JP2006035479A - 生タイヤの製造方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膨張変形時におけるブラダ62の肉厚のばらつきを抑制することで、タイヤの縦振れ、ブラダ62の寿命低下の抑制および生タイヤからの分離の容易化を図る。
【解決手段】 ブラダ62を円筒部63、64、立ち上がり部65、66、連結部67から構成したので、ブラダ62の膨出変形可能な部位の軸方向長さが円筒状のものに比較して、少なくとも立ち上がり部65、66の高さの2倍程度長くなり、この結果、ブラダ62が収縮状態から膨出変形したときの伸長量が全体的に低減する。これにより、膨張変形時におけるブラダ62の肉厚のばらつきが低減され、製品タイヤの縦振れおよびブラダ62の寿命低下が抑制され、生タイヤからのブラダ62の分離が容易となる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、タイヤ成形ドラムを用いて生タイヤを製造する製造方法および装置に関する。
従来の生タイヤの製造方法・装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
特開平7−100954号公報
このものは、一対のビードコアがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材のビードコアを半径方向内側からそれぞれ支持することができる一対の支持手段と、これら支持手段を互いに接近離隔させることができる接離手段と、支持手段に軸方向両端が密封係止され、半径がいずれの軸方向位置においても一定である円筒状のブラダとを備えたものである。
そして、このものにおいては、前記ビードコアを支持している支持手段を接離手段により互いに接近させながら、ブラダ内に内圧を充填して該ブラダを半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコア間のタイヤ中間部材を略トロイダル状に変形させるとともに、該タイヤ中間部材の半径方向外側に搬入されたベルト・トレッドバンドにタイヤ中間部材を圧着し、これにより、生タイヤを製造するようにしている。ここで、ブラダの膨出変形する部位の軸方向長さは、タイヤ中間部材の子午線方向の内表面長さ(ペリフェリ長)より小さいため、ブラダが前述のように収縮状態から膨出変形すると、通常、子午線方向に20〜30%程度伸長する。
しかしながら、このような従来の生タイヤの製造方法・装置にあっては、ブラダの伸長率が、タイヤ中間部材との接触時期の相違、タイヤ中間部材の曲率半径の相違、膨張変形時におけるずれ、滑り等の理由から、場所によって大きく異なることがあり、このような場合には膨張変形時のブラダの肉厚に大きなばらつきが生じてしまう。そして、このようにブラダの肉厚にばらつきが生じると、タイヤ中間部材、ベルト・トレッドバンドがその影響を受けて製品タイヤに縦振れ(ラジアルランナウト)が発生したり、ブラダが生タイヤから剥がれにくくなったり、さらには、ブラダ自身の寿命が短くなってしまうという課題があった。
この発明は、膨張変形時におけるブラダの肉厚のばらつきを抑制することで、タイヤの縦振れ、ブラダの寿命低下の抑制および生タイヤからの分離の容易化を図ることができる生タイヤの製造方法および装置を提供することを目的とする。
このような目的は、第1に、一対のビードコアがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材のビードコアを半径方向内側からそれぞれ一対の支持手段により支持する工程と、該支持手段を互いに接近させながら、支持手段に軸方向両端が密封係止され、軸方向両側部にそれぞれ位置する円筒部と、該円筒部の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部と、これら立ち上がり部の半径方向外端同士を連結する連結部とから構成されたブラダ内に内圧を充填して該ブラダを半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコア間のタイヤ中間部材を略トロイダル状に変形させるとともに、該タイヤ中間部材の半径方向外側に搬入されたベルト・トレッドバンドにタイヤ中間部材を圧着する工程とを備えた生タイヤの製造方法により、達成することができ、
第2に、一対のビードコアがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材のビードコアを半径方向内側からそれぞれ支持することができる一対の支持手段と、これら支持手段を互いに接近離隔させることができる接離手段と、支持手段に軸方向両端が密封係止されたブラダとを備え、前記ビードコアを支持している支持手段を接離手段により互いに接近させながら、ブラダ内に内圧を充填して該ブラダを半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコア間のタイヤ中間部材を略トロイダル状に変形させるとともに、該タイヤ中間部材の半径方向外側に搬入されたベルト・トレッドバンドにタイヤ中間部材を圧着するようにした生タイヤの製造装置において、前記ブラダを、軸方向両側部にそれぞれ位置する円筒部と、該円筒部の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部と、これら立ち上がり部の半径方向外端同士を連結する連結部とから構成した生タイヤの製造装置により、達成することができる。
この発明においては、ブラダを、軸方向両側部にそれぞれ位置する円筒部と、該円筒部の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部と、これら立ち上がり部の半径方向外端同士を連結する連結部とから構成したので、ブラダの膨出変形可能な部位の軸方向長さ(子午線方向長さ)が、半径がいずれの軸方向位置においても一定である円筒状のものに比較して、少なくとも立ち上がり部の高さの2倍程度長くなり、この結果、ブラダが収縮状態から膨出変形したときの伸長量が全体的に低減し、これにより、膨張変形時におけるブラダの肉厚のばらつきが低減され、タイヤの縦振れおよびブラダの寿命低下が抑制されるとともに、生タイヤからのブラダの分離が容易となる。
また、生タイヤのトレッド部とサイドウォール部との境界近傍の内面で、曲率半径がサイドウォール部の最小曲率半径の 1/2以下である領域は、生タイヤの中で曲率半径が最も小さい領域であるため、膨出変形の終期にブラダが接触することになり、この結果、該領域に密着するブラダの伸長率は、他の部位に密着するブラダに比較し、かなり大きな値となる。しかも、前記領域はブラダが軸方向から半径方向へと延在方向が変化する部位でもあるため、ブラダと生タイヤとの密着力が強力となり容易に剥離できないことがある。
しかしながら、請求項3に記載のように構成すれば、ブラダの立ち上がり部、特に半径方向外端部が膨出変形の初期から前述した領域またはその近傍に接触するようになるため、該領域に密着する立ち上がり部の伸長率が低減し、これにより、ブラダと生タイヤとの密着力が低下し生タイヤからのブラダの剥離が容易となる。さらに、ブラダの立ち上がり部は円筒部、連結部に円滑に繋がるよう拡開しながら弾性変形して前記領域に密着することになるが、ブラダから内圧が排出されると、立ち上がり部は弾性復元力により元の形状に戻ろうとするため、生タイヤからの剥離がさらに容易となる。
さらに、請求項4に記載のように構成すれば、収縮時における円筒部から連結部の半径方向外端までの距離が小さくなり、これにより、タイヤ中間部材の搬入時におけるタイヤ中間部材とブラダとの干渉を容易に防止することができる。
また、請求項5に記載のように構成すれば、タイヤ中間部材の搬入時におけるタイヤ中間部材とブラダとの干渉を容易に防止しながら、膨張変形時におけるブラダの肉厚のばらつきを効果的に低減させることができる。
以下、この発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1において、11は生タイヤを製造する際に使用するタイヤ成形ドラムであり、このタイヤ成形ドラム11は水平な円筒状のドラム主軸12を有する。このドラム主軸12は図示していない駆動部に連結されており、該駆動部により必要に応じて軸線回りに駆動回転される。前記ドラム主軸12内にはドラム主軸12と同軸のねじ軸13が回転可能に挿入され、このねじ軸13の軸方向両側部外周には、それぞれ逆ねじとなったおねじ部14、15が形成されている。
また、前記おねじ部14、15に重なり合う部位のドラム主軸12にはそれぞれ軸方向に延びる複数のスリット16、17が形成され、これらスリット16、17は周方向に等距離離れて配置されている。18、19は前記おねじ部14、15にそれぞれ螺合するねじ部材であり、これらのねじ部材18、19には前記スリット16、17を貫通する連結ブロック20、21がそれぞれ固定されている。
25、26は前記ドラム主軸12の軸方向両側部にそれぞれ軸方向に移動可能に支持され、該ドラム主軸12を囲む略円筒状の摺動体であり、これらの摺動体25、26の軸方向内端部には前記連結ブロック20、21がそれぞれ連結されている。前述した連結ブロック20、21、摺動体25、26は全体として、ドラム主軸12の軸方向両側部にそれぞれ軸方向に移動可能に支持された一対の可動体27、28を構成する。
そして、これらの可動体27、28は、前記ねじ軸13が図示していない駆動モータによって駆動回転されると、逆ねじであるおねじ部14、15によって逆方向に等距離だけ移動し、互いに接近離隔する。前述したねじ軸13、ねじ部材18、19は全体として、可動体27、28を含む後述の一対の支持手段を逆方向に等距離だけ軸方向に移動させることにより互いに接近離隔させる接離手段30を構成する。
前記摺動体25、26の軸方向内端部外周にはそれぞれ半径方向に延びる複数の収納孔32、33が形成され、これらの収納孔32、33はそれぞれ周方向に等距離離れて配置されている。各収納孔32、33内にはビードロックセグメント34、35がそれぞれ半径方向に移動可能に挿入され、これらビードロックセグメント34、35の半径方向内端部にはそれぞれローラ36、37が回転可能に支持されている。
40、41は摺動体25、26内に形成されドラム主軸12と同軸のリング状をしたシリンダ室であり、これらのシリンダ室40、41の軸方向内端部は前記収納孔32、33の半径方向内端部に連通している。42、43は前記シリンダ室40、41内に軸方向に移動可能に収納されたリング状のピストンであり、これらピストン42、43の軸方向内端部には軸方向内側に向かうに従い半径方向内側に傾斜するとともに、前記ローラ36、37が転がり接触する傾斜面44、45が形成されている。
48、49はピストン42、43より軸方向外側のシリンダ室40、41に連通する流体通路であり、これら流体通路48、49を通じてシリンダ室40、41に高圧流体が供給されると、ピストン42、43は軸方向内側に移動して傾斜面44、45によりビードロックセグメント34、35を半径方向外側に移動させる。なお、これらビードロックセグメント34、35の半径方向内側への移動は、該ビードロックセグメント34、35の半径方向外側に軸方向内端部が配置された後述の折返しブラダの弾性復元力により行われる。
Cはスキージー等が貼付けられ円筒状に成形されたカーカス層Kと、該カーカス層Kの外側の所定位置にセットされたフィラーF付きのビードコアBとからなるタイヤ中間部材であり、このタイヤ中間部材Cが前記タイヤ成形ドラム11に搬入されその外側に嵌合された後、前記ビードロックセグメント34、35が半径方向外側に同期移動すると、前記ビードコアBはカーカス層Kを介してビードロックセグメント34、35により半径方向内側から支持される。前述した可動体27、28、ビードロックセグメント34、35、ピストン42、43は全体として、一対のビードコアBがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材CのビードコアBを半径方向内側からそれぞれ支持することができる一対の支持手段52、53を構成する。
56、57はビードロックセグメント34、35から軸方向外側に向かって延びる折返しブラダであり、これらの折返しブラダ56、57は、図示していない給排通路を通じて流体が排出された収縮状態のときには、摺動体25の外周に円筒状に巻き付いているが、前記給排通路を通じて内部に流体が供給されると、ドーナツ状に膨張する。このとき、図2に示すように該折返しブラダ56、57は軸方向内側に移動してきたキャン58、59により押し倒されて変形し、ビードコアBより軸方向外側のカーカス層KをビードコアBの回りに折り返す。
62は軸方向両端が支持手段52、53、詳しくは、ビードロックセグメント34、35より軸方向内側の摺動体25、26に密封係止されたシェーピング用のブラダであり、このブラダ62はゴム膜から構成されている。また、このブラダ62は軸方向両側部にそれぞれ位置する略円筒状の円筒部63、64と、該円筒部63、64の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部65、66と、これら立ち上がり部65、66の半径方向外端同士を連結する連結部67とから構成されている。ここで、前記立ち上がり部65、66が半径方向外側に向かって延びているとは、軸方向ではなく半径方向に延びているという意味で、具体的には、軸方向に対して45度以上の角度で傾斜しながら延びているという意味である。
そして、前記ブラダ62は、内圧が排出された収縮時で、しかも、摺動体25、26が離隔位置にあるときには、全体として略円筒状を呈している。一方、前記ブラダ62内に内圧、例えばエアが供給充填されるとともに、ビードコアBを支持している支持手段52、53が互いに接近すると、ブラダ62は半径方向外側に膨出して略トロイダル状に変形し、これにより、ビードコアB間のタイヤ中間部材C、詳しくはカーカス層Kを略トロイダル状に変形させる。
このとき、タイヤ中間部材Cの半径方向外側には、図示していないバンド成形機により円筒状に成形されベルト層GおよびトップトレッドHからなるベルト・トレッドバンドDが搬入されているため、タイヤ中間部材Cの軸方向中央部はその変形の途中でベルト・トレッドバンドDに圧着されて変形が阻止され、平坦な略円筒状となる。その後、ベルト・トレッドバンドDは全体がステッチングローラによりタイヤ中間部材Cに圧着され、図3に示すような生タイヤNが製造される。
このようにブラダ62を円筒部63、64と立ち上がり部65、66と連結部67とから構成すれば、ブラダ62の膨出変形可能な部位の軸方向長さ(子午線方向長さ)が、半径がいずれの軸方向位置においても一定である円筒状のものに比較して、少なくとも立ち上がり部65、66の高さの2倍程度長くなり、この結果、ブラダ62が収縮状態から膨出変形したときの伸長量が全体的に低減する。これにより、膨張変形時におけるブラダ62の肉厚のばらつきが低減され、製品タイヤの縦振れおよびブラダ62の寿命低下が抑制されるとともに、生タイヤNからのブラダ62の分離が容易となる。
ここで、前記生タイヤNのトレッド部Tとサイドウォール部Sとの境界近傍の内面で、曲率半径が製品タイヤにおけるサイドウォール部Sの最小曲率半径の 1/2以下である領域Qは、生タイヤNの中で曲率半径が最も小さい領域であるため、膨出変形の終期にブラダ62が接触することになり、この結果、該領域Qに密着するブラダ62の伸長率は、他の部位に密着するブラダ62に比較し、かなり大きな値となる。しかも、前記領域Qはブラダ62が軸方向から半径方向へと延在方向が変化する部位でもあるため、ブラダ62と生タイヤNとの密着力が強力となり容易に剥離できないことがある。
このため、この実施例においては、ブラダ62の膨出変形時に立ち上がり部65、66が領域Qに少なくとも一部で密着する位置に、該立ち上がり部65、66を配置したのである。これにより、ブラダ62の立ち上がり部65、66、特にその半径方向外端部が膨出変形の初期から前述した領域Qまたはその近傍に接触するようになるため、該領域Qに密着する立ち上がり部65、66の伸長率が低減し、これにより、ブラダ62と生タイヤNとの密着力が低下し生タイヤNからのブラダ62の剥離が容易となる。さらに、ブラダ62の立ち上がり部65、66は円筒部63、64、連結部67に円滑に繋がるよう拡開しながら弾性変形して前記領域Qに密着することになるが、ブラダ62から内圧が排出されると、立ち上がり部65、66は弾性復元力により元の形状に戻ろうとするため、生タイヤNからの剥離がさらに容易となる。
また、前記連結部67は円筒状であり、ブラダ62の中心軸と平行に延在させるようにすることが好ましい。その理由は、このようにすると、ブラダ62の収縮時における円筒部63、64から連結部67の半径方向外端までの距離Lが小さくなり、これにより、タイヤ中間部材Cの搬入時におけるタイヤ中間部材Cとブラダ62との干渉を容易に防止することができるからである。
さらに、前述した立ち上がり部65、66の高さ、即ち前記距離Lは、収縮時における円筒部63、64の半径Rの1.1〜1.4倍の範囲内とすることが好ましい。その理由は、前述の範囲内であると、タイヤ中間部材Cの搬入時におけるタイヤ中間部材Cとブラダ62との干渉を容易に防止しながら、膨張変形時におけるブラダ62の肉厚のばらつきを効果的に低減させることができるからである。そして、前記距離Lは半径Rの1.15〜 1.3倍の範囲内とすることがさらに好ましい。
次に、前記実施例1の作用について説明する。
今、可動体27、28が離隔位置で停止するとともに、ビードロックセグメント34、35が半径方向内側限で停止し、折返しブラダ56、57およびブラダ62が収縮状態にあるとする。次に、図示していない他の成形ドラムにより円筒状に成形されるとともにビードコアBが所定位置にセットされたタイヤ中間部材Cを搬送装置(図示せず)によってタイヤ成形ドラム11に搬入し、その外側に遊嵌する。このとき、前述のようにブラダ62は収縮状態にあり、連結部67がブラダ62の中心軸と平行に延在しているため、該ブラダ62の立ち上がり部65、66、連結部67とタイヤ中間部材Cとが干渉することはない。
次に、流体通路48、49を通じてシリンダ室40、41に高圧流体を供給すると、ピストン42、43が軸方向内側に移動し、傾斜面44、45によってビードロックセグメント34、35を半径方向外側に同期移動させる。この結果、タイヤ中間部材CのビードコアBはカーカス層Kを介してビードロックセグメント34、35により半径方向内側から支持される。
次に、折返しブラダ56、57内に流体が供給され、これら折返しブラダ56、57がドーナツ状に膨張する。このとき、キャン58、59が軸方向内側に移動し、図2に仮想線で示すように、膨張した折返しブラダ56、57を押し倒して、ビードコアBより軸方向外側のカーカス層KをビードコアBの回りに折り返す。次に、折返しブラダ56、57内から流体が排出されると、駆動部によりドラム主軸12、可動体27、28、ビードロックセグメント34、35およびタイヤ中間部材Cを一体的に回転させながら、図2に実線で示すように、タイヤ中間部材Cの折返し部近傍にサイドトレッドEを供給しその周囲に巻き付ける。
次に、駆動モータによりねじ軸13を駆動回転させることで、可動体27、ビードロックセグメント34および可動体28、ビードロックセグメント35を互いに接近させながら、ブラダ62内に内圧を充填して半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコアB間のタイヤ中間部材C、詳しくはカーカス層Kを略トロイダル状に向かって変形させる。ここで、前述のようにブラダ62を円筒部63、64、立ち上がり部65、66、連結部67から構成したので、ブラダ62の膨出変形可能な部位の軸方向長さが円筒状のブラダに比較して少なくとも立ち上がり部65、66の高さの2倍程度長くなり、この結果、ブラダ62が膨出変形したときの伸長量が全体的に低減して肉厚のばらつきが低減される。
また、このとき、前述のようにブラダ62の立ち上がり部65、66を領域Qに少なくとも一部で密着させるようにしたので、該立ち上がり部65、66が膨出変形の初期から領域Qまたはその近傍に接触するようになって密着力が低下するとともに、ブラダ62から内圧が排出されたときには、立ち上がり部65、66が弾性復元力により元の形状に戻ろうとし、これにより、領域Qからのブラダ62の剥離が容易となる。
ここで、前述したタイヤ中間部材Cの変形前または変形中に、該タイヤ中間部材Cの半径方向外側に円筒状のベルト・トレッドバンドDが搬入されるため、前記タイヤ中間部材Cの軸方向中央部は、図3に示すように、変形の途中でベルト・トレッドバンドDに圧着されて変形が阻止される。その後、ベルト・トレッドバンドDは全体がステッチングローラによりタイヤ中間部材Cに圧着され生タイヤNが製造される。
その後、図示していない搬送装置が生タイヤNを半径方向外側から把持すると、ねじ軸13を回転させて可動体27、ビードロックセグメント34および可動体28、ビードロックセグメント35を互いに離隔位置まで離隔移動させるとともに、ブラダ62内から内圧を排出して該ブラダ62を初期状態まで収縮させる。また、このとき、シリンダ室40、41から高圧流体を排出するが、このように高圧流体が排出されると、ビードロックセグメント34、35は折返しブラダ56、57の弾性復元力により半径方向内側限まで移動するとともに、ピストン42、43はビードロックセグメント34、35に押されて軸方向外側に移動する。その後、生タイヤNは搬送装置により次工程へと搬送される。以後、このような作動が繰り返され、生タイヤNが次々と製造される。
なお、前述の実施例においては、ブラダ62は収縮状態にあるとき略円筒状を呈していたが、この発明においては、ブラダが収縮状態にあるとき、該ブラダ内を真空源に接続して鼓状に変形させるようにしてもよい。このようにすれば、立ち上がり部の高さをある程度高くすることが可能となる。また、前述の実施例においては、ブラダ62の連結部67を円筒状としたが、この発明においては、半径方向外側に湾曲しながら突出させるようにしてもよい。
さらに、前述の実施例においては、タイヤ中間部材Cが円筒状のときにビードコアBより軸方向外側のカーカス層KをビードコアB回りに折り返すようにしたが、この発明においては、タイヤ中間部材Cが可動体27、28、ビードロックセグメント34、35の接近およびブラダ62の膨出変形により略トロイダル状に変形された後に、折返しブラダ等によりビードコアBより軸方向外側のカーカス層KをビードコアB回りに折り返すようにしてもよい。この場合には、この折返し後に、サイドトレッドEを折返し部の外側に貼付けるようにすればよい。
また、前述の実施例においては、タイヤ中間部材Cをタイヤ成形ドラム11に搬入後、ビードコアBより軸方向外側のカーカス層Kを折り返すようにしたが、この発明においては、タイヤ中間部材Cを成形する際、折返しを行い、折返しの終了したタイヤ中間部材Cをタイヤ成形ドラムに搬入するようにしてもよい。さらに、サイドトレッドEは予め円筒状をしたタイヤ中間部材Cにセットしておいてもよい。
この発明は、タイヤ成形ドラムを用いて生タイヤを製造する産業分野に適用できる。
この発明の実施例1を示す正面断面図である。 その作用を説明する図1と同様の正面断面図である。 その作用を説明する図1と同様の正面断面図である。
符号の説明
30…接離手段 52、53…支持手段
62…ブラダ 63、64…円筒部
65、66…立ち上がり部 67…連結部
B…ビードコア C…タイヤ中間部材
R…半径 D…ベルト・トレッドバンド
Q…領域

Claims (5)

  1. 一対のビードコアがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材のビードコアを半径方向内側からそれぞれ一対の支持手段により支持する工程と、該支持手段を互いに接近させながら、支持手段に軸方向両端が密封係止され、軸方向両側部にそれぞれ位置する円筒部と、該円筒部の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部と、これら立ち上がり部の半径方向外端同士を連結する連結部とから構成されたブラダ内に内圧を充填して該ブラダを半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコア間のタイヤ中間部材を略トロイダル状に変形させるとともに、該タイヤ中間部材の半径方向外側に搬入されたベルト・トレッドバンドにタイヤ中間部材を圧着する工程とを備えたことを特徴とする生タイヤの製造方法。
  2. 一対のビードコアがセットされた円筒状を呈するタイヤ中間部材のビードコアを半径方向内側からそれぞれ支持することができる一対の支持手段と、これら支持手段を互いに接近離隔させることができる接離手段と、支持手段に軸方向両端が密封係止されたブラダとを備え、前記ビードコアを支持している支持手段を接離手段により互いに接近させながら、ブラダ内に内圧を充填して該ブラダを半径方向外側に膨出変形させることにより、ビードコア間のタイヤ中間部材を略トロイダル状に変形させるとともに、該タイヤ中間部材の半径方向外側に搬入されたベルト・トレッドバンドにタイヤ中間部材を圧着するようにした生タイヤの製造装置において、前記ブラダを、軸方向両側部にそれぞれ位置する円筒部と、該円筒部の軸方向内端から半径方向外側に向かって延びる立ち上がり部と、これら立ち上がり部の半径方向外端同士を連結する連結部とから構成したことを特徴とする生タイヤの製造装置。
  3. 前記ブラダの膨出変形時に、ブラダの立ち上がり部を、生タイヤのトレッド部とサイドウォール部との境界近傍の内面で、曲率半径がサイドウォール部の最小曲率半径の 1/2以下である領域に少なくとも一部で密着させるようにした請求項2記載の生タイヤの製造装置。
  4. 前記ブラダの連結部をブラダの中心軸と平行に延在させるようにした請求項2または3記載の生タイヤの製造装置。
  5. 前記立ち上がり部の高さを、円筒部の半径の1.1〜1.4倍の範囲内とした請求項2〜4のいずれかに記載の生タイヤの製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20200171766A1 (en) * 2017-06-16 2020-06-04 Harburg-Freudenberger Maschinenbau Gmbh Method and device for producing tires

Cited By (1)

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US20200171766A1 (en) * 2017-06-16 2020-06-04 Harburg-Freudenberger Maschinenbau Gmbh Method and device for producing tires

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