JP2006016304A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルキル置換基を有する芳香族化合物を酸化させて芳香族カルボン酸を製造するに際して、適切な温度および誘電率をもつ溶媒中で反応速度を向上させ、かつ熱分解等の副反応の抑制をしながら、反応器での滞留時間を短縮することにより、STY(単位容積単位時間当たりの生成物収量)を高め、高効率で有用な芳香族カルボン酸製造方法を提供すること
【解決手段】アルキル基を有する芳香族化合物を、触媒の存在下、分子状酸素で該アルキル基をカルボキシル基に酸化することにより芳香族カルボン酸を製造する方法であって、誘電率が3〜40の溶媒中で反応させ、反応時間が0.01〜5秒において芳香族カルボン酸を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルキル置換基を有する芳香族化合物を酸化させて芳香族カルボン酸を製造する方法に関する。
従来、アルキル基を有する芳香族化合物の酸化による芳香族カルボン酸製造は、例えばテレフタル酸合成の場合、酢酸溶媒中、コバルト、マンガン等の触媒存在下でp−キシレンと分子状酸素を反応させることにより行われてきた。工業的に実施されている反応方法における反応時間は1〜2時間であるが、数十万トン規模の製造を行う場合、反応器サイズは百立法メートルを超えることもあり、装置価格が非常に高く、テレフタル酸製造の経済性を悪化させる。
また、溶媒として用いられる酢酸が常に大容量で反応器内に滞留しているため、万一漏洩等のトラブルがあった場合に、火災等の大規模な災害につながり、現場運転員が被液した場合などには全身への火傷を負う恐れがある。
加えて、装置のメンテナンス性においても、大規模な反応器内の内部点検は非常な労力を要することから、定期修理の時間が大きくなってしまう。また、内壁の腐食状況などを知るための点検箇所が増えてくるため、さらに費用を要することになる。
そこで、反応時間を短縮し、反応器サイズの低減を図るための技術が開発されてきた。従来の酢酸溶媒での反応温度が200℃付近であったのに対して、さらに高温状態で水を溶媒として用いる方法が開示されている(例えば[特許文献1])。この方法によると、臭化マンガン触媒の存在下で、400℃、25MPaにおいて、反応時間は9秒まで短縮され、このときのテレフタル酸収率は74〜81%となっている。この反応効率について、STY(単位容積単位時間当たりの生成物収量)を実施例の一つをもとに計算すると、1726kg/m3・hとなり、例えば30万トン/年のテレフタル酸製造プラントを考えると、反応器容積は約22m3となる。
しかし、高圧反応器の価格面からは、この容積でも十分に経済的であるとは言えず、さらなる容積低減が望ましい。反応器容積を低減するためには、テレフタル酸生成の反応速度を向上させればよいが、あわせて熱分解等の副反応速度を抑制することが必要である。これらの課題解決に向け、鋭意検討した結果、以下の点に思い至った。
まず、テレフタル酸の生成速度向上については、臨界点近傍の溶媒効果による反応促進を目指した。溶媒効果を表す指標として誘電率が知られており、この値が大きくなると反応速度が向上する。有機溶媒では、例えば、無極性溶媒であるヘプタンの誘電率が1.9であり、中程度の極性溶媒である酢酸で6.2であるが、さらに極性溶媒では、アセトンの誘電率は21、エタノールは25となっている。これらの溶媒は比較的温度依存性が小さいが、臨界点近傍においては、基質周囲への溶媒和が強まり、基質の化学反応を促進することができる。また、水についても、温度圧力に依存して誘電率を大幅に制御できるという特性があるため、有用である。水誘電率の温度圧力依存性については既往の文献で詳細にまとめられており、温度圧力と誘電率の相関式も提示されている(例えば[非特許文献1])。例えば、25MPa、380℃においては、8.5であり、同じ温度で100MPaでは、17.5となる。
次に、熱分解等の副反応抑制については、原料p−キシレンの加熱時間短縮をねらいとした。臨界温度近傍では例えば400℃となると、わずかな加熱時間でも非常に高速な熱分解が進行する恐れがある。通常のバッチプロセスのように、p−キシレンを常温で仕込んでから加熱する工程をとると、その途中段階においてp−キシレンの脱メチル化などの副反応が起こりうる。また、反応器でも生成したテレフタル酸が逐次的に分解していく。したがって、これらを極力抑制するため、p−キシレンの予熱方法は、流通式として、過熱溶媒との直接接触により行うのが最も効率がよい。また、これとあわせて、反応器についても、流通型の反応器を利用することにより反応時間を1秒前後のオーダーまで短縮することが有効である。
上記二つの概念を生かした反応方法を鋭意検討した結果、テレフタル酸の生成速度向上と熱分解等の副反応抑制を同時に成立させる反応方法を考案し、本発明に至った。
特表2004−504289 J.Phys.Chem.Ref.Data,9,1291(1980)
本発明は、アルキル置換基を有する芳香族化合物を酸化させて芳香族カルボン酸を製造するに際して、適切な温度および誘電率をもつ溶媒中で反応速度を向上させ、かつ熱分解等の副反応の抑制をしながら、反応器での滞留時間を短縮することにより、STY(単位容積単位時間当たりの生成物収量)を高め、高効率で有用な芳香族カルボン酸製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、例えば次の芳香族カルボン酸の製造方法を提供する。
(1)アルキル基を有する芳香族化合物を、触媒の存在下、分子状酸素で該アルキル基をカルボキシル基に酸化することにより芳香族カルボン酸を製造する方法であって、誘電率が3〜40の溶媒中で反応させ、反応時間が0.01〜5秒であることを特徴とする芳香族カルボン酸製造方法。
(2)溶媒が酢酸、ピリジン、水の少なくとも1種であり、溶媒の臨界温度近傍の300〜600℃で反応させることを特徴とする請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法。
(3)溶媒がメタノール、エタノール、アセトン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランの少なくとも1種であり、溶媒の臨界温度近傍の200〜500℃で反応させることを特徴とする請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法。
(4)アルキル置換基を有する有機化合物が、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジエチルベンゼン、o−、m−、またはp−ジイソプロピルベンゼン、o−、m−、またはp−キシレン、o−、m−、またはp−クレゾール、1,2,3−、1,2,4、または−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,6−、または2,7−ジメチルナフタレン、4,4’−ジメチルビフェニルである請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法。
本発明の製造方法は、アルキル置換基を有する芳香族化合物を酸化させて芳香族カルボン酸を製造するに際して、適切な温度および誘電率をもつ溶媒中で反応速度を向上させ、かつ熱分解等の副反応の抑制をしながら、反応器での滞留時間を短縮することにより、STY(単位容積単位時間当たりの生成物収量)を高め、高効率に芳香族カルボン酸を製造することができる。
以下、本発明に係る芳香族カルボン酸の製造方法について具体的に説明する。
まず、各溶媒の誘電率は、3〜40の範囲が好ましく、更に8〜35の範囲が好ましい。誘電率が3より低いような領域では、溶媒極性としては無極性に近く、原料有機化合物の熱分解反応が促進されるため、好ましくない。また逆に、40より高い誘電率の場合には、誘電率78である常温の水のように、反応基質である有機化合物との相溶性が悪化することにより、二相分離等の好ましくない状態となりうるため、避けることが望ましい。
分子状酸素とは、好ましくは酸素ガスであるが、酸素含有空気あるいは、酸素を含むガスあるいは液相溶解状態の酸素でも構わない。酸素以外のガス成分を含む場合、反応条件まで昇圧するのに大量の電力エネルギーが必要となるため、酸素以外は極力少ない方が望ましくはあるが、本発明の範囲からそれらの使用可能性は除外されない。また、酸素を発生させることのできる化合物、例えば過酸化水素、等も使用されうる。
触媒は、酸化触媒が選ばれる。通常は、一種または複数種の金属化合物を含み、任意に反応促進のための助触媒を添加しうる。金属種としては、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウムなどの遷移金属イオンを含む金属塩あるいは金属錯体として用いる。例えば、塩を形成するためのアニオン種としては、酢酸イオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオンなどが用いられ、また錯体を形成するための配位子としては、アセチルアセトナート、エチレンジアミン、などを用いることができる。例えば、臭化マンガン、臭化コバルトなどが使用される。
助触媒としては、臭素化合物が好ましく使用され、例えば臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウムなどが使用されるが、塩化水素、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化水素、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなども使用できる。この他にも、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ビス(イソプロピル)ケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類なども使用される。さらに、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、シクロヘキサンカルボン酸などのカルボン酸類も必要に応じて添加しうる。
溶媒については、誘電率3〜40を持つものであれば、いずれも好ましく使用できる。特に好ましくは、酢酸、ピリジン、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランが使用される。
溶媒が酢酸、ピリジン、水の少なくとも1種である場合には、溶媒の臨界温度近傍の300〜600℃で反応させることが好ましく、また溶媒がメタノール、エタノール、アセトン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランの少なくとも1種である場合には、溶媒の臨界温度近傍の200〜500℃で反応させることが好ましい。
臨界温度近傍とは、臨界温度以下約100℃〜臨界温度以上約200℃の温度範囲とする。したがって、溶媒ごとに異なるが、本発明では以下のように臨界温度によって2つのグループに分類し、適当な温度範囲とした。
溶媒種 臨界温度 臨界温度近傍
酢酸 321℃ 300〜600℃
ピリジン 347℃ 300〜600℃
水 374℃ 300〜600℃
メタノール 240℃ 200〜500℃
エタノール 243℃ 200〜500℃
アセトン 235℃ 200〜500℃
ジクロロエタン 288℃ 200〜500℃
テトラヒドロフラン 267℃ 200〜500℃
臨界温度以下100℃より低い温度では、十分な反応速度が得られず、好ましくない。また、臨界温度以上200℃より高い高温領域では、原料有機化合物の熱分解が瞬間的に起こるため、十分な収率が得られない。
ここで、圧力条件については溶媒ごとに異なるため、特に規定しないが、誘電率の温度圧力依存性の大きい水の場合にのみ、以下の点に注意が必要である。高圧装置の価格あるいは高圧化に伴う消費エネルギーから考えると、圧力は低い方が好ましいが、誘電率向上による反応促進の結果、反応器サイズの低減あるいは収率の向上がある場合には、むしろ高圧化が好ましい。ここで好ましい圧力範囲は、22〜300MPa、より好ましくは36〜200MPaである。圧力が低すぎる場合には誘電率が低いため、反応が進まなくなる、あるいは原料化合物の熱分解が進み、生成物を得ることが困難となる。また、実装置の耐圧性やポンプ等の昇圧エネルギーを考慮すると、300MPaを超える高圧装置は現実的ではない。
本法におけるアルキル置換基を有する芳香族化合物とは、ベンゼン環あるいはナフタレン環にメチル基などのアルキル置換基を有するもので、好ましくはトルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジエチルベンゼン、o−、m−、またはp−ジイソプロピルベンゼン、o−、m−、またはp−キシレン、o−、m−、またはp−クレゾール、1,2,3−、1,2,4、または−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,6−、または2,7−ジメチルナフタレン、4,4’−ジメチルビフェニルが用いられる。特に好ましくは、p−キシレン、2,6−または2,7−ジメチルナフタレンが用いられる。
反応時間は0.01〜5秒の範囲が好ましく、更には0.1〜5秒の範囲が好ましい。反応時間が短すぎると、酸化反応が進行しないため十分な収率が得られない。逆に反応時間が長すぎると、生成した芳香族カルボン酸が逐次的に分解していき、やはり収率を下げることになり、好ましくない。反応時間すなわち反応器での滞留時間は、反応器容積を反応器における体積流量で除して得る。この際、水体積流量は、温度および圧力依存性が大きいため、蒸気表(日本機械学会)記載の水密度を基準にして、質量流量を密度で除することにより決定した。また、反応時間が0.01〜5秒と非常に短いことから、原料予熱時間も短時間であることが必要となる。
予熱方法としては、常温のp−キシレンと超臨界水を直接混合することにより、瞬時にp−キシレンを反応温度まで予熱する方法などが好ましいが、同様な昇温速度を実現しうる高効率な間接加熱も採用してよい。予熱時間が長すぎると原料の熱分解が起こってしまい、生成物収率が上がらない。反応器の材質は、SUS316、ハステロイC276、インコネル625、チタン等の耐食性材料を用いるのが好ましく、反応条件の腐食環境に応じて適切な材料を選定する。
本発明で製造される芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,3−、1,2,4−、または1,3,5−トリカルボキシベンゼン、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。特に好ましくは、テレフタル酸、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸の製造法として用いられる。
次にこの方法での製造方法について、添付のフローシートを用いて説明する。
反応器が連続式の場合について、本発明を実施するための概略フローシートの一例が示されている図1を参照して説明する。ここでは、アルキル置換基を有する芳香族化合物としてp−キシレンを用い、溶媒として水を用いたテレフタル酸製造プロセスを説明する。なお、連続式で実施する態様の下記の説明を、同等の機能を有するバッチ式に応用して実施することは当業者には容易である。
1の酸素、2のp−キシレン、3の触媒水溶液それぞれをポンプにより反応圧力まで昇圧したのち、高圧分離工程からリサイクルされてくる水と混合して、4の酸化反応器へ送液する。このとき、リサイクルされてくる水を過熱しておいて、常温の1〜3の原料物質と混合することにより、原料物質の反応温度への昇温を速やかに行う。酸化反応器を出た生成物水溶液の冷却または脱圧により、粗テレフタル酸固体を析出させたスラリーが高圧分離工程5へ送られる。ここでは、固液分離により、水と粗テレフタル酸固体を分離するほか、ガス6も分離する。ガス6には未反応酸素および二酸化炭素等が含まれる。ここで分離された水は上述したように、4の酸化反応器へリサイクルされる。リサイクルされる水の一部は生成水7として系外へ排出される。排出される水中に含まれる触媒は、濃縮等の操作により、生成水と分離されたのち、再度反応器へとリサイクルされる。
粗テレフタル酸中に含まれる不純物は、分離・洗浄工程12からリサイクルされてきた水に加熱溶解され、必要に応じて水素化工程9送られる。ここで、不純物は水素8と反応して、可溶成分に変換され、後の晶析工程10においてテレフタル酸固体との分離が可能となるが、この方法は公知である。晶析工程10で析出した精テレフタル酸固体は、次の分離・洗浄工程12において、洗浄水11により洗浄されながら分離される。ここで発生する分離母液、洗浄ろ液は、水添工程9あるいは晶析工程10にリサイクルされ、余剰水13として抜き出されるが、この余剰水13には可溶化された有価成分を含むため、必要に応じて濃縮等の処理をしたのち、酸化反応器4の原料として用いることができる。この場合には、高圧分離工程5からのリサイクルラインに合流させて酸化反応器4に戻す(余剰水の酸化反応器リサイクルについては、図1記載なし)。洗浄・分離工程で分離された固体の精テレフタル酸には水分が含まれるため、乾燥工程14において水分をとばし、最終的に製品テレフタル酸15が得られる。
あるいはまた別の方法として、図2に示したように、酸化反応器4の出口反応液をそのまま水素化工程9へ送り、不純物の水素化精製までを連続で行うこともあり得る。この場合には、水素化後の冷却されたスラリーを分離して精テレフタル酸を得るとともに、テレフタル酸固体を分離したろ液を酸化反応器へリサイクルする。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、ここでは、アルキル置換基を有する芳香族化合物としてp−キシレンを用いたテレフタル酸合成について説明している。
実施例1〜2および比較例1では、図3に示される流通型の反応装置を用いて、連続式でアルキル芳香族化合物の酸化反応を行った。図3に示される反応装置は、ポンプ19、20、21、27、プレヒーター加熱器22、プレヒーター23、反応器加熱器24、反応器25、冷却器28、背圧弁29、気液分離器30を有する。酸素は、タンク18からポンプ21を用いて、過酸化水素水としてプレヒーター23に供給し、熱分解により酸素と水の形とした。また、触媒は、タンク17からポンプ20を用いて、触媒水溶液としてプレヒーター23出口に供給し、水と酸素がチューブコイルにて加熱された後の部分に合流させた。さらに、p−キシレンは、タンク16からポンプ19を用いてプレヒーター23の出口に供給し、水、酸素、触媒混合物に合流させた。なお、このとき、触媒水溶液およびp−キシレンは、加熱せず常温のまま供給し、すでに過熱された過酸化水素水由来の水−酸素混合物と混合することにより、反応温度まで迅速に昇温させた。このときのプレヒーター温度はプレヒーター加熱器22により加熱して調節した。これら、水、酸素、触媒、p−キシレンの混合物を、合流直後にある反応器25において酸化反応を起こさせた。なお、反応器の温度および圧力は、反応器25の加熱器24および背圧弁29で調節した。反応器25を出た反応混合液は、冷却により難溶解性のテレフタル酸等が析出する恐れがあるので、中和溶解のための水酸化ナトリウム水溶液をタンク26からポンプ27を用いて、反応混合液に合流させた。これらの混合物は冷却器28にて常温まで冷却されたのち、気液分離器30にて、ガス成分は32へ、液成分はタンク31へと分離された。なお、反応時間(滞留時間)は、反応器のチューブコイルの容積を調節することにより制御した。
すべての実施例、比較例の反応成績(STY)は、反応液の組成から下記の数式(1)により算出した。なお、反応液の組成は島津製作所製の液体クロマトグラフ装置を用いて分析して決定した。
数式(1) STY(kg/m3・h)
=(生成テレフタル酸量)/{(反応器容積)×(反応時間)}
[実施例1]
アルキル置換基を有する芳香族化合物として、p−キシレンを用いた。反応温度を380℃とし、圧力は本温度下での水誘電率が9.9となるよう、27MPaとした。反応器入口の水/酸素/p−キシレンのモル比は750/4/1とした。また、触媒としては臭化マンガン四水和物を用いて、触媒/p−キシレンのモル比を0.12とした。反応器容積は0.5mLとして、反応時間は1秒とした。得られたテレフタル酸収率は、29%であり、このときのSTYは、6511kg/m3・hであった。
[実施例2]
反応温度を380℃とし、圧力は本温度下での水誘電率が13となるよう、40MPaとした他は、実施例1と同様に行ったところ、得られたテレフタル酸収率は、32%であり、このときのSTYは、7260kg/m3・hであった。
[比較例1]
反応時間を10秒とするように、反応器容積を5.0mLとした他は、実施例1と同様に行ったところ、得られたテレフタル酸収率は、45%であり、このときのSTYは、1025kg/m3・hであった。
本発明実施のためのフローシートである。 本発明実施のためのフローシートである。 実施例および比較例で用いた装置の概略フローシートである。
符号の説明
1 酸素
2 p−キシレン
3 触媒
4 酸化反応工程
5 高圧分離工程
6 排ガス
7 排水
8 水素
9 水添反応工程
10 晶析工程
11 洗浄水
12 分離・洗浄工程
13 分離母液・洗浄ろ液
14 乾燥工程
15 製品テレフタル酸
16 p−キシレンタンク
17 触媒水タンク
18 過酸化水素水タンク
19 p−キシレンポンプ
20 触媒水ポンプ
21 過酸化水素水ポンプ
22 プレヒーター加熱器
23 プレヒーター
24 反応器加熱器
25 反応器
26 水酸化ナトリウム水
27 水酸化ナトリウム水ポンプ
28 冷却器
29 背圧弁
30 気液分離器
31 生成液タンク
32 生成ガス

Claims (4)

  1. アルキル基を有する芳香族化合物を、触媒の存在下、分子状酸素で該アルキル基をカルボキシル基に酸化することにより芳香族カルボン酸を製造する方法であって、誘電率が3〜40の溶媒中で反応させ、反応時間が0.01〜5秒であることを特徴とする芳香族カルボン酸製造方法。
  2. 溶媒が酢酸、ピリジン、水の少なくとも1種であり、溶媒の臨界温度近傍の300〜600℃で反応させることを特徴とする請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法
  3. 溶媒がメタノール、エタノール、アセトン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランの少なくとも1種であり、溶媒の臨界温度近傍の200〜500℃で反応させることを特徴とする請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法
  4. アルキル置換基を有する有機化合物が、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジエチルベンゼン、o−、m−、またはp−ジイソプロピルベンゼン、o−、m−、またはp−キシレン、o−、m−、またはp−クレゾール、1,2,3−、1,2,4、または−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,6−、または2,7−ジメチルナフタレン、4,4’−ジメチルビフェニルである請求項1の芳香族カルボン酸の製造方法。
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