JP2006014359A - エコー抑制処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境の変動により近端の回り込み音声信号の遅延量の変動があってもエコー抑制処理性能を高く維持できるエコー抑制処理システムを提供する。
【解決手段】 回り込み遅延量検出部50は、スピーカ30に供給された出力音声信号aiおよびマイクロフォンアレイ20から入力された入力音声信号biから両者の相互相関r(k)を計算し、回り込み音声信号の遅延量dを求める。遅延処理部60は出力音声信号aiを遅延量dだけ遅延した音声信号ai-dを生成する。環境変動などによる遅延量の変動があっても遅延処理部60により適切な遅延処理が施される。演算フィルタ42において遅延処理済みの音声信号ai-dから回り込み音声推定信号ai-d’が生成される。減算部44は、入力音声信号biから回り込み音声推定信号ai-d’を減算してエコー抑制信号eiを生成する。係数更新部43は演算フィルタ42の係数を更新する
【選択図】 図1

Description

本発明は、全二重通話システムに適用されるエコー抑制処理システムに関する。
インターネットの普及に伴い、インターネットを利用した様々なサービスが提供され始め、VoIP等の技術を用いたインターネットを介したいわゆるコンピュータテレフォニーシステムも広がりつつある。以下、従来のインターネットを介したVoIPアプリケーションを用いた全二重通話システムを説明する。
図9は全二重通話システムを模式的に示した図である。図9において、510と520が通話者同士であり、説明の便宜上、520が話者となり、520が発した話者音声が510側に伝わる場合を例に説明する。511および521がマイクロフォン、512および522がスピーカ、513および523がVoIPアプリケーション、514および524が端末装置、530がインターネットである。通信インタフェースやその他のデバイスなどは説明の便宜上、図示を省略した。
いま、話者520がマイクロフォン521に向かって音声入力を行うと、VoIPアプリケーション523が当該音声を受け付け、サンプリング処理など必要な処理を行い、端末装置524からパケットデータとしてインターネット530に送信される。各パケットデータはインターネット上でのルーティングに従い、端末装置514に到達し、パケットデータが順に組み立てられ、VoIPアプリケーション513において必要な処理が行われた後、スピーカ512から音声信号として出力される。
ここで、従来からエコーと呼ばれる現象が起こることが知られている。スピーカ512から出力された音声は通話相手510に届くとともに、回り込みが起きてマイクロフォン511に音声として入力されてしまう場合がある。この場合、マイクロフォン511から再入力された音声は、端末装置514のVoIPアプリケーション513、インターネット530、端末装置524のVoIPアプリケーション523を介してスピーカ522からエコーを含む音声として出力されることとなり、一種のループを形成する。このエコーを生じるループを形成する経路(エコー経路)には伝送遅延が生じる。つまり、話者520にとれば、自らマイクロフォン521に入力した音声を、少し遅れてスピーカ522から聞くこととなる。このエコーが生じた場合、話者はとても話しづらく、相手の音声も聞きづらいものとなってしまうことが知られている。また、エコーのレベルが非常に大きく、エコーが減衰せずに発散する場合などではハウリングと呼ばれる現象が生じて通話不能となってしまう。
そこで、従来からエコーキャンセラが用いられている。図10は従来技術におけるエコーキャンセラを用いたエコー抑制処理システムを模式的に示した図である。図10において、話者510側の端末装置514は、エコーキャンセラ515を有している。エコーキャンセラ515は、スピーカ512を介して出力される信号を入力として取り込み、当該取り込んだ信号分をマイクロフォン511から拾う信号から減ずることにより、マイクロフォン511に回り込んで再入力された音声信号を打ち消す構成となっている。
エコーキャンセラ515は、演算フィルタと係数更新部と減算器を備えている。演算フィルタにより、スピーカ512から出力されてマイクロフォン511に回り込む音声信号量に応じた推定信号を生成する。減算器は、演算フィルタにより生成された推定信号分をマイクロフォン511を介して得られた入力音声信号から減算する。減算器において入力音声信号中に含まれた回り込み音声信号分が正確に減算されれば、エコーを完全に消去することが可能となる。
ここで、従来技術においては、スピーカ512とマイクロフォン511の相対位置関係や周囲の環境がエコーに及ぼす影響が既知であることが前提であり、スピーカ512からマイクロフォン511に回り込む音声信号の遅延量は一定とみなされ、演算フィルタの係数の大枠は、これら既知情報を基にして決められた遅延量に対応するものとなっている。ただし、この遅延量は常に不変とは言えず、また、初期設定が最適とも限らないので、係数更新部が設けられている。係数更新部は、エコー抑制処理の結果をフィードバックし、所定タイミングで演算フィルタの係数を更新する。
しかしながら、従来のエコーキャンセラを用いたエコー抑制処理システムでは以下の問題があった。
第1の問題点は、従来技術のエコーキャンセラでは、話者システムにおける大きな環境の変動があった場合、即座に当該変動に対応したエコー抑制処理ができないという問題である。
従来技術のエコーキャンセラは、スピーカ522とマイクロフォン521の相対位置関係が一定で、話者システムが設置された場所の環境の変化が十分に小さく、スピーカ522からマイクロフォン521に回り込む音声信号の遅延量の変化が少ないとみなされることを前提としていた。そのため、この前提条件が満たされず、環境の変化が大きい場合、例えば、壁や天井の音反射の条件が変化する場合や、スピーカの移動やマイクロフォンの移動などスピーカとマイクロフォンの相対位置関係が大きく変化する場合には、スピーカからマイクロフォンへの回り込む音声信号の遅延量の変動が大きく、従来のエコー抑制処理システムの更新係数部による演算フィルタの係数更新では、この大きな変動に対して即座に対応することができなかった。
第2の問題点は、雑音源の存在によるエコー抑制処理の低下が起きやすいという問題である。
エコーキャンセラの性能を向上するためには、マイクロフォンに入力されるスピーカの音声出力信号を感度良く捉えることが重要であるが、従来技術のエコーキャンセラでは、話者の音声や環境中の背景音などの雑音源の影響を受けやすく、これら雑音源が存在した場合、マイクロフォンに入力されるスピーカの音声出力信号の推定精度が下がり、係数更新部による演算フィルタのパラメータ更新量が適切なものとはならず、エコー抑制処理性能が低下してしまう。
第3の問題点は、従来のエコー抑制処理システムでは、エコー抑制処理が十分でない場合、却って通話品質を低下してしまうという問題である。
従来のエコー抑制処理システムでは、エコー抑制処理が十分でない場合であってもエコー抑制処理が継続され、エコー抑制処理後の残存信号が通話相手側システムに送信される。このように残存信号が通話システムの背景雑音として常に送信されることとなり、却って通話品質を低下してしまうことがあった。
上記問題点に鑑み、本発明は、壁や天井の音反射の条件が変化する場合や、スピーカとマイクロフォンの相対位置関係が大きく変化する場合など、環境の変動によりスピーカからマイクロフォンへの回り込む音声信号の遅延量の変動が大きい場合であっても、当該遅延量を高精度に推定し、演算フィルタの係数を適切に更新し、エコー抑制処理性能を高く維持することができるエコー抑制処理システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、環境中に雑音源が存在する場合であっても、マイクロフォンに入力されるスピーカの音声出力信号の推定精度を高く保ち、係数更新部による演算フィルタのパラメータ更新量を適切なものとするエコー抑制処理システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、エコー抑制処理が十分でない場合、エコー抑制処理後の残存信号が通話相手側システムに送信されないようにして、通話品質の低下を防止することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明のエコー抑制処理システムは、全二重通話システムにおいて、マイクロフォンアレイと、相手側の通話システムから伝送された音声信号を音声に変換するスピーカと、前記マイクロフォンアレイの入力音声信号を用いて前記スピーカから出力されて前記マイクロフォンアレイに回り込む音声信号を推定し、推定された結果に応じて、前記スピーカに供給される出力音声信号を入力として回り込み音声推定信号を生成する回り込み音声推定信号生成部と、前記マイクロフォンアレイから入力された入力音声信号から前記回り込み音声推定信号を減算する減算部を備えたエコー抑制処理部を備えたことを特徴とする。
上記構成により、環境の変動によりスピーカからマイクロフォンへの回り込む音声信号の遅延量の変動が大きい場合であっても、マイクロフォンアレイを用いて高精度に回り込む音声信号およびその遅延量を解析、推定し、演算フィルタの係数を適切に更新することができる。
また、本発明のエコー抑制処理システムは、前記スピーカに供給される出力音声信号と、前記マイクロフォンアレイから入力された入力音声信号に含まれる回り込み音声信号とを比較し、前記出力音声信号に対する前記入力音声信号に含まれる回り込み音声信号の遅延量を検出する回り込み遅延量検出部と、前記回り込み遅延量検出部で検出した遅延量に従って前記出力音声信号を遅延させる遅延処理部をさらに備え、前記遅延処理部の出力音声信号を、前記回り込み音声推定信号生成部に入力される前記出力音声信号とすることが好ましい。
上記構成により、回り込み音声信号の遅延量を遅延検出部で検出し、出力信号の遅延処理を遅延処理部で実行するので、両者の位相差を小さくすることができる。従来技術では遅延量の変動分も係数更新器による係数更新処理で補っていたが、本発明のように遅延処理部を設けることにより係数更新器の負荷が低減され、環境の変動などにより遅延量の変動が大きい場合でも高精度かつ高速に両信号の位相差を小さくして、エコー抑制処理を実行することができる。
なお、マイクロフォンアレイを用いるので、各入力音声信号に含まれる信号の中から、同期加算処理により回り込み音声信号を強調して取り出すことが可能となる。精度の良い回り込み音声信号の取得により、その遅延量計算の精度を向上することができ、エコー抑制処理の性能が向上する。
また、同様に、マイクロフォンアレイを用いた同期加算処理により各入力音声信号に含まれる信号のうち話者音声信号を強調して取り出すことが可能となる。精度の良い話者音声信号の取得により、話者音声信号を強調して相手側通話システムに対して送信することができ、相対的にエコー抑制処理の性能が向上する。
次に、上記のエコー抑制処理システムにおいて、回り込み音声推定信号生成部が、演算フィルタ部と、演算フィルタの係数を所定のタイミングで更新する係数更新部を備え、係数更新部が、エコー抑制処理部によるエコー抑制結果中に残存する回り込み音声信号のレベルを基に推定結果および演算フィルタの係数更新量を決めて係数を更新し、演算フィルタ部が、スピーカに供給される出力音声信号を入力として演算を施し、回り込み音声推定信号を生成することが好ましい。
なお、この際、マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、相互相関計算結果からマイクロフォンアレイ周囲の音源数を検出する音源数検出部と、音源数検出部によりスピーカの数より多い数の音源が検出された場合、係数更新部における演算フィルタの係数更新を遅くするまたは停止する。
上記構成により、スピーカ以外の音源から音声が発せられている場合、係数更新を遅くしたり停止したりすることができ、エコー抑制処理性能が向上する。なぜならば、演算フィルタの係数はスピーカからの音声信号のマイクロフォンへの回り込みのみをキャンセルするように決める必要があり、他の音源からの音声信号のマイクロフォンへの入力が混在している状態で係数を決めて更新すると、エコー抑制の性能が低下してしまうからである。
次に、本発明のエコー抑制処理システムにおいて、エコー抑制処理部の出力段に設けられた音声信号スイッチと、音声信号スイッチのオンオフを制御する音声信号スイッチ制御部と、マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、相互相関計算結果から話者音声の有無を検出する話者音声検出部と、スピーカに供給される出力音声信号のパワーを計算する第1のパワー計算部と、エコー抑制処理部の出力である音声信号のパワーを計算する第2のパワー計算部をさらに備え、前記音声信号スイッチ制御部は、前記第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、前記第2のパワー計算部による値が所定値以上であれば、前記話者音声検出部が話者音声を検出したときには前記音声信号スイッチを導通状態とし、前記話者音声検出部が話者音声を検出しないときには前記音声信号スイッチを非導通状態とする制御とし、前記第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、前記第2のパワー計算部による値が所定値未満であれば、前記音声信号スイッチを導通状態となるように制御することが好ましい。
上記構成により、エコー抑制処理効果が正しく発揮されていない場合、話者音声入力時のみスイッチングにより音声信号を送信することができ、通話品質を維持することができる。つまり、マイクロフォンからの入力がない状態でエコー抑制処理部の出力において残存する音声信号パワーが大きい場合とは、背景雑音となる何らかのオフセット値が残存している場合であり、エコー抑制処理部の出力信号を導通しておくよりも、話者音声入力がない場合は非導通状態としておくことが好ましいからである。
本発明のエコー抑制処理システムによれば、回り込み音声信号の遅延量を遅延検出部で検出し、出力信号の遅延処理を遅延処理部で実行するので、両者の位相差を小さくすることができる。遅延処理部を設けることにより係数更新器の負荷が低減され、環境の変動などにより遅延量の変動が大きい場合でも高精度かつ高速に両信号の位相を合わせて、エコー抑制処理を実行することができる。
本発明のエコー抑制処理システムによれば、環境の変動によりスピーカからマイクロフォンへの回り込む音声信号の遅延量の変動が大きい場合であっても、マイクロフォンアレイを用いて高精度に回り込む音声信号およびその遅延量を解析、推定し、演算フィルタの係数を適切に更新することができる。
また、本発明のエコー抑制処理システムによれば、スピーカ以外の音源から音声が発せられている場合、係数更新を停止することができ、エコー抑制処理性能を向上することができる。
また、本発明のエコー抑制処理システムによれば、エコー抑制処理効果が正しく発揮されていない場合、話者音声入力時のみスイッチングにより音声信号を送信することができ、通話品質を維持することができる。
本発明のエコー抑制処理システムについて図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
また、本発明の実施形態1のエコー制御システムは、回り込み音声信号の推定にあたり、回り込み音声信号の遅延量を検出する回り込み遅延量検出部と、回り込み遅延量検出部で検出した遅延量に従って前記出力音声信号を遅延させる遅延処理部を備え、スピーカ出力信号を遅延処理した後に回り込み音声推定信号生成部に入力するものである。スピーカとマイクロフォンの相対位置関係の変化や環境の変化などにより回り込み音声の遅延量が変動しても、スピーカ出力信号を遅延処理部で遅延処理した後に、回り込み音声推定信号生成部の演算フィルタの係数更新を行なうので、係数更新処理の負荷低減とその精度向上を図ることができるものである。
図1は、本発明の実施形態1のエコー抑制処理システムを模式的に表わしたブロック図である。図1において、10が話者、20’a,20’bがマイクロフォン、30がスピーカ、40がエコー抑制処理部、50が回り込み遅延量検出部、60が遅延処理部、70が通信アプリケーション(通信AP)である。
この例では、スピーカ30から出力された通話相手側の音声信号が、マイクロフォン20’a,20’bに対して回り込むものとし、この回り込み音声信号によるエコー発生を近端側(回り込みが発生した側)で抑制する。
なお、図中、通信アプリケーション70から右側の通信路および相手側通話システムの図示は省略した。また、なお、通信インタフェースやその他のデバイスなども説明の便宜上、図示を省略した。
マイクロフォン20’a,20’bは、入力された音声を所定のサンプリング周波数により音声信号に置き換えるデバイスである。なお、このマイクロフォン20’a,20’bでアレイを構成し、その数は3個以上でも良い。
スピーカ30は、相手側の通話システムから伝送されてきた音声信号を振動板の機械的振動に代え、音声に変換するものである。
エコー抑制処理部40は、回り込み音声の推定信号を生成し、当該推定信号分をマイクロフォン20’a,20’bから入力された入力音声信号から減算して入力音声信号中に含まれるエコー分をキャンセルしてエコー現象を抑制する。
図2は、エコー抑制処理部40のモジュール構成を示したブロック図である。
エコー抑制処理部40は、回り込み音声推定信号生成部41と、演算フィルタ42と、係数更新部43と、減算部44を備えている。本実施形態1では回り込み音声推定信号生成部41は、演算フィルタ42と係数更新部43により構成されている。
回り込み音声推定信号生成部41は、スピーカ30から出力されてマイクロフォン20’a,20’bに回り込む回り込み音声信号を推定し、推定結果に応じて、スピーカ30に供給される出力音声信号を入力として回り込み音声推定信号を生成するものである。
ここで、演算フィルタ部42はスピーカ30に供給される出力音声信号を入力として演算を行なうフィルタであり、演算結果として回り込み音声推定信号を出力する。この例では、演算フィルタ42はFIRフィルタ(Finite impulse-response filter:有限時間インパルス応答フィルタ)とする。このFIRフィルタによる演算例は後述する。
また、係数更新部43は、演算フィルタの係数を所定のタイミングで更新する。係数更新部43は、エコー抑制処理部40によるエコー抑制結果中に残存するエコー分である回り込み音声信号のレベルを最小とするように演算フィルタ42の係数更新量を決め、係数を更新する。この例では、FIRフィルタである演算フィルタの係数を学習同定法を用いて更新するものとする。なお、学習同定法による係数更新例は後述する。
減算部44は、入力信号として、マイクロフォン20’a,20’bから入力された入力音声信号と、演算フィルタ42により生成された回り込み音声推定信号を持つ。減算部44は前者信号(入力音声信号)から後者信号(回り込み音声推定信号)を減算する。このように、エコー抑制処理部40は、減算部44における減算処理により、入力音声信号に含まれている回り込み音声信号分をキャンセルし、エコーを抑制する。
次に、回り込み遅延量検出部50は、スピーカ30からマイクロフォン20まで回り込む音声信号の遅延量を検出する部分であり、入力信号として、スピーカ30に供給される出力音声信号と、マイクロフォン20’a,20’bから入力された入力音声信号を持ち、両音声信号を比較し、出力音声信号に対する入力音声信号に含まれる回り込み音声信号の遅延量を検出するものである。
遅延処理部60は、回り込み遅延量検出部50で検出した遅延量に従って出力音声信号を遅延させる部分である。遅延処理部60により出力音声信号を遅延させた音声信号が、回り込み音声推定信号生成部41に入力される。
このように、回り込み遅延量については、回り込み音声推定信号生成部41の演算フィルタ42による処理に代え、遅延処理部60により実行するので、演算フィルタ42の演算処理負荷の低減が図られる。
また、スピーカ30の移動やマイクロフォン20’a,20’bの移動や壁の反射条件の変化など環境の変動があった場合、回り込み遅延量検出部50による遅延量変動の検出と遅延処理部60による遅延量の調整により、回り込み音声信号の遅延変動分を吸収するので、係数更新部43による演算フィルタ42の係数更新処理負荷の低減を図ることが可能となり、回り込み音声信号の遅延変動に対して高精度かつ高速に対応することができる。
通信アプリケーション70は、通信を制御するアプリケーションであり、通信プロトコルの制御も行なう。通信路がインターネットである場合、VoIPアプリケーションとなる。
次に、本発明の実施形態1のエコー抑制処理システムによる音声信号処理の流れを図3のフローチャートを交えつつ説明する。
図1においてaiは、通信アプリケーション70からスピーカ30に対して渡される、通話相手側の出力音声信号である。スピーカ30はこの音声信号aiを音声に変換して出力する(ステップS301)。なお、添え字のiは時系列データのサンプリング番号を表わしている。
なお、このスピーカに対する出力音声信号aiは回り込み遅延量検出部50および遅延処理部60に対しても取り込まれ、後述の処理に利用される。
次に、スピーカ30から出力された音声は話者10により聞かれるが、音の回折などにより回り込みが生じ、マイクロフォン20’a,20’bに到達し、マイクロフォン20の入力信号の一部となる。このマイクロフォン20’a,20’bからの入力音声信号がbiである(ステップS302)。
マイクロフォン20’a,20’bからの入力音声信号がbiは、回り込み遅延量検出部50およびエコー抑制処理部40に対して入力される。
回り込み遅延量検出部50には、スピーカ30に供給された出力音声信号aiおよびマイクロフォン20’a,20’bから入力された入力音声信号biが入力されている。回り込み遅延量検出部50は、スピーカ出力音声信号aiおよびマイクロフォン入力音声信号biから両者の相互相関r(k)を(数1)を用いて計算する。ここで、n’は相互相関の次数、kは0以上の整数である(ステップS303)。
Figure 2006014359
相互相関r(k)の大きさが最大になるときのkを探索し、回り込み音声信号の遅延量dを求める(ステップS304)。
遅延処理部60に回り込み遅延量検出部50から遅延量(遅延サンプル数)dが渡され、その遅延処理量が設定される。遅延処理部60には、スピーカ30に供給された出力音声信号aiが入力され、当該音声信号aiからdサンプル分遅延した音声信号ai-dが生成される(ステップS305)。
遅延処理部60の音声信号ai-dが、エコー抑制処理部40の回り込み音声推定信号生成部41の演算フィルタ42に渡される。図2に示したように、演算フィルタ42において、現在設定されている係数に従って、音声信号ai-dを入力として(数2)に示す演算が施され、回り込み音声推定信号ai-d’が生成される(ステップS306)。
Figure 2006014359
ここで、jは、演算フィルタの係数hのフィルタ係数番号を示す。
次に、減算部44には、マイクロフォン20’a,20’bから入力された入力音声信号biと回り込み音声推定信号ai-d’が入力され、両信号の減算処理を(数3)のように行ない、入力信号から回り込み音声推定信号分をキャンセルし、エコー抑制信号eiを生成し、エコー抑制処理を実行する(ステップS307)。
Figure 2006014359
このエコー抑制信号をエコー抑制処理システムの出力信号として、通信アプリケーション70を介して通信路に流し、相手側通話システムに渡す。
次に、係数更新部43により演算フィルタ42の係数を更新する(ステップS308)。この例では学習同定法を用い、(数4)に従って係数を更新する。
Figure 2006014359
ここでαは定数で、一般的には、0.0<α<2.0である。
この更新された係数hjにより次回の演算が行なわれる。
上記例において、スピーカ30の移動、マイクロフォン20の移動、壁などの反射条件の変化など、環境の変動があり、遅延量dがd1に変動した場合であっても、回り込み遅延量検出部50により遅延量d1が求められ、遅延処理部60により遅延量d1が遅延された音声信号ai-d1が生成されるので、演算フィルタ42の係数hj変動が小さく、また、係数更新部43の計算負荷も小さいものとなる。
以上の信号処理の流れにより、環境変動による回り込み音声の遅延処理を遅延処理部で行なうことにより、係数更新処理の負荷低減とその精度向上を図ることができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2のエコー制御システムは、マイクロフォンとしてマイクロフォンアレイを用いるものであり、スピーカからマイクロフォンアレイに回り込む回り込み音声信号を同期加算により高精度に推定し、マイクロフォンアレイの入力音声信号から回り込み音声推定信号分を減算してエコーを抑制する。また、話者音声を同期加算により強調し、通話品質を向上する。
マイクロフォンアレイは、複数のマイクロフォンが所定位置に配置されたものであり、各マイクロフォン間の距離や角度は既知であるとする。
なお、本発明の実施形態2のエコー制御システムは、実施形態1で説明した回り込み音声推定信号生成部および遅延処理部を用いた構成と組み合わせた形態を説明する。
図4は、本発明の実施形態2のエコー制御システムの構成を示すブロック図である。
図4において、20はマイクロフォンアレイである。マイクロフォンアレイ20は、この例では2つのマイクロフォン20’a、20’bを備えている。また、マイクロフォンアレイ20は回り込み音声信号強調部21および話者音声信号強調部26を備えている。
回り込み音声信号強調部21は、2つのマイクロフォン20’a、20’bから入力された入力音声信号のうち、回り込み音声信号を強調して取り出す部分である。回り込み音声信号強調部21は、スピーカ−マイクロフォン間の遅延量を計算する第1の遅延量計算部22と、第1の加算処理部23を備えている。また、第1の加算処理部23は、2つの遅延器24a,24bと加算器25を備えている。
第1の遅延量計算部22は、スピーカ出力信号aiのパワーが所定の値以上の場合に、各マイクロフォン20’a、20’bから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、相互相関計算結果からスピーカと各マイクロフォン間の遅延量を計算する部分である。つまり、スピーカ30から見て、各マイクロフォン20’a、20’bまでの距離は異なるので、スピーカ出力音声信号の各マイクロフォン20’a、20’bの入力音声信号の遅延量も異なる。そこで、第1の遅延量計算部22は、各々のマイクロフォン20’a、20’bごとの遅延量を計算する。
第1の加算処理部23の2つの遅延器24a,24bは、それぞれマイクロフォン20’a、20’bに対応する。遅延器24a,24b各々の遅延量は、第1の遅延量計算部22が計算した各々のマイクロフォン20’a、20’bの遅延量がそれぞれ設定される。この遅延処理により2つのマイクロフォン20’a、20’bから入力されるスピーカ出力音声信号の位相を合わせる。
加算器25は、マイクロフォン20’a、20’bから入力され、遅延器24a,24bにより遅延処理された2つのスピーカ出力音声信号を加算する部分である。上記のように、2つのスピーカ出力音声信号は遅延量が調整され、同位相となっているので、同期加算処理が実行され、スピーカ30からの回り込み音声信号が強調されることとなる。
図4に示したように、この回り込み音声信号強調部21の同期加算処理により強調されたスピーカ出力信号がbi’である。このスピーカ出力信号bi’が回り込み回り込み遅延量検出部50に入力される。
なお、スピーカ出力信号bi’が回り込み遅延量検出部50に入力された後の回り込み遅延量検出部50、遅延処理部60、エコー抑制処理部40における各処理は実施形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
次に、話者音声信号強調部26は、2つのマイクロフォン20’a、20’bから入力された入力音声信号のうち、話者音声信号の同期加算処理を実行し、話者音声信号を強調する部分である。
話者音声信号強調部26は、第2の遅延量計算部27と、第2の加算処理部28を備えている。また、第2の加算処理部28は、2つの遅延器29a,29bと加算器25’を備えている。
話者−マイクロフォン間の遅延量を計算する第2の遅延量計算部27は、スピーカ出力信号aiのパワーが所定の値以下の場合に、話者から各マイクロフォン20’a、20’bを介して入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、相互相関計算結果から話者と各マイクロフォン間の遅延量を計算する部分である。つまり、話者10から見て、各マイクロフォン20’a、20’bまでの距離は異なるので、話者音声信号の各マイクロフォン20’a、20’bの入力音声信号の遅延量も異なる。そこで、第2の遅延量計算部27は、各々のマイクロフォン20’a、20’bごとの遅延量を計算する。
第2の加算処理部28の2つの遅延器29a,29bは、それぞれマイクロフォン20’a、20’bに対応する。遅延器29a,29b各々の遅延量は、第2の遅延量計算部27が計算した各々のマイクロフォン20’a、20’bの遅延量がそれぞれ設定される。この遅延処理により2つのマイクロフォン20’a、20’bから入力される話者音声信号の位相を合わせる。
加算器25’は、マイクロフォン20’a、20’bから入力され、遅延器29a,29bにより遅延処理された2つの話者音声信号を加算する部分である。上記のように、2つの話者音声信号は遅延量が調整され、同位相となっているので、同期加算処理が実行され、話者10からの音声信号が強調されることとなる。
図4に示したように、この話者音声信号強調部26により同期加算処理により強調された話者音声信号がbi”である。この話者音声信号bi”が回り込み回り込み遅延量検出部50に入力される。
なお、話者音声信号bi”がエコー抑制処理部40に入力された後のエコー抑制処理部40における各処理は実施形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
以上、本発明の実施形態2のエコー制御システムは、マイクロフォンとしてマイクロフォンアレイを用い、スピーカからマイクロフォンアレイに回り込む回り込み音声信号を同期加算により高精度に推定し、マイクロフォンアレイの入力音声信号から回り込み音声推定信号分を減算してエコーを抑制することができる。また、話者音声を同期加算により強調し、通話品質を向上することができる。
(実施形態3)
実施形態3のエコー抑制処理システムは、スピーカ出力音声信号の回り込み信号だけが入力されている場合のみに演算フィルタの係数更新機能を稼動するものである。
エコー抑制処理は、スピーカ出力音声信号の回り込み信号分のみをキャンセルするものが理想的である。つまり、演算フィルタの係数更新機能の稼動は、スピーカ出力音声信号の回り込み信号のみがマイクロフォンから入力されており、話者音声も含め、他の音源からの音声信号の入力が一切ない状態が理想的である。
そこで、本実施形態3のエコー抑制処理システムは、次の2つの条件のいずれかが満たされた場合、演算フィルタの係数更新機能を停止する。第1の条件は、マイクロフォン周辺に存在する音源数を検出したときに音源数がスピーカの数を超えることである。第2の条件が、スピーカ出力音声信号のパワーが一定以下、つまり、スピーカからマイクロフォンに回り込むに十分な音声信号の出力がないことである。
この第1の条件が満たされた場合は、スピーカ出力音声信号以外に話者音声や他の音源からの音声信号が存在する場合であるので、演算フィルタの係数更新機能を停止する。第2の条件が満たされた場合は、スピーカ出力音声信号が小さく、スピーカからマイクロフォンに回り込む音声信号が小さく、マイクロフォンの入力音声信号は話者音声や他の音源からの音声信号である場合であるので、演算フィルタの係数更新機能を停止する。
図5は、本発明の実施形態3のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図である。
図5において、80が相互相関計算部、81が音源数検出部、82がスピーカ出力音声信号パワー計算部、83が係数更新制御部である。マイクロフォンは、マイクロフォンアレイ20であり、この例では2つのマイクロフォン20’a,20’bを備えている。なお、スピーカ30、エコー抑制処理部40の構成は実施形態1と同様で良く、簡単に図示している。
相互相関計算部80は、マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算する部分である。
音源数検出部81は、相互相関計算部80による相互相関計算結果からマイクロフォンアレイ周囲の音源数を検出する部分である。
スピーカ出力音声信号パワー計算部82は、スピーカ出力音声信号のパワーを計算し、マイクロフォンアレイ20に対する回り込み音声信号となる十分に大きい出力があるか否かを計算する部分である。
係数更新制御部83は、上記に説明した演算フィルタの係数更新機能を停止する2つの条件のいずれかが成立していることを検知した場合、エコー抑制処理部40の係数更新部43(図5に図示せず)の機能を停止する制御を行なう部分である。
次に、音声信号処理の流れを説明する。
まず、マイクロフォンアレイの2つのマイクロフォン20’a,20’bから音声信号が入力される。これら2つの入力音声信号をbi,ciとする。
スピーカ出力音声信号パワーを下記の(数6)を用いて計算する。このパワーpowiが所定値以上の場合、即ち、スピーカが音声出力を行なっている場合に次の処理を行なう。
相互相関計算部80は、下記(数5)に従って、2つの入力音声信号をbi,ciを用いて正規化した相互相関r’(k)を計算する。
Figure 2006014359
相互相関r’(k)の絶対値は、−1.0≦r’(k)≦1.0である。
図6は、相互相関r’(k)の値を縦軸にとり、2つのマイクロフォンに対する相対位置を横軸にとった場合の分布の一例を示す図である。図中、適切な閾値となる所定値THr’(k)が示されている。図6の例によれば、所定値を超えるピークが3個所見られる。つまり、マイクロフォンアレイに入力されている音声信号の音源が、マイクロフォンアレイの周囲に3つ存在することが判断できる。
音源数検出部82は、検出された音源数nを係数更新制御部83に出力する。
係数更新制御部83は、マイクロフォンアレイ周辺に音源がスピーカの数より多くあるという上記第1の条件が成立したことを判断すれば、係数更新部43による演算フィルタ42の係数更新機能を停止する。
また、スピーカ出力音声信号パワー計算部82は、下記の(数6)に従って、スピーカ30に供給される出力音声信号のパワーpowiを計算する。
Figure 2006014359
パワーpowiの値が所定値以下である場合、スピーカ出力音声信号が十分小さく、マイクロフォンアレイに対して回り込む音声信号が小さく、係数更新部43による演算フィルタ42の係数更新機能を稼動すると却って演算フィルタ42の係数が不適切なものに更新されてしまう。そこで、係数更新制御部83は、上記第2の条件が成立したと判断し、係数更新部43の係数更新機能を停止する。
以上、実施形態3のエコー抑制処理システムは、マイクロフォンに対してスピーカ出力音声信号の回り込み信号だけが入力されている場合のみに演算フィルタの係数更新機能を稼動することができる。
(実施形態4)
実施形態4は、エコー抑制処理部によるエコー抑制効果が十分に得られていないためにエコー抑制信号中に残留エコーが残存してしまい、そのレベルが大きい状況を検知した場合、通話音声品質を維持するため、話者音声入力がある場合だけ出力音声信号を導通して通信アプリケーションに渡し、話者音声入力がない場合には出力音声信号を非導通として通信アプリケーションに渡さないという音声スイッチング機能を持つものである。
図7は、本発明の実施形態4のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図である。
図7において、90は相互相関計算部、91は話者音声検出部、92は音声スイッチ、93は音声スイッチ制御部、94は第1のパワー計算部、95は第2のパワー計算部である。なお、図7中、スピーカ30、エコー抑制処理部40、通信アプリケーション70は実施形態1などで説明したものと同じものである。また、マイクロフォンアレイ20は、実施形態2で説明したような回り込み音声信号強調部21と話者音声信号強調部26を伴わない構成でも良く、伴う構成でも良い。前者の場合、入力音声信号biはマイクロフォン20’aから入力された音声信号、入力音声信号ciはマイクロフォン20’bから入力された音声信号となる。また、後者の場合、入力音声信号biは話者音声信号強調部26により強調された話者音声信号bi”、入力音声信号ciは回り込み音声信号強調部21により強調された回り込み音声信号bi’となる。
相互相関計算部90は、マイクロフォンアレイ20を構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間bi、ciの相互相関r(k)を計算する部分である。
話者音声検出部91は、相互相関計算部90の計算結果から、マイクロフォンアレイ周囲の相互相関の大きさを調べ、話者音声の有無を検出する。ここで、話者位置がマイクロフォンアレイ正面と想定すれば、マイクロフォンアレイ正面方向に相互相関のピークが検出されたときに話者音声入力があったと検出する。検出結果(Y/N)を音声スイッチ制御部93に渡す。
音声スイッチ92は、エコー抑制処理部40の出力段に設けられた音声信号スイッチであり、音声スイッチ制御部93の制御によりオンオフ状態が切り換えられる。音声スイッチ92がオンの場合、エコー抑制処理部40の出力信号、つまり、エコー抑制処理を受けた入力音声信号が通信アプリケーション70に渡され、ネットワークを介して通話相手側システムに渡される。音声スイッチ92がオフの場合、エコー抑制処理部40の出力信号は通信アプリケーション70に出力されない。
音声スイッチ制御部93は、音声スイッチ92のオンオフを制御する部分である。音声スイッチ制御部93は、話者音声検出部91の出力信号(Y/N)と、第1のパワー計算部94の出力信号(pow1i)と、第2のパワー計算部95の出力信号(pow2i)の3つを入力信号とし、音声スイッチ92に対する音声スイッチ制御信号(ON/OFF)を出力信号とする。
第1のパワー計算部94は、スピーカ30に供給される出力音声信号aiのパワーpow1iを計算する部分である。
第2のパワー計算部95は、エコー抑制処理部40の出力である音声信号eiのパワーpow2iを計算する部分である。
以下に、音声スイッチ制御部93による音声スイッチ92に対する制御を説明する。
まず、音声スイッチ制御部93は、話者音声検出部91から話者音声の有無に関する結果(Y/N)を得る。
次に、音声スイッチ制御部93は、第1のパワー計算部94の計算結果の値pow1iが所定値以上であるか否かを調べる。この所定値は、スピーカ30の出力音声信号の大きさが十分大きく、マイクロフォンアレイ20への回り込みを生じる程度の大きさに設定される。
次に、音声スイッチ制御部93は、第2のパワー計算部95の計算結果の値pow2iが所定値以上であるか否かも調べる。この所定値は、エコー抑制処理後、なお残存している音声信号が大きく、エコー抑制処理の効果が発揮されていないと判断できる程度の大きさに設定する。
次に、音声スイッチ制御部93は、第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、第2のパワー計算部による値も所定値以上であれば、話者音声検出部91が話者音声を検出したときには音声信号スイッチを導通状態(ON)とし、話者音声検出部91が話者音声を検出しないときには音声信号スイッチを非導通状態(OFF)とする制御を行なう。この場合は、スピーカ30からの出力音声信号が大きく、当該出力音声信号によるマイクロフォンアレイ20への回り込みが生じている状態で、エコー抑制処理部40のエコー抑制処理効果が発揮されていない場合であるので、このエコー抑制処理部40の出力音声信号には残留エコーが含まれていることとなる。この出力音声信号をそのまま通信アプリケーション70に渡すと却って音質を低下させてしまう。そこで、話者音声検出部91が話者音声を検出したときのみ、つまり、話者音声入力があったときのみ、音声信号スイッチ92を導通状態として話者音声を相手方通話システムに送信する。話者音声検出部91が話者音声を検出しないとき、つまり、話者音声入力がなかったときには音声信号スイッチ92を非導通状態(OFF)として出力音声信号を通信アプリケーション70に渡さないこととする。
一方、第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、第2のパワー計算部による値が所定値未満であれば、音声信号スイッチを導通状態(ON)とする制御を行なう。この場合は、エコー抑制処理部40のエコー抑制処理効果が発揮されている状態であるので、エコー抑制処理部40の出力音声信号をそのまま通信アプリケーション70に渡す。
以上、実施形態4のエコー抑制処理システムは、エコー抑制処理部によるエコー抑制効果が十分に得られていない場合、話者音声入力がある場合だけ出力音声信号を導通(ON)して通信アプリケーションに渡し、話者音声入力がない場合には出力音声信号を非導通(OFF)として通信アプリケーションに渡さないという音声スイッチング機能により、通話品質を維持することができる。
(実施形態5)
本発明のエコー抑制処理システムは、上記に説明した構成を実現する処理ステップを記述したプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供することにより、各種コンピュータを用いて構築することができる。本発明のエコー抑制処理システムを実現する処理ステップを備えたプログラムを記録した記録媒体は、図8に図示した記録媒体の例に示すように、CD−ROM1002やフレキシブルディスク1003等の可搬型記録媒体301だけでなく、ネットワーク上にある記録装置内の記録媒体1000や、コンピュータのハードディスクやRAM等の記録媒体1005のいずれであっても良く、プログラム実行時には、プログラムはコンピュータ1004上にローディングされ、主メモリ上で実行される。
なお、上記説明においてマイクロホンアレイを複数のマイクロホンに置き換えてもよい。本発明のエコー抑制処理システムは、上記の発明の概念から逸脱することなく、上記の方法及び装置に種々の変更及び変形を成し得ることが理解されよう。従って、本発明は上記実施形態に限定されるものではないことに注意する必要がある。
本発明の実施形態1のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図 エコー抑制処理部40のモジュール構成を示したブロック図 本発明の実施形態1のエコー抑制処理システムによる音声信号処理の流れを示したフローチャート 本発明の実施形態2のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図 本発明の実施形態3のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図 相互相関r’(k)の値を縦軸にとり、2つのマイクロフォンに対する相対位置を横軸にとった場合の分布の一例を示す図 本発明の実施形態4のエコー抑制処理システムの構成を示すブロック図 本発明の実施形態5のエコー抑制処理プログラムを記録した記録媒体の例を示す図 従来技術における全二重通話システムを模式的に示した図 従来技術におけるエコーキャンセラを用いたエコー抑制処理システムを模式的に示した図
符号の説明
10 通話者
20 マイクロフォンアレイ
20’a,20’b マイクロフォン
21 回り込み音声信号強調部
22 第1の遅延量計算部
23 第1の加算処理部
24a,24b 遅延器
25,25’ 加算器
26 話者音声信号強調部26
27 第2の遅延量計算部
28 第2の加算処理部
29a,29b 遅延器
30 スピーカ
40 エコー抑制処理部
41 回り込み音声推定信号生成部
42 演算フィルタ
43 係数更新部
44 減算部
50 回り込み遅延量検出部
60 遅延処理部
70 通信アプリケーション
80 相互相関計算部
81 音源数検出部
82 スピーカ出力音声信号パワー計算部
83 係数更新制御部
90 相互相関計算部
91 話者音声検出部
92 音声スイッチ
93 音声スイッチ制御部
94 第1のパワー計算部
95 第2のパワー計算部
1000 ネットワーク上にある記録装置内の記録媒体
1001 可搬型記録媒体
1002 CD−ROM
1003 フレキシブルディスク
1004 コンピュータ
1005 コンピュータのハードディスクやRAM等の記録媒体

Claims (12)

  1. 全二重通話システムにおいて、
    マイクロフォンアレイと、
    相手側の通話システムから伝送された音声信号を音声に変換するスピーカと、
    前記マイクロフォンアレイの複数チャンネルの入力音声信号間の時間差またはレベル差を用いて前記スピーカから出力されて前記マイクロフォンアレイに回り込む音声信号を推定し、推定された結果に応じて、前記スピーカに供給される出力音声信号を入力として回り込み音声推定信号を生成する回り込み音声推定信号生成部と、前記マイクロフォンアレイから入力された入力音声信号から前記回り込み音声推定信号を減算する減算部を備えたエコー抑制処理部を備えたことを特徴とするエコー抑制処理システム。
  2. 前記スピーカに供給される出力音声信号と、前記マイクロフォンアレイから入力された入力音声信号に含まれる回り込み音声信号とを比較し、前記出力音声信号に対する前記入力音声信号に含まれる回り込み音声信号の遅延量を検出する回り込み遅延量検出部と、
    前記回り込み遅延量検出部で検出した遅延量に従って前記出力音声信号を遅延させる遅延処理部をさらに備え、
    前記遅延処理部の出力音声信号を、前記回り込み音声推定信号生成部に入力される前記出力音声信号とする請求項1に記載のエコー抑制処理システム。
  3. 前記入力音声信号の中から、前記回り込み音声信号を強調して取り出す回り込み音声信号強調部をさらに備え、当該回り込み音声信号強調部が、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、前記相互相関計算結果から前記スピーカに対する各マイクロフォン入力信号間の遅延量を計算する第1の遅延量計算部と、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号について前記スピーカ−マイクロフォン入力信号間の遅延量を調整して同期加算処理を実行し、前記回り込み音声信号を強調する第1の加算処理部を備え、前記強調した回り込み音声信号を前記回り込み遅延量検出部に入力する請求項2に記載のエコー抑制処理システム。
  4. 前記第1の加算処理部が、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンに対して設けた遅延器であって、前記スピーカ−マイクロフォン入力信号間の遅延量を調整する遅延器と、
    前記遅延器を通して得られた各マイクロフォンの入力信号を入力とする加算器を備えた請求項3に記載のエコー抑制処理システム。
  5. 前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された話者音声信号の同期加算処理を実行し、話者音声信号を強調する話者音声信号強調部をさらに備え、
    話者信号を強調した入力音声信号を生成する請求項1から4のいずれかに記載のエコー抑制処理システム。
  6. 前記話者音声信号強調部が、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、前記相互相関計算結果から前記話者に対する各マイクロフォン入力信号間の遅延量を計算する第2の遅延量計算部と、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号について前記話者−マイクロフォン入力信号間の遅延量を調整して同期加算処理を実行し、前記話者音声信号を強調する第2の加算処理部を備えた請求項5に記載のエコー抑制処理システム。
  7. 前記第2の加算処理部が、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンに対して設けた遅延器であって、前記話者−マイクロフォン入力信号間の遅延量を調整する遅延器と、
    前記遅延器を通して得られた各マイクロフォンの入力信号を入力とする加算器を備えた請求項6に記載のエコー抑制処理システム。
  8. 前記回り込み音声推定信号生成部が、
    演算フィルタ部と、演算フィルタの係数を所定のタイミングで更新する係数更新部を備え、
    前記係数更新部が、前記エコー抑制処理部によるエコー抑制結果中に残存する回り込み音声信号のレベルを基に前記推定結果および前記演算フィルタの係数更新量を決め、前記演算フィルタの係数を更新し、
    前記演算フィルタ部が、前記スピーカに供給される出力音声信号を入力として演算を施し、前記回り込み音声推定信号を生成する請求項1に記載のエコー抑制処理システム。
  9. 前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、前記相互相関計算結果から前記マイクロフォンアレイ周囲の音源数を検出する音源数検出部をさらに備え、
    前記音源数検出部によりスピーカの数を超える数の音源が検出された場合、前記係数更新部における前記演算フィルタの係数更新を遅くまたは停止する請求項8記載のエコー抑制処理システム。
  10. 前記スピーカに供給される出力音声信号のパワーを計算するスピーカ出力音声信号パワー計算部を備え、
    前記スピーカ出力音声信号パワー計算部により所定値以上のパワーが検出されなかった場合、前記回り込み音声推定信号生成部の係数更新部による、前記演算フィルタの係数更新を遅くまたは停止する請求項8記載のエコー抑制処理システム。
  11. 前記エコー抑制処理部の出力段に設けられた音声信号スイッチと、
    前記音声信号スイッチのオンオフを制御する音声信号スイッチ制御部と、
    前記マイクロフォンアレイを構成する各マイクロフォンから入力された入力音声信号間の相互相関を計算し、前記相互相関計算結果から話者音声の有無を検出する話者音声検出部と、
    前記スピーカに供給される出力音声信号のパワーを計算する第1のパワー計算部と、
    前記エコー抑制処理部の出力である音声信号のパワーを計算する第2のパワー計算部をさらに備え、
    前記音声信号スイッチ制御部は、
    前記第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、前記第2のパワー計算部による値が所定値以上であれば、前記話者音声検出部が話者音声を検出したときには前記音声信号スイッチを導通状態とし、前記話者音声検出部が話者音声を検出しないときには前記音声信号スイッチを非導通状態とする制御とし、
    前記第1のパワー計算部による値が所定値以上、かつ、前記第2のパワー計算部による値が所定値未満であれば、前記音声信号スイッチを導通状態となるように制御する請求項1に記載のエコー抑制処理システム。
  12. 全二重通話システムの処理プログラムであって、
    複数のマイクロフォンを所定位置に配置したマイクロフォンアレイを制御する処理ステップと、
    相手側の通話システムから伝送された音声信号を音声に変換するスピーカを制御する処理ステップと、
    前記マイクロフォンアレイの入力音声信号を用いて前記スピーカから出力されて前記マイクロフォンアレイに回り込む音声信号を推定し、推定された結果に応じて、前記スピーカに供給される出力音声信号を入力として回り込み音声推定信号を生成する回り込み音声推定信号生成処理ステップと、前記マイクロフォンアレイから入力された入力音声信号から前記回り込み音声推定信号を減算する減算処理ステップを備えたエコー抑制処理ステップを備えたことを特徴とする処理プログラム。
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