体においては、基板の表面に、グルーブおよびランドと呼ばれる螺旋状の溝が形成され、グルーブに沿って、基板上に形成された情報層に、記録マークが形成されることにより、データが記録される。
かかる光記録媒体の基板に形成されるグルーブおよびランドは、V字型の断面形状のランドが形成されたDVD−RWを除けば、図16(a)に示されるように、その断面が、いずれも、略台形形状に形成されている。グルーブおよびランドのトラックピッチTWは、CD−RおよびCD−RWにおいて、1.5μmないし1.7μmに形成され、一方、DVD±RおよびDVD+RWにおいては、CD−RおよびCD−RWに比べて狭く、0.71μmないし0.77μmに形成されている(たとえば、特許文献1参照)。
こうした追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体を製造するにあたっては、まず、精密に研磨、洗浄されたガラス基板上に、フォトレジスト層が形成され、その後、フォトレジスト層が、露光、現像されることにより、光記録媒体のグルーブおよびランドに対応する凹凸パターンを有するフォトレジスト原盤が作製される。次いで、マスタリング工程によって、フォトレジスト原盤の表面形状が転写されたスタンパが作製され、最後に、スタンパが金型にセットされ、射出成形によって、その表面に、ランドおよびグルーブが形成されたディスク状の基板が作製される。
これに対して、ROM型光記録媒体においては、基板の表面に、凸型または凹型の複数のピットが形成されている。これらピットおよび隣り合うピット間のスペースには、それぞれ、デジタルデータの「0」または「1」が対応付けられ、ピットおよびスペースによって、データが記録されている。
こうしたピットおよびスペースは、図16(b)に示されるように、その断面が、略台形形状に形成され、その長さPL、SLは、CD−ROMにおいて、0.83μmないし3.04μmに形成され、一方、DVD−ROMにおいては、CD−ROMのピットおよびスペースの長さよりも短く、0.40μmないし1.87μmに形成されている。
また、ピットは、基板の表面に、螺旋状に形成されており、ピットおよびスペースによって、トラックが構成されている。各トラック間には、所定の幅を有するランドが構成されており、ランドには、ピットは形成されず、ランドは、スペースと同じレベルの平坦面を有するように形成されている。
ROM型光記録媒体のランドは、図16(a)に示された追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体のランドと同様に、その断面が、略台形形状に形成され、そのトラックピッチTWは、CD−ROMにおいて、1.5μmないし1.7μmに形成され、DVD−ROMにおいて、0.71μmないし0.77μmに形成されている。
こうしたROM型光記録媒体を製造するにあたっては、光記録媒体のピットに対応する凹凸パターンを有するフォトレジスト原盤が作製された後に、マスタリング工程によって、スタンパが作製される。その後、スタンパが金型にセットされ、射出成形によって、その表面に、ピットが形成されたディスク状の基板が作製される。
特開平2002−092963号公報
上述のように、DVD±R、DVD+RWにおいては、CD−R、CD−RWに比べて、グルーブおよびランドの幅が狭く、基板の表面に、より多くのグルーブおよびランドが形成されている。このため、基板を射出成形によって作製する際に、金型内のスタンパに、基板が強固に付着してしまい、スタンパから基板を容易に剥離させることができないという問題があった。
また、DVD−ROMにおいても、CD−ROMに比べて、ピットやスペースの長さが短くされ、基板の表面に、より多くのピットが形成されているため、DVD±R、DVD+RWと同様に、金型内のスタンパから基板を容易に剥離させることができないという問題があった。
こうした場合には、基板をスタンパから剥離させる際に、基板の表面のグルーブおよびランド、あるいはピット、スペースおよびランドに、強い応力が加わるため、それらが変形したり、欠落するなどの不具合が生じるおそれがあり、その結果、トラッキング特性が悪化して、レーザビームをトラックに正確に追従させるのが困難となったり、再生信号に含まれるノイズが増大して、良好な信号特性を有する再生信号を得ることが困難になっていた。
さらに、近年においては、より大容量で、かつ、高いデータ転送レートを有する次世代型の光記録媒が提案されており、かかる次世代型の光記録媒体においては、380nmないし450nmの波長λを有する青色レーザビームを用いるとともに、レーザビームを集束するための対物レンズの開口数NAを大きくすることによって、記録容量の増大が図られている。
次世代型の光記録媒体においても、ROM型光記録媒、追記型光記録媒体および書き換え型光記録媒体の開発が進められており、これら各光記録媒体は、CD型の光記録媒体およびDVD型の光記録媒体と同様に、その基板の表面に、ピット、あるいはグルーブおよびランドが形成されている。
これらの光記録媒体においては、DVD型の光記録媒体にも増して、記録密度が高められているため、ピット、あるいはグルーブおよびランドのさらなる縮小化が図られており、スタンパから基板を容易に剥離させることが、より一層、困難なものとなっていた。
したがって、本発明は、基板の表面に、所望のように、凹凸を形成することができ、良好なトラッキング特性や良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる光記録媒体を提供することを目的とするものである。
また、本発明の別の目的は、光記録媒体の基板を、金型から容易に離型させることができ、光記録媒体の基板の表面に、所望のように、凹凸を形成することができるスタンパおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の前記目的は、レーザビームが照射されることにより、データが記録および/または再生されるように構成された光記録媒体であって、基板の表面に、少なくとも凸部が形成され、前記凸部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明者の研究によれば、基板の表面に形成される凸部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されている場合には、金型内で硬化された樹脂を、金型内のスタンパから容易に剥離し得ることが見出されており、本発明によれば、基板をスタンパから剥離させる際に、基板の表面のグルーブおよびランド、あるいはピット、スペースおよびランドに、強い応力が加わるのを防止することができる。したがって、基板の表面に、所望のように、凹凸パターンを形成することができ、良好なトラッキング特性や良好な信号特性を有する再生信号を得ることが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板の表面に、グルーブおよびランドが形成され、前記ランドの断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されている。
追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体を製造するに際し、その断面が、両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように、基板の表面のランドを形成した場合には、金型内で硬化された樹脂を、金型内のスタンパから容易に剥離することができ、基板の表面に、所望のように、グルーブおよびランドを形成することが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板の表面に、凹状ピット、スペースおよびランドが形成され、前記スペースおよび前記ランドの断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されている。
基板の表面に凹状ピットを形成して、ROM型光記録媒体を製造するに際し、その断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように、スペースおよびランドを形成した場合には、金型内で硬化された樹脂を、金型内のスタンパから容易に剥離することができ、基板の表面に、所望のように、凹状ピットを形成することが可能となる。
また、本発明の前記目的は、レーザビームが照射されることにより、データが記録および/または再生されるように構成された光記録媒体であって、基板の表面に、少なくとも凹部が形成され、前記凹部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板の表面に、グルーブおよびランドが形成され、前記ランドの断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されている。
本発明の好ましい実施態様においては、前記基板の表面に、凸状ピット、スペースおよびランドが形成され、前記スペースおよび前記ランドの断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されている。
また、本発明の前記目的は、光記録媒体を製造するためのスタンパであって、その表面に、少なくとも凹部が形成され、前記凹部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とするスタンパによって達成される。
さらに、本発明の前記目的は、光記録媒体を製造するためのスタンパであって、その表面に、少なくとも凸部が形成され、前記凸部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とするスタンパによって達成される。
さらに、本発明の前記目的は、光記録媒体を製造するためのスタンパの製造方法であって、フォトレジスト層を露光現像して、複数の第一の凸部を形成する工程と、前記複数の第一の凸部上に、熱収縮剤を含有した塗膜を形成する工程と、前記塗膜をベーキングして、前記塗膜を収縮させることにより、前記複数の第一の凸部の形状を変化させ、複数の第二の凸部を形成し、フォトレジスト原盤を作製する工程と、前記フォトレジスト原盤を用いて、スタンパを作製する工程とを含むことを特徴とするスタンパの製造方法によって達成される。
本発明によれば、基板の表面に、所望のように、凹凸パターンを形成することができ、良好なトラッキング特性や良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる光記録媒体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、光記録媒体の基板を、金型から容易に離型させることができ、光記録媒体の基板の表面に、所望のように、凹凸パターンを形成することができるスタンパおよびその製造方法を提供することが可能となる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1のAで示される部分の略拡大断面図である。
図1に示されるように、光記録媒体1は、ディスク形状をなし、その中央部には、光記録媒体1を、データ記録再生装置にセットするためのセンターホール6が形成されている。
図1および図2に示された光記録媒体1は、DVD型の追記型の光記録媒体であり、図2において、矢印で示される方向から、635nmないし660nmの波長λを有するレーザビームが、0.59ないし0.66の開口数NAを有する対物レンズ(図示せず)を介して、照射されて、データが記録、再生されるように構成されている。
図2に示されるように、本実施形態にかかる光記録媒体1は、光透過性基板2と、光透過性基板2上に形成された情報層3と、情報層3上に形成された接着層4と、接着層4上に形成されたダミー基板5を備えている。
光透過性基板2は、データが記録、再生されるときに、レーザビームが透過する層であり、同時に、後述するダミー基板5とともに、光記録媒体1に求められる機械的強度を確保するための支持体としても機能する。
光透過性基板2を形成するための材料は、635nmないし660nmの波長λを有するレーザビームに対して、高い光透過性を有するものであれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂などを用いることができる。光透過性基板2の厚さは、とくに限定されるものではないが、光学的特性の観点から、約0.6mmであることが好ましい。
図3は、光透過性基板2の表面の略斜視図であり、図3において、矢印Lは、レーザビームの走査方向を示している。
図3に示されるように、光透過性基板2の表面には、光記録媒体1の内周側から外周側、あるいは外周側から内周側に向かって、螺旋状に、グルーブ2aおよびランド2bが形成されている。グルーブ2aおよびランド2bは、後述する情報層3にデータを記録する場合、および、情報層3からデータを再生する場合において、レーザビームのガイドトラックとして機能する。
また、グルーブ2aおよびランド2bは、所定の周期で、ウォブリングするように形成されており、グルーブ2aおよびランド2bのウォブルは、データ再生用のクロックを生成するときの基準となったり、光記録媒体1の物理フォーマットの基準単位を示すなどの役割を果たしている。
さらに、ランド2bには、ランドプリピット(図示せず)が形成されており、このランドプリピットは、光記録媒体1の物理アドレスを表したり、セクタやフレームなどの物理フォーマットの先頭位置を示すなどの機能を有している。
グルーブ2aおよびランド2bの幅は、照射されるレーザビームのビームスポット径に応じて、決定され、本実施態様において、グルーブ2aおよびランド2bは、それぞれ、0.25μmないし0.40μm、0.34μmないし0.49μmの幅を有するように形成されている。
図4は、図3のX−X軸断面の略断面図である。
図4に示されるように、本実施態様においては、グルーブ2aが略台形形状を有するように形成されているのに対し、ランド2bは、その断面が、略放物線形状を有するように形成されている。すなわち、本実施態様において、ランド2bは、その断面が、図16(a)に示された従来のDVD±Rのランドの断面形状とは異なり、角部がなく、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されている。
ランド2bの深さは、とくに限定されるものではないが、635nmないし660nmの波長を有するレーザビームが照射されて、データが再生される本実施態様においては、グルーブ2aは、たとえば、20nmないし200nmの深さに形成されることが好ましい。
図2に示されるように、光透過性基板2上には、情報層3が形成されている。
情報層3は、データが記録される層であり、記録膜を備えている。
本実施態様において、情報層3は、たとえば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ色素、ポルフィリン系色素などの有機色素を主成分として含む追記型の記録膜を備えている。
また、情報層3は、必ずしも記録膜のみによって構成される必要はなく、記録膜の表面上、裏面上またはその双方に、必要に応じて、誘電体膜や反射膜などの他の層が形成されてもよい。
図2に示されるように、情報層3上には、接着層4が形成されている。
接着層4は、情報層3の表面上に、後述するダミー基板5を接着する役割を果たしている。
接着層4を形成するための材料は、ダミー基板5を確実に接着することができれば、とくに限定されるものではないが、加工性の観点から、たとえば、紫外線硬化性接着剤を用いることが好ましい。
接着層4の厚さは、とくに限定されるものではないが、40μmないし70μmであることが好ましく、50μmないし60μmであることが、さらに好ましい。
図2に示されるように、接着層4上には、ダミー基板5が形成されている。
ダミー基板5は、上述した光透過性基板2とともに、光記録媒体1に求められる機械的強度を確保するための支持体としての役割を果たす。
ダミー基板5を形成するための材料は、光記録媒体1の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではなく、光透過性基板2を形成するための材料と同様に、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂などを用いることができる。
ダミー基板5の厚さは、とくに限定されるものではないが、光記録媒体1全体の厚さが、約1.2mmとなるように、約0.6mmであることが好ましい。
以上のような構成を有する光記録媒体1は、以下のようにして、製造される。
光記録媒体1を製造するにあたっては、まず、光透過性基板2を作製するためのフォトレジスト原盤が作製される。
図5(a)ないし(d)ならびに図6(a)ないし(c)は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。図5(a)ないし(d)ならびに図6(a)ないし(c)においては、いずれも、光記録媒体1の径方向に対応する方向に沿った略拡大断面を示している。
図5(a)に示されるように、まず、精密に研磨され、洗浄されたガラス基板20がスピンコーティング装置にセットされ、ガラス基板20の表面上に、ヘキサメチルジシラザンなどのカップリング剤が塗布される。
次いで、ガラス基板20上に塗布されたカップリング剤の表面上に、ノボラック系樹脂やポリスチレン樹脂などを骨格樹脂とするフォトレジストを含有する塗布液が、スピンコーティング法によって、均一に塗布されて、塗膜が形成される。
その後、塗膜がベーキングされ、図5(b)に示されるように、ガラス基板20上にフォトレジスト層21が形成される。フォトレジスト層21は、光透過性基板2の表面に形成すべきグルーブ2aの深さに対応した厚さに形成される。
次いで、ガラス基板20が、露光装置内のターンテーブルにセットされ、ガラス基板20が回転されるとともに、図5(c)に示されるにように、フォトレジスト層21に、露光用レーザビーム22が照射される。
露光用レーザビーム22は、ガラス基板20が回転される間、ガラス基板20の中心部から外縁部に向かい、ガラス基板20の径方向に沿って移動されながら、連続的に照射される。その結果、フォトレジスト層21には、螺旋状の露光パターンが形成され、図5(c)に示されるように、フォトレジスト層21に、グルーブ2aに対応する露光領域21aと、ランド2bに対応する未露光領域21bが形成される。
露光用レーザビーム22は、その強度がガウシアン分布を有するレーザビームであり、ビームスポットの中央部において、強度が最も強くなり、外縁部に向かって、強度が弱くなるため、フォトレジスト層21に形成される露光領域21aは、図5(c)に示されるように、略台形形状となるように形成される。
フォトレジスト層21に、露光領域21aおよび未露光領域21bが形成されると、フォトレジスト層21が形成されたガラス基板20が、アルカリ溶液中に浸漬され、フォトレジスト層21が現像される。こうして、フォトレジスト層21の露光領域21aが除去され、図5(d)に示されるように、略台形形状を有し、それぞれ、凹型、凸型となる第一のグルーブ23aおよび第一のランド23bが、ガラス基板20上に形成される。
次いで、図6(a)に示されるように、ガラス基板20上に形成された第一のグルーブ23aおよび第一のランド23bのほぼ全体を覆うように、熱収縮剤が含有された塗布液が、スピンコーティング法によって、均一に塗布されて、塗膜24が形成される。
本実施態様において、熱収縮剤に含まれる熱収縮材料としては、フォトレジスト層21を形成するのに用いられているフォトレジストの軟化温度よりも低い温度で、熱収縮作用を発揮する材料であれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、アクリル系重合体、ビニル系重合体、セルロース誘導体、アルキレングリコール系重合体などを用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施態様において、塗布液中の熱収縮剤の含有量は、3質量%ないし50質量%であることが好ましく、5質量%ないし20質量%であることが、さらに好ましい。
熱収縮剤の含有量が3質量%未満の場合には、十分な厚さの塗膜を形成するのが困難となるおそれがある。また、熱収縮剤は、その含有量が50質量%に達すれば、それ以上を含有させても、熱収縮作用がさほど変わらないため、熱収縮剤の含有量が50質量%を超えると、不要な熱収縮剤を消費することになり、製造コストが増大するおそれがある。
また、熱収縮剤の塗膜24の厚さは、フォトレジスト層21と同程度の厚さが確保されれば、とくに限定されるものではないが、塗膜24は、フォトレジスト層21の厚さ以上の厚さを有することが好ましい。
こうして、ガラス基板20上に、熱収縮剤の塗膜24が形成されると、次いで、熱収縮剤の塗膜24がベーキングされ、熱収縮剤の塗膜24が収縮される。その結果、図6(b)に示されるように、略台形形状を有する第二のグルーブ25aと、略放物線形状を有する第二のランド25bとが、ガラス基板20上に形成される。
ガラス基板20上に形成された第一のグルーブ23aおよび第一のランド23bのほぼ全体を覆うように、熱収縮剤の塗膜24を形成し、この塗膜24をベーキングすることによって、図6(b)に示されるような形状を有する第二のランド25bを形成することができる理由は、必ずしも明らかではないが、熱収縮剤の塗膜24が収縮していく際に、塗膜24の下方に位置している第一のランド23bが、塗膜24によって、内側に押圧されて第一のランド23bの形状が変化し、その過程で、第一のランド23bに形成されていた角部が押し潰されたためではないかと推測される。
本実施態様において、熱収縮剤の塗膜24をベーキングするときのベーキング条件は、ベーキング温度を80℃ないし140℃に設定し、ベーキング時間を1分間ないし10分間に設定することが好ましく、ベーキング温度を110℃ないし130℃に設定し、ベーキング時間を2分間ないし5分間に設定することが、さらに好ましい。
熱収縮剤の塗膜24をベーキングするときのベーキング温度が、80℃未満の場合には、熱収縮剤の塗膜24の収縮の程度が不足し、第一のランド23bの形状を、所望の形状に変化させられないおそれがあり、一方、140℃を超える場合には、フォトレジストが軟化し、第一のランド23bの形状に、望ましくない変化が生じるおそれがある。
また、ベーキング温度を80℃ないし140℃に設定したときに、ベーキング時間が、1分間未満の場合には、熱収縮剤の塗膜24の収縮の程度が、塗膜24の面内でばらつき、第二のランド25bの形状が不均一になるおそれがあり、一方、10分間を超える場合には、熱収縮剤の塗膜24が収縮の程度が過剰となり、第二のランド25bの高さが所望の高さよりも低くなるおそれがある。
最後に、第二のグルーブ25aおよび第二のランド25bが形成されたガラス基板20が、純水によって洗浄されて、第二のグルーブ25aおよび第二のランド25b上の塗膜24が除去され、図6(c)に示されるように、フォトレジスト原盤30が作製される。
こうして、フォトレジスト原盤30が作製されると、次いで、その表面に、フォトレジスト原盤30の表面に形成された凹凸パターンが転写されたスタンパが作製される。
図7(a)ないし(c)は、スタンパの製造工程を示す工程図である。図7(a)ないし(c)においても、図5(a)ないし(d)ならびに図6(a)ないし(c)と同様に、いずれも、光記録媒体1の径方向に対応する方向に沿った略拡大断面を示している。
スタンパの作製にあたっては、まず、フォトレジスト原盤30の表面に形成された第二のグルーブ25aおよび第二のランド25bの全体を覆うように、塩化Pdおよび塩化Snを含有する薬液が塗布される。その後、フォトレジスト原盤30が、ホウフッ化水素酸溶液中に浸漬され、フォトレジスト原盤30に付着したSnが除去される。
さらに、純水によって、フォトレジスト原盤30の表面が洗浄され、フォトレジスト原盤30上に、Pdの下地が形成される。
次いで、Pdの下地が形成されたフォトレジスト原盤30が、Niイオンを含有する溶液中に浸漬され、図7(a)に示されるように、無電解メッキ処理法によって、フォトレジスト原盤30上に、無電解ニッケル層52が形成され、その後に、無電解ニッケル層52を電極として使用した電解メッキ処理によって、無電解ニッケル層52上に、電解ニッケル層53が形成される。
こうして、電解ニッケル層53が形成されると、図7(b)に示されるように、フォトレジスト、無電解ニッケル層52および電解ニッケル層53からなる積層体54が、一体的に、ガラス基板20から剥離される。その後、積層体54が、アルカリ溶液中に浸漬され、フォトレジストが溶解されて、除去される。
さらに、フォトレジストが除去された積層体54が乾燥されて、図7(c)に示されるように、凸型のグルーブ61aと凹型のランド61bを有するスタンパ61が作製される。
本実施態様においては、フォトレジスト原盤30の第二のランド25bが、略放物線断面形状を有しているので、スタンパ61の表面に形成されるランド61bの断面は、略U字型形状を有し、角部がなく、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成される。
一方、スタンパ61の表面に形成されるグルーブ61aは、フォトレジスト原盤30の第二のグルーブ25aが、略台形断面形状を有しているので、その形状に対応して、その断面が略台形形状となるように形成される。
こうして、スタンパ61が形成されると、このスタンパ61を用いて、光記録媒体1の光透過性基板2が作製される。
図8(a)ないし(c)は、光記録媒体1の製造工程を示す工程図である。
図8(a)に示されるように、スタンパ61が金型70内にセットされた後に、溶融されたポリカーボネート樹脂が、金型70内に高圧で射出される。次いで、所定の冷却期間を経て、金型70内のポリカーボネート樹脂が硬化され、その後、ポリカーボネート樹脂が、金型70内にセットされたスタンパ61から剥離される。こうして、その表面に、グルーブ2aおよびランド2bが形成された光透過性基板2が作製される。
本実施態様においては、スタンパ61の表面のランド61bが、略U字型断面形状を有しているので、光透過性基板2の表面に形成されるランド2bは、図4に示されるように、略放物線断面形状を有するように形成される。
本発明者の研究によれば、光透過性基板2の表面に形成されるランド2bが、かかる断面形状を有するように形成されている場合には、光透過性基板2をスタンパ61から容易に剥離し得ることが見出されている。したがって、本実施態様によれば、光透過性基板2をスタンパ61から剥離させる際に、光透過性基板2の表面のグルーブ2aやランド2bに、強い応力が加わるのを防止することができる。これにより、光透過性基板2の表面に、所望のように、グルーブ2aおよびランド2bを形成することが可能となり、良好なトラッキング特性を有する光記録媒体を得ることが可能となる。
こうして、光透過性基板2が形成されると、次いで、ダミー基板5用のスタンパが金型70内にセットされ、射出成形法によって、ダミー基板5が形成される。
次いで、光透過性基板2がスパッタリング装置にセットされ、図8(b)に示されるように、光透過性基板2の表面上に、スパッタリング法によって、情報層3が形成される。
さらに、情報層3上に、粘度調整された紫外線硬化性接着剤が、スピンコーティング法などによって、塗布され、この紫外線硬化性接着剤を介して、情報層3上に、ダミー基板5が貼り合わされる。
最後に、紫外線硬化性接着剤に、ダミー基板5側から紫外線が照射されて、紫外線硬化性接着剤が硬化され、図8(c)に示されるように、接着層4が形成されるとともに、情報層3上に、ダミー基板5が接着される。こうして、光記録媒体1が完成する。
図9は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略拡大断面図である。
図9に示された光記録媒体80は、DVD型のROM型光記録媒体であり、光透過性基板82と、光透過性基板82上に形成された反射層83と、反射層83上に形成された接着層84と、接着層84上に形成されたダミー基板85を備え、情報層3に代えて、反射層83が形成されているとともに、光透過性基板82の表面に、ピットが形成されて、データが記録されている点を除き、図2に示された光記録媒体1と同様の構成を有している。
図10は、光透過性基板82の表面の略斜視図であり、図10において、矢印Lは、レーザビームの走査方向を示している。
図10に示されるように、光透過性基板2の表面には、略楕円形状を有する複数の凸状ピット82aが形成されている。これら複数の凸状ピット82aおよび隣り合う凸状ピット82a間のスペース82bには、それぞれ、デジタルデータの「0」または「1」が対応付けられており、凸状ピット82aおよびスペース82bによって、データが記録されている。
また、凸状ピット82aは、光記録媒体80の内周側から外周側、あるいは外周側から内周側に向かって、螺旋状に形成され、凸状ピット82aおよびスペース82bによって、トラック82cが構成され、各トラック82c間には、ランド82dが構成されている。
凸状ピット82aおよびスペース82bの長さは、いずれも、記録すべきデータの「0」または「1」のビット数に応じて、決定され、たとえば、光記録媒体80に、8−16変調によって変調された3Tないし14Tのデータを、約4.7GBの記録容量で記録する場合には、凸状ピット82aおよびスペース82bは、最短で0.40μmの長さを有し、最長で1.87μmの長さを有している。
また、トラック82cおよびランド82dの幅は、いずれも、レーザビームのビームスポット径に応じて、決定され、本実施態様において、トラック82cおよびランド82dは、それぞれ、0.25μmないし0.35μm、0.39μmないし0.49μmの幅を有するように形成されている。
図11(a)は、図10のY−Y軸断面の略断面図であり、図11(b)は、図10のZ−Z軸断面の略断面図である。
図11(a)に示されるように、本実施態様においては、凸状ピット82aの断面が、略台形形状を有するように形成されているのに対し、スペース82bは、その断面が、略U字型形状を有するように形成されている。また、ランド82dにおいても、図11(b)に示されるように、その断面が、略U字型形状を有するように形成されている。
このように、本実施態様においては、スペース82bおよびランド82dは、その断面が、いずれも、図15(a)および(b)に示された従来のDVD型の光記録媒体のスペースおよびランドの断面形状とは異なり、角部がなく、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されている。
スペース82bおよびランド82dの深さは、とくに限定されるものではないが、635nmないし660nmの波長を有するレーザビームが照射されて、データが再生される本実施態様においては、スペース82bおよびランド82dは、たとえば、50nmないし150nmの深さに形成されることが好ましい。
反射層83は、光透過性基板82を介して、入射したレーザビームを反射し、再び、光透過性基板82側から出射させる機能を有している。
本実施態様において、反射層83を形成するための材料は、レーザビームを反射することができれば、とくに限定されるものではなく、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Au、Nd、In、Snよりなる群から選ばれる少なく一種の金属またはこれらの合金によって、反射層83を形成することができる。これらのなかでも、反射層83が、AgまたはAgを含む合金によって形成されている場合には、高い反射率を有し、表面の平坦性に優れた反射層83を形成することができ、好ましい。
反射層83の厚さは、とくに限定されるものではないが、5nmないし100nmであることが好ましく、15nmないし60nmであることが、さらに好ましい。
以上のような構成を有する光記録媒体80は、以下のようにして、製造される。
光記録媒体80を製造するにあたっては、まず、フォトレジスト原盤が作製される。
図12(a)ないし(d)ならびに図13(a)ないし(c)は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。図12(a)ないし(d)ならびに図13(a)ないし(c)においては、いずれも、光記録媒体80の径方向に対応する方向に沿った略拡大断面を示している。
本実施態様において、フォトレジスト原盤を作製するにあたっては、まず、図12(a)および(b)に示されるように、ガラス基板90上に、フォトレジスト層91が形成され、その後、図12(c)に示されるように、フォトレジスト層91の表面に、露光用のレーザビーム92が照射されて、フォトレジスト層91に、凹凸パターンの潜像が形成される。
レーザビーム92は、ガラス基板90が回転される間、ガラス基板90の中心部から外縁部に向かい、ガラス基板90の径方向に沿って、移動されながら照射される。また、レーザビーム92は、記録すべきデータに応じて、オン/オフが切り換えられて、照射時間および照射間隔が制御され、フォトレジスト層91の表面に、断続的に照射される。この結果、フォトレジスト層91には、ガラス基板の径方向に沿って、凸状ピット82aに対応する露光領域91aと、ランド82dに対応する未露光領域91dが交互に形成されるとともに、レーザビーム92の走査方向に沿って、凸状ピット82aに対応する露光領域91aと、スペース82bに対応する未露光領域(図示せず)が交互に形成される。
次いで、露光領域91aおよび未露光領域91dが形成されたガラス基板90に、現像処理が施されて、露光領域91aが除去され、図12(d)に示されるように、ガラス基板90上に、それぞれ、略台形断面形状を有する第一の凹状ピット93a、第一のランド93dおよび第一のスペース(図示せず)が形成される。
次いで、図13(a)に示されるように、ガラス基板90の表面のほぼ全体を覆うように、熱収縮剤を主成分として含む塗布液が、スピンコーティング法によって、均一に塗布されて、塗膜94が形成される。本実施態様において、熱収縮剤に含有される熱収縮材料は、図6(a)に示された実施態様と同様の熱収縮材料を用いることができ、また、塗布液中の熱収縮剤の含有量は、3質量%ないし50質量%であることが好ましく、さらに、塗膜94の厚さは、フォトレジスト層91の厚さ以上の厚さであることが好ましい。
ガラス基板90上に、熱収縮剤の塗膜94が形成されると、次いで、熱収縮剤の塗膜94がベーキングされ、熱収縮剤の塗膜94が収縮される。
その結果、図13(b)に示されるように、略台形断面形状を有する第二の凹状ピット95aと、略放物線断面形状を有する第二のランド95dおよび第二のスペース(図示せず)とが、ガラス基板90上に形成される。
最後に、第二の凹状ピット95a、第二のランド95dおよび第二のスペースが形成されたガラス基板90が、純水によって洗浄されて、第二の凹状ピット95a、第二のランド95dおよび第二のスペース上の塗膜94が除去され、図13(c)に示されるように、フォトレジスト原盤100が作製される。
フォトレジスト原盤100が作製されると、次いで、図7(a)ないし(c)に示された実施態様と同様にして、フォトレジスト原盤100の表面形状が転写されたマスタースタンパが作製される。
本実施態様においては、上述したように、フォトレジスト原盤100の表面には、略台形断面形状を有する第二の凹状ピット95aと、略放物線断面形状を有する第二のランド95dおよび第二のスペースとが形成されているので、マスタースタンパの表面には、略台形断面形状を有する凸状ピットと、略U字型断面形状を有するランドおよびスペースが形成される。
こうして、マスタースタンパが作製されると、このマスタースタンパをもとにして、マスタリング工程により、マザースタンパが作製される。
図14(a)および(b)は、本発明の好ましい実施態様にかかるマザースタンパの製造工程を示す工程図である。
まず、マスタースタンパ110が過マンガン酸カリウム溶液に浸漬されて、マスタースタンパ110の表面に酸化処理が施される。次いで、酸化処理されたマスタースタンパ110が、電解ニッケル溶液に浸漬されて、電解メッキ処理により、金属膜が形成され、図14(a)に示されるように、マスタースタンパ110の表面上に電解ニッケル層111が形成される。
次いで、図14(b)に示されるように、電解ニッケル層111が、マスタースタンパ110から剥離され、この後に、剥離された電解ニッケル層111の中心穴および外周が打ち抜かれて、マザースタンパ120が作製される。
本実施態様においては、上述したように、マスタースタンパ110の表面には、略台形断面形状を有する凸状ピットと、略U字型断面形状を有するランドおよびスペースとが形成されているので、マザースタンパ120の表面には、略台形断面形状を有する凹状ピット120aと、略放物線断面形状を有するランド120dおよびスペース(図示せず)とが形成される。
マザースタンパ120が作製されると、図8(a)に示された実施態様と同様に、マザースタンパ120が、金型内にセットされ、その後、射出成形によって、光透過性基板82が形成される。こうして、図11(a)および(b)に示されるように、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状の断面を有するランド82dおよびスペース82bが形成された光透過性基板82が作製される。
本発明者の研究によれば、光透過性基板82の表面に形成されるスペース82bおよびランド82dが、かかる断面形状を有するように形成されている場合には、金型内で硬化された樹脂を、金型内のマザースタンパ120から容易に剥離し得ることが見出されている。したがって、本実施態様によれば、光透過性基板82をマザースタンパ120から剥離させる際に、光透過性基板82の表面の凸状ピット82a、スペース82bあるいはランド82dに、強い応力が加わるのを防止することができる。これにより、光透過性基板82の表面に、所望のように、凸状ピット82aを形成することが可能となり、良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる光記録媒体を得ることが可能となる。
光透過性基板82が作製されると、次いで、図8(b)および(c)に示された実施態様と同様に、光透過性基板82の表面上に、反射層83が形成され、最後に、接着層84を介して、光透過性基板82上に反射層83が形成された積層体と、ダミー基板85とが張り合わされる。こうして、光記録媒体80が完成する。
以下、本発明の効果を、より一層明らかにするため、実施例を掲げる。
まず、厚さ6mmを有するガラス基板を準備し、ガラス基板の表面を研磨、洗浄した後に、ガラス基板の表面上にヘキサメチルジシラザンを付与した。
次いで、日本ゼオン株式会社製のフォトレジスト「DVR100」(商品名)を塗液として、ガラス基板の表面上に、スピンコーティング法によって、塗膜を形成した。
さらに、ガラス基板上に塗膜が形成されたガラス基板を、85℃で、20分間ベーキングして、塗膜中の残留溶剤を除去し、30nmの厚さを有するフォトレジスト層を形成した。
フォトレジスト層が形成されたガラス基板を、ソニー株式会社製のカッティングマシンにセットし、フォトレジスト層の表面に、266nmの波長を有するレーザビームを照射して、フォトレジスト層に、グルーブに対応する露光領域と、ランドに対応する未露光領域を形成した。フォトレジスト層に露光パターンを形成するにあたっては、露光用レーザビームの照射レートを、0.83mJ/mに設定し、露光領域および未露光領域のトラックピッチを、0.74μmにした。
次いで、露光パターンが形成されたガラス基板を、アルカリ溶液で現像して、露光領域を除去することにより、ガラス基板の表面に、凹型の第一のグルーブと、凸型の第一のランドを形成した。
さらに、ガラス基板の表面に形成された第一のグルーブおよび第一のランドのほぼ全面を覆うように、アクリル酸ポリマーを主成分として含む東京応化工業株式会社製の熱収縮剤「FSC−5000EX」(商品名)を、スピンコート法によって、塗布し、300nmの厚さを有する塗膜を形成した。
次いで、熱収縮剤の塗膜が形成されたガラス基板を、120℃で、3分間ベーキングして、熱収縮剤を収縮させた後に、ベーキング処理の施されたガラス基板を、室温で60分間にわたって冷却し、純水によって、1分間、洗浄して、ガラス基板の表面の熱収縮剤の塗膜を除去した。こうして、ガラス基板の表面に、凹型となり、略台形断面形状を有する第二のグルーブと、凸型となり、略放物線断面形状を有する第二のランドを形成し、フォトレジスト原盤を作製した。
次いで、フォトレジスト原盤をもとにして、マスタリング工程により、マスタースタンパを作製した。
最後に、マスタースタンパを、金型内にセットして、射出成形法により、金型内にポリカーボネート樹脂を充填し、金型内のポリカーボネート樹脂が硬化した後に、金型から離型した。こうして、その表面に、グルーブおよびランドが形成された基板サンプルを作製した。
次いで、ケサント社製の原子間力顕微鏡「Q−SCOPE400」(商品名)を用いて、基板サンプルの表面のグルーブおよびランドの形状を、確認した。
図15に、上述の原子間力顕微鏡によって得られた基板サンプルの表面の断面形状が、示されている。図15においては、横方向を収縮して断面形状を表示しており、縦と横の比率が約100:1とされている。
図15に示されるように、基板サンプルにおいては、その表面に、略台形断面形状を有するグルーブと、略放物線断面形状を有するランドとが形成されていることが確認された。また、基板サンプルにおいては、グルーブおよびランドが、それぞれ、規則正しく配列され、それらの変形や欠落は認められず、その表面上に、所望のように、グルーブおよびランドを形成できていることが分かった。
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、図1ないし図14に示される光記録媒体1、80においては、光透過性基板2、82およびダミー基板5、85の2つの基板を備え、光透過性基板2、82側からレーザビームが照射されるように構成されたDVD型の光記録媒体であるが、本発明は、DVD型の光記録媒体に限定されるものではなく、約1.1mmの厚さを有する支持基板上に、約100μmの厚さを有する光透過層が形成され、380nmないし450nmの波長λを有する青色レーザビームが、光透過層側から照射されるように構成された次世代型の光記録媒体にも適用することができる。
また、図1ないし図8に示される光記録媒体1においては、情報層3が追記型の記録膜を備え、追記型の光記録媒体によって構成されているが、本発明は、追記型の光記録媒体に限られるものではなく、情報層3が、たとえば、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Sn−Se−Te、Ge−Te−Sn、In−Se−Tlなどの相変化材料を主成分として含む相変化型の記録膜を備えている相変化型の光記録媒体にも適用が可能である。
さらに、図1ないし図8に示された実施態様においては、光透過性基板2の表面に、凸型となり、略放物線断面形状を有するランド2bが形成されているが、基板の表面に形成されるランドは、必ずしも凸型である必要はなく、スタンパ61をマスタースタンパとして、スタンパ61からマザースタンパを作製し、このマザースタンパを金型にセットすることにより、基板の表面に、凹型となり、略U字型断面形状を有するランドを形成するようにしてもよい。
また、図1ないし図8に示された実施態様においては、フォトレジスト原盤30の表面形状を転写させたスタンパ61を金型にセットして、光透過性基板2を作製するようにしているが、これに限られるものではなく、スタンパ61をマスタースタンパとして、スタンパ61からマザースタンパおよびチャイルドスタンパを作製し、これらのうちのチャイルドスタンパを金型にセットして、光透過性基板2を作製するようにしてもよい。
さらに、図9ないし図14に示された実施態様においては、光透過性基板2の表面に、複数の凸部が設けられて、凸状ピット82a、スペース82bおよびランド82dが形成されているが、必ずしも、光透過性基板82の表面に、複数の凸部を設けることによって、凸状ピット82a、スペース82bおよびランド82dを形成する必要はなく、光透過性基板82の表面に、略楕円断面形状を有する複数の凹部を設けることによって、凹状ピット、スペースおよびランドを形成するようにしてもよい。こうした凹状ピット、スペースおよびランドは、マザースタンパ120ではなく、フォトレジスト原盤100の表面形状を転写させたマスタースタンパや、マザースタンパ120から作製されたチャイルドスタンパを金型内にセットすることによって、形成することができるため、スペースおよびランドは、いずれも、凸型となり、略放物線断面形状を有するように形成される。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図である。 図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。 図3は、光透過性基板の表面の略斜視図である。 図4は、図3の略断面図である。 図5は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。 図6は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。 図7は、スタンパの製造工程を示す工程図である。 図8は、光記録媒体の製造工程を示す工程図である。 図9は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略拡大断面図である。 図10は、光透過性基板の表面の略斜視図である。 図11は、図10の略断面図である。 図12は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。 図13は、フォトレジスト原盤の製造工程を示す工程図である。 図14は、マザースタンパの製造工程を示す工程図である。 図15は、基板の表面の略拡大断面図である。 図16は、従来の光記録媒体の基板の表面の略拡大断面図である。
符号の説明
1…光記録媒体、2…光透過性基板、2a…グルーブ、2b…ランド、3…情報層、4…接着層、5…ダミー基板、6…センターホール、20…ガラス基板、21…フォトレジスト層、21a…露光領域、21b…未露光領域、22…露光用レーザビーム、23a…第一のグルーブ、23b…第一のランド、24…熱収縮剤の塗膜、25a…第二のグルーブ、25b…第二のランド、30…フォトレジスト原盤、52…無電解ニッケル層、53…電解ニッケル層、54…積層体、61…スタンパ、61a…グルーブ、61b…ランド、70…金型、80…光記録媒体、82…光透過性基板、82a…凸状ピット、82b…スペース、82c…トラック、82d…ランド、83…反射層、84…接着層、85…ダミー基板、90…ガラス基板、91…フォトレジスト層、91a…露光領域、91d…未露光領域、92…露光用レーザビーム、93a…第一の凹状ピット、93d…第一のランド、94…熱収縮剤の塗膜、95a…第二の凹状ピット、95d…第二のランド、100…フォトレジスト原盤、110…マスタースタンパ、111…電解ニッケル層、120…マザースタンパ、120a…凹状ピット、120d…ランド

Claims (5)

  1. レーザビームが照射されることにより、データが記録および/または再生されるように構成された光記録媒体であって、基板の表面に、少なくとも凸部が形成され、前記凸部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. レーザビームが照射されることにより、データが記録および/または再生されるように構成された光記録媒体であって、基板の表面に、少なくとも凹部が形成され、前記凹部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  3. 光記録媒体を製造するためのスタンパであって、その表面に、少なくとも凹部が形成され、前記凹部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に深さが深くなり、底部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とするスタンパ。
  4. 光記録媒体を製造するためのスタンパであって、その表面に、少なくとも凸部が形成され、前記凸部の断面が、その両端部から中心部に向かって、連続的に高さが高くなり、頂部が曲線形状を有するように形成されていることを特徴とするスタンパ。
  5. 光記録媒体を製造するためのスタンパの製造方法であって、フォトレジスト層を露光現像して、複数の第一の凸部を形成する工程と、前記複数の第一の凸部上に、熱収縮剤を含有した塗膜を形成する工程と、前記塗膜をベーキングして、前記塗膜を収縮させることにより、前記複数の第一の凸部の形状を変化させ、複数の第二の凸部を形成し、フォトレジスト原盤を作製する工程と、前記フォトレジスト原盤を用いて、スタンパを作製する工程とを含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
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