JP2006034406A - 担架におけるフェンスの多重ロック機構 - Google Patents

担架におけるフェンスの多重ロック機構 Download PDF

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Abstract


【課題】担架上の被介助者が誤ってフェンスのロック機構を解除してしまうことを防止する。
【解決手段】サイドフェンス4と、サイドフェンス4に設けた第1係合段部11cと、該第1係合段部11cに係合してサイドフェンス4の回転を阻止する第2係合段部12を備えた第1のロック機構Rは、第1係合段部11cが第2係合段部12に係合したロック位置と、第2係合段部12から離脱したロック解除の位置とに、サイドフェンス4が移動する。第2のロック機構Sは、ロック位置にある第1係合段部11cの移動を阻止する位置と、移動を許容する位置とを選択してとることができる押し子19を備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、担架の転落防止用のフェンスに設けたロック機構の不用意な解除を防止するための多重ロック機構に関する。
一般に、介助用担架においては、担架上に載せられた老人や患者等の被介助者の転落を防止するため、担架の両側にサイドフェンスが設けられている。例えば、入浴用担架がある。介助者が患者等を担架からベッドや浴槽等に移し替える際、サイドフェンスが邪魔になるため、サイドフェンスを取り除く必要があることから、サイドフェンスには脱着または転倒できる機構が備えられている。転倒式のサイドフェンスには、サイドフェンスを転倒させる回転軸部に回転を規制するロック機構が設けられ、このロックを解除することでサイドフェンスを転倒できる。上記ロック機構の解除は、介助者の手動操作によって行うことがでる。
ロック機構として、引き上げ方式とスライド方式の二種類のロック機構が存在している。引き上げ方式によるロック機構は、サイドフェンスを真上に引き上げることでロックを解除できる。一方、スライド方式によるロック機構は、回転軸に沿ってサイドフェンスをスライド移動させることでロックを解除できる。その後、サイドフェンスを下方へ回転することができる。サイドフェンスには重量があるため、引き上げ方式は介助者にとって大きな労力が必要で扱い難いものとなっている。よって、実際には労力の小さいスライド方式のロック機構が多く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−318986号公報
しかしながら、上記従来のスライド方式のロック機構は、スライド方向に対する移動の規制がないことから、担架に載せられている被介助者が意図せずサイドフェンスを掴んで押してしまう場合や、肘や腕などの身体の一部がサイドフェンスに接触する場合に、サイドフェンスが不用意にスライドしてロック機構を解除してしまうおそれがある。また、引き上げ方式のロック機構においても、被介助者が誤ってサイドフェンスを持ち上げてロックを解除するおそれがある。このような場合、サイドフェンスが自重で転倒して担架から被介助者が転落するおそれがある。
本発明は、上記した従来の問題を考慮して、担架上の被介助者が誤ってロック機構を解除してしまうことを防止するようにした担架におけるフェンスの多重ロック機構を提供することを目的としている。
本発明は、担架本体の側部にフェンスを設けた担架において、フェンスの回転を阻止する第1のロック機構と、該第1のロック機構のロック解除を阻止する第2のロック機構とを備えたことを特徴としている。
本発明による多重ロック機構は、全てのロック機構が同時または連続的にロック解除されたときに初めてロック機構が解除され、サイドフェンスを回転させ倒すことができる。したがって、被介助者が誤ってサイドフェンスを動かしてロック解除することを第2のロック機構により防止できる。
第2のロック機構は、担架本体に載せられている被介助者によって操作できない位置に備えられていることが好ましい。
本発明による多重ロック機構は、被介助者が第2のロック機構を操作することができないため、被介助者が第1のロック機構を不用意に操作したとしても第2のロック機構を解除できないためにフェンスが動くことがない。なお、被介助者が操作できない位置とは、フェンスの外側足もと等、被介助者の手が届かない任意の位置である。
第1のロック機構は、フェンスに設けた係止部と、該係止部に係合してフェンスの回転を阻止する係合部とを備えていて、フェンスは係止部が係合部に係合したロック位置と、係合部から離脱したロック解除位置とに移動可能とし、第2のロック機構は、ロック位置にある係止部の移動を阻止する位置と移動を許容する位置とを選択的にとりうるロック部を備えていることが好ましい。
本発明による多重ロック機構では、介助者等がロック部を操作し係止部の移動を許容すると、係止部の移動により係合部が外れることで、第1のロック機構を解除できる。また、第2のロック機構は、弾性部材によってロック部を係止部の移動を阻止する位置に付勢する構成を採用すれば、操作を停止すると機械的にロック位置に戻るため、自然にロック解除されることがない。
本発明に係る担架におけるフェンスの多重ロック機構によれば、介助者等によって第2のロック機構が解除されたときに初めて第1のロック機構を解除できて、サイドフェンスを回転させ倒すことができ、被介助者が誤ってサイドフェンスを操作させロックを解除してしまうことを防止し安全性を向上できる。
以下、本発明の実施の形態による担架におけるフェンスの多重ロック機構について、図面に基づいて説明する。図1、図2は、それぞれ本発明の第1の実施の形態による入浴用担架におけるフェンスの多重ロック機構を備えた、入浴用担架の平面図、側面図である。
この入浴用担架は、病人、寝たきりの老人、手術後の患者等被介助者を担架に載せたままの状態で入浴させるものである。この入浴用担架は、担架本体1と、担架本体1の床面に敷設された頭部側のマット2と、体部側のマット3と、被介助者の身体部を担架本体1の上に固定するためのバンド6と、足あて7を備えている。
また、被介助者の転落を防止するため、担架本体1の胴体側の両側部に垂直に取り付けたサイドフェンス4と、同じく頭部側の両側部に垂直に取り付けた上肢用サイドフェンス5が設けられている。サイドフェンス4の側部には、サイドフェンス4の転倒を可能とする回転部に多重ロック機構9が設けられ、第1のロック機構Rと第2のロック機構Sから形成されている。担架本体1は、上肢部1a、胴体部1bと下肢部1cで3分割されており、上肢部1aと胴体部1bの境界の分割部分に支軸8が設けられていて、支軸8回りに上肢部1aを起こすことができる。
次に、本発明の第1の実施の形態による担架におけるフェンスの多重ロック機構について図3乃至図5に基づいて説明する。図3は図2に示すサイドフェンス4の多重ロック機構9の拡大図、図4は図3における平面図、図5は図3に示すA−A線断面図である。先ず、第1のロック機構Rについて、図面に基づいて説明する。
担架本体1の下部には、ベース部材16が固定されている。第1のロック機構Rは、ベース部材16に固定された一対のフェンス支持部材15aと15bと、フェンス支持部材15aと15bの上端間に接合されたロッド軸14と、一方の端部がロッド軸14の回りを回転可能に取り付けられ、他方の端部がサイドフェンス4の下部に接続された回転継手11から構成されている。
回転継手11は、継手部分に断面円形に貫通した貫通孔11aを形成し、この貫通孔11a内にロッド軸14を挿通してロッド軸14回りに回転可能で、ロッド軸14に沿ってスライド可能に支持されている。ロッド軸14は、フェンス支持部材15a、15bに両端を支持されている。また、回転継手11は、貫通孔11aのフェンス支持部材15a側端面に凹型部11bを形成し、フェンス支持部材15b側端面に第1係合段部11cを形成している。
フェンス支持部材15aの上端部には円形の凸型部13が設けられ、凹型部11b内に嵌合されて回転が可能である。フェンス支持部材15bの上端部には第2係合段部12が設けられ、第1係合段部11cと係合することで回転継手11の回転が規制され、第1のロック機構Rを形成する。
図3、図4において、サイドフェンス4が回転継手11を介してロッド軸14をスライドする範囲は、第1係合段部11cが第2係合段部12と係合しフェンス支持部材15bと当接する位置から、凹型部11bが凸型部13と嵌合してスライド停止となるまでの位置となる。サイドフェンス4がロッド軸14に沿って図3の左方向にスライドすると、第1係合段部11cと第2係合段部12の係合が外れることで第1のロック機構Rの規制が解除される。それと同時に、凹型部11bと凸型部13が嵌合し、回転継手11はロッド軸14を中心に回転が可能となる。
サイドフェンス4は、図3に示すように第1のロック機構Rの右側に位置するガイド部17が備えられ、フェンス支持部材15bとガイド部17の間に空間18が形成されている。サイドフェンス4をロック解除する方向にスライドすると、ガイド部17も左方向へスライドし空間18内に進入する。
次に、サイドフェンス4の第2のロック機構Sについて説明する。第2のロック機構Sは上記空間18に位置する。図3及び図5において、ベース部材16には、担架本体1の長手方向に装着された回転軸21が備えられている。回転軸21には押し子19が回転可能に設けられ、押し子19は回転軸21を中心に空間18と担架本体1の側面との間を揺動可能とされている。回転軸21には、プレート部材20が支持され、プレート部材20の一端は押し子19に接続部材22で連結されている。そのため、プレート部材20は、押し子19と一体に揺動する。
さらに、プレート部材20の一端部に第1係止ピン23が接続され、ベース部材16には第2係止ピン24が接続されている。第1係止ピン23と第2係止ピン24には、バネ部材25(弾性部材)が装着されている。バネ部材25によって、プレート20を介し押し子19に図5で反時計回りの方向への付勢力を与える。
ベース部材16には、固定部材26が横方向に突出して取り付けられ、バネ部材25によって付勢されたプレート部材20のストッパーとなる。第2のロック機構Sにおけるロック位置は、プレート部材20の一端面が固定部材26に当接して停止する位置であり、この位置で押し子19は、ガイド部17とフェンス支持部材15bとの空間18に位置する。
図5において押し子19の回動範囲は、実線に示す所定のロック位置から、一点鎖線に示す担架本体1の側面に当接した位置までとなり、この当接した位置がロックの解除位置となる。常態では押し子19はロック位置にあり、サイドフェンス4をスライドさせようとすると押し子19にガイド部17が当接するため、サイドフェンス4のスライドが規制され第1のロック機構Rの解除を防止することができる。
次に、上記した構成からなる担架におけるフェンスの多重ロック機構の操作方法について説明する。上記第2のロック機構Sにおいて、図5で介助者が押し子19をバネ部材25の付勢に抗して押してロック位置にある空間18から担架本体1の側面に当接するまで回動させることで第2のロック機構Sを解除できる。
さらに、第2のロック機構Sを解除状態に保持したまま、サイドフェンス4を図3の左方向にスライドさせ、凹型部11bを凸型部13に嵌合させる。これによって、第1係合段部11cを第2係合段部12から外し第1のロック機構Rのロックを解除でき、ガイド部17は空間18に進入する。押し子19は、バネ部材25の付勢力によって担架本体1の側面から所定のロック位置に戻る働きをするが、空間18に進入しているガイド部17に当接し制止される。この段階で、押し子19の第2のロック解除位置がガイド部17によって機械的に保持される。これにより、回転継手11がロッド軸14回りに回転できるようになり、サイドフェンス4を転倒させることができる。
再びサイドフェンス4をロックさせる場合は、転倒しているサイドフェンス4を立て、第1係合段部11cと第2係合段部12が係合するまでサイドフェンス4をロッド軸14に沿って図3の右方向にスライドし、第1のロック機構Rをロックする。この右方向のスライドと共に、ガイド部17が押し子19から外れることで押し子19はバネ部材25の付勢力でロック位置に戻り、第2のロック機構Sはロック状態に保持される。
上述のように第1の実施の形態によれば、第2のロック機構Sがサイドフェンス4の外側で頭部側マット2とは反対側に位置するため、被介助者は第2のロック機構Sを触ることができない。このため、被介助者が担架本体1の上でサイドフェンス4をスライドしようとしても第1のロック機構Rを解除できず安全を確保できる。
次に、本発明の第2の実施の形態による担架におけるフェンスの多重ロック機構について図6及び図7に基づいて説明するが、第1の実施の形態と同一又は同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。図6は図2に示す上肢用サイドフェンス5のロック機構10の拡大図である。図7は図6に示すロック機構10のB−B線断面図である。
先ず上肢用サイドフェンス5の第1のロック機構Tについて、図面に基づいて説明する。
上肢用サイドフェンス5の側部には、上肢用サイドフェンス5の転倒を可能とする回転部にロック機構10が備えられ、第1のロック機構Tと第2のロック機構Uから形成されている。
第1のロック機構Tは、担架本体1の側方に固定されているフェンス支持部材27と、フェンス支持部材27の両端部に接合され矩形に突出したキー部材28と、キー部材28を収容する回転継手29から構成されている。回転継手29は、上肢用サイドフェンス5の下部に固定され、担架本体1の長手方向に平行に一対で取り付けられている。図7より回転継手29は、円形孔30と、円形孔30の上縁部から連続する凹型形状のキー溝31とが一体に形成される。上肢用サイドフェンス5の自重によりキー溝31とキー部材28が噛み合うことで、キー部材28を軸とした上肢用サイドフェンス5の転倒方向の回動が規制され、第1のロック機構Tがロックされる。
回転継手29が上方に引き上げられると、キー部材28はキー溝31から外れ、円形孔30がキー部材28の位置に移動してくる。キー部材28は円形孔30内で相対的に回転自由となり、第1のロック機構Tが解除され、上肢用サイドフェンス5の転倒が可能となる。
次に、上肢用サイドフェンス5の第2のロック機構Uについて説明する。
第2のロック機構Uは、第1のロック機構Tに隣接し担架本体1の外側下部に取り付けられた解除ノブ32と、解除ノブ32の第1のロック機構T側端部に設けられている突起部材33から構成されている。解除ノブ32は、担架本体1の長手方向にスライド可能に取り付けられており、バネ部材等(図の記載なし)の弾性部材により図6の左方向に付勢される機構が設けられている。
第1のロック機構Tがロック状態あるときに、円形孔30とキー溝31で形成される貫通部のうちキー部材28の占有範囲を除いた空間が空間34となる。キー部材28がキー溝31に嵌合する位置にあり、第1のロック機構Tがロック状態にあるとき、突起部材33は空間34に挿入することができ、第2のロック機構Uが形成される。よって、突起部材33が空間34に挿入された位置にあることで回転継手29の引き上げを規制し、第1のロック機構Tの解除を防止するものである。
第2のロック機構Uのロック解除は、介助者が解除ノブ32を図6の右側にスライドさせることで、突起部材33が空間34から外れ、第2のロック機構Uを解除でき、上肢用サイドフェンス5の引き上げが可能となる。続いて、介助者が上肢用サイドフェンス5を引き上げることで、キー部材28がキー溝31より外れ空間34に位置することになり第1のロック機構Tを解除でき、上肢用サイドフェンス5を倒すことができる。
再び上肢用サイドフェンス5をロックさせる場合は、転倒している上肢用サイドフェンス5を立て、次に押し下げることによりキー部材28とキー溝31が噛み合わされ第1のロック機構Tがロックされる。上肢用サイドフェンス5の押し下げと共に、空間34にあったキー部材28がキー溝31に移動することで突起部材33はバネ部材の付勢力で空間34内に挿入され、第2のロック機構Uはロック状態に保持される。
上述した第2の実施の形態によれば、第2のロック機構Uが上肢用サイドフェンス5の外側に位置するため、被介助者は第2のロック機構Uを触ることができない。このため、被介助者が担架本体1の上で上肢用サイドフェンス5を引き上げようとしても第1のロック機構Tを解除できず安全を確保できる。
以上、本発明に係る担架におけるフェンスの多重ロック機構の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記した各実施の形態では、第2のロック機構としているが、第2のロック機構に加えて他のロック機構を設けてもよい。また、上記した実施の形態では第2のロック機構の取り付け位置は、担架両側面に備えられ、担架の外方より操作されるものであるが、これに限定されることなく、担架の下部等の被介助者によって容易に操作できない位置にあればよい。
さらに、第2の実施の形態では、上肢用サイドフェンス5にある第2のロック機構は担架の外側に取り付けてあるが、被介助者の腕や手の位置と近い距離となっているため、第1の実施の形態のロック機構9と同様にサイドフェンス4の外側で被介助者の脚部付近等に設けられることが望ましい。
本発明の第1の実施の形態による入浴用担架の平面図である。 図1に示す入浴用担架の側面図である。 図2に示す入浴用担架のロック機構の拡大図である。 図3に示す入浴用担架の平面図である。 図3に示す入浴用担架のA−A線断面図である。 第2の実施の形態による担架の多重ロック機構に関するものであって、図2に示す上肢用サイドフェンスのロック機構の拡大図である。 図6に示す入浴用担架のロック機構のB−B線断面図である。
符号の説明
1 担架本体
4 サイドフェンス
5 上肢用サイドフェンス
8 支軸
9 ロック機構(多重ロック機構)
10 ロック機構(多重ロック機構)
11 回転継手
11c 第1係合段部(係止部)
12 第2係合段部(係合部)
14 ロッド軸
15 フェンス支持部材
17 ガイド部
18 空間
19 押し子(ロック部)
27 フェンス支持部材
28 キー部材(係止部)
29 回転継手
30 円形孔
31 キー溝(係合部)
32 解除ノブ
33 突起部材(ロック部)
34 空間
R 第1のロック機構
S 第2のロック機構
T 第1のロック機構
U 第2のロック機構

Claims (3)

  1. 担架本体の側部にフェンスを設けた担架において、前記フェンスの回転を阻止する第1のロック機構と、該第1のロック機構のロック解除を阻止する第2のロック機構とを備えたことを特徴とするフェンスの多重ロック機構。
  2. 前記第2のロック機構は、担架本体に載せられている被介助者によって操作できない位置に備えられていることを特徴とする請求項1に記載された担架におけるフェンスの多重ロック機構。
  3. 前記第1のロック機構は、前記フェンスに設けた係止部と、該係止部に係合してフェンスの回転を阻止する係合部とを備えていて、前記フェンスは係止部が係合部に係合したロック位置と、係合部から離脱したロック解除位置とに移動可能とし、前記第2のロック機構は、ロック位置にある前記係止部の移動を阻止する位置と移動を許容する位置とを選択的にとりうるロック部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載された担架におけるフェンスの多重ロック機構。


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