JP2006023175A - 顕微鏡撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 被検査物20を保持するステージ30と、被検査物20を照明する照明手段40と、被検査物20の画像を撮影する撮像手段60と、ステージ30と撮像手段60とを相対的に移動させる移動手段31と、被検査物20の情報を被検査物変数として入力する被検査物変数入力手段67と、入力された被検査物変数に基づきステージ30および撮像手段60の相対移動時間を計算する計算手段68と、を備え、撮像手段60が、タイム・ディレイ・インテグレーション方式と、二次元撮像方式と、の両方式での撮像が可能な撮像素子63を備え、計算手段68の計算結果に基づいて、撮像素子63の撮像方式を切り替える切替手段を有する顕微鏡撮像装置を提供する。
【選択図】 図3
Description
また、他の上記蛍光の撮像方法として、TDI(タイム・ディレイ・インテグレーション)方式の撮像素子を利用した方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このTDI方式で使用する撮像素子は、複数の光電素子で構成されている。この光電素子に、試料からの蛍光を入射させる。光電素子では、光電変換によって上記蛍光に対応した電荷が発生する。ここで、この電荷は、マイクロプレートの移動に応じて光電素子間で転送される。電荷の移動とマイクロプレートの移動が対応しているので、移動後の光電素子に、試料の同じ場所からの蛍光が、再び入射する。この結果、電荷が加算されることになる。このように、TDI方式では、順次電荷が累積されることになる
つまり、CCD撮像素子を用いた方法では、ウェルの数が増える(ウェルの密度が高くなる)と、測定に時間がかかるという問題があった。
請求項1に係る発明は、被検査物を保持するステージと、前記被検査物を照明する照明手段と、前記被検査物の画像を撮影する撮像手段と、前記ステージと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、前記被検査物の情報を被検査物変数として入力する被検査物変数入力手段と、入力された被検査物変数に基づき前記ステージおよび前記撮像手段の相対移動時間を計算する計算手段と、を備え、前記撮像手段が、前記被検査物に対応した蓄積電荷を発生させるとともに、前記ステージと撮像手段との相対移動に対応して前記蓄積電荷を転送し、順次前記蓄積電荷を加算して累積するタイム・ディレイ・インテグレーション方式と、前記被検査物に対応した前記蓄積電荷を一度の露出により発生させる二次元撮像方式と、の両方式での撮像が可能な撮像素子を備え、該計算手段の計算結果に基づいて、前記撮像素子の撮像方式を切り替える切替手段を有する顕微鏡撮像装置を提供する。
例えば、TDI方式および二次元撮像方式のうち、切り替え手段が上記走査時間のより短い方式を選択することにより、撮影方式を選択しない場合と比較して、被検査物の測定時における走査をより高速化することができる。
本発明によれば、上記走査時間の計算に被検査物の撮影に用いる測定波長数(光の波長の数)が用いられるため、撮像手段が測定波長数に応じてTDI方式と二次元撮像方式とを使い分けることができる。
そのため、測定波長数に応じて、TDI方式と二次元撮像方式との選択を自動で適切に行うことができるため、走査の高速化が容易となる。
本発明によれば、上記走査時間の計算に被検査物の撮影時における露出時間が用いられるため、撮像手段が露出時間に応じてTDI方式と二次元撮像方式とを使い分けることができる。
そのため、露出時間に応じてTDI方式と二次元撮像方式との選択を自動で適切に行うことができるため、走査の高速化が容易となる。
本発明によれば、上記走査時間の計算に上記被検査物の密度(配置密度)が用いられるため、撮像手段が上記被検査物の密度に応じてTDI方式と二次元撮像方式とを使い分けることができる。
そのため、上記被検査物の密度に応じてTDI方式と二次元撮像方式との選択を自動で適切に行うことができるため、走査の高速化が容易となる。
本発明によれば、プレスキャンにより上記密度の情報を取得することができるため、ユーザーが上記密度の情報を入力する必要がない。さらに、例えば上記密度の情報の入力ミスに起因する被検査物の測定ミスを防止することができる。
また、プレスキャンを自動的に行うことで、上記密度に応じたTDI方式と二次元撮像方式との選択を自動で適切に行うことができるため、走査の高速化が容易となる。
本発明によれば、多数の生体試料を標本とする場合であっても、一回の測定範囲を測定する時間が短縮できるので、測定範囲の部分によって生体試料の動きが時間的に大きくずれることはなく、生体試料の経時的な観察における観察結果の正確性を向上させることができる。
そのため、方式を選択しない場合と比較して、被検査物の測定時における走査をより高速化でき、測定に要する時間を短縮できるという効果を奏する。
本発明の生体試料観察システムによれば、一回の測定範囲を測定する時間が短縮できるので、測定範囲の部分によって生体試料の動きが時間的に大きくずれることはなく、生体試料の経時的な観察における観察結果の正確性を向上させることができるという効果を奏することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態における顕微鏡撮像装置について、図1から図11を参照して説明する。
まず、TDI方式による撮像動作について図1を用いて説明する。
図1(a)、(b)、(c)は、TDI方式の撮像動作を説明する図である。図2(a)、(b)、(c)は、TDI方式の信号電荷の転送を説明する図である。
ここでは、説明の容易化のため、星型状の試料を用いている。しかしながら、試料の形状は、特にこの形状に限定されるものではない。
このとき、図2(b)に示すように、ステージ30の移動と同時に、水平ラインLAに蓄積された信号電荷は、水平ラインLBに転送される。そして、試料20の像が、撮像素子63の水平ラインLAと水平ラインLBとによって撮影される。
したがって、水平ラインLBには、前回時に得た信号電荷と今回の撮影時に得た信号電荷が加算されることになる。つまり、水平ラインLBには、前回及び今回の撮影で得られた信号電荷が累積される。
このように、図2(a)に示す状態から、図2(b)に示す状態のように電荷転送が行われる。この電荷が転送される時間間隔のことを、TDIライン転送レートと呼ぶことにする。
このとき、図2(c)に示すように、ステージ30の移動と同時に、水平ラインLBに蓄積された信号電荷が、水平ラインLCに転送される。また、水平ラインLAに蓄積された信号電荷が、水平ラインLBに転送される。そして、試料20の像が、水平ラインLA、水平ラインLB、水平ラインLCによって撮影される。
したがって、水平ラインLCには、今回の撮影時に得られた信号電荷が、加算されることになる。よって、水平ラインLCには、前々回、前回及び今回の撮影で得られた信号電荷が、蓄積される。つまり、水平ラインLBには、前回及び今回の撮影時に得られた信号電荷が蓄積される。
TDI方式における露出時間は、試料20から戻ってきた信号光が、信号電荷として蓄積される時間である。つまり、TDI方式における露出時間は、TDIライン転送レートと累積画素数の積として表すことができる。したがって、露出時間を変更するには、TDIライン転送レートを早くして露出時間を長くするか、ライン転送レートを遅くして露出時間を短くすればよい。
例えば、撮像素子63としてY軸方向に1000画素あるCCDカメラを用いたとする。この場合、露出時間0.2(s)で撮影するには、下記に示す計算により、転送レートを5kHz(0.2ms)にすればよい。
0.2(s)/1000=0.2(ms)
ステージ30の移動は、信号電荷の転送と同期させて行われている。したがって、ステージ30移動速度は、ステージ30上における画素サイズを、TDIライン転送レートで割った値で表すことができる。ここで、ステージ30上における画素サイズは、撮像素子63(例えばCCD)の画素サイズと投影倍率から求めることができる。
例えば、投影倍率10倍、撮像素子63の画素サイズを6.45(μm)、TDIライン転送レートを5kHzとする。このときのステージ速度は、下記に示す計算式により、3.23(mm/s)になる。
6.45×10−3(mm)/10×5×103(Hz)=3.23(mm/s)
図3は、本発明における顕微鏡撮像装置の全体構成を示す図である。
顕微鏡撮像装置10は、図3に示すように、ステージ30と、照明装置(照明手段)40と撮像装置(撮像手段)60と、から概略構成されている。ステージ30は、試料(被検査物)20を保持するとともに、移動可能になっている。照明装置40は、試料20に照明を照射する。撮像装置60は、照明の照射領域から発生する信号光を撮影・測定する。
レンズ45後方のレンズ45の焦点面には、開口絞り46が配置されている。この開口絞り45は、開口の直径を変化させることが可能となっている。これにより、対物レンズ49の射出瞳位置における光束径の大きさを調整する。開口絞り46の後方には、ミラー47が配置されている。このミラー47としては、ランプ41からの光は反射し、試料20からの戻り光(蛍光)を透過する、ダイクロイックミラーが用いられている。なお、ダイクロイックミラーの代わりに、ハーフミラーを用いても良い。また、ミラー47の角度を制御するミラー駆動機構48が配置されている。
ミラー47の後方には、対物レンズ49が配置されている。そして、対物レンズ49と対向する位置に、ステージ30が配置されている。
検出器62の出力は、検出器62から信号の出力を処理する画像処理ユニット64に接続されている。画像処理ユニット64には、処理された信号を表示するモニタ65が接続している。また画像処理ユニット64は、コンピュータ66に接続している。なお、コンピュータ66には、ミラー駆動機構48およびステージ駆動機構31も接続されている。
計算部68は、TDI方式および二次元撮像方式におけるステージ30の走査時間を計算している。そして、各方式における走査時間の長短を比較し、走査時間のより短い方式を選択している。
図4(a)は、試料20の形状を説明する図である。図4(b)は、試料20の標本配置部22を示す拡大図である。
試料20は、図4(a)に示すように、透明基板21を有する。この透明基板21は、例えばガラス板やプラスチック板などの材料で形成されている。そして、測定基板21には、標本配置部22がマトリクス状に形成されている。すなわち、複数の標本配置部22により、二次元パターン部23が形成されている。
標本配置部22は、平面視においては直径が略数mmの略円形状、断面視においては凹形状に形成されている。そして、標本配置部22内には、図4(b)に示すように、測定対象である細胞が配置されている。また、細胞は、標本配置部22内において培養される。
図5(a)は、試料に係るパラメータを説明する図である。図5(b)は、撮像素子に係るパラメータを説明する図である。
測定基板21は、図5(a)に示すように、矩形の外形を有している。ここで、そのX軸方向長さをA(mm)、Y軸方向長さをB(mm)とする。また、標本配置部22は、X軸方向にC個、Y軸方向にD個、配置されているとする。よって、標本配置部22の総数は、C×D個となる。
また、各標本配置部22における露出時間をE(s)、測定波長数をFとする。例えば、2つの異なった蛍光色素(蛍光波長)の観察を行う場合は、測定波長数Fの値は2となる。
図6は、TDI方式における走査を説明する図である。なお、本実施形態においてはステージ30を動かして走査させている。しかしながら、図6においては、図示の容易化のため、撮像素子63を動かす形態で説明している。
ここでは、Y軸方向にステージ30を走査させると、ステージ30は−Y軸方向に等速に動く。一方、撮像素子63は、一方向のみに電荷転送が可能である。そのため、図6に示すように、ステージ30が−Y軸方向に進んでいるときのみ測定を行う。なお、+Y軸方向にステージ30が進んでいるときは測定をしない。+Y軸方向への移動は、ステージが初期位置に戻るための移動になる。初期位置に戻るまでの時間帯は、例えば取得したデータを、コンピュータ66のハードディスクに記録する時間に当てる。
また、複数の波長の蛍光を測定するときは、一回のスキャンで観察できるのは、1波長のみである。そのため、波長の種類の数だけ、ステージの往復が必要となる。例えば、2つの波長の蛍光を測定する際は、1ラインの撮影を行うのに、2回ステージ30を往復させる。
TDIのライン転送の転送レートと転送方向の撮像素子63の画素数との積が、露出時間になる。よって、転送レート(Tshift)は、
Tshift=E/I(秒)
と表される。
ステージスピード(Vstage)は、被検査面上での画素サイズを転送レートで割ればよい。よって、ステージスピードは、
Vstage=(G/(J1×J2))/Tshift(mm/秒)
と表される。
測定基板21の片道の走査にかかる時間(Tsingle)は、
Tsingle=B/Vstage(秒)
と表される。
また、ステージ30の戻りには、検出は行わないが、ステージ30の片道と同じ時間がかかると仮定する。この場合、ステージ30が1往復するのにかかる時間(Tdouble)は、
Tdouble=2×Tsingle(秒)
と表される。
また、複数の波長の蛍光を測定する際は、測定する波長の数だけステージを往復させる。よって、1ライン取り終わるのにかかる時間(Tline)は、
Tline=F×Tdouble(秒)
と表される。
スキャン回数(N)は、測定基板21のX方向の大きさを、被検査物面上における撮像素子63のX軸方向の大きさで割ればよい。よって、スキャン回数は、
N=[A/(H×G/J)]+1(回)
ただし、[ ]はガウス記号である。例えば、[2.34]=2のように、ある値を超えない最大の整数値を表す。
と表される。
よって、TDI方式での走査時間(Ttdi)は、
Ttdi=C×Tline(秒)
となる。
電子シャッタは、CCDを使ったデジタルカメラやカメラ付き携帯電話に用いられているシャッタである。この電子シャッタは、光に晒されていてもCCDが動作をしていなければ、電荷を蓄積しないという現象を利用している。そのため、CCDの働き自体が一種のシャッタとなっている。
一方、塩銀カメラで用いられているメカニカルシャッタは、レンズとフィルムとの間に光を遮る板を置いて、その板の開閉(移動)によって露光を行っている。よって、電子シャッタは、メカニカルシャッタとは異なる。このように、電子シャッタでは、メカニカルシャッタを用いることなく、露出時間の制御を行っている。
例えば、図7に示すように、TDI方式における最速転送レートをt1秒とすると、t1秒ごとに電荷を隣の水平ラインに転送している。なお、転送のタイミングは図中の矢印で示してある。
また、電子シャッタは各電荷転送タイミングからt2秒間だけOpenになり、電荷の蓄積を行っている。つまり、CCDの電荷蓄積は、1電荷転送タイミングあたり、t2秒となる。一方、電子シャッタを用いない場合の露出時間はt1である。よって、電子シャッタを用いた時の露出時間は、電子シャッタを用いないときのt2/t1倍になる。
例えば、撮像素子63aが、Y軸方向の画素数が1000画素で、最速転送レート(t1)が10kHz(0.1ms)の撮像素子だとする。この撮像素子63aを用いて、露出時間1msで撮影するには、以下の計算により、電子シャッタOPEN時間(t2)を0.001msにすればよいことになる。
1000×0.1(ms)×(t2/0.1)=1(ms)
t2=0.001(ms)
電子シャッタを使わないと、最短露出時間は、TDIの最速転送レートと積算画素数の積で決まる。これに対して、上記のように電子シャッタを使うことによって、測定可能な露出時間のレンジを広げることができる。したがって、高輝度の試料20も正確に測定することができる。
なお、試料20の走査時間を求める際は、TDIの最速転送レート(t1)がTshiftになる。
図8は、二次元撮像方式における走査を説明する図である。図8においては、図示の容易化のため、撮像素子63を動かす形態で説明している。
二次元撮像方式で試料20を測定する場合は、図8に示すように、ステージ30を動かして測定を行う。このステージ30の移動により、観察領域内に、標本配置部22を次々に移動させている。
ステージ30は、図9に示すように、加速及び減速を繰り返しながら駆動されている。これにより、標本配置部22の移動を行っている。ステージ30は、T1〜T2の間で加速され、T2〜T3で等速移動し、T3〜T4で減速され、T4〜T5でステージ30を停止させる。
そして、ステージ30が停止しているT4〜T5の間で、標本配置部22の測定が行われる。
なお、二次元撮像方式では、TDI方式のときと違い、撮像素子63の電荷転送を行わない。そのため、二次元撮像方式では、ステージ30の移動方向に関わらず撮影できる。
ここでは、標本配置部22間の移動時間をK(s)とする。また、複数の波長の測定をするときは、顕微鏡のダイクロイックミラーの切り替えを行う。そのため、ダイクロイックミラーの切り替えにかかる時間をL(s)とする。通常の顕微鏡では、ダイクロイックミラーはターレットに保持されている。そして、ターレットを、モータなどの駆動機構により回転させている。よって、電動式で、ダイクロイックミラーの変更が行われる。
Tmeasure=F×E+(F−1)×L(s)
と表される。
標本配置部22間の移動期間を加味すると、標本配置部22と標本配置部22との測定間隔Twellは、
Twell=Tmeasure+K(s)
と表される。
また、標本配置部22は全部でC×D個あることより、二次元撮像方法での走査時間(T2D)は、
T2D=C×D×Twell(s)
となる。
表1は、見積もりに用いたパラメータの値を示している。なお、表1中のパラメータC、D、E、Fの値は表2で示している。表2は、パラメータC、D、E、Fに対応した測定時間の見積もり結果を示している。表3および表4は、各項目における見積もりの途中結果を示している。
図10に示すように、標本配置部22の密度にばらつきがある場合には、2つの撮像方式を用いる。すなわち、図11に示すように、標本配置部22の密度が高い領域(図10および図11において左側の領域)はTDI方式で測定し、密度が低い領域(図10および図11において右側の領域)は二次元撮像方式で測定する。このように、標本配置部22の分布に応じてTDI方式と、二次元撮像方式とを切り替えることにより、測定時における走査速度の速い方式を選択することができる。その結果、測定時間を短縮することができる。
プレスキャンを行うとき、対物レンズ49を低倍率にするのが良い。このようにすることによって、顕微鏡の視野範囲が広がるため、プレスキャンを短時間に完了することが可能になる。また、ユーザーの事前入力が必要なくなる。
さらに、標本配置部22の密度が、図10に示すようにばらついている場合、撮像方式の切替情報をユーザーが入力するのでは非常に手間がかかる。これに対して、プレスキャンによれば切替を自動化できるため、手間がかからない。
次に、本発明の第2の実施の形態について図12から図25を参照して説明する。第4の実施の形態は、上述の第1の実施の形態に係る顕微鏡撮像装置を適用した生体試料観察システムである。
図12は、本実施の形態に係る生体試料観察システムの概略を示す斜視図である。図13は、同じく生体試料観察システムのシステム構成を示す概略図である。
保温箱421には、保温箱421内を所定の温度に保温するヒータ421Hと、後述するインキュベータボックス500を保持するステージ422と、細胞CEに光を照射する透過光源(照明手段)423と、保温箱421内の温度を均一にするファン424と、保温箱421内を殺菌するUVランプ425と、後述する培養液循環配管477や培養ガス供給配管497などを保護するキャリア426と、インキュベータボックス500などを保温箱421から出し入れする際に用いる開閉扉427と、検出ユニット420の主電源をON・OFFする主電源スイッチ428が備えられている。
ステージ走査部429は、X軸動作ステージ422XのX軸座標値を検出するX軸座標検出部430と、X軸動作ステージ422Xの動作(走査)を制御するX軸走査制御部431と、Y軸動作ステージ422YのY軸座標値を検出するY軸座標検出部432と、Y軸動作ステージ422Yの動作(走査)を制御するY軸走査制御部433と、から構成されている。
X軸座標検出部430およびY軸座標検出部432は、それぞれ検出したX軸動作ステージ422XのX座標と、Y軸動作ステージ422YのY座標と、をコンピュータPCに出力するように配置されている。X軸走査制御部431およびY軸走査制御部433は、それぞれコンピュータPCからの指示に基づきX軸動作ステージ422Xの走査と、Y軸動作ステージ422Yの走査とを制御するように配置されている。
コンピュータPCは、上述のように、X軸動作ステージ422X、Y軸動作ステージ422Yの走査と、を制御するとともに、後述するように、細胞CEの検出系の制御、撮像した細胞CEの画像の解析なども行い、X軸動作ステージ422X、Y軸動作ステージ422Yと検出系と解析系とを連動して制御している。
なお、コンデンサレンズ434とインキュベータボックス500との間には、シャッタ435を設けなくても良いし、シャッタ435を設けても良い。
ファン424は保温箱421の壁面に配置されている。このファン424を動作させることにより、保温箱421内の空気を対流させ、保温箱421内の温度を均一かつ一定に保ちやすくすることができる。
例えば、細胞CEの非測定時にUVランプスイッチ436が押されると、タイマ437のカウントが開始されるとともに、UVランプ425に電力が供給され、UV光(紫外線光)が保温箱421内に照射される。これと同時に滅菌中表示ランプも点灯する。そして、所定の時間(例えば30分)が経過して、タイマ437のカウントが終了すると、タイマ437はUVランプ425への電力供給を停止し、UV光の照射が終了される。また、滅菌中表示ランプも消灯される。
なお、UVランプ425は、主電源スイッチ428とは別個に制御されており、主電源がOFFされていても動作することができる。
なお、UVランプ425の点灯時間は、上述した30分でも良いし、保温箱421内の雑菌類などを死滅させることができる時間であれば、30分未満でも良いし、30分よりも長くても良い。
開閉扉427の構造としては、中空の二重構造としたものや、さらには、内側が上記金属とされ外側が樹脂とされるものが考えられる。開閉扉427の外側に樹脂を用いることにより、開閉扉427から保温箱421内の熱が外部に逃げることを防止することができる。また、開閉扉427の内側をアルマイト処理された金属とすることにより、UVランプ425により開閉扉427の寿命が損なわれることを防止することができる。
なお、開閉扉427が金属または金属と樹脂との二重構造とされたときには、完全に遮光されるため、インキュベータボックス500を覗く位置に覗き窓を設けることが望ましい。覗き窓には透明樹脂またはガラスがはめ込まれ、外側には、開閉可能なカバーが配置されていることが望ましい。
また、通常は1つの落射光源、例えば落射光源441Aを用いるが、落射光源441Aの光量が所定の規定値以下に減少した場合には、落射光源441Bから照明光が照射され、落射光源441Aの電源はOFFされる。
光路切替部442の照明光射出側にはシャッタ442Sが配置され、照明光の透過・遮断制御を行っている。
また、光量調整機構443には、後述のコンピュータPCに接続され、コンピュータPCの指示に基づき光量調整機構443を制御する光量制御部455が配置されている。
光量調整機構443の照明光射出側にはレンズ系444が配置されている。レンズ系444は、一対のレンズ444A、444Bと、レンズ444Aおよびレンズ444Bの間に配置された絞り444Cと、から構成されている。
フィルタユニット445には、後述するコンピュータPCの指示に基づき、フィルタユニット445から射出される励起光や検出光(蛍光)の波長を制御するフィルタ制御部446Cが配置されている。
なお、励起フィルタ456、ダイクロイックミラー457、吸収フィルタ458は1枚ずつ用いられてもよいし、複数枚用いられてもよい。
レボルバ447は、AFユニット446の励起光射出光側に配置されていて、倍率の異なる複数の対物レンズ448が配置されている。レボルバ447には、後述するコンピュータPCの指示に基づき、励起光が入射される対物レンズ448を選択・制御する対物レンズ制御部459が配置されている。
X軸動作ステージ422X、Y軸動作ステージ422Yには、ステージが動作する範囲を見込んで孔の大きさは多少余裕を見込んである。
そのため、保温箱421内において雰囲気を細胞の培養に適した湿度に保っていても、前記孔を通じて雰囲気が検出部440に対して抜けてしまい、細胞の培養に適した温度を維持できなくなり、細胞の活性低下を引き起こす可能性がある。
そこで、このような細胞培養に適した温度の雰囲気が保温箱421と検出部440との間で導通することを抑制する抑制手段499を設けてもよい。
その抑制手段499は、レボルバ447や対物レンズ448の動きを妨害しないように空気の流れを抑制できればよく、例えばフィルムや透明シートなど柔軟な材料からなるシートを保温箱421と検出部440との境目に設けられた孔の周囲に貼り付け、レボルバの周囲に垂らした状態で取り付ける幕状のものが考えられる。
集光レンズ460の検出光射出側には、検出光の一部を検出器449に向けて反射し、残りの検出光を光量モニタ450に向けて透過するハーフミラー461が配置されている。
検出器449は、ハーフミラー461から反射された検出光が入射される位置に配置されている。また、検出器449には、検出器449からの検出信号を演算して後述するコンピュータPCに出力する検出器演算部462が接続されている。
なお、検出器449はラインセンサを用いても良いし、エリアセンサを用いても良いし、ラインセンサとエリアセンサとを共用してもよく、特に限定するものではない。
光量モニタ450は、ハーフミラー461を透過した検出光を測定し、測定した値をコンピュータPCに出力するように配置されている。
なお、上述のように、光量モニタ450を用いて検出光の光量を測定しても良いし、照度計やパワーメータなどを用いて検出光の光量を測定しても良い。
冷却ファン452は、検出部440内に配置された温度センサ(図示せず)の出力に基づき、検出部440内の温度を下げるように駆動される。そのため、例えばモータなどの発熱による異常な検出部440内の温度上昇を防止することができる。
インキュベータボックス500は、図14および図15に示すように、チャンバ(被検査物)510と格納する筐体501と、筐体501とともに密閉空間を形成するカバー502とから概略構成されている。筐体501およびカバー502には、外界からの磁場を遮断する防磁処理や、インキュベータボックス500に発生した静電気を除去する静電除去処理が施されている。
また、底板503には、チャンバ510を保持するためのアダプタ505と、チャンバ510の温度を測定する温度センサ506と、が配置されている。なお、上述のようにアダプタ505を用いてチャンバ510を保持しても良いし、アダプタ505を用いないでチャンバ510を保持しても良い。
温度センサ506の出力は、インキュベータ温度検知部506Sを介してコンピュータPCに入力されるとともに、検出ユニット420の壁面に配置された温度表示部507にも入力されている。コンピュータPCは、図13に示すインキュベータ温度制御部506Cを介してヒータ421Hなどを制御して、インキュベータボックス500内の温度が一定に保たれるように制御するようになっている。
なお、ガラス板517の面積は、インキュベータボックス500の底板503と略同じ面積であっても良いし、測定を問題なく行うために必要最小限の面積であっても良い。
枠部材513の対向する辺には、培養液を循環させる流路が形成された継ぎ手514が形成されている。継ぎ手514には、後述する培養液循環配管477が接続され、培養ユニット470との間で培養液が循環されるようになっている。
また、枠部材513には、培養液の流れを均一化する整流子515が一対、培養液の流れに対して略垂直に配置されている。整流子515は、例えば小孔がマトリクス状に形成された板部材からなり、培養液が分散して複数形成された小孔を流れることにより、その流れを均一化している。そして、両整流子515の間には、細胞CEが播種されたスライドガラス516が配置されている。
この構成の場合には、図16(a)に示すように、インキュベータボックス500aの筐体501には、マイクロプレート520を口の字状に囲む水槽521と、水槽521の内側に配置された内部ファン522と、培養ガスを供給するコネクタ523と、培養ガス中の二酸化炭素ガス濃度を検出する培養ガス濃度センサ524とが配置されている。
温度センサ506は、マイクロプレート520の温度を測定するように配置されている。温度センサ506からコンピュータPCに入力されたマイクロプレート温度は、メモリにテキストデータとして蓄積されるとともに、コンピュータPCにおいてデータ処理が可能とされる。
培養ガス濃度センサ524は、コンピュータPCおよび培養ガス濃度表示部524Dに二酸化炭素ガス濃度を出力している。
内部ファン522は、その送風方向にマイクロプレート520が配置されないよう、水槽521の側壁521Wに沿って送風するように配置されている。
なお、培養ガス濃度センサ524は、水槽521の側壁521W内面に配置されていても良いし、インキュベータボックス500aから配管を外部へ配置し、吸引ポンプによりインキュベータボックス500a内の培養ガスを吸引して培養ガス濃度センサ524でその濃度を検出しても良い。
また、検出部440と直接接触しないインキュベータボックス500aにおいて湿度および培養ガス濃度を維持しているため、観察の際におけるコンタミネーションを防止することができる。
さらに、保温箱421内は細胞CEの培養に適した湿度および培養ガス濃度に維持する必要がないため、保温箱421内に配置される対物レンズ448などが、湿度により機能を損なうことを防止することができる。また、対物レンズ448などの寿命が短縮することも防止することができる。
また、開放型チャンバを用いる場合には、上述したインキュベータボックス500を用いて、インキュベータボックス500a内を培養ガスで満たし、開放型チャンバには、培養液を供給している。
なお、コネクタ523は上述のように塞いでもよいし、培養ガス供給配管497を接続したまま、インキュベータボックス500aへの培養ガスの供給を止めるだけでも良い。
滅菌箱471には、滅菌箱471内を所定の温度に保温するヒータ471Hと、培養液を内部に蓄える培養液瓶472と、予備の培養液を内部に蓄える予備タンク473と、使用済みの培養液を入れる廃液タンク474と、滅菌箱471内を殺菌するUVランプ425と、培養液瓶472などを滅菌箱471から出し入れする際に用いる開閉扉475と、培養ユニット470の主電源をON・OFFする主電源スイッチ476が備えられている。
また、培養液循環配管477には、培養液を培養液瓶472からインキュベータボックス500に送り出し、培養液を循環させる培養液ポンプ480が配置されている。培養液ポンプ480によりチャンバ510内の培養液を新しいものに交換することができるので、培養液を交換できないものと比較して、細胞CEの培養できる期間をより長くすることができる。
補給配管478には、予備タンク473から培養液を培養液瓶472に送る補給ポンプ481が配置され、廃液配管479には、培養液瓶472から使用済みの培養液を廃液タンク474に送る廃液ポンプ482が配置されている。
なお、上述のように、使用済みの培養液を貯める廃液タンク474を用いても良いし、廃液タンク474を用いないで、直接使用済みの培養液を外部に排出する排出ポートを設けても良い。
培養液ポンプ480には、コンピュータPCの指示に基づき、培養液の循環を制御する培養液ポンプ制御部486が配置されている。また、補給ポンプ481および廃液ポンプ482もコンピュータPCの指示に基づき、その動作が制御されるように配置されている。
なお、UVランプ425は、主電源スイッチ476とは別個に制御されており、主電源がOFFされていても動作することができるようになっている。
さらには、培養ガス混合槽491と培養液瓶472との間に培養ガス供給配管497が配置されている。そのため、培養ガス供給配管497を介して培養液に培養ガスが供給され、培養液中に培養ガスを十分に溶け込ませることができる。このように、培養液瓶472内で二酸化炭素ガスの濃度が5%の培養ガスが溶解された培養液を生成することにより、培養気体および細胞CEの育成に必要な栄養素が含まれた培養液が、後述するチャンバ510に供給される。また、培養ガスを培養液に溶解させることにより、培養液のpHなどを調整することができる。
CO2濃度検出部494からコンピュータPCに入力された二酸化炭素ガス濃度は、メモリにデータとして蓄積されるとともに、コンピュータPCにおいてデータ処理が可能とされている。
まず、本実施の形態における走査方法および検出範囲の選択について図17(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明する。
図17(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施の形態における走査方法および検出範囲の選択例を示す図である。
検出器449による測定部分は、図中の矢印で示すように、設定された測定対象範囲M内を左右方向に走査される。つまり、図中の左から右へ走査される際には、X軸方向と平行に走査され、右から左へ走査される際には、左斜め下方向に走査される。このうち、左から右へ走査される時に細胞CEの撮像が行われる。
この例における検出器449による測定部分は、図中の矢印で示すように、測定対象範囲MA、MBを並列に測定するように走査される。つまり、図中の左から右へ走査される際に、測定対象範囲MAから測定対象範囲MBへ走査され、右から左へ走査される際には、測定対象範囲MBから測定対象範囲MAへ走査される。
この例における検出器449による測定部分は、図中の矢印で示すように、測定対象範囲MA、MBのY軸方向に重複する部分のみが連続して走査されている。つまり、まず、測定対象範囲MAの重複していない部分の走査が行われる。次に、測定対象範囲MA、MBの重複している部分の走査が連続して行われる。そして、測定対象範囲MBの重複していない部分の走査が行われる。
この例における検出器449による測定部分は、図中の矢印で示すように、測定対象範囲MA、MBが別個に走査されている。つまり、まず測定対象範囲MAの全範囲の走査が行われた後に、測定対象範囲MBの全範囲の走査が行われる。
例えば、コンピュータPCの設定を変更して、走査対象となる全範囲の走査と、所定の一部の領域の走査とが交互に行われるようにしておけば、短い期間しか起こらない生体試料特有の現象を捉えることができる。一例として、走査対象となる全範囲の走査を30分ごとに行う場合、その合間に注目すべき細胞が存在する所定の測定対象範囲Mの走査が行われるようにしておけば、15分程度しか発現しない特有の現象が注目すべき細胞に起こったことを捉えることも可能となる。
また、必要なときに必要な測定対象範囲Mだけを走査するため、走査時間が短縮できるとともに、他の細胞に対する光の照射時間を短くすることができる。
まず、細胞CEの測定の前に、測定パラメータの設定が行われる。そこで、測定パラメータの設定の流れを、図18を参照しながら説明する。
図18は、測定パラメータの設定の流れを説明するフローチャートである。
まず、測定パラメータの設定が行われる(STEP21)。
その後、デフォルトの条件設定が行われる(STEP22)。ここで設定される条件は、例えばCO2濃度5%、温度37℃などの培養条件および測定条件であり、これらの設定条件はユーザーによって所定の条件に変更することができる。
次に、測定モードの選択を行う(STEP24)。測定モードには、エリア撮像モードや、ライン撮像モードや、自動モード等がある。自動モードとは他の測定モードの中から測定時間の短い測定モードを自動的に選択するモードである。
ここで、検出波長の選択方法としては、使用する蛍光タンパク、例えば、GFP、HC‐Red等のリストをコンピュータPCに予め記憶させておき、記憶させたリストの中から選択する。コンピュータPCは、選択された蛍光タンパクに基づいて自動的に観測に最適な励起フィルタ456や吸収フィルタ458などを選択する。このようにして、細胞CEから所定の蛍光を検出することができる。
なお、測定中の励起フィルタ456や吸収フィルタ458、対物レンズ448等の変更は、X軸動作ステージ422X、Y軸動作ステージ422Yの駆動に同期して自動的に行なわれる。
そして、プレビュー画面が取り込まれ(STEP28)、プレビュー画像がモニタに表示される(STEP29)。ここでは、ユーザーがプレビュー画像のモニタへの表示を指示するプレビューボタンなどを用いて指示を出すことにより、プレビュー画像がモニタに表示される。そして、ユーザーがモニタに表示されたプレビュー画像を確認することができる。
次に、設定された複数の測定間隔から所定の測定間隔を選択する(STEP31)。
そして、測定開始スイッチ(図示せず)が押されたら(STEP32)、細胞CEの測定が開始される(STEP33)。測定開始スイッチが押されない場合には、測定開始スイッチが押されるまで待機している(STEP32)。
図19は、測定の流れを説明するフローチャートである。
まず、測定が開始されると、測定対象範囲が読み込まれる(STEP41)。その後、倍率が読み込まれ(STEP42)、検出波長が読み込まれる(STEP43)。
次に、測定モードが読み込まれる(STEP44)。ここでは、読み込まれた測定対象範囲、倍率、検出波長(蛍光波長)などに基づき、最適なステージ走査方法が決定される。測定モードが自動モードに設定されている場合には、撮像モードもここで決定される。
その後、エリアセンサモードが選択されているか否かにより、異なる測定方法で測定が行われる(STEP47)。
測定開始スイッチが押されると、X軸動作ステージ422XおよびY軸動作ステージ422Yを測定開始位置へ移動させる(STEP50)。ここでは、コンピュータPCが入力された測定開始位置を読み込み、X軸動作ステージ422XおよびY軸動作ステージ422Yを測定開始位置に移動させるとともに、細胞CEが対物レンズ448の撮影視野内に位置するように移動される。
そして、シャッタ435がOPENにされて(STEP51)、対物レンズ448が選択される(STEP52)。ここでは、コンピュータPCが設定された測定倍率に基づいて、レボルバ447を駆動して所定の倍率の対物レンズ448を選択する。
以上の測定開始スイッチが押されてからここまで(STEP50からSTEP53まで)の動作は、測定モードに併せて自動で選択され、実行される。
その後、フォーカス位置が検出され(STEP54)、画像の取り込みおよびコンピュータPCの画像メモリ部への画像データ出力が行われる(STEP55)。
必要な画像の取得が完了すると、X軸動作ステージ422XまたはY軸動作ステージ422Yが1ステップ駆動される(STEP57)。そして、X軸動作ステージ422XまたはY軸動作ステージ422Yが移動した位置が測定対象範囲内であれば、再び対物レンズ448の選択(STEP52)から1ステップステージ駆動(STEP57)までの動作が繰り返される。この繰り返し作業は、ステージ422の移動した位置が測定対象範囲外になるまで繰り返される(STEP58)。
その後、所定の測定時間間隔になると、再びシャッタ435がOPEN(STEP51)にされてからシャッタ435がCloseされる(STEP59)までの動作が、測定時間が終了するまで繰り返される(STEP60)。
測定開始スイッチが押されると、X軸動作ステージ422XおよびY軸動作ステージ422Yを測定開始位置へ移動させる(STEP70)。ここでは、コンピュータPCが入力された測定開始位置を読み込み、X軸動作ステージ422XおよびY軸動作ステージ422Yを測定開始位置に移動させるとともに、細胞CEが対物レンズ448の撮影視野内に位置するように移動される。
そして、シャッタ435がOPENにされて(STEP71)、フォーカス位置が検出される(STEP72)。
そして、フィルタユニット445が選択される(STEP74)。ここでは、コンピュータPCが設定された蛍光タンパクに基づいて、フィルタ制御部446Cが測定に最適な励起フィルタ456や吸収フィルタ458などを選択する。これら測定開始スイッチが押されてからここまで(STEP70からSTEP74まで)の動作は、測定モードに併せて自動で選択され、実行される。
そして、必要な画像の取得が完了していなければ、再び対物レンズ448の選択(STEP73)から画像の取り込みおよびコンピュータPCのメモリ部への画像データ出力(STEP76)までの動作が繰り返され、必要な画像の取得が完了するまで繰り返される(STEP77)。
その後、所定の測定時間間隔になると、再びシャッタ435がOPEN(STEP71)にされてからシャッタ435がCloseされる(STEP78)までの動作が、測定時間が終了するまで繰り返される(STEP79)。
図20は、画像の処理方法を説明するフローチャートである。
まず、コンピュータPCの画像処理部は、メモリ部に蓄積された撮像画像から、背景画像を抽出する(STEP91)と共に、撮像画像から背景画像(バックグラウンド)を除去する(STEP92)。
次に、強調できる画像の最大輝度範囲を読み込み(STEP93)、最大輝度範囲に応じて、例えば所定係数を掛けて画像を強調する(STEP94)。これらの処理により、バックグラウンドを除去した画像から1つ1つの細胞CEを粒状に認識し易いように画像が強調される。
次に、細胞CEの重心位置や面積等の幾何学的特徴量や、化学的特徴量や、蛍光輝度等の光学的特徴量をより正確に認識するとともに、細胞CEの位置情報とも関連付けて抽出する(STEP96)。これら特徴量を抽出することにより、1つ1つの細胞CEを識別することができる。
細胞CEの特徴量を抽出した後、細胞CEを認識するために行った強調作業(STEP94)の補正を行う(STEP97)。この補正により、画像の強調のために用いられた所定係数の影響が除去される。
次に、補正後の特徴量を、例えばファイルに出力するとともにそのファイルに蓄積する(STEP98)。
図21は、データ処理の流れを説明するフローチャートである。
ここでは、コンピュータPCのデータ処理部によって、ファイル内に蓄積された細胞CEのデータ(特徴量)の処理が行われる。
まず、データ処理部は、ファイル内に蓄積された細胞CEの生データ(特徴量)を読み込む(STEP101)とともに、細胞CEごとに時系列に並ぶようにデータの並べ替えが行われる(STEP102)。データが並べ替えられると、データ処理部は、細胞CEごとに輝度、すなわち発現量の経時的変化をグラフ化する(STEP103)。
グラフ化が完了すると、データ処理部は、グラフをプレビュー表示し(STEP104)、グラフ化データをファイルに出力する(STEP105)。
図22は、光量の調整の流れを説明するフローチャートである。
まず、細胞CEに照射される照射光量が測定される(STEP111)。照射光量は、光量モニタ450の出力から算出されてもよいし、照度計を設けて測定しても良いし、パワーメータを設けてパワーメータの出力から算出してもよい。
照射光量が許容範囲外になると、光量調整機構443に含まれるNDフィルタ(図示せず)が交換され(STEP113)、照射光量が許容範囲内になるように調節される。その後、再び照射光量の測定(STEP111)に戻り、照射光量の調節が繰り返される。
図23は、培養液の補給・交換方法を説明するフローチャートである。
まず、撮像された画像のバックグラウンド(背景)値が解析される(STEP121)。撮像された画像のバックグラウンドには培養溶液の自家蛍光が撮像されており、この培養溶液の自家蛍光の輝度が解析される。
ここで、培養液は古くなるほど自家蛍光の輝度が高くなるため、自家蛍光の輝度を測定することにより、培養液の交換時期を検出することができる。
バックグラウンド値の経時的変動が所定の規定値より大きくなると、培養液の廃液ポンプ482が駆動され(STEP123)、次いで培養液の補給ポンプ481が駆動される(STEP124)。
重量などで換算して自動で設定しても良い。
なお、本実施の形態においては、撮像された画像を用いてバックグラウンドの自家蛍光の値を検出しているが、この検出は細胞CEが存在しない場所を撮像した画像から検出しても良いし、培養液瓶472近傍に、例えば光学的検出器を設けて検出してもよい。
上述したような測定手順により、図24に示すような、1つ1つの細胞の経時的位置変化を表した細胞追跡画像を取得できる。
図25は、マイクロプレート520を用いて培養・測定する手順を説明するフローチャートである。
まず、インキュベータボックス500aの水槽521に滅菌水を供給する(STEP131)。
次に、コンピュータPCを起動(STEP132)してから、検出ユニット420および培養ユニット470の主電源をONにする(STEP133)。
次に、透過光源423をONにして(STEP140)、細胞CEに透過光を照射し、測定条件を設定する(STEP141)。
まず、所定の細胞CEへ事前に走査を行ってオートフォーカス(STEP143)が行われ、各部の焦点位置が決定されたところで、シャッタ435がOpenされる(STEP144)。
次に、細胞CEの画像の取り込み・出力が行われる(STEP145)。ここでは、取り込まれた画像データがコンピュータPCのメモリ部へ出力される。
その後、所定の測定時間間隔になると、再びオートフォーカス(STEP143)からホームポジションへステージを移動させる(STEP150)までの動作が、測定時間が終了するまで繰り返される(STEP151)。
その後、保温箱421内のUVランプ425を点灯させ(STEP157)、保温箱421内の滅菌を行い、測定を終了する。
なお、上述のように、細胞CEの測定ごとにオートフォーカスを行っても良いし、測定ごとの行わなくても良い。
そのため、細胞CEにダメージを与えるような温度環境の急激な変化や不均一等は、湿度環境および培養液環境を介することで上記変化等が緩和されるため、細胞CEへのダメージを低減することができる。
また、チャンバ510は、保温箱421と比較して、容積が小さいため、湿度環境および培養液環境を維持・制御しやすくなり、細胞CEへダメージを与えにくくすることができる。
例えば、培養条件を変化させながら観察対象の細胞CEの反応をリアルタイムで測定することができ、タンパク質の発現の有無や発現量の測定、時間経過に伴う発現量の変化等を正確に測定することができる。
さらには、チャンバ510内の環境条件(例えば、二酸化炭素ガスおよび湿度の組み合わせ)により検出部440の機能が損なわれることを防止することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について図26から図28を参照して説明する。
本実施の形態の生体試料観察システムの基本構成は、第2の実施の形態と同様であるが、第2の実施の形態とは、検出ユニットおよび培養ユニットの構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図26から図28を用いて検出ユニットおよび培養ユニット周辺のみを説明し、チャンバ等の説明を省略する。
図26(a)は、本実施の形態における生体試料観察システムの正面図であり、図26(b)は、本実施の形態における生体試料観察システムの側面図である。
生体試料観察システム600は、図26に示すように、倒立型顕微鏡(顕微鏡撮像装置)610と、培養ステージ620とから概略構成されている。倒立型顕微鏡610と培養ステージ620とは一体的に固定されていても良いし、着脱ができるように構成されていてもよい。
また、例えば、倒立型顕微鏡610を用いて細胞CEを観察する際には、培養ステージ620を倒立型顕微鏡610に取り付けることができ、それ以外の時(例えば細胞CEの培養時)には、倒立型顕微鏡610を顕微鏡から取り外すことができる。
培養ステージ620は、図26および図27に示すように、筐体621と、筐体621の上面に設けられた開閉蓋622と、X軸動作ステージ422Xと、Y軸動作ステージ422Yと、小型または帯状のヒータ620Hと、放熱板623と、ファン624と、培養ガス供給コネクタ625とから概略構成されている。
筐体621の内部は、培養した細胞の観察を行うための測定エリア626と、細胞の培養のみを行う非測定エリア627とに分割されている。そして、培養ステージ620では、細胞の培養を行うとともに、細胞を保持するマイクロプレート520を内部に収納し、培養ステージ620の外部からマイクロプレート520内の細胞を観察することが可能な構成とされる。ここでは、図27および図28に示すように、培養容器としてマイクロプレート520を使用する場合について説明するが、ディッシュやフラスコを使用することも可能である。
ファン624は、培養ステージ620内の空気を対流させるとともに、インキュベータボックス500aに直接風が当たらないようになっている。
培養ステージ620内の温度は、ヒータ620Hにより昇温され、36.5℃±0.5℃に制御される。
Y軸動作ステージ422Yには、小型もしくは帯状のヒータ(図示せず)が取り付けられている。ヒータは、マイクロプレート520が均等に温められる位置に配置されている。
また、X軸動作ステージ422Xには、筐体621の断面形状と略一致する形状に形成された仕切り板629aが取り付けられている。
この仕切り板629aは、X軸動作ステージ422Xを非測定エリア627側へ移動させることにより、仕切り板629aの両端部(Y軸方向の端部)の側面が仕切り受け629と接触して筐体621の内部空間を左右(X軸)方向に2分割するように配置されている。
さらに、仕切り板629aの天板628側の端部が天板628の下面と接触するように配置されているため、測定エリア626および非測定エリア627を、互いに分割された2つの空間とすることができる。
ガラス上蓋630は、全面あるいは周囲の枠部分を除いた略全面がガラス板631で構成されていてもよいし、測定に支障のない範囲内であれば最小限の面積としてもよい。ガラス板631には、透過観察および落射観察の際の光の反射を抑えるために、両面に反射防止膜(ARコート)をコーティングした光学ガラス材を使用するのが好ましい。
ガラス上蓋630は、例えば倒立型顕微鏡610の対物レンズ交換や、測定エリア626の内部クリーニングなど、各種の作業を行う際に必要に応じて取り外すことができる。
なお、ガラス上蓋630には、倒立型顕微鏡610の対物レンズを差し込む観察孔を設けても良い。また、観察孔にはゴム製のシートを配置し、対物レンズと観察孔との間の隙間を塞いでも良い。シートは対物レンズと培養ステージ620との相対移動を阻害しないように配置されることが望ましい。
開閉蓋622は、全体が遮光性の材料(例えば筐体621と同じ材料)で構成されており、必要に応じて覗き穴を塞ぐ覗き穴カバー632やUV照射穴を塞ぐUV照射穴カバー633が設けられている。
UV照射穴は開閉蓋622に形成した開口部(窓)であって、UV照射穴カバー633は、例えば開閉蓋622と同じ遮光性部材などから形成され、UV照射穴に対して、着脱可能または開閉可能に取り付けられている。
UV照射穴カバー633は、非測定エリア627内に紫外線を照射して殺菌する場合に取り外される。また、UV光の照射には、ハンディタイプのUVランプを用いることができる。
インキュベータボックス500aのコネクタ523には、培養ステージ620の培養ガス供給コネクタ625から培養ガス供給チューブ634を介して培養ガスが供給されている。
なお、細胞の測定、培養時には、細胞が環境光の影響を受けないようにするため、生体試料観察システム600全体を暗幕などで覆っても良い。
また、測定を行う生体試料としては、細胞のほかに、細菌類や微生物、卵などの種々の生体試料を用いることができる。
20 試料(被検査物)
30、422 ステージ
31 ステージ駆動機構(移動手段)
40 照明装置(照明手段)
60 撮像装置(撮像手段)
63、63a 撮像素子
67 試料変数入力部(被検査物変数入力手段)
68 計算部(計算手段)
69 切り替え部(切替手段)
410、600 生体試料観察システム
440 検出部(顕微鏡撮像装置)
422X X軸動作ステージ(ステージ)
422Y Y軸動作ステージ(ステージ)
423 透過光源(照明手段)
429 ステージ走査部(移動手段)
441X、441Y 落射光源(照明手段)
449 検出器(撮像手段)
510 チャンバ(被検査物)
520 マイクロプレート(被検査物)
610 倒立型顕微鏡(顕微鏡撮像装置)
Claims (6)
- 被検査物を保持するステージと、前記被検査物を照明する照明手段と、前記被検査物の画像を撮影する撮像手段と、前記ステージと前記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記被検査物の情報を被検査物変数として入力する被検査物変数入力手段と、
入力された被検査物変数に基づき前記ステージおよび前記撮像手段の相対移動時間を計算する計算手段と、を備え、
前記撮像手段が、前記被検査物に対応した蓄積電荷を発生させるとともに、前記ステージと撮像手段との相対移動に対応して前記蓄積電荷を転送し、順次前記蓄積電荷を加算して累積するタイム・ディレイ・インテグレーション方式と、前記被検査物に対応した前記蓄積電荷を一度の露出により発生させる二次元撮像方式と、の両方式での撮像が可能な撮像素子を備え、
該計算手段の計算結果に基づいて、前記撮像素子の撮像方式を切り替える切替手段を有する顕微鏡撮像装置。 - 前記被検査物の撮影に用いる測定波長数が、前記被検査物変数に含まれる請求項1記載の顕微鏡撮像装置。
- 前記被検査物の撮影時における露出時間が、前記被検査物変数に含まれる請求項1または2に記載の顕微鏡撮像装置。
- 撮影する領域における前記被検査物の密度が、前記被検査物変数に含まれる請求項1から3のいずれかに記載の顕微鏡撮像装置。
- 前記被検査物の撮影前に、前記撮像手段が前記密度の情報を取得するためにプレスキャンを行う請求項4記載の顕微鏡撮像装置。
- 請求項1に記載の顕微鏡撮像装置を備えた生体試料観察システム。
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