JP2006002381A - 危険物等の貯蔵小屋の床構造 - Google Patents

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【課題】危険物貯蔵小屋のための傾斜したコンクリートの床を現場打ちでなく、工場で造る。
【解決手段】床フレーム11の上に波状鋼製シート12を張リ、その上に、コンクリート補強用の金網13を載せた後、コンクリート15を打設する。コンクリートの強度を引き出すために、打設から半日ほど経ったら床パネル10を囲いの中に入れて蒸気養生を行う。でき上がった床パネル10を、工場組立の段階で、小屋の土台16の上に据える。土台16の上の要所要所に、予め、束19を立てて溶接しておく。床パネル10は、そのフレーム11がこれらの束19の上に載って支えられる。束19の各々は高さが一様ではなく、ドレン受け9に近いものほど低く、遠いものほど高くしてあり、したがって、床パネル10はドレン受けに向かって傾斜した状態で据え付けられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、引火性液体等の危険物を貯蔵する小屋の床構造に関する。
ガソリンや灯油など揮発性液体を事業所などで少量保管するには、屋外ではなく、安全手段を施した専用の貯蔵小屋に保管するのが安全上望ましく、その方向で法令が整備されつつある。一例を挙げると、法令の基準を満たした小規模の貯蔵小屋(床面積1〜3坪ほど)で、ガソリンでいえば200リットルくらいまで保管することが許容される。
従来、危険物貯蔵小屋は、コンクリートブロック製の小屋を建てたり、家庭用のスチール製物置で代用していた。しかし、前者のコンクリート小屋は、工期が長く、費用も高く、また品質にばらつきが多い。後者のスチール物置は工期が短く、費用も安上がりであるが、法令の定める基準に達していないものが多い。また、従来の貯蔵小屋は、取壊や移設が簡単でない造りになっており、事業所の移転や廃業時等に問題を生じている。
そこで、危険物貯蔵小屋は、ユニットハウス工法のような工場生産品であって、品質にばらつきがなく、法令に適合し、工期が短く、安価で、トラックに載せて移動可能なものが望まれる。
ユニットハウス工法による危険物貯蔵小屋の床構造については、、危険物(燃料油)が浸透しないこと、不燃であること、ドレン受けに向かって傾斜を有することなどが法令で要求され、従来はほとんどが鉄板製であった。しかし、大きさの関係で鉄板に継ぎ目ができ、こぼれた油がそこから床下に染み込むおそれがある。また、鉄板の床は物を落としたりするとスパークが出やすく、安全上好ましくない。鉄板はメッキや塗装を施しても、やがては発錆するので、耐久性に問題がある。
そこで、危険物貯蔵小屋の床をコンクリートにすることが考えられる。コンクリートなら継ぎ目はないし、スパークも錆びも生じない。しかし、コンクリートは現場打ちとなるので、手間がかかる。それだけでなく、法令では片隅にドレン受け(溜め桝)を設置し、それに向かって床面に傾斜を設けることが要請されており、コンクリートの床に正しく傾斜を設けるとなると、熟練した作業員が要求される。
この発明は、危険物貯蔵小屋のための傾斜したコンクリートの床を現場打ちでなく、工場で造ることを課題とする。
この発明に係る危険物貯蔵小屋の床構造は、根太を並べた枠状フレームの上にシートを被せ、その上にコンクリートを打設して床パネルを作り、この床パネルを土台の上に束を介して支持してなり、これら束の高さに変化をつけて、該床パネルをドレン受けに向かってわずかに傾斜させるようにしたものである。
枠状フレームは強度を出すために、金属フレームが好ましい。コンクリートの中には、好ましくは、金属網等の補強材を埋め込んで強度を高める。コンクリート面は、打設後、鏝を用いて平面に仕上げるようにする。コンクリートの強度を出すために、蒸気養生を行うことが望ましい。
床にこぼれた油をドレン受けに集めるために、床に100分の1ほどの傾斜を付ける。床の傾斜は、高さの異なる束を配置することで作り出す。
この床はコンクリート製であり、継ぎ目がないので、こぼれた燃料油が継ぎ目からしみ込むおそれがない。また、鉄板製と異なり、発錆がなく、物を落としてもスパークが生じにくいという効果がある。また、床の傾斜を束の高さを変えることで作り出すようにしたので、工事が簡単である。このように、この発明の床構造は、安全性が高く、耐久性を備えており、しかも、安価に提供できるものであり、危険物貯蔵小屋に最適である。
図1および図2は危険物貯蔵小屋を断面で示しものである。小屋は軽量鉄骨で、幅3m、奥2mほどの大きさを有する。小屋の前面には、ドラム缶等を搬入できるよう大きな扉1を備える。小屋内に可燃性ガスが溜まらないよう、壁2に外気取入口3を設けると共に、内から外に排気ダクト5を導き、その先に回転式ベンチレータ6を設ける。小屋内部の照明には安全増し防爆灯7を備えている。万一可燃ガスが爆発した場合、爆風が上方に吹き抜けるよう、屋根20は下からの力で簡単に吹き飛ばされる構造になっている。
小屋の床には油等の揮発性液体がこぼれることがあり、そのままにしておくと、滑り易いだけでなく、可燃ガスが発生して危険である。そこで、床の片隅にドレン受け9(鋼製の溜め桝)を設け、床の表面をこのドレン受けに向けて緩やかな勾配を付け、床にこぼれた油がドレン受けに流れ込むようにする。前記の排気ダクトは5ドレン受け9の直上に吸込み口5aがあり、ドレン受けから生じた可燃ガスは直ちに排気ダクト5から外に排出される。
図3および図4は床パネルを示したものである。符号11は床フレームであり、枠11aの中に根太11bが間隔を置いて並んでおり、各根太の中央を下から梁11cが支えている。床フレーム11はすべて、断面がボックス状の金属部材を使って溶接で組み上げる。なお、床フレームの一角は、ドレン受け9のために切り欠いてある。
この床フレーム11の上にシート12を張る。シートは、ここでは鋼製波板(0.8mm厚)を用いた。シート12の上に、コンクリート補強用の金網13を載せた後、コンクリート15を打設する。コンクリートの厚み50mmほどである。なお、床フレーム11の周囲には同じ50mm幅の縁板(鉄板)11dが溶接してある。コンクリート15の表面は、打設後すぐに金鏝で平坦に均す。コンクリートの強度を引き出すために、打設から半日ほど経ったら、床パネル10を囲いの中に入れて蒸気養生を行う。養生は、温度は60〜90℃、時間は一昼夜ほどである。
こうしてでき上がった床パネル10を、工場組立の段階で、図3に示すように小屋の土台16の上に据える。土台はボックス状の金属部材を溶接して格子状に組み上げたものである。図中、四隅に立っているのは小屋の支柱17である。この土台16の上の要所要所に、同じくボックス状の金属部材を短く切断して作った束19を立てて溶接しておく。床パネル10は、そのフレーム11がこれらの束19の上に載って支えられる。束19の各々は高さが一様ではなく、ドレン受け9に近いものほど低く、遠いものほど高くしてあり、したがって、床パネル10はドレン受けに向かって傾斜した状態で据え付けられる。床の傾斜は100分の1である。
床を張ったら、次に、壁2、屋根20を作り、扉1、ダクト等の装備品を取り付ける。でき上がった小屋はトラックに積んで搬送し、平坦な場所に積み下ろして、給電工事をすれば、すぐに危険物を貯蔵することができる。
危険物貯蔵小屋の縦断面図である。 同じく水平断面図である。 床構造の組立斜視図である。 床の断面図であり、図1のA−A断面に相当する。
符号の説明
9 ドレン受け
10 床フレーム
11 床フレーム
11b 根太
16 土台
19 束

Claims (1)

  1. 根太を並べた枠状フレームの上にシートを張り、その上にコンクリートを打設して床パネルを作り、この床パネルを土台の上に束を介して支持してなり、これら束の各々は、該床パネルがドレン受けに向かってわずかに傾斜するような高さを備えている危険物貯蔵小屋の床構造。
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