JP2006041402A - イオンビーム発生装置、イオンビーム発生方法および機能素子の製造方法 - Google Patents

イオンビーム発生装置、イオンビーム発生方法および機能素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 自動制御または簡単な調整のみによって、イオンビームを高精度に制御する。
【解決手段】 イオンビーム発生装置10は、複数種のイオンを生成し、該複数種のイオンからなる第1イオンビームIaを出力するイオン源1と、第1イオンビームIaの中から特定種類のイオンのみを分離抽出して第2イオンビームIbを出力する質量分離機2と、質量分離機2内に中和用電子を供給する中和用フィラメント3と、第1イオンビームIaの状態を観測する第1イオンビーム観測機4と、第2イオンビームIbの状態を観測する第2イオンビーム観測機5と、第1イオンビーム観測機4の出力と第2イオンビーム観測機5の出力との関係が所定の関係となるように、中和用フィラメント3から供給される中和用電子量を調整する第1の制御手段6とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程に使用されるイオンビームの高精度な制御を可能とするイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法、およびこのイオンビーム発生装置を用いて作製される薄膜トランジスタ(TFT)などの機能素子の製造方法に関する。
従来、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程においては、所定の導電型の半導体または半導体層を形成するために、半導体または半導体層に対してイオン注入(イオンドーピング)処理が施されている。
このイオン注入(イオンドーピング)処理工程では、半導体または半導体層に対して、特定のイオンを所定のドーズ量で注入することが要求されており、この要求に応えるため、イオン種や電流密度が高精度に制御されたイオンビームを出力することが可能なイオンビーム発生装置が切望されている。
上記要求に応えることができるイオンビーム発生装置として、例えば特許文献1には、質量分離機と、この質量分離機内のイオンビームの発散を抑制するための電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段とが設けられたイオンビーム発生装置が開示されている。これを図13に示している。
図13は、従来のイオンビーム発生装置の概略構成例を示す模式図である。
図13に示すように、イオンビーム発生装置100は、複数種のイオンからなる第1イオンビームIaを出力するイオン源101と、このイオン源101から引き出された第1イオンビームIaの中から磁場作用により特定のイオンを選別し、第2イオンビームIbを出力する質量分離機102とを有している。この質量分離機102から出力された第2イオンビームIbは、図示しない加速手段などによって適宜加速され、これによって、半導体(または半導体層)に対するイオン注入が行なわれる。
このイオンビーム発生装置100には、さらに、イオンビームの発散を抑制するために、質量分離機102内に電子を供給する電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103が設けられている。なお、この電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103では、質量分離機102内に新たな磁場が追加されないように、質量分離用の磁場を兼用して、これと共鳴を起こすような周波数のマイクロ波放電が用いられている。
以上のように構成された従来のイオンビーム発生装置100によれば、電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103から供給される電子によって、イオンビームの発散が抑えられた状態が作り出され、この状態において、質量分離機102によって特定のイオンが選別されるため、イオン種や電流密度が制御されたイオンビームを効率的に発生させることができる。
特開平9−180662号公報
上記従来のイオンビーム発生装置100では、イオン種や電流密度が制御されたイオンビームを効率的に発生させることが可能な構造を有している。
しかしながら、上記従来のイオンビーム発生装置100では、所定の電流密度および所定のイオン種のイオンビーム(第2イオンビームIb)を出力するために、イオン源101のパラメータ(例えばイオンを生成するための放電電力など)と、電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103のパラメータ(例えばマイクロ波放電の放電電力など)との双方を、その相互間の影響を考慮しながら調整する必要があった。
この理由は、以下の通りである。
第1に、所定の電流密度の第2イオンビームIbを出力するために、電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103から供給すべき電子の量が、イオン源101から出力される第1イオンビームIaの状態(電流密度など)によって異なるためである。
第2に、第2イオンビームIbの電流密度が所定値となっている場合であっても、イオン源101のパラメータと、電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段103のパラメータとの双方のバランスが異なれば、イオン種が異なってしまうからである。
以上のような相互作用を考慮した複数パラメータの同時調整は、非常に困難なものであり、さらに、イオン源101や質量分離機102に作用する外乱の影響(例えば、装置壁面の状態変化に起因する、装置壁面へのイオンビーム衝突時の2次電子発生量の変化など)が、この調整をより一層困難なものとさせていた。
この結果、従来のイオンビーム発生装置100では、イオン種やイオンビーム電流の制御が可能な構造(機構)を有しているにも拘らず、パラメータの調整誤差が生じやすく、十分に制御されたイオンビームを出力することができなかった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みて為されたもので、自動制御または簡単な調整によって、イオンビームを容易かつ高精度に制御できるイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法およびこのイオンビーム発生装置を用いて作製される機能素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のイオンビーム発生装置は、複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、 該イオン源から出力される該第1イオンビームの状態量を観測する第1イオンビーム観測手段と、該質量分離機から出力される該第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段と、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整する第1の制御手段とを有しており、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段による、前記中和用電子供給手段から供給される中和用電子量の調整は、該中和用電子供給手段における電子量管理パラメータを調整することによって行なわれる。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における中和用電子供給手段はフィラメントであって、前記電子量管理パラメータは該フィラメントで消費される電力であり、前記第1の制御手段による該フィラメントを介した中和用電子量の調整は、該フィラメントで消費される電力の調整によって行なわれる。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段は、前記第1イオンビーム観測手段の出力と前記第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力する第1演算手段と、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第1比較手段と、該第1比較手段による比較結果に基づいて、該電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように、該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第1の電子量操作パラメータ調整手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1演算手段は、前記第1イオンビーム観測手段の出力が入力されて前記第2イオンビームの状態量の推定値を出力するモデル部と、該推定値と前記第2イオンビーム観測手段の出力とを比較する比較部と、該比較部からの比較結果に基づいて、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力するゲイン部とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段は、前記第1演算手段と前記第1比較手段との間をスイッチングする第1スイッチ手段を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段は、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値が入力可能とされる入力手段と、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第1比較手段と、該第1比較手段による比較結果に基づいて、該電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように、該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第1の電子量操作パラメータ調整手段とを有する。
本発明のイオンビーム発生装置は、複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、 該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量に対応する、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータを、該第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御する中和用電子供給制御手段とを有しており、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における中和用電子供給手段はフィラメントであって、前記電子量管理パラメータは該フィラメントで消費される電力であり、
前記中和用電子供給制御手段は、該フィラメントで消費される電力を、前記第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における中和用電子供給制御手段は、前記第2イオンビームの状態量の目標値に対応して、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力する第2演算手段と、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第2比較手段と、該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第2の電子量操作パラメータ調整手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における中和用電子供給制御手段は、前記第2イオンビームの状態量の目標値に対応する、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値が入力可能とされる入力手段と、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第2比較手段と、該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第2の電子量操作パラメータ調整手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における質量分離機から出力される前記第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1イオンビーム観測手段は、前記第1イオンビームの状態量として、該第1イオンビームの電流密度、前記イオン源の出口部に設けられた電極に流れる電流値、および該イオン源の放電電力の少なくともいずれかを測定する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2イオンビーム観測手段は、前記第2イオンビームの状態量として、該第2イオンビームの電流密度、および前記質量分離機の出口部に設けられた電極に流れる電流値の少なくともいずれかを測定する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、前記イオン源からの前記第1イオンビームを出力調整する第2の制御手段を更に有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2の制御手段による、前記イオン源からの前記第1イオンビームの出力調整は、該イオン源における第1イオンビーム操作パラメータを調整することによって行なわれる。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置におけるイオン源は、放電により前記複数種のイオンを生成するものであって、前記第1イオンビーム操作パラメータは該イオン源の放電電力あり、前記第2の制御手段は、前記第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を調整して前記第1イオンビームを出力調整する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2の制御手段は、前記第2イオンビーム観測手段の出力と前記第2イオンビームの状態量の目標値とを比較する第3比較手段と、該第3比較手段による比較結果に基づいて、該第2イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記第1イオンビームの状態量の目標値を出力する第1イオンビーム目標値出力手段と、前記第1イオンビーム観測手段の出力と、該第1イオンビーム目標値出力手段からの該第1イオンビームの状態量の目標値とを比較する第4比較手段と、該第4比較手段による比較結果に基づいて、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第1イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記イオン源に与える前記第1イオンビーム操作パラメータを調整する第1イオンビーム操作パラメータ調整手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2の制御手段は、前記第1イオンビーム目標値出力手段と前記第4比較手段との間をスイッチングする第2スイッチ手段を有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段に設けられた第1スイッチ手段および、前記第2の制御手段に設けられた前記第2スイッチ手段がともにオンとなる第1期間と、該第1スイッチ手段および該第2スイッチ手段がともにオフとなる第2期間とが交互に繰り返される。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1スイッチ手段および第2スイッチ手段が、互いに異なるタイミングでオン/オフを繰り返す第1期間と、該第1スイッチ手段および該第2スイッチ手段がともにオフとなる第2期間とが交互に繰り返される。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2の制御手段は、前記第1イオンビームの状態量の目標値が入力可能とされる入力手段と、前記第1イオンビーム観測手段の出力と、該入力手段からの該第1イオンビームの状態量の目標値とを比較する第4比較手段と、該第4比較手段による比較結果に基づいて、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第1イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記イオン源に与える前記第1イオンビーム操作パラメータを調整する第1イオンビーム操作パラメータ調整手段とを有する。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1イオンビーム観測手段は、前記イオン源から出力される前記第1イオンビームの状態量として、前記イオン源に供給される放電電力を観測する。
本発明のイオンビーム発生方法は、複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、該イオン源から出力される該第1イオンビームの状態量を観測する第1イオンビーム観測手段と、該質量分離機から出力される該第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段と、を有するイオンビーム発生装置を用い、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整する第1の制御処理を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生方法における中和用電子供給手段はフィラメントであって、前記第1の制御処理による該フィラメントを介した中和用電子量の調整は、該フィラメントで消費される電力の調整によって行なわれる。
本発明のイオンビーム発生方法は、複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給するフィラメントと、
を有するイオンビーム発生装置を用い、該フィラメントで消費される電力を、該第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御するフィラメント電力制御処理を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生方法において、第2イオンビームの状態量が所定の値となるように、前記第1イオンビームを出力調整する第2の制御処理を更に有する。
本発明の機能素子の製造方法は、請求項1〜23のいずれかに記載のイオンビーム発生装置を用いて、半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有しており、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の機能素子の製造方法は、請求項20または21に記載のイオンビーム発生装置を用いて、半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有し、前記第1期間はイオンビームの調整ステップに対応させ、前記第2期間はイオン注入ステップに対応させており、そのことにより上記目的が達成される。
以下に、本発明の作用について説明する。
本発明にあっては、放電などにより複数種のイオンを生成し、複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、イオン源から出力された第1イオンビームの中から、特定種類のイオンのみを分離抽出して、第2イオンビームを出力する質量分離機と、質量分離機内にイオンビームの電流密度(電荷密度)に見合った中和用電子を供給して、イオンビームの発散を抑制する中和用フィラメントなどの中和用電子供給手段を備えたイオンビーム発生装置において、第1イオンビーム観測手段によって第1イオンビームの状態量を観測し、第2イオンビーム観測手段によって第2イオンビームの状態量を観測する。第1の制御手段によって、第1イオンビーム観測手段の出力と、第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整する。
このように、第1イオンビーム観測手段の出力と第2イオンビーム観測手段の出力とが所定の関係となるように、中和用電子供給手段から供給される中和用電子量が調整されるため、質量分離機に外乱が加わっても、その外乱の影響を抑えて、質量分離機から出力される第2イオンビームが変動することを抑制することが可能となる。
さらに、第1の制御手段により質量分離機に加わる外乱の影響が抑えられた状態において、第2の制御手段によって、第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、イオン源の放電電力を調整することなどにより第1イオンビームを出力調整する。このことによって、質量分離機に加わる外乱の影響が抑えられた状態で、イオン源に加わる外乱の影響を抑制して、第2イオンビームの状態量をその目標値に追従させることができる。また、そのことにより、第1イオンビームの状態量および第2イオンビームの状態量の双方を、ともに、第2イオンビームの目標値に応じた所定の値とすることができるため、電流密度などの第2イオンビームの状態量のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能となる。
したがって、従来のように相互作用を考慮した複数パラメータの同時調整を行なう必要がなく、また、質量分離機やイオン源に外乱が加わっても、自動制御または簡単な調整のみによってイオンビームの高精度な制御が可能となる。
また、本発明にあっては、放電により複数種のイオンを生成し、生成した複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、イオン源から出力された第1イオンビームの中から、特定種類のイオンのみを分離抽出して、第2イオンビームを出力する質量分離機と、質量分離機内にイオンビームの電流密度(電荷密度)に見合った中和用電子を供給して、イオンビームの発散を抑制する中和用フィラメントなどの中和用電子供給手段とを備えたイオンビーム発生装置において、中和用電子供給制御手段によって、中和用フィラメントの電力などの、中和用電子供給手段の電子量管理パラメータを、第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御する。
このように、第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に、中和用電子供給手段の電子量管理パラメータが制御されるのみであるため、質量分離機に加わる外乱がほとんど作用しない場合には、イオンビームの高精度な制御を可能としながら、制御系の構成をより簡略化することが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、第1イオンビーム観測手段の出力と第2イオンビーム観測手段の出力とが所定の関係となるように、中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整することによって、質量分離機に加わる外乱の影響を抑え、質量分離機から出力される第2のイオンビームが変動することを抑制して、高精度でイオン注入を行うことができる。
さらに、上記質量分離機に加わる外乱の影響が抑えられた状態において、第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、第1イオンビームの状態量を調整することによって、イオン源および質量分離機に作用する外乱の双方の影響を抑制して、第2イオンビームの電流密度とイオン種を、所定の状態に制御できる。また、第2イオンビームの状態量の目標値が変化する場合においても、その目標値の変化に、第2イオンビームの状態量を確実に追従させることができる。これらの結果、さらに高精度のイオン注入を行うことができる。したがって、相互作用を考慮した複数パラメータの同時調整を行なう必要がなく、自動制御もしくは簡単な調整のみによって、イオンビームの容易かつ高精度な制御が可能となる。
また、本発明によれば、第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に、中和用電子供給手段の電子量管理パラメータを制御することによって、質量分離機に加わる外乱がほとんど作用しない場合には、制御系をより簡単な構成としても、高精度でイオン注入を行うことができる。
以下に、本発明のイオンビーム発生装置およびこれを用いたイオンビーム発生方法の実施形態1〜7について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本実施形態1のイオンビーム発生装置の全体構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態1におけるイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態1のイオンビーム発生装置10は、放電などにより複数種のイオンを生成し、この複数種のイオンからなる第1イオンビームIaを出力するイオン源1と、イオン源1から出力される第1イオンビームIaの中から、特定のイオンを分離抽出して第2イオンビームIbを出力する質量分離機2と、質量分離機2内のイオンビームの発散を抑制するために中和用電子を供給する中和用電子供給手段としての中和用フィラメント3と、第1イオンビームIaの状態量XIaを測定する第1イオンビーム観測手段としての第1イオンビーム観測機4と、第2イオンビームIbの状態量XIbを測定する第2イオンビーム観測手段としての第2イオンビーム観測機5と、第1イオンビーム観測機4の出力(XIa)と第2イオンビーム観測機5の出力(XIb)とが入力されて両出力の関係が所定の関係となるように中和用フィラメント3から供給される中和用電子の量を調整する第1の制御手段6と、第2イオンビーム観測機5の出力(XIb)とその目標値(XIbref)とが入力されて両出力値が一致するように第1イオンビームIaの状態量(XIa)を調整する第2の制御手段7とを有している。
次に、イオン源1、質量分離機2および中和用フィラメント3からなるイオンビーム発生装置10の機構部の構成、第1イオンビーム観測機4および第2イオンビーム観測機5からなる観測機の構成、第1の制御手段6および第2の制御手段7からなる制御系の構成とその動作について、順次詳細に説明する。
まず、イオン源1、質量分離機2および中和用フィラメント3からなるイオンビーム発生装置10の機構部の構成について、図2を用いて詳細に説明する。
図2は、本実施形態1のイオンビーム発生装置10の機構部の構成例を示す模式図である。
図2に示すように、イオン源1では、放電などにより複数種のイオンが生成され、この複数種のイオンからなる第1イオンビームIaが出力される。
このイオン源1では、例えば、互いに平行に配置されたアノード1aとカソード1bとの間に原料ガス(例えばH希釈されたB)が供給され、その原料ガスに基づくプラズマが生成される。そして、このプラズマ中のイオン(B 、B 、Hなど)が、イオン源1の出口に設けられた引出電極1cによって、第1イオンビームIaとして引き出される。好ましくは、アノード1aとカソード1bとの間にイオン源用フィラメント1dが設けられ、効率的にプラズマを生成するための電子が供給される。
このイオン源1の出口側には、第1イオンビームIaの状態量XIaを観測するための第1イオンビーム観測機4が配置されている。
質量分離機2では、イオン源1から出力される第1イオンビームIaの中から、特定のイオンが分離抽出され、第2イオンビームIbが出力される。
この質量分離機2には、紙面に対して直角方向に磁場Bが作用するように、図示しないコイルが単独で、または、ヨークを含む磁気回路として設けられている。
なお、上記特定のイオンとは、例えば、B 、B 等の特定イオンの一種のみ、または、複数種のイオン(例えば、B とB )が特定の比率で混合されたイオン群の何れかを指す。
質量分離機2の出口付近には、上記磁場Bの作用によって特定の軌道半径(または特定範囲の軌道半径)で曲げられた上記特定のイオンのみが通過できるように、開口部2aが設けられている。この開口部2aを通過したイオンビームは、加速電極2bによって適宜に加速され、第2イオンビームIbとして出力される。この第2イオンビームIbによって、半導体(または半導体層)に対するイオン注入が行なわれる。なお、加速電極2bは、上記開口部2aに設けられるものであってもよい。
この質量分離機2の出口側には、第2イオンビームIbの状態量XIbを観測するための第2イオンビーム観測機5が配置されている。
中和用フィラメント3からは、質量分離機2内のイオンビームの発散を抑制するために、質量分離機2内に中和用電子(熱電子)が供給される。
この中和用フィラメント3は、例えば、質量分離機2のある側面から内部に向かって挿入されている。
なお、質量分離機2は、中和用フィラメント3から放出される中和用電子(熱電子)が均一に行き渡るように、適宜に、その内壁にバイアス電圧が印加されるように構成されていてもよい。
上記構成により、中和用フィラメント3から供給される中和用電子(熱電子)によってイオンビームの発散が抑えられ、この状態において、質量分離機2から特定のイオンが分離抽出されるので、イオン種や電流密度が制御されたイオンビーム(第2イオンビームIb)を、効率的に発生させることができる。
次に、第1イオンビーム観測機4および第2イオンビーム観測機5の観測機構成について詳細に説明する。
第1イオンビーム観測機4では、第1イオンビームIaの状態量XIaが測定される。
ここで「状態量」とは、イオンビームの電流密度や強度を、直接的に、または、間接的に測定した物理量を表す。
第1イオンビーム観測機4には、この「状態量」に応じた観測機が用いられる。例えば、「第1イオンビームIaの電流密度」を測定する場合には、ファラデーカップや電流プローブなどのビーム電流密度測定器が用いられる。また、「イオン源1の出口に設けられた引出電極1cに流れる電流値」を測定する場合には、引出電流測定器が用いられる。さらに、「イオン源1の放電電力(アノード1a/カソード1b間の電力)」を測定する場合には、放電電力測定器が用いられる。
好ましくは、直接的に第1イオンビームIaの電流密度を測定することができるものとして、ビーム電流密度測定器が用いられるが、これを配置することが困難であるような場合には、上述した他の測定器が用いられる。
第2イオンビーム観測機5も、第1イオンビーム観測機4の場合と同様であり、第2イオンビームIbの状態量XIbを測定する。
この「状態量」は、例えば、「第2イオンビームIbの電流密度」、「質量分離機2の出口に設けられた加速電極2bに流れる電流値」などである。好ましくは、第2イオンビーム観測機5として、直接的に第2イオンビームIbの電流密度を測定するものとして、ビーム電流密度測定器が用いられる。
次に、第1の制御手段6および第2の制御手段7からなるイオンビーム発生装置10の制御系全体の構成とその動作の概要について詳細に説明する。
第1の制御手段6では、第1イオンビーム観測機4の出力(第1イオンビームIaの状態量)XIaと、第2イオンビーム観測機5の出力(第2イオンビームIbの状態量)XIbとが入力されて、これらが所定の関係となるように、中和用フィラメント3から供給される中和用電子の量が調整される。
また、第2の制御手段7では、第1の制御手段6によって第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaと第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbとが所定の関係に制御された状態において、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbがその目標値(XIbref)と一致するように、第1イオンビームIaの状態量XIaが調整される。
言い換えると、第2の制御手段7は、第2イオンビームIbの状態量XIbがその目標値(XIbref)と一致するように構成された、メインのフィードバックループを構成している。また、第1の制御手段6は、上記メインループ内にあって、第1イオンビームIaの状態量XIaと第2イオンビームIbの状態量XIbとを所定の関係に制御するマイナーループを構成している。
即ち、第1の制御手段6は、質量分離機2(入力:第1イオンビームIa、出力:第2イオンビームIb)に作用する外乱T2を抑制するループとして機能する。
また、第2の制御手段7は、上記第1の制御手段6によって質量分離機2に作用する外乱T2が抑制された状態において、イオン源1に作用する外乱T1を抑制するループ、または、第2イオンビームIbの目標値(XIbref)の変化に追従するループとして機能する。
上記第1の制御手段6および第2の制御手段7の各々の機能をイメージ的に表現すると、下記式(1)のように表される。
Ib=(XIb/XIa)×XIa (1)
即ち、第1の制御手段6は、質量分離機2に加わる外乱T2の影響を抑えて、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaと第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbとが所定の関係になるように((1)式の右辺第1項が所定の値となるように)制御するものである。
また、第2の制御手段7は、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIb((1)式の左辺)がその目標値(XIbref)と一致するように、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIa((1)式の右辺第2項)を調整するものである。
上記の第1の制御手段6と第2の制御手段7とによって、第1イオンビームIaの状態量XIaおよび第2イオンビームIbの状態量XIbの双方を、ともに、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定の値とすることができる。このため、第2イオンビームIbの状態量(電流密度など)のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能となる。
次に、第1の制御手段6の具体的な構成例について詳細に説明する。
図1に示すように、第1の制御手段6は、第1イオンビーム観測機4の出力XIaと第2イオンビーム観測機5の出力XIbとが入力されて、中和用フィラメント3の電力目標値WNref(電子量管理パラメータの目標値)を出力する第1演算手段としての演算器6aと、中和用フィラメント3の電力WN(電子量管理パラメータの測定値)とその目標値WNrefとを比較する第1比較手段としての比較器6bと、中和用フィラメント3の電力WNがその目標値WNrefと一致するように中和用フィラメント3に供給される電圧(電子量操作パラメータ)を調整する、第1の電子量操作パラメータ調整手段としての電圧調整回路6cと、演算器6aから出力される電力目標値WNrefを比較器6bに伝えるか否かを切替える第1スイッチ手段としてのスイッチ6dとを有している。
図3は、本発明の実施形態1におけるイオンビーム発生装置10において、第1の制御手段6の動作に関わる部分のみを抜き出し、併せて、演算器6aの内部詳細構造を示すブロック図である。
図3に示すように、演算器6aは、第1イオンビーム観測機4からの出力XIaが入力されて第2イオンビームIbの状態量XIbの推定値SXIbを出力するモデル部6a1と、この推定値SXIbと第2イオンビーム観測機5の出力XIbとを比較する比較部としての比較器6a2と、比較器6a2からの比較出力に基づいて、質量分離機2に作用する外乱T2を打消すために必要な電子量に相当する中和用フィラメント3の電力目標値WNrefを出力するゲイン部6a3とを有している。
ここで、モデル部6a1の伝達関数(「第1イオンビーム観測手段の出力と第2イオンビーム観測手段の出力との所定の関係」に相当する)としては、例えば、装置の理想状態(例えば、メンテナンス直後の標準的な状態)において予め測定されている、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaと第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbとの関係を用いることができる。
この「第1イオンビームIaの状態量XIaと第2イオンビームIbの状態量XIbの関係」(「所定の関係」)は、模式的に、図4中の実線のように表される。
図4は、本実施形態1のイオンビーム発生装置10において、第1の制御手段6の動作と第2の制御手段7の動作とを説明するためのグラフである。なお、ここで、横軸は第1イオンビームIaの状態量XIaを示し、縦軸は第2イオンビームIbの状態量XIbを示している。
図3と図4とを参照して第1の制御手段6の動作について説明する。ここでは、スイッチ6dはオン(ON)状態とする。
図4中に白い丸印で示すように、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)がXIa=XIa1、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)がXIb=XIb1とすると、モデル部6a1からは、図4中に黒い丸印で示すように、第1イオンビーム観測機4の出力(XIa=XIa1)に対応する第2イオンビームIbの状態量の推定値SXIb=SXIb1が出力される。
比較器6a2からは、この推定値SXIb1と第2イオンビーム観測機5の出力XIb1との差(SXIb1−XIb1)が出力される。
ゲイン部6a3からは、この差が0となるように(XIb1がSXIb1と一致するように)、即ち、質量分離機2に作用する外乱T2を打消すような量の中和用電子を供給するように、中和用フィラメント3の電力目標値WNrefが出力される。
さらに、比較器6b、電圧調整回路6cおよび中和用フィラメント3からなるフィードバックループによって、中和用フィラメント3の電力WNがその目標値WNrefと一致するように制御され、この結果、質量分離機2に作用する外乱T2を打消すだけの中和用電子(熱電子)が、中和用フィラメント3から質量分離機2内に供給される。
このようにして、第2イオンビーム観測機5の出力XIbが、第1イオンビーム観測機4の出力(XIa=XIa1)に対応する推定値SXIb1と一致するように制御される。即ち、第1イオンビーム観測機4の出力XIaと、第2イオンビーム観測機5の出力XIbとが、所定の関係に制御される。
なお、上述したように、中和用フィラメント3から供給される中和用電子(熱電子)を調整することによって、質量分離機2に作用する外乱T2を補償できる理由は、以下の通りである。
即ち、質量分離機2に作用する外乱T2が、主として、イオンビームが質量分離機2の内壁や残留ガスに衝突することによって発生される2次電子量の時間的な変化や、被膜に起因して中和用フィラメント3から放出される熱電子量が時間的に変化するなど、質量分離機2内の電子密度の変化によるところが大きいためである。
ここで、中和用フィラメント3自体の経時的な抵抗変化も外乱因子であるが、この影響は、中和用フィラメント3の電力制御(比較器6b、電圧調整回路6cおよび中和用フィラメント3からなるフィードバックループ)によって除去されている。
また、中和用フィラメント3から放出される中和用電子の量を、中和用フィラメント3の電力によって調整している理由は、中和用フィラメント3から放出される熱電子の量が、中和用フィラメント3の温度、即ち電力によって決まるからである。
次に、第2の制御手段7の具体的な構成例について、図1を用いて詳細に説明する。
第2の制御手段7は、第2イオンビーム観測機5の出力XIbとその目標値XIbrefとの比較結果を出力する第3比較手段としての比較器7aと、この比較器7aの出力に基づいて第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefを出力する、第1イオンビーム目標値出力手段としての目標値出力回路7bと、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaをその目標値XIarefと比較する、第4比較手段としての比較器7cと、第1イオンビーム観測機4の出力XIaがその目標値XIarefと一致するように、イオン源1の放電空間に供給する放電電力(第1イオンビーム操作パラメータ)を調整する第1イオンビーム操作パラメータ調整手段としての電力調整回路7dと、目標値出力回路7bから出力される第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefを比較器7cに伝えるか否かを切替える第2スイッチ手段としてのスイッチ7eとを有している。
次に、図1と図4とを用いて、第2の制御手段7の動作について詳細に説明する。ここで、スイッチ7eはオン(ON)状態とする。
第2の制御手段7では、第1の制御手段6によって、図4中に黒い丸印で示すように、質量分離機2に加わる外乱T2が抑えられた状態、即ち、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaと第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbとが所定の関係に制御された状態において、図4中に黒い四角印で示すように、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbがその目標値(XIbref)と一致するように、第1イオンビームIaの状態量XIaが調整される。
ここで、目標値出力回路7bからは、このような第1イオンビームIaの状態量XIaの目標値XIarefが出力される。
また、比較器7c、電力調整回路7d、イオン源1および第1イオンビーム観測機4からなるフィードバックループでは、第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaが、その目標値XIarefと一致するように制御される。このうち、電力調整回路7dでは、上記フィードバックループにおいて、イオン源1の放電空間に供給される放電電力が調整される。
以上のようにして、第2の制御手段7によって、イオン源1に作用する外乱T1を打消すような、または、第2イオンビームIbの状態量の目標値(XIbref)の変化に追従するような制御が行われ、この結果、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbがその目標値XIbrefと一致するように制御される。
次に、第1イオンビーム観測機4および第2イオンビーム観測機5が共にイオンビームの電流密度を直接的に測定するビーム電流密度測定器であり、スイッチ6dとスイッチ7eが図5(a)に示すように共にオン(ON)状態にあるものとして、イオンビーム発生装置10によるイオンビーム発生方法とその作用について説明する。なお、質量分離機2に与えられる磁場Bの強度は、第2イオンビームIbに要求されるイオン種(質量)によって決まる特定のものである。
図5は、本実施形態1におけるイオンビーム発生装置10を用いたイオンビーム発生方法を説明するための図であり、(a)はスイッチ6dとスイッチ7eの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源1に作用する外乱T1、(d)は質量分離機2に作用する外乱T2、(e)は本実施形態1によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す模式図である。
ここで、図5(c)に示すイオン源1に作用する外乱T1は、放電電力が一定の条件下でも第1イオンビームIaの状態量(第1イオンビーム観測機4の出力)XIaを変化させてしまうような因子である。
このような外乱T1としては、例えば、圧力変化、プラズマ中の2次反応、イオンビームのイオン源1の内壁への衝突などに起因する、イオン電流と電子電流とのバランス変化などが挙げられる。
また、図5(d)に示す質量分離機2に作用する外乱T2は、第1イオンビームIaの状態量XIaおよび中和用フィラメント3の電力が一定であったとしても、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbを変化させてしまうような因子である。
このような外乱T2としては、例えば、イオンビームが質量分離機2の内壁や残留ガスに衝突することで発生する2次電子量の変化や、被膜に起因して中和用フィラメント3から放出される熱電子量(中和用電子量)が変化するなど、質量分離機2内の電子密度の変化が挙げられる。
本実施形態1では、図5(a)に示すように、スイッチ6dおよびスイッチ7eが共にオン(ON)状態となっているので、第1の制御手段6と第2の制御手段7とが協動的に連続動作する。
したがって、第1の制御手段6によって質量分離機2に加わる外乱T2が抑えられ、この状態において、第2の制御手段7によってイオン源1に作用する外乱T1を打消すような、または、第2イオンビームIbの状態量XIbをその目標値(XIbref)の変化に追従させるような制御が行われる。
この結果、図5(c)に示す外乱T1および図5(d)に示す外乱T2の影響を受けることなく、図5(e)に示す第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbを、図5(b)に示すその目標値XIbrefに確実に追従させることができる。
この際に、第1イオンビームIaの状態量XIaと、第2イオンビームIbの状態量XIbとは、所定の関係に保たれている。即ち、上記(1)式中の右辺第1項(XIb/XIa)と第2項(XIa)が、共に所定の状態となって、XIbが目標値XIbrefに追従している。
これは、第2イオンビームIbの状態量XIbが同じ値である場合に、イオン源1(出力:XIa)および質量分離機2(伝達関数:XIb/XIa)において、双方の状態のバランスが崩れることなく、共に同じ状態が再現されていることを意味している。
したがって、本実施形態1によれば、第1イオンビームIaの状態量XIaおよび第2イオンビームIbの状態量XIbの双方を、ともに、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定の値とすることができるため、第2イオンビームIbの状態量(電流密度)のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能である。
さらに、上記動作は自動制御によって行なうことができるため、図13に示す従来のイオンビーム発生装置100のように、相互作用を考慮した複数パラメータの同時調整を行なう必要がない。
以上説明したように、本実施形態1によれば、上記自動制御によってイオンビームを容易かつ高精度に制御できるイオンビーム発生装置10を実現することができる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、スイッチ6dとスイッチ7eが、図5(a)に示すように共にオン(ON)状態にある場合について、イオンビーム発生方法とその作用を説明した。本実施形態2では、スイッチ6dとスイッチ7eのON/OFF状態が、図6(a)に示すように共にパルス状態にある場合のイオンビーム発生方法とその作用について説明する。
図6は、イオンビーム発生装置10Aを用いた本発明の実施形態2によるイオンビーム発生方法を説明するための図であり、(a)はスイッチ6dとスイッチ7eの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源1に作用する外乱T1、(d)は質量分離機2に作用する外乱T2、(e)は本実施形態2によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す模式図である。
本実施形態2では、図1に示すイオンビーム発生装置10Aにおいて、スイッチ6dおよびスイッチ7eが、図6(a)に示すように所定期間A(第1期間)においてのみオン(ON)状態となり、それ以外の期間B(第2期間)ではオフ(OFF)状態となるパルス状態の場合のイオンビーム発生方法について説明する。
例えば、スイッチ6dおよびスイッチ7eがON状態の期間Aは、イオン注入処理前のイオンビームの調整ステップに対応し、OFF状態の期間Bは基板へのイオン注入(イオンドーピング)ステップに対応する。
第1イオンビーム観測機4および第2イオンビーム観測機5はそれぞれ、上記実施形態1の場合と同様に、イオンビームの電流密度を直接的に測定するビーム電流密度測定器である。
但し、スイッチ6dおよびスイッチ7eがOFF状態の期間Bにおいては、第2イオンビーム観測機5は必ずしも動作している必要がなく、この第2イオンビーム観測機5は、ON状態の期間Aにおいてのみイオンビーム(第2イオンビームIb)の電流密度が測定できるような所定位置に配置され、OFF状態では退避するような構成とされていてもよい。また、ON状態の期間Aにはイオンビームと対向され、OFF状態の期間Bではイオン注入される基板の下方に隠れるように配置されていてもよい。
上記イオン源1に作用する外乱T1(図6(c))および質量分離機2に作用する外乱T2(図6(d))は、上記実施形態1の場合と同様である。
本実施形態2では、スイッチ6dおよびスイッチ7eがON状態である期間A(例えばイオンビームの調整ステップ)において、イオンビーム発生装置10Aが上記実施形態1の場合と同様の動作を行い、図6(c)に示す外乱T1および図6(d)に示す外乱T2の影響を受けることなく、図6(e)に示す第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbを、図6(b)に示すその目標値XIbrefに確実に追従させることができる。また、第2イオンビームIbの状態量(電流密度)のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能である。
また、スイッチ6dおよびスイッチ7eがOFF状態である期間B(例えばイオン注入ステップ)においては、直前のON状態の期間Aで演算器6aから出力された電力目標値WNrefに基づく中和用フィラメント3の電力制御、および目標値出力回路7bから出力された目標値XIarefに基づく第1イオンビームIaの状態量XIaの制御が行なわれる。
なお、上記のような、中和用フィラメント3の電力制御(比較器6b、電圧調整回路6cおよび中和用フィラメント3からなるフィードバックループ)によって、この期間Bにおいても、中和用フィラメント3の経時的な抵抗変化の影響を受けることなく、期間Aで中和用フィラメント3が供給したのと同量の中和用電子を質量分離機2に供給することができる。
よって、スイッチ6dおよびスイッチ7eがOFF状態である期間Bにおいても、図6(e)に示す第2イオンビームIbの状態量XIbを、図6(b)に示すその目標値XIbrefに、ほぼ追従させることができる。
但し、スイッチ6dおよびスイッチ7eがOFF状態である期間Bには、質量分離機2に作用した外乱T2の影響が現れる分だけ、上記実施形態1の場合に比べて制御性が劣ることになる。
以上説明したように、本実施形態2によれば、第2イオンビーム観測機5に非動作期間(スイッチ6dおよびスイッチ7eのOFF期間)を設けても、第2イオンビームIbの状態量XIbをその目標値XIbrefにほぼ追従させることができる。したがって、上記実施形態1の効果に加えて、第2イオンビーム観測機5の配置により自由度を持たせることができる。
(実施形態3)
上記実施形態2では、スイッチ6dとスイッチ7eのON/OFF状態が、図6(a)に示すように共に、オン期間(期間A)とオフ期間(期間B)とを有するパルス状態の場合のイオンビーム発生方法とその作用について説明した。本実施形態3では、スイッチ6dとスイッチ7eのON/OFF状態が、図7(a)に示すように、共にそのオン期間(期間A)において、更に断続的なパルス状態にある場合のイオンビーム発生方法とその作用について説明する。さらに、上記実施形態2では、スイッチ6dとスイッチ7eとが同時にON/OFFされる場合について説明したが、本実施形態3では、これらのスイッチ6dとスイッチ7eのON/OFFタイミングが互いに異なる場合である。
図7は、イオンビーム発生装置10Bを用いた本発明の実施形態3によるイオンビーム発生方法を説明するための図であり、(a)はスイッチ6dとスイッチ7eの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源1に作用する外乱T1、(d)は質量分離機2に作用する外乱T2、(e)は本実施形態3によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す模式図である。
本実施形態3では、図7に示すように、所定期間A(第1期間)の間、スイッチ6dのON状態と、スイッチ7eのON状態とが交互に繰り返され、その後の期間B(第2期間)において、双方のスイッチ6dおよび7eのOFF状態が続き、これらが繰り返される。例えば、上記期間Aは、イオン注入処理前のイオンビームの調整ステップに対応し、期間Bは基板へのイオン注入(イオンドーピング)ステップに対応する。
この場合には、期間Aにおけるスイッチ6dのON状態において、第1の制御手段6によって、第1イオンビーム観測機4の出力XIaと第2イオンビーム観測機5の出力XIbとが所定の関係となるように、中和用フィラメント3から供給される中和用電子の量が調整される。
続いて、スイッチ7eのON状態においては、第2の制御手段7によって、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbがその目標値XIbrefと一致するように、第1イオンビームIaの状態量XIaが調整される。
上記第1の制御手段6の動作と、第2の制御手段7の動作とが交互に繰り返される。
これにより、本実施形態3における期間Aの最終段では、上記実施形態2の期間Aの最終段と同様に、外乱T1およびT2の影響を受けることなく、図7(e)に示す第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbを、図7(b)に示すその目標値XIbrefに確実に追従させることができる。また、第2イオンビームIbの状態量(電流密度)のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能である。
この期間Aに続く期間Bの動作については、上記実施形態2の場合と同様である。
以上説明したように、本実施形態3によれば、上記実施形態2の効果に加えて、第1の制御手段6および第2の制御手段7の各々の動作を順次確認しながら、イオンビームの制御を行なうことができる。
なお、上記期間Aにおけるスイッチ6dのONとスイッチ7eのONとの繰り返しについて、その終了条件は、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの、目標値XIbrefに対する偏差が所定値以下となるまで、などとすればよい。
(実施形態4)
上記実施形態3では、期間Aにおいて、スイッチ6dとスイッチ7eとを交互にオン(ON)状態にしてイオンビームの調整を行なう場合について説明した。本実施形態4では、図1のイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)の構成を簡略化して、ユーザの手動操作を交えて、上記実施形態3と同様のイオンビームの調整を行なう場合について説明する。
図8は、本実施形態4のイオンビーム発生装置20の全体構成例を示すブロック図である。なお、図1の部材と同様の作用効果を奏する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態4のイオンビーム発生装置20は、図1のイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)における第1の制御手段6の演算器6aとスイッチ6dとを省略しており、ユーザによって中和用フィラメント3の電力目標値WNrefが入力手段6eから入力設定されるように構成されている。この点が上記実施形態1〜3の場合とは異なる点である。即ち、イオンビーム発生装置20には、第1の制御手段6の代わりに、入力手段6e、比較器6bおよび電圧調整回路6cを有する第1の制御手段26が設けられている。
このイオンビーム発生装置20を用いたイオンビーム発生方法では、例えば、図7(a)におけるスイッチ6dのON期間において、図1に示すイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)のスイッチ6dのON期間における演算器6aの動作と同様の動作を、ユーザが行なうようにすればよい。即ち、ユーザが、第1イオンビーム観測機4の出力XIaと、第2イオンビーム観測機5の出力XIbとを確認しながら、これらが所定の関係になるように、中和用フィラメント3の電力目標値WNrefを適宜に調整して入力手段6eから入力すればよい。なお、図7(a)におけるスイッチ7eのON/OFFに相当する動作は、ユーザが手動で行えばよい。
上記したイオンビーム発生装置20を用いたイオンビーム発生方法では、ユーザによる、入力手段6eからの中和用フィラメント3の電力目標値WNrefの入力操作と、スイッチ7eのON/OFF操作とによって、上記実施形態3の期間Aと同様のイオンビームの調整を行なうことができる。
次に、本実施形態4のイオンビーム発生装置20の構成例とは別の構成例について説明する。
図9は、本実施形態4の他のイオンビーム発生装置20Aの全体構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、イオンビーム発生装置20Aでは、さらに制御系が簡略化されて、図8のイオンビーム発生装置20における第2の制御手段7の比較器7a,目標値出力回路7bおよびスイッチ7eが省略されており、ユーザによって第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefが入力手段7fから入力設定されるように構成されている。
このイオンビーム発生装置20Aを用いたイオンビーム発生方法では、例えば、図7(a)におけるスイッチ7eのON期間において、図8に示すイオンビーム発生装置20のスイッチ7eのON期間における目標値出力回路7bの動作と同様の動作を、ユーザが行なうようにすればよい。すなわち、ユーザが、第2イオンビーム観測機5の出力XIbを確認しながら、この値が目標値XIbrefと一致するように、第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefを適宜に調整して入力手段7fから入力すればよい。
上記したイオンビーム発生装置20Aを用いたイオンビーム発生方法では、ユーザによる、入力手段6eからの中和用フィラメント3の電力目標値WNrefの入力操作と、入力手段7fからの第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefの入力操作とを、交互に繰り返すことにより、上記実施形態3の期間Aと同様のイオンビームの調整を行なうことができる。
(実施形態5)
上記実施形態1〜3によるイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)では、質量分離機2に作用する外乱T2を抑制するために、第1の制御手段6が設けられていた。しかし、外乱T2が全く作用しないものと仮定すると、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定量の中和用電子(熱電子)が質量分離機2に供給されてさえいれば、第1の制御手段6を省略しても、イオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)と同等の機能を果たすことができる。
本実施形態5では、この外乱T2がほとんど作用しない場合に、制御系の構成を簡略化する例について説明する。
図10は、本実施形態5のイオンビーム発生装置30の全体構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、本実施形態5のイオンビーム発生装置30では、上記技術思想に基づいて、図1のイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)における第1の制御手段6に代えて、中和用電子供給制御手段36が設けられている。
中和用電子供給制御手段36は、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefが入力されて中和用フィラメント3の電力目標値WNref(電子量管理パラメータの目標値)を出力する、第2演算手段としての演算器36aと、中和用フィラメント3の電力WN(電子量管理パラメータの測定値)とその目標値WNrefとを比較する第2比較手段としての比較器36bと、中和用フィラメント3の電力WNがその目標値WNrefと一致するように、中和用フィラメント3に供給する電圧(電子量操作パラメータ)を調整する第2の電子量操作パラメータ調整手段としての電圧調整回路36cとを有している。
演算器36aには、最適化実験によって予め求められている、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに対応する中和用フィラメント3の電力目標値WNrefが設定されており、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefが入力されて、中和用フィラメント3の電力目標値WNrefが出力される。
比較器36b、電圧調整回路36cおよび中和用フィラメント3からなるフィードバックループによって、中和用フィラメント3の電力WNがその目標値WNrefと一致するように制御される。
上記のような、中和用フィラメント3の電力制御(比較器36b、電圧調整回路36cおよび中和用フィラメント3からなるフィードバックループ)によって、中和用フィラメント3の経時的な抵抗変化の影響を受けることなく、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定量の中和用電子(熱電子)が、中和用フィラメント3から質量分離機2内に供給される。
すなわち、質量分離機2に外乱T2がほとんど作用しない場合において、第1イオンビームIaの状態量XIaと第2イオンビームIbの状態量XIbとを、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定の関係に保つことができる。
この状態において、第2の制御手段7によって、第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbがその目標値(XIbref)と一致するように、第1イオンビームIaの状態量XIaが調整される。すなわち、第1イオンビームIaの状態量XIaと第2イオンビームIbの状態量XIbとが、上記所定の関係に保たれた状態において、第2の制御手段7によって、イオン源1に作用する外乱T1を打消すような、または、第2イオンビームIbの状態量XIbをその目標値(XIbref)の変化に追従させるような制御が行われる。
以上説明したように、本実施形態5のイオンビーム発生装置30によれば、質量分離機2に外乱T2がほとんど作用しない場合において、上記実施形態1〜3のイオンビーム発生装置10(または10Aまたは10B)の場合と同様に、第2イオンビームIbの状態量XIbを、その目標値XIbrefに追従させることができる。
また、このとき、第1イオンビームIaの状態量XIaおよび第2イオンビームIbの状態量XIbの双方を、ともに、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じた所定の値とすることができるため、第2イオンビームIbの状態量(電流密度)のみならず、イオン種も高精度に制御することが可能である。
さらに、本実施形態5のイオンビーム発生装置30においては、その制御系を非常に簡単な構成とすることができる。
なお、本実施形態5のイオンビーム発生装置30においても、上記実施形態2の場合と同様に、スイッチ7eが所定期間のみON状態となり、それ以外の期間はOFF状態となるようにして、イオンビームを発生させてもよい。例えば、上記ON状態の期間はイオンビームの調整ステップに対応し、OFF状態の期間は基板へのイオン注入(イオンドーピング)ステップに対応する。
(実施形態6)
上記実施形態5では、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefが入力されて中和用フィラメント3の電力目標値WNrefを出力する演算器36aが設けられていたるが、 本実施形態6では、演算器36aの代わりに、ユーザによって、適宜に、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じて、中和用フィラメント3の電力目標値WNrefを入力設定する場合について説明する。本実施形態6では、上記実施形態5の場合と同様の効果を得ることができる。
図11は、本実施形態6のイオンビーム発生装置30Aの全体構成例を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態6のイオンビーム発生装置30Aでは、図10に示すイオンビーム発生装置30における中和用電子供給制御手段36の演算器36aが省略されており、ユーザによって中和用フィラメント3の電力目標値WNrefが入力手段36eから入力設定されるように構成されている。
このイオンビーム発生装置30Aを用いたイオンビーム発生方法では、図10に示すイオンビーム発生装置30における演算器36aの動作と同様の動作を、ユーザが行なうようにすればよい。
即ち、最適化実験によって予め求められている、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに対応する中和用フィラメント3の電力目標値WNrefに基づいて、ユーザが、第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbrefに応じて、中和用フィラメント3の電力目標値WNrefを入力手段36eから入力すればよい。
なお、本実施形態6のイオンビーム発生装置30Aにおいても、上記実施形態5の場合と同様に、スイッチ7eが所定期間のみON状態となり、それ以外の期間はOFF状態となるようにして、イオンビームを発生させてもよい。例えば、上記ON状態の期間はイオンビームの調整ステップに対応し、OFF状態の期間は基板へのイオン注入(イオンドーピング)ステップに対応する。
また、本実施形態6の他のイオンビーム発生装置の全体構成例として、図11の代わりに、図11の第2の制御手段7の比較器7a,目標値出力回路7bおよびスイッチ7eを省略して、最前段に、ユーザによって第1イオンビームIaの状態量の目標値XIarefが入力設定可能とされる入力手段7fを設けることができる。
(実施形態7)
上記実施形態1〜6では、第1イオンビーム観測機4として、イオンビームの電流密度を直接的に測定するビーム電流密度測定器を用いていた。本実施形態7では、イオン源1に外乱T1がほとんど作用せず、放電電力が第1イオンビームIaの電流密度と等価であると見なせる場合について説明する。
図12は、本実施形態7のイオンビーム発生装置40の全体構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、本実施形態7のイオンビーム発生装置40では、イオン源1に外乱T1がほとんど作用せず、放電電力が第1イオンビームIaの電流密度と等価であると見なせる場合であるから、イオンビームの状態を間接的に観測する第1イオンビーム観測機4aとして、イオン源1の放電電力を観測する放電電力測定器を用いる。
この場合には、第1イオンビームIaを調整するための放電電力自体が、第1イオンビーム観測機4の出力となる。
本実施形態7によれば、イオン源の放電電力自体を、第1イオンビーム観測機4の出力とできるため、ビーム電流密度測定器のような新たな観測機を設ける必要がなくなり、イオンビーム発生装置の構造を簡略化することが可能である。なお、このような、放電電力自体を、第1イオンビーム観測機4の出力することについては、上記イオンビーム発生装置10,10A,10B,20,20A,30,30Aおよび40の何れに対しても適用可能である。
以上により、上記実施形態1〜7で説明したように、本発明のイオンビーム発生装置およびイオンビーム発生方法によれば、図13に示す従来のイオンビーム発生装置のように、相互作用を考慮した複数パラメータの同時調整を行なう必要がなく、自動制御または簡単な調整のみによって、イオンビームの高精度な制御が可能となる。
このような本発明のイオンビーム発生装置およびイオンビーム発生方法を用いることにより、半導体または半導体層に対するイオン注入(イオンドーピング)を高精度で行なうことができる。したがって、高精度のイオン注入(イオンドーピング)が要求される、LDD構造トランジスタにおける低キャリア密度導電層や、閾値電圧調整のために低ドーズイオンが注入されるチャネル部などを、容易に形成することができる。
このようにして作製されたトランジスタなどの機能素子は、高スイッチング特性、低消費電力および高信頼性のデバイスとして、非常に有用である。
なお、上記実施形態1〜7では、中和用電子供給手段として中和用フィラメント3を用いた例について説明したが、中和用電子を供給することが可能なものであれば、これに限られず、電子サイクロトロン共鳴プラズマ生成手段など、他の手段を用いることも可能である。
但し、電力(温度)によって簡単に中和用電子量を調整できることから、中和用フィラメント3が好適である。
また、上記説明では、中和用電子供給手段の電子量管理パラメータを、中和用フィラメント3の電力としていたが、電子量に対応するものであればよく、例えば、フィラメントの温度としてもよい。
また、上記説明では、中和用電子供給手段の電子量操作パラメータを、中和用フィラメント3に供給される電圧としていたが、電流としてもよい。
また、上記説明では、イオン源1の第1イオンビーム操作パラメータを、放電電力としていたが、第1イオンビームIaを調整できるものであればよく、例えば、イオン源用フィラメントに供給する電力としてもよい。
また、質量分離機2に与えられる磁場Bの強度は、第2イオンビームIbに要求されるイオン種(質量)によって決まる特定のものとすればよい。
さらに、上記実施形態1〜7では、第1の制御手段6、第1の制御手段26または中和用電子供給制御手段36と、第2の制御手段7または第2の制御手段27とを共に用いて構成したが、これに限らず、第1の制御手段6、第1の制御手段26または中和用電子供給制御手段36だけであってもよく、これによっても、本発明の効果を奏する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜7を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜7に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜7の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程に使用され、所定の導電型の半導体または半導体層を形成するために、半導体または半導体層にイオン注入処理(イオンドーピング)を行うためのイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法、およびこのイオンビーム発生装置を用いて作製される機能素子の製造方法の分野において、このイオン注入処理(イオンドーピング)を行う際に、質量分離機やイオン源に加わる外乱によって、質量分離機から出力される第2イオンビームの電流密度やイオン種が変動することを抑制して、高精度にイオン注入を行うことができる。また、第2イオンビームの目標値が変化する場合においても、質量分離機に加わる外乱の影響が抑制された状態で、イオン源に加わる外乱の影響を抑えて、第2イオンビームがその目標値に追従するように調整を行うことができる。
よって、従来のイオンビーム発生装置のように相互作用を考慮して複数パラメータの同時調整を行う必要がなく、また、質量分離機やイオン源に外乱が加わっても、自動制御または簡単な調整のみによって、イオンビームを高精度に制御して、高精度でかつ安定してイオン注入を行うことができる。
本発明の実施形態1〜3に係るイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 図1のイオンビーム発生装置の機構部の構成例を示す模式図である。 図1のイオンビーム発生装置における第1の制御手段の動作に関する構成部分のブロック図である。 図1のイオンビーム発生装置における第1の制御手段と第2の制御手段との各動作とを説明するための図である。 本発明の実施形態1のイオンビーム発生装置を用いたイオンビーム発生方法を説明するための図であって、(a)は各スイッチの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源に作用する外乱T1、(d)は質量分離機に作用する外乱T2、(e)は本実施形態1によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す図である。 本発明の実施形態2のイオンビーム発生装置を用いたイオンビーム発生方法を説明するための図であって、(a)は各スイッチの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源に作用する外乱T1、(d)は質量分離機に作用する外乱T2、(e)は本実施形態2によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す図である。 本発明の実施形態3のイオンビーム発生装置を用いたイオンビーム発生方法を説明するための図であって、(a)は各スイッチの状態、(b)は第2イオンビームIbの状態量の目標値XIbref、(c)はイオン源に作用する外乱T1、(d)は質量分離機に作用する外乱T2、(e)は本実施形態3によって制御された第2イオンビームIbの状態量(第2イオンビーム観測機5の出力)XIbの各々の時間変化を示す図である。 本発明の実施形態4に係るイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態4に係る他のイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態5に係るイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態6に係るイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態7に係るイオンビーム発生装置の全体構成例を示すブロック図である。 従来のイオンビーム発生装置における機構部の構成例を示す模式図である。
符号の説明
1 イオン源
1c 引出電極
2 質量分離機
2b 加速電極
3 中和用フィラメント(中和用電子供給手段)
4,4a 第1イオンビーム観測機(第1イオンビーム観測手段)
5 第2イオンビーム観測機(第2イオンビーム観測手段)
6,26 第1の制御手段
6a 演算器
6a1 モデル部
6a2 比較器
6a3 ゲイン部
6b 比較器
6c 電圧調整回路
6d スイッチ
7,27 第2の制御手段
7a 比較器
7b 目標値出力回路
7c 比較器
7d 電力調整回路
7e スイッチ
10,10A,10B,20,20A,30,30A,40 イオンビーム発生装置
36 中和用電子供給制御手段
36a 演算器
36b 比較器
36c 電圧調整回路

Claims (29)

  1. 複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、
    該イオン源から出力される該第1イオンビームの状態量を観測する第1イオンビーム観測手段と、
    該質量分離機から出力される該第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段と、
    該第1イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整する第1の制御手段とを有するイオンビーム発生装置。
  2. 前記第1の制御手段による、前記中和用電子供給手段から供給される中和用電子量の調整は、該中和用電子供給手段における電子量管理パラメータを調整することによって行なわれる請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
  3. 前記中和用電子供給手段はフィラメントであって、前記電子量管理パラメータは該フィラメントで消費される電力であり、
    前記第1の制御手段による該フィラメントを介した中和用電子量の調整は、該フィラメントで消費される電力の調整によって行なわれる請求項2に記載のイオンビーム発生装置。
  4. 前記第1の制御手段は、
    前記第1イオンビーム観測手段の出力と前記第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力する第1演算手段と、
    該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第1比較手段と、
    該第1比較手段による比較結果に基づいて、該電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように、該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第1の電子量操作パラメータ調整手段とを有する請求項2または3に記載のイオンビーム発生装置。
  5. 前記第1演算手段は、
    前記第1イオンビーム観測手段の出力が入力されて前記第2イオンビームの状態量の推定値を出力するモデル部と、
    該推定値と前記第2イオンビーム観測手段の出力とを比較する比較部と、
    該比較部からの比較結果に基づいて、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力するゲイン部とを有する請求項4に記載のイオンビーム発生装置。
  6. 前記第1の制御手段は、前記第1演算手段と前記第1比較手段との間をスイッチングする第1スイッチ手段を更に有する請求項4に記載のイオンビーム発生装置。
  7. 前記第1の制御手段は、
    前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値が入力可能とされる入力手段と、
    該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第1比較手段と、
    該第1比較手段による比較結果に基づいて、該電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように、該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第1の電子量操作パラメータ調整手段とを有する請求項2または3に記載のイオンビーム発生装置。
  8. 複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、
    該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量に対応する、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータを、該第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御する中和用電子供給制御手段とを有するイオンビーム発生装置。
  9. 前記中和用電子供給手段はフィラメントであって、前記電子量管理パラメータは該フィラメントで消費される電力であり、
    前記中和用電子供給制御手段は、該フィラメントで消費される電力を、前記第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御する請求項8に記載のイオンビーム発生装置。
  10. 前記中和用電子供給制御手段は、
    前記第2イオンビームの状態量の目標値に対応して、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値を出力する第2演算手段と、
    該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第2比較手段と、
    該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第2の電子量操作パラメータ調整手段とを有する請求項8または9に記載のイオンビーム発生装置。
  11. 前記中和用電子供給制御手段は、
    前記第2イオンビームの状態量の目標値に対応する、前記中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの目標値が入力可能とされる入力手段と、
    該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とを比較する第2比較手段と、
    該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用電子供給手段の電子量管理パラメータの測定値と、該電子量管理パラメータの目標値とが一致するように該中和用電子供給手段に与える電子量操作パラメータを調整する第2の電子量操作パラメータ調整手段とを有する請求項8または9に記載のイオンビーム発生装置。
  12. 前記質量分離機から出力される前記第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段を更に有する請求項8〜11のいずれかに記載のイオンビーム発生装置。
  13. 前記第1イオンビーム観測手段は、前記第1イオンビームの状態量として、該第1イオンビームの電流密度、前記イオン源の出口部に設けられた電極に流れる電流値、および該イオン源の放電電力の少なくともいずれかを測定する請求項1〜7のいずれかに記載のイオンビーム発生装置。
  14. 前記第2イオンビーム観測手段は、前記第2イオンビームの状態量として、該第2イオンビームの電流密度、および前記質量分離機の出口部に設けられた電極に流れる電流値の少なくともいずれかを測定する請求項1〜7および12〜13のいずれかに記載のイオンビーム発生装置。
  15. 前記第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、前記イオン源からの前記第1イオンビームを出力調整する第2の制御手段を更に有する請求項1〜7および12〜14のいずれかに記載のイオンビーム発生装置。
  16. 前記第2の制御手段による、前記イオン源からの前記第1イオンビームの出力調整は、
    該イオン源における第1イオンビーム操作パラメータを調整することによって行なわれる請求項15に記載のイオンビーム発生装置。
  17. 前記イオン源は、放電により前記複数種のイオンを生成するものであって、前記第1イオンビーム操作パラメータは該イオン源の放電電力あり、
    前記第2の制御手段は、前記第2イオンビーム観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を調整して前記第1イオンビームを出力調整する請求項16に記載のイオンビーム発生装置。
  18. 前記第2の制御手段は、
    前記第2イオンビーム観測手段の出力と前記第2イオンビームの状態量の目標値とを比較する第3比較手段と、
    該第3比較手段による比較結果に基づいて、該第2イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記第1イオンビームの状態量の目標値を出力する第1イオンビーム目標値出力手段と、
    前記第1イオンビーム観測手段の出力と、該第1イオンビーム目標値出力手段からの該第1イオンビームの状態量の目標値とを比較する第4比較手段と、
    該第4比較手段による比較結果に基づいて、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第1イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記イオン源に与える前記第1イオンビーム操作パラメータを調整する第1イオンビーム操作パラメータ調整手段とを有する請求項16または17に記載のイオンビーム発生装置。
  19. 前記第2の制御手段は、前記第1イオンビーム目標値出力手段と前記第4比較手段との間をスイッチングする第2スイッチ手段を有する請求項18に記載のイオンビーム発生装置。
  20. 前記第1の制御手段に設けられた第1スイッチ手段および、前記第2の制御手段に設けられた前記第2スイッチ手段がともにオンとなる第1期間と、該第1スイッチ手段および該第2スイッチ手段がともにオフとなる第2期間とが交互に繰り返される請求項19に記載のイオンビーム発生装置。
  21. 前記第1スイッチ手段および第2スイッチ手段が、互いに異なるタイミングでオン/オフを繰り返す第1期間と、該第1スイッチ手段および該第2スイッチ手段がともにオフとなる第2期間とが交互に繰り返される請求項19に記載のイオンビーム発生装置。
  22. 前記第2の制御手段は、
    前記第1イオンビームの状態量の目標値が入力可能とされる入力手段と、
    前記第1イオンビーム観測手段の出力と、該入力手段からの該第1イオンビームの状態量の目標値とを比較する第4比較手段と、
    該第4比較手段による比較結果に基づいて、該第1イオンビーム観測手段の出力と該第1イオンビームの状態量の目標値とが一致するように、前記イオン源に与える前記第1イオンビーム操作パラメータを調整する第1イオンビーム操作パラメータ調整手段とを有する請求項16または17に記載のイオンビーム発生装置。
  23. 前記第1イオンビーム観測手段は、前記イオン源から出力される前記第1イオンビームの状態量として、前記イオン源に供給される放電電力を観測する請求項18または22に記載のイオンビーム発生装置。
  24. 複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用電子供給手段と、
    該イオン源から出力される該第1イオンビームの状態量を観測する第1イオンビーム観測手段と、
    該質量分離機から出力される該第2イオンビームの状態量を観測する第2イオンビーム観測手段と、を有するイオンビーム発生装置を用い、
    該第1イオンビーム観測手段の出力と該第2イオンビーム観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用電子供給手段から供給される中和用電子量を調整する第1の制御処理を有するイオンビーム発生方法。
  25. 前記中和用電子供給手段はフィラメントであって、
    前記第1の制御処理による該フィラメントを介した中和用電子量の調整は、該フィラメントで消費される電力の調整によって行なわれる請求項24に記載のイオンビーム発生方法。
  26. 複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力するイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力する質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給するフィラメントと、
    を有するイオンビーム発生装置を用い、
    該フィラメントで消費される電力を、該第2イオンビームの状態量の目標値によって決まる所定の値に制御するフィラメント電力制御処理を有するイオンビーム発生方法。
  27. 前記第2イオンビームの状態量が所定の値となるように、前記第1イオンビームを出力調整する第2の制御処理を更に有する請求項24〜26のいずれかに記載のイオンビーム発生方法。
  28. 請求項1〜23のいずれかに記載のイオンビーム発生装置を用いて、半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有する機能素子の製造方法。
  29. 請求項20または21に記載のイオンビーム発生装置を用いて、半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有し、
    前記第1期間はイオンビームの調整ステップに対応させ、前記第2期間はイオン注入ステップに対応させる機能素子の製造方法。
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