JP2006019675A - 金属パターン形成方法及び導電膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の金属パターン形成方法は、(a)好ましくは表面凹凸が500nm以下の平滑な基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、(b)該重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーがパターン状に直接化学結合した領域を形成する工程と、(c)該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、(d)無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この手法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。
以上述べたのように、細線パターンが形成でき、基板界面の凹凸が少なく、エッチング廃液の少ない、金属パターン形成方法は未だ提供されておらず、新たな金属パターン形成方法が望まれていた。
また、前記架橋剤を用いた架橋反応は、50℃以上300℃以下の温度条件下で行なわれることが好ましい。
ここで、前記(b’)工程において、重合開始層にエネルギーを付与して活性点を発生させ、該活性点を起点として該基板表面と直接結合し且つ無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーを生成させることが好ましく、この時のエネルギー付与方法としては活性光線を照射する方法が好ましい。
本発明の導電膜形成方法においては、前記(d)工程後、(e)電気メッキを行う工程を有することができ、これにより任意の膜厚を有する導電膜を容易に形成することができる。
ここで、表面の凹凸が500nm以下の基板を用いることで、その上にポリマーパターンを形成した場合、ポリマーパターンの表面凹凸もまた500nm以下になる。このようなパターンに無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与し、無電解メッキすることにより、概パターン中にもメッキ触媒、メッキ金属が入り込んだ状態(コンポジット状態)で、かつ、そのパターン上に金属メッキ膜が形成された状態となる。かくして形成された金属パターンの基板界面部(金属と有機成分の界面)の粗さは、メッキ触媒、メッキ金属がポリマーパターン入り込んだ分、ポリマーパターン表面の粗さに比較して若干は粗くなるが、その程度は低いため、金属パターンにおけるメッキ及びメッキ触媒層(無機成分)とポリマー層(有機成分)との界面における凹凸は、形成される金属膜(金属パターン)の高周波特性が低下しない程度に押さえることができる。このために、金属パターンを電気配線として使用する際、優れた高周波特性が得られる。高周波特性とは、高周波送電時の伝送損失が低くなる特性であり、伝送損失の中でも特に導体損失が低くなる特性である。
ここで、基板表面の凹凸を小さくすると、金属パターンの基板界面部の粗さをより抑えることができ、得られる金属パターンの高周波特性が向上するため、表面の凹凸が100nm以下の基板を使用することが好ましい。
本発明においては、この表面凹凸(表面粗さ)の目安として、JIS B0601におけるRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値の差」を用いている。
また、本発明における基板とは、支持体基材の表面に重合開始層(中間層)が形成されたものを指し、表面凹凸は重合開始層(中間層)表面の凹凸を表している。重合開始層表面凹凸は、重合開始層が形成される支持体基材の表面凹凸を反映するため、重合開始層形成前の基材も、その表面凹凸が500nm以下であるものを選択することが好ましい。
本発明の方法により得られる金属パターン、導電膜を、電気配線などに用いる場合、形成された導電部(メッキ触媒、メッキ金属膜)と有機材料(グラフトポリマー)との界面の凹凸が小さくなるほど高周波送電時の電気損失(送電損失)が少なくなる。
本発明における特定重合開始層は、光重合開始基がポリマーにペンダントされており、かつ、そのポリマーが架橋反応により硬化していることから、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーがパターン状もしくは全面に直接化学結合した領域を形成するために、特定重合開始層をモノマー溶液に浸漬、又は、該層上にモノマー溶液を塗布する際において、モノマー溶液に開始剤成分が溶け出すことがなく、基板表面からのみ重合反応が開始すると推測される。一方、表面グラフト化手法において一般的に知られている光重合開始層は、架橋されたバインダー中に開始剤を分散しているものだが、このような光重合開始層では、開始剤の固定化能が低いために、モノマー溶液中に溶け出してしまい、表面からだけでなくモノマー溶液中でも重合反応が開始してしまい、基板表面と直接結合をしていないホモポリマーが副生する。
上述のように、本発明では、開始剤成分の溶け出しが極めて少ない結果、基板表面だけにラジカルが発生し、重合するので、基板表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられ、メッキにより形成された金属膜が磨耗などによりポリマーごと剥離してしまうことがなくなり、金属膜の密着性が向上したものと推測される。
また、本発明における特定重合開始層は光重合開始基がポリマーにペンダントされていることで、プラズマやγ線などの超活性光線を用いることなく、UVなどの活性光線により簡便に活性種を発生させることができるため、装置上も大掛かりな設備が必要ないという利点を有する。
その結果、このようにして得られた導電膜を形成した基板を用いて、従来のセミアディティブ法やサブトラクティブ法を適用してパターン形成することで、基板界面の凹凸が少ない金属パターンが形成できる。
[金属パターン形成方法]
本発明の金属パターン形成方法は、(a)基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程(以下、適宜「重合開始層形成工程」と称する。)と、(b)該重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーがパターン状に直接化学結合した領域を形成する工程(以下、適宜、「パターン形成工程」と称する。)と、(c)該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、(d)無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、を順次有することを特徴とする。
以下、本発明における各工程について順次説明する。
本工程では、基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する。
この特定重合開始ポリマーは、ポリマーの構造中に、重合開始能を有する官能基(以下、適宜、「重合開始基」と称する。)と、架橋性基と、を有するポリマーであり、重合開始基を有する共重合成分と、架橋性基を有する共重合性分と、を含む共重合体であることが好ましい。
本発明においては、このような重合開始層の表面に、後述のごとくグラフトポリマーを生成させるものであるが、上述のような特定重合開始層を設けることにより、重合性基を有する化合物を含有する溶液を接触、又は、塗布する際に、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分(重合開始能を有する成分)が溶出することを防止することができる。また、特定重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したグラフトポリマーが優先的に生成されることになる。
以下、特定重合開始層ポリマーを構成する各成分について詳細に説明する。
特定重合開始ポリマーを構成する重合開始基を有する共重合成分としては、以下の重合開始能を有する構造がペンダントされた、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な重合性基からなることが好ましい。即ち、この共重合成分は、分子内に、重合可能な重合性基と、重合開始能を有する官能基と、が共に存在する構造を有する。
重合開始能を有する構造としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
特公昭47−6416号に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号に記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれる。その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、ターシャリーブチルパーオキシカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号に記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5
,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,
4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフ
ェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−
クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾー
ル、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェ
ニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テ
トラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,
5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−
4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(i)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223号に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)及び(7)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(k)ピリジウム類化合物の例としては、下記一般式(8)で表される化合物を挙げることができる。
本発明における特定重合開始ポリマーを構成する架橋性基を有する共重合成分としては、例えば、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知の架橋性基(架橋反応に用いられる構造を有する官能基)がペンダントされた、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な重合性基からなることが好ましい。即ち、この共重合成分は、分子内に、重合可能な重合性基と、架橋性基と、が共に存在する構造を有する。
また、このような架橋性基は、1種のみが重合性基にペンダントされていてもよいし、2種以上がペンダントされていてもよい。
本発明における特定重合開始ポリマーには、皮膜形成性、親/疎水性、溶媒溶解性、重合開始性などを調整するために、以下に示すような第3の共重合成分を用いてもよい。
この第3の共重合成分としては、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な化合物ならいかなる化合物も用いることができる。重合性などを考慮すれば、好ましいのは、炭素数が1〜20までのアルキル基がペンダントされた、アクリル、メタクリルモノマーが好ましい。また、この際、アルキル基としては、UV露光により、より多くの活性種を発生させるために、第3級水素を有するアルキル基が好ましい。また、アルキル基は、いかなる置換基で置換されていてもよいが、重合開始層のモノマー溶液への溶け出しを防ぐ観点からは、4級アンモニウム塩構造を有する置換基で置換されていることが好ましい。なお、これらの成分は2種類以上共重合してもよい。
重合開始層形成工程において、特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化する方法としては、特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
特定重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH2,多価イソシアネート)、(−NH2,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
本工程においては、上述の特定重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基板(支持体)上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより重合開始層を成膜する。この工程は基板の片面のみを行ってもよいし、両面行ってもよい。基板の両面に重合開始層を形成することにより、グラフトパターン形成、金属パターン形成工程を両面に実施することができる。また、同様に、グラフトポリマー形成、導電膜形成も両面に実施することができる。このような態様をとることで、1つの基板でより多くの電気配線を形成できることから、目的に応じて、例えば、これらをFPC用途として使用する場合には、両面に重合開始層を成膜するのが好ましい。
重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の特定重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
本発明の金属パターン材料の形成方法に適用される基板を形成するための支持体となる基板としては、表面が平滑で、好ましくは表面凹凸が500nm以下であり、且つ、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ樹脂、等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム等が含まれる。本発明において基板に使用される基材としては、ポリエステルフィルム又はポリイミドフィルムが好ましい。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下であるものが選択される。
基板の表面凹凸が500nm以下となるようにするためには、このような基材として、樹脂基板など、それ自体が平滑なものを選択してもよく、また、表面凹凸が比較的大きなものを用いても、前記した重合開始層を設ける際に、その表面凹凸を好ましい範囲に調製することも可能である。即ち、重合開始層の形成に際しては、その重合開始層表面の凹凸が500nm以下となるよう形成されることが好ましく、この条件は、例えば、皮膜形成時の表面平滑性、塗膜の均一性に留意することで実現することができる。
本工程では、特定重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが、パターン状に直接化学結合してなる領域(相互作用性領域)を形成する。
相互作用性領域を形成する態様としては、前述した(b1)〜(b3)の態様が挙げられる。以下に(b1)〜(b3)の態様について詳細に説明する。
態様(b1)は、(b1−1)特定重合開始層上に、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有するポリマーを直接化学結合させて、ポリマー層を形成する工程と、
(b1−2)該ポリマー層に、熱、酸、又は輻射線をパターン状に付与して、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成する工程、とを含む態様である。
なお、以下においては、適宜、「熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基」を、極性変換基と称する。
〔表面グラフト重合〕
上記(b1−1)工程におけるポリマー層は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製される。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。本発明においては、この固体表面が前記特定重合開始層となる。また、活性種を与える手段としては、UV光等の幅射線を照射などの手段が挙げられ、これによりエネルギーが付与され、活性種が発生する。
なお、本発明における表面グラフト重合から得られたポリマー層は、特定合開始層表面に対し、極性変換基を有するポリマー鎖の末端がグラフト鎖として直接結合しているグラフトポリマーであってもよいし、極性変換基を有するポリマー鎖が幹高分子化合物を介して結合しているグラフトポリマーであってもよい。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
なお、本発明において「無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基」とは、後述する無電解メッキ触媒又はその前駆体が付着しうる官能基であれば特に制限はないが、一般的には親水性基が挙げられる。
まず、(A)熱又は酸により極性が変化する官能基について説明する。
(A)熱又は酸により極性が変化するタイプの官能基としては、熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基と、熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の公知の官能基を挙げることができる。
以下に、(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基、及び該官能基を有する化合物の例を挙げる。
例えば、特開平10−282672号公報に記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macromolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
本発明において、(A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基としては、公知の官能基を挙げることができる。
以下に、(A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基、及び該官能基を有する化合物の例を挙げる。
例えば、特開平10−296895号及び米国特許第6,190,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができる。具体的なものとしては、(メタ)アクリロルオキシアルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。
また、特開2001−117223公報記載の官能基も好適にである。該公報に記載された官能基の中でも、特に好ましくは、一般式(3)で示されるカルボン酸基及びカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、これらの例示に特に限定されるものではない。以下、特に好ましい官能基の具体例を示す。
上述の表面グラフト重合により基板上に形成されたポリマー層に対し、極性変換させるために付与するエネルギーがIRレーザなどの光エネルギーである場合には、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物質を、ポリマー層、基材、及び中間層のどこかに含有させておくことが好ましい。また、重合開始層と基板との間に光熱変換物質層を設け、そこに添加してもよい。
上述の表面グラフト重合により基板上に形成されたポリマー層に対し、極性変換させるために酸を付与するためには、酸発生物質を、ポリマー層、ポリマー層の上部、及び中間層のどこかに含有させておくことが好ましい。
極性が変化する官能基の中でも、700nm以下の光照射により、その極性を変化させるものがある。このような(B)光により極性が変化する官能基(極性変換基:700nm以下の光に感応する極性変換基)は、赤外線などの長波長露光や熱によらず、所定の波長の光照射により直接に、分解、開環或いは二量化反応が生じることで、高感度で極性が変化することを特徴とする。以下、700nm以下の光照射により、極性が変化する官能基について説明する。
から親水性に変化する官能基と、(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、例えば、特開2003−222972号公報に記載の一般式(1)〜(4)、及び、(7)〜(9)で表される官能基を用いることができる。
(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基としては、例えば、ビスピリジニオエチレン基が挙げられる。
(b1−2)工程は、上記(b1−1)工程にて形成されたポリマー層に対し、加熱、酸の付与、又は光などの輻射線の照射を行い、パターン状に極性変換させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域のパターンを形成する工程である。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接書き込み、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
また、光照射の一態様として、ポリマー層が光熱変換物質を含有するタイプであれば、赤外線領域のレーザー光等の走査露光による加熱により、パターン状に極性変換させることも可能である。
態様(b2)は、特定重合開始層上に、重合性基、及び、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させた後、輻射線をパターン状に照射し、該化合物を該特定重合開始層に直接化学結合させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域(相互作用性領域)を形成する工程である。
なお、以下の説明において、「重合性基、及び、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物」は、適宜、相互作用性基含有重合性化合物と称する。
このような相互作用性基含有重合性化合物の重合性基と特定重合開始層との化学結合を生成する方法としては、表面グラフト重合法を用いることができる。この表面グラフト重合法により、活性種を有する表面に対し、相互作用性基含有重合性化合物鎖が末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合し、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成することができる。
なお、態様(b2)に係る表面グラフトは、前記態様(b1)で説明した表面グラフト重合と同様にして形成することができる。
本態様に用いられる相互作用性基含有重合性化合物とは、後述の相互作用性基を有するモノマー、該相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
使用できるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、より具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が用いられ、一般的には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが使用できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
本合成手法に関しては、特開2003−335814号公報に記載の手法を用いることができる。
塩基などの処理により二重結合を導入する際に使用される塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
使用される塩基の量は、化合物中の二重結合前駆体の量に対して、当量以下であってもよく、また当量以上であってもよい。
脱離反応における、温度条件は、室温、冷却、過熱いずれの条件であってもよい。好ましい温度条件としては、−20〜100℃の範囲である。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
使用しうる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
態様(b2)において、輻射線をパターン状に照射する際、その輻射線に関しては特に制限はなく、特定重合開始層表面に活性点を生じさせ、相互作用性基含有重合性化合物の重合性基と、特定重合開始層表面と、が結合し得るエネルギーを付与できるものであれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
活性光線を照射する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
また、パターンの書き込み方法としては、先に態様(b1)において挙げた各種の書き込み方法が本態様においても同様に好ましく適用できる。
態様(b3)は、(b3−1)特定重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーを直接化学結合させて、ポリマー層を形成する工程と、(b3−2)該ポリマー層に輻射線をパターン状に照射し、特定重合開始層をアブレーションさせて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成する工程、とを含む態様である。
以下、本発明の態様(b3)における(b3−1)及び(b3−2)工程についてそれぞれ説明する。
態様(b3)の(b3−1)工程は、特定重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーを直接化学結合させて、ポリマー層が形成する工程である。
態様(b3−1)におけるポリマー層の形成方法としては、表面グラフト重合法を用いることができる。この表面グラフト重合法により、活性種を有する特定重合開始層表面に対し、相互作用性基を有するポリマー鎖の末端が直接又は幹高分子を介して化学的に結合し、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域(相互作用性領域)を形成することができる。
なお、態様(b3−1)における表面グラフト重合法は、前記態様(b1)で説明した「表面グラフト重合」と同様である。
態様(b3)が適用される場合に、特定重合開始層に添加される光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質であれば全て使用できる。より詳細には、前記態様(b1)に記載されている光熱変換物質と同様の染料、顔料、及び金属微粒子を用いることができる。
本態様に用いられる染料又は顔料は、感度及び光熱変換物質含有層(特定重合開始層)の膜強度の観点からは、特定重合開始層の全固形分の0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。染料が用いられる場合特に好ましくは、0.5〜10質量%、顔料が用いられる場合特に好ましくは、3.1〜10質量%の割合で使用することができる。また、金属微粒子の場合は、感度及び感光層の膜強度の観点からは、感光層全固形分の0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で使用することができる。
本態様において、アブレーション効果を向上させる目的で、ニトロセルロースを重合開始層中に更に含有させることが好ましい。ニトロセルロースは、近赤外レーザー光を光吸収剤が吸収し発生した熱により分解し、効率よく低分子のガスを発生することにより、重合開始層の除去を促進する。
本態様に好適に用いられる相互作用性基含有重合性化合物としては、前記態様(b2)において用いた相互作用性基含有重合性化合物と同様のものを用いることができる。また、相互作用性基含有重合性化合物を含有する組成物に使用する溶剤、添加剤、等についても、前記態様(2)と同様のものを用いることができる。
本工程においては、照射されたレーザ光等の輻射線が、特定重合開始層をアブレーションさせ、これにより特定重合開始層が除去されることに伴って、特定重合開始層上に形成されたポリマー層をも除去され、その結果、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域(相互作用性領域)が形成される。また、これにより、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用しない基板が露出することになる。
本工程における輻射線のパターン状の照射については、前記態様(b2)と同様の態様が、同様に好ましく適用できる。
本工程においては、前記相互作用性領域領域上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトパターンが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に金属コロイド(無電解メッキ触媒)を吸着させることができる。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、前記(b)工程において基板へ付与した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
本工程では、前記(c)工程により得られた基板上に、無電解メッキを行うことで、パターン状に金属膜が形成される。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトパターンの内部やその上に該パターンに従った高密度の金属膜(金属パターン)が形成される。形成された金属パターンは、優れた導電性、密着性を有する。
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいい、金属を析出させることで導電性を高めることができる。
本工程における無電解メッキは、例えば、前記(c)工程で得られた、無電解メッキ触媒がパターン状に付与された基板を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体がパターン状に付与された基板を、無電解メッキ触媒前駆体がクラフトパターンに吸着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCu(SO4)2、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
本発明の金属パターン形成方法においては、前記(d)工程後、(e)電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を有することもできる。本工程では、前記(d)工程における無電解メッキの後、この工程により形成された金属膜を電極とし、さらに電気メッキを行うことができる。これにより基板との密着性に優れた金属パターンをベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、パターン状の金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本発明の金属パターンを配線パターンなど種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
本発明の金属パターン形成方法により得られる金属パターンについて説明する。
本発明により形成される金属パターンは、基板上に、局所的に金属膜を析出させた金属パターンであって、該基板と該金属膜との間の密着性が良好である事を特徴とする。即ち、基板表面が平滑なもの、具体的には、表面の凹凸が500nm以下のもの、好ましくは100nm以下のものを用いた場合でも、基板と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
なお、基板表面の凹凸は、基板又は形成後の金属パターンを基板平面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値を用いてもよいが、より定量的な目安として、先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値を採用することができ、以下の本明細書の測定値はこの値を用いている。
また、基板と金属膜との密着性の値は、同様にして作製した金属パターン(幅:5mm)の表面に、ポリイミドフィルム(厚み:50μm)をエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト、チバガイギー社製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C6481(1994年度版)に基づき90度剥離実験により得られた値である。本発明においては、この測定方法による基板と金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。
しかし、本発明により形成される金属パターンは、金属膜と、基板に直接化学結合しているポリマーとが、ハイブリッド状態であるために、平滑な基板と金属膜との密着性を維持することが可能となったものである。
本発明により形成される金属パターンにおいては、用いられる基板の表面凹凸に関しては、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。下限値には特に制限はないが、製造の容易性などの実用上の観点からは5nm程度であると考えられる。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下のものが選択される。
本発明の方法により形成された金属パターンを金属配線として用いる場合、表面凹凸が小さくなるほど高周波送電時の電気損失(送電損失)が少なくなり、好ましい。
このように、本発明により形成される金属パターンは、基板界面の凹凸を最小限に留めながらも、基板と金属膜との密着性に優れたものである。
また、本発明の導電膜形成方法は、(a)基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程(「重合開始層形成工程」)と、(b’)該重合開始層表面全面に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーを直接化学結合させてグラフトポリマーを形成する工程(以下、適宜、「グラフト膜形成工程」と称する)と、(c)該グラフトポリマーに無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、(d)無電解メッキを行い、金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
即ち、本発明の金属膜形成方法は、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させた後、該重合開始層表面と直接結合し、且つ、無電界メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマー膜を形成し、該グラフトポリマーに、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与させた後、無電解メッキを行うことと特徴とする。
本発明の第2の態様である導電膜形成方法においても、本発明の第1
2の態様である金属パターン形成方法におけるのと同様に、本工程では、基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する。
まず、本工程において用いられる側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、適宜、特定重合開始ポリマー)について説明する。
この特定重合開始ポリマーは、ポリマーの構造中に、重合開始能を有する官能基(以下、適宜、「重合開始基」と称する。)と、架橋性基と、を有するポリマーであり、重合開始基を有する共重合成分と、架橋性基を有する共重合性分と、を含む共重合体であることが好ましい。
本発明においては、このような重合開始層の表面に、後述のごとくグラフトポリマーを生成させるものであるが、上述のような特定重合開始層を設けることにより、重合性基を有する化合物を含有する溶液を接触、又は、塗布する際に、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分(重合開始能を有する成分)が溶出することを防止することができる。また、特定重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したグラフトポリマーが優先的に生成されることになる。
本発明で使用される、特定重合開始層ポリマーに関しては、「金属パターン形成方法」で説明をした特定重合開始層ポリマーと同じものを使用することができる。また、特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化する方法、成膜方法、基板も「金属パターン形成方法」で説明と同じものを使用することができる。
本工程では、特定重合開始層の全面に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性官能基)を有するポリマーを直接化学結合してなる領域(相互作用性領域)を形成する。(「グラフト膜形成」)
本発明に係るグラフト膜の形成方法においては、以上のようにして得られた重合開始層表面に、エネルギーを付与して、該重合開始層表面に活性点を発生させ、該活性点を起点として該基板表面と直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーを生成させる(表面グラフト重合)。
本発明の表面グラフト形成方法において、基板表面に生成されるグラフトポリマ−(表面グラフトポリマー)は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製される。
グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明では、上記で説明した重合開始層表面に、重合性基及び相互作用性官能基を有する化合物(以下、適宜、相互作用性基含有重合性化合物と称する)を接触させ、エネルギーを付与することで、該重合開始層上に活性点を発生させ、この活性点と該化合物の重合性基とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
この接触は、重合開始層を有する基材を、該相互作用性基含有重合性化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、該相互作用基含有重合性化合物を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層を基板表面に、塗布法により形成することが好ましい。
本態様に用いられる相互作用性基含有重合性化合物とは、先に本発明の第1の態様で述べた相互作用性基を有するモノマー、該相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
相互作用性基を有するモノマーは、前記本発明の第1の態様の(b)工程において述べた「相互作用性基を有するモノマー」と同様のものを用いることができる。
形成されるグラフト膜は、膜厚が0.1〜2.0g/m2 の範囲であることが好ましく、さらに0.3〜1.0g/m2 が好ましく、最も好ましくは、0.5〜1.0g/m2 である。この範囲において、無電解メッキ触媒、及びその前駆体などを十分吸着することができ、好ましい導電性を有する金属膜を得ることができるとともに、グラフトポリマー鎖の運動性の高さに起因して、エッチング工程における優れた導電性成分のエッチング除去性を達成できる。
基材表面に存在する重合開始層の重合開始部位に活性点を発生させるためのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や、露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用される。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
このエネルギー付与は、基板表面の全域にわたってなされ、その結果、重合開始層表面の全面に相互作用性基を有するグラフトポリマー層が形成される。
本工程においては、前記グラフトポリマー領域上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。本態様において使用される、無電解メッキ触媒、無電解メッキ触媒前駆体に関しては、本発明の第1の態様である「金属パターン形成方法」で説明したのと同じ工程で行うことができる。
本工程においては、前記(c)工程により得られた基板上に、無電解メッキを行うことで、全面に金属膜が形成される。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトポリマーの内部やその上に高密度の金属膜(導電膜)が形成される。形成された金属膜は、優れた導電性、密着性を有する。
本態様で行われる、無電解メッキに関しては、本発明の第1の態様である「金属パターン形成方法」で説明したのと同じ工程で行うことができる。
以上のようにして得られる金属膜は、SEMによる断面観察により、表面グラフト膜中に無電解メッキ触媒やメッキ金属の微粒子がぎっしりと分散しており、更にその上に比較的大きな粒子が析出していることが確認された。界面はグラフトポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(無電解メッキ触媒又はメッキ金属)との界面の凹凸差が100nm以下であっても密着性が良好であった。
本発明の導電膜形成方法においては、前記(d)工程後、(e)電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を実施することもできる。本工程は、前記(d)工程における無電解メッキの後、この工程により形成された金属膜を電極とし、さらに電気メッキを行うものである。これにより基板との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、得られた導電膜(金属膜)を目的に応じた厚みに形成することができ、本発明により得られた導電膜(金属膜)を金属配線材料など種々の応用に適用するのに好適である。
本発明で行われる、電気メッキに関しては、本発明の第1の態様である「金属パターン形成方法」で説明したのと同じ工程で行うことができる。
本発明の導電膜形成方法により得られる導電膜(金属膜)について説明する。
本発明により形成される金属膜は、表面の凹凸が500nm以下の基板上に全面にわたり設けられた金属膜であって、基板上に設けられた重合開始層と金属膜との間の密着性が良好であることを特徴とする。即ち、本発明の方法によれば基板として表面が平滑なものを用いた場合であってもで、基板との密着性に優れた金属膜を形成しうることを特徴とする。
なお、表面の凹凸、基板と金属膜との密着性の値は前記「金属パターン形成方法」においいて述べたのと同様にして測定できる。
本発明により形成される金属膜は、金属膜と、基板に直接化学結合しているポリマーとが、ハイブリッド状態であるために、基板と金属膜との密着性を維持することが可能となったものである。
本態様により形成される金属膜は、表面の凹凸が500nm以下の基板を選択することを特徴とし、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。下限値には特に制限はないが、製造の容易性などの実用上の観点からは5nm程度であると考えられる。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下のものが選択される。なお、本発明の導電膜形成方法で得られた金属膜をパターニングして金属配線として用いる場合、表面凹凸が小さくなるほど高周波送電時の電気損失が少なくなり、好ましい。
このように、本態様により形成される金属膜は、基板界面の凹凸を最小限に留めながらも、基板と金属膜との密着性に優れたものである。
本発明の方法により得られた導電膜は、公知の導電膜として用いうるのみならず、金属パターンの形成に用いられるセミアディティブ用の金属基板や、サブトラクティブ用の金属基板としても用いることができる。即ち、本態様により得られた平滑な基板上に強固に密着した金属膜をセミアディティブ法やサブトラクティブ法によりパターン形成することで、基板との密着性に優れ、凹凸の少ない、任意の金属パターンを得ることが可能となる。
[合成例1]
(特定重合開始ポリマーAの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、〔2−(アクリロイロキシ)エチル〕(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロミド8.1gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート13.5gと、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーAを得た。
(特定重合開始ポリマーBの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、4−メタクリロイロキシ−ベンゾフェノン5.1gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート9.8gと、〔2−(メタクリロイロキシ)エチル〕トリメチルアンモニウム ブロミド3.97gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと
、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーBを得た。
(特定重合開始ポリマーCの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、〔2−(アクリロイロキシ)エチル〕(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロミド8.1gと、2−アミノエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート13.5gと、、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーCを得た。
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液1をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.3μmであった。
ここで、基材であるポリイミドフィルムをNanopics1000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて40μm×40μmの範囲で測定した値により、JIS B 0601に準じて求めたRzは15nmであった。また、このポリイミドフィルム上に重合開始層を形成したその表面も同様に測定したところ、Rzは10nmであり、実施例1に用いた重合開始層の表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・前記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・赤外線吸収剤(IR125 和光純薬剤) 0.04g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
重合開始層が形成された基板を、10wt%のα(スチレン−4−スルホニル)酢酸Na塩水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、1.5kWの高圧水銀灯を使用し、5分間光照射した。光照射後、支持体を水で良く洗浄し、α(スチレン−4−スルホニル)酢酸Na塩がグラフト重合されたポリマー層が形成されたパターン形成材料Aを得た。
(金属パターンの形成)
グラフトパターン材料Aを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に20分間浸漬し、金属パターンAを作製した。
・OPCカッパ−H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ−H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ−H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・水 83mL
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液2をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は8.9μmであった。
重合開始層塗布液2により形成された重合開始層の表面のRzを実施例1と同様に測定したところ、Rzは8nmであり、実施例2に用いた重合開始層の表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・前記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
重合開始層が形成されたポリイミドフィルムを、アクリル酸(10質量%)及び過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、0.01質量%)を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、上記の1.5kWの高圧水銀灯を使用し、10分間光照射した。光照射後、得られたフィルムをイオン交換水でよく洗浄し、アクリル酸がグラフトされた基板を得た。
次に、水1リットルと、N−エチル−N’(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩40gと、N−ヒドロキシスクシンイミド6gと、からなる水溶液を調製し、そこにアクリル酸がグラフトされた基板を1時間浸漬し、エステル変換を行った。その後、更に、2−ニトロベンジルフェノール6gを加え、反応させて、光分解性官能基を有するポリマーを含むポリマー層が形成されたパターン形成材料Bを得た。
グラフトパターン材料Bを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンBを作製した。
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液3をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は8.7μmであった。
重合開始層塗布液3により形成された重合開始層の表面のRzを実施例1と同様に測定したところ、Rzは9nmであり、実施例2に用いた重合開始層の表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・前記特定重合開始ポリマーB 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
重合開始層が形成されたポリイミドフィルムに、アクリル酸をロッドバー#6を用いて塗布し、塗布面を厚さ25μmのPETフィルムでラミネートした。
グラフトパターン形成材料Cを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、0.2M NaBH4水溶液に20分浸漬し、0価パラジウムに還元した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンCを作製した。
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液4をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は8.7μmであった。
重合開始層塗布液4により形成された重合開始層の表面のRzを実施例1と同様に測定したところ、Rzは10nmであり、実施例4に用いた重合開始層の表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・前記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
重合開始層が形成されたポリイミドフィルムに、下記組成からなる塗布液をロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は0.8μmだった。
・重合性基含有ポリマー(合成方法は下記に示す) 0.25g
・シクロヘキサノン 8.0g
(モノマーAの合成)
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーAを120.3gを得た。
得られたグラフトパターン材料Dを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンDを作製した。
実施例4で作製された金属パターンを、更に、下記組成の電気メッキ浴にて15分間電気メッキし〔(e)工程〕、金属パターンEを作製した。
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液5をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は8.9μmであった。
重合開始層塗布液5により形成された重合開始層の表面のRzを実施例1と同様に測定したところ、Rzは15nmであり、実施例6に用いた重合開始層の表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・前記特定重合開始ポリマーC 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・カーボンブラック(MA100、三菱化学(株)製) 0.05g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
重合開始層が形成されたポリイミド基板表面に、スチレンスルホン酸ナトリウムの水溶液(30質量%)をロッドバー#12を用いて塗布し、乾燥させることなく塗布面を25μmのPETフィルムでラミネートした。そして、この上から1.5kW高圧水銀灯を使用し1分間パターンUV光を照射した。光照射後、ラミネートフィルムを取り除き、水洗することによりスルホン酸ナトリウムがグラフトされたポリマー層を有するパターン形成材料Fを得た。
形成されたグラフトパターン材料Fを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンFを作製した。
〔(b)工程〕
実施例2と同様にして作製した重合開始層が形成されたポリイミド基板を、t−ブチルアクリレート溶液(30質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG))に浸漬し、アルゴン雰囲気下で1.5kW高圧水銀灯を使用し15分間露光をした。
光照射後に得られたフィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)で良く洗浄し、ポリ−t−ブチルアクリレートがグラフトされたポリマー層を有するパターン形成材料Gを得た。
・トリフェニルスルホニウムトリフラート 0.05g
・メチルエチルケトン(MEK) 1g
形成されたグラフトパターン材料Gを下記手法で作製した正電荷を有するAg粒子が分散した液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンGを作製した。
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mM)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4M)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。
〔ポリイミド基板の作成〕
(ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の合成)
窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中にジアミン化合物として、4,4’-―ジアミノジフェニルエーテル(28.7mmol)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。この溶液に3,3’,4,4’’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(28.7mmol)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈して、ポリイミド前駆体1を得た。生成物は1H−NMR、FT−IRによりその構造を確認した。
上記手法で合成したポリアミック酸(ポリイミド前駆体1)をDMAc(和光純薬(株)社製)に溶かし30wt%の溶液とした。該溶液をガラス基板にロッドバー#36を用いて塗布、100℃で5分間乾燥、250℃で30分間加熱して固化させ、ガラス基板から剥がすことでポリイミド基材を得た。
このポリイミド基材について、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは450nmであり、表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることが分かった。
得られたポリイミド基材に実施例2と同様にして重合開始層(中間層)を設けた。
この中間層を形成した基板について、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは400nmであり、表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることが分かった。
次に、上記手法で作成した中間層の上に実施例4で用いた塗布液をロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は0.8μmだった。得られた膜に1.5kW高圧水銀灯を使用し1分間パターン露光を行った。その後に得られた膜を水にて洗浄し、露光部が親水性に変化したグラフトパターン材料Hを得た。グラフトパターンHのパターン部を、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは420nmであった。
得られたグラフトパターン材料Hを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンHを作製した。
(金属パターンの細線幅の測定)
実施例1〜8で得られた金属パターンを、光学顕微鏡(商品名:OPTI PHOTO−2、(株)ニコン製)を用いて細線幅を測定した。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜8で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察し、形成された金属膜の厚みを測定した。測定は、1つのサンプルにつき、3点を測定した平均を表す。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜8で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察することにより、メッキ膜及びメッキ触媒層と、基板層(有機材料)との界面の凹凸を確認することができる。この基板界面において、1つのサンプルについてランダムな観測点を3点とり、それぞれの観測点における最大山高さと最低谷深さとの差を凹凸の大きさとし、3点の平均値を求めた。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜8で得られた金属パターン(幅5mmのパターン部)の表面にポリイミドフィルム(厚さ:50μm)をエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト、チバガイギー社製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C6481(1994年度版)に基づき90度剥離実験を行った。測定結果を下記表2に示す。
このように、本発明によれば、目的に応じた所望の細線幅を有する金属パターンを得ることが可能になる。
(導電膜の形成1)
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に実施例2で使用した重合開始層塗布液2を、ロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させ、重合開始層を形成した。得られた重合開始層の膜厚は8.9μmであった。
〔(b’)工程〕
重合開始層が形成されたポリイミドフィルムを、アクリル酸(10質量%)及び過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、0.01質量%)を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、上記の1.5kWの高圧水銀灯を使用し、10分間光照射した。光照射後、得られたフィルムをイオン交換水でよく洗浄し、アクリル酸がグラフト化されたグラフト基板Iを得た。このようにして得られたグラフト基板I上のグラフトポリマー(グラフトポリマー層)表面について、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは15nmであった。
〔(c)工程及び(d)工程〕
全面にグラフトポリマー層が形成されたグラフト基板Iを、硝酸銀(和光純薬製)10質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同様の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、導電膜(金属膜)Iを作製した。
(導電膜の形成2)
〔(a)工程〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に実施例2で使用した重合開始層塗布液2を、ロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させて重合開始層を形成した。この操作をフィルムの両面に行った。得られた重合開始層の膜厚はいずれも8.9μmであった。
〔(b’)工程〕
重合開始層が形成されたポリイミドフィルムの両面に、実施例4で使用した重合性基含有ポリマーの塗布液を、ロッドバー#18を用いて両面に塗布した。なお、得られた膜の膜厚はそれぞれ0.8μmだった。
得られた膜表面(両面)に、1.5kW高圧水銀灯を使用して10分間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、基板両面の全面にわたりグラフトポリマー層を形成したグラフト基板Jを得た。このようにして得られたグラフト基板J上のグラフトポリマー(グラフトポリマー層)表面について、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは16nmであった。
〔(c)、(d)、(e)工程〕
得られたグラフト材料Jを、硝酸銀(和光純薬製)10質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、実施例5と同一の電気メッキ浴にて15分間電気メッキし、導電膜(金属膜)Jを作製した。
(導電膜の形成3)
〔(a)工程〕
実施例8で作成したポリイミド基材に実施例2と同様にして重合開始層(中間層)を設けた。この中間層を有する基板について、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは400nmであり、表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることが分かった。
実施例9の手法と同様にアクリル酸をグラフト化し、グラフト基板Kを得た。グラフト基板Kのグラフトポリマー表面についても、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは430nmであった。
〔(c)工程および(d)工程〕
実施例9の手法と同様にして導電膜(金属膜)Kを作製した。
(金属膜厚の測定)
実施例9〜11で得られた導電膜を、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察し、形成された金属膜の厚みを測定した。測定は、1つのサンプルにつき、3点を測定した平均を表す。測定結果を下記表3に示す。
(基板界面の凹凸の評価)
実施例9〜11で得られた導電膜について、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察することで、メッキ及びメッキ触媒層(金属層)と基板層(有機材料層)との界面の凹凸を確認することができる。このメッキ及びメッキ触媒層と基板層との界面において、1つのサンプルについてランダムな観測点を3点とり、それぞれの観測点における最大山高さと最低谷深さとの差を凹凸の大きさとし、3点の平均値を求めた。測定結果を下記表3に示す。
(密着性の評価)
実施例9〜11で得られた導電膜について、カッターにて幅5mmに切り込みを入れ、実施例1〜8の金属パターンの評価と同様にして、90度剥離実験を行った。測定結果を下記表3に示す。
さらに、本発明の実施例により得られた金属パターン及び導電膜は、そのいずれもが、Rz:500nm以下の基板表面に形成されており、該基板上でグラフト膜又はグラフトパターンを形成する結果、グラフト膜又グラフトパターン表面の凹凸もまたRz:500nm以下となり、該パターン状にメッキにより形成された金属膜又は金属パターンは、メッキ膜(金属膜)及びメッキ触媒層と、基板層(有機材料)との界面の凹凸がすべて好ましい範囲である500nm以下となる。このとき、メッキ金属やメッキ触媒は、グラフトポリマーパターン表面のみならず、内部にも入り込んでハイブリット化していることから、金属膜と有機材料との界面の平滑性に優れるとともに、基板と金属膜との密着性にも優れることがわかった。
Claims (10)
- (a)基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、
(b)該重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーがパターン状に直接化学結合した領域を形成する工程と、
(c)該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(d)無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法。 - 前記(b)工程が、(b1−1)前記重合開始層上に、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有するポリマーを直接化学結合させて、ポリマー層を形成する工程と、(b1−2)該ポリマー層に、熱、酸、又は輻射線をパターン状に付与して、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成する工程、とを有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン形成方法。
- 前記(b)工程が、(b2)前記重合開始層上に、重合性基、及び、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させた後、輻射線をパターン状に照射し、該化合物を該重合開始層に直接化学結合させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン形成方法。
- 前記(b)工程が、(b3−1)前記重合開始層上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーを直接化学結合させて、ポリマー層を形成する工程と、(b3−2)該ポリマー層に輻射線をパターン状に照射し、該重合開始層をアブレーションさせて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用するパターン状の領域を形成する工程、とを有することを特徴とする請求項1に記載の金属パターン形成方法。
- 前記(d)工程後、(e)電気メッキを行う工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法。
- 前記基板が、表面の凹凸が500nm以下の基板である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法。
- (a)基板上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、
(b’)該重合開始層表面全面に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーを直接化学結合させてグラフトポリマーを形成する工程と、
(c)該グラフトポリマーに無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(d)無電解メッキを行い、金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電膜形成方法。 - 前記(b’)工程が、(b’4)前記重合開始層上に、重合性基、及び、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させた後、該重合開始層表面にエネルギーを付与して活性点を発生させ、該活性点を起点として、該重合開始層表面と直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーを生成させる工程を有すること特徴とする請求項7に記載の導電膜形成方法。
- 前記(d)工程後、(e)電気メッキを行う工程を有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の導電膜形成方法。
- 前記基板が、表面の凹凸が500nm以下の基板である請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の導電膜形成方法。
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