JP2006028046A - 植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤 - Google Patents

植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤、及び、該抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を用いた植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法を提供すること。
【解決手段】 セオブロキシド又はその類縁体を植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤として用いる。該抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化条件下で施用し、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化を抑制する。ホウレン草のような長日植物においては、長日条件下で抽だい誘導及び/又は花芽分化が行われるので、該長日条件下で植物体への施用が行われる。本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、葉面散布のような施用形態で、植物体に適用することができる。

Description

本発明は、セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤、及び、該植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を用いた植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法に関する。
植物では、ある程度生育が進むと、花芽分化や抽だい(トウダチ)誘導が起こる。花芽分化とは、植物がある程度生育した時点で始まり、温度や日長時間などの環境条件によって誘起され、それまでの茎葉の栄養生長をやめ、小さな花芽を形成する現象をいう。花芽分化は、植物がそれまでの栄養生長の段階から、生殖の段階に入ったことを意味する。また、抽だいとは、「トウダチ」と呼ばれることもあり、葉の中から花芽を持った茎が出てくることをいう。抽だいは、長日植物や低温要求性植物の花成時期、すなわち、花芽原基の分化時期で、栄養生長から生殖生長への転換時期に起こる。
これらの植物の抽だいの誘導や花芽分化は、栄養生長を目的とする野菜類のような植物の栽培においては、かえってその品質の低下につながることとなり、望ましくない現象で、その抑制策を講じなければならない場合が生じてくる。
植物の花芽分化や抽だい誘導、及びそれらの関連については、多くの報告があり、その生化学的なメカニズムについても報告されている。
ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)のような長日植物は、短日条件で生長するときは無性的に生長し、茎(抽だい)が伸長することもない。しかし、長日条件に移行したときは、茎の伸長及び花成の誘導が起こる。ホウレンソウにおいて、茎の伸長はジベレリン(gibberellin:GA)調節プロセスに依存することが報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7401-7405,1993)。長日条件において、GA生合成がロゼット(rosette)植物を増大させるということが重要な証拠として挙げられている(Plant Physiol. 92:1094-1100,1990;Planta 185:487-493,1991)。長日植物であるムシトリナデシコ(Silene armeria)の茎(抽だい)の伸長は、長日条件又はGAの適用によって誘導され、主として横の細胞分裂によって順番に茎の長さを増大させることが報告されている(Planta 185:487-493,1991)。
GAに関係するその他の実験データの1つとして、ジャガイモの塊茎の形成について報告されている。ジャガイモの誘導は、GAによって阻害される(Plant Sci.73:87-95,1991)。他方、GA生合成の阻害剤(inhibitors)であるシミドール(cymidol)(Plant Sci.73:87-95,1991)及びテトシクラシス(tetcyclacis)(J. Plant Growth Regul. 14:257-265,1994)は、in vitroにおいてジャガイモの塊茎化を誘導する。そして、外から与えたジャスモン酸(jasmonic acid:JA)(図1)、及びそのメチルエステル(methyl jasmonate:MeJA)は、in vitroにおいてジャガイモの塊茎化を誘導することが良く知られている(Phytochemistry 30:1435-1438,1991;Plant Physiol. 97:1253-1255)。これらの結果からみると、JA、MeJA、TA(ツベロン酸:tuberonic acid)及びTAG(tuberonic acid glucoside)のようなジャスモン酸類の生物活性は、GAの生物活性と比較すると、反対のものとなる。
同様の仮説が、ジャガイモにおける塊茎と花芽の形成において提案されている(Plant Cell Physiol.37:586-590,1996)。他の結果から、JA及びその類縁化合物が、GAの作用に関連して、細胞の代謝作用を強く阻害することを示唆していることを報告している(Physiol. Plant. 54:249-252,1982)。JA類が、皮質の塊茎を方向づける細胞の分裂と拡張の調節に、重要な影響を持つらしいことが報告されている(Physiol. Plant. 100:639-646,1997)。JA及びMeJAが、細胞の生長に種々の影響を持つことが知られている。例えば、JA及びMeJAは細胞分裂を(Physiol. Plant. 54:249-252,1982)、及び、細胞の伸長を(Plant Cell Physiol. 35:1065-1070,1994)、更に、細胞の拡張の促進を(Plant Sci. 100:3-8,1994)阻害する。
一方、ジャガイモ塊茎の形成や花芽の誘導活性に関連して、セオブロキシド(Theobroxide)(図1)が知られている。セオブロキシドは、病原性糸状菌ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)の培養濾液から分離される物質で、ジャガイモの茎の単一節切片の培養により、強力なジャガイモ塊茎形成活性を示すことが報告されている(Phytochemistry 35:835-839,1994)。また、ジャガイモの葉片、或いは、アサガオ(morning glory)の葉に、セオブロキシドの溶液を散布すると、非−誘導条件下において、強力なジャガイモ塊茎形成、或いは花芽誘導活性をそれぞれ示すことが報告されている(J. Plant Growth Regul. 19:457-461,2000)。更に、セオブロキシドは、アサガオ(morning glory)において、茎の伸長に関して阻害的影響を示すことも知られている(Plant Sci. 165:993-999,2003)。
上記するように、植物の花芽分化や抽だい誘導、及びそれらの関連については多くの報告があり、その生化学的なメカニズムについても報告されているが、従来、野菜等の栽培において、抽だい(トウダチ)誘導抑制或いは花芽分化の抑制技術としては、唯一、日長の制御による技術が開示されている(特開平11−239417号公報、特開2000−50731号公報、特開2001−45866号公報)。セオブロキシドやその類縁体は、むしろ、花芽形成性植物の花芽の形成を効率的に誘導する技術として開示されている(特開平10−109910号公報)。
したがって、今日までに、野菜等の栽培において、抽だい(トウダチ)誘導の抑制や花芽分化を抑制するために植物化学調節剤等を用いる効果的な技術は開発されておらず、抽だい(トウダチ)誘導や花芽分化を抑制するには、日長の制御による技術に頼らずを得ないのが現状である。しかし、日長の制御による技術は、そのための設備や作業が必要となり、その設備費や維持費も膨大なものとなる。したがって、野菜等の栽培において、品質の良い野菜等を製造するために、抽だい(トウダチ)誘導の抑制や花芽分化の抑制を、効果的かつ経済的に行える簡便な技術を開発することは、何よりも要望されているところである。
特開平10−109910号公報。 特開平11−239417号公報。 特開2000−50731号公報 特開2001−45866号公報 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7401-7405,1993。 Plant Physiol. 92:1094-1100,1990。 Planta 185:487-493,1991。 Plant Sci.73:87-95,1991。 J. Plant Growth Regul. 14:257-265,1994。 Phytochemistry 30:1435-1438,1991。 Plant Physiol. 97:1253-1255。 Plant Cell Physiol.37:586-590,1996。 Physiol. Plant. 54:249-252,1982。 Physiol. Plant. 100:639-646,1997。 Plant Cell Physiol. 35:1065-1070,1994。 Plant Sci. 100:3-8,1994。 Phytochemistry 35:835-839,1994。 J. Plant Growth Regul. 19:457-461,2000。 Plant Sci. 165:993-999,2003。
本発明の課題は、野菜等の栽培において、品質の良い野菜等を製造するために、抽だい(トウダチ)誘導の抑制や花芽分化の抑制を、効果的かつ経済的に行える簡便な手段を提供すること、特に、該手段として用いることができる植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤、及び、該植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を用いた植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく天然物由来の化学成分について、植物化学調節剤として、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制活性を有する物質について鋭意探索した結果、セオブロキシドが、葉面散布のような方法で植物に施用した場合に、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化条件下で、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化抑制を顕著に抑制することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制活性を有する物質について探索する中で、セオブロキシド散布によるホウレンソウ(長日植物)の茎の伸長及び花芽分化の抑制効果を確認するために、ホウレンソウの茎の伸長、花芽分化に関して、セオブロキシドをホウレンソウの葉面に散布して、その効果を検討した。日長条件は長日(16時間明期、8時間暗期)、短日(10時間明期、14時間暗期)とした。葉面散布するセオブロキシドの濃度を10−3Mに設定し、予備育成(2週間、長日条件)の後、試験を開始した。散布条件は予備育成の後、2日毎に5mlの溶液を4週間に渡り葉面散布した。結果、短日条件(抽だい非誘導条件)ではコントロールと比べ差異は観察されなかった。長日条件(抽だい誘導及び花芽分化条件)ではコントロールと比べ、セオブロキシド処理の植物体では4週間目で茎の伸長が37%抑制された。また、同日長条件で花芽の分化率がコントロールでは83.3%、セオブロキシド処理区では43.3%と顕著な差が観察された。
本発明は、上記知見より完成されたもので、本発明はセオブロキシド又はその類縁体を有効成分とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤、及び、該抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を用いた植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法からなる。本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化条件下で施用されるが、例えば、ホウレンソウのような長日植物においては、長日条件下で抽だい誘導及び/又は花芽分化が行われるので、該長日条件下で本発明の抑制剤の植物体への散布が行われる。
すなわち具体的には本発明は、セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤(請求項1)や、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制が、長日植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制であることを特徴とする請求項1記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤(請求項2)や、セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とし、これに補助剤を配合して、植物の葉面散布用製剤として調製されてなる請求項1又は2記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤(請求項3)や、有効成分であるセオブロキシド又はその類縁体の散布濃度が、1mM以上になるように調整されることを特徴とする請求項3記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤(請求項4)からなる。
また本発明は、請求項1〜4のいずれか記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を、植物体に散布することを特徴とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法(請求項5)や、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の植物体への散布が、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化時期に行われることを特徴とする請求項5記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法(請求項6)や、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の長日植物の植物体への散布が、長日条件下に行われることを特徴とする請求項6記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法(請求項7)からなる。
本発明の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、植物の抽だい(トウダチ)の誘導及び/又は花芽分化が行われる時期に、植物体に散布することにより、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化を効果的に抑制することができる。
したがって、野菜等の栽培において、本剤の適用によって、抽だい(トウダチ)誘導や花芽分化を抑制して、品質の良い野菜等を栽培することが可能となる。本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、葉面散布剤としての適用が可能であることから、露地栽培や人工照明下での野菜栽培等、いずれの野菜の栽培形態においても簡便に適用することができる。したがって、従来、抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制のために行われていた、日長の制御による方法に比較して、そのための設備や作業、更には、その設備費や維持費の大幅な削減が可能となり、簡便かつ経済的で、すぐれた野菜等の栽培技術を提供することを可能とする。更に、本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤は、本来天然物由来の成分であり、その類縁体を含めて、ヒトや環境に対して安全性の高い植物化学調節剤として用いることが可能である。
本発明は、セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤からなる。セオブロキシドは、糸状菌ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)の培養濾液から分離される物質で、該化合物は、ラシオディプロディア・セオブロマエの微生物を培養し、培養物から該化合物を精製分離することにより製造することができる(Phytochemistry 35, 4, 835-839, 1994、特開2004−33088号公報)。
また、セオブロキシドは、本発明者が構築した合成法によって製造することができる(特願2002−350360号)。
すなわち、該セオブロキシドの製造方法を概略的に示す(図2)と:図2中、式〔1〕で表されるメチルヒドロキノンを、酸化して式〔2〕で示されるp−トルキノンを製造し、該p−トルキノンをエポキシ化して、式〔3〕で示される4,5−エポキシ−1−メチルシクロヘキセン−3,6−ジオンを製造する。更に、該4,5−エポキシ−1−メチルシクロヘキセン−3,6−ジオンを還元して、セオブロキシド(3,6−ジヒドロキシ−4,5−エポキシ−1−メチルシクロヘキセン)を製造する。更に、該製造方法においては、上記p−トルキノンをエポキシ化して、式〔3〕で示される4,5−エポキシ−1−メチルシクロヘキセン−3,6−ジオンを製造する反応で副生される、1,2−エポキシ−1−メチルシクロヘキサン−3、6−ジオンを、シクロペンタジエンを用いてDiels−Alder反応を行い、反応物をクロマトグラフィーを用いて分離し、4,5−エポキシ−1−メチルシクロヘキセン−3,6−ジオンを精製することができる。
本発明においては、本発明の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の有効成分として、植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制活性を有するセオブロキシドの類縁体を用いることができる。該セオブロキシドの類縁体、及びその製造方法については、本発明者によって特開平10−109910号公報に開示されている。更に、本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の有効成分である化合物は、その製剤化にあたって、適宜、製薬上許容し得る塩の形で用いることができる。
本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤施用に際して、その施用形態は特に限定されないが、植物の葉面散布用製剤の形で用いるのが特に好ましい。本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の有効成分である化合物を、そのまま施用しても良いが、通常は農薬の製剤化に際し一般に用いられる増量剤、界面活性剤、補助剤等のその他成分と混合し、水和剤、粒剤、粉剤などの固形製剤および乳剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤を調製し施用するのが好ましい。これら製剤形態中、液剤形態で植物の葉面に散布する形態のものが特に好ましい。製剤中の活性成分含有量は、散布濃度が、1mM以上になるように製剤中に調整されていることが望ましい。本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の施用量は、対象作物、気象条件、組成物の製剤形態、施用方法、施用時期等により、適宜設定することができる。
本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の適用対象植物としては、特に限定されないが、野菜類の栽培における利用目的から、長日植物に該当する野菜類を挙げることができる。例えば、ホウレンソウ、アブラナ、ハクサイ、レタス、キャベツ、ダイコン、ニンジン等を挙げることができる。
本発明の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の植物への適用時期は、植物の抽だいの誘導時期及び/又は花芽分化の時期に行われる。したがって、長日植物の場合には、長日条件下で抽だいの誘導時期及び/又は花芽分化の時期に、本発明の抑制剤を、散布のような手段により、植物体へ施用する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[材料と手法]
(植物材料及び生長条件)
実験の前に、グロースチャンバー(NK Systems, Biotron NC350)内で、短日(SD)(明期10時間/暗期14時間)条件下にて、ピートモス:パーライト混合物(1:1.5、v/v)でホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)を5週間育成した。2日毎に試液を葉面に散布した。水及び液状のハイポネックス(Hyponex Japan Co. Ltd.社製)をそれぞれ2日毎及び1週間毎に、植物体に与えた。長日(LD)及びSD光周期は、それぞれ16時間明期/8時間暗期及び10時間明期/14時間暗期であった。グロースチャンバーは、90μmol−2−1の光度を提供するための20個の蛍光灯(NEC FL40SEX-N-HG)を装備しており、25℃で相対湿度60%に設定されていた。実験は、各処理に10株の植物体を用いて、少なくとも3回繰り返された。
(セオブロキシド溶液の植物体への散布)
実験用のセオブロキシドは、ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)の培養濾液から単離した。NMR、IR、及びMSの日程を基準物のものと比較して、その構造を確認した。ツイーン20(100ppm)を含む蒸留水にセオブロキシドを溶解し、濃度を10−3Mとした。コントロールの植物体には、100ppmのツイーン20を含む同量の蒸留水を与えた。2種類の溶液は、プラスチックのスプレーボトルを用いて、一つの苗につき合計5mlずつ、2日おきに葉面に与えられた。前もって植えつけた後、LD処理のため、20箱をLD条件に移した(10箱はコントロール用で、他の10箱はセオブロキシド処理用)。前もって植えつけた後、SD処理のため、20箱をSD条件にそのまま残した(10箱はコントロール用で、他の10箱はセオブロキシド処理用)。茎の基部から茎の先端又は花序まで、茎高を測定した(Plant Physiol.: 821-827, 1971)。
(結果及び評価)
本発明者らの以前の報告(Phytochemistry 35: 835-839, 1994; J Plant Growth Regul. 19: 457-461, 2000; Plant Sci. 165: 993-999, 2003)に基づき、セオブロキシドは、光周期に影響されるいくつかの発達プロセスを制御するための植物ホルモンの擬態物かもしれない、と本発明者らは推測した。この可能性をテストするため、ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)などの長日性植物における茎伸長に対してセオブロキシドが及ぼす作用について調べてみた。図3に示すように、誘導条件下(LD)では、セオブロキシド処理によって茎伸長が抑制された。LD条件下でのセオブロキシド処理の2週間後、図4に示すように、茎長を経時的に測定した。この図から、茎は処理植物体でも無処理植物体でも発達したが、コントロールと比較すると、セオブロキシドが茎長を抑制していたことがわかった。6週間後の時点で、抑制効果は37%であった。セオブロキシドは、花成も抑制しており(表1)、コントロールとセオブロキシド処理植物体の平均花芽分化率は、それぞれ83.3%と43.3%であった。一方、短日条件下では、茎長と花成に関して、コントロールとセオブロキシド処理植物体との間に外見上の差異はなかった。
なお、表1に示す実験においては、長日条件下で植物体を6週間育成した。セオブロキシド処理を開始したのは、長日条件下に移した後である。6週間後、植物体を回収し、花芽分化した植物体の数を計算した。
セオブロキシドの作用を説明するものとして、2つの可能性がある。1つは、セオブロキシドが、茎伸長それ自体を抑制する単独の誘因として作用するということ、もう1つは、セオブロキシドが、共通するいくつかの植物成長ホルモンの生合成を制御するのかもしれないということである。ホウレンソウの茎伸長に対しては、GAのレベルが重要な要素であり(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 7401-7405, 1993)、バレイショの塊茎形成は、GAを与えることによって抑制される。これら2つの知見がGAのレベルに関連しているため、セオブロキシドはGAの生合成を制御しているのかもしれないと思われる。
[図の説明]
図1.セオブロキシド、ツベロン酸グルコシド、ツベロン酸、及びジャスモン酸の構造を示す。
図2.セオブロキシドの化学的合成法による製造を、概略的に示した図である。
図3.セオブロキシド使用時及び不使用時の、長日条件下におけるホウレンソウの茎伸長抑制試験の結果について示す写真である。(A)セオブロキシド処理後、長日条件下で6週間育成したホウレンソウ。左の2つの植物体はセオブロキシド使用、右の2つの植物体はセオブロキシド不使用。(B)セオブロキシド処理後、長日条件下で6週間育成したホウレンソウ。左の植物体はセオブロキシド使用、右の植物体はセオブロキシド不使用。スケールバー=5cm
図4.セオブロキシド使用時及び不使用時の、長日条件下におけるホウレンソウの茎伸長抑制試験の結果について示す図である。短日条件下で植物体を5週間育成し、その後、長日条件下に移し、セオブロキシド処理を開始した。セオブロキシド処理の2週間後に、茎長を測定した。標準分裂値(standard division value)(図示せず)は、0.12cm以下であった(n=3)。
本発明の有効成分であるセオブロキシド、及びツベロン酸グルコシド、ツベロン酸、及びジャスモン酸の構造を示す図である。 本発明の有効成分であるセオブロキシドの化学的合成法による製造を、概略的に示した図である。 本発明の有効成分であるセオブロキシドの茎伸長抑制試験において、セオブロキシド使用時及び不使用時の、長日条件下におけるホウレンソウの茎伸長抑制試験の結果について示す写真である。 本発明の有効成分であるセオブロキシドの茎伸長抑制試験において、セオブロキシド使用時及び不使用時の、長日条件下におけるホウレンソウの茎伸長抑制試験の結果について示す図である。

Claims (7)

  1. セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤。
  2. 植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制が、長日植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制であることを特徴とする請求項1記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤。
  3. セオブロキシド又はその類縁体を有効成分とし、これに補助剤を配合して、植物の葉面散布用製剤として調製されてなる請求項1又は2記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤。
  4. 有効成分であるセオブロキシド又はその類縁体の散布濃度が、1mM以上になるように調整されることを特徴とする請求項3記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤を、植物体に散布することを特徴とする植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法。
  6. 植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の植物体への散布が、植物の抽だい誘導及び/又は花芽分化時期に行われることを特徴とする請求項5記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法。
  7. 植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制剤の長日植物の植物体への散布が、長日条件下に行われることを特徴とする請求項6記載の植物の抽だい誘導抑制及び/又は花芽分化抑制方法。
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