JP2006036712A - 脳梗塞予防または治療薬としてのビトロネクチン拮抗物質 - Google Patents

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Shokichi Ouchi
章吉 大内
Shoichi Murakami
省一 村上
Kazuyuki Fujishima
和幸 藤島
Toyoaki Ishikura
豊昭 石倉
Keiichi Ajito
慶一 味戸
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Abstract

【課題】脳梗塞予防または治療薬としてのビトロネクチン拮抗物質の提供。
【解決手段】インテグリンαVβ3 拮抗物質が、脳梗塞の予防または治療剤として極めて有望であることを、中大脳動脈閉塞ラット評価系を用いて証明した。これまでのメカニズム解析を踏まえ、当該評価系における脳梗塞抑制作用は、主にビトロネクチン拮抗作用により発現していることが判明した。
【選択図】なし

Description

本発明は、脳梗塞の予防または治療に用いるインテグリンαVβ3 拮抗物質を有効成分として含有する医薬品組成物に関する。
先進諸国における重篤な疾病は、食生活、ライフスタイル、および喫煙習慣の変化などに伴い、主要な死亡原因がいわゆる生活習慣病と深く関わっている虚血性疾患が増加してきている。中でも脳虚血性疾患に関しては、これらを効果的に予防あるいは治療することの出来る満足度の高い薬剤が世界的にも乏しい現状にある。
虚血性疾患に対応するための医療システムは、国の内外を問わず医療行政上の指導・施策もあり、近年急速に改善されつつある。しかしながら、急性脳虚血性疾患を例にとって救急医療の臨床効果ならびに予後の改善を考察すると、現状の治療動向は国内外において必ずしも満足できるものではない。
急性脳梗塞患者が救急医療施設に運び込まれると、患者の容体・病歴などを素早く検討し、設備やスタッフなど現場の救急医療体制を瞬時に判断し、血流の再疎通療法(通常、血栓溶解剤の投与)、あるいは高気圧酸素療法、低体温療法の施行などにより脳細胞の死滅を最小限にくい止める。しかしながら、救急医療として施された適切な処置にもかかわらず、後遺症の発生を完全に抑制することはできない状況にある。いかに救命率を高め、いかに寝たきりにさせずに予後のQOLを高めるかが脳梗塞の治療における焦点となっている。
脳梗塞の発生は、脳細胞壊死層の増大を招き、その結果手足麻痺、言語障害、痴呆など、身体および精神機能が低下する。梗塞層の増大が死亡率や患者の予後の状態に大きな影響を与えることは、既に知られている。(非特許文献1〜3)これまで様々な研究機関から脳梗塞治療薬開発を目的として種々の臨床・前臨床試験が行われている。詳細な情報に関しては、医薬情報誌(例えば、非特許文献4)に譲るが、これまで検討されてきた代表的なアプローチにおける科学的なメカニズムとしては、血栓溶解剤、GPIIbIIIa拮抗剤、硫酸マグネシウム、E-セレクチン、抗酸化剤などが挙げられる。これらの作用メカニズムを有するいくつかの化合物は、すでに上市されているが、まだ治療効果が高いと言える状況にはない。
また、これまでインテグリンαVβ3拮抗物質に関しては、本発明者らの出願した特許を含め、欧米の大手製薬企業を中心に40を超える特許文献が公開されている。(特許文献1〜55)しかし、これら特許文献記載の化合物が白血球を介した作用メカニズムと共に効果的に脳梗塞を予防または治療したという事実は全く報告されていない。
さらに、これまで色々な疾病領域においてインテグリンαVβ3拮抗物質の動物実験に関する結果が報告されている。(非特許文献5〜16)しかし、インテグリンαVβ3拮抗物質が脳梗塞を抑制した事実および、脳梗塞に著効を示した科学的なデータはこれまでのところ全く報告されていない。
また、これまでインテグリンαVβ3と脳梗塞との関連が述べられている論文が二つ報告されている。一方はヒヒの脳虚血モデルにおいてインテグリンαVβ3が発現していることを観察した論文(非特許文献17)であり、他方はラット脳梗塞後にアストロサイトでインテグリンαVβ3が発現し、障害修復の役割を果たしていることを示唆する論文(非特許文献18)であり、何れも脳梗塞予防または治療の事実を述べた内容ではない。
なお、インテグリンαVβ3拮抗作用ならびに受容体自身に関する基礎的ならびに詳細については、本発明者らが既に出願した特許(特許文献44)に記載した。
WO95/32710 WO96/37492 WO97/01540 WO97/08145 WO97/23451 WO97/23480 WO97/24119 WO97/26250 WO97/33887 WO97/36858 WO97/36859 WO97/36860 WO97/36861 WO97/36862 WO97/24336 WO97/37655 WO98/08840 WO98/18460 WO98/25892 WO98/30542 WO98/31359 WO98/35949 WO98/43962 WO98/46220 WO99/05107 WO99/06049 WO99/11626 WO99/15170 WO99/15178 WO99/15506 WO99/15507 WO99/15508 WO99/30709 WO99/30713 WO99/31061 WO99/31099 WO99/32457 WO99/33798 WO99/37621 WO99/38849 WO99/44994 WO99/45927 WO99/50249 WO99/52872 WO99/52879 US5843906 US5852210 EP796855 EP820988 EP820991 EP853084 EP928790 EP928793 GB2326609 GB2327672 Wakita M et al., Angiology, 53, 551-6 (2002) Hermier M, et al., J Cereb Blood Flow Metab, 23, 240-8 (2003) Vaughan CJ, Am J Cardiol, 91(4A), 23B-9B(2003) Acute Ischemic Stroke (Decision Resources, Jan 2003 S. S. Srivatsa他、第69回米国心臓学会、0231、1996 J. F. Gourvest他、第18回米国骨代謝学会、P228、1996 S. B. Rodan他、同学会、M430、1996 T. L. Yue他、第70回米国心臓学会、3733、1997 A. L. Racanelli他、同学会、3734、1997 M. Friedlander他、米国IBC会議、9月11日、1997 W. S.Westlin、米国IBC会議、2月23日、1998 M. W. Lark他、第2回米国骨代謝学会・国際骨代謝学会合同会議、T064、1998 R. K. Keenan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, 3171, 1998 C. P. Carron et al., Cancer Res., 58, 1930, 1998 W. H. Miller et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 9, 1807, 1999 S. A. Mousa他、第17回国際血栓止血学会、228、1999 Y. Okada et al., Am. J. Pathol., 149, 37, (1996) JA. Ellison et al., Stroke, 29, 1698, (1998)
脳梗塞を予防または治療することができる薬剤は、脳虚血性疾患時の再疎通療法における重要な薬剤になり得る。また脳梗塞を予防または治療することで、他の虚血性疾患、例えば心筋虚血性疾患においてもその予後を改善することができる。さらに脳梗塞を予防または治療することのできる薬剤は、臓器移植あるいは血液移植に伴う脳梗塞および人工臓器の使用に伴う脳梗塞などにも有用である。しかるに本発明が解決しようとする課題は、臨床において脳梗塞を有効に予防または治療することのできる薬剤を提供することにある。
はじめに脳梗塞発生のメカニズムとこれによって引き起こされる血行動態の変化について考察した。組織の虚血とその後の急激な血流の再疎通によって生じた組織傷害因子の活性化とno reflow現象を含む微小循環障害は、それ自身脳組織の壊死を生じさせ脳梗塞サイズを増大させると共に、結果的に脳機能の低下を招いていることが明らかになってきた。実際に、脳組織傷害や微小循環障害を発生させる主な原因は、血管壁および脳組織への白血球の接着・浸潤であり、さらに微細血栓と浮腫が付加的な原因であると推定される。
しかるに、我々は白血球の接着・浸潤を抑制し、微細血栓(M. Gawaz et al., Circulation, 96, 1809, (1997))・浮腫(H. Tsukada et al., Circ. Res., 77, 651, (1995))を抑制する作用機序から焦点を当て鋭意研究を続けた結果、接着分子であるインテグリンαVβ3を拮抗する化合物が白血球の接着・浸潤を押さえることにより、脳梗塞を抑制するという重要な科学的知見を初めて見出した。さらに本作用メカニズムにより実際にラットを用いた評価系において、インテグリンαVβ3拮抗物質が虚血再灌流モデルにおいて脳梗塞サイズを顕著に抑制することを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、

(1) インテグリンαVβ3 拮抗物質、ならびにそのプロドラッグ、及びそれらの薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、脳梗塞予防または治療剤。
(2)次の式(1)
Figure 2006036712


[式中、R1は水素原子、水酸基、メトキシ基、フッ素原子、または塩素原子を表わし、R2は水素原子、C1−6直鎖アルキル基、 C3−6分枝アルキル基、ピバロイルオキシメチル基、ヘキセチル基、またはアキセチル基を表わす]で表されるインテグリンαVβ3 拮抗物質、ならびにそのプロドラッグ、及びそれらの薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する脳梗塞予防または治療剤。
(3)次の式(2)
Figure 2006036712


で表される化合物、その薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する脳梗塞予防または治療剤。
(4)次の式(3)
Figure 2006036712

で表される化合物、その薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する脳梗塞予防または治療剤。
(5)上記(1)〜(4)いずれか一項記載の化合物、その薬学的に許容し得る塩または溶媒和物の有効量を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物の、脳梗塞予防または治療剤。
(6)上記(1)〜(4)いずれか一項記載の化合物、その薬学的に許容し得る塩または溶媒和物の有効量を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物の、脳虚血性疾患発生時における再疎通療法に伴う脳梗塞予防または治療剤。

に関する。
1)インテグリンαVβ3拮抗作用を有する化合物が、メカニズムの解明を伴い、脳梗塞予防または治療剤として証明された。2)本発明に記載されたインテグリンαVβ3拮抗作用を有する化合物は、様々な領域の疾患、例えば虚血性心疾患時の再疎通療法における脳梗塞、脳虚血性疾患における再疎通療法における脳梗塞、臓器移植あるいは血液移植に伴う脳梗塞および人工臓器の使用に伴う脳梗塞などの予防または治療において極めて有用である。
本発明に記載の「インテグリン拮抗物質、その薬学的に許容し得る塩またはその溶媒和物」の具体例は、例えば、WO95/32710(メルク社)、WO96/37492(デュポンメルク社)、WO97/01540(スミスクラインビーチャム社)、WO97/08145(サール社)、WO97/23451(メルク社)、WO97/23480(デュポンメルク社)、WO97/24119(SKB社)、WO97/26250(メルク社)、WO97/33887(デュポンメルク社)、WO97/36858(サール社)、WO97/36859(サール社)、WO97/36860(サール社)、WO97/36861(サール社)、WO97/36862(サール社)、WO97/24336(スミスクラインビーチャム社)、WO97/37655(メルク社)、WO98/08840(メルク社)、WO98/18460(メルク社)、WO98/25892(リリー社)、WO98/30542(スミスクラインビーチャム社)、WO98/31359(メルク社)、WO98/35949(メルク社)、WO98/43962(デュポンメルク社)、WO98/46220(メルク社)、WO99/05107(スミスクラインビーチャム社)、WO99/06049(スミスクラインビーチャム社)、 WO99/11626(スミスクラインビーチャム社)、WO99/15170(スミスクラインビーチャム社)、WO99/15178(スミスクラインビーチャム社)、WO99/15506(ヘキストマリオンルセル社)、 WO99/15507(ヘキストマリオンルセル社)、 WO99/15508(スミスクラインビーチャム社)、WO99/30709(メルク社)、WO99/30713(メルク社)、WO99/31061(メルク社)、WO99/31099(メルク社)、WO99/32457(ヘキストマリオンルセル社)、WO99/33798(山之内社)、 WO99/37621(ヘキストマリオンルセル社)、WO99/38849(明治製菓社)、 WO99/44994(サール社)、WO99/45927(スミスクラインビーチャム社)、 WO99/50249(デュポンメルク社)、WO99/52872(明治製菓社)、WO99/52879(アメリカンホームプロダクツ社)、US5843906(サール社)、US5852210(サール社)、EP796855(ヘキスト社)、EP820988(ヘキスト社)、EP820991(ヘキスト社)、EP853084(ヘキスト社)、EP928790(ホフマンラロシュ社)、EP928793(ホフマンラロシュ社)、GB2326609(メルク社)、GB2327672(メルク社)などに記載されている化合物などが挙げられるが、中でも、 WO99/52872(明治製菓社)およびWO95/32710(メルク社)などに記載されている化合物などが好ましい。
本明細書において、「低級アルキルエステル」とは、メチル、エチル、鎖状または分枝鎖状のプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのエステルを表わす。
本発明による化合物は、その薬理学的に許容される塩とすることができる。そのような塩としては非毒性塩が挙げられるが、好ましい塩としては塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩などの有機酸塩およびグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機アルカリ塩などを挙げることができる。
また本発明に記載された溶媒和物を形成する溶媒は限定されないが、例えば水和物、メタノール和物、エタノール和物などのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。
本発明に記載された式(1)から式(3)で表される化合物、その薬理学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬組成物は、経口または非経口投与(例えば、吸入投与、点鼻、点眼、皮下投与、静注、点滴静注、筋注、直腸投与および経皮投与など)で投与することができ、薬剤として経口または非経口投与に適した種々の剤形で、ヒトおよびヒト以外の動物に使用される。
例えばその用途に応じて、錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠、シロップ剤、乳濁剤、懸濁剤、溶液剤などの経口剤、吸入剤、点鼻液、点眼液などの外用液剤、貼付剤、静注および筋注、点滴静注剤、などの注射剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤、軟膏のような塗布剤などのいずれかの製剤形態に調製することができる。注射剤、点滴剤などの液体製剤を例えば凍結乾燥形態の粉末状医薬組成物として提供し、用時に水または他の適当な媒体(例えば生理食塩水、ブドウ糖輸液、緩衝液など)に溶解または懸濁させて用いてもよい。
これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて常法により製造することができる。使用可能な無毒性の上記添加物としては、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、オリーブ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム、アスコルビン酸、シクロデキストリン類などが挙げられる。
本発明に記載された化合物の薬剤中における含有量は、その剤形に応じて異なるが、通常全組成物中1.0〜100% (W/W)、好ましくは1.0〜60% (W/W) 濃度である。
本発明に記載された医薬の投与量および投与回数は特に限定されないが、治療または予防の目的、疾患の種類、患者の年齢、体重、症状などの種々の条件に応じて適宜の投与量および投与回数を決定することが出来る。脳疾患などの治療および予防のための投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度などを考慮して適宜決定されるが、通常成人1日当たり約0.1〜4000 mg、好ましくは4〜1000 mg 程度とするのが良く、これを1日1回または数回あるいは数日間に1回に分けて、さらには持続的に投与することができる。
次に、本発明を評価プロトコールとその実験結果を含む実施例によって詳細に記述する。参考例に含まれる製造法に関する反応経路、反応の種類、反応に用いる試薬、反応に用いる溶媒などは全てがその一例であり、参考例によって式(1)、(2)、(3)で表される本発明に記載された化合物の製造法が限定されることはない。また、実施例に記載されたin vivo 評価系のプロトコールならびに動物種に関しても、実施例に含まれている方法に限定されるものではない。
参考例1:式(1)、(2)、および(3)で表される化合物を、 WO99/52872記載の方法により効率よく製造した。
参考例2:本明細書に記載されたインテグリンαVβ3 拮抗物質のin vitroとin vivoに関する詳しい関係は、本発明者らによって特許出願されたWO01/54726に詳しく記載されている。
実施例1:中大脳動脈閉塞ラットの脳梗塞に対する抑制作用
実験にはJcl:SD系雄性ラット(8 週齢)を用いた(1群:N=32-33)。2%ハロセン麻酔下に、シリコンコートしたナイロン糸を左総頚動脈より内頚動脈を経て中大脳動脈の基始部まで挿入し、これを閉塞した。中大脳動脈閉塞中に、ラットの神経症状を観察し、典型的な症状が発現しているラットのみを実験に使用した。閉塞開始120分後に栓子を抜き、再灌流を行った。虚血2日後に、ラットを断頭、脳を摘出し、氷冷下に厚さ2 mmの前顎断切片を6枚作成した。各切片は1%TTC溶液で15分間染色した。デジタルカメラで切片を撮影し、画像解析により梗塞容積を求めた。薬液は、正確に400 mgの化合物(3)を量り取り、正確に6.00 gの塩水港製糖株式会社製のGUG -β-CDを加えた。精製水20 mlを加え、超音波を用いて完全に溶解した。生理食塩水を徐々に加え、全体を正確に50 mlまでメスアップした後、ミリポア濾過を行い、投与液として用いた。
当該薬液(4 mg/mL)を、以下のスケジュールで投薬した。すなわち、再灌流直後にボーラス投与(6.0 mg/kg, i.v.)した後、予め頚静脈に埋め込だ慢性カニューレより屠殺までの48時間持続注入(6.0 mg/kg/hr、0.5 mL/h/rat)した。その結果、コントロール群(生理食塩液投与)の脳梗塞部位体積が264.0±24.3 cm3(平均値±SE)であったのに対して、化合物(3)を投与した群の脳梗塞部位体積は154.3±24.0 cm3と有意に梗塞サイズ縮小効果を示した。
以上の結果より、本評価系においてインテグリンαVβ3拮抗物質が、梗塞サイズを有意に抑制し、脳梗塞が押さえられたことが確認された。ところで当該評価系に用いた式(3)で表される化合物および式(1)或いは式(2)で表される化合物は、抗血小板作用も有しているが、この実験における薬剤投与量においては、血小板凝集抑制作用は示さず、梗塞サイズの抑制効果は、主に抗血小板作用によるのではなく、主にインテグリンαVβ3拮抗作用に基づくものであることが確認された。
なお、インテグリンαVβ3拮抗物質が脳梗塞予防または治療剤として用いられる場合は、抗血小板作用は持っていても、もっていなくともよい。血管病変の疾病に対する治療薬として用いる場合、例えば、虚血性心疾患あるいは脳虚血性疾患である場合は、着目するインテグリンαVβ3拮抗物質が抗血小板作用を有していた場合の方が、臨床効果が優れている場合もある。したがって本発明において述べられているインテグリンαVβ3拮抗物質とは、抗血小板作用の有る無しによってその発明を制限するものではなく、抗血小板作用がなくインテグリンαVβ3拮抗作用を有する物質と、抗血小板作用を併せ持つインテグリンαVβ3拮抗作用を有する物質のいずれも包含するものである。
また、本発明のよる実施例1においては、化合物(3)の薬液を調製する際、塩水港製糖株式会社製のGUG-β-CDを用いているが、薬液を調製する際は当該物質を用いても用いなくともよく、従って、当該物質の使用或いはある種の溶解補助剤の使用によって本発明が制限されるものではない。
以上の様に、本発明者らは、インテグリンαVβ3拮抗物質が、虚血再灌流モデルにおいて脳梗塞を抑制することを示した。これまでインテグリンαVβ3拮抗物質を脳梗塞予防または治療剤として用い、虚血再灌流動物モデルにおいて梗塞サイズを抑制したという報告はない。即ち本発明は全く新規な発見であり、同時に、虚血性心疾患、脳虚血性疾患、臓器移植、血液移植、人工臓器の使用に伴い起きる脳梗塞に有用な新薬を創出するための重要で新しい知見を提供している。

Claims (6)

  1. インテグリンαVβ3 拮抗物質、ならびにそのプロドラッグ、及びそれらの薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する、脳梗塞予防または治療剤。
  2. 次の式(1)
    Figure 2006036712

    [式中、R1は水素原子、水酸基、メトキシ基、フッ素原子、または塩素原子を表わし、R2は水素原子、C1−6直鎖アルキル基、 C3−6分枝アルキル基、ピバロイルオキシメチル基、ヘキセチル基、またはアキセチル基を表わす]で表されるインテグリンαVβ3 拮抗物質、ならびにそのプロドラッグ、及びそれらの薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する請求項1の脳梗塞予防または治療剤。
  3. 次の式(2)
    Figure 2006036712

    で表される化合物、その薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する請求項2の脳梗塞予防または治療剤。
  4. 次の式(3)
    Figure 2006036712

    で表される化合物、その薬学的に許容し得る塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する請求項2の脳梗塞予防または治療剤。
  5. 請求項1〜4いずれか一項記載の化合物、その薬学的に許容し得る塩または溶媒和物の有効量を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物の、脳梗塞予防または治療剤。
  6. 請求項1〜4いずれか一項記載の化合物、その薬学的に許容し得る塩または溶媒和物の有効量を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物の、脳虚血性疾患発生時における再疎通療法に伴う脳梗塞予防または治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024024915A1 (ja) * 2022-07-28 2024-02-01 国立大学法人佐賀大学 ペリオスチン介在性疾患及び該疾患に伴うそう痒の予防又は治療剤

Cited By (1)

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WO2024024915A1 (ja) * 2022-07-28 2024-02-01 国立大学法人佐賀大学 ペリオスチン介在性疾患及び該疾患に伴うそう痒の予防又は治療剤

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