以下,本発明の好適な実施の形態について,添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお,以下の説明及び添付図面において,略同一の機能及び構成を有する構成要素については,同一符号を付することにより,重複説明を省略する。
(1. システム構成)
まず,図1,図2,および図3を参照しながら,本発明に基づいて構成された映像コンテンツ編集支援システムの構成について説明する。図1は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの概略的な構成を示すブロック図であり,図2は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの編集者端末装置4の構成を示すブロック図であり,図3は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの撮像装置2の構成を示すブロック図である。
まず,図1に示すように,映像コンテンツ編集支援システムは,ネットワーク16を介して,ビデオカメラなどの撮像装置2と,携帯用コンピュータ装置6,携帯電話8,または携帯端末10などからなる編集者端末装置4とが相互に接続されている。
上記撮像装置2は,必ずしも1台から構成される必要はなく,複数台からなる撮像装置2が,ネットワーク16を介して,複数台から構成される編集者端末装置4とピアツーピア(Peer to Peer)に接続されている。
また,撮像装置2と,編集者端末装置4との間にサーバ(図示せず)を備えることで,ピアツーピアではなく,撮像装置2および編集者端末装置4をクライアントとした,クライアント/サーバ(Client/Server)のネットワークに構成することも可能である。
撮像装置2は,カムコーダなどの,ビデオカメラであり,放送用のニュース番組の取材や,スポーツなどの試合の模様や,映画などの素材の撮影に使用される装置である。
また図1に示すように,記録媒体14を撮像装置2にセットすることで,例えば取材の現場で,撮像装置2により映像コンテンツデータを記録媒体14に記録することができる。なお,本実施の形態にかかる記録媒体14は,磁気テープなどの媒体であり,例えばD10用とされるデジタルVTRフォーマットのビデオテープなどを巻装している。
撮像装置2は,取材などで撮影された素材(映像コンテンツデータ)を磁気テープなどの記録媒体14に記録して,記録された映像コンテンツデータを再生することも可能である。
映像コンテンツデータは,写真や絵画などの静止画像データ,映画や演劇などの動画像データ,ラジオ番組などの音声データ,またはそれらの組合せから構成されるデータである。
上記記録された映像コンテンツデータに構成される1または2以上からなる映像シーンの中から,まず,本編集で使用される映像シーン(カット)を集めて選択して,(Logging),映像シーンの中から,使用される編集開始位置(In点)または編集終了位置(Out点)を設定して編集を行い,本編集のための映像シーンの抽出を行う(Ingesting)処理などからなる,粗編集を経て,番組などで放送(放映)するための完全パッケージデータが作成される(本編集)。
上記完全パッケージデータは,従来では,映像コンテンツデータ(記録素材データ)が記録された記録媒体14を,映像コンテンツデータの最初から再生して,使用されると思われる映像シーンのIn点またはOut点である編集位置を,記録媒体14に記録されたタイムコードに基づいて,人手により編集位置を決定して紙媒体などに記録していた。なお,タイムコードについては,後程詳細に説明する。
編集者端末装置4は,撮像装置2から撮影される映像コンテンツデータを,ネットワーク16を介してリアルタイムで随時受信して,撮影されている映像コンテンツをディスプレイ装置などに表示する。したがって,撮影者が撮影している内容を,撮像装置2とは別の場所で撮影者と同じ視点で確認できる。なお,記録された映像コンテンツデータをまとめて一括して受信することも可能である。
ネットワーク16は,IEEE802.11a規格などを始めとした無線または,RS−232Cなどの有線から構成される。また,衛星通信や,光ファイバなどの有線,無線などから構成することも可能である。
(1.1 電子マークデータについて)
つぎに,本実施の形態にかかる電子マークデータについて説明する。
電子マークデータは,撮影時において,映像データまたは音声データなどの映像コンテンツデータに記述される映像コンテンツデータに関連した情報から構成された関連データ(メタデータ)である。
電子マークデータは,SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)標準規格が定めるところの方法に従い,SDI(Serial Digital Interface)などにより伝送される。
電子マークデータは,記録媒体14のメディア(媒体)を識別する記録媒体識別,映像コンテンツデータに構成する1または2以上から成る映像シーンを識別する映像シーン識別などの識別子である属性マークデータと,GPS(Global Positioning System)などにより特定される撮影場所,撮像装置のカメラ倍率情報,映像シーンの特徴,および撮影日時などがテキストデータで表された電子テキストマークデータとから構成される。
属性マークデータは,UMID(Unique Material Identifier)を利用して,どの映像コンテンツデータのどの映像シーンであるかを識別する。なお,UMIDについては後程詳述する。
したがって,映像コンテンツデータに記述された電子マークデータを,粗編集処理において,インデックスとして索引することにより,目的とする映像データまたは音声データが含まれる映像シーンを選択することが可能となり,映像コンテンツデータを記録再生装置(VTR)などで繰返し再生処理などをせずに,事前に本編集に必要となる映像シーンを選択する作業の効率化を図れる。
(1.2 電子テキストマークデータ)
次に,図5を参照しながら,電子テキストマークデータについて説明する。図5は,本実施の形態にかかる電子テキストマークデータのKLV(Key Length Value)符号化されたフォーマットを示す説明図である。
電子テキストマークデータは,映像シーンの特徴またはエッセンスなどが記述されたテキストデータであり,上記属性マークデータに関連付けられた(リンクされた)メタデータである。例えば,映像シーンとして,「ハイライト」,「OK」,「NG」などの映像シーンの特徴や,「トウキョウ」「ニホン」などの撮影場所などの情報がテキストデータにより記述される。
図5に示すように,電子マークテキストデータがネットワークを介して伝送される場合,KLV符号化される必要があり,KLV符号化された電子テキストマークデータは,最大49バイトから構成される。フォーマットは,SMPTE 335M/RP210A(メタデータ辞書)に準拠している。
KLV符号化された電子テキストマークデータは,16バイトからなる「Key」部と,1バイトからなる「L」(Length)部と,最大32バイトからなる「Value」部とから構成される。
「Key」部は,SMPTE 335M/RP210A(メタデータ辞書)に準拠した,KLV符号化されたデータ項目を示す識別子であり,電子テキストマークデータであることを識別するための識別子である。様々なデータ項目に対する本識別子の値がSMPTEのメタデータ辞書(Metadata Dictionary)に定義されている。
さらに,本実施の形態にかかる電子テキストマークデータの符号化に対応するものとしては,SMPTEのメタデータ辞書に“Cataloguing,lndexing,Thesaurus or Gazetter system used”と命名された項目が定義されている。
上記定義された具体的な値としては,電子テキストマークデータがISO(International Organization for Standardization)の7ビット符号化文字セットで記述される場合,16進数で表すと,06(h) 0E(h) 2B(h) 34(h) 01(h) 01(h) 01(h) 01(h) 03(h) 02(h) 01(h) 02(h) 02(h) 00(h) 00(h) 00(h)に表示される。
UTF―16(ユニコード)で記述される場合は,16進数で表すと,06(h)0E(h) 2B(h) 34(h) 01(h) 01(h) 01(h) 01(h) 03(h) 02(h) 01(h) 02(h) 02(h) 01(h)00(h) 00(h)である。
「L」部は,「L」部以降に続くデータの長さをバイト単位で示す。電子マークテキストデータの符号化においては,ISOの7ビット符号化文字セットを用いた場合は最大のデータ長が32バイト(20(h))であり,UTF‐16(16−bit UCS Transformation Format)を用いた場合,データ長は,無制限である。なお,UCS(Universal Multiple−Octet Coded Character Set)は,ISO−7ビット符号化文字セットと同様に,ISOとIEC(International Electrotechnical Commission)が共同で作成された符号化文字セットである。
「Value」部は,電子マークテキストデータが格納されるテキストデータから成るフィールドである。UTF‐16を用いた場合は,2バイトで1文字を表す。
KLV符号化された電子マークテキストデータは,SMPTE標準規格が定めるところの方法に従い,伝送される。例えばSDI(SeriaI Digital Interface)で伝送される場合においては,KLV符号化された電子マークテキストデータは,映像データのV‐ancillary領域に格納される。
(1.3 UMIDデータについて)
次に,図4を参照しながら,UMIDデータについて説明する。図4は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの符号化されたUMIDデータのフォーマットの一例を示す説明図である。
UMIDデータは,国際標準化団体であるSMPTEよって標準化されて,映像コンテンツデータ(記録素材データ)の識別子である。UMIDデータについても,電子マークテキストデータと同様に,SDIなどによりネットワークを介して伝送される場合,KLV符号化される必要がある。
図4に示すように,KLV符号化されたUMIDデータは,32バイトから構成されるデータであり,「ユニバーサルラベル」(Universal Label),UMIDの残り部分のデータ長を示す「L」(Length:データ長),インスタンス番号(Instance number),ならびに素材番号(Material Number)のフォーマットから構成される。
ユニバーサルラベルは,データがSMPTEのUMIDであることを識別する固有の識別子である。このUMIDにより識別される素材の種類などを定義する。
データ長は,インスタンス番号および素材番号とのデータの長さを示し,UMIDデータは,16進数で示すと,「13(h)」の固有値である。
インスタンス番号は,素材のインスタンス間の違いを定義するために用いられる3バイトから構成されるフィールドである。例えば,インスタンス番号は,オリジナルな素材のデータの場合には,「00(h) 00(h) 00(h)」を示す。なお,インスタンス番号は,SMPTEにおけるUMIDの標準規格で規定されている。
素材番号は,映像コンテンツデータに構成される映像シーンを識別するための16バイトからなるフィールドである。したがって,UMIDデータの素材番号により,記録媒体に記録された映像コンテンツデータの映像シーンを識別することが可能である。
したがって,UMIDデータの素材番号は,映像シーンを識別する識別子であることから,UMIDデータの素材番号に基づいて,目的の映像フレームを映像コンテンツデータから検索して,抽出することが可能である。
図4に示すように,UMIDデータは,KLV(Key Length Value)符号化に基づいて符号化される。KLV符号化は,SMPTE Standard 336M for Televisionで標準化されているデータをエンコーディングするプロトコル(Protocol)である。
KLV符号化されたUMIDデータは,SMPTE標準化規格が定める方法に従い,ネットワークを介して外部へ伝送される。
(2. 映像コンテンツ編集支援システムの各コンポーネントの構成)
次に,図1,図2,および図3を参照しながら,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの各コンポーネントの構成について説明する。
(2.1 ネットワーク16)
ネットワーク16は,撮像装置2と編集者端末装置4とを相互に双方向通信可能に接続するものであり,本実施の形態では,IEEE802.11a規格などを始めとした無線通信であるが,有線無線問わず,RS−232Cなどの有線通信,衛星通信,または光ファイバを使用した光通信なども含む。
(2.2 編集者端末装置4)
編集者端末装置4は,少なくとも中央演算処理部と,通信部と記憶部とを備えた情報処理装置であり,一般的にはコンピュータ装置である。図1に示すように,ラップトップ型の携帯用コンピュータ装置6,携帯電話8,PDA(Personal Digital(Data) Assistants)である携帯情報端末装置10などを例示することができる。
編集者端末装置4は,撮像装置2からリアルタイムに伝送される映像コンテンツデータまたは電子マークデータを表示または記録することができる。また,撮像装置2にネットワーク16を介して,電子マークデータの変更追加などの編集処理,また映像コンテンツデータの編集処理などをすることができる。
編集者端末装置4は,図2に示すように,演算機能を備えたCPU23(中央演算処理部)と,撮像装置2とネットワーク16介してデータを送受信する通信部21と,映像コンテンツデータなどを表示する表示部22と,入力部24と,電子マークデータに基づいて電子マークリストデータを作成する電子マークリスト作成部28と,電子マークデータまたは映像コンテンツデータの編集をする編集部26と,映像コンテンツデータなどを記憶する記録媒体(図示せず)を備える記憶装置20とを備えている。
通信部21は,ネットワーク16を介して映像コンテンツデータ,電子マークデータなどを送受信する。また,映像コンテンツデータを受信入力して表示部22に映像を表示するためのビデオキャプチャなどの機能を備えている。
入力部24は,ボタン,レバー,またはキーボードなどから構成されており,キーボードなどを用いて文字などのテキストデータを生成することができる。また,音声入力端子などを備えて外部マイク(図示せず)から音声を入力してテキストデータに変換することもできる。
(2.3 撮像装置2)
次に,図3を参照しながら,撮像装置2について説明する。図3は,本実施の一形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの撮像装置の概略的な構成を示すブロック図である。
撮像装置2は,被写体を撮影して,撮影した映像コンテンツデータを記録媒体14に記録して,記録媒体14に記録された映像コンテンツデータを再生する機能を有している,カメラおよびVTR(Video Tape Recorder)とが一体となった装置である。
図3に示すように,撮像装置2は,映像および音声データを記録/再生する記録/再生ブロックと,編集者端末装置4などの外部とのデータを送受信する通信部75と,制御装置76と,電子マークデータを記述するマーク設定ブロックと,電子マークデータを抽出するマーク抽出ブロックとから構成される。
制御装置76は,データを記憶する記憶機能を備えて,さらに固定ヘッド55,回転ヘッド部37,CPU67,記録部54,および通信部75に接続されて,送受信するデータまたは信号を制御する制御装置である。
記録/再生ブロックは,デジタル信号記録部71,デジタル信号再生部72,アナログ音声信号記録部73,アナログ音声信号発生部74,タイムコードを記録/再生するための固定ヘッド55および固定ヘッド38,キャプスタンモータ35と,ドラムモータ36と,映像および音声データを記録/再生する回転ヘッド部37と,モータ制御部34とから構成される。
記録/再生ブロックは,被写体から撮影された映像または音声などから構成される映像コンテンツデータを,映像信号または音声信号に変換して,映像データまたは音声データとして記録または再生する。またマーク設定ブロックで生成された電子マークデータを記録媒体14の映像コンテンツデータの所定位置に記述する。
また,撮像装置2の電源を入れるなどの記録動作や再生動作等の動作モードなどを設定する操作スイッチ部32は,動作制御部33に接続されている。動作制御部33は,操作スイッチ部32で設定された動作モード信号CTに基づきモータ制御信号MC及びモード信号MSを生成,または通信部75から送信されてくる動作モード信号CTに基づいてモータ制御信号MC及びモード信号MSを生成する。
モータ制御信号MCはモータ制御部34に伝送され,モード信号MSは記録部54,再生部61,デジタル信号記録部71,デジタル信号再生部72,アナログ音声信号記録部73,アナログ音声信号発生部74及び単安定マルチバイブレータ(以下,「モノマルチ」)17に伝送される。
モータ制御部34では,伝送されたモータ制御信号MCに基づきモータ駆動信号MDが生成される。このモータ駆動信号MDがキャプスタンモータ35及びドラムモータ36に伝送されることにより,記録媒体14である磁気テープが走行すると共に複数のヘッドを有する回転ヘッド部37が回転する。
上記回転ヘッド部37は,回転することにより,電子マークデータを映像コンテンツデータに記述して,上記電子マークデータが記述された映像コンテンツデータを記録媒体14に記録する。
マーク設定ブロックは,設定スイッチ40と,データ信号発生部41と,タイムコードデータ保持部42と,ユーザデータ保持部43と,記録開始データ保持部44と,電子マークテキストデータ保持部45と,属性マークデータ保持部78と,モノマルチ51およびモノマルチ47と,信号切換スイッチ19および信号切換スイッチ77と,マーカボタン50と,信号変調部53と,記録部54と,音声マイク変換部79とから構成される。
マーク設定ブロックは,記録媒体14に映像コンテンツデータのフレームと同期する時間情報のタイムコードデータと,マーカボタン50または音声マイク変換部79からの入力により,電子マークテキストデータと,属性マークデータとを生成する。なお,タイムコードデータについては後程詳述する。
また,設定スイッチ部40は,撮影時間,電子マークデータに構成する電子マークテキストおよび属性マークのパターン(種類)や,撮影場所の位置,方位,高度を測位するGPS情報などを記録するか否かの設定が行われ,設定信号SSをパターン発生手段であるデータ信号発生部41に伝送する。
データ信号発生部41では,設定スイッチ部40からの設定信号SSに基づきタイムコードデータDT,ユーザデータDU,電子マークテキストデータDM,および属性マークデータDZを生成する。ここで生成されたタイムコードデータDTはタイムコードデータ保持部42に保持されると共に信号変調部53に伝送される。またユーザデータDUは,ユーザデータ保持部43に保持されると共に信号切換スイッチ49の端子aに伝送される。電子マークテキストデータDMは電子マークテキストデータ保持部45に保持されると共に信号切換スイッチ77の端子bに伝送される。属性マークデータDZは属性マークデータ保持部78に保持されると共に信号切換スイッチ77の端子aに伝送される。
マーカボタン50は,電子マークデータに構成される電子マークテキストデータを記述(記録)するときに押されるボタンである。マーカボタン50は,1または2以上のボタンから構成される。
映像素材を撮影記録中に,例えばマーカボタン50が複数のボタンから構成される場合は,場面の見せ場である「ハイライト」ボタンが押されるとテキストデータが“ハイライト”からなる電子マークテキストデータ「ハイライト」マークが記憶媒体14などに記述される。
また,例えば「In」ボタンが押されると,テキストデータが“In”からなる電子マークテキストデータ「In」マークが記述される。「Out」ボタンが,押されるとテキストデータが“Out”からなる電子マークテキストデータ「Out」マークが記述される。マーカボタン50の構成は,撮影される被写体,取材目的などにより随時変更することが可能である。
音声マイク変換部79は,マーカボタン50と同様に,電子マークデータに構成される電子マークテキストデータおよび属性マークデータを記録するために使用される。音声を入力すると,その音声を認識してテキストデータに変換して,電子マークテキストデータまたは属性マークデータとして回転ヘッド部37により映像コンテンツデータに記述されて,記録媒体14に記録される。例えば,「ハイライト」と音声入力されると電子マークテキストデータの「ハイライト」マークとして認識して「ハイライト」の電子マークテキストデータが記録媒体14に記述される。
マーカボタン50および音声マイク変換部79は,上記記載のように,電子マークデータに構成される電子マークテキストデータおよび属性マークデータを映像コンテンツデータに記述するために操作される入力装置であり,マーカボタン50または音声マイク変換部79が操作されて操作信号SGがモノマルチ51に伝送されると,モノマルチ51から所定時間ハイレベル「H」のマーク信号GWが信号切換スイッチ77と論理和回路52に伝送される。信号切換スイッチ77では,マーク信号GWによって可動端子が制御される。
モノマルチ47では,モード信号MSに基づき動作モードが記録動作に移行したとき所定時間ハイレベル「H」の信号MTが生成される。このモードタイミング信号MTは,論理和回路52に伝送される。
論理和回路52は,信号MRを信号切換スイッチ49に伝送する。信号切換スイッチ49では,この信号MRによって可動端子が制御される。
信号変調部53では,タイムコードデータ保持部42から伝送されたタイムコードデータDTの更新が自動的に行われる。また更新されたタイムコードデータDTは,信号切換スイッチ49で選択されたデータと共に変調されて記録データ信号WTとされる。この記録データ信号WTは,記録部54に伝送される。
記録部54では,伝送された記録データ信号WTが記録データ信号WSに変換されて,動作制御部33から伝送されるモード信号MSに基づいて記録データ信号WSを,固定ヘッド55および回転ヘッド部37に伝送する。
上記回転ヘッド部37は,電子マークデータに構成する属性マークデータおよび電子マークテキストデータを,映像コンテンツデータに記述して,上記記述された映像コンテンツデータを記録媒体14のヘリカルトラック82に記録する。
上記固定ヘッド55は,タイムコードデータを映像コンテンツデータに記述して,上記記述された映像コンテンツデータを,記録媒体14におけるタイムコードトラックTCに記録する。
マーク抽出ブロックは,再生部61と,データ分離部62と,データ保持部63と,ユーザ領域データ保持部64と,比較パターン発生部66と,パターン比較部65と,CPU67と,表示部68と,選択設定スイッチ69とから構成される。
マーク抽出ブロックは,記録媒体14を再生することにより,映像コンテンツデータに記録されている電子マークテキストデータまたは属性マークデータを抽出する。
再生部61は,映像コンテンツデータから抽出される映像データまたは音声データ信号を再生する信号を再生する固定ヘッド55および回転ヘッド部37に接続されており,固定ヘッド55からの再生信号RSは,再生映像コンテンツデータ信号RTに変換されてデータ分離部62に伝送される。
データ分離部62は,再生映像コンテンツデータ信号RTから映像コンテンツデータDTと,ヘリカルトラックのAUX信号フィールド83に格納されたユーザデータのユーザデータDEとに分離する。なお,ヘリカルトラック82およびAUX信号フィールド83については,後程詳述する。
分離された映像コンテンツデータDTはデータ保持部63に伝送されて,次の映像コンテンツデータDTが送信されるまで保持される。また保持された映像コンテンツデータDTは演算処理部(CPU)67に伝送される。
ユーザデータDEはユーザ領域データ保持部64に保持される。ユーザ領域データ保持部64に保持されたユーザデータDEは,パターン比較部65とCPU67に伝送される。
また,液晶ディスプレイなどから構成される表示部68が備えられ,電子マークデータに構成される電子マークテキストデータおよび属性マークデータと,タイムコードデータと,映像コンテンツデータなどを表示する。
パターン比較部65は,比較パターン発生部66と接続しており,比較パターン発生部66で生成された属性マークデータDZまたは電子マークデータDMと,ユーザ領域データ保持部64から伝送されるユーザデータDEとが比較され,比較結果を示す比較信号CCがCPU67に伝送される。
CPU67は,パターン比較部65から伝送された比較信号CCに基づいて,属性マークデータDZとユーザデータDEとが一致した場合または電子マークテキストデータDMとユーザデータDEとが一致した場合,一致した属性マークデータDZまたは電子マークテキストデータがRAMに記憶される。記憶される属性マークデータDZまたは電子マークテキストデータは,CPU67により,表示部68および制御装置76に送信される。
このため,属性マークデータDZまたは電子マークデータDMが指定されることにより,簡単に指定された属性マークデータDZまたは電子マークデータDMに対応する映像コンテンツデータの映像シーンにキューアップできる。
なお,デジタル信号記録部71ではデジタルの映像信号および音声信号が記録信号に変換される。またこの記録信号が動作制御部33から伝送されたモード信号MSに基づき回転ヘッド部37に伝送されて,回転ヘッド部37は,磁気テープである記録媒体14に映像コンテンツデータからなる信号の記録を行う。
さらに,デジタル信号記録部71は,編集者端末装置4に撮影された映像コンテンツデータを送信するために,記録信号を制御装置76へ伝送する。伝送された記録信号は,編集者端末装置4に送信して表示できるように,変換されて通信部75から編集者端末装置4へ送信される。
記録媒体14を再生して回転ヘッド部37から得られる再生信号は,デジタル信号再生部72に伝送されてデジタルの映像信号や音声信号からなる映像コンテンツデータに変換されて,再生部61および制御装置76へ伝送される。
また,アナログ音声信号記録部73は,アナログの音声信号を記録信号に変換する。上記記録信号は,動作制御部33から伝送されるモード信号MSに基づき固定ヘッド38または制御装置76に伝送されて記録される。記録媒体14または制御装置76から得られた再生信号は,アナログ音声信号再生部74に伝送されてアナログの音声信号に変換される。
(2.4 記録媒体14について)
まず,図6を参照しながら,電子マークデータおよび映像コンテンツデータが記録される記録媒体14について説明する。図6は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの記録媒体の概略的な構造を示す説明図である。
図6に示すように,記録媒体14は,テープ上に回転ヘッド37の走行方向にヘリカルスキャンにより形成されるヘリカルトラック82と,テープの長手方向に形成されるコントロールトラックCTLと,映像コンテンツデータと同期する時間軸であるタイムコードトラックTCから構成される。
ヘリカルトラック82は,SMPTEにより標準規格されており,1フレームの映像データは,例えば,10個または12個等からなる1組のヘリカルトラックに記録される。
ヘリカルトラック82は,映像データとして記録されるビデオ信号フィールド80と,音声データとして記録されるオーディオ信号フィールド81と,AUX(Auxiliary)信号フィールド83とから構成される。
AUX信号フィールド83は,図8に示すように,「ヘッダ」部と,5バイトからなる「システム」部と,104バイトからなる「ユーザデータ」部と,35バイトからなる「リザーブ」部と,12バイトからなる「パリティ」部とから構成されるフォーマットである。
さらに,104バイトからなる「ユーザデータ」部は,図9に示すように,「ヘッダ」部と,「電子マーク」部とから構成されるフォーマットであり,本実施の形態にかかる属性マークデータおよび電子マークテキストデータから構成される電子マークデータは,「電子マーク」部に記録される。なお,映像データおよび音声データは,アナログ形式で記録されてもよい。また,映像データおよび音声データは,例えばMPEG−2規格などに基づいて圧縮されてもよい。
(2.4.1 タイムコードについて)
タイムコードトラックTCに記録されるタイムコードデータは,図7に示すように,80ビットからなる1フレームエリアを1単位として構成されている。この1フレームエリアは,同期信号を記録するための同期信号エリア,時間(HH),分(MM),秒(SS),フレーム(FF)を表すタイムコード(HH:MM:SS:FF)を記録するための8個のタイムコード記録ビットエリアと,ユーザーズビット(D1D2:C1C2:B1B2:A1A2)を記録するための8個のユーザーズビット記録エリアとから構成されている。
図7に示すように,タイムコードの時間(HH)情報は,ビット48〜51およびビット56〜59で表される2つのビットエリア(H,H)に記録されて,分(MM)情報は,ビット32〜35およびビット40〜42で表される2つのビットエリアに記録されて,秒(SS)情報は,ビット16〜19およびビット24〜26で表される2つのビットエリアに記録されて,フレーム(FF)情報は,ビット0〜3およびビット8〜9で表される2つのビットエリアに記録される。
(2.4.2 電子マークデータが記録される記録媒体14について)
ここで,電子マークデータがマーキング(記録)された記録媒体14について,図10を参照しながら説明する。図10は,電子マークデータが記述された場合の記録媒体14を示す説明図である。
撮像装置2に構成されたマーカボタン50または音声マイク変換79によって,粗編集などのために映像コンテンツデータに構成される所望の映像シーンを検索するインデックスとして電子マークテキストデータが記録媒体14などに記録される。
図10に示すように,撮像装置2により,撮影処理中に,本編集で使用される映像シーンなどに電子マークデータが,記録媒体14に直接,マーキングされる。
まず撮像装置2により,図10に示すように,「映像シーン1」の撮影処理が開始されると,再生方向から順に,記録処理開始を示すRECスタート100,「映像シーン1」を識別するシーンID102,In点を示すIN104,場面のハイライトシーンを示すハイライト106,Out点を示すOUT108と電子マークデータが記録媒体14のAUX信号フィールド83における「ユーザデータ」部の「電子マーク」部に記録される。
電子マークデータが記述されるのと同期して,「TC1」,「TC2」,・・・,「TC4」とタイムコードデータが,記録媒体14のタイムコードトラックTCに記録される。
なお,シーン識別子とは,映像コンテンツデータに構成される映像シーンを識別するためのユニークである番号,記号などの総称をいい,例えば,シーンIDなどがあげられる。
図10に示すように,「映像シーン2」についても,映像シーン2を識別するシーンID110,記録開始を示すRECスタート112,Out点(編集終了点)であるOUT116,または見せ場であるハイライト114とそれぞれの電子マークデータが,適当である該当個所に記述される。
さらに,「映像シーン2」についても,電子マークデータの記述と同期して,タイムコードデータである「TC5」,「TC6」,「TC7」とが,記録媒体14に記録される。
図10に示すように,RECスタート100,IN104などの電子マークテキストデータに登録されるテキストデータは,撮影する状況に応じて,予め登録することは可能であり,記述されたテキストデータを変更することも可能である。例えば,野球のホームランの映像シーンを示す「ホームラン」の電子マークテキストデータを登録または他の電子マークテキストデータを「ホームラン」に変更することも可能である。
また,図11に示すように,電子マークデータを記録媒体14と,例えば編集者端末装置4の記憶装置20など別の記録媒体とに分散して記録することも可能である。図11は,本実施の形態にかかる電子マークデータが記憶装置20および記録媒体14に記述された場合の記憶装置20および記録媒体14を示す説明図である。
図11に示すように,「映像シーン1」および「映像シーン2」において,再生方向に,記録媒体14は,撮影開始後,属性マークデータの「映像シーン1」を識別するシーンID102および「映像シーン2」を識別するシーンID110と,映像コンテンツデータと同期してタイムコードデータ(「TC1」,「TC2」,・・・,「TC7」)とが記録される。なお,電子マークテキストデータは,記録媒体14には記述されない。
図11に示すように,記憶装置20には,撮影開始後,電子マークデータの記録媒体14への記述に従い,属性マークデータのシーンID102およびシーンID110と,電子マークテキストデータであるRECスタート100,IN104,ハイライト106,OUT108,RECスタート112,ハイライト114,およびOUT116と,記録媒体14と同期して記述されるタイムコードデータ(「TC1」,「TC2」,・・・,「TC7」)とから構成される電子マークデータ一覧120が記録される。なお,電子マークデータ一覧120は,後述する電子マークリストデータなど,電子マークデータに基づいて作成されるリストデータの総称である。
図11に示すように,記憶装置20には,映像シーンごとに,「RECスタート」などからなる電子マークテキストデータ,「シーンID」などから構成される属性マークデータ,およびタイムコードである「TC」を構成要素として,グループ化されて記録装置20に記録される。
電子マークデータ一覧120に記録された属性マークデータおよび電子マークテキストデータからなる電子マークデータと,電子マークデータに同期したタイムコードデータとを索引として,電子マークデータ一覧120に記録される該当する映像シーンを検索可能であり,記録媒体14に記録されたタイムコードデータおよび属性マークデータから直接,記録媒体14に記録された映像シーンを検索することも可能である。
(3. 映像コンテンツ編集支援システムにおける動作説明)
次に,上記のように構成された映像コンテンツ編集支援システムの動作の実施形態について説明する。
(3.1 撮像装置2による記録処理)
次に,図3および図12を参照しながら,撮像装置2による記録(記述)処理について説明する。図12は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの撮像装置による撮影の記録処理を示すフローチャートである。
まず,被写体を撮影するために,撮像装置2の操作スイッチ部32から電源が入力状態になり,また設定スイッチ40を操作することにより,記録媒体14のメディアID,映像コンテンツのシーンID,または撮影時間(タイムコード)など記録媒体14に記述するデータの設定が行われる。
上記設定によりデータ信号発生部41にて,タイムコードデータDTとユーザデータDUが生成される。このタイムコードデータDTとユーザデータDUは,それぞれタイムコードデータ保持部42とユーザデータ保持部43に保持されて,保持されたデータはタイムコードデータ保持部42とユーザデータ保持部43から出力される。
また,設定スイッチ40が操作されて映像シーンを識別するシーンIDである属性マークデータや,撮影日付,撮影場所など映像コンテンツと関連する電子マークテキストデータを記述(記録)するモードが選択されると,データ信号発生部41は,データ信号発生部41に備えられたGPS部(図示せず)の位置情報信号などに基づいて,属性マークデータDZと電子マークテキストデータDMを生成する。
属性マークデータDZと電子マークテキストデータDMは,各属性マークデータ保持部78または電子マークテキストデータ保持部45に保持されて,保持されたデータは,属性マークデータ保持部78または電子マークテキストデータ保持部45から出力される。
図12に示すように,編集者端末装置4に記録状態を示すVTRステータス信号を送信して,操作スイッチ部32が操作されて撮影の記録処理が開始される(S1202)と,動作制御部33から出力されるモータ制御信号MCに基づき記録(記述)状態であれば(S1204),モータ制御部34により,モータ駆動信号MDが,キャプスタンモータ35およびドラムモータ36に伝送されて,記録媒体14のテープ走行が開始されると共に回転ヘッド部37が回転する。
また,記録(記述)状態である場合(S1204),動作制御部33から出力された記録動作を示すモード信号MSに基づいてデジタル信号記録部71から記録信号が回転ヘッド部37に伝送される。
回転ヘッド部37は,電子マークデータが生成された場合は電子マークデータを記述して,記述された映像コンテンツデータである記録信号を,図6に示すヘリカルトラック82に記録する(S1206)。映像コンテンツデータの記録(記述)処理(S1206)は,記録(記述)状態(S1204)である間,継続して記録処理が行われる。なお,電子マークデータを映像コンテンツデータに記述する処理については後程後述する。
さらに,記録信号は,制御装置76に伝送されて,編集者端末装置4が表示可能な映像コンテンツデータとして,通信部75を介して,編集者端末装置4へ伝送される(S1208)。なお,伝送する際に,映像コンテンツデータを圧縮などして低解像度の映像コンテンツデータに変換して伝送することも実施可能である。
(3.2 撮像装置2による属性マークデータが記述される記述処理)
次に,図3および図13を参照しながら,撮像装置2による属性マークデータの記述処理について説明する。図13は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムにおける属性マークデータの記述処理のフローチャートである。
まず図12に示すように,上記記載の映像コンテンツデータの記録をする記録処理(S1206)において,属性マークデータの記述処理が実行される。
図13に示すように,撮影が開始されて記述(記録)動作を示すモード信号MSがモノマルチ47に伝送されると,モノマルチ47から所定時間ハイレベル「H」のモードタイミング信号MTが出力されて記録動作開始となる(S1302)。
記録動作開始(S1302)となると,データ信号発生部41で属性マークデータDZが生成されて(S1304),属性マークデータ保持部78により,属性マークデータDZは保持される。また,モードタイミング信号MTにより,信号切換スイッチ49の可動端子は,モードタイミング信号MTがハイレベル「H」の間,端子bとなる。
マーカボタン50が操作されていない場合は,モノマルチ51から出力されるマーク信号GWの信号レベルはローレベル「L」であるので,信号切換スイッチ77の可動端子は端子a側とされて,映像シーンの識別をするシーンIDの属性マークデータDZが信号変調部53に伝送される。
また,記録動作を示すモード信号MSが記録部54に伝送されるので,更新されたタイムコードデータDTと属性マークデータDZに基づいて生成された記録信号WSが固定ヘッド55および回転ヘッド部37に伝送されて,記録媒体14は,図6および図8に示すように,タイムコードトラックTCにタイムコードデータDTが更新されながら記述(記録)される。さらに,ヘリカルトラック82のAUX信号フィールドに構成する「ユーザデータ」部に,映像シーンの識別をする「シーンID」である属性マークデータDZが記述(記録)される(S1306)。
記録信号WSを受信した記録部54は,属性マークデータを編集者端末装置4へ伝送するために,制御装置76へ,記録信号WSを伝送する。属性マークデータは,図4に示すようにKLV符号化されて,通信部75を介して編集者端末装置4へ伝送される(S1308)。
属性マークデータは,映像シーンを識別するメタデータであることから,記録媒体14および編集者端末装置4の記憶装置20に記述(記録)されることで,編集者端末装置4から記録媒体14に存在する目的の映像シーンを特定する際の,参照データの役割を果たす。
(3.3 撮像装置2による電子マークテキストデータが記録される記録処理)
次に,図14を参照しながら,撮像装置2による電子マークテキストデータの記述処理について説明する。図14は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの撮像装置による電子マークテキストデータの記述処理を示すフローチャートである。
まず図12に示すように,上記記載の映像コンテンツデータの記録をする記録状態(S1204)の間,電子マークテキストデータの記述処理は,マーカボタン50が操作されることにより実行される。
次に、図14に示すように,上記記録状態時(S1204)に,記録動作を示すモード信号MSがモノマルチ47に伝送されると,モノマルチ47から所定時間ハイレベル「H」のモードタイミング信号MTが出力されて,データ信号発生部41で電子マークテキストデータDMが生成される(S1402)。
マーカボタン50に構成される「RECスタート」ボタン(図示せず)が押される(S1404)と,モノマルチ51から出力されるマーク信号GWは所定時間ハイレベル「H」になるので,信号切換スイッチ77の可動端子は端子b側となる。またマーク信号GWが所定時間ハイレベル「H」とされるので,信号MRも所定時間ハイレベル「H」となり,信号切換スイッチ49の可動端子は端子b側になる。
したがって,信号変調部53には「RECスタート」からなる電子マークテキストデータMDが伝送される。記録データ信号WTを受信した記録部54は,固定ヘッド55に,記録信号WTを伝送して,さらに記録信号WSを,制御装置76に伝送する。
「RECスタート」からなる電子マークテキストデータMDおよびタイムコードデータDTから構成される記録信号WSを受信した制御装置76は,通信部75に,電子マークテキストデータおよびタイムコードデータを送信する。
通信部75は,受信した「RECスタート」からなる電子マークテキストデータおよび電子マークテキストデータに同期するタイムコードデータをそれぞれ図5に示すように,KLV符号化して,編集者端末装置4へ伝送する(S1406)。
また,この記録動作中,例えばビデオカメラで撮影中に「ハイライト」場面など,重要な場面の場合に,マーカボタン50に備わる,「ハイライト」ボタン(図示せず)が操作される(S1404)と,上記記載のように,操作されたマーカボタン50の種類に応じたテキストデータ(「ハイライト」)からなる電子マークテキストデータが,編集者端末装置4に,図5に示すように,KLV符号化されて伝送される(S1406)。
なお,音声で「ハイライト」と音声マイク変換部79に入力して,「ハイライト」と音声マイク変換部79が認識して,マーカボタン50に備わる「ハイライト」ボタンを操作する(図示せず)と同様に,「ハイライト」の電子マークテキストデータを生成する操作信号SGを生成することもできる。
撮影の記録処理が終了すると,映像コンテンツデータが記録された記録媒体14は,例えば,図11に示すように,「映像シーン1」および「映像シーン2」から構成される映像コンテンツデータが記録される。
また図11に示すように,「映像シーン1」,「映像シーン2」ごとに記録処理開始と同時に属性マークデータであるシーンID102およびシーンID110と,「TC1」,「TC2」をはじめとするタイムコードデータが,映像コンテンツデータに記述されて,ほぼ同時に記憶装置20を備える編集者端末装置4へ属性マークデータおよびタイムコードデータが伝送される。
さらに図11に示すように,マーカボタン50または音声マイク変換部79を操作することにより発生した「IN」,「ハイライト」などの電子マークテキストデータは,編集者端末装置4の記憶装置20に記述されて,記述された電子マークテキストデータに同期するタイムコードについても,編集者端末装置4の記憶装置20に記述される。
本実施の形態では,図11に示すように,電子マークテキストデータが記録媒体14に記録されず,編集者端末装置4などの別の記録媒体に記録される例を示したが,かかる例に限定されずに,図10に示すように,電子マークテキストデータおよび属性マークデータから構成される電子マークデータを分散せずに記録媒体14に記述することも実施可能である。
(3.4 編集者端末装置4による電子マークデータの受信処理)
次に,図2および図15を参照しながら,編集者端末装置4による電子マークデータの受信処理について説明する。図15は,本実施の形態にかかる編集者端末装置による電子マークデータの受信処理を示すフローチャートである。
まず,図15に示すように,撮像装置2による撮影処理の開始前に,編集者端末装置4の電源をオンにして,電子マークデータを受信できるように,撮像装置2が記録する記録媒体14を識別するメディアIDなどを事前に設定しておく。
次に,撮像装置2により記録状態のVTRステータス信号が送信されて,撮影処理が開始されると,撮像装置2から映像コンテンツデータが伝送されて,通信部21により受信して(S1502),映像コンテンツデータが表示部22に表示される。
記録処理過程において,撮像装置2により電子マークデータが記述されると,撮像装置2からKLV符号化された電子マークデータが編集者端末装置4に伝送されて,通信部21によりKLV符号化された電子マークデータを受信する(S1504)。
受信するKLV符号化された電子マークデータは,CPU23により,属性マークデータまたは電子マークテキストデータであるかを判断されて(S1506),属性マークデータの場合で記憶装置20に格納された同一の属性マークデータが存在しない場合は,電子マークリストデータに構成するシーンIDブロックデータ作成処理を行う(S1508)。
同一の属性マークデータが存在または電子マークテキストデータである場合は,電子マークリストデータのシーンIDブロックデータの更新処理を行う(S1510)。なお,本実施の形態にかかるシーンIDブロックデータおよび電子マークリストデータについては,後述する。
次に,電子マークリストデータ作成(S1508)または電子マークリストデータ更新(S1510)が終了すると,撮像装置2が記録状態であるかをVTRステータス信号などにより判断して(S1512),記録状態である場合は,映像コンテンツデータの受信(S1502)を継続して,記録状態ではなく撮影が終了している場合は,表示部22に表示される編集画面1700に基づいて編集処理をする(S1514)。なお,本実施の形態にかかる表示部22に表示される編集画面1700については後程後述する。
次に,編集画面1700に基づいて映像コンテンツデータの編集処理(S1514)が終了すると,本編集において,編集に必要とされる映像シーン(例えば,In点からOut点まで)のタイムコードなどが記録された編集情報データを作成する(S1516)。なお,本実施の形態にかかる編集情報データについては後程詳述する。
(3.5 電子マークリストデータの作成処理または更新処理)
ここで,図15および図16を参照しながら,電子マークリストデータの作成処理または更新処理について説明する。図16は,本実施の形態にかかる電子マークリストデータを示す説明図である。
まず図15に示すように,KLV符号化された属性マークデータを受信(S1506)すると,CPU23は,図4に示す属性マークデータである「素材番号」を抽出して,記憶装置20に格納された電子マークリストデータから同一の属性マークデータが存在するか検索する。
(3.5.1 電子マークデータリストの作成処理)
次に,図15に示すように,同一の属性マークデータが存在しない場合,電子マークリスト作成部28は,電子マークリストデータの作成を行う(S1508)。
ここで,電子マークリストデータ1600は,図16に示すように,読書き可能な記憶装置20に記憶されており,撮像装置2により記録処理されている記録媒体14を識別する1または2以上からなるメディアIDブロックデータ1602と,映像シーンを識別する1または2以上からなるシーンIDブロックデータ1603と,1または2以上からなるテキストブロックデータ1604とから構成される。
編集者端末装置4から,映像コンテンツデータを最初に受信する場合は,電子マークリストデータ1600には,データが存在せず,映像コンテンツデータを受信する際に,まず撮像装置2が使用する記録媒体14のメディアIDであるメディアIDブロックデータ1602を作成する。
なお,メディアIDは,予め撮像装置2により記録媒体14に登録しておくことが可能であることから,映像コンテンツデータを受信する設定時にメディアIDブロックデータ1602を作成せずに実施することも可能である。さらに,メディアIDに追加情報として記録媒体14の保管場所などのテキストデータを登録することも可能である。
同じメディアIDについては,メディアIDブロックデータ1602に,順次シーンIDブロックデータ1602およびテキストブロックデータ1604が追加されていく。
次に,電子マークリストデータの作成処理について,受信されたKLV符号化の属性マークデータは,電子マークリスト作成部28により,図4に示す「素材番号」に格納された「シーンID」が抽出される。
次に,映像シーンを識別する「シーンID」に基づいて,電子マークリスト作成部28は,予め設定されたメディアIDに該当するメディアIDブロックデータ1602にシーンIDブロックデータ1603を新規に作成する。
したがって,新規作成直後のシーンIDブロックデータ1603には,電子マークテキストデータが受信されるまでテキストブロックデータ1604は存在しない。
(3.5.2 電子マークリデータリストの更新処理)
次に,図15に示すように,属性マークデータ以外の,KLV符号化された電子マークテキストデータまたはタイムコードデータを,通信部21を介して受信した場合,電子マークリスト作成部28は,電子マークリストデータの更新処理を行う(S1510)。
まず,電子マークリストデータの更新処理について,電子マークリスト作成部28は,KLV符号化された電子マークテキストデータまたはタイムコードデータから,図5に示す「Value」部に格納されたテキストデータまたはタイムコードデータを抽出する。
なお,抽出されたテキストデータが,“ハイライト”など,特に重要と思われる内容である場合,電子マークリスト作成部28は,表示部22の画面を点滅させるなど注目されるように,CPU23に対して命令することも実施可能である。したがって,撮像装置2から編集者端末装置4に対して所定の電子マークデータを送信することにより,編集者端末装置4を制御することが可能となる。
次に,電子マークリスト作成部28は,直近に作成されたシーンIDブロックデータ1603に,テキストブロックデータ1604を追加して,上記抽出されたテキストデータまたはタイムコードデータを,追加されたテキストブロックデータ1604に更新する。
テキストブロックデータ1604は,抽出されたテキストデータまたはテキストデータと同期するタイムコードを1組として構成して,テキストブロックデータ1604は,テキストデータおよびタイムコードの受信毎に作成される。
なお,本実施の形態にかかるテキストブロックデータ1604は,編集者端末装置4に受信された受信順に作成される場合を例にあげて説明したが,かかる例に限定されず,受信されたテキストデータの種類順に作成することも実施可能である。
また,本実施の形態にかかるテキストブロックデータ1604は,テキストデータおよびタイムコードデータを1組として構成される場合を例にあげて,説明したが,かかる例に限定されず,例えば,テキストデータの種類ごとに,タイムコードデータを同じ種類のテキストデータに追加格納することも実施可能である。
また,本実施の形態では,記録処理時において,撮像装置2から電子マークテキストデータまたはタイムコードデータを,リアルタイムに受信して,テキストブロックデータ1604を作成する場合を例にあげて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,記録処理終了後に,撮像装置2から,記録された属性マークデータ,電子マークテキストデータ,およびタイムコードデータを一括して,まとめて受信することも実施可能である。
(3.6 編集者端末装置4に表示される編集画面1700について)
ここで,図17を参照しながら,本実施の形態にかかる編集画面1700について説明する。図17は,本実施の形態にかかる映像コンテンツ編集支援システムの編集者端末装置に表示される編集画面の表示例を示す説明図である。
図17に示すように,表示部22に表示される編集画面1700は,撮像装置2からリアルタイムに送信または記憶装置20に記憶されている映像コンテンツデータを表示する映像画面部1701と,電子マークデータであるテキストデータなどが表示される編集画面部1710と,目的の映像シーンを検索する検索部1704とから構成される。
また,映像画面部1701は,映像コンテンツデータが表示される映像画面1702と,電子マークテキストデータを撮像装置2の記録媒体14に記述させるための電子マークテキストボタン1744(1744a,1744b,1744c,1744d)とから構成される。なお,電子マークテキストボタン1744は,編集画面1700では,4個のボタンから構成されるが,かかる例に限定されず,1または2以上からなる任意のボタンを構成して実施することができる。
また,編集画面部1710は,属性マークデータまたは電子マークテキストデータから構成される電子マークが記録された映像シーンを代表する画像フレームを表示する画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)と,電子マークの内容を表示するマーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)とから構成される。
なお,本実施の形態にかかる編集画面部1710は,画像表示画面およびマーク表示部が,4画面ずつ画面表示されているが,かかる例に限定されず,例えば,10画面ずつ表示することも可能である。
マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)は,記録媒体を識別する「メディアID」と,映像シーンを識別する「シーンID」と,電子マークテキストデータの「テキストデータ」と,タイムコードである「TC」とから構成される。
例えば,マーク表示部1720は,「メディアID」が“ABC”と,「シーンID」が“11113”と,「テキストデータ」が“RECスタート”と,「TC」が“01:12:25”と表示されている。
また,「テキストデータ」を変更することは可能であり,“RECスタート”から“ハイライトNo1”,“First In”など,「テキストデータ」を変更することが可能である。
また,マーク表示部1722の「テキストデータ」に表示された“E140−39−2 N41−40−6”は,撮像装置2に備わるGPSにより測位された撮影場所を示している。つまり,「東経140度39分2秒,北緯41度40分6秒」を表している。なお,本実施の形態では,緯度および経度の表示がされる場合を例にあげて説明したが,かかる例に限定されず,高度を表示することも可能であり,緯度,経度,または高度を組合わせて表示することも実施可能である。
また,マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)には,電子マークテキストボタン1744,マーカボタン50,または音声マイク変換部79のうちいずれかが操作されることにより記述された電子マークデータが表示されて,さらに画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)には,電子マークデータが記述された位置と同期する映像コンテンツデータの画像が,それぞれリアルタイムで表示される。
本編集前の粗編集である編集処理は,編集画面部1710に表示されるマーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)に基づいて,映像シーンの特徴を把握して,本編集の際に必要となる映像シーンの取捨選択(Logging)する。
つまり,マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)に表示されるテキストデータは,何か出来事のあった特徴のある場合に記述されることから,編集画面部1710に表示される画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)に注目することによりLoggingの編集作業が効率的に実施できる。
また例えば,画像表示画面1716に表示された画像は,マーク表示部1726にテキストデータの内容が「ハイライト」と表示されている。したがって,映像シーン(「シーンID 11113」)の見せ場として使用することが容易に把握できる。
さらに,マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)に表示されるテキストデータの内容から,映像シーンの内容を把握して,再度,映像シーンの確認をしたい場合は,マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)に表示される「テキストデータ」または「タイムコード」などを選択することにより,記憶装置20に記憶されている映像コンテンツデータまたは撮像装置2の記録媒体14に記録された映像コンテンツデータから,指定された「テキストデータ」または「タイムコード」に対応した映像シーンにキューアップできる。
また,映像コンテンツデータに記述された電子マークデータの存在位置である編集点(キュー点)を変更して,画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)に表示される画像を変更することも可能である。
変更する場合,画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)に表示される画像などを選択することにより,記憶装置20に記録された映像コンテンツデータから映像シーンを映像画面1702に表示させて,電子マークデータの編集点(キュー点)を変更することが可能である。
したがって,「テキストデータ」が「IN」(In点)または「OUT」(Out点)である画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)に表示される画像を映像画面1702に表示させて,編集点を変更することにより,編集者端末装置4の編集画面1700から,直接その他の編集装置を使用することなく,使用される映像シーンを抽出する(Ingesting)粗編集作業を効率的に行うことができる。
なお,変更後の「テキストデータ」または編集点などの変更情報を,ネットワーク16を介して,編集者端末装置4から撮像装置2に伝送することにより,記録媒体14に記述された「テキストデータ」または電子マークデータの編集点(キュー点)を変更することも実施可能である。
また,検索部1704に構成する検索入力1706に目的とする「テキストデータ」をキーワードとして入力して,ボタン1708をマウスのクリックなどで選択して実行すると,キーワードに該当する電子マークデータを,記憶装置20に記憶された電子マークリストデータ1600から検索を行うことができる。
さらに,検索の結果,一致する電子マークデータおよび該当する画像を,マーク表示部(1720,1722,1724,1726,1728)および画像表示画面(1712,1714,1716,1718,1719)にそれぞれ表示することができる。
したがって,本編集に必要となりそうな映像シーンまたは画像の特徴を,電子マークテキストデータのテキストデータをキーワードとして検索することにより,該当するキーワードに一致した目的の映像シーンまたは画像を容易に選択することが可能となる。
(3.7 編集情報データについて)
ここで,編集情報データについて説明すると,編集情報データは,EDL(Edit Decision List)などの映像シーンの編集位置がタイムコードデータに基づいて記録されており,上記編集情報データに基づいて,マスタとなる記録媒体14に記録された映像コンテンツデータのオンライン編集などによる本編集作業を行う。
上記編集情報データは,図1に示すメモリスティックなどの記録媒体12に記憶させて,本編集作業に使用するオンライン編集装置(図示せず)により記録媒体12に記憶された編集情報データを読み取ることが可能である。なお,記録媒体12を使用せずにネットワークを介して編集情報データをオンライン編集装置に送信することも可能である。
編集者端末装置4により,撮像装置2から記録処理中に並行して,Loggingなどの粗編集を行い,粗編集終了後,本編集のための編集情報データを作成することが可能となる。したがって,撮影終了後,改めて,VTRの再生処理などにより,本編集に必要な映像シーンを確認する必要がなくなり,編集作業の処理効率の向上が図れる。
さらに,「テキストデータ」に設定されたテキストに基づいて,本編集に必要となる映像シーンのキーワードを設定することにより,キーワードに該当した,目的とする映像シーンを見つけ出す,映像シーンの選択処理の効率が改善される。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例を想定し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態においては,撮像装置2により,電子マークデータの記述が行われる場合を例にあげて説明したが,電子マークデータを記述するためのマーカボタン50などの入力装置,電子マークデータを記述する記録部54などを備えることにより,かかる例に限定されない。例えば,編集者端末装置4にマーカボタン50および記録部54などを備えることにより,撮像装置2により撮影された映像コンテンツデータを編集者端末装置4が受信して,記録媒体に映像コンテンツデータを記録しながら,映像コンテンツデータに電子マークデータを記述することも実施可能である。
また上記実施形態においては,記録媒体14は磁気テープの場合を例にあげて説明したが,映像コンテンツデータを記録できる媒体であれば,かかる例に限定されない。例えば,磁気ディスクなどの媒体であっても実施可能である。
また上記実施形態においては,GPSを備えて撮影場所の情報を電子マークテキストデータに記録する場合を例にあげて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,撮像装置2のズームの倍率など,撮像装置2の動作情報を電子マークテキストデータに記録して実施することも可能である。