JP2006007435A - 成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
より簡便に且つ低コストで、高アスペクト比の微細構造を有する成形物を成形できる成形方法及び成形装置を提供する。
【解決手段】
転写時に素材Mに撓みを与えており、従って冷却後において、素材Mの内部に蓄積された機械的内部応力の解放により素材Mの撓みが戻り、素材Mに転写された微細形状の間隔が広がるように展開するので、転写された微細形状の破損を抑制しつつスムーズな離型を実現できる。
【選択図】 図1
より簡便に且つ低コストで、高アスペクト比の微細構造を有する成形物を成形できる成形方法及び成形装置を提供する。
【解決手段】
転写時に素材Mに撓みを与えており、従って冷却後において、素材Mの内部に蓄積された機械的内部応力の解放により素材Mの撓みが戻り、素材Mに転写された微細形状の間隔が広がるように展開するので、転写された微細形状の破損を抑制しつつスムーズな離型を実現できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、成形方法及び成形装置に関し、特に高アスペクト比の微細形状を有する光学素子等を成形するのに好適な成形方法及び成形装置に関する。
近年、急速に発展している光ピックアップ装置の分野では、極めて高精度な対物レンズなどの光学素子が用いられている。プラスチックやガラスなどの素材を、金型を用いてそのような光学素子に成形すると、均一な形状の製品を迅速に製造することができるため、かかる金型成形は、そのような用途の光学素子の大量生産に適しているといえる。
更に、近年の光ピックアップ装置は、より短波長の半導体レーザからの光束を用いて、AOD(Advanced Optical Disc),BD(Blueray Disc)などの記録媒体に対して高密度な情報の記録及び/又は再生を行えるものが開発されており、その光学系の収差特性改善のため、微細構造である回折構造を光学面に設けることが行われている。又、そのような高密度な情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置であっても、従来から大量に供給されたCD、DVDに対しても情報の記録及び/又は再生を確保する必要があり、そのため波長選択性を備えた回折構造を設けることも行われている。又、DVD及びCDなど互換可能に情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置において、光学系を共通化するために位相差を与える波長板が用いられるが、微細構造を有するものも開発されている。
ここで、回折構造は、使用する光源波長にもよるが、例えば段差が最小2μm程度の輪帯構造であり、又、上述したタイプの波長板では、透過する光の波長1/2以下のピッチで並んだラインアンドスペース構造を有するため、通常の射出成形において、溶融した樹脂を型内に射出するのみでは、型に形成された微細構造の段差の奥深くに素材が入り込みにくく、そのため微細構造の転写が精度良くなされないという問題がある。転写不良(素材のダレ)により設計通りの微細構造が形成されないと、その光学特性が劣化してしまい、かかる光学素子を用いた光ピックアップ装置において書き込みエラーなどが生じる恐れがある。このため、素材の選定や、溶融した樹脂の温度や圧力を調整するなど、種々の工夫がなされているが、従来の方法では、ダレを完全になくすのは困難である。
一方、以下の特許文献1には、加熱軟化状態にあるガラス素材をプレスすることによって、表面に微細パターンを有する光学素子を成形する方法が開示されている。
特開2002−220241号公報
ところが、特許文献1に記載の技術では、ガラス素材の表面に、幅約100〜50μm、高さが約20〜10μmという、アスペクト比が0.2程度の微細形状を成形するのが限界である。これは、無機ガラスの常温での弾性率が70GPa程度と高いため、その表面に3000Nという非常に大きな力で加熱した型を押しつけても、微細構造の奥にガラス素材がスムーズに流れ込まず、その結果アスペクト比が0.2程度の微細形状しか成形できなかったのである。従って、例えばアスペクト比が1以上という微細形状を有する成形物は、試作品としては存在するかもしれないが、形状の揃った工業製品としては未だ存在していないといえる。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、より簡便に且つ低コストで、高アスペクト比の微細構造を有する成形物を成形できる成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
第1の本発明の成形方法は、
常温での弾性率が1〜4(GPa)である素材を、保持部に取り付けるステップと、
微細形状を有する型の温度を、前記素材のガラス転移点温度より高く設定するステップと、
前記型を前記素材に向かって押圧して、前記微細形状を前記素材に転写するステップと、
前記型を前記素材より離型させるステップと、を有し、
前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることを特徴とする。
常温での弾性率が1〜4(GPa)である素材を、保持部に取り付けるステップと、
微細形状を有する型の温度を、前記素材のガラス転移点温度より高く設定するステップと、
前記型を前記素材に向かって押圧して、前記微細形状を前記素材に転写するステップと、
前記型を前記素材より離型させるステップと、を有し、
前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることを特徴とする。
上述の問題点に鑑みて、本発明者らは鋭意研究の結果、従来と全く異なる視点から、微細形状を有する成形物を成形できる成形方法を創案した。すなわち、常温での弾性率が1〜4(GPa)であるような樹脂素材の場合、微細形状を有する型を加熱して、その型表面に押しつけると、押しつけた表面が溶融して微細形状に倣い、その結果、例えばアスペクト比が1以上であっても精密に型の微細形状を転写した成形物を得られることを見出したのである。かかる場合、特許文献1に記載されているように3000Nもの型押圧力は不要であり、従来の射出成形機を改良するだけで足り、製造設備が低コスト化され、また短時間で大量な成形物を製造することが可能となる。
ちなみに、常温での弾性率が1〜4(GPa)であるような素材とは、例えばPMMA(弾性率1.5〜3.3GPa)、ポリカーボネイト(弾性率3.1GPa)、ポリオレフィン(弾性率2.5〜3.1GPa)などの弾性率が1〜4の範囲の樹脂を組成成分として含有することが好ましい。ここで、常温とは25℃のことをいう。これらの樹脂は、ガラス転移点が50〜160℃であることが好ましい。弾性率は、JIS−K7161、7162などに従い求めることができる。ガラス転移点温度は、JIS R3102−3:2001に従い求めることができる。
ここで、本発明者らは、新たな問題に直面した。新たな問題とは、上述の成形方法により素材を成形した後に離型しようとすると、転写された素材の微細形状が、型の微細形状と分離せず、素材の微細形状の一部が引きちぎられてしまうという現象が生じることである。本発明者らは、かかる現象の原因を、加熱された型と素材との冷却時において、それらの熱膨張の差に応じて収縮量が異なることから、素材側の微細形状が型の微細形状を強く挟み込むような内部応力が、素材に生じたことによるものではないかと考えた。そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることで、冷却時における内部応力の問題を解決できることを導出したのである。
本発明の原理を図1を参照して説明する。図1(a)において、保持部HDはくぼみCを形成しており、その上に跨るようにして素材Mを保持している。ここで、下面に微細形状MSを有する型MDを加熱して、素材Mの上面に押しつけると、素材Mの上面のみが加熱溶融して、微細形状MSが転写される。この際に、型MDより押圧された素材Mは、その下面が保持部HDのくぼみCに入り込むように撓むことになるが(点線で図示)、素材Mの表面以外はガラス転移点温度を下回っていることから、微細形状MSの転写時に素材M全体に機械的内部応力(上面側で圧縮応力、下面側で引っ張り応力)が蓄積されることとなる。すると、図1(b)に示すように、微細形状MSの転写及び冷却後に型MDを素材Mから離す際には、その機械的内部応力の解放により素材Mの撓みが戻り、素材M側の微細形状MSの間隔が広がるようになるので、冷却時の収縮により生じた内部応力を相殺し、転写された微細形状MSの破損を抑制しつつスムーズな離型を実現できるのである。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域にくぼみを設けると、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記第2領域には、前記素材の弾性率より低い弾性率を有する部材が配置されると好ましい。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する第1部材の弾性率は、前記第2領域において前記素材に接触する第2部材の弾性率より低いと、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記第2部材の弾性率は、前記素材の弾性率より低いと好ましい。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する部材は、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記型より遠ざかる方向に移動すると、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記素材は、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に前記素材の裏面に投影してなる投影領域に凹部を有していると、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記素材はフランジを有していると好ましい。
前記素材は光学素子の素材であると好ましいが、インクジェットプリンタのヘッドなどにも適用できる。
前記微細形状は、アスペクト比が1以上であり、所定のピッチで並んだ複数のラインアンドスペースを含むと好ましい。
「アスペクト比」とは、図2(a)、(b)に示すように、微細構造の凹部又は凸部の幅をA、深さ又は高さをBとしたときに、B/Aで表される値をいう。「微細形状」とは、Aの値が10μm以下の形状をいう。成形後の厚みとは、型を押し当てる方向に対しての成形物の厚みをいい、例えば図2に示すTの値である。この成形後の厚みは、0.1〜20mmであり、好ましくは1〜5mmである。
第2の本発明の成形装置は、微細形状を有する型と、常温での弾性率が1〜4(GPa)である素材を保持する保持部と、前記型を加熱するヒータと、前記型と前記保持部とを相対移動させる駆動部と、を有し、加熱した前記型を前記素材に向かって押圧して、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えるので、機械的内部応力が蓄積され、更に微細形状の転写及び冷却後に型を素材から離す際には、その機械的内部応力の解放により素材の撓みが戻り素材側の微細形状を展開するようになるので、冷却時の収縮により生じた内部応力を相殺し、転写された微細形状の破損を抑制しつつスムーズな離型を実現できるのである。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域にくぼみを設けると、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記第2領域には、前記素材の弾性率より低い弾性率を有する部材が配置されると好ましい。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する第1部材の弾性率は、前記第2領域において前記素材に接触する第2部材の弾性率より低いと、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記第2部材の弾性率は、前記素材の弾性率より低いと好ましい。
前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する部材は、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記型より遠ざかる方向に移動すると、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。
前記素材は、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に前記素材の裏面に投影してなる投影領域に凹部を有していると好ましい。
本発明によれば、より簡便に且つ低コストで、高アスペクト比の微細構造を有する成形物を成形できる成形方法及び成形装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。図3は、本実施の形態にかかる成形方法を実施できる光学素子の成形装置の断面図である。図3において、SUS304により形成され不図示のフレームに固定された下型1の上方に、SUS304により形成された上型2が相対移動可能に配置されている。下型1の上面には、保持部である両面テープ3(厚さt1=0.2mm)が貼り付けられ、その上に円盤状の素材M(直径D=8mm、厚さt2=2mm)が固定されている。尚、両面テープ3の中央がくりぬかれて、内径d=6mmの孔3aが形成されている。
ここで、素材Mの裏面に対向し、微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域を、両面テープ3が素材Mの下面に当接しない領域3bとし、それ以外の第2領域を、両面テープ3が素材Mの下面に当接する領域3cとする。更に、第1領域3bにおいて素材Mに接触する第1部材は空気であり、その弾性率は、第2領域3cにおいて素材Mに接触する第2部材としての両面テープ3の弾性率より低くなっている。尚、素材Mの側面は固定されておらず、自由な変形が可能となっている。両面テープ3の弾性率は、型1及び素材Mの弾性率より低い。
一方、上型2の下面には、シリコン性の型円板2aが固定されており、その下面には、例えば波長板に用いるため電子ビーム描画などによってアスペクト比が1以上の微細形状2bが形成されている。上型2の内部には、ヒータ4が設置されており、下型1の内部には、冷却水を流すための配管5が設けられている。上型2と型円板2aとで、請求項にいう型を構成する。尚、図示していないが、上型2を下型1に対して接近・離隔方向に相対移動させる駆動部が設けられている。
図4は、本実施の形態にかかる成形方法を示すフローチャート図である。図4を参照して、かかる成形方法について説明する。まず、ステップS101で、図3(a)に示すように、型開きした下型1の上面に、両面テープ3を用いて素材M(常温での弾性率が1〜4(GPa)であると好ましい)を固定する(素材を保持部に取り付けるステップ)。更に、ステップS102で、ヒータ4を発熱させて、上型2をガラス転移点温度Tg以上に加熱する(型の温度を素材のガラス転移点温度より高く設定するステップ)。
更に、型円板2aの下面がガラス転移点温度Tg以上に加熱された段階で、図3(b)に示すように、不図示の駆動部を駆動して上型2により素材Mを押圧する(ステップS103)。すると、素材Mの上面は急速にガラス転移点温度以上に加熱され溶融されて、その表面に型円板2aの微細形状2bを転写する(型を素材に向かって押圧して、微細形状を素材に転写するステップ)。この際に、上型2より押圧された素材Mは、その下面が両面テープ3の孔3aに入り込むように撓むことになるが、素材Mの表面以外はガラス転移点温度を下回っていることから、微細形状2bの転写時に素材M全体に機械的内部応力が蓄積される。
続いて、ステップS104で、ヒータ4の発熱を停止し、且つ配管5を介して外部より冷却水を導入し、下型1を強制冷却すると共に、上型2を自然冷却(強制冷却でも良い)させ、それにより素材Mの表面温度をガラス転移点温度Tgを下回るように下げる。
その後、ステップS105で、上型2を素材Mから離すように離型する(離型するステップ)。ここで、型円板2aも素材Mも冷却により収縮するが、素材Mの方が熱膨張率が高いことから収縮量が大きくなる。そこで、これを相殺すべく、転写時に素材Mに撓みを与えており、従って冷却後において、素材Mの内部に蓄積された機械的内部応力の解放により素材Mの撓みが戻り、素材Mに転写された微細形状の間隔が広がるように展開するので、転写された微細形状の破損を抑制しつつスムーズな離型を実現できる。
本発明者らが図3に示す成形装置を用いて行った実験によれば、パターン面積が1mm×1mmで、高さ350nm、幅200nm、ピッチ200nmのラインアンドスペースの微細形状を、PMMA(分子量7万、ガラス転移点温度Tg100℃、縦弾性率3.3GPa)の素材に転写形成したところ、綺麗に転写された。
図5は、本実施の形態の変形例における素材と保持部との関係を示す図である。本変形例においては、保持部の第1領域3bにおいて素材Mに接触する第1部材はスポンジ6であり、その弾性率は、第2領域3cにおいて素材Mに接触する第2部材としての両面テープ3の弾性率より低くなっている。従って、微細形状を素材Mに転写する際に、素材Mに対して、型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。ここで、両面テープ1とスポンジ6とで保持部を構成する。
図6は、別な変形例における素材と保持部との関係を示す図である。本変形例においては、第2領域3cにおいて、両面テープは用いておらず、その代わりに素材MをSUS304の下型1’により直接載置する。又、第1領域3bとして下型1’に深孔1a’が形成され、その底にSUS304より弾性率の低い樹脂材7が配置されており、その上方にSUS304の可動部材8が配置されている。微細形状を素材Mに転写する際に、不図示の上型により押圧されたとき、スポンジ304が圧縮されるこことで可動部材8が下降し(即ち上型から遠ざかる方向に移動し)、それにより素材Mに対して、型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。ここで、下型1’と樹脂材7と可動部材8とで保持部を構成する。尚、樹脂材7の代わりにバネを用いても良い。
図7は、別な変形例における素材と保持部との関係を示す図である。本変形例においても、第2領域3cにおいて、両面テープは用いておらず、その代わりに素材MをSUS304の下型1’により直接載置する。又、第1領域3bとして下型1”に孔1a”が形成されている。保持部の第1領域3bにおいて素材Mに接触する第1部材は空気であり、その弾性率は、第2領域3cにおいて素材Mに接触する第2部材としての下型1”の弾性率より低くなっている。従って、微細形状を素材Mに転写する際に、素材Mに対して、型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。ここで、下型1”が保持部を構成する。
図8は、別な変形例における素材と保持部との関係を示す図である。本変形例においては、図7の構成において、孔1a”内に樹脂材7を充填した点のみが異なる。即ち、保持部の第1領域3bにおいて素材Mに接触する第1部材は樹脂材7であり、その弾性率は、第2領域3cにおいて素材Mに接触する第2部材としての下型1”の弾性率より低くなっている。従って、微細形状を素材Mに転写する際に、素材Mに対して、型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることができる。ここで、下型1”と樹脂材7とで保持部を構成する。
尚、図6〜8の構成においては、孔1a’、1a”の縁がノッチ形状だと、撓んだ素材Mを傷つける恐れがある。そこで、孔1a、1a”の縁は、図9に示すように面取り(C)やR取りをすることが望ましい。
図10は、別な変形例における素材と保持部との関係を示す図である。本変形例においては、素材Mは、保持部を構成する下型2に対向する面の周囲に、フランジMfを形成している。従って、上型2に取り付けられた型円板2aの微細形状2bを転写される領域を押圧方向に素材Mの裏面に投影してなる投影領域に凹部Mcを有していることとなるので、微細形状2aを素材Mに転写する際に、素材Mに対して、微細形状2aより押圧される方向の撓みを与えることができる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。本発明は、光ピックアップ装置用の光学素子に限らず、種々の光学素子、或いはインクジェットプリンタのヘッドなどの成形にも適用できる。
1、1’、1” 下型
2 上型
2a 型円板
3 両面テープ
4 ヒータ
5 配管
6 スポンジ
7 樹脂材
8 可動部材
2 上型
2a 型円板
3 両面テープ
4 ヒータ
5 配管
6 スポンジ
7 樹脂材
8 可動部材
Claims (20)
- 常温での弾性率が1〜4(GPa)である素材を、保持部に取り付けるステップと、
微細形状を有する型の温度を、前記素材のガラス転移点温度より高く設定するステップと、
前記型を前記素材に向かって押圧して、前記微細形状を前記素材に転写するステップと、
前記型を前記素材より離型させるステップと、を有し、
前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることを特徴とする成形方法。 - 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域にくぼみを設けたことを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
- 前記第2領域には、前記素材の弾性率より低い弾性率を有する部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
- 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する第1部材の弾性率は、前記第2領域において前記素材に接触する第2部材の弾性率より低いことを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
- 前記第2部材の弾性率は、前記素材の弾性率より低いことを特徴とする請求項4に記載の成形方法。
- 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する部材は、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記型より遠ざかる方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
- 前記素材は、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に前記素材の裏面に投影してなる投影領域に凹部を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形方法。
- 前記素材はフランジを有していることを特徴とする請求項7に記載の成形方法。
- 前記素材は光学素子の素材であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の成形方法。
- 前記微細形状は、アスペクト比が1以上であり、所定のピッチで並んだ複数のラインアンドスペースを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形方法。
- 微細形状を有する型と、
常温での弾性率が1〜4(GPa)である素材を保持する保持部と、
前記型を加熱するヒータと、
前記型と前記保持部とを相対移動させる駆動部と、を有し、
加熱した前記型を前記素材に向かって押圧して、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記素材に対して、前記型の微細形状より押圧される方向の撓みを与えることを特徴とする成形装置。 - 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域にくぼみを設けたことを特徴とする請求項11に記載の成形装置。
- 前記第2領域には、前記素材の弾性率より低い弾性率を有する部材が配置されることを特徴とする請求項12に記載の成形装置。
- 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する第1部材の弾性率は、前記第2領域において前記素材に接触する第2部材の弾性率より低いことを特徴とする請求項11に記載の成形装置。
- 前記第2部材の弾性率は、前記素材の弾性率より低いことを特徴とする請求項14に記載の成形装置。
- 前記保持部は、前記素材の裏面に対向し、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に投影してなる第1領域と、それ以外の第2領域とを有し、前記第1領域において前記素材に接触する部材は、前記微細形状を前記素材に転写する際に、前記型より遠ざかる方向に移動することを特徴とする請求項11に記載の成形装置。
- 前記素材は、前記型の微細形状を転写される領域を押圧方向に前記素材の裏面に投影してなる投影領域に凹部を有していることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の成形装置。
- 前記素材はフランジを有していることを特徴とする請求項17に記載の成形装置。
- 前記素材は光学素子の素材であることを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載の成形装置。
- 前記微細形状は、アスペクト比が1以上であり、所定のピッチで並んだ複数のラインアンドスペースを含むことを特徴とする請求項11〜19のいずれかに記載の成形装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008183813A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Toshiba Mach Co Ltd | 熱ナノインプリント方法 |
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2004
- 2004-06-22 JP JP2004183638A patent/JP2006007435A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008183813A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Toshiba Mach Co Ltd | 熱ナノインプリント方法 |
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