JP2006041334A - 希土類焼結磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】 残留磁束密度及び保磁力等の磁気特性の向上を実現する。
【解決手段】 R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。)、T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。)及びBを含む希土類焼結磁石であって、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満含む。具体的には、希土類元素R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。):20重量%以上、40重量%以下、ホウ素B:0.5重量%以上、4.5重量%以下、Sn:0.005重量%以上、0.03重量%未満、遷移金属元素T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。):残部なる組成で表される。希土類元素Rは、Dy、Tb、Hoの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。)、T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。)及びBを含む希土類焼結磁石であって、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満含む。具体的には、希土類元素R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。):20重量%以上、40重量%以下、ホウ素B:0.5重量%以上、4.5重量%以下、Sn:0.005重量%以上、0.03重量%未満、遷移金属元素T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。):残部なる組成で表される。希土類元素Rは、Dy、Tb、Hoの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含む希土類焼結磁石に関する。
希土類焼結磁石、例えばNd−Fe−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要は益々拡大する傾向にある。また、電子機器の高性能化や多機能化も著しく、このような機器に使用されるNd−Fe−B系焼結磁石に対しても、これまで以上の優れた特性が要求されている。このような状況から、Nd−Fe−B系焼結磁石の保磁力や飽和磁束密度等の磁気特性を高めるための研究開発が各方面において活発に進められている。
例えば、特許文献1においては、Dy、Tb等の重希土類元素を添加することによりNd−Fe−B系磁石の保磁力を高めることが提案されている。特許文献1においては、添加元素としてSnを1.5原子%以下含有させることについての記載がある。また、特許文献2〜特許文献4では、希土類永久磁石の磁気特性を向上させるためにSn等の元素を添加することが提案されている。さらに、特許文献5及び特許文献6においては、R−T−B系希土類永久磁石において添加元素としてSnを0.03重量%〜0.5重量%含有させることが提案されている。
特公平5−10806号公報
特公平2−32761号公報
特開昭62−116756号公報
特公平3−16761号公報
特開2003−203807号公報
特開平7−130522号公報
前述のように、希土類焼結磁石の磁気特性を向上させる提案は多数存在し、添加元素としてSnを含ませる提案も種々見られるが、これまでの希土類焼結磁石においては比較的多量のSnの添加を想定しており、例えば特許文献3では、重量百分率に換算すると0.73重量%(7300ppm)程度のSnを含む希土類焼結磁石の例が記載されている。また、特許文献5及び特許文献6では、Sn含有量の下限値として0.03重量%を設定している。すなわち、従来の各種提案においては、Snを極微量添加したときに希土類焼結磁石に与える影響については全く認識されていない。なお、特許文献1、特許文献2及び特許文献4では、Sn含有量の下限値については特に言及していないものの、実際には0.5原子%以上という大量のSnの添加でしか検討を行なっておらず、極微量のSnのもたらす効果を認識していないことは明らかである。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、残留磁束密度及び保磁力等の磁気特性に優れた希土類焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述の目的を達成するために長期に亘り種々の検討を重ねてきた。その結果、希土類焼結磁石への極微量のSnの添加により保磁力が向上するとの驚くべき知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る希土類焼結磁石は、R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。)、T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。)及びBを含む希土類焼結磁石であって、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満含むことを特徴とする。
0.005重量%以上、0.03重量%未満という極微量のSnを希土類焼結磁石へ添加することにより、希土類焼結磁石の保磁力の向上が実現される。Snの極微量添加による残留磁束密度の低下はほとんど見られず、極めて優れた磁気特性が達成される。保磁力の向上は、0.005重量%以上、0.03重量%未満という極微量のSnの添加により初めて実現されるものであって、従来の0.03重量%以上のSnの添加では全く予想されなかったものである。
また、前記Rは、Dy、Tb及びHoの少なくとも一種を含むことが好ましい。Dy、Tb及びHoの重希土類元素の添加は、保磁力を高める一方で残留磁束密度を低下させるという不都合を引き起こす。極微量のSnは残留磁束密度を低下させずに保磁力を向上させるので、Dy、Tb及びHoの重希土類元素と組み合わせることにより、残留磁束密度の低下を最小限に抑えつつ保磁力の極めて高い希土類焼結磁石が実現される。
本発明によれば、希土類焼結磁石への極微量のSnの添加により、残留磁束密度の低下を招くことなく高い保磁力を実現し、磁気特性に優れる希土類焼結磁石を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した希土類焼結磁石について、図面を参照して詳細に説明する。本発明を適用した希土類焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びBを主成分とし、さらに極微量のSnを含むものである。
本発明を適用した希土類焼結磁石のSn含有量は、0.005重量%以上、0.03重量%未満、すなわち、50ppm以上、300ppm未満とされる。また、本発明を適用した希土類焼結磁石の組成は、Sn量を前記範囲内とする他、希土類元素Rを20重量%〜40重量%、ホウ素Bを0.5重量%〜4.5重量%、遷移金属元素Tを残部とされることが好ましい。
ここで、希土類元素Rとは、具体的には、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのことをいう。中でもNdは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。
また、本発明の希土類焼結磁石は、重希土類元素であるDy、Tb及びHoの少なくとも一種を含むことが好ましい。希土類元素の一種である重希土類元素は、異方性磁界が大きいため、希土類焼結磁石の保磁力を向上させるうえで有効である。前記重希土類元素の中でも、特にDy、Tbが好ましい。重希土類元素は、極微量のSnと併用されることで、飽和磁束密度の低下を最小限に抑えつつ、希土類焼結磁石の保磁力をより高めることができる。
本発明の希土類焼結磁石は、希土類元素Rを20重量%〜40重量%含むことが好ましい。希土類焼結磁石中の希土類元素Rの量が20重量%未満であると、希土類焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が不十分となり軟磁性のα−Fe相等が析出し、保磁力が著しく低下するおそれがある。一方、希土類元素Rが40重量%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下するおそれがある。また希土類元素Rが酸素と反応して酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招くおそれがある。なお、ここでいう希土類元素Rの量とは、先に列挙したY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを含めたものである。また、希土類焼結磁石が、希土類元素RとしてNdと重希土類元素の1種以上との両方を含む場合、希土類焼結磁石中のNdと重希土類元素との合計量を29.0重量%〜34.0重量%とすることが好ましい。
また、本発明の希土類焼結磁石は、ホウ素Bを0.5重量%〜4.5重量%含むことが好ましい。ホウ素Bが0.5重量%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、ホウ素Bが4.5重量%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5重量%とする。好ましいホウ素Bの量は0.5重量%〜1.5重量%であり、さらに好ましいホウ素Bの量は0.8重量%〜1.2重量%である。
本発明の希土類焼結磁石は、添加元素MとしてAl、Cu、Gaの中から少なくとも1種を含み、且つこれらの添加元素を0.03重量%〜0.5重量%の範囲で含むことができる。この範囲でMを添加含有させることにより、希土類焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。添加元素MとしてAlを選択する場合において、好ましいAlの量は0.15重量%〜0.3重量%、さらに好ましいAlの量は0.15重量%〜0.25重量%である。また、MとしてCuを選択する場合において、好ましいCuの量は0.15重量%以下(0を含まず)、さらに好ましいCuの量は0.05重量%〜0.1重量%である。またMとしてGaを選択する場合において、好ましいGaの量は0.03重量%〜0.20重量%、さらに好ましいGaの量は0.05重量%〜0.18重量%である。
本発明の希土類焼結磁石において、遷移金属元素Tとしては従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。但し、Coを例えば2重量%以下(0を含まず)、好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.3〜0.7重量%含むによって、キュリー温度が高くなり、温度特性が向上する。
本発明の希土類焼結磁石は、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満の範囲で含むものである。前記数値範囲の極微量のSnを希土類焼結磁石に含めることにより、飽和磁束密度の低下を招くことなく、保磁力を向上させることができる。Sn量が0.005重量%未満である場合、保磁力の向上効果が不足するおそれがある。また、Snを大量(0.03重量%以上)に含ませると保磁力が逆に低下する傾向にあることから、Snの添加による効果を確実に得るため、Sn量の上限は0.03重量%未満とされる。また、Sn量は0.005重量%以上、0.02重量%以下であることがさらに好ましい。
以下、本発明を適用した希土類焼結磁石を得るための好ましい製造方法について説明する。以下に詳細に説明する希土類焼結磁石の製造方法は、組成の異なる数種の合金粉末を混合して焼結する、いわゆる混合法を用いているが、混合法に限らず、いわゆるシングル法を用いて本発明に係る希土類焼結磁石を製造することももちろん可能である。ここで、合金粉末としては、R2T14B相を主体とするa合金(以下、主相用母合金と称する)の粉末と、Snを含み希土類元素Rと遷移金属元素Tの化合物を主体とするb合金(以下、粒界相用母合金と称する)の粉末と、Snを含まず希土類元素Rと遷移金属Tの化合物を主体とするc合金(粒界相用母合金)の粉末を用いる。ただし、c合金を用いずに所望の磁石組成とすることも可能である。また、Snは主相用母合金粉末に含有させることも可能である。
主相用母合金や粒界相用母合金等の各種原料合金は、原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解し鋳造することにより作製される。原料金属としては、希土類金属又は希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。得られた合金は、凝固偏析がある場合は必要に応じて溶体化処理を行う。溶体化処理は、真空又はAr雰囲気下、700〜1500℃の領域で1時間以上保持すればよい。
次に、粉砕工程及び混合工程について説明する。主相用母合金の粉末と粒界相用母合金の粉末との混合物を製造する方法は、特に限定されない。例えば、両母合金を同時に粗粉砕し、さらに微粉砕することにより混合物を製造してもよく、各母合金を粗粉砕した後、両母合金の粗粉同士を混合し、次いで微粉砕して混合物を製造してもよく、各母合金を粗粉砕した後、微粉砕し、両母合金の微粉同士を混合してもよい。なかでも、両母合金を同時に粗粉砕し、さらに微粉砕する方法が、低コスト化の面から好ましい。
なお、主相用母合金の粉末と粒界相用母合金の粉末との混合物における粒界相用母合金の比率は、例えば2〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%とする。前記範囲を下回ると粒界相用母合金による効果が不十分となり、上回ると残留磁束密度等の磁気特性が不十分となるおそれがある。
各母合金を粉砕する方法は特に問わないが、例えば機械的粉砕法、水素吸蔵粉砕法等を単独で、又は適宜組み合わせて実施される。中でも粒度分布の鋭い磁石粉末が得られることから、水素吸蔵粉砕を行なうことが好ましい。水素は、薄帯状等の母合金に直接吸蔵させてもよく、スタンプミル等の機械的粉砕手段により母合金を粗粉砕した後に吸蔵させてもよい。通常、平均粒子径15〜500μm程度となるまで粗粉砕を行なう。粗粉砕には通常の水素吸蔵粉砕法を採用でき、例えば、水素吸蔵処理及び水素放出処理を少なくとも各1回行ない、さらに、水素放出後、必要に応じて機械的粉砕を行なう方法を用いることができる。水素吸蔵粉砕の際の各種条件は特に限定されない。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には、気流式粉砕機等を使用することが好ましい。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉を平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。気流式粉砕機としては、ジェットミル等が好適である。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガスやアルゴンガス等)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粉体の粒子を加速し、粉体の粒子同士の衝突や、衝突板あるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の添加剤を0.01重量%〜0.3重量%程度添加することにより、成形時の配向性の高い原料合金微粉を得ることができる。
次に、原料合金微粉を磁場中にて成形する。具体的には、微粉砕により得られた原料合金微粉を電磁石を配置した金型内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。この磁場中成形は、例えば10〜20kOeの磁場中で、0.5〜3t/cm2程度の圧力で行えばよい。
次に、原料合金微粉を成形して得られた成形体を、真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、例えば1000〜1200℃程度で0.5〜5時間程度焼結すればよい。
焼結後に得られた焼結体には、時効処理を施すことが好ましい。この時効処理は、得られる希土類焼結磁石の保磁力を制御する上で重要な工程であり、例えば不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で熱処理を施す。時効処理としては、2段時効処理が好ましく、1段目の時効処理工程では、700〜900℃前後の温度で1〜3時間保持し、2段目の時効処理工程では、500〜700℃前後の温度で1〜3時間保持するとよい。
なお、以上説明した希土類焼結磁石の製造方法はあくまで一例であり、本発明の組成の希土類焼結磁石が得られる方法であれば公知の方法をいずれも使用可能であることは言うまでもない。また、磁石原料中にSnを添加する際のSn含有化合物としては特に問わず、R6T’13Sn、R5Sn3等のR−T系合金や、Sn粉末等でも構わない。また、Snの添加時期についても特に限定されず、水素吸蔵法による粉砕処理前、気流式粉砕機等による微粉砕処理前、微粉砕処理後等、いずれの工程であってもよい。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<希土類焼結磁石の作製>
先ず、Dyを4重量%含むNd−Fe−B系焼結磁石を以下のようにして作製した。原料金属をAr雰囲気中で高周波溶解することにより、各合金を作製した。各母合金の組成を以下に示す。なお、組成中の数字は重量%を表す。
先ず、Dyを4重量%含むNd−Fe−B系焼結磁石を以下のようにして作製した。原料金属をAr雰囲気中で高周波溶解することにより、各合金を作製した。各母合金の組成を以下に示す。なお、組成中の数字は重量%を表す。
a合金:26.4Nd−2.1Dy−0.2Al−1.05B−残部Fe
b合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−0.24Sn−残部Fe
c合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−残部Fe
b合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−0.24Sn−残部Fe
c合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−残部Fe
次に、水素吸蔵粉砕及びブラウンミルにより、各母合金を別個に粗粉砕した。ブラウンミルによる粉砕は窒素雰囲気中で行った。次に、粒界相用母合金の粗粉と主相用母合金の粗粉とを、窒素雰囲気中で混合した。得られた混合物の組成(磁石組成)を、表1に示す。次いで、混合物を、高圧窒素ガスを用いたジェットミルにより粒子径3〜5μmにまで微粉砕した。得られた微粉を15kOeの磁場中で1.5t/cm2の圧力で成形し、成形体を得た。この成形体を真空中、1070℃で4時間焼結した後、急冷した。得られた焼結体に、Ar雰囲気中で2段時効処理を施した。1段目の時効処理は、800℃で1時間行ない、2段目の時効処理は550℃で1時間行ない、希土類焼結磁石(サンプル1−1〜サンプル1−7)を得た。
以上のように作製した各希土類焼結磁石について、保磁力Hcj及び残留磁束密度Brを測定した。測定は、B−Hトレーサーを用いて行った。磁気特性(保磁力Hcj、残留磁束密度Brの結果を表1に示す。また、Sn量と保磁力及び残留磁束密度Brとの関係を、図1に示す。
また、Dyを7重量%含むNd−Fe−B系焼結磁石を以下のようにして作製した。先ず、サンプル1−1〜サンプル1−7の場合と同様にして、各母合金を作製、粗粉砕した。各合金の組成を以下に示す。
a合金:24.7Nd−5.3Dy−0.2Al−1.05B−残部Fe
b合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−0.24Sn−残部Fe
c合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−残部Fe
b合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−0.24Sn−残部Fe
c合金:40Dy−10Co−1.4Cu−0.2Al−残部Fe
次に、サンプル1−1〜サンプル1−7の場合と同様にして、各母合金を混合し、微粉砕、磁場中成形、焼結、時効の各処理を施し、希土類焼結磁石(サンプル2−1〜サンプル2−7)を得た。これらサンプルについても、サンプル1−1〜サンプル1−7と同様にして磁気特性を測定した。結果を表2及び図2に示す。
図1に示すように、重希土類元素を4重量%含む希土類焼結磁石においてSnの含有量を0〜1200ppm(0〜0.12重量%)まで変化させたところ、100ppm(0.01重量%)付近に保磁力Hcjのピークが観察された。また、保磁力Hcjの向上効果は、0.005重量%以上、0.03重量%未満の範囲とすることで発現されることがグラフより明らかである。さらに、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満の範囲で添加させたとき、飽和磁束密度Brも良好な値を維持した。
また、重希土類元素(Dy)の含有量を7重量%としたサンプル2−1〜サンプル2−7(図2)においても、サンプル1−1〜サンプル1−7と同様に、極微量のSnの添加により保磁力Hcjの向上が図られ、このときSn添加による飽和磁束密度Brの低下は観察されなかった。
以上の実験結果から、従来全く想定されていなかった0.005重量%以上、0.03重量%未満という極微量のSn含量の範囲内に保磁力Hcjのピークが存在し、しかもSn添加に起因する残留磁束密度Brの低下は殆どないことが確認された。また、保磁力向上効果をより確実に得る観点から、Sn量を0.005重量%以上、0.02重量%以下とすることが好ましいと確認された。
Claims (5)
- R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。)、T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。)及びBを含む希土類焼結磁石であって、Snを0.005重量%以上、0.03重量%未満含むことを特徴とする希土類焼結磁石。
- 希土類元素R(Rは希土類元素の少なくとも1種である。ただし、希土類元素はYを含む。):20重量%以上、40重量%以下、ホウ素B:0.5重量%以上、4.5重量%以下、Sn:0.005重量%以上、0.03重量%未満、遷移金属元素T(Tは遷移金属元素の少なくとも1種である。):残部なる組成で表されることを特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石。
- 前記Rは、Ndと、Dy、Tb、Hoの少なくとも1種とを含むことを特徴とする請求項2記載の希土類焼結磁石。
- (Nd+(Dy、Tb、Hoのうち少なくとも1種)):29.0重量%以上、34.0重量%以下、ホウ素B:0.5重量%以上、1.5重量%以下、Cu:0.15重量%以下(0を含まず)、Al:0.15重量%以上、0.3重量%以下、Co:2重量%以下(0を含まず)、Sn:0.005以上、0.03重量%未満、Fe:残部なる組成で表されることを特徴とする請求項3記載の希土類焼結磁石。
- R2T14Bから構成される相を有する主相用母合金の粉末と、R、T’(T’は、Fe、Co及びNiの少なくとも1種である。)及びSnを含有する粒界相用母合金の粉末との混合物を成形後、焼結してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の希土類焼結磁石。
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