JP2006038179A - 流体軸受装置 - Google Patents

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Akira Sakata
章 坂田
Takafumi Asada
隆文 淺田
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Abstract

【課題】流体軸受装置のオイル中の空気(気泡)をオイルから分離し、空気のみを外部へ排気するとともに、オイルの不足が生じたときでも軸受内でオイル切れが生じないようにすること。
【解決手段】流体軸受装置のオイルを循環させ、気泡を含んだオイルをスリーブと上部カバーとの間に形成した傾斜部を有するオイル溜まりへ導入する。オイル溜まりに入ったオイルはスリーブと上部カバーの間の狭い隙間を毛管現象により通り抜けて、軸と軸受穴の間に環流する。オイル溜まりに達した気泡を含むオイルが、スリーブと上部カバーの間の広い隙間に至ると、気泡とオイルは分離され気泡(空気)は排気孔から外部へ排出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体の動圧を利用する流体軸受装置に関する。
近年ハードディスク装置など回転するディスクを用いるデータ記憶装置では、その記憶容量を増大させるとともに、データの転送速度を高速化することが求められている。転送速度を高くするためには、ディスクの高速回転と高精度回転が必要であることから、ディスク回転装置の回転軸部には流体軸受装置が用いられている。
このような流体軸受装置の従来例を図3を参照して説明する。図3は特開平11−82486号公報に示されている流体軸受装置の断面図である。図において、両端部にそれぞれ径方向フランジ3及び4を有する軸1が、スリーブ2の軸受穴2aに挿入されている。軸1の外周面には動圧溝6が形成されており、軸1とスリーブ2の間の隙間には流体が充填されてラジアル動圧軸受部が形成されている。フランジ3及び4の内側面にはそれぞれアキシアル動圧溝8、10が形成され、アキシアル動圧軸受部が形成されている。スリーブ2には、軸1に平行な複数の圧力平衡用通路11が形成されており、フランジ3と、スリーブ2の上端面とで形成される空間と、フランジ4と、スリーブ2の下端面とで形成される空間とを連通している。スリーブ2の上端部には、フランジ3の外周に近接して対向する流体閉鎖部材14が設けられている。またスリーブ2の下端部には、フランジ4の外周に近接して対向する流体閉鎖用部材15が設けられている。前記近接対向するフランジ3の外周面と流体閉鎖用部材14の内周面とにより、流体の張力を利用する流体密封部20が形成されている。同様にして、近接対向するフランジ4の外周面と流体閉鎖用部材15の内周面とにより流体密封部21が形成されている。
この流体軸受装置の回転動作時には、流体が圧力平衡用通路11内を移動することによって圧力のバランスが維持される。流体閉鎖用部材14及び15のそれぞれの円すい面18及び19により形成される流体貯留空間22、23には流体が貯留されるため、流体の流体密封部20、21からの漏れが防止される。流体貯留空間22と23との間で流体に圧力差が生じると、流体は圧力平衡用通路11を通って圧力の高い方から低い方に移動する。流体貯留空間22と23との間の圧力差が解消されると流体の移動は停止する。
特開平11−82486号公報
前記従来例の流体軸受装置では、圧力平衡用通路11を通って流体が流れることで流体貯留空間22と23の圧力の不均衡は解消される。しかし、圧力不均衡が解消された後は流体の流れは止まる。この流体軸受装置が正常に回転をしているときには圧力の不均衡が生じることはないので、軸1とスリーブ2との間、流体貯留空間22、23、圧力平衡用通路11に充填されている流体には循環、すなわち連続的な一方向への移動が生じることはない。
流体軸受装置では、組立て工程の流体の充填時にはあらかじめ空気(気泡)を除去した流体を用いるが、完全に空気を除去するのはむずかしい。また回転動作中に流体の中に空気が小さな気泡となって混入することがある。空気が混入すると、軸受の剛性が低下するので好ましくない。
前記従来の流体軸受装置では、流体中に混入した気泡は、流体貯留空間22、23の流体密封部20、21の近傍に達すると、空気と流体との粘性の差によって空気のみが流体密封部20、21の隙間から大気中に逃げる。しかしこの従来の流体軸受装置では、圧力の不均衡が生じたとき以外は流体の循環がないので、流体密封部20、21以外の部分の流体に混入している気泡はいつまでも流体中に滞留することになる。
気泡が前記流体密封部20、21の隙間を通って大気中へ脱出するとき、流体が微小な粒となって大気中に出てゆくことがある。このようにして流体が外部へ漏れ出ると、流体軸受内の流体が不足して軸受剛性の低下を引起こすとともに、流体軸受の寿命が短くなることがある。
本発明は、流体軸受装置の動作中に、流体軸受内を潤滑流体が循環して潤滑流体中の気泡が効率よく除去されるとともに、潤滑流体が外部へ漏れることのない流体軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の流体軸受装置は、軸と、前記軸が相対的に回転可能に挿入される開放端と挿入された軸の端面に対向する非開放端を有する軸受穴が形成されたスリーブとを備え、前記軸の外周面及び前記スリーブの軸受穴の内周面の少なくとも一方に、前記軸をラジアル方向において前記スリーブに非接触で支持するラジアル動圧発生溝を形成し、前記軸の端部及び前記軸の端部に対向する軸受穴の非開放端の少なくとも一方に、前記軸をスラスト方向において非接触で支持する少なくとも1つのスラスト動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブとの間に潤滑剤を充填した流体軸受装置であって、前記スリーブは、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面と、前記非開放端を含むスラスト動圧発生溝近傍の領域とを連通する少なくとも1つの連通路を有し、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面に、前記連通路からの潤滑剤が毛管現象により前記軸受穴に流入するように少なくとも1つの隙間を前記連通路の開口部の近傍領域に形成し、かつ前記潤滑剤中に含まれる空気が潤滑剤から分離されるように毛管現象が生じない大きな空間を前記連通路の開口部近傍に設けた隙間以外の位置に形成し、かつ分離された空気を排気するための、前記大きな空間を外気に連通する少なくとも1つの排気孔を有する、カバーを更に設けたことを特徴とする。
この発明によれば、スリーブの軸受穴の開放端を含む領域と非開放端を含む領域とを連通路により連通させ、軸と軸受穴との間に充填されている潤滑剤を、前記連通路を経て循環させる。軸受穴の開放端を含むスリーブの端部にカバーを設け、連通路からの潤滑剤が溜まる空間を形成する。この空間の軸受穴の開放端近傍では、カバーとスリーブの端部との間隔を、潤滑剤が毛管現象により軸受穴に流入するように設定することにより、潤滑剤は前記空間から軸受穴に流入する。前記潤滑剤中の空気(気泡)は前記空間の毛管現象が生じない程度の大きな部分で潤滑剤から分離され排気孔から排出される。
本発明の他の観点による流体軸受装置は、軸と、前記軸が相対的に回転可能に挿入される開放端と挿入された軸の端面に対向する非開放端を有する軸受穴が形成されたスリーブとを備え、前記軸の外周面及び前記スリーブの軸受穴の内周面の少なくとも一方に、前記軸をラジアル方向において前記スリーブに非接触で支持するラジアル動圧発生溝を形成し、前記軸の端部及び前記軸の端部に対向する軸受穴の非開放端の少なくとも一方に、前記軸をスラスト方向において非接触で支持する少なくとも1つのスラスト動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブとの間に潤滑剤を充填した流体軸受装置であって、前記スリーブは、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面と、前記非開放端を含むスラスト動圧発生溝近傍の領域とを連通する少なくとも1つの連通路を有し、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面に、前記連通路からの潤滑剤が毛管現象により前記軸受穴に流入するように少なくとも1つの隙間を前記連通路の開口部の近傍領域に形成し、かつ前記潤滑剤中に含まれる空気が潤滑剤から分離されるように毛管現象が生じない大きな空間を前記連通路の開口部近傍に設けた隙間以外の位置に形成するための、カバーを更に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、スリーブの軸受穴の開放端を含む領域と非開放端を含む領域とを連通路により連通させ、軸と軸受穴との間に充填されている潤滑剤を、前記連通路を経て循環させる。軸受穴の開放端を含むスリーブの端部にカバーを設け、連通路からの潤滑剤が溜まる空間を形成する。この空間の軸受穴の開放端近傍では、カバーとスリーブの端部との間隔を、潤滑剤が毛管現象により軸受穴に流入するように設定することにより、潤滑剤は前記空間から軸受穴に流入する。前記潤滑剤中の空気(気泡)は前記空間の毛管現象が生じない程度の大きな部分で潤滑剤から分離される。
本発明によれば、軸の回転動作中にラジアル軸受部にあるオイル(潤滑剤)はスラスト軸受部に向って流れ、連通孔を通ってスリーブの端部とカバー間に形成されたオイル溜まりに至り、オイル溜まりの狭い隙間を毛管現象によって通りラジアル軸受部に環流する。オイルの環流中に、オイル中に気泡として含まれる空気はオイル溜まりでオイルから分離され空気のみが排気孔から外部へ放出されるのでオイル中の空気は徐々に除去される。また排気孔からオイルが漏出することはないのでオイルの減少を抑制できる。長期間の使用によりオイルが蒸発して減少した場合には、オイルは連通孔近傍のスリーブと上部カバーとの間の狭い隙間を毛管現象により通り抜けてラジアル軸受部に環流するので、オイル切れが生じるおそれはなく長寿命かつ高信頼性の流体軸受装置が実現できる。
本発明の流体軸受装置の好適な実施例を図1及び図2を参照して説明する。
図1は本実施例の流体軸受装置を有するスピンドルモータの断面図である。図2の(a)は、本実施例の流体軸受装置の上面図であり、図2の(b)は図2の(a)のIIb−IIb断面図である。
図1において、軸31はスリーブ32の軸受穴32aに回転可能に挿入されている。軸31には、スピンドルモータのロータマグネット33を有する回転体であるハブ34が取付けられている。スリーブ32はベース37に取付けられており、ベース37には、ロータマグネット33に対向するようにステータ39が設けられている。スリーブ32の図において下部の開口には、スラスト板40がこの開口を密閉するように取付けられている。軸受穴32aの内周面には当技術分野では周知である魚骨状のラジアル動圧発生溝42及び43が形成されてラジアル軸受部が構成されている。図において上側の動圧発生溝42は、軸受の剛性設計の理由で下側の動圧発生溝43よりも軸方向の長さが長くなされている。軸31の下端にはスラストフランジ41が設けられている。スラストフランジ41とスラスト板40のそれぞれの対向面のいずれか一方、及びスリーブ32とスラストフランジ41の対向面のいずれか一方、及びスリーブ32とスラストフランジ41の対向面のいずれか一方に周知の形状のスラスト動圧発生溝(図示省略)が形成されてスラスト軸受部が構成されている。なお、ラジアル動圧発生溝42、43は軸31の外周面に形成してもよい。
スリーブ32には軸受穴32aの軸心にほぼ平行な連通路である連通孔45が設けられている。連通孔45の直径は例えば0.2mm〜0.6mm程度であり、下部開口はスラスト軸受部に連通している。連通孔45の上部開口はスリーブ32の上端面32bにある。
スリーブ32の上端面32bを含む上端部には上部カバー47が設けられている。上部カバー47について図2の(a)及び(b)を参照して詳細に説明する。図2の(a)は、流体軸受装置の上面図であり、同(b)は(a)のIIb−IIb断面図である。図2の(a)及び(b)において、上部カバー47は、スリーブ32の上端面32bを覆うキャップ形状を有し、中央部には軸31が貫通する貫通孔47aを有する。上部カバー47は、図2の(b)に示すようにスリーブ32の上端部に取付けられ、円環状の下端部47bは接着剤47c等によってスリーブ32に接着され密閉シールが施されている。上部カバー47をスリーブ32に取付けるとき、上部カバー47の内側の、図2の(a)において「L」で示す範囲に形成された平面部48が、スリーブ32の連通孔45の開口に対向するように位置決めする。平面部48のLの範囲は、図2の(a)では平行線で区切られた長方形領域になっているが扇形領域でもかまわない。原理的には連通孔の直径以上の幅があればよいが、実際はスリーブとカバーの位置決め公差を考慮した大きめの寸法としなければならないので、例えば連通孔を中心として全円周の6分の1程度であれば実用上問題ない。毛管現象は狭い隙間を流体が通過する現象であり、一般に隙間が狭いほど毛管現象が生じやすい。隙間がある限度を超えて大きくなると、毛管現象は生じない。
上部カバー47の内面の、前記平面部48を除く部分は、図2の(b)の断面図の右側に示されているように、貫通孔47aの内周面からラジアル方向に向かって徐々に凹みが大きくなるように斜面49にされている。上部カバー47をスリーブ32に取付けた状態では、上部カバー47の斜面49とスリーブ32の上端面32bとの間の隙間は、毛管現象が生じるように貫通孔47aの内周面近傍で最も狭くなっており、その寸法は例えば0.04〜0.06mm程度である。平面部48とスリーブ32の上端面32bとの間隔は、この寸法以下に設定することが望ましい。上部カバー47の斜面49とスリーブ32の上端面32bとの間の隙間(以下、オイル溜まり55という)はラジアル方向で外周に向かって徐々に大きくなり、スリーブ32の外周近傍では毛管現象が生じないような大きな寸法の例えば0.15〜0.25mm程度である。平面部48の幅Lは、連通孔45の径よりも大きく設定することが望ましい。図2に示す本実施例では、連通孔45と平面部48をそれぞれ1つづつ設けているが、それぞれを複数設けてもよいことは言うまでもない。なお、スリーブ32の上端面32bと上部カバー47の平面部48との間の隙間は、上端面32bと上部カバー47の斜面49との間の最も狭い隙間に等しいかそれより狭いのが望ましい。
上部カバー47には、オイル溜まり55の外周部の、前記平面部48から離れた位置に、直径が例えば0.2mm〜0.6mm程度の排気孔52が設けられている。図2の(a)では、前記排気孔52は、平面部48の中央部(連通孔45の開口部付近)の、中心Cに対してほぼ点対称の位置に設けられており、この位置が排気孔52からのオイルの漏出を避ける点で最も好ましい。上部カバー47の内側の排気孔52の周囲には座ぐりにより凹部50が形成されている。もし、斜面49または大きな空間55に排気孔を設けると、オイルの膨張等によりオイルが排気孔に達した場合、毛管現象によって排気孔に吸い上げられ、外部へ漏れるおそれがある。これを防ぐため、斜面49と排気孔52の間に毛管現象が生じない広い空間を形成するために凹部50を設けている。この凹部50は、図の左右方向の断面の面積が、図の上下方向でほぼ一定である筒状の空間であるのが望ましく、このような凹部50は例えば、座ぐり加工等で簡単に形成することができる。また座ぐりに限らず他の加工法により形成した任意の形状の空間であっても前記の条件を満たす筒状の空間であればよい。軸31とスリーブ32の間、スラスト板40をスラストフランジ41との間及び上部カバー47とスリーブ32の上端面32bとの間にはオイルなどの潤滑剤が充填されている。オイルの充填量は、オイルを充填した状態で、図2の(b)に示すようにオイル面57が凹部50には入らないように設定されている。
以上のように構成された本実施例の流体軸受装置の動作を説明する。図1において、ステータ39に通電すると、ロータマグネット33は駆動力を受け、ハブ34、軸31は図2の(a)に矢印Rで示すように反時計方向に回転する。軸31が回転すると、軸31とスリーブ32の軸受穴32aの間に存在するオイルには動圧発生溝42及び43によりラジアル方向の動圧が発生して軸31はスリーブ32に非接触で回転する。また軸31の下端のフランジ41に設けられたスラスト動圧発生溝(図示省略)によりスラスト方向の動圧が発生して、軸31はスラスト板40に非接触で回転する。軸31が回転すると軸31と軸受穴32aとの間のオイルはラジアル動圧発生溝42により図の下方のフランジ41の方へ移動する。これは、ラジアル動圧発生溝42の左から右上へ向かう溝42aの長さが、左から右下へ向かう溝42bの長さより長くなされているので、ラジアル動圧発生溝42近傍のオイルは図の下方に押されるからであり、この構成は当技術分野では周知である。下方へ移動したオイルは矢印で示すように連通孔45を通って上昇し、スリーブ32の上端面32bと上部カバー47との間の隙間のオイル溜まり55に流入する。
オイル溜まり55のオイルは毛管現象により、スリーブ32の上端面32bと、上部カバー47の貫通孔47a近傍の内側面との間の狭い隙間を通って軸1と軸受穴32aとの間の隙間へ流入して環流する。すなわち、オイルは、軸31と軸受穴32aとの間、スリーブ32の下端部とフランジ41との間、連通管45、オイル溜まり55及び軸31と軸受穴32aの間を循環する。オイル溜まり55は図2の(a)に示すように円環状の空間であるので、連通管45から平面部48に入ったオイルはこの円環状の空間に広がる。軸31と軸受穴32aとの間及びフランジ41とスリーブ32の下端部との間のオイルに混入している気泡はオイルと共に移動するので、気泡は連通管45を通って上昇するオイルと共に上昇し、オイル溜まり55に至る。オイル溜まり55は毛管現象が生じないような大きな空間である。オイル溜まり55においてオイルと空気とは、それぞれの表面張力及び比重の違いによって互に分かれ、オイルは毛管現象により上部カバー47の貫通孔47a近傍の狭い隙間に集まる。また空気は上部カバー47とスリーブ32の上端面32bとの間でオイル溜まり55の外周部の広い空間に集まる。
前記外周部に集まった空気は凹部50に設けられた排気孔52に達すると外部へ出てゆく。このようにオイルは流体軸受装置内を循環するので、組立時等にオイルに気泡として混入した空気は流体軸受装置の動作中に徐々に除去されてゆく。このとき空気と一緒にオイルが外部へ出てゆくことはほとんどない。その理由は、オイルは毛管現象により、上部カバー47の傾斜部49とスリーブ32の上端面32bの内周部との狭い隙間に集まるので、排気孔52のある凹部50近傍の広い空間にはオイルはほとんど存在しないからである。すなわち本発明では、上部カバー47の、スリーブ32の上端面32bとの対向面をラジアル方向に傾斜する面にすることにより、オイルは毛管現象により内周部に集まりやすい。十分な量のオイルが充填されているとき、オイル面57が直接排気孔52の近傍にきていると、熱等によりオイルが膨張したとき、排気孔を通ってオイルが漏出するおそれがある。本実施例ではこれを防ぐため、毛管現象によりオイルが流入可能な空間よりも大きい空間の凹部50を設け、凹部50の頂部に排気孔52を設けている。大きい空間である凹部50には毛管現象が生じないので、オイルが凹部50に入りにくい。これにより、凹部50にオイルが流入するのを防止し、排気孔52からのオイルの漏出を防いでいる。本実施例の流体軸受装置は動作中にオイルが外部へ漏れ出ることがないので、長寿命かつ安定した動作ができる流体軸受装置を実現できる。
流体軸受装置のオイルは若干蒸発し、長期間使用すると徐々に減少することが知られている。本実施例の流体軸受装置では、オイルが蒸発して減少すると、オイル溜まり55の傾斜部49にはオイルが溜まらなくなる。このような状態になると連通孔45を通って循環するオイルはスリーブ32の平面部48と上部カバー47との間の狭い隙間を毛管現象によって通り、軸31と軸受穴32aとの間に流入して循環する。従ってオイルが多少不足ぎみの状態になると、まずオイル溜まり55にあるオイルは毛管現象によって、貫通孔47aに向かって徐々に隙間が狭くなっている傾斜部49とスリーブ32の上端面32bとの間に移る。オイルがさらに減少すると、傾斜部49のオイルは貫通孔47a近傍の傾斜部49と上端面32bとの隙間に移る。オイルがさらに減少して傾斜部49と上端面32との隙間にほとんど存在しなくなると、連通孔45を通って平面部48の隙間に達したオイルは、この隙間を通って内周部に移動し軸31と軸受孔32aとの隙間に流入する。従って軸31と軸受穴32aとの間ではオイル不足による油膜切れが生じるおそれはない。
本実施例によれば、スリーブ32の上端面32bは平面であるので、スリーブ32の加工工程は少なく加工コストは低い。上端面32bが平面でなく、すり鉢状や山状の場合は、上部カバー47の形状もそれに合わせて、平面部48では上端面32bとカバー47が常に平行になるようにするのが望ましい。上部カバー47の材料は、線膨張係数がスリーブ32の材料にできるだけ近いものがよい。例えばスリーブ32が真ちゅうの場合は、上部カバー47の材質は真ちゅう、アルミニウム、SUS303、SUS304等が望ましい。しかし、他の金属や樹脂を使用しても実用上問題はない。なお、図1ではアウターロータ型モータの例について説明したが、インナーロータ型モータにおいても同様の効果が得られることは言うまでもない。傾斜部49、凹部50及び排気孔52等の複雑な形状を有する構造はすべて上部カバー47に形成しているが、上部カバー47は、精密プレス、樹脂の精密射出成形など高能率かつ低コストの製法で製作可能であるので、構造の複雑なスリーブ32の上端面32bに加工しなくてもよいことと相まってトータルの製造コストが低減され、生産性の向上を図ることができる。
本発明は、長寿命かつ高信頼性の流体軸受装置に利用可能である。
本発明の実施例の流体軸受装置を有するスピンドルモータの断面図である。 (a)は本発明の実施例の流体軸受装置の要部の上面図である。(b)は(a)のIIb−IIb断面図である。 従来の流体軸受装置の断面図である。
符号の説明
31 軸
32 スリーブ
32a 軸受穴
32b 上端面
33 ロータマグネット
34 ハブ
37 ベース
39 ステータ
40 スラスト板
41 フランジ
42、43 ラジアル動圧発生溝
45 連通孔
47 上部カバー
48 平面部
49 傾斜部
50 凹部
52 排気孔
55 オイル溜まり

Claims (7)

  1. 軸と、前記軸が相対的に回転可能に挿入される開放端と挿入された軸の端面に対向する非開放端を有する軸受穴が形成されたスリーブとを備え、
    前記軸の外周面及び前記スリーブの軸受穴の内周面の少なくとも一方に、前記軸をラジアル方向において前記スリーブに非接触で支持するラジアル動圧発生溝を形成し、前記軸の端部及び前記軸の端部に対向する軸受穴の非開放端の少なくとも一方に、前記軸をスラスト方向において非接触で支持する少なくとも1つのスラスト動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブとの間に潤滑剤を充填した流体軸受装置であって、
    前記スリーブは、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面と、前記非開放端を含むスラスト動圧発生溝近傍の領域とを連通する少なくとも1つの連通路を有し、
    前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面に、
    前記連通路からの潤滑剤が毛管現象により前記軸受穴に流入するように少なくとも1つの隙間を前記連通路の開口部の近傍領域に形成し、
    かつ前記潤滑剤中に含まれる空気が潤滑剤から分離されるように毛管現象が生じない大きな空間を前記連通路の開口部近傍に設けた隙間以外の位置に形成し、
    かつ分離された空気を排気するための、前記大きな空間を外気に連通する少なくとも1つの排気孔を有する、
    カバーを更に設けたことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 軸と、前記軸が相対的に回転可能に挿入される開放端と挿入された軸の端面に対向する非開放端を有する軸受穴が形成されたスリーブとを備え、
    前記軸の外周面及び前記スリーブの軸受穴の内周面の少なくとも一方に、前記軸をラジアル方向において前記スリーブに非接触で支持するラジアル動圧発生溝を形成し、前記軸の端部及び前記軸の端部に対向する軸受穴の非開放端の少なくとも一方に、前記軸をスラスト方向において非接触で支持する少なくとも1つのスラスト動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブとの間に潤滑剤を充填した流体軸受装置であって、
    前記スリーブは、前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面と、前記非開放端を含むスラスト動圧発生溝近傍の領域とを連通する少なくとも1つの連通路を有し、
    前記軸受穴の開放端を含むスリーブの端面に、
    前記連通路からの潤滑剤が毛管現象により前記軸受穴に流入するように少なくとも1つの隙間を前記連通路の開口部の近傍領域に形成し、
    かつ前記潤滑剤中に含まれる空気が潤滑剤から分離されるように毛管現象が生じない大きな空間を前記連通路の開口部近傍に設けた隙間以外の位置に形成するための、
    カバーを更に設けたことを特徴とする流体軸受装置。
  3. 前記カバーは、前記連通路の開口を含む前記スリーブの端面を覆い、前記連通路の開口近傍においては、前記カバーと前記スリーブの端面との間隔を、前記潤滑剤が毛管現象で移動可能な寸法とし、前記連通路の開口から離れた部分においては、前記カバーと前記スリーブの端面との間の間隔を、前記軸受穴の開放端の近傍では前記潤滑剤が毛管現象で前記軸受穴に移動可能な寸法とし、前記軸受穴からラジアル方向に離れるに従い前記間隔が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の流体軸受装置。
  4. 前記排気孔が、前記連通孔の、軸の中心に対してほぼ点対称の位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は3記載の流体軸受装置。
  5. 前記連通路の開口部の近傍に形成した前記隙間が一定の隙間を保つように、前記スリーブの端面と前記カバーの内面とはほぼ平行であることを特徴とする請求項1又は2記載の流体軸受装置。
  6. 前記排気孔の近傍に、前記潤滑剤が毛管現象により流入可能な空間より大きい空間を設けたことを特徴とする請求項1又は4記載の流体軸受装置。
  7. 前記潤滑剤が毛管現象により流入可能な空間より大きい空間は、前記排気孔より大きい直径を有する筒状の空間であることを特徴とする請求項6記載の流体軸受装置。
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