JP4333996B2 - イオンビーム発生装置、イオンビーム発生方法および機能素子の製造方法 - Google Patents

イオンビーム発生装置、イオンビーム発生方法および機能素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程において、半導体または半導体層にイオン注入を行うために用いられるイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法、およびこのイオンビーム発生装置を用いて作製される薄膜トランジスタ(TFT)などの機能素子の製造方法に関する。
従来、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程においては、所定の導電型の半導体または半導体層を形成するために、半導体または半導体層に対してイオン注入(イオンドーピング)処理が施される。
このイオン注入(イオンドーピング)処理工程では、放電などにより複数種のイオンが発生するイオン源から、複数種のイオンからなるイオンビームを出力させて、質量分離機を用いて特定イオンからなるイオンビームを抽出出力させるイオンビーム発生装置が用いられている。
このような従来のイオンビーム発生装置では、イオンビーム電流の増加に伴って、イオンビームの空間電荷によるビーム発散効果が顕著になって、出力されるイオンビーム電流が増大しなくなるという問題がある。
これを解決するための方法として、イオンビーム電流の増加に見合った電子をイオンビームに供給し、イオンビームの空間電荷を打ち消して中和させる方法が挙げられる。この一例を図6に示している。
図6は、従来のイオンビーム発生装置をイオン打ち込み装置に適用した場合の機構部の構成例を示す模式図である。
図6に示すように、イオン打ち込み装置は、イオンビーム発生装置100と、打ち込み室106とを備えている。
イオンビーム発生装置100は、イオン源101と、質量分離機102と、中和電子発生手段103と、ガス導入系104と、加速手段105とを有している。
イオン源101では、放電により複数種のイオンが生成されて、その生成された複数種のイオンを含むイオンビームが出力される。このイオンビームは、質量分離機102に通されて、必要とされる特定種類のイオンが分離抽出される。特定イオンに分離抽出されたイオンビームは、その後、加速手段105によって加速され、打ち込み室106の中に配置された試料基板107の半導体または半導体層にイオン注入される。
質量分離機102には、イオンビーム電流の増加に見合った電子をイオンビームに供給し、イオンビームの空間電荷を打ち消して中和させるために、中和電子発生手段103が取り付けられている。
質量分離機102には誘電体で真空封しされた開口部102aが設けられており、中和電子発生手段103に備わったマイクロ波発振器103aからのマイクロ波が導波管103bを通って開口部102aから質量分離機102内に導入される。このマイクロ波の周波数は、質量分離機102の磁界によって電子サイクロトロン共鳴が発生するような周波数に設定されている。さらに、ガス導入系104によって質量分離機102内に微量の放電ガスが導入され、電子サイクロトロン共鳴によって放電ガスのプラズマが発生する。このプラズマ中の電子によって、イオンビームの空間電荷が打ち消され、イオンビームの発散が低減される。
特開平9−180662号公報
しかしながら、上記従来のイオンビーム発生装置100では、イオンビームの電流を所定の値にするパラメータとして、イオン源101と質量分離機102の2つあり、同じ電流のイオンビームであっても、イオン源101と質量分離機102がとれる状態は複数存在し、異なる状態においては、イオンビームのイオン種が異なる。イオンビームのイオン種が異なると、正確なイオン注入ができない。しかし、イオンビームの電流目標値に対して、イオンビームの電流とイオン種が常に一定となるように、イオン源101と質量分離機102の状態を調整することは難しく、特に、実際の装置では、質量分離機102に加わる外乱(例えば装置壁面の状態変化に起因して生じるイオンビーム衝突時の2次電子発生量の変化など)により質量分離機102の状態が変化することから、調整がさらに難しくなるという問題があった。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、質量分離機への外乱によらず、イオンビームの出力調整を容易に行うことができるイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法および、このイオンビーム発生装置を用いて作製される機能素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のイオンビーム発生装置は、放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、該イオン源から出力された該第1のイオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力させる質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用フィラメントと、該イオン源の放電電力を観測する放電電力観測手段と、該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流を観測するビーム電流観測手段と、該放電電力観測手段の出力と該ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用フィラメントの消費電力を制御する第1の制御手段と、該ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を制御する第2の制御手段とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第1の制御手段は、前記放電電力観測手段の出力と前記ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、前記中和用フィラメントの電力目標値を出力する第1演算手段と、前記中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とを比較する第1比較手段と、該第1比較手段による比較結果に基づいて、該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とが一致するように該中和用フィラメントの消費電力を調整する第1電力調整手段とを有する。
本発明のイオンビーム発生装置は、放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力させる質量分離機と、該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用フィラメントと、該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流を観測するビーム電流観測手段と、該中和用フィラメントの消費電力を、該第2イオンビームの電流目標値によって決まる所定の値に制御する中和用電子供給制御手段とを有し、該中和用電子供給制御手段は、該第2イオンビームの電流目標値に対する該中和用フィラメントの電力目標値を出力する第2演算手段と、該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とを比較する第2比較手段と、該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とが一致するように該中和用フィラメントの消費電力を調整する第2電力調整手段とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
さらに、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置において、ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、前記イオン源の放電電力を制御する第2の制御手段を更に有する。
また、好ましくは、本発明のイオンビーム発生装置における第2の制御手段は、前記イオン源の放電電力を調整するイオン源用電力調整手段と、前記ビーム電流観測手段の出力と前記第2イオンビームの電流目標値とを比較する第3比較手段と、該第3比較手段による比較結果に基づいて、該ビーム電流観測手段の出力と該第2イオンビームの電流目標値とが一致するように放電電力目標値を出力する目標値出力手段と、前記放電電力観測手段の出力と該放電電力目標値とを比較する第4比較手段と、該第4比較手段による比較結果に基づいて、該放電電力観測手段の出力と該放電電力目標値とが一致するように該イオン源用電力調整手段を調整する第3電力調整手段とを有する。
本発明のイオンビーム発生方法は、放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームをイオン源から出力させる第1イオンビーム出力処理と、該イオン源から出力した該第1のイオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを質量分離機から出力させる第2イオンビーム出力処理と、該質量分離機内に中和用フィラメントから中和用電子を供給する中和用電子供給処理と、該イオン源の放電電力を放電電力観測手段で観測する放電電力観測処理と、 該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流をビーム電流観測手段で観測するビーム電流観測処理と、該放電電力観測手段の出力と該ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用フィラメントの消費電力を調整する第1の制御処理と、該ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を制御する第2の制御処理とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の機能素子の製造方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の上記イオンビーム発生装置を用いて所定の半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有し、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
本発明にあっては、放電により複数種のイオンを生成し、複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、イオン源から出力された第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンのみを分離抽出した第2のイオンビームを出力させる質量分離機と、質量分離機内にイオンビーム電流の増加に見合った電子を供給して、イオンビームの空間電荷を打ち消して中和させるための中和用フィラメントとを有し、放電電力観測手段(放電電力観測機)によってイオン源の放電電力を観測し、質量分離機から出力される第2のイオンビームの電流をビーム電流観測手段(ビーム電流観測機)によって観測する。第1の制御手段によって、放電電力観測手段の出力とビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、中和用フィラメントの電力を制御する。
放電電力観測手段の出力とビーム電流観測手段の出力とが所定の関係となるように中和用フィラメントの電力が調整されるため、質量分離機に外乱が加わっても、質量分離機の状態を所定に保つことができる。つまり、質量分離機へのイオンビームの入出力の関係を所定に保つことができる。
さらに、第2の制御手段によって、ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、イオン源の放電電力を制御する。第1の制御手段により、質量分離機へのイオンビームの入力に対する出力が一意に定まっているため、第2のイオンビームの出力調整を容易に行うことができる。
また、本発明にあっては、放電により複数種のイオンを生成し、複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、イオン源から出力された第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンのみを分離抽出した第2イオンビームを出力させる質量分離機と、質量分離機内にイオンビーム電流の増加に見合った電子を供給して、イオンビームの空間電荷を打ち消して中和させるための中和用フィラメントとを有し、質量分離機から出力される第2イオンビームの電流をビーム電流観測手段(ビーム電流観測機)によって観測する。中和用電子供給制御手段によって、第2イオンビームの電流目標値によって決まる所定の値に、中和用フィラメントの電力を制御する。
質量分離機に外乱が発生しない場合には、質量分離機の状態を所定に保つには、中和フィラメントから供給される中和電子量を一定にすれば十分であり、このように、第2イオンビームの電流目標値によって決まる所定の値に中和用フィラメントの電力を調整することで、容易に質量分離機の状態を所定に保つことができる。
以上説明したように、本発明によれば、放電電力観測手段(放電電力観測機)の出力とビーム電流観測手段(ビーム電流観測機)の出力とが所定の関係となるように中和用フィラメントの電力を調整し、外乱に影響されることなく質量分離機の状態を所定に保つことができる。つまり、質量分離機へのイオンビームの入出力の関係を所定に保つことができる。
さらに、ビーム電流観測手段(ビーム電流観測機)の出力が第2イオンビームの電流目標値に追従するようにイオン源の放電電力を制御することから、結局、第2イオンビームの目標値に対して、イオン源および質量分離機の状態が常に一定になる。つまり、イオンビームの電流は目標値と一致し、さらにイオン種も一定となる。このように、質量分離機に加わる外乱に影響されることなく、安定したイオンビームの電流とイオン種の調整を容易に行うことが可能となり、高精度でイオン注入を行うことができる。
また、本発明によれば、質量分離機に外乱が加わらない場合には、第2イオンビームの電流目標値によって決まる所定の値に中和用フィラメントの電力を調整するだけで、容易に質量分離機の状態を所定に保つことができ、安定したイオンビームの電流とイオン種の調整を行うことで、高精度でイオン注入を行うことができる。
以下に、本発明のイオンビーム発生装置およびこれを用いたイオンビーム発生方法の実施形態1,2について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるイオンビーム発生装置の要部構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態1のイオンビーム発生装置10は、放電により複数種のイオンを生成し、生成した複数種のイオンからなる第1イオンビームIaを出力させるイオン源1と、イオン源1から出力された第1イオンビームIaの中から特定種類のイオンのみを分離抽出した第2イオンビームIbを出力させる質量分離機2と、質量分離機2内のイオンビームの発散を抑制するために中和用電子を供給する中和用フィラメント3と、イオン源1の放電電力を観測する放電電力観測手段(または放電電力観測機手段)としての放電電力観測機4と、質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流を観測するビーム電流観測手段(ビーム電流観測機手段)としてのビーム電流観測機5と、放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力とが入力されて両出力の関係が所定の関係となるように中和用フィラメント3の消費電力を制御して中和用フィラメント3から供給される中和用電子量を調整する第1の制御手段6と、ビーム電流観測機5の出力が所定の値(第2イオンビーム電流目標値)となるようにイオン源1の放電電力を制御する第2の制御手段7とを有している。
ここで、まず、イオン源1、質量分離機2および中和用フィラメント3からなる機構部について、図2を用いて詳細に説明する。
図2は、図1のイオンビーム発生装置をイオン打ち込み装置に適用した場合の機構部の構成例を示す模式図である。
図2に示すように、イオン打ち込み装置10Aは、イオン源1、質量分離機2および中和用フィラメント3などを有するイオンビーム発生装置10と、イオンビーム発生装置10に連通し、イオンビームの打ち込み処理を行う打ち込み室8とを備えている。
イオン源1では、例えば水素で希釈されたジボランなどの放電により複数種のイオンが生成され、生成された複数種のイオンからなる第1イオンビームIaが出力される。
このイオン源1は、例えば電界を形成するためのアノード1aおよびカソード1bと、これらに挟まれた放電空間1cと、この放電空間1cからイオンビームを引き出すための引出電極1dとを有している。このカソード1bには、第2の制御手段7の一部であるイオン源用フィラメント7eが設けられている。
このイオン源1の後段には、第1イオンビームIaから特定種類のイオンを分離抽出して第2イオンビームIbを出力するための質量分離機2が設けられている。この質量分離機2は、90度の円弧状のイオンビームの進行方向に対して垂直に磁界が印加されるように構成されている。磁界の印加手段としては、磁石またはコイルを巻いたヨーク材の磁極など、既知の手段が用いられる。
質量分離機2には、質量分離機2内のイオンビームが発散するのを防止するために、質量分離機2の内部に中和用フィラメント3が挿入されている。質量分離機2の出力部は、打ち込み室8内に連通されている。打ち込み室8の内部には、イオン注入される試料基板9が所定位置に設置されている。
次に、このイオン打ち込み装置10Aの機構部の動作について説明する。
上記構成により、まず、イオン打ち込み装置10Aは、イオン源1および質量分離機2および打ち込み室8の内部が、図示されていない真空ポンプにより真空状態に吸引され、イオン注入に用いられるイオンを生成するために、水素で希釈されたジボランなどの処理ガスが、図示されていないガス管からその内部に導入されて、イオン打ち込み装置10Aの内部が処理ガスで満たされる。
イオン源1では、アノード1aとカソード1bとの間に所定の電圧が印加される。 後述する第2の制御手段7によってイオン源用フィラメント7eに所定の電圧が印加され、イオン源用フィラメント7eから熱電子が発生することよってアノード1aとカソード1bとの間で処理ガスが放電し、その放電電力に応じて水素イオン、B1系のイオン、B2系のイオンが生成される。
さらに、イオン源1の出口側の引出電極1dにより、放電空間1c中のプラズマに対して一定の電位差が与えられ、放電空間1c内の複数種のイオンが引出電極1d側に加速される。この引出電極1dにはスリットが設けられており、加速された複数種のイオンはこのスリットを通過して第1イオンビームIaとなって質量分離機2側に入る。
質量分離機2内には、例えばB1系のイオンというように、分離抽出したいイオンに応じて磁界が形成される。この磁界により質量分離機2に入った第1イオンビームIaがローレンツ力により曲げられ、質量分離機2の円弧と軌道半径が等しいイオンだけが質量分離機2を通過する。実際の質量分離機2は、半径方向に厚みを有しているため、通過可能なイオンの軌道半径に幅が生じ、分離抽出したいイオンの他にも質量分離機2を通過可能なイオンが存在する。したがって、磁界に応じたイオン比を有する第2イオンビームIbが出力される。
また、後述する第1の制御手段6によって質量分離機2内に挿入された中和用フィラメント3に電圧が印加され、中和用電子となる熱電子が発生し、イオンの一部を中和する。これにより、イオン過多によるイオン同士の電気的な反発によってイオンビームが発散し、第2イオンビームIbが出力されなくなることを防止することができる。
質量分離機2から出力された第2イオンビームIbは、図示されていない加速器によって加速され、打ち込み室8内に設置された試料基板9の半導体または半導体層にイオン注入される。
次に、図1の放電電力観測機4およびビーム電流観測機5について詳細に説明する。
放電電力観測機4は、イオン源1の放電電力W1を測定する電力計である。
ビーム電流観測機5は、質量分離機2から出力される第2のイオンビームの電流を測定する測定器であり、例えばファラデーカップである。本実施形態1では、常にビーム電流観測機5の出力を用いて中和用フィラメント3の電力が制御されるため、ビーム電流観測機5は、処理時・非処理時に関わらず、常に第2イオンビームIbを測定可能な位置に設置される。よって、ビーム電流観測機5は、例えば、イオン打ち込み装置10Aでは、試料基板9と重ならない位置に設置される。
次に、第1の制御手段6および第2の制御手段7からなるイオンビーム発生装置10の制御系の構成例について説明する。
第1の制御手段6では、放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力とが入力されて、イオン源1の放電電力と質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流値とが所定の関係となるように、中和用フィラメント3から放出される中和用電子量が調整される。
第2の制御手段7では、第1の制御手段6によってイオン源1の放電電力と第2イオンビームIbの電流値とが所定の関係に調整された状態で、第2イオンビームIbの電流値が第2イオンビーム電流目標値と一致するようにイオン源1の放電電力W1が調整される。
即ち、第1の制御手段6によって、イオン源1の放電電力とビーム電流観測機5から出力される第2イオンビームIbの電流値とが所定の関係を保つように制御されて、質量分離機2に加わる外乱によらず質量分離機2の状態が所定に保たれる。つまり、質量分離機2へのイオンビームの入出力の関係が所定に保たれる。
また、質量分離機2の状態が所定に保たれたまま、第2の制御手段7によって、第2イオンビームIbの電流値が第2イオンビーム電流目標値に一致するように制御される。
このように、本実施形態1では、質量分離機2への外乱によらず質量分離機2の状態を所定に保ったまま、第2イオンビームIbの電流の目標値への追従を行うことによって、従来技術では、第2イオンビーム電流目標値に対して、特に質量分離機2に外乱が加わる場合など、イオン源1と質量分離機2の状態が一定ではなく、電流が目標値と一致していてもイオン種が異なり、電流およびイオン種の両方を一定にする調整が困難だったのに対し、本実施形態では、質量分離機2に外乱が加わっても、第2イオンビーム電流目標値に対して、イオン源1と質量分離機2の状態つまり、イオンビームの電流とイオン種を常に一定に調整することが容易にできる。
次に、第1の制御手段6について具体的に説明する。
第1の制御手段6は、放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力とが入力されて中和フィラメント電力目標値が出力される第1演算手段としての演算器6aと、中和用フィラメント3で消費される電力である中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とが一致するように構成される第1のフィードバック制御系6Aとを有している。
この第1のフィードバック制御系6Aには、中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とを比較する第1比較手段としての比較器6bと、この比較器6bによる比較結果に基づいて、中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とが一致するように中和用フィラメント3に電圧を出力して中和用フィラメント3で消費される電力を調整する第1電力調整手段としての電圧調整回路6cとが設けられている。
図3は、図1の演算器6aの動作を説明するための図である。なお、図3では、横軸にはイオン源1の放電電力が示され、縦軸には質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流値が示されている。
図3に示すように、演算器6aでは、例えばイオン源1の放電電力と第2イオンビームIbの電流値との関係(実線)が、破線で示すようにずれている場合に、これを補償するために中和フィラメント電力目標値が出力される。
即ち、第1の制御手段6では、この実線と破線とのずれが、質量分離機2に加わる外乱として検出され、この外乱が中和用フィラメント3から放出される中和用電子によって補償される。中和用電子によって質量分離機2に加わる外乱が補償される理由は、質量分離機2に加わる外乱が生じる原因として、質量分離機2の内壁へのイオンビームの衝突による2次電子の放出など、質量分離機2内の電子密度の変化によるところが大きいためである。
次に、第2の制御手段7について具体的に説明する。
第2の制御手段7では、イオン源1の放電電力を調整することによって、第2イオンビームIbの電流を所定の値に調整する。
具体的には、第2の制御手段7には、第2イオンビーム電流目標値とビーム電流観測機5の出力である第2イオンビームIbの電流値とが一致するようにイオン源1の放電電力を調整する第2のフィードバック制御系7Bが構成されている。
第2のフィードバック制御系7Bには、第2イオンビーム電流目標値とビーム電流観測機5の出力である第2イオンビームIbの電流値とを比較する第3比較手段としての比較器7aと、第2イオンビーム電流目標値とビーム電流観測機5の出力である第2イオンビームIbの電流値とが一致するように放電電力目標値を出力する目標値出力手段としての目標値出力回路7bと、イオン源1の放電電力が放電電力目標値と一致するように構成された第3のフィードバック制御系7Cとが設けられている。
第3のフィードバック制御系7Cには、放電電力目標値とイオン源1の放電電力とを比較する第4比較手段としての比較器7cと、イオン源用電力調整手段としてのイオン源用フィラメント7eと、これに電圧を出力して電力調整を行う第3電力調整手段としての電圧調整回路7dとが設けられている。この電圧調整回路7dからは、放電電力目標値とイオン源1の放電電力とが一致するように、イオン源用フィラメント7eに電圧が印加されて電力供給が為される。
次に、第1の制御手段6および第2の制御手段7を有する本実施形態1のイオンビーム発生装置10における制御系の動作および作用について説明する。
上記構成により、本実施形態1のイオンビーム発生装置10は、質量分離機2に外乱が加わったとしても、質量分離機2へのイオンビームの入出力の関係を所定に保ってから、第2イオンビームIbの目標値への追従を行うことで、イオンビーム電流目標値に対して、イオンビームの電流とイオン種を一定にすることが容易に可能であり、その動作は質量分離機2の状態を所定にする動作と追従動作の二つに分けられる。
図4は、本実施形態1のイオンビーム発生装置10の動作の概略を説明するための図である。
図4に示すように、まず、一つ目の「質量分離機の状態を所定にする動作」では、第1の制御手段6によって、イオン源1の放電電力と質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流値とが所定の関係になるように、中和用フィラメント3の電力が制御されて中和用フィラメント3から出力される中和用電子量が調整される。これによって、質量分離機2に加わる外乱の影響が補償され、質量分離機2の状態が所定に保たれる。
二つ目の「第2イオンビームIbの電流目標値への追従動作」では、第2の制御手段7によって、イオン源1の放電電力が調整される。これによって、一つ目の動作によって質量分離機2から出力される一意に定められた第2イオンビームIbの電流値を、第2イオンビーム電流目標値に追従させることができる。
第2イオンビームIbの出力中は、常に上記二つの動作を行うように制御が行われる。
以下に、上記一つ目の「質量分離機の状態を所定にする動作」の動作とその作用について、さらに具体的に説明する。
第1の制御手段6では、放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力とが演算器6aに入力され、この演算器6aからは、イオン源1の放電電力と第2イオンビームIbの電流値とが、後述する所定の関係になるように、中和フィラメント電力目標値が出力される。
演算器6aからの中和フィラメント電力目標値と、中和用フィラメント3で消費される中和フィラメント電力とは、比較器6bを介して電圧調整回路6cに入力される。電圧調整回路6cでは、比較器6bによる比較結果に基づいて、中和フィラメント電力目標値と中和フィラメント電力との両者が一致するように、電圧調整回路6cから中和用フィラメント3に電圧が印加されて電力供給される。
中和用フィラメント3からは、中和フィラメント電力に応じた量の中和用電子が放出されて質量分離機2内に供給される。この中和用電子量の増減によって質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの量が変化し、質量分離機2に加わる外乱による第2イオンビームIbの変化量が補償される。
放電電力を観測することの意味を説明する。放電電力は、イオン源1において主に処理ガスの励起および電離に用いられる電力であるから、放電電力によってイオン源1内のイオン密度が決定される。さらにイオン源1内のイオン密度によって、イオン源1から出力される第1イオンビームIaの密度、即ち、電流値が決定される。したがって、イオン源1の放電電力を観測することは、第1イオンビームIaの電流値を観測することに相当する。
放電電力を用いて第1イオンビームIaを観測する効果を説明する。直接第1イオンビームIaの電流を測定することが考えられるが、この場合、新たにイオンビーム電流の測定器を設置する必要がある。さらに、第1イオンビームIaが通過する位置に設置する必要があるため、少なからず第1イオンビームIaを遮断し、効率の低下、および、第1イオンビームIaの不均一といった問題が発生する。さらに、測定器への皮膜などによる測定値の変化の問題が発生する。これに比べ、放電電力を観測することは、これらの問題が発生しないため非常に有効である。
中和用電子の出力調整が、中和フィラメント電力目標値を設定することによって行われる理由は以下の通りである。
中和用電子は中和用フィラメント3から放出される熱電子であるため、中和用フィラメント3の温度、即ち、中和フィラメントの消費電力を一定とすることによって、中和用電子量を一定に保つことができる。したがって、中和用フィラメントの使用によりその抵抗が変化したとしても、中和フィラメントの消費電力を制御することによって、中和用電子量を正確に制御することができるからである。
また、従来例では中和電子発生手段として電子サイクロトロン共鳴を用いていたが、本発明で中和フィラメント3を用いる理由は以下の通りである。電子サイクロトロン共鳴を用いる場合、電子サイクロトロン共鳴の磁界と質量分離に用いる磁界を共有しているため、イオン種に応じて磁界を変更するには、放電に用いるマイクロ波の周波数を変更する必要があり、イオン種に応じた磁界の変更が容易ではない。さらに、質量分離機2内で新たな放電を発生させることから、この放電によりイオンビームの状態が変化し、イオンビームの制御がより難しくなる。また、開口部102aを真空封しする誘電体には徐々に膜が生成されるため、質量分離機2へ供給されるマイクロ波が減少することから、この補正を行う制御が必要になる。しかし、中和用フィラメント3を用いるとこれらの問題が発生しない。
次に、イオン源1の放電電力と質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流値との所定の関係は、以下のように設定される。例えば、メンテナンス後など、装置状態が標準と思われるとき、第2イオンビームIbの電流値を第2イオンビーム電流目標値に一致させたときの放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力との関係を、事前に演算器6aに保存しておく。これは、例えば図3に実線で示すような関係となる。この関係を、質量分離機2に加わる外乱がないときの基準とする。
質量分離機2に外乱が加わることによって、放電電力観測機4の出力とビーム電流観測機5の出力との関係が基準からずれて、例えば図3に破線で示すような関係となると、演算器6aでは、イオン源1への放電電力と第2イオンビームIbの電流値とが基準の関係に戻るように、即ち、外乱による基準からのずれが補償されるように、中和フィラメント電力目標値が出力される。
次に、二つ目の「第2イオンビームIbの電流目標値への追従動作」の動作とその作用について、さらに具体的に説明する。
第2の制御手段7では、ビーム電流観測機5の出力と第2イオンビーム電流目標値とが比較器7aを介して目標値出力回路7bに入力され、比較器7aによる比較結果に基づいて、ビーム電流観測機5の出力と第2イオンビーム電流目標値との両者が一致するように目標値出力回路7bから放電電力目標値が出力される。
この放電電力目標値は、比較器7cを介して、イオン源用フィラメント7eに電圧を印加する電圧調整回路7dに入力される。また、電圧調整回路7dには、さらに、イオン源1の放電電力が比較器7cを介して入力され、比較器7cによる比較結果に基づいて、これら放電電力目標値とイオン源1の放電電力との両者が一致するように電圧調整回路7dからイオン源用フィラメント7eに電圧が出力されて電力供給される。
イオン源用フィラメント7eでは、印加された電圧値に応じて熱電子が発生し、これによってイオン源1が放電し、イオンが生成されて、第1イオンビームIaがイオン源1から出力される。
放電電力目標値により放電電力が調整される理由について、以下に説明する。
イオン源1内のイオン種およびイオン密度は、放電電力によって決定されるため、この放電電力を制御することによって、イオン源用フィラメント7eの抵抗変化の影響を受けることなく、イオン源1言い換えれば第1イオンビームIaのイオン種およびイオン密度を一定に保つことができるからである。
以上のように、本実施形態1のイオンビーム発生装置10によれば、上記一つ目の「質量分離機の状態を所定にする動作」によって、質量分離機2に加わる外乱によらず質量分離機2が所定の状態に保たれ、質量分離機2へ入る第1イオンビームIaに対して、一意の第2イオンビームIbが出力される。そして、二つ目の「第1イオンビームIbの電流目標値への追従動作」により、質量分離機2の入力に対して一意に定まった第2イオンビームIbの電流値を第2イオンビーム電流目標値に追従させる。
このようにすることで、質量分離機2に加わる外乱によらず、第2イオンビーム電流目標値に対して、常にイオン源1と質量分離機2の状態を一定にする調整が容易に行え、イオンビームの電流とイオン種を、第2イオンビーム電流目標値に対して、常に一定に保つことができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2のイオンビーム発生装置における概略構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態2のイオンビーム発生装置20は、放電により複数種のイオンを生成し、生成した複数種のイオンからなる第1イオンビームIaを出力させるイオン源1と、このイオン源1から出力された第1イオンビームIaの中から特定種類(一または複数種類)のイオンのみを分離抽出して第2イオンビームIbを出力させる質量分離機2と、質量分離機2内のイオンビームの発散を抑制するために中和用電子を供給する中和用フィラメント3と、イオン源1の放電電力を観測する放電電力観測機4と、質量分離機2から出力される第2イオンビームIbの電流値を観測するビーム電流観測機5と、中和用フィラメント3の電力を第2イオンビームIbの電流目標値によって決まる所定の値(中和フィラメント電力目標値)に制御する中和用電子供給制御手段16と、ビーム電流観測機5の出力が所定の値(第2イオンビーム電流目標値)となるようにイオン源1への放電電力を制御する第2の制御手段7とを有している。
本実施形態2のイオンビーム発生装置20において、上記実施形態1のイオンビーム発生装置10と異なる点は、質量分離機2の状態を所定に保つための制御系の構成であり、上記実施形態1(図1)の場合と同じ部分については同じ符号を用いてその説明を省略する。
本実施形態2のイオンビーム発生装置20は、質量分離機2に外乱が加わらない場合に適しており、上記実施形態1のイオンビーム発生装置10における第1の制御手段6に代えて、図5の中和用電子供給制御手段16が用いられる。
以下に、図5の中和用電子供給制御手段16の構成例について詳細に説明する。
中和用電子供給制御手段16は、第2イオンビーム電流目標値とが入力されて中和フィラメント電力目標値が出力される第2演算手段としての演算器16aと、中和用フィラメント3で消費される電力である中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とが一致するように構成される第4のフィードバック制御系16Dとを有している。
この第4のフィードバック制御系16Dには、中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とを比較する第2比較手段としての比較器16bと、この比較器16bによる比較結果に基づいて、中和フィラメント電力と中和フィラメント電力目標値とが一致するように中和用フィラメント3に電圧を出力して中和用フィラメント3で消費される電力を調整する第2電力調整手段としての電圧調整回路16cとが設けられている。
次に、中和用電子供給制御手段16の動作および作用について説明する。
上記構成により、中和用電子供給制御手段16では、第2イオンビーム電流目標値が演算器16aに入力され、演算器16aからは、後述する所定の中和フィラメント電力目標値が出力される。
演算器16aからの中和フィラメント電力目標値と、中和用フィラメント3で消費される中和フィラメント電力とは、比較器16bを介して電圧調整回路16cに入力される。比較器16bによる比較結果に基づいて、中和フィラメント電力目標値と中和フィラメント電力との両者が一致するように、電圧調整回路16cから中和用フィラメント3に電圧が印加される。
中和用フィラメント3からは、中和フィラメント電力に応じた量の中和用電子が放出されて質量分離機2内に供給され、質量分離機2から出力される第2イオンビームIbが決定される。
中和用電子はイオンビームの発散を抑制するものであるので、イオンビームの強度に応じて、適切な中和用電子量が存在する。中和用電子供給制御手段16の演算器16aからは、第2イオンビーム電流目標値に対して適切な中和用電子量となるように、中和フィラメント電力目標値が出力される。このため、演算器16aには、事前に第2イオンビーム電流目標値に対する適切な中和フィラメント電力目標値が保存される。
第2イオンビーム電流目標値に対する適切な中和フィラメント電力目標値とは、例えば、メンテナンス後などの標準的な装置状態において、第2イオンビームIbの電流値を第2イオンビーム電流目標値に一致させたときの、第2イオンビーム電流目標値に対する中和フィラメント電力目標値である。
以上により、本実施形態2のイオンビーム発生装置20によれば、質量分離機2に外乱が加わらない場合には、上記実施形態1よりも簡単な制御によって質量分離機2を所定の状態に調整することができる。
また、上記実施形態1,2で説明した本発明のイオンビーム発生装置10,20を用いて、特定のイオンを所望のイオンビーム電流値に制御して発生させ、この発生させた特定のイオンを所望のドーズ量で精度良く半導体または半導体層に注入することができる。これによって、所定の導電型の半導体または半導体層を形成し、この半導体または半導体層を用いて、半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスを良好に製造することができる。
また、このようにして製造された機能素子としての半導体デバイスは、高スイッチング特性、低消費電力、および、高信頼性のデバイスとして、非常に有用である。
また、上記実施形態1,2では、第1の制御手段6または中和用電子供給制御手段16と、第2の制御手段7とを共に用いて構成したが、これに限らず、第1の制御手段6または中和用電子供給制御手段16だけであってもよく、これによっても、本発明の効果を奏する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、例えば半導体集積回路(IC)やTFT液晶表示装置などの半導体デバイスの製造工程において、半導体または半導体層にイオン注入を行うために用いられるイオンビーム発生装置、これを用いたイオンビーム発生方法、およびこのイオンビーム発生装置を用いて作製される薄膜トランジスタ(TFT)などの機能素子の製造方法の分野において、所定の導電型の半導体または半導体層を形成するために半導体または半導体層にイオン注入(イオンドーピング)処理を行う際に、質量分離機に加わる外乱によらず、イオンビーム電流の目標値に対して、質量分離機およびイオン源の状態を一定とする調整が容易にでき、イオンビーム電流の目標値に対して、イオンビームの電流およびイオン種を一定とし、高精度でイオン注入を行うことができる。
本発明の実施形態1のイオンビーム発生装置の要部構成例を示すブロック図である。 図1のイオンビーム発生装置をイオン打ち込み装置に適用した場合の機構部の構成例を示す模式図である。 図1のイオンビーム発生装置における演算器の動作を説明するための図である。 図1のイオンビーム発生装置の動作を説明するための図である。 本発明の実施形態2のイオンビーム発生装置の要部構成例を示すブロック図である。 従来のイオンビーム発生装置をイオン打ち込み装置に適用した場合の機構部の構成例を示す模式図である。
符号の説明
1 イオン源
2 質量分離機
3 中和用フィラメント
4 放電電力観測機
5 ビーム電流観測機
6 第1の制御手段
6a 演算器
6b 比較器
6c 電圧調整回路
6A,7B,7C,16D フィードバック制御系
7 第2の制御手段
7a,7c 比較器
7b 目標値出力回路
7d 電圧調整回路
7e イオン源用フィラメント
10,20 イオンビーム発生装置
16 中和用電子供給制御手段
16a 演算器
16b 比較器
16c 電圧調整回路
Ia 第1イオンビーム
Ib 第2イオンビーム

Claims (7)

  1. 放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1のイオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力させる質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用フィラメントと、
    該イオン源の放電電力を観測する放電電力観測手段と、
    該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流を観測するビーム電流観測手段と、
    該放電電力観測手段の出力と該ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用フィラメントの消費電力を制御する第1の制御手段と
    該ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を制御する第2の制御手段とを有するイオンビーム発生装置。
  2. 前記第1の制御手段は、
    前記放電電力観測手段の出力と前記ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、前記中和用フィラメントの電力目標値を出力する第1演算手段と、
    前記中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とを比較する第1比較手段と、
    該第1比較手段による比較結果に基づいて、該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とが一致するように該中和用フィラメントの消費電力を調整する第1電力調整手段とを有する請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
  3. 放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームを出力させるイオン源と、
    該イオン源から出力された該第1イオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを出力させる質量分離機と、
    該質量分離機内に中和用電子を供給する中和用フィラメントと、
    該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流を観測するビーム電流観測手段と、
    該中和用フィラメントの消費電力を、該第2イオンビームの電流目標値によって決まる所定の値に制御する中和用電子供給制御手段とを有し、
    該中和用電子供給制御手段は、
    該第2イオンビームの電流目標値に対する該中和用フィラメントの電力目標値を出力する第2演算手段と、
    該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とを比較する第2比較手段と、
    該第2比較手段による比較結果に基づいて、該中和用フィラメントで消費される電力と該中和用フィラメントの電力目標値とが一致するように該中和用フィラメントの消費電力を調整する第2電力調整手段とを有するイオンビーム発生装置。
  4. 前記ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、前記イオン源の放電電力を制御する第2の制御手段を更に有する請求項3に記載のイオンビーム発生装置。
  5. 前記第2の制御手段は、
    前記イオン源の放電電力を調整するイオン源用電力調整手段と、
    前記ビーム電流観測手段の出力と前記第2イオンビームの電流目標値とを比較する第3比較手段と、
    該第3比較手段による比較結果に基づいて、該ビーム電流観測手段の出力と該第2イオンビームの電流目標値とが一致するように放電電力目標値を出力する目標値出力手段と、
    前記放電電力観測手段の出力と該放電電力目標値とを比較する第4比較手段と、
    該第4比較手段による比較結果に基づいて、該放電電力観測手段の出力と該放電電力目標値とが一致するように該イオン源用電力調整手段を調整する第3電力調整手段とを有する請求項1または3に記載のイオンビーム発生装置。
  6. 放電により複数種のイオンを生成し、生成した該複数種のイオンからなる第1イオンビームをイオン源から出力させる第1イオンビーム出力処理と、
    該イオン源から出力した該第1のイオンビームの中から、一または複数の特定種類のイオンを分離抽出した第2イオンビームを質量分離機から出力させる第2イオンビーム出力処理と、
    該質量分離機内に中和用フィラメントから中和用電子を供給する中和用電子供給処理と、
    該イオン源の放電電力を放電電力観測手段で観測する放電電力観測処理と、
    該質量分離機から出力される該第2イオンビームの電流をビーム電流観測手段で観測するビーム電流観測処理と、
    該放電電力観測手段の出力と該ビーム電流観測手段の出力との関係が所定の関係となるように、該中和用フィラメントの消費電力を調整する第1の制御処理と
    該ビーム電流観測手段の出力が所定の値となるように、該イオン源の放電電力を制御する第2の制御処理とを有する記載のイオンビーム発生方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のイオンビーム発生装置を用いて所定の半導体または半導体層にイオン注入するイオン注入処理工程を有する機能素子の製造方法。
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