JP2006036847A - 蛍光体とその製造方法および発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 緻密で充填密度が高い蛍光体層を形成し、真空紫外線あるいは低電圧電子線励起により輝度が高い発光を得ることができる緑色蛍光体を提供する。
【解決手段】 本発明の蛍光体は、マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体からなり、長径と短径の比が1.0〜1.4の粒子により構成されている。本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光体母体および付活剤を構成する元素または該元素を含有する化合物を含む蛍光体原料を、加熱炉内で流動または転動させながら加熱して焼成することによって、長径と短径の比が1.0〜1.4のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子を得る工程を備えている。
【選択図】図2
【解決手段】 本発明の蛍光体は、マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体からなり、長径と短径の比が1.0〜1.4の粒子により構成されている。本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光体母体および付活剤を構成する元素または該元素を含有する化合物を含む蛍光体原料を、加熱炉内で流動または転動させながら加熱して焼成することによって、長径と短径の比が1.0〜1.4のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子を得る工程を備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、蛍光体とその製造方法および発光装置に係わり、さらに詳しくは、プラズマディスプレイパネル(PDP)や電界放出型表示装置(フィールドエミッションディスプレイ;FED)などの表示装置に好適に用いることができる緑色蛍光体と、その製造方法、およびその蛍光体を用いた発光装置に関する。
近年、蛍光体の励起源として、希ガス放電により放射される短波長の真空紫外線を用いる発光装置が開発されている。このような発光装置では、真空紫外線を励起源として発光する蛍光体、すなわち真空紫外線励起蛍光体が用いられる。真空紫外線励起の発光を利用した表示装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)が知られている。
PDPは、マルチメディア時代の到来に伴って、デジタルネットワークのコア機器となるディスプレイに求められている、大画面で薄型でありかつデジタル表示が可能であるという特性を備えている。そして、様々な情報を緻密で高精細に表示することができるデジタル表示装置として注目されている。
従来から、このようなPDPの発光層を構成する蛍光体は、蛍光体原料をフラックスとともにるつぼ内に充填し、所定の温度で加熱して焼成する方法により製造されている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、この方法により得られる蛍光体は、粒子形状が多面体に近い不規則な形状を呈することが多いため、この蛍光体を用いて塗布用のペーストなどを調製すると、蛍光体粒子の分散性が悪く、凝集が生じやすかった。したがって、緻密で充填密度が高く輝度の高い発光層を得ることができなかった。また、蛍光体層の表面に凹凸が生じやすく、この凹凸が発光を乱反射させるため、光の損失が増大して発光輝度が低下するばかりでなく、輝度にばらつきが生じやすいという問題があった。
さらに、蛍光体層の内部に空洞が生じやすく、蛍光体層が厚くなって放電セルの空間容積が減少するため、蛍光体を励起するための紫外線量が減少し、輝度が低下するという問題もあった。
ところで、様々な情報を高精細に表示することのできる薄型のデジタル表示装置としては、電界放出型冷陰極素子などの電子放出素子を用いた電界放出型表示装置(FED)も盛んに研究・開発が進められている。
FEDにおいては、蛍光体層を有するフェースプレートと電子放出素子を有するリアプレートとの間のギャップ(間隙)が、1〜数mmと極めて狭く、この狭い間隙に10kV前後の高電圧が印加されて強電界が形成される。したがって、FEDの耐圧特性を上げるには、蛍光体層表面の平滑性をできるだけ向上させることが望ましく、従来から緻密で充填密度が高い蛍光体層が求められていた。
また、蛍光体層の表面の平滑性が不十分であると、その上に形成される光反射膜であるメタルバック層の平滑度が低下し、輝度低下が生じるばかりでなく、蛍光体層表面の乱反射が大きくなるため、感光用の紫外線が蛍光体層の内部まで侵入しにくい。そのため、十分な厚さの蛍光体層を形成することが難しいという問題があった。
特開平10−154466号公報(第2頁)
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、緻密で充填密度が高く輝度が高い発光を得ることができる緑色蛍光体を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、発光輝度が高いPDPを提供することにある。さらに、発光輝度が高く耐圧特性に優れたFEDを提供することを目的としている。
本発明の蛍光体は、マンガンを付活剤とするケイ酸亜鉛蛍光体からなり、前記マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、長径と短径の比が1.0〜1.4の粒子により構成されていることを特徴とする。
また、本発明の蛍光体の製造方法は、マンガンを付活剤とするケイ酸亜鉛蛍光体からなる蛍光体を製造するにあたり、前記蛍光体の母体および付活剤を構成する元素または該元素を含有する化合物を含む蛍光体原料を、加熱炉内で流動または転動させながら加熱して焼成することによって、長径と短径の比が1.0〜1.4のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子を得る工程を具備することを特徴とする。
さらに、本発明の発光装置は、前記した本発明の蛍光体を緑色蛍光体として含む発光層を有することを特徴とする。
本発明の蛍光体は、マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体からなり、長径と短径の比が1.0〜1.4の球形に近い形状の粒子により構成されているので、均質で充填密度が高く緻密な蛍光体層を得ることができる。したがって、この蛍光体を用いて緑色蛍光体層を形成することによって、真空紫外線励起による発光輝度が高く、発光特性が良好なPDPを得ることができる。また、加速電圧が15kV以下の低電圧電子線により励起されたときの発光輝度が高く、表面平滑性および平坦性に優れた蛍光体層を形成することができるので、高輝度で耐圧特性に優れたFEDを得ることができる。
さらに本発明の製造方法によれば、蛍光体原料が加熱炉内で、炉自体の軸の回りの回転運動などにより、流動または転動されながら加熱されるので、蛍光体原料の周囲全体から均一な熱エネルギーが効率的に加えられる。その結果、従来のるつぼを用いた焼成方法に比べて短時間で焼成を完了することができ、長径と短径の比が1.0〜1.4とほぼ球形の粒子形状を有し、高輝度の発光が可能なマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施形態である蛍光体は、化学式;Zn2SiO4:Mnで実質的に表されるマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体からなり、この蛍光体は、長径(最大径)と短径(最小径)の比すなわちアスペクト比が、1.0〜1.4のほぼ球状の粒子により構成されている。アスペクト比が1.0〜1.1の範囲がより好ましい。
マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子のアスペクト比が1.4を超えると、この蛍光体の塗布により形成される蛍光体層の表面に凹凸が生じやすい。また、緻密で充填密度が高い蛍光体層を得ることが難しく、発光輝度が低くなるばかりでなく、表示装置としての欠陥や輝度むらが発生しやすいため、好ましくない。
このような実施形態のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、以下に示すように、回転式の加熱炉内で加熱して焼成する方法で製造することができる。
すなわち、蛍光体の母体および付活剤を構成する元素またはその元素を含有する化合物を含む原料粉末を、所望の組成(Zn2SiO4:Mn)となるように秤量し、これらをボールミルなどを用いて十分に混合する。各原料粉末としては、酸化物の他に、加熱により容易に酸化物に分解し得る炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物などを用いることができる。次いで、得られた原料混合物を、軸の回りに回転(自転)する管状の加熱炉内に供給し、大気中で所定の焼成温度まで加熱する。そして、この蛍光体原料を、加熱炉の回転により流動あるいは転動させながら、例えば、1100〜1300℃の温度で0.5〜4時間加熱して焼成する。その後、焼成物を加熱炉から排出して冷却する。
このような焼成方法において、加熱炉内をアルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気に保持することもできる。加熱炉の回転速度は、0.5〜50回転/分とすることが好ましい。回転速度が50回転/分を超える場合は、所要の焼成時間に制御することが困難である。また、加熱炉を水平方向に対して傾斜して配置するとともに、加熱炉内で蛍光体原料を上方から下方へ連続的に移動させ、移動過程で必要かつ十分な時間だけ加熱するように構成することができる。このとき、加熱炉の水平に対する傾斜角度を、蛍光体原料が焼成に十分な時間だけ炉内に滞留するように、加熱炉の長さや回転速度などに合わせて調整することが望ましい。
実施形態の焼成方法に使用する焼成装置の一例を図1に示す。
図1において、符号1は、石英またはアルミナ製の円形管状の耐熱性容器を示す。この耐熱性容器1は、水平に対して傾斜して配置されており、モータなどの回転機構2により、中心軸の回りに回転するように構成されている。そして、耐熱性容器1の水平に対する傾斜角は、蛍光体原料が焼成に十分な時間だけ加熱部に滞留することができるように、加熱部の長さや回転速度などに合せて調整可能に構成されている。
この耐熱性容器1の上端から大部分の外周には、モリブデンシリサイドのような発熱体3が設けられ、加熱部4が構成されている。発熱体3が周設されていない耐熱性容器1の上部および下部は、焼成物などの冷却部5a,5bとなっている。冷却は、主に水冷により行われている。
耐熱性容器1の上端部には、加熱・焼成すべき蛍光体原料を連続的に送り込む送入機構(フィーダ)6が設けられており、冷却部5bを構成する耐熱性容器1の下端部には、焼成物を連続的に受け取る焼成物捕集器7が設けられている。
また、耐熱性容器1内には、送入機構6に取り付けられたガス導入口8から大気または不活性ガスが送り込まれる。送入された大気または不活性ガスは、耐熱容器1内部を焼成物とともに流動し、焼成物捕集器7に取り付けられたガス導出口9から外部に排出される。このとき焼成物は、冷却部5bで完全に冷却されるように構成されている。
このような装置を用いた焼成方法によれば、蛍光体原料が、水平に対して傾斜して配置され、軸の回りに回転する管状の加熱炉内で、流動あるいは転動しながら加熱されるので、外周全体から均一に熱エネルギーが加えられる。その結果、アスペクト比が1.0〜1.4と球形に近い形状を有するマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子を得ることができる。また、従来のるつぼを用いた焼成方法に比べて、短時間で焼成を完了することができる。さらに、蛍光体粒子の凝集を抑制することができるので、焼成後さらに粉砕を行う必要がない。
本発明の実施形態の蛍光体を使用して緑色蛍光体層を形成するには、この蛍光体を、例えばポリビニルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコール、水などからなるバインダ溶液と混合して調製したペーストを、スクリーン印刷などの方法で基板上に塗布する。また、公知のスラリー法を用いて蛍光体層を形成することもできる。スラリー法では、蛍光体を、純水、ポリビニルアルコール、重クロム酸アンモニウムなどの感光性材料、界面活性剤などとともに混合して蛍光体スラリーを調製し、このスラリーをスピンコータなどで塗布・乾燥した後、紫外線などを照射して露光・現像し、乾燥することにより、蛍光体のパターンを形成する。
この実施形態の蛍光体を用いてペーストを調製すると、蛍光体粒子の分散性が良好で、粒子どうしの凝集が少なく、ペーストの粘度が低くなる。そして、この蛍光体ペーストを塗布することにより、層内部に空洞が少なく充填密度が高いうえに、表面に凹凸がなく一様に平滑な蛍光体層を形成することができる。したがって、蛍光体からの発光の乱反射が防止され、PDPの輝度を改善することができる。また、PDPにおいては、蛍光体層の表面が平滑になると放電空間が広くなるので、この点でも輝度の向上に有利になる。
第1の実施形態のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、真空紫外線励起用の緑色蛍光体として好適する。この蛍光体を用いて緑色蛍光体層を形成したPDPについて説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態であるPDP(面放電型AC型PDP)の構造を概略的に示す断面図である。このPDPは、前面基板11と背面基板12とを有する。背面基板12においては、背面側ガラス基板12a上に、隔壁13がストライプ状に平行して設けられており、ストライプ状の放電セルsが形成されている。隔壁13によって規定される各放電セルsには、ストライプ状のアドレス電極14が設けられている。また、各放電セルs内で背面側ガラス基板12a、アドレス電極14および隔壁13の上には、蛍光体層15が形成されている。
蛍光体層15は、青色蛍光体層15B、緑色蛍光体層15Gおよび赤色蛍光体層15Rをそれぞれ含み、これらのうち1色の蛍光体層15が放電セルs内に形成されている。そして、各色の蛍光体層15がそれぞれ隣合うように配列されている。
緑色蛍光体層15Gを構成する緑色蛍光体としては、前記した1.0〜1.2のアスペクト比を有する蛍光体粒子から成るマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体が使用される。青色蛍光体および赤色蛍光体としては、それぞれ以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。青色蛍光体としては、BaMgAl10O17:Eu2+などが用いられる。赤色蛍光体としては、Y2O3:Eu、(Y,Gd)2O3:Eu、YBO3:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、GdBO3:Euなどが用いられる。
前面基板11においては、前面側ガラス基板11a上に、アドレス電極14に直交する方向に延びるストライプ状の透明電極16と、この透明電極16に重なりその電気抵抗を下げるためのバス電極17がそれぞれ形成されている。そして、前面側ガラス基板11a上には、透明電極16およびバス電極17を覆うように、透明誘電体層18および保護層19が形成されている。保護層19は、例えばMgOから構成されており、放電特性を向上させる働きを有する。そして、このような前面基板1が背面基板12の上に載せられ、シールがなされている。背面基板12と前面基板11との間に形成される放電セルs内には、He−Xe、Ne−Xeなどの混合ガスが封入される。
この面放電型AC型PDPは、以下のようにして動作する。放電セルs内の前面基板11の近傍で面放電が起こり、放電ガスは主に波長147nmおよび172nmの真空紫外線を発する。蛍光体層15中の各色の蛍光体は、この真空紫外線により励起され、基底状態に戻るときに可視光を発光する。
蛍光体層15に紫外線を均一に照射するために、蛍光体層15の膜厚は各部位で均一に近いことが望ましい。蛍光体層15の膜厚の変動が大きい場合には、他の蛍光体粒子の陰になって紫外線が照射されない粒子が生じるおそれがある。実施形態の1.0〜1.4のアスペクト比を有するマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体の粒子を用いることにより、蛍光体層15の膜厚を容易に均一にすることができる。
第1の実施形態のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体を用いることで、層内部に空洞が少なく、緻密で充填密度が高いうえに、表面に凹凸がなく一様に平滑な緑色蛍光体層15Gを形成することができる。したがって、蛍光体からの発光の乱反射およびそれに起因する光の損失を防止し、PDPの輝度を改善することができる。また、緑色蛍光体層15Gの表面が平滑になると放電空間が広くなり、この点でも輝度が向上される。
第1の実施形態のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、加速電圧が15kV以下の低電圧電子線励起用の蛍光体としても好適する。
図3は、本発明の第3の実施形態であるFEDの要部構成を示す断面図である。図3において、符号21はフェースプレートを示し、ガラス基板22などの透明基板上に形成された蛍光体層23を有している。この蛍光体層23は、画素に対応させて形成した青色蛍光体層23B、緑色蛍光体層23Gおよび赤色蛍光体層23Rを有し、これらの間を黒色導電材から成る光吸収層24により分離した構造となっている。蛍光体層23を構成する各色の蛍光体層のうちで、緑色蛍光体層23Gが、前記した第1の実施形態のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体から構成されている。
青色蛍光体層23Bおよび赤色蛍光体層23Rは、それぞれ低電圧電子線励起用の蛍光体として公知の各種の蛍光体により構成することができる。蛍光体層23間に段差が生じないように、各色の蛍光体層23の厚さは同じにすることが望ましい。
青色蛍光体層23B、緑色蛍光体層23G、赤色蛍光体層23Rおよびそれらの間を分離する光吸収層24は、それぞれ水平方向に順次繰り返し形成されており、これらの層が存在する部分が画像表示領域となる。この蛍光体層23と光吸収層24との配置パターンには、ドット状またはストライプ状など種々のパターンが適用可能である。
そして、蛍光体層23上にはメタルバック層25が形成されている。メタルバック層25は、Al膜などの金属膜からなり、蛍光体層23で発生した光のうち、後述するリアプレート方向に進む光を反射して輝度を向上させる。また、メタルバック層25は、フェースプレート11の画像表示領域に導電性を与えて電荷が蓄積されるのを防ぐ機能を有し、リアプレートの電子源に対してアノード電極の役割を果たす。メタルバック層25上には、Baなどからなる蒸発形ゲッタ材により形成されたゲッタ膜26が形成されている。このゲッタ膜26によって、使用時に発生したガスが効率的に吸着される。
このようなフェースプレート21とリアプレート27とが対向配置され、これらの間の空間が支持枠28を介して気密に封止されている。支持枠28は、フェースプレート21およびリアプレート27に対して、フリットガラス、あるいはInやその合金などからなる接合材29により接合され、これらによって外囲器としての真空容器が構成されている。
リアプレート27は、ガラス基板やセラミックス基板などの絶縁性基板あるいはSi基板などからなる基板30と、この基板30上に形成された多数の電子放出素子31とを有している。電子放出素子21は、例えば電界放出型冷陰極や表面伝導型電子放出素子などを備え、リアプレート27の電子放出素子31の形成面には、図示を省略した配線が施されている。さらに、フェースプレート21とリアプレート27との間には、たわみを防止するなどの目的で、補強部材(スペーサ)32が適宜配置される。
このカラーFEDにおいては、電子線照射により発光する緑色蛍光体として、前記した1.0〜1.2のアスペクト比を有するマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体が用いられているので、緻密で充填密度が高く、表面に凹凸がなく一様に平滑な緑色蛍光体層23Gが形成されており、輝度の高い発光が得られる。そのうえ、平滑性および平坦性の高い蛍光面が得られるので、耐圧特性が大幅に向上される。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
実施例1〜9,比較例1,2
蛍光体原料として、表1に示す平均粒径およびアスペクト比(長径/短径)を有するシリカ(SiO2)30.0gと、酸化亜鉛(ZnO)65.0gおよび炭酸マンガン(MnCO3)6.5gをそれぞれ使用し、これらの原料粉末を十分に混合した。なお、比較例1および2では、シリカとして平均粒径1μmの球状でない(フレーク状など)ものを使用した。
蛍光体原料として、表1に示す平均粒径およびアスペクト比(長径/短径)を有するシリカ(SiO2)30.0gと、酸化亜鉛(ZnO)65.0gおよび炭酸マンガン(MnCO3)6.5gをそれぞれ使用し、これらの原料粉末を十分に混合した。なお、比較例1および2では、シリカとして平均粒径1μmの球状でない(フレーク状など)ものを使用した。
次いで、原料混合物を、図1に示す焼成装置の耐熱性容器内に投入した。なお、耐熱性容器は水平に対する傾斜角1〜5°で配置し、軸の回りに0.5〜10回転/分の速度で回転させた。また、耐熱性容器の内部は大気雰囲気とした。そして、蛍光体原料をこの耐熱性容器内で流動あるいは転動させながら、1200〜1250℃の温度で1〜3時間加熱して焼成した。
得られた焼成物をイオン交換水などで水洗し乾燥した後、必要に応じて、粗大粒子を除去するための篩別などを実施することによって、マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体(Zn2SiO4:Mn)を得た。
次に、こうして得られたマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体の平均粒径およびアスペクト比(長径/短径)をそれぞれ測定した。
また、得られた蛍光体の粉体としての発光特性を、以下に示すようにして測定した。すなわち、中央部に窪ませたガラス基板上に蛍光体粉体を載せ、上から圧縮することにより膜厚1〜2mmの蛍光体膜を形成した。そして、この蛍光体膜に波長146nmの真空紫外線を照射し、発光輝度と発光色度および残光時間をそれぞれ調べた。
発光輝度は、比較例1の発光輝度を100%としたときの相対値として求めた。また、発光色度は、色度測定機器としてトプコン社製SR−3を使用して測定した。発光色度の測定は、発光時の色度が外部から影響を受けない暗室内で行った。さらに、残光時間は、紫外線照射を遮断した後の輝度が、遮断直前の輝度の1/10になるまでの時間とした。これら蛍光体粉体の発光輝度と発光色度および残光時間の測定結果を、蛍光体の平均粒径およびアスペクト比(長径/短径)の測定結果とともに表1に示す。
次に、実施例1〜9および比較例1でそれぞれ得られた蛍光体を使用し、図2に示すAC型PDPを作製した。まず、透明電極、バス電極、透明誘電体層および保護層を形成した前面基板と、アドレス電極および隔壁を形成した背面基板をそれぞれ用意した。
そして、背面基板の所定の位置に蛍光体ペーストを塗布・乾燥し、各色の蛍光体層を形成した。ここで、緑色蛍光体として、実施例1〜9および比較例1で得られたマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体(Zn2SiO4:Mn)を使用し、赤色蛍光体および青色蛍光体としては、通常のフラックス焼成法により得られた(Y,Gd)BO3:Eu(平均粒径1.5μm)およびBaMgAl10O17:Eu2+(平均粒径2.0μm)をそれぞれ使用した。そして、各色の蛍光体粉末を、ポリビニルアルコールの10%水溶液にn−ブチルアルコールおよびエチレングリコールを添加したバインダ溶液と混合して蛍光体ペーストを調製した後、これらの蛍光体ペーストをスクリーン印刷によって背面基板の所定のセル内に塗布し乾燥して、各色の蛍光体層を形成した。
次いで、こうして蛍光体層が形成された背面基板の上に前面基板を載せてシールし、放電セル内にキセノン、ヘリウム、ネオンの混合ガスを封入してPDPを製造した。
こうして製造されたPDPについて、緑色蛍光体層の発光輝度と残光時間をそれぞれ調べた。発光輝度は、比較例1の発光輝度を100%としたときの相対輝度として求めた。また、残光時間は、希ガス放電による紫外線照射を遮断した後の輝度が、遮断直前の輝度の1/10になるまでの時間とした。これらの測定結果を表1に示す。
さらに、実施例1〜9および比較例2でそれぞれ得られた蛍光体を緑色蛍光体として使用し、青色蛍光体として硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag,Al)、赤色蛍光体として硫化イットリウム蛍光体(Y2O2S:Eu)をそれぞれ使用して、図3に示すFEDを作製した。
蛍光体層の形成は、各色の蛍光体をポリビニルアルコールなどを含む水溶液中に分散させてスラリーとし、これらのスラリーを、回転塗布機(スピンコータ)でガラス基板上に塗布することにより行った。スピンコータの回転数とスラリーの粘度を調整することによって、膜厚10μmの蛍光体層をそれぞれ形成した。このフェースプレートと多数の電子放出素子を有するリアプレートとを支持枠を介して組立てるとともに、これらの間隙を真空排気しつつ気密封止した。
こうして得られたFEDにおいて、緑色蛍光体層の発光輝度と残光時間をそれぞれ調べた。発光輝度の測定は、蛍光体層に、加速電圧10kV、電流密度2×10−5A/mm2の電子線を照射して行った。そして、このときの蛍光体層の発光輝度を、比較例2の発光輝度を100%としたときの相対値として求めた。残光時間は、電子線を遮断した後の輝度が、遮断直前の輝度の1/10になるまでの時間とした。また、耐圧特性(最大耐電圧)を常法により測定した。これらの測定結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜9で得られたマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、アスペクト比(長径と短径の比)が1.0〜1.4の範囲にあるほぼ球状の粒子により構成されており、真空紫外線励起により、高輝度で良好な発光色度と十分に短い残光時間を有する緑色発光を示す。そして、これらの蛍光体により緑色蛍光体層を形成することにより、発光輝度が高く発光特性が良好なPDPを得ることができる。
また、実施例1〜9で得られたマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、低加速電圧(15kV以下)で高電流密度の電子線を照射した場合の発光輝度が高く、残光時間も十分に短いので、これらの蛍光体でFEDの緑色蛍光体層を構成することにより、高輝度で良好な発光特性が得られる。さらに、最大耐電圧が高く耐圧特性に優れている。
本発明の蛍光体によれば、均質で充填密度が高く緻密な蛍光体層を得ることができる。したがって、この蛍光体を用いて緑色蛍光体層を形成することによって、真空紫外線励起による発光輝度が高く、発光特性が良好なPDPを得ることができる。また、加速電圧が15kV以下の低電圧電子線により励起されたときの発光輝度が高く、表面平滑性および平坦性に優れた蛍光体層を形成することができるので、高輝度で耐圧特性に優れたFEDを得ることができる。
1…耐熱性容器、3…発熱体、6…送入機構、11…前面基板、12…背面基板、13…隔壁、14…アドレス電極、15…蛍光体層、16…透明電極、17…バス電極、21…フェースプレート、22…ガラス基板、23…蛍光体層、25…メタルバック層、27…リアプレート、28…支持枠、31…電子放出素子。
Claims (7)
- マンガンを付活剤とするケイ酸亜鉛蛍光体からなり、前記マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体は、長径と短径の比が1.0〜1.4の粒子により構成されていることを特徴とする蛍光体。
- マンガンを付活剤とするケイ酸亜鉛蛍光体からなる蛍光体を製造するにあたり、
前記蛍光体の母体および付活剤を構成する元素または該元素を含有する化合物を含む蛍光体原料を、加熱炉内で流動または転動させながら加熱して焼成することによって、長径と短径の比が1.0〜1.4のマンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体粒子を得る工程を具備することを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 前記蛍光体原料を、軸の回りに回転する加熱炉内で加熱して焼成することを特徴とする請求項2記載の蛍光体の製造方法。
- 前記蛍光体原料が、長径と短径の比が1.0〜1.2のシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項2または3記載の蛍光体の製造方法。
- 請求項1記載の蛍光体を緑色蛍光体として含む発光層を有することを特徴とする発光装置。
- 前記緑色蛍光体に加えて、真空紫外線励起用の青色蛍光体および赤色蛍光体をそれぞれ含む発光層と、該発光層に真空紫外線を照射する手段を備え、プラズマディスプレイパネルの表示部を構成することを特徴とする請求項5記載の発光装置。
- 前記緑色蛍光体に加えて、低電圧電子線励起用の青色蛍光体および赤色蛍光体をそれぞれ含む発光層と、該発光層に加速電圧が15kV以下の電子線を照射する電子源を備え、電界放出型表示装置の表示部を構成することを特徴とする請求項5記載の発光装置。
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KR101213298B1 (ko) * | 2007-10-10 | 2012-12-18 | 우베 고산 가부시키가이샤 | β-사이알론 형광체 분말 및 그 제조 방법 |
JP2014019844A (ja) * | 2012-07-23 | 2014-02-03 | Konica Minolta Inc | 蛍光体分散液及びled装置の製造方法 |
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2004
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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