JP2006042547A - 平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可動部の高精度の移動を実現可能な平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 平面リニアモータは、Y軸方向(第1方向)において交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテンと、プラテン上に設けられ、Y軸方向と直交するX軸方向(第2方向)に延在する磁極歯からなる磁極歯群21を有するスライド部と、磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、磁極歯は、磁極歯片211,213(第1部分)と、磁極歯片211,213からY軸方向に突出する磁極歯片212,214(第2部分)とを有する。
【選択図】 図5
【解決手段】 平面リニアモータは、Y軸方向(第1方向)において交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテンと、プラテン上に設けられ、Y軸方向と直交するX軸方向(第2方向)に延在する磁極歯からなる磁極歯群21を有するスライド部と、磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、磁極歯は、磁極歯片211,213(第1部分)と、磁極歯片211,213からY軸方向に突出する磁極歯片212,214(第2部分)とを有する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、平面リニアモータ(flat linear motor)ならびに平面リニアモータ用プラテン(platen)およびその製造方法に関し、特に、高精度な移動制御が可能な平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法に関する。
プラテン部と可動部とを備えた平面リニアモータが従来から知られている。
たとえば、特開平9−261944号公報(従来例1)においては、プラテンドットを有するプラテンと、プラテン上に移動自在に配置されたケースとを備えた平面リニアモータが開示されている。
ここで、ケース内にはX軸方向に移動可能な可動ヨークとY軸方向に移動可能な可動ヨークとが組み込まれている。可動ヨークは、永久磁石とこの永久磁石の両側に配置された一対のヨーク部とからなり、各ヨーク部は、各々3本の脚を有している。この3本の脚にそれぞれ巻着されたコイルに3相交流電流を流すことにより、ケースをX軸方向/Y軸方向に移動させることができる。
特開平9−261944号公報
しかしながら、上記のような平面リニアモータにおいては、以下のような問題があった。
平面リニアモータにおいては、可動部の移動に伴って、可動部を移動させる推進力およびプラテンと可動部との間に発生する吸着力が変動する。推進力の変動は、可動部の移動速度に時間的なばらつきを生じさせ、吸着力の変動は、可動部にピッチングを生じさせる。この結果、可動部の移動制御における誤差が増大する。
たしかに、従来例1においては、コイル電流を3相の正弦波形とすることで、可動部に作用する推進力を比較的平坦化し、推進力の脈動を比較的少なくしている。
しかしながら、可動部の裏面に形成された磁極歯およびプラテンの凹凸形状が矩形形状であるため、上述した移動速度および吸着力の変動を回避することはできない。結果として、平面リニアモータにおける精度の向上が制限される。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、可動部の移動制御の精度を向上させた平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法を提供することにある。
本発明に係る平面リニアモータは、1つの局面では、主表面上に交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテン部と、プラテン部上に設けられ、凹部と凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、磁極歯は、第1部分と、該第1部分から第1方向に突出する第2部分とを有する。
これにより、スライド部に作用する移動推進力や吸着力の変動を抑制することができる。結果として、スライド部の移動制御の精度が向上する。
磁極歯は同一幅を有する複数の磁極歯片を含み、第2方向における中心軸が互いに第1方向にずれた複数の磁極歯片が第2方向に並ぶように磁極歯を構成することが好ましい。
これにより、簡便な製造方法により、上述した構成を得ることができる。結果として、平面リニアモータの製作コストが低減される。
本発明に係る平面リニアモータは、他の局面では、主表面上に交互に周期的に形成された複数の第1凹部と第1凸部とを含むプラテン部と、プラテン部上に設けられ、第1凹部と第1凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、磁極歯は交互に形成された複数の第2凹部と第2凸部とを有し、複数の第1凸部の中心間隔と複数の第2凸部の中心間隔とが異なる。
本発明に係る平面リニアモータは、さらに他の局面では、主表面上に交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテン部と、プラテン部上に設けられ、凹部と凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、磁極歯および凸部の少なくとも一方の側壁先端部が傾斜している、または、磁極歯および凸部の少なくとも一方の側壁上に段差を有する。
このような構成によっても、スライド部に作用する移動推進力や吸着力の変動を抑制することができる。
本発明に係る平面リニアモータ用プラテンは、プラテンの主表面上に第1方向に沿って周期的に交互に形成される第1凹部と第1凸部とを含む第1部分と、プラテンの主表面上に第1方向に沿って第1部分と同じ周期で交互に形成される第2凹部と第2凸部とを含む第2部分とを有し、第1凹部および第1凸部の双方と隣接した位置に第2凹部が配置されるように第1部分に対し第2部分を第1方向にずらせながら、第1と第2部分を第1方向に交差する第2方向に並べた領域を含む。
これにより、プラテン上を移動するスライド部の移動制御の精度を向上させることができる。
上記平面リニアモータ用プラテンは、プラテンの主表面上に第1方向に沿って第1部分と同じ周期で周期的に交互に形成される第3凹部と第3凸部とを含む第3部分と、プラテンの主表面上に第1方向に沿って第1部分と同じ周期で交互に形成される第4凹部と第4凸部とを含む第4部分とを有し、第3凹部に対して第4凸部のみが隣接し、第3凸部に対して第4凹部のみが隣接するように第3部分と第4部分とを第2方向に並べた領域をさらに含むことが好ましい。
これにより、プラテン部上にスライド部の高精度移動領域と高速移動領域とを並存させることができる。
本発明に係る平面リニアモータ用プラテンの製造方法は、周期的に交互に形成される第1凹部と第1凸部とを含む第1プラテン片を形成する工程と、第1プラテン片と同じ周期で交互に形成される第2凹部と第2凸部とを含む第2プラテン片を形成する工程と、第1と第2プラテン片を接合する工程とを備える。
これにより、第1凹部/凸部と第2凹部/凸部とを、その凹凸の形成される方向において自在にずらすことができる。結果として、プラテン上を移動するスライド部の移動制御の精度を向上させるプラテンを提供することができる。
本発明によれば、平面リニアモータにおいて、可動部の高精度の移動を実現することができる。
以下に、本発明に基づく平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法の実施の形態について、図1から図13を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る平面リニアモータを示した上面図である。
図1は、実施の形態1に係る平面リニアモータを示した上面図である。
図1を参照して、平面リニアモータは、プラテン1(プラテン部)と、プラテン1から浮上して該プラテン1上でXY軸方向に移動するスライド部2と、スライド部2の移動を制御する制御部3とを備える。
プラテン1は、磁性体からなる。プラテン1上には凹部10Aと凸部10Bとが形成されている。凹部10Aと凸部10Bとは、市松模様を形成するように配置される。換言すると、プラテン1の主表面上において、凹部10Aと凸部10BとがX軸方向およびY軸方向に交互に周期的に形成されている。スライド部2は、後述するように、プラテン1上の凹部10Aと凸部10Bとが並ぶ方向(第1方向)に移動するので、上記プラテン1の構成により、スライド部2を、X軸方向およびY軸方向に移動させることが可能となる。なお、スライド部2をX軸方向,Y軸方向のいずれか一方の方向にのみ移動させる場合は、プラテン1上の凹凸形状は、当該移動方向(X軸方向/Y軸方向)においてのみ交互に周期的に形成されていればよい。
図2は、図1に示す平面リニアモータにおけるプラテン1とスライド部2とを示した断面図である。
図2を参照して、スライド部2は、ケース20内に、永久磁石51とプラス側磁極歯52とマイナス側磁極歯53とを有するヨーク部を備える。プラス側磁極歯52は、磁極歯TU1,TV1,TW1からなり、マイナス側磁極歯53は、磁極歯TU2,TV2,TW2からなる。磁極歯TU1,TV1,TW1,TU2,TV2,TW2には、それぞれコイルLU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2が巻回されている。
磁極歯TU1,TV1,TW1,TU2,TV2,TW2は、プラテン1上の凹部10Aと凸部10Bとが並ぶ方向(第1方向)にほぼ直交する方向(第2方向)に延在する。
磁極歯TU1,TV1,TW1と磁極歯TU2,TV2,TW2との間隔(図2中のW)と、プラテン1上に形成された凸部10Bの中心間隔(図2中のP0)との関係は、
W=4.5×P0
で表される。すなわち、プラテン1の凹凸形状の位相は、磁極歯TU1,TV1,TW1上と磁極歯TU2,TV2,TW2上とにおいて互いに180°反転している。
W=4.5×P0
で表される。すなわち、プラテン1の凹凸形状の位相は、磁極歯TU1,TV1,TW1上と磁極歯TU2,TV2,TW2上とにおいて互いに180°反転している。
図3は、平面リニアモータに作用させる3相交流を示した図である。
図3を参照して、コイルLU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2には、位相が120度ずつシフトした3相(U相,V相,W相)の交流電流が流される。ここで、コイルLU1には図3に示すU相の交流電流が、コイルLV1には図3に示すV相の交流電流が、コイルLW1には図3に示すW相の交流電流が流される。また、コイルLU2にはコイルLU1と同じ波形(U相)で正負が逆向きの電流が、コイルLV2にはコイルLV1と同じ波形(V相)で正負が逆向きの電流が、コイルLW2にはコイルLW1と同じ波形(W相)で正負が逆向きの電流が流される。これらの電流の制御は、制御部3により行なわれる。
永久磁石51のN極側に接続された磁極歯TU1,TV1,TW1に巻回されたコイルLU1,LV1,LW1は、正の電流を流すことで、永久磁石51の磁束と同じ方向(N極)の磁束が発生するように巻回されている。一方、永久磁石51のS極側に接続された磁極歯TU2,TV2,TW2に巻回されたコイルLU2,LV2,LW2についても、正の電流を流すことで、永久磁石51の磁束と同じ方向(S極)の磁束が発生するように巻回されている。すなわち、コイルLU1,LV1,LW1とコイルLU2,LV2,LW2とは、互いに逆向きに巻回されている。
上述した永久磁石51およびコイルLU1により、たとえば図3中の時刻T1においては、磁極歯TU1においては、正の電流が流れているため、(永久磁石51による磁束)+(コイルLU1による磁束)が発生する。これに対し、磁極歯TV1,TW1においては、負の電流が流れているため、永久磁石51による磁束とコイルLV1,LW1による磁束が互いに打ち消し合うことになる。一方、磁極歯TU2においては、負の電流が流れているため、永久磁石51による磁束とコイルLV1,LW1による磁束が互いに打ち消し合い、磁極歯TV2,TW2においては、正の電流が流れているため、(永久磁石51による磁束)+(コイルLV2,LW2による磁束)が発生する。
上記磁束の発生により、スライド部2をプラテン1に吸着する吸着力と、スライド部2をプラテン1に対して図2中の右方向にスライドさせる推進力とが発生する。ここで、スライド部2は、後述するエア噴出口からのエアによってプラテン1から浮上している。したがって、スライド部2は、プラテン1から浮上したまま、図2中において右側に移動(スライド)する。
コイルLU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2に流す電流の大きさと周波数とを制御することで、スライド部2を継続的に移動させることができる。上記電流の大きさおよび周波数の制御の仕方については、一般によく知られているので、詳細な説明は繰り返さない。
図4は、スライド部2の裏面を示した図である。
図4を参照して、平面リニアモータは、スライド部2をY軸方向に移動させるためのY1,Y2磁極歯群21,22と、スライド部2をX軸方向に移動させるためのX1,X2磁極歯群23,24とを備える。
たとえば、スライド部2をY軸方向に移動させる場合には、Y1,Y2磁極歯群21,22のコイル電流を制御する。これにより、上述した推進力が得られる。この際、X1,X2磁極歯群23,24には電流を流さない。したがって、X軸方向の推進力は発生しない。
また、永久磁石の磁束による吸着力に対し、スライド部2の裏面には、図示しないエア噴出口が設けられている。該噴出口からのエア吹き出し力を上記吸着力よりも大きくすることで、スライド部2をプラテン1から数十μmの高さで安定させる。
さらに、スライド部2には、該スライド部2のXY平面における位置を検出する検出機構(図示せず)が備えられている。制御部3は、検出機構からの信号に基づいて、磁極歯に巻回されたコイルに流す電流を制御し、磁極歯TU1,TV1,TW1,TU2,TV2,TW2の磁性状態を周期的に変化させる。なお、上記検出方法としては、プラテン1の凹凸変化の検知結果に基づいて位置を検出する方法や、レーザ干渉計を用いて位置を検出する方法などが挙げられる。
図5は、Y1磁極歯群21を示した底面断面図である。
図5を参照して、Y1磁極歯群21における磁極歯は、同一幅(B)を有する複数の磁極歯片211〜214を含む。ここで、磁極歯片211,213(第1部分)は、磁極歯片212,214(第2部分)に対してY軸方向(第1方向)に突出している。逆に、磁極歯片212,214(第2部分)は、磁極歯片211,213(第1部分)に対してY軸方向(第1方向)に突出している。
換言すると、X軸方向(第2方向)における中心軸が互いにY軸方向(第1方向)にずれた複数の磁極歯片211〜214がX軸方向に並ぶようにして、磁極歯が構成される。磁極歯片211〜214の軸方向中心(図5における上側/下側の一点鎖線)は、磁極歯の軸方向中心(図5における真中の一点鎖線)からY軸方向にそれぞれLSだけシフトしている。
なお、図5においては、Y1磁極歯群21における磁極歯について示しているが、Y2磁極歯群22、X1,X2磁極歯群23,24における磁極歯についても、同様の構造を有する。
図6は、磁極歯群21における位相ずらし量((LS/W)×360)とスライド部2に作用する力(推進力・吸着力)との関係を示した図である。なお、縦軸に示す推進力(スライド部2を所定の方向に移動させる力)・吸着力(スライド部2をプラテン1に引き付ける力)については、無単位の相対的な値を示すため、図6中における単位は「PU(Power Unit)」として示している。
図6を参照して、位相ずらし量を変化させた場合の平均推進力41(「◆」を結ぶライン)、平均吸着力42(「■」を結ぶライン)、推進力変動量43(「×」を結ぶライン)、吸着力変動量44(「▲」を結ぶライン)は、それぞれ特徴的な分布を示す。ここで、平均推進力41とは、3相交流の1周期内における上記推進力の平均値であり、平均吸着力42とは、3相交流の1周期内における上記吸着力の平均値である。また、推進力変動量43は、3相交流の1周期内における上記推進力の変動量であり、吸着力変動量44は、3相交流の1周期内における上記吸着力の変動量である。
位相ずらし量を大きくするにつれて、平均推進力41は低下する。これは、磁極歯とプラテン1の凸部10Bとの相対位置関係が分散するため、磁束による推進力の発生効率が低下するためであると考えられる。一方、平均吸着力42については、位相ずらし量に関わらず、ほぼ一定の値を示す。これは、スライド部全体に作用する吸着力の大きさは、コイル電流に依らず、永久磁石51の磁束によって決定され、磁極歯と凸部10Bとの相対位置関係に影響されないからであると考えられる。
また、位相ずらし量を0(度)から大きくするにつれ、推進力変動量43および吸着力変動量44は小さくなる。該変動量43,44は、位相ずらし量が40(度)程度である場合に極小となる。
磁極歯がプラテン1の凸部10B上に位置する状態から、該磁極歯が凸部10B上に位置しない状態に移る際、および、磁極歯が凸部10B上に位置しない状態から、該磁極歯が凸部10B上に位置する状態に移る際、磁極歯と凸部10Bとの間に発生した磁束の状態が急変する。これにより、スライド部2に作用する推進力および吸着力に、時間的な変動が生じる。この変動により、移動速度の時間的なばらつきやピッチングが生じ、スライド部2の移動制御の精度向上が抑制される場合がある。
これに対し、本実施の形態においては、上述した位相ずらし量を設定することで、磁極歯が凸部10B上に位置する状態から凸部10B上に位置しない状態へと移る時期、または、磁極歯が凸部10B上に位置しない状態から凸部10B上に位置する状態へと移る時期(双方の時期を合わせて、以下、「磁束の急変時期」と称する。)を、1本の磁極歯内において分散させることができる。したがって、交流電流の1周期内における推進力・吸着力変動量43,44を低減することができる。結果として、スライド部2の移動制御の精度が向上する。
位相ずらし量が40(度)程度である場合に、変動量43,44が極小となる理由について、以下に説明する。
図2において、磁極歯TU1,TV1,TW1,TU2,TV2,TW2は等間隔で形成されるため、磁極歯TU1,TV1,TW1と磁極歯TU2,TV2,TW2との間隔(図2中のW)を360(度)とした場合における、互いに隣接する磁極歯(たとえば磁極歯TU1と磁極歯TV1)の位相差は120(度)となる。したがって、上述した位相ずらし量を40(度)とすると、たとえば磁極歯TU1と磁極歯TV1との中心間隔は、該中心から第1方向にずらして形成された磁極歯(TU1+40度およびTV1−40度)の中心によって3等分される。この状態が、推進力・吸着力変動量43,44を最も効率よく低減することができる状態であると考えられる。
実際に平面リニアモータを設計する際は、要求される下限速度/上限速度、移動制御の精度などを考慮して、上述した位相ずらし量を設定すればよい。
なお、図5に示す磁極歯の構造は、上述した思想を実現するための構造の一例である。その他の構造の例としては、たとえば、磁極歯の延在方向において該磁極歯の幅が広く/狭くなるテーパ形状を含むものや、磁極歯TU1,TV1,TW1,TU2,TV2,TW2の延在方向(第2方向)を、プラテン1上の凹部10Aと凸部10Bとが並ぶ方向(第1方向)に対して斜め方向に設定したものなどが考えられる。いずれの局面においても、磁極歯において、第1方向に突出する突出部が形成されるため、上記と同様の効果を奏すると考えられる。
図7,図8は、本実施の形態に係る平面リニアモータの変形例における磁極歯TU1およびプラテン上の凸部10Bを示す断面図である。
図7に示すように、磁極歯TU1または凸部10Bの少なくとも一方の側壁先端部が傾斜している場合や、図8に示すように、磁極歯TU1または凸部10Bの少なくとも一方の側壁に段差を有する場合には、第1方向に突出する突出部を有しない磁極歯を用いた場合であっても、磁束の急変が緩和され、上記と同様の効果を奏すると考えられる。なお、図7,図8においては、1つの磁極歯(磁極歯TU1)および1つの凸部10Bのみを示しているが、その他の磁極歯および凸部10Bにおいても、同様の傾斜部/段差部が設けられる。
ここで、「磁極歯またはプラテン上の凸部の側壁先端部が傾斜している」とは、磁極歯または凸部10Bが正弦波形状などの曲線形状を有することを含む概念である。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係る平面リニアモータにおける磁極歯周辺を示した拡大図である。
図9は、実施の形態2に係る平面リニアモータにおける磁極歯周辺を示した拡大図である。
本実施の形態に係る平面リニアモータは、実施の形態1に係る平面リニアモータの変形例であって、プラテン1に凹部(第1凹部)および凸部(第1凸部)を形成するとともに、図9に示すように、磁極歯TU1に凹部20A(第2凹部)と凸部20B(第2凸部)とを形成する点で、実施の形態1と異なる。
なお、図9においては、磁極歯TU1についてのみ示されるが、その他の磁極歯(磁極歯TV1,TW1,TU2,TV2,TW2)についても、磁極歯TU1と同様に、凹部20Aおよび凸部20Bが形成される。
また、プラテン1上には、磁極歯に形成された凸部20B(第2凸部)の中心間隔の平均(図9中のP0)と等しいピッチで周期的に凸部(第1凸部,図9中では図示せず)が形成されている。
図9を参照して、磁極歯TU1上に形成された凸部20Bの中心間隔は一定ではなく、P0の大きさの中心間隔とP0+LSまたはP0−LSの大きさの中心間隔とが交互に形成されている。一方、上述したように、プラテン1上の凸部は、P0のピッチで周期的に形成されている。したがって、プラテン1上の凸部(第1凸部)の中心間隔と、磁極歯上の凸部(第2凸部)の中心間隔とが一部異なることになる。
この結果、凸部20B(第2凸部)が第1凸部上に位置する状態から第1凸部上に位置しない状態へと移る時期、または、凸部20B(第2凸部)が第1凸部上に位置しない状態から第1凸部上に位置する状態へと移る時期(磁束の急変時期)を、1本の磁極歯(図9中では磁極歯TU1)において分散させることができる。したがって、スライド部2に作用する推進力・吸着力の時間的な変動が分散される。
以上より、本実施の形態に係る平面リニアモータにおいても、実施の形態1と同様の効果を奏すると考えられる。
なお、本実施の形態において、上述した実施の形態1と同様の事項については、詳細な説明は繰り返さない。
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3に係る平面リニアモータ用プラテンを示した上面図である。また、図11は、図10に示すプラテン1の一部を拡大した拡大上面図である。図11においては、説明の便宜上、凸部10Bに対応する箇所にハッチングを付している。
図10は、実施の形態3に係る平面リニアモータ用プラテンを示した上面図である。また、図11は、図10に示すプラテン1の一部を拡大した拡大上面図である。図11においては、説明の便宜上、凸部10Bに対応する箇所にハッチングを付している。
図10,図11を参照して、本実施の形態に係るプラテン1は、その主表面上にスライド部2の進行方向(第1方向、図10,図11中の左右方向)に沿って周期的に交互に形成される凹部101A(第1凹部)と凸部101B(第1凸部)とを含む第1部分101と、第1部分101における凹凸と同じ方向に同じ周期で交互に形成される凹部102A(第2凹部)と凸部102B(第2凸部)とを含む第2部分102とを有し、凹部101Aおよび凸部101Bの双方と隣接した位置に凹部102Aが配置されるように、第1部分101に対し第2部分102をスライド部2の進行方向(第1方向)にLSPだけずらせた点を特徴とする。なお、第1と第2部分101,102は、第1方向と交差する第2方向(図10,図11中の上下方向)に並べられる。第1と第2方向は、典型的には直交するが、斜めに交差してもよい。
これにより、第1方向に突出する突出部を有しない磁極歯を用いた場合であっても、磁束の急変時期を、1本の磁極歯において分散させることができる。したがって、スライド部2に作用する推進力・吸着力の時間的な変動が分散される。
以上より、本実施の形態に係る平面リニアモータにおいても、実施の形態1,2と同様の効果を奏すると考えられる。すなわち、プラテン1上に、高精度移動領域11が形成される。
なお、本実施の形態において、上述した実施の形態1,2と同様の事項については、詳細な説明は繰り返さない。
(実施の形態4)
図12は、実施の形態4に係る平面リニアモータ用プラテンを示した上面図である。
図12は、実施の形態4に係る平面リニアモータ用プラテンを示した上面図である。
図12を参照して、本実施の形態に係るプラテン1は、実施の形態3に係るプラテン1の変形例であって、その主表面上に第1部分101における凹凸と同じ方向(第1方向、図12中の左右方向)に同じ周期で交互に形成される凹部103A(第3凹部)と凸部103B(第3凸部)とを含む第3部分103と、第1部分101における凹凸と同じ方向(第1方向)に同じ周期で交互に形成される凹部104A(第4凹部)と凸部104B(第4凸部)とを含む第4部分104とを有し、凹部103Aに対して凸部104Bのみが隣接し、凸部103Bに対して凹部104Aのみが隣接するように第3部分103と第4部分104とを第1方向に交差する方向(第2方向、図12中の上下方向)に並べた領域(高速移動領域12)をさらに含む点を特徴とする。
実施の形態1で述べたように、磁束の急変時期を1本の磁極歯内で分散させることにより、スライド部2に作用する推進力・吸着力の時間的な変動が分散される一方で、スライド部2を所定の方向に移動させる推進力が低減される。すなわち、高精度移動領域11においては、スライド部2に作用する推進力の大きさが制限され、スライド部2の高速移動性が抑制される。
これに対し、凹凸部が市松模様状に形成された第3と第4部分103,104からなる領域(高速移動領域12)においては、磁束の急変時期が1本の磁極歯内で同一時期となるので、スライド部2を比較的高速で移動させることができる。したがって、スライド部2を高速で移動させたい場合には該スライド部2を高速移動領域12内で移動させ、スライド部2の移動制御を高精度で行ないたい場合には、該スライド部2を高精度移動領域11内で移動させることができる。結果として、高速移動性/高精度な移動制御を両立させることができる。
なお、本実施の形態において、上述した実施の形態1〜3と同様の事項については、詳細な説明は繰り返さない。
(実施の形態5)
図13は、実施の形態5に係る平面リニアモータ用プラテンの製造方法を説明するための図である。図13(a),(b)はプラテンを構成するプラテン片1A,1Bを示し、図13(c)はプラテン片1A,1Bを接合してプラテン1を形成した状態を示す。
図13は、実施の形態5に係る平面リニアモータ用プラテンの製造方法を説明するための図である。図13(a),(b)はプラテンを構成するプラテン片1A,1Bを示し、図13(c)はプラテン片1A,1Bを接合してプラテン1を形成した状態を示す。
本実施の形態に係るプラテン1の製造方法は、図13(a)〜(c)に示すように、周期的に交互に形成される凹部(第1凹部)と凸部(第1凸部)とを含むプラテン片1A(第1プラテン片)を形成する工程(図13(a))と、プラテン片1Aと同じ周期で交互に形成される凹部(第2凹部)と凸部(第2凸部)とを含むプラテン片1B(第2プラテン片)を形成する工程(図13(b))と、プラテン片1A,1Bを接合する工程(図13(c))とを備える。
ここで、プラテン片1A,1Bは同一形状の部材であり、同時に作製できる。プラテン片1A,1Bを凹凸が並ぶ方向(第1方向)にずらして接合(貼り合わせなど)することで、プラテン1上の凹部と凸部とを、第1方向に沿って自在にずらして形成することができる。この結果、上述した実施の形態3,4に係るプラテン1を容易に得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した各実施の形態の特徴部分を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。また、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 プラテン、1A,1B プラテン片、2 スライド部、3 制御部、10A,20A,101A,102A,103A,104A 凹部、10B,20B,101B,102B,103B,104B 凸部、11 高精度移動領域、12 高速移動領域、20 ケース、21 Y1磁極歯群、22 Y2磁極歯群、23 X1磁極歯群、24 X2磁極歯群、41 平均推進力、42 平均吸着力、43 推進力変動量、44 吸着力変動量、51 永久磁石、52,TU1,TV1,TW1 プラス側磁極歯、53,TU2,TV2,TW2 マイナス側磁極歯、101 第1部分、102 第2部分、103 第3部分、104 第4部分、211〜214 磁極歯片、LU1,LV1,LW1,LU2,LV2,LW2 コイル。
Claims (8)
- 主表面上に交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテン部と、
前記プラテン部上に設けられ、前記凹部と前記凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、
前記磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、
前記磁極歯は、第1部分と、該第1部分から前記第1方向に突出する第2部分とを有する平面リニアモータ。 - 前記磁極歯は同一幅を有する複数の磁極歯片を含み、
前記第2方向における中心軸が互いに前記第1方向にずれた複数の前記磁極歯片が前記第2方向に並ぶように前記磁極歯を構成した、請求項1に記載の平面リニアモータ。 - 主表面上に交互に周期的に形成された複数の第1凹部と第1凸部とを含むプラテン部と、
前記プラテン部上に設けられ、前記第1凹部と前記第1凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、
前記磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、
前記磁極歯は交互に形成された複数の第2凹部と第2凸部とを有し、
前記複数の第1凸部の中心間隔と前記複数の第2凸部の中心間隔とが異なる平面リニアモータ。 - 主表面上に交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテン部と、
前記プラテン部上に設けられ、前記凹部と前記凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、
前記磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、
前記磁極歯および前記凸部の少なくとも一方の側壁先端部が傾斜している平面リニアモータ。 - 主表面上に交互に周期的に形成された凹部と凸部とを含むプラテン部と、
前記プラテン部上に設けられ、前記凹部と前記凸部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延在する磁極歯を有するスライド部と、
前記磁極歯の磁性状態を周期的に変化させる制御部とを備え、
前記磁極歯および前記凸部の少なくとも一方の側壁上に段差を有する平面リニアモータ。 - 平面リニアモータ用プラテンであって、
前記プラテンの主表面上に第1方向に沿って周期的に交互に形成される第1凹部と第1凸部とを含む第1部分と、
前記プラテンの主表面上に前記第1方向に沿って前記第1部分と同じ周期で交互に形成される第2凹部と第2凸部とを含む第2部分とを有し、
前記第1凹部および前記第1凸部の双方と隣接した位置に前記第2凹部が配置されるように前記第1部分に対し前記第2部分を前記第1方向にずらせながら、前記第1と第2部分を前記第1方向と交差する第2方向に並べた領域を含む平面リニアモータ用プラテン。 - 前記プラテンの主表面上に前記第1方向に沿って前記第1部分と同じ周期で周期的に交互に形成される第3凹部と第3凸部とを含む第3部分と、
前記プラテンの主表面上に前記第1方向に沿って前記第1部分と同じ周期で交互に形成される第4凹部と第4凸部とを含む第4部分とを有し、
前記第3凹部に対して前記第4凸部のみが隣接し、前記第3凸部に対して前記第4凹部のみが隣接するように前記第3部分と前記第4部分とを前記第2方向に並べた領域をさらに含む、請求項6に記載の平面リニアモータ用プラテン。 - 平面リニアモータ用プラテンの製造方法であって、
周期的に交互に形成される第1凹部と第1凸部とを含む第1プラテン片を形成する工程と、
前記第1プラテン片と同じ周期で交互に形成される第2凹部と第2凸部とを含む第2プラテン片を形成する工程と、
前記第1と第2プラテン片を接合する工程とを備えた平面リニアモータ用プラテンの製造方法。
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JP2004221609A JP2006042547A (ja) | 2004-07-29 | 2004-07-29 | 平面リニアモータならびに平面リニアモータ用プラテンおよびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014531189A (ja) * | 2011-10-27 | 2014-11-20 | ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア | 変位装置及び変位装置を製造、使用、制御する方法 |
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2004
- 2004-07-29 JP JP2004221609A patent/JP2006042547A/ja not_active Withdrawn
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