JP2006045637A - パブリング式気化器 - Google Patents

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Abstract


【課題】 スイープガスのバブリングによる液体原料の蒸気ガス混合工程中に亘って、容器内の液体原料の液面高さを常に一定に維持して混合比が一定した混合ガスの供給を可能とするバブリング式気化器の提供。
【解決手段】 液体原料中に放出されたスイープガスがバブルとして浮上する間にバブルに取り込まれた液体原料の蒸気を容器本体内の液面上でスイープガスとの混合ガスとして回収するバブリング式気化器において、蒸着用液体原料を収容するための容器本体がバブリング室及びバブリング室とオーバーフロー壁によって仕切られたオーバーフロー室を内部に備え、バブリング室には液体原料中でスイープガスを放出するノズル手段が配置され、バブリング室とオーバーフロー室とがバブリング室からオーバーフロー室へ溢流した液体原料をバブリング室に再供給する循環系を介して接続されているものとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば高温ガス炉被覆燃料粒子の製造工程において、被覆層形成用の化学蒸着装置へ液体原料の蒸気原料ガスを供給するためのバブリング式気化器に関するものである。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を、熱容量が大きく高温健全性の良好な黒鉛で形成すると共に、ヘリウム等の高温下でも化学的反応の起こらないガス冷却材を用いることにより、固有の安全性が高く、高い出口温度でヘリウムガスを取り出すことが可能であり、得られる約900℃の高温熱は、発電はもちろんのこと水素製造や化学プラント等、幅広い分野での熱利用を可能にするものである。
このような高温ガス炉の燃料には、通常、ウランを含む溶液を出発原料として製造した二酸化ウランをセラミックス状に焼結した直径約350〜650μmの燃料粒子を基本構造とし、この燃料粒子の外表面に複数の被覆層を形成してなる被覆燃料粒子が用いられる。
この被覆燃料粒子は、例えば第1被覆層にはガス状の核分裂生成物のガス留めとしての機能及び燃料粒子の変形を吸収する緩衝部としての機能を併せ持つものとして密度約1g/cmの低密度熱分解炭素層を形成し、第2被覆層にはガス状核分裂生成物の保持機能を有するものとして密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成し、さらに第3被覆層には固体状核分裂生成物の保持機能を有すると共に被覆層の主要な強度部材として密度約3.2g/cm炭化珪素(SiC)層を、また第4被覆層には第2被覆層と同様のガス状核分裂生成物の保持機能と共に第3被覆層の保護層として密度約1.8g/cmの高密度熱分解炭素層を形成した計4層の被覆を施されたものが一般的となっている。
被覆燃料粒子は、黒鉛母材中に分散させ一定形状の燃料コンパクトの形に成型加工され、さらに黒鉛でできた筒にコンパクトを一定数量入れ、上下に栓をした燃料棒の形にされる。最終的に燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に入れられ、この六角柱型黒鉛ブロックを多数個、ハニカム配列に複数段重ねて炉心を構成している。
従来から、上記のような被覆燃料粒子は、高密度のセラミックス状二酸化ウランからなる球状の燃料粒子を流動床の反応管に装荷し、この反応管内で被覆層となる原料ガスを熱分解させて化学蒸着による被覆層が形成されて製造されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、第1被覆層の低密度炭素層の場合は約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆を施し、第2および第4被覆層の高密度熱分解炭素層の場合は約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して行う。第3被覆層のSiC層の場合は約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆層を形成している。
なお、このような流動床を利用した化学蒸着装置へ供給される原料は、アセチレンやプロピレンなどのようにガス原料をそのままで供給できるものだけでなく、メチルトリクロロシランのように液体原料を用いる場合もある。この場合、液体原料をスイープガスとの混合により蒸気ガスにして供給する気化器が用いられている。
この気化器は、例えば図3に示すように、液体原料Lが収容される容器本体13と、液体原料L中の所定深さ位置までスイープガスSを導入してバブル15を放出するノズル12とを備えたものであり、液体原料L中のスイープガスSのバブリングによって液体原料Lの蒸気をスイープガスSのバブル15中に取り込んで混合ガスMとし、該混合ガスMを容器本体13の液面上で回収する配管系16を介して原料ガスとして化学蒸着装置20側へ供給するものである。
この化学蒸着装置20において、形成される蒸着被覆層の密度や厚さ等の特性は、化学蒸着装置の反応管内の蒸着温度や混合ガス流量だけでなく、気化器11において決定される混合ガス中の原料蒸気ガスの混合比にも繊細に依存するものである。
またこのような気化器11においては、液体原料Lの蒸発時の気化熱によって液体原料自身の温度が低下するので、その分を補って液体原料Lの温度を一定に維持するために液体原料Lの温度を計測装置19で計測し、その結果に基づいて容器13の周囲に設置した電熱ヒータ18で容器内を加熱する温度調整機構を備えているものもある。
特開平5−273374号公報
しかしながら、上記のような従来の気化器では、スイープガスによるバブリング混合開始と同時に液体原料は蒸発し始め、バブリングが終了するまで消費され続けるため、バブリング開始時からバブリング終了時に亘って液体原料の液面高さHが低下していくという変化が生じる。
これは、ノズル先端から液面高さHまでのスイープガスバブルの液体原料中を通過する距離が徐々に短くなるということであり、液体原料の蒸気がスリープガスバブル中に取り込まれる割合が減少していき、原料蒸気ガスの混合ガスへの混合比が変化するということである。このような混合ガスの原料混合比の変動は、化学蒸着装置側での蒸着被覆層の生成に直接影響を与えるものであり、被覆層の密度や厚さ等の特性にバラツキを与える原因となり、被覆燃料粒子の製造において一定の品質を維持するのが困難となる。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、スイープガスのバブリングによる液体原料の蒸気ガス混合工程中に亘って、容器内の液体原料の液面高さを常に一定に維持して混合比が一定した混合ガスの供給を可能とするバブリング式気化器を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るバブリング式気化器は、蒸着用液体原料を収容するための容器本体と、容器本体に収容された液体原料中でスイープガスを放出するノズル手段と、ノズル手段から放出されたスイープガスがバブルとして液体原料中を浮上する間にバブルに取り込まれた液体原料の蒸気を容器本体内の液面上でスイープガスとの混合ガスとして回収する蒸気原料ガス取り出し手段とを備えたバブリング式気化器において、前記容器本体がバブリング室及びバブリング室とオーバーフロー壁によって仕切られたオーバーフロー室を内部に備え、バブリング室には前記ノズル手段が配置され、バブリング室とオーバーフロー室とがバブリング室からオーバーフロー室へ溢流した液体原料をバブリング室に再供給する循環系を介して接続されているものである。
また、請求項2に記載の発明に係るバブリング式気化器は、請求項1に記載のバブリング式気化器において、前記オーバーフロー室内の液体原料の液面高さを検出する液面計と、容器本体外からオーバーフロー室内へ液体原料を補給する液体原料補給配管とを更に備えたものである。
さらに請求項3に記載の発明に係るバブリング式気化器は、請求項1又は2に記載のバブリング式気化器において、前記容器本体に収容された液体原料を加熱する電熱ヒータと、前記バブリング室内の液体原料の温度を計測する温度計測装置と、該温度計測装置による計測結果に基づいて電熱ヒータの加熱動作を自動制御する温度制御器とを更に備えたものである。
本発明のバブリング式気化器においては、蒸着用液体原料を収容する容器本体がオーバーフロー壁によってスイープガスを放出するノズル手段が配置されるバブリング室とオーバーフロー室とに仕切られ、循環系によってバブリング室からオーバーフロー室に溢流した液体原料をバブリング室に再供給する構成としたため、バブリング工程中は常にバブリング室に液体原料をオーバーフロー状態で満たすことによって、バブリング室の液面高さを一定に維持することができ、ノズル手段から放出されたスイープガスバブルの浮上距離も一定に維持され、そのバブルに取り込まれる液体原料の蒸気割合にも変動がなくなり、原料蒸気の混合比が常に一定な混合ガスを原料ガスとして化学蒸着装置へ供給することができるという効果がある。
本発明においては、バブリング式気化器の蒸着用液体原料を収容するための容器本体がオーバーフロー壁によって仕切られたバブリング室とオーバーフロー室とを内部に備え、スイープガスを放出するノズル手段がバブリング室に配置され、バブリング室からオーバーフロー室へ溢流した液体原料をバブリング室へ再供給する循環系を介してバブリング室とオーバーフロー室とが接続されたものである。
従って、まずバブリング室が液体原料で満たされると共にオーバーフロー室が所定液面高さまで液体原料が導入された状態で前記循環系によりオーバーフロー室内の液体原料をバブリング室へ供給し続ければ、バブリング室は常にオーバーフロー室へ液体原料を溢流しながら満たされるという液体原料の循環状態が得られる。
この状態においては、バブリング室の液体原料の液面高さは常に一定に維持されるため、バブリング工程中、この循環状態とすることによって、即ちノズル手段によるスイープガスの放出位置から液面までのバブル浮上距離を一定に維持できるため、スイープガスバブルに取り込まれる液体原料の蒸気の割合も一定となり、取り出し手段によって容器本体上方で回収されて化学蒸着装置側へ送られる原料ガスとしての混合ガスも原料蒸気の混合比に変動のない一定のものとすることができる。
さらにこのようなバブリング式気化器によれば、一定な原料ガスが供給されることによって、例えば化学蒸着装置で高温ガス炉用燃料粒子表面上に形成される被覆層の密度や厚さにもバラツキがなくなり、一定品質の被覆燃料粒子を製造することができる。
なお、当初の容器本体への液体原料の収容量が充分であれば問題ないが、バブリング混合により液体原料の蒸気が消費され続けて、容器本体内の液体原料がオーバーフロー室からバブリング室への循環供給でオーバーフロー状態が維持できなくなるほど減少しそうな場合は、途中、オーバーフロー室へ液体原料を補給すれば良い。
この際、本バブリング式気化器において、オーバーフロー室内の液体原料の液面高さを検出する液面計と、容器本体外からオーバーフロー室内へ液体原料を補給する液体原料補給配管とを備えておけば、前記液体原料の循環供給によるバブリング室からオーバーフロー室へのオーバーフロー状態を維持するのに必要な量に相当するオーバーフロー室内の液体原料の液面高さの下限値を定めて、液面計の検出値が該下限値より少なくならないように液体原料を補給するという簡便な作業で常にバブリング室の液面高さを一定に保つためのオーバーフロー状態が維持できる。
また、本発明によるバブリング式気化器においては、液体原料の蒸発時の気化熱によってバブリング室内の液体原料の温度低下が生じても、容器本体内の液体原料は循環系により強制的に循環させられているため、大きな温度偏位は生じ難く、温度低下はゆるやかである。
さらに、温度低下を補償するために、温度計測装置でバブリング室内の液体原料の温度を計測し、その計測結果に基づいて電熱ヒータでの加熱による液体原料の温度調整を行う際も、液体原料の循環により、ヒータ近くが先に暖められすぎるための温度偏位もなく、容器本体内を全体的に効率良く加熱することができる。従って、温度計測装置による計測結果は信頼性が高く、この温度計測装置による計測結果に基づいた温度制御器による電熱ヒータの加熱動作の自動制御も可能となる。
なお、液体原料を加熱する電熱ヒータとしては、容器周囲に配置した熱源からの直接的な熱放射によるものだけでなく、例えば水、蒸気、油類等の各種熱媒体を介在させる方式のものなど、動作制御が可能なものであれば、特に限定するものではない。
また、本発明における液体原料の液面高さを維持するためのバブリング室からオーバーフロー室への液体原料のオーバーフローは、オーバーフロー壁を予めバブリング室内に配置されたノズル手段下端のスイープガス放出位置から必要な距離分の高さに設定しておき、このオーバーフロー壁の上端を越えて液体原料を溢流させる構成が最も簡便であるが、例えば、オーバーフロー壁を高さの異なるものに交換可能に容器本体内に設置できる構成としたり、また開口面積調整可能な開口部を設けてオーバーフロー室への液体原料流量を調節することによって液面高さを調整できる構成とするなど、実際のバブリング工程において液体原料の液面高さを変更する必要がある場合に対応できる構成としても良い。
本発明の第1実施例として、容器本体内にバブリング室とオーバーフロー室とを備えたバブリング式気化器を図1の概略構成図に示す。本バブリング式気化器1は、容器本体3が、所定高さのオーバーフロー壁4によって蒸着用の液体原料Lを収容するためのバブリング室Aとこのバブリング室Aからオーバーフロー壁4を越えた液体原料L’が溢流してくるオーバーフロー室Bとに仕切られ、さらに循環ポンプ9によって、オーバーフロー室B内の液体原料Lがバブリング室A内へと再供給されて循環するものである。
また、気化器外部供給源(不図示)からスイープガスSを導入するノズル手段がバブリング室Aまで配置され、その先端ノズル2から液体原料中にスイープガスSが放出される。このノズル2から放出されたスイープガスSがバブル5として液体原料中を浮上する間にバブル5に取り込まれた液体原料Lの蒸気が、容器本体3内の液面上で蒸気原料ガス取り出し手段としての配管系6を介してスイープガスSとの混合ガスMとして回収され、化学蒸着装置20へと送られる。
上記のような構成により、本バブリング式気化器1においては、まず、容器本体3内に液体原料Lを収容し、バブリング室A内を液体原料Lで満たすと共にオーバーフロー室B内も所定液面高さまで液体原料Lで満たしておき、この状態から循環ポンプ9の駆動により、オーバーフロー室B内の液体原料Lのバブリング室A内への供給を開始すると、バブリング室A側からオーバーフロー室B側への液体原料L’のオーバーフローが始まり、両室(A,B)間での液体原料の循環状態が得られる。
この循環ポンプ9の駆動による液体原料Lの循環状態が続いている間は、バブリング室Aからのオーバーフロー状態も続けられ、それによってバブリング室Aにおける液体原料の液面高さHAが一定に維持される。
このような液体原料の液面高さHAが一定に維持される状態において、ノズル2からのスイープガスSの放出(バブリング)を始めれば、放出されたスイープガスSのバブル5は、液面までの常に一定な距離を浮上しながら液体原料Lの蒸気を取り込み、液面上でスイープガスSと原料蒸気との混合ガスとして配管系6に回収され、化学蒸着装置20へと送られ、原料ガスに用いられる。
本実施例によるバブリング式気化器1では、上記のようにスイープガスSのバブル5が、常に一定距離に亘る浮上により液体原料Lの蒸気を一定の割合で取り込むため、回収される混合ガスも常に原料蒸気の混合比が一定で変動のないものとなる。
なお、このような原料蒸気の混合比が変動ない一定の混合ガスを得るためのバブリング室Aからオーバーフロー室Bへのオーバーフローが続く液体原料の循環状態は、オーバーフロー室B内の液体原料Lがなくならない限り維持されるが、バブリングが続けられ、液体原料が蒸気となって取り込まれて、混合ガスとして回収されるに従って、液体原料Lは減少していくため、当初、容器本体3内へ収容される液体原料Lが必要な時間だけ混合ガスの供給を続けるに充分な量に達していない場合、前記循環状態が断たれる前に液体原料Lを補給する必要がある。
そこで、本実施例では、容器本体3の外からオーバーフロー室B内へ液体原料Lを補給する液体原料補給配管7を設けると共に、液面計8によってオーバーフロー室B内の液体原料の液面高さHBを検出するものとした。即ち、液体原料Lの循環供給によるバブリング室Aからオーバーフロー室Bへのオーバーフロー状態を維持するために最低必要な液体原料量に相当するオーバーフロー室Bの液面高さHBを下限値として定めておけば、液面計8の検出値に基づいて液面高さHBが前記下限値より上を維持するように液体原料Lの補給を行うという簡便な作業で常にバブリング室Aの液面高さを一定に保つためのオーバーフロー循環状態が維持できる。
また、液面計8と液体原料補給配管7による供給機構とを連動させて、所定液面下限値を検出した時点で液体原料の補給を開始し、所定液面上限値を検出した時点で補給を停止するという自動制御で液体原料の補給を行う構成とすれば、作業工程の効率化が図れる。なお、液体原料の全ての供給をこの液体原料補給配管7によるものにすれば、配管系が簡略化でき、装置設計が容易となる。
また、本実施例においても、従来と同様に液体原料Lの蒸気取り込みに伴う気化熱による温度低下を補うために容器本体3内の液体原料Lを加熱する電熱ヒータ18と、液体原料Lの温度を計測する温度計測装置19とを備えた。ただし、本実施例では、該温度計測装置19によりバブリング室A内の液体原料の温度を計測し、その計測結果に基づいて温度制御器10により電熱ヒータ18の加熱動作を自動制御する構成とした。
本実施例においては、液体原料Lは循環ポンプ9によって容器本体3内で強制的に循環させられるものであるため、液体原料Lの循環により、局所的な温度低下やヒータ近くの暖めすぎなどの温度偏位がなく、容器本体3内はほぼ均一な温度であり、温度低下や上昇の変化も全体的に緩やかなものである。
従って、温度計測装置19による計測結果は信頼性が高く、電熱ヒータ18による加熱も全体的に効率よく行えることから、温度計測装置19による計測結果に基づいて温度制御器10によって電熱ヒータ18の加熱動作を自動制御することで充分に温度調整が可能である。このような温度制御器10による温度制御機構としては、所謂サーモスタット機構を利用でき、簡便な構成でありながら、より正確な一定温度の維持調整を実現することによって、混合比が一定な混合ガスのより安定な供給を図ることができる。
次に、本発明の第2実施例として、以上の如き構成を備えた実施例1に示したバブリング式気化器1を、化学蒸着装置20における高温ガス炉用燃料粒子への被覆層形成のための液体原料のガス化供給に用いた場合を以下に示す。
この化学蒸着装置20は、図2の概略構成図に示すように、二重構造を持ち、外側の装置本体の内側の断熱材25で隔てられた中央部に流動床となる黒鉛製の反応管23を備えたものであり、この反応管23には、外表面に配置された黒鉛製の加熱ヒータ24と温度制御用の温度測定器27とが設けられている。また本体底部には反応管23内へ原料ガスを噴出供給するためのガスノズル22が底部貫通状態で設けられ、その下方には粒子取り出し用容器29が備えられている。
この反応管23内にガスノズル22を介して供給される原料ガスは、反応管23の下方から流動ガスと共に連続的に噴出されることによって反応管23内に投入されている被覆対象の燃料粒子26をその噴流で吹き上げて流動させるものであり、この流動状態において原料ガスの加熱により熱分解された原料分子が粒子表面に満遍なく蒸着して被覆層が形成される。またその後の廃ガスは装置本体の上部に形成された排出口28から排気される。
本実施例では、アセチレンを用いてその熱分解により第1被覆層としての低密度炭素層を形成し、プロピレンを用いてその熱分解により第2および第4被覆層としての高密度熱分解炭素層を形成し、第3被覆層としてのSiC層をメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を用いて形成する4層の被覆燃料粒子の製造に関して具体例を示すものであるが、アセチレン、プロピレンはそのまま原料ガスとして供給するのに対して、第3被覆層の蒸着原料として液体原料であるメチルトリクロロシランを前記バブリング式気化器1を介して蒸気としてスイープガスに混合してなる混合ガスにして化学蒸着装置20へ供給するものである。
被覆対象の粒子として、直径500〜600μmのセラミックス状二酸化ウランからなる燃料粒子を用いて以下の手順で4層の被覆層を形成した。まず、流動ガスとしてのアルゴンガスを70L/minの流量でガスノズル22へ供給し、反応管23中を上方へ通過させ、排出口27から排気する流れを形成しておく。その後、装置上部から反応管23内へ前記セラミックス状二酸化ウランからなる燃料粒子を約4kg分投入し、反応管23の円錐状底部領域で流動させ、この流動状態を維持する。
この粒子の流動状態において、ヒータ24の出力を上げ、反応管23内温度を1300℃まで昇温し、流動ガスとしてのアルゴンガスの流量を80L/minに調節すると共に、原料ガスとしてのアセチレンガスを50L/minの流量で供給を開始する。反応管23内では、アセチレンガスが熱分解して燃料粒子表面に低密度熱分解炭素が蒸着していき予め定められた必要時間原料ガスの供給を続けることによって所定(密度1.1g/cm、厚さ60μm)の第1被覆層が形成される。
次に、反応管23内の温度を1330℃まで昇温し、流動ガスとしてのアルゴンガスの供給流量を70L/minに調節すると共に、原料ガスとしてのプロピレンガスを100L/minの流量で供給を開始する。反応管23内では、プロピレンガスが熱分解して燃料粒子の第1被覆層の上に高密度熱分解炭素が蒸着していき、必要時間原料ガスの供給を続けることによって所定(密度1.8g/cm、厚さ35μm)の第2被覆層が形成される。
次に、図1に示したバブリング式気化器1を用いて液体原料のメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を原料ガスの状態として供給し、第3被覆層を形成する。なお、気化器1の液体原料の温度低下を補う加熱手段として、内部で温度調整されたシリコンオイルが循環するジャケット(不図示)を容器本体3の周囲に配置して容器本体3内の液体原料の温度保持を行うと共に、オーバーフロー室B内への補給配管からの液体原料の供給、補給を液面計との連動による自動制御で行うものとした。
まず、反応管23内の温度を1550℃まで昇温し、流動ガスとしての水素ガスを270L/minの流量で反応管23内へ供給開始すると共に、スイープガスSとしての水素ガスを気化器1のバブリング室A内へ10L/minの流量で供給し、液体原料(CHSiCl)中でのバブリングにより液体原料(CHSiCl)の蒸気をバブル中に取り込み、水素ガスとの混合ガスを原料ガスとして反応管23内へ供給する。反応管23内では、メチルトリクロロシランの蒸気が熱分解して、燃料粒子の第2被覆層上に炭化珪素(SiC)が蒸着していき、必要時間原料ガス(混合ガス)の供給を続けることによって所定(密度3.2g/cm、厚さ30μm)の第3被覆層が形成される。
次に、反応管23内を1350℃に調整し、流動ガスとしてのアルゴンガスを80L/minの流量で反応管23内へ供給すると共に、原料ガスとしてプロピレンガスを110L/minの流量で供給を始める。反応管23内では、プロピレンガスが熱分解して高密度分解炭素が燃料粒子の第3被覆層上に被覆していき、必要時間原料ガスの供給を続けることによって所定(密度1.8g/cm、厚さ45μm)の第4被覆層が形成される。
この第4被覆層の形成完了後は、アルゴンガスのみを80L/minの流速で反応管23内へ供給し続け、流動状態を維持したままヒータ24の出力を下げていき、反応管23内温度が約100℃まで降下したら、アルゴンガスの供給を停止し、被覆燃料粒子をガスノズル22の下方の粒子取り出し用容器29内に落下させて回収する。
なお、従来のバブリング式気化器を用いて第3被覆層を形成した場合においては、被覆層厚さの標準偏差は0.94〜1.12μmであったのに対して、本実施例における図1のバブリング気化器1を用いた第3被覆層の形成では、その厚さの標準偏差は0.83〜0.92と向上しており、さらに、標準偏差の製造バッチ間のバラツキも小さくなっており、第3被覆層の品質の向上が確認された。これは、原料ガスとして供給されるスイープガスとの混合ガスにおいて、液体原料の蒸気の混合比が被覆層形成工程中に亘って変動なく一定したものであることに起因する。
本発明の第1実施例としてのバブリング式気化器の概略構成図である。 化学蒸着装置での燃料粒子への蒸着被覆層形成に図1の気化器を用いて液体原料の蒸気混合ガスを供給する場合の全体構成を示す概略構成図である。 従来のバブリング式気化器の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1,11:バブリング式気化器
2,12:ノズル
3,13:容器本体
4:オーバーフロー壁
A:バブリング室
B:オーバーフロー室
5,15:スイープガスバブル
6,16:混合ガス回収配管系
7:液体原料補給配管
8:液面計
9:循環ポンプ
10:温度制御器
L:液体原料
L’:(オーバーフロー)液体原料
H:液体原料液面高さ
HA:バブリング室液面高さ
HB:オーバーフロー室液面高さ
S:スイープガス
M:混合ガス(原料ガス)
18:電熱ヒータ
19:温度計測装置
20:化学蒸着装置
22:ガスノズル
23:反応管
24:ヒータ
25:断熱材
26:燃料粒子
27:温度測定器
28:排気口
29:粒子取り出し用容器

Claims (3)

  1. 蒸着用液体原料を収容するための容器本体と、容器本体に収容された液体原料中でスイープガスを放出するノズル手段と、ノズル手段から放出されたスイープガスがバブルとして液体原料中を浮上する間にバブルに取り込まれた液体原料の蒸気を容器本体内の液面上でスイープガスとの混合ガスとして回収する蒸気原料ガス取り出し手段とを備えたバブリング式気化器において、
    前記容器本体がバブリング室及びバブリング室とオーバーフロー壁によって仕切られたオーバーフロー室を内部に備え、バブリング室には前記ノズル手段が配置され、バブリング室とオーバーフロー室とがバブリング室からオーバーフロー室へ溢流した液体原料をバブリング室に再供給する循環系を介して接続されていることを特徴とするバブリング式気化器。
  2. 前記オーバーフロー室内の液体原料の液面高さを検出する液面計と、容器本体外からオーバーフロー室内へ液体原料を補給する液体原料補給配管とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載にバブリング式気化器。
  3. 前記容器本体に収容された液体原料を加熱する電熱ヒータと、前記バブリング室内の液体原料の温度を計測する温度計測装置と、該温度計測装置による計測結果に基づいて電熱ヒータの加熱動作を自動制御する温度制御器とを更に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバブリング式気化器。
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