JP2006009256A - 魚類等誘導装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 河川を降下または遡上する魚類等がダム等の横断工作物を通過する際の降下経路または遡上経路を形成し、魚類等の自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等を河川の横断工作物より下流側または上流側に確実に誘導することができると共に、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる魚類等誘導装置の提供。
【解決手段】 魚類等誘導装置は、河川の横断工作物より上流側に横断して配置され、河川を降下する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段10と、脅し手段10の近傍に配置され、脅し手段10の上流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段20と、一端が落下手段20に接続されると共に、他端が河川の横断工作物より下流側で開口し、落下手段20に落下した魚類等を河川の横断工作物より下流側へと誘導する誘導流路を形成する誘導手段30とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 魚類等誘導装置は、河川の横断工作物より上流側に横断して配置され、河川を降下する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段10と、脅し手段10の近傍に配置され、脅し手段10の上流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段20と、一端が落下手段20に接続されると共に、他端が河川の横断工作物より下流側で開口し、落下手段20に落下した魚類等を河川の横断工作物より下流側へと誘導する誘導流路を形成する誘導手段30とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、河川の河川構造物乃至横断工作物に配設され、河川を降下または遡上する魚類や甲殻類(本出願書類中において「魚類等」という)が前記河川構造物乃至横断工作物を通過する際の降下経路または遡上経路を形成して、魚類等を河川の河川構造物乃至横断工作物の下流域または上流域に確実に誘導することができる魚類等誘導装置に関する。
従来、河川に堰、頭首工、ダム等の河川構造物としての横断工作物(堰堤)を設置すると、その横断工作物部分で河川が分断されて魚類や甲殻類等の水生生物の往来経路(遡上経路や降下経路)が遮断され、特に、時期に応じて河川を上り下り(遡上及び降下)する回遊魚(鮭、鱒、鰻、鮎等)の遡上及び降下に影響があることが知られている。よって、河川の横断工作物部分には魚道が古くから設置され、魚道により横断工作物を挟んで河川の下流側から上流側または上流側から下流側を連結して、魚類等が横断工作物を越えて移動(遡上または降下)するための水路を確保するようにしている。
ここで、鮎等の魚類は、降下時以外の淡水生活時期には河川の水流(流向)に逆らって泳ぐという抗流性乃至走性を示し、遡上時には「正」の走性を示して流向に逆らって泳ぐと共に、降下時には逆に「負」の走性に変わり、流向にしたがって泳ぐ。即ち、河川の水流(流向)が魚類の降下移動の要因になると考えられている。一方、例えば、河川の横断工作物としてのダムに魚類等の降下用の魚道を設ける場合、その降下用の魚道の入口は、ダム貯水池の広面積の湛水域内の非常に限定された狭い範囲の特定位置(ダム取水口と離れた特定位置等)に設けられる。よって、河川を降下する魚類等がダム湖を経て河川を降下する場合、その降下魚類等は、河川のダムより上流側にあるダム湖の広面積の湛水域内を、上記のように非常に限定された狭い範囲の特定位置に設けた魚道入口を探して遊泳しなければならない。よって、降下魚類等が、魚道入口を発見することが困難になり、ダム湖の湛水域に停滞または滞留することがあり、降下魚類等の降下経路を確実に提供することができない。また、降下魚類等が、魚道入口を発見できず、最終的に、ダムの取水口等のダム設備に迷入することもあり、降下魚類等の保護を図る点でも、一層の改善が望まれている。特に、回遊魚の中には、スモルト等、海水温度が上昇する前に降海しなければならない魚種もあり、たとえ魚道入口を発見してダム湖からダムの下流域に降下できたとしても、降下に多大な時間を要すると、その遅延の程度によっては保全率に大きな影響が出ることも予想される。更に、ハイダム等の落差の大きいダムでは、その湛水域の面積はより大きくなり、湛水域で水流が停止するため、上記のように走性に従って移動する魚類等が、湛水域で遊泳方向乃至移動方向が定まらず、湛水域に停滞する可能性がある。
なお、従来の魚類誘導に関する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
特許2685735公報
特許文献1に記載の技術は、流入河川と流出河川とを有する貯水域内の魚を前記流出河川に向けて誘導する魚の誘導方法を開示している。この魚の誘導方法は、前記貯水域の流入河川側から流出河川側に向かう経路に沿って、複数個のランプを間隔を開けて設置し、当該ランプを所定時間点灯させて前記経路の当該ランプ設置位置付近を照らした後に消灯することを当該経路の上流側から順に行う。また、前記経路を貯水域の水中に設定し、前記ランプを当該ランプの設置位置より上流側を照らすように設置する。この魚の誘導方法によれば、ダム等の貯水域内の魚類のうち、光に向かう習性がある魚を、流入河川側から流出河川側に向かう経路に沿って移動する光によって誘導し、流出河川側にある魚道入口に移動させることが可能で、魚類を貯水域に止まらせずに流出河川側に向かわせることができるとされている。
上記のように、特許文献1に記載の技術では、光に向かう習性がある魚類に対しては、誘導の効果があると予想される。しかし、特許文献1には、光に向かう習性がない魚類に対する提案がない。また、特許文献1に記載の技術では、一旦、魚類は、一旦、貯水域内に降下することになるため、ダム湖の場合、魚類が貯水域としての広面積の湛水域を遊泳することになる。この場合、広面積の湛水域内でランプにより魚類を魚道入口まで確実に誘導することは容易でなく、魚類が光の届かない場所に停滞したり、ダムの取水口に迷入したりする可能性もある。
そこで、本発明は、河川を降下または遡上する魚類等がダム等の横断工作物を通過する際の降下経路または遡上経路を形成し、魚類等の自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等を河川の横断工作物より下流側または上流側に確実に誘導することができると共に、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる魚類等誘導装置の提供を課題とする。
請求項1に係る魚類等誘導装置は、河川の横断工作物より上流側に横断して配置され、前記河川を降下する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段と、前記脅し手段の近傍に配置され、前記脅し手段の上流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段と、一端が前記落下手段に接続されると共に、他端が前記河川の横断工作物より下流側で開口し、前記落下手段に落下した魚類等を前記河川の横断工作物より下流側へと誘導する誘導流路を形成する誘導手段とを備える。
請求項2に係る魚類等誘導装置は、請求項1の構成において、前記脅し手段が、色、光及び音の少なくともいずれか一つを利用して前記魚類等を脅すものである。
請求項3に係る魚類等誘導装置は、請求項1または2の構成において、前記脅し手段が、河川の横断工作物より上流側の湛水域の上流端付近に、その幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状をなす白色系または金属光沢色系(金、銀等の反射率の高い色)の色を有するシート状物を含み、前記シート状物に沿って魚類等を前記落下手段まで誘導するようにしたものである。
請求項4に係る魚類等誘導装置は、請求項3の構成において、前記落下手段が、前記シート状物の長さ方向一端に配置される上端開口を有する落とし箱を含み、前記落とし箱の上端開口の少なくとも一部は、前記シート状物の上流側に配置されるものである。
請求項5に係る魚類等誘導装置は、請求項3または4の構成において、前記脅し手段のシート状物が、多数の白色系の色を有する略矩形シート体の長さ方向一端を互いに連結することにより前記長尺状とされ、前記シート体の各々が河川の水流により個別に自由移動してはためき、光を反射自在である。
請求項6に係る魚類等誘導装置は、請求項4または5の構成において、前記脅し手段のシート状物が、前記湛水域の上流端の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜するよう前記湛水域の上流端付近の幅方向略全体にわたって配置されると共に、前記落とし箱は、前記シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置され、これにより、前記河川の横断工作物より上流側を降下して前記シート状物の上流側直近位置に到達した魚類等を、前記シート状物により脅して降下阻止すると共に、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにした。
請求項7に係る魚類等誘導装置は、河川の横断工作物より下流側に横断して配置され、前記河川を遡上する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段と、前記脅し手段の近傍に配置され、前記脅し手段の下流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段と、一端が前記落下手段に接続されると共に、他端が前記河川の横断工作物より下流側で開口し、前記落下手段に落下した魚類等を前記河川の横断工作物より上流側へと誘導する誘導手段とを備える。
請求項8に係る魚類等誘導装置は、請求項7の構成において、前記脅し手段が、河川の横断工作物の下流側直近位置付近に、その幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状をなす白色系または金属色系(金、銀等の反射率の高い色)のシート状物を有し、前記シート状物に沿って魚類等を前記落下手段まで誘導するようにした。
請求項9に係る魚類等誘導装置は、請求項8の構成において、前記落下手段が、前記シート状物の長さ方向一端に配置される上端開口を有する落とし箱を含み、前記落とし箱の上端開口の少なくとも一部は、前記シート状物の下流側に配置される。
請求項10に係る魚類等誘導装置は、請求項9の構成において、前記脅し手段のシート状物が、前記河川の横断工作物より下流側の部分の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜するよう、前記河川の横断工作物より下流側の部分の幅方向略全体にわたって配置されると共に、前記落とし箱は、前記シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置され、これにより、前記河川の横断工作物より下流側を遡上して前記シート状物の下流側直近位置に到達した魚類等を、前記シート状物により脅して遡上阻止すると共に、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにした。
請求項11に係る魚類等誘導装置は、請求項1または7の構成において、前記脅し手段が、河川の幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状の威嚇部材を含み、前記威嚇部材は、魚類等の嫌う色彩の威嚇面を有すると共に、前記威嚇面を上面として前記河川の河床付近に配置されている。
請求項12に係る魚類等誘導装置は、請求項11の構成において、前記威嚇部材をシート状物から構成し、前記シート状物の比重を1以上とした。
請求項13に係る魚類等誘導装置は、請求項項3乃至6、8乃至10及び12のいずれかの構成において、更に、設置部分の河川の水深より大きな長さの棒状をなし、その一端を河川の河床に埋設固定すると共に、上端を河川の水面から突出させる支持棒と、前記支持棒の上端間に掛け渡して配設したロープ状の水叩き部材とを備え、前記支持棒の下端部に前記シート状物を固着して、前記支持棒を介して前記シート状物を河川の河床付近の所定位置に固定すると共に、前記水叩き部材により河川の水面を叩いて、前記シート状物の上流側の魚類等を更に威嚇して、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにした。
請求項14に係る魚類等誘導装置は、請求項1乃至14のいずれかの構成において、前記脅し手段、落下手段及び誘導手段のうち、少なくとも前記脅し手段が、河川の河床付近に着脱自在に取付けて配設されるようになっている。
請求項1に係る魚類等誘導装置は、上記のように構成したため、河川を横断工作物に向かって降下する魚類等は、河川の横断工作物より上流側に横断して配置された脅し手段により脅される。このとき、魚類等は、通常、その自己防衛本能により、自らを脅す物としての脅し手段を越えて更に移動することはなく、降下経路を探して脅し手段の上流側を脅し手段に沿って遊泳する。すると、魚類等は、脅し手段に沿って最終的に落下手段に到達し、落下手段に落下する。そして、落下手段に落下した魚類等は、誘導手段により横断工作物を越えて河川の横断工作物よりも下流側まで誘導される。したがって、河川の横断工作物の上流側付近に魚類等が停滞または滞留することがない。その結果、請求項1に係る魚類等誘導装置は、河川を降下する魚類等がダム等の横断工作物を通過する際の降下経路を形成し、魚類等の自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等を河川の横断工作物より下流側に確実に誘導することができる。更に、請求項1に係る魚類等誘導装置は、前記脅し手段、落下手段及び誘導手段という簡単な構成により実現でき、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる。
請求項2に係る魚類等誘導装置は、請求項1の効果に加え、脅し手段が、色、光及び音の少なくともいずれか一つを利用して、前記魚類等を一層効果的に威嚇し、落下手段へと効率よく誘導することができる。
請求項3に係る魚類等誘導装置は、請求項1または2の効果に加え、脅し手段としてのシート状物が、白色系または金属光沢色系の色により、前記魚類等を一層効果的に威嚇し、シート状物に沿って魚類等を落下手段まで効率よく誘導することができる。また、脅し手段としてのシート状物が、河川の横断工作物より上流側の湛水域の上流端付近の幅方向略全体にわたって横断配置されるため、魚類等が湛水域内に入る前に脅し手段により脅されて湛水域に入ることがない。ここで、湛水域の上流端、即ち、河川の上流域と湛水域との間の境界は、河川の上流域の幅と同等となり、湛水域の最大幅より相当小さい幅となる。よって、請求項3に係る魚類等誘導装置のように、脅し手段を湛水域の上流端に横断配置すると、魚類の誘導距離が短くなり、魚類等を短時間で落下手段まで誘導することができる。また、請求項3に係る魚類等誘導装置は、脅し手段を、水流及び流速(流向)のない湛水域内部ではなく、水流及び流速(流向)のある湛水域より上流側に設置するため、魚類等の移動行動が弱まるのを確実に防止することができる。その結果、請求項3に係る魚類等誘導装置は、魚類等が湛水域内を迷走してダム取水口等に迷入することを確実に防止することができ、魚類等をより確実に落下手段まで誘導することができる。更に、脅し手段をシート状としたため、その構造が簡単となり、例えば、魚類等の降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。
請求項4に係る魚類等誘導装置は、請求項3の効果に加え、落下手段としての落とし箱の上端開口の少なくとも一部が、シート状物の上流側に配置されるため、シート状物の上流側直近位置をシート状物に沿って移動して落とし箱に到達した魚類等を、確実に落とし箱の上端開口から内部に落下させることができる。
請求項5に係る魚類等誘導装置は、請求項3または4の効果に加え、多数の白色系の略矩形シート体を連結してシート状物を簡単に作成することができ、かかるシート状物を河川の河床等に簡単に設置することができる。また、設置後は、白色系の色のシート体の各々が、河川の水流により個別に自由移動してはためき、個別に光を反射するため、シート状物の長さ方向(河川の横断方向)に沿った多数の位置で満遍なく魚類等を効果的に威嚇することができ、魚類等を確実に落下手段まで誘導することができる。
請求項6に係る魚類等誘導装置は、請求項4または5の効果に加え、シート状物が、前記湛水域の上流端の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜し、落とし箱の上端開口が、シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置されるため、シート状物により降下を阻まれた魚類等は、降下経路を探して、その本来の走性によりシート状物に沿って上流側へと遊泳し、シート状物の上流側端である長さ方向一端付近に配置された落とし箱まで確実に誘導される。その結果、請求項6に係る魚類等誘導装置は、魚類等を落とし箱まで一層効果的に誘導して集魚することができ、誘導手段の誘導流路により効率よく河川の横断工作物より下流側まで誘導することができる。
請求項7に係る魚類等誘導装置は、上記のように構成したため、河川を横断工作物に向かって遡上する魚類等は、河川の横断工作物より下流側に横断して配置された脅し手段により脅される。このとき、魚類等は、通常、その自己防衛本能により、自らを脅す物としての脅し手段を越えて更に移動することはなく、遡上経路を探して脅し手段の下流側を脅し手段に沿って遊泳する。すると、魚類等は、脅し手段に沿って最終的に落下手段に到達し、落下手段に落下する。そして、落下手段に落下した魚類等は、誘導手段により横断工作物を越えて河川の横断工作物よりも上流側まで誘導される。したがって、河川の横断工作物の下流側付近に魚類等が停滞または滞留することがない。その結果、請求項7に係る魚類等誘導装置は、河川を遡上する魚類等がダム等の横断工作物を通過する際の遡上経路を形成し、魚類等の自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等を河川の横断工作物より上流側に確実に誘導することができる。更に、請求項7に係る魚類等誘導装置は、前記脅し手段、落下手段及び誘導手段という簡単な構成により実現でき、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる。
請求項8に係る魚類等誘導装置は、請求項7の効果に加え、脅し手段としてのシート状物が、白色系または金属光沢色系の色により、前記魚類等を一層効果的に威嚇し、シート状物に沿って魚類等を落下手段まで効率よく誘導することができる。また、脅し手段としてのシート状物が、河川の横断工作物より下流側直近位置付近の幅方向略全体にわたって横断配置されるため、魚類等が横断工作物に達する前に脅し手段により脅されて横断工作物の落下手段以外の部分に迷入することがない。その結果、請求項8に係る魚類等誘導装置は、魚類等が河川の横断工作物より下流側の水域内を迷走することを確実に防止することができ、魚類等をより確実に落下手段まで誘導することができる。更に、脅し手段をシート状としたため、その構造が簡単となり、例えば、魚類等の降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。
請求項9に係る魚類等誘導装置は、請求項8の効果に加え、落下手段としての落とし箱の上端開口の少なくとも一部が、シート状物の下流側に配置されるため、シート状物の下流側直近位置をシート状物に沿って移動して落とし箱に到達した魚類等を、確実に落とし箱の上端開口から内部に落下させることができる。
請求項10に係る魚類等誘導装置は、請求項9の効果に加え、シート状物が、河川の横断工作物より下流側の部分の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜し、落とし箱が、シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置されるため、シート状物により降下を阻まれた魚類等は、遡上経路を探して、その本来の走性によりシート状物に沿って上流側へと遊泳し、シート状物の上流側端である長さ方向一端付近に配置された落とし箱まで確実に誘導される。その結果、請求項10に係る魚類等誘導装置は、魚類等を落とし箱まで一層効果的に誘導して集魚することができ、誘導手段の誘導流路により効率よく河川の横断工作物より上流側まで誘導することができる。
請求項11に係る魚類等誘導装置は、請求項1または7の効果に加え、河川に横断配置された長尺状の威嚇部材が、魚の嫌う色彩の威嚇面により魚類等の警戒心を刺激し、魚類等の降下を確実に阻む。その結果、請求項11に係る魚類等誘導装置によれば、魚類等が降下経路を探して長尺状の威嚇部材に沿って移動し、魚類等を落下手段まで効果的に誘導することができる。また、威嚇部材が、面状の威嚇面を有するため、線状または点状のものと比較して、降下する魚類等の威嚇面に対する認識率が向上し、集魚効率をより向上することができる。
請求項12に係る魚類等誘導装置は、請求項11の効果に加え、威嚇部材をシート状物としたため、その構造が簡単となり、例えば、魚類等の降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。また、シート状物の比重が1以上であり、威嚇部材としてのシート状物は河川の水中に自重により沈下するため、シート状物からなる威嚇部材を河川の河床等に固定するための特別の固定手段を必要とすることなく、シート状物からなる威嚇部材を河川の河床等に簡単に設置することができる。ここで、魚類等は、その習性により、頭部を上流側に向けた状態で遊泳しながら河川を徐々に降下するため、河床に設置した威嚇部材の威嚇面が、降下してきた魚類等の視野に入り易くなる。その結果、請求項12に係る魚類等誘導装置は、危険を感じると上流へ戻るという魚類等の習性乃至自己防衛本能を利用して、魚類等を脅し手段に沿って落下手段まで一層効果的に誘導することができる。
請求項13に係る魚類等誘導装置は、請求項1乃至12のいずれかの効果に加え、ロープ状の水叩き部材が、風や河川の水流等により揺れて跳ね、勢いよく水面乃至川面を叩いて、水しぶきをあげると共に威嚇音を発生する。その結果、請求項13に係る魚類等誘導装置は、水叩き部による威嚇音等により魚類等の警戒心を更に刺激し、その習性乃至自己防衛本能を利用して、魚類等を脅し手段に沿って落下手段まで一層効果的に誘導することができる。
請求項14に係る魚類等誘導装置は、請求項1乃至12のいずれかの効果に加え、少なくとも脅し手段を河川の河床付近に着脱自在としたため、例えば、魚類等の降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を降下用魚道として河川の横断工作物より上流側に設置した状態を平面で示す説明図である。図2は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を河川の横断工作物より上流側に設置した状態を横断面図で示す説明図である。図3は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を拡大して平面にて示す説明図である。図4は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置の落とし箱付近を拡大して示す斜視図である。
図1は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を降下用魚道として河川の横断工作物より上流側に設置した状態を平面で示す説明図である。図2は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を河川の横断工作物より上流側に設置した状態を横断面図で示す説明図である。図3は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置を拡大して平面にて示す説明図である。図4は本発明の実施の形態1に係る魚類等誘導装置の落とし箱付近を拡大して示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、河川の横断工作物としてのダム等の堰堤5に対して、河川の横断工作物より上流側の水域から横断工作物を経て下流側の水域へと至る魚類等の降下経路を形成するものである。なお、図1に示すように、ダム等の堰堤5の上流側には湛水域2が形成されている。湛水域2は、通常、河川の湛水域2より上流側部分である上流域1の川幅より幅広で広面積となる。また、堰堤5の下流側には、河川の下流域3が延びている。そして、魚類等誘導装置は、前記河川の所定位置にそれぞれ配置される脅し手段10、落下手段20及び誘導手段30を備え、河川の上流域1及び湛水域2間の境界部分(湛水域2の上流端)と河川の下流域3とを結ぶ降下魚道を形成する。まず、脅し手段10は、河川の堰堤5より上流側の湛水域2、例えば、ハイダムの上流側の湛水域2(ダム湖)の上流端2a付近に横断して配置されている。脅し手段10は、河川を上流域1から湛水域2へと降下する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止するものである。また、落下手段20は、脅し手段10の近傍に配置され、脅し手段10の上流側近傍を脅し手段10の長さ方向乃至横断方向に沿って移動する魚類等を内部に落下させるものである。更に、誘導手段30は、一端が前記落下手段20に接続されると共に、他端が河川の堰堤5より下流側の下流域3の所定位置で開口し、落下手段20に落下した魚類等を河川の堰堤5より下流側の下流域3へと誘導する誘導流路を形成する。
具体的には、図3に示すように、脅し手段10は、河川の堰堤5より上流側部分である湛水域2の上流端2a付近に、その幅方向略全体にわたって横断配置された全体として長尺状をなすシート状物11を含む。シート状物11は、白色系の色(純白色の他、白色に近似した色も含む)を有し、シート状物11に沿って魚類等Fを前記落下手段20まで誘導するようになっている。より詳細には、脅し手段10のシート状物11は、多数の白色系の色を有する略矩形シート体12の長さ方向一端(図3中の左端)を、ロープ等の紐状物からなる連結部材13により互いに連結することにより全体が長尺状とされ、前記シート体12の各々が河川の水流により個別に自由移動してはためき、個別に光を反射自在となっている。かかるシート体12としては、矩形状のポリ袋として使用される白色ポリエチレンシートや白色ポリプロピレンシート等の白色ビニルシートを好適に使用することができる。
ここで、シート状物11は、図3に示すように、隣接するシート体12間に隙間を設けず、多数のシート体12を密接配置した状態で、前記連結部材13により隣接するシート体12を互いに連結することもできる。或いは、図4に示すように、シート状物11は、隣接するシート体12間に若干の隙間を設け、多数のシート体12を近接配置した状態で、前記連結部材13により隣接するシート体12を互いに連結することもできる。なお、全体として長尺状のシート状物11は、ロープ等の連結部材13を、その長さ方向に所定間隔を置いた複数の位置(固定点)で、杭状の部材により河川の河床に固定することにより、多数のシート体12が河川の河床付近に固定される。また、図1〜図3では、説明の便宜上、シート状物11が直線的に河川を横断しているように図示しているが、シート状物11は、河川の水流により、連結部材13において前記河床への固定点間の中央部分が、下流側に突出するよう湾曲することもある。一方、連結部材13の固定点を増加すれば、かかる湾曲部分は減少し、各シート体12の幅方向両端で連結部材13を河床に固定すれば、シート状物11は、全体として、図1〜図3に示すような直線状となる。
また、落下手段20は、図4に示すように、落とし箱21を含む。落とし箱21は、シート状物11の長さ方向一端(図3中下端)に配置される。落とし箱21は、上端開口22aを形成した略直方体箱状をなす落下部22と、落下部22の長さ方向他側(図4中右側)に一体形成した中空の四角錘台状をなす導入部23とを有する。導入部23の長さ方向両端(大径側端及び小径側端)は開口(図示略)とされると共に、導入部23の大径側端に接合する落下部22の長さ方向他側面も開口(図示略)とされ、落下部22の内部と導入部23の内部が互いに連通している。また、導入部23の小径側端の開口には前記誘導手段30としての誘導管31の一端が連結して固定されている。更に、落とし箱21の落下部22の上端開口22aの内周のうちの長さ方向他端縁(図4中右端縁)を除く全ての周縁、即ち、長さ方向一端縁(図4中左端縁)及び幅方向両端縁には、内端(先端)に向かって下方に傾斜する細幅の平板状乃至帯状をなす傾斜板24が固着されている。傾斜板24は、平面から見ると、図4中の右端を開口する略コ字状をなしている。更にまた、落下部22の幅方向両側壁の略中央部には、それぞれ、矩形状の開口にネット乃至金網を固定してなる開口部25が設けられている。
一方、前記シート状物11は、図3に示すように、河川の幅方向(実施の形態1の場合、上流域1の幅方向乃至湛水域2の上流端2aの幅方向)に対して所定の傾斜角θで傾斜するよう、湛水域2の上流端2a付近の幅方向略全体にわたって配置される。好ましくは、シート状物11は、湛水域2の上流端2aの幅方向に対して約5度〜10度の範囲で傾斜するよう、湛水域2の上流端2a付近の幅方向略全体にわたって配置される。更に、落とし箱21は、シート状物11の上流側端となる長さ方向一端(図3中の下端)付近に配置されている。これにより、河川の堰堤5より上流側を降下してシート状物11の上流側直近位置に到達した魚類等Fを、シート状物11により脅して降下阻止すると共に、シート状物11に沿って落とし箱21まで誘導するようになっている。また、落とし箱21は、落下部22の長さ方向一側面乃至上流側端面(図3中左側面)が、脅し手段10のシート状物11の長さ方向一端縁乃至上流側端縁(図3中左端縁)と略面一となるような位置で、河川の河床に載置または埋設して固定されている。しかし、落とし箱21は、落下部22の上端開口22aの少なくとも一部が、シート状物11の上流側端縁より上流側にはみ出て位置するよう、図4中の一点鎖線で示すように、その位置を上流側に若干ずらして配置することもできる。更に、落とし箱21は、落下部22の上端が前記シート状物11の高さ位置と略同一高さ位置となるよう、河川の河床に配置することができる。或いは、河川の河床付近を遊泳する魚類等Fを効果的に威嚇できるよう、シート状物11を河川の河床に載置するようにして配置した場合、落とし箱21は、落下部22の上端を河床から若干突出させて上端開口22aを露出させた状態で、その略全体を河床に埋設して固定することもできる。しかし、落とし箱21は、上端開口22aから内部に魚類等Fを落下自在な限りにおいて、落下部22の上端が前記シート状物11の高さ位置から下方または上方となるよう、河川の河床に配置することもできる。なお、落とし箱21等を含む落下手段20は、前記脅し手段10とは異なり、内部に魚類等Fを円滑に落下及び導入するよう、魚類等Fを威嚇しない色等の構成とされる。
作用及び効果
次に、実施の形態1に係る魚類等誘導装置の作用及び効果について説明する。
まず、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、上記のように、脅し手段10のシート状物11を河川の湛水域2の上流端2a付近に横断して傾斜配置すると共に、落下手段20の落とし箱21をシート状物11の一端付近に配置する。そして、誘導手段30の一端を落とし箱21に連結すると共に、誘導管31の他端を河川の下流域3に導いて配置する。この状態で、河川の流向に沿って横断工作物としての堰堤5に向かって降下する魚類等Fは、河川の堰堤5より上流側に横断して配置された脅し手段10のシート状物11により脅される。即ち、シート状物11の白色系のシート体12が、降下する魚類等Fの視野に入り、魚類等Fをその色または反射光により威嚇する。このとき、魚類等Fは、通常、その自己防衛本能により、自らを脅す物としての脅し手段10のシート状物11を越えて更に移動することはなく、降下経路を探してシート状物11の上流側をシート状物11に沿って遊泳する。すると、魚類等Fは、シート状物11に沿って最終的に落下手段20の落とし箱21付近に到達する。このとき、前記落とし箱21の落下部22の上端開口22aから落下部22内には、河川の水が流入しており、落下部22内に流入した水は、導入部23を介して誘導管31の一端から誘導管31内に流入し、誘導管31の一端と他端との間の落差により、誘導管31の他端から河川の下流域3に向けて勢いよく放出されている。また、落下部22の上端開口22aの下流側端(図4中右端)以外の全ての内周縁には前記傾斜板24が設けられているため、誘導管31の他端から勢いよく放出される水流の水勢により、落下部22内には大量の水が勢いよく大量に流入する。したがって、落下部22内に流入する水流Sの流速が、河川の通常の水流の流速より大きくなり、シート状物11部分の流速よりも大きくなっている。よって、落とし箱21の内部に大量に流入する高速の水流Sにより、落とし箱21の付近の魚類等Fを落下部22の上端開口22aから内部に強制的に引き込むことができる。
次に、実施の形態1に係る魚類等誘導装置の作用及び効果について説明する。
まず、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、上記のように、脅し手段10のシート状物11を河川の湛水域2の上流端2a付近に横断して傾斜配置すると共に、落下手段20の落とし箱21をシート状物11の一端付近に配置する。そして、誘導手段30の一端を落とし箱21に連結すると共に、誘導管31の他端を河川の下流域3に導いて配置する。この状態で、河川の流向に沿って横断工作物としての堰堤5に向かって降下する魚類等Fは、河川の堰堤5より上流側に横断して配置された脅し手段10のシート状物11により脅される。即ち、シート状物11の白色系のシート体12が、降下する魚類等Fの視野に入り、魚類等Fをその色または反射光により威嚇する。このとき、魚類等Fは、通常、その自己防衛本能により、自らを脅す物としての脅し手段10のシート状物11を越えて更に移動することはなく、降下経路を探してシート状物11の上流側をシート状物11に沿って遊泳する。すると、魚類等Fは、シート状物11に沿って最終的に落下手段20の落とし箱21付近に到達する。このとき、前記落とし箱21の落下部22の上端開口22aから落下部22内には、河川の水が流入しており、落下部22内に流入した水は、導入部23を介して誘導管31の一端から誘導管31内に流入し、誘導管31の一端と他端との間の落差により、誘導管31の他端から河川の下流域3に向けて勢いよく放出されている。また、落下部22の上端開口22aの下流側端(図4中右端)以外の全ての内周縁には前記傾斜板24が設けられているため、誘導管31の他端から勢いよく放出される水流の水勢により、落下部22内には大量の水が勢いよく大量に流入する。したがって、落下部22内に流入する水流Sの流速が、河川の通常の水流の流速より大きくなり、シート状物11部分の流速よりも大きくなっている。よって、落とし箱21の内部に大量に流入する高速の水流Sにより、落とし箱21の付近の魚類等Fを落下部22の上端開口22aから内部に強制的に引き込むことができる。
よって、落とし箱21付近の魚類等Fは、落とし箱21の上端開口22aから内部に確実に落下する。そして、落とし箱21の落下部22に落下した魚類等Fは、導入部23を経て、誘導管31により堰堤5を越えて河川の下流域3まで誘導及び運搬され、下流域に水流と共に放出される。したがって、実施の形態1に係る魚類等誘導装置によれば、河川の堰堤5の上流側付近、即ち、湛水域2等に魚類等Fが停滞または滞留することがない。その結果、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、河川を降下する魚類等Fがダム等の横断工作物を通過する際の降下経路を形成し、魚類等Fの自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等Fを河川の横断工作物より下流側に確実に誘導することができる。更に、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、前記脅し手段10、落下手段20及び誘導手段30という簡単な構成により実現でき、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる。
また、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、脅し手段10としてのシート状物11が、白色系の色により、魚類等Fを一層効果的に威嚇し、シート状物11に沿って魚類等Fを落とし箱21まで効率よく誘導する。更に、脅し手段10をシート状物11より構成したため、その構造が簡単となり、例えば、魚類等Fの降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。特に、実施の形態1では、多数の白色系の略矩形シート体12を紐状の連結部材13により互いに連結してシート状物11を簡単に作成することができ、かかるシート状物11を河川の河床等に簡単に設置することができる。また、設置後は、白色系の色のシート体12の各々が、河川の水流により個別に自由移動してはためき、個別に光を反射するため、シート状物11の長さ方向(河川の横断方向)に沿った多数の位置で満遍なく魚類等Fを効果的に威嚇することができ、魚類等Fを確実に落下手段まで誘導することができる。
更に、脅し手段10としてのシート状物11が、河川の堰堤5より上流側の湛水域2の上流端2a付近の幅方向略全体にわたって横断配置されるため、魚類等Fが湛水域2内に入る前に脅し手段10のシート状物11により脅されて湛水域2に入ることがない。ここで、湛水域2の上流端2a、即ち、河川の上流域1と湛水域2との間の境界は、河川の上流域1の幅と同等となり、湛水域2の最大幅より相当小さい幅となる。よって、実施の形態1に係る魚類等誘導装置のように、脅し手段10のシート状物11を湛水域2の上流端2aに横断配置すると、魚類の誘導距離が短くなり、魚類等Fを短時間で落とし箱21まで誘導することができる。また、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、脅し手段10のシート状物11を、水流及び流速(流向)のない湛水域2内部ではなく、水流及び流速(流向)のある湛水域2より上流側に設置するため、魚類等Fの移動行動が弱まるのを確実に防止することができる。その結果、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、魚類等Fが湛水域2内を迷走してダム取水口等に迷入することを確実に防止することができ、魚類等Fをより確実に落とし箱21まで誘導することができる。
更に、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、シート状物11が、湛水域2の上流端2aの幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜し、落とし箱21の上端開口22aが、シート状物11の上流側端となる長さ方向一端付近に配置されるため、シート状物11により降下を阻まれた魚類等Fは、降下経路を探して、その本来の走性によりシート状物11に沿って上流側へと遊泳し、シート状物11の上流側端である長さ方向一端付近に配置された落とし箱21まで確実に誘導される。その結果、実施の形態1に係る魚類等誘導装置は、魚類等Fを落とし箱21まで一層効果的に誘導して集魚することができ、誘導手段の誘導流路を構成する誘導管31により、効率よく河川の下流域3まで誘導することができる。加えて、図4の一点鎖線で示すように、落下手段20としての落とし箱21の上端開口22aの少なくとも一部がシート状物11の上流側にはみ出すよう、落とし箱21を配置することもでき、この場合、シート状物11の上流側直近位置をシート状物11に沿って移動して落とし箱21付近に到達した魚類等Fを、確実に落とし箱21の上端開口22aから内部に落下させることができる。更に、前記傾斜板24は、落とし箱21の内部に落下した魚類等が、落下部22の上端開口22aから外部に戻ることを防止する返し部としても機能する。即ち、魚類等は、落とし箱21の上端開口22aから傾斜板24を経て落下部22の内部に落下する一方、落下部22から上端開口22aに突進して外部に脱出しようとしても、返し部としての傾斜板24が、上端開口22aの周縁で先端に向かって下方に傾斜するテーパ状の面を構成しているため、傾斜板24により遮られ、上端開口22aから外部に脱出することは非常に困難になる。
実施の形態2
図5は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置を示す斜視図である。
実施の形態2に係る魚類等誘導装置は、実施の形態1に係る魚類等誘導装置の構成に加え、更に、前記脅し手段10の位置で河川の水面を叩くことにより魚類等を威嚇する威嚇手段を備える。詳細には、図5に示すように、威嚇手段は、支持棒51及び水叩き部材52を含む。支持棒51は、設置部分である河川の湛水域2の上流端2aの水深より大きな長さの直線棒状をなし、その一端を河川の河床に埋設固定すると共に、上端を河川の水面から突出させている。また、水叩き部材52は、支持棒51の上端間に掛け渡して配設したロープ状をなす。そして、支持棒51の下端部に前記シート状物11の上流側端縁を固着して、支持棒51を介してシート状物11を河川の河床付近の所定位置に固定すると共に、水叩き部材52により河川の水面を叩いて、シート状物11の上流側の魚類等を更に威嚇して、シート状物11に沿って落とし箱21まで誘導するようになっている。なお、河川の湛水域2等の水位は降雨等の影響により常時異なるため、魚類等の降下時期に平均水位等を考慮して、水叩き部材52により確実に水面を叩けるよう、支持棒51の長さを決定することが好ましい。
図5は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置を示す斜視図である。
実施の形態2に係る魚類等誘導装置は、実施の形態1に係る魚類等誘導装置の構成に加え、更に、前記脅し手段10の位置で河川の水面を叩くことにより魚類等を威嚇する威嚇手段を備える。詳細には、図5に示すように、威嚇手段は、支持棒51及び水叩き部材52を含む。支持棒51は、設置部分である河川の湛水域2の上流端2aの水深より大きな長さの直線棒状をなし、その一端を河川の河床に埋設固定すると共に、上端を河川の水面から突出させている。また、水叩き部材52は、支持棒51の上端間に掛け渡して配設したロープ状をなす。そして、支持棒51の下端部に前記シート状物11の上流側端縁を固着して、支持棒51を介してシート状物11を河川の河床付近の所定位置に固定すると共に、水叩き部材52により河川の水面を叩いて、シート状物11の上流側の魚類等を更に威嚇して、シート状物11に沿って落とし箱21まで誘導するようになっている。なお、河川の湛水域2等の水位は降雨等の影響により常時異なるため、魚類等の降下時期に平均水位等を考慮して、水叩き部材52により確実に水面を叩けるよう、支持棒51の長さを決定することが好ましい。
実施の形態2に係る魚類等誘導装置によれば、ロープ状の水叩き部材52が、風や河川の水流等により揺れて跳ね、勢いよく水面乃至川面を叩いて、水しぶきをあげると共に威嚇音を発生する。その結果、実施の形態2に係る魚類等誘導装置は、水叩き部材52による威嚇音等により魚類等の警戒心を更に刺激し、その習性乃至自己防衛本能を利用して、魚類等を脅し手段10のシート状物11に沿って落下手段20の落とし箱21まで一層効果的に誘導することができる。
実施の形態3
図6は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置を遡上用魚道として河川の横断工作物より下流側に設置した状態を拡大して平面にて示す説明図である。図7は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置の落とし箱の落とし口を示す斜視図である。
実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、実施の形態1に係る魚類等誘導装置と同様の構成を有する一方、遡上用魚道として河川の横断工作物より下流側に設置される。即ち、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、堰堤5等の河川の横断工作物に対して、河川の下流域3から横断工作物を経て上流域1へと至る魚類等の遡上経路を形成するものである。詳細には、図6に示すように、魚類等誘導装置は、前記河川の所定位置にそれぞれ配置される脅し手段110、落下手段120及び誘導手段130を備える。脅し手段110は、河川の横断工作物(例えば、堰堤5)より下流側の下流域3に横断して配置されている。脅し手段110は、河川を下流域3から上流域1へと遡上する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止するものである。また、落下手段120は、脅し手段110の近傍に配置され、脅し手段110の下流側近傍を脅し手段110の長さ方向乃至横断方向に沿って移動する魚類等を内部に落下させるものである。更に、誘導手段130は、一端が前記落下手段120に接続されると共に、他端が河川の横断工作物より上流側の上流域1の所定位置で開口し、落下手段120に落下した魚類等を河川の横断工作物5より上流側の上流域3へと、圧送する等して誘導及び運搬する誘導流路を形成する。
図6は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置を遡上用魚道として河川の横断工作物より下流側に設置した状態を拡大して平面にて示す説明図である。図7は本発明の実施の形態3に係る魚類等誘導装置の落とし箱の落とし口を示す斜視図である。
実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、実施の形態1に係る魚類等誘導装置と同様の構成を有する一方、遡上用魚道として河川の横断工作物より下流側に設置される。即ち、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、堰堤5等の河川の横断工作物に対して、河川の下流域3から横断工作物を経て上流域1へと至る魚類等の遡上経路を形成するものである。詳細には、図6に示すように、魚類等誘導装置は、前記河川の所定位置にそれぞれ配置される脅し手段110、落下手段120及び誘導手段130を備える。脅し手段110は、河川の横断工作物(例えば、堰堤5)より下流側の下流域3に横断して配置されている。脅し手段110は、河川を下流域3から上流域1へと遡上する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止するものである。また、落下手段120は、脅し手段110の近傍に配置され、脅し手段110の下流側近傍を脅し手段110の長さ方向乃至横断方向に沿って移動する魚類等を内部に落下させるものである。更に、誘導手段130は、一端が前記落下手段120に接続されると共に、他端が河川の横断工作物より上流側の上流域1の所定位置で開口し、落下手段120に落下した魚類等を河川の横断工作物5より上流側の上流域3へと、圧送する等して誘導及び運搬する誘導流路を形成する。
なお、前記脅し手段110の構成は、実施の形態1の脅し手段10と同様であり、連結部材13により多数のシート体12を連結したシート状物111を含む。また、前記誘導手段は、実施の形態1の誘導手段30の誘導管31と同様の構成である。一方、実施の形態3の落下手段120は、実施の形態1の落下手段20と同様の構成とすることができるが、図6に示すように、落とし箱121と、落とし箱121内に配設した落とし口122と、落とし箱121の下流側に連結した誘導部123とを備えるよう構成することもできる。この場合、落とし箱121は、上端を開口した立方体乃至直方体箱状をなしている。また、図7に示すように、落とし口122は返し部122aを有する。詳細には、落とし口122は、両端を開口した略錐台筒状(円錐台筒状、角錐台筒状)をなし、その縮径する側の端部を前記誘導管131の一端(上端)の開口内に挿着して誘導管71の一端に連結される。即ち、前記誘導管131は、その一端部を上方に略垂直に延びるよう屈曲または湾曲され、その一端(上端)の開口に前記落とし口122の返し部122aが挿着されている。そして、落とし口122は、誘導管131の一端の開口から内部に挿着された前記縮径する側の端部により、前記返し部161を構成している。なお、図7の例では、落とし口122は、その軸方向略中央から下端側(返し部122a側)の部分を円錐台状とすると共に、軸方向略中央から上端側の部分を四角錘台筒状としている。また、落とし口122は、前記円錐台状部分の少なくとも一部(または全部)を誘導管131の一端開口内に挿着して、前記返し部122aを構成することができる。そして、返し部122aの外周面と誘導管131の一端部内周面との間に上端側(誘導管131の一端側)で閉塞する空間が形成される。更に、前記誘導部123は、前記落とし口122へと魚類等を誘導する構成となっている。例えば、誘導部123は、落とし口122に向かって大量の高速の水流を強制的に導入することにより、落とし口122または誘導部123付近の魚類等を、その水流により魚類等を落とし口122内に強制的に落下させるよう構成することができる。或いは、脅し手段110及び落下手段120を、上流側に配置される誘導管131の他端より高い位置に配置することで、誘導管131の一端(下流側端)が他端(上流側端)より高い位置に配置され、その落差により誘導管131の一端から水が流入して他端から放出されるよう構成することもできる。例えば、魚道の出口をハイダム等の湛水域(ダム湖)の満水面より高い位置に設け、その位置に本実施の形態の魚類等誘導装置の脅し手段110及び落下手段120を配置することもできる。この場合、魚道の出口にダム湖等の水を揚水し、その揚水を落下手段120の落とし箱121の落とし口122内に他の位置よりも大量に高速で流入させることができる。なお、前記誘導部123は、シート状物111に対して下流側に突出して配置される。
ここで、前記脅し手段110のシート状物111は、図6に示すように、河川の幅方向(実施の形態3の場合、下流域3の幅方向)に対して所定の傾斜角θで傾斜するよう、下流域3の幅方向略全体にわたって配置される。好ましくは、シート状物111は、下流域3の幅方向に対して約5度〜10度の範囲で傾斜するよう、下流域3の幅方向略全体にわたって配置される。更に、落下手段120の落とし箱121は、シート状物111の上流側端となる長さ方向一端(図6中の下端)付近に配置されている。これにより、河川の下流域3を遡上してシート状物111の下流側直近位置に到達した魚類等Fを、シート状物111により脅して遡上阻止すると共に、シート状物111に沿って落とし箱121まで誘導するようになっている。また、落下手段120は、その下流側部分である誘導部123が脅し手段110のシート状物111から下流側に突出するような位置で、河川の河床に載置または埋設して固定されている。更に、落とし箱121は、実施の形態1と同様、内部に魚類等Fを落下自在な限りにおいて、その上端が前記シート状物111の高さ位置と略同一高さ位置となるよう河川の河床に配置したり、或いは、シート状物111より下方または上方となる高さ位置に配置したりすることもできる。なお、落とし箱121等を含む落下手段120は、前記脅し手段110とは異なり、内部に魚類等Fを円滑に落下及び導入するよう、魚類等Fを威嚇しない色等の構成とされる。
作用及び効果
次に、実施の形態3に係る魚類等誘導装置の作用及び効果について説明する。
まず、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、上記のように、脅し手段110のシート状物111を河川の下流域3に横断して傾斜配置すると共に、落下手段120の落とし箱121等をシート状物111の一端付近に配置する。そして、誘導手段130の誘導管131の一端を落とし箱121の落とし口122に連結すると共に、誘導管131の他端を河川の上流域1に導いて配置する。この状態で、河川の流向に逆らって横断工作物としての堰堤5等に向かって遡上する魚類等Fは、河川の堰堤5等より下流側に横断して配置された脅し手段110のシート状物111により脅される。すると、魚類等Fは、シート状物111に沿って最終的に落下手段120の落とし箱121付近に到達する。このとき、前記落とし箱121の落とし口122内には、誘導部123から大量の水が流入しており、また、誘導管131が内部の水を上流域1に配置した他端に向けて圧送等している。よって、落とし箱121の落とし口122内部に大量に流入する高速の水流により、落とし箱121の付近の魚類等Fを落とし口122から内部に強制的に引き込むことができる。
次に、実施の形態3に係る魚類等誘導装置の作用及び効果について説明する。
まず、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、上記のように、脅し手段110のシート状物111を河川の下流域3に横断して傾斜配置すると共に、落下手段120の落とし箱121等をシート状物111の一端付近に配置する。そして、誘導手段130の誘導管131の一端を落とし箱121の落とし口122に連結すると共に、誘導管131の他端を河川の上流域1に導いて配置する。この状態で、河川の流向に逆らって横断工作物としての堰堤5等に向かって遡上する魚類等Fは、河川の堰堤5等より下流側に横断して配置された脅し手段110のシート状物111により脅される。すると、魚類等Fは、シート状物111に沿って最終的に落下手段120の落とし箱121付近に到達する。このとき、前記落とし箱121の落とし口122内には、誘導部123から大量の水が流入しており、また、誘導管131が内部の水を上流域1に配置した他端に向けて圧送等している。よって、落とし箱121の落とし口122内部に大量に流入する高速の水流により、落とし箱121の付近の魚類等Fを落とし口122から内部に強制的に引き込むことができる。
よって、落とし箱121付近の魚類等Fは、落とし箱121の落とし口122から内部に確実に落下する。そして、落とし箱121の落とし口122に落下した魚類等Fは、誘導管131により堰堤5等を越えて河川の上流域3まで強制的に誘導及び運搬され、上流域1に水流と共に放出される。したがって、実施の形態3に係る魚類等誘導装置によれば、河川の堰堤5等の下流側付近に魚類等Fが停滞または滞留することがない。その結果、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、河川を遡上する魚類等Fがダム等の横断工作物を通過する際の遡上経路を形成し、魚類等Fの自己防衛本能や習性等を利用することにより、魚類等Fを河川の横断工作物より上流側に確実に誘導することができる。更に、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、前記脅し手段110、落下手段120及び誘導手段130という簡単な構成により実現でき、その構造を簡単にして設置費用を大幅に低減することができる。
更に、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、シート状物111が、河川の下流域3等の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜し、落とし箱121の落とし口122が、シート状物111の上流側端となる長さ方向一端付近に配置されるため、シート状物111により遡上を阻まれた魚類等Fは、遡上経路を探して、その本来の正の走性によりシート状物111に沿って上流側へと遊泳し、シート状物111の上流側端である長さ方向一端付近に配置された落とし箱121まで確実に誘導される。その結果、実施の形態3に係る魚類等誘導装置は、魚類等Fを落とし箱121まで一層効果的に誘導して集魚することができ、誘導手段の誘導流路を構成する誘導管131により、効率よく河川の上流域1まで誘導することができる。更に、前記落とし口122の返し部122aは、落とし箱121の落とし口122内部に落下した魚類等が、落とし口122から外部に戻ることを防止するよう機能する。即ち、魚類等は、落とし箱121の落とし口122から誘導管131内部に落下する一方、誘導管131の一端部から落とし口122に突進して外部に脱出しようとしても、返し部122aにより遮られ、落とし口122から外部に脱出することは非常に困難になる。また、実施の形態3では、落下手段120の誘導部123をシート状物111より下流側に突出させて配置したため、シート状物111の下流側直近位置をシート状物111に沿って移動して落とし箱121に到達した魚類等を、確実に落とし箱121の上端開口を構成する落とし口122から内部に落下させることができる。
ところで、本発明の魚類等誘導装置では、脅し手段は、色、光及び音の少なくともいずれか一つを利用して前記魚類等を脅すよう構成することができるが、河川を降下または遡上する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する限りにおいて、その他の任意の構成を採用することもできる。即ち、上記実施の形態に係る魚類等誘導装置では、脅し手段10,110は、シート状物11,111により構成されるが、シート状物11,111以外にも例えば、河川の幅方向略全体にわたって横断配置された任意の長尺状をなす威嚇部材を含む構成とすることもできる。この場合、前記威嚇部材は、魚類等の嫌う色彩の威嚇面を有すると共に、前記威嚇面を上面として前記河川の河床付近に配置するようにする。こうすると、河川に横断配置された長尺状の威嚇部材が、魚の嫌う色彩の威嚇面により魚類等の警戒心を刺激し、魚類等の降下を確実に阻む。その結果、この場合も、魚類等が降下経路または遡上経路を探して長尺状の威嚇部材に沿って移動することになり、魚類等を落下手段まで効果的に誘導することができる。また、威嚇部材が、面状の威嚇面を有するため、線状または点状のものと比較して、降下する魚類等の威嚇面に対する認識率が向上し、集魚効率をより向上することができる。また、このとき、威嚇部材を前記シート状物11,11と同様のシート状物から構成し、前記シート状物の比重を1以上とすることもできる。こうすると、威嚇部材をシート状物としたため、その構造が簡単となり、例えば、魚類等の降下時期にのみ河川に設置し、それ以外の時期は河川から撤去する等の作業を容易に行うことができる。また、シート状物の比重が1以上であり、威嚇部材としてのシート状物は河川の水中に自重により沈下するため、シート状物からなる威嚇部材を河川の河床等に固定するための特別の固定手段を必要とすることなく、シート状物からなる威嚇部材を河川の河床等に簡単に設置することができる。ここで、魚類等は、その習性により、頭部を上流側に向けた状態で遊泳しながら河川を徐々に降下するため、河床に設置した威嚇部材の威嚇面が、降下してきた魚類等の視野に入り易くなる。その結果、この場合の魚類等誘導装置は、危険を感じると上流へ戻るという魚類等の習性乃至自己防衛本能を利用して、魚類等を脅し手段に沿って落下手段まで一層効果的に誘導することができる。
また、白色は、魚類等に対する威嚇効果が最も高い色の一つであるため、上記実施の形態では、シート状物11,111のシート体12の色として白色系の色を使用したが、シート体12の色としては、魚類等を脅すことができる限りにおいて、白色系以外にも、金属光沢色等のその他の色を使用することができる。例えば、シート体12等のシート状物11,111または威嚇部材の威嚇面の色を、白色、パール色、金色や銀色等の金属光沢色、または、これらの組み合わせからなる色とすることもできる。なお、金属光沢色としては、金、銀等の反射率の高い色とすることが好ましい。更に、シート体12の材質としては、合成樹脂シート等の樹脂シート、天然繊維シートや合成繊維シート等の繊維シート、金属薄膜シート、これらの組み合わせ等、各種素材からなるシート体を使用することができるが、コスト、入手容易性、耐久性、強度等の点から、白色のビニルシートを使用することが好ましい。
また、魚類等誘導装置を魚道と組み合わせて使用することもでき、魚類等誘導装置によって誘導された魚類等を魚道の入口に誘導し、河川の横断工作物を経て上流から下流へと降下させたり、下流から上流へと遡上させたりすることもできる。
2:湛水域、2a:上流端、5:堰堤
10:脅し手段、11:シート状物、12:シート体、13:連結部材
20:落下手段、30:誘導手段
51:支持棒、52:水叩き部材
110:脅し手段、111:シート状物、120:落下手段、121:落とし箱
130:誘導手段
10:脅し手段、11:シート状物、12:シート体、13:連結部材
20:落下手段、30:誘導手段
51:支持棒、52:水叩き部材
110:脅し手段、111:シート状物、120:落下手段、121:落とし箱
130:誘導手段
Claims (14)
- 河川の横断工作物より上流側に横断して配置され、前記河川を降下する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段と、
前記脅し手段の近傍に配置され、前記脅し手段の上流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段と、
一端が前記落下手段に接続されると共に、他端が前記河川の横断工作物より下流側で開口し、前記落下手段に落下した魚類等を前記河川の横断工作物より下流側へと誘導する誘導流路を形成する誘導手段と
を備えることを特徴とする魚類等誘導装置。 - 前記脅し手段は、色、光及び音の少なくともいずれか一つを利用して前記魚類等を脅すものであることを特徴とする請求項1記載の魚類等誘導装置。
- 前記脅し手段は、河川の横断工作物より上流側の湛水域の上流端付近に、その幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状をなす白色系または金属光沢色系(金、銀等の反射率の高い色)の色を有するシート状物を含み、前記シート状物に沿って魚類等を前記落下手段まで誘導するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の魚類等誘導装置。
- 前記落下手段は、前記シート状物の長さ方向一端に配置される上端開口を有する落とし箱を含み、前記落とし箱の上端開口の少なくとも一部は、前記シート状物の上流側に配置されることを特徴とする請求項3記載の魚類等誘導装置。
- 前記脅し手段のシート状物は、多数の白色系の色を有する略矩形シート体の長さ方向一端を互いに連結することにより前記長尺状とされ、前記シート体の各々が河川の水流により個別に自由移動してはためき、光を反射自在であることを特徴とする請求項3または4記載の魚類等誘導装置。
- 前記脅し手段のシート状物は、前記湛水域の上流端の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜するよう前記湛水域の上流端付近の幅方向略全体にわたって配置されると共に、前記落とし箱は、前記シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置され、これにより、前記河川の横断工作物より上流側を降下して前記シート状物の上流側直近位置に到達した魚類等を、前記シート状物により脅して降下阻止すると共に、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにしたことを特徴とする請求項4または5記載の魚道出口装置。
- 河川の横断工作物より下流側に横断して配置され、前記河川を遡上する魚類等を脅して、魚類等の通過を阻止する脅し手段と、
前記脅し手段の近傍に配置され、前記脅し手段の下流側近傍を移動する魚類等を内部に落下させる落下手段と、
一端が前記落下手段に接続されると共に、他端が前記河川の横断工作物より下流側で開口し、前記落下手段に落下した魚類等を前記河川の横断工作物より上流側へと誘導する誘導手段と
を備えることを特徴とする魚類等誘導装置。 - 前記脅し手段は、河川の横断工作物の下流側直近位置付近に、その幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状をなす白色系または金属色系のシート状物を有し、前記シート状物に沿って魚類等を前記落下手段まで誘導するようにしたことを特徴とする請求項7記載の魚類等誘導装置。
- 前記落下手段は、前記シート状物の長さ方向一端に配置される上端開口を有する落とし箱を含み、前記落とし箱の上端開口の少なくとも一部は、前記シート状物の下流側に配置されることを特徴とする請求項8記載の魚類等誘導装置。
- 前記脅し手段のシート状物は、前記河川の横断工作物より下流側の部分の幅方向に対して傾斜角約5度〜10度の範囲で傾斜するよう、前記河川の横断工作物より下流側の部分の幅方向略全体にわたって配置されると共に、前記落とし箱は、前記シート状物の上流側端となる長さ方向一端付近に配置され、これにより、前記河川の横断工作物より下流側を遡上して前記シート状物の下流側直近位置に到達した魚類等を、前記シート状物により脅して遡上阻止すると共に、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにしたことを特徴とする請求項9記載の魚類等誘導装置。
- 前記脅し手段は、河川の幅方向略全体にわたって横断配置された長尺状の威嚇部材を含み、前記威嚇部材は、魚類等の嫌う色彩の威嚇面を有すると共に、前記威嚇面を上面として前記河川の河床付近に配置されていることを特徴とする請求項1または7記載の魚類等誘導装置。
- 前記威嚇部材をシート状物から構成し、前記シート状物の比重を1以上としたことを特徴とする請求項11記載の魚類等誘導装置。
- 更に、設置部分の河川の水深より大きな長さの棒状をなし、その一端を河川の河床に埋設固定すると共に、上端を河川の水面から突出させる支持棒と、
前記支持棒の上端間に掛け渡して配設したロープ状の水叩き部材とを備え、
前記支持棒の下端部に前記シート状物を固着して、前記支持棒を介して前記シート状物を河川の河床付近の所定位置に固定すると共に、前記水叩き部材により河川の水面を叩いて、前記シート状物の上流側の魚類等を更に威嚇して、前記シート状物に沿って前記落とし箱まで誘導するようにしたことを特徴とする請求項3乃至6、8乃至10及び12のいずれか1項記載の魚類等誘導装置。 - 前記脅し手段、落下手段及び誘導手段のうち、少なくとも前記脅し手段は、河川の河床付近に着脱自在に取付けて配設されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項記載の魚類等誘導装置
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2004
- 2004-06-22 JP JP2004183539A patent/JP2006009256A/ja active Pending
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