JP2006028486A - インクジェット記録用水性インク - Google Patents

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Noriatsu Aoi
紀篤 青井
Ryuji Kato
龍二 加藤
Hideaki Ohira
英朗 大平
Masaya Fujioka
昌也 藤岡
Shunichi Higashiyama
俊一 東山
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Abstract

【課題】 着色剤としてカーボンブラックを用いたインクジェット記録用水性インクであって、吐出部に金属部材を使用したインクジェット記録装置に用いても、塩素イオンによる吐出部の金属部材の腐食を防止できるインクを提供する。
【解決手段】 着色剤としてカーボンブラックを用いたインクジェット記録用水性インクにおいて、塩素イオンの含有量を8ppm以下とする。このインクには、防錆剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物を添加することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラックを用いたインクジェット記録用水性インク及び該インクジェット記録用インクを備えるインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、急激に加熱し発生した気泡により微細ノズルからインクを吐出するサーマル方式、あるいは電圧印加により変形する圧電素子を用いて微細ノズルからインクを吐出するピエゾ方式等により、基本色となる数色のインクを、数ピコリットル〜数十ピコリットルという微小液滴として選択的に紙面上に着弾させ、画像を形成する印字技術である。
このインクジェット記録方式では、微小液滴の吐出制御により数ピコリットルの微小液滴を高精度で紙面上に着弾させるので、フルカラーに近い色再現を持ち、かつ粒状感のない画像形成が可能となり、高品位の印字あるいは画像を得ることが可能となる。
しかしながら、そのような微小液滴の吐出を可能にするためには、十分に細い吐出ノズルからの高精度の吐出着弾制御技術が必要となる。また、この高精度の吐出着弾制御のため、インク中のゴミ、不純物の除去が必要となる。そのためインクジェット記録用水性インクには、インク調製後に精密濾過を行うことが必要とされ、また、インクに接する全ての部品が、インクとの相溶性が無く、十分に洗浄された材料から形成されていることが必要とされている。
一方、インクジェット記録方式の吐出部としては、鉄とニッケルの合金からなる金属部材を使用したものがあり、そのような吐出部で水性インクを吐出させると、インク中に鉄やニッケルの金属イオンが溶出する。そしてこの金属イオンの溶出により、あるいは吐出ヘッドと水性インクとの長期の接触による金属部材自身の腐食(劣化)により、インク中で不溶性無機塩が生成し、フィルター及びノズルの目詰まりが発生するため、高精度の吐出着弾制御をすることができないという問題がある。
鉄又はニッケルを含む金属部材を腐食させやすい物質として、インク中に含まれる溶存在酸素が挙げられる。後述するように、金属の酸化腐食の反応速度は、溶存酸素量に依存している。塩素イオンもまた鉄又はニッケルを含む金属部材を腐食させやすい。塩素イオンは金属表面に特異吸着し、酸素と協働して金属表面の不動態膜や防錆皮膜を侵す。塩素イオンは、着色剤が染料である場合には、インク中に数百ppm含有されていても、良好な吐出性を得られる場合があるが(特許文献1)、着色剤が顔料の場合には吐出不良の原因となりやすい。
一方、近年は着色剤として染料に代わり、カーボンブラックを用いた顔料インクを搭載するプリンタが増えつつある。顔料インクを用いた場合、染料インクに比べて画線部の濃度を高くすることが出来、これにより、画線部と非画線部のコントラストを高めることが出来る。しかしながら、カーボンブラックを用いた顔料インクを、吐出部に金属部材を使用したプリンタで用いると、染料インクを用いる場合と異なり、インク中の塩素イオン濃度が100ppm以下であっても、金属イオンが溶出し、吐出部の腐食が進行する。これに対しては1,2,3−ベンゾトリアゾール等の防錆剤をインクに添加することが考えられるが、顔料インクの場合、防錆剤を添加しても吐出部の腐食は抑えられない。
特公昭60−34993号公報
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、着色剤としてカーボンブラックを用いたインクジェット記録用水性インクであって、吐出部が金属部材から形成されているインクジェット記録装置に用いられた場合であっても、吐出部の腐食を防止することができるインクジェット記録用水性インク、及び該インクジェット記録用水性インクを備えるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明者は、カーボンブラックを用いたインクジェット記録用水性インクにおいて、インク中に溶存酸素が存在していても、超音波処理や中空糸膜による脱気処理等の煩雑で高コストの溶存酸素除去処理を行わずとも、塩素イオンの含有量を特定値以下にすることにより上述の目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明は、水と、カーボンブラックとを含有するインクジェット記録用水性インクであって、インク中の塩素イオンの含有量が8ppm以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクを提供する。
また、本発明は、このインクジェット記録用水性インクの製造方法であって、カーボンブラックから限外濾過により塩素又は塩素イオンを除去した後、そのカーボンブラックと水とを混合することを含むことを特徴とする製造方法を提供する。更に、本発明は、このインクジェット記録用水性インクと、インク吐出部及びインク吐出部に連通するインク供給経路とを有するインクヘッドとを備え、前記インク吐出部又はインク供給経路の少なくとも一部が、鉄、ニッケル又は少なくともこれらのいずれか一方を含む合金から形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
カーボンブラックを含有する、本発明のインクジェット記録用水性インクは、吐出部へのインク供給経路や吐出部に金属部材を使用したプリンタに用いても、インク中の塩素イオンの含有量が8ppm以下に調整されているので、インク中に鉄、ニッケル等の金属イオンが溶出することを防止できる。より詳しくは、本発明のインクジェット記録用水性インクは、インク中に酸素が、例えば溶存酸素濃度で9ppm程度あるいはそれ以下で含まれていても、インク中の塩素イオンの含有量が8ppm以下に調整されているので、煩雑で高コストの超音波処理や中空糸膜による脱気処理等を行わなくとも、インク中に鉄、ニッケル等の金属イオンが溶出することを防止し、プリンタの金属部材の腐食を防止することができる。したがって、腐食による金属部材自身の劣化や、それによるインク中での不溶性無機塩の生成により、フィルター及びノズルに目詰まりが発生することを防止でき、吐出着弾制御を十分に高精度に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、カーボンブラックを含有し、インク中の塩素イオンの含有量が8ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは2ppm以下という低濃度であることを特徴としている。
これは、顔料インクに塩素イオンが含まれていると、鉄、ニッケル等の金属部材の腐食速度が促進されるためである。即ち、金属の腐食は、環境中に酸素と水が同時に存在する時に起こることはよく知られており、腐食の電気化学的機構は下記のアノード反応およびカソード反応によって進行していく。
Figure 2006028486

プリンタの吐出部に、鉄、ニッケル、又はこれらの双方を含有する合金等の金属部材が使用され、この金属部材が水性インクに浸っている場合、金属部材を構成する鉄、ニッケル等の金属には十分な水が供給されているため、これらの酸化腐食(アノード反応)の反応速度は酸素量、すなわちインク中の溶存酸素量に支配される。ここで、カーボンブラックを含有する水性インクが大気開放下に置かれている場合、その中の溶存酸素量は通常9ppm程度あるいはそれ以下であることが広く知られている。
ところで、染料インク中の溶存酸素量はヘンリーの法則から換算される量と大差はない。しかしながら、顔料インク中の溶存酸素量は、顔料であるカーボンブラックが酸素を吸着しているため、染料インク中の溶存酸素量の数倍から数十倍になっていると考えられる。そのため、染料インクに比して顔料インクでは金属の酸化腐食が速やかに進行し、水に難溶性のFe(OH)3やNi(OH)2が生成し、高精度の吐出着弾制御ができなくなると考えられる。
塩素イオンは、この金属の酸化腐食の反応を促進させる。そこで、本発明においては、インクジェット記録用水性インク中の塩素イオン濃度をできる限り低減させる。そのために、インクに使用する材料として比較的高純度の材料を選択し、更に材料の精製を十分に行うことにより、インク中の塩素イオン含有量を8ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは2ppm以下とする。これにより、たとえインク中に酸素が9ppm程度溶存していたとしても、金属の酸化腐食の反応を抑制することが可能となる。
塩素イオンはインクに使用する材料の不純物として含まれる。例えば、(1)顔料の表面処理を行うために使用する過塩素酸ソーダが、処理後に十分除去できていない場合、(2)クロロスルホン酸を用いて高級アルコールを硫酸化した界面活性剤を使用する場合において、その界面活性剤に不純物として塩素イオンが含まれる場合、(3)油脂を塩析させてグリセリンを得る際に含まれる食塩等が十分精製されていない場合、等である。したがって、本発明では、顔料、顔料の表面処理剤、水溶性溶剤、界面活性剤等のインクに含まれる成分を限外濾過などにより処理し、その塩素イオン含有量を低下させることが好ましい。
なお、プリンタの吐出部の腐食防止の点からは、インク中の塩素イオン含有量は低いほど好ましいが、高純度材料の使用や精製の繰り返しは、インクの製造コストを引き上げるので、インク中の塩素イオン含量は、現実的には、0.1ppm〜8ppm、好ましくは0.1〜2ppmとする。なお、0.1ppm未満とすることも技術的には可能であるが、精製コストが増大しすぎるし、また、金属の腐食防止の効果の観点からすれば、インク中の塩素イオン含量を0.1ppmまで低下させれば十分である。
本発明において、カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブ
ラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
インク中のカーボンブラックの分散手法には特に限定がなく、例えば、表面官能基による自己分散、界面活性剤による分散、樹脂分散などの手法を挙げることができる。
カーボンブラックは、最も一般的な黒色顔料であり、具体的には、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製);カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックス150T、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(SpecialBlack)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製);レイヴァン(Ravon)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製);ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)(以上、キャボット社製)等を使用することができる。
上記カーボンブラックを着色剤として使用し、インクジェット記録用水性インクを調製する好ましい方法としては、カーボンブラックから限外濾過により塩素及び/又は塩素イオンを除去した後、そのカーボンブラックと水とを混合することを含む方法が挙げられる。より具体的には、限外濾過により塩素及び/又は塩素イオンが除去されたカーボンブラックを、適当な分散剤および必要に応じて他の添加剤と共に、水もしくは水と水性有機溶剤との混合液に常法により分散処理する方法が挙げられる。
ここで、分散剤としては、例えば、高分子分散剤や界面活性剤を使用できる。
高分子分散剤としては、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物の塩、スチレン−マレイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子等を挙げることができる。また、界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤を挙げることができる。これらは、1種または2種以上を適宜選択して使用できる。その使用量は、一般的にインク全量に対して0.01〜20重量%が好ましい。ただし、自己分散型顔料については、特別な分散処理は必要としない。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、カーボンブラックの他、必要に応じて他の顔料を含有することができる。
インクジェット記録用水性インクにおける顔料濃度は、インク全量に対して0.5〜10重量%が好ましく、3〜6重量%がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクに用いる水としては、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等の純度の高いものを使用することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクに用いる水溶性有機溶剤としては、主としてインクジェットヘッドの先端部において、水分蒸発によりインクから固形分が析出したり、インクが乾固することを防止するため、低揮発性溶剤が使用される。低揮発性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよい。
上記低揮発性溶剤のインク中での含有量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。5重量%未満であると、湿潤作用が不十分となり、インク中の水分の蒸発による固形分の析出や、インク乾固等の問題が生じやすく、7重量%以下でも、水分の蒸発時に不揮発性の溶媒が少ないため、凝集や目詰まりが起こりやすい。また、40重量%を超えると、インクの粘度が必要以上に上昇し、吐出不能となり易く、また、プリント媒体上での乾燥が極端に遅くなる等の問題が生じやすい。
本発明のインクジェット記録用水性インクに用いる水溶性有機溶剤としては、上述の低揮発性溶剤の他、必要に応じて、インクのプリント媒体への浸透、乾燥性を制御する浸透性制御剤として、多価アルコールアルキルエーテルを使用してもよい。この具体例としては、例えば、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
上記浸透性制御剤のインクジェット記録用水性インク中の含有量は、0.05〜15重量%が好ましい。
浸透性制御剤としては、上記の他、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコールを使用することも可能である。
さらに、本発明のインクジェット記録用水性インクには、インクの吐出安定性やヘッド内部への導入性、プリント品質等を満足させる目的で、表面張力を調整するために界面活性剤を用いることが好ましい。この具体例としては、例えば、花王社製:エマール、ラテムル、レベノール、ネオペレックス、エレクトロストリッパー、NSソープ、KSソープ、OSソープ、ペレックス、アンヒトール・シリーズ、ライオン社製:リポラン、Kリポラン、ライポン、サンノール、リポタックTE、エナジコール、リパール、リオノール、ロータット・シリーズ等のアニオン性界面活性剤、花王社製:エマルゲン、レオドール、レオドールスーパー、エマゾール、エマゾールスーパー、エキセル、エマノーン、アミート、アミノーン・シリーズ、ライオン社製:ドバノックス、レオコール、レオックス、ラオール、レオコン、ライオノール、カデナックス、リオノン、レオファット、エソファット、エソミン、エソデュオミン、エソマイド、アロモックス、等の非イオン性界面活性剤等が例示できるが、特にこれに限定されるものではない。また、界面活性剤は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。
本発明のインクジェット記録用水性インクには、防錆剤を添加することが好ましい。防錆剤としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩、メチル−1H−ベンゾトリアゾール、メチル−1H−ベンゾトリアゾールアミン塩、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1−(N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系防錆剤が好ましく、その中でも、1,2,3−ベンゾトリアゾールが好ましい。1,2,3−ベンゾトリアゾールは、金属表面に緻密な合成皮膜を形成し、腐食に対する保護膜として作用し、腐食を抑制する。なお、1,2,3−ベンゾトリアゾールは、ナトリウム等のアルカリ金属の塩であってもよい。
防錆剤のインク中での含有量は、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。防錆剤が少な過ぎると十分な防錆効果を得られず、反対に多過ぎると1,2,3−ベンゾトリアゾールは水溶性が低いため、インク中に析出してノズルの目詰まりを引き起こす。
本発明のインクジェット記録用水性インクには、さらに必要に応じて、公知のpH調整剤、染料溶解剤、防腐防カビ剤等を添加することができる。また、サーマル式、ピエゾ式等のプリンタの方式に応じて、インクジェット記録用水性インクには熱的な物性値を調整する種々の添加剤を加えることができる。
以上説明した本発明のインクジェット記録用水性インクは、カーボンブラックを使用し且つ塩素イオン濃度が8ppm以下に制御されているので、接触した金属の腐食を防止することができるから、インク吐出部及びインク吐出部に連通するインク供給経路とを有するインクヘッドとを備え、前記インク吐出部又はインク供給経路の少なくとも一部が、鉄、ニッケル又は少なくともこれらのいずれか一方を含む合金から形成されているインクジェット記録装置に好ましく適用できる。従って、本発明のインクジェット記録用水性インクと、インク吐出部及びインク吐出部に連通するインク供給経路とを有するインクヘッドとを備え、前記インク吐出部又はインク供給経路の少なくとも一部が、鉄、ニッケル又は少なくともこれらのいずれか一方を含む合金から形成されているインクジェット記録装置も本発明の一部である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、比較例の各番号は実施例の番号に対応している。
実施例1〜3、比較例1〜3
表1の組成の混合物を、均一に混合することにより実施例及び比較例の各インクジェット記録用水性インクを調製した。表1中の各化合物の含有量の単位は「重量%」である。この場合、実施例及び比較例の各インクでは、それぞれについて各化合物を十分に混合攪拌した後に、孔径1μmのメンブランフィルターにて濾過した。
なお、着色剤は、キャボジェット300(キャボジェット社製:顔料分15重量%の顔料分散液)、Bonjet Black CW1(オリエント化学工業社製:顔料分20重量%の顔料分散液)又はMikacion Brilliant Red 5BS(日本化薬社製:粉体染料)を用いた。
また、実施例1〜3のインクジェット記録用水性インクを調製する際に、その塩素濃度及び/又は塩素イオン濃度を低減させるために、以下に説明するように、使用する顔料の限外濾過処理と、使用する溶剤混合液のイオン交換処理とを行った。なお、比較例1〜3では、限外濾過処理を施していない顔料又は染料と、イオン交換処理を施していない溶剤混合液とを使用した。
<顔料の限外濾過処理>
実施例1及び3で使用したキャボジェット300並びに実施例2で使用したBonjet Black CW1を、7000rpmで2時間、遠心分離器(Macrosep Centrifugal Device(10K)、PALL Life Science社)を用いて限外濾過処理した。この処理により、塩素及び/又は塩素イオンが除去されたキャボジェット300とBonjet Black CW1を顔料として得た。得られた顔料を、純水で希釈し、元の顔料分散液と同じ固形分濃度の顔料分散液を調製した。
<溶剤混合液のイオン交換処理>
顔料以外の成分を混合することにより溶剤混合液を調製し、この溶剤混合液を、20分以上撹拌した後に、OH型強塩基性イオン交換樹脂が充填されたカラムを通過させてイオン交換処理を行い、溶剤混合液から塩素及び/又は塩素イオンを除去した。次に、この処理により溶剤混合液のpH値が上昇したので、硝酸を用いてpH値を下げ、イオン交換処理前と同じpH値に調整した。
得られた各インクについて、塩素イオン濃度と腐食電位を次のように測定した。
<塩素イオン濃度の測定>
各実施例及び比較例のインクジェット記録用水性インクを、7000rpmで2時間、遠心分離器(Macrosep Centrifugal Device(10K)、PALL Life Science社)を用いて限外濾過処理して顔料を取り除いた後、陰イオンクロマトグラフィー(LC−10A、島津製作所製)で塩素イオン濃度を測定した。
<腐食電位の評価>
(1)ビーカーにインクを入れて恒温水槽に浸し、恒温水槽の温度を60℃に設定して30〜60分間放置し、インクの温度を60℃とした。
(2)作用極金属片である鉄とニッケルの合金をアルカリ洗浄液(奥野製薬製エースクリーン850)に浸漬し、60℃で5分間放置した後、純水で洗浄した。
(3)作用極金属片とその対極である白金板とをインク中に浸積し、それらの極をインクの外側で接続し、−600〜+400mVの電位範囲における電流密度を測定した。
得られた電流密度を、次の基準で◎、○、△又は×の4段階に評価した。なお、発明者らの行った予備実験により、以下に説明する事実が判明している。即ち、インクの実使用において、インクジェットヘッド内の金属材料が腐食せず、フィルター及びノズルの目詰まりが発生せず、高精度の吐出着弾制御が十分可能なのは、−600〜+400mVの電圧範囲で電流密度が100μA/cm2未満の時である。特に電流密度が10μA/cm2未満である場合には、金属腐食の起こりやすい高温の過酷な条件が長期的に続くような場合であっても、全く問題なく高精度の吐出着弾制御が可能である。一方、電流密度が100μA/cm2以上の場合には、長期にわたって連続吐出を行うと、金属腐食による流路の変形や異物発生などの影響が発現し、吐出がみだれ、高精度の吐出着弾制御を行うことができない。また、特に電流密度が200μA/cm2以上の場合には、金属腐食の影響が極めて大きくなるため、完全にノズルが詰まるなど、吐出自体困難となってしまう。
<腐食電位評価基準>
◎:10μA/cm2未満
○:10μA/cm2以上100μA/cm2未満
△:100μA/cm2以上200μA/cm2未満
×:200μA/cm2以上
これらの結果を表1に示す。表1から、本発明の実施例1〜3によれば、塩素イオンの含有量が8ppm以下(実施例1及び2では2ppm以下)であるため、腐食電位の評価において良好な結果が得られている。したがって、本発明の実施例のインクは、吐出部へのインク供給経路内又は吐出部に、鉄、ニッケル又はこれらの双方を含む合金からなる金属部材を有するインクジェット記録装置で用いても、金属部材が腐食することなく、フィルター及びノズルの目詰まりが発生せず、十分に高精度の吐出着弾制御を行うことができる。
また、本発明の実施例のインクでは、防錆剤として1,2,3−ベンゾトリアゾールを使用することにより金属部材の腐食をよりいっそう抑制している。
Figure 2006028486

本発明のインクジェット記録用水性インクは、インクジェット記録装置で使用する顔料インクとして有用である。特に、本発明のインクジェット記録用水性インクは金属部材の腐食を抑制するので、吐出部へのインク供給経路内又は吐出部に鉄、ニッケル等の金属部材を有するインクジェット記録装置で使用するインクとして有用である。

Claims (7)

  1. 水と、カーボンブラックとを含有するインクジェット記録用水性インクであって、インク中の塩素イオンの含有量が8ppm以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
  2. インク中の塩素イオンの含有量が、2ppm以下である請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. トリアゾール系化合物を含有する請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. トリアゾール系化合物が、1,2,3−ベンゾトリアゾールである請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. インク中の溶存酸素量が、9ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクの製造方法であって、カーボンブラックから限外濾過により塩素及び/又は塩素イオンを除去した後、そのカーボンブラックと水とを混合することを含むことを特徴とする製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用記録水性インクと、インク吐出部及びインク吐出部に連通するインク供給経路とを有するインクヘッドとを備え、前記インク吐出部又はインク供給経路の少なくとも一部が、鉄、ニッケル又は少なくともこれらのいずれか一方を含む合金から形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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