JP2006015871A - 反力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車両の運転者により操作されるステアリングホイールに作用させるべき反力成分を制御する反力制御装置において、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ16と、車両の車速を検出する車速センサ19と、少なくとも操舵トルクセンサ16,車速センサ19,及び転舵輪に加えるブレーキ圧を制御可能なブレーキ圧制御装置からの信号に応じて、反力成分を設定する反力補正部33とを備え、この反力補正部33は、ブレーキ圧制御装置が作動しているときは、非作動時よりも反力成分を大きくする。
【選択図】 図3
Description
このように構成した場合、駆動トルク指令値に対する減衰補正値は、操舵アシスト力に対する反力成分と言える。
このため、ブレーキ操作時に各転舵輪がロック状態に陥ることを防止するアンチロックブレーキ制御(いわゆる、ABS)や、オーバーステアまたはアンダーステア時に旋回外輪側または旋回内輪側の前輪にブレーキ圧を加える方向安定性制御等を行えるブレーキ圧制御装置を備えた車両において、該ブレーキ圧制御装置が車両旋回中に作動した場合には、転舵輪から発生する力のほとんどが制動力に使われてしまう結果、セルフアライニングトルクが出ず、操舵トルクが発生し難い状況となる。この傾向は、例えば雪上等のように路面が低摩擦状態(低μ状態)のときに顕著となる。
他方、上記特許文献1記載のハンドル戻し制御を行えば、ステアリングは中立位置まで戻るものの、通常の走行状態であっても、操舵角に応じてハンドル戻し制御が介入してしまうため、運転者はそれを違和感として感じることがある。
このように構成することにより、ブレーキ圧制御装置が作動しているとき、つまり、セルフアライニングトルクが低下しているときであっても、操作子を中点位置に戻そうとする反力成分が大きめに設定されるので、運転者にとっては、どちらに操作子を操作すれば中立位置に戻るのかの判断が容易となる。また、操作子を中点位置に戻そうとする反力成分は、ブレーキ圧制御装置の作動時のみに限定され、非作動時には無効とされる。
このように構成することにより、セルフアライニングトルクが低くなるほど、操作子を中点位置に戻そうとする反力成分が大きくなるので、運転者にとっては、どちらに操作子を操作すれば中立位置に戻るのかの判断が極めて困難な状況下においても、その判断が容易となる。
このように構成することにより、高車速での車両旋回時には、操作子に作用させるべき反力成分が大きくなり、車両の安定感が増す。
このように構成することにより、ブレーキ圧制御装置の作動が終了したときに、車輪が予期せぬ角度に転舵されていることを効果的に抑制することができる。また、低車速では比較的操舵角が大きくなるまで反力成分を付与しないことが可能になる。
請求項2に係る発明によれば、ブレーキ圧制御装置の作動が終了した時に生じ得る車両の不整挙動をより一層効果的に抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、高車速時における車両の安定感が増すので、操舵フィーリングが向上し、商品性も増す。
請求項4に係る発明によれば、ブレーキ圧制御装置の作動が終了した時に生じ得る車両の不整挙動をより一層効果的に抑制することができる。また、車速に応じた反力成分のきめ細かな設定が可能になるので、操舵フィーリングが更に向上する。
初めに、図1を参照して、電動式パワーステアリング装置の構成を説明する。電動式パワーステアリング装置は手動操舵力発生機構1を備えており、この手動操舵力発生機構1は、ステアリングホイール(操作子)3に一体結合されたステアリングシャフト4が、ユニバーサルジョイントを有する連結軸5を介してラック&ピニオン機構のピニオン6に連結されて構成されている。ピニオン6は、車幅方向に往復動し得るラック軸7のラック7aに噛合し、ラック軸7の両端には、タイロッド8,8を介して転舵輪としての左右の前輪9,9が連結されている。この構成により、ステアリングホイール3の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪9,9を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸7とタイロッド8,8は転舵機構を構成する。
横加速度センサ17は検出した横加速度αに対応する電気信号を、ヨーレートセンサ18は検出したヨーレートγに対応する電気信号を、後述するブレーキ圧制御装置100における方向安定性制御部(図示略)に出力する。一方、車速センサ19は車速に対応した電気信号を、ステアリング制御装置20に出力する。
タンデム型のマスタシリンダMが備える第1および第2出力ポート2A,2BからはブレーキペダルPの踏込み操作に応じたブレーキ液圧が出力され、両出力ポート2A,2Bはブレーキ液圧回路50に接続され、該ブレーキ液圧回路50からのブレーキ液圧が各車輪ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRに作用する。
ブレーキ液圧回路50は、リザーバRを備えるマスタシリンダMの第1出力ポート2Aおよび右後輪ブレーキBRR間に設けられる右後輪ブレーキ調圧手段60Aおよび比例減圧弁61Aと、マスタシリンダMの第2出力ポート2Bおよび左後輪ブレーキBRL間に設けられる左後輪ブレーキ調圧手段60Bおよび比例減圧弁61Bと、第1出力ポート2Aおよび左前輪ブレーキBFL間に設けられる左前輪ブレーキ液圧制御装置62Aと、第2出力ポート2Bおよび右前輪ブレーキBFR間に設けられる右前輪ブレーキ液圧制御装置62Bとを備える。
このとき、方向安定性制御部は、車輪速度、横加速度α、ヨーレートγ等に基づいて、ブレーキ加圧手段64A,64Bの制御量を算出し、各弁80A,80B,81A,81Bの開閉作動を制御するための制御信号を出力している。
すなわち、ステアリング制御装置20は、操舵角センサ15,操舵トルクセンサ16,車速センサ19からの入力信号と、ブレーキ圧制御装置100からの作動信号及び作動量信号とを処理して得られる制御信号により、電動機10に供給すべき目標電流を決定し、これを駆動回路21を介して電動機10に供給することにより、電動機10の出力トルクを制御し、ステアリング操作における操作補助力を制御する。
ステアリング制御装置20は、ベース電流決定部31、イナーシャ補正部32、反力補正部(反力成分制御手段)33を備えている。
ベース電流決定部31においては、操舵トルクセンサ16および車速センサ19の出力信号に基づき、ベース電流テーブル(図示略)を参照して、操舵トルクと車速に応じたベース電流値が決定される。ここで、ベース電流テーブルは、操舵トルクが大きくなるにしたがってベース電流が大きくなり、車速が大きくなるにしたがってベース電流が小さくなるように設定されている。
反力補正部33は、前記慣性マス補償後の電流から反力成分に応じた補正電流を減算して、電動機10に対する目標電流を算出し、この目標電流を駆動回路21に出力する。駆動回路21は、電動機10への供給電流が目標電流となるように制御して、電動機10に電流供給を行い、電動機10の出力トルクを制御する。
したがって、この実施例の電動パワーステアリング装置においては、反力補正部33で設定される補正電流は操舵アシスト力に対する反力成分ということができ、ベース電流決定部31で設定されるベース電流はこの反力成分を相殺する前の操舵アシスト力ということができる。
ダンパ補正部34は、操舵回転速度に基づいて第1反力補正電流を算出し、前記慣性マス補償後の電流から第1反力補正電流を減算する。
操舵角反力補正部35は、車速と、操舵角δと、ブレーキ圧制御装置100からの作動信号及び作動量信号とに基づいて第2反力補正電流Im2を算出し、ダンパ補正部34から出力される電流から第2反力補正電流Im2を減算して、目標電流を算出する。
操舵角反力補正部35は、ステア戻し制御電流算出部36において、車速センサ19と操舵角センサ15からの各出力信号に基づいて、車速と操舵角δに応じたステア戻し制御電流Imbを作成する。すなわち、まず、車速センサ19の出力信号に基づき、オフセットテーブル38を参照して、車速に応じたオフセット量を算出する。オフセットテーブル38は、車速が低い領域ではオフセット量が所定プラス値で一定で、所定の車速以上になると、車速の増大にしたがってオフセット量が徐々に減少していき、最終的には「0」になるように設定されている。
ここで、補正電流テーブル39は、オフセット操舵角δ’が「0」のときに基準ステア戻し制御電流Imaが「0」に設定されていて、オフセット操舵角δ’が大きくなるにしたがって基準ステア戻し制御電流Imaが徐々に大きくなっていき、オフセット操舵角δ’が所定値以上になると基準ステア戻し制御電流Imaは上限値で一定となるように設定(リミット処理)されている。
オフセットテーブル38によれば、車速が高いときにはオフセット量は「0」であり、その場合にはオフセット量を加味した補正電流テーブルは図4(A)に示すようになり、操舵角センサ15からの操舵角δをそのまま補正電流テーブル39におけるオフセット操舵角δ’に対応させて基準ステア戻し制御電流Imaを算出することになる。
つまり、操舵角センサ15からの操舵角δがオフセット量以下となる領域(以下、この領域を不感帯と称す)、言い換えれば、反力成分(第2反力補正電流Im2)の設定に影響を与えない領域では、基準ステア戻し制御電流Ima(基準反力成分)が「0」に設定される。そして、オフセットテーブル38では車速が高くなるほどオフセット量が小さくなることから、車速が小さいほど不感帯が大きくなることとなる。なお、図4(A)に示す補正電流テーブルの場合は、不感帯がゼロになったときと考えることができる。
その結果、車速に応じた反力成分のきめ細かな設定が可能になり、高車速時の操舵安定性を向上することができると共に、操舵フィーリングの向上を図ることができる。
ここで、車速レシオテーブル40は、車速が「0」のときにレシオR1が所定値(<1)に設定されていて、車速が大きくなるにしたがってレシオR1が徐々に大きくなっていき、車速が所定値以上になるとレシオR1は上限値(例えば、「1.0」)で一定となるように設定されている。
そして、補正電流テーブル39で算出した基準ステア戻し制御電流Imaに、車速レシオテーブル40から算出したレシオR1を乗じて得た積(Ima・R1)を、ステア戻し制御電流Imbとする(Imb=Ima・R)。これにより、高車速での車両旋回時に、ステアリングホイール3に作用させるべき反力成分が大きくなり、車両の安定感が増す。
このような減算処理の有無は、ブレーキ圧制御装置100からの作動信号に基づき開閉するスイッチング手段111により切り替えられる。
したがって、ブレーキ圧制御装置100が作動しているとき、つまり、セルフアライニングトルクが低下しているときであっても、ステアリングホイール3を中点位置に戻そうとする反力成分が大きめに設定されることになり、運転者にとっては、どちらにステアリングホイール3を操作すれば中立位置に戻るのかの判断が容易となる結果、ブレーキ圧制御装置100の作動が終了した時に生じ得る車両の不整挙動を効果的に抑制することができる。一方、ブレーキ圧制御装置100が未作動の際には、ステアリングホイール3を中点位置に戻そうとする反力成分の付与は無効となるので、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
レシオR2の最小値は、例えば「1.0」に設定されている。このように設定しておけば、ブレーキ圧制御装置100の作動量が所定範囲内で増減するような場合においても、それに伴う第2反力補正電流Im2の増減は発生しないので、良好な操舵フィーリングが維持される。
このため、ブレーキ圧制御装置100の作動が終了したときに、転舵輪が予期せぬ角度に切れているといった状況が効果的に回避され、ブレーキ圧制御装置100の作動が終了した時に生じ得る車両の不整挙動を効果的に抑制することができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述したオフセットテーブル38によるオフセット処理や、車速レシオテーブル40によるレシオ処理は、この発明に係る反力制御装置において必須構成ではなく、これら処理を行わずに、ステア戻し制御電流算出部36で算出した基準ステア戻し制御電流Imaに、作動量レシオテーブル41を参照して得たレシオR2を乗算して補正電流Im2を算出するようにしてもよい。
また、ブレーキ圧制御装置の作動量としては、図2のブレーキ油圧回路において、アンチロックブレーキシステム(ABS)を構成している後輪ブレーキ調圧手段60A,60B、比例減圧弁61A,61B,前輪ブレーキ液圧制御装置62A,62Bの各作動量や、これらに対する制御指令値を使用してもよい。
なお、ステアリング・バイ・ワイヤ・システムとは、操作子と転舵機構とが機械的に分離されていて、操作子に反力を作用させる反力モータと、転舵機構に設けられて転舵輪を転舵させる力を発生させるステアリングモータとを備えた操舵システムである。
アクティブ・ステアリング・システムとは、前輪舵角および後輪舵角を運転者のステアリング操作や車両の運動状況に応じて制御する操舵システムである。
バリアブル・ギヤ・レシオ・ステアリング・システムとは、操舵角の大きさに応じてステアリング・ギヤ・レシオを変更可能な操舵システムである。
15 操舵角センサ(操作量検出手段)
16 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
19 車速センサ(車速検出手段)
33 反力補正部(反力成分制御手段)
100 ブレーキ圧制御装置
Claims (4)
- 車両の運転者により操作される操作子に作用させるべき反力成分を制御する反力制御装置において、
前記操作子に作用する操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
少なくとも前記操舵トルク検出手段,前記車速検出手段,及び車輪に加えるブレーキ圧を制御可能なブレーキ圧制御装置からの信号を用いて、前記反力成分を設定する反力成分制御手段とを備え、
前記反力成分制御手段は、前記ブレーキ圧制御装置が作動しているときは、非作動時よりも前記反力成分を大きくすることを特徴とする反力制御装置。 - 前記反力成分制御手段は、前記ブレーキ圧制御装置の制御量が大きいほど前記反力成分を大きくすることを特徴とする請求項1記載の反力制御装置。
- 前記反力成分制御手段は、前記車速が大きいほど前記反力成分を大きくすることを特徴とする請求項1記載の反力制御装置。
- 運転者による前記操作子の操作量を検出する操作量検出手段を備え、
前記反力成分制御手段は、前記操作量が大きいほど前記反力成分を大きくすると共に、前記反力成分の設定に影響を与えない操作量領域を有し、該操作量領域は車速が小さいほど大きいことを特徴とする請求項1記載の反力制御装置。
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