以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスク記録装置1を示すブロック図である。この光ディスク記録装置1は、ディスク原盤2を露光してディジタル・オーディオ・テープレコーダー3より出力されるオーディオデータSAを記録する。光ディスクの製造工程では、このディスク原盤2を現像した後、電鋳処理することにより、マザーディスクを作成し、このマザーディスクよりスタンパーを作成する。さらに光ディスクの製造工程では、このようにして作成したスタンパーよりディスク状基板を作成し、このディスク状基板に反射膜、保護膜を形成してコンパクトディスクを作成する。
すなわちこの光ディスク記録装置1において、スピンドルモーター14は、ディスク原盤2を回転駆動し、底部に保持したFG信号発生回路より、所定の回転角毎に信号レベルが立ち上がるFG信号FGを出力する。スピンドルサーボ13は、ディスク原盤2の露光位置に応じて、このFG信号FGの周波数が所定周波数になるようにスピンドルモーター14を駆動し、これによりディスク原盤2を線速度一定の条件により回転駆動する。
FG信号は、直交座標位置検出回路5にも接続されている。直交座標位置検出回路5では、FG信号をカウントしていくことにより、現在記録中の位置を直交座標における位置情報X及びYとして出力する。
位置情報X及びYは、文字信号発生回路6に接続される。文字信号発生回路6は、例えばROM(リードオンリーメモリー)として構成され、X、Yをアドレス入力として、信号SEを出力として構成されている。この回路からは、現在記録中の位置に対応して、ディスク表面を目視したときに確認可能な文字や図形の情報(第2の情報)を信号SEとして発生する。
このようにして得られた第2情報SEは階段波形発生回路7に入力される。階段波形発生回路7では、第2情報SEの変化を検出し、時間と共に段階的にその出力値が変化するような3ビットの階段信号SFを作製する。階段信号SFは電圧変換回路15により、階段状の電圧を持つ信号SXに変換され、光変調器10Aに入力される。同様に階段信号SFは、タイミング補正回路8にも入力される。
記録用レーザ9は、ガスレーザー等により構成され、ディスク原盤露光用のレーザビームL1を射出する。光変調器10A及び光変調器10Bは、電気音響光学素子で構成される。光変調器10Aは、文字や図形の情報SEに応じて階段状にその電圧が変化する階段信号SFに従って、レーザビームL1の出力を変化させる。即ち、第2情報SEが長い時間レベル1を保っていた場合には、レーザビームL2の出力が100%となるようにレーザビームL1を通過させる。これとは逆に、第2情報SEが長い間レベル0を保っていた場合には、レーザビームL2の出力が85%となるようにレーザビームL1を減衰させて通過させる。第2情報SEがレベル0からレベル1に遷移した場合には、レーザビームL1を85%のパワーから100%のパワーに段階的に変化させていく。同様に、第2情報SEがレベル1からレベル0に遷移した場合には、レーザビームL1を100%のパワーから85%のパワーに段階的に変化させていく。
光変調器10Aは、以上説明したように階段波形発生回路7の出力SFに従うことにより、光出力が100%と85%の間で変動するレーザビームL2を出力する。次にこのようにして得られたレーザビームL2は光変調器10Bによりオンオフされる。即ちタイミング補正回路8からの信号SCがレベル1のときにはレーザビームL3はオンとなり、逆に信号SCがレベル0のときにはレーザビームL3はオフの状態になる。
ミラー11は、このレーザビームL3の光路を折り曲げてディスク原盤2に向けて射出し、対物レンズ12は、このミラー11の反射光をディスク原盤2に集光する。これらミラー11及び対物レンズ12は、図示しないスレッド機構により、ディスク原盤2の回転に同期してディスク原盤2の外周方向に順次移動し、これによりレーザビームL3による露光位置を順次ディスク原盤2の外周方向に変位させる。
これによりこの光ディスク記録装置1では、ディスク原盤2を回転駆動した状態で、ミラー11及び対物レンズ12の移動によりらせん状にトラックを形成し、このトラックに変調信号SC及び文字や図形の情報SEに対応して順次ピットを形成する。
変調回路4は、ディジタル・オーディオ・テープレコーダー3より出力されるオーディオデータSAを受け、対応するサブコードデータをこのオーディオデータSAに付加する。さらに変調回路4は、このオーディオデータSA及びサブコードデータをコンパクトディスクのフォーマットに従ってデータ処理し、変調信号SBを生成する。すなわち変調回路4は、オーディオデータSA及びサブコードデータに誤り訂正符号を付加した後、インターリーブ処理、EFM変調処理する。これにより変調回路4は、ピット形成の基本周期Tに対して、この基本周期Tの整数倍の周期(周期3T〜11T)で信号レベルが変化するEFM変調信号SBを出力する。
従来用いられていた光ディスク記録装置では、このようにして作製されたEFM変調信号SBがそのまま光変調器10Bに送り込まれ、レーザ9から得られる光線をオン/オフして光ディスク原盤2の上に露光が行われていた。
このような従来法において作製されたディスクにおいては、記録信号のパターンにより再生信号の状態が変化し、ジッターを生じる原因となっていた。具体的な例をあげると、従来の光ディスク記録装置で記録されたディスクでは、3T信号に相当する最小サイズのピットが、常に理想の大きさよりも小さくなって記録されてしまう現象が観測されていた。このため、3T信号に対応するピットからの信号を所定のスライスレベルで2値化した後に観測すると、パルス幅が3Tよりも若干短くなって観測され、ジッターを生ずる原因となっていた。
さらに、従来法では、記録レーザのパワーが変動すると、再生信号における最適2値化レベルも変動するという問題点があった。このため、本実施の形態に示すように、文字や図形の情報SEに従ってレーザパワーを100%と85%の間で変化させた場合には、レーザパワーに従って2値化レベルをプレーヤーが変化させなければならないという問題点があった。再生装置における2値化レベルの変動が何らかの原因でうまく行かなかった場合に、従来の方式ではエラーを発生してしまい、このような記録方式は不可能であった。
そこで本実施の形態においては、変調回路4の出力信号SBが、タイミング補正回路8に送り込まれる。タイミング補正回路8においては、EFM変調信号SBの変化パターンの検出が行われる。同時にタイミング補正回路8には、階段信号SFが送り込まれる。従ってタイミング補正回路8は記録中のEFM信号SBの変化パターン及び、記録中のレーザパワーの両方の情報に従って、タイミング補正を行うことが出来る。
タイミング補正回路8では、このようにして得られる2種類の情報の両方に応じて、エッジ位置の微調整を行った変調信号SCを出力する。即ち、タイミング補正回路8では出力信号SCの変化タイミングが、記録中のレーザパワー(85%から100%までの値)及び記録中のEFM信号SBの変化パターン(ピット長およびスペース長が3Tから11Tまでの範囲で変化する)の両方に応じて、微妙に調整され、常にジッターが最良になるような変調信号SCとして出力される。
即ち、タイミング補正回路8を通過した変調信号SCを階段信号SFで表される所定のレーザパワーで記録し、その結果得られたディスクを再生した場合、再生信号を所定の2値化レベルVLで2値化するとジッターの含まれない信号が得られるようになされている。
ところで、階段信号SFは第2情報SEから作製された信号である。第2情報SEは、ディスク上に記録されたものを目視で観測した場合、文字や図形を形成するような信号として構成されることができる。従って本実施の形態により記録されたディスクでは、第2情報SEに従ってピットの幅が変化し、この結果文字や図形の情報を、ディスク面を目視観察することにより観測することができる。
さらに本実施の形態においては、レーザパワーの変化がゆっくりと行われ、なおかつ変化中のレーザパワーに対応して常に適切な補正がタイミング補正回路8により施されているので、どのような再生装置においてもジッターの悪化が無く再生信号を得ることが可能となる。また、レーザパワーの変化を従来よりも大きくすることが可能となり、この結果従来よりも明瞭に目視観測することのできる文字や図形の情報をディスク面に記録することが可能となる。
また、全ての記録レーザパワーにおいて、常にタイミング補正回路8による補正が掛けられているので、パターン毎にピットの出来具合が微妙に異なるという問題点が除去され、再生信号のジッターが総合的に低下したディスクを作成することができる。また、本実施の形態においては、記録されたパターン毎にエッジ位置を調整するので、パターンに依存したジッター、即ち符号間干渉によるジッターも除去することが可能となる。
図2は、タイミング補正回路8を示すブロック図である。タイミング補正回路8において、PLL回路16はEFM変調信号SBよりチャンネルクロックCKを生成して出力する。かくするにつき、変調信号SBにおいては、基本周期Tの整数倍の周期で信号レベルが変化することにより、PLL回路16は、この変調信号SBに同期した基本周期Tにより信号レベルが変化するチャンネルクロックCKを生成し、立ち上がりエッジ補正回路17A及び立ち下がりエッジ補正回路17Bに供給する。
立ち上がりエッジ補正回路17Aは、図3に示すように、クロックCKで動作する13個のラッチ回路19A〜19Mを直列に接続し、この直列回路にEFM変調信号SBを入力する。これにより立ち上がりエッジ補正回路17Aは、EFM変調信号SBをチャンネルクロックCKのタイミングによりサンプリングし、連続する13点のサンプリング結果より、EFM変調信号SBの変化パターンを検出する。すなわち、例えば「0001111000001 」のラッチ出力が得られた場合、長さ5Tのスペースに続いて長さ4Tのピットが連続する変化パターンと判断することができる。同様に「0011111000001 」のラッチ出力が得られた場合、長さ5Tのスペースに続いて長さ5Tのピットが連続する変化パターンと判断することができる。
補正値テーブル20は、複数の補正データを格納したリードオンリーメモリーで形成され、ラッチ回路19A〜19Mのラッチ出力がアドレスの下位13ビットとして入力されている。また、アドレスの上位3ビットとして、階段信号SFが入力されている。階段信号SFは、現在記録を行っているレーザの光パワーを反映している。すなわち補正値テーブル20は、変調信号SBの変化パターン及び記録パワーの両方に対応する補正値データDFを出力する。モノステーブルマルチバイブレータ(MM)21は、直列接続された13個のラッチ回路の内、中央のラッチ回路19Gよりラッチ出力を受け、このラッチ出力の立ち上がりのタイミングを基準にして、所定期間の間(周期3Tより充分に短い期間)、信号レベルが立ち上がる立ち上がりパルス信号を出力する。
遅延回路22は、15段のタップ出力を有し、各タップ間の遅延時間差がこのエッジ位置補正回路17Aにおける変調信号のタイミング補正の分解能に設定される。遅延回路22は、モノステーブルマルチバイブレータ21より出力される立ち上がりパルス信号を順次遅延して各タップより出力する。セレクタ23は、補正値データDFに従って遅延回路22のタップ出力を選択出力し、これにより補正値データDFに応じて遅延時間の変化してなる立ち上がりパルス信号SSを選択出力する。
すなわち、立ち上がりエッジ補正回路17Aは、EFM変調信号SBの信号レベルの立ち上がりに対応して信号レベルが立ち上がり、かつEFM変調信号SBに対する各立ち上がりエッジの遅延時間が、EFM変調信号SBの変化パターン及び記録中のレーザパワーに応じて変化する立ち上がりエッジ信号SSを生成する。
以上説明したように、立ち上がりエッジ補正回路17Aは、基本周期Tを単位にした周期12Tの範囲について、光ディスクに形成されるピットのパターン、及び記録中のレーザパワーを検出する。そして記録パターン及び記録中のレーザパワーに応じて立ち上がりエッジ信号SSを生成することになる。
立ち下がりエッジ補正回路17Bは、モノステーブルマルチバイブレータ21がラッチ出力の立ち下がりエッジを基準にして動作することと、補正値テーブル20の内容が異なることを除いて、立ち上がりエッジ補正回路17Aと同一に構成される。
即ち、立ち下がりエッジ補正回路17Bにおいても、基本周期Tを単位にした周期12Tの範囲について、光ディスクに形成されるピットのパターン及び記録中のレーザパワーを検出し、このパターン及びパワーに応じてレーザビームの照射終了のタイミングでなる変調信号SBの立ち下がりエッジのタイミングを補正して、立ち下がりエッジ信号SRを生成するようになされている。
図2に示したフリップフロップ(F/F)18は、上述した立ち上がりエッジ信号SS及び立ち下がりエッジ信号SRを合成して出力する。すなわちフリップフロップ18は、立ち上がりエッジ信号SS及び立ち下がりエッジ信号SRをそれぞれセット端子S、リセット端子Rに入力し、これにより立ち上がりエッジ信号SSの信号レベルの立ち上がりで信号レベルが立ち上がった後、立ち下がりエッジ信号SRの信号レベルの立ち上がりで信号レベルが立ち下がる変調信号SCを生成する。
これによりEFM変調信号SBにおいては、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのタイミングが記録パターン(ピット及びスペースの長さで定まる)及び記録パワーに応じて補正された信号SCとなって出力される。
以上のようにして得られたタイミング補正回路8の出力信号SCにより、出力レベルが100%から85%の間で変化するレーザビームL2は光変調器10Bによってオン/オフ制御され、レーザビームL3として光ディスク原盤2に照射されるようになされている。
図4は以上のようにして記録される第2情報SEを生成する際に使われる、直交座標位置検出回路5の構成を示す。同図において、1回転カウント回路30及びトラックカウント回路31は、図示しないシステムコントローラーからのクリアパルスCLRにより、記録開始時にクリアーされて、その初期値がゼロになっている。スピンドルモーター14からのFG信号は、例えばスピンドルモーター14が一回転する度に4200パルスが出力される。このパルスは1回転カウンター30により4200カウントされ、カウント値RXとして出力される。このカウント値RXは、0から4199までの値を取り、スピンドルモーター14が4200分の1回転する毎に一カウントづつインクリメントされるので、スピンドルモーター14の回転角度を表している。また、スピンドルモーター14が一回転すると、このカウンターがリセットされる。このリセットが発生する毎に信号RTとしてパルスが発生し、このパルスがトラックカウンター31に入力されるようになされている。
トラックカウント回路31は、1回転に1パルスの信号RTを数えていくことにより、現在記録中のトラック番号TKを出力する。例えば、コンパクトディスク(CD)を記録する場合には、半径23mmから記録が始まり、半径58mmまでトラックピッチ1.6ミクロンで記録が行われるので、トラックカウント回路31の値は0から約22000カウントまで変化する。
以上説明したように、1回転カウント回路30のカウント値RX及びトラックカウント回路31のカウント値TKは、現在記録中の位置を極座標で表した場合の角度情報と半径情報に相当している。従って、これらの二つの値を用いて座標変換回路32では、直交座標系での位置情報X及びYを計算して出力することができる。直交座標系の位置情報X及びYは、このようにして変換された後、文字信号発生回路6に送られる。
直交座標位置検出回路5は、例えば図5に示す構成で実現される。この図では、CPU33に対して、入力ポート34及び35が接続され、同時に出力ポート36及び37が接続されている。1回転カウント回路30及びトラックカウント回路31のカウント値、RXとTKはそれぞれ入力ポート34及び35に接続され、CPU33がそれぞれの値を取り込むことができる。
CPU33は、これら二つの値から、以下に示す数1式、数2式に従って直交座標系での位置情報X及びYを計算し、出力ポート36及び37に出力する。
[数1] X=A・(TK・Tp+Tb)・cos(2π・(RX/4200) )+B
[数2] Y=A・(TK・Tp+Tb)・sin(2π・(RX/4200) )+B
ここで、A、Bは座標系の大きさと位置によって定める定数であり、Tbは記録開始の半径を表し、またTpはトラックピッチを表している。以上のような変換を行った結果、図6Aに示すように極座標系(RX、TK)で表されていた位置情報は、図6Bのような直交座標系(X、Y)に変換される。
文字信号発生回路6は、ROM(リードオンリーメモリー)などで構成され、直交座標位置検出回路5の出力(X、Y)をアドレス入力にして、メモリーの出力を文字や図形の情報SEとして出力するようになされている。例えば図7Aのようなパターンをディスク上に描画したい場合には、この文字信号発生回路7内部のメモリーには図7Bのようなパターンが記録される。
以上説明したように、文字信号発生回路6内部のROMには、描画したいイメージを直交座標系を使って2値化して記録しておく。このROMに記録された情報は、座標系が直交座標位置検出回路5によってリアルタイムに変換されて入力されるので、そのまま読み出されて順次記録レーザパワーの変化としてディスク上に記録されていく。ただし、文字信号発生回路6の出力がレベル0からレベル1に、あるいはレベル1からレベル0に変化した場合には、その変化をなだらかにするように階段波形発生回路7が階段状の波形SFを生成する。
図8はこのような階段波形発生回路7の構成を示すブロック図である。この図において、第2情報SEのレベル0からレベル1への変化は立ち上がりエッジ検出回路40により検出され、一定時間の間レベルが1となっている信号UPとしてアップダウンカウンター42に供給される。アップダウンカウンター42は、アップ信号入力UPがレベル1の間、基準発振器43からの基準クロックFKをカウントして出力値SFをカウントアップさせていくようになされている。また、第2情報SEがレベル1からレベル0へ変化した場合には立ち下がりエッジ検出回路41により検出され、一定時間の間レベルが1となっている信号DNとしてアップダウンカウンター42に供給される。アップダウンカウンター42は、ダウン信号DNがレベル1の間、基準発振器43からの基準クロックFKをカウントして出力値SFをカウントダウンさせていくようになされている。尚、このような動作をする立ち上がりエッジ検出回路40及び立ち下がりエッジ検出回路41は、例えばモノステーブルマルチバイブレータなどで構成することができる。
以上説明した構成の階段波形発生回路7の動作例を図9及び図10において説明する。図9Aに示すような第2情報SEの立ち上がりエッジが発生すると、図9Bに示すような時間Tの間だけレベル1になるようなパルスが立ち上がりエッジ検出回路40から出力される。アップダウンカウンター42は、図10Eに示すような基準クロックFKの周期でカウントアップをおこない、そのカウント値SFを0から7まで順次増大させていく。尚、図示していないがアップダウンカウンター42は、そのカウント値が7になるとオーバーフローを防ぐためにそれ以上のカウントアップを中止するように構成されている。
また、同10Aに示すような第2情報SEの立ち下がりエッジが発生した場合には、図10Bに示すようなパルスが立ち下がりエッジ検出回路41から出力される。この場合には、アップダウンカウンター42は図10Eに示すような基準クロックFKの周期でカウントダウンをおこない、そのカウント値SFを図10Cに示すように7から0まで順次減少させていく。尚、図示していないがアップダウンカウンター42は、そのカウント値が0になるとアンダーフローを防ぐためにそれ以上のカウントダウンを中止するように構成されている。
以上のようにして、アップダウンカウンター42の出力には、第2情報SEの変化に伴ってその値が0から7まで順次変化するような階段信号SFが得られる。このような階段信号SFは、図11にその構成を示す電圧変換回路15により、光変調器10A を制御するアナログ電圧に変換される。アナログ電圧に変換された信号SXは、例えば図9Dまたは図10Dに示すように、第2情報SEの変化点付近において、少しずつその値を変化させる階段状の波形となる。
図11にその構成を示す電圧変換回路15では、階段信号SFがリードオンリーメモリー(ROM)44のアドレス信号として接続されている。ROM44の内部には、予めレーザの記録パワーが0から7までの階段信号SFに対応してどのような値を取るべきかが計算され、記録されている。最も簡単な例として本実施の形態の前半で述べたレーザパワーを100%から85%に変化させる場合における例について説明する。例えば階段信号SFの値が7であった場合には100%のレーザパワーが期待されるので、アドレス7に対応しては数値100が記録される。そして階段信号SFが0に対応しては、85%のレーザパワーが期待されるので、数値85が記録される。そして階段信号SFが1から6の間であった場合には、100から85までの間で比例配分から計算された値が記録される。
もちろん、以上の例はROM44の出力が100である場合に100%のパワーが出力されると簡単に仮定した場合の話である。実際にはD/Aコンバータ45の変換利得や、光変調器10Aの変換効率などを考慮してROM44に記録する値を定める必要がある。さらに、レーザの出力パワーと、光変調器10Aへの入力電圧とは直線関係に無い場合もあり、このような場合には適宜変更した値をROM44に記録することが必要となる。
以上のようにしてROM44から読み出されたレーザの出力値は、D/Aコンバータ45によりアナログの電圧値SXとして変換され、光変調器10A に供給されてレーザ9の出力パワーを制御するようになされている。このようにして得られるレーザ光線L2は、その出力パワーの変化が階段信号SFに従った段階的な変化となっている。(図9D及び図10D参照)
図12は、エッジのタイミング補正に使用される補正値テーブル20の生成の説明に供する工程図である。補正値テーブル20は、立ち上がりエッジ用の補正回路17A及び立ち下がりエッジ用の補正回路17Bの両方に存在している。これらのテーブルを正しく設定することにより、図形や文字の情報SEに従って記録レーザパワーが変化した場合においても、クロックCKに同期した正しいタイミングで所定のスライスレベルを再生信号が横切るような(即ちジッターの少ない)ディスクを作製することが可能となる。
これらの補正値テーブル20は、生成の条件が異なる以外、何れも生成方法は同一である。従って、以下では立ち上がりエッジ補正回路17Aについてのみ説明する。
以下に説明する工程においては、光ディスク装置1により評価用のディスク原盤を作成し、このディスク原盤より作成されるコンパクトディスクの再生結果に基づいて、補正値テーブル20を設定する。
ここでこの評価用のディスク原盤作成時において、光ディスク装置1には、評価基準用の補正値テーブル20が設定される。この評価基準用の補正値テーブル20は、図3に示すセレクタ23において、常に遅延回路22のセンタータップ出力を選択出力するように、補正値データDFが設定されて形成される。これによりこの工程では、タイミング補正回路8の効果は全く無い状態に設定される。
このようにして、タイミング補正回路8の効果が全く無い状態の信号SCが光変調器10Bに送り込まれ、通常のコンパクトディスク作成と同様にして100%パワーのレーザ光L2によりディスク原盤2を露光する。
このようにして露光したディスク原盤2を現像した後、電鋳処理してマザーディスクを作成し、このマザーディスクよりスタンパー50を作成する。さらにこのスタンパー40より通常のコンパクトディスク作成工程と同様に、コンパクトディスク41を作成する。
図12において、CDプレーヤー52は、コンピュータ54の指示に従って、先のようにして作成された評価用のコンパクトディスク51を再生する。このときCDプレーヤー52は、コンピュータ54により制御されて動作を切り換え、コンパクトディスク51より得られる戻り光の光量に応じて信号レベルが変化する再生信号RFを内蔵の信号処理回路よりディジタルオシロスコープ53に出力する。
この段階では、通常のコンパクトディスクと同様に再生信号の2値化レベルが所定とは限らない。また、ピットの成形が完全に理想的に行われないためジッターが観察される。
ディジタルオシロスコープ53は、チャンネルクロックの20倍のサンプリング周波数でこの再生信号RFをアナログディジタル変換処理し、その結果得られるディジタル信号をコンピュータ54に出力する。
コンピュータ54は、CDプレーヤー52及びディジタルオシロスコープ53の動作を制御する共に、ディジタルオシロスコープ53より出力されるディジタル信号を信号処理し、これにより補正値データDFを計算する。
最後にコンピュータ54は、ROMライター55を駆動して、計算した補正値データDFを順次リードオンリーメモリーに格納し、これにより補正値テーブル20を形成する。このようにして出来上がった補正値テーブル20により最終的に光ディスクを製造する。
図13は、このコンピュータ54において、補正値データDFを作製する処理手順を示すフローチャートである。この処理手順において、コンピュータ54は、ステップSP1からステップSP2に移り、ジッター検出結果Δr(p,b)、ジッター計測回数n(p,b)を値0にセットする。ここでコンピュータ54は、ジッター検出対象でなるエッジの前後について、ピット長p、ピット間隔bの組合せ毎に、ジッター検出結果Δr(p,b)を算出し、またジッター計測回数n(p,b)をカウントする。このためコンピュータ54は、ステップSP2において、これら全てのジッター検出結果Δr(p,b)、ジッター計測回数n(p,b)を初期値にセットする。
続いてコンピュータ54は、ステップSP3に移り、ディジタルオシロスコープ53より出力されるディジタル信号を所定のスライスレベルVLと比較することにより、再生信号RFを2値化してなるディジタル2値化信号を生成する。なおコンピュータ44は、この処理において、スライスレベル以上が値1、スライスレベルに満たない部分では値0となるように、ディジタル信号を2値化する。
続いてコンピュータ54は、ステップSP4に移り、このディジタル信号でなる2値化信号より再生クロックを生成する。ここでコンピュータ54は、2値化信号を基準にして演算処理によりPLL回路の動作をシミュレーションし、これにより再生クロックを生成する。
さらにコンピュータ54は、続くステップSP5において、このようにして生成した再生クロックの各立ち下がりエッジのタイミングで、2値化信号をサンプリングし、これにより変調信号を復号する(以下復号したこの変調信号を復号信号と呼ぶ)。
続いてコンピュータ54は、ステップSP6に移り、2値化信号の立ち上がりエッジの時点から、このエッジに最も近接した再生クロックの立ち下がりの時点までの時間差eを検出し、これによりこのエッジにおけるジッターを時間計測する。続いてコンピュータ54は、ステップSP7において、ステップSP6で時間計測したエッジについて、復号信号より前後のピット長p及びピット間隔bを検出する。
コンピュータ54は、続いてステップSP8において、前後のピット長p及びピット間隔bに対応するジッター検出結果Δr(p,b)に対して、ステップSP6において検出した時間差eを加算し、また対応するジッター計測回数n(p,b)を値1だけインクリメントする。続いてコンピュータ54は、ステップSP9に移り、全ての立ち上がりエッジについて、時間計測を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP5に戻る。
これによりコンピュータ54は、ステップSP5−SP6−SP7−SP8−SP9−SP5の処理手順を繰り返し、再生信号RFに表れる変化パターン毎に、時間計測したジッター検出結果を累積加算し、また加算数をカウントする。なおこの変化パターンは、立ち上がりエッジ補正回路17Aにおけるラッチ回路19A〜19Mの段数に対応するように、ジッター検出対象のエッジより基本周期Tを基準にした前後6サンプルの期間(全体で周期12Tの期間)により分類される。
このようにして全てのエッジについて、ジッターの時間計測を完了すると、コンピュータ54は、ステップSP9において肯定結果が得られることにより、ステップSP10に移り、ここで再生信号RFに表れる変化パターン毎に、時間計測したジッター検出結果を平均値化する。すなわちステップSP6において検出されるジッターにおいては、ノイズの影響を受けていることにより、コンピュータ54は、このようにしてジッター検出結果を平均値化し、ジッターの測定精度を向上する。
コンピュータ54は、このようにしてジッター検出結果を平均値化すると、続いてステップSP11に移り、この検出結果より、各変化パターン毎にそれぞれ補正値データDFを生成することができる。ここでこの補正値データDFは、遅延回路22におけるタップ間の遅延時間差をτとおいて、以下に示す数3式の演算処理を実行して算出される。
[数3] Hr1(p,b)=Hr0(p,b)−a/ τ・Δr(p,b)
なおここでHr1(p,b)は、補正値データDFにより選択される遅延回路22のタップであり、値0の場合がセンタータップである。またHr0(p,b)は、初期値でなる補正値データDFにより選択される遅延回路22のタップであり、この実施の形態において、Hr0(p,b)は、値0に設定されていることになる。またaは定数である。ここでこの実施の形態において、aは1以下の値(例えば0.7など)に設定され、これによりノイズなどの影響があっても、確実に補正値データを収束させるようになされている。
コンピュータ54は、このようにして生成した補正値データDFをROMライター55の所定のアドレス領域に格納すると、ステップSP12に移ってこの処理手順を終了する。続いてコンピュータ54は、同様の処理手順を異なる記録パワーについて実行する。全てのパワー(階段信号SFが0〜7に対応する8種類のパワー)に関して以上の処理を実行した後、ROMライター55により焼き込みを行い、立ち上がりエッジ補正回路17A内部の補正値テーブル20を完成させる。
さらに、同じ処理をディジタル2値化信号の立ち下がりエッジについて実行し、これにより立ち下がりエッジ補正回路17B内部の補正値テーブル20を完成する。
このようにして完成した補正値テーブル20を用い、光ディスク装置1において光ディスクの製造を行う。このようにして完成した光ディスクでは、第2情報SEに従って記録パワーが段階的に変化させられた場合であっても、パワーの変化に従ってピットが理想の長さとなり、ディスク全面に渡って極めて小さなジッターにより再生される。
上述の実施の形態においては、8段階の記録パワーの全てに関して評価用の光ディスクを作製し、再生信号から補正値テーブルを直接計算する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば評価用の光ディスクは2種類の異なる記録パワーだけにとどめて、その他の記録パワーの補正値テーブルは補間、あるいは外挿などの数学的演算により作成するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、基本のクロックを基準にした2値化信号の時間計測によりジッター量を計測し、この計測結果より補正値データを生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上十分な精度を確保できる場合は、この時間計測によるジッター量の計測に代えて、基本のクロックを基準にした再生信号の信号レベル検出により補正値データを生成してもよい。なおこの場合、検出した再生信号の信号レベルよりスライスレベルまでの誤差電圧を計算し、この誤差電圧と再生信号の過渡応答特性により補正値データを算出することになる。
また上述の実施の形態においては、テーブル化した補正値データに従って変調信号のタイミングを補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上十分な精度を確保できる場合は、予め検出した補正値データに代えて、演算処理により補正値データを算出し、これにより変調信号のタイミングを補正してもよい。
なお、上述した本実施の形態の光情報記録装置においては、変調回路4は第1の情報SAに応じて変化する変調信号SBを生成する変調信号作製手段を構成し、階段波形発生回路7は第2の情報SEに従って時間的に変化する時間変化信号SFを作製する時間変化信号作成手段を構成し、光変調器10Aは時間変化信号SFに従ってレーザの光量を変化させる光量変化手段を構成し、光変調器10Bは光量変化手段10Aにより得られるレーザ光L1を変調信号SBに従ってオンオフする光変調手段をそれぞれ構成するものである。
1……光ディスク装置、2……ディスク原盤、3……ディジタル・オーディオ・テープレコーダー、4……変調回路、5……直交座標位置検出回路、6……文字信号発生回路、7……階段波形発生回路、8……タイミング補正回路、9……レーザ、10A、10B……光変調器、11……ミラー、12……対物レンズ、13……スピンドルサーボ回路、14……スピンドルモーター、15……電圧変換回路、17A……立ち上がりエッジ補正回路、17B……立ち下がりエッジ補正回路、51……コンパクトディスク、52……CDプレーヤー、53……ディジタル・オシロスコープ、54……コンピュータ