JP2005078912A - イオン質量分離装置、イオン注入装置、及びイオン質量分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 輸送空間内の空間電荷を中和することによってイオンビームの輸送効率を向上させることができ、かつメンテナンスのコストを低減できるイオン質量分離装置、その装置を備えたイオン注入装置、及びイオン質量分離方法を提供すること。
【解決手段】 イオン偏向ケーシング21の外部に、導体24を所定の間隔で螺旋状に巻くことにより所要長さに形成した空芯励磁電流路25と、イオン偏向ケーシング入口部22における導体24と重なる間隔位置に配置したイオン引出し電極27と、イオン引出し電極27に隣接したイオン発生装置40と、イオン偏向ケーシング出口部23に配置したイオン加速電極28と、イオン偏向ケーシング21内の上流側にのみ配置したフィラメント31とを備え、フィラメント31が、イオン偏向ケーシング21内に熱電子を供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ等に用いられるイオン質量分離装置、イオン注入装置、及びイオン質量分離方法に関する。
液晶ディスプレイ等に用いられるイオン注入装置においては、液晶ディスプレイの大型化が進むにつれ、その大型化した液晶ディスプレイ用基板に対してイオンビームを均一に注入する装置が提案されており、基板短辺より少し幅広の線状あるいは矩形のイオンビームを生成し、液晶ディスプレイ用ガラス基板をスライドして注入する方式が採用されている。
一方、液晶ディスプレイの薄膜トランジスタ(TFT)構造の性能向上を目的として、希望のイオン種のみを選択的に注入できる質量分離性能を有するイオン注入装置が提案されている。
従来のイオン注入装置としては、これら両者を同時に満足させるため、例えば、イオン源プラズマから大電流イオンビームを引出し、質量分離器で希望のイオン種を中心軌道に載せて90度偏向し、液晶用ガラス基板へ注入する方式が採用されている(特許文献1参照)。
特開2002−203805号公報(第3−4頁、第1図)
上記従来のイオン注入装置においては、大電流のイオンビームを輸送すると、イオンビームだけの輸送空間内に存在するプラスイオン同士がお互いに反発し合うイオンビーム自体の空間電荷効果によってイオンビームが発散してしまい、その発散によって輸送空間の出口に到達するイオンビームの量が少なくなることでイオンビームの輸送効率が低下してしまうという問題があった。
ここで、空間電荷を中和するために、輸送空間内の側面全体に熱フィラメントを設けることによって電子を供給するイオン注入装置があるが、その装置においては、電子が輸送空間内に残留するガスをプラズマ化させる要素を持っているため、電子のエネルギーが高くなることで輸送空間内にプラズマが発生して、そのプラズマがイオンビームに不純物を混入させて質量分離性能を悪化させてしまうという問題があった。
また、イオンビームの電流量や分布により、供給する中和電子にも供給量と分布とを調整する必要が生じるとともに、局所的に中和電子を供給しても空間電荷効果を抑制することができないため、輸送空間にイオンビームの分布幅に応じた中和電子を供給する必要が生じてしまうという問題があった。
さらに、輸送空間内の側面に熱フィラメントが設けられていることにより、フィラメントを交換する際に質量分離器ごと交換しなければならず、メンテナンスの面においてコストが増大してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、輸送空間内におけるイオンビームの輸送効率を向上させることができ、かつメンテナンスのコストを低減できるイオン質量分離装置、その装置を備えたイオン注入装置、及びイオン質量分離方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、イオン質量分離装置において、イオン偏向ケーシングの外部に、導体を所定の間隔で螺旋状に巻くことにより所要長さに形成した空芯励磁電流路と、イオン偏向ケーシング入口部における前記導体と重なる間隔位置に配置したイオン引出し電極と、前記イオン引出し電極に隣接したイオン発生装置と、イオン偏向ケーシング出口部に配置したイオン加速電極と、前記イオン偏向ケーシング内の上流側にのみ複数配置したフィラメントとを備え、前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内に熱電子を供給することを特徴とする。
本発明によれば、イオン質量分離装置において、イオン偏向ケーシング内の上流側にのみフィラメントを複数配置したことにより、上流側にのみ配置したフィラメントからイオン偏向ケーシング内に熱電子が供給されて、イオン偏向ケーシング内の空間電荷が中和されるため、イオンビーム自らの空間電荷効果によるイオンビームの発散が回避されることとなる。
また、フィラメントがイオン偏向ケーシング内に熱電子を供給した際にプラズマが生成されて、そのプラズマに起因する不純物を含んだイオンビームが生成された場合においても、イオン偏向ケーシング内の下流側でイオンビームの質量分離とともにイオンビームに含まれる不純物が除去されるため、不純物を含まずにイオン偏向ケーシング内の空間電荷が中和されることとなる。
本発明は、前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内に所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、フィラメントがイオン偏向ケーシング内に所定の間隔をもって配置されていることにより、複数のフィラメントを用いてそれらフィラメントから分布幅を持たせた熱電子を供給することができ、また、イオンビームの分布幅に合わせて分布幅を持たせた熱電子を供給することが可能となる。
本発明は、前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内の側面に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、フィラメントがイオン偏向ケーシング内の側面に配置されていることにより、フィラメントから供給される熱電子がイオン偏向ケーシング内に長時間閉じ込められたままでイオンビームの軌道と垂直な方向に往復運動し続けるため、フィラメントに新たに流す電流量が削減されることとなる。
また、メンテナンス時においては、イオン偏向ケーシングを分解することなくフィラメントの着脱を行うため、フィラメントの交換が容易に行われるだけでなく、イオン偏向ケーシング内を真空化する手間が省略される。
本発明は、前記フィラメントには、それぞれ個別に、フィラメント電流電源及びバイアス電圧電源が接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、フィラメントにそれぞれ個別にフィラメント電流電源及びバイアス電圧電源が接続されていることにより、それぞれのフィラメントに対して必要に応じたフィラメント電流及びバイアス電圧が個別に与えられることとなる。
本発明は、イオン注入装置において、前記イオン質量分離装置によって質量分離したイオンビームを基材に照射してイオン注入するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、上記のようなイオン質量分離装置によって質量分離したイオンビームを基材に照射してイオン注入するようにしたことにより、自らの空間電荷効果による発散を回避された不純物を含まない良質のイオンビームが基材に注入されることとなる。
本発明は、イオン質量分離方法において、イオン偏向ケーシングの外部に、前記入口部を通るように導体を螺旋状に巻いて所要長さにした空芯励磁電流路を用い、イオン偏向ケーシング入口部の前記導体間を通して前記空芯励磁電流路の内部にイオンビームを導入し、前記イオン偏向ケーシング内の上流側に配置したフィラメントを用いて前記イオン偏向ケーシング内に熱電子を供給しながら前記空芯励磁電流路による磁場の作用によりイオンビームをイオンの質量に応じて湾曲させ、所望の質量のイオンビームを取出すことを特徴とする。
本発明によれば、イオン偏向ケーシング内にフィラメントから熱電子を供給して、イオン偏向ケーシング内の空間電荷を中和しながらイオンビームを取出すため、イオンビーム自らの空間電荷効果によるイオンビームの発散が回避されることとなる。
本発明のイオン質量分離装置によれば、イオン偏向ケーシング内にフィラメントから熱電子が供給されて、イオン偏向ケーシング内の空間電荷が中和されるため、イオンビーム自らの空間電荷効果によるイオンビームの発散が回避されることとなるので、イオンビームの輸送効率を向上させることができる。
また、不純物を含んだイオンビームが生成された場合においても、イオン偏向ケーシング内の下流側でイオンビームの質量分離とともにイオンビームに含まれる不純物が除去されるため、不純物を含まずにイオン偏向ケーシング内の空間電荷が中和されることとなるので、イオンビームの輸送効率を向上させることができる。
また、本発明のイオン注入装置によれば、自らの空間電荷効果による発散を回避された不純物を含まない良質のイオンビームが基材に注入されることとなるので、イオンビームの輸送効率を向上させることができる。
また、本発明のイオン質量分離方法によれば、イオン偏向ケーシング内にフィラメントから熱電子を供給して、イオン偏向ケーシング内の空間電荷を中和しながらイオンビームを出口部から導体間を通して取出すため、イオンビーム自らの空間電荷効果によるイオンビームの発散が回避されることとなるので、イオンビームの輸送効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1において符号10は、本発明を適用したイオン注入装置である。
イオン注入装置10は、イオン質量分離装置20と、プラズマ発生部を有するイオン注入装置40とを備えている。
イオン質量分離装置20には、イオン偏向ケーシング21が設けられている。
イオン偏向ケーシング21は、側面の形状が扇形で、紙面と直角方向に所要の長い空間を形成している。そして、扇形の両端の直線部は入口部(イオン偏向ケーシング入口部)22と出口部(イオン偏向ケーシング出口部)23となっており、入口部22はイオン注入装置40に接続されている。そして、入口部22と出口部23とは、イオンビームBの大角度偏向を行うために、相互間の例えば90゜の角度が形成されるようにしている。
イオン偏向ケーシング21の外部には、図2に示すように、図1の入口部22及び出口部23を通るように導体24を所定の間隔で螺旋状に巻き付け、これにより、紙面と直角方向に長い空芯励磁電流路25を形成している。従って、図1の空芯励磁電流路25は、扇形電流路25Aとなっている。
図1の扇形電流路25Aでは、イオン偏向ケーシング21の大径側外部に所要間隔で配置した外側円弧導体24aと、イオン偏向ケーシング21の小径側外部に所要間隔で配置した内側円弧導体24bと、入口部22と出口部23とに所要間隔で配置した直線部24’を形成する直線導体24c,24dとを、順次連結部26で連結することによって螺旋を形成している。
入口部22及び出口部23の直線導体24c,24dの相互間には所要の隙間Sが形成されており、イオン発生装置16からのイオンがこの隙間Sを通してイオン偏向ケーシング21内に導入され、そして導出されるようになっている。
図1の入口部22における直線導体24cとイオン注入装置40との間には、直線導体24cと重なる間隔位置になるように棒状のイオン引出し電極27が配置されている。
また、出口部23にはイオン加速電極28が配置されている。また、出口部23における直線導体24dの左右両側部には、直線導体24dの相互間を閉塞するようにした遮蔽部材29が設けられており、これにより左右方向中間部にイオン取出口30が形成されている。
更に、扇形電流路25Aを構成するイオン偏向ケーシング21の長手方向端部内側には、イオンビームBの空間電荷を中和するためのフィラメント31が複数、例えば両端部に各9個ずつ、イオン偏向ケーシング21の上流側すなわち入口部22側に整列して設けられている。これらフィラメント31は、図示しないフィラメント交換機構を用いてそれぞれ個別に着脱可能となっている。
また、これらフィラメント31には、図3に示すように、それぞれ個別に、可変の電流を供給するフィラメント電流電源32及び可変のバイアス電圧を供給するバイアス電圧電源33が接続されている。
なお、このイオン質量分離装置20は、イオン質量分離装置20によって質量分離したイオンビームBを、必要に応じてイオンビームBの収束等の操作を行った後、被処理物である基材11に照射して基材11にイオン注入するようになっている。
次に、上記の構成からなるイオン注入装置の機能および作用について説明する。
図1のイオン質量分離装置20では、イオン発生装置40のプラズマ発生部により発生したイオンは、入口部22のイオン引出し電極27により吸引加速されながら直線導体24cの相互の隙間Sを通して扇形電流路25Aのイオン偏向ケーシング21内に導入される。イオン偏向ケーシング21内に導入されたイオンビームBは、出口部23のイオン加速電極28により吸引加速される。
扇形電流路25Aによれば、図2のように螺旋状に巻かれた導体24によって、扇形電流路25Aの内部には、長手方向に均一な磁場が形成されるようになる。
上記したように扇形電流路25Aの内部に、長手方向に均一な磁場が形成されることにより、イオンビームBのイオンはその質量に応じて扇形電流路25Aの長手方向で均一に曲げられることになる。そして、質量が所望より小さいイオンは図1に破線で示すように早く曲げられてイオン偏向ケーシング21の内面に衝突してイオンビームBから除去され、また、質量が所望より大きいイオンは曲り切れずにイオン偏向ケーシング21の内面に衝突してイオンビームBから除去される。これらフィラメント31にそれぞれ個別にフィラメント電流電源32及びバイアス電圧電源33が取付けられているため、それらフィラメント31の電流及びバイアス電圧をそれぞれ個別に制御することで所望の熱電子の供給量および分布にすることができるため、所望のイオンを正確に取出すこととなる。
これにより、実線で示す所望のイオンのみがイオン偏向ケーシング21の他端の出口部23に導かれるようになる。この時、出口部21における直線導体24dの左右両側部に遮蔽部材29を設けてイオン取出口30を形成しているので、このイオン取出口30の大きさと位置、及び導体24による磁場の強さを選定することによって、所望のイオンのみを更に正確に分離して取出すことができる。
従って、上記したイオン質量分離装置20によれば、大口径、特に幅広で、確実にイオン質量分離された良質のイオンビームBを得ることができる。
また、上記イオン質量分離装置20を用いたイオン注入装置10では、イオン質量分離装置20にて作り出されたイオンビームBを必要に応じて収束等の操作を行った後、被処理物である基材11に走査しながら照射して、イオンを基材11に注入する。この時、イオンビームBは余分のイオン種を含まない所望のイオンのみからなっているので、イオン注入時のイオンの注入深さ分布を均一にすることができ、更に、基材11に余分な熱負荷を与えることが防止できる。又、大口径を有するイオンビームBによって、一回の操作で基材11の広い面積にイオン注入を行うことができ、よって作業の能率を大幅に向上することができる。
また、イオン偏向ケーシング21内の上流側にのみフィラメント31を配置したことにより、上流側にのみ配置したフィラメント31からイオン偏向ケーシング21内に熱電子が供給されて、イオン偏向ケーシング21内の空間電荷が中和されるため、イオンビームB自らの空間電荷効果によるイオンビームBの発散が回避されることとなるので、イオンビームの輸送効率を向上させることができる。
また、フィラメント31がイオン偏向ケーシング21内に熱電子を供給した際にプラズマが生成されて、そのプラズマに起因する不純物を含んだイオンビームBが生成された場合においても、イオン偏向ケーシング21内の下流側でイオンビームBの質量分離とともにイオンビームBに含まれる不純物が除去されるため、不純物を含まずにイオン偏向ケーシング21内の空間電荷が中和されることとなる。
また、フィラメント31がイオン偏向ケーシング21内に所定の間隔をもって複数配置されていることにより、複数のフィラメント31を用いてそれらフィラメント31から分布幅を持たせた熱電子を供給することができ、また、イオンビームBの分布幅に合わせて分布幅を持たせた熱電子を供給することが可能となる。
また、フィラメント31がイオン偏向ケーシング21内の側面に配置されていることにより、フィラメント31から供給される熱電子がイオン偏向ケーシング21内に長時間閉じ込められたままでイオンビームBの軌道と垂直な方向に往復運動し続けるため、フィラメント31に新たに流す電流量が削減されることとなる。
また、メンテナンス時においては、フィラメント31がイオン偏向ケーシング21の端部に外部から着脱可能に設けられていることにより、イオン偏向ケーシング21を分解することなく、フィラメント交換機構を用いてフィラメント31の着脱を行うため、フィラメント31の交換が容易に行われるだけでなく、イオン偏向ケーシング21内を大気にさせずに済むことで、イオン偏向ケーシング21内を真空化する手間が省略されるので、メンテナンスのコストを低減することができる。特に、フィラメント31の寿命は300時間であり、フィラメント31の交換が頻繁に行われるため、その効果は大きい。
また、フィラメント31にそれぞれフィラメント電流電源32及びバイアス電圧電源33が接続されていることにより、それぞれのフィラメント31に対して必要に応じたフィラメント電流及びバイアス電圧を個別に与えられることとなり、熱電子の分布および供給量を幅広く調整することが可能である。
また、上記のようなイオン質量分離装置20によって質量分離したイオンビームBを基材11に照射してイオン注入するようにしたことにより、イオンビームB自らの空間電荷効果による発散を回避された不純物を含まない良質のイオンビームBが基材11に注入されることとなる。
なお、空芯励磁電流路25の断面形状は、図1のように扇形に限定されるものではなく種々の形状とすることができるが、少なくとも入口部22と出口部23に配置される導体24は直線部24’を形成し、しかも大角度偏向(例えば90゜)できる形状であることが好ましい。
また、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、空芯励磁電流路の形状、大角度偏向させる角度は種々選定し得ること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論である。
ここで、イオン偏向ケーシング21内でフィラメント31をどの位置に置けば最適なイオン質量分離装置20となるかについて評価する試験を行ったので、その内容及び結果について記述する。
図4は、その試験に用いたイオン偏向ケーシング21を示す図であり、寸法及びフィラメント31の配置番号については図4に示すとおりである。
フィラメント31が配置された位置(番号)と、それに対する電流密度、不要イオン種の量に関して試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005078912
上記表1の結果から、以下のようなことが言える。
1.フィラメント31は上流側の影響が大きく、高電流密度が得られるため、上流部においてフィラメント31を最適化すればよい。
2.フィラメント31がアーク放電の発生源となると考えられるため、下流部ではフィラメント31を点灯せず、またフィラメント31に供給するバイアス電圧をできるだけ低くし、イオン偏向ケーシング21内でのプラズマ発生を抑制する必要がある。
3.イオン偏向ケーシング21内の上流側でイオンビームBの中心軌道と外半径側及び内半径側のフィラメント31を点灯させたとき、電流密度が高くかつ不要イオン種が少ない。
4.フィラメント31の個数を増やすと、不要イオン種の量が相対的に増える。
5.イオン発生装置40に最も近い最上流部のフィラメント31を点灯した方が、より電流密度が高い。
6.イオン発生装置40に最も近い最上流部のフィラメント31の中で2つ以上を点灯した方がよい。
7.フィラメント31の配置に対して、フィラメント31のバイアス電圧やイオン発生装置40、イオン偏向ケーシング21等の各パラメータを最適化し、最も有効に中和電子を放出する条件を見出すことが必要である。
本発明におけるイオン注入装置及び従来のイオン注入装置について、それぞれのイオン偏向ケーシング内に設けられたフィラメントの電流と、イオン偏向ケーシング内を通過するイオンビームの電流密度とを測定してフィラメントの電流と電流密度との関係を示すとともに、両者の結果について比較を行った。
図5は、そのフィラメントの電流とイオンビームの電流密度との関係を比較した結果を示す。図5において、分散型すなわち本発明のイオン注入装置が、高電流になるにつれて従来型のイオン注入装置よりもビーム強度が高くなることがわかる。すなわち、本発明のイオン注入装置が従来のイオン注入装置よりもイオンビームが高効率で得られることとなる。
本発明におけるイオン注入装置の一例を示す断面図である。 本発明における導体を螺旋状に巻く状態を示す斜視図である。 本発明におけるフィラメントの各電源について説明する概略説明図である。 本発明におけるフィラメントの最適な配置に関する試験の説明図である。 本発明におけるフィラメントの電流とイオンビーム強度との関係を示す図である。
符号の説明
10 イオン注入装置
11 基材
20 イオン質量分離装置
21 イオン偏向ケーシング
22 入口部(イオン偏向ケーシング入口部)
23 出口部(イオン偏向ケーシング出口部)
24 導体
24’ 直線部
25 空芯励磁電流路
25A 扇形電流路
26 連結部
27 イオン引出し電極
28 イオン加速電極
29 遮蔽部材
30 イオン取出口
31 フィラメント
40 イオン発生装置

Claims (6)

  1. イオン偏向ケーシングの外部に、導体を所定の間隔で螺旋状に巻くことにより所要長さに形成した空芯励磁電流路と、イオン偏向ケーシング入口部における前記導体と重なる間隔位置に配置したイオン引出し電極と、前記イオン引出し電極に隣接したイオン発生装置と、イオン偏向ケーシング出口部に配置したイオン加速電極と、前記イオン偏向ケーシング内の上流側にのみ複数配置したフィラメントとを備え、前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内に熱電子を供給するイオン質量分離装置。
  2. 前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内に所定の間隔をもって配置されている請求項1記載のイオン質量分離装置。
  3. 前記フィラメントが、前記イオン偏向ケーシング内の側面に配置されている請求項1または2記載のイオン質量分離装置。
  4. 前記フィラメントには、それぞれ個別に、フィラメント電流電源及びバイアス電圧電源が接続されている請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン質量分離装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のイオン質量分離装置によって質量分離したイオンビームを基材に照射してイオン注入するようにしたイオン注入装置。
  6. イオン偏向ケーシングの外部に、前記入口部を通るように導体を螺旋状に巻いて所要長さにした空芯励磁電流路を用い、イオン偏向ケーシング入口部の前記導体間を通して前記空芯励磁電流路の内部にイオンビームを導入し、前記イオン偏向ケーシング内の上流側に配置したフィラメントを用いて前記イオン偏向ケーシング内に熱電子を供給しながら前記空芯励磁電流路による磁場の作用によりイオンビームをイオンの質量に応じて湾曲させ、所望の質量のイオンビームを取出すイオン質量分離方法。
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