以下、本発明の温水暖房システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明に係る温水暖房システムの通信および電源系統の概略構成を示すブロック図であって、図において、1は熱源機、2は当該熱源機1の遠隔操作装置(以下、給湯器リモコンと称する)、3は上記熱源機1から温水の供給を受ける暖房端末(図示せず)の遠隔操作装置(以下、暖房リモコンと称する)を示している。なお、上記暖房リモコン3は、熱源機1に接続される暖房端末の台数に応じて1台又は複数台接続可能とされており、図示例ではこの遠隔操作装置3が2台(3a,3b)接続された場合を示している。
上記熱源機1は、本実施形態では、カランやシャワー等への給湯(一般給湯機能)と温水暖房器具への温水供給(温水暖房機能)とを行う給湯暖房機で構成されるが、たとえば、上述した一般給湯機能、温水暖房機能に加えて風呂注湯機能や風呂追焚き機能を備えたものや、また、温水暖房機能専用の熱源機であってもよい。そして、この熱源機1には制御基板4が備えられており、この制御基板4は、図示のように、熱源機1の制御回路41と、給湯器通信回路42と、暖房通信回路43と、電源回路44と、電源遮断手段45とを主要部として備えている。
上記制御回路41は、上記給湯器リモコン2や暖房リモコン3との通信信号のやり取りや、熱源機1各部の動作制御等を行うための制御装置であって、図示しないマイコン(CPU,ROM,RAM,等)を搭載して構成されている。そして、上記マイコンのROMには、後述する各種処理を実行するためのソフトウェアが記憶されている。
給湯器通信回路42は、給湯器リモコン2との通信装置であって、上記制御回路41とコネクタ46とに接続されている。本実施形態では、この通信回路42には、データの送受信とともに給湯器リモコン2に対して電力を供給する、いわゆる重畳伝送方式の通信装置が用いられており、この給湯器通信回路42を介して給湯器リモコン2に供給される電力は、上記電源回路44において生成・供給されている。
暖房通信回路43は、上記熱源機1に接続される暖房リモコン3a,3bとの通信装置であって、上記制御回路41とコネクタ47a,47bに接続されている。ここで、このコネクタ47a,47bには、それぞれ、図示のように、暖房リモコン3a,3bから回路グランドラインL1と、通信ラインL2と、電源ラインL3とが接続されており、上記暖房通信回路43はコネクタ47a,47bを介して上記通信ラインL2と接続される。
電源回路44は、図示しない商用電源から供給される交流電力を整流・平滑、及び電圧変換して、熱源機1の各部や上記給湯器リモコン2および暖房リモコン3に供給するための直流電力を生成する電源装置であって、この電源回路44には、スイッチング電源などの安定化電源が好適に用いられる。なお、この電源回路44で生成され、上記暖房リモコン3a,3bに供給するための直流電力は、図中示の符号Va,Vbで示す電源端子に印加されている。
電源遮断手段45は、上記電源回路44と上記各暖房リモコン3a,3bとの間に介在して、熱源機1から各暖房端末側への電力供給を遮断するための回路であって、本実施形態では、この電源遮断手段45は、暖房リモコン3a,3b毎に電源ライン上に設けられるスイッチング素子48a,48bと、これらスイッチング素子48a,48bの動作を制御する素子制御回路49とで構成される。
より詳細には、上記スイッチング素子48aはバイポーラトランジスタで構成され、そのエミッタ端子が上記電源端子Vaと接続されるとともに、コレクタ端子が上記コネクタ47aを介して暖房リモコン3aの電源ラインL3 に接続され、ベース端子が上記素子制御回路49に接続されている。また同様に、スイッチング素子48bもバイポーラトランジスタで構成され、そのエミッタ端子が上記電源端子Vbに接続されるとともに、コレクタ端子が上記コネクタ47bを介して暖房リモコン3bの電源ラインL3 に接続されている。そして、さらにそのベース端子が上記素子制御回路49に接続されている。
一方、素子制御回路49は、上記制御回路41からの制御信号に基づいて上記スイッチング素子48a,48bのON/OFFを個別に制御するための回路であって、入力側が上記制御回路41に接続されるとともに、出力側が上記各スイッチング素子48a,48bのベース端子(制御端子)に接続されている。なお、この素子制御回路49は、上記制御回路41から暖房リモコン3への電力供給停止(電源遮断)の指令があるまでは、スイッチング素子48a,48bに駆動出力を行ってスイッチング素子48a,48bをONの状態、つまり、上記電源回路44から各暖房リモコン3a,3bに電力が供給される状態にしている。
給湯器リモコン2は、主として、上記熱源機1を遠隔操作するための操作装置であって、上記コネクタ46および通信線Lを介して熱源機1に接続されている。より詳細には、この給湯器リモコン2は、図2に示すように、上記通信線Lが接続される通信インターフェイス手段21と、上記通信線Lを介して供給される直流電力を通信信号と分離して装置各部に供給するリモコン電源手段22と、上記通信インターフェイス手段21を介して上記熱源機1と通信信号のやり取りや装置各部の制御を行う制御手段23と、操作指令を入力する操作手段24と、上記制御手段23による制御によって同操作手段24での操作内容や熱源機1の動作状態を表示する表示手段25と、所定のデータ記憶領域を備えた記憶手段26を主要部として備えている。なお、上記記憶手段26としては、たとえば電気的にデータの消去/再書込が可能な不揮発性記憶装置(たとえばEEPROM)が好適に使用されるが、この記憶手段26としては上記制御手段23内部に設けられたデータ記憶領域(たとえば、ROMやRAM)を用いることも可能である。
ここで、上記操作手段24は、装置表面に設けられた複数の操作スイッチで構成される。具体的には、本実施形態に示す給湯器リモコン2は、その操作手段24として、給湯器リモコン2の運転/停止を操作する運転スイッチ24a、給湯器リモコン2のモード切替や入力事項の確定などの操作のための設定スイッチ24b、入力事項の上方修正などの操作のためのアップスイッチ24c、入力事項の下方修正などの操作のためのダウンスイッチ24d、さらには本発明とは直接関係しないので詳細な説明は省略するが、呼出スイッチ24e、追いだきスイッチ24f、ふろ自動スイッチ24gを備えている。
また、上記表示手段25としては、文字や図形を自由に表示できる表示装置、たとえばドットマトリクス蛍光表示管表示装置や液晶表示装置が好適に使用される。
暖房リモコン3は、図示しない暖房端末のため(換言すれば暖房端末に供給される温水の温度調節等のため)の遠隔操作装置であって、上記コネクタ47および回路グランドラインL1と、通信ラインL2と、電源ラインL3とを介して熱源機1に接続されている。より詳細には、この暖房リモコン3は、上記電源ラインL3を介して熱源機1から直流電力の供給を受けるとともに、通信ラインL2を介して熱源機の暖房通信回路43との間で通信信号の送受信を行うように構成されている。なお、図において、符号31で示すのは上記暖房通信回路43との通信を行う通信回路、また、符号32で示すのは暖房リモコン3の制御手段や表示手段などの負荷を示している。なお、符号33で示すのは、暖房リモコン3側のコネクタである。
次に、このように構成された暖房システムにおける暖房リモコン3の消費電力抑制処理について図3および図4を用いて説明する。
図3は、給湯器リモコン2を用いて行う、暖房リモコン3の消費電力抑制処理手順の一例を示すフローチャートであり、図4は同手順における給湯器リモコン2の表示手段25の表示態様の一例を示す説明図である。
給湯器リモコン2で上記消費電力抑制処理を実行するにあたっては、まず、操作手段24の所定操作により給湯器リモコン2を上記消費電力抑制処理手順に突入させる。本実施形態では、この所定操作は上記設定スイッチ24bで所定の設定モードに入り、この設定モード下で表示手段25に表示される項目のうちから上記アップスイッチ24cまたはダウンスイッチ24dを用いて給湯器リモコン2を消費電力抑制処理手順に突入させる項目を選択することにより行う。
給湯器リモコン2が、暖房リモコン3の消費電力抑制処理手順に突入すると、上記表示手段25には、図4(a)に示すように、「一括操作」「個別操作」のいずれによるかを尋ねる画面が表示される(図3ステップS1参照)。この状態で、上記アップスイッチ24cを操作すると、「一括操作」が選択され、ダウンスイッチ24dを操作すると「個別操作」が選択される。
そこで、まず「一括操作」を選択した場合について説明する。この一括操作は、熱源機1に接続されている全ての暖房リモコン3a,3bをまとめて(一括して)操作するための項目であり、この一括操作が選択されると、上記表示手段25には、図4(b)に示すように、「全て遮断」「全て通電」のいずれの操作を行うかを尋ねる画面が表示される(図3ステップS2参照)。
そして、この状態で上記アップスイッチ24cの操作により「全て遮断」が選択されると、給湯器リモコン2の制御手段23から熱源機1の制御回路41に向けて、全ての暖房リモコン3に対する電力供給の停止を指示する旨の指令を含んだ通信信号が送信される。これにより熱源機1の制御回路41から上記素子制御回路49に対して全ての暖房リモコン3a,3bへの電力供給停止を指示する制御信号が出力され、素子制御回路49は全てのスイッチング素子48a,48bへの駆動出力を停止し、スイッチング素子48a,48bはOFFとなる。これにより、全ての暖房リモコン3a,3bへの電力供給が停止される(図3ステップS3参照)。
これに対して、上記図4(b)の画面において、ダウンスイッチ24dの操作により「全て通電」が選択されると、給湯器リモコン2の制御手段23から熱源機1の制御回路41に向けて、全ての暖房リモコン3に対して電力供給の開始(再開)を指示する指令を含んだ通信信号が送信される。これにより熱源機1の制御回路41から上記素子制御回路49に対して全ての暖房リモコン3a,3bへの電力供給を指示する制御信号が出力され、素子制御回路49は全てのスイッチング素子48a,48bに駆動出力を行い、スイッチング素子48a,48bをONにする。これにより、全ての暖房リモコン3a,3bへの電力供給が開始される(図3ステップS4参照)。
次に、「個別操作」を選択した場合について説明する。この個別操作は、熱源機1に接続されている暖房リモコン3a,3bのうちから特定のリモコンを選択して操作するための項目で、この個別操作が選択されると、上記表示手段25には、図4(c)に示すような画面が表示される。この画面は、対象となる暖房リモコン3の特定と、特定した暖房リモコン3に対して「通電」「遮断」のいずれの操作を行うかを尋ねる画面である。
ここで、暖房リモコン3の特定は、たとえば、表示手段25に暖房リモコン3の設置場所を表示し、上記アップスイッチ24cを1回押し下げするごとに暖房リモコン3の設置場所を示す表示が切り替わり、この操作によって所望の暖房リモコン3を選択する方法が好適に採用される(図3ステップS5参照)。この場合、給湯器リモコン2には、あらかじめ、個々の暖房リモコン3a,3bと対応させてそれらの設置場所が上記記憶手段26に登録される。そして、暖房リモコン3の選択にあたっては、この登録された設置場所が「居間」「台所」といったように表示される。なお、図示例では、暖房リモコン3の選択をリモコンの設置場所の表示によって行わせる場合を示したが、設置場所に代えてたとえば機種名や番号など設置場所以外の項目を記憶手段26に登録させておき、これらを表示して暖房リモコン3を選択・特定させることも可能である。
なお、図示例では、設置場所として「居間」が選択された場合が示されており、この状態で、次にダウンスイッチ24dの操作により「通電」「遮断」の別が選択される(図3ステップS6参照)。すなわち、ダウンスイッチ24dを1回押し下げするごとに「通電」「遮断」の表示が相互に切り替わるように構成されている。
そして、上記ダウンスイッチ24dの操作で「遮断」が選択されると、給湯器リモコン2の制御手段23から熱源機1の制御回路41に向けて、選択された暖房リモコン3(たとえば「居間」に対応するリモコンは暖房リモコン3aとする)に対する電力供給を停止させる指示を含んだ通信信号が送信される。これにより熱源機1の制御回路41から上記素子制御回路49に対して暖房リモコン3aへの電力供給停止を指示する制御信号が出力される。これを受けた素子制御回路49は、電源端子Vaに接続されたスイッチング素子48aへの駆動出力を停止し、スイッチング素子48aをOFFとして暖房リモコン3aへの電力供給を停止させる(図3ステップS7参照)。
一方、上記図3ステップS5において、アップスイッチ24cにより暖房リモコン3bを選択する操作がなされ、その状態で図3ステップS6でダウンスイッチ24dにより「遮断」が選択されると、給湯器リモコン2の制御手段23から熱源機1の制御回路41に向けて、選択された暖房リモコン3b(たとえば暖房リモコン3bの設置場所は「台所」とする)に対する電力供給を停止させる指示を含んだ通信信号が送信される。これにより、熱源機1の制御回路41から上記素子制御回路49に対して暖房リモコン3bへの電力供給停止を指示する制御信号が出力される。これにより、素子制御回路49は電源端子Vbに接続されたスイッチング素子48bへの駆動出力を停止し、その結果、スイッチング素子48bがOFFとなって暖房リモコン3bへの電力供給が停止される(図3ステップS7参照)。
そして、本実施形態では、このように個別操作による暖房リモコン3への電源遮断が行われると、上記制御回路41は、選択された暖房リモコン、換言すれば、電源供給を停止させた暖房リモコンが3aまたは3bのいずれであるかを特定するデータ(遮断リモコン特定データ)を上記記憶手段26に記憶させる(図3ステップS8参照)。そして、上記制御回路41は、このデータを利用して、たとえば、上記個別操作で暖房リモコン3aへの電源供給を遮断させた後に(個別操作による電力供給の再開がなされる前に)、一括操作で「全て通電」が選択されたような場合には、記憶手段26の遮断リモコン特定データに基づいて特定される暖房リモコン3への電源供給は行わないようにプログラミングされる。これにより、一括操作で「全て通電」を選択した場合でも、特定の暖房リモコン3については電力供給を行わないようにすることができ、ユーザーの利便性を高めることができる。また、その際、上記プログラミングに際して、このような処理を行うか否の選択をユーザー側で選択できるように設定することにより、より一層利便性を高めることができる。
なお、本実施形態では、このような図3ステップS8の処理を行う場合を示したが、たとえば、個別操作による電源遮断中のリモコンがあるときに一括操作で「全て通電」が選択されると一律に全てのリモコンへの通電が再開されるようにプログラミングされる場合には、この図3ステップS8を省略することができる。
これに対して、図3ステップS6において、上記ダウンスイッチ24dの操作で「通電」が選択されると、給湯器リモコン2の制御手段23から熱源機1の制御回路41に向けて、選択された暖房リモコン3(たとえば暖房リモコン3aとする)に対する電力供給を開始させる指示を含んだ通信信号が送信される。これにより熱源機1の制御回路41から上記素子制御回路49に対して暖房リモコン3aへの電力供給の開始を指示する制御信号が出力され、素子制御回路49は電源端子Vaに接続されたスイッチング素子48aに駆動出力を与え、スイッチング素子48aをONとして暖房リモコン3aへの電力供給を開始させる(図3ステップS9参照)。なお、図3ステップS5において、暖房リモコン3bが選択された場合には、上述したのとほぼ同様の手順で、素子制御回路49から電源端子Vbに接続されたスイッチング素子48bに駆動出力が行われ、スイッチング素子48bがONとなって暖房リモコン3bへの電力供給が開始される(図3ステップS9参照)。
このように、本発明の第1の実施形態によれば、熱源機1側の電源回路44と上記暖房端末の各暖房リモコン3a,3bとの間に、暖房端末側への電力供給を遮断する電源遮断手段45がそれぞれ設けられ、これら各電源遮断手段45が給湯器リモコン2における操作手段24の所定操作により個別又は一括して制御可能に構成されているので、ユーザは暖房リモコン3の電源を遮断するにあたり、暖房リモコン3が設置された各部屋を回る必要がなくなり、使い勝手のよい温水暖房システムを提供することができる。
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について図5および図6に基づいて説明する。この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の改変例であって、第1の実施形態では熱源機側に設けられていた電源遮断手段を暖房リモコン側に設けたことを主たる特徴とする。したがって、以下の説明においては、実施形態1と構成が共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、この第2の実施形態に示す温水暖房システムは、図5に示すように、熱源機1と、給湯器リモコン2と、暖房端末(図示せず)と、暖房リモコン3とから構成され、上記熱源機1には制御基板4が設けられている。そして、この制御基板4には、熱源機1の制御回路41と、給湯器通信回路42と、暖房通信回路43と、電源回路44とが主要部として備えられている点は上記第1の実施形態と同様である。
ただし、本実施形態では電源遮断手段が暖房リモコン側に設けられているので、上記電源回路44で生成される暖房リモコン3用の直流電力は電源遮断手段を介することなく電源端子Va,Vbに印加され、この電源端子Va,Vbがそれぞれ各暖房リモコン3a,3bの電源ラインL3に接続されている。
図6は、暖房リモコン3の概略構成の一例を示すブロック図であり、図示のように、本実施形態に示す暖房リモコン3は、上述した通信回路31と、上記負荷32の一部を構成する制御回路(暖房リモコンの制御手段)321と、コネクタ33とに加え、リモコン側電源遮断手段34と、電源保持回路(電源保持手段)35と、バックアップ電源回路(バックアップ電源手段)36とを主要部として備えている。なお、図において、符号39は、暖房リモコン3に設けられる各種操作スイッチ等で構成された操作手段である。また、上記バックアップ電源回路36は、任意に設けられる回路であり、図5に示す暖房リモコン3aはこのバックアップ電源回路36を備えない場合を示している。
以下においては、図6に基づいて上記バックアップ電源回路36を備えたタイプの暖房リモコン3の構成および動作について説明する。なお、図6において、上記通信回路31は、熱源機1からの通信信号を受信するためのフォトカプラ311と、熱源機1に通信信号を送信するためのフォトカプラ312を主要部として備えている。
ここで、通信回路31の構成、動作は公知であるのでここでは詳細な説明は省略するが、本発明に関連する範囲でその構成の概要を説明すると、この通信回路31は、図示のように、上記フォトカプラ311のダイオードのアノード端子がコネクタ33を介して上記電源ラインL3と接続されるとともに、そのカソード端子が上記フォトカプラ312のトランジスタのコレクタ端子に接続され、さらに該フォトカプラ312のトランジスタのエミッタ端子が抵抗313およびコネクタ33を介して上記通信ラインL2に接続されている。また、上記フォトカプラ311のトランジスタのコレクタ端子と、上記フォトカプラ312のダイオードのアノード端子とがそれぞれ上記制御回路321に接続されている。
上記リモコン側電源遮断手段34は、暖房リモコン3の操作手段39の所定操作または制御回路321からの所定の電気信号を受け付けて、上記熱源機1から暖房リモコン3に供給される直流電力を遮断可能にしたものであって、本実施形態では、スイッチング素子37と、このスイッチング素子37の動作を制御するスイッチ38および電源保持回路35を主要部として構成されている。
上記スイッチング素子37はバイポーラトランジスタで構成され、そのエミッタ端子が上記コネクタ33の電源ラインL3に接続されるとともに、コレクタ端子が所定の電圧を生成する図示しないレギュレータを介して制御回路321に接続されている。なお、このスイッチング素子37のコレクタ端子は、図示しないが、上記制御回路321以外の負荷(たとえば表示手段など)にも他のレギュレータを介して接続されている(また、後述する電源回路36は上記図示しないレギュレータの入力端子側あるいはその出力端子側に備えられ、制御回路321に接続されている)。そして、このスイッチング素子37のベース端子は抵抗371とスイッチ38の直列回路を介して回路グランドに接続され、電源遮断状態において、このスイッチ38が閉成されるとスイッチング素子37がON(電源遮断解除状態)となって、制御回路321等に熱源機1からの電力が供給される。つまり、このスイッチ38は、電源遮断状態を解除する電源遮断解除手段として機能する。
上記電源保持回路35は、その一端が上記抵抗371とスイッチ38との間に接続され、他端が制御回路321に接続された回路であって、上記スイッチ38が閉成されてスイッチング素子37がONとなると、このスイッチング素子37のON状態(電源遮断解除状態)を保持するように構成されている。そのため、本実施形態では、上記スイッチ38には、通常時開放のスイッチ回路(たとえば、このスイッチ38は、操作手段39として設けられる操作スイッチで構成され、当該操作スイッチの押圧操作によってスイッチの接点が閉状態となり、押圧状態を解除すると復元力によってスイッチの接点が開状態に復帰するタイプのスイッチ回路)で構成される。そして、このスイッチ38が一旦閉成されてスイッチング素子37がON(電源遮断解除状態)となると、その後は上記スイッチ38が開状態に復帰しても、上記電源保持回路35によりスイッチング素子37のON状態が保持されるように構成されている。
このように、電源保持回路35は上記スイッチ38の閉成動作によるスイッチング素子37のON動作をトリガとして動作が開始されるが、さらに本実施形態では、この電源保持回路35は、上記制御回路321から与えられる所定の電気信号をトリガとしても動作開始するように構成される。すなわち、本実施形態では、上記スイッチ38の閉成動作がなされない場合でも、制御回路321による制御によって電源保持回路35が動作し、スイッチング素子37をON状態にさせることができるように構成されている。
したがって、本実施形態によれば、上記暖房リモコン3の操作手段39の所定操作(スイッチ38の閉成操作)により、当該操作が行われた暖房リモコン3への電力供給を個別に開始(または再開)させることかできるとともに、上記所定操作によらない場合でも、上記制御回路321の独自の制御により、暖房リモコン3への電力供給を個別に開始(または再開)させることができる。なお、この制御手段321による電源保持回路35の動作開始処理については後述する。
一方、上記電源保持回路35の動作停止は、上述した動作開始の場合と同様に、暖房リモコン3の操作手段39の所定操作(この所定操作は、上述した動作開始操作(つまり、スイッチ38の閉成操作)とは異なる操作スイッチの操作)、または、制御回路321からの所定の電気信号によって電源保持回路35が停止するように構成される。
ここで上記電源保持回路35が動作を停止すると、上記スイッチ38は開放状態にあることからスイッチング素子37のベース端子が開放され、その結果、スイッチング素子37がOFFとなって熱源機1からの電源供給が停止する。つまり、電源保持回路35の動作停止により暖房リモコン3への電力供給が停止される。
ところで、上述したように、本実施形態に示す上記電源保持回路35は、制御回路321からの所定の電気信号によってその動作を停止するように構成されていることから、たとえば給湯器リモコン2との通信によって暖房リモコン3側の電源保持回路35の動作を停止させ、当該暖房リモコン3への電力供給を停止させることができる。
すなわち、上記給湯器リモコン2の操作手段24の所定操作に応じて、制御手段23が当該操作によって個別または一括指定された暖房リモコン3に対して電源保持回路35の動作停止を指令する電気信号を生成・送信するようにプログラミングしておくことにより、上記操作手段24で上記所定操作がなされると、給湯器リモコン2の制御手段23で生成された電気信号が熱源機1の給湯器通信回路42、制御回路41、暖房通信回路43を介して暖房リモコン3の制御回路321に伝送され、これによりかかる電気信号を受信した暖房リモコン3の制御回路321が電源保持回路35の動作を停止させて暖房リモコン3側の電力供給を停止させるように構成することができる。なお、この場合は、上記給湯器リモコン2の制御手段23が、リモコン側電源遮断手段34の作動を命ずる電気信号を生成するための信号生成手段を構成することとなる。
上記バックアップ電源回路36は、熱源機1からの電力供給が停止した状態でも暖房リモコン3(特に、制御回路321)を動作させるように設けられた二次電源回路であって、本実施形態ではこの電源回路36として充電可能な蓄電池が好適に用いられる。すなわち、この電源回路36は、ダイオード361を介して上記スイッチング素子37のコレクタ端子に接続され、熱源機1から電力が供給されている際には充電されるとともに、熱源機1からの電力供給が停止した際には、上記制御回路321に電力を供給するように構成されている。
そして、このバックアップ電源回路36は、上述したように、暖房リモコン3に任意に設けられるものであって、このバックアップ電源回路36を設けることにより、たとえば、上記制御回路321の内部クロックをタイマ(計時手段)として用い、さらに操作手段39によりこのタイマ作動時間を設定可能にしておくことで、予め設定されたタイマのカウントアップで、上記制御回路321から電源保持回路35に対して動作を停止させる電気信号を出力させることができる。つまり、このバックアップ電源回路36を設けることで、リモコン側電源遮断手段34が作動して暖房リモコン3への電力供給が停止している場合でも、タイマにより一定日時経過後に当該暖房リモコン3への電力供給を再開させ暖房リモコン3を自動的に復帰させることができるようになる。
以上、詳述したように、本発明の第2の実施形態によれば、暖房リモコン3に、同リモコン3の操作手段39の操作に応じて熱源機1からの供給電力を遮断するリモコン側電源遮断手段34が設けられていることから、暖房リモコン3を熱源機1に接続するだけで、換言すれば、熱源機1の型式(たとえば熱源機1側に電源遮断機能があるか否かの別)に依存することなく暖房端末側独自で消費電力を抑制する処理を実行することができる。
しかも、このリモコン側電源遮断手段34は、暖房リモコン3の操作手段39の操作だけでなく給湯器リモコン2の操作手段24の操作や制御回路321のタイマなどによっても制御可能であることから、使い勝手のよい温水暖房システムを提供することができる。
さらに、このリモコン側電源遮断手段34は、他の暖房リモコン3とは独立して動作するものであるため、熱源機1に複数の暖房リモコン3が接続されているような場合でも、所望の暖房リモコン3のみを選んで電力供給を停止させることができる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、熱源機1に暖房リモコン3を2台接続した場合を示したが、熱源機1に接続される暖房リモコン3の数は1台でもよく、また3台以上の複数であってもよい。
また、上記実施形態1に示した消費電力抑制処理手順のスイッチ操作や画面表示はあくまでも一例を示すものであり適宜設計変更可能であることはもちろんである。
また、上記実施形態2において、給湯器リモコン2から暖房リモコン3への電力供給を停止させる場合についても言及したが、その場合、給湯器リモコン2の記憶手段26を利用して、「個別」「一括」操作を可能にし、また、一括操作で「通電」が選択された場合に上記遮断リモコン特定データを用いて一部の暖房リモコン3には通電させないように構成できることは実施形態1の場合と同様である。
また、上記実施形態2において、暖房リモコン3の制御回路321にタイマを設けて暖房リモコン3への電力供給を自動的に復帰させる構成を示したが、たとえば実施形態1における給湯器リモコン2の制御手段23に同様のタイマを設けることにより、実施形態1に示す暖房システムにおいてもタイマのカウントアップで暖房リモコン3への電力供給が自動的に再開されるように構成することも可能である。
なお、上述した実施形態1で給湯器リモコン2の制御手段23にタイマを設ける場合や、実施形態2で暖房リモコン3の制御回路321にタイマを設ける場合、これらタイマを用いて電源遮断手段45やリモコン側電源遮断手段34を作動させて、暖房リモコン3への電力供給を自動的に停止させることもできるのはもちろんである。
さらに、上述した実施形態2では、上記スイッチ38は、スイッチング素子37のON状態(電源遮断解除状態)にさせる場合にのみ用いたが、たとえば、スイッチ38と上記制御回路321とを信号線で接続し、スイッチング素子37がON状態にある時にスイッチ38が閉成されると、その接点信号により制御回路321が電源保持回路35の動作を停止させるように構成することも可能である。なお、その場合、制御回路321による電源保持回路35の動作を停止させるタイミングは、スイッチ38の閉成と同時であってもよいし、また、閉成から所定時間経過後に停止させるように設定しておくことも可能である。
また、上述した実施形態1および2においては、電源遮断手段34,45が熱源機1あるいは暖房リモコン3のいずれかに備えられる構成を説明したが、コネクタ47a,47bの他のコネクタであるコネクタ47c,47d,…には熱源機1および暖房リモコン3側のいずれにも電源遮断手段を備えない暖房リモコン3、あるいは暖房リモコン3に代えて他の暖房端末装置(たとえば温水暖房浴室乾燥機)が接続されていてもよい。なお、それら電源遮断手段を備えない部分は常時通電となる。