JP2006017312A - 防振ブッシュ - Google Patents

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博一 山村
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博明 高橋
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Abstract

【課題】 ゴム状弾性体にすぐり穴が形成された防振ブッシュの外筒をカラーに容易に圧入する。
【解決手段】 外筒2の圧入方向基端側に、略一定の外径でカラー10の内周面に圧接固定される圧接固定部11を設ける。圧接固定部11の先端側は、圧入方向先端側が先細となるテーパ部12とする。圧接固定部11の長さが外筒2の全長よりも短いため、圧入に要する力を大きくすることなく、その外径(d1)を大きくできる。許容できる径方向寸法の誤差が大きくなり、すぐり穴13が形成されて楕円形に変形した外筒2をカラー10に容易に圧入できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば自動車のデファレンシャルが内装されたデフケース等の車体側への取付部に介装される防振ブッシュに関するものである。
一般に、例えば自動車のデファレンシャルが内装されたデフケース等の車体側への取付部には、デフマウント等と称される防振ブッシュが介装され、デファレンシャル側等から車体側に伝達される振動を減衰している。図4及び図5に、デフマウントとして使用される防振ブッシュの一例を示す。図4は防振ブッシュの正面図、図5はそのA−A断面図である。
この防振ブッシュは、内筒101と、この内筒101の外方に配置された外筒102と、内外筒101、102間に介設されたゴム状弾性体103とを備えており、内筒101がデフケースに取り付けられ、外筒102が車体側メンバーに取り付けられて、両者を防振的に連結する。
内筒101は、例えば鋼製とされ、筒体104と底部105とが連続する略カップ状に形成されている。底部105には、ボルト貫通穴106が形成されており、このボルト貫通穴106をデフケースの取付部107に突設されたボルト108が貫通し、内筒101の内部で、ボルト108にナット109が螺合されることにより、内筒101とデフケースの取付部107とがボルト締結される。
外筒102は、例えば鋼製の円筒状とされている。その外径(d)は、軸方向で略一定とされ、車体側メンバー開口部のカラー110の内径(D)よりも大きくされて、外筒102がカラー110に圧入固定される。この外筒102は、その外径(d)を大きくすることにより、カラー110により強固に固定することができ、その外径(d)を小さくすることにより、カラー110への圧入に要する力を小さくすることができるようになっており、抜け出しに対する抵抗力と圧入の作業性とを勘案して外筒102の外径(d)が設定される。
ゴム状弾性体103は、内筒101を軸直角方向に挟む位置に、二つのすぐり穴111が軸方向に形成され、軸直角方向のうち二方向のばね定数が異なる値に設定されている。このゴム状弾性体103は、外筒102を縮径することにより予圧縮され、その耐久性等が高められる。ここで、「軸方向」とは、内筒101の中央孔の中心を通る軸線の方向をいい、「軸直角方向」とは、軸方向に直交する方向をいう。これらの定義は、以下の説明において同じ意味で使用する。
ところが、上記の防振ブッシュは、そのゴム状弾性体にすぐり穴が形成されており、軸直角方向のうち、すぐり穴が形成された方向のばね定数と他方向のばね定数とが異なるため、その外筒が例えば縮径時に円筒状から楕円状に変形して、外筒の径方向寸法の管理を難しくする。
外筒の径方向寸法に製造誤差が生じて、所定の寸法よりも大きく製造されたときには、開口部への圧入に要する力が大きくなり、所定の寸法よりも小さく製造されたときには、開口部から抜け出しやすくなる。
特に、外筒の軸方向長さが長いときには、径方向寸法のわずかな増加によって圧入に要する力が急激に大きくなるため、許容できる寸法誤差が小さくなり、事実上、外筒の径方向寸法を管理できなくなる恐れがある。また、外筒の軸方向長さが長いものでは、圧入時に大きな力を加えて押し込む長さが長くなり、圧入作業の作業性を低下させて、そのコストを高くする恐れがある。
本発明は、上記課題に鑑み、ゴム状弾性体にすぐり穴が形成された場合でも、その外筒を部材の開口部に、抜け出すことなく容易に圧入することができる防振ブッシュを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、一方の部材に取り付けられる内筒と、該内筒の外方に配置されて他方の部材の開口部に圧入固定される外筒と、内外筒間に介設されたゴム状弾性体とを備え、前記ゴム状弾性体に軸方向にすぐり穴が形成された防振ブッシュにおいて、前記外筒は、圧入方向先端側の外径が圧入方向基端側の外径よりも小さく設定されたことを特徴とする防振ブッシュを提供するものである。
この構成によれば、外筒の圧入方向先端側の外径が外筒の圧入方向基端側の外径よりも小さいため、圧入時に大きな力を加えて外筒を押し込む長さを短くすることができる。つまり、防振ブッシュを連結する部材の開口部の基端側の内径は、圧入完了時に外筒の基端側を圧接固定する大きさに設定されるため、外筒の先端側を前記開口部の基端側に挿入する段階では大きな力を加えなくてもよい。
外筒の圧入方向先端側の外径を外筒の圧入方向基端側の外径よりも小さくする手段としては、外筒をその圧入方向先端側が先細となるテーパ形状に形成すると共に、その圧入方向基端側に、略一定の外径で前記開口部の内周面に圧接固定される圧接固定部を設ける構成を採用することができる。
このように、外筒を先細のテーパ形状に形成することにより、外筒を前記開口部に挿入しやすくすることができる。また、外筒の基端側の圧接固定部を前記開口部の内周面に圧接固定することにより、前記開口部に圧接固定される部分の長さを短くして、高精度の寸法管理を要する部分の長さを短くすると共に、径方向の許容寸法誤差を大きくすることができる。
つまり、防振ブッシュを連結する部材の開口部に圧接固定される部分の長さを短くすれば、その長さが長いものに比べて、外筒の圧入に要する力が小さくなる。そのため、外筒を所定の圧入力で圧入する場合、圧接固定部の長さが短いものについては、外筒の外径(d)と開口部の内径(D)との差(d−D)が大きいものでも圧入することができ、外筒とこれを圧入する開口部の径方向の許容寸法誤差を大きくすることができる。
なお、外筒の圧入方向先端側の外径を外筒の圧入方向基端側の外径よりも小さくする手段としては、外筒全体をテーパ形状にしたり、その軸方向の途中に径方向の段差を設けてその基端側を圧接固定部としてもよい。
このような外筒は、断面形状が軸方向で同一の外筒を、ゴム状弾性体を予圧縮するための縮径時に、絞り加工機により所定の形状に加工すれば、簡単に成形することができる。
また、内筒として、筒体と底部とが連続する略カップ状で、その底部にボルト貫通穴が形成された形状のものを用いれば、外筒の先端側の外径と基端側の外径との差が小さく、外筒の形状では圧入方向を判別しにくい場合であっても、圧入方向を容易に判別することができ、本発明の好適な実施態様を提供することができる。
以下、本発明に係る防振ブッシュの実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の防振ブッシュの正面図、図2はそのA−A断面図、図3は防振ブッシュで連結されるデフケース及び車体側メンバーの斜視図である。
この防振ブッシュは、内筒1と、内筒1の外方に配置された外筒2と、内外筒1、2間に介設されたゴム状弾性体3とを備えており、内筒1が一方の部材に取り付けられ、外筒2が他方の部材の開口部に圧入固定されて、両部材を防振的に連結するものである。
内筒1は、例えば鋼製で略カップ状の鍛造品とされ、筒体4とこの筒体4の圧入方向基端側を塞ぐ底部5とが連続して形成される。底部5の中央には、一方の部材の取付部6に突設されたボルト7が貫通するボルト貫通穴8が形成されており、内筒1の内部で、ボルト7にナット9を螺合して、内筒1と一方の部材とをボルト締結するようになっている。
外筒2は、例えば鋼製の筒状とされる。この外筒2の圧入方向基端側の長さ(L1)の範囲は、その外径(d1)が軸方向で略一定で開口部のカラー10の内径(D)よりも大きくされ、カラー10の内周面に圧接固定される圧接固定部11とされている。この圧接固定部11よりも圧入方向先端側の長さ(L2)の範囲は、先端側が先細のテーパ部12とされ、外筒2の基端部の外径(d1)よりも先端部の外径(d2)が小さく設定されている。
圧接固定部11は、その長さ(L1)を外筒2の長さ(L1+L2)の約1/3〜1/2程度に設定するのが好適であり、テーパ部12は、その外周面の母線を外筒2の中心軸に対して0.5°〜2.0°程度傾斜させた形状とするのが好適である。テーパ部12の母線の傾斜を0.5°以上にすることにより、テーパ部12がカラー10の内周面に圧接する力を小さくすることができ、テーパ部12の母線の傾斜を2.0°以下にすることにより、後述する外筒2の縮径時に外筒2とゴム状弾性体3との固着部の割れを防止することができる。
ゴム状弾性体3は、略リング状とされ、その内周側が内筒1の外周面に固着されて、その外周側が外筒2の内周面に固着され、内筒1と外筒2とを防振的に連結する。このゴム状弾性体3には、内筒1を軸直角方向に挟む位置に、軸方向に貫通する二つのすぐり穴13が形成され、軸直角方向のうち二方向のばね定数が異なる値に設定されている。各すぐり穴13は、軸方向からみて内筒1の周囲に円弧状に形成されている。
この防振ブッシュを製造する手順としては、まず、内筒1の外方に、その外径が軸方向で一定の円筒状の外筒2を配置し、内外筒1、2間にゴム状弾性体3を加硫成形する。この状態における外筒2の外径は、完成時における外筒2の基端部の外径(d1)よりも大きくされる。
次いで、外筒2を縮径することにより、外筒2を所定の形状に加工すると共に、ゴム状弾性体3を予圧縮してその耐久性等を高める。このとき、ゴム状弾性体3の軸直角方向のばね定数がすぐり穴13が形成された方向と他方向とで異なることにより、外筒2の真円度がわずかに損なわれ、外筒2が楕円状に変形する。
この防振ブッシュは、例えば図3に示すように、デフマウントの一つとして使用する。この場合、自動車のデファレンシャルが内装されたデフケース14に内筒1を取り付け、車体フレームに固定される車体側メンバー15に外筒2を取り付けて、デフケース14と車体側メンバー15とを防振的に連結し、デファレンシャル側から車体側に伝達される振動を減衰する。
内筒1のデフケース14への取付は、防振ブッシュを略水平方向に向けて、デフケース14の後端部に略水平方向に突設されたボルト7に、ボルト貫通穴8を貫通させ、内筒1内でナット9を締め付けて行う。
外筒2の車体側メンバー15への取付は、車体側メンバー15に設けられて、その開口面が略鉛直方向を向いたカラー10に、外筒2を圧入固定して行う。カラー10への外筒の圧入は、外筒2のテーパ部12の先端部を挿入し、この外筒2を軸方向に押し込み、圧接固定部11がカラー10の基端側に達してからはさらに強い力で押し込んで圧接固定部11をカラー10の内周面に圧接固定する。
上記構成によれば、外筒2のうちの圧接固定部11をカラー10の内周面に圧接固定する場合、カラー10に圧接固定される部分の長さを外筒2の全長よりも短くし、かつ外筒2の圧接固定部11の外径(d1)を大きくすることで、所定の圧入力を得ることができる。
したがって、圧接固定部11の外径(d1)とカラー10の内径(D)との差(d−D)を大きく設定し、許容寸法誤差を大きくすることができる。そのため、すぐり穴13を有する防振ブッシュの予圧縮によって外筒が楕円状に変形したとしても圧入に支障を来すことがなく、連結部材の開口部に圧入することができる。
また、圧接固定部11の先端側にテーパ部12を設けるため、外筒2をカラー10に挿入しやすくすると共に、強い力で外筒2を押し込む長さを短くすることができる。
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、防振ブッシュの外筒をテーパ状に形成するなど、外筒の圧入方向先端側の外径を圧入方向基端側の外径よりも小さく設定して防振ブッシュの連結部材の開口部への圧入を容易に行えるようにすると共に、外筒の基端側に設けた圧接固定部を開口部内周面に圧接固定するため、圧接固定部と前記開口部との許容寸法誤差を大きくすることができる。
そのため、ゴム状弾性体にすぐり穴が形成され、縮径時に外筒が円筒状から楕円状に変形した場合であっても、その外筒を部材の開口部に、抜け出すことなく容易に圧入することができる。
本発明の防振ブッシュの正面図 そのA−A断面図 防振ブッシュで連結されるデフケース及び車体側メンバーの斜視図 従来の防振ブッシュの正面図 そのA−A断面図
符号の説明
1 内筒
2 外筒
3 ゴム状弾性体
4 筒体
5 底部
8 ボルト貫通穴
10 カラー
11 圧接固定部
12 テーパ部
13 すぐり穴

Claims (4)

  1. 一方の部材に取り付けられる内筒と、該内筒の外方に配置されて他方の部材の開口部に圧入固定される外筒と、内外筒間に介設されたゴム状弾性体とを備え、前記ゴム状弾性体に軸方向にすぐり穴が形成された防振ブッシュにおいて、前記外筒は、圧入方向先端側の外径が圧入方向基端側の外径よりも小さく設定されたことを特徴とする防振ブッシュ。
  2. 前記外筒は、その圧入方向先端側が先細となるテーパ形状に形成されると共に、その圧入方向基端側に、略一定の外径で開口部の内周面に圧接固定される圧接固定部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の防振ブッシュ。
  3. 前記外筒は、その外径が軸方向で略一定の形状に形成され、前記ゴム状弾性体を予圧縮するための縮径時に所定の形状に加工されることを特徴とする請求項1又は2記載の防振ブッシュ。
  4. 前記内筒は、筒体と底部とが連続する略カップ状とされ、前記底部にボルト貫通穴が形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の防振ブッシュ。
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