この提案では、図8に示した光メディアコンバータ64から第1の接続機器65を取り外してしまったとか、第1の接続機器65と光メディアコンバータ64を接続するためのより対線66が切断したといった異常を検出して、これらの異常を通信事業者側の第2の接続機器67に通知できることになる。また、この提案では、第1の接続機器65に何らかの障害が発生してこれから出力される信号のエラーレートが一定値を超えるようになったときにも、異常が発生したとして第2の接続機器67に通知することができる。
しかしながら、加入者宅61では通信事業者が想定しないような機器を第1の接続機器として光メディアコンバータ64に接続するといったことも発生し得る。たとえば、光メディアコンバータ64が第1の通信機器65として接続される機器の通信速度や通信方式を自動的に決定する自動認識機能に設定されているとする。このような自動認識設定が行われている場合、光メディアコンバータ64に接続される第1の接続機器65は、同様に自動認識機能を正常に動作させる自動認識設定が行われた機器であることを必要とする。
ところが、従来の光メディアコンバータでは、単に第1の接続機器65が接続されていないとか、断線が発生しているという事実、あるいは接続後の信号のエラーレートしかチェックの対象としていない。このため、通信速度等の通信モードが最適でない状態で第1の接続機器65と第2の接続機器67の間でリンクが確立してしまい、その後の通信に不具合が発生する場合があった。
すなわち、従来では自動認識設定ではない第1の接続機器を、自動認識設定のされた光メディアコンバータに接続すると、これら2つの機器がそれぞれ異なった通信方式で通信を行う場合がある。特に、自動認識設定の行われていない第1の接続機器が全二重通信方式に設定されている場合、第1の接続機器を接続した光メディアコンバータ側では自動認識設定の行われていない機器が接続されたとして自動的に半二重通信方式を選択してしまう。自動認識設定が行われた機器が自動認識設定の行われていない機器と接続されたときには自動的に半二重通信方式を選択することは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3規格で定められたルールであるからである。
自動認識設定が行われた機器が自動認識設定の行われていない機器と接続されることで通信方式の相違が生じるという問題は、光メディアコンバータに限らず実際の通信ネットワークでも時々生じている問題である。しかしながら、通信方式に違いがあっても両者の送受信に使用する通信速度が同一であれば、リンク自体は確立する。そして、少量のトラフィックであれば通信が可能な場合もあり、見過ごされがちな問題である。この問題を完全に解決しようとしても、図8に示したように通信事業者の施設62から見て個々の加入者宅61は比較的遠隔地に存在するだけでなく、地域的に分散して配置されており、従来の手法では不可能とされていた。
そこで本発明の目的は、光メディアコンバータが、より対線で接続される第1の接続機器との間で行われる通信モードについて自動認識設定とされている場合に、この第1の接続機器の接続の異常を判別し通知することのできる光メディアコンバータおよび接続の異常時における異常通知方法を提供することにある。
請求項1記載の発明では、(イ)より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別する自動認識設定有無判別手段と、(ロ)この自動認識設定有無判別手段の判別により第1の接続機器側が自動認識設定となっていないとされたとき、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知する自動認識設定異常通知手段とを光メディアコンバータに具備させる。
すなわち請求項1記載の発明では、第1の接続機器側が自動認識設定となっていないときには、第1の接続機器自体が光メディアコンバータにより対線の断線なく接続されていたとしても、接続の条件を満たしていないものとして、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知することにしている。
請求項2記載の発明では、(イ)より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別する自動認識設定有無判別手段と、(ロ)この第1の接続機器が予め定められた通信速度を通信モードとして備えているかどうかを判別する特定通信速度対応有無判別手段と、(ハ)自動認識設定有無判別手段の判別により第1の接続機器側が自動認識設定となっているとされたときに、特定通信速度対応有無判別手段が前記した予め定められた通信速度を通信モードとして備えていないと判別したとき、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知する特定通信速度不備異常通知手段とを光メディアコンバータに具備させる。
すなわち請求項2記載の発明では、第1の接続機器側が自動認識設定となっている場合であっても、自動認識設定となっている場合に必要とされる予め定められた通信速度を通信モードとして備えていない場合には、その通信速度に設定することができないので、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知することにしている。
請求項3記載の発明では、(イ)より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別する自動認識設定有無判別手段と、第1の接続機器との間のリンクの確立の有無を判別するリンク確立有無判別手段と、これら自動認識設定有無判別手段あるいはリンク確立有無判別手段によって自動認識設定となっていないことあるいはリンクが確立していないことが検出されたとき異常発生を示す信号を出力する異常発生信号出力手段とを備え、より対線で接続された第1の接続機器を終端するより対線信号終端部と、(ロ)第1の接続機器から送られてきた電気信号を光信号に変換して光ファイバに変換後の光信号を送出する光信号送出手段と、異常発生信号出力手段から出力された異常発生を示す信号が入力されたとき光信号の送出を禁止する光信号送出制御手段とを備えた光・電気変換部とを光メディアコンバータに具備させる。
すなわち請求項3記載の発明では、光メディアコンバータのより対線信号終端部に、従来の機能に追加する形で、自動認識設定有無判別手段と、リンク確立有無判別手段といった異常を検出する手段を備えさせ、更に、これら自動認識設定有無判別手段あるいはリンク確立有無判別手段によって自動認識設定となっていないことあるいはリンクが確立していないことが検出されたとき異常発生を示す信号を出力する異常発生信号出力手段とを具備させている。そして、光・電気変換部には異常発生信号出力手段が異常発生を示す信号を出力したときに光信号の送出を禁止する光信号送出制御手段を具備させ、光・電気変換部が光信号を出力しないときに異常が発生したことにしている。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の光メディアコンバータが、(イ)より対線信号終端部は、第1の接続機器が予め定められた通信速度を通信モードとして備えているかどうかを判別する特定通信速度対応有無判別手段を更に具備しており、(ロ)異常発生信号出力手段は、更に第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているときで第1の接続機器が予め定められた通信速度を通信モードとして備えていないときについても異常発生を示す信号を出力するようになっていることを特徴としている。
すなわち請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明に対応する請求項3記載の発明に、請求項2記載の発明としての異常の発生のケースを追加したものである。
請求項5記載の発明では、(イ)より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別する自動認識設定有無判別ステップと、(ロ)この自動認識設定有無判別ステップで第1の接続機器側が自動認識設定となっていないと判別されたとき、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知する自動認識設定異常通知ステップとを光メディアコンバータにおける異常通知方法に具備させる。
すなわち請求項5記載の発明では、より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別し、第1の接続機器側が自動認識設定となっていないと判別されたときには、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知することにしている。これは、請求項1記載の発明に対応している。
請求項6記載の発明では、(イ)より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別する自動認識設定有無判別ステップと、(ロ)この自動認識設定有無判別ステップで自動認識設定となっていると判別されたとき、第1の接続機器が予め定められた通信速度を通信モードとして備えているかどうかを判別する特定通信速度対応有無判別ステップと、(ハ)この特定通信速度対応有無判別ステップで予め定められた通信速度を通信モードとして備えていないと判別したとき、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知する特定通信速度不備異常通知ステップとを光メディアコンバータにおける異常通知方法に具備させる。
すなわち請求項6記載の発明では、より対線で接続された第1の接続機器との間で取り決められる通信モードが、この第1の接続機器側で自動認識によってこの通信モードを設定する自動認識設定となっているかどうかを判別し、自動認識設定となっていると判別されたときには、更に第1の接続機器が予め定められた通信速度を通信モードとして備えているかどうかを判別し、予め定められた通信速度を通信モードとして備えていないと判別したときには、光ファイバ側に接続された第2の接続機器に対して第1の接続機器側の接続の異常を通知することにしている。これは、請求項2記載の発明に対応している。
以上説明したように、本発明によれば、従来、光メディアコンバータを設置した光ファイバ通信事業者側で把握が困難であった加入者宅におけるより対線と接続される第1の接続機器の接続の適否を加入者宅に出向くことなく的確に判別することができる。したがって、保守に関する費用を大幅に軽減することができると共に、理想的な通信形態を保持することができる。
また、請求項3あるいは請求項4記載の発明のように、より対線信号終端部および光・電気変換部(光/電気変換部)の構成をわずかに変更するだけで本発明の実現が可能であり、特にソフトウェアの変更で対処する場合には、既存の光メディアコンバータに構成部品を追加する必要がない。したがって、極めて経済的な光メディアコンバータおよび光メディアコンバータにおける異常通知方法を実現することができる。
特に、従来技術として行われたような異常時に特定のデータパターンを送信する手法では、データパターンの受信側ではこれと障害を対応付ける解読手段を必要としたが、本発明では、たとえばリンクの確立の成否を通知する既存の機能を利用することで、このような解読手段を必要とすることなく、異常を通知することができる。
図1は、本発明の一実施例における光メディアコンバータとその周辺を表わしたものである。光メディアコンバータ11は、たとえば加入者宅に配置されており、その一端側は同じく加入者宅に配置された第1の接続機器12と、より対線13によって接続されている。光メディアコンバータ11の他端側は、比較的遠隔地に配置された第2の接続機器14と光ファイバケーブル15によって接続されている。光メディアコンバータ11は、より対線13と接続し、入出力間の絶縁を行うためのトランス21を備えている。このトランス21を経たより対線信号は、より対線信号終端部22に入力される。より対線信号終端部22は、より対線13での伝送に適した信号からディジタル信号への変換、ならびに第2の接続機器14側から送られてきたディジタル信号から、より対線での伝送に適した信号への変換を行うようになっている。より対線信号終端部22の次段にはフレームバッファ23が配置されており、ここを通過する通信信号を一時的に保持するようになっている。
フレームバッファ23の次段には、光イーサネット(登録商標)信号終端部(以下、光信号終端部と略称する)24が配置されている。光信号終端部24は、光ファイバケーブル15での伝送に適した信号からディジタル信号への変換と、ディジタル信号から光ファイバケーブル15での伝送に適した信号への変換を行うようになっている。光信号終端部24の次段には、第1の接続機器12側から見て最終段としての光/電気変換部25が配置されている。光/電気変換部25はその一端が光ファイバケーブル15に接続されており、光信号から電気信号への変換と、その逆の電気信号から光信号への変換を行う。
ところで本実施例のより対線信号終端部22は、接続する機器との通信速度や通信方式を自動的に決定する自動認識設定となっている。自動認識結果として、現在選択している通信方式を通知するため、より対線信号終端部22はその通信方式通知端子31から、より対線インタフェース通信方式通知信号33を出力するようになっている。より対線インタフェース通信方式通知信号33は、光/電気変換部25の光出力許可/禁止制御端子37に入力されるようになっている。
このような構成の光メディアコンバータ11の具体的な動作を説明する前に、この機器の用途等の一般的な説明を行う。光メディアコンバータ11は、MAC(Media Access Control)フレームを中継する用途で使用される機器である。具体的には、図1に示す第1の接続機器12から受信したMACフレームを第2の接続機器14側に送信したり、また、逆に第2の接続機器14から受信したMACフレームを第1の接続機器12へ送信するという機能を持っている。ここで、MACフレームとは、通信データを伝送する形式の1つであり、イーサネット(登録商標)フレームとも呼ばれ、世界中で広く使用されている。
光メディアコンバータ11でMACフレームの転送を行うためには、この光メディアコンバータ11が第1および第2の接続機器12、14との間でリンクを確立して、これらの間で通信路を形成している必要がある。そこで、第1および第2の接続機器12、14を接続して、これらの間でリンクを確立するまでの動作をまず説明する。
<光メディアコンバータに第1の接続機器が接続されていない場合の処理>
第1の接続機器12が光メディアコンバータ11に接続されていない状態では、トランス21に信号が入力されない。このため、トランス21からより対線信号終端部22方向に、何の信号も出力されない。リンクの確立が行われるためには、光メディアコンバータ11に接続されたケーブルを通じて相手側の機器から、ある定められた信号が継続的に受信されることが必要である。ここで、ケーブルとはこの実施例ではより対線13や光ファイバケーブル15を意味している。第1の接続機器12が光メディアコンバータ11に接続されていない状態では、何の信号も受信されないので、リンクを確立させようとしても失敗することになる。
リンクの確立に失敗している場合、より対線信号終端部22からフレームバッファ23には、無信号を表わす信号“0”が出力されるようになっている。リンクが失敗したこの状態では、フレームバッファ23からより対線信号終端部22に入力される信号がどのようなものであっても、これが無視される。そして、より対線信号終端部22からトランス21には、ファーストリンクパルスと呼ばれる自動認識を行うための信号が送信されるようになっている。これは、いつでも自動認識を開始できるようにするためのものである。第1の接続機器12がトランス21に接続されていないこの状態では、このファーストリンクパルスが他の機能部の動作になんら影響を与えるものではない。
また、このリンクの確立に失敗している状態では、より対線信号終端部22の通信方式通知端子31から、より対線インタフェース通信方式通知信号33として異常を知らせるために“High”レベルの信号が出力される。より対線インタフェース通信方式通知信号33が“High”レベルとなるのは、より対線信号終端部22が半二重通信方式を選択しているときと、リンクの確立に失敗したときのいずれかである。ここでは、後者の場合である。
より対線インタフェース通信方式通知信号33が“High”レベルのとき、光/電気変換部の光出力許可/禁止制御端子37が“High”レベルとなる。これにより、光/電気変換部25はその光出力を禁止する。光/電気変換部25の動作の詳細については後に説明する。
ところでフレームバッファ23は、受け取った信号を一時保持して転送するという動作を常に行っている。このため、より対線信号終端部22から信号“0”を受け取ると、これを光信号終端部24に転送する。フレームバッファ23は、同様に光信号終端部24から受け取った信号も一時保持して、より対線信号終端部22へ転送する。ただし、リンクが確立されていない状態では、すでに説明したように、より対線信号終端部22はこれらの信号を無視するので、この転送自体が信号処理になんらの影響を与えるものではない。
光信号終端部24は、フレームバッファ23から無信号を表わす信号“0”を受け取っている状態で、光/電気変換部25に対して、送信するデータが存在しないことを示すアイドル信号を信号44として出力する。これに対して、光信号終端部24は光/電気変換部25から信号を受け取ると、その受け取った信号を復号化してフレームバッファ23に送出する。ただし、現在説明を行っているリンクが確立していない状態では、光信号終端部24がフレームバッファ23の方向に送信するすべての信号はより対線信号終端部22で無視されることになる。
光/電気変換部25は、信号44としてアイドル信号を光信号終端部24から受け取っているが、すでに説明したようにリンクが確立していないこの状態で光出力が禁止されている。したがって、光/電気変換部25はこの状態で光ファイバケーブル15には信号を出力しない。第2の接続機器14はこの結果として何らの信号も受信しないので、リンクの確立に失敗することになる。
以上の説明をまとめると、光メディアコンバータ11に第2の接続機器14が接続されていても第1の接続機器12が接続されていない状態では、より対線信号終端部22がリンクの確立に失敗する。より対線信号終端部22がリンクの確立に失敗している状態では、光/電気変換部25の光出力が禁止され、この結果として第2の接続機器14のリンク確立が強制的に失敗させられることになる。
以上の説明は、光メディアコンバータ11に第1の接続機器12が接続される前の動作であるが、第1の接続機器12内の図示しないより対線信号終端部に故障がある場合やより対線13に断線等の異常が存在するときにも、より対線信号終端部22がリンクに失敗する。したがって、これらの場合にもリンクに失敗することになり、結果的には同一の処理が行われることになる。
<自動認識設定でない第1の接続機器が光メディアコンバータに接続された場合の処理>
次に、自動認識設定でない機器が光メディアコンバータ11に接続された場合について説明する。この例の場合、第1の接続機器12は自動認識設定でないので、特定の通信速度モードのアイドル信号を出力する。たとえば10Mbit/s(メガビット/秒)あるいは100Mbit/sの通信速度モードのアイドル信号が第1の接続機器12から出力される。1000Mbit/sの通信速度モードについては自動認識が必須とされている。このため、自動認識設定でない機器では1000Mbit/sの通信速度モードが除外されている。
より対線13によって第1の接続機器12が光メディアコンバータ11に接続されると、この第1の接続機器12から出力される特定の通信速度モードのアイドル信号がトランス21を介してより対線信号終端部22に入力される。より対線信号終端部22は、このアイドル信号を受信するまでは第1の接続機器12が接続されていない場合と同様に、自動認識を行うための前記したファーストリンクパルスを送信し続けている。トランス21から特定の通信速度モードのアイドル信号を受信すると、より対線信号終端部22は、自動認識設定における並列検出機能というIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3規格の動作に則って、受信した通信速度モードに動作が切り替わる。そして、同時に半二重通信方式が選択されて、リンクが確立する。
その後、より対線信号終端部22はファーストリンクパルスの送信を停止し、信号45として、設定された通信速度モードのアイドル信号をトランス21に出力する。これにより、第1の接続機器12もリンクを確立することができる。
リンクが確立したら、より対線信号終端部22は第1の接続機器12からトランス21を介して符号化されたMACフレームを受信し、これを復号化してフレームバッファ23に出力する。また、より対線信号終端部22はフレームバッファ23から受信するMACフレームを符号化してトランス21に送信する。
トランス21からMACフレームを受信していないとき、より対線信号終端部22はフレームバッファ23に信号“0”を出力する。また、フレームバッファ23から受信する通信データとしてのMACフレームが存在しないとき、より対線信号終端部22はその時点で設定されている通信速度モードのアイドル信号を信号45としてトランス21に出力する。より対線信号終端部22は半二重通信方式を採用しているため、より対線インタフェース通信方式通知信号33として“High”レベルの信号が出力される。この“High”レベルの信号により、第1の接続機器12が接続されていない場合と同様に、光/電気変換部25からの光出力が禁止されることになる。フレームバッファ23および光信号終端部24は、より対線信号終端部22から送られてくる信号を順に転送するが、この状態で光/電気変換部25からの光出力が禁止されているので、この場合にも第2の接続機器14はリンクの確立に失敗することになる。
以上をまとめると、自動認識設定ではない第1の接続機器12が接続された場合には、より対線信号終端部22のリンク自体は確立するものの、半二重通信方式を採用するために光/電気変換部25からの光出力が禁止される。この結果、第2の接続機器14のリンクの確立が強制的に失敗させられるという動作が行われる。
<自動認識設定の機器が光メディアコンバータに接続された場合の処理>
最後に、第1の接続機器12が自動認識設定の機器である場合を説明する。自動認識設定の第1の接続機器12は、その図示しない受信回路が有意の信号を検出するまでの間、自動認識を行うためのファーストリンクパルスを送信し続けている。より対線信号終端部22も、同様に自動認識を行うためのファーストリンクパルスを送信し続けている。
第1の接続機器12がより対線13を介して光メディアコンバータ11と接続されると、この第1の接続機器12から送信された自動認識のためのファーストリンクパルスがトランス21を介してより対線信号終端部22に送られて受信される。同様に、より対線信号終端部22が送信する自動認識のためのファーストリンクパルスも第1の接続機器12で受信される。この自動認識のためのファーストリンクパルスを介して、第1の接続機器12とより対線信号終端部22は、選択することのできる通信速度や通信方式等の情報をお互いに交換する。そして、双方が共に選択することのできる通信速度の中で最高となる通信速度モードおよび通信方式を確認しあい、その通信速度モードおよび通信方式を双方ともに選択して、かつリンクを確立させる。
通信速度に関しては、全二重通信方式の方が半二重通信方式よりも高優先で選択される。自動認識機能を有する機器であるならば、ほぼ確実に全二重通信方式を選択肢として持っている。したがって、光メディアコンバータ11に自動認識設定の第1の接続機器12が接続された場合には、第1の接続機器12も、より対線信号終端部22も、半二重通信方式ではなく全二重通信方式を選択する。より対線信号終端部22が全二重通信方式を選択すると、より対線インタフェース通信方式通知信号33として“Low”レベルの信号が出力される。この“Low”レベルの信号が光出力許可/禁止制御端子37に入力されることで、光/電気変換部25の光出力が許可される。このときの光/電気変換部25の動作については後に説明する。
図2は、対線インタフェース通信方式通知信号の論理状態と光メディアコンバータのこれらに対応する事象を表わしたものである。より対線インタフェース通信方式通知信号33は、通信方式として半二重通信方式が選択されたときと、リンクの確立に失敗したときに“High”レベルとなり、全二重通信方式が選択されたときに“Low”レベルとなる。
より対線信号終端部22は、リンクが確立すると、第1の接続機器12からトランス21を介して受信する符号化されたMACフレームを復号化してフレームバッファ23に出力する。また、これとは逆にフレームバッファ23から受信するMACフレームについては、これを符号化してトランス21に送出する。
トランス21からMACフレームを受信していない状態で、より対線信号終端部22はフレームバッファ23に信号“0”を出力する。また、フレームバッファ23から受信する通信データとしてのMACフレームが存在しないとき、より対線信号終端部22は、設定されている通信速度モードのアイドル信号を信号45としてトランス21に出力する。フレームバッファ23は、より対線信号終端部22から受信した信号を光信号終端部24に転送し、光信号終端部24から受信した信号をより対線信号終端部22に送信する。光信号終端部24は、フレームバッファ23から受信する信号がMACフレームであれば、これを符号化して光/電気変換部25に出力する。フレームバッファ23から受信する信号が信号“0”であれば、光信号終端部24はアイドル信号を信号44として光/電気変換部25に送信することになる。
光信号終端部24は光/電気変換部25から受信する信号がMACフレームを符号化した信号であれば、これを復号化してフレームバッファ23に送信する。また、光/電気変換部25から受信する信号47がアイドル信号あるいは無信号を表わす信号であれば、フレームバッファ23に信号“0”を出力する。
光/電気変換部25は、より対線信号終端部22のより対線インタフェース通信方式通知信号33が“Low”レベルとなっていることによって、これを入力して光出力が許可された状態となる。この状態で、光/電気変換部25は光信号終端部24から受け取る信号44がMACフレームを符号化した信号であれば、これを光信号に変換して光ファイバケーブル15に出力する。また、光信号終端部24から受信する信号44がアイドル信号であれば、光/電気変換部25はこのアイドル信号を光信号に変換して光ケーブル15に送出する。
光/電気変換部25は、光ファイバケーブル15から受け取る光信号がMACフレームを符号化した光信号であれば、これをMACフレームを符号化した電気信号に変換して、信号47として光信号終端部24に出力する。また、光ファイバケーブル15から受け取る光信号がアイドル信号の光信号であれば、光/電気変換部25はこれを電気信号としてのアイドル信号に変換して、光信号終端部24に出力する。
第2の接続機器14は、光ファイバケーブル15からアイドル信号を表わす光信号またはMACフレームを復号化した信号を表わす光信号のいずれかを常に受け取ることができる。したがって、第1の接続機器12が自動認識設定の機器である場合、第2の接続機器14はリンクの確立に成功する。
図3は、より対線信号終端部における処理の概要を示したものである。より対線信号終端部22のこのような処理は、市販のイーサネット(登録商標)PHY(ファイ)トランシーバと呼ばれるIC(集積回路)で実現することができる。この際に、従来は図示しないLED(発光ダイオード)の点灯表示等に使用していた信号を、本実施例ではより対線インタフェース通信方式通知信号33として使用することにしている。
対線信号終端部22にトランス21を介してアイドル信号あるいはファーストリンクパルスが受信されない信号無受信状態では(ステップS101:N、S102:N)、第1の接続機器12が光メディアコンバータ11に接続されていない状態なので、より対線信号終端部22はトランス21へファーストリンクパルスを出力する(ステップS103)。また、通信方式通知端子31へはより対線インタフェース通信方式通知信号33として“High”レベルの信号を出力することになる(ステップS104)。これは、先に説明した光メディアコンバータ11に第1の接続機器12が接続されていない場合の処理である。
より対線信号終端部22にアイドル信号が受信されると(ステップS101:Y)、第1の接続機器12から受信した通信モードに切り替えて、半二重通信方式を選択する(ステップS105)。そして、設定した通信モードのアイドル信号をトランス21に出力して第1の接続機器12とのリンクを確立する(ステップS106)。次により対線信号終端部22は、より対線インタフェース通信方式通知信号33として“High”レベルの信号を出力する(ステップS107)。この結果、第2の接続機器14のリンクが不成立となる。これは、自動認識設定でない第1の接続機器12が光メディアコンバータに接続された場合の処理である。
より対線信号終端部22に第1の接続機器12の送信したファーストリンクパルスが受信された場合(ステップS102:Y)、より対線信号終端部22はこの第1の接続機器12と通信して全二重通信方式を選択する(ステップS108)。そして、より対線インタフェース通信方式通知信号33として“Low”レベルの信号を出力する(ステップS109)。これにより、第2の接続機器14のリンクが成立する。これは、自動認識設定の第1の接続機器12が光メディアコンバータに接続された場合の処理である。
以上をまとめると、自動認識設定の第1の接続機器12が光メディアコンバータ11に接続されている場合には、より対線信号終端部22が全二重通信方式を選択するために、より対線インタフェース通信方式通知信号33として“Low”レベルの信号を出力する。これにより、光/電気変換部25の光出力が許可されるので、第2の接続機器14がリンクを確立することができる。
このように本実施例の光メディアコンバータ11では、より対線信号終端部22がリンクの確立に失敗した場合、あるいは第1の接続機器12が自動認識設定となっていないような場合、光/電気変換部25から光ファイバケーブル15への光出力が禁止され、第2の接続機器14のリンクの確立が強制的に失敗する。したがって、第1の接続機器12が自動認識設定となっており、これが光メディアコンバータ11に接続されてリンクの確立に成功した場合のみ、第2の接続機器14のリンクの確立を成功させることができることになる。
<発明の変形例>
図4は、本発明の変形例における光メディアコンバータとその周辺の構成を表わしたものである。図4で図1と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この変形例の光メディアコンバータ11Aでは、より対線信号終端部22Aが図1に示した通信方式通知端子31の他に通信速度モード通知端子32を備えている。通信方式通知端子31からはより対線インタフェース通信方式通知信号33が出力され、通信速度モード通知端子32からはより対線インタフェース通信速度モード通知信号34が出力されるようになっている。これらより対線インタフェース通信方式通知信号33とより対線インタフェース通信速度モード通知信号34は、2入力オア回路35に入力されて論理和が採られるようになっている。2入力オア回路35から出力される論理和信号36は、光/電気変換部25の光出力許可/禁止制御端子37に入力されるようになっている。なお、対線インタフェース通信速度モード通知信号34も、たとえば前記した市販のイーサネット(登録商標)PHYトランシーバと呼ばれるICから出力されるLEDの点灯表示等に使用される信号を利用することができる。
図5は、2入力オア回路の真理値表を表わしたものである。2入力オア回路35は、通信方式通知端子31に接続された第1の入力端子と、通信速度モード通知端子32に接続された第2の入力端子の2つの入力端子を備えている。そして、これら第1または第2の入力端子のいずれかに“High”レベルの信号が入力されれば、出力端子から“High”レベルの信号が出力され、第1および第2の入力端子の双方に“Low”レベルの信号が入力されたときのみ出力端子から“Low”レベルの信号が出力されるようになっている。
この変形例の光メディアコンバータ11Aでは、先の実施例での異常の定義であった2つの事象としてより対線インタフェース通信方式通知信号33が“Low”レベルとなった事象に、新たな事象を追加している。
図6は、図2に対応するもので、この変形例におけるより対線インタフェース通信方式通知信号とより対線インタフェース通信速度モード通知信号の各論理レベルとこれらに対応する光メディアコンバータの対応する事象を表わしたものである。より対線インタフェース通信方式通知信号33についての論理レベルにおける“High”レベルは、先の実施例での異常の定義であった2つの事象を示している。この変形例では、対線インタフェース通信速度モード通知信号34により、更に1つの異常に対応させている。これは、光メディアコンバータ11Aに接続される第1の接続機器12が自動認識設定であっても通信速度モードとして100bit/sの通信速度モードを選択肢に持っていないという事象である。この事象が発生した場合には、対線インタフェース通信速度モード通知信号34を“High”レベルに設定することにしている。
この変形例の光メディアコンバータ11Aでは、2入力オア回路35がより対線インタフェース通信方式通知信号33と対線インタフェース通信速度モード通知信号34の論理和をとるようにしている。したがって、図6に示した3つの異常な事象のいずれか1つでも発生すると、2入力オア回路35から出力される論理和信号36は“High”レベルとなり、これを入力する光/電気変換部25はその出力光を禁止することになる。
より対線信号終端部22Aは、自動認識の選択肢として、通信速度モードについて10bit/sおよび100bit/sの通信速度モードを有していて、通信方式として全二重通信方式および半二重通信方式を持つことを想定しているとする。より対線信号終端部22Aが自動認識により10bit/sの通信速度モードを選択しているときには、より対線信号終端部22Aはより対線インタフェース通信速度モード通知信号34として“High”レベルの信号を出力し、100bit/sの通信速度モードを選択しているときには“Low”レベルの信号を出力することになる。したがって、より対線信号終端部22Aが自動認識により通信速度モードとして100bit/sを選択し、かつ、通信方式として全二重通信方式を選択したときのみ、光/電気変換部25の光出力が許可され、第2の接続機器14のリンクの確立の成功が許されることになる。
図7は、この変形例におけるより対線信号終端部における処理の要部を表わしたものである。この図7では図3に示した内容の変更箇所のみを示している。より対線信号終端部22に第1の接続機器12の送信したファーストリンクパルスが受信された場合(ステップS102:Y)、より対線信号終端部22は第1の接続機器12と通信して全二重通信方式を選択する(ステップS108)。そして、自動認識により10bit/sの通信速度モードが選択された場合、すなわち100bit/sの通信速度モードを自動認識の選択肢として有していないことを判別した場合には(ステップS121:Y)、より対線インタフェース通信速度モード通知信号34を異常検出としての“High”レベルとする(ステップS122)。これに対して、自動認識により100bit/sの通信速度モードが選択された場合には(ステップS121:N)、より対線インタフェース通信速度モード通知信号34を“Low”レベルとすることになる(ステップS123)。