JP2006028117A - オリゴペプチド製造方法及び装置 - Google Patents

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隆徳 西邑
Akihito Hattori
昭仁 服部
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純一 若松
Koji Takewaki
幸治 竹脇
Toru Mori
徹 森
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Abstract

【課題】 容易にオリゴペプチドを製造する。
【解決手段】 畜産資源XからオリゴペプチドY3を製造するオリゴペプチド製造方法であって、上記畜産資源Xに対して水熱反応処理を行う工程を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、オリゴペプチド製造方法及び装置に関するものである。
複数(10個以下)のアミノ酸から構成されるオリゴペプチドは、健康飲料や健康食品等の材料として用いられるため、様々な需要がある。このようなオリゴペプチドを畜産資源から製造する場合には、従来、塩酸分解法、アルカリ法、発酵法等によって製造されている。
具体的には、塩酸分解法においては、原料を、塩酸を用いて煮沸することで加水分解し、これによってオリゴペプチドを製造している。
また、アルカリ法においては、原料を濃縮して、この濃縮液に含まれるピロリドンカルボン酸を苛性ソーダで緩やかに加水分解することによってオリゴペプチドを製造している。
また、発酵法においては、原料を微生物を用いて発酵させることによってオリゴペプチドを製造している。
著者 浅原照三 中村亦夫 榧場逸志 黒岩城雄,「食品化学」日刊工業新聞社,昭和38年12月30日,p.97〜p.106
しかしながら、上述のような従来のオリゴペプチド製造方法では、酸、アルカリあるいは微生物を用いるため、特に、人間の体内に摂取するための材料として用いられる場合には、中和処理や殺菌処理等の時間及びコストのかかる後工程が必要となる。
このため、従来のオリゴペプチド製造方法では、オリゴペプチドを製造するのにかかる時間及びコストが嵩むという問題が生じる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、容易にオリゴペプチドを製造することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、オリゴペプチド製造方法に係る第1の手段として、畜産資源からオリゴペプチドを製造するオリゴペプチド製造方法であって、上記畜産資源に対して水熱反応処理を行う工程を有するという構成を採用する。
オリゴペプチド製造方法に係る第2の手段として、上記第1の手段において、上記水熱反応処理における温度環境が180〜280℃とされるという構成を採用する。
また、オリゴペプチド製造装置に係る手段として、畜産資源からオリゴペプチドを製造するオリゴペプチド製造装置であって、上記畜産資源に対して水熱反応処理を行う水熱反応器を備えるという構成を採用する。
本発明のオリゴペプチド製造方法及び装置によれば、畜産資源に対して水熱反応処理を行うことによってオリゴペプチドが製造される。したがって、本発明のオリゴペプチド製造方法及び装置によれば、中和処理や殺菌処理等の後処理を行わなくともオリゴペプチドを製造することができるため、容易にオリゴペプチドを製造することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係るオリゴペプチド製造方法及び装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のオリゴペプチド製造装置1の概略構成を示したフロー図である。なお、この図1において、符号2は破砕機、3は高圧ポンプ、4は水熱反応器、5は冷却装置、6は減圧弁、7は固液分離装置、8は蒸留装置である。
破砕機2は、外部から配管aを介して供給される原料Xと配管bを介して供給される水Wとを混合状態で破砕するものである。この破砕機2によって、原料Xは、破砕機2より後段の配管において詰まりを生じることの無い大きさに破砕される。
なお、ここで言う原料Xとは、畜産資源であり、例えば、硬いために食用に向かない肉等である。
高圧ポンプ3は、配管cを介して破砕機2と接続されており、破砕機2より供給される原料Xと水Wとの混合体を昇圧して配管dを介して送り出すものである。
水熱反応器4は、その内部において原料Xに対して水熱反応処理を行うことによってオリゴペプチドを製造するものであり、配管dを介して高圧ポンプ3と接続されている。
なお、後に詳説するが、水熱反応器4における水熱反応処理の温度環境は、180〜280℃とされることが好ましい。
冷却装置5は、配管eを介して水熱反応器4と接続されており、水熱反応器4において製造されたオリゴペプチドを含む流動体Yを冷却するものである。
減圧弁6は、配管fを介して冷却装置5と接続されており、高圧状態の流動体Yを減圧するものである。
固液分離機7は、配管gを介して減圧弁6と接続されており、冷却装置5及び減圧弁6を介して供給される流動体Yを液体成分Y1と固体成分Y2とを分離し、液体成分Y1を配管hを介して排出し、固体成分Y2を配管iを介して排出するものである。
蒸留装置8は、配管hを介して固液分離装置7と接続されており、固液分離装置7から供給される液体成分Y1を蒸留することによって、液体成分Y3に含まれるオリゴペプチドY3のみを取り出し、配管jを介してオリゴペプチドY3を排出すものである。
次に、このような構成を有する本実施形態のオリゴペプチド製造装置1の動作(オリゴペプチド製造方法)について説明する。
まず、配管aを介してオリゴペプチド製造装置1内に供給された原料Xは、配管bを介してオリゴペプチド製造装置1内に供給された水Wとともに、破砕機2に供給される。そして、原料Xは、破砕機2において、配管c等において詰まりが生じない程度の大きさに破砕される。
続いて、破砕機2において破砕された原料Xは、配管cを介して水Wとともに高圧ポンプ3によって、1.0〜6.5MPaに昇圧される。その後、高圧ポンプ3によって水Wとともに昇圧された原料Xは、配管dを介して水熱反応器4に供給される。
水熱反応器4に供給された原料Xは、水熱反応器4内において、180〜280℃の温度環境で水熱反応処理される。図2は、水熱反応処理4において、原料Xを10分間水熱反応処理した場合における、水熱反応温度とオリゴペプチドの製造量との関係を示したグラフである。この図2から、水熱反応温度(温度環境)が180〜280℃の範囲において、特にオリゴペプチドの製造量が多くなることが分かる。したがって、水熱反応器4において、180〜280℃の温度環境において原料Xを水熱反応処理することによって、効率的にオリゴペプチドを製造することが可能となる。
ここで、オリゴペプチドを構成するアミノ酸の種類(Phosphoserine,Taurine,Aspartic−acid,Threonine,Serine,Glutamic−acid,a−Aminoadipic−acid,Glycine,Sarcosine,Alanine,a−Amino−n−butyric−acid,Varine,Metionine,Cystathionine,Isoluecine,Luecine,Tyrocine,Phenylalanine,b−alanine,g−Aminobutyric−acid,Ethanolamine,Hydroxylysine,Ornithine,Lysine,b−Aminoisobutyric,Histidine,Carnosine,Arginine,Hydroxyproline,Proline,3−Methylhistidine)毎に、水熱反応温度とオリゴペプチドの製造量との関係を、図3及び図4において示す。なお、図3(a)には、アミノ酸の種類として、Phosphoserine,Taurine,Aspartic−acid,Threonine,Serineが示されており、図3(b)には、アミノ酸の種類として、Glutamic−acid,a−Aminoadipic−acid,Glycine,Sarcosine,Alanineが示されており、図3(c)には、アミノ酸の種類として、a−Amino−n−butyric−acid,Varine,Metionine,Cystathionine,Isoluecineが示されており、図4(a)には、アミノ酸の種類として、Luecine,Tyrocine,Phenylalanine,b−alanine,Ethanolamineが示されており、図4(b)には、アミノ酸の種類として、Hydroxylysine,Ornithine,Lysine,b−Aminoisobutyric,g−Aminobutyric−acidが示されており、図4(c)には、アミノ酸の種類として、Histidine,Carnosine,Arginine,Hydroxyproline,Proline,3−Methylhistidineが示されている。
これらの図に示すように、水熱反応処理の温度によって、効率的に製造されるオリゴペプチドの種類が変わる。このため、例えば、水熱反応温度を200℃とすることによって、図3(a)に示すように、体内の老廃物処理の促進や肝機能亢進に役立つAspartic−acidから構成されるオリゴペプチドを効率的に製造することができる。また、水熱反応温度を220℃とすることによって、図3(b)に示す、旨味成分であるGlutamic−acid、図3(c)に示す、肝臓、筋肉の機能向上に役立つValine、図4(a)に示す、肝臓、筋肉の機能向上に役立つLuecine、図4(b)に示す、カルシウムの吸収促進や肝機能亢進に役立つLysine、図4(c)に示す、免疫増強やエネルギー代謝向上に役立つArginineから構成されるオリゴペプチドを効率的に製造することができる。また、水熱反応温度を250℃とすることによって、図3(b)に示す、抗菌作用や抗酸化作用を有するGlycine、図4(c)に示す、コラーゲンの要素や心筋合成成分であるProlineから構成されるオリゴペプチドを効率的に製造することができる。すなわち、水熱反応処理の温度を制御することによって、所望のアミノ酸から構成されるオリゴペプチドを効率的に製造することができる。
図1に戻り、水熱反応器4において原料Xを水熱反応処理することによって得られた処理液中には、オリゴペプチドの他に糖分や固形分等が含まれている。このため、水熱反応器4からは、これらオリゴペプチド、糖類、固形分等を含んだ流動体Yが配管eを介して排出される。
配管eを介して排出された流動体Yは、水熱反応器4によって、高温・高圧化されているため、冷却装置5において冷却された後に、配管fを介して減圧弁6に供給され、減圧弁6において減圧される。
そして、冷却装置5において冷却され、減圧弁6によって減圧された流動体Yは、配管gを介して固液分離装置7に供給され、固液分離装置7において、液体成分Y1と固体成分Y2とに分離され、オリゴペプチドを含む液体成分Y1が配管hを介して排出され、カルシウムやシリコン等の固体成分Y2が配管iを介して排出される。なお、本実施形態のオリゴペプチド製造方法及び装置においては、固体成分Y2は、必要しないため、固体成分Y2は、配管iを介し排出された後、廃棄されるが、固体成分Y2の需要がある場合には、固体成分Y2を商品等として販売しても良い。
配管hを介して固液分離装置7から排気された液体成分Y1は、それ自体にオリゴペプチドを多く含んでいるため、商品としての利用価値は高い。しかしながら、本実施形態のオリゴペプチド製造方法及び装置においては、この液体成分Y1を蒸留装置8によって蒸留することによって、オリゴペプチドY3のみを液体成分Y1から取り出す。このように、オリゴペプチドY3を液体成分Y1から取り出すことによって、糖類等の不純物を含まないオリゴペプチドY3を取り出すことができる。
このようにして取り出されたオリゴペプチドY3は、液体状とされており、健康食品や健康飲料の原料として用いることができる。また、オリゴペプチドY3が液状化されているために、老人や嚥下障害者に、容易にオリゴペプチドY3を摂取してもらうことが可能となる。
このように、本実施形態のオリゴペプチド製造方法及び装置によれば、酸、アルカリまたは微生物等を用いず、水によって畜産資源からオリゴペプチドを製造するため、容易にオリゴペプチドを製造することができる。
また、本実施形態のオリゴペプチド製造方法及び装置によれば、従来、硬いために食用に向かず、廃棄されていた肉等を用いてオリゴペプチドを製造することができるため、畜産資源を有効活用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るオリゴペプチド製造方法及び装置の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明の一実施形態であるオリゴペプチド製造装置の概略構成を示すフロー図である。 水熱反応温度とオリゴペプチドの製造量との関係を示したグラフである。 オリゴペプチドを構成するアミノ酸の種類毎に、水熱反応温度とオリゴペプチドの製造量との関係を示したグラフである。 オリゴペプチドを構成するアミノ酸の種類毎に、水熱反応温度とオリゴペプチドの製造量との関係を示したグラフである。
符号の説明
1……オリゴペプチド製造装置
2……破砕機
3……高圧ポンプ
4……水熱反応器
5……冷却装置
6……減圧弁
7……固液分離装置
8……蒸留装置
X……原料(畜産資源)
Y3……オリゴペプチド


Claims (3)

  1. 畜産資源からオリゴペプチドを製造するオリゴペプチド製造方法であって、
    前記畜産資源に対して水熱反応処理を行う工程を有することを特徴とするオリゴペプチド製造方法。
  2. 前記水熱反応処理における温度環境が180〜280℃とされることを特徴とする請求項1記載のオリゴペプチド製造方法。
  3. 畜産資源からオリゴペプチドを製造するオリゴペプチド製造装置であって、
    前記畜産資源に対して水熱反応処理を行う水熱反応器を備えることを特徴とするオリゴペプチド製造装置。


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