JP2006005796A - 送信シンボル作成回路、ディジタルデータ送信器、送信シンボル作成方法、ディジタルデータ送信方法、送信シンボル作成プログラム、最尤系列推定回路、ディジタルデータ受信器、最尤系列推定方法、ディジタルデータ受信方法、最尤系列推定プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、およびディジタルデータ送受信システム - Google Patents

送信シンボル作成回路、ディジタルデータ送信器、送信シンボル作成方法、ディジタルデータ送信方法、送信シンボル作成プログラム、最尤系列推定回路、ディジタルデータ受信器、最尤系列推定方法、ディジタルデータ受信方法、最尤系列推定プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、およびディジタルデータ送受信システム Download PDF

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Abstract

【課題】 受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くし、併せて、符号間干渉を防止し、最尤系列推定を効率よく行う。
【解決手段】 送信シンボル作成部2により、ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成する。また、ヴィタビアルゴリズム実行部9は、送信シンボル作成部2により作成されるシンボル系列{u(t)}内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき、ヴィタビアルゴリズムに用いる尤度を計算する尤度計算部10を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディジタルデータの高速伝送において、データの通信路が長くなることを防止する送信シンボル作成方法、およびその送信シンボル作成方法に対応し得る最尤系列推定方法に関する。
ディジタルデータの伝送処理においては、シンボル時間ごとにシンボルが送信側から受信側に送信される。そして、シンボルが通信路を通過することで、受信側において1つのシンボルの影響が、遅延広がり時間だけ広がる。そのため、連続するシンボル間の影響(符号間干渉)が発生する。
このような符号間干渉を除去することを目的として、受信側においてシンボルを復元する種々の等化器が提案されている。たとえば、シリアル伝送用のものや(非特許文献1参照)、ゼロ・パッド・ブロック(非特許文献2参照)を用いたブロック伝送用のものがある。これらの等化器は、標準直交周波数分割多重化方式(OFDM、orthogonal frequency division multiplexing)や離散マルチ・トーン(DMT、discrete multi-tone)システム(非特許文献3・非特許文献4・非特許文献5参照)などで使用されている。
また、符号間干渉を除去するために、一定時間ごとにシンボルを送信しないガードタイムを通信フレーム間に挿入する方法も提案されている(たとえば非特許文献6参照)。さらに、通信路を時間分割しユーザに割当てる方式である時分割多重化方式(TDMA)においても、ユーザのフレームが符号間干渉により重ならないよう、ガードタイムが設定される(非特許文献7参照)。
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ところで、データの伝送速度が高くなると、受信器でサンプリングした後の離散時間型の通信路がそれにしたがって長くなり、深刻な符号間干渉が発生する。
このように通信路が長くなった場合、単に上述の等化器を用いるのみでは、符号間干渉を十分に解消できない。なぜなら、ハードウェアである等化器の演算能力は一定であるため、実効通信路長(シンボル時間ごとにサンプリングした離散時間通信路の長さ)が長いと、等化器が十分な等化を行えないからである。
また、ガードタイムを設定して符号間干渉を除去する場合においては、通信フレーム間にガードタイムを挿入するので、実効通信路長は変化しない。したがって、高速データ通信における符号間干渉の問題は、ガードタイムを設定する方法では十分に解消することはできない。
また、最尤系列予測(MLSE:maximum likelihood sequence estimation)のためのヴィタビアルゴリズム(非特許文献8参照)は効率がよいものであるが、通信路が長くなると非常に複雑なものとなる。したがって、マルチパスでなおかつ高速のデータ通信においてヴィタビアルゴリズムを用いることは困難である。
なお、球内復号化(sphere decoding、非特許文献9参照)を用いれば、比較的高速の擬似最尤系列予測が可能である。しかし、球内復号化の理論的な複雑さは、通信路長の多項式で表されるので(非特許文献10参照)、長い通信路に対して球内復号化は実用的ではない。また、準最適(Sub-optimal)判定帰還型等化(DFE, decision feedback equalization、非特許文献11参照)は、長い通信路に適用可能であるが、最尤系列予測に比べればビット誤り率(BER)特性が劣っている。
したがって、符号間干渉を防止するという観点、および最尤系列予測を効率よく行うという観点からすれば、実効通信路長を短くする必要がある。
実効通信路長を短くするための手法として、たとえば受信側でフィルタを用いて通信路を短縮する方法があるが(非特許文献12参照)、この方法ではBER特性が低下してしまい、さらにフィルタ設計およびフィルタリングが必要となるために受信器の構成が複雑になる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止し、最尤系列推定を効率よく行い得る送信シンボル作成回路、ディジタルデータ送信器、送信シンボル作成方法、ディジタルデータ送信方法、送信シンボル作成プログラム、最尤系列推定回路、ディジタルデータ受信器、最尤系列推定方法、ディジタルデータ受信方法、最尤系列推定プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の送信シンボル作成回路および送信シンボル作成方法は、上記課題を解決するために、ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成することを特徴としている。
シンボルを送信しない時間に対応する受信信号には、送信シンボルが影響しないので、その時間に対応する通信路長は、実質的に0であると評価できる。したがって、通信フレーム内で連続して送信されるシンボルの数をM、通信フレーム内で送信シンボルが送信されない時間をNとすると、シンボルを送信しない時間を設定しない場合の実効通信路長に対して、シンボルが送信されない時間が設定された送信シンボルの実効通信路長は、約M/(M+N)倍となる。これにより、本発明によれば、送信シンボル系列の実効通信路長を短くすることができる。
なお、通信フレームとは、ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成されるものであり、通信フレームを構成するシンボルとしては、「0」を示すシンボルも含まれる。また、1つの通信フレームを用いた通信が行われた後に、シンボルが有する時間間隔の数倍のオーダーで通信が休止し、その時点からさらに通信が再開される場合は、また新たな通信フレームが開始される。
また、本発明によれば、フィルタを用いずに通信路を短縮しているので、フィルタ設計のために受信器の構成が複雑になることもない。さらに、発明者らは、本発明により作成された送信シンボルについてBER特性を検証し、通信フレーム内にシンボルを送信しない時間を設定しても、BER特性が劣化しないことを確認した。
したがって、本発明によれば、受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止し、最尤系列推定を効率よく行うことができる。
さらに、上記構成においては、上記通信フレーム内で連続して送信されるシンボルの数と、上記シンボルを送信しない時間の間隔とを、それぞれ所定の値に設定するが好ましい。
上記構成によれば、MとNが所定の値に設定されているので、所定数のシンボルを連続して送信した後に、所定の時間だけシンボルを送信しないという処理をサイクリックに繰り返すことにより、送信シンボルの系列を作成することができる。
そして、サイクリックに繰り返される送信シンボル作成の処理は、簡易な数式で表現することができる。たとえば、通信フレーム内における各シンボルをs(i)、送信シンボルをu(t)とした場合、以下の式を満たすようにu(1)・u(2)・u(3)…を順次算出して送信シンボルの系列{u(t)}を作成することにより、通信フレーム内にシンボルを送信しない時間を周期的に設定できる。
Figure 2006005796
よって、上記構成によれば、より簡易な処理で実効通信路長を短くすることができる。
さらに、本発明のディジタルデータ送信器は、上記構成の送信シンボル作成回路を備えていることを特徴としている。また、本発明のディジタルデータ送信方法は、上記構成のシンボル作成方法を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、符号間干渉を防止し、最尤系列推定の効率化を実現できるディジタルデータ送信器およびディジタルデータ送信方法を提供することができる。
なお、コンピュータに上記送信シンボル作成方法を実行させる送信シンボル作成プログラムにより、コンピュータを用いて本発明の送信シンボル作成方法と同様の作用効果を得ることができる。さらに、上記送信シンボル作成プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記送信シンボル作成プログラムを実行させることができる。
また、本発明の最尤系列推定回路および最尤系列推定方法は、上記課題を解決するために、ディジタルデータを示すシンボルが複数個並ぶことにより構成される通信フレームを、マルチパスを介して伝送する際に最尤系列推定を実行するものであって、最尤系列推定に用いる尤度を、通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき計算することを特徴としている。
上記構成によれば、通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔、すなわち通信フレーム内で連続して送信されるシンボルの数Mと、同じ通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔Nとに基づき、尤度が計算される。つまり、複数のシンボルが連続した後に、シンボルが送信されない時間が設定されている送信シンボルの系列について、MおよびNを把握して尤度を計算することが可能となる。
MおよびNに基づき尤度を計算するためには、たとえば以下のような数式を用いることができる。
Figure 2006005796
そして、複数のシンボルが連続した後に、シンボルが送信されない時間が設定されている送信シンボルの系列を作成すれば、受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止できることは上述したとおりである。したがって、本発明によれば、このように作成された送信シンボルに適切に対応して尤度を計算し、最尤系列推定を実行することが可能となる。
また、最尤系列推定のためには、ヴィタビアルゴリズムを用いることが好ましい。これにより、効率的に最尤系列推定を行うことができる。
また、本発明のディジタルデータ受信器は、上記構成の最尤系列推定回路を備えていることを特徴としている。さらに、本発明のディジタルデータ受信方法は、上記構成の最尤系列推定方法を含んでいることを特徴としている。
受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止できることができるように作成された送信シンボル系列に対応して、最尤系列推定を実行し得るディジタルデータ受信器およびディジタルデータ受信方法を提供することができる。
なお、コンピュータに上記最尤系列推定方法を実行させる最尤系列推定プログラムにより、コンピュータを用いて本発明の最尤系列推定プログラムと同様の作用効果を得ることができる。さらに、上記最尤系列推定プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記最尤系列推定プログラムを実行させることができる。
また、本発明のディジタルデータ送受信システムは、上記課題を解決するために、ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成する送信シンボル作成回路と、上記通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき、最尤系列推定に用いる尤度を計算する最尤系列推定回路とを備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明の送信シンボル作成回路による効果、および本発明の最尤系列推定回路による効果を同時に得ることができる。
本発明によれば、受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止し、最尤系列推定を効率よく行うことができる。
〔1.通信システムの全体構成〕
本発明の送信シンボル作成方法を、マルチパスの通信路を用いたデータ通信に適用した実施形態について以下に説明する。
図1に示すように、ディジタルデータ送信器1は、送信シンボル作成部(送信シンボル作成回路)2により作成された送信シンボルの系列{u(t)}を、ディジタル/アナログ変換(以下、単にD/A変換とする)部3によりD/A変換する。なお、送信シンボル作成部2が実行する送信シンボル作成の手順は、本発明の特徴点の1つであるので、後述する。
さらに、ディジタルデータ送信器1は、アナログ信号に変形された通信データを、送信フィルタ4を用いて成形することによりパルス信号とする。その後、ディジタルデータ送信器1は、そのパルス信号を搬送波変調部5により、連続通信路h(t)を介して送信できるようにする。
一方、ディジタルデータ受信器6では、ディジタルデータ送信器1からの信号を受信すると、その信号を受信フィルタ7によりフィルタリングした後、サンプリング部8により1/Tのサンプリングレートでサンプリングすることにより、時間離散型の等価ベースバンド受信信号x(n)を得る。
ここで、ベースバンドに等価な、サンプリングした通信路インパルス応答を、h(l)=(Ψ’*h*Ψ)(t)│t=lTsと表すことにする。また、連続通信路(Ψ’*h*Ψ)(t)の遅延広がりをτとおく。なお、Ψは送信フィルタ4の関数であり、Ψ’は、送信フィルタ4のマッチド・フィルタである受信フィルタ7の関数を意味している。
こうすると、離散時間型のベースバンドに等価な通信路は、L:=int_min(a)(τ/T)−1のオーダ(またはメモリ)を有することになる。ここで、int_min(a)は、aより大きい整数のうちで最も小さいものを表す。
すると、受信信号x(n)は、以下の式(1)で表される。
Figure 2006005796
なお、式(1)において、w(n)は、平方偏差がσ と表される、複素AWGN(additive white Gaussian noise、付加的白色ガウス雑音)である。
遅延広がりτを固定した場合、データの通信速度が速くなる、すなわちTが小さくなると、離散通信路が長くなる。これは、高速通信において、符号間干渉の影響により通信の信頼性が低下してしまうことを示している。
したがって、符号間干渉の存在する通信路を介して信頼性の高い通信を行うためには、ディジタルデータ受信器6で符号間干渉を緩和するための等化(equalization)を実行する必要がある。この等化が、ディジタルデータ受信器6においてサンプリング部8の後段に設けられたヴィタビアルゴリズム実行部(最尤系列推定回路)9により実行されるのである。なお、このヴィタビアルゴリズム実行部9は、尤度計算部10を備えており、この尤度計算部10が行う尤度の計算も、本発明の特徴点の1つである。この特徴点については後述する。
一般に、ヴィタビアルゴリズム実行部9における処理の複雑さは、通信路長との関係により決定される。また、ヴィタビアルゴリズム実行部9は、BER特性と処理の複雑さとのバランスを考慮しながら、注意深く設計しないといけない。ただし、無線通信路の通信路オーダLは、伝播環境とともに変化する。つまり、等化を実行するための処理の複雑さは、下層にある通信路によって変化するが、その一方で、ディジタルデータ受信器6の演算能力は一定である。
ここで、Lmaxを、等化可能な通信路の最大オーダとする。
ヴィタビアルゴリズム実行部9が効率よく動作するためには、L≦Lmaxが成り立つ必要がある。そこで、L≧Lmaxを満たす長い通信路では、受信側の通信路短縮フィルタにより、通信路{h(l)}l=0,…,Lを短縮して、通信路{h’(l)}l=0,…,L’とする方法がある(非特許文献12参照)。なお、L’=Lmaxである。
しかし、フィルタを設計することは一般的に困難であることから、BER特性を劣化させてしまう場合がある。また、通信路を短縮すると、一般に、マルチパスのダイバーシティ利得が低下する。これは、マルチパスのダイバーシティが、等化時の独立した通信路係数の個数に依存しているからである。
そこで、本実施形態のディジタルデータ送信器1においては、送信シンボル作成部2により本発明の送信シンボル作成方法が実行されることで、マルチパスの全ダイバーシティの能力を活用しつつ、比較的長いインパルス応答をする通信路を扱うことが可能とされている。なお、本発明の送信シンボル作成方法は、後述するように、実際に得られた通信路オーダに応じて、情報を表す符号の中に0(ヌル)を挿入するというものである。
〔2.送信シンボルを作成する手順〕
以下の説明においては、ディジタルデータ受信器6は通信路{h(l)}が完全に分かっていて、また、該通信路の等化時のオーダ(通信路係数ではない)と最大通信路オーダLmaxとが、ディジタルデータ送信器1側で利用可能であると仮定する。通信路のオーダLがLmaxより大きい、つまり、L>Lmaxであるとして、等化時の最尤系列予測(非特許文献1のセクション10.1参照)について説明する。
送信シンボル作成部2は、情報を示すシンボルs(n)がM個が続いたら、次にゼロを示す信号をN個挿入するということを周期的に繰り返して、通信シンボルの系列{u(t)}を作成する。この周期的なゼロの挿入は、以下の式(2)で示される
Figure 2006005796
なお、式(2)においてiはブロック・インデックス、すなわち、送信シンボルu(t)が、系列{u(t)}において何番目の周期に属するものであるのかを示す値である。
また、mは0からMbar−1までの整数である(なお、式(2)におけるMの上部に「−」が付された文字を、単に「Mbar」と記載している。以下同じ)。送信シンボルの系列における1周期は、Mbar個の送信シンボルにより構成されていると考えることもできる。
さらに、上記式(2)においては、以下の式(3)が成り立つ。
Figure 2006005796
また、このように0を示す信号を挿入することによって、データの通信速度は、挿入前のR倍となる。なお、Rは式(4)で示される。
Figure 2006005796
たとえばM=2、N=1である場合における、シンボルs(n)と、送信シンボルの系列{u(t)}との関係を図2に示す。図2に示すように、シンボルs(n)が2つ連続すると、その次に0を示す信号が挿入されることによって、送信シンボルの系列{u(t)}が構成されている。
さらに、表記を簡潔にするために、以下の式(A)を満たすlに対してh(l)=0が成り立つとする。
Figure 2006005796
さらに、n=Mbari−kとおき、また、式(2)を式(1)に代入すると、k∈[0,Mbar−1]を満たすkに対して式(5)が得られる。
Figure 2006005796
なお、式(5)におけるh(Mi+m)は、以下の式(6)を満たす。
Figure 2006005796
さらに、全ての整数iと、m∈[M,Mbar−1]を満たすmとについて、系列{h(Mbari+k+m)}を消去し、残った{h(Mbari+k+m)}について番号を振りなおすと、k∈[0,Mbar−1]を満たすkについて、係数{h(n)}が得られる。さらに、(M,N)=(2,1)である場合における、時間とともに周期的に変化する通信路の状態と、係数{h(n)}との関係を図3に示す。
式(5)からは、通信路に関しては、周期Mbarで時間とともに周期的に変化し、最大オーダがLである、と考えていいことが分かる。なお、Lは式(7)で表され、int_max(a)は、aを超えない最大の整数を意味する。
Figure 2006005796
また、通信路長L+1は、式(4)で与えられるRを用いて示される関数であり、式(8)で示す値にまで低減される。
Figure 2006005796
なお、式(8)においては、L+1がMbarの倍数であるときに等号が成立する。これは、通信路が時間とともに周期的に変化するようになっている間は、単に0を挿入するだけで通信路長が制御できることを示している。
そして、既に説明したとおり、最尤系列予測をする際の演算処理の複雑さは、通信路長によって変化するのだから、ディジタルデータ送信器1の送信シンボル作成部2において、ゼロ信号を周期的に挿入して送信シンボルの系列{u(t)}を作成して通信路長を短くすれば、最尤系列予測を簡略化することが可能となる。
このようにゼロ信号を周期的に挿入して送信シンボルの系列{u(t)}を作成する方法に関して、図4のフローチャートを用いて説明する。図4に示すように、先ず、通信路の最大オーダLおよびシンボル数Dmaxが設定される(ステップ1、以下単にステップを「S」と記載する)。
次に、式(7)を満たす(M,N)を算出する(S2)。その後、後述するS4〜S9により構成されるループを初期化すべく、n=1、d=1に設定する。なお、nは、送信シンボルu(t)が、通信フレームにおいて何番目に並ぶものであるのかを示す整数であり、dは、情報を示すシンボルs(n)がデータ系列において何番目に並ぶものであるのかを示す整数である。
その後、nを(M+N)で割った値の剰余が、1からNの範囲にあるかを判断する(S4)。このS4における判断は、式(2)におけるM≦m<Mbarが満たされているか否かを判断することに相当している。
S4において、nを(M+N)で割った値の剰余が1からNの範囲にあると判断された場合、送信シンボルu(n)としてゼロを示す信号を設定する(S5)。このS5における処理は、式(2)において、u(Mbari−m)を0とする演算に相当している。
一方で、S4においてnを(M+N)で割った値の剰余が1からNの範囲にないと判断された場合、送信シンボルu(n)を、シンボルs(d)に設定する(S6)。このS6における処理は、式(2)においてu(Mbari−m)をs(Mi−m)とする演算に相当している。
S6の後、dを1増やしてシンボルをカウントする(S7)。これにより、u(n)として設定されたシンボルs(d)の次に並ぶシンボルs(d+1)が、系列{u(n)}に追加され得る状態となる。
S5またはS7の後、nが1だけ増やされる(S8)。これにより、0またはs(d)が設定された送信シンボルu(n)の次の送信シンボルu(n+1)に、シンボルs(d)または0が設定され得る状態となる。
さらに、S9において、dがDmax以下であるかが判断される。dがDmax以下であるならば、再びS4の判断ステップに戻り、そうでなければ、送信シンボルの系列{u(t)}を作成するための処理が終了する。なお、これらのS1〜S9の演算を行う主体は、ディジタルデータ送信器1における送信シンボル作成部2(図1参照)である。
〔3.受信器での最尤系列推定方法〕
ディジタルデータ受信器6において受信されるシンボルの個数は、(L+1)個のs(n)に依存する(式(5)参照)。また、上述のように0を示す信号を挿入して送信シンボルの系列{u(t)}を作成した場合に、通信路h(l)は、時間とともに周期的に変化する。たとえば(M,N,L)=(1,1,5)とした場合、図5に示すように、シンボルs(n)を送信するために、通信路h(0)・h(1)・h(2)・h(0)・h(1)・h(2)が周期的に選択される。
さらに、複素体(complex field)で通信路係数と乗算している点を除けば、図5のマルチパス選択システムが、畳み込み符号化に似た構造をしていることがわかる。本来のZP(Zero padded)伝送(非特許文献15参照)について提案されているように、情報を表すシンボルs(n)は複素体で通信路係数を使って符号化されていると考えることができる。
さらに、畳み込み符号化に基づきダイバーシティ利得が得られることを考慮すれば、図5のマルチパスのダイバーシティ利得が得られる。
また、動的プログラミングの手法を用いれば、最適最尤系列を得ることができる。以下に、送信シンボル作成部2により実行される送信シンボル作成方法に対応し得るように修正されたヴィタビアルゴリズムについて説明する。
先ず、従来のヴィタビアルゴリズム(非特許文献14参照)と同様、状態Sを、以下の式(9)のように定義する。
=[s(i−1),s(i−2),…,s(i−L)] (9)
なお、式(9)中、i≦0を満たすiに対して、s(n)=0である。
また、通信路出力の予測値は以下の式(10)で算出する。
Figure 2006005796
なお、式(10)中、s(n)の上部に^が付されているのは、そのs(予測したシンボルであることを示している。
送信シンボルの系列{s(1),…,s(Mi−k)}に対応する受信シンボルの系列{x(1),…,x(Mbari−k)}の確率密度関数を、p[x(1),…,x(Mbari−k)}|s(1),…,s(Mi−k)}とする。
ノイズはAWGNであるから、時刻Mbari−kにおける尤度LL(ただし対数表示)は式(B)のように定義される。
Figure 2006005796
なお、式(B)における文字
Figure 2006005796
は、本明細書における「LL」の文字と同義である。
さらに、式(B)を分解すると、式(11)が得られる。
Figure 2006005796
式(5)からは、kがk∈[0,M−1]を満たす場合、x(Mbari−k)がSMi−kとSMi−k+1とに依存し、kがk∈[M,Mbar−1]を満たす場合、SM(i−1)とSM(i−1)+1とに依存することが導かれる。
このことは、k∈[1,M]を満たすkについて、状態遷移が時刻Mbari−kでのみ起こるのだということを示している。よって、尤度LLは以下のように書きなおすことができる。
Figure 2006005796
なお、式(12)においては、以下の式(13)が満たされている。
Figure 2006005796
上記の信号点(constellation)が、N個あるとすると、状態の個数は(NLeとなる。
前もって、x^(n)の取りうる(NLe+1個の値を式(10)を使って算出し、記録する。受信したサンプル各々について、かつ、各々の状態について、取りうる状態遷移について、N個のパスメトリックを式(13)により算出する。
次に、対数表現した尤度を、時刻Mbar−k(k∈[1,M])において、新しい状態のそれぞれについて式(12)を用いて更新する。こうすることで、対数表現した尤度が最大となる状態遷移(この遷移は、トレリス線図内のいわゆる生き残りパスと等化)を一つ選択し、従来のヴィタビアルゴリズムと同様に、最尤系列となるパスを見つけ出す。
また、本発明の修正されたヴィタビアルゴリズムでは、各受信サンプルについて、オーダーO((NLe+1)の計算を行う必要がある。
ディジタルデータ送信器1はLとLmaxとが分かっているのだから、式(7)を使って値LをLmaxに設定することができる。こうすることで、比較的長い通信路に対しても、ディジタルデータ受信器6がヴィタビアルゴリズムを実行できるようになる。
また、送信シンボルを作成する際にゼロを示すシンボルを挿入した場合と、しなかった場合との間における、受信サンプル毎の最尤系列予測の演算の複雑さの比は、式(14)にて表される。
Figure 2006005796
たとえば、L=11、R=2/3とすると、受信サンプル毎の演算上の複雑さは減少し、従来の最尤系列予測の場合のN 12(1−2/3)=N になる。また、通信速度も減少して、R=2/3倍になる。演算上の複雑さと伝送速度との間には、一方を向上させると他方が劣化するという明確な関係があり、この関係は、上述の送信シンボル作成方法を用いて送信シンボルの系列にゼロ挿入をすることによって制御できる。
大切な点は、本発明の送信シンボル作成方法を用いた場合、通信路オーダが低下するものの、シンボル誤り率(SER、symbol error rate)は従来の最尤系列予測の符号誤り率にほぼ等しいことである。詳細は後述する。
さらに、本発明を用いれば記録の必要性も低くなる。つまり、(NLe+1個の取り得るx^(n)のセットがMbar組あるので、パスメトリックに対して、Mbar(NLe+1個分のメモリが必要になる。ゼロ挿入しない従来の最尤系列予測との比は、
Figure 2006005796
である。
生き残りパスを得るためには、アルゴリズムの各ステップの後に(NLe本のパスを残しておかないといけない。実用上、生き残りパスはLの5倍にまで短縮することができる。したがって、5L(NLe本のパスを記録しておかなければならない。従来の最尤系列予測に対する、必要演算量の減少比率を表1に示す。
Figure 2006005796
以下に、上述の修正ヴィタビアルゴリズムについて、図6のフローチャートを用いて説明する。図6に示すように、先ず、式(13)に基づき、ディジタルデータ受信器6の尤度計算部10において、パスメトリックを計算する(S10)。
その後、nを(M+N)で割った値の剰余が、0からN−1の範囲にあるかが、尤度計算部10において判断される(S11)。このS11における判断は、式(12)においてk=Mの場合の計算を行うために実行される。
S11における判断がYESである場合、尤度計算部10は、式(13)で計算されたパスメトリックをWに加算し、その値を新たなWとする(S12)。なお、Wは、式(12)における
Figure 2006005796
に対応している。つまり、S12における処理は、式(12)における
Figure 2006005796
で示されたWの総和を演算することに相当している。
一方、S11における判断がNOである場合、尤度計算部10は、尤度LLを、LL−W−Metricとして計算する(S13)。S13における演算は、式(12)において、尤度LLの計算を行うことに相当している。
そして、S13において計算された尤度に基づき、パス選択が行われた後(S14)、Wが0に設定される(S15)。なお、S10からS15の処理は、全ての状態について実行される。
その後、n(その受信シンボルが何番目に並ぶものであるのかを示す整数)を1増やし(S16)、そのnが、最大値Nmax以下かを判断する(S17)。S17においてnがNmax以下だと判断されれば、処理が修正ヴィタビアルゴリズムの先頭部分に戻る。
一方、nがNmaxより大きいと判断されれば、修正ヴィタビアルゴリズムのパス選択部分が終了する。
〔4.SERの分析〕
本発明の送信シンボル作成方法を用いれば、受信するシンボルの系列が、各シンボルs(n)について{h(0)s(n),h(1)s(n),…,h(n)s(n)}を含んでいるのだから、パスダイバーシティ損失が起きてしまうことはないと思われる。念のため、本発明の送信シンボル作成方法によるシンボル誤り率特性(SER)を検証したので以下に説明する。
なお、通信路{h(l)}を平均値0、平方偏差がσhl =E{|h(l)|}の複素ガウスで、互いに独立しているとする。
中程度のS/N比(非特許文献8、非特許文献1参照)では、あるnに対して連続するL+1個のs^(n)中に多くとも2つ以上の誤りがない、といったエラー・イベントがシンボル誤り率のほとんどを占めるので、このエラー・イベントについて考察する。
こういった誤りは、平方偏差σ のガウス変数が||H(s(n)−s^(n)||/√2を超えると発生する。なお、H=[h(0),…,h(L)]であり、||・||はユークリッド・ノルムを表している。
このとき、上記のエラー・イベントの発生率は下限が抑えられていて、以下の式(15)を満たす。なお、式(15)において記載されているhの太字体は、H(=[h(0),…,h(L)])と同義である。
Figure 2006005796
ここで、δminはシンボルとシンボルとの間の最短距離を表し、Q(・)は次のように定義する誤り関数である。
Figure 2006005796
式(15)は従来の最尤系列予測の誤り発生率(非特許文献8参照)と同じである。
また、もう一つ特筆すべきは、式(15)で表される誤りの発生率が、周波数についてフラットな通信路と、1つの送信アンテナに対するL+1個の受信アンテナとを用いて最大比合成をしたときのシンボル誤り率と一致することである。ただし、ここで、h(l)はl個目のアンテナに対応する通信路係数である。
シンボル誤り率の平均は、任意の通信路について式(15)を平均することで得られる。幸い、レーリー・フェージング通信路については解析的表現が可能である(特許文献13の第5章参照)。l≠l’である全てのlについてσhl ≠σhl’ である、レーリー通信路の平均シンボル誤り率は、式(16)のようになる。
Figure 2006005796
なお、式(16)においては以下の式(17)が成立する。
Figure 2006005796
また、全てのlについてσhl =σ が成り立つようなパワープロフィール(通信路係数の強さ)が同じ通信路については、上記平均符号誤り率は次式(18)のようになる。
Figure 2006005796
なお、式(18)においては、以下の式(19)が満たされている。
Figure 2006005796
一方、ペアワイズ誤り発生率(PEP:pair-wise error probability)分析(非特許文献15参照)を使えば、平均誤り発生率は式(C)で上限が抑えられていることが示される。
Figure 2006005796
このことは、従来の最尤系列予測の場合と同様に、最尤系列予測を用いた本発明の送信シンボル作成方法が、オーダLのパス・ダイバーシティを全て利用していることを示している。
〔5.実施例〕
オーダL=9、平均値0の複素ガウスタップを持つ、レーリー通信路を10本作った。なお、l∈[0,L]を満たす全てのlについて、パワー・プロフィールσhl =E{|h(l)|}=1/(L+1)を等しく設定し、指数関数的に減少するパワー・プロフィール(exponential power profile)は式(D)のように設定した。
Figure 2006005796
次に、BPSKについて式(16)と式(18)とを計算してBERの理論値を求めた。また、上述した修正ヴィタビアルゴリズムを用いて最尤系列予測を行い、モンテ・カルロ・シミュレーションでBERを算出し、以下の3つの場合を試してみた。
1つ目はR=1、つまり、ゼロ挿入をしない従来の最尤系列予測とした。2つ目はR=0.8、すなわち(M,N)=(4,1)かつL+1=R(L+1)=8とした。3つ目はR=0.5、すなわち(M,N)=(1,1)かつL+1=R(L+1)=5とした。表2に、受信サンプル毎に、Rと演算上の複雑さとについて、シミュレートしたシステムの比較結果を示す。
Figure 2006005796
パワー・プロフィールが同じ通信路について、図7では、BERをEb/Nの関数として描いてある。PEP分析で得られた上限値も一緒に示した。図7からは、Rの値を変更してシミュレートしたシステムの間においてBERの値に差がなく、また、シミュレートしたBERの値が理論値と非常に近いことが読み取れる。
また、オーダが9の通信路の場合、受信信号毎に32回の計算をしないといけないが、それでも、本発明の送信シンボル作成方法を用いれば、伝送速度が低下するのと引き換えに、良好なBER特性が実現できる。
指数関数的に減少するパワー・プロフィール通信路の場合のBER特性を図8に示す。ゼロ挿入によって伝送速度が低下してもBER特性が劣化しないことが、図8を参照することでも読み取れる。すなわち、伝送速度の低下は等化器の演算上の複雑さを緩和するだけであるから、本発明の送信シンボル作成方法を用いても、BER特性については従来の最尤系列予測と比べて遜色がない。
〔6.補足〕
本発明の送信シンボル作成方法および最尤系列推定方法は、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。
したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の送信シンボル作成部およびヴィタビアルゴリズム実行部の各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。たとえば、式(12)に基づいて求められた尤度は、ヴィタビアルゴリズムだけではなく、他の最尤系列推定方法、たとえば球内復号化(sphere decoding)に用いることも可能である。
本発明によれば、受信器の構成の複雑化およびBER特性の劣化を招来することなく実効通信路長を短くすることができ、併せて、符号間干渉を防止し、最尤系列推定を効率よく行うことができる。したがって、本発明は、ディジタルデータを高速で通信する際の信頼性を向上させるのに適している。
本発明のディジタルデータ送受信システムの一実施形態に係る構成を示す図である。 本発明の送信シンボル作成方法において、(M,N)=(2,1)と設定した場合に作成される送信シンボルの系列を示す図である。 本発明の送信シンボル作成方法において、(M,N)=(2,1)と設定した場合に作成される送信シンボルの系列が、時間と共に周期的に変化する状態を示す図である。 本発明の送信シンボル作成方法における処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の送信シンボル作成方法において、(M,N,L)=(1,1,5)とした場合に通信路が周期的に選択される状態を示す図である。 本発明の最尤系列推定方法の一実施形態に係る処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態であるヴィタビアルゴリズムについて、BER特性を検証した結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態であるヴィタビアルゴリズムを、指数関数的に減少するパワープロフィール通信路に適用した場合に、BER特性を検証した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 ディジタルデータ送信器
2 送信シンボル作成部(送信シンボル作成回路)
6 ディジタルデータ受信器
9 ヴィタビアルゴリズム実行部(最尤系列推定回路)

Claims (19)

  1. ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成することを特徴とする送信シンボル作成回路。
  2. 上記通信フレーム内で連続して送信されるシンボルの数と、上記送信シンボルを送信しない時間の間隔とを、それぞれ所定の値に設定することを特徴とする請求項1に記載の送信シンボル作成回路。
  3. ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内における各データシンボルをs(i)(iは、そのシンボルがデータ系列において何番目に並ぶものであるかを示す整数)とした場合、
    ディジタルデータ通信を行うための送信シンボルの系列{u(t)}(tは、そのシンボルが通信フレームにおいて何番目に並ぶものであるかを示す整数)を、下式に基づき作成することを特徴とする送信シンボル作成回路。
    Figure 2006005796
  4. 上記請求項1ないし3のいずれか1項に記載された送信シンボル作成回路を備えていることを特徴とするディジタルデータ送信器。
  5. ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成することを特徴とする送信シンボル作成方法。
  6. ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内における各データシンボルをs(i)(iは、そのシンボルがデータ系列において何番目に並ぶものであるかを示す整数)とした場合、
    ディジタルデータ通信を行うための送信シンボルの系列{u(t)}(tは、そのシンボルが通信フレームにおいて何番目に並ぶものであるかを示す整数)を、下式に基づき作成することを特徴とする送信シンボル作成方法。
    Figure 2006005796
  7. 請求項5または請求項6に記載の送信シンボル作成方法を含むことを特徴とするディジタルデータ送信方法。
  8. コンピュータに請求項5または請求項6に記載の送信シンボル作成方法を実行させるための送信シンボル作成プログラム。
  9. 請求項8に記載の送信シンボル作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  10. ディジタルデータを示すシンボルが複数個並ぶことにより構成される通信フレームを、マルチパスを介して伝送する際に最尤系列推定を実行する最尤系列推定回路であって、
    最尤系列推定に用いる尤度を、通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき計算することを特徴とする最尤系列推定回路。
  11. ディジタルデータを示すシンボルが複数個並ぶことにより構成される通信フレームを、マルチパスを介して伝送する際に最尤系列推定を実行する最尤系列推定回路であって、
    最尤系列推定に用いる尤度を、以下の式に基づき計算することを特徴とする最尤系列推定回路。
    Figure 2006005796
  12. ヴィタビアルゴリズムを用いて最尤系列推定を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の最尤系列推定回路。
  13. 請求項10ないし12のいずれか1項に記載の最尤系列推定回路を備えていることを特徴とするディジタルデータ受信器。
  14. ディジタルデータを示すシンボルが複数個並ぶことにより構成される通信フレームを、マルチパスを介して伝送する際に最尤系列推定を実行する最尤系列推定方法であって、
    最尤系列推定に用いる尤度を、通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき計算することを特徴とする最尤系列推定方法。
  15. ディジタルデータを示すシンボルが複数個並ぶことにより構成される通信フレームを、マルチパスを介して伝送する際に最尤系列推定を実行する最尤系列推定方法であって、
    最尤系列推定に用いる尤度を、以下の式に基づき計算することを特徴とする最尤系列推定方法。
    Figure 2006005796
  16. 請求項14または請求項15に記載の最尤系列推定方法を含むことを特徴とするディジタルデータ受信方法。
  17. コンピュータに請求項14または請求項15に記載の最尤系列推定方法を実行させるための最尤系列推定プログラム。
  18. 請求項17に記載の最尤系列推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  19. ディジタルデータを示すシンボルが複数個連続して構成される通信フレーム内に、シンボルを送信しない時間を設定して、ディジタルデータ通信を行うための送信シンボル系列を作成する送信シンボル作成回路と、
    上記通信フレーム内でシンボルが連続して送信される時間間隔と、その通信フレーム内でシンボルが送信されない時間間隔とに基づき、最尤系列推定に用いる尤度を計算する最尤系列推定回路とを備えていることを特徴とするディジタルデータ送受信システム。
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