JP2005534777A - 環状オレフィンモノマーの環挿入重合による大環状ポリマーの合成 - Google Patents

環状オレフィンモノマーの環挿入重合による大環状ポリマーの合成 Download PDF

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Abstract

反応触媒として遷移金属アルキリデン錯体を用いて、環状ポリマーを合成する方法が提供される。ここで、この錯体は環状基を含む。重合は、環挿入重合を起こす環状オレフィンモノマーを用いて触媒上で行われ、そして直鎖状の中間体は生成されない。重合の完了に続いて、環状ポリマーが、分子内連鎖移動反応を介してこの錯体から分離し、そして酵素錯体が再生される。本発明はまた、上記プロセスにおいて酵素として有用な、新規の遷移金属アルキリデン錯体、および新規の環状炭化水素を提供する。

Description

本発明は、一般に、環状ポリマーの合成に関し、より詳細には、8族遷移金属錯体を遷移触媒として用いる開環複分解重合(ROMP)反応を介した環状ポリマーの合成に関する。本明細書中で提供される環状ポリマーは、薬学産業、生体医学産業、有機合成産業および化学産業において、種々の用途を有する。
(背景)
年間4千万トンを越える生産率で、ポリエチレンは、世界で最も価値ある合成ポリマーの1つであり続けている。ポリエチレンは、食料雑貨用袋および牛乳容器から機能性線維(high performance fiber)および医療用デバイスまでの範囲の製品における適用が見出されている。この汎用性は、個々のポリマー鎖の構造を可変することによりこの材料の結晶性、機械的強度、および熱安定性を調整可能であることに由来する。しかし、ポリエチレンの適用数の増加は、この材料の性質をより広範にすることを要する。
ポリエチレンおよび他のポリマーの物理的性質を改変するための試みの殆どは、より単純な位相改変を生じるための方法よりもむしろ、ポリマーの構造複雑性を増加するための方法に焦点を当てていた。この位相改変を生じるための方法は、非常に意義深くあり得る。例えば、直鎖状前駆体の環化による環状ポリマーの形成は、理論上、構造を最低限しか改変しないが、大環状分子の物理的性質は、配座の自由と全体の次元に起因して、直鎖状の対応物と著しく違っていることが予測される。例えば、環状ポリマーは、その対応する直鎖状類似物より粘性が低く、より高いガラス転移温度を示し、そしてより小さい流体力学的体積および半径(Rg)を有する。Semlyen,Cyclic Polymers(Kluwer Academic,Dordrecht,The Netherlands(編)2,2000)を、参照のこと。
これまで既に合成されている環状ポリマーは、しばしば多くのポリマーがその特有の物理的性質を示すために必要とされる、高分子量物質(MW>100kDa)への接近は、非常に困難であった(前掲書)。代表的な合成経路は、反応末端基を含む直鎖状ポリマー前駆体の調製、その後の高希釈条件下での分子内カップリングを包含する。あるいは、多くの型の重合反応(例えば、重縮合、遷移重合など)によって生じる直鎖状生成物と環状生成物との間の平衡は、環状生成物の最大の形成(一般に、低濃度の使用を再び包含する)に移行し得る。不完全な環化または所望しない副作用が、両アプローチについて一般的であり、従って、練り上げられた生成過程は、しばしば非環状の夾雑物の除去を必要とする。Leeら(2002)Macromolecules 35:52を参照のこと。さらに、エチレンを含む多くのモノマーは、これらの型の重合を受け入れない。結果として、環状ポリエチレンの例はごく稀にしか報告されておらず、高分子量(MW>10Da)レジーム(regime)において特に報告されていない。Hoekerら(1977)Makromol.Chem.178:3101およびSheaら(1998)J.Org Chem.63:5746を参照のこと。
従って、当該分野では、大環状ポリマーを調製するための改善された技術の必要が存在する。理想的なプロセスは、直鎖状の中間体を含まず、環状オレフィンモノマーが首尾よく挿入される環状構造を大きくする手段により進行される。加えて、大環状ポリマーの合成のための理想的な方法は、容易に分離し得、かつ安定な、所望しない置換基または官能基を有さない構造をもたらす。本発明は、当該分野における上述の必要に関し、および8族遷移金属アルキリデン錯体をこのような重合反応の触媒として使用する。
遷移金属アルキリデン錯体、特にルテニウム錯体およびオスミウム錯体は、Grubbsらに対する米国特許第5,312,940号、同第5,342,909号、同第5,831,108号、同第5,969,170号、同第6,111,121号および同第6,211,391号(California Institute of Technologyに譲渡されている)に記載されている。これらの特許において開示される錯体は全て、金属中心を有し、この金属中心は、正しくは+2酸化状態であり、16個の電子を有し、そして五配位である。これらの触媒は、一般式XX’M(LL’)=CRR’の錯体であり、ここでMは、ルテニウムまたはオスミウムのような8族遷移金属であり、XおよびX’は、アニオン性配位子であり、LおよびL’は、天然の電子供与体であり、そしてRおよびR’は、特定の置換基であり得る(例えば、1つがHであり得、そして他方が置換または非置換のヒドロカルビル基(例えば、フェニルまたはC=C(CH)である。このような遷移触媒としては、ホスフィン配位子(例えば、トリフェニルホスフィンオルジメチルフェニルホスフィン)によって調製されている触媒が挙げられ、フェニルメチレン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
Figure 2005534777
によって例示され、ここで、「Cy」は、シクロヘキシルである。Grubbsらに対する米国特許第5,917,071号ならびにTrnkaおよびGrubbs(2001)(前出)を参照のこと。これらの化合物は、非常に反応性の触媒であり、種々のオレフィン遷移反応を触媒するために有用である。
より近年、このようなホスフィン配位子の1つがNヘテロ環式カルベン配位子と置換される、遷移金属アルキリデン触媒にかなりの関心が寄せられている。例えば、TrnkaおよびGrubbs,前出;Bourissouら(2000)Chem.Rev.100:39−91;Schollら(1999)Tetrahedron Lett.40:2247−2250;Schollら(1999)Organic Lett.1(6):953−956;ならびにHuangら(1999)J.Am.Chem.Soc.121:2674−2678を参照のこと。N−複素環式カルベン配位子は、多くの利点を提供する。これらの利点としては、立体的な体積が容易に調整可能であること、莫大に増加した電子供与体特性、種々の金属種に適合性であること、および改善された熱安定性が挙げられる。Schollら(1999)Tetrahedron Lett.40:2247−2250;Schollら(1999)Org.Lett.1:953−956;Chatterjeeら(2000)J.Am.Chem.Soc.122:3783−3784;およびBielawskiら(2000)Angew.Chem.IntEd.39:2903−2906を、参照のこと。これらの第二世代触媒の代表例は、ルテニウム錯体(IMesH)(PCy)(Cl)Ru=CHPh
Figure 2005534777
であり、ここで、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてMesはメシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)。を表す。
上述のように、これらの錯体は、重合反応を含む種々のオレフィン遷移反応を触媒するために使用されている。しかし、現在までに、高分子量の、安定な、容易に分離され得る環状ポリマーを効率的に合成するための方法は開示されていない。ここで、本発明は、上述の遷移金属アルキリデン錯体の環状アナログを重合触媒として使用してこのような環状ポリマーを合成するための方法を、提供する。
(発明の要旨)
本発明は、当該分他における上述の必要に関し、金属アルキリデン錯体を使用して環挿入重合反応を触媒し、大環状ポリマーを生じるための方法を提供する。この方法は、反応混合物中で、環状オレフィンモノマーと、触媒作用的に有効な量の、既知のサイズの環状基を含有する遷移金属アルキリデン錯体とを組み合わせる工程を包含し、これによって、該環状オレフィンモノマーが該環状基へと連続的に挿入し、該錯体からの何らかの直鎖状化学種の分離なしに、段階的な様式で該環状基のサイズを増加させる。すなわち、該環状ポリマーは、環状形態で大きくなり、ここで、触媒錯体への結合および反応は、いかなる直鎖状中間物の生成も包含しない。遷移金属アルキリデン索体における重合の完了後、環状ポリマーは、錯体から分子内鎖移動反応によって放出される。この反応は、液相において実行され、そして溶媒が、必要に応じて、反応混合物に添加され得る。あるいは、環状オレフィンモノマーは、それ自体が溶媒として寄与し得る。上述の反応から生じる環状ポリマーは、反応混合物への沈殿溶媒の付加により、容易に単離され得る。次いで、沈殿した環状ポリマーは、濾過または他の従来方法によって単離され得、精製工程は、通常は不要である。
別の実施形態において、特定の遷移金属アルキリデン錯体が、目的の新規の組成物として提供される。この新規の錯体は、上述の重合反応に関する重合触媒として有用であり、式(IX)
Figure 2005534777
の構造を有し、ここで:
jは、1〜6の範囲を含む整数であり;
Mは、8族の遷移金属であり;
は、中性電子供与体配位子であり、かつXおよびXがアニオン性配位子であって、ここで、L、XおよびXのいずれか2つは、一緒になって単一の二座配位子を形成し得;そして、
23、R24、およびR25は、低級アルキルである。
また、目的の新規の組成物として、実質的に直鎖状の夾雑物を含有せず、かつ少なくとも約160kDの大きな平均分子量を有する環状炭化水素ポリマーが、提供される。このポリマーは、例えば、環状ポリオクテナマー(polyoctenamer)、環状ポリエチレン、環状ポリブタジエンなどであり得る。一般に、このポリマーは、2.3以下の多分散性指数(polydispersity index)(PDI)を有する。直鎖状夾雑物を「実質的に非含有」であるとは、このポリマーが、何らかの直鎖状夾雑物を、0.5mol%未満、好ましくは0.1mol%未満、そして最も好ましくは0.05mol%未満含有することを意味する。さらなる実施形態において、本発明は、このような環状炭化水素ポリマー、および1つ以上の望ましい性質を提供するために選択された少なくとも1種の第2のポリマーを含有する、ポリマー混合物(blend)を提供する。好適な第2のポリマーとしては、非限定で、他のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、直鎖状ポリエチレンおよび分枝状ポリエチレンを含む非環状ポリエチレン、ブチルゴム、ポリイソプレン、ビニルポリマーなどが挙げられる。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
他に示さない限り、本発明は、特定の分子構造、置換基、合成方法、反応条件などに限定されず、これらは変動し得る。また、本明細書中の用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、限定を意図するものではない。
本明細書および添付の特許請求の範囲において記載される場合、単数形「a」「an」および「the」は、明らかにそうでないことを記載しない限り、複数の対象物を含む。従って、例えば、「モノマー(a monomer)」とは、1つのモノマーおよび同一または異なる2つ以上のモノマーを含み得、「置換基(a substituent)」は、2つ以上の置換基を含み得る、などである。
本明細書および特許請求の範囲において、多くの用語に対してなされる言及は、以下の意味を有するように定義される:
本明細書中で使用される場合、語句「式を有する」または「構造を有する」は、限定を意図せず、「含む」が通常使用されるのと同じように使用される。用語「独立して選択される」は、本明細書中で、挙げられた要素を示すために使用される。例えば、R基などは、同一であっても異なっていてもよい。
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その次に記載される状況が、起こっても起こらなくてもよく、従って、この記載は、状況が起こる場合と起こらない場合とを含む。例えば、語句「必要に応じて置換された」は、非水素置換基が、所定の原子上に存在してもしなくてもよく、従って、この記載は、非水素置換基が存在する構造と、非水素置換基が存在しない構造とを含む。
用語「アルキル」は、本明細書中で使用される場合、分枝状または非分枝状の飽和炭化水素基を意味し、代表的には、必ずしも必須ではないが、1〜約20の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、オクチル、デシルな供与体らびにシクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基である。一般に、やはり必須ではないが、本明細書中のアルキル基は、1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜12の炭素原子を含む。用語「低級アルキル」は、1〜6の炭素原子のアルキル基を意味する。「置換アルキル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキルを意味し、用語「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されているアルキル置換基をいう(下でさらに詳しく記載される)。そうでないことが示されない限り、用語「アルキル」および「低級アルキル」は、直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキルまたは低級アルキルを、それぞれ含む。
用語「アルキレン」は、本明細書中で使用される場合、二官能性の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基をいい、ここで、「アルキル」は上で定義された通りである。
用語「アルケニル」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含む2〜約20の炭素原子の直鎖状、分枝状または環状へテロ炭素基をいい、例えば、エテニル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デケニル、テトラデケニル、ヘキサデケニル、エイコセニル、テトラコセニル、などである。一般に、やはり必須ではないが、本明細書中のアルケニル基は、2〜約18の炭素原子を含み、好ましくは2〜12の炭素原子を含む。用語「低級アルケニル」は、2〜6の炭素原子のアルケニル基を意味する。用語「置換されたアルケニル」は、1対状の置換基で置換されたアルケニルを意味し、そして用語「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されているアルケニルをいう。そうでないことが示されない限り、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルケニルおよび低級アルケニルを、それぞれ含む。
用語「アルケニレン」は、本明細書中で使用される場合、二官能性の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基を意味し、ここで、「アルケニル」は、上で定義された通りである。
用語「アルキニル」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含む2〜20炭素原子の直鎖状または分枝状の炭化水素基をいい、例えば、エチニル、n−プロピニル、などである。一般に、やはり必須ではないが、本明細書中でアルキニル基は、2〜約18の炭素原子、好ましくは2〜12の炭素原子を含む。用語「低級アルキニル」は、2〜6の炭素原子のアルキニルを意味する。用語「置換されたアルキニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキニルをいい、用語「ヘテロ原子含有アルキニル」および「ヘテロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されているアルキニルをいう。そうでないことが示されない限り、用語「アルキニル」および「低級アルキニル」は、直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキニルおよび低級アルキニルを、それぞれ含む。
用語「アルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、1つの、末端エーテル結合を解して結合したアルキルを意味する:すなわち、「アルコキシ」基は、−O−アルキルで表され得。ここでアルキルは、上で定義された通りである。「低級アルコキシ」基は、1〜6の炭素原子を含むアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブチロキシなどが挙げられる。好ましい置換基は、「C〜Cアルコキシ」または「低級アルコキシ」として同定され、本明細書中で、1〜3の炭素原子を含み、特に好ましくは、このような置換基は、1または2の炭素原子を含む(すなわち、メトキシまたはエトキシ)。
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、そうでないことが特定されない限り、芳香族置換基をいい、一般に、5〜30の炭素原子を含み、1つの芳香環または複数の芳香環含み、これは、互いに融合するか、直接連結するか、または間接的に(異なった芳香環が、メチレンまたはエチレン部分などの共通の基に結合するように)結合する。好ましいアリール基は、5〜24の炭素原子を含み、特に好ましいアリール基は、5〜14の炭素原子を含む。例示的なアリール基は、1つの芳香環または融合したかまたは連結した2つの芳香環を含み、例えば、フェニル、ナフチル、美フェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノンなどである。「置換されたアリール」は、1つい状の置換基で置換されたアリール部分を意味し、用語「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されているアリール置換基をいう(さらに詳細には下に記載される)。そうでないことが記載されない場合、「アリール」は、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有芳香族置換基をいう。
用語「アラルキル」とは、アリール置換基を有するアルキル基をいい、「アルカリル」とは、アルキル置換基を有するアリール基をいい、ここで「アルキル」および「アリール」は、上で定義した通りである。一般に、アラルキル基およびアルカリル基は、6〜16の炭素原子を含み、特に好ましいこのような基は、非限定で、ベンジル、2−フェニル−エチル、3−フェニル−プロピル、4−フェニル−ブチル、5−フェニル−ペンチル、4−フェニルシクロヘキシル、4−ベンジルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシルメチル、4−ベンジルシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。アルカリル基としては、例えば、p−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、p−シクロヘキシルフェニル、2,7−ジメチルナフチル、7−シクロオクチルナフチル、3−エチル−シクロペンタ−1,4−ジエニルなどが挙げられる。
用語「ハロ」、「ハライド」、および「ハロゲン」は、従来的に、クロロ置換基、ブロモ置換基、フルオロ置換基、またはヨード置換基をいう。用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、および「ハロアルキニル」(または「ハロゲン化アルキル」、「ハロゲン化アルケニル」、および「ハロゲン化アルキニル」)は、アルキル、アルケニル、またはそれぞれアルキニル基をいい、ここで、この基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子によって置換される。
用語「環状」とは、置換されていても置換されていなくてもよく、そして/またはヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、単環式でも二環式でもまたは多環式でもよい、非環状置換基または芳香族置換基をいう。用語「非環状」は、従来的に、芳香族環状部分に対して脂肪族環状部分の意味で使用され、単環式でも二環式でもまたは多環式でもよい。
「ヘテロ原子含有アルキル基」(また、「ヘテロアルキル」基とも呼ばれる)または「ヘテロ原子含有アリール基」(「ヘテロアリール」基とも呼ばれる)における用語「ヘテロ原子含有」は、1つ以上の炭素原子が炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素、代表的には窒素、酸素または硫黄)と置換された分子、連結または置換基をいう。同様に、用語「ヘテロアルキル」とは、ヘテロ原子のアルキル置換基をいい、用語「ヘテロ環式」とは、ヘテロ原子含有の環状置換基をいい、用語「ヘテロアリール」および用語「ヘテロ芳香族」は、それぞれ、ヘテロ原子含有の「アリール」および「芳香族」置換基をいう、などである。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N−アルキル化アミノアルキルなどである。ヘテロアリール置換基の例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられ、ヘテロ原子含有非環式基の例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノなどが挙げられる。
そうでないことを示さない限り、用語「ヒドロカルビル」は、置換され、かつ/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル部分を意味する。「ヒドロカルビル」とは、一価のヒドロカルビルラジカルをいい、1〜約30の炭素原子を含み、好ましくは1〜約24の炭素原子を含み、最も好ましくは1〜約12の炭素原子を含み、直鎖状、分枝状、環状、飽和および非飽和の種類が挙げられ、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基などである。用語「低級ヒドロカルビル」は、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子のヒドロカルビル基を意味し、そして用語「ヒドロカルビレン」は、二価のヒドロカルビル部分は、1〜約30の炭素原子を含み、好ましくは1〜約24の炭素原子を含み、最も好ましくは3〜約12の炭素原子を含み、直鎖状、分枝状、環状、飽和および非飽和の種類が挙げられる。用語「低級ヒドロカルビレン」は、1〜6の炭素原子のヒドロカルビレンを意味する。「置換されたヒドロカルビルとは、1つ以上の置換基を有する置換されたヒドロカルビルをいい、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」および「ヘテロヒドロカルビル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されたヒドロカルビルをいう。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基と置換されたヒドロカルビレンをいい、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」および「ヘテロヒドロカルビレン」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子と置換されたヒドロカルビレンをいう。そうでないことを示さない限り、用語「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビレン」とは、直鎖状、分枝状、環状、飽和および非飽和のヒドロカルビルおよびヒドロカルビレンを、それぞれ含む。
上述の定義の幾つかにおいて意味する「置換されたヒドロカルビル」「置換されたアルキル」「置換されたアリール」などにおける「置換された」は、ヒドロカルビル、アルキル、アリール、または他の部分において、炭素(または他の)原子に結合した少なくとも1つの水素原子が、1つ以上の非水素置換基と置換されることを意味する。このような置換基の例としては、非限定で、以下が挙げられる:本明細書中の他所で、「Fn」と呼ばれる官能基(例えば、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニロキシ、C〜C20アルキニロキシ、C〜C24アリールオキシ、アシル(C〜C20アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC〜C24アリールカルボニル(−CO−アリール)が挙げられる)、アシルオキシ(−O−アシル)、C〜C20アルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C〜C24アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−XここでXはハロである)、C〜C20アルキルカルボナート(−O−(CO)−O−アルキル)、C〜C24アリールカルボナート(−O−(CO)−O−アリール)、カルボキシ(−COOH)、カルボキシラート(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、一置換C〜C24アルキルカルバモイル(−(CO)−NHC〜C20アルキル))、ジ−置換アルキルカルバモイル(−(CO)−N(C〜C20アルキル))、モノ−置換アリールカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ、(−C≡N)、イソシアノ(−N≡C)、シアナート(−O−C≡N)、イソシアナート(−O−N≡C)、イソチオシアナート(−S−C≡N)、アジド(−N=N+=N−、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノ−(C〜C20アルキル)−置換アミノおよびジ−(C〜C20アルキル)−置換アミノ、モノ−(C〜C24アリール)−置換アミノ、C〜C20アルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C〜C24アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NHここでR=水素、C〜C20アルキル、C〜C24アリール、C〜C24アルカリル、C〜C24アラルキルなど)、アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)、ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリルなど)、アリールイミノ(−CR=N(アリール)、ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリルなど)、窒素(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SO−OH)、スルホナート(−SO−O)、C〜C20アルキルスルファニル(−S−アルキル;「アルキルチオ」とも呼ばれる)、アリールスルファニル(−S−アリール;「アリールチオ」とも呼ばれる)、C〜C20アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C〜C24アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C〜C20アルキルスルフォニル(−SO−アルキル)、C〜C24アリールスルフォニル(−SO−アリール)、ホスホノ(−P(O)(OH))、ホスホナート(−P(O)(O−))、ホスフィナート(−P(O)(O−))、ホスホ(−PO)、およびホスホノ(−PH);およびヒドロカルビル部分C〜C20アルキル(好ましくはC〜C18アルキル、より好ましくはC〜C12アルキル、最も好ましくはC〜Cアルキル)、C〜C20アルケニル(好ましくはC〜C18アルケニル、より好ましくはC〜C12アルケニル、最も好ましくはC〜Cアルケニル)、C〜C20アルキニル(好ましくはC〜C18アルキニル、より好ましくはC〜C12アルキニル、最も好ましくはC〜Cアルキニル)、C〜C24アリール(好ましくはC〜C14アリール)、およびC〜C24アラルキル(好ましくはC〜C16アラルキル)。さらに、上述の官能基は、特定の基が許容される場合、さたに1つ以上のさらなる官能基で置換されるか1つ以上の特に上で列挙されたヒドロカルビル部分と置換される。
用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマー、ターポリマーなどを含み、そして本明細書においてコポリマーは、ブロックコポリマー、改変コポリマー、およびランダムコポリマーを含む。
用語「置換された」が、可能な置換基のリストの前に見られる場合、これは、用語がその基の全てのメンバーに適用されることを意味する。例えば、語句「置換されたアルキルおよびアリール」は、「置換されたアルキルおよびアリール」を意味する。
本明細書中の分子構造において、太線および破線(dashed line)の使用は、IUPAC協定に従う基の特定の構造を示す。破線(broken line)で示された結合は、この分子が描かれる一般図の下側にあり(「α」立体構造)、太線で示された結合は、この分子が描かれる一般図の上側にある(「β」立体構造)。
従って、本発明は、開環遷移重合反応を実行するための方法を提供し、この開環遷移重合反応において、重合プロセス全体を通して大きくなるポリマー鎖の末端が有機金属触媒に結合したままである。触媒は、式(I)
Figure 2005534777
を有する8族遷移金属アルキリデン錯体であり、ここで、種々の置換基は、以下である。
+2酸化状態において遷移金属中心として寄与するMは、8族遷移金属であり、好ましくはルテニウムまたはオスミウムである。特に好ましい実施形態において、Mは、ルテニウムである。
およびXは、個別の配位子であり、同一または異なっていてもよく、または互いに結合して環状基を形成し、従って、二座の配位子であり、代表的には、必須ではないが、5〜8員環である。好ましい実施形態において、XおよびXは、それぞれ独立して、水素、ハライド、または以下の基のうちの1つである:C〜C20アルキル、C〜C24アリール、C〜C20アルコキシ、C〜C24アリールオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C24アリールオキシカルボニル、C〜C24アシル、C〜C24アシロキシ、C〜C20アルキルスルホナート、C〜C24アリールスルホナート、C〜C20アルキルスルファニル、C〜C24アリールスルファニル、Cl〜C20アルキルスルフィニルまたはC〜C24アリールスルフィニル。必要に応じて、XおよびXは、以下から選択されるつ以上の部分と置換される:C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C24アリールおよびハライドであり、これらは、ハライドを除き、つ以上の以下から選択される基でさらに置換され得る:ハライド、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびフェニル。より好ましい実施形態において、XおよびXは、ハライド、ベンゾエート、C〜Cアシル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、フェノキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルスルファニル、アリール、またはC〜C
アルキルスルフォニルである。より好ましい実施形態において、XおよびXは、それぞれハライド、CFCO、CHCO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレートまたはトリフルオロメタン−スルホネートである。最も好ましい実施形態において、XおよびXは、それぞれクロリドである。
およびLは、中性電子供与体配位子、および式(I)において説明され、Lにおける原子は、結合Qを介して間接的にアルキリデン官能基に結合し、ここでQは、少なくとも1、好ましくは少なくとも2、最も好ましくは少なくとも4のスペーサー原子を鎖内に含む。Qは、ヒドロカルビレン(例えば、C〜C20アルキレン、C〜C20アルケニレン、C〜C20アルキニレン、C〜C24アリーレン、C〜C24アルカリレン、またはC〜C24アラルキレン)、置換ヒドロカルビレン(例えば、置換C〜C20アルキレン、C〜C20アルケニレン、C〜C20アルキニレン、C〜C24アリーレン、C〜C24アルカリレンまたはC〜C24アラルキレン)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン(例えば、C〜C20ヘテロアルキレン、C〜C20へテロアルケニレン、C〜C20ヘテロアルキニレン、C〜C24ヘテロアリーレン、ヘテロ原子含有C〜C24アラルキレン、またはヘテロ原子含有C〜C24アルカリレン)、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン(例えば、置換C〜C20ヘテロアルキレン、置換C〜C20ヘテロアルケニレン、置換C〜C20ヘテロアルキニレン、置換C〜C24ヘテロアリーレン、置換ヘテロ原子含有C〜C24アラルキレンまたは置換ヘテロ原子含有C−C24アルカリレン)である。好ましいQ結合は、C〜C18アルケニレンおよびC〜C18アルケニレン、好ましくはC〜C12アルキレンおよびC〜C12アルケニレンである。
代表的に、必須ではないが、Lは、以下で詳細に説明されるように中性電子供与体配位子に強く配位し、そしてLは、より弱く配位する電子供与体配位子である(例えば、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル(環状エーテルを含む)、チオエーテル(環状チオエーテルを含む)、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、および必要に応じて置換されたヘテロ環状基)。後者のL部分は、一般に、5または6員の単環式基であり、1〜4、好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2のヘテロ原子を含む。ヘテロ環式基が置換されている場合、配位ヘテロ原子上で置換されているべきではなく、そしてヘテロ環式基の任意の1つの環状部分は、一般に、3つ以上の置換基で置換されない。このようなL基の例としては、非限定で以下を含む:
窒素含有複素環(例えば、ピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ビピリダミン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、ピロール、2H−ピロール、3H−ピロール、ピラゾール、2H−イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、インドール、3H−インドール、1H−イソインドール、シクロペンタ(b)ピリジン、インダゾール、キノリン、ビスキノリン、イソキノリン、ビスイソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピラゾリジン、キヌクリジン、イミダゾリジン、ピコリリミン、プリン、ベンズイミダゾール、ビスイミダゾール、フェナジン、アクリジン、およびカルバゾール);
硫黄含有複素環(例えば、チオフェン、1,2−ジチオール、1,3−ジチオール、チエピン、ベンゾ(b)チオフェン、ベンゾ(c)チオフェン、チオナフテン、ジベンゾチオフェン、2H−チオピラン、4H−チオピラン、およびチオアントレン);
酸素含有複素環(例えば、2H−ピラン、4H−ピラン、2−ピロン、4−ピロン、1,2−ダイオキシン、1,3−ダイオキシン、オキセピン、フラン、2H−1−ベンゾピラン、クマリン、クマロン、クロメン、クロマ−4−オン、イソクロメン−1−オン、イソクロメン−3−オン、キサンチン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、およびジベンゾフラン):ならびに
混合複素環(例えば、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、3H−1,2,3−ジオキサゾール、3H−1,2−オキサチオール、1,3−オキサチオール,4H−1,2−オキサジン,2H−1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2,5−オキサチアジン、o−イソオキサジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ピラノ[3,4−b]ピロール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、アントラニル、およびモルホリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
複素環Lリガンドとしては、芳香族窒素含有かつ酸素含有複素環が好ましく、必要に応じて1〜3個、好ましくは、1〜2個の置換基で置換された単環式N−ヘテロアリールリガンドが特に好ましい。特に好ましい複素環Lリガンドの特定の例は、ピリジンおよび置換ピリジン(例えば、3−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン、3,5−ジブロモピリジン、2,4,6−トリブロモピリジン、2,6−ジブロモピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、3,5−ジクロロピリジン、2,4,6−トリクロロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、4−ヨードピリジン、3,5−ジヨードピリジン、3,5−ジブロモ−4−メチルピリジン、3,5−ジクロロ−4−メチルピリジン、3,5−ジメチル−4−ブロモピリジン、3,5−ジメチルピリジン、4−メチルピリジン、3,5−ジイソプロピルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,4,6−トリイソプロピルピリジン,4−(tert−ブチル)ピリジン,4−フェニルピリジン、3,5−ジフェニルピリジン、3,5−ジクロロ−4−フェニルピリジンなど)である。
一般的に、複素環L2リガンドには、以下から選択される任意の置換基が存在する:ハロ、C−C20アルキル、置換C−C20アルキル、C−C20ヘテロアルキル、置換C−C20ヘテロアルキル、C−C24アリール、置換C−C24アリール、C−C24ヘテロアリール、置換C−C24ヘテロアリール、C−C24アルカリル、置換C−C24アルカリル、C−C24ヘテロアルカリル、置換C−C24ヘテロアルカリル、C−C24アラルキル、置換C−C24アラルキル、C−C24ヘテロアラルキル、置換C−C24ヘテロアラルキル、および適した官能基を有する官能基が挙げられ、これらの適した官能基としては、C−C20アルコキシ、C−C24アリールオキシ、C−C20アルキルカルボニル、C−C24アリールカルボニル、C−C20アルキルカルボニルオキシ、C−C24アリールカルボニルオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C24アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル、C−C20アルキルカルボナート、C−C24アリールカルボナート、カルボキシ、カルボキシラート、カルバモイル、モノ−(C−C20アルキル)−置換カルバモイル、ジ−(C−C20アルキル)−置換カルバモイル、ジ−N−(C−C20アルキル)、N−(C−C24アリール)−置換カルバモイル、モノ−(C−C24アリール)−置換カルバモイル、ジ−(C−C24アリール)−置換カルバモイル、チオカルバモイル、モノ−(C−C20アルキル)−置換チオカルバモイル、ジ−(C−C20アルキル)−置換チオカルバモイル、ジ−N−(C−C20アルキル)−N−(C−C24アリール)−置換チオカルバモイル、モノ−(C−C24アリール)−置換チオカルバモイル、ジ−(C−C24アリール)−置換チオカルバモイル、カルバミド、ホルミル、チオホルミル、アミノ、モノ−(C−C20アルキル)−置換アミノ、ジ−(C−C20アルキル)−置換アミノ、モノ−(C−C24アリール)置換アミノ、ジ−(C−C24アリール)置換アミノ、ジ−N−(C−C20アルキル),N−(C−C24アリール)−置換アミノ、C−C20アルキルアミド、C−C24アリールアミド、イミノ、C−C20アルキルイミノ、C−C24アリールイミノ、ニトロ、およびニトロソが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、2つの隣接した置換基は、一緒になって、環(一般的には、必要に応じて1〜3個のヘテロ原子および1〜3個の上記置換基を含む五員環または六員環の脂環式環またはアリール環)を形成し得る。
複素環Lリガンドに対する置換基としては、ハロ、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12ヘテロアルキル、置換C−C12ヘテロアルキル、C−C14アリール、置換C−C14アリール、C−C14ヘテロアリール、置換C−C14ヘテロアリール、C−C16アルカリル、置換C−C16アルカリル、C−C16ヘテロアルカリル、置換C−C16ヘテロアルカリル、C−C16アラルキル、置換C−C16アラルキル、C−C16ヘテロアラルキル、置換C−C16ヘテロアラルキル、C−C12アルコキシ、C−C14アリールオキシ、C−C12アルキルカルボニル、C−C14アリールカルボニル、C−C12アルキルカルボニルオキシ、C−C14アリールカルボニルオキシ、C−C12アルコキシカルボニル、C−C14アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル、ホルミル、アミノ、モノ−(C−C12アルキル)−置換アミノ、ジ−(C−C12アルキル)−置換アミノ、モノ(C−C14アリール)−置換アミノ、ジ−(C−C14アリール)−置換アミノおよびニトロが好ましいが、これらに限定されない。
前記の内、最も好ましい置換基は、ハロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、フェニル、置換フェニル、ホルミル、N,N−ジC−Cアルキルアミノ、ニトロおよび上記の窒素複素環(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピラジン、ピリミジン、ピリジン、ピリダジンなどが挙げられる)である。
なおより好ましい実施形態において、Lは、化学式PRのホスフィンであって、ここで、R、RおよびRはそれぞれ独立に、アリールまたはC−C10アルキル、特に第一級アルキル、第二級アルキルまたはシクロアルキルである。最も好ましい実施形態において、Lは、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、またはフェニルジメチルホスフィンであって、トリシクロヘキシルホスフィンおよびトリシクロペンチルホスフィンが特に好ましい。
例えば、Grubbsらの米国特許第5,312,940号に開示されるように、X、X、L、L、L、RおよびRの内の任意の2個以上(代表的には、2個、3個、または4個)が一緒になって、環状基を形成する。X、X、L、L、L、RおよびRのいずれかが結合して環状基を形成する場合、これらの環状基は、五員環または六員環であり得るか、または2個または3個の五員環または六員環を含み得、これらは、融合されていても、結合されていてもよい。環状基は、脂肪族または芳香族であり得、そして、ヘテロ原子含有であってもよく、そして/または置換され得る。環状基はまた、いくつかの場合、二座リガンドまたは三座リガンドを形成し得る。二座リガンドの例としては、ビスホスフィン、ジアルコキシド、アルキルジケトネートおよびアリールジケトネートが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい触媒では、Lは、化学式(II)の構造を有するカルベンリガンドであって、
Figure 2005534777
ここで、L1中の原子は、化学式(I)に示されるように、結合Qを介してアルキリデン部分に間接的に結合している。化学式(II)では:
XおよびYは、代表的に、N、O、SおよびPから選択されるヘテロ原子である。OおよびSは、二価であるので、XがOまたはSである場合、Pは必然的に0であって、そして、YがOまたはSである場合、qは必然的に0である。しかし、XがNまたはPである場合、pは1であって、そして、YがNまたはPである場合、qは1である。好ましい実施形態では、XとYの両方がNである。
、Q、QおよびQは、リンカー(例えば、ヒドロカルビレン(置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンおよび置換へテロ原子含有ヒドロカルビレン(例えば、置換および/またはヘテロ原子含有アルキレン)を含む))または−(CO)−であって、w、x、yおよびzは独立に、0または1であって、このことは、各リンカーが任意であることを意味する。好ましくは、w、x、yおよびzは、全て0である。さらに、Q内の隣接する原子上に2つ以上の置換基は、結合して、さらに環状基を形成し得る。
、R4A、RおよびR5Aは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換へテロ原子含有ヒドロカルビルから独立に、選択される。
例えば、Grubbsらの米国特許第5,312,940号に開示されるように、任意の2個以上のX、X、L、R、R4A、RおよびR5Aが結合される場合、結合Qによって形成される環状基に加えて、触媒中には、さらなる環状基が存在し得る。X、X、L、R、R4A、RおよびR5Aのいずれかが結合して環状基を形成する場合、これらの環状基は、五員環または六員環であり得るか、または2個または3個の五員環または六員環を含み得、これらは、融合されていても、結合されていてもよい。環状基は、脂肪族または芳香族であり得、そして、ヘテロ原子含有であってもよく、そして/または、この節のパート(I)に説明されるように、置換され得る。環状基は、いくつかの場合、二座リガンドまたは三座リガンドを形成し得る。二座リガンドの例としては、ビスホスフィン、ジアルコキシド、アルキルジケトネートおよびアリールジケトネートが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例としては、−P(Ph)CHCHP(Ph)−、−As(Ph)CHCHAs(Ph)−、−P(Ph)CHCHC(CFO−、ビナフトレートジアニオン、ピナコレートジアニオン、−P(CH(CHP(CH−および−OC(CH(CHCO−が挙げられる。二座リガンドとしては、−P(Ph)CHCHP(CH−および−OC(CH(CHCO−が好ましい。三座リガンドとしては、(CHNCHCHP(Ph)CHCHN(CHが挙げられるが、これに限定されない。他の好ましい三座リガンドは、X、X、L、L、R、およびR(例えば、X、L、およびL)のいずれか3つが、一緒になって、シクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニルになった三座リガンドであって、これらは、必要に応じて、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、またはC−C20アルキルスルフィニルで置換され、これらは、それぞれさらに、C−Cアルキルハロゲン化物、ハロゲン化物、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシで任意に置換したC−Cアルコキシ基またはフェニル基で置換され得る。より好ましくは、この形式の化合物では、X、LおよびLは一緒になって、シクロペンタジエニル、またはインデニルであって、それぞれ必要に応じて、ビニル、C−Cl0アルキル、C−C20アリール、C−C10カルボン酸塩、C−C10アルコキシカルボニル、C−C10アルコキシ、または必要に応じてハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシで置換したフェニル基で置換される。最も好ましくは、X、LおよびLは、一緒になって、シクロペンタジエニルであり得、これは、必要に応じてビニル、水素、メチルまたはフェニルで置換され得る。四座リガンドとしては、OC(CHP(Ph)(CHP(Ph)(CHCO、フタロシアニンおよびポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
また、X、X、L、R、R4A、RおよびR5Aは直接的に、または間接的に支持体に結合され得る。
好ましくは、R4AおよびR5Aは結合して、カルベンリガンドが化学式(III)の構造を有するような環状基を形成し、
Figure 2005534777
ここで、RおよびRは上に定義したとおりであって、好ましくは、1個〜約5個の環の脂肪族環、または芳香族環、および必要に応じて1個以上のヘテロ原子および/または置換基を含有する1個〜約5個の環の脂肪族環、または芳香族環であるRおよびRの少なくとも1個、ならびに、より好ましくは、RおよびRの両方を有する。Qは、リンカーであって、代表的には、ヒドロカルビレンリンカーであって、置換ヒドロカルビレンリンカー、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカー、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカーが挙げられ、Q内の隣接する原子上の2個以上の置換基は、結合して、さらなる環状構造を形成し得、その環状構造は、同様に置換されて、2個〜約5個の環状基の融合多環構造を提供し得る。
としての中性電子供与体リガンド(II)を含有する好ましい遷移金属錯体は、化学式(IV)の構造を有するが、Lとしての中性電子供与体リガンド(III)を含有する好ましい遷移金属錯体は、化学式(V)の構造を有する:
Figure 2005534777
より好ましい実施形態において、Qは、構造−CR1920−R2122−または−CR19=CR21を有する2個の原子の結合であって、この錯体が化学式(VI)または(VII)の構造を有するためには、後者が好ましく、
Figure 2005534777
Figure 2005534777
ここで、R19、R20、R21、およびR22は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよび本明細書中、上に定義される官能基から独立に選択される。ここでの官能基の例としては、必要に応じて、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、C−C20アリール、ヒドロキシ、スルフヒドリル、ホルミル、およびハロゲン化物から選択される1個以上の部分で置換されたカルボキシル、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アシルオキシ、C−C20アルキルチオ、C−C20アリールチオ、C−C20アルキルスルフォニル、およびC−C20アルキルスルフィニルが挙げられる。あるいは、R19、R20、R21、およびR22の内の任意の2個は、結合して一緒になって、置換または未置換、飽和または不飽和環構造(例えば、C−C12脂環式基、またはCもしくはCアリール基)を形成し得、これは、それ自体が、例えば、結合するか、もしくは融合した脂環式基もしくは芳香族基、または他の置換基で置換され得る。
が、芳香族基である場合、必ずしも1個または2個の芳香族環からなるわけではないが、代表的には、1個または2個の芳香族環からなり、それらは、置換されていても置換されていなくてもよく、例えば、Rは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニルなどであり得る。1つの好ましい実施形態において、R4は、構造(VIII)を有し、
Figure 2005534777
ここで、R23、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素、C−C20アルキル、置換C−C20アルキル、C−C20ヘテロアルキル、置換C−C20ヘテロアルキル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、C−C20ヘテロアリール、C−C30アラルキル、C−C30アルカリルまたはハロゲン化物である。好ましくは、R23、R24、およびR25は、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、C−C14アリール、置換C−Cl4アリールまたはハロゲン化物である。より好ましくは、Rは、メシチル、ジイソピノカンフェニル、または、2,4,2’,6’−テトラメチルビフェニリルであって、そして、最も好ましくは、Rは、メシチルである。
従って、本発明の好ましい、代表的な触媒は、化学式(IX)の構造を有することが理解され、
Figure 2005534777
ここで、jは、1〜6を含む範囲の整数であって、最も好ましくは、3であって、そして、M、L、X、X、R23、R24、およびR25は、上に定義され、そして、好ましくは、MはRuであって、Lはトリ置換ホスフィン(例えば、トリシクロヘキシルホスフィン)であって、XおよびXは、ハロゲン化物(例えば、塩化物)であって、そして、R23、R24、およびR25は、低級アルキル、特にメチルである。これらの触媒は、新規の化学的構成要素を示し、上記のように本明細書中で、特許請求される。
本発明と関連して有用な触媒は、錯体(L(X)M=CHPhから合成され得、M、L、X、およびXは、上に定義されるとおりであって、そして、Phは、フェニルである。使用された手順は、Furstnerら、(2002)Chem.−Eur.J.7:3236に記載される手順の改変である。一般論として、オレフィン炭素原子を、脱離基(例えば、臭素置換基)で置換したシクロオレフィン前駆体を、凝縮条件下で、以下の一般的スキームに従って、錯体(L(X)M=CHPhと接触させる。
スキーム1:
Figure 2005534777
ここで、LGは、脱離基を表す。より特異的な実施例では、開始物質1−メシチル−3−(7−オクテン)−イミダゾールブロミド(1)は、メシチルイミダゾールを、8−ブロモオクテンで凝縮し、生じる塩を脱プロトン化することによって、調製される。次いで、(1)を、リガンド置換反応中の錯体(L(X)M=CHPhと接触させ、その後、希釈し、中間体(XII)を生じる分子内環化に影響するように、加熱し、灌流する。この反応は、スキーム2に示され、実施例1のフェニルメチレンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−ルテニウムジクロライド(X=X=Cl;M=Ru;L=PCy)を使用して実証される。
スキーム2:
Figure 2005534777
これらの触媒は、重合条件下で、環状オレフィンと組み合わされる場合、連続的環挿入複分解重合を可能にし、環状基Qは、ますます大きくなり、重合反応の間、触媒から脱離しない。
一般的に、環状オレフィンは、化学式(XV)の構造によって表され得、
Figure 2005534777
ここで、RおよびJは、以下のとおりである:
は、水素、ヒドロカルビル(例えば、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C30アラルキル、またはC−C30アルカリル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換C−C20ヘテロアルキル、C−C20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C−C30アラルキル、またはヘテロ原子含有C−C30アルカリル)からなる群から選択され、置換ヒドロカルビルまたは置換へテロ原子含有ヒドロカルビルである場合、置換基は、官能基(「Fn」)(例えば、ホスホネート、ホスホリル、ホスファニル、ホスフィノ、スルホネート、C−C20アルキルスルファニル、C−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルフォニル、C−C20アリールスルフォニル、C−C20アルキルスルフィニル、C−C20アリールスルフィニル、スルフォンアミド、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシル、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシレート、メルカプト、ホルミル、C−C20チオエステル、シアノ、シアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル、シリル、シリルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナート、ボリル、またはハロゲン、または金属含有基もしくは准金属含有基(金属は、例えば、SnまたはGeであり得る)であり得る。Rは、それ自体、前述の基の1つであり得、従って、Fn部分は、この構造に示したオレフィン炭素原子に直接結合している。しかし、後者の場合、官能基は、一般的に、1つ以上の非共有電子対を含有するヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子)、または電子富化金属または准金属(例えば、Ge、Sn、As、Sb、Se、Teなど)を介しては、オレフィン炭素に直接結合しない。このような官能基と一緒に、通常、Rが構造−(Z)−Fnであって、ここで、kが1であって、Fnが官能基であって、そしてZがヒドロカルビレン結合基(例えば、アルキレン結合、置換アルキレン結合、ヘテロアルキレン結合、置換ヘテロアルケン結合、アリーレン結合、置換アリーレン結合、ヘテロアリーレン結合または置換へテロアリーレン結合)であるように、介在性結合Zが存在する。
Jは、飽和または不飽和ヒドロカルビレン結合、置換ヒドロカルビレン結合、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン結合、または、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン結合であって、代表的には、3〜20個の炭素原子、好ましくは、3〜10個の炭素原子の飽和未置換ヒドロカルビレン結合である。Jが置換ヒドロカルビレンまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンである場合、この置換基としては、1つ以上の−(Z)−Fn基が挙げられ得、ここで、kは0または1であって、そして、FnおよびZは上に定義したとおりである。さらに、Jの中の環状炭素原子(または他の原子)に結合した2個以上の置換基は、結合して、二環式オレフィンまたは多環式オレフィンを形成し得る。Jは、単環式オレフィンに関しては、一般的に、約5〜14個、代表的には、5〜8個の範囲の環原子を含み、二環式オレフィンおよび多環式オレフィンに関しては、それぞれの環は、一般的に、4〜8個、代表的には、5〜7個の環原子を含む。
構造(XV)に含まれる不飽和単環オレフィン反応物質は、構造(XVI)によって表され得、
Figure 2005534777
ここで、bは、必ずしもそうではないが、一般的には、1〜10の範囲の整数、代表的には1〜5の範囲の整数であって、Rは、上に定義され、R、R、R、R10、R11およびR12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよび−(Z)−Fnからなる群から独立に選択され、ここで、k、ZおよびFnは、上に定義されるとおりであって、R部分〜R12部分のいずれかが、置換ヒドロカルビルまたは置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである場合、その置換基は、1つ以上の−(Z)−Fn基を含み得る。従って、R、R、R、R10、R11およびR12は、例えば、水素、ヒドロキシル、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、アミノ、アミド、ニトロなどであり得る。さらに、R7−R12部分のいずれかは、R7−R12部分の他のいずれかに結合し、二環式オレフィンまたは多環式オレフィンを提供し得、そして、この結合としては、ヘテロ原子または官能基を含み得、例えば、この結合としては、エーテル部分、エステル部分、チオエステル部分、アミノ部分、アルキルアミノ部分、イミノ部分または無水物部分が挙げられ得る。
不飽和単環式オレフィンの例は、構造(XV)に含まれ、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、オクタシクロデセンおよびシクロエイコセン、ならびにこれらの置換種(例えば、1−メチルシクロペンテン、1−エチルシクロペンテン、1−イソプロピルシクロヘキセン、1−クロロペンテン、1−フルオロシクロペンテン、1−メチルシクロペンテン、4−メトキシ−シクロペンテン、4−エトキシ−シクロペンテン、シクロペント−3−エン−チオール、シクロペント−3−エン、4−メチルスルファニル−シクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロオクテン、1,5−ジメチルシクロオクテンなどが制限なく挙げられる。
本方法と関連した有用な環状オレフィンモノマーは、未置換モノオレフィン、特に、低系統(low−strain)未置換cis−モノオレフィン(例えば、cis−シクロペンテン、cis−シクロヘプテン、cis−シクロオクテン、cis−シクロノネン、cis−シクロデセン、cis−シクロウンデセン、およびcis−シクロドデセンであって、cis−シクロオクテンが最も好ましい。
構造(XV)に含まれる単環式ジエン反応物質は、構造(XII)によって、一般的に表され得、
Figure 2005534777
ここで、cおよびdは、独立に、1〜約8の範囲の整数、代表的には、2〜4の範囲の整数、好ましくは、2(反応物質が、シクロオクタジエンになるように)であって、Rは、上に定義され、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、R〜R12に関して定義されるとおりである。単環式ジエン反応物質の例としては、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、5−エチル−1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5,9−トランス−シス−トランス−シクロドデカトリエン、およびこれらの置換アナログが制限なく、挙げられる。好ましい単環式ジエンは、1,5−シクロオクタジエン(COD)および1,5,9−トランス−シス−トランス−シクロドデカトリエン(CDT)である。トリエン反応物質は、ジエン構造(XVII)に対するアナログであって、そして、一般的に、任意の2つのオレフィン断片の間に、少なくとも1つのメチレン結合を含む。不飽和単環式オレフィンを用いる代表的ポリマー化反応は、以下のように模式的に示され得る。
スキーム3:
Figure 2005534777
上記分子構造では、jは、上に定義されるとおりであって、mは、3〜約20の範囲、好ましくは、6〜10の範囲の整数であって、nは、ポリマー化の間に、組み込まれる環状オレフィンモノマーの数である。スキーム4に示されるように、水素付加後の錯体からの大環状ポリマーの放出によって、環状ポリエチレンを生じる。
スキーム4:
Figure 2005534777
ポリマー化は、約30℃〜約100℃またはそれより高い温度の範囲の温度で、より好ましくは、約35℃〜約85℃の範囲の温度で、最も好ましくは、約40℃〜約60℃の範囲の温度で、触媒を、バルクで、または溶液中で、環状オレフィンモノマーと合わせることにより開始される。好ましくは、この反応は、攪拌される(agitated)(例えば、攪拌される(stirred))。この反応の進行は、標準的技術(例えば、核磁気共鳴分光法)によって、モニタリングされ得る。ポリマー化反応にしようされ得る溶媒の例には、ポリマー化条件の下では、不活性な有機溶媒、プロトン性溶媒または水性溶媒が含まれ得、例えば、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、脂肪族炭化水素、アルコール、水、またはこれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒は、ハロゲン化炭化水素溶媒であって、最も好ましい溶媒は、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、およびこれらの混合物)である。ポリマー化は、好ましくは、不活性な雰囲気下で、乾燥器中で実施され、そして、ポリマー化時間は、特定のモノマー、触媒、および所望の環状ポリマー産物の分子量に依存して変動するが、一般的には、4〜20時間の次数で、必要とする。実質的に直鎖の混入物を含まない、すなわち、1mol%未満含み、好ましくは、0.1mol%未満含み、最も好ましくは、0.01%未満含む、大環状ポリマーを得るために、環状オレフィンモノマーは、非環式不純物を全く含まないべきである。
唯一のモノマーとしてシス−シクロオクテンを用いた本発明の代表的な重合反応は、図1に示される。図1に示されるように、触媒錯体上で増大化する大環状分子への、このモノマーの連続的付加/挿入によって、重合プロセスが進行し、そして中間大環状分子錯体(この図中に(3)として示される)は、分子内連鎖移動を起こして、環状オレフィンモノマー(図中に環状ポリオクテナマーとして示される)を生成する。
都合の良いことに、この反応は、「ワンポット」重合として行われ得る、すなわち、どんな直鎖状(もしくは他の)中間体も単離する必要はない。望ましい分子量に依存して、重合は、このポリマーを沈殿させるのに有効な溶媒の添加によって、何時でも終了され得る。例えば、ポリオクテナマー(これは、jが3であり、かつmが6である場合、模式図3によって調製される)に関しては、アセトンもしくはメタノールの添加は、このポリマーを沈殿させ、それによってこの重合反応を終了させる。
次いで、沈殿したポリマーは、濾過もしくは他の従来の手段によって単離され得る。高分子量の環状ポリマーが調製され得、これは、少なくとも150kD(好ましくは、少なくとも500kD)の数平均分子量Mを有する。本プロセスは、特に、初期のモノマー濃度が十分に高い場合(例えば、シクロオクテンについては、トルエン中に少なくとも0.25Mである場合)、1000kD以上、さらには1200kD以上の分子量を有するポリオクテナマーおよび環状ポリエチレンの調製を、事実上可能にした。ポリマーはまた、2.3以下の多分散性指数(PDI)(一般的には、約1.5〜約2.0の範囲)で得られ得る。カラムクロマトグラフィーもしくは他の手段によって、80%を超える触媒が重合から回収され得ることもまた、注意されるべきである。
所望される場合、重合は、固相合成技術を用いて固体支持体上で行われ得る。代表的な基質は、固相化学反応で従来用いられる基質であり、そしてこの基質は、その上での化学合成を可能にする。基質を構築するために有用な材料に関する唯一の制限は、この基質が、それが曝された重合反応条件に適合しなければならないということである。本発明の方法を実施するのに有用な適切な基質としては、有機ポリマーおよび無機ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン)、金属酸化物(例えば、シリカ、アルミナ)、混合された金属酸化物、金属ハロゲン化物(例えば、塩化マグネシウム)、鉱物、石英、ゼオライト、などが挙げられる(しかし、これに限定されない)。他の基質材料は、当業者にとって明白である。
ポリマー合成と回収に続いて、提供されたオレフィンポリマーが、従来の手段を用いて、例えば、標準的なH/Pd/C手順を介してか、またはトシルヒドラジン分解(Hahn(1992)J.Polym.Sci.Polym.Chem.30:397を参照のこと)を介して、水素化され得る。一般に、どちらの手順も、Hおよび13C NMRスペクトロスコピーによって決定され得るように、99%を超えるポリマー主鎖中のオレフィン官能性の水素化をもたらす。
2つ以上の異なる環状オレフィンモノマーを重合反応に用いて、大環状分子コポリマーが調製され得ることもまた、注意されるべきである。
(実験)
以下の実施例においては、使用される数値(例えば、量、温度、など)に関する精度を保つよう努力したが、ある程度の実験誤差および変動をみなすべきである。他に示さない場合、温度は℃であり、そして圧力は大気圧であるか、もしくは大気圧付近である。
全ての化学試薬を、Aldrichから購入し、そしてPerrinおよびArmarego、Purification of Laboratory Chemicals、第4版(Oxford,Butterworth−Heinemann,1996)の指針に従って、使用前に精製した。Buechiロータリーエバポレータ上で、減圧条件下で有機溶液を濃縮した。使用前に、水素化カルシウムからメチレンクロライドを蒸留した。
記載したように、Hおよび13C NMRスペクトルを、Varian Mercury 300スペクトロメータ上で記録した(それぞれ、300MHzおよび75MHz)、そしてこれを、残存プロチオ溶媒シグナルの内的な基準とする。H NMRに関するデータは、以下のように報告する:化学シフト(δppm)、多重度(s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、br=広範)、カップリング定数(Hz)、積分および代入。13C NMRに関するデータは、化学シフト(δppm)に関して報告する。全NMRスペクトルを、CDClもしくはDMSO−dで記録した。Perkin Elmerスペクトロメータ上で、IRスペクトルを記録した、これを吸収周波数(cm−1)に関して報告する。UC Irvine Mass Spectral facilityから、質量スペクトルを得た。Hewlett−Packard 1100 Seriesクロマトグラフ上で、Chiralpak ADカラム(0.46×25cm)およびADガード(0.46×5cm)を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を実施した。Jasco P−1010旋光計(WI lamp、589nm、25℃)を用いて、旋光性を得た。
一般手順A:重合手順を、窒素充填ドライボックス内、CHCl中で、45℃で行った。丸底フラスコにモノマーおよび溶媒(あれば)を加えた。次いで、ルテニウムアルキリデン触媒を添加した。このフラスコを密閉して、12時間45℃に加熱した。この時間が過ぎた時、冷えたアセトンもしくはメタノールを加えて、ポリマーを沈殿させた。次いで、このポリマーを濾過によって回収し、動的な減圧下で乾燥させ、そして計量した。ゲル透過クロマトグラフィー、光散乱、固有粘度測定、Hおよび13C NMRスペクトロスコピー、および熱重量分析によって、ポリマー特徴化を実施した。
(実施例1)
(代表的な触媒合成)
以前に報告された手順(Furstnerら、(2002)、上記)の「ワンポット」改変を用いて、環状ルテニウムアルキリデン錯体を調製した。この合成を、模式図5に示す:
模式図5:
Figure 2005534777
8−ブロモオクテンとともにメシチルイミダゾールを濃縮することによって、1−メシチルー3−(7−オクテン)−イミダゾールブロマイドを、ほぼ定量的収量で最初に調製した。結果として得られた塩を、テトラヒドロフラン(THF)中の(TMS)NK(TMS=テトラメチルシリル)(1.2当量)を用いて、−30℃で30分間、脱プロトン化して(1)を生成し、これに続いて、0℃で、Ru錯体(PCyClRu=CHPh(Cy=シクロヘキシル)の0.02M(トルエン)溶液への、インラインカニューレ移送を行った。この溶液へは、室温でゆっくり導入し、そして1時間後、Hおよび31P NMRスペクトロスコピーによって、配位子の置換が完了していることを決定した。次いで、この反応混合物をn−ペンタンで1μMに希釈し、そして2時間加熱して還流させ、分子内環化を引き起こした。カラムクロマトグラフィー(溶出液として、ヘキサン/ジエチル3:1)による精製は、77%の単離収量で、環状錯体(2)を生成した。この環状錯体に関するスペクトロスコピーデータは、以前に報告された合成と一致する(Furstnerら、(2002)、上記を参照のこと)。
(実施例2)
(環状ポリマーの合成)
実施例1で調製したルテニウムアルキリデン錯体(2)を、一般手順Aに従って、環状ポリオクテナマーの合成を触媒するために使用した。図1Aに模式的に示されるように、45℃での、CHCl溶液中のシス−シクロオクテンモノマーへの(2)の添加により重合が開始する。結果として得られた大環状分子錯体、中間体(3)は、分子内連鎖移動反応を起こして環状ポリマーを生成し、かつ触媒(2)を、その元の形態に再生する。
さらなる精製工程は必要ない。1200kDまでの数平均分子量(M)を有する種々のポリマーを、初期モノマー/触媒比、および/もしくは初期モノマー濃度を変動させることによって調製する。0.2Mよりも小さい初期モノマー濃度が用いられる場合は、低分子量の環状オリゴマー(MW<2kD)のみが得られる。全ての場合、結果として得られたポリマーの多分散性指数(PDI)は、およそ2.0であった。
(実施例3)
(環状ポリオクテナマーと対応する直鎖状ポリマーとの比較)
調製されたポリオクテナマーの環状構造は、種々の特徴化技術を用いて確認される。比較のため、以前に報告された手順(図1Bに模式的に示される)を用いて、同様の分子量およびPDIを有する一連の直鎖状ポリオクテナマーを合成した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(図2および図3)は、物理的により緻密な環状ポリマーは、より少ない流体力学的容量を有し(すなわち、後で溶出する)、かつ直鎖状アナログより低い固有粘度を有する([η]環状/[η]直鎖状=0.4)ことを示した。SEC−粘度計装置を用いて、30℃でTHF中において、粘度の測定を実施した。得られた比率0.4は、適切な溶媒中における環状ポリマーおよび直鎖状ポリマーに関する理論値(W.Burchard,in Cyclic Polymers(Elsevier Applied Science,London,1986),pp.43−84)と一致した。さらに、マルク−ホウインクのプロット(logη対logM)(図3)は、これらの効果が配座の違いに関係するという可能性を除外した。なぜなら、どちらのポリマーも、溶液中ではランダムなコイルとして挙動するようにみえた(マルク−ホウインクのパラメータは、どちらの場合でも0.7であった)からである。環状ポリマーおよび直鎖状ポリマーの平方自乗平均(RMS)半径(<Rg0.5)を、多角光散乱検出器と連動したSECを用いて測定した。対応する比<R 環状/<R 直鎖状は、理論値(Zimmら、(1949)J.Chem.Phys.17:1301を参照のこと)によって予測されるように、広範な分子量において、およそ0.5であることが分かった(図2C)。
任意の単離された環状ポリマー中においては、末端基は、核磁気共鳴(NMR)スペクトルで観察され得ない。ポリマー主鎖中のオレフィンの幾何学的構造は、主にトランス(約66%)であると決定された。マトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF)を用いて得られた、質量スペクトルにおけるシグナルは、110.2(C12)の倍数であって、残りのシグナルは、マトリックスイオンに対してのみ等しかった。
これらの特徴化技術は、合成されたポリマーの環状化に対する強力な物理的証拠を提供するが、化学的方法からも同様に、さらなる証明が得られる。1,2−ジオールを含有する基質が、過剰のJone’s試薬(CrO/HSO、K.B.Wiberg,Oxidation in Organic Chemistry,Academic Press,New York,1965を参照のこと)の添加により、炭素−炭素結合の切断を起こして、対応するビス−カルボキシル酸種を精製することが知られている。シス−シクロオクテンのROMPの間に少量の1,2−ジオール−5−シクロオクテンを添加することによって、平均で1つの1,2−ジオール基/ポリマー鎖のみを含有する、直鎖状ポリオクテナマー(MW=35kD;PDI=1.8)および環状ポリオクテナマー(MW=9kD;PDI=1.9)を得た([1,2−ジオール−5−シクロオクテン]/[シス−シクロオクテン]=25;CHCl中[全モノマー]=0.5M)。直鎖状ポリオクテナマーおよび環状ポリオクテナマーを独立にJone’s試薬と反応させた後、得られたポリマーを、過剰のアセトンによって沈殿させ、そして回収した。1,2−ジオール含有環状ポリオクテナマーの切断は、同様の多分散性を有するがより大きい見かけ上の分子量(14kD対9kD)を有する、ポリマーをもたらす(図4Aおよび図4B)。直鎖状ポリマーが、環状アナログよりも大きな流体学的量を有するということから、分子量の増加が予期される。対照的に、直鎖状ポリオクテナマーの切断によって得られたポリマーは、ほぼ半分に分けられた見かけ上の分子量を示すだけでなく、より多分散性である見かけ上の分子量を示す。無限に長い鎖中への切断可能な基の連続的分布およびランダムな分布を仮定することによって、切断後に、PDIが4/3倍に増加すると算出された。
(実施例4)
(環状ポリオクテナマーの水素化および環状ポリエチレンの特徴化)
標準的なH/Pd/C手順もしくはトシルヒドラジン分解(Hahn(1992)J.Polym.Sci.Polym.Chem.30:397)のいずれかを用いて、実施例2で調製された環状ポリオクテナマーを水素化した。Hおよび13C NMRスペクトロスコピーによって決定されるように、いずれの手順も、99%を超えるポリオクテナマー主鎖中のオレフィンの水素化をもたらした。図5は、ポリマーの分子量に対する平均平方半径(<Rg2>)を示す。示差走査熱分析(DSC)を用いて、高分子量(MW200kD)の環状ポリエチレンの熱特性と同様の分子量の直鎖状アナログの熱特性とを比較した(図6)。環状ポリマーは、直鎖状アナログ(T=130℃;T=113℃)と比較した場合、わずかに高い融点(T=132℃)、および結晶化点(T=115℃)を有する。等量の直鎖状および環状のポリエチレンを混合し、ともに200℃で融解させ、次いで徐々に冷却し(1℃/分で25℃まで)、そしてアニーリングした(150℃、36時間)場合、以降のサーマルサイクリング上でも、それらの特徴的T点およびT点を再度観察した。しかし、等量の2つの試料を熱したキシレン中で溶解し、続いて急速に溶媒を蒸発させた場合、融点および結晶化点の低下を観察した(T=127℃;T=110℃)。おそらく、高分子量鎖の低い移動度(ポリマーの絡み合いおよび/もしくはねじ込み(threading)によって引き起こされる)は、長期のアニーリング下においてさえ、相分離を妨げる。これらの結果は、環状ポリエチレンおよび直鎖状ポリエチレンは、相適合性ではなく、そして互いに対して夾雑物として有効に挙動するということを示唆する。比較のために挙げると、相分離は、直鎖状ポリエチレンおよび高度に分枝したポリエチレンの混合物において生じることが知られている(>8分枝/100炭素主鎖) ;Wignallら、(2000),Macromolecules 33:551、およびその参考文献を参照のこと。
(実施例5)
(表面位相幾何分析/フィルムの調製)
低分子量(MW およそ10kD)の環状ポリエチレンおよび直鎖状ポリエチレンの薄いフィルムをキシレンから鋳造し、そしてそれらの水との界面接触角を以下の文献の方法に従って測定した(Kwokら、(1999)Adv.Colloid Interface Sci.81:167を参照のこと)。環状ポリマーから構成されるこのフィルムは、その直鎖状アナログの接触角(θ=96±2°)よりもより大きな接触角(θ=105±2°)を示し、このことは、水との干渉は、環状ポリマーの表面上においてより小さいことを示す。直鎖状ポリマーの末端基の表面への移動は、環状ポリマーよりも異なる干渉位相幾何を形成すること、したがって接触角ヒステリシスをもたらし得ることを予期させる。高分子量(約200kD)の環状ポリオクテナマーと直鎖状ポリオクテナマーとの間にθの差は観察され得なかった、このことは、表面位相幾何が末端基の有無に関わらず影響されることを示唆する。
(実施例6)
(CODからの環状ポリブタジエンの合成および生成物の特徴化)
モノマーのCHCl溶液に、45℃で触媒(2)を添加することによって、CODのROMPを開始した。12時間後、冷えたアセトンもしくはメタノールによる沈殿と、それに続く濾過とによって、ポリマーを単離した。初期のモノマー/触媒(2)比もしくは初期のモノマー濃度を変動させることによって、ある範囲の分子量を有するポリマーを調製した(表1参照)。全ての場合において、ポリマー生成物の多分散性指数(PDI)が、2.0付近であることが分かった。オレフィン転移重合における大規模な連鎖移動は、高い転換でPDIが2.0であることが予測される、段階的増大化重合(step−growth polymerization)(Ivin,K.J.;Mol,J.C.Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization;Academic Press:London,1997を参照のこと)に近い。希釈された条件(<0.1M)下での重合は、低MWオリゴマーのみの形成をもたらした。CODの臨界モノマー濃度は、以前に、25℃で約0.25Mであると決定された(Suterら、(1988)Makromol.Chem.189:1603およびHockerら、(1980)J.Mol.Catal.8:191)。
(表1:モノマーとして1,5−シクロオクタジエンを用いた、ポリブタジエンの合成)
Figure 2005534777
ポリマーの環状の性質を、種々の技術を用いて調べ、同様のMWの直鎖状アナログと比較した。直鎖状ポリブタジエンは、直鎖状触媒を、(IMes)(PCy)ClRu=CHPh(4)およびROMP技術(Bielawskiら、(2000)Angew.Chem.,Int.(編)39:2903、およびFrenzelら、(2000)J.Organoniet.Chem.606:8に記載される)を用いて調製した。予測されたように、末端基は、錯体(y)を用いて調製された低MW(約2.3kDa)の試料におけるHおよび13C NMRスペクトロスコピーによって観測不可能であった。CODもしくはCDTのいずれかをモノマーとして用いて調製されたポリブタジエンの微小構造は、Hおよび13C NMRスペクトロスコピーによって決定されたように、主にトランス(65%)オレフィン幾何を有する1,4−位置異性体のみを含有した。環状ポリブタジエンの代表的なスペクトロスコピーのデータは:H NMR(300MHz、CDCl):%o5.42(CH、trans)、5.38(CH、cis)、2.07(CH、cis)、2.04(CH、trans);13C NMR(75MHz、CDCl):%o130.0、129.9、129.5、129.3、32.8、32.8、32.7、27.5であった。MALDI−MSスペクトルにおける質量ピークを、マトリックスイオンと等しい残りのピークとともに、54.1Da(C)で分離した。環状ポリマーおよび直鎖状ポリマーの固有粘度(「η」)を、差動粘度計と連動したサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、MWの範囲ごとに測定した。予測されたように(Burchard,W.in Cyclic Polymers;Semlyen,J.A.(編);Elsevier Applied Science:London,1986;pp 43−84)、低MWの範囲においては、環状ポリマーはその直鎖状アナログよりも粘度が低かった。しかし、MWが増加するのに従って、2つのポリマーの粘度は近づき、最終的には互いに重複した。このことは、環状ポリマーが、その直鎖状アナログに混入されたことを示唆する。
以前に報告された環状ポリブタジエンの合成は、1,2−ブタジエンの活発なアニオン性重合、およびそれに続く分子内環状化反応を含む(Rooversら、(1988)J.Polym.Sci.、パートB:Polym.Phys.26:1251およびRoovers(1989)Rubber Chem.Technol.62:33を参照のこと)。このようなアニオン性重合に関連する固有感度は、直鎖状ポリマーによる試料の汚染をもたらす。さらに、ポリブタジエンの微小構造(1,2−位置異性体対1,4−位置異性体)が反応条件(例えば、溶媒、温度、添加剤、など)に大きく依存するため、その制御は課題を残している。対照的に、本発明のアプローチは、厳密に空気、水分を排除する必要、もしくは高度に精製した溶媒の必要がないため、これらの障害を克服する。
(実施例7)
(CDTからの環状ブタジエンの合成および生成物の特徴化)
1,5,9−トランス−シス−シクロドデカトリエン(CDT)もまた、購入可能であり、4VCを含まず、そしてROMPを介して1,4−ポリブタジエンをまた提供することから、環状ポリブタジエンを調製するためにモノマーとして使用される。CODおよびCDTは、Ni−触媒による1,3−ブタジエンのオリゴマー形成を通して、工業的に合成される。4VCの形成は、不可避の副反応である。さらなる詳細については:Gerhartz,W.Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry;VCH:Weinheim,Federal Republic of Germany,1985を参照のこと。ROMPを使用したCDT重合の例としては、Thorn−Csanyiら、(1995)Macromol.Chem.Phys.196:1043)を参照のこと。重合を、一般手順Aに従って実施した。CDTをモノマーとして使用する場合(重合条件:CHCl中[CDT/(2)]=500、[CDT]=2.0M,45℃、12時間)、この環状ポリマーの「η」は、測定された分子量全体に渡って、その直鎖状アナログよりも低かった。さらに、サイズ排除クロマトグラフィーにおいて、環状ポリマーが、その直鎖状アナログよりも遅れて溶出したことが分かった。このことは、ポリマーが環を形成するというさらなる証拠を提供した。
実施例6に記載されたCODのROMPと同様に、CDTから調製されたポリブタジエンの分子量を、初期のモノマー/触媒比もしくは初期のモノマー濃度を変動させることによって調製し得た(表2参照)。重合プロセスへの機械的洞察(mechanistic insight)を得ることを助けるため、ガスクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびH NMRスペクトロスコピーの組み合わせを用いて、CDTのROMPの動態をモニタリングした。モノマーの消費は、同時に生じるポリマー分子量の急速な増大化を伴って、極度に速かった(τ1/2約10分)。しかし、平均MWが、時間とともにその後ゆっくりと減少し、そして最終的には約12時間後にプラトーに達したことから、脱重合は明白であった。加えて、ポリマー主鎖中の平均オレフィン幾何は、時間とともにゆっくりと増加して、約65%のトランス異性体を表した。さらに、得られたポリマーのPDIは、平衡状態に制御された重合において代表的である2.0付近であった。
(表2:1,5,9−トランス−シス−トランス−シクロドデカトリエンをモノマーとして用いた、ポリブタジエンの合成)
Figure 2005534777
図1Aおよび図1Bは、開環遷移重合を用いた環状ポリオクテナマーの合成および直鎖状ポリオクテナマーの合成(実施例2および3で考察される)をそれぞれ図解する。 図1Aおよび図1Bは、開環遷移重合を用いた環状ポリオクテナマーの合成および直鎖状ポリオクテナマーの合成(実施例2および実施例3で考察される)をそれぞれ図解する。 図2および図3は、環状および直鎖状のアナログポリマーの、サイズ排除(size−exclusion)クロマトグラムである(実施例2および実施例3で考察される)。 図2および図3は、環状および直鎖状のアナログポリマーの、サイズ排除(size−exclusion)クロマトグラムである(実施例2および実施例3で考察される)。 図4Aおよび図4Bは、切断されて直鎖状ポリマーを形成する環状ポリオクテナマーの分子量特性および直鎖状ポリオクテナマーの分子量特性をそれぞれ示す。 図4Aおよび図4Bは、切断されて直鎖状ポリマーを形成する環状ポリオクテナマーの分子量特性および直鎖状ポリオクテナマーの分子量特性をそれぞれ示す。 図5は、直鎖状ポリオクテナマーおよび環状ポリオクテナマーの平均二乗半径(<Rg>)対 分子量のプロットを示す(実施例4で考察される)。 図6は、(a)環状ポリエチレン(M約200kD);(b)融解させ(200℃)、25℃まで冷却し、次いで36時間アニールした環状ポリエチレンおよび直鎖状ポリエチレンの等量の混合物;(c)事前にキシレンに溶解し、溶媒を除去した環状ポリエチレンおよび直鎖状ポリエチレンの等量の混合物;(d)直鎖状ポリエチレン(M約200kD)について窒素雰囲気下で10℃/分の加熱速度および冷却速度で、行った示差走査熱分析サーモグラムを示す。

Claims (22)

  1. 環挿入重合反応を介して環状ポリマーを合成する方法であって、該方法は、環状オレフィンモノマーと、触媒作用的に有効な量の、既知のサイズの環状基を含有する遷移金属アルキリデン錯体とを組み合わせて、反応混合物を提供する工程を包含し:これによって、該環状オレフィンモノマーが該環状基へと連続的に挿入し、該錯体からの何らかの直鎖状化学種の分離なしに、段階的な様式で該環状基のサイズを増加させ;そして、該遷移金属アルキリデン錯体上での重合の完了に続いて、分子内連鎖移動反応によって、該環状ポリマーが、該錯体から放出される、方法。
  2. 前記反応が、液相中で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応混合物に、溶媒が添加される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記環状オレフィンモノマーが溶媒として作用し、そしてさらなる溶媒が前記反応混合物に添加されない、請求項2に記載の方法。
  5. 前記反応混合物に沈殿化溶媒を添加することによって、前記環状ポリマーを沈殿させる工程を、さらに包含する、請求項2に記載の方法。
  6. 濾過によって、前記沈殿したポリマーを単離する工程を、さらに包含する、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記遷移金属アルキリデン錯体が、(I)式
    (I)
    Figure 2005534777
    の構造を有し、ここで:
    Mが、8族遷移金属であり;
    およびLが、中性電子供与体配位子であり;
    およびXがアニオン性配位子であって、一緒になって単一の二座配位子を形成し得;そして、
    Qが、必要に応じて置換されたC−C20アルキレン、C−C20アルケニレン、C−C20アルキニレン、C−C24アリーレン、C−C24アルカリレン、およびC−C24アラルキレン結合、ならびに/または必要に応じてヘテロ原子を含有するC−C20アルキレン、C−C20アルケニレン、C−C20アルキニレン、C−C24アリーレン、C−C24アルカリレン、およびC−C24アラルキレン結合から選択される結合であり、
    ここで、LおよびLが互いに一緒にか、またはXもしくはXと一緒に、環状基を形成し得、そしてさらにここで、X、X、LおよびL、R、ならびにRのいずれかが、固体支持体に結合され得る、
    方法。
  8. Mが、RuもしくはOsである、請求項7に記載の方法。
  9. Mが、Ruである、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、ここで:
    が、カルベン配位子であり;
    が、ホスフィン、スルホン化されたホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、置換されたピリジン、イミダゾール、置換されたイミダゾール、ピラジン、およびチオエーテル、から選択され;そして、
    およびXが、水素、ハロゲン化物、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アリールオキシカルボニル、C−C20アシル、C−C20アシルオキシ、C−C20アルキルスルホナト、C−C20アリールスルホナト、C−C20アルキルスルファニル、C−C20アリールスルファニル、C−C20アルキルスルフィニル、またはC−C20アリールスルフィニル、から独立に選択され、ここで、水素およびハロゲン化物を除くこれらのいずれかが、必要に応じてさらに、ハロゲン化物、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、およびフェニル、から選択される1つ以上の基によって置換され;そして、
    Qが、C−C18アルキレンもしくはC−C18アルケニレンである、
    方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、ここで:
    が、N−複素環式カルベン配位子であり;
    が、式PRのホスフィン配位子であって、ここでR、R、およびRが、それぞれ独立にアリールもしくはC−C10アルキルであり;
    およびXが、ハロゲン化物、CFCO、CHCO、CFHCO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CH)・CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート、およびトリフルオロメタンスルホネート、から独立に選択され;そして、
    Qが、C−C12アルキレンもしくはC−C13アルケニレンである、
    方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記遷移金属アルキリデン錯体が、(IX)式
    (IX)
    Figure 2005534777
    の構造を有し、ここで、jが1と6を含む1〜6の範囲の整数であり、XおよびXがハロゲン化物であり、そしてR23、R24、およびR25が低級アルキルである、方法。
  13. jが3であり、XおよびXが塩化物であり、そしてR23、R24、およびR25が低級アルキルである、請求項12に記載の方法。
  14. (IX)式の構造を有する、遷移金属アルキリデン錯体であって、
    (IX)
    Figure 2005534777
    ここで:
    jが1と6を含む1〜6の範囲の整数であり;
    Mが、8族遷移金属であり;
    が、中性電子供与体配位子であり、かつXおよびXがアニオン性配位子であって、ここで、L、XおよびXのいずれか2つが、一緒になって単一の二座配位子を形成し得;そして、
    23、R24、およびR25がメチルである、
    遷移金属アルキリデン錯体。
  15. 環状炭化水素ポリマーであって、直鎖状の夾雑物を実質的に含まず、かつ少なくとも約150kDの数平均分子量を有する、環状炭化水素ポリマー。
  16. 少なくとも約500kDの数平均分子量を有する、請求項15に記載のポリマー。
  17. 少なくとも約1000kDの数平均分子量を有する、請求項16に記載のポリマー。
  18. 少なくとも約1200kDの数平均分子量を有する、請求項17に記載のポリマー。
  19. 環状ポリオクテナマーを含有する、請求項15に記載のポリマー。
  20. 環状ポリエチレンを含有する、請求項15に記載のポリマー。
  21. 環状ポリブタジエンを含有する、請求項15に記載のポリマー。
  22. 請求項15に記載のポリマーを含有し、かつ少なくとも1つの第二のポリマーを含有する、ポリマーブレンド。
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