JP3916144B2 - 微生物によるジャスモン酸類及びセオブロキシドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物によるジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及び/又はセオブロキシドの製造方法、特には、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及び/又はセオブロキシドを高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエ(Lasiodiplodia・theobromae)を培養し、培養物から該化合物を採取することを特徴とするジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及び/又はセオブロキシドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジャスミンの花の香気成分の一つとして発見されたジャスモン酸(jasmonic acid)は、式[1]
【0003】
【化1】
【0004】
で表される化合物であり、メチルエステル体の形で単離されて以来、植物の成長阻害、老化促進、傷害ストレスのシグナル伝達等、種々の生理現象に係わる植物ホルモン物質として知られている。ジャスモン酸の多岐にわたる生理作用については、近年数多くの報告がなされている(Comprehensive Natural Products Chemistry, Pergamon, Vol.1(1999), 117-138 ;農業及び園芸 第75巻10号(2000年)、P45−48)。
【0005】
ジャスモン酸は、α−リノレン酸から生合成される。すなわち、図1に示すように、▲1▼α−リノレン酸が13−リポキシゲナーゼ(13-lipoxygenase)の作用により13(S)−ヒドロパーオキシリノレン酸(13(S)-hydroperoxylinolenic acid)に変換され、次に、▲2▼アレンオキシシンターゼ(allene oxide synthase)の作用により12,13(S)−エポキシリノレン酸に変換され、更に、▲3▼アレンオキシシクラーゼ(allene oxide cyclase)の作用により5員環が環化され、中間体12−オキソ−シス−10、15−フィトジエン酸(12−オキソ−PDA)が生成され、更に、▲4▼12−オキソ−PDAレダクターゼ(12-oxo-PDA reductase)の作用により5員環2重結合が還元され8−[3−オキソ−2−シス−[(Z)−2−ペンテニル]シクロペンチル]オクタン酸(8-[3-oxo-2-cis-[(Z)-2-pentenyl] cyclopentyl] octanoic acid)(OPC−8:0)とされた後、▲5▼β酸化酵素による3段階のβ酸化による生合成によって形成される。
【0006】
シス体である7−エピジャスモン酸(1a)の7位の側鎖は、ケトンのα位であり容易に異性化し、熱力学的により安定なトランス体のジャスモン酸(1b)となる。シス体(1a)の方がトランス体(1b)よりもいくつかのアッセイ系において高い活性を持つことから、天然型のジャスモン酸はシス体(1a)の形で存在し、トランス体のジャスモン酸は精製過程において異性化されたものであると考えられている。
【0007】
ツベロン酸(tuberonic acid)は、式[2](式中、R1=H、R2=H:2a)
【0008】
【化2】
【0009】
で表される化合物であり、本発明者らがバレイショ(Solanum tuberosum L.)塊茎形成研究において、バレイショ(Solanum tuberosum L.)葉部から上記式[1]で表される配糖体として、単離したものである(Plant Cell Physiol.,29(1988),1047-1051)。現在までに、バレイショの葉部からのツベロン酸グルコシド(式[2]中、R1=H、R2=β-D-glucopyranosyl:2b)以外に、キクイモ(Helianthus tuberosus)葉部からツベロン酸メチルエステルグルコシド(式[2]中、R1=CH3、R2=β-D-glucopyranosyl:2c)が、単離され、いずれも塊茎形成誘導作用があることが明らかにされている(Agric. Biol. Chem.,53(1989),2853-2837;Biosci. Biotechnol. Biochem.,57(1993),1253-1256)。
【0010】
これらの化合物は、その構造からジャスモン酸を経由して合成されるものと考えられている。放射性同位体ラベルしたジャスモン酸の代謝実験により、ジャスモン酸は12位の炭素に水酸基が導入されてツベロン酸等となり、その水酸基がグルコシル化を受けてより極性の高い移動型のツベロン酸グルコシド等へと代謝されることがわかった。しかしながら、このジャスモン酸からツベロン酸や、ツベロン酸グルコシド等への酸化過程の詳細は未だ解明されていない。
【0011】
11−ヒドロキシジャスモン酸(11-hydroxyjasmonic acid)は、式[3]で表される化合物であり、
【0012】
【化3】
【0013】
酸化酵素により、ジャスモン酸の11位に水酸基が導入され、より極性の高い化合物へと代謝されることにより生成されると考えられている。
【0014】
セオブロキシド(theobroxide)は、式[4]
【0015】
【化4】
【0016】
で表される化合物であり、本発明者の研究室においてバレイショ塊茎形成誘導活性を持つ物質として、糸状菌ラシオディプロディア・テオブロマエ(Lasiodiplodia・theobromae)から分離された。セオブロキシドは、現在、バレイショ塊茎形成誘導活性のほかに、アサガオなどのヒルガオ科植物等の種々の植物の花芽形成誘導活性があることが、本発明者によって見い出されてている(農業及び園芸第75巻10号(2000年)、P45−48;特開平10−109910号公報)。また、本発明者の研究室の実験により、セオブロキシドを外部から投与すると内生のジャスモン酸量が増加することが、確認されている。この現象は、セオブロキシドがジャスモン酸生合成経路におけるいずれかの段階(酵素系)を促進し、それによって増加した化合物がバレイショ塊茎誘導や花芽形成の促進に直接関与しているものと思われる。
【0017】
上記のとおり、多くの活性を有するジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドの利用を図るためには、これらの物質を大量に入手する必要がある。それらの入手方法として、植物体に含まれるこれらの成分を抽出する方法が考えられるが、植物体中におけるこれらの物質の生成量はごく微量であり、植物体からの抽出方法は、これらの物質の利用に際しての入手方法としては現実的ではない面がある。そこで、これらの物質を比較的容易に製造できる方法として、微生物を用いる方法、即ち、糸状菌であるラシオディプロディア・テオブロマエ(Lasiodiplodia・theobromae)を培養して、製造する方法が本発明者らにより報告されている(Phytochemistry 35,[4](1994)835-839;J.Plant Growth Regul,19(2000),457-461)。
【0018】
ラシオディプロディア・テオブロマエは、熱帯・亜熱帯にかけて広く分布する不完全菌亜門に属する糸状菌であり、バナナ、パパイヤなどの熱帯果樹の果実腐敗や枝幹病害を引き起こす植物病害菌であり、日本でも、ナシボトリオディプロディア枝枯病、バナナ黒腐病およびパパイヤ軸腐病の病害菌として知られている。
この糸状菌を用いてジャスモン酸類及びセオブロキシドを製造することが試みられているが、現在取得されている菌株は、これらの物質の利用に際しての該物質の生産株としては、まだ十分な生産能を有しているものではないという問題がある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及び/又はセオブロキシドを、容易かつ大量に製造する方法、特には、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及び/又はセオブロキシドを微生物を用いて、容易かつ大量に製造する方法を提供するにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、鋭意探索の結果、本発明者はオレンジ樹脂病罹病植物体から分離した糸状菌である、ラシオディプロディア・テオブロマエの菌株がジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドを高生産量で産生することを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明の微生物は、独立行政法人 農業生物資源研究所の農業生物資源ジーンバンクに、MAFF306027の寄託番号で寄託されている。
【0022】
すなわち本発明は、オレンジ樹脂病罹病植物体から分離し、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することを特徴とするジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法(請求項1)や、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物が、ラシオディプロディア・テオブロマエOCS71(MAFF306027)であることを特徴とする請求項1記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法(請求項2)や、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を、バレイショ煎汁液体培地で培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することを特徴とする請求項1又は2記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法(請求項3)や、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を、液体培地に接種し、25〜30℃、暗所条件で培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を単離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法(請求項4)からなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、オレンジ樹脂病罹病植物体から分離し、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸、及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することからなる。
本発明のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物としては、オレンジ植物体から分離したラシオディプロディア・テオブロマエOCS71株が挙げられる。該菌株は、独立行政法人 農業生物資源研究所の農業生物資源ジーンバンクに、MAFF306027の寄託番号で寄託されている(なお、この寄託菌株は、農業生物資源研究所が発行する微生物のカタログである「微生物遺伝資源配布目録 第3版」(平成10年3月25日)及び「農業生物資源研究所の農業生物資源ジーンバンク」のホームページで、公開されており、「寄託番号:MAFF306027」によって、第三者が容易に入手することができる)。
【0024】
本発明において、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を製造するには、ラシオディプロディア・テオブロマエの上記高生産株を用いて、該菌株を培地に接種して培養し、その培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することにより製造する。使用する培地としては、通常糸状菌の培養に使用される適宜の固体或いは液体培地を使用することができるが、大量製造に供する培地としては、液体培地を使用することが好ましい。本発明のラシオディプロディア・テオブロマエの菌株の培養用の培地としては、バレイショ煎汁液体培地が特に好ましい。
【0025】
本発明のラシオディプロディア・テオブロマエの菌株を培養する際の培養条件としては、特に限定はないが、本発明の菌株を液体培地に接種し、25〜30℃、暗所条件で培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取する方法が特に好ましい。本発明の化合物を培養物から分離精製するには、公知の分離精製手段を用いて行うことができる。例えば、それぞれの化合物について、培養物中の化合物を活性炭で吸着し、MeOHで溶出する。これを濃縮後、MeOH/CHCl3によるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。本発明の生成物の同定は、GC−MS等適宜の同定手段により行うことができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
本発明において、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドの高生産製造方法を構築するために、糸状菌ラシオディプロディア・テオブロマエの高生産量産生菌株の探索を行った。この探索を行うために、種々の植物から取得したラシオディプロディア・テオブロマエの菌株について、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドの生産についての定量実験を行った。
【0027】
[ラシオディプロディア・テオブロマエ菌株の調製]
ラシオディプロディア・テオブロマエは、熱帯・亜熱帯にかけて広く分布する不完全菌亜門も属する糸状菌であり、バナナ、パパイヤなどの熱帯果樹の果実腐敗や枝幹病害を引き起こす植物病害菌である。日本でも、ナシボトリオディプロディア枝枯病、バナナ黒腐病およびパパイヤ軸腐病の病害菌として有名である。この糸状菌はジャスモン酸をはじめとするジャスモン酸関連化合物を生産することが知られているので、種々の植物からこの菌を分離し、該菌を用いて定量実験を行った。用いた菌株を表1に示す。1つの菌株につき暗所で2週間と3週間培養を行った。IFO31059については暗所と明所の2通りで培養を行った。
【0028】
【表1】
【0029】
[ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸、セオブロキシドの定量]
(ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸、及びセオブロキシドの生成及び精製)
表1に示したラシオディプロディア・テオブロマエの菌株を、2%P.D.培地で暗所、25℃で2週間と3週間、それぞれ静地培養した。ラシオディプロディア・テオブロマエ IFO31059の菌株については明所で同様の培養を行った。培養終了後、ガーゼ濾過により菌体と培養濾液にわけ、培養濾液を分液、固相抽出、各種クロマトグラフィーにより精製を行った。ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸はLC−MSで、セオブロキシドはトリメチルシリル(TMS)誘導体化しGC−MSで分析を行った。ジャスモン酸類及びセオブロキシドの生成及び精製の概略を、図2に示す。
【0030】
(ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸の同定、定量)
ジャスモン酸、ツベロン酸は、重水素ラベル体である[10,11,11,12,12,12−2H6]−ジャスモン酸([D]−JA)(化合物1)、[10,11,11,12,12−2H5]−ツベロン酸([D]−TA)(化合物2)を内部標準として培養濾液に加え(図3)、LC−MS分析により、化合物1,2のピーク面積との比較によって生産量を決定するという定量法が確立されていたので、その方法に従い定量を行った。なお、[D]−JA、[D]−TAはシス体である立体異性体を含む混合物である。
【0031】
LC−MSにおけるツベロン酸と11−ヒドロキシジャスモン酸の同定は、次の方法に従った。
即ち、LC−MS分析では、ジャスモン酸、ツベロン酸をネガティブモード([M−H]-)で検出するため、検出質量はそれぞれm/z=209、225である。ツベロン酸と11−ヒドロキシジャスモン酸は構造を見ればわかるように、水酸基の位置が異なるだけであるので、分子量が同じであり、かつ極性も非常に近いことから、2つの化合物はこの検出法ではリテンションタイムが接近した2つのピークとして現れる。このことから、ピーク1とピーク2のどちらがツベロン酸であるかを同定することが困難であった。そこでラシオディプロディア・テオブロマエ IHS121の菌株を用いて、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸をそれぞれ単独で加えて、どちらのピークが増加をするかを確認することにした(図4)。ラシオディプロディア・テオブロマエ IHS121はこれら2つの化合物の生産量がほぼ同量であることからこの菌株を用いて実験を行った。
【0032】
これによると、11−ヒドロキシジャスモン酸を加えた場合はリテンションタイムのより早いピーク1が増加しているが、ツベロン酸を加えた場合はピーク2が増加していることがわかる。ピーク2の後にある小さなピークは、標品に含まれていたツベロン酸の7位の側鎖が異性化したシス体の立体異性体ではないかと考えられる。このことから、ピーク1は11−ヒドロキシジャスモン酸由来のピークであり、ピーク2がツベロン酸のピークであると判断した。
この実験により、LC−MS分析ではリテンションタイムが35.5分のピークを11−ヒドトロキシジャスモン酸、37.5分のピークをツベロン酸として定量を行った。
【0033】
(セオブロキシドの同定、定量)
セオブロキシドは、以前、当研究室で行っていた定量法をもとに、少し修正を加えGC−MSによる定量を行った。セオブロキシドは、GC−MSによる分析に先立って、TMS誘導体化された。
セオブロキシドは、バレイショ塊茎誘導物質として糸状菌ラシオディプロディア・テオブロマエから単離されたエポキシ環と水酸基を2つ有する極性の高い化合物である。そのため、そのままでは揮発性が低く、直接GC−MSで定量することが困難である。そこでセオブロキシドをトリメチルシリル(TMS)誘導体化し(図5)、揮発性を増加させGC−MS分析を行うことにした。シリル化試薬は加えて密栓し、加熱するだけの容易な操作によってシリル化が可能な、N,O−Bis(trimethylsilyl)−acetamide(BSA)を用いた。
【0034】
[ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸、セオブロキシドの定量結果]
定量の結果を、表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
定量の結果、ラシオディプロディア・テオブロマエでは菌株によって化合物の生産能が大きく異なることがわかった。ジャスモン酸の生産についてはOCS71の3週間培養したものが最も多く、次いでOCS71の2週間培養したものが多かった。一方、NH5、NC3red、BB62の菌株はほとんどジャスモン酸を生産していないことがわかった。ツベロン酸の生産については、ジャスモン酸の場合と同様にOCS71が最も多く生産しており、次にNC3 redの3週間、SCT4の3週間と続く。全体的にツベロン酸の生産量はジャスモン酸の生産量よりも少ない傾向にある。11−ヒドロキシジャスモン酸の生産についても、ジャスモン酸、ツベロン酸と同様に、OCS71株が大量に生産していることがわかった。
【0037】
セオブロキシドの生産については、OCS71の2および3週間培養したものが圧倒的に多く、次いでIFO31059の2週間、暗所で培養したものが多かった。その他の菌株は検出限界以下か、あるいは生産していてもごく微量であった。
セオブロキシドとジャスモン酸の量的な相関であるが,OCS71のみに関して言えば、あるといえそうであるが、他の菌株ではジャスモン酸、ツベロン酸の生産量に比べてセオブロキシドをほとんど生産しない菌株もあるので、量的相関があるとは考えにくい。また、暗所と明所での培養による生産量の違いはこの結果からはほとんど判断できる。
しかし、実験に用いた10種の菌株のうち、OCS71がセオブロキシドを多く生産することが分かった。
この実験結果から、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸、及びセオブロキシドの高生産株としてラシオディプロディア・テオブロマエOCS71株が同定された。
【0038】
[上記実施例の実験に用いた使用器具、試薬類及び実験条件の詳細]
以下に、上記実験に用いた使用器具、試薬類及び実験条件について詳述する
(使用機器及び試薬類)
1.測定機器
MS:JEOL JMS−DX300 Mass Spectrometer
HPLC:Waters 600 System Controller
Waters 484 Tunable Absorbance Detector
Waters 741 Data Module
Waters 515 HPLC Pump
WatersTM 486 Tunable Absorbance Detector
HITACHI D−2500 Chromato−Integrator
Waters 600E System Controller
LC−MS:HITACHI L−6200 Intelligent Pump
HITACHI M−1200H Mass Spectrometer
GC−MS:Thermoquest GCQplus−TRACE GC 2000 series
【0039】
2.クロマトグラフィー担体、カラムと分析機器
薄層クロマトグラフィー(TLC)
Merck Kieselgel 60F254Art.5744
Merck Kieselgel 60F254Art.5715
固相抽出用カラム
varian BondElut C18
varian BondElut DEA
varian Sep−pak Vac 12cc(2g)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラム
Wakosil−II 5C18 10mm×300mm
Wakosil−II 5C8 4mm×250mm
Mightysil RP−18 GP Aqua 250−4,6(5μm)
Wakosil−II 5C18 7.5mm×300mm
【0040】
(実験条件)
1.培地の調整
水洗いをし、皮をむいたバレイショ1kgを2cm角に切り、水道水を加えて121℃、5分間オートクレーブで煮た。3枚重ねのガーゼで濾過した後、D−グルコース100gを加え、水道水で5lにメスアップし2%P.D.培地を作成した。この2%P.D.培地を500ml三角フラスコに200mlずつ分注し、121℃、15分間オートクレーブにより減菌した。
【0041】
2.前培養
調整した2%P.D.培地を100ml三角フラスコに40ml分注し、オートクレーブで減菌した。放冷後、スラントから10種の菌株をそれぞれ無菌的に接種し、2日間、30℃で振とう培養した。
【0042】
3.本培養
前培養したラシオディプロディア・テオブロマエの各菌株を、前記1.で用意した三角フラスコに無菌的に接種した。培養は菌株1種につき2週間培養5本、3週間培養5本を25℃、暗所で行った。
IFO31059については暗所条件に加え、人工気象器内で明所、25℃の条件で同様の培養を行った。
【0043】
4.培養濾液からのジャスモン酸、ツベロン酸及びセオブロキシドの抽出
培養終了後、3枚重ねのガーゼにより濾過し、培養濾液と菌体に分けた。菌体の方は冷凍庫に保存しておいた。培養濾液は、ほぼ乾固するまで減圧濃縮をし、少量の脱塩水を加え、重水素ラベルした[10,11,11,12,12,12−2H6]−ジャスモン酸MeOH溶液として[10,11,11,12,12−2H5]−ツベロン酸MeOH溶液からD−JA、D−TAそれぞれ50μgずつシリンジではかりとり加えた。pHが2から3になるまで4N塩酸を加え、酢酸エチル(50ml×3)で抽出した。次に、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml×3)を加え、水層と有機層に振り分けた。セオブロキシドが含まれる有機層には無水硫酸ナトリウムを加え乾燥し、ジャスモン酸、ツベロン酸が含まれる水層は再び4N塩酸を加えて酸性とし、酢酸エチル(60ml×3)で振り分け、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0044】
5.ジャスモン酸、ツベロン酸の精製
ジャスモン酸、ツベロン酸の含まれる有機層を減圧濃縮後、H2O(1ml)に溶解し、MeOHで膨潤させたSep−pakC18に供した。そしてMeOH/H2O(8ml)で溶出した。次にその溶出液を減圧濃縮した後MeOH(1ml)に溶解し、1NAcOH/MeOHで膨潤したBondElutDEAに供した。そして1NAcOH/MeOH(8ml)で溶出した。溶出液を減圧濃縮した後少量のMeOHに溶解してHPLC分取を行った。まず、標品のジャスモン酸、ツベロン酸をHPLCに供し、それぞれのリテンションタイムの前後1.5分、計3分の分画を分取し、精製を行った。HPLC分取条件を以下に示す。
HPLC分取条件
Column:Wakosil−II 5C18 10mm×300mm
Solvent:MeOH/0.2%AcOH・H2O=70/30−100/0
Flow rate:2.5ml/min
Wavelength:254nm
【0045】
6.LC−MSによるジャスモン酸、ツベロン酸の定量
HPLC分取した分画を減圧濃縮した後、100μlのMeOHに溶解しLC−MSによりジャスモン酸、ツベロン酸の定量を行った。定量は内部標準として用いた重水素ラベルしたジャスモン酸、ツベロン酸とのピーク面積の比較により決定した。LC−MS分析条件を以下に示す。
LC−MS分析条件
(HPLC)
JA Column:Wakosil−II 5C8 4mm×250nm
Solvent:MeOH/0.2%AcOH・H2O=50/50
TA Column:Mightysil RP−18 GP Aqua 250−4,6(5μm)
Solvent:MeOH/0.2%AcOH・H2O=25/75
Flow rate 0.5ml/min
(MS)
検出質量:JA;m/z=209([M−H]-)、[D]−JA;m/z=215([M−H]-)
TA;m/z=225([M−H]-)、[D]−TA;m/z=230([M−H]-)
【0046】
7.LC−MSにおけるツベロン酸と11−ヒドロキシジャスモン酸の同定
ラシオディプロディア・テオブロマエ IHS121の3週間培養の菌株をHPLC分取後、減圧濃縮し、100μlのMeOHに溶解した。そして、そのうちの5μlをシリンジではかり、標品である11−ヒドロキシジャスモン酸とツベロン酸をそれぞれ0.8μg含まれるように加え、
IHS1213weeks5μl
IHS1213weeks5μl+11−hydroxyjasmonic acid(0.8μg)
IHS1213weeks5μl+tuberonic acid(0.8μg)
の3通りでLC−MSに供した。LC−MS分析条件は、上記6.と同様である。
【0047】
8.セオブロキシドの精製
セオブロキシドの含まれる有機層を減圧濃縮した後、少量のCHCl3に溶解しSep−Paksilica(2g)に供した。そして3%MeOH/CHCl3(8ml)で溶出した。その溶出液を再び減圧濃縮した後、H2O(1ml)に溶解し、Sep−PakC18に供した。そして30%MeOH/H2O(8ml)で溶出した。溶出液を減圧濃縮し、少量のMeOHに溶解した後、HPLC分取を行った。HPLC分取は、まず標品のセオブロキシドをHPLCに供し、そのリテンションタイムの前後1.5分、計3分の分画を分取した。HPLC分取条件を以下に示す。
HPLC分取条件
Column:Wakosil−II 5C18 7.5mm×300mm
Solvent:MeOH/H2O=30/70
Flow rate:1.0ml/min
Wavelength:210nm
【0048】
9.セオブロキシドのTMS誘導体化
HPLC分取した分画を減圧濃縮し、少量のMeOHに溶解した。パスツールペピットから作成した自家製のアンプル管にシリンジではかり、デシケーターで十分乾燥した。乾燥後、BSA20μlを加え、ガスバーナーで素早く密栓をし、76℃、3時間、オイルバーナーで加熱した(J. Chromatog. Sci. 9(1971),98-104)。
【0049】
10.GC−MSによるセオブロキシドの定量
セオブロキシドを定量するにあたり、検量線を作成した。検量線は、標品のセオブロキシドを用いて5ppm、15ppm、25ppm、35ppmの濃度になるように調整し、第2節8.と同様の操作を行った。
常温で30分以上放冷したサンプルを開封し、シリンジで1μlとり、GC−MSに供し、GC−MS条件を以下に示す。
GC−MS分析条件
Column:DB−1(0.25mm×30m)
Initial temperature:100℃
Initial time:1.0min
Rate:10℃/min
Final temperature:300℃
Final time:10min
【0050】
【発明の効果】
本発明は、花芽や塊茎形成を誘導促進する植物ホルモン様物質としての利用が期待される、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドの微生物を用いた、容易かつ大量の製造方法を提供する。本発明の方法により、これらの物質の実用的な生産コストでの工業的生産を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で製造される化合物のジャスモン酸の、生合成経路の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施例におけるジャスモン酸、ツベロン酸、セオブロキシドの生成及び精製方法の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施例において、重水素ラベルしたジャスモン酸及びツベロン酸の構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例において、ツベロン酸及び11−ヒドロキシジャスモン酸のLC−MS分析におけるピークの同定を行った結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例におけるセオブロキシドの定量に際して、GC−MS分析のためにセオブロキシドをトリメチルシリル(TMS)誘導体化した場合の構造を示す図である。
Claims (4)
- オレンジ樹脂病罹病植物体から分離し、ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することを特徴とするジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法。
- ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物が、ラシオディプロディア・テオブロマエOCS71(MAFF306027)であることを特徴とする請求項1記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法。
- ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を、バレイショ煎汁液体培地で培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を採取することを特徴とする請求項1又は2記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法。
- ジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を高生産量で産生する能力を有するラシオディプロディア・テオブロマエの微生物を、液体培地に接種し、25〜30℃、暗所条件で培養し、培養物からジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物を単離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のジャスモン酸、ツベロン酸、11−ヒドロキシジャスモン酸及びセオブロキシドから選択される1以上の化合物の製造方法。
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