JP2005538209A - 液体への添加剤として使用することを意図した潤滑特性を有する溶液を製造するための方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、好ましくは液体燃料などの液体に混合する濃縮物としての添加剤として使用することを意図した、潤滑特性を有する溶液を製造するための方法に関する。ホウ酸及び／又はボルトリオキシドなどのホウ素化合物が溶剤に溶解され、ホウ酸イオンは溶剤とともに均一相をなし、この均一相は、ホウ素化合物の電気陰性度に対する水素結合の逆作用及び共有結合に対するその傾向のため、安定状態の溶液として、高いホウ酸塩濃度を有するように作られており、前記溶液は、前記実際の液体への添加剤として使用され、これによって前記実際の液体が摩擦低減、潤滑及び腐食抑制特性を得る。

Description

本発明は、液体、好ましくは液体燃料又は潤滑剤に添加する添加剤として使用することを意図した、潤滑特性を有する溶液を製造するための方法と、その方法に従って作られた溶液に関する。この溶液は液体に混合したときに液体に摩擦低減、潤滑及び腐食抑制特性を与える。

ホウ素が他の金属と錯体配位子結合（complex ligand bond）を確立することは、例えば米国特許第５，４３１，８３０号から、以前から知られている。これは、数時間から数日にわたる暴露後に起こる。問題のホウ素化合物は２次元パレットの形態に整列し、このパレットが互いの上にスライドして摩擦を低減する。さらに、ホウ酸は下にある金属表面の薄い層と結合し、その電気陰性度によって酸化を防ぐので、ホウ素は金属に対する腐食抑制剤の働きをする。この電気陰性度によりホウ素を、露出面の腐食を防ぐ有効な還元物質とする。

以前から知られている技法によれば、油を高濃度のホウ酸と混合し、この混合物を約１０％の比率に希釈して、さまざまな潤滑油にする。

米国特許第６，３６８，３６９号によれば、ホウ酸を燃料への添加剤として使用して、摩擦低減効果を得ることができる。その方法は、基油すなわちディーゼル燃料に基づく濃縮物にホウ酸を混合する方法である。ホウ素化合物の粒径は通常０．５から２０ミクロンであり、これは、そのための方法「ジェット−ミリング（jet-milling）」法によって作られる。実験によれば、この方法によって作られた添加剤、例えばディーゼル添加剤は、時間の経過とともに限られた安定性しか持たない。ホウ酸粒子は凝集、沈降し、容器の底にたまる。これは数か月のうちに起こる。これによって、エンジン、例えばディーゼル・エンジンに深刻な結果が生じるおそれがある。ホウ酸粒子を基油と混合し、その後に最終的に燃料などで希釈したとしても、同じ危険が存在する。

本発明の目的は、上に述べた不都合を排除すること、及び流体又は液体、好ましくは液体燃料又は潤滑剤に添加する、これらの液体に可溶な添加剤を製造し、これらの液体に、摩擦低減、潤滑、腐食抑制効果を与えることにある。本発明の特徴は添付の請求項の中に述べられている。

本発明によって、区別できる方法で目的を果たすことができる、上で述べた種類の潤滑特性を有する溶液を製造する方法、及び液体に摩擦低減、潤滑、腐食抑制特性を与える流体燃料、潤滑剤などの液体への添加剤としての上記溶液の利用を提供する。本発明は、潤滑特性を有するホウ素化合物が溶液の形態で存在することを意味する。ホウ酸イオンは溶剤とともに均一相をなし、この溶液は、使用される溶剤、好ましくはホウ素化合物の電気陰性度を打ち消すアルコール水素結合及び共有結合に対する傾向のため、安定状態下で、高濃度のホウ酸塩からなるなる。

いくつかの好ましい実施形態の助けを借りて以下に本発明を詳細に説明する。

例えば上記の本発明に従って溶解されるホウ素化合物は、良好な摩擦低減特性を提供するＢｏｒｉｃ ＢＯＨ₃又はジボルトリオキシドＢ₂Ｏ₃（三酸化二ホウ素）であることが好ましい。溶剤は、個別の水又はアルコール、あるいは混合して混合物とした水／アルコールからなることができる。溶剤を液体水素とすることもできる。エタノール、メタノールなどほとんどのアルコールを使用することができ、この溶液は、ホウ酸又はボルトリオキシドをアルコール又は水と一緒に振とうし、最終的に、機械的な仕事（mechanical work）を増大させる小さな機械的要素（mechanicl element）をさらに追加することによって作られる。

溶液中のホウ素化合物の濃度は最高２５０，０００ｐｐｍとすることができ、あるいは必要ならばそれ以上とすることができる。ディーゼル、ガソリンなどの燃料に混合するときには、その燃料混合物は、１０から１，０００ｐｐｍ、好ましくは１００から２００ｐｐｍのホウ素化合物濃度からなることができる。

溶液を潤滑剤に加えるときには、潤滑剤と溶液からなる組成物は、約４００ｐｐｍ／４％のホウ素化合物濃度を有する。

他の応用では、この溶液を添加剤として使用し、これを、潤滑剤、炭化水素燃料又はバイオ燃料にある割合で加え、それによってホウ素化合物を摩擦によって露出した表面に結合させ、摩擦を低減される。この溶液は、流体へ最適に溶解し、それによって摩擦を低減し、潤滑し腐食を抑制する先に述べた安定溶液の利点を可能にする。流体は例えば、ディーゼル、ガソリン燃料などの炭化水素燃料とすることができ、溶液は、摩擦を低減させ、腐食を抑制することが必要な水素エンジンなどの燃焼機関に別個に噴射させることもできる。ホウ酸溶液を水素と混合するときには、熱反応が起こり、これによって共有結合に対する傾向がさらに増大する。

本発明はさらに、ホウ素化合物、ホウ酸及び／又はボルトリオキシドを溶解することによって添加剤として作られた溶液を含む。

Claims (6)

1. 好ましくは液体燃料などの液体に混合する濃縮物としての添加剤として使用する、潤滑特性を有する溶液を製造する方法であって、ホウ酸及び／又はボルトリオキシドなどのホウ素化合物が溶剤に溶解され、このホウ酸イオンが前記溶剤とともに均一相をなし、前記均一相が、ホウ素化合物の電気陰性度に対する水素結合の逆作用及び共有結合に対するその傾向のため、安定状態の溶液として、高いホウ酸塩濃度を有するように作られており、前記溶液が、前記実際の液体への添加剤として使用され、これによって前記実際の液体が摩擦低減、潤滑、腐食抑制特性を得ることを特徴とする方法。
2. 前記溶剤がアルコール及び／又は水、あるいは液体水素であり、前記ホウ素化合物を溶解するために前記混合物が振とうされ、同時に熱を使用することによって溶解時間が短縮されることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記溶液への前記ホウ素化合物の前記溶解をさらに速めるための機械的要素を加え又は加えず、暖め、あるいはこれらの組合せによって、混合物を振とうすることを特徴とする請求項１に記載の方法。
4. 前記溶液への前記ホウ酸化合物の前記追加によって、２５０，０００ｐｐｍ以上のホウ酸塩濃度を有する溶液を得ることを特徴とする請求項１に記載の方法。
5. 請求項１に従って作られた溶液の燃料への添加剤としての使用であって、混合において燃料のタイプに応じて１０から１，０００ｐｐｍの範囲のホウ素化合物濃度が与えられる溶液の使用。
6. ホウ素化合物、ホウ酸及び／又はボルトリオキシドを溶解することによって、前記請求項のいずれかに従って添加剤として作られた溶液。