JP2006040735A - 導電性付与剤及び導電性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、アクリル系重合体にイオン塩を含有させてなる導電性付与剤と、熱可塑性樹脂に該導電性付与剤を含有させてなる導電性樹脂組成物に関する。
一般に、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を含有させてなる帯電防止型熱可塑性樹脂は、表面抵抗が107〜109Ω/□であり、主に帯電防止を目的とした用途に使用されている。
従来、低分子量の界面活性剤を用いた練り込み型導電性付与剤は、原料が廉価であり、コスト面で有利であるが、帯電防止効果の発現機構が、低分子の界面活性剤が塗膜表面にブリードし、表面にしみ出た界面活性剤の親水基が空気中の水分子を吸着して導電性が発現すると考えられている。従って、帯電防止効果が発現するためには、まず、基材表面に界面活性剤がブリードする必要があるため、加工後から帯電効果の発現までに数日間を要し、即効性に劣るという欠点があった。また、低湿度下では、帯電防止能が不十分となり、さらに、基材表面の洗浄または摩耗等を繰り返すことにより、ブリードした界面活性剤が払拭され、長期間に渡って安定した帯電防止能を維持するのが困難であるという改善すべき課題が残されていた。
その他の導電性付与剤としては、例えば、特許文献1には、過塩素酸リチウムなどの過塩素酸塩をポリアルキレングリコール類などに含有させた導電性付与剤が提案されているが、近年では焼却処分時の環境負荷の問題や、腐食性などの観点から使用が敬遠される傾向にある。
また、高分子型の導電性付与剤としては、例えば、特許文献2には、熱可塑性樹脂と、ポリエーテル成分とポリウレタンの共重合体の複合体など、ポリマーアロイ技術を用いた永久帯電防止組成物が提案されている。永久帯電防止剤は、基材樹脂との練り込み加工時に基材の表層に導電層を形成させるため、長期間にわたって安定した帯電防止効果が得られるという利点がある反面、添加量が低分子型導電性付与剤と比較して数倍から数十倍と大きく、コスト面で不利であるとともに、その帯電防止効果の発現機構上、機械的せん断力が必要となり、成型方法が限定されるという課題を有していた。
本発明は、長期間にわたり帯電防止効果に優れ、廃棄処分に際しては環境負荷が小さく、使用に際しては腐食性が改善された導電性付与剤及び導電性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体からなる高分子成分に、窒素オニウム塩及び/または金属塩類からなるイオン塩を含有させてなる導電性付与剤が、長期間にわたって、耐ブリード性に優れ、帯電防止効果が高く、また使用時における腐食性が改善され、上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子成分に、下記一般式〔1〕〜〔3〕で表される窒素オニウム塩と金属塩類とからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン塩を含有させてなることを特徴とする導電性付与剤である。
一般式〔1〕中、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは、0または1〜7の正整数を、nは、炭素数3〜7の正整数を、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を、Aは、アニオン成分を表す。
一般式〔2〕中、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは、0または1〜7の正整数を、nは、炭素数3〜7の正整数を、R1は、炭素数1〜8のアルキル基を、Aは、アニオン成分を表す。
一般式〔3〕中、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基を、k及びiは、0または1〜4の正整数を、n及びmは、炭素数3〜7の正整数を、Aは、アニオン成分を表す。
また、本発明は、金属塩類が、Liイオン、Naイオン及びKイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属カチオンを含有する金属塩であることを特徴とする導電性付与剤である。
また、本発明は、高分子成分中の官能基が、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基及びグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性付与剤である。
また、本発明は、熱可塑性樹脂に、上記導電性付与剤を含有させてなることを特徴とする導電性樹脂組成物であり、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル及びエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする導電性樹脂組成物である。
本発明の導電性付与剤は、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体からなる高分子成分と、窒素オニウム塩と金属塩類とからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン塩を含有させてなり、該導電性付与剤は、長期間にわたって、耐ブリード性に優れ、帯電防止効果に優れている。
また、該導電性付与剤を含有させてなる本発明の導電性樹脂組成物は、耐ブリード性、帯電防止効果に加えて、成型方法が制限されず、廃棄処分に際しては環境負荷が小さく、使用に際しては腐食性が改善され、優れた特性を有する。
本発明は、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体から選ばれる少なくとも1種類の高分子成分に、前記一般式〔1〕〜〔3〕で表される窒素オニウム塩と金属塩類とからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン塩を含有させてなる導電性付与剤であり、また、本発明は、熱可塑性樹脂に、該導電性付与剤を含有させてなる導電性樹脂組成物である。
以下、本発明の導電性付与剤について詳細に説明する。
本発明に用いられるイオン塩としては、窒素オニウム塩及び/または金属塩類が使用可能であり、該窒素オニウム塩としては、一般式〔1〕〜〔3〕で表されるイオン塩があげられる。
前記一般式〔1〕において、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは、0または1〜7の正整数を、nは、炭素数3〜7の正整数を、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を、Aは、アニオン成分を表し、Xの炭素数が5以上である場合、R1及びR2の炭素数が9以上である場合、及びnの炭素数が8以上の場合には、オニウム塩の分子サイズが大きくなり、得られる導電性樹脂組成物の導電性が低下するという不都合がある。
前記一般式〔2〕において、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは、0または1〜7の正整数を、nは、炭素数3〜7の正整数を、R1は、炭素数1〜8のアルキル基を、Aは、アニオン成分を表し、Xの炭素数が5以上である場合、R1の炭素数が9以上である場合、及びnが8以上の場合には、オニウム塩の分子サイズが大きくなり、得られる導電性樹脂組成物の導電性が低下するという不都合がある。
前記一般式〔3〕において、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基を、k及びiは、0または1〜4の正整数を、n及びmは、炭素数3〜7の正整数を、Aは、アニオン成分を表すし、X及びYの炭素数が5以上である場合、並びに、n及びmが8以上の場合には、オニウム塩の分子サイズが大きくなり、得られる導電性樹脂組成物の導電性が低下するという不都合がある。
上記一般式〔1〕で表される窒素オニウム塩のカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N,N−ジエチルピロリジニウムイオン、N,N−ジ-n-プロピルピロリジニウムイオン、N,N−ジ-n-ブチルピロリジニウムイオン、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N,N−ジエチルピぺリジニウムイオン、N,N−ジ-n-プロピルピぺリジニウムイオン、N,N−ジ-n-ブチルピぺリジニウムイオンなどがあげられる。
上記一般式〔2〕で表される塩のカチオンとして例えば、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−n-プロピルピリジニウムイオン、N−n-ブチルピリジニウムイオン、N−n-ペンチルピリジニウムイオン、N−n-ヘキシルピリジニウムイオン、N−n-ヘプチルピリジニウムイオン、N−n-オクチルピリジニウムイオンなどがあげられる。
上記一般式〔3〕で表される塩のカチオンとして例えば、スピロ−(1,1’)−ビアザシクロブチルイオン、アザシクロペンタン−1−スピロ−1’−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1’−アザシクロブチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1’− アザシクロブチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1’− アザシクロブチルイオン、スピロ−(1,1’)−ビアザシクロペンチルイオン、アザシクロヘキサン−1−スピロ−1’−アザシクロペンチルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1’−アザシクロペンチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1’−アザシクロペンチルイオン、スピロ−(1,1’)−ビアザシクロヘキシルイオン、アザシクロヘプタン−1−スピロ−1’−アザシクロヘキシルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1’−アザシクロヘキシルイオン、スピロ−(1,1’)−ビアザシクロヘプチルイオン、アザシクロオクタン−1−スピロ−1’−アザシクロヘプチルイオン、スピロ−(1,1’)−ビアザシクロオクチルイオンなどがあげられる。
一般式〔1〕〜〔3〕で表されるアニオン成分Aとしては、ヘキサフルオロ燐酸イオン(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 −)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 −)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3CO2 −)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン((CF3SO2)2N−)、ペルフルオロブタンスルホン酸イオン(C4F9SO3 −)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン((CF3SO2)3C−)などがあげられ、一般式〔1〕〜〔3〕で表される窒素オニウム塩を単独で用いるか、または複数を混合して用いることができる。
本発明に用いられる金属塩類としては、例えば、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6)、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム(NaPF6)、ヘキサフルオロ燐酸カリウム(KPF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム(LiSbF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム(NaSbF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム(KSbF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)、テトラフルオロホウ酸カリウム(KBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム (NaCF3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム(KCF3SO3)、トリフルオロ酢酸リチウム(LiCF3CO2)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(NaCF3CO2)、トリフルオロ酢酸カリウム(KCF3CO2)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CF3SO2)2N)、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Na(CF3SO2)2N)、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(K(CF3SO2)2N)、ペルフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロブタンスルホン酸ナトリウム(NaC4F9SO3)、ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム(KC4F9SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(Li(CF3SO2)3C)、ナトリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(Na(CF3SO2)3C)、カリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(K(CF3SO2)3C)などがあげられ、これらの金属塩を単独で用いるか、または複数を混合して用いることができる。
本発明の導電性付与剤に用いられる高分子成分は、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体からなり、単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有アクリル酸エステル;塩素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のハロゲン化(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体などがあげられる。
また、高分子成分中の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基及びグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、これらの成分で構成される高分子成分は、単独で用いるか、または複数混合して用いることができる。
本発明の導電性付与剤は、通常、上記高分子成分1〜99質量%、イオン塩を1〜99質量%の割合で混合溶解することにより調製される。
次に、本発明の導電性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の導電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に本発明の導電性付与剤を含有させてなるものであり、通常、熱可塑性樹脂40〜99.5質量%に、本発明の導電性付与剤を0.5〜60質量%含有させて調製される。
熱可塑性樹脂に対して、導電性付与剤の含有量が、0.5質量%未満では、導電性が不足し、また、60質量%超では、導電性は十分であるが、基材表面がブリードし易く、不都合である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル等のポリオレフィン系樹脂及びその組成物、ポリアセタール、ポリアクリレート、アクリル樹脂及びその組成物、ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」と略記する。)、PPE/ポリスチレン、PPE/ポリアミド(以下、「PA」と略記する。)、PPE/ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と略記する。)等のポリフェニレンエーテル系樹脂及びその組成物、ポリエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する。)、PBT/ABS等のポリエステル系樹脂及びその組成物、ポリカーボネート(以下、「PC」と略記する。)、PC/ABS、PC/PET、PC/PBT等ポリカーボネート系樹脂及びその組成物、ポリウレタン及びその組成物、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリフェニレンサルファイド系樹脂及びその組成物、およびポリサルホン等があげられ、導電性に優れる点から好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂である。これらの樹脂は単独で用いるか、もしくは、複数を混合して用いることができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を加えて混合し、フィルム状あるいはシート状等、所望の形状に成形して製造することができる。
一例をあげれば、分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体より選ばれる高分子成分を加熱溶融し、所定量のイオン塩を加え、加熱混練して導電性付与剤を調製し、ついで加熱溶融した熱可塑性樹脂に、先に調製した導電性付与剤を所定量加え、加熱混練させた後、フィルム状あるいはシート状等、所望の形状に成形する方法があげられる。
以下、本発明を、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例により、なんら限定されない。実施例中の「部」は「質量部」を表す。
実施例1
混練機(CS−194、Custom Scientific Instruments社製。以下、「混練機」と称する。)中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3500、主鎖骨格:アクリル酸−2−エチルヘキシル、分子内官能基:水酸基)90部に、イオン塩であるN,N−ジメチルピロリジニウムヘキサフルオロ燐酸塩40部を加えた後、加熱混練して導電性付与剤を得た。
混練機(CS−194、Custom Scientific Instruments社製。以下、「混練機」と称する。)中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3500、主鎖骨格:アクリル酸−2−エチルヘキシル、分子内官能基:水酸基)90部に、イオン塩であるN,N−ジメチルピロリジニウムヘキサフルオロ燐酸塩40部を加えた後、加熱混練して導電性付与剤を得た。
ついでテストロール機(HR−2型、日新科学(株)製。以下、「テストロール機」と称する。)中、温度100℃で加熱溶融させたアクリル樹脂(アクリペットIR H−70、三菱レーヨン(株)製)100部に、先に得られた導電性付与剤20部を添加し、加熱混練し、厚さ1mmのシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、デジタル超高抵抗計(R8340、(株)アドバンテスト製)を用いて表面抵抗を測定した結果、初期表面抵抗は、1×108Ω/□であり、帯電防止効果に十分な導電性が得られた。また耐ブリード性の試験については、表面をアセトンにより洗浄した後、表面抵抗を測定することによりおこない、その結果、表面抵抗は、4×108Ω/□となり、ブリードは認められなかった。結果を表1に示す。
実施例2
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3000、主鎖骨格:アクリル酸ブチル、分子内官能基:カルボキシル基)90部に、イオン塩であるN−n−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩20部を加えた後、加熱混練して導電性付与剤を得た。
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3000、主鎖骨格:アクリル酸ブチル、分子内官能基:カルボキシル基)90部に、イオン塩であるN−n−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩20部を加えた後、加熱混練して導電性付与剤を得た。
ついでテストロール機中、温度180℃で加熱溶融させたポリウレタン樹脂(パンデックスT−8190N;大日本インキ化学工業(株)製)100部に、先に得られた導電性付与剤40部を添加し、加熱混練し、厚さ1mmのシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、実施例1と同様にして表面抵抗を測定した結果、1×107Ω/□であり、帯電防止効果に十分な導電性が得られ、また、耐ブリード性試験後の表面抵抗は、6×107Ω/□となり、ブリードは認められなかった。結果を表1に示す。
実施例3
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3000、主鎖骨格:アクリル酸−2−エチルヘキシル、分子内官能基:カルボキシル基)90部に、イオン塩であるアザシクロヘプタン−1−スピロ−1’−アザシクロペンチルトリフルオロメタンスルホン酸塩10部を加えて、導電性付与剤を得た。
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3000、主鎖骨格:アクリル酸−2−エチルヘキシル、分子内官能基:カルボキシル基)90部に、イオン塩であるアザシクロヘプタン−1−スピロ−1’−アザシクロペンチルトリフルオロメタンスルホン酸塩10部を加えて、導電性付与剤を得た。
ついでテストロール機中、温度160℃で加熱溶融させたエチレン−酢酸ビニル共重合体(NUC―3830;日本ユニカー(株)製)100部に、先に得られた導電性付与剤10部を添加し、加熱混練し、厚さ1mmのシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、実施例1と同様にして初期表面抵抗を測定した結果、5×107Ω/□であり、帯電防止効果に十分な導電性が得られ、また、耐ブリード性試験後の表面抵抗は1×108Ω/□となり、ブリードは認められなかった。結果を表1に示す。
実施例4
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3500、主鎖骨格:メタクリル酸メチル、分子内官能基:水酸基)90部に、イオン塩であるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド20部を加えて、導電性付与剤を得た。
混練機中、温度70℃で加熱溶融させたアクリル系重合体(分子量:3500、主鎖骨格:メタクリル酸メチル、分子内官能基:水酸基)90部に、イオン塩であるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド20部を加えて、導電性付与剤を得た。
ついでテストロール機中、温度130℃で加熱溶融させた低密度ポリエチレン(スミカセン68;三井住友ポリオレフィン(株)製)100部に、先に得られた導電性付与剤20部を添加し加熱混練し、厚さ1mmのシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、実施例1と同様にして初期表面抵抗を測定した結果、表面抵抗は4×108Ω/□であり帯電防止効果に十分な導電性が得られ、また、耐ブリード性試験後の表面抵抗は、7×108Ω/□となり、ブリードは認められなかった。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、導電性付与剤にアクリル系重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にしてシート状導電性樹脂組成物を得た。
実施例1において、導電性付与剤にアクリル系重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にしてシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、実施例1と同様にして初期表面抵抗を測定した結果、表面抵抗は2×109Ω/□であり、帯電防止効果にやや劣る結果となった。また、耐ブリード性試験後の表面抵抗は、7×1014Ω/□となり、ブリードが認められた。結果を表1に示す。
比較例2
実施例2において、導電性付与剤にアクリル系重合体を添加しない以外は、実施例2と同様にしてシート状導電性樹脂組成物を得た。
実施例2において、導電性付与剤にアクリル系重合体を添加しない以外は、実施例2と同様にしてシート状導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物について、実施例1と同様にして初期表面抵抗を測定した結果、表面抵抗は5×108Ω/□であり、帯電防止効果に十分な導電性が得られたものの、耐ブリード試験後の表面抵抗は、3×1012Ω/□となり、ブリードが認められた。結果を表1に示す。
本発明の導電性付与剤は、特定のアクリル系重合体からなる高分子成分に、窒素オニウム塩と金属塩類とからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン塩を含有させてなり、該導電性付与剤は、長期間にわたって、ブリード防止効果及び帯電防止効果に優れている。
また、上記導電性付与剤を含有させてなる本発明の導電性樹脂組成物は、耐ブリード性、帯電防止効果に加えて、成型方法が制限されず、廃棄処分に際しては環境負荷が小さく、使用に際しては腐食性がないといった、優れた特性を有しており、帯電防止を要する樹脂等の成型品や包装材料の他、各種メーター類の窓、テレビのブラウン管、クリーンルームの窓、携帯電話等の液晶表示パネル、電磁場遮断壁などの用途においても、適用可能である。
Claims (6)
- 分子内に少なくとも1つの官能基を有するアクリル系重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子成分に、下記一般式〔1〕〜〔3〕で表される窒素オニウム塩と金属塩類とからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン塩を含有させてなることを特徴とする導電性付与剤。
- 金属塩類が、Liイオン、Naイオン及びKイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属カチオンを含有する金属塩であることを特徴とする請求項1記載の導電性付与剤。
- 高分子成分中の官能基が、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基及びグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性付与剤。
- 熱可塑性樹脂に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性付与剤を含有させてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
- 請求項4に記載の導電性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂が40〜99.5質量%、及び請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性付与剤が0.5〜60質量%含有されてなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル及びエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
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