JP2006001097A - プレキャスト構造体用複合材、プレキャスト構造体およびプレキャスト構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
予め成形した複数の軽量部材3と、前記軽量部材3に嵌め合わされて貫通させた連接材4と、前記軽量部材3の両側に形成する硬質版21、22と、からなり、前記硬質版21、22が前記軽量部材3に付着して一体形成すると共に、前記連接材4が前記硬質版21,22と強固に連結されていることを特徴とする、プレキャスト構造体1である。
【選択図】図1
Description
このサンドイッチパネルにあっては製造方法も開示されており(たとえば、特許文献3)、かかる方法は、まず型枠の内部にトラス筋を配置して、コンクリートの打設、硬化により片面を形成し、その後これを反転させてコンクリートの打設、硬化により他面を形成し、その間の空隙部に発泡樹脂を注入して形成する方法である。
<1>大幅に重量を削減することが難しい。
<2>軽量化することによって曲げ耐力が小さくなる。そのため、大スパンをおいて支持されるような大きな曲げモーメントが作用する床版(桁材)などの用途には使用することができない。
<3>特許文献1のサンドイッチパネルは曲げ耐力が小さいため、圧縮力が主に作用する壁部材にしか使用できず、床部材としては使用できない。
また、特許文献2、3に開示されたサンドイッチパネルの製造方法は、作業工数が多く、さらに片面にコンクリートを打設した後、強度が大きくなるまでの間、反転させることができないため、完成するまでに多くの時間を要する。
また、曲げ耐力を増大して、床版、特に大スパンに対応できる、プレキャスト構造体用複合材、プレキャスト構造体またはその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、製造工数が少なく、短い時間で製作可能なプレキャスト構造体用複合材、プレキャスト構造体またはその製造方法を提供することを目的としている。
<1>本発明のプレキャスト構造体は、両側面に硬質版を配置し、硬質版の間すなわち構造体の大部分を、軽量部材で構成するものであるから、重量を大幅に軽減することができる。これによって、構造体本体をはじめ、構造物全体の製造コストを低廉化することができる。
<2>二枚の所定の間隔をおいた硬質版を、剪断部材としての機能を有する連接材で強固に連結した構造であり、さらに硬質版が軽量部材に付着して一体化した構造であるから、大きな曲げモーメントに耐えることができる。
このため、大スパンをおいて支持される床版などの用途にも使用することができる。
<3>本発明は、予め成形された複数の軽量部材と軽量部材に嵌め合わされて貫通して両端を突出する連接材とから複合材を形成し、その後、軽量部材の両側面に略同時に硬質版を形成する製造方法であるから、従来に比べて作業工数が少なく、また二枚の硬質版をほぼ同時に形成できるため、短い時間で完成することができる。
本発明に係るプレキャスト構造体1は、床版や建築材などの用途に利用できるものであって、図1に示すように三層構造から構成しており、両側面に配置する二枚の硬質版21、22と、その間に介在させる軽量部材3と、二枚の硬質版21、22を強固に連結する連接材4と、からなる。
以下、本発明を構成する各部について詳述する。
なお、構造体1および各部材の名称を、図1を基準として、「上」「下」「右」「左」で表し、以下説明を行う。
硬質版21、22は、構造体1本体の曲げ耐力の一部を負担する部材である。
この硬質版21、22には、たとえばコンクリートやモルタルなどのようなコンクリート系材料が使用できる。
硬質版21、22は、強度を高く保持したまま薄型に形成して、軽量にするのが好ましく、たとえば高強度モルタル、超高性能モルタル、繊維補強高強度モルタルのほか、プレストレストコンクリートなどを利用することもできる。
軽量部材3は、二枚の硬質版21、22間に配置する部材であって、硬質版21、22より相対的に軽量の部材とする。
この軽量部材3には、たとえば発泡樹脂系の材料が使用でき、より具体的には発泡スチロール、発泡ウレタン、発泡塩化ビニールなどのほか、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンなどに代表される発泡ポリオレフィンなどが利用できる。さらに好ましくは、発泡樹脂の中でも10〜100kgf/m3の物性を示す硬質発泡樹脂が好ましい。
軽量部材3は、硬質版21、22を製作する際の型枠として、使用することもできる。軽量部材3、たとえば発泡樹脂系の材料を成形する方法としては、予め所定の形状に形成した成形型内で型内発泡成形する方法、あるいはブロック形状の発泡成形体を所定の形状に切り出して加工し成形する方法があげられる。
連接材4は、二枚の硬質版21、22を強固に連結すると共に、構造体1本体の剪断部材として機能する部材である。この連結の程度は、二枚の硬質版21、22が一つの曲げ部材として合成挙動する程度とする。
連接材4は、硬質版21、22に定着させる定着部401と、応力を伝播する伝播部402とに分けられ、定着部401で硬質版21、22から授受した応力を伝播部402により伝播する。
この連接材4には、たとえばI型鋼やH型鋼などの直線状の鋼材や、線材で形成したトラス筋、或いはラチス筋のほか、非鉄製の部材などが使用できる。
ラチス筋は波形状を呈するもので、たとえば異形鉄筋を屈曲させて山部と谷部を交互に形成し、連続する山部と谷部をそれぞれ真っ直ぐな線材で連結したものである。
トラス筋は、図1に示すように、1条の上端筋41と2条の下端筋42、42とを、波形状をなすラチス筋43で連結したもので、上・下端筋41、42とラチス筋43との連結は、たとえば溶接や公知の連結具などを用いて強固に行う。
ラチス筋やトラス筋の上・下端筋には、補強筋44、45を交差させて配置し、強固に連結するのが好ましい。
たとえば連接材4をトラス形状に形成する場合、トラス格点でインターロッキング効果が生じ、強固に連結することができる。
一方、I型鋼やH型鋼などの直線状の鋼材を使用する場合、硬質版21、22の内部に定着させるフランジ(定着部401)の表面に、凹凸部を設けたり、ジベルの配置或いは貫通孔46を穿設するほか、構造体1の長手方向に対して垂直にリブプレートを設け(図示せず)、接触面を大きくすることによって連結を強固にする。
この連接材4は、防錆のための塗装や加工を施しておくのが好ましい。
次に、構造体1の製造方法について説明する。
本例では、横断歩道橋の床版(歩道面)を製造する例について説明する。本例では、長手方向が4300mm、短手方向が400mm、厚さが210mmの構造体1を製造するが、この形状に限定されるものではない。
トラスの各辺に相当する上下端筋には、D13の異径鉄筋を使用し、ラチス筋43と連結する。
軽量部材3は、平行に並べたトラス筋4、4の間に配置する形態32と、トラス材4の内部に挿入、配置する形態31、および構造体1本体の側面に配置する形態33の三種類を成形する。
トラス筋4とトラス筋4の間に配置する軽量部材32は横断面が略台形状となり、トラス材4の内部に配置する軽量部材31は横断面が略三角形を呈する。
これらの軽量部材31、32、33の側面には、ラチス筋43と対応する位置に、ラチス筋43の断面の半分が嵌る溝34を形成しておき、組み立て時にラチス筋43の周囲が軽量部材31、32、33で隙間なく、埋めつくせるようにする。そして、軽量部材3はトラス筋4の伝播部402に配置した後、トラス筋4の突出する面が、硬質版21、22の型枠として利用できるように平面状に成形しておく。
トラス筋4は、軽量部材31、32の両側に、定着部401、401を均等に突出させて配置する。
その後、各トラス筋4の上・下端筋41、42に補強筋44、45を交差させて配置し、所要の手段たとえば溶接などで固定する。
こうして、プレキャスト構造体1用の複合材7の組み立てを完了する。
つぎに、構造体1本体の上下面を構成する硬質版21、22を形成する。この硬質版21、22の形成には、図4に示すような型枠5を用いる。型枠5は、構造体1の側面を上下、すなわち構造体1の上下面を左右に配置して製造するもので、箱型の上部が開口した形状である。
型枠5の開口する上部から、先の工程で組み立てたトラス材4と軽量部材3を吊り入れる。必要に応じて、軽量部材3とトラス材4を型枠5の任意の位置に仮固定し、吊り入れた部材3、4の両側部と型枠5との間に、それぞれ空間61、62を設ける。この空間61、62の幅は、すなわち硬質版21、22の厚さとなり、本例ではそれぞれ40mmの空間幅を設ける。
本例では、両硬質版21、22に同じ材料を使用するが、必要に応じて別々の材料を使用し、上下の硬質版21、22に硬度差を設けることもできる。
コンクリートが硬化すると、トラス筋4と硬質版21、22とが一体化したプレキャスト構造体1が完成する。このプレキャスト構造体1は一体化し、恰も一枚ものの構造体のような挙動を示す。
このようなプレキャスト構造体1は、中間層を軽量部材3で形成し、また両側の硬質版21、22を剪断部材として機能する連接材4で強固に連結しているため、面外方向に力を受けても、連結部のインターロッキング効果により、耐え得るだけの充分な剛性を示すことができ、また軽量かつ低コストに製造することができる。
さらに、予め成形した軽量部材3を型枠としてコンクリートを打設するため、コンクリートの厚さを設計通り一定に成形でき、高い品質を保持することができる。
また、本発明では、型枠5の内部に複合材7を配置して、複合材7の各側面と型枠5の間の空間61、62にコンクリートを打設して製造するものであるから、従来のように複数の工程を必要とせず、短時間で製造することができる。
なお、本例では横断歩道橋の歩道面を製作する例を挙げたが、勿論他の用途に利用できることはいうまでもない。
以上の実施の形態では、連接材4にトラス筋を使用する形態であったが、このほか図5に示すようにI型鋼を使用することもできる。かかる場合、たとえばフランジ(定着部401)に複数の貫通孔46を設けることにより、硬質版21、22との接触面を増大することができ、強固に連結することができる。
また、フランジに貫通孔46を設けた場合、図6に示すように、フランジの上下に位置する硬質版21が貫通孔46を通じて連続した状態となるので、確実に硬質版21、22が一体化した挙動を示すことができる。
21・・硬質版
22・・硬質版
3・・・軽量部材
4・・・連接材
401・定着部
402・伝播部
5・・・型枠
7・・・複合材
Claims (8)
- 両側に硬質版を積層するためのプレキャスト構造体用複合材であって、
予め成形した複数の軽量部材と、
前記軽量部材に嵌め合わされて貫通させた連接材と、からなることを特徴とする、
プレキャスト構造体用複合材。
- 請求項1に記載のプレキャスト構造体用複合材において、
前記軽量部材が、発泡樹脂系の材料であることを特徴とする、
プレキャスト構造体用複合材。
- プレキャスト構造体において、
予め成形した複数の軽量部材と、
前記軽量部材に嵌め合わされて貫通させた連接材と、
前記軽量部材の両側に形成する硬質版と、からなり、
前記硬質版が前記軽量部材に付着して一体形成すると共に、前記連接材が前記硬質版と強固に連結されていることを特徴とする、
プレキャスト構造体。
- 請求項3に記載のプレキャスト構造体において、
前記軽量部材が、発泡樹脂系の材料であることを特徴とする、
プレキャスト構造体。
- 請求項3又は請求項4に記載のプレキャスト構造体において、
前記硬質版を、コンクリート系材料で形成したことを特徴とする、
プレキャスト構造体。
- 二枚の硬質版の間に軽量部材が位置すると共に、硬質版の間に軽量部材を貫通する連接材を具備したプレキャスト構造体の製造方法において、
予め成形した複数の前記軽量部材に、前記連接材を嵌め合わせて貫通させて配置し、
前記連接材が突出する軽量部材の両側面に、未硬化状態の硬質版材料を充填して硬質版を形成したことを特徴とする、
プレキャスト構造体の製造方法。
- 請求項6に記載のプレキャスト構造体の製造方法において、
前記軽量部材が、発泡樹脂系の材料であることを特徴とする、
プレキャスト構造体の製造方法。
- 請求項6または請求項7に記載のプレキャスト構造体の製造方法において、
前記硬質版を、コンクリート系材料で形成したことを特徴とする、
プレキャスト構造体の製造方法。
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