電子写真装置や静電記録装置等においては、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、それを転写材に転写し、次いで熱により転写材に定着させ、トナー画像を形成している。また、フルカラー画像形成は一般に黒、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いて色の再現を行うものであり、各色について現像を行い、各トナー層を転写材上に重ね合わせたトナー像に加熱し、同時に定着することによって、フルカラー画像を得ている。
ところが、一般に印刷に見慣れたユーザーからすると、フルカラー複写機における画像は未だ満足できるレベルではなく、写真、印刷に迫る高精細性、高解像度を満足するさらなる高画質化が求められており、電子写真画像の高画質化には小粒径で且つ狭い粒径分布を持つトナーを使用することが知られている。
従来から、電気的又は磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。静電荷像現像に使用されるトナーは、一般に、結着樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と重合法がある。粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することによりトナーを製造している。粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料の選択に制限がある。例えば、溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し、分級できるものでなければならない。この要請から、溶融混合した組成物は、充分に脆くせざるを得ない。なぜなら脆い組成物でなければ目標とする粒径になるまで粉砕することができないためである。このため、実際に上記組成物を粉砕して粒子にする際に、高範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという欠点がある。また、粉砕法では、着色剤や帯電制御剤などを熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。配合剤の不均一な分散は、トナーの流動性、現像性、耐久性、画像品質などに悪影響を及ぼす。
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、例えば懸濁重合法(例えば、特許文献1参照)によってトナー粒子を得ることが行われている。しかしながら、懸濁重合法で得られるトナー粒子は球形であるが、クリーニング性に劣るという欠点がある。画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラー等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。また低温定着性も十分でなく、定着に必要なエネルギーが多く必要で問題であった。一方、乳化重合法により得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、乳化重合法で得られるトナー粒子は、水洗浄工程を経ても、界面活性剤が、表面だけでなく、粒子内部にも多量に残存し、トナーの帯電の環境安定性を損ない、かつ帯電量分布を広げ、得られた画像の地汚れが不良となる。また、残存する界面活性剤により、感光体や帯電ローラー、現像ローラー等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう等、問題であった。
一方、熱ローラーなどの加熱部材を使用して行われる接触加熱方式による定着工程において、加熱部材に対するトナー粒子の離型性(以下、「耐オフセット性」という。)が要求される。ここに、耐オフセット性は、トナー粒子表面に離型剤を存在させることにより向上させることができる。これに対し、樹脂微粒子をトナー粒子中に含有させるだけでなく、当該樹脂微粒子がトナー粒子の表面に偏在していることにより、耐オフセット性を向上する方法が開示されている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかし、定着下限温度が上昇し、低温定着性即ち省エネ定着性が十分でない問題があった。
また、乳化重合法によって得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法では、下記のような問題を生じる。つまり耐オフセット性を向上させるために、離型剤微粒子を会合させる場合において、当該離型剤微粒子がトナー粒子の内部に取り込まれてしまい、この結果、耐オフセット性の向上を十分に図ることができない。樹脂微粒子、離型剤微粒子、着色剤微粒子などがランダムに融着してトナー粒子が構成されるので、得られるトナー粒子間において組成(構成成分の含有割合)及び構成樹脂の分子量等にバラツキが発生し、この結果、トナー粒子間で表面特性が異なり、長期にわたり安定した画像を形成することができない。さらに低温定着が求められる低温定着システムにおいては、トナー表面に偏在する樹脂微粒子による定着阻害が発生し、定着温度幅を確保できない問題があった。
一方、溶解懸濁法(EA;Emulsion-Aggregation法)という新製法が最近提案されている(例えば、特許文献5参照)。この手法は、懸濁重合法がモノマーから粒子を形成するのに対して、有機溶剤等に溶解したポリマーから造粒する手法で、樹脂の選択範囲の拡大や、極性の制御性等の利点をあげている。またトナーの構造制御(コア/シェル構造制御)が可能という利点を挙げているが、シェル構造は樹脂のみの層で顔料やワックスの表面への露出を低下させることを目的にしており、特に表面状態を工夫したわけではなく、またそのような構造にもなっていない。(第4回日本画像学会・静電気学会ジョイントシンポジウム(2002.7.29)より)。したがってシェル構造にはなっているがトナー表面は通常の樹脂で特に工夫はなく、より低温定着を目指した際には、耐熱保存性、環境帯電安定性の点で十分でなく問題であった。
また、上記懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法いずれもスチレン・アクリル系の樹脂を用いることが一般的で、ポリエステル系樹脂では粒子化に難があり粒径、粒度分布、形状制御が困難であった。またより低温定着を目指した場合に定着性に限界があった。
一方、耐熱保存性、低温定着を目的として、ウレア結合で変性されたポリエステルを使用することも知られているが(例えば、特許文献6参照)、特に表面が工夫されたものでなく、特により条件の厳しい環境帯電安定性の点で十分でなく、問題であった。
また、電子写真の分野では、高画質化が様々な角度から検討されており、中でも、トナーの小径化及び球形化が極めて有効であるとの認識が高まっている。しかし、トナーの小径化が進むにつれて転写性、定着性が低下し、貧弱な画像となってしまう傾向が見られる。一方、トナーを球形化することにより転写性が改善されることが知られている(例えば、特許文献7参照)。このような状況の中、カラー複写機やカラープリンタの分野では、さらに画像形成の高速化が望まれている。高速化のためには「タンデム方式」が有効である(例えば、特許文献8参照)。「タンデム方式」というのは、画像形成ユニットによって形成された画像を転写ベルトに搬送される単一の転写紙上に順次重ね合わせて転写することにより転写紙上にフルカラー画像を得る方式である。タンデム方式のカラー画像形成装置は、使用可能な転写紙の種類が豊富であり、フルカラー画像の品質も高く、高速度でフルカラー画像を得ることができる、という優れた特質を備える。特に、高速度でフルカラー画像を得ることができるという特質は、他の方式のカラー画像形成装置にはない特有の性質である。一方、球形トナーを用いて高画質化を図りつつ、高速化も達成しようという試みもなされている。しかしながら、より高速化に対応するためには、迅速な定着性が必要とされるが、球形トナーで良好な定着性と低温定着性を兼ね備えたトナーはこれまで実現できていなかった。
またトナー製造後の保管時、運搬時における高温高湿、低温低湿環境等はトナーにとって過酷な状況にあり、環境保存後においてもトナー同士が凝集せず、帯電特性、流動性、転写性、定着性の劣化のない、あるいは極めて少ない保存性に優れたトナーが要求されているが、特に球形トナーでこれら対する有効な手段はこれまで見つかっていなかった。
またトナー(特に負帯電トナー)の帯電能力を上げる手段としてフッ素系化合物を電荷制御剤等の役目としてトナーに含有することも知られている(例えば、特許文献9、10、他)。しかしながら、該手法ではトナー母体としての帯電能力は向上するが、これに添加する流動化剤の種類、特性によりトナー母体の良好な特性が覆われて、特に帯電立ち上がりが低下し、トナー地汚れ(かぶり)や、トナー飛散が発生して問題であり、有効な手法が望まれていた。一方、フッ素系疎水化処理剤を用いた無機微粒子も知られているが(例えば、特許文献11、他)、感光体表面との摩擦低減等が目的で、十分な帯電立ち上がり性の改善効果はなく、特に環境帯電安定性の点で問題であった。
静電荷像を乾式トナーを用いて現像する方法は大別して、トナーとキャリアとが混合されてなる、いわゆる二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアと混合されずにトナー単独で用いられる一成分系現像剤を用いる方法とがある。
どちらの方法もトナーは、キャリアやブレードなどといった帯電部材との接触によって帯電されるが、トナーの電荷量はばらつきを生じる。そしてトナーの電荷量のばらつきは、現像量のばらつきを生じる。また、ときにトナー中に一部、極めて帯電電荷量の少ないトナーや、所望の帯電極性とは逆の極性の電荷をもつトナー(以下、それぞれ弱帯電トナー、逆帯電トナーと呼ぶ)を含む。こうした弱帯電トナーや逆帯電トナーがトナー中に含まれると、第一には、非画像部へ現像し、地汚れを引き起こす。また、トナーのチリや飛散の原因となり、画像を汚すだけではなく、現像装置内を汚染するなどの不具合もあった。
このような不具合をなくす方法として、すなわち逆帯電トナーや弱帯電トナーを生じさせないためとして、これまでに多くの帯電量分布を狭くする方法が提案されている。
例えば、二成分現像剤で電気抵抗と未帯電トナーの関係を規定したものがある(例えば、特許文献12参照)。また、一成分現像剤において弱帯電トナー及び逆帯電トナーの割合を規定したものがある(例えば、特許文献13参照)。また、現像剤攪拌部入り口及び出口におけるトナー帯電量分布の弱帯電及び逆帯電トナーの比率を規定したものがある(例えば、特許文献14参照)。また、帯電量分布の分布曲線を正規分布で規定したものがある(例えば、特許文献15参照)。
しかし、帯電量分布の幅に関係なく不具合が発生する場合がある。例えば、帯電量が極端に低い場合は、帯電量分布の幅が狭いものであっても弱帯電トナーの存在割合は高い。逆に帯電量がある程度高い場合は、帯電量分布の幅が広いものであっても弱帯電トナーの存在割合は少ない。
したがって、帯電量分布が狭い方が弱帯電トナーや逆帯電トナーの存在割合は低くしやすいが、そうでない場合であっても、すべてのトナーが必要十分な値に帯電され、弱帯電トナーや逆帯電トナーの存在が少なければ、不具合を発生しにくい。
特開平9−43909号公報
特許第2537503号公報
特開2000−292973号公報
特開2000−292978号公報
特許第3141783号公報
特開平11−133667号公報
特開平9−258474号公報
特開平5−341617号公報
特許第2942588号公報
特許第3102797号公報
特許第3057209号公報
特開平8−129268号公報
特開2001-255691号公報
特開2003-149850号公報
特開2003-228189号公報
したがって、本発明は上記の問題に鑑みてなされ、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができるトナーを含む静電荷像現像用現像剤、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の目的は、数万枚画像を出力した後でも安定して以下を提供することを目的とする。
2成分現像において、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なうトナーを含む静電荷像現像用現像剤、画像形成装置及び画像形成方法を提供すること、
トナーの帯電能力が十分高く、帯電立ち上がり性も良好で、かつ数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持でき、かつ十分な画像濃度の画質が得られるトナーを含む現像剤を提供すること、
クリーニング性を維持しつつ、低温定着システムに対応し、耐オフセット性が良好で、定着装置及び画像を汚染することのないトナーを含む現像剤を提供すること、並びに
弱帯電、逆帯電トナーが少なく、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーを含む現像剤を提供することである。
本発明によれば、上記目的は、請求項1に記載されるが如く、少なくとも結着樹脂と着色剤を含み、該結着樹脂は少なくとも50〜100重量%が少なくとも一部に変性ポリエステルを含むポリエステル系樹脂であり、水系媒体中で造粒されるトナーと、磁性粒子からなるキャリアを含む2成分系静電荷像現像用現像剤において、該トナーとキャリアをトナー濃度7%として、マグロールで15秒攪拌混合した初期剤のイースパートアナライザーによって測定されるトナーの電荷量Q(fc)と粒径D(μm)から表されるQ/D分布のQ/D>0となる粒子の個数割合が3%以下、Q/D>-1となる粒子の個数割合が10%以下となることを特徴とする静電荷像現像用現像剤により達成される。
請求項1に記載の発明によれば、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができるトナーを含む現像剤を提供することができる。
請求項2にかかる発明は、少なくとも50〜100重量%がポリエステル系樹脂である結着樹脂が溶解されている有機溶媒相と、活性水素含有化合物と、着色剤とを、樹脂微粒子が分散されている水系媒体相中に分散させて、50〜100重量%がポリエステル系樹脂である該結着樹脂の中の少なくとも一部と前記活性水素含有化合物との伸長反応及び/又は架橋反応を起こさせ、これにより分散液中で粒子を形成し、この分散液中での前記有機溶媒を除去した後、粒子を洗浄して得られる、少なくとも着色剤、ワックスを含み、無機微粒子を有し、フッ素含有化合物を用いて処理してなるトナーと、磁性粒子からなるキャリアを含む2成分系静電荷像現像用現像剤において、該トナーとキャリアをトナー濃度7%として、マグロールで15秒攪拌混合した初期剤のイースパートアナライザーによって測定されるトナーの電荷量Q(fc)と粒径D(μm)から表されるQ/D分布のQ/D>0となる粒子の個数割合が3%以下、Q/D>-1となる粒子の個数割合が10%以下となることを特徴とする静電荷像現像用現像剤によって達成される。
請求項2に記載の発明によれば、地汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行うトナーを含む現像剤を提供することができる。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2の発明において、前記Q/D分布のQ/D<-5となる粒子の個数割合が20%以下となることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、トナーの帯電能力が十分高く、帯電立ち上がり性も良好で、かつ数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持でき、かつ十分な画像濃度の画質が得られるトナーを含む現像剤を提供することができる。
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、下記一般式
(式中、Xは−SO2−又は−CO−、R5,R6,R7,R8は、H、炭素数1〜10のアルキル基及びアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mとnは正数である。Yは、I,BrCl等のハロゲン原子)
で示されるフッ素原子を含む化合物をフッ素系化合物として用いることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができる現像剤のトナーとすることができる。
請求項5にかかる発明は、請求項4の発明において、前記フッ素系化合物をトナーに対して0.01〜5重量%の範囲でトナーに表面処理を施すことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、現像剤の定着不良を生じ難くすることができる。
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の発明において、前記無機微粒子添加前の母体トナーを前記フッ素化合物を分散させた水系溶媒にアルコールが5〜80重量%となるように混合して、前記フッ素系化合物をトナーに処理することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、フッ素系化合物の分散性がより向上し、トナー表面への付着状態が均一となり、トナー粒子間の帯電均一性を向上できる。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、該無機微粒子が少なくとも2種類の平均一次粒子径が異なる無機微粒子からなり、少なくとも1種の無機微粒子の平均一次粒子径が0.03μm以下であり、もう一方の無機微粒子の平均一次粒子径が0.2μm以下であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、必要な流動性が得られ、トナー帯電がさらに均一となり、トナー飛散や地汚れが良好とすることができる。
請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の発明において、該無機微粒子の少なくとも1種類が有機系シラン化合物で処理された疎水性無機微粒子であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、環境安定性に優れ、かつ文字の中抜け等の画像欠陥の少ない高画質を達成できる。
請求項9にかかる発明は、請求項7又は8に記載の発明において、該無機微粒子がシリカ及びチタンであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、適度な磨耗性があり、フィルミングに対して有利であると同時に帯電安定性の優れたトナーを含む現像剤を機能させることができる。
請求項10にかかる発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明において、前記ワックスがカルナバワックスを含有することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、特に遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのものが結着樹脂中に均一分散が可能とすることができ、また、遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのカルナバワックスは揮発成分が少ないため、感光体へのフィルミングや帯電付与部材へのスペントが少ないために特に好ましく含有することができる。
請求項11にかかる発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明において、前記ワックスのトナー内部の含有量が重量換算で1%〜8%となることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、画質が悪化して光沢が低くなり、ホットオフセットの発生を抑制し、トナーの流動性や帯電の悪化を抑制することが可能となる。
請求項12にかかる発明は、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明において、前記トナーの体積平均粒径DVが3〜8μmであり、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnの比Dv/Dnが1.00〜1.25であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、トナーの生産性を維持し、耐久性や流動性の悪化を防止することができ、粒径分布が幅広くなることによる画質の悪化を防止することができる。
請求項13にかかる発明は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、前記トナーの体積平均粒径1μm以下の微粉が0〜5%となることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、感光体の地汚れ、機械内におけるトナー飛散を防止することができる。
請求項14にかかる発明は、請求項1乃至13のいずれかに記載の発明において、前記トナーの円形度が0.92〜0.99であることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、トナーが適正な濃度の再現性のある高精度な画像を形成することができる。
請求項15にかかる発明は、感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤で現像し、感光体上に形成されたトナー画像を画像支持体上に転写し、該トナー画像を加熱部材を内包した加熱ローラーと、対向配設された加圧ローラーとからなる定着装置により定着し、該加圧ローラーをクリーニングする部材を有する画像形成装置において、請求項1乃至14のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤を用いることによりクリーニングローラーに回収されたトナーが再び溶け出さないことを特徴とする画像形成装置によって達成される。
請求項15に記載の発明によれば、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なう画像形成装置を提供することができる。
請求項16にかかる発明は、感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該現像手段は、請求項1乃至14のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤を含むことを特徴とするプロセスカートリッジによって達成される。
請求項16に記載の発明によれば、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項17にかかる発明は、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材との間に未定着画像を形成させた被記録材を通過させて加熱定着する定着装置を使用する画像形成方法において、前記トナー像の形成に用いる現像剤が請求項1乃至14のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法によって達成される。
請求項17に記載の発明によれば、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なう画像形成方法を提供することができる。
本発明によれば、2成分現像において、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なうトナーを含む静電荷像現像用現像剤、画像形成装置及び画像形成方法を提供できる。また、本発明はトナーの帯電能力が十分高く、帯電立ち上がり性も良好で、かつ数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持でき、かつ十分な画像濃度の画質が得られるトナーを含む現像剤が提供でき、さらにクリーニング性を維持しつつ、低温定着システムに対応し、耐オフセット性が良好で、定着装置及び画像を汚染することのない現像剤を提供でき、さらにまた、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができる現像剤を提供できる。
以下、本発明について詳述する。ここで、本発明に用いられる現像剤の製法や材料、及び電子写真プロセスに関するシステム全般に関する条件を満たし、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することがなければ、当業者にとって多種多様な変形が可能であり、当業者に周知なものは全て使用可能である。
本発明の現像剤において、トナーとキャリアをトナー濃度7%として、マグロールで15秒攪拌混合した初期剤のイースパートアナライザーによって測定されるトナーの電荷量Q(fc)と粒径D(μm)から表されるQ/D分布のQ/D>0となる粒子の個数割合が3%以下、Q/D>−1となる粒子の個数割合が10%以下となることが重要な特徴である。なぜなら、こうした弱帯電トナーや逆帯電トナーがトナー中に多量に含まれると、非画像部へ現像し、地汚れを引き起こす、トナーのチリや飛散の原因となるなどの問題が発生するからである。また、画像を汚すだけではなく、現像装置内を汚染するなどの不具合もある。そのため、弱帯電トナーや逆帯電トナーを少量にすることがこれらの問題を解決するための手段として大変有効である。弱帯電トナー、逆帯電トナーの量を少量にする方法としては、粒子の表面をフッ素含有化合物の処理する量を増やす、粒子の微粉、粗粉をカットする、シリカ微粒子を油相側に添加するなどの方法が有効である。
本発明の現像剤において、乾式トナーは、以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
本発明の現像剤におけるトナーの製造は、まずワックス及び顔料などからなる油相と樹脂微粒子、溶剤などからなる水相とをパイプラインホモミキサー内において乳化する。その後収斂、脱溶剤を経て遠心分離機やフィルタープレスを用いて粗分離が行なわれる。最後に洗浄を行ないその後乾燥して、本発明の現像剤に含まれるトナーの製造が完成する。
本発明に用いる水性相には、予め樹脂微粒子を添加することにより使用する。水性相に用いる水は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水性相で有機溶媒に溶解、又は分散させたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することにより得られる。水性相でポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水性相に有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、変性されていないポリエステル樹脂などは、水性相で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合後、有機溶媒に溶解、又は分散させた後、水性相にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水性相で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ポリエステルプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水性相の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
トナー組成物が分散された油性相を水性相に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやNーアルキルーN,Nージメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3一[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]ー1ーアルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3ー[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)一Nーエチルアミノ]ー1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、NープロピルーN一(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)ーNーエチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンSー111、S−112、Sー113(旭硝子社製)、フロラードFCー93、FCー95、FCー98、FCーl29(住友3M社製)、ユニダインDS一101、DSーl02、(タイキン工莱社製)、メガファックFーll0、Fーl20、F一113、Fー191、Fー812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF一102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6一C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンSーl21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDSー202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF一300(ネオス社製)などが挙げられる。
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、αーシアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β一ヒドロキシエチル、メタクリル酸β一ヒドロキシエチル、アクリル酸βーヒドロキシプロビル、メタクリル酸β一ヒドロキシプロピル、アクリル酸γーヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ一ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3ークロロー2一ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
また有機溶媒を除去する方法として、ロータリーエバポレータ等でエアーを吹き込み除去させることが可能である。
その後、遠心分離により粗分離を行い、洗浄タンクにて乳化分散体を洗浄、温風乾燥機にて乾燥の工程を繰り返し、最後にフッ素化合物Aを分散させた水系溶媒曹(界面活性剤を含んだ水も好ましい)中で、トナー表面にフッ素化合物Aを付着させた後、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合を行ったり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
本発明の現像剤において、トナーに用いるフッ素系化合物としては、フッ素原子を含む化合物であれば、有機、無機化合物いずれも使用可能で、フッ素原子を含むこと以外は特に限定されない。その中でも下記一般式の化合物がより好ましい。
(式中、Xは−SO2−又は−CO−、R5,R6,R7,R8は、H、炭素数1〜10のアルキル基及びアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mとnは正数である。Yは、I,BrCl等のハロゲン原子)
また、前記荷電制御剤としては前記一般式で示される含フッ素4級アンモニウム塩に含金属アゾ染料を併用することも好ましい。
前記一般式の化合物の代表的な具体例としては、以下のようなフッ素系化合物(1)〜(27)が挙げられ、すべて白色又は淡黄色を示している。またYはヨウ素がより好ましい。
上記の中でも特に、N.N.N.−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム=ヨージドが、帯電付与能力の点でより好ましい。また前記前記化合物及び、他のフッ素系化合物との混合物もより好ましい。叉本発明の効果は該フッ素系化合物の純度、PH、熱分解温度等該微粉末の特性に限定されるものではない。
フッ素化合物は、トナーに対し0.01〜5重量%の範囲で好ましくは0.01〜3重量%の範囲でトナーに表面処理を施すことができる。該フッ素系化合物による表面処理量が0.01重量%より小さい場合には、本発明の効果が十分に得られない。表面処理量が5重量%を越える場合には、現像剤の定着不良等を生じ好ましくない。
フッ素化合物をトナーに処理する方法として、無機微粒子添加前の母体トナーをフッ素化合物を分散させた水系溶媒(界面活性剤を含んだ水も好ましい)に分散させ、トナー表面にフッ素化合物を付着(又はイオン結合)させた後、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができるが、この方法に限定されない。この際アルコールを5〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%になるように混合するとフッ素系化合物の分散性がより向上し、トナー表面への付着状態が均一となり、トナー粒子間の帯電均一性等が向上しより好ましい。
また同時にトナー表面にも該フッ素系化合物を付着、或いは固定化せしめる周知の方法が使用でき、例えば機械的剪断力を利用したトナー表面への該フッ素系化合物の付着、固定化、混合と加熱処理の併用によるトナー表面への該フッ素化合物の固定化、或いは混合と機械的衝撃の併用によるトナー表面への固定化等。あるいはトナーと該微粉末間の共有結合、或いは水素結合、イオン結合等の化学結合による固定化等の化学的方法も挙げられる。
最後に無機微粒子等の外添剤(特にフッ素系化合物Bで処理された無機微粒子を含む)とトナーをヘンシェルミキサー等で混合し、超音波篩い等で粗大粒子を除去して、本発明の現像剤に含まれる最終的なトナーを得る。
本発明の現像剤において、トナーに添加する無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも本発明においてはシリカを用いることにより、適度な摩耗性があり、フィルミングに対して有利であると同時に帯電安定性の優れたトナーとして機能させることができ、より好ましい。
更に本発明においては、上記2種の無機微粒子の平均一次粒子径が異なっていることが望ましい。これらの添加剤は、現像プロセスにおける負荷によりトナー中に次第に埋没することが知られているが、2種の粒径が異なっている場合には、粒径の大きい方の無機微粒子がトナー表面と感光体やキャリア表面との接触の際にスペーサーの役割を果たし、粒径の小さい方の無機微粒子がトナー表面へ埋没することを防止する役割がある。従って、初期状態における添加剤のトナー表面被覆状態が長期にわたって維持され、本発明におけるフィルミング抑制効果をより持続することができる。
更に本発明においては、2種類の無機微粒子のうち、平均一次粒子径の小さい無機微粒子の添加量が、平均一次粒子径の大きい無機微粒子の添加量より多いことが望ましい。粒径の大きい方の添加剤量が少なく、粒径の小さい方の添加剤量が多いほど、経時でのトナー特性変化が小さくなる。これは粒径の大きいトナーから先に埋没が進行するためであると考えられる。
更に、本発明に用いる無機微粒子は、流動性付与の面から少なくとも1種は平均一次粒子径が0.03μm以下であることが好ましい。平均一次粒子径が0.03μm以下とすることで必要な流動性が得られトナー帯電が均一となり、トナー飛散や地汚れが良好となる。
また、もう一方の無機微粒子は、平均一次粒子径が0.2μm以下であることが好ましい。併用して用いる平均一次粒子径が0.03μm以下の無機微粒子によりある程度の流動性が得られるが、平均一次粒子径が0.2μm以下の無機微粒子を用いると、前述のようにさらに流動性が良好となりトナー帯電がさらに均一となる。
また本発明に用いる無機微粒子の少なくとも1種が有機系シラン化合物で処理された疎水性無機微粒子であることにより、環境安定性に優れ、かつ文字の中抜け等の画像欠陥の少ない高画質を達成でき、さらに好ましい。もちろん本発明に用いる無機微粒子2種の両方が疎水化処理されていても良い。
疎水化処理剤としては例えば、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチルトリクロルシラン、デシルトリクロルシラン、ノニルトリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)トリクロルシラン、ジペンチルジクロルシラン、ジヘキシルジクロルシラン、ジオクチルジクロルシラン、ジノニルジクロルシラン、ジデシルジクロルシラン、ジドデシルジクロルシラン、ジヘキサデシルジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)オクチルジクロルシラン、ジオクチルジクロルシラン、ジデセニルジクロルシラン、ジノネニルジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシルジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチルジクロルシラン、トリヘキシルクロルシラン、トリオクチルクロルシラン、トリデシルクロルシラン、ジオクチルメチルクロルシラン、オクチルジメチルクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)ジエチルクロルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等の有機系シラン化合物やジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル、その他シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤等が挙げられる。中でも有機系シラン化合物が好ましい。
これら疎水化処理剤を前記無機微粒子に処理することにより、本発明に用いる疎水性無機微粒子が作製される。
疎水化処理されたシリカ微粒子の商品名としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21(以上ヘキスト)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上日本アエロジル)、TS530、TS720(以上キャボット)がある。
また、具体的な表面処理された酸化チタン微粒子の商品名としては、アナターゼ型やルチル型の結晶性のものや無結晶性のものを使用することができ、T−805(日本アエロジル)やルチル型としてMT150AI、MT150AFM(以上テイカ)やSTT−30A(チタン工業)、STT−30A−FS(チタン工業)等がある。
尚、本発明に使用される無機微粒子の粒子径は、動的光散乱を利用する粒径分布測定装置、例えば(株)大塚電子製のDLS−700やコールターエレクトロニクス社製のコールターN4により測定可能である。しかし有機系シラン化合物処理後の粒子の二次凝集を解離することは困難であるため、走査型電子顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡により得られる写真より直接粒径を求めることが好ましい。この場合少なくとも100個以上の無機微粒子を観察しその長径の平均値を求める。
本発明の現像剤におけるトナーでは、ワックス成分としてカルナバワックスを用いることが極めて重要である。カルナバワックスはカルナバヤシの葉から得られる天然のワックスであるが、特に遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのものが結着樹脂中に均一分散が可能であるので好ましい。また、遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのカルナバワックスは揮発成分が少ないため感光体へのフィルミングや帯電付与部材へのスペントが少ないため特に好ましい。
本発明では、ワックスのトナー内部の含有量が重量換算において1%〜8%であることが好ましい。1%以下の場合、画質が悪化し光沢が低くなるのみならず、ホットオフセットが発生しやすいため好ましくない。また8%以上の場合、トナー表面のワックス量が増加するためトナーの流動性や帯電が悪化するという問題が出てくる。
本発明では、高画質化のためトナーの体積平均粒径は3〜8μmであり、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnの比Dv/Dnが1.00〜1.25であることが好ましい。粒径が3μm以下の場合、トナーの生産性が著しく悪化するばかりでなく、耐久性や流動性も悪化するため好ましくない。また8μm以上の場合、画質を改善する効果があまり期待できない。さらに、Dv/Dnが1.00〜1.25の範囲を外れた場合、粒径分布が幅広くなり画質が悪化する。
体積平均粒径、個数平均粒径及び4μm以下個数%の測定は、米国コールターエレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIに、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)に接続して用いた。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した。測定方法としては、前記電解液50〜100ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行ない、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて個数を基準として2〜40μmの粒子の30000個の粒度分布を測定し、2〜40μmの粒子の体積分布と個数分布を算出し、体積分布から求めた重量基準の体積平均粒径を求めた。
本発明では、高画質化のために体積平均粒径1μm以下のトナーが5%以下となることが好ましい。体積平均粒径1μm以下の超微粉が5%以上となる場合、感光体の地汚れの原因、機械内におけるトナー飛散の原因となり好ましくない。
超微粉トナーの計測にはフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)を用いている。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置により超微粉を測定する。
本発明によれば、上記トナーとキャリアを含んだ二成分現像剤が提供される。キャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂等で処理したもの等が挙げられる。
本発明の現像剤におけるキャリアにコーティングし得る樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低く、90重量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなる。
また、本発明の現像剤におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電剤、荷電制御剤等を含有してもよい。
本発明の現像剤におけるトナーは、特定の形状を持たせるとより有効であり、トナーの形状がキャリアとの接触による帯電や、現像ロールとトナー層規制部材や供給ローラーとの間に挟まれるトナーの帯電性や均一薄層性をほぼ決定する。球形からあまりに離れた不定形の形状では、トナーの薄層が薄すぎ、十分な現像量が得られない。また、より鮮明で色再現性が良く高画質な画像を提供するためにはトナーが均一な球形であることが望ましい。従って本発明において、特に適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのにはトナーが特定の形状を有することが好ましく、本発明の場合、その円形度は0.92以上に規定することが好ましい。
なお、形状の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である円形度が0.92から0.99の範囲のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが判明した。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状を測定する。
また、本発明の画像形成装置を説明する。感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤で現像し、さらに感光体上に形成されたトナー画像を画像支持体上に転写し、次いで、トナー画像を加熱部材を内包した加熱ローラーと、対向配設された加圧ローラーとからなる定着装置により定着し、加圧ローラーをクリーニングする部材を有する画像形成装置がある。上述した現像剤をこの画像形成装置に適用することによって、クリーニングローラーに回収されたトナーが再び溶け出さないようにすることができる。これにより、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なう画像形成装置を提供することができる。
さらに、本発明はまた、感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジの現像手段に、上述した現像剤を用いることできる。これによって、前述の画像形成装置と同様の効果として、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができるプロセスカートリッジを提供することができる。
さらに本発明の画像形成方法を説明する。発熱体を具備する加熱体と、この加熱体と接触するフィルムと、かかるフィルムを介して加熱体と圧接する加圧部材とを有し、フィルムと加圧部材の間に未定着画像を形成させた被記録材を通過させて加熱定着する定着装置を使用する画像形成方法がある。上述した現像剤は、この画像形成方法に適用することが可能であり、この定着装置のトナー像の形成に用いる現像剤が、上述した現像剤である画像形成方法を提供することができる。これによって、地汚れ、トナーのチリや飛散によって、画像を汚す事を防ぐことができる画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例にて挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
(2成分現像剤評価)
2成分系現像剤で画像評価する場合は、以下のように、シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリアを用い、キャリア100重量部に対し各色トナー7重量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作成した。
(キャリアの製造)
・芯材
Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm) 5000部
・コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し上記キャリアを得た。
(画像評価)
・トナー飛散
温度35℃、湿度95%の環境において、Ricoh製IPSiO Color8100をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施後の複写機内のトナー汚染状態を目視にて評価した。◎は、トナー汚れがまったく観察されなず良好状態、○は、わずかに汚れが観察される程度で問題とならない、△は少し汚れが観察される程度、×は許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
・粒状性
Ricoh製IPSiO Color8100をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用い、単色で写真画像の出力を行い、粒状性、鮮鋭性の度合を目視にて評価した。良好なものから◎、○、△、×で評価した。◎はオフセット印刷並、○はオフセット印刷よりわずかに悪い程度、△はオフセット印刷よりかなり悪い程度、×は従来の電子写真画像程度で非常に悪い。
・地汚れ
温度35℃、湿度95%の環境において、Ricoh製IPSiO Color8100をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施後のΔIDを用いて評価した。◎はΔIDが0.01未満、○ならΔIDが0.01〜0.02、△ならΔIDが0.02〜0.05、×ならΔIDが0.05以上である。
・フィルミング
温度35℃、湿度95%の環境において、Ricoh製IPSiO Color8100をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施した際に途中でフィルミングが現れた場合を×、現れなかった場合を○とした。
・帯電安定性
Ricoh製IPSiO Color8100をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。現像剤1gを計量し、ブローオフ法により帯電量変化を求めた。帯電量の変化が5μc/g以下の場合は○、10μc/g以下の場合は△、10μc/gを超える場合は×とした。
(トナーの製造)
<有機微粒子エマルションの合成>
製造例1
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、メタクリル酸166部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、110nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
<水相の調整>
製造例2
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON-7):三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
<低分子ポリエステルの合成>
製造例3
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1〕は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
<中間体ポリエステルの合成>
製造例4
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、Tg54℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
<ケチミンの合成>
製造例5
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417であった。
<マスターバッチ(MB)の合成>
製造例6
水1200部、カーボンブラック(Printex35 デクサ製)540部〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
<油相の作成>
製造例7
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
<乳化から脱溶剤>
製造例8
[顔料・WAX分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで25分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄から乾燥>
製造例9
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(a):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(b):(a)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(c):(b)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(d):(c)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い[トナー母体粒子1]を得た。
その後、[トナー母体粒子1]100部、[無機微粒子A1] 1部をヘンシェルミキサーにて混合してトナーを得た。得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。
(実施例1)
シリカ微粒子を油相側に添加し、フッ素含有化合物で表面処理を行ない、カルナバワックスを用いて重合法によって作製したトナー母粒子を遠心分離によって微粉、粗粉をカットし、シリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(実施例2)
シリカ微粒子を油相側に添加し、フッ素含有化合物の表面処理量を実施例1の半分にして表面処理を行ない、カルナバワックスを用いて重合法によって作製したトナー母粒子を遠心分離によって微粉、粗粉をカットし、シリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(比較例1)
シリカ微粒子を油相側に添加し、フッ素含有化合物で表面処理を行なわずに、カルナバワックスを用いて重合法によって作製したトナー母粒子を遠心分離によって微粉、粗粉をカットし、シリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(実施例3)
実施例1のトナー母粒子を微粉、粗粉カットを行なわずにシリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(比較例2)
実施例1のトナー母粒子をそのまま電子写真用現像剤として使用した。
(実施例4)
実施例1のトナー母粒子にチタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(実施例5)
実施例1のトナー母粒子を分級処理によって体積平均粒径9μmとし、その後遠心分離によって微粉、粗粉をカットし、シリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(実施例6)
実施例1のトナー母粒子をカルナバワックスの変わりにエステル系ワックスを用い、以下実施例1と同様の方法で電子写真用現像剤として使用した。
(実施例7)
実施例1のトナー母粒子を重合法ではなく粉砕法で作製し、以下実施例1と同様の方法で電子写真用現像剤として使用した。
(実施例8)
実施例1のトナー母粒子をワックス量を10%にして作製し、以下実施例1と同様の方法で電子写真用現像剤として使用した。
(実施例9)
シリカ微粒子を油相側に添加せずに、フッ素含有化合物で表面処理を行ない、カルナバワックスを用いて重合法によって作製したトナー母粒子を遠心分離によって微粉、粗粉をカットし、シリカ微粒子をそのシリカ添加量がトナー量の1.5重量%、チタン微粒子をそのチタン添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって撹拌混合処理して電子写真用現像剤として使用した。
(比較例3)
実施例7のトナー母粒子をそのまま電子写真用現像剤として使用した。
以上詳述したように、本発明は、2成分現像において、地肌汚れの問題やトナー飛散の問題がなく、安定した現像を行なうトナーを含む現像剤、画像形成装置及び画像形成方法を提供できる。さらに、本発明は、トナーの帯電能力が十分高く、帯電立ち上がり性も良好で、かつ数万枚画像を出力してもキャリア等へのトナースペントが少なく、高い帯電性、流動性を維持でき、かつ十分な画像濃度の画質が得られる現像剤を提供でき、また、クリーニング性を維持しつつ、低温定着システムに対応し、耐オフセット性が良好で、定着装置及び画像を汚染することのない現像剤を提供でき、さらに、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができる現像剤を提供できる。