JP2006019936A - ノイズフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】部品を接地する必要がなく、急峻なカットオフ特性をもち、かつ広帯域にわたって大きなノイズ減衰効果が得られるノイズフィルタを提供する。
【解決手段】絶縁体5内に、各信号配線3に個別に対応して入力側コイル11、出力側コイル12、およびノイズ還流用コンデンサ13を配設し、両コイル11,12を直列接続するとともに、各入力側コイル11と出力側コイル12との接続点を、ノイズ還流用コンデンサ13を介して非接地の状態で共通に接続する。
また、ノイズ還流用コンデンサ13を、入力側コイル11と出力側コイル12との間を互いに接続するコイル接続用電極21と、このコイル接続用電極に対して絶縁体5を介して対向配置されたノイズ還流用電極22とから構成するとともに、ノイズ還流用電極22を、各コイル接続用電極21を横切るように連続して形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ノイズフィルタに関し、詳しくは、回路基板上に形成された複数の信号配線を流れるノイズを有効に除去するためのノイズフィルタに関する。
例えば、携帯電話における受信感度劣化を防止するためには、通常、ノイズを有効に除去することが必要になる。この場合、携帯電話の通信方式によって使用される周波数帯域が異なっており、どのような通信方式の携帯電話に対してもノイズを有効に除去するためには800MHz〜2GHz程度の広い帯域にわたってノイズを除去することが必要となる。また、1つの携帯電話でも2つの通信帯域を使用するものがあり、その場合にも広い帯域にわたってノイズを有効に除去することが必要となる。
このようなノイズ除去のために使用されるフィルタ素子として、従来より2端子型のチョークコイルやフェライトビーズを利用したものが知られている。
ところで、チョークコイルをノイズフィルタとして使用する場合には、チョークコイルを各信号配線に単に実装するだけでノイズを除去することができるためノイズ対策は容易であるが、チョークコイルは、ノイズを除去することができる帯域が比較的狭く、特定周波数のノイズしか有効に除去することができないという問題点があり、前述のような広い帯域でノイズを効率よく除去することが難しいという問題点がある。
また、フェライトビーズを用いる方法の場合、チョークコイルの場合と同様に、フェライトビーズを各信号配線に単に実装するだけでノイズを除去することができるためノイズ対策は容易であるが、フェライトビーズは、低周波域でもノイズを除去するため、必要な信号を減衰させるなど、信号波形に及ぼす影響が大きく、また、高減衰が得られないため十分なノイズの除去効果を得ることができない場合がある。
また、上述のようなノイズ除去を目的とするフィルタ素子として、3端子型のLCフィルタを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このLCフィルタには、T型、π型、L型等の各種のものがあるが、これらのいずれにおいてもインダクタンスとキャパシタンスとを適宜設定することにより、広帯域のノイズ除去特性が得られるという利点がある。
しかしながら、LCフィルタは、コンデンサに連なる外部電極を接地する必要があるため、LCフィルタが実装される回路基板には、接地用電極パターンを形成することが不可欠となる。このため、回路基板の配線の自由度が制限されるという問題点がある。
すなわち、高密度実装を行う回路基板においては、複数の信号配線が形成されるが、部品レイアウトによってはこれらの信号配線と共に十分な線幅の接地用電極パターンを形成することが困難な場合がある。そのため、接地用電極パターンに寄生するインダクタンスの影響によりLCフィルタの周波数特性が変化してノイズを十分に除去できなくなるという問題点がある。
このような不都合を回避するため、従来技術では、回路基板の内部に広い面積の接地用電極パターンを形成し、この接地用電極パターンをスルーホールを介してLCフィルタの接地用の外部電極に接続するようにしたものも提供されている。
しかし、回路基板の内部に接地用電極パターンを形成したり、スルーホールを形成したりすることは、回路基板の構成が複雑化してコストの上昇を招くという問題点がある。
特開2002−100947号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、部品を接地する必要がなく、しかも、急峻なカットオフ特性をもち、かつ広帯域にわたって大きなノイズ除去効果を得ることが可能なノイズフィルタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)のノイズフィルタは、
回路基板上に形成された複数の信号配線を流れるノイズを除去するためのノイズフィルタであって、
絶縁体内に、前記各信号配線に個別に対応して入力側コイル、出力側コイル、およびノイズ還流用コンデンサが配設され、
前記入力側コイルと出力側コイルとが直列接続されるとともに、
前記信号配線ごとの前記入力側コイルと前記出力側コイルとの接続点が、前記ノイズ還流用コンデンサを介して非接地の状態で共通に接続されていること
を特徴としている。
また、請求項2のノイズフィルタは、請求項1記載の発明の構成において、前記ノイズ還流用コンデンサが、前記入力側コイルと出力側コイルとの間を互いに接続するコイル接続用電極と、このコイル接続用電極に対して前記絶縁体を介して対向配置されたノイズ還流用電極とから構成され、前記ノイズ還流用電極が前記各コイル接続用電極を横切るように連続して形成されていることを特徴としている。
また、請求項3のノイズフィルタは、請求項1または2記載の発明の構成において、前記入力側コイルと前記出力側コイルには、それぞれコンデンサが並列接続されてLC並列共振回路が構成されていることを特徴としている。
また、請求項4のノイズフィルタは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成において、前記入力側コイルと出力側コイルのインダクタンス値が同じであることを特徴としている。
また、請求項5のノイズフィルタは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値がそれぞれ同じ値であることを特徴している。
また、請求項6のノイズフィルタは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値がそれぞれ同じ値であり、かつ、20pF以下であることを特徴としている。
また、請求項7のノイズフィルタは、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の構成において、前記信号配線の数が3以上であることを特徴としている。
本発明(請求項1)のノイズフィルタにおいては、各信号配線に個別に対応して入力側コイル、出力側コイル、およびノイズ還流用コンデンサを配設し、入力側コイルと出力側コイルを直列接続するとともに、信号配線ごとの入力側コイルと出力側コイルとの接続点を、ノイズ還流用コンデンサを介して非接地の状態で共通に接続するようにしているので、800MHz〜2GHz程度の広い帯域にわたってノイズを有効に除去することが可能になる。
したがって、本発明のノイズフィルタを用いることにより、例えば携帯電話のノイズ対策を有効に行うことが可能になる。また、急峻なカットオフ特性をもつため、信号波形に及ぼす影響を小さく抑えることが可能になる。
しかも、回路基板には接地用電極パターンを形成する必要がないため、回路基板の配線の自由度を向上させることが可能になるとともに、回路基板の内部に広面積の接地用電極パターンを形成することが不要になるため、回路基板のコストダウンを図ることが可能になる。
さらに、一つの部品内に複数のフィルタ素子が一体的に形成されているため、複数の信号配線のノイズをそれぞれ除去することが可能で、それぞれの信号配線ごとにフィルタ素子を個別に設ける必要がなく、従来に比べて部品点数を削減することが可能になるとともに、部品実装の効率化、回路基板上の実装面積の削減を図ることが可能になる。
なお、複数の信号配線どうしを容量結合させると、クロストークなどの問題が生じることが知られており、また、一般的に、信号周波数は数十MHz以下であり、ノイズ周波数はGHz帯であることが知られている。
本発明においては、信号周波数にクロストークの影響が出ないように、ノイズ還流用コンデンサの値を設定すること(特に小容量で形成すること)が重要であり、ノイズ還流用コンデンサの値を適切な値に設定することにより、他の信号配線にノイズ電流のみを還流させることが可能になる。
また、請求項2のノイズフィルタのように、ノイズ還流用コンデンサを、入力側コイルと出力側コイルとの間を互いに接続するコイル接続用電極と、このコイル接続用電極に対して絶縁体を介して対向配置されたノイズ還流用電極とから構成するとともに、ノイズ還流用電極を、各コイル接続用電極を横切るように連続して形成するようにした場合、請求項1記載の発明の効果に加えて、ノイズ還流用電極が、ノイズ還流用コンデンサのキャパシタンス形成用の電極としての機能を果たすとともに、ノイズ還流用コンデンサの相互間を共通に接続する電極としての機能を果たすことになるため、ノイズ還流用コンデンサの相互間を接続する電極パターンを別途設ける必要がなくなり、ノイズフィルタ全体の構成を簡素化することが可能になり、本発明をより実効あらしめることが可能になる。
また、本発明は、請求項3のノイズフィルタのように、入力側コイルと出力側コイルに、それぞれコンデンサを並列接続してLC並列共振回路を構成することも可能であり、その場合にも請求項1記載の発明の効果と同様の効果を得ることが可能であり、さらに、インダクタンスとキャパシタンスとを適宜設定することにより、より広帯域のノイズ除去特性を得ることが可能になる。
また、請求項4のノイズフィルタのように、入力側コイルと出力側コイルのインダクタンス値を同じにすることにより、安定して確実なノイズ除去を行うことが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、請求項5のノイズフィルタのように、各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値をそれぞれ同じ値とすることにより、より安定して確実なノイズ除去を行うことが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
また、請求項6のノイズフィルタのように、各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値をそれぞれ同じ値とし、かつ、20pF以下とすることにより、800MHz〜2GHz程度の広い帯域にわたって、安定して確実なノイズ除去を行うことが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
また、請求項7のノイズフィルタのように、信号配線の数が3以上の場合に本発明を適用した場合、部品点数削減の効果が大きく、また、部品実装の効率化、回路基板上の実装面積の削減を図ることが可能になり特に有意義である。
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明の実施例にかかるノイズフィルタを回路基板に実装した状態の平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は同ノイズフィルタの製作手順を示す分解斜視図、図4は同ノイズフィルタの等価回路図、図5は同ノイズフィルタのフィルタ作用を説明するための回路図である。
この実施例におけるノイズフィルタ1は、図1および図2に示すように、回路基板2上に形成された複数(この実施例では4本)の信号配線3を流れるノイズを除去するためのノイズフィルタであり、各々の信号配線3に対応するように4つのフィルタ素子4が一体化されたフィルタアレイとして構成されている。
すなわち、このノイズフィルタ1は、セラミックグリーンシートなどの絶縁性シートを積層し、一体焼成することにより形成された直方体状の絶縁体5を備えている。そして、この絶縁体5の左右両端部には、各信号配線3に対応してそれぞれ信号入出力用の外部電極6,7が形成されており、各外部電極6,7が、各信号配線3を構成する左右の電極パターン3a,3bにハンダなどにより電気的に接続されている。
また、絶縁体5内には、各信号配線3に対応して各フィルタ素子4を構成する入力側コイル11、出力側コイル12、およびノイズ還流用コンデンサ13が配設されている。
入力側コイル11は、絶縁体5内において複数積層されたコイル導体16がビアホール18を介して順次接続されることにより螺旋状に形成されている。同様に、出力側コイル12は、絶縁体5内において複数積層されたコイル導体17がビアホール19を介して順次接続されることにより螺旋状に形成されている。
また、ノイズ還流用コンデンサ13は、コイル接続用電極21とノイズ還流用電極22とが絶縁体5を介して交互に積層されることにより形成されている。
そして、この実施例においては、各コイル接続用電極21は、各信号配線3ごとに当該信号配線3に沿って形成されているが、ノイズ還流用電極22は、各信号配線3と直交する方向(図1の上下方向)に沿って各々のコイル接続用電極21を横切るように連続して形成されている。また、このノイズ還流用電極22は、絶縁体5内に埋設されて外部接続されないように構成されている。
そして、各入力側コイル11は、その一端側が絶縁体5の側面に形成された信号入出力用の外部電極6に接続され、他端側がビアホール23,24を介して各コイル接続用電極21に共通に接続されている。
同様に、各出力側コイル12は、その一端側が絶縁体5の側面に形成された信号入出力用の外部電極7に接続され、他端側がビアホール25,26を介してコイル接続用電極21に共通に接続されている。
これにより、各フィルタ素子4を構成する入力側コイル11と出力側コイル12とは、コイル接続用電極21およびその両側のビアホール23,24,25,26を介して直列接続されている。
また、上記のように、ノイズ還流用電極22は、各信号配線3と直交する方向に沿って各々のコイル接続用電極21と対向した状態でコイル接続用電極21を横切るように連続して形成されており、このノイズ還流用電極22は、ノイズ還流用コンデンサ13の一方のキャパシタンス形成用の電極として機能するとともに、ノイズ還流用コンデンサ13の相互間を非接地の状態で共通に接続する電極としても機能するように構成されている。
次に、この実施例におけるノイズフィルタの製造方法について説明する。
この実施例のノイズフィルタ1を製作するには、まず、図3に示すように、例えばコイル形成用の絶縁性シート31、ノイズ還流用コンデンサ形成用の絶縁性シート32、およびこれらの絶縁性シート31,32の間に介在される相互間接続用の絶縁性シート33をそれぞれ所定枚数分だけ準備する。
なお、この実施例の場合、4つの信号配線3に対応させてそれぞれ入力用と出力用のコイル11,12を形成する必要があるため、コイル形成用の1枚の絶縁性シート31には、入力用として4つのコイル導体16が、出力用として4つのコイル導体17がそれぞれ形成されている。
また、各コイル導体16,17は、絶縁性シート31の積層方向に対して螺旋状になるように絶縁性シート31ごとに形状を変えて形成されている。また、各コイル導体16,17は、信号の流れる方向に対して同じ巻回方向とされている。
さらに、ノイズ還流用コンデンサ形成用の上下一対の絶縁性シート32のうち、一方側には各信号配線3に対応して4つのコイル接続用電極21が並列に形成されており、また、他方側には各々のコイル接続用電極21を横切るように延びるノイズ還流用電極22が形成されている。
また、これらの絶縁性シート31,32,33のうち、必要に応じて上下のシート間を電気的に接続するのに必要なビアホール18,19,23,24,25,26が形成されている。なお、この場合の絶縁性シート31,32,33としては、誘電体であるセラミックグリーンシートなどが使用される。また、コイル導体16,17やコイル接続用電極21,ノイズ環流用電極22には、例えばAg−Pd、Agなどの材料が使用される。
そして、コイル接続用電極21が形成された絶縁性シート32と、ノイズ還流用電極22が形成された絶縁性シート32とを交互に所定枚数分積層し、これらの上に相互間接続用の絶縁性シート33を所定枚数分積層し、さらにその上にコイル形成用の絶縁性シート31を所定枚数分積層した後、各々の絶縁性シート31〜33を一体焼成する。
その後、一体焼成して得られた絶縁体5の左右両端部に、各信号配線3に対応する信号入出力用の外部電極6,7を形成する。
これにより、コイル形成用の絶縁性シート31の各コイル導体16,17は、当該シート31に予め設けられたビアホール18,19を介して電気的に接続され、螺旋状の入力側コイル11と出力側コイル12が形成される。
そして、各入力用と出力用の各コイル11,12は、その一端側が外部電極6,7に接続され、他端側がビアホール18,23,24、19,25,26を介してコイル接続用電極21に共通に接続される。
また、ノイズ還流用電極22は、各コイル接続用電極21を横切るように形成されており、各々のコイル接続用電極21と対向するので、コイル接続用電極21とノイズ還流用電極22により、各フィルタ素子4に対応したノイズ還流用コンデンサ13が形成される。
したがって、この実施例におけるノイズフィルタ1は、図4に示すような等価回路となる。このノイズフィルタ1は、信号配線3ごとにフィルタ素子4が個別に構成されており、各フィルタ素子4の入力側コイル11と出力側コイル12とが直列接続されているとともに、入力側コイル11と出力側コイル12との接続点の相互間がノイズ還流用コンデンサ13を介して非接地の状態で共通に接続されている。すなわち、このノイズフィルタ1においては、ノイズ還流用コンデンサ13の一方のコイル接続用電極21により入力側コイル11と出力側コイル12間が接続され、また、ノイズ還流用コンデンサ13の他方のノイズ還流用電極22どうしが非接地の状態で互いに共通に接続されている。なお、図4において、各コイル11,12に並列に接続されているコンデンサ35,36は、各コイル11,12に発生する寄生キャパシタンスである。
この構成のノイズフィルタ1においては、例えば図5の回路図で示すように、一つの信号配線3に流れるノイズ電流は、各信号配線3の両コイル11,12によるインダクタの損失によってノイズが低減され、ノイズ還流用コンデンサ13を介して他の信号配線3に分散されるように還流される。
したがって、このノイズフィルタ1を使用するときには、例えば携帯電話のノイズ対策として必要な、800MHz〜2GHz程度の広い帯域におけるノイズの除去を有効に行うことができる。また、急峻なカットオフ特性をもつため、信号波形に及ぼす影響を小さく抑えることができる。しかも、従来では必要とされた接地用電極パターンが不要になるため、回路基板2(図1)の配線の自由度を向上させることが可能になり、簡単な構成の回路基板2を使用することが可能になるため、回路基板2のコストダウンを図ることが可能になる。
さらに、一つの部品内に複数のフィルタ素子4が一体的に形成されており、各信号配線3のノイズを共に除去することができるため、信号配線3ごとにフィルタ素子を個別に設ける必要がなく、従来に比べて部品点数を削減することができる。
なお、上記の実施例のノイズフィルタ1は、回路基板2上に形成された4本の信号配線に対応して4つのフィルタ素子4が一体形成されている場合を例にとって説明したが、本発明においては、フィルタ素子4の数に特に制約はなく、2つ以上のフィルタ素子4を備えた構成の場合に広く適用することが可能である。
上記の実施例に示した本発明のノイズフィルタ1について、そのフィルタ特性を調べるために、以下の評価実験を行った。
[評価実験1]
本発明のノイズフィルタ1についての挿入損失(IL)の周波数依存特性(以下、IL特性という)を調べた。この場合、クロストークの影響によりIL特性に差が生じることを防止するため、図6の等価回路で示すように、4つのフィルタ素子4のうち、3つのフィルタ素子4について、その左右端に50Ωの終端抵抗37を接続して測定を行った。その際、特性を比較するために、各信号配線にT型LCフィルタを実装したもの(この場合、コンデンサは接地)と、信号配線に対して誘電体内にコイルを形成した空芯コイルを2個直列に接続したものについて、それぞれのIL特性を調べた。なお、ここでは、コイルのインダクタンスは73nH、コンデンサのキャパシタンスは14.5pFに統一して測定を行った。その結果を図7に示す。
図7に示すように、信号配線に空芯コイルを2個直列に接続したものは狭帯域でしか減衰が得られないが、本発明のノイズフィルタ1は、ノイズ還流用コンデンサ13が非接地であるにもかかわらず、600MHz〜2GHzまでの広い帯域で30dB以上の減衰が得られており、従来のT型LCフィルタと同等の特性が得られることが確認された。
[評価実験2]
本発明のノイズフィルタ1において、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスの影響を調べるために、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスを4.66pF〜14.5pFの範囲で変化させた場合における各IL特性を測定した。なお、この場合も図6の等価回路に示す構成となるように結線して測定を行った。その結果を図8に示す。
また、図6に示す等価回路において、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスを5pF〜100pFの範囲で変化させた場合における各IL特性を理論計算により求めた。その結果を図9に示す。
図8および図9に示すように、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスを大きくすると、減衰の得られる周波数域は広帯域となるが、減衰量は小さくなり、また、カットオフ特性も緩慢になることがわかった。さらに、キャパシタンスを大きくし過ぎると、信号周波数帯域でクロストークが発生して信号波形への影響が大きくなることがわかった。
したがって、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスとしては、減衰を得ようとする周波数帯域に応じて適切な値を設定することが必要になる。例えば、携帯電話のノイズ対策を行う場合、10〜50MHzの信号周波数の範囲で抑制したいノイズの周波数は800MHz〜2GHz程度であることから、ノイズ還流用コンデンサ13のキャパシタンスとしては、5pF〜10pF程度が適切と考えられる。
[評価実験3]
本発明のノイズフィルタ1において、フィルタ素子4の数によるIL特性の変化を調べた。
このとき、図4に示す等価回路において、例えば、1つのフィルタ素子4のIL特性の変化を調べる場合には、測定対象外の残り3つのフィルタ素子4の、それぞれの信号入出力用の外部電極6,7は何も結線せずに自由端として測定を行った。
また、2つのフィルタ素子4のIL特性の変化を調べる場合には、測定対象となる2つの両フィルタ素子4のうち、一方のフィルタ素子4の左右の外部電極6,7に50Ωの終端抵抗を接続した。また、測定対象外の他の2つのフィルタ素子4は自由端として測定を行った。
さらに、3つのフィルタ素子4のIL特性の変化を調べる場合には、測定対象となる3つのフィルタ素子のうち、2つのフィルタ素子の左右の外部電極に50Ωの終端抵抗を接続し、測定対象外の残り1つのフィルタ素子は自由端として測定を行った。
また、4つのフィルタ素子のIL特性の変化を調べる場合には、測定対象となる4つのフィルタ素子のうち、3つのフィルタ素子の左右の外部電極に50Ωの終端抵抗を接続して測定を行った。その結果を図10に示す。
図10に示すように、フィルタ素子4の数を多くすることによって大きな減衰量を確保できることが確認された。特に、携帯電話のノイズ対策として必要な800MHz〜2GHz程度の広い帯域で約20dBの減衰を確保するためには、2素子以上が必要であること、さらに、30dB以上の減衰を確保するために4素子以上が必要であることが確認された。
[評価実験4]
本発明のノイズフィルタ1には、各フィルタ素子4に入力側コイル11と出力側コイル12とを設けているが、入力側コイル11と出力側コイル12の影響を調べるために、入力側コイル11を省略した場合の各IL特性を測定した。なお、この場合、本発明のノイズフィルタ1については図6の等価回路に示す構成となるように配線して測定を行った。その結果を図11に示す。
図11に示すように、入力側コイル11を設けない場合には、本発明のノイズフィルタにおいて得られるような、広帯域でかつ急峻なカットオフ特性が得られないことがわかった。
これにより、広帯域でかつ急峻なカットオフ特性を得るためには、本発明のノイズフィルタ1のように、ノイズ還流用コンデンサ13に対して入力側コイル11と出力側コイル12の両方を設ける必要があることが確認された。
なお、コイルは入力側と出力側に少なくとも1つずつ配設されていればよく、必要に応じて3つ以上を直列接続してもよい。
なお、この実施例では、図4に示すように、入力側コイル11と出力側コイル12に寄生して発生した寄生キャパシタンス35,36が接続された状態を示したが、入力側コイル11と出力側コイル12に対してそれぞれ積極的にコンデンサを並列接続してLC並列共振回路を構成することも可能である。この場合、インダクタンスとキャパシタンスとを適宜設定することにより、より広帯域のノイズ除去特性を得ることが可能になるなどの効果を得ることができる。
本発明は、上述のように、各信号配線に個別に対応して入力側コイル、出力側コイル、およびノイズ還流用コンデンサを配設し、入力側コイルと出力側コイルを直列接続するとともに、信号配線ごとの入力側コイルと出力側コイルとの接続点を、ノイズ還流用コンデンサを介して非接地の状態で共通に接続するようにしているので、800MHz〜2GHz程度の広い帯域にわたってノイズを有効に除去することが可能になる。
したがって、本発明のノイズフィルタは、例えば携帯電話のノイズ除去などの用途に好適に用いることが可能であり、さらに、携帯電話のノイズ除去以外の、他の高周波回路のノイズ除去を行う際のノイズフィルタとしても利用することが可能である。
本発明の実施例にかかるノイズフィルタを回路基板に実装した状態を示す平面図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタの製作手順を示す分解斜視図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタの等価回路図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタのフィルタ作用を説明するための回路図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタの評価実験を行う場合の結線状態を示す等価回路である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタにおける挿入損失の周波数依存特性を従来技術と比較して示す特性図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタにおいて、ノイズ還流用コンデンサのキャパシタンスを変化させた場合の挿入損失の周波数依存特性を示す特性図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタにおいて、コンデンサのキャパシタンスを変化させた場合の挿入損失の周波数依存特性を理論計算により求めた結果を示す特性図である。 本発明の実施例にかかるノイズフィルタにおいて、フィルタ素子の数によるIL特性の変化を調べた結果を示す特性図である。 各フィルタ素子について入力側コイルをいずれも省略した場合の挿入損失の周波数依存特性を測定した結果を、本発明の実施例にかかるノイズフィルタの場合と比較して示す特性図である。
符号の説明
1 ノイズフィルタ
2 回路基板
3 信号配線
3a,3b 電極パターン
4 フィルタ素子
5 絶縁体
6,7 外部電極
11 入力側コイル
12 出力側コイル
13 ノイズ還流用コンデンサ
16,17 コイル導体
18,19 ビアホール
21 コイル接続用電極
22 ノイズ還流用電極
23,24,25,26 ビアホール
31 コイル形成用の絶縁性シート
32 ノイズ還流用コンデンサ形成用の絶縁性シート
33 相互間接続用の絶縁性シート
35,36 寄生キャパシタンス(コンデンサ)
37 終端抵抗

Claims (7)

  1. 回路基板上に形成された複数の信号配線を流れるノイズを除去するためのノイズフィルタであって、
    絶縁体内に、前記各信号配線に個別に対応して入力側コイル、出力側コイル、およびノイズ還流用コンデンサが配設され、
    前記入力側コイルと出力側コイルとが直列接続されるとともに、
    前記信号配線ごとの前記入力側コイルと前記出力側コイルとの接続点が、前記ノイズ還流用コンデンサを介して非接地の状態で共通に接続されていること
    を特徴とするノイズフィルタ。
  2. 前記ノイズ還流用コンデンサが、前記入力側コイルと出力側コイルとの間を互いに接続するコイル接続用電極と、このコイル接続用電極に対して前記絶縁体を介して対向配置されたノイズ還流用電極とから構成され、前記ノイズ還流用電極が前記各コイル接続用電極を横切るように連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
  3. 前記入力側コイルと前記出力側コイルには、それぞれコンデンサが並列接続されてLC並列共振回路が構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のノイズフィルタ。
  4. 前記入力側コイルと出力側コイルのインダクタンス値が同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノイズフィルタ。
  5. 各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値がそれぞれ同じ値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノイズフィルタ。
  6. 各信号配線に個別に対応して配設された各ノイズ還流用コンデンサの容量値がそれぞれ同じ値であり、かつ、20pF以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノイズフィルタ。
  7. 前記信号配線の数が3以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のノイズフィルタ。
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