JP2006008479A - 誘導加熱式成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導加熱用コイルへ伝わる熱を抑制するとともに、誘導加熱用コイル自体の発熱を抑制することにより、加熱効率を向上させる。
【解決手段】成形材料が封入され、かつ該成形材料を所望の形状に成形するための形状加工が施されている成形用上型2aと成形用下型2bにおける被加熱体10a,10bの表面および/または内面に、誘導加熱しやすい磁性材料を設け、前記成形用上型2aと前記成形用下型2bとの外側に、誘導加熱を生起するための上型用の誘導コイル1aと下型用の誘導コイル1bのコイル導線8を、それぞれ独立して巻回する。
【選択図】図1
【解決手段】成形材料が封入され、かつ該成形材料を所望の形状に成形するための形状加工が施されている成形用上型2aと成形用下型2bにおける被加熱体10a,10bの表面および/または内面に、誘導加熱しやすい磁性材料を設け、前記成形用上型2aと前記成形用下型2bとの外側に、誘導加熱を生起するための上型用の誘導コイル1aと下型用の誘導コイル1bのコイル導線8を、それぞれ独立して巻回する。
【選択図】図1
Description
本発明は、成形材料を誘導加熱して成形する誘導加熱式成形装置に関するものである。
従来の技術における誘導加熱方式による光学素子の成形法について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、光学素子を成形するための成形型を上下に分割して、上型2a,下型2bとして構成し、両型2a,2bを誘導加熱し、加熱された型2a,2bからの熱伝導により、型2a,2b内に封入された光学素子材料を加熱し、型2a,2bの温度を直接制御することにより、高効率かつ高精度な成形を実現しようとするものである。
型材料には、誘導加熱により型を加熱しやすくするように、磁性体を用いている。誘導加熱をするためのコイル導線11は、上型2aと下型2bとに連続し、直接あるいは断熱材を介して巻回されることが多い。しかし、光学素子材料を成形する際には、光学素子材料の温度を580℃〜700℃にする必要があり、加熱源となる磁性材料は、それ以上の温度にすることが必要である。
その際、コイル導線11は高温にさらされることになり、コイル導線11の耐熱性の高いものが必要となり、しかもコイル導線11の電気特性は温度特性の影響を受けるため、誘導加熱によるパワーロスが大きかった。
特許文献1には、コイル導線と冷却水パイプとを交互に巻くことによる冷却効果により、前記課題を解決しようとする技術が記載されている。
特開2003−100426号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、一定の冷却効果を期待することができるが、加熱源にコイル導線が直接触れることによる局所的なコイル導線の焼損を生じる可能性がある。また、誘導加熱によって所定のパワーを得る際に、コイル巻き数を多くすると、コイルを巻くエリアが大きくなってしまい、加熱効率の低下、あるいは光学素子などの小さい成型品における加熱の場合ではパワーロスが大きくなるなどの問題がある。
本発明は、前記従来の課題を解決し、誘導加熱用コイルへ伝わる熱を抑制するとともに、誘導加熱用コイル自体の発熱を抑制することにより、加熱効率を向上させることができる誘導加熱式成形装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、上下独立した成形型をそれぞれ誘導加熱し、型内に挿入された材料を溶融することで成形する誘導加熱式成形装置において、磁性材料を表面および/または内面に設けた成形用上型と、磁性材料を表面および/または内面に設けた成形用下型とを同時にあるいは独立して誘導加熱を行うため、前記成形用上型と前記成形用下型とに、それぞれ個別に誘導加熱用コイルを設け、さらに前記成形用上型および前記成形用下型と、前記誘導加熱用コイルの最内周との間に冷却用の流水路を設けたことを特徴とし、この構成によって、成形用の上型と下型とを同時あるいは独立して適宜加熱することができるため、上下両型および各誘導加熱用コイルを良好な加熱状態にすることができ、さらに誘導加熱された成形用上型および成形用下型から誘導加熱用コイルへの熱の伝達を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の誘導加熱式成形装置において、流水路として耐熱性に優れた樹脂チューブを用い、該樹脂チューブを誘導加熱用コイルの最内周に密に巻いてなることを特徴とし、この構成によって、誘導加熱された成形用上型および成形用下型から誘導加熱用コイルへの熱の伝達を良好に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の誘導加熱式成形装置において、誘導加熱用コイル間に冷却用の流水路を設けたことを特徴とし、この構成によって、誘導加熱させるために高電流を流すことによるコイル自体の発熱を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の誘導加熱式成形装置において、誘導加熱用コイル間に設けられた流水路として耐熱性かつ磁気絶縁性に優れた樹脂チューブを用い、誘導加熱用コイルの最内周から樹脂チューブ、その次に誘導加熱用コイルの順に順次配設したことを特徴とし、この構成によって、コイル導線からの熱を抑制するとともに、電気的絶縁も確保することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4いずれか1項記載の誘導加熱式成形装置において、誘導加熱用コイルを被覆するチューブをシームレスにし、流水路を成形用上型と成形用下型とに個別に設けたことを特徴とし、この構成によって、冷却水の漏れによる電気的短絡を回避することができる。
本発明によれば、被加熱体である成形用上型,成形用下型からの熱による誘導加熱用コイルのダメージを抑制できるほか、コイル自体に流れる電流により発生する熱を放熱させることができ、さらにコイル間の電気的絶縁を図ることができるため、安全性が向上するなどの効果を奏する。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態の誘導加熱式成形装置の構成を説明するための断面図、図2は本実施形態におけるコイル配設の説明図、図3は本実施形態における被加熱体の概略構成図である。
図1〜図3において、1aは上型用の誘導加熱用コイルである誘導コイル、1bは下型用の誘導加熱用コイルである誘導コイル、2aは成形用上型、2bは成形用下型、3aは上型温度測定手段、3bは下型温度測定手段、4aは上型コイル内壁温度測定手段、4bは下型コイル内壁温度測定手段、5は上型コイル内部温度測定手段、6は光学素子成形部、7は流水路としての冷却水チューブ、8は誘導コイル1a,1bを構成するコイル導線、9は空気断熱層、10aは上型用被加熱体、10bは下型用被加熱体である。
本実施形態の成形装置の構成として、成形材料を封入し、所望の形状に成形するために形状加工が施されている成形用上型2aと成形用下型2bとから構成される。両型2a,2bの外側には、誘導加熱を生起させるため誘導コイル1a,1bのコイル導線8がそれぞれ独立して巻回されている。また、両型2a,2bの被加熱体10a,10bにおける表面および/または内面には、型内部を所望の温度、例えば成形対象の材料がガラス素材の場合には580〜670℃に加熱するため、誘導加熱しやすい磁性材料、例えばステンレス(SUS410)あるいはコバルトを用いる。
被加熱体10a,10bは、型材料であるセラミックに固定され、また成形材料と接触する成形表面にはガラス状カーボンあるいは超硬合金を用い、ガラス材料が溶けても接着しにくい構成としている。
コイル導線8は、被加熱体10a,10bに一番近いコイル芯には断熱性の高いセラミックなどの材料を用い、天面および底面の鍔に相当する部分にも高断熱材料を使用する。さらに、コイル導線コイル芯の周りは、耐熱性の高いフッ素加工樹脂などの樹脂チューブを、隙間なくシームレス形態で螺旋状に巻いて被覆する。この際、コイル導線8と被加熱体10a,10bとの距離を短くするため、チューブ径は細い方が望ましい。
コイル導線8を被加熱体10a,10bに螺旋状に巻くが、この際、コイル導線8がばらけないように、一定トルクで撚りを持たせながら、所定の巻き数分、巻くようにするとよい。コイル導線8の最内周に冷却水チューブ7を巻き、引き続いてコイル導線8間に隙間なく螺旋状に巻く。
これらの作業を冷却水チューブ7,コイル導線8の順に繰り返して巻き、コイル導線8への通電時に所定の電気的負荷(インピーダンス)が得られるまで繰り返す。この際、冷却水チューブ8は切断することなく継ぎ目なしで巻く。
本実施形態では、以上の構成を採用することにより、被加熱体10a,10bである上型2a,下型2bからの熱によるコイル導線8のダメージを抑制することができるほか、コイル導線8自体に流れる電流により発生する熱を放熱させることができる。さらにはコイル導線8間の電気的絶縁が構築できるため、安全性が向上する。
しかし、誘導加熱に寄与する度合いは、被加熱体10a,10bに近いコイル導線8ほど大きく、被加熱体10a,10bから遠くなるほど無効電力が流れるため、加熱効率が悪くなる。
そこで、図1に示す上型コイル内部温度測定手段5のように、コイル内部の温度を測定する熱伝対などの測定手段を埋め込んでおき、発熱量がコイル導線8の耐熱温度以内であれば、コイル導線8間の冷却水チューブ7は省略してもよい。ただし、その際にはコイル導線8間に絶縁シートを巻く必要がある。
本実施形態では、成形用上型2aおよび成形用下型2bを独立して個別にあるいは同時に加熱することができ、さらに放熱作用を向上させるために、成形用上型2aおよび成形用下型2bのそれぞれに冷却水チューブ7を設けて冷却水の循環を行っているため、加熱状態を安定させることができ、加熱効率も向上する。
また、冷却水チューブ7の冷却水投入口に冷却水の循環を確認する流量センサを設けて、加熱時に常時監視する構成にすることにより、放熱作用を効率よくし、また万一、冷却水チューブ7内で沸騰点以上に達したとしても、内部に発生した気泡を冷却水チューブ7外へはき出すことにより、チューブ破裂などによる故障の発生を防ぐことができる。
本発明は、成形用上型,成形用下型を加熱する誘導加熱用コイルのダメージを抑制し、かつ加熱効率,加熱の安定性の向上が要求される誘導加熱式成形装置に適用され、特に光学素子などの小型の部品の樹脂成形を行う誘導加熱式成形装置に用いて有効である。
1a 上型用の誘導コイル
1b 下型用の誘導コイル
2a 成形用上型
2b 成形用下型
3a 上型温度測定手段
3b 下型温度測定手段
4a 上型コイル内壁温度測定手段
4b 下型コイル内壁温度測定手段
5 上型コイル内部温度測定手段
6 光学素子成形部
7 冷却水チューブ
8 コイル導線
9 空気断熱層
10a 上型用被加熱体
10b 下型用被加熱体
1b 下型用の誘導コイル
2a 成形用上型
2b 成形用下型
3a 上型温度測定手段
3b 下型温度測定手段
4a 上型コイル内壁温度測定手段
4b 下型コイル内壁温度測定手段
5 上型コイル内部温度測定手段
6 光学素子成形部
7 冷却水チューブ
8 コイル導線
9 空気断熱層
10a 上型用被加熱体
10b 下型用被加熱体
Claims (5)
- 上下独立した成形型をそれぞれ誘導加熱し、型内に挿入された材料を溶融することで成形する誘導加熱式成形装置において、磁性材料を表面および/または内面に設けた成形用上型と、磁性材料を表面および/または内面に設けた成形用下型とを同時にあるいは独立して誘導加熱を行うため、前記成形用上型と前記成形用下型とに、それぞれ個別に誘導加熱用コイルを設け、さらに前記成形用上型および前記成形用下型と、前記誘導加熱用コイルの最内周との間に冷却用の流水路を設けたことを特徴とする誘導加熱式成形装置。
- 前記流水路として耐熱性に優れた樹脂チューブを用い、該樹脂チューブを前記誘導加熱用コイルの最内周に密に巻いてなることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱式成形装置。
- 前記誘導加熱用コイル間に冷却用の流水路を設けたことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱式成形装置。
- 前記誘導加熱用コイル間に設けられた流水路として耐熱性かつ磁気絶縁性に優れた樹脂チューブを用い、前記誘導加熱用コイルの最内周から前記樹脂チューブ、その次に前記誘導加熱用コイルの順に順次配設したことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱式成形装置。
- 前記誘導加熱用コイルを被覆するチューブをシームレスにし、前記流水路を前記成形用上型と前記成形用下型とに個別に設けたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の誘導加熱式成形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004191296A JP2006008479A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 誘導加熱式成形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004191296A JP2006008479A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 誘導加熱式成形装置 |
Publications (1)
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JP2006008479A true JP2006008479A (ja) | 2006-01-12 |
Family
ID=35776127
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JP2004191296A Pending JP2006008479A (ja) | 2004-06-29 | 2004-06-29 | 誘導加熱式成形装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006008479A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102407594A (zh) * | 2010-09-17 | 2012-04-11 | 本田技研工业株式会社 | 成形装置及成形方法 |
-
2004
- 2004-06-29 JP JP2004191296A patent/JP2006008479A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102407594A (zh) * | 2010-09-17 | 2012-04-11 | 本田技研工业株式会社 | 成形装置及成形方法 |
CN102407594B (zh) * | 2010-09-17 | 2014-11-05 | 本田技研工业株式会社 | 成形装置及成形方法 |
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