JP2006037750A - 起風構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 起風状態を切り換え可能にする機構の装備による大型化や組み付け性の低下を回避しながら、その機構の構成に起因した異音の発生や機構の劣化を防止する。
【解決手段】 回転体36,39,46からの回転動力で回転軸心P1周りに回転駆動されるハブ41の外周部に、このハブ41との一体回転で起風する起風翼42を、軸心P2周りに姿勢変更可能に装備し、ハブ41の中心部に、ハブ41を回転体36,39,46に対して回転軸心P1に沿う方向に変位可能支持する支軸47を配備し、回転体36,39,46と起風翼42との間に、回転軸心P1に沿う方向での回転体36,39,46に対するハブ41の変位に伴って起風翼42を姿勢変更する連係機構61を介装し、ハブ41を変位操作する操作機構77を備え、回転体36,39,46に回転軸心P1に沿う方向でのハブ41の変位を許容しながらハブ41の外周部を支持する支持部38を備えた。
【選択図】 図5

Description

本発明は、ハブとその外周部に備えた起風翼との一体回転で起風する起風構造に関する。
上記のような起風構造としては、エンジンからの動力をウォータポンプや発電機などに伝達するベルト式伝動機構と、エンジンからの動力で駆動される冷却ファンとの間に、電動シリンダの作動で、ベルト式伝動機構における伝動ベルトの内周側に正転プーリを圧接して冷却ファンを正転駆動する状態と、その伝動ベルトの外周側に逆転プーリを圧接して冷却ファンを逆転駆動する状態とに切り換えるベルト式の機構を設けることで、冷却ファンの正転駆動により、外気をエンジンボンネットの吸気口からエンジンボンネット内に取り入れてエンジンなどを冷却する順風生起状態と、冷却ファンの逆転駆動により、外気取り入れの際にエンジンボンネットの防塵網に付着した塵埃などを機外に吹き飛ばして防塵網から除去する逆風生起状態とに切り換え可能に構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開平5−52243号公報
上記の従来構成では、ベルト式の機構によって順風生起状態と逆風生起状態とを切り換え現出することで、防塵網の目詰まりに起因した冷却能力の低下を招くことなくエンジンなどの冷却を行えるのであるが、そのベルト式の機構をベルト式伝動機構と冷却ファンとの間に配備することから、順風生起状態と逆風生起状態との切り換え現出を可能にするための全体構造が大型化する不都合を招くことになり、又、この大型化を抑制すると、ベルト式の機構を配備するための空間を、ベルト式伝動機構と冷却ファンとの間に確保することが難しくなることから、組み付け性が悪くなる不都合を招くことになる。
又、上記の従来構成では、ベルト式伝動機構の伝動ベルトに対するベルト式の機構における正転プーリ及び逆転プーリの圧接状態を変更して、それら正転プーリと逆転プーリと冷却ファンとの連動状態を現出する伝動ベルトの回動方向を切り換えることで、冷却ファンの回転方向が切り換えられて、冷却ファンが順風生起状態と逆風生起状態とに切り換えられることから、その切り換え操作時に、伝動ベルトのスリップに起因した異音の発生や伝動ベルトの劣化を招くことになる。
本発明の目的は、起風状態の切り換えを可能にする機構を装備することに起因した全体構造の大型化や組み付け性の低下を回避しながら、その機構の構成に起因した操作時における異音の発生や機構の劣化を防止することにある。
上記の課題を解決するための手段として、本発明では、回転体からの回転動力でその回転軸心周りに回転駆動されるハブの外周部に、このハブとの前記回転軸心周りでの一体回転で起風する起風翼を、前記回転軸心と交差する方向に設定した軸心周りでの姿勢変更が可能となるように装備し、前記ハブの中心部に、前記回転体に対する前記ハブの前記回転軸心に沿う方向での変位が可能となるように前記ハブと前記回転体とを支持する支軸を配備し、前記回転体と前記起風翼との間に、前記回転軸心に沿う方向での前記回転体に対する前記ハブの変位に伴って前記起風翼の姿勢が変更されるように前記回転体と前記起風翼とを連係する連係機構を介装し、前記ハブを前記回転軸心に沿う方向に変位操作する操作機構を備え、前記回転体に、前記回転軸心に沿う方向での前記ハブの変位を許容しながら前記ハブの外周部を支持する支持部を備えてある。
この構成によると、操作機構により、ハブを回転体に対してその回転軸心に沿う方向に変位させることで、その相対変位量が連係機構によってハブに対する各起風翼の回動操作量に変換され、各起風翼のハブに対する姿勢が一斉に変更されることになり、この姿勢変更によって、それらの起風翼がハブとともに回転体の回転軸心周りに回転駆動された際の起風状態を切り換えることができ、この起風状態の切り換えによって、順風生起状態や逆風生起状態などの切り換え現出が可能になる。
そのため、この構成を、例えばコンバインのエンジン冷却構造などに採用すると、その順風生起状態を、外気を防塵網を介してエンジンなどに向けて流動させる状態とすれば、防塵網によって濾過した清浄な外気を冷却用としてエンジンなどに供給できる。
そして、その順風生起状態の現出によって防塵網に塵埃などが付着堆積した場合には、逆風生起状態を現出すれば、起風翼の回転に伴って、エンジン側の熱気が防塵網を介して機外に排出されるようになり、この排気によって防塵網に付着した塵埃などが機外に吹き飛ばされて防塵網から除去されることになる。
更に、この構成では、前述した順風生起状態と逆風生起状態のいずれにおいても風量調節を可能にすることができ、又、起風翼の回転軸心周りでの回転駆動にかかわらず起風しない非起風状態の現出を可能にすることもできるのであり、これらの構成を、例えば、エンジンからの動力で起風翼をハブとともに回転体の回転軸心周りに一体回転させるものに採用し、エンジンの負荷に応じて起風翼の姿勢を変更して起風による負荷を調節するようにすれば、過負荷に起因した不測のエンジン停止を回避できる。
又、この構成では、ハブの外周部に装備される起風翼と、ハブの中心部に配備される回転体との間に形成されるハブの径方向での隙間を有効利用して、回転体に対するその回転軸心に沿う方向でのハブの変位によって起風翼の姿勢を変更する連係機構を配備し、かつ、回転体にハブの外周部を支持する支持部を備えることから、ハブに対して回転体や連係機構などが回転体の回転軸心に沿う方向に重合する状態で配備されることになる。これに対し、前述した従来構成では、電動シリンダによるベルト式伝動機構の伝動ベルトに対するベルト式の機構における正転プーリ及び逆転プーリの圧接状態の切り換えで、冷却ファンを正逆転させて、冷却ファンで生起される風の流動方向を切り換えることから、そのベルト式の機構は、冷却ファンにおける起風翼を装備するハブに対して、回転体の回転軸心に沿う方向で重合することはない。
つまり、前述した従来技術の構成に比較して、起風状態の切り換えを可能にするための連係機構などを、回転体の回転軸心に沿う方向においてよりコンパクトに構成でき、又、そのコンパクト化によって、その連係機構などを配備する空間に余裕ができて、その連係機構などを組み付ける際の作業性が向上する。
その上、ハブは、その中心部が支軸によって、又、その外周部が回転体によってそれぞれ支持された安定状態となり、これによって、ハブの中心部を支軸で支持し、かつ、ハブの外周部を、ハブを回転体の回転軸心に沿う方向に変位操作するシフトアームで吊り下げ支持するように構成した場合に生じる、ハブを回転体の回転軸心に沿う方向に変位させた際の支軸に対するハブの拗れを防止でき、回転体に対するその回転軸心に沿う方向でのハブの変位操作にかかわらず、ハブ及び起風翼を、支軸に対する適切な姿勢で回転体の回転軸心周りに円滑に一体回転駆動させることができる。
しかも、ハブの回転軸心と交差する方向に設定した軸心周りでの起風翼の姿勢変更によって、起風翼の回転軸心周りでの回転駆動で生起される風の流動方向の切り換えなどを行うことから、前述した従来構成のように、ベルト式の機構に備えた伝動ベルトの回動方向を変更することによる冷却ファンの正逆転切り換えで、冷却ファンによって生起される風の流動方向を切り換えるようにした場合に生じる、その切り換え操作時における伝動ベルトのスリップに起因した異音の発生や伝動ベルトの劣化を招くことがない。
従って、生起風の流動方向の切り換えや風量調節などの起風状態の切り換えを可能にするための機構を装備しながらも、その機構を装備することに起因した全体構造の大型化や組み付け性の低下を回避でき、又、その機構としてベルト式のものを採用した場合に生じる伝動ベルトのスリップに起因した異音の発生や伝動ベルトの劣化を招くことのない騒音の低減化や耐久性の面で優れたものにできる上に、支軸に対するハブの拗れに起因した起風能力の低下や異音の発生を回避でき、更に、この構成をコンバインのエンジン冷却構造などに採用した場合には、防塵網の目詰まりに起因した冷却能力の低下や、エンジン動力で起風翼を回転駆動する場合の過負荷に起因した不測のエンジン停止などの未然回避を可能にできる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、前記回転体の中心部を前記ハブに向けて膨出させて前記支持部を形成し、この支持部の内部空間に、前動回転体からの回転動力で駆動される機器を配備してある。
この構成によると、膨出形成した支持部にハブの外周部を支持させるようにしながら、その支持部の内部空間に回転体からの回転動力で駆動される機器を配備することができ、これによって、回転体の回転軸心に沿う方向において、ハブと回転体と機器とを重合させたコンパクトな状態で配備できる。
尚、回転体からの回転動力で駆動される機器としては、例えばウォータポンプや油圧ポンプあるいは発電機などが考えられる。
そして、この起風構造をコンバインのエンジン冷却構造などに採用し、このように配備される機器としてウォータポンプを採用した場合には、そのウォータポンプを回転体からの回転動力で駆動することで、エンジンなどの冷却対象に備えられる冷却水ジャケットと放熱器との間で冷却水を循環流動させることができ、冷却対象の冷却を効果的に行える。
従って、回転体からの回転動力で駆動される機器を備えることに起因した全体構造の大型化を効果的に抑制でき、殊に、この起風構造をコンバインのエンジン冷却構造などに採用し、その機器をウォータポンプとした場合には、全体構造の大型化を効果的に抑制しながら水冷式の冷却能力の高いものにできる。
図1には作業車の一例である自脱形コンバインの全体右側面が、図2にはその全体平面がそれぞれ示されており、このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成された機体フレーム1、この機体フレーム1の下部に配備された左右一対のクローラ式走行装置2、走行に伴って植立穀稈を刈り取って左右向き姿勢に姿勢変更しながら左後方に向けて搬送するように機体フレーム1の前部に昇降揺動可能に連結された刈取搬送部3、刈取搬送部3からの刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施すように機体フレーム1における刈取搬送部3の後方箇所に搭載された脱穀装置4、この脱穀装置4からの穀粒を貯留するように機体フレーム1における脱穀装置4の右側方箇所に配備された穀粒タンク5、及び、機体フレーム1における刈取搬送部3の右側方箇所に形成された搭乗運転部6、などによって構成されている。
穀粒タンク5は、その内部に貯留した穀粒を機外に排出するためのスクリュー式の排出機構7を備えるとともに、機体フレーム1における穀粒タンク5の後方箇所に立設した排出機構7の揚送スクリュー8を支点にして、脱穀装置4に隣接して脱穀装置4からの穀粒を貯留する作業位置と、脱穀装置4から離間して脱穀装置4の右側方を開放するメンテナンス位置とにわたって、左右方向に揺動変位可能に構成されている。
搭乗運転部6は、機体フレーム1の右前部に敷設された搭乗ステップ9、機体フレーム1における搭乗ステップ9の直前箇所に立設されたフロントパネル10、このフロントパネル10に装備された旋回操作用でかつ刈取搬送部昇降操作用の操縦レバー11、機体フレーム1における搭乗ステップ9の直左箇所に立設されたサイドパネル12、このサイドパネル12に装備された主変速レバー13や副変速レバー14、及び、搭乗ステップ9の後方に配備された運転座席15、などによって形成されている。
図1〜4に示すように、運転座席15は、機体フレーム1における穀粒タンク5の前方箇所に配備された原動部16を覆うエンジンボンネット17の上部に配備されている。
穀粒タンク5とエンジンボンネット17との間には、揚送スクリュー8を支点にした穀粒タンク5の揺動変位を許容する隙間が確保されている。
原動部16は、機体フレーム1上に出力軸18が左右向きになる横向き姿勢で防振搭載された水冷式のエンジン19、このエンジン19の右外側方に立設されたラジエータ20、及び、ベルト式伝動機構21を介して伝達される出力軸18からの動力で一定方向に回転駆動されるようにエンジン19とラジエータ20との間に配備された冷却ファン22、などによって構成されている。
エンジンボンネット17は、その右側壁23が導風経路24を備える中空構造に形成され、その右側壁23の外面25に除塵網26が張設された吸気口27が、その右側壁23の内面28にラジエータ20に対する連通口29がそれぞれ形成されており、冷却ファン22の吸引作用によって、除塵網26で塵埃などが濾過除去された清浄な外気を冷却用としてラジエータ20やエンジン19などに供給するように構成されている。
図3〜6に示すように、ベルト式伝動機構21は、出力軸18に装着された出力プーリ30、エンジン19の左側部に配備された発電機31の入力軸32に装着された第1入力プーリ33、エンジン19の前上部に配備されたウォータポンプ34のポンプ軸35に装着された第2入力プーリ36、及び、それらの各プーリ30,33,36にわたって回し掛けられた伝動ベルト37、などによって構成されている。
第2入力プーリ36は、その中心部38にウォータポンプ34の入り込みを許容する内部空間を有するように、その中心部38が外方に向けて円筒状に膨出形成された板金製で、その膨出端部が、ポンプ軸35の突出端に固着された第1回転体39に4本のボルト40で連結されており、これによって、ウォータポンプ34のポンプ軸35に円盤状の第2入力プーリ36を装着する場合に比較して、ポンプ軸35の軸心P1に沿う方向でのそれらの配設長さを短くしながら、出力軸18からの動力をウォータポンプ34の駆動力としてポンプ軸35に伝達することができる。
そして、このようにベルト式伝動機構21を介したエンジン19からの動力でウォータポンプ34を駆動することで、エンジン19に備えた図外の冷却水ジャケットとラジエータ20との間で冷却水を循環流動させることができ、エンジン冷却効率の向上を図ることができる。
図3〜10に示すように、冷却ファン22は、ポンプ軸35の軸心P1を回転軸心としてポンプ軸35とともに回転駆動されるハブ41や、このハブ41との回転軸心P1周りでの一体回転で起風する7枚の起風翼42、などを備え、ベルト式伝動機構21を介したエンジン19からの動力で一定方向に回転駆動されることで起風するように構成されている。
ハブ41は、その中央部に凹入空間を有する碗状に形成され、その外周部には、ボス状の7つの第1支持部43が周方向に一定間隔を隔てる状態で整列形成され、それらの各第1支持部43に、起風翼42の支軸部44が、メタルベアリング45を介して、回転軸心P1と直交する方向に設定された対応する軸心P2周りに相対回動可能に支持されている。
ハブ41の凹入空間には、4本のボルト40によって第1回転体39に、第2入力プーリ36とともに一体回転するように連結される第2回転体46が配備され、この第2回転体46の中心部には、その軸心をポンプ軸35の軸心P1に一致させた状態で配備される断面円形の支軸47が、第2回転体46と一体回転する状態に圧入嵌合装備され、その支軸47に、ハブ41の中心部が、ガタによる傾動が抑制された嵌合精度の高い状態で回転軸心P1に沿う方向に相対摺動可能となるように、カラー48を介して嵌合支持されている。そして、ハブ41の中心部と支軸47との間におけるカラー48の外方側に、ハブ41の中心部と支軸47との間への異物の入り込みを防止するシール部材としてのオーリング49が嵌入されている。
つまり、4本のボルト40で一体回転するように連結される第2入力プーリ36、第1回転体39、及び第2回転体46などによって、その回転動力でハブ41を回転軸心P1周りに回転駆動する回転体が構成されている。
ハブ41の中央部には、その周方向に所定間隔を隔てる状態でボルト操作用の4つの孔50が穿設されるとともに、それらの孔50を閉塞するとともにオーリング49を抜け止めする蓋体51が備えられ、その蓋体51と、支軸47にボルト連結されるバネ受具52との間に、その蓋体51とともにハブ41を第2入力プーリ36側に向けて付勢する1組の圧縮バネ53が介装されている。
第2回転体46の外周部には、ハブ41の中央部にその周方向に所定間隔を隔てる状態で穿設された4つの貫通孔54のうちの対応するものに、回転軸心P1に沿う方向に相対摺動可能に挿通されるとともに、第2回転体46の回転軸心P1周りでの回転に伴ってハブ41を回転軸心P1周りに回転駆動する4本の駆動軸55が、その周方向に所定間隔を隔てる状態で圧入嵌合装備されている。
各貫通孔54にはカラー56が内嵌され、それらのカラー56と対応する駆動軸55との間には、ハブ41及び第2回転体46における各回転軸心P1から外周方向に離れた位置に穿設又は配備される各貫通孔54と対応する駆動軸55との製造誤差に起因した貫通孔54に対する駆動軸55の挿通不良を回避するために、比較的に大きい隙間が形成され、又、各貫通孔54と対応する駆動軸55との間からの異物の入り込みを防止するとともに、駆動時や駆動停止時におけるハブ41と駆動軸55との接触に起因した異音の発生を防止するオーリング57が嵌入されている。そして、これらのオーリング57は、ハブ41にビス止めされるリング状の押さえ金具58によって抜け止めされている。
各起風翼42の支軸部44には、その軸心P2周りでの回動に伴ってその軸心P2周りに揺動する揺動アーム59が固着され、各揺動アーム59は、その支軸部44との連結部位から外れた遊端部位に、第2回転体46に向けて突出する連係ピン60が装備され、それらの各揺動アーム59や各連係ピン60などによって連係機構61が構成されている。
第2回転体46の外縁部には、対応する連係ピン60が係入される7つの溝部62が、その周方向に所定間隔を隔てる状態に形成され、各溝部62の間は、各起風翼42の支軸部44に揺動アーム59を固着するナット63との干渉を回避するために凹入形成されている。
つまり、ハブ41の凹入空間に第2回転体46が配備され、その凹入空間におけるハブ41の外周部と第2回転体46の外周部との隙間を有効利用して、回転軸心P1に沿う方向での第2回転体46に対するハブ41の変位によって、各起風翼42をそれらの軸心P2周りに姿勢変更する連係機構61が配備されており、これによって、各起風翼42の軸心P2周りでの姿勢変更を可能にしながらも冷却ファン22としてのコンパクト化を図れるようにしてある。
尚、第2入力プーリ36と第2回転体45との間には、第2入力プーリ36の回転軸心P1に沿う方向での位置決めや各駆動軸54の第2入力プーリ36側への抜け止めなどを行うスペーサ64が介装されている。
エンジン19の前部には、シフトフォーク65を回転軸心P1に沿う方向に揺動可能に支持する支持部材66がボルト連結され、そのシフトフォーク65の下端部には、ハブ41の外周部を第2入力プーリ36の中心部38に支持させるための環状の支持体67が、一対のボルト68を介して連係されている。
支持体67は、メタルベアリング69が内嵌固定される筒状のボス部70を有するように形成されるととに、第2入力プーリ36の中心部38に対する回転軸心P1に沿う方向での変位が可能となるように、そのボス部70がメタルベアリング69を介して第2入力プーリ36の中心部38に外嵌し、そのボス部70の外周には、一対のボルト68を介したシフトフォーク65による支持体67の回転軸心P1に沿う方向への変位操作を可能にしながら、それらシフトフォーク65及び一対のボルト68と支持体67との回転軸心P1周りでの相対回転、及び、支持体67に対するシフトフォーク65及び一対のボルト68の揺動変位を可能にする周溝71が形成され、ハブ41の外周部に、ハブ41と回転軸心P1周りに一体回転し、かつ、回転軸心P1に沿う方向に一体移動するようにビス止めされている。
つまり、ハブ41は、その中心部が支軸47にカラー48を介して支持され、その外周部が第2入力プーリ36の中心部38に支持体67及びメタルベアリング69を介して支持される安定した状態で、シフトフォーク65の揺動に伴って、回転軸心P1に沿う方向に支軸47に対する拗れを招くことなく変位するように構成されており、これによって、回転軸心P1に沿う方向でのハブ41の変位操作にかかわらず、冷却ファン22を、支軸47に対する適切な姿勢で回転軸心P1周りに円滑に回転駆動させることができ、支軸47に対するハブ41の拗れに起因した起風能力の低下や異音の発生を回避できる。
又、第2入力プーリ36の中心部38を、ハブ41の外周部を支持する支持部38として円筒状に膨出形成することで、ハブ41に対して、第2入力プーリ36と回転軸心P1周りに一体回転する第1回転体39や第2回転体46あるいは連係機構61などを回転軸心P1に沿う方向に重合させたコンパクトな状態で配備でき、もって、大きい空間の確保が難しいエンジン19とラジエータ20との間への配備が行い易くなる。
図1〜6に示すように、シフトフォーク65の上端部は、プルワイヤ72などを介して、エンジンボンネット17の後壁73に前後軸心P3に揺動可能に支持されたセクターギヤ74に連係され、このセクターギヤ74は、エンジンボンネット17の後壁73に配備した減速機付きで正逆転切り換え可能な電動モータ75の出力ギヤ76に噛合されている。
そして、電動モータ75からの動力で、セクターギヤ74が前後軸心P3周りで機体右方向に揺動駆動されると、その揺動でプルワイヤ72が引き操作されるとともにシフトフォーク65が回転軸心P1に沿う方向に揺動操作されて、支持体67とともにハブ41が、圧縮バネ53の付勢に抗して、第2回転体46に対して回転軸心P1に沿って機体右方向に変位するようになり、この変位によって、各起風翼42の姿勢が順風生起姿勢から逆風生起姿勢に一斉に変更されるようになる。
又、電動モータ75からの動力で、セクターギヤ74が前後軸心P3周りで機体左方向に揺動駆動されると、その揺動でプルワイヤ72による引き操作が解除されるとともに、ハブ41が圧縮バネ53の付勢で支持体67とともに第2回転体46に対して回転軸心P1に沿って機体左方向に変位するようになり、この変位によって、各起風翼42の姿勢が逆風生起姿勢から順風生起姿勢に一斉に変更されるようになる。
つまり、圧縮バネ53、シフトフォーク65、支持体67、プルワイヤ72、セクターギヤ74、及び電動モータ75、などによって、その電動モータ75の作動でハブ41を第2回転体46に対して回転軸心P1に沿う方向に変位させる操作機構77が構成され、その操作機構77による第2回転体46に対するハブ41の変位量が連係機構61によってハブ41に対する各起風翼42の回動操作量に変換されることで、各起風翼42の姿勢を一斉に変更できるようになっている。
そして、各起風翼42を順風生起姿勢に切り換えると、それらの回転軸心P1周りでの回転に伴って外気をエンジンボンネット17の各吸気口27からエンジンボンネット17内に吸引する順風生起状態が現出され、各起風翼42を逆風生起姿勢に切り換えると、それらの回転軸心P1周りでの回転に伴ってエンジンボンネット17内の熱気をエンジンボンネット17における右側壁23の各吸気口27から機外に排出する逆風生起状態が現出される。
電動モータ75は、マイクロコンピュータなどを備えて構成された制御装置78によって作動制御され、制御装置78は、予め記憶された制御プログラムに基づいて電動モータ75の作動を制御するとともに、セクターギヤ74の前後軸心P3周りでの揺動角度を電動モータ75による各起風翼42の操作量として検出する回転式のポテンショメータからなる角度センサ79からの検出値に基づいて、電動モータ75の作動による各起風翼42の順風生起姿勢又は逆風生起姿勢への姿勢変更を検知する。
制御装置78の制御作動について例示すると、制御装置78は、エンジン19の始動とともに計時を開始し、その計時が予め設定された第1設定時間(例えば3分間)が経過するまでの間、各起風翼42の姿勢を順風生起姿勢に維持して順風生起状態を現出することで、エンジンボンネット17の各吸気口27から取り込んだ外気をラジエータ20やエンジン19などに供給してそれらを冷却する。
その第1設定時間が経過すると、各起風翼42の姿勢を順風生起姿勢から逆風生起姿勢に切り換えるとともに、予め設定された第2設定時間(例えば5秒間)が経過するまでの間、その逆風生起姿勢を維持して逆風生起状態を現出することで、エンジンボンネット17の各吸気口27から排出する熱気で右側壁23の防塵網26に付着した塵埃などを機外に吹き飛ばして防塵網26から除去する。
その第2設定時間が経過すると、各起風翼42の姿勢を逆風生起姿勢から順風生起姿勢に切り換えるとともに、第1設定時間が経過するまでの間、各起風翼42の姿勢を順風生起姿勢に維持して順風生起状態を現出し、以後、計時に基づいて逆風生起状態と順風生起状態とを切り換え現出する。
つまり、冷却ファン22の吸気作用による原動部16の冷却を行いながら、冷却ファン22の排気作用による防塵網26の自動清掃を定期的に行うことから、エンジンボンネット17における右側壁23の防塵網26に塵埃などが付着して目詰まりすることに起因した冷却能力の低下を回避でき、もって、原動部16の冷却を効率良く効果的に行える。
電動モータ75は、セクターギヤ74や角度センサ79などとともにベースプレート80に装着され、ベースプレート80は、エンジンボンネット17における後壁73の背面81に、セクターギヤ74と電動モータ75とが穀粒タンク5とエンジンボンネット17との間に位置し、かつ、角度センサ79がエンジンボンネット17の内部に位置する状態となるようにボルト連結されている。
つまり、電動モータ75は、穀粒タンク5とエンジンボンネット17との間に、穀粒タンク5側が開放された状態で位置するようになっており、これによって、電動モータ75に、原動部16からの熱気が直接作用することを防止できるとともに、電動モータ75を、穀粒タンク5とエンジンボンネット17との間を流動する外気に、温度の低い穀粒タンク5側から晒すことができ、もって、電動モータ75を効果的に冷却することができて、原動部16からの熱気で、電動モータ75がその許容温度以上に昇温して正常に機能しなくなる虞を未然に回避できるようになり、真夏の悪条件下であっても、電動モータ75の作動不良による目詰まりで冷却能力が低下してエンジン19がオーバーヒートする虞を確実に防止できる。
又、角度センサ79をエンジンボンネット17の内部に位置させたことで、専用の防水構造を備えることによるコストの高騰や構成の複雑化などを招くことなく、圧力洗車などの際に放射される圧力のある水が角度センサ79の内部に侵入する不具合の発生を効果的に防止できる。
ところで、図11に示すように、シフトフォーク65とともにプルワイヤ72におけるアウターワイヤの一端を支持する支持部材66とシフトフォーク65との間に、シフトフォーク65を介して支持体67とともにハブ41を第2入力プーリ36側に向けて付勢する圧縮バネ82を介装するようにしてもよい。このように、蓋体51とバネ受具52との間に、ハブ41を第2入力プーリ36側に向けて付勢する圧縮バネ53を介装するだけでなく、シフトフォーク65と支持部材66との間にも、ハブ41を第2入力プーリ36側に向けて付勢する圧縮バネ82を介装すれば、エンジン19とラジエータ20との間の限られた狭い空間に配備されるものでありながら、プルワイヤ72による引き操作を解除した際には、ハブ41を回転軸心P1に沿って機体左方向に変位させるのに必要な操作力をより確実に得られるようになり、もって、圧縮バネ53,82による各起風翼42の逆風生起姿勢から順風生起姿勢への姿勢変更操作をより円滑かつ確実に行える。
更に、図示は省略するが、プルワイヤ72に換えてプッシュプルワイヤを採用することで、各起風翼42を逆風生起姿勢から順風生起姿勢に姿勢変更する際の操作力として、プッシュプルワイヤによる押圧力を付加できるようにして、各起風翼42の逆風生起姿勢から順風生起姿勢への姿勢変更操作をより円滑かつ確実に行えるようにしてもよい。
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕本発明による起風構造を、ケーシング内に配備されるCPUやハードディスクなどに外気を供給して冷却する冷却装置や、運転キャビン内の空気を入れ換える換気装置などに適用してもよい。
〔2〕作業車としては、普通形コンバインあるいは人参収穫機や大根収穫機などであってもよい。
〔3〕原動部16としては、水冷式のエンジン19に代えて空冷式のエンジンを搭載するものであってもよい。
〔4〕第2入力プーリ36の内部空間に配備される機器としては発電機31や油圧ポンプなどであってもよい。
〔5〕起風翼42の姿勢変更を、電動シリンダあるいは油圧シリンダや油圧モータなどで行うように構成してもよく、又、手動操作で行うように構成してもよい。
〔6〕電動モータ75の作動で、各起風翼42の姿勢をそれらの回転軸心P1周りの回転駆動(冷却ファン22の回転駆動)にかかわらず起風しない非起風姿勢に維持する非起風状態の現出が可能となるように構成してもよい。
この構成によると、例えば、作業車などにおいては、エンジン19の始動時にその非起風状態を現出すれば、エンジン19からの動力で冷却ファン22を回転駆動するように構成しながらも、起風による負荷でエンジン19の始動負荷が増大することを回避でき、スタータモータによるエンジン19の始動を円滑に行える。
〔7〕電動モータ75の作動で、各起風翼42の姿勢を任意の順風生起姿勢や逆風生起姿勢に維持する風量調節が可能となるように構成してもよい。
この構成によると、作業車などにおいては、エンジン19の負荷に応じて各起風翼42の姿勢を変更して起風による負荷を調節すれば、各起風翼42の起風による冷却状態や除塵状態を維持しながら、作業走行時などにおける過負荷に起因した不測のエンジン停止を回避できる。
〔8〕回転体を構成する上において、第2入力プーリ36に、第1回転体39と第2回転体46とのいずれか一方又は双方を一体形成するようにしてもよい。
自脱形コンバインの全体側面図 自脱形コンバインの全体平面図 原動部の一部縦断背面図 原動部の縦断側面図 冷却ファンの構成を示す要部の縦断背面図 順風生起状態及び逆風生起状態を示す要部の一部縦断背面図 起風翼の順風生起姿勢及び逆風生起姿勢を示す要部の平面図 冷却ファンの構成を示す要部の縦断側面図 操作機構の構成を示す要部の縦断側面図 冷却ファンの中心部の構成を示す拡大縦断側面図 支持部材とシフトフォークとの間にハブ付勢用の圧縮バネを介装した構成を示す要部の縦断側面図
符号の説明
31,34 機器
36,39,46 回転体
38 支持部中心部
41 ハブ
42 起風翼
47 支軸
61 連係機構
77 操作機構
P1 回転軸心
P2 軸心

Claims (2)

  1. 回転体からの回転動力でその回転軸心周りに回転駆動されるハブの外周部に、このハブとの前記回転軸心周りでの一体回転で起風する起風翼を、前記回転軸心と交差する方向に設定した軸心周りでの姿勢変更が可能となるように装備し、前記ハブの中心部に、前記回転体に対する前記ハブの前記回転軸心に沿う方向での変位が可能となるように前記ハブと前記回転体とを支持する支軸を配備し、前記回転体と前記起風翼との間に、前記回転軸心に沿う方向での前記回転体に対する前記ハブの変位に伴って前記起風翼の姿勢が変更されるように前記回転体と前記起風翼とを連係する連係機構を介装し、前記ハブを前記回転軸心に沿う方向に変位操作する操作機構を備え、前記回転体に、前記回転軸心に沿う方向での前記ハブの変位を許容しながら前記ハブの外周部を支持する支持部を備えてある起風構造。
  2. 前記回転体の中心部を前記ハブに向けて膨出させて前記支持部を形成し、この支持部の内部空間に、前動回転体からの回転動力で駆動される機器を配備してある請求項1に記載の起風構造。
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