JP2005533086A - 心臓血管疾患に関連する、分泌ポリペプチド種 - Google Patents

心臓血管疾患に関連する、分泌ポリペプチド種 Download PDF

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Abstract

本発明は、配列番号1〜10のアミノ酸配列を含む、新規ヒト分泌ポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、心臓血管疾病の患者の血漿中でレベルが増加して、循環する。本発明はまた、ポリペプチド、それらをコードしているポリヌクレオチド、およびこれらのポリペプチドに対して特異的な抗体を含む組成物を提供する。そのような組成物を作製する方法、および心臓血管疾病の診断、予後および処置のための、本発明の組成物を用いる方法も提供される。

Description

技術分野
本発明は、好ましくは心臓血管疾病を持つ患者において分泌される活性ポリペプチド種、そのようなポリペプチドをコードしている単離ポルヌクレオチド類、その多型変異体、および心臓血管疾病診断、および薬物開発のための、検出アッセイにおける、前記核酸およびポリペプチド、またはその組成物の使用に関する。
背景技術
心臓血管疾病は、工業化社会のいたる所で、主要な健康のリスクである。冠動脈疾患(Coronary Artery Disease: CAD)は、アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)、または動脈の硬化(hardening of the arteries)によって特徴づけられる。アテローム性動脈硬化症は、心臓血管疾患で、もっとも一般的であり、心臓麻痺、発作および四肢壊疽の主な原因であり、米国における主な死因である。アテローム性動脈硬化症は、多くの細胞型および分子因子が関与する複雑な疾患である(たとえば、Ross,1993,Nature 362:801−809にて記述されている)。正常の環境下では、繊維脂肪および脂肪性障害またはプラークの形成からなる、動脈壁の内皮および平滑筋細胞(SMC)への損傷に対する保護応答が進行し、炎症に伴う。動脈硬化の発達した病変は、対象の動脈をふさぎえ、多数の異なった形の損傷に対する、過剰な炎症−繊維保護応答の結果であり得る。血管内皮の損傷または不全は、個体で、アテローム性動脈硬化心臓血管疾患の発達を加速させる多くの条件の共通した特徴である。
アテローム性動脈硬化症プラークは、該血管を狭め、血液の流れを制限し、結果として虚血を引き起こす。虚血は、不十分な潅流のために、器官組織における酸素供給の欠如によって特徴づけられる。そのような不完全な潅流は、アテローム性動脈硬化性および再狭窄性障害、貧血または発作を含む、多くの天然の原因を持ち得る。心臓における虚血のもっともありふれた原因は、心外膜側冠動脈のアテローム性動脈硬化性疾患である。これらの血管の内腔の減少によって、アテローム性動脈硬化症は、基底状態での心筋潅流の完全な減少を引き起こし、または流れに対する要求が増加した場合に、潅流の適切な増加を制限する。冠状動脈血流はまた、動脈血栓、けいれん、およびまれに冠動脈塞栓によって、ならびに、梅毒大動脈炎による、口狭窄によって制限され得る。肺動脈からの左前下降冠動脈の異常起源のような先天性異常は、幼年期での心筋虚血および梗塞を引き起こし得るが、しかしこの原因は、大人では非常にまれである。
心筋虚血はまた、高血圧または大動脈狭窄による、重度の心室肥大でのような、心筋酸素要求量が異常に増加した時にも起こる可能性がある。後者は、冠動脈アテローム性動脈硬化症によって引き起こされたものからは区別できない狭心症と共に存在し得る。非常に重度の狭心症、またはカルボキシ−ヘモグロビンの存在下でのような、血液の酸素運搬能力の減少が、心筋虚血のまれな原因である。まれではなく、左心室肥大による酸素要求量の増加、および冠動脈アテローム性動脈硬化症への二次的な酸素供給の減少のような、2つまたはそれ以上の虚血の原因が共存し得る。
大規模な臨床試験により、心臓血管疾病のリスクを増加させる因子が同定された。年齢、性別および家系のような、これらのリスク因子のいくつかは、変更不可能である。他のリスク因子には、以下の、喫煙、高血圧、高脂肪および高コレステロール食、糖尿病、運動不足、肥満およびストレスが含まれる。
運がいいことに、多くの関与する因子は、生活スタイルの変更を通して制御可能である。喫煙者に対する、心臓疾患疾病のリスクは、非喫煙者のそれよりも2倍である。個体が喫煙をやめた時に、どれくらい過去に喫煙していたかにかかわらず、疾病を発達させるそのリスクは即座に減少する。血清コレステロールレベルは、心臓血管疾病の有病率に直接関係し、高血圧または高い血圧が重要なリスク因子である。種々の機構を介した心臓血管疾病を発達させるリスクを減少させるために、運動が要求されてきた。運動は、心筋酸素供給を増加させ、酸素要求量を減少させ、心筋収縮およびその電気的インパルス安定性を改善する。酸素要求量および心筋運動の減少が、安静時の心拍数および血圧の低下に反映される。運動はまた、冠動脈の直径および引き延ばし能力を増加させ、側副動脈形成を増加させ、冠動脈アテローム性硬化の進展速度を減少させる。肥満および血清脂肪酸が運動によって減少する。
安静時の心臓血管疾病の顕著な症状は存在しないが、胸部圧迫感のような症状が、活動またはストレスの増加と共に起こり得る。現れ得る他の第一兆候は、胸やけ、悪心、吐き気、しびれ感、息切れ、重い冷汗、原因不明疲労および不安感覚である。心臓血管疾病のより重度な症状は、胸痛(狭心症)、調律異常(不整脈)、発作または心臓麻痺(心筋梗塞)である。発作および心臓麻痺は、それぞれ脳および心臓組織における、動脈の閉塞の結果である。症状が広範囲なので、選択された試験および処置は、1人の患者から他の患者まで非常に異なる可能性がある。
心臓血管疾病の程度および重症度を決定するために有用な診断試験には、心電図(EKG)、ストレス試験、核医学検査、冠動脈血管造影法、安息時EKG、EKG多重相情報診断インデックス(EKG Multiphase Information Diagnosis Indexes)、ホルター(Holter)モニタ、遅延電位、EKGマッピング、心エコー図、タリウムスキャン、PET、MRI、CT、血管造形図およびIVUSが含まれる。さらなるリスク因子測定および有用な診断は、共通であり、医学の当業者によってもっともよく適用される。疾患の重症度に応じて、多くの異なる治療アプローチが存在する。多くの人に対して、心臓血管疾病は、生活スタイルの変化および医療によって管理される。より重度な診断によって、手術の必要性が示唆され得る。
虚血性アテローム性動脈硬化症の処置に対する手術アプローチには、バイパス移植、冠動脈血管形成術、レーザー血管形成術、アテローム切除術、動脈内膜切除、および経皮カテーテル血管形成術(PCTA)が含まれる。閉塞が再発し、しばしば悪化さえする、再狭窄によるこれらのアプローチ後の失敗率は、非常に高い(30〜50%)。再狭窄のほとんどが、さらなる炎症、平滑筋集積、および血栓症によるのは明らかである。心臓血管疾患に対するさらなる治療的アプローチには、虚血性心臓および四肢疾患のような条件下での血管新生を促進する処置が含まれる。
ほとんどのCADおよび心臓血管疾病症状が非特異的な性質を持つので、確実な診断を難しくする。より定量的な診断方法は、個体間、および個々の個体の読み取り間両方での、変動から影響を被る。したがって、診断的測定は、標準化され、よく記録された、広範囲な医療歴を持つ個体に対して適用されるべきである。さらに、現在の診断方法はしばしば、該観察または読み取りに関して、根本にある原因を明らかにしない。したがって、特定の陽性の結果に基づいた治療戦略は、よく原因の問題を解決せず、個体に対して有害ですらある可能性がある。
ヌクレオチド検出に基づく診断の方法には、遺伝的アプローチおよび発現プロファイリングが含まれる。たとえば、心臓血管疾病に関連すると知られている遺伝子が、シークエンシング、ハイブリッド形成に基づく技術またはPCRのような、共通の遺伝子型特定技術を用いて、変異に関してスクリーニングされ得る。他の例では、公知の遺伝子からの発現が、RTPCR、種々のハイブリッド形成に基づく技術、およびシークエンシングを含む、標準の技術によってトラックされ得る。これらの戦略では、実施者は、しばしば、mRNAプロセシングおよびスプライシング、翻訳率、mRNA安定性、およびタンパク質分解処理、リン酸化、糖付加およびアミデーションのような翻訳後修飾での差違を検出することが不可能である。
心臓血管疾病に関する本技術分野の診断状態における、現在の弱点を解決するために、本発明は、対照血漿と比較して、冠動脈疾患(Coronary Artery Disease)の患者からの血漿で、異なって増加する、特異的血清ポルペプチドを提供する。実際のポリペプチド種を提供することによって、mRNAプロセシングおよびスプライシング、転写率、mRNA安定性およびタンパク質分解処理、リン酸化、糖付加およびアミデーションのような翻訳後修飾での差異が明らかになる。本発明のポリペプチドはしたがって、「心臓血管疾病血漿ポリペプチド(anti−Cardiovascular disorder Plasma Polypeptide; CPP)」またはCPPsと記述される。これらのポリペプチド配列は、配列番号1〜10として記述され、また、表1のトリプシン消化ペプチドから選択された少なくとも1つのアミノ酸配列を含むものである。
本発明は、冠動脈疾患(CAD)の個体から得られた血漿中、より高いレベルで存在する、「心臓血管疾病血漿ポリペプチド(Cardiovascular disorder Plasma Polypeptides; CPPs)」、CPPsの断片および翻訳後修飾種を開示している。したがって、本発明のCPPsは、CAD、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(発作)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および他の心臓血管疾患のリスクを決定するための、重要な診断ツールを表している。CPPsは、分泌因子であり、それ自体は、簡単に検出可能であり、心臓血管疾患の薬剤開発、診断、および予防のために有用である。
発明の要約
本発明は、好ましくは、心臓血管疾病の患者からの血漿中で増加する、分泌、活性ポリペプチド種に関する。これらのポリペプチド種は、本明細書で、「心臓血管疾病血漿ポリペプチド(Cardiovascular disorder Plasma Polypeptides)」またはCPPsと記述される。そのような心臓血管疾病血漿ポリペプチドは、配列番号1〜10からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む。配列番号2および4は、それぞれCPP10および11の成熟ポリペプチド配列を表している。組成物には、CPP前駆体、モノクローナル抗体、およびそれより由来する他の結合組成物を含むCPPsに特異的な抗体が含まれる。さらに、これらの組成物を作製する、および使用する方法が含まれる。本発明の前駆体には、未修飾前駆体、配列番号1〜10のタンパク質分解前駆体、および配列番号1〜10のアミノ酸配列中の、他のタンパク質分解部位からの中間体が含まれる。
本発明の好ましい実施様態には、リン酸化、糖付加、アセチル化、アミデーションのような翻訳後修飾、またはC−、N−またはO−結合糖基を持つCPPsが含まれる。分子内または分子間相互作用、たとえばより高次の構造となる、ジスルフィドおよび水素結合を持つCPPsがさらに好ましい。また、異なるmRNAプロセシングまたはスプライシングからのCPPsが好ましい。好ましくは、CPPsは、心臓血管疾病の個体からの血漿中に存在する、翻訳後修飾種、構造変異体、またはスプライシングバリアントを表している。
他の観点において、本発明は、配列番号1〜10からなる群より選択した配列と、少なくとも75パーセント同一の配列を含むCPPsを含む。好ましくは、本発明は、配列番号1〜10から選択された配列の任意の1つと、少なくとも80パーセント、好ましくは少なくとも85パーセント、またより好ましくは少なくとも90パーセント同一性を持つプリペプチドを含む。もっとも好ましくは、配列番号1〜10からなる群より選択された配列に、少なくとも95パーセント同一の配列を含むポリペプチドを含む。
他の観点において、本発明は、少なくとも2パーセントの選択された集団での頻度を持つ、CPPsの天然バリアントを含む。より好ましくは、そのような天然のバリアントは、少なくとも5パーセントの、またより好ましくは少なくとも10パーセントの、選択集団での頻度を持つ。もっとも好ましくは、そのような天然のバリアントは、少なくとも20パーセントの、選択集団での頻度を持つ。選択された集団は、集団遺伝学の領域での試験の、任意の認識された集団であり得る。好ましくは、選択された集団は、白人種(Caucasian)、黒人種(Negroid)またはアジア人(Asian)である。より好ましくは、フランス人、ドイツ人、イギリス人、スペイン人、スイス人、日本人、中国人、アイルランド人、韓国人、シンガポール人、アイスランド人、北アメリカ人、アラビア人、トルコ人、ギリシャ人、イタリア人、ポーランド人、太平洋諸島系人、フィンランド人、ノルウェー人、スウェーデン人、エストニア人、オーストリア人またはインド人である。より好ましくは、選択された集団は、アイスランド人、サーミ人、フィンランド人、白人が先祖のフランス人、スイス人、中国人が先祖のシンガポール人、韓国人、日本人、ケベック人、北アメリカピーマインディアン、アーミッシュ派ペンシルバニア人、アーミッシュ派メノナイト、ニューファンドランド人、またはポリネシア人である。
本発明の好ましい観点は、単離CPP、すなわち、CPPから有意に異なる等電点または有意に異なる見かけ分子量を持つ、タンパク質またはタンパク質イソ型から遊離したCPPを含む組成物を提供する。CPPの等電点および分子量は、アフィニティーおよびサイズに基づく分離クロマトグラフィー、2次元ゲル解析および質量分析によって示唆され得る。
好ましい実施様態において、本発明は、配列番号1〜10からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む、特定のポリペプチド種を提供する。好ましくは、特定のポリペプチド種はさらに、配列番号2または4からの連続アミノ酸配列を含む。好ましい種は、i)配列番号5〜10からなる群より選択されたアミノ酸配列を含み、ii)心臓血管疾病の個体からの血漿中で、より高いレベルでみられ、iii)任意に、配列番号1または2のポリペプチドのタンパク質分解プロセシングからの結果である、ポリペプチドである。
さらなる観点にて、本発明は、改変CPPsを含む。そのような改変には、保護/ブロッキング基、抗体分子または他の細胞リガンドへの結合、タンパク質の検出および単離を可能にさせるための、酵素的、蛍光、同位性、またはアフィニティラベルのような検出可能な標識が含まれる。化学的改変は、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元またはツニカマイシンの存在下での代謝合成を限定はしないが含む、公知の技術によって実施し得る。
また、本発明によって、ポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増加、免疫原性の減少のような、さらなる利点を提供し得る、本発明のポリペプチドの化学的に改変した誘導体が提供される(たとえば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングルコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー)。CPPsは、分子内の無作為な位置で、または分子内の先に決められた位置で、改変され、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の連結化学部位を含み得る。
他の実施様態において、本発明は、i)CPP生物学的活性の試験モジュレーターを、配列番号1〜10からなる群より選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させること、ii)前記CPP生物学的活性のレベルを検出すること、およびiii)前記CPP生物学的活性のレベルを、前記試験モジュレーターを欠く対照試料のものと比較すること、の段階を含む、少なくとも1つのCPP生物学的活性のモジュレーターを同定する方法を提供する。CPPタンパク質生物学的活性のレベルにおける差が減少する場合、試験モジュレーターは、少なくとも1つのCPP生物学的活性のインヒビターである。CPP生物学的活性のレベルにおける差が増加する場合、前記試験物質は、少なくとも1つのCPP生物学的活性のアクチベーターである。
他の観点において、本発明には、本発明のCPPをコードしているポリヌクレオチド、配列番号1〜10からなる群より選択されるアミノ酸配列を持つポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド、診断および解析アッセイ(たとえばPCR、ハイブリッド形成に基づく技術)のための、CPP遺伝子配列と相補的なオリゴヌクレオチド、およびCPPsを発現するためのベクターが含まれる。
他の観点において、本発明は、CPPをコードしているDNAを含むベクターを提供する。本発明にはまた、そのようなベクターを含む、宿主細胞およびトランスジェニック非ヒト動物が含まれる。CPPまたはCPP前駆体を作製する方法もまた提供される。1つの好ましい方法には、(a)上記で開示した発現ベクターを含む宿主細胞を提供すること、(b)前記宿主細胞を、それによってDNA断片が発現する条件下で培養すること、および(c)DNA区画によってコードされたタンパク質を回収すること、が含まれる。他の好ましい方法には、(a)CPPを発現可能である宿主細胞を提供すること、(b)前記宿主細胞を、前記CPPの発現を許容する条件下で培養すること、および(c)前記CPPを回収すること、の段階が含まれる。1つの実施様態にて、発現ベクターはさらに、DNA区画に動作可能に連結した分泌シグナル配列を含み、細胞は、培養培地中にタンパク質を分泌し、タンパク質を、培地から回収する。CPPを作製するとりわけ好ましい方法には、表題「CPP組成物の化学製造(Chemical Manufacture of CPP compositions)」および実施例4中で記述したように、標準のペプチド合成技術を用いた、化学合成が含まれる。
他の観点にて、本発明は、以上で記述したポリペプチド、ペプチド断片またはペプチドのいずれかに特異的な、単離抗体を含む。好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。さらに好ましくは、CPPに排他的に結合する抗体であり、すなわち、高い親和性を有する他のポリペプチドを認識しない抗体である。抗−CPP抗体は、精製および診断適用される。精製および診断のための好ましい抗−CPP抗体は、標識基と結合する。診断に関して、好ましいCPP−関連疾病には、冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(発作)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧および他の心臓血管疾患が含まれる。処置および診断方法には、CPP抗原に対して特異的な、抗体または抗体由来組成物を使用するものが、限定はしないが含まれる。特定の組織試料および生物学的流体(好ましくは血漿)中でCPPsを検出するための、および組織内でのCPPsの発現のレベルを検出するための診断方法がまた、本発明の一部分を形成する。薬理学的に許容可能な担体と一緒の、以上で記述した1つまたはそれ以上の抗体を含む組成物が、たとえば、インビボ診断および薬剤スクリーニングアッセイに関して、本発明の範囲内である。
本発明はさらに、体液、好ましくは血液血漿の試料中、少なくとも1つのCPPのレベルを検出することを含む、心臓血管疾病の診断のための方法を提供する。さらに、組織および生物学的流体、好ましくは血漿中のCPPの量を検出するため、および測定するために、CPP遺伝子および/またはメッセンジャーRNA、および抗−CPP抗体と相補的なプライマーを含む、CPP組成物を使用する方法が含まれる。これらの方法はまた、臨床スクリーニング、予防、治療結果のモニタリング、特定の治療処置に応答しやすい患者の同定、薬物スクリーニングおよび開発のため、および薬物処置のための新規の標的の同定のために適している。
本発明は、以上で引用した方法にて使用可能であるキット、および必要なら他の試薬、標識基、基質と一緒に、単一または多重調製物、または抗体を含み得るキットを提供する。キットは、疾病の診断のために使用し得、新規な診断および/または治療薬剤の同定のためのアッセイであり得る。
1つの実施様態において、冠動脈疾患(CAD)が、少なくとも1つの症状の発現によって同定される。そのような症状は、疾患の進展とともにより重度になっていく。CADはしばしば、左心室キャパシティまたは出力の減少が伴う。早期CAD症状には、コレステロールおよび低密度リポタンパク質(とりわけ酸化形態)の血漿レベルの上昇、ならびに、血小板が豊富な血漿凝集が含まれる。血管内皮が、炎症に応答し、したがって、プラークの形成、炎症のレベルおよびフィブリン形成因子が増加する。加えて、CADまたはアテローム性動脈硬化症は、血管石灰化および動脈の硬化によって特徴づけられる。血管の得られた部分的閉塞が、高血圧および虚血性心臓疾患を導く。結果として生じる完全な血管閉塞は、心筋梗塞、発作または壊疽を招く。
好ましい実施様態において、本発明の少なくとも1つのCPPの増加した血漿レベルの検出により、個体にてCADが進展するリスクの増加が示唆される。好ましくは、前記検出は、個体が、少なくとも1.05倍、1.1倍、1.15倍、より好ましくは少なくとも1.2倍のCAD進展の可能性の増加を持つことを示唆する。あるいは、本発明の少なくとも1つのCPPの増加血漿レベルの検出が、個体がCADを持つことを示唆する。対照と比較して、個体にて観察されたCPP増加の量が、CADの予測または診断の確かさと相関し得る。個々の血漿CPPレベルが、家系および他のリスク因子に依存して変化する可能性があるので、それぞれを、ケースバイケースの原則で試験することが好ましい。好ましい実施様態において、CPPが、本発明の方法によってヒト血漿試料中で検出される。とりわけ好ましい技術は、質量分析と免疫検出である。好ましくは、CADの予測または診断は、対照と比較して、実験的CPPレベルにおける、1.1−、1.15−、1.2−、1.25−およびより好ましくは、1.5−倍の増加に基づく。
本発明はさらに、個体における配列番号1〜10のCPPの異常な発現または処理と関連した疾病を予防または処置するために、CPP−改変組成物を用いる方法が含まれる。適するCPP−関連疾病には、冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(発作)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧および他の心臓血管疾患が含まれる。本発明の好ましい実施様態は、個体が、CPP−関連疾病から影響を受ける、またはリスクを持つことを決定すること、およびCPP−改変組成物を、前記個体に導入すること、の段階を含む、個体におけるCPP−関連疾病を予防するまたは処置する方法である。
本発明のさらなる観点も、明細書および請求項で記述されている。
配列表の簡単な説明
配列番号5〜10は、冠動脈疾患の個体の血漿試料中の、タンデム質量分析によって発見された、トリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号2および4は、冠動脈疾患の個体の血漿試料中に存在するポリペプチドのアミノ酸配列を記述しており、配列番号1および3は、それらの各前駆体の配列を示している。
図面の簡単な説明
図1は、その前駆体および成熟形態のCPP10(配列番号1および2)、およびその前駆体および成熟形態のCPP11(配列番号3および4)の配列、およびタンデム質量分析によって発見されたペプチド配列(配列番号5〜10)を示している。タンデム質量分析によって観察されたトリプシンペプチドは、配列番号1〜4で下線を引いている。MALDI質量分析によって観察されたトリプシンペプチドは、イタリック体である。シグナルペプチドは、配列番号1および3にて、二重下線を引いている。
図2は、CPP10と11のC−末端半分およびPEBPファミリーからのタンパク質間の、構造的相同性を例示している。PEBP_HUMANは、ヒトPEBPタンパク質の配列であり(NCBI、http://www.ncbi.nlm.nih.gov、受け入れ番号P30086にて入手可能な配列、およびPDB、http://www.resb.org、受け入れ番号「1beh」にて入手可能な構造)、およびPEBP_BOVINは、NCBI受け入れ番号P13696およびPDB受け入れ番号「la44」を持つ、ウシPEBPの配列である。両方のタンパク質の構造は、X−線結晶学によって解決された。PEBP活性(リガンド結合)に対して重要なアミノ酸は、一本下線を引いている。これらには、公知のPEBPタンパク質の間、および本発明のタンパク質中で一般的に保存された、Asp−Pro−Asp−x−ProおよびGly−x−His−Argモチーフが含まれる。さらに、本発明のタンパク質中でPhe残基にて置換されているので、保存cis−配座Glu83(PEBP_HUMAN番号)を強調した。cis−Glu83は、PEBPタンパク質のリガンド結合活性部位中の中心残基である。
図3は、種の間での、CPPのN−末端配列の保存を例示している。それぞれ配列番号1および3に相当するQ96S96およびQ8WW74、およびQ9D9G2およびQ9D9L9は、CPPの2つのマウスオーソロガス遺伝子である。シグナル配列は、二重下線を引き、ヒトPEBPのcis−Glu83残基に相当する4つの保存Cys残基ならびにPhe(ヒト)およびTyr(マウス)残基に一本下線を引いた。
図4は、CPPのN−末端部分(配列番号2またはCPP10)の折り畳みのモデルである。Cys架橋パターンを強調した。Cys8−Cys36およびCys21−Cys42。
発明の詳細な説明
以下の詳細に記述された本発明は、哺乳動物個体における心臓血管疾病のスクリーニング、診断および処置のために、特定の治療処置に対して応答しやすい個体を同定するために、心臓血管疾病治療の結果をモニタするために、CPPモジュレーターをスクリーニングするために、および薬物開発のために有用な、方法、組成物、キットを提供する。本発明はまた、心臓血管疾病を処置または予防するために、治療組成物を哺乳動物個体に投与することを含む。哺乳動物個体は、非ヒト哺乳動物であり得るが、好ましくはヒト、より好ましくはヒト大人である。限定はしないが、開示を明確にするために、本発明は、血液血漿試料の解析に関連して記述される。しかしながら、当業者によって、以下で記述されたアッセイおよび技術が、心臓血管疾病を持っている、または発達するリスクを持つ個体からの、他の生物学的流体試料(たとえば脳脊髄液、リンパ液、胆汁、血清、唾液または尿)または組織試料に適用可能であることが理解されるであろう。本発明の方法および組成物は、生個体のスクリーニング、診断および予後のために有用であるが、しかしまた、同様の疾病を発達させるリスクの、家族メンバーを同定するために、個体における検死診断のためにも有用であり得る。
定義
本明細書で使用するところの、語句「核酸(nucleic acids)」および「核酸分子(nucleic acid molecule)」は、DNA分子(たとえばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(たとえばmRNA)、およびヌクレオチド類似体を用いて作製されたDNAまたはRNAの類似体を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、しかし好ましくは二本鎖DNAである。本明細書を通して、「ヌクレオチド配列(nucleotide sequence)」の表現は、ポリヌクレオチドまたは核酸を差別せずに意味するために使用し得る。より実際には、表現「ヌクレオチド配列」は、核酸物質それ自身を含み、したがって、特定のDNAまたはRAN分子を生物化学的に特性化される、配列情報(すなわち4塩基文字から選択された文字の連続)に制限されない。また、本明細書で、「核酸(nucleic acids)」、「オリゴヌクレオチド(oligonucleotides)」および「ポリヌクレオチド(polynucleotides)」が、相互互換的に使用される。
「単離(isolated)」核酸分子は、核酸の天然の供給源に存在する、他の核酸分子から分離されたものである。好ましくは、「単離」核酸は、核酸が由来した有機体のゲノムDNA中で、核酸(すなわち核酸の5’および3’末端に局在する配列)に天然に隣接する配列を持たない。たとえば、種々の実施様態において、単離CPP核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kbより少ないヌクレオチド配列を含み得る。さらに、cDNA分子のような、「単離」核酸分子は、他の細胞分子、または組換え体技術によって産出された場合に、培養培地を本質的に含まず、または、化学合成された場合に、化学前駆体または他の化学物質を本質的に含まない。本発明の核酸分子は、標準の生物学的技術および本明細書で提供される配列情報を用いて単離することができる。全ての、または一部の核酸をハイブリッド形成プローブとして使用し、CPP核酸分子を、標準のハイブリッド形成およびクローニング技術を用いて単離可能である(たとえば、Sambrook, J., Fritsh, E.F., and Maniatis, T. Molecular Cloning. A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)。
本明細書で使用するところの、語句「〜にハイブリッド形成する(hybridizes)」は、穏やかな逼迫性または高い逼迫性ハイブリッド形成のための条件、好ましくは、ハイブリッド形成および洗浄条件が、互いに少なくとも60%の相同性のヌクレオチド配列が、互いにハイブリッド形成したままであることを許容する状態を記述する意図がある。好ましくは、条件は、互いに少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、90%、95%または98%相同である配列が、典型的に互いにハイブリッド形成したままであるようなものである。逼迫性条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y.(1989), 6.3.1−6.3.6にて見ることができる。逼迫性ハイブリッド形成条件の好ましい、非限定例は、以下のようである。ハイブリッド形成段階は、6×SSC緩衝液、5×Denhardt’s溶液、0.5% SDSおよび100μg/mlのサケ精子DNAの存在下、65℃にて実現される。ハイブリッド形成段階につづき、以下の洗浄段階、
−好ましくは、2×SSCおよび0.1% SDS緩衝液中、65℃にて、5分間2回の洗浄
−好ましくは、2×SSCおよび0.1% SDS緩衝液中、65℃にて、30分間1回の洗浄
−好ましくは、0.1×SSCおよび0.1% SDS緩衝液中、65℃にて、10分間2回の洗浄
がつづき、これらのハイブリッド形成条件は、長さにして約20ヌクレオチドの核酸分子に対して好適である。以上で記述したハイブリッド形成条件は、当業者によく知られている技術にしたがって、望む核酸の長さにしたがって適合されるべきであり、たとえば、Hames B.D. and Higgins S.J.(1985) Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach. Hames and Higgins Ed., IRL Press, Oxford: およびCurrent Protocols in Molecular Biology にて開示された技術にしたがって適合されるべきであることが理解される。
「パーセント相同性(percent homology)」は、核酸配列およびアミノ酸配列両方を言及するために本明細書で使用される。アミノ酸または核酸「同一性(identity)」は、アミノ酸または核酸「相同性(homology)」と同等である。2つのアミノ酸配列または2つの核酸のパーセント相同性を測定するために、配列を、最適な比較目的のためにならべる(たとえばギャップを、第一アミノ酸または核酸配列の配列内に、第二アミノ酸または核酸配列との最適なアライメントのために導入可能であり、非相同性配列を、比較目的のために、無視可能である)。好ましい実施様態において、比較目的のためにアラインされた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%、または95%である。ついで、相当するアミノ酸部位またはヌクレオチド部位におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第一配列中の位置が、第二配列中の相当する位置と同様のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占領されている場合、ここで、この分子がその場所で相同である。2つの配列間のパーセント相同性は、配列によって共有された同一の位置の数の式である(すなわち%相同性=同一位置の数/位置100の総数)。
配列の比較および2つの配列間のパーセント相同性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて実施可能である。配列の比較のために使用される数学的アルゴリズムの好ましい、非限定例は、本明細書でそのすべてが参考文献として含まれた開示物である、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873−77 にて改変された、Karlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264−68である。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403−10 の、NBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)内に組込まれる。BLASTヌクレオチド検索を、本発明の配列に対するヌクレオチド配列相同性を得るために、NBALSTプログラム、スコア=100、語長(wordlength)=12で実施可能である。本発明のポリペプチド配列に対する、アミノ酸配列相同性を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3で実施可能である。比較目的のためにギャップアライメントを得るために、Gapped Blastを、Altschul et al, (1997) Nucleic Acids Research 25 (17): 3389−3402 にて記述されたように使用可能である。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを使用する時、それぞれのプログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用可能である。そのすべてが、本明細書で参考文献として組込まれている開示物である、http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。配列の比較のために使用される、数学的アルゴリズムの他の好ましい、非限定例は、そのすべてが参考文献にて本明細書に組込まれている、Myers and Miller. CABIOS (1989) のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部分である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)内に組込まれている。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを使用する場合、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティを使用可能である。
語句「ポリペプチド(polypeptide)」は、ポリマーの長さに関連しない、アミノ酸のポリマーを指し、したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれる。この語句はまた、ポリペプチドの翻訳後修飾を特定または排除せず、たとえば、グリコシル、アセチル、リン酸、アミド、脂質、カルボキシル、アシルまたは炭水化物の共有添加を含むポリペプチドが、語句ポリペプチドによって含まれる。また、アミノ酸の1つまたはそれ以上の類似体(たとえば、天然に存在しないアミノ酸、関連しない生物学的系に天然に存在するだけのアミノ酸、哺乳動物系からの改変アミノ酸など)、置換結合を持つポリペプチド、ならびに天然に存在する、およびしない両方の、本技術分野で公知の他の改変が定義の中に含まれる。
本明細書で使用されるところの語句「タンパク質(protein)」は、語句「ポリペプチド」と同義語として使用してよく、さらに、ペプチド結合以外の結合によって連結され得る、2つまたはそれ以上のポリペプチドの複合体を意味し得、たとえばそのようなポリペプチド組成タンパク質は、ジスルフィド結合によって連結し得る。語句「タンパク質」はまた、同一のアミノ酸配列を持っているが、異なる翻訳後修飾されているポリペプチドのファミリーも含み得、とりわけ、そのようなタンパク質が、真核細胞宿主中で発現する場合に加えられ得る。
「単離(isolated)」または「精製(purified)」タンパク質またはその生物学的活性部分は、本質的に、CPPまたはその生物学的に活性な断片または相同物が由来する細胞または組織供給源から、細胞性物質または他の混入タンパク質を含まず、または本質的に、化学合成した場合に、化学的前駆体または他の化学物質を含まない。語句「本質的に細胞性物質を含まない(substantially free of cellular material)」には、単離または組換え作製される細胞の細胞性成分から該タンパク質が分離される、本発明にしたがったタンパク質の調製が含まれる。1つの実施様態において、語句「本質的に細胞性物質を含まない」には、CPP以外のタンパク質の約30%(乾燥重量)以下、より好ましくは本発明にしたがったタンパク質以外のタンパク質、約20%未満、またより好ましくは、本発明にしたがったタンパク質以外のタンパク質、約10%未満、およびもっとも好ましくは、本発明にしたがったタンパク質以外のタンパク質、約5%未満を含む本発明にしたがったタンパク質の調製が含まれる。本発明にしたがったタンパク質またはその生物学的に活性名部分を組換え産出する場合、培養培地を好ましくは本質的にふくまず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容量の、約20%未満、より好ましくは約10%未満、もっとも好ましくは約5%未満を示す。
語句「本質的に化学的前駆体あるいは他の化学物質を含まない(substantially free of chemical precursor or other chemicals)」には、タンパク質の合成に伴う化学的前駆体または他の化学物質からタンパク質が分離した状態での、CPPまたはその生物学的に活性な断片または相同物の調製を含む。1つの実施様態において、語句「「本質的に化学的前駆体あるいは他の化学物質を含まない」には、化学的前駆体およびCPP以外の化学物質が約30%(乾燥重量)未満、より好ましくは約20%未満、またより好ましくは約10%未満、およびもっとも好ましくは、約5%未満であるCCPの調製が含まれる。
語句「組換え体ポリペプチド(recombinant polypeptide)」は、人工的に設計された、およびその当初の天然の環境にて、連続ポリペプチド配列としては見られない、少なくとも2つのポリペプチド配列を含む、ポリペプチドを意味するために本明細書で使用され、また、組換え体ポリヌクレオチドから発現されたポリペプチド類を意味するために本明細書で使用される。
語句「心臓血管疾病血漿ポリペプチド(Cardiovascular disorder Plasma Polypeptide)」または「CPP」は、配列番号1〜4の任意の1つによって記述された配列を含むポリペプチドを意味する。そのようなポリペプチドは、本明細書で記述されたように、翻訳後修飾され得る。CPPはまた、複雑な二次および三次構造となる、ジスルフィド結合、または水素およびアミド結合のようなアミノ酸側鎖相互作用のような、他の構造的または化学的改変をも含み得る。
語句「CPP」および「CPP」は、本発明のペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質の任意およびすべてを包含するために本明細書で使用される。これらはまた、欠損、添加、交換または短化変異のような、変異体ポリペプチド、そのようなポリペプチドおよび配列番号1〜10の配列の、少なくとも3つ、しかし好ましくは、8、10、12、15または21の連続アミノ酸のポリペプチド断片を含む融合ポリペプチドが含まれる。さらに、配列番号1〜10からなる群より選択される配列のCPPタンパク質分解前駆体および中間体が含まれる。本発明は、配列番号1〜10の配列からなる、本質的になる、または含む、単離または精製CPPを含む、CPP遺伝子またはCPP mRNA種、好ましくはヒトCPP遺伝子およびmRNA種によってコードされたポリペプチドを包含する。好ましいCPPは、配列番号2または4の配列を含む配列を持つ。好ましいCPPは、配列番号1〜4のCPPの少なくとも1つの生物学的活性を保持する。
本明細書で使用されるところの語句「生物学的に活性(biological activity)」は、CPPによって達成される任意の機能を意味する。これらには、限定はしないが、(1)個体が、心臓血管疾病を持つか、持ち得ることを示唆すること、(2)心臓血管疾病を持つ個体の血流を通して循環すること、(3)抗原性、または抗−CPP特異的抗体に結合する能力、(4)免疫原性、または抗−CPP特異的抗体を産出する能力、(5)水素、アミドまたは好ましくはジスルフィド結合のような、分子内アミノ酸側鎖相互作用を形成すること、および(6)CPP標的分子、好ましくはタンパク質または膜リン脂質との相互作用、が含まれる。
本明細書で使用するように、「CPPモジュレーター(CPP modulator)」は、本発明のCPPの発現または生物学的活性のいずれかを調節する(すなわち、増加するまたは減少する)ことが可能である分子(たとえばポリヌクレオチド、ポリペプチド、小分子または抗体)である。CPP発現または活性を増強するCPPモジュレーターは、CPP活性物またはアゴニストとして記述される。一方、CPP発現または活性を抑制するCPPモジュレーターは、CPPインヒビターまたはアンタゴニストとして記述される。好ましくはCPPモジュレーターは、少なくとも5、10または20%まで、発現または活性を増加/減少させる。CPPインヒビターは、抗−CPP抗体、その断片、アンチセンスポリヌクレオチド、本明細書にて記述されたような、スクリーニングアッセイによって特徴づけられる分子を含む。CPPアゴニストは、本明細書で記述されたようなスクリーニングアッセイによって特徴づけられた、ポリヌクレオチド発現ベクターおよび分子を含む。
「CPP−関連疾病(CPP−related disorder)」または「CPP−関連疾患(CPP−related disease)」は、心臓血管疾病を記述する。適する疾病には、冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(発作)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧および他の心臓血管疾患が含まれる。好ましくは、個体がそのような疾病を進展させるか、またはすでに患っている可能性は、少なくとも1つのCPPの、正常より高い血漿レベルによって示唆される。
本発明の他の観点により、抗−CPP抗体が関連する。本明細書で使用するところの語句「抗体(antibody)」は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、CPPのような抗原に特異的に結合する(免疫応答する)抗原−結合部位を含む分子、またはその生物学的に活性な断片または相同物を意味する。好ましい抗体は、CPPに排他的に結合し、他のポリペプチドは高親和性では認識しない。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、ペプシンのような酵素で、抗体を処理することによって産出可能である、F(ab)およびF(ab’)断片が含まれる。本発明は、CPPに結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体、またはその生物学的に活性な断片または相同物を提供する。本明細書で使用するところの語句、「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」または「モノクローナル抗体組成物(monoclonal antibody composition)」は、CPPの特定のエピトープと免疫応答可能であるただ1つの抗体結合部位種を含む、抗体分子の集団を意味する。モノクローナル抗体組成物はしたがって、典型的には、それと免疫応答する特定のCPPに対する、単一結合親和性を示す。好ましいCPP抗体は、ラベル基に結合する。
本明細書で使用するように、「ラベル基(label group)」は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(抗体を含む)に結合したときに、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの検出または精製を許容する、任意の化合物である。ラベル基は、前記ラベル基に特異的な抗体を含む、二次化合物によって、直接的に、または間接的に検出または精製し得る。有用なラベル基には、放射性同位体(たとえば32P、35S、H、125I)、蛍光化合物(たとえば、5−ブロモデソキシウリジン、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオセイン イソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン フルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリスリン アセチルアミノフルオレン、ジオキシゲニン)、発光化合物(たとえば、ルミノール、GFP、ルシフェリン、アエクオリン)、酵素または酵素補因子検出ラベル(たとえば、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)、またはストレプトアビジン、GSTまたはビオチンのような二次因子によって認識される化合物が含まれる。好ましくは、ラベル基は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの生物学的活性を干渉しないような方法で、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに結合する。
放射性同位体は、放射線照射の直接計数、フィルム曝露によって、またはたとえばシンチレーション計数によって検出し得る。酵素的ラベルは、適切な基質の、通常蛍光反応を引き起こす産物への変換の検出によって検出し得る。蛍光および発光化合物および反応は、たとえば放射放出、蛍光顕微鏡、蛍光活性細胞ソーティングまたはルミノメーターによって検出し得る。
抗体に関して、本明細書で使用されるように、抗体が対象の標的を認識する、および結合するが、本質的に対象の標的を含む試料(たとえば生物学的試料)中の他の分子を認識および結合しない場合に、標的に対して「選択的に結合する(selectively bind)」または「特異的に結合する(specifically bind)」と呼ばれる。
本明細書で使用するように、語句「ベクター(vector)」は、結合した他の核酸を運搬可能な核酸分子を意味する。ベクターの1つの型は、「プラスミド(plasmid)」であり、これはさらなるDAN断片をライゲーション可能である、環状二本鎖DNAループを意味する。他の型のベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDAN断片を、ウイルスゲノムにライゲーション可能である。特定のベクターは、導入された宿主細胞内で、自動的に複製可能である(たとえば、細菌複製起源を持つ細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(たとえば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内への導入の際に、宿主細胞のゲノム内に統合され、ついで、宿主ゲノムとともに複製する。さらに、特定のベクターは、動作可能に連結したゲノムの発現を指向可能である。そのようなベクターは、本明細書で、「発現ベクター(expression vectors)」と呼ばれる。一般的に、組換えDNA技術で使用される発現ベクターはしばしば、プラスミドの形態である。本明細書中、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがもっとも共通に使用されるベクターの型であるので、相互互換的に使用される。しかしながら、本発明は、等しい機能を提供する、ウイルスベクター(たとえば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス)のような、他の形態の発現ベクターを含むことを意図している。
本明細書で使用するように、「効果量(effective amount)」は、望む効果を得るために十分な、薬剤、好ましくは本発明のCPPモジュレーターの量を記述している。たとえば、抗心臓血管疾病の効果量は、少なくとも1、2、5、10、15または好ましくは25%まで、個体における心臓血管疾病の症状を減少させるのに必要な薬剤の量である。本語句はまた、個体における、心臓血管疾病が引き起こす症状を緩和するために必要な薬剤も記述し得る。心臓血管疾病の共通の症状には、胸部圧迫感、胸やけ、悪心、吐き気、しびれ感、息切れ、重い冷汗、原因不明疲労および不安感覚が含まれる。心臓血管疾病のより重度な症状は、胸痛(狭心症)、調律異常(不整脈)、発作または心臓麻痺(心筋梗塞)である。特定の患者に対する効果量は、測定されている症状の診断方法、処置されている条件状態、患者の総合的な健康、投与方法および副作用の重症度のような因子に依存して変化し得る。
本発明のCPP
本発明の心臓血管疾病血漿ポリペプチド(CPP)は、配列番号1〜4として列記された配列で記述されている。配列番号2および4は、それぞれ、配列番号1および3から得た、成熟ペプチドの配列である。配列番号1および3は、E残基からG残基へ変化した1つの通常単一ヌクレオチド多型(Single Nucleotide Polymorphism: SNP)、およびフレームシフトを誘導する1つの挿入SNPによって異なる、2つの非常に類似の対立遺伝子変異体を示している。配列番号1〜4からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCPPが、心臓血管疾病を持つか、発達するリスクを持つ個体の血漿中で分泌とされ、循環する。
さらに含まれるCPPは、配列番号5〜10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。好ましくは、そのようなCPPはまた、配列番号1または3からのさらなるアミノ酸も含む。そのようなさらなるアミノ酸は、配列番号1または3のタンパク質からの連続アミノ酸配列を形成するために、選択された配列にインフレームで融合する。
心臓血管疾病血漿ポリペプチド”CPP10(配列番号2)およびCPP11(配列番号4)は、ホスファチジルエタノールアミン−結合タンパク質(PEBP)ファミリーからのタンパク質と高い相同性を持つ血漿タンパク質である。興味深いことに、本発明のCPPのレベルは、心臓血管疾病を患っている個体の血漿中で増加する。そのように、本発明のCPPは、有用な診断ツールを提供し、CPPのレベルの増加は、心臓血管疾病の発展のリスクの増加、または存在を示唆する。さらに、CPPは、薬剤設計に有用であり、心臓血管疾病の予防および処置のための治療的な戦略において有用である。
PEBPファミリーからのタンパク質は、天然にわたって非常に保存されており、公知の構造または機能の他のタンパク質と、有意な配列相同性がない。これらのタンパク質は、神経、末梢および生殖を含む、非常に多様な組織で見られる(Banfield MJ, et al., Structure, (1998); 6(10): 1245−54)。PEBPsは、細胞質性であり、内部ペリプラズム膜に局在する。
ウシおよびヒトPEBPsの3D構造は、X−線結晶解析によって決定された(Serre L., et al., Structure 1998; 6(10): 1255−65 および Banfield et al., 上記)。PEBPsは、非常に保存された残基での中心ベータシートを含み、リン脂質、オピオイド、疎水性オードラント分子、およびGタンパク質共役シグナル伝達タンパク質のような、多様なリガンドが結合可能な、結合ポケットを含んでいる。したがって、PEBPは、その内部膜上での局在、リガンド結合特性、発達組織中の発現により、シグナル伝達において役割を果たすと信じられている(Simister PC, et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr, 2002, 58(Pt6 Pt2): 1077−80)。PEBPファミリーメンバーはまた、プロテアーゼインヒビターである(そのすべてが、参考文献にて、本明細書に組込まれている開示物である、Yeung, et al., Nature 401 (6749), 173−177 (1999) および国際特許公開WO02/18623号)。
CPP10および11は、リガンド結合領域上で、公知のヒトPEBPファミリーメンバーとの高いレベルの相同性を提示している。しかしながら、PEBPリガンド−結合部位中の中心残基が、CPP10および11で、Pheに変化している。さらに、NおよびC末端配列が、公知のPEVPsのものより分岐する。異なるN末端配列は、分泌のためにCPP10および11を標的にする、22アミノ酸シグナルペプチドの存在によって、部分的に説明される。サブファミリーは、種間で保存され、2つのマウス相同物が、タンパク質のN末端部分中の4つのシステインの特徴的なパターンを共有する。CPPは、位置211(配列番号1および3)にて1つのアミノ酸の置換、つづく、残余C末端アミノ酸に関して、配列分岐を引き起こすフレームシフトによって変化する。
(それぞれ配列番号2および4の)CPP10および11は、C−末端における、標準のPEBP活性部位配座へたたまれると予想される配列を提示し(実施例2)、中心ベータシートの1つの末端におけるリガンド−結合ポケットを形成する。興味深いことに、比較的まれなcisペプチド結合配座に適合することが示された、リガンド−結合部位中のGlu83(図2にて強調した)は、CPP中でPheである。Phe残基は、cis配座にて共通しては見られず、このことは、本発明のCPPが、異なるリガンド結合特異性を持つ可能性を示唆している。マウスCPP類似体において、この残基は、Tyrに変異されている(図3を参照のこと)。さらに、CPPのN−末端部分は分泌のための保存されたシグナルペプチドに相当し、安定折りたたみ配座に適合した4Cys残基の保存された繰り返し(図4および実施例3を参照のこと)。したがって、CPPは、先に特徴化されたPEBPsに非常に関連した、新規のタンパク質のクラスを表している。しかしながら、CPP10および11は、PEBPsからは異なり、PEBP活性部位中の保存されたcis−Glu83残基は、Pheに変わっており、CPPは、血漿中で循環し(実施例1)、CPPは、サブファミリーの、マウスおよびヒトの相同物間で保存された、4Cys残基を含む新規構造ドメインを持つ。
本発明のポリペプチド、CPPは、配列番号5〜10のトリプシンペプチドによって定義される(図1)。これらのペプチドは、実施例1で記述するように、冠動脈疾患患者の血漿から、非常に高いレベルで単離された。配列番号2および4は、トリプシンペプチドが放出された、CAD血漿にて発見されたポリペプチド種を表している。
語句「心臓血管疾病血漿ポリペプチド(Cardiovascular disorder Plasma Polypeptide)」および「CPP」は、本発明の任意およびすべてのペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を包含するように、本明細書で使用される。また、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドを含む融合ポリペプチドも、本発明の部分を形成する。本発明は、配列番号1〜10からなる、本質的になる、または含む、単離または精製CPPを含む、ヒトからのCPPを含有する。さらに、配列番号1〜10からなる群より選択される配列の、改変前駆体、タンパク質分解前駆体および中間体も含まれる。
本発明は、CPP生物学的活性を持つ、配列番号1〜10の配列の、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも8、10、12、15または21の連続アミノ酸の連続スパンを含む、単離、精製および組換えポリペプチドを含有する。好ましい実施様態において、アミノ酸の連続ストレッチには、CPP配列中のアミノ酸の、欠損、添加、置換または短化を含む、変位または機能的変異の部位が含まれる。本発明はまた、本発明のCPPヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド、またはその相補配列またはその断片に関する。
本発明の一つの観点は、単離CPP、およびその生物学的に活性な部分、ならびに抗−CPP抗体を作製するための免疫原として使用するために好適なポリペプチド断片を含む。1つの実施様態において、天然のCPPを血漿、細胞または組織供給源より、標準のタンパク質精製技術を用いて、適切な精製スキームによって、単離可能である。他の実施様態において、CPPを、組換えDNA技術によって産出する。組換え体発現のかわりに、CPPを、標準のペプチド合成技術を用いて、化学的に合成可能である。
典型的に、生物学的活性部分は、少なくとも1つのCPPの活性を持つドメインまたはモチーフを含む。生物学的に活性なCPPは、たとえば、配列番号1〜10からなる群より選択された配列から、少なくとも1、2、3または5アミノ酸変化を含み、または、配列番号1〜10からなる群より選択した配列から、アミノ酸で、少なくとも1%、2%、3%、5%、8%、10%または15%の変化を含む。
CPPの特徴
本発明のポリペプチド、CPPは、配列番号5〜10のトリプシンペプチドによって定義される(図1および表1)。これらのペプチドは、冠動脈疾患患者の血漿より単離され、実施例1で記述したような、MicroProt.TM法にしたがって、特性化された。配列番号2および4は、レベルが増加した状態で、CAD血漿にて発見されたポリペプチド種を示している。
本発明のCPPは、血漿試料をまず分子量に基づいて分離したので、すべて、分子量で、20kD以下またはその周辺である。より高い分子量のポリペプチド種は、異なる方法によって分離され、特性化される。実施例1で記述するように、血漿試料は、多くのクロマトグラフィー分離にかけられる。これらのクロマトグラフィー方法に関する詳細は、実施例1にてより詳細に記述される。
第一分離は、カチオン交換クロマトグラフィーのカラム上で実施し、塩濃度を増加させて溶出する。18画分を回収する。表1のCEXカラムは、どの画分が、各トリプシンペプチドを含むか、ならびにその溶出条件を列記している。カチオン交換による分離によって、ポリペプチド種の総正電荷の指標が得られた。カチオン交換に続いて、逆相HPLC分離をした。表1中のRP1カラムは、各トリプシンペプチドが溶出された30画分、ならびにその溶出条件を列記している。逆相による分離によって、ポリペプチド種の総疎水性が示唆された。Run Numer標識化カラムの最後の2つの数字が、第二逆相HPLC分離からの24の溶出画分のどれが、トリプシン分解ペプチドを含むか、を示唆している(実施例1を参照のこと)。Olavスコアは、とりわけ、MS−MSデータ同定ソフトウェアによって検出されるような、ノイズにおける実験MS−MSシグナルの強度を反映し、試料中のタンパク質濃度の指標を与える。
CAD対対照血漿試料中のタンパク質レベルの比を、2つの方法によって計算し、それぞれが、CAD血漿中のCPPのレベルの、ほぼ二倍の増加を示している。第一の方法は、CPPを含む各試料からの画分の数によって、CAD/対照比を計算する。結果は、2.1である。あるいは、質量分析データ解析ソフトウェア中の各ペプチドに関して得られたスコアを使用して、加重比を得る。結果は、1.85であり、本発明のCPPが、対照血漿と比較して、CAD血漿中で、1.85倍のレベルであることを示唆している。そのようにして、CPPは、有用な診断ツールを提供し、そこで、CPPのレベルの増加は、心臓血管疾病の進展のリスクまたはその存在の増加を示唆する。さらに、CPPは、心臓血管疾病の予防および処置のための、薬物設計のために、および治療的戦略にて有用である。
Figure 2005533086
Figure 2005533086

対照画分の数:9
CAD画分の数:19
CAD/対照:2.1

対照Olavスコア:341
CAD Olavスコア:631.5
CAD/対照:1.85
CPP核酸
本発明の1つの観点は、本明細書でさらに記述されるように、CPPまたはその生物学的に活性な部分をコードする、精製または単離核酸分子、ならびにその核酸断片に関する。前記核酸は、たとえば、本明細書でさらに記述されるように、治療および診断方法にて、および薬物スクリーニングアッセイにて使用し得る。
本発明の目的は、CPPをコードしている精製、単離または組換え体核酸、それに相補的な配列、およびその断片である。本発明はまた、CPPをコードしているポリヌクレオチドと、少なくとも95%ヌクレオチド同一性を持つポリヌクレオチド、有利には、CPPをコードしているポリヌクレオチド、またはそれと相補的な配列またはその生物学的に活性な断片と、99%ヌクレオチド同一性、好ましくは99.5%ヌクレオチド同一性、もっとも好ましくは99.8%ヌクレオチド同一性を持つポリヌクレオチドを含む精製または単離核酸にも関する。本発明の他の目的は、本明細書で定義した逼迫ハイブリッド形成条件下で、CPP、またはそれと相補的な配列、またはその変異体、またはその生物学的に活性な断片をコードしているポリヌクレオチドとハイブリッド形成する、ポリヌクレオチドを含む、精製、単離または組換え体核酸に関する。
他の好ましい観点において、本発明は、CPPの一部分をコードしている精製または単離核酸分子に関し、そこで、前記部分は、本発明のCPP生物学的活性を提示する。好ましくは、前記部分は、天然に存在するCPP、またはその前駆体のものである。
本発明の他の目的は、配列番号1〜10の群から選択されるアミノ酸配列、またはその断片を含む、本質的にからなる、またはからなるCPPをコードしている精製、単離または組換え体核酸であり、そこで、前記単離核酸分子は、PEBP−様活性部位またはジスルヒド結合のような、1つまたはそれ以上のモチーフをコードしている。
CPP−コード遺伝子のクローニングより決定したヌクレオチド配列によって、他のCPPを同定すること、および/またはクローニングすること(たとえば、新規機能ドメインを共有すること)において使用するために設計した、プローブおよびプライマー、ならびに、他の種からのCPP相同物を産出することが可能になる。
「CPPの生物学的に活性な部分(biologically active portion of a CPP)」をコードしている核酸断片は、CPP生物学的活性を持つポリペプチドをコードしている、CPPをコードしているヌクレオチド配列の部分を単離すること、前記CPPのコード部位を(たとえば、インビトロまたはインビボでの組換え発現によって)発現させること、およびCPPの前記コード部分の活性を査定することによって調製可能である。
本発明はさらに、遺伝的コードの縮重によって、本発明のCPPヌクレオチド配列から異なり、本発明の同一のCPPをコードする核酸配列を含む。
以上で記述したCPPヌクレオチド配列に加えて、CPPのアミノ酸配列中の変化を導くDNA配列多型が、集団(たとえばヒト集団)内に存在し得ることが、当業者によって理解されるであろう。そのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子変異によって、集団内の個体間で存在し得る。そのような天然の対立遺伝子変異は、典型的には、CPP−コード遺伝子または核酸配列のヌクレオチド配列中、1〜5%変化となり得る。
本発明のCPP核酸の天然の対立遺伝子変異体および相同物に相当する核酸分子は、本明細書で開示したcDNAs、またはその一部分を、逼迫ハイブリッド形成条件下で、標準のハイブリッド形成技術にしたがって、ハイブリッド形成プローブとして使用することで、本明細書にて開示したCPP核酸に対するその相同性に基づいて単離可能である。
本発明が、本発明の任意のポリヌクレオチドによってコードされたアミノ酸配列を持つポリペプチドを含むことが理解されよう。
CPP核酸の使用
CPPをコードしているポリヌクレオチド配列(またはその相補物)は、ハイブリッド形成プローブとしての使用、クロモソームおよび遺伝子マッピングにての使用、およびアンチセンスRNAおよびDNAの産出にての使用を含む種々の適用を持つ。さらに、CPP−コード核酸は、薬理学的診療のため、たとえばDNAワクチンまたはアンチセンス組成物の開発のため、および組換え体技術によるCPPの調製のため、本明細書で記述したように、標的として有用である。その配列変異体を含む、本明細書で記述したポリヌクレオチドを、診断アッセイで使用可能である。したがって、体液または組織試料中のそのようなポリヌクレオチドの存在を検出することに基づく、診断方法は、本発明の特徴である。本発明にしたがった、核酸に基づく診断アッセイの例には、限定はしないが、たとえばインシツハイブリッド形成、PCR−に基づくアッセイのような、ハイブリッド形成アッセイが含まれる。本明細書で記述したような、延長ポリヌクレオチド、その配列変異体および断片を含む、ポリヌクレオチドを、そのようなアッセイでの使用のための、ハイブリッド形成プローブまたはPCRプライマーを産出するために使用し得る。そのようなプローブまたはプライマーは、本明細書で記述したCPPポリヌクレオチドと同一、または相補的なゲノム配列を含む、ポリヌクレオチド配列を検出可能であり得る。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドの区画を増幅するために、PCRを実施するためのプライマー対を含む。対の各プライマーは、i)対の1つのプライマーが、本発明のポリヌクレオチドの1つの鎖と、完全にマッチした二本鎖を形成し、対の他のプライマーが、同一のポリヌクレオチドの相補鎖と、完全にマッチした二本鎖を形成する、およびii)対のプライマーが、10〜2500ヌクレオチドの間の距離まで、分離した、ポリヌクレオチド上の部位で、そのような完全にマッチした二本鎖を形成する、ような、15〜30ヌクレオチド間の長さを持つ、オリゴヌクレオチドである。好ましくは、そのそれぞれの相補配列に対する、対の各プライマーのアニーリング温度は、本質的に同一である。
本発明のポリヌクレオチドから由来したハイブリッド形成プローブは、たとえば、顕微鏡スライド上で調製した固定または凍結組織切片、または懸濁細胞のような、組織試料上でインシツハイブリッド形成を実施することにおいて、使用可能である。簡単に記すと、標識化DNAまたはRNAプローブを、制御した条件下で、調節した顕微鏡上の組織切片中のそのDNAまたはRNA標的試料への結合を許容する。一般的に、ssDNAまたはssRNAプローブがまた使用し得るけれども、プラスミドまたはバクテリオファージDNAベクター中にクローン化された、対象のDNAからなるdsDNAプローブを使用する。プローブは、一般的に、長さにして約15〜40ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであり得る。あるいは、プローブは、PCR無作為プライミングプライマー伸長、またはプラスミドからのRNAのインビトロ転写(リボプローブ)によって作製された、ポリヌクレオチドプローブであり得る。後者のプローブは、典型的に長さにして数百の塩基対である。プローブは、任意の多数のラベル基によって標識化可能であり、特定の検出方法が、プローブ上で使用されたラベルの型に応答する(好ましければ、たとえばオートラジオグラフィー、X−線検出、蛍光または可視顕微鏡解析)。反応をさらに、蛍光標識化ラベル上に存在する蛍光部位を指向する抗体のような、使用した検出分子の標識に対して指向する、免疫細胞化学技術を用いて、インシツで増幅可能である。特異的な標識化、およびインシツ検出方法は、たとえば、参考文献にて本明細書に組込まれた、Howard, G.C., Ed., Methods in Nonradioactive Detection, Appleton & Lange, Norwalk, Conn., (1993) で見られる。
ハイブリッド形成プローブおよびPCRプローブはまた、プロモーター、エンハンサー要素および、天然に存在するポリペプチドをコードしている遺伝子のイントロンを含む、本発明にしたがって同定された全長タンパク質に相当する、ゲノム配列から選択して良い。CPPをコードしているヌクレオチド配列はまた、そのCPPをコードしている遺伝子のマッピングのため、および個体の遺伝的解析のため、ハイブリッド形成プローブを構築するためにも使用可能である。本発明のCPPをコードしている遺伝子において、変化または変異を持つ個体は、種々の技術によって、DNAレベルで検出し得る。診断のために使用する核酸は、たとえば組織生検およびオートプシ物質を含む、患者の細胞より入手し得る。ゲノムDNAは、解析の前に、検出のために直接使用可能であり、またPCRを用いることによって酵素的に増幅可能である(Saiki, et al. Nature 324: 163−166 (1986))。RNAまたはcDNAをまた、同様の目的のために使用して良い。例として、本発明の核酸に相補的なPCRプライマーを、本発明の遺伝子中の変異を同定し、解析するために使用可能である。欠損および挿入は、正常の遺伝型との比較で、増幅した産物の大きさの変化によって検出可能である。点変異は、本発明の放射標識RNA、あるいは、本発明の放射標識アンチセンスDNA配列に対して、増幅DNAをハイブリッド形成することによって同定可能である。特定の局所での配列の変化はまた、RNaseおよびS1保護または化学開裂法(たとえばCotton, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397−4401 (1985))のような、ヌクレアーゼ保護アッセイによって、または融解温度の差によって、明らかになり得る。本発明の核酸に相補的なプローブ配列を含む、「分子ビーコン(Molecular beacons)」(Kostrikis L.G. et al., Science 279: 1228−1229 (1998))、ヘパリン−形態、一本鎖合成オリゴヌクレオチドをまた、点変異または他の配列変化を検出し、ならびにCPPの発現レベルをモニタするために使用し得る。
オリゴヌクレオチドおよびアンチセンス化合物
PCRプライマーおよびアンチセンス化合物を含む、本発明のオリゴヌクレオチドを、たとえばApplied Biosystems, Inc.(Foster City,CA)モデル380B、392または394DNA/RANシンセサイザー、または同様の機械のような、市販されている自動化DNAシンセサイザー上で、従来の方法によって合成する。好ましくは、たとえば以下の参考文献にて開示されたような、ホスホラミダイト化学反応を使用する。Beaucage and Iyer,Tetrahedron,48:2223−2311(1992)、Molko et al.,米国特許第4,980,460号、Koster et al.,米国特許第4,725,677号、Caruthers et al.,米国特許第4,415,732号、第4,458,066号および第4,973,679号など。治療利用雄のために、ヌクレアーゼ抵抗性骨格が好ましい。多くの型の改変オリゴヌクレオチドが、たとえばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミデートなど、多くの参考文献、たとえばホスホロチオエート、Stec et al.,米国特許第5,151,510号、Hirschbein、米国特許第5,166,387号、Bergot,米国特許第5,183,885号、ホルホラミデート、Froehler et al.,国際特許出願PCT/US90/03138号、およびさらに適用可能な化合物の概説として、Uhlmann and Penyman(以上に引用)で記述されたものが、ヌクレアーゼ耐性をもって利用可能である。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さは、特異的結合が、他の偶然の部位ではなく、望む標的ポリヌクレオチドでのみ、達成されることを保証するのに十分な大きさであるべきである。長さの上限は、長さにして、約30〜40ヌクレオチドより長いオリゴヌクレオチドを合成および精製することの不自由度および費用、より短いオリゴヌクレオチドよりも、ミスマッチに関するより長いオリゴヌクレオチドの高い耐性など、種々の因子によって決定される。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約15〜40ヌクレオチドの範囲での長さを持つ。より好ましくは、オリゴヌクレオチド部分は、約18〜25ヌクレオチドの範囲の長さを持つ。
プライマーとプローブ
本発明のプライマーおよびプローブは、たとえば、適切な配列のクローニングおよび制限、およびNarang SAら(Methods Enzymol 1979; 68: 90−68)のような方法による直接化学合成、Brown ELら(Methods Enzymol 1979: 68: 109−151)のホスホジエステル法、Beaucageら(Tetrahedron Lett 1981,22: 1859−1862)のジエチルホルホラミダイト法、および欧州特許第EP0 707 592号で記述された固体支持体法を含む、任意の好適な方法によって調製可能であり、これらの開示物は、その全体が、本明細書内に参考文献にて組込まれている。
検出プローブは一般的に、たとえば、国際特許出願WO92/20702号にて開示されたペプチド核酸、米国特許第5,185,444号、第5,034,506号および第5,142,047号で記述されたモルホリノ類似体のような、核酸配列または非帯電核酸類似体である。望むのならば、プローブは、さらなるdNTPsがプローブに加えることが出来ないような、「非伸長可能(non−extendable)」で提供され得る。それ自身、およびその類似体は、通常、非伸長可能であり、核酸プローブは、ヒドロキシ基がもはや伸長にて加わる可能性のないように、プローブの3’末端を改変することによって非伸長可能に出来る。たとえば、プローブの3’末端を、捕獲または検出ラベルで、官能化し、それによって、ハイドロ基を消滅させるか、あるいはブロックすることが可能である。
本発明の任意のポリペプチドは、望むのならば、本技術分野で公知の任意のラベル基を、分光器的、光学化学的、生化学的、免疫化学的または化学的方法によって検出可能になるように組込むことによって、標識化可能である。さらなる例にはUrdeaら(Nucleic Acids Research. 11: 4937−4957, 1988)またはSanchez−Pescadorら(J. Clin. Microbiol. 26 (10): 1934−1938, 1988)にて記述されたような、核酸断片の非放射活性標識化が含まれる。さらに、本発明にしたがったプローブは、シグナル増幅を許容するような、構造的特性を持ち得、そのような構造特性は、たとえば、Urdeaら(Nucleic Acids Symp. Ser.24: 197−200, 1991)によって記述されたような、または欧州特許第EP0225807号(Chiron)にて記述されたような、分岐DNAプローブである。
ラベルはまた、固体支持体上の、プライマー、または増幅DNAのようなプライマー伸長産物いずれかの固定化を促進するように、プライマーを捕獲するために使用可能である。捕獲ラベルを、プライマーまたはプローブに結合させ、固体相試薬の特異的結合メンバーと結合対を形成する(たとえばビオチンおよびストレプトアビジン)特異的結合メンバーであり得る。したがって、ポリヌクレオチドまたはプローブによって運ばれたラベルの型に依存して、標的DNAを捕獲するため、または検出するために使用してよい。さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド、プライマーまたはプローブは、それ自身、捕獲ラベルとして利用し得ると理解されるであろう。たとえば、固相試薬結合メンバーが核酸配列である場合に、プライマーまたはプローブの相補的部分に結合するように選択してよく、これによって、プライマーまたはプローブが固相に固定化される。ポリヌクレオチドプローブそれ自身が、結合メンバーとして利用される場合、当業者は、プローブが、標的に相補的ではない、配列または「尾(tail)」を含み得ることを認識するであろう。ポリヌクレオチドプライマーそれ自身が、捕獲ラベルとして利用される場合、少なくともプライマーの一部分が、固相上の核酸とハイブリッド形成するのに自由であるべきである。DNA標識化技術は、当業技術者によく知られている。
本発明のプローブは、多くの目的のために有用である。これらは、ゲノムDANに対するサザンハイブリッド形成にて、明らかに使用可能である。プローブはまた、PCR増幅産物を検出するために使用可能である。これらはまた、CPP−コード遺伝子またはmRNA中のミスマッチを、他の技術を用いて検出するために使用して良い。
本発明の任意の核酸、ポリヌクレオチド、プライマーおよびプローブを、固体支持体上に、共有固定可能である。固体支持体は、当業者に公知であり、反応トレイのウェルの壁、試験チューブ、ポリスチレンビーズ、磁気ビーズ、ニトロセルロースストリップ、膜、ラテックス粒子のような微小粒子、ヒツジ(または他の動物)赤血球、デュラサイトなどが含まれる。固体支持体は、重要ではなく、当業者によって選択可能である。したがって、ラテックス粒子、微小粒子、磁気または非磁気ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイタープレートの壁、ガラスまたはシリコンチップ、ヒツジ(または他の好適な動物の)赤血球細胞およびデュラサイトが、全て好適な例である。核酸の固体支持体上への固定化の好適な方法には、イオン性、疎水性、共有相互作用などが含まれる。本明細書で使用するところの固体支持体は、不溶性であるか、または続く反応によって不溶性にできる任意の物質を意味する。固体支持体は、捕獲薬剤を接着し、固定化する、その固有の能力に関して選択可能である。あるいは、固体相は、捕獲薬剤を接着、固定化する能力を持つ、さらなる受容体を保持可能である。さらなる受容体には、捕獲薬剤それ自身、または捕獲薬剤に共役した帯電物質に関して、反対に帯電した、帯電物質が含まれ得る。また他には、受容体分子が、固体支持体に接着した特異的結合膜であり得、特異的結合反応を介して、捕獲薬剤を固定化する能力を持つ。受容体分子は、アッセイの実施の前、またはアッセイの実施中に、固体支持体物質への、捕獲薬剤の間接的結合を可能にする。固相はしたがって、プラスチック、誘導プラスチック、磁気または非磁気金属、試験チューブのガラスまたはシリコン表面、マイクロタイター壁、シート、ビーズ、微小粒子、チップ、ヒツジ(または他の好適な動物の)白血球細胞、デュラサイト、および他の当業者に公知な構造物であり得る。本発明の核酸、ポリヌクレオチド、プライマー、プローブを、固体支持体に個々に、接着または固定化可能であり、または、少なくとも2、5、8、10、12、15、20または25の異なった本発明のポリペプチドの群で、単一の固体支持体に接着または固定化可能である。さらに、本発明のもの以外のポリヌクレオチドを、本発明の1つまたはそれ以上のポリヌクレオチドと同様の固体支持体に接着させてよい。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、重なり合った領域に、または固体支持体の無作為な局所に接着し得る。あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、各ポリヌクレオチドが、任意の他のポリヌクレオチドの接着部位に重なることのない、固体支持体の異なった領域に接着する、配列アレイ中に接着して良い。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドの配列アレイは、異なる局所が記録され、アッセイ手順の部分としてアクセスされ得る、「アドレス可能(addressable)」であるとされる。アドレス可能なポリヌクレオチドアレイは典型的に、異なる公知の局所で、基質の表面に連結する、多数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。これらの各ポリヌクレオチド局所の実際の場所の知識は、「アドレス可能な」アレイを、ハイブリッド形成アッセイにおいて、とりわけ有用にする。本技術分野で公知の任意のアドレス可能なアレイ技術が、本発明のポリヌクレオチドと共に使用可能である。これらのアレイの1つの特定の実施様態は、Genechipsとして知られており、一般的に、その全てが、参考文献にて本明細書に組み込まれた、米国特許第5,143,854号、PCT国際公開WO90/15070号および第92/10092号にて記述されてきた。
変異体核酸およびポリペプチドを得るための方法
集団内に存在するCPP配列の天然に存在する対立遺伝子変異体に加えて、当業者は、変化を、CPPをコードしているヌクレオチド配列内に変異導入することによって導入可能であり、それによって、CPPの機能的能力有りまたはなしで、コードされたCPPのアミノ酸配列における変化を導くことが可能であることを理解するであろう。
多数の型の変異体が、1)1つまたはそれ異常のアミノ酸残基が、保存または非保存アミノ酸残基で置換され、そのような置換されたアミノ酸残基が、遺伝的コードによってコードされたものであり得るか、またはありえないもの、または2)1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、置換基を含む、もの、または3)変異CPPが、ポリペプチド(たとえばポリエチレングリコール)の半減期を増加させる化合物のような、他の化合物と融合した、もの、または4)リーダー、シグナルまたはアンカー配列、CPPの精製のために使用される配列、または前駆体タンパク質からの配列のような、さらなるアミノ酸が、CPPに融合した、ものを含んで、企図される。そのような変異体は、当業技術の範囲内であると考えられる。
たとえば、アミノ酸置換を導くヌクレオチド置換を、本質的にタンパク質の生物学的活性を変化させない配列内で実施することができる。アミノ酸残基は、生物学的な活性を変化させないで、CPPをコードしている野生型配列、またはその生物学的に活性な断片または相同物から変化可能である。一般的に、本発明のCPP間で共有されたアミノ酸残基は、変化の影響を受けにくいと予想される。
他の観点において、本発明は、結果として生物学的活性の増加を導くか、または生物学的活性の改変を導くアミノ酸残基における変化を含む、CPPをコードしている核酸分子に関する。他の観点において、本発明は、CPP生物学的活性に重要なアミノ酸残基における変化を含む、CPPをコードしている核酸分子に関する。そのようなCPPは、配列番号1〜10からのアミノ酸配列と異なり、活性の減少、または1つまたはそれ以上のCPPの生物学的活性の本質的な欠損を示す。
変異、置換、添加または欠損を、部位特異的変異導入およびPCR−仲介変異導入のような、標準の方法によって、任意の配列番号1〜10内に組み込むことが可能である。たとえば、保存性アミノ酸置換を、1つまたはそれ以上の予想される非必須アミノ酸残基にて行って良い。「保存性アミノ酸置換(conservative amino acid substitution)」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を持っているアミノ酸残基で置換されたものである。同様の側鎖を持っているアミノ酸残基のファミリーが、本技術分野で定義されてきた。これらのファミリーには、塩基性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分岐側鎖(たとえば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(たとえば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、CPPまたはその生物学的に活性な断片または相同物中の予想された非必須アミノ酸残基を、同様の側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換して良い。あるいは、他の実施様態において、変異を、飽和変異導入によってのような、CPPコード配列の全てまたは一部にわたって、無作為に導入可能であり、得られた変異体を、CPP生物学的活性に関してスクリーニングして、活性を保持している変異体を同定する。配列番号1〜10の1つをコードしているヌクレオチドの変異導入に続いて、コードされたタンパク質が、組換え的に発現され、前記タンパク質の活性を、たとえば本明細書で提供したような、任意の好適なアッセイにて決定可能である。
本発明はまた、CPPキメラまたは融合タンパク質も提供する。本明細書で使用するように、CPP「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非−CPP配列にインフレームにて、動作可能に連結または融合した、本発明のCPPまたはその断片を含む。好ましい実施様態において、CPP融合タンパク質は、CPPの少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。たとえば、1つの実施様態において、融合タンパク質は、CPPドメイン配列が、GST配列のC−末端に融合する、GST−CPP融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組換え体CPPの精製を促進可能である。他の実施様態において、融合タンパク質は、たとえば、特定の宿主細胞にて、望む細胞局在を許容するために、そのN−末端にて、異種シグナル配列を含むCPPである。また他の実施様態において、融合は、CPPの生物学的に活性な断片と免疫グロブリン分子である。そのような融合タンパク質は、たとえば、CPP結合部位の価数を増加させるために、有用である。たとえば、二価CPP結合部位を、生物学的に活性なCPP断片をIgG Fcタンパク質に融合することによって形成し得る。
本発明のCPP融合タンパク質は、対象中で、抗−CPP抗体を産出するため、CPPまたはCPPリガンドを精製するために、免疫原として、およびCPPモジュレーターを同定するためのスクリーニングアッセイにて、使用可能である。さらに、CPPの単離した断片はまた、そのようなペプチドをコードしている核酸の相当する断片から、組換え的に産出したペプチドをスクリーニングすることによって得ることもできる。さらに、断片を、従来のMerrifield固相f−Mocまたはt−Boc化学反応のような、本技術分野で公知の技術を用いて化学的に合成できる。たとえば、本発明のCPPを、断片の重なりなしに、望む長さの断片に任意に分離してよく、または望む長さの重なり断片に好ましく分離して良い。断片を、(組換え的に、または化学合成で)産出し、たとえばマイクロインジェクションアッセイ、またはインビトロタンパク質結合アッセイによって、CPP生物学的活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして機能しているペプチジル断片を同定するために試験可能である。例示的実施様態において、CPP標的結合領域のような、CPPのペプチジル部分を、チオレドキシン融合タンパク質として発現させることによって、CPP活性に関して試験可能であり、これらのそれぞれが、CPPの分離断片を含む(たとえば、参考文献にて本明細書に組み込まれた開示物である、米国特許第5,270,181号、および第5,292,646号、およびPCT出願WO094/02502号を参照のこと)。
さらに、CPPコード配列の断片のライブラリーを、CPPの変異体のスクリーニングおよび続く選別のための、CPP断片の多彩な集団を合成するために使用可能である。1つの実施様態において、コード配列断片のライブラリーは、CPPコード配列の二本鎖PCR断片を、ニック挿入が、1分子あたりただ1回のみ起こり、二本鎖DNAまたはRNAの類似体を変性させ、DNAを再変性して、異なるニック挿入産物からのセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAまたはRNAの類似体を形成させ、一本鎖部分を、S1ヌクレアーゼによって処理することによって、リフォームした二本鎖より除去し、得られた断片ライブラリーを発現ベクター内にライゲーションする条件下で、ヌクレアーゼで処理することによって産出可能である。この方法により、発現ライブラリーが、種々の大きさのCPPのN−末端、C−末端および内部断片をコードして、誘導可能である。
ペプチドのアミノ酸配列内の変化が、機能的CPP相同物となるかどうかは、変異体ペプチドの少なくとも1つのCPP生物学的活性を査定することによって簡単に決定できる。1つ以上の置換が実施されたペプチドが、同様の様式で簡単に試験可能である。
CPP組成物の化学的製造
本発明のペプチドは、標準の技術によって合成される(たとえば、Stewart and Yound, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Company, Rockford, IL, 1984)。好ましくは、たとえば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City, CA)モデル430Aのような、市販のペプチドシンセサイザーを使用し、本発明のポリペプチドは、多数の、収斂合成アプローチ、たとえばKent et al.,米国特許第6,184,344号およびDawson and Kent,Annu.Rev.Biochem.,69:923−960(2000)にて、分離して合成および精製したペプチドからアセンブルしてよい。本発明のペプチドは、カルボキシ末端残基から開始し、全ペプチドが形成されるまで、段階的な様式で、アミノ酸を添加する、架橋ポリスチレン支持体上での固相合成によってアセンブルして良い。以下の参考文献が、合成の間に使用される化学反応へのガイドである。Schnolzer et al, Int. J. Peptide Protein Res., 40: 180−193 (1992), Merrifield, J. Amer. Chem. Soc., Vol.85, pg.2149 (1963), Kent et al., pg185, in Peptides 1984, Ragnarsson, Ed. (Almquist and Weksell, Stockholm, 1984), Kent et al., pg217 in Peptide Chemistry 84, Izumiya Ed. (Protein Research Foundation, B.H.Osaka, 1985), Merrifield, Science, Vol, 232, pgs.341−347 (1986), Kent, Ann. Rev. Biochem., Vol.57, pgs.957−989 (1988) およびこれら後ろの2つの参考文献にて引用された参考文献。
好ましくは、本発明のポリペプチドの化学合成は、Dawson et al.,Science 266:776−779(1994)およびKent et al,米国特許第6,184,344号によって記述されたような、ネイティブ化学ライゲーションによる、ペプチド断片のアセンブリによって実施する。簡単に記すと、本アプローチで、第一ペプチド断片が、非酸化スルホヒドロイル側鎖を持つN−末端システインをもって提供され、第二ペプチド断片が、C−末端チオエステルをもって提供される。N−末端システインの非酸化スルホヒドリル側鎖をついで、C−末端チオエステルと縮合し、β−アミノチオエステル結合にて、第一および第二ペプチド断片を連結する、中間体ペプチド断片を産出する。ついで、この中間体ペプチド断片のβ−アミノチオエステル結合を、分子内再構成をおこして、アミド結合で、第一および第二ペプチド断片を連結する、ペプチド断片産物を産出する。好ましくは、内部断片のN−末端システインを、望まない環化および/または以下で記述するような環状チアゾリジン保護基による濃縮反応から保護する。好ましくは、そのような環状チアゾリン保護基は、チオプロリニル基である。
C−末端チオエステルを持つペプチド断片は、参考文献として組み込まれた、以下の参考文献によって記述されたように産出してよい。Kent et al,米国特許第6,184,344号、Tam et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,92,12485−12489(1995)、Blake,Int.J.Peptide Protein Res.,17:273(1981)、Canne et al,Tetrahedron Letters,36:1217−1220(1995)、Hackeng et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,94:7845−7850(1997)、またはHackeng et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,96:10068−10073(1999)。好ましくは、Hackeng et al(1999)によって記述された方法を使用する。簡単に記すと、ペプチド断片を、参考文献にて本明細書に組み込まれた参考文献である、Schnolzer et al,Inc.J.Peptide Protein Res.,40:180−193(1992)によって開示された、Boc化学反応のための、インシツ中和/HBTU活性化手順を用いることによって、典型的に0.25mmolスケールで、(以下で記述する)固相支持体上で合成する。(HBTUは、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホルフェートであり、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである)。各合成サイクルは、ニートTFAでの1−〜2−分間処理、1分間DMFフロー洗浄、DIEAの存在下、1.0mmolの、先に活性化したBoc−アミノ酸での10−〜20−分間のカップリング時間、および第二のDMFフロー洗浄による、Nα−Boc除去からなる。(TFAはトリフルオロ酢酸であり、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドであり、DIEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである)。Nα−Boc−アミノ酸(1.1mmol)は、過剰なDIEA(3mmol)の存在下で、1.0mmolのHBTU(DMF中0.5M)で、3分間先に活性化する。各カップリング段階の後、たとえば、Sarin et al,Anal.Biochm.,117:147−157(1981)にて開示されたように、従来の定量的ニンヒドリンアッセイで、残余遊離アミンを測定することによって決定する。Gln残基のカップリングの後、DCMフロー洗浄を、TFAを用いることによる脱保護の前後で使用して、可能性のある、高温(TFA/DMF)−触媒ピロリドン形成を防止する。鎖アセンブリが完了した後、ペプチド断片を脱保護し、スカベンジャーとして、4% p−クレソールでの、0℃にて1時間の、無水HFとの処理によって、鎖より開裂させた。イミダゾール側鎖2,4−ジニトロフェニル(dnp)保護基は、dnp−除去手順が、C−末端チオエステル基と適合不能なので、His残基上に残る。しかしながら、dnpを、ライゲーション反応の間に、チオールによって徐々に除去する。開列の後、ペプチド断片を、氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、水性アセトニトリル中に溶解し、凍結乾燥する。
上記したチオエステルペプチド断片は、好ましくは、Hackeng et al(1999)によって開示されたように作製されたか、または同等のプロトコールで作製された、トリチル結合メルカプトプロピオン酸−ロイシン(TAMPAL)樹脂上で合成する。簡単に記すと、Nα−Boc−Leu(4mmol)を、6mmolのDIEAの存在下、3.6mmolのHBTUで活性化し、2mmolのp−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂、または等価物へ、16分間結合させる。次に、3mmolのS−トリルメルカプトプロピオン酸を、6mmolのDIEAの存在下、2.7mmolのHBTUで活性化し、Leu−MBHA樹脂に、16分間結合させる。得られたTAMPAL樹脂を、2回の、TFA中3.5%トリイソプロピルシランおよび2.5% HOでの1分間の処理での、トリチル保護基の除去の後、ポリペプチド鎖アセンブリのための開始樹脂として使用できる。チオエステル結合は、Schnolzer et al(以上に引用)にて開示されたように、1時間、標準のインシツ−中和ペプチドカップリング手順を用いることによって、任意の望むアミノ酸と形成可能である。最終ペプチド断片の、無水HFでの処理によって、C−末端活性化メルカプトプロピオン酸−ロイシン(MPAL)チオエステルペプチド断片が産出される。
好ましくは、チアゾリン−保護チオエステルペプチド断片中間体を、Hackeng et al(1999)によって記述されたような条件、または同様の条件下で、天然化学ライゲーションにて使用する。簡単に記すと、6Mグアニジン、4%(vol/vol)ベンジルメルカプタン、および4%(vol/vol)チオフェノールを含む、0.1M リン酸緩衝液(pH8.5)を、ライゲーションすべき乾燥ペプチドに加え、約pH7で、1〜3mMの最終ペプチド濃度を得、凍結乾燥ペプチドからのチオールおよびTFAの添加のために低下した。好ましくは、ライゲーション反応を、37℃での加熱ブロックで実施し、チオール添加物を釣り合わせるために、定期的にボルテックスする。反応を、MALDI−MSまたはHPLC、およびエレクトロスプレーイオン化MSによって、完了の程度に関してモニタする。
天然化学ライゲーション反応が完了したか、または停止した後、産物のN−末端チアゾリン環を、pH3.5〜4.5にて、2時間、37℃にて、O−メチルヒドロキシアミン(0.5M)のような、システイン脱保護薬剤での処理によって開裂し、その後、10倍過剰のトリス−(2−カルボキシエチル)−ホスフィンを、この反応混合液に加えて、従来のプレパラティブHPLCによる産物の精製の前に、任意の酸化反応構成物を完全に還元させる。好ましくは、ライゲーション産物を含む画分を、エレクトロスプレーMSによって同定し、プールし、凍結乾燥する。
合成が完了し、最終産物を精製した後、最終ポリペプチド産物を、従来の技術、たとえば、Creighton,Meth.Enzymol.,107:305−329(1984)、White,Meth.Enzymol.,11:481−484(1967)、Wetlaufer,Meth.Enzymol.,107:301−304(1984)などによって再折り畳みしてよい。好ましくは、最終産物を、以下または類似のものによって、空気酸化によって再折り畳みする。還元凍結乾燥産物を、pH8.6にて、100mM Tris、10mMメチオニンを含む、1M塩酸グアニジン(または類似のカオトロピック薬剤)中に(約0.1mg/mLで)溶解する。緩やかな一晩の撹拌の後、再折り畳み産物を、従来のプロトコールで、逆相HPLCによって単離する。
組換え体発現ベクターおよび宿主細胞
本明細書で記述したポリペプチド配列を、適切な宿主細胞中での、相当するポリペプチドの発現を指向する、組換え体DNA分子中で使用可能である。遺伝的コードの宿重のために、他のDNA配列が、同等のアミノ酸配列をコードし得、CPPをクローン化させ、発現させるために使用し得る。特定の宿主細胞によって好まれるコドンを選択し、天然に存在するヌクレオチド配列内に置換し、発現の速度および/または効率を増加させる。望むCPPをコードしている核酸(たとえばcDNAまたはゲノムDNA)を、クローニング(DNAの増幅)のために、または発現のために、複製可能ベクター内に挿入して良い。ポリペプチドを、本技術分野で公知の方法にしたがった、任意の多数の発現系内で、組換え的に発現可能である(Ausubel,et al.,エディター、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1990)。適切な宿主細胞には、酵母、細菌、アーチ細菌、真菌、および哺乳動物細胞、たとえば霊長類細胞を含む、限定はしないが骨髄幹細胞を含む、幹細胞を含む、昆虫ならびに動物細胞が含まれる。より特には、これらには、組換え体バクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターを形質転換した細菌、酵母発現ベクターを形質転換した酵母のような微生物が限定はしないが含まれる。また、組換え体昆虫ウイルス(バキュロウイルスのような)を形質転換した昆虫細胞、および哺乳動物発現系が含まれる。発現されるべき核酸配列を、種々の手順によって、ベクター内に挿入する。一般的に、DNAは、本技術分野で公知の技術を用いて、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位内に挿入する。ベクター成分は一般的に、限定はしないが、1つまたはそれ以上のシグナル配列、複製開始点、1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーターおよび転写終止配列を含む。1つまたはそれ以上のこれらの要素を含む、好適なベクターの構築は、当業者に公知の標準のライゲーション技術を使用する。
本発明のCPPは、タンパク質の発現を誘導する、または引き起こすのに適切な条件下で、CPPをコードしている核酸を含む発現ベクターを形質転換した宿主細胞を培養することによって産出する。CPP発現に適切な条件は、発現ベクターと宿主細胞の選択によって、当業者によって究明されるように、変化し得る。たとえば、発現ベクター内の構成性プロモーターの使用は、宿主細胞増幅および増殖の定期的な最適化を必要とし、一方で、誘導可能プロモーターの使用は、誘導のための適切な増殖条件が必要である。さらに、いくつかの実施様態では、回収のタイミングが重要である。たとえば、昆虫細胞発現で使用するバキュロウイルス系は、細胞溶解性ウイルスであり、したがって回収時間選択は、産物収率に重要である。
宿主細胞株は、挿入した配列の発現を調節する、または望む様式で、発現したタンパク質を処理するためのその能力に関して選択してよい。そのようなタンパク質の改変には、限定はしないが、グリコシル、アセチル、リン酸、アミド、脂質、カルボキシル、アセチル、または炭化水素基が含まれる。タンパク質の「プレプロ(prepro)」形態を開裂する、翻訳後処理もまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能に関して重要であり得る。例として、CHO、HeLa、BHK、MDCK、293、W138などのような宿主細胞が、そのような翻訳後修飾活性に対して、特定の細胞機構および特徴的メカニズムを持ち、正確な改変および導入された、外来タンパク質の処理を確かにするために選択し得る。特定の興味としては、ドロソフィラ メラノガスター(Drosophila melanogaster)細胞、サッカロマイセス セルビシエ(Saccharomyces cerebisiae)および他の酵母、大腸菌(E.coli)、バシルス サブチリス(Bacillus subtilis)、SF9細胞、C129細胞、293細胞、ニューロスポラ(Neurospora)、BHK、CHO、COSおよびHeLa細胞、繊維芽細胞、チュワノマ(Schwanoma)細胞株、不死化哺乳動物脊髄およびリンパ球細胞株、ジャーカット(Jurkat)細胞、ヒト細胞および他の霊長類細胞である。
CPPをコードしている核酸は、他の核酸配列と機能的関係に配置することによって、「動作可能に連結(operably linked)」しなければならない。たとえば、全配列または分泌リーダーに関するDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合には、ポリペプチドに対するDNAまたはRNAの類似体に動作可能に連結し、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合に、コード配列に動作可能に連結し、またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置する場合、コード配列に動作可能に連結する。一般的に、「動作可能に連結した」DNA配列は、連続しており、リーディング相である。しかしながら、エンハンサーは、連続でなくて良い。結合は、従来の制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の実施にしたがって使用される。プロモーター配列は、構造性または誘導可能プロモーターいずれかをコードしている。プロモーターは、天然に存在するプロモーターであるか、またはハイブリッドプロモーターのいずれかである。1つ以上のプロモーターの要素を混合する、ハイブリッドプロモーターは、本技術分野でよく知られており、本発明で有用である。発現ベクターは、さらなる要素を含んでよく、たとえば、2つの複製系を持ち得、したがって、たとえば発現に関して、哺乳動物または昆虫細胞、クローニングおよび増幅に関して、原核細胞宿主でのような、2つの有機体で維持されることが可能にある。発現およびクローニングベクター両方が、ベクターを、1つまたはそれ以上の選択した宿主細胞内で複製可能にする、核酸配列を含む。そのような配列は、多数の細菌、酵母およびウイルスに関してよく知られている。プラスミドpBR322からの複製起源が、ほとんどのグラム陰性細菌に好適であり、2:プラスミド起源が酵母に好適であり、種々のウイルス起源(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が、哺乳動物細胞中のクローニングベクターに関して有用である。さらに、統合発現ベクターに関して、発現ベクターが、宿主細胞ゲノムに対する、少なくとも1つの配列相同性、好ましくは、発現構造に隣接する2つの相同配列を含む。統合ベクターは、ベクター内の挿入に関して、適切な相同配列を選別することによって、宿主細胞内での特定の座に指向し得る。統合ベクターに関する構造は、本技術分野でよく知られている。さらなる実施様態において、異種発現制御要素が、(その全てが参考文献にて本明細書に組み込まれた開示物である、米国特許第6410266号および第6361972号にて記述された)相同組換えによって、宿主細胞内の内因性遺伝子と、動作可能に結合し得る。この技術によって、宿主細胞によって内因性に発現したCPPの適切な処理および改変を確定する一方で、選択した制御要素で、望むレベルまで制御可能である。有用な異種発現制御要素には、限定はしないが、CMV中早期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、早期および後期SV40プロモーター、ロウス サルコーマ ウイルス(Rous Sarcoma Virus:RSV))のようなレトロウイルスLTRsのプロモーター、およびメタロチオネインプロモーターが含まれる。
好ましくは、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選別を可能にする、選別可能マーカー遺伝子を含む。選別遺伝子は、本技術分野でよく知られており、使用した宿主細胞にて変化し得る。発現およびクローニングベクターは、典型的には、また、選別可能マーカーと呼ばれる選別遺伝子を含み得る。典型的な選別遺伝子は、(a)たとえばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンのような、抗生物質または他の毒素に対して耐性を与える、(b)栄養素要求性欠損を補完する、または(c)たとえばBacilliに対して、D−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子のような、複合培地から入手可能ではない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードしている。
CPPをコードしているヌクレオチド配列を形質転換した宿主細胞を、細胞培養液からのコードされたタンパク質の発現および回収のために好適な条件下で培養し得る。組換え体細胞によって産出されたタンパク質は、使用した配列および/またはベクターに依存して、分泌、膜結合または細胞内に含まれ得る。当業者によって理解されるように、CPPをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターが、真核または原核細胞膜を介して、CPPの分泌を指向するシグナル配列で設計可能である。望むCPPが、直接のみではなく、シグナル配列または、成熟タンパク質またはポリペプチドのN−末端にて、特異的な開裂部位を持つ他のポリペプチドであり得る、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても、組換え的に産出し得る。一般的に、シグナル配列が、ベクターの成分であり得、またはベクター内に挿入されるCPP−コードDNAまたはRNAの類似体の一部分であり得る。シグナル配列は、たとえば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーから選択された原核生物シグナル配列であり得る。酵母分泌のために、シグナル配列は、たとえば、酵母インバーターゼリーダー、(サッカロマイセス(Saccharomyces)およびクルイベロマイセス(Kluyveromyces)a−因子リーダーを含む、後者は米国特許第5,010,182号で記述された)アルファ因子リーダー、または酸ホスファターゼリーダー、C.アルビカンズ(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日に発行された欧州特許第EP362,179号)または、1990年11月15日に発行された国際特許WO90113646号にて記述されたシグナルであり得る。哺乳動物細胞発現において、同一または関連種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダーのような、哺乳動物シグナル配列を、タンパク質の分泌を指向するために使用し得る。選択した発現系にしたがって、コード配列を、言い換えれば、特定の特徴的「管理要素(control elements)」または「制御配列(regulatory sequences)」の存在を必要とし得る適切なベクター内に挿入する。適切な構造は、本技術分野で一般的に公知であり(Ausubel,et al.,1990)、多くの場合、Invitrogen(San Diego,Calif.)、Stratagene(La Jolla,Calif.)、Gibco BRL(Rockville,Md)またはClontech(Palo Alto,Calif.)のような、商業供給業者から入手可能である。
細菌系内での発現
細菌細胞の形質転換は、「BLUESCRIPT」プラスミド(Stratagene)または「pSPORTI」(Gibco BRL)のハイブリッドlacZプロモーターのような、誘導可能なプロモーターを用いて実施し得る。さらに、多数の発現ベクターを、「BLUESCRIPT」(a−ガラクトシダーゼ、Stratagene)またはpGEX(グルタチオンS−トランスフェラーゼ、プロメガ(Promega、Madison,Wis.))を限定はしないが含む、簡単に検出および/または精製可能な、開裂可能融合タンパク質を産出するために、細菌細胞内での使用のために選択し得る。好適な細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼを結合する、およびmRNAへのCPP遺伝子のコード配列の下流(3’)転写を開始することが可能な任意の核酸配列である。細菌プロモーターは、通常、コード配列の5’末端の近くに位置する、転写開始領域を持つ。この転写開始領域は、典型的には、RNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。代謝経路酵素をコードしている配列は、とりわけ有用なプロモーター配列を提供する。例には、ガラクトース、ラクトースおよびマルトースのような糖代謝酵素から由来するプロモーター配列、およびトリプトファンのような生物合成酵素から由来する配列が含まれる。バクテリオファージからのプロモーターがまた、使用してよく、本技術分野で公知である。さらに、合成プロモーターおよびハイブリッドプロモーターもまた有用であり、たとえば、tatプロモーターは、trpとlacプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼに結合し、転写を開始する能力を持つ、非細菌性起源の天然に存在するプロモーターを含むことが可能である。効率的なリボソーム結合部位がまた望ましい。発現ベクターはまた、細菌中のCPPの分泌を提供するシグナルペプチド配列を含んでよい。本技術分野でよく知られているように、シグナル配列は、典型的には、細胞からのタンパク質の分泌を指向する疎水性アミノ酸からなる、シグナルペプチドをコードしている。タンパク質は、増殖培地内(グラム−陽性細菌)、または細胞の内膜と外膜間に局在する、ペリプラズム空間内(グラム−陰性細菌)のいずれかに分泌される。細菌発現ベクターはまた、形質転換された細菌株の選別を可能にする、選別可能マーカー遺伝子を含み得る。好適な選別遺伝子には、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンのような、薬剤耐性遺伝子を含む。ヒスチジン、トリプトファンおよびロイシン生化学経路でのもののような、生物合成遺伝子も含む。たとえば、抗体の誘導のために、CPPの長さ量が必要な場合、簡単に精製される融合タンパク質の高レベルでの発現を指向するベクターが望ましい可能性がある。そのようなベクターには、限定はしないが、ハイブリッドタンパク質が産出されるように、CPPコード配列が、ベータ−ガラクトシダーゼのアミノ−末端Metおよび続く7残基に関する配列とイン−フレームに、ベクター内にライゲーションされ得る、BLUESCRIPT(Stratagene)、PINベクター[Van Heeke & Schuster J Biol Chem 264:5503−5509 1989)]、PETベクター(Novagen)、Madison Wis.)などのような多機能大腸菌(E.coli)クローニングおよび発現ベクターが含まれる。細菌に対する発現ベクターには、以上で列記した種々の成分が含まれ、本技術分野でよく知られている。実施例には、バシルス サブチリス(Bacillus subtilis)、大腸菌(E.coli)、ストレプトコッカス クレモリス(Streptococcus cremoris)、およびストレプトコッカス リビダンス(Streptococcus lividans)などが含まれる。細菌発現ベクターは、塩化カルシウム仲介トランスフェクション、エレクトロポレーションなどのような、本技術分野でよく知られている技術を用いて、細菌宿主細胞内に形質転換される。
酵母中での発現
酵母発現系が、本技術分野でよく知られており、サッカロマイセス セルビシエ(Saccharomyces cerebisiae)、カンジダ アラビカンズ(Candida albicans)およびC.マルトーサ(C.maltosa)、ハンセヌラ ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロマイセス フラギリス(Kluyveromyces fragilis)およびK.ラクチス(K.lactis)、ピッチア グイレルモンジ(Pichia guillermondii)およびP パストリス(P pastoris)、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、およびヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)に関する発現ベクターが含まれる。酵母宿主中での使用のために好適なプロモーターの例には、3−ヒドホグリセラートキナーゼ(Hitzeman et al.,J.Biol.Chem.255:2073(1980))または、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベート デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセラート ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコース イソメラーゼ、アルファ因子、ADH2IGAPDHプロモーター、グルコキナーゼアルコールオキシダーゼ、およびPGHのような、他の解糖分解酵素(Hess et al.,J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968)、Holland,Biochemistry 17:4900(1978))に対するプロモーターが含まれる。たとえば、Ausubel,et al.,1990、Grant et al.,Methods in Enzymology 153:516−544,(1987)を参照のこと。増殖条件によって制御された転写のさらなる利点を持つ、誘導可能な他の酵母プロモーターには、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセロアルデヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラクトース利用に関連する酵素が含まれる。酵母での発現での使用のための好適なベクターおよびプロモーターは、さらに、欧州特許第EP73,657号で記述されている。酵母選別可能マーカーには、テュニカマイシンに対する耐性を与える、ADE2.HIS4.LEU2.TRP1.およびALG7、G418に対する耐性を与えるネオマイシンホルホトランスフェラーゼ遺伝子、銅イオンの存在下で酵母の増殖を可能にさせるCUP1遺伝子が含まれる。酵母発現ベクターは、対象のCPPをコードしているDNAまたはRNAの類似体からのCPPの細胞内産出または分泌のために構築可能である。たとえば、選別したシグナルペプチドおよび適切な構造性または誘導可能プロモーターを、CPPの直接の細胞内発現のために、選別プラスミド中の好適な制限部位内に挿入し得る。CPPの分泌のために、CPPをコードしているDNAを、CPPの発現のために、プロモーター、酵母アルファ−因子分泌シグナル/リーダー配列、およびリンカー配列(必要ならば)をコードしているDNAとともに、選別したプラスミド内へクローン化可能である。ついで、酵母細胞に、上述した発現プラスミドを形質転換でき、適切な発酵培地中で培養可能である。そのような形質転換酵母によって産出されたタンパク質を、ついで、10%トリクロロ酢酸での沈殿によって濃縮し、ついでSDS−PAGEによって分離し、クーマシー ブルー(Coomassie Blue)染色で、ゲルを染色して解析可能である。組換え体CPPを、次いで、当業者に公知の技術によって、発酵培地から、単離および精製可能である。
哺乳動物系での発現
CPPは、哺乳動物細胞にて発現し得る。哺乳動物発現系は、本技術分野で公知であり、レトロウイルスベクター仲介発現系が含まれる。哺乳動物宿主細胞は、アデノウイルスのような、任意の多数の異なるウイルスの基づく発現系を形質転換可能であり、そこでコードウイルス領域を、後期プロモーターおよび三者リーダー配列からなる、アデノウイルス転写/翻訳複合体内にライゲーション可能である。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域内への挿入によって、感染した宿主細胞内へ、対象のポリペプチドの発現が可能である生ウイルスができる。好ましい発現ベクター系は、一般的に、第PCT/US97/01019号および第PCT/US97/101048号にて記述されたような、レトロウイルスベクター系である。好適な哺乳動物発現系には、哺乳動物RNAポリメラーゼに結合し、mRNA中のCPPに関するコード配列の下流(3’)転写を開始することが可能である、任意のDNAまたはRNAの類似体配列である、哺乳動物プロモーターが含まれる。プロモーターは、通常コード配列の5’末端の近くに位置する、転写開始領域、および前記転写開始部位の局在25〜30塩基対上流を用いるTATAボックスを持ち得る。TATAボックスは、適切な部位で、RNAの類似体合成を開始するために、RNAポリメラーゼIIに指向すると考えられる。哺乳動物プロモーターはまた、典型的には、TATAボックスの100〜200塩基対上流内に局在する、上流プロモーター要素(エンハンサー要素)を含み得る。上流プロモーター要素は、転写が開始され、いずれの方向かで働き得る、速度を決定する。ウイルス遺伝子がしばしば高く発現し、広い宿主範囲を持つので、哺乳動物ウイルス遺伝子からのプロモーターが、哺乳動物プロモーターとしてとりわけ使用される。例としては、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合可能であるという条件で、ポリオーマウイルス、鶏頭ウイルス(1989年7月5日に発行された、英国特許第2,211,504号)、(アデノウイルス2のような)アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、アビアンサルコーマウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびシミアン ウイルス(Simian Virus)40(SV40)のようなウイルスのゲノムから、たとえばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターのような、異種哺乳動物プロモーターから、およびヒートショックプロモーターから得たプロモーターが含まれる。高次真核生物による、CPPをコードしているDNAまたはRNAの類似体の転写は、ベクター内にエンハンサー配列を挿入することによって増加し得る。エンハンサーは、DNAのシス−活性要素であり、通常およそ10〜300bpであり、その転写を増加させるためのプロモーター上で働く。多くのエンハンサーが、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラズターゼ、アルブミン、a−フェトタンパク質およびインスリン)から現在知られている。しかしながら、典型的には、真核動物細胞ウイルスからのエンハンサーを使用し得る。例には、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起源の後期側上のポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは好ましくは、プロモーターからの部位5’に局在する。一般的に、哺乳動物細胞によって認識される転写末端およびポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンに対して、局在する調節領域であり、したがって、プロモーター要素と共に、コード配列に隣接する。飽和mRNAの3’末端は、部位特異的翻訳後修飾開裂およびポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの例には、SV40から由来するものが含まれる。組換え体タンパク質の長期、高収率産出は、安定な発現系で影響を受け得る。複製のウイルス起源または内因性発現要素、および選別可能マーカー遺伝子を含む発現ベクターが、この目的で使用し得る。哺乳動物内で使用のための、選別可能マーカーを含む適切なベクターが簡単に商業的に入手可能であり、当業者に公知である。そのような選別可能マーカーの例には、限定はしないが、tk−またはhprt−細胞での使用のために、それぞれ単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼおよびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼが含まれる。哺乳動物宿主ならびに他の宿主内へ外因性核酸を導入するための方法は、本技術分野でよく知られており、使用される宿主細胞で変化し得る。技術には、デキストラン−仲介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、リポソーム内へのポリヌクレオチド(類)のカプセル化、および核内へのDNAの直接マイクロインジェクションが含まれる。
CPPは、CPP−コード配列を含む発現ベクターによる、一時的トランスフェクションまたは安定形質転換した哺乳動物細胞の培養上清から精製可能である。好ましくは、CPPは、pcD発現ベクターによって一時的にトランスフェクトしたCOS7細胞の培養上清から精製される。COS7のpcDのトランスフェクションは、以下のように処理した。トランスフェクションの1日前に、およそ10COS7サル細胞を、10%ウシ胎児血清および2mMグルタミンを含む、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle)(DME)中、各100mmプレート上に蒔いた。トランスフェクションを実施するために、培地を、各プレートから吸引し、50mM Tris.HCl pH7.4、400mg/ml DEAE−Dextranおよび50μgのプラスミドDNAを含む、4mlのDMEで置換する。このプレートを、37℃にて4時間インキュベートし、ついで、DNA−含有培地を除去し、プレートを、5mlの血清を含まないDMEで2回洗浄する。DMEをプレートにふたたび加え、ついで、さらに3時間、37℃でインキュベートする。このプレートを、DMEで1回洗浄し、その後、4%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、標準の濃度で、ペニシリン(100U/L)およびストレプトマイシン(100μg/L)を含むDMEを加える。ついで、細胞を、37℃にて72時間、インキュベートし、その後、CPPの精製のために、増殖培地を回収する。トランスフェクションのために、プラスミドDNAまたはRNAの類似体を、Casadaban and Cohen,J.Mol.Biol.,Vol.138,pgs.179−207(1980)によって記述された、大腸菌(E.coli)MC1061、または類似の有機体中で、CPP−コードcDNA挿入物を含む、pcD(SRα)、または類似の発現ベクターを増殖させることによって得る。プラスミドDNAは、たとえばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989)またはAusubel(1990、以上に引用)のような、標準の技術によって、培地から単離する。
昆虫細胞での発現
CPPはまた、昆虫細胞内で産出し得る。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、とりわけ、バキュロウイルスに基づく発現ベクターが、本技術分野でよく知られている。1つのそのような系において、CPP−コードDNAは、バキュロウイルス発現ベクター内に含まれるエピトープタグの上流に融合する。スポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)Sf9細胞内またはトリコプルシア ラルバエ(Trichoplusia larvae)内で外来遺伝子を発現させるために、オウトグラファ カリホルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用する。CPP−コード配列を、ポリヘドリン遺伝子のような、ウイルスの非必須領域内にクローン化し、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置く。CPP−コード配列の成功した挿入が、ポリヘドリン遺伝子を不活性にし、コートタンパク質コートを欠いている組換え体ウイルスを産出する可能性がある。ついで、組換え体ウイルスを使用して、CPPが発現するS.フルギペルダ(S.frugiperda)細胞またはトリコプルシア ラルバエ(Trichoplusia larvae)に感染させる[Smith et al.,J.Wol.46:548(1994)、Engelhard E K et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.91:3224−3227(1994)]。CPP−コードDNAへの融合のために好適なエピトープタグには、ポリ−ヒスタグおよび(IgGのFc領域のような)免疫グロブリンタグが含まれる。多様なプラスミドを使用可能であり、pVL1393(Novagen)のような市販のプラスミドが含まれる。簡単に記すと、CPP−コードDNAまたはCPP−コードDNAの望む部分を、5’および3’領域に相補的なプライマーでのPCRによって増幅する。5’プライマーは、隣接制限部位を組み込み得る。ついでPCR産物を、選択した制限酵素で消化し、発現ベクター内へサブクローン化する。組換え体バキュロウイルスを、(GIBCO−BRLから市販されている)リポフェクチン、または当業者に公知の他の方法を用いて、上記プラスミドと、BaculoGoldTMウイルスDNAまたはRNAの類似体Pharmingenを、スポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(「Sf9」)細胞(ATCC CRL1711)内へ共トランスフェクトすることによって生成する。ウイルスは、28℃での、Sf9細胞中の4〜5日間培養によって産出し、さらなる増幅のために使用する。手順は、O’Reilley et al.,BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL,Oxford University Press(1994)にてさらに記述されたように実施する。抽出物を、Rupert et al.,Nature 362:175〜179(1993)にて記述されたように、組換え体ウイルス−感染Sf9細胞から調製し得る。あるいは、発現したエピトープタグ化CPPを、アフィニティクロマトグラフィーによって精製可能であり、またはたとえば、IgGタグ化(またはFcタグ化)CPPの精製を、タンパク質Aまたはタンパク質Gカラムクロマトグラフィーを含む、クロマトグラフィー技術を用いて実施可能である。
遺伝子発現の評価
遺伝子発現を、たとえば、本明細書で提供した配列に基づいて、適切な標識プローブを用いて、mRNAの転写を決定し得るためのノザンブロット、ドットブロッティング(DNAまたはRNA)、またはインシツハイブリッド形成のような、当業者に公知の標準の技術によって、直接試料中で評価し得る。あるいは、ポリペプチド、DNA二本鎖、RNA二本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二本鎖またはDNA−タンパク質二本鎖を含む、特異的な二本鎖のような、核酸の検出のためのアッセイで、抗体を使用して良い。そのような抗体を、標識化してよく、アッセイを、表面上での二本鎖の形成に際して、二本鎖に結合した抗体の存在を検出可能であるように、二本鎖が、表面へ結合するところで実施する。あるいは、遺伝子発現を、細胞または組織切片の免疫組織化学的染色、および細胞培養液または体液のアッセイによって測定し、CPPポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を直接評価してよい。そのような免疫学的アッセイに有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルいずれかであってよく、天然配列CPPに対して調製して良い。タンパク質レベルはまた、質量分析によっても検出してもよい。タンパク質検出のさらなる方法は、タンパク質チップを用いる。
発現したタンパク質の精製
発現したCPPは、任意の当業者に公知の種々の方法を用いて、発現の後に、精製または単離して良い。適切な技術は、どの他の成分が試料中に存在するか、に依存して変化し得る。単離または精製によって除去される混在成分は、ポリペプチドのための、診断または治療使用を典型的に干渉し得る物質であり、酵素、ホルモンおよび他の溶媒を含み得る。選択した精製段階(群)は、たとえば、使用した産出工程の性質、および産出された特定のCPPに依存し得る。CPPは、宿主細胞溶解物から回収してよい。膜−結合の場合、好適な洗剤溶液(たとえばTriton−X 100)を用いて、または酵素的開裂によって、膜より放出可能である。あるいは、CPPの発現で使用した細胞を、凍結−融解サイクリング、超音波処理、物理的分配のような、種々の物理的または化学的方法によって、または細胞溶解薬剤の使用によって、崩壊可能である。例示的な精製方法には、制限はしないが、イオン−交換カラムクロマトグラフィー、DEAEのような、シリカゲルまたはカチオン−交換樹脂を用いるクロマトグラフィー、たとえばSephadex G−75を用いるゲル濾過、IgGのような、混在物を除去するためのタンパク質A Sepharoseカラム、CPPのエピトープ−タグ化形態に結合するための、金属キレートカラムを用いるクロマトグラフィー、エタノール沈殿、逆相HPLC、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、および硫酸アンモニア沈殿が含まれる。通常、単離したCPPは、少なくとも1つの精製段階で調製され得る。たとえば、CPPは、標準の抗−CPP抗体カラムを用いて精製してよい。タンパク質濃縮との併せて、超濾過および透析技術もまた有用である(たとえば、Scopes,R.,PROTEIN PURIFICATION,Springer−Verlag,New York,N.Y.,1982を参照のこと)。精製の必要性の程度は、CPPの使用に依存して変化し得る。いくつかの例では、精製は必要ない可能性がある。必要なように一旦発現および精製したならば、本発明のCPPおよび核酸は、本明細書で記述したように、多くの適用で有用である。
トランスジェニック動物
本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を産出するために使用可能である。たとえば、一つの実施様態において、本発明の宿主細胞は、CPP−コード配列を導入した、受精卵母細胞または胚幹細胞である。そのような宿主細胞を、ついで、外来CPP配列が変化した、そのゲノムまたは相同組換え動物内に、外来CPP配列を組み込んだ、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用可能である。そのような動物は、CPPまたはその断片の機能および/または活性を研究するために、そして、CPP生物学的活性のモジュレーターを同定するおよび/または評価するために、有用である。本明細書で使用するところの、「トランスジェニック動物(transgenic animal)」は、1つまたはそれ以上の動物の細胞が、トランスジーンを含む、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは、ラットまたはマウスのような齧歯類である。トランスジェニック動物の他の例には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが含まれる。トランスジーンは、トランスジェニック動物が発育し、成熟動物のゲノムに残っている細胞のゲノム内へ組み込んだ外来DNAであり、それによって、トランスジェニック動物の1つまたはそれ以上の細胞型または組織中での、コードされた遺伝子産物の発現を指向する。本明細書で使用するところの、「相同性組換え体動物(homologous recombinant animal)」は、内生遺伝子を、動物の発育の前に、動物の細胞、たとえば動物の胚細胞内に導入した外因性DNA分子と内生遺伝子との間の相同組換えによって変化させた、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、CPP−コード核酸を、たとえばマイクロインジェクションまたはレトロウイルス感染によって、受精卵母細胞のオス前核に組み入れること、および前記卵母細胞を、偽妊娠メス里親動物内で発達させることによって作製可能である。CPP cDNA配列またはその断片は、非ヒト動物のゲノム内に、トランスジーンとして導入可能である。あるいは、マウスまたはラットからのような、ヒトCPP−コード遺伝子の非ヒト相同物を、トランスジーンとして使用可能である。イントロニック配列およびポリアデニル化シグナルをまた、トランスジーン発現の効率を増加させるために、トランスジーン内に含めることができる。組織特異的調節配列(類)を、特定の細胞へ、CPPの発現を指向させるために、CPPトランスジーンに動作可能に連結可能である。胚操作およびマイクロインジェクションを介して、トランスジェニック動物、とりわけマウスのような動物を作製するための方法は、本技術分野で、形式的になってきており、たとえば、両方ともLeder et al.に付与された米国特許第4,736,866号および第4,870,009号、Wagner et al.による米国特許第4,873,191号、およびHogan,B.,Manipulating the Mouse Enbryo(その全てが参考文献にて、本明細書にて組み込まれた開示物である、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)にて記述されている。同様の方法を、他のトランスジェニック動物の産出のために使用する。トランスジェニック創始動物を、そのゲノム内のCPPトランスジーンの存在、および/またはその動物の組織または細胞内の、CPP mRNAの発現に基づいて同定可能である。ついでトランスジェニック創始動物を用いて、トランスジーンを持つさらなる動物を繁殖させるために使用可能である。さらに、CPPをコードしているトランスジーンを持つトランスジェニック動物はさらに、他のトランスジーンを含む他のトランスジェニック動物を繁殖可能である。
望む核酸を、相同組換えを介してゲノム内に導入した動物を作製するために、ベクターを、欠損、添加または置換を導入し、それによってCPP−コード配列を、変化させる、たとえば機能的に崩壊させる、CPP−コード配列の少なくとも一部分を含んで調製する。CPP−コード配列は、ヒト遺伝子であり得るが、より好ましくは、ヒトCPP−コード配列の非ヒト相同物(たとえば、CPPをコードしたヌクレオチド配列との強制的ハイブリッド形成によって単離したcDNA)である。たとえば、マウスCPP−コード配列を、マウスゲノム内の内生遺伝子を変化させるために好適である、相同組換え体ベクターを構築するために使用可能である。好ましい実施様態において、ベクターは、相同組換えにおいて、内生CPP−コード配列が、機能的に崩壊される(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない、また、「ノックアウト(knock out)」ベクターともよばれる)ように設計される。あるいは、ベクターは、相同組換えにおいて、内生CPP−コード配列が、変異され、またあるいは変化するが、まだ機能的タンパク質をコードする(たとえば、上流制御領域を改変可能であり、それによって、内生CPP−コード配列の発現を変化させる)ように設計可能である。相同組換え体ベクターにおいて、CPP−コード配列の変化した部分は、相同組換えが、ベクターによって含まれる外因性配列と、胚幹細胞内の内生遺伝子間で起きることを許容するために、CPP遺伝子のさらなる核酸配列によって、その5’および3’末端で隣接する。さらなる隣接核酸配列は、内生遺伝子とのうまい相同組換えのために十分な長さである。典型的には、数キロ塩基の隣接DNA(5’および3’両末端)を、ベクター内に含める(相同組換えベクターの記述に関して、その全てが参考文献にて本明細書にて組み込まれた開示物である、Thomas,K.R.and Capecchi,M.R.(1987)Cell 51:503を参照のこと)。ベクターは、(たとえばエレクトロポレーションによって)胚幹細胞株に導入し、導入されたCPP−コード配列が、内生遺伝子と相同組換えされた細胞を選別する(たとえば、その全てが参考文献にて本明細書にて組み込まれた、Li,E.et al.(1992)Cell 69:915を参照のこと)。ついで、選別した細胞を、動物(たとえばマウス)の胚盤胞内に注入して、凝集キメラを形成する(たとえば、その全てが参考文献にて本明細書にて組み込まれた、Bradley,A.Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells.A Practical Approach,E.J.Robertson,ed.(IRL,Oxford,1987)pp.113−152を参照のこと)。ついでキメラ胚を、好適な偽妊娠メス里親動物に注入し、胚を出産まで持って行く。その胚細胞中の相同的に組み換えたDNAを持つ子孫を使用して、動物の全ての細胞が、トランスジーンの生殖細胞系列伝達によって、相同的に組み換えたDNAを持つ、動物を繁殖可能である。相同組換え体ベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、その全てが参考文献によって本明細書に組み込まれた開示物である、Bradley,A.(1991)Current Opinion Biotechnology 2:823−829およびLe Mouellec et al.によるPCT国際明細書番号WO90/11354号、Smithies et al.によるWO91/01140号、Zijlstra et al.によるWO92/0968号、Berns et al.によるWO93/04169号にてさらに記述されている。
他の実施様態において、トランスジェニック非ヒト動物を、トランスジーンの制御された配列を許容する、選別した系を含むように産出可能である。そのような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の記述に関しては、たとえば、その全てが参考文献にて本明細書にて組み込まれた、Lakso et al.(1992)PNAS 89:6232−6236を参照のこと。組換え系の他の例は、サッカロマイセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系である(その全てが参考文献にて本明細書にて組み込まれた、O’Gorman et al.(1991)Science 251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼを、トランスジーンの発現を調節するために使用する場合、Creリコンビナーゼおよび選択したタンパク質両方をコードしているトランスジーンを含む動物が必要である。そのような動物は、たとえば、2匹のトランスジェニック動物、片方は選択したタンパク質をコードしているトランスジーンを含み、他方はリコンビナーゼをコードしているトランスジーンを含む、動物を配合することによって、「二重(double)」トランスジェニック動物の構築を介して提供し得る。
CPP活性の査定
本発明は、さらに、CPPおよびCPP配列の活性を試験するため、および機能的断片および変異体を得るための方法を提供する。そのような方法には、変異体または改変CPP−コード核酸を提供すること、およびコードされたポリペプチドが、CPP生物学的活性を示すかどうか査定し得ることが含まれる。したがって、(a)CPP、またはその生物学的活性、またはその相同物を提供すること、および(b)CPP、またはその生物学的活性、またはその相同物を、CPP活性に好適な条件下で、CPP生物学的活性に関して試験すること、を含む、CPPの機能を査定する方法が含まれる。細胞を含まない、細胞に基づく、そしてインビボアッセイを、CPP活性を試験するために使用し得る。たとえば、前記アッセイは、CPP核酸を宿主細胞内で発現させること、および前記細胞および他の関連細胞中のCPP活性を観察することが含まれ得る。他の例では、CPP、またはその生物学的活性、またはその相同物を、細胞と接触させ、CPP生物学的活性を観察する。
CPP生物学的活性には、(1)心臓血管疾病を持つか、持つ可能性がある個体を示唆すること、(2)心臓血管疾病の患者の血流を介して循環させること、(3)抗原性、または抗−CPP特異的抗体に結合する能力、(4)免疫原生、または抗−CPP特異的抗体を産出する能力、(5)水素、アミドまたは好ましくはジスルフィド結合のような、分子間アミノ酸側鎖相互作用を形成すること、および(6)CPP標的分子、好ましくはタンパク質または膜リン脂質との相互作用、が含まれる。CPP生物学的活性の検出はまた、表題「CPPの治療的使用(Therapeutic Use of CPP)」の項目で、本明細書にて記述された、任意の好適な治療的エンドポイントを検出することも含み得る。
CPP生物学的活性は、本技術分野で公知の任意の好適な方法によってアッセイ可能である。抗原性および免疫原生は、たとえば、表題「抗CPP抗体」および「CPP抗体の使用」の項目で記述されたように、検出し得る。血漿中の循環は、「診断および予防使用」で記述されたように、検出し得る。CPPの、CPP標的分子に結合するか、または相互作用する能力の測定は、本技術分野で共通のような、結合を直接または間接的に検出するための方法によって達成可能である。このような方法は、表題「薬物スクリーニングアッセイ」のセクションでさらに記述される。
心臓血管疾病は、当業者によって、個体に適切と決定された任意の方法によって診断し得る。症状および診断のさらなる例は、背景項目で見ることができ、患者の特定のプロファイルに基づいて、当業者によって好ましく、最良に測定される。
分子内相互作用は、配列に基づく構造的予測によって検出し得る。そのような予測は、一般的に、同様の配列を持つポリペプチドに関するX−線結晶学またはNMR構造データに基づく。分子内相互作用の検出はまた、SDS−PAGEを用いて達成し得る。ジスルフィド結合の例に関して、該タンパク質の異なる部分間で形成された連結が、結果として、よりコンパクトなタンパク質となり、したがって、見かけの分子量が減少する。ジスルフィド結合は、還元剤、たとえば、ジチオスレイトール(DTT)によって破壊し得る。還元剤で処理したタンパク質試料を、したがって、見かけ分子量の変化を検出するために、SDS−PAGEによって、未処理対照と比較し得る。そのような方法は、本技術分野で共通である。
抗CPP抗原
本発明は、CPPに特異的な、抗体および結合組成物を提供する。そのような抗体および結合組成物には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、そのFabおよび一本鎖Fv断片、二重特性抗体、異種共役物、およびヒト化抗体が含まれる。そのような抗体および結合組成物は、ハイブリドーマ培養液、細菌または哺乳動物細胞培養液中の組換え体発現、トランスジェニック動物中の組換え体発現などを含む、種々の方法で産出し得る。特定の産出方法を選択することに関して、たとえば、Chadd and Chamow,Curr.Opin.Biotechnol.,12:188−194(2001)のような、文献にて、多数のガイドラインが存在する。
製造方法の選択は、望む抗体構造、抗体上の糖鎖部位の重要性、培養および精製の簡易性、およびコストを含む種々の因子に依存する。全長抗体、FabおよびFv断片のような抗体断片、ならびに異なる種の成分を含むキメラ抗体を含む、多くの異なる抗体構造を、標準の発現技術を用いて作製し得る。FabおよびFv断片のような、エフェクター機能を持たず、薬物動態的活性が制限された、小さなサイズの抗体断片を、細菌発現系で作製可能し得る。一本鎖Fv断片は、インビボ腫瘍に関して非常に選択的であり、良好な腫瘍浸潤および低免疫原性を示し、血液から迅速に除去される。たとえばFreyre et al.,J.Biotechnol.,76:157−163(2000)。したがって、そのような分子は、放射免疫検出およびインシツ放射治療のために望ましい。
ポリクローナル抗体
本発明の抗−CPP抗体は、ポリクローナル抗体であり得る。そのようなポリクローナル抗体は、たとえば一回またはそれ以上の免疫化薬剤、好ましくはアジュバントにしたがって、動物中で産出可能である。典型的には、免疫化薬剤および/またはアジュバントを、皮下または腹腔内注射の連続によって、哺乳動物内に注射し得る。免疫化された哺乳動物内で、免疫原性であることが知られているタンパク質に、抗原を共役させることが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例には、限定はしないが、キーホールリンペットへモシアニン(KLH)、メチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原、血清アルブミン、ウシチログロブリン、およびダイズトリプシンインヒビターが含まれる。アジュバントには、たとえば、フロイントの(Freund’s)完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリン脂質A、合成トレハロースジコリノ−マイコレート)が含まれる。免疫化プロトコールは、標準のプロトコールに基づいて、または決まった実験によって、当業者によって決定され得る。
あるいは、CPPまたはその部分に関して濃縮した未精製タンパク質調製物を、抗体を作製するために使用可能である。そのようなタンパク質、断片または調製物を、適切なアジュバントの存在下で、非ヒト哺乳動物に導入する。血清に望まないエピトープに対するポリクローナル抗体が含まれる場合、ポリクローナル抗体を、免疫親和性クロマトグラフィーによって精製する。
効果的なポリクローナル抗体産出は、抗原および宿主種両方に関連した多くの因子に影響をうける。また、宿主動物は、低いタイターの抗血清となる、不適切で過剰な抗原投与で、接種および投与の部分に依存して変化する。多数の皮内部位で投与された小用量(ngレベル)の抗原がもっとも確実である。ポリクローナル抗血清を産出および処理するための技術は、本技術分野で公知であり、たとえば、その全てが参考文献にて本明細書に組み込まれた開示物である、Mayer and Walker(1987)にて見ることができる。ウサギに対する効果的な免疫化プロトコールは、Vaitukaitis,J.ら、J.Clin.Endocrinol.Metab.33:988−991(1971)に見ることができる。ブースター注射を、定期的な間隔で与えることができ、半定量的に、たとえば公知の濃度の抗体に対して、アガー中の二重免疫拡散によって決定したように、その抗体タイターが落ち始めたときに、抗血清を回収する。たとえば、Ouchterlony,O.et al.,Chap.19 Handbook of Experimental Immunology D.Wier(ed)Blackwell(1973)を参照のこと。抗体のプラトー濃度は、通常、0.1〜0.2mg/ml血清の範囲内である。抗血清の抗体への親和性は、たとえば、Fisher,D.Chap.42 Manual of Clinical Immunology,2d Ed.(Rose and Friedman,Eds.)Amer.Soc.For Microbiol.,Washington D.C.(1980)によって記述されたように、競合結合曲線を用意することによって決定される。
モノクローナル抗体
あるいは、抗−CPP抗体は、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって産出され得、そこで、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物を、免疫化薬剤で免疫し、免疫化薬剤に特異的に結合し得る抗体を産出するか、または産出可能であるリンパ球を誘導してよい。たとえばKohler and Milstein,Nature 256:495(1975)。免疫化薬剤は、典型的には、CPPまたはその融合タンパク質および任意に担体が含まれる。あるいは、リンパ球を、インビトロにて免疫化し得る。一般的に、非ヒト哺乳動物供給源が望まれる場合には、脾臓細胞またはリンパ節細胞を使用し、ヒト起源細胞が望まれる場合には、末梢血液リンパ球(「PBLs」)が使用される。リンパ球は、ポリエチレングリコールのような、好適な融合薬剤を用いて、不死化細胞株に融合させ、ハイブリドーマ細胞を産出する。たとえば、Goding,MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE,Academic Press,pp.59−103(1986)、Liddell and Cryer,A Practical Guide to Monoclonal Antibodies(John Wiley & Sons,New York,1991)、Malik and Lillenoj,Editors,Antibody Techniques(Academic Press,New York,1994)。一般的に、不死化細胞株は、たとえばラット、マウス、ウシまたはヒト起源のミエローマ細胞のような、形質転換哺乳動物細胞である。ハイブリドーマ細胞を、融合していない、不死化細胞の増殖または生存を阻害する1つまたはそれ以上の基質を好ましくは含む、好適な培養培地中で、培養する。たとえば、親細胞が、酵素ハイポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的に、ハイポキサンチン、アミノペテリン、およびチミジン(HAT)、HGPRT−欠損細胞の増殖を抑制する基質が含まれ得る。好ましい不死化細胞株は、効果的に融合し、抗体の安定した高レベルの産出を指示するものであり、HAT培地のような培地中で感受性である。より好ましい不死化細胞株は、齧歯類またはヒトミエローマ株であり、これらは、たとえば、アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection:ATCC)、Rockville,MDより入手可能である。ヒトミエローマおよびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株がまた、ヒトモノクローナル抗体の産出のために記述されてきている。たとえばKozbor,J.Immunol.133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker、Inc.,New York,pp.51−63(1987)。
ハイブリドーマ細胞を培養する培養培地(上清)を、CPPに対するモノクローナル抗体の存在に関してアッセイ可能である。好ましくは、ハイブリドーマ上清に存在するモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(Radio−ImmunoAssay(RIA))または酵素免疫測定法(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay; ELISA)のような、インビトロ結合アッセイによって測定する。適切な技術およびアッセイは本技術分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、たとえば、Munson and Pollard,Anal.Biochem.107:220(1980)のスカッチャード(Scatchard)解析によって決定する。望む抗体産出ハイブリドーマ細胞を同定した後に、細胞を、限界希釈法によってクローン化し、標準の方法(Goding,1986,上述)によって増殖させる。この目的のための、好適な培養培地には、たとえば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)およびRPMI−1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、哺乳動物内で、腹水として、インビボで増殖させ得る。選択したクローンによって分泌されたモノクローナル抗体を、培養培地、または腹水から、たとえば、タンパク質A−Sepharose、ハイドロキシ−アパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィーのような、当業者によって日常的に使用される免疫グロブリン精製手順によって、単離または精製してよい。
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号にて記述されたような、組換え体DNA法によって作製して良い。本発明のモノクローナル抗体をコードしているDNAまたはRNAの類似体を、CPP−特異的ハイブリドーマ細胞から単離し、たとえば、齧歯類抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって、配列決定して良い。一旦単離したならば、DNAを発現ベクター内に挿入し、ついで、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター(Chinese hamster)卵母(CHO)細胞、または他の免疫グロブリンタンパク質を産出しないメラノーマ細胞のような宿主細胞にトランスフェクトし、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る。DNAはまた、たとえば、齧歯類重鎖および軽鎖定常領域に対するコード配列を、相同ヒト配列に置換することによって(Morrison et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851−6855(1984)、Neuberger et al.,Nature 312:604−608(1984)、Takeda et al.,Nature 314:452−454(1985))、または非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全てまたは一部分の免疫グロブリンコード配列に共有結合させることによって、改変して良い。非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常領域に置換可能であり、本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変領域に置換可能であり、キメラ二価抗体を作製し得る。抗体はまた一価抗体であり得る。一価抗体を調製するための方法は、本技術分野でよく知られている。たとえば、インビトロ法が、一価抗体を調製するために好適である。その断片、とりわけFab断片を産出するための抗体の消化は、本技術分野で公知の通常の技術を用いて達成可能である。
本発明のハイブリドーマの特徴を持つ抗体および抗体断片はまた、メッセンジャーRNAを抽出すること、cDNAライブラリーを構築すること、および抗体分子の区画をコードしているクローンを選別すること、によって組換え体法にて産出可能である。以下は、抗体を産出するための、組換え体技術を開示している参考文献である。Wall et al.,Nucleic Acids Research,Vol.5,pgs.3113−3128(1978)、Zakut et al.,Nucleic Acids Research,Vol.8,pgs.3591−3601(1980)、Cabilly et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.Vol.81,pgs.3273−3277(1984)、Boss et al.,Nucleic Acids Research,Vol.12,pgs.3791−3806(1984)、Amster et al.,Nucleic Acids Research,Vol.8,pgs.2055−2065(1980)、Moore et al.,米国特許第4,642,334号、Skerra et al.,Science,Vol.240,pgs.1038−1041(1988)、Huse et al,Science,Vol.246,pgs.1275−1281(1989)、および参考文献にて組み込まれている、米国特許第6,054,297号、第5,530,101号、第4,816,567号、第5,750,105号および第5,648,237号。とりわけ、そのような技術は、種間モノクローナル抗体を産出するために使用でき、そこで、1つの種の結合領域が、免疫原性を減少させるために、他の種の抗体の非結合領域と連結される。たとえば、Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.84,pgs.3439−3443(1987)および特許第6,054,297号および第5,530,101号。好ましくは、組換え的に産出したFabおよびFv断片が、細菌宿主系で発現される。好ましくは、全長抗体が、哺乳動物細胞培養技術によって産出される。より好ましくは、全長抗体が、チャイニーズハムスター卵母(Chinese Hamster Ovary(CHO))細胞またはNSO細胞中で発現される。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体両方を、ELISAによってスクリーンできる。他の固相免疫アッセイでのように、試験は、非特異的にプラスチックに吸着する巨大分子の傾向に基づく。免疫学的活性の欠損なしでの、この反応の不可逆性によって、抗体−抗原複合体の形成を、非結合物質からのそのような複合体の単純な分離を伴って可能にある。抗ペプチド血清を滴定するために、免疫化で使用したのとは異なる担体に共役したペプチドを、96−ウェルマイクロタイタープレートの壁に吸着させる。ついで吸着した抗体を、抗−ペプチド血清の希釈液と、ウェル中で反応させる。結合しない抗体を洗浄し、残った抗体−抗原複合体を、免疫した動物のIgGに特異的な抗体と反応させる。この第二抗体は、アルカリホスファターゼのような酵素に共役している。酵素基質を加えたときに起こる可視着色反応により、抗ペプチド抗体に結合したウェルが示唆される。分光光度計読み取りの使用により、ペプチド−特異的抗体結合の量のよりよい定量が可能になる。高タイター抗血清が、10−3〜10−5希釈の間の直線滴定曲線を与える。
CPPペプチド担体
本発明には、CPPから由来した免疫原、担体と本発明のペプチド間の共役物を含む免疫原が含まれる。本明細書で使用するところの語句、免疫原は、免疫応答を引き起こすことが可能である物質を意味する。本明細書で使用するところの語句、担体は、本発明のペプチドに化学的に共役した時に、得られた共役物で免疫した宿主有機体が、共役したペプチドに特異的な抗体を産出するようにする、任意の物質を意味する。担体には、赤血球細胞、バクテリオファージ、タンパク質またはアガロースビーズのような合成粒子が含まれる。好ましくは、担体は、血清アルブミン、ガンマ−グロブリン、キーホールリンペットへモシアニン(KLH)、チログロブリン、オバルブミンまたはフィブリノーゲンのようなタンパク質である。
合成ペプチドを担体に連結する一般的な技術は、種々の参考文献にて記述されている。たとえば、Walter and Doolittle,「合成ペプチドに対する抗体(Antibodies Against Synthetic Peptides)」、Setlow et al.,eds.,Genetic Engineering,Vol.5,pgs.61−91(Plenum Press,N.Y.,1983)、Green et al.Cell,Vol.28,pgs.477−487(1982)、Lerner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.78,pgs.3403−3407(1981)、Shimizu et al.,米国特許第4,474,754号およびGanfield et al.,米国特許第4,311,639号。したがって、これらの参考文献は、本明細書にて組み込まれている。また、ヘプテンを担体に連結するために使用する技術は、本質的に、以上で参照した技術と同様であり、たとえば、Tissjen,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier,New York,1985)、20章。ペプチドを担体に接着させるための4つのもっとも共通に使用されるスキームは、(1)たとえばKagan and Glick,Jaffe and Behrman,eds.Methods of Hormone Radioimmunoassay,pgs.328−329(Academic Press,N.Y.,1979)およびWalter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.77,pgs.5197−5200(1980)によって開示されたような、アミノ結合に関するグルタルアルデヒド、(2)たとえば、Hoare et al.,J.Biol.Chem.,Vol.242,pgs.2447−2453(1967)にて開示されたような、カルボキシのアミノ結合に関する水溶性カルボジイミド、(3)たとえば、Bassiri et al.,pgs.46−47、Jaffe and Behrman eds.(以上で引用)およびWalter et al.(以上で引用)によって開示されたような、チロシンのチロシン側鎖結合に関する、ビス−ジアゾベンジジン(BDB)、および(4)たとえば、Kitagawa et al.,J.Biochem.(Tokyo),Vol.79,pgs.233−239(1976)およびLerner et al.(以上で引用)によって開示されたような、システイン(または他のスルホヒドリル)のアミノ基への結合に関する、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスイシンイミドエステル(MBS)である。該ペプチドをタンパク質担体に結合するために適切な手順を選択するための一般的なルールは、以下のように記述できる。結合に関与する群が、好ましくは区画の好ましい末端にて、配列中、ただ一回起こるべきである。たとえば、BDBは、チロシン残基が、その潜在的な抗原性特性に関して選択した配列の主要な部分で起こる場合に使用されるべきでない。同様に、中心に局在するリシンは、グルタルアルデヒド法を除外し、アスパラギン酸およびグルタミン酸の発生が、しばしば、カルボジイミドアプローチを除外する。他方、好適な残基は、「天然(native)」タンパク質配列にて発生するかしないかに限らず、結合部位として、選択した配列区画のいずれかの末端で位置し得る。アミノおよびカルボキシ末端とは違い、内部区画は、プリペプチド骨格が連続している天然タンパク質で見られるのと同様の配列から、「未結合部位(unattached end)」で、明らかに異なり得る。問題は、α−アミノ基をアセチル化し、そのカルボキシ末端を経由してペプチドを結合することによって、ある程度改善され得る。担体タンパク質への結合効率は、合成の1段階のために放射活性アミノ酸を用いることによって、またはチロシン残基のヨード化によって完全なペプチドを標識化することによってのいずれかで調製した、放射活性標識化ペプチドを用いて供給測定する。ペプチド中のチロシンの存在によりまた、望むのならば、感度ある放射免疫アッセイをセットアップ可能である。したがって、チロシンが天然のポリペプチドによって定義されたペプチド配列の部分ではない場合、チロシンを末端残基として導入できる。
好ましい担体は、タンパク質であり、好ましいタンパク質担体には、ウシ血清アルブミン、ミオグロブリン、オバルブミン(OVA)、キーホールリンペットへモシアニン(KLH)などが含まれる。ペプチドを、Liu et al.,Biochemistry,Vol.18,pgs.690−697(1979)によって開示されたように、MBSによってシステインを介してKLHに連結可能である。ペプチドを、リン酸緩衝食塩水(pH7.5)、0.1M ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)、または1.0M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中に溶解する。ペプチドの溶解液に関するpHは、ペプチド可溶性を最適化するように選択する。可溶性ペプチドに関する遊離システインの含量は、エルマン(Ellman)法、Ellman,Arch.Biochem.Biophys.,Vol.82,pg.7077(1959)によって決定する。各ペプチドに関して、0.25mlの10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中、4mg KLHを、(ジメチルホルムアミド中に溶解した)0.7mg MBSと反応させ、室温にて30分間撹拌する。MBSを滴下して加えて、KLHが>30%ホルムアミド中に不溶性であるので、ホルムアミドの局所濃度が高すぎないようにする。反応産物、KLH−MBSをついで、50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したSephadex G−25を通し、遊離MBSを除去し、カラム溶出のピーク画分のKLH回収(OD280にてモニタ)は、およそ80%であると推定する。ついで、KLH−MBSを、1mlの選択した緩衝液中に溶解した5mg ペプチドと反応させる。pHを、7〜7.5に調整し、室温にて3時間撹拌する。結合効率を、リン酸ン緩衝食塩水に対して、共役物の試料の液によって、放射活性ペプチドにてモニタし、8%〜60%の範囲であり得る。一旦ペプチド−担体共役物ができたらば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を、たとえば、Campbell,Monoclonal Antibody Technology(Elsevier,New York,1984)、Hurrell ed.Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications(CRC Press,Boca Raton,FL,1982)、Schreier et al.Hybridoma Techniques(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1980)、米国特許第4,562,003号などによって記述されたように、標準の技術によって産出する。とりわけ、米国特許第4,562,003号は、参考文献に組み込まれている。
ヒト化抗体
本発明の抗−CPP抗体はさらに、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。語句「ヒト化抗体(humanized antibody)」は、非ヒト抗体から由来した配列にいくつかの部分を含む、キメラ抗体、免疫グロブリン鎖またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、または抗体の他の抗原結合部分配列のような)非ヒト(たとえば齧歯類)抗体のヒト化形態である。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンの相補性決定領域(cdr)からの残基が、望む結合特異性、親和性および能力を持つ、マウス、ラットまたはウサギのような、非ヒト種からの残基で置換された、ヒト免疫グロブリンを含む。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンのもの相当する、全てまたは本質的に全てのCDR領域、およびすべてまたは本質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、本質的に全ての、少なくとも1つ、一般的には2つの変異領域を含み得る。ヒト化抗体は任意にまた、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含み得る[Jones et al.,Nature 321:522−525(1986)およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)]。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、本技術分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト抗体により近くなるように、非ヒトである供給源から導入した、1つまたはそれ以上のアミノ酸を持つが、抗体の本来の結合活性は残ったままである。抗体のヒト化のための方法はさらに、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323−327(1988)、およびVerhoeyen et al.,Science 239:1534−1536(1988)にてさらに詳述されている。そのような「ヒト化(humanized)」抗体は、本質的に本来のヒト可変領域以下が、非ヒト種からの相当する配列で置換された、キメラ抗体である。
異種共役物抗体
2つの供給連結抗体を含む異種共役物抗体がまた、本発明の目的の範囲内である。異種共役物抗体は、架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学反応にて公知の方法を用いて、インビトロで調製し得る。たとえば、免疫毒素を、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって調製し得る。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特性を持つ。そのような抗体は、モノクローナル抗体、好ましくはヒトまたはヒト化である。本発明の二重特異性抗体の結合特異性の1つは、CPPに関してであり、他の1つは、好ましくは、細胞表面タンパク質またはレセプターまたはレセプターサブユニットである。二重特異性抗体を作製するための方法は、本技術分野で公知であり、一般的に、二重特異性抗体の組換え産出は、ハイブリドーマ細胞内での、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づいており、そこで、2つの重鎖は異なる特異性を持つ。たとえばMilstein and Cuello,Nature 305:537−539(1983)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為組み合わせが、結果として、ハイブリドーマによる潜在的な10の異なる抗体分子の産出となることを考えると、正しい分子の精製は通常、アフィニティー精製、たとえばアフィニティクロマトグラフィーの分類を必要とする。
CPP抗体の使用
CPP抗体は好ましくは、CPPに特異的であり、高い親和性を有するPEBTファミリータンパク質に由来するぺプチドには結合しない。より好ましくは、本発明のアンタゴニストは、CPPに特異的な断片または結合組成物を含む。本発明にて使用するところの語句、「重鎖可変領域(heavy chain variable region)」は、重鎖のN−末端アミノ酸から開始する、(1)長さにして110〜125アミノ酸である、および(2)そのアミノ酸配列が、本発明の抗体の重鎖のものと相補的である、ポリペプチドを意味する。同様に、語句「軽鎖可変領域(light chain variable region)」は、軽鎖のN−末端アミノ酸から開始する、(1)長さにして95〜115アミノ酸である、および(2)そのアミノ酸配列が、本発明の抗体の軽鎖のものに対応する、ポリペプチドを意味する。本明細書で使用するところの語句「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」は、CPPに特異的に結合可能である、イムノグロブリンの相同集団を意味する。
CPP抗体は、機能的モジュレーターとして、好ましくは、アンタゴニストとして使用して良い。好ましくは、本発明の抗体モジュレーターは、CPPに特異的なモノクローナル抗体から由来する。CPPを抑制または中和可能なモノクローナル抗体を、そのCPP生物学的活性を阻害する能力によって選別する。
抗体断片の使用もよく知られており、たとえば、Fab断片、Tijssen,Prctice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier,Amsterdam,1985)、Fv断片、Hochman et al.,Biochemistry,Vol.12,pgs.1130−1135(1973)、Sharon et al.,Biochemistry,Vol.15,pgs.1591−1594(1976)およびEhrlich et al.,米国特許第4,355,023号、および抗体半分子、Auditore−Hargreaves、米国特許第4,470,925号がある。
好ましくは、モノクローナル抗体、Fv断片、Fab断片、または本発明のモノクローナル抗体から由来する他の結合組成物は、CPPに対する高い親和性を持つ。CPPに対するモノクローナル抗体および関連分子の親和性は、プラズモン共鳴、ELISA、および平衡透析を含む、従来の技術によって測定して良い。プラズモン共鳴技術による親和性測定は、たとえば、製造業者の推奨プロトコールにしたがって、BIAcore 2000器具(Biacore AB、Uppsala,Sweden)を用いて実施し得る。好ましくは、親和性は、たとえば、米国特許第6,235,883号にて記述されたように、ELISAによって測定する。好ましくは、CPPと本発明のモノクローナル抗体間の解離定数は、10−5モーラー以下である。より好ましくは、そのような解離定数は、10−8モーラー以下、より好ましくは、そのような解離定数は、10−9モーラー以下、もっとも好ましくは、そのような解離定数は、10−9〜10−11モーラーの範囲である。
さらに、本発明の抗体は、CPPを検出するために有用である。そのような検出方法は、心臓血管疾病、とりわけ冠動脈疾患の診断に都合良く適用される。本発明の抗体は、抗体−抗原反応を含むほとんどのアッセイで使用し得る。アッセイは、同質または異質であってよい。同質アッセイアプローチにおいて、試料は、血清、尿、前血液、リンパ球、血漿、唾液、細胞、組織およびインビトロで培養した細胞または組織によって分泌された物質のような、生物学的試料または液体であり得る。試料は、望まない物質を除去する必要がある場合に、先に処理可能である。免疫学的反応は通常、特異的抗体、標識化解析物、抗体を含む試料懸濁液が含まれる。標識から出るグナルは、抗体の標識化解析物への結合の際に、直接または間接的に変化する。免疫学的反応およびその程度の検出は、均質溶液中で実施する。使用し得る免疫化学的標識には、フリーラジカル、蛍光色素、酵素、バクテリオファージ、コエンザイムなどが含まれる。
異質アッセイアプローチにおいて、試薬は通常、試料、特異的抗体、および検出可能なシグナルを産出するための方法である。標本は通常、プレートまたはスライドのような、特定の支持体上におき、液体相中の抗体と接触させる。ついで支持体を液相から分離し、指示体層または液層いずれかを、検出可能なシグナルを、そのようなシグナルを産出するための方法またはシグナル産出系を用いて試験する。シグナルは、試料中の抗原の存在に関連する。検出可能なシグナルの産出のための方法には、放射活性ラベル、蛍光化合物、酵素などの使用が含まれる。例示的な異質免疫アッセイは、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光法、酵素免疫アッセイなどである。
以上の免疫アッセイ技術のより詳細な議論に関しては、T.Maggio,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.,1980による「酵素免疫アッセイ(Enzyme−Immunoassay)」を参照のこと。たとえば、このリストは包括的なものである意図はないが、米国特許第3,690,834号、第3,791,932号、第3,817,837号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,966,345号および第4,098,876号も参照のこと。ラベルを抗体および抗体分子に共役させるための方法が本技術分野でよく知られている。そのような方法は、米国特許第4,220,450号、第4,235,869号、第3,935,974号および第3,966,345号で見ることができ得る。本発明の抗体を使用し得る技術の他の例は、免疫ペルオキシダーゼ標識化である。(Stemberger,Immunocytochemistry(1979)pp.104−169)。あるいは、抗体を、放射活性物質へ、または薬物へ結合させ、それぞれ放射薬理学的または薬理学的に形成させることもし得る。(Carrasquillo,et al.,Cancer Treatment Reports(1984)68:317−328)。
本発明の抗体を使用するアッセイの1つの実施様態には、本発明のモノクローナル抗体が結合した表面の使用が含まれる。表面の基調構造は、異なる形態をとり、異なる組成物を含んでよく、組成物またはラミネート、またはそれらの組み合わせの混合物であり得る。表面は、使用および測定の様式にしたがって、多数の形および形態が想定され、種々の寸法をもってよい。例示的な表面は、平坦、凹面または凸面であり得る、パッド、ビーズ、ディスクまたはストリップであり得る。厚さは重要ではなく、一般的に、約0.1〜2mm厚からであり、任意の都合の良い直径または他の寸法であり得る。表面は、典型的には、棒、チューブ、キャピラリー、繊維、ストリップ、ディスク、プレート、キュベット上で支持され、典型的には、多孔性および多機能性であるか、抗体の共有結合を許容する、および検出可能なシグナルを産出するための方法の一部分を形成する他の化合物の結合を許容するように、多重機能化可能であり得る。天然および合成両方の、種々の有機および無機ポリマー、およびこれらの組み合わせを、固体支持体に対する物質として使用し得る。例示的なポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメチラクリラート、ポリ(エチレンン テレフタラート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニル ブチレート)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロースおよびラテックスが含まれる。他の表面には、紙、ガラス、セラミックス、金属、メタロイド、半導体物質、セメント、シリケートまたは類似物が含まれる。また、ゲル、ゼラチン、リポポリサッカライド、シリケート、アガロースおよびポリアクリルアミドまたはデキストラン、ポリアルキレングリコール(2〜3炭素原子のアルキレン)のようないくつかの水層を形成するポリマー、リン脂質のような表面も含まれる。表面に対する抗体の結合は、文献によって一般的に入手可能な、良く知られている技術によって実施して良い(たとえば、「固定化酵素(Immobilized Enzymes)」Ichiro Chibata,Press,New York(1978)およびCuatrecasas,J.Bio.Chem.,245:3059(1970)を参照のこと)。本発明の本観点にしたがって、アッセイを実施する際に、試料を、水性溶媒と混合し、その溶媒を、抗体が結合する表面と接触させる。ラベルは、表面と結合した検出可能シグナルを提供するように、同時に、または続いて添加するかいずれかで、水溶性溶媒中に含まれ得る。検出可能シグナルを産出するための方法には、標識化解析物の取り込みが含まれて良く、または標識が共役した第二モノクローナル抗体の使用が含まれてよい。分離および洗浄段階を、必要に応じて実施し得る。検出されたシグナルは、試料中のCPPの存在に比例する。同様の支持体上での補正を含めることが、本発明の目的の範囲内である。本発明にしたがったアッセイの特定の実施様態には、例示の方法であり、限定はしないが、スライドまたはペトリディッシュの壁のような支持体の使用が含まれる。本技術には、支持体上の解析されるべき試料を、適切な固定物質で固定化すること、およびスライド上の試料を、モノクローナル抗体と共にインキュベートすること、が含まれる。たとえば、リン酸緩衝食塩水のような適切な緩衝液での洗浄の後、支持体を、抗体に対する標識化特異的結合パートナーと接触させる。望むようなインキュベーションの後に、スライドを、水性緩衝液にて、2回洗浄し、測定を、抗体に対する標識化モノクローナル抗体の結合で実施する。標識が蛍光の場合、スライドを、カバースライド上で、蛍光抗体マウント液体で覆い、ついで結合の程度を測定するために、蛍光顕微鏡で実験する。他方、標識が、モノクローナル抗体に共役した酵素である場合、結合の程度は、沈殿、蛍光などの形成によって示唆され得る、酵素活性の存在に関して、スライドを試験することによって決定可能である。本抗体を用いるアッセイの特定の例は、二重決定ELISAアッセイである。たとえばガラスまたはビニルプレートのような支持体を、従来の技術によって、CPPに対して特異的な抗体でコートする。支持体を、通常水性溶媒中で、CPPを含む試料懸濁液でコートする。30秒間〜12時間のインキュベーション期間の後、支持体を培地から分離し、たとえば水または水性緩衝培地で洗浄して、未結合CPPを除去し、通常再び水性培地中で、CPPに特異的な抗体と接触させる。抗体を、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼのような酵素で、直接または間接的に標識化する。インキュベーションの後、支持体を培地から分離し、以上のように洗浄した。支持体または水性培地の酵素活性を測定する。この酵素活性は、試料中のCPPの量に比例する。
本発明はまた、たとえば診断キットのような、以上で開示した方法を実施するためのキットを含む。1つの実施様態において、キットは、パッケージした組み合わせで、(a)以上でより特定に定義した、モノクローナル抗体、および(b)上記モノクローナル抗体の特異的結合パートナーと、検出可能シグナルを産出可能なラベルの共役物、を含む。薬剤はまた、たとえばポリサッカライドなどのような、緩衝剤およびタンパク質安定剤のような付属薬剤を含む。キットにはさらに、必要ならば、ラベルがその系のメンバーである、シグナル産出系の他のメンバー、試験中、バックグラウンド干渉を減少させるための方法、対照薬剤、試験を実施するための器具などが含まれる。他の実施様態において、診断キットには、本発明のモノクローナル抗体と、検出可能なシグナルを産出可能な標識の共役物が含まれる。上述した付属薬剤がまた存在して良い。
さらに、抗−CPP抗体(たとえばモノクローナル抗体)を、アフィニティクロマトグラフィーまたは免疫沈降のような、標準の方法によって、CPPを単離するために使用可能である。たとえば、抗−CPP抗体は、細胞からの天然CPPの、および宿主細胞中に発現した、組換え的に産出したCPPの、精製を促進する。さらに、抗−CPP抗体は、(たとえば、血漿、細胞溶解物または細胞上清中で)低濃度のCPPの検出を補助するため、または、CPPの発現の豊富さおよびパターンを評価するために、CPPを単離するために使用可能である。抗−CPP抗体は、臨床試験手順の一部分として、組織内のタンパク質レベルをモニタするため、たとえば、該処置方法の効果を決定するために、診断的に使用可能である。検出は、抗体を、ラベル基へ結合させること(すなわち物理的に連結すること)によって促進され得る。
タンパク質アレイ
本発明のポリペプチドの検出、精製およびスクリーニングを、その全てが本明細書にて参考文献にて組み込まれている、米国特許第6225027号、および米国特許明細書第20010014461号によって記述されたように、保持クロマトグラフィー(好ましくはタンパク質アッセイまたはチップ)を用いて実施し得る。簡単に記すと、保持クロマトグラフィーは、ポリペプチド(および/または他の試料成分)が、吸着材(たとえばアレイまたはチップ)上に維持され、続いて検出される、方法を記述している。そのような方法には、(1)多数の異なる吸着材/溶解剤組み合わせ(「選択条件(selectivity conditions)」下で、試料からのポリペプチドを、基質へ選択的に吸着させること、および(2)脱離分光分析によって(たとえば質量分析によって)吸着したポリペプチドの保持を検出すること、を含む。従来のクロマトグラフィー法にて、ポリペプチドを、検出の前に、吸着剤で流出させる。脱離分光分析による検出との、吸着クロマトグラフィーの連結によって、特別な感度、多数の異なる選択条件で、保持された成分を迅速に解析する能力、および異なる溶出条件下で、アレイ上にて、異なる部位(すなわち「アフィニティ部位(affinity sites)」または「スポット(spots)」)へ吸着した成分の平衡処理が提供される。
これらの方法は、CPPSの連結した生物学的単離および精製;種々の遺伝子発現の研究;タンパク質レベルの差異の検出(たとえば、診察用);および分子認識現象の検出(たとえば、スクリーニング用および薬剤発見用)について有用である。したがって、本発明は、並行および多重ペプチド処理能力で特徴づけられる分子発見および診療デバイスを提供する。
本発明のポリペプチドおよびCPPS結合物質は、好ましくはラベル基に付き、直接検出され、シングルユニットオペレーションの間に同じ「回路」(すなわち、アドレス可能な「チップ」ロケーション)からの2以上のシグナルの刺激伝達を可能にする。
質量分析によるCPPの検出
本発明にしたがって、器具、方法、処理などを、試料中のタンパク質の同定および多量性を決定するために使用可能である。同定をえるための好ましい方法は、質量分析によるものであり、そこでは、試料中のタンパク質分子がイオン化され、ついでタンパク質イオンの得られた質量および電荷が検出され、決定される。
タンパク質を解析するために、質量分析を使用するために、タンパク質が気体−イオン相に変換されることが好ましい。たとえば、高速原子衝撃(FAB)、プラズマ脱離、レーザー脱離、温度脱離、好ましくは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザーイオン化(MALDI)を含む、タンパク質イオン化の種々の方法が、有用である。限定はしないが、飛行時間(Time−of−Flight(TOF))、イオントラップ(ITMS)、フーリエ変換型質量分析計(FTMS)、四重極イオントラップ、およびセクター(電子および/または磁気)分光計を含む、多くの異なる質量解析が、ペプチドおよびタンパク質解析のために利用可能である。たとえば、イオン−トラップMSに関して、米国特許第5,572,025号を参照のこと。質量分析器は、単独で、またはタンデム質量分析機にて、他の質量分析機との組み合わせで使用できる。後者の場合、第一質量分析機を、互いからのタンパク質イオン(前駆体イオン)を分離するために使用可能であり、試料中の種々のタンパク質構成物の分子量を決定可能である。第二質量分析機を、たとえば、不活性気体を用いて、たとえば産物イオンへ、前駆体イオンを断片化することによって、各分離された構成物を解析するために使用可能である。たとえば3四重極、タンデム飛行時間、イオントラップ、および/またはそれらの組み合わせを含む、質量分析機の任意の望ましい組み合わせを使用可能である。
異なる種類の検出器を、タンパク質のイオンを検出するために使用可能である。たとえば、イオン電子乗算器または極低温検出器(たとえば米国特許第5,640,010号)を含む、破壊性検出器を使用可能である。さらに、四重極イオントラップ質量解析器またはFTMSで、イオン電流ピックアップ器具として使用される、イオントラップのような、非破壊性検出器を使用可能である。
MALDI−TOFに関して、乾燥液滴(Karasand Hillenkamp,Anal.Chem.,60:2299−2301,1988)、吸引−乾燥(Winberger et al.,Proceedings of the 41st ASMA Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,San Francisco,May 31−June 4,1993,pp.775a−b)、粉砕結晶(Xiang et al.,Rapid Comm.Mass Spectrom.,8:199−204,1994)、低速結晶増殖(Xiang et al.,Org.Mass Spectrom,28:1424−1429,1993)、活性フィルム(Mock et al.,Rapid Comm.Mass Spectrom,6;233−238,1992、Bai et al.,Anal.Chem.,66:3423−3430,194)、気送スプレー(Kochling et al.,Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics;Atlanta,GA,May 21−26,1995,p1225)、電子スプレー(Hensel et al.,Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics;Atlanta,GA,May 21−26,1995,p.947)、急速溶媒蒸発(Vorm et al.,Anal.Chem.,66:3281−3287,1994)、サンドイッチ(Li et al.,J.Am.Chem.Soc.,118:11662−11663,1996)および二層法(Dal et al.,Anal.Chem.,71:1087−1091,1999)を含む多数の試料調製法を使用可能である。また、たとえば、Liang et al.,Rapid Commun.Mass Spectrom.,10:12119−1226,1996、van Adrichemet al.,Anal.Chem.,70:923−930,1998も参照のこと。
MALDI解析に関して、試料は、液相中で、エネルギー吸着化合物またはコロイド(マトリックス)と混合すること、不活性プローブの表面上で、固体状態まで液体を完全に乾燥させることによって、固体状態共結晶、または薄フィルムとして調製する。いくつかの場合に、エネルギー吸着分子(EAM)は、試料提示表面の全体成分である。EAM適用戦略にかかわらず、レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析器(LDIMS)への導入の前に、プローブ容量が、固体状態まで乾燥可能になる。
TOF質量分析器におけるイオン検出は、典型的に、電子乗算器(EMP)またはマイクロチャンネルプレート(MCP)のような、電子放射検出器の使用とともに達成される。これらの器具の両方が、たとえば電子のような、第一入射帯電粒子を、第二、第三、第四のカスケードへ変換することによって機能する。単一の入射帯電粒子の衝突によって産出される第二電子の可能性が、この帯電粒子のイオンから電子への変換効率(またはより単純には、変換効率)となり得る。入射帯電粒子の総数と比較した時の、カスケード事象に関する総電子収率は、典型的に、検出器増幅率として記述される。一般的に、MCPsの総応答時間が、EMPsのそれよりも非常に優れているので、MCPsは、質量/電荷分解力を増強するための、好ましい電子−放射検出器である。しかしながら、EMPsは、急速な応答時間および広い周波痛バンド幅が必要でないときに、分散した速度論的エネルギーのイオン集団を検出するためによく機能する。
好ましい観点において、消化したタンパク質の解析のために、液体−クロマトグラフィータンデム質量分析器(LC−TMS)が使用される。この系は、液体クロマトグラフィーの使用と、それに続くタンデム質量分析を介して、試料分離のさらなるステージを提供する。
好ましい観点において、実施例1にて記述した系にしたがったカラムから溶出したタンパク質を、MSおよびMS−MS解析両方を用いて解析する。たとえば、P2から溶出する元のタンパク質の小さな部分は、LC−ESI MSを用いて、オンライン検出に移され得る。タンパク質を、多数のプレート上で分液し、消化、またはトリプシン無し、MALDI−MSのため、ならびにESI−MSのための調製、ならびに異なるマトリックスでのMALDIプレートの調製が可能になる。したがって本法によって、もとの質量における情報に加えて、ペプチド質量フィンガープリンティングおよびMS−MS技術両方による解析を実施することが可能になる。
タンパク質の分離および画分化の、本明細書で記述した方法は、小数の異なるタンパク質を含む、個々のタンパク質または画分を提供する。これらのタンパク質は、タンパク質またはその画分化から得られたペプチドの分子量の質量分析決定によって同定可能である。タンパク質配列データベース中の入手可能な情報を使用することで、比較を、in silicoで産出したタンパク質分解ペプチド質量パターンと、実験的に観察されたペプチド質量間で実施可能である。「ヒット−リスト(hit−list)」を、データベース中の候補タンパク質をランク付けして、(他の基準のうち)論理的および実験的タンパク質分解断片間での適合の数に基づいてコンパイル可能である。いくつかのウェブサイトが、ペプチドマッピングおよび配列データベース検索戦略に基づいて、タンパク質同定オン−ラインのためのソフトウェアを提供して、アクセス可能である(たとえば、http://www.expasy.ch)。ペプチドマッピングとMSを用いたシークエンシングの方法は、WO95/252819号、米国特許第5,538,897号、米国特許第5,869,240号、米国特許第5,572,259号、および米国特許第5,695,376号にて記述されている。また,Yates,J.Mass Spec.,33:1(1998)も参照のこと。
質量分析器から回収したデータは、典型的には、各検出した事象に関する、強度および質量対電荷比を含む。スペクトルデータは、デジタルまたはアナログ形態いずれかで、たとえば図面、数字またはエレクトロニックフォーマットを含む、任意の好適な形態で、記録可能である。スペクトルは、好ましくは、たとえば、フロッピーディスク、テープまたはハードディスクのような磁気、CD−ROMまたはレーザーディスクのような光学、またはROM−CHIPSを含む、保存媒体に記録される。
該試料の質量スペクトルは、典型的には、タンパク質強度、質量対電荷比、分子量を提供する。本発明の好ましい実施様態において、試料中のタンパク質の質量を、データベースを問い合わせるために、マッチング基準として使用する。分子量は、たとえば、イオン化プロトンの質量を、単一帯電プロトン負荷分子イオンに関して控除することによって、また、測定した質量/電荷比を、多重帯電イオンに対する電荷の数にて掛け合わせ、イオン化プロトンの数を控除することによって、従来通りに計算される。
種々のデータベースが、本発明にしたがって有用である。有用なデータベースには、ゲノム配列を含むデータベース、発現遺伝子配列、および/または発現タンパク質配列が含まれる。好ましいデータベースには、公知の有機体、器官、組織、または細胞型に存在するタンパク質のヌクレオチド配列由来分子質量が含まれる。オープンリーディングフレーム(ORF)を同定し、ヌクレオチド配列をタンパク質配列および分子量情報を変換するための多数のアルゴリズムが存在する。いくつかの公表されているアクセス可能なデータベースが入手可能であり、SwissPROT/TrEMBLデータベースが含まれる(http://www.expasy.ch)。
典型的に、質量分析器には、特定の閾値レベル上のピークを同定し、質量、電荷、および検出したイオンの強度を計算する市販のソフトウェアを備える。該出力ピークとの分子量の相関を、スペクトルデータから直接達成可能であり、すなわち、イオン上の電荷が1つであり、分子量がしたがって分子値マイナスイオン化プロトンの質量と等しい。しかしながら、タンパク質イオンは、N、CおよびKのような種々のカウンター−イオンおよび付加物と複合体形成可能である。そのような場合、該タンパク質イオンが、同様のタンパク質の異なるイオン状態(または種)を表している、三重項のような、多重ピークを示すことが予想される。したがって、同様のタンパク質から現れるピークのファミリーを同定するために、スペクトルデータを解析および処理することが必要であり得る。この解析は、たとえば、Mann et al.,Anal.Chem.,61:1702−1708(1989)によって記述されたように、従来通り実施可能である。
データベースは、未知の分子量と適合しているタンパク質の範囲に関して問い合わせることが可能である。範囲ウインドは、器具の正確さ、試料を調製した方法によって決定可能である。スペクトル中のヒット(ヒットは適合である)の数に基づいて、未知のタンパク質またはペプチドを同定または分類する。
質量分析器による1つまたはそれ以上のCPPを同定する方法が、心臓血管疾病の診断および予後のために有用である。好ましくは、そのような方法は、ヒト血漿中に存在する1つまたはそれ以上のCPPを検出するために使用する。例示的な技術は、その全てが参考文献によって組み込まれている開示物である、米国特許明細書第02/0060290号、第02/0137106号、第02/0138208号、第02/0142343号、第02/0155509号にて記述されている。
診断および予後使用
本明細書で記述された核酸分子、タンパク質、タンパク質相同物および抗体を、1つまたはそれ以上の以下の方法で使用可能である。診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験モニタリング、薬物スクリーニング、およびさらに本明細書で記述されるような薬理遺伝学。
本発明は、さらに記述されるように、CPP核酸およびタンパク質を検出するための、診断および予後アッセイを提供する。また、CPPとCPP標的分子間の相互作用、とりわけ天然のアゴニストおよびアンタゴニスト間の相互作用を検出するための診断および予防アッセイを提供する。
本発明は、2つまたはそれ以上の試料間に異なって発現するポリペプチドを同定するための方法を提供する。「異なる発現(differential expression)」は、試料間のポリペプチドの量または質の差を意味する。そのような差は、翻訳後改変を介した転写からのタンパク質発現の任意の段階での結果であり得る。たとえば、タンパク質アレイ法を用いて、吸着材(たとえばチップ)の異なる組上の親和性スポットに2つの試料が結合し、認識マップを、吸着剤の2つの組によって異なって保持されているポリペプチドを同定するために比較する。異なった保持には、ポリペプチドにおける定量的保持ならびに定性的差が含まれる。たとえば、タンパク質の翻訳後改変での差は、結果として、結合特性における差(たとえば、糖付加タンパク質は、レクチン吸着材に異なって結合する)、または質量の差(たとえば翻訳後開裂産物)として検出可能な、認識マップでの差となる。特定の実施様態において、吸着剤は、疾患または症状に関する診断的マーカーの組み合わせに関して選択する親和性スポットのアレイを含み得る。
(たとえば血漿試料中CPPを異なって発現する)試料間のポリペプチドレベルの差は、脱離分光分析(質量分析)による解析のための種々の条件に、試料を暴露することによって同定可能である。未知のタンパク質は、物理化学的特性(たとえば分子量)を検出することによって同定可能であり、この情報を、同様のプロファイルを持つタンパク質に関するデータベースを検索するために使用可能である。
CPPを検出する好ましい方法は、質量分析技術を使用する。そのような方法は、試料中、たとえば診断または予後のために提出された、生物学的試料中に存在する、特定のCPPアイソフォームの大きさおよび特徴に関する情報を提供する。質量分析技術は、表題「質量分析によるCPPの検出(Detection of CPP by mass spectrometry)」の項で詳述している。実施例1は、好ましい検出スキームを概説しており、そこでは、生物学的試料を、質量分析による特性化の前に、クロマトグラフィーによって分離する。本発明は、少なくとも1つのクロマトグラフィー段階によって生物学的試料(たとえば血漿、血清、リンパ、脊髄液、特定の組織の細胞溶解物)を画分化すること、画分を質量分析にかけること、および(たとえば表1で開示したような)CPPポリペプチドの公知の特徴にて、質量分析にて観察されたポリペプチド種の特徴を比較すること、の段階を含む、生物学的試料中のCPPを検出する方法を提供する。
本発明の単離した核酸分子を、たとえば、(たとえば生物学的試料中の)CPP mRNA、またはCPP−コード遺伝子中の遺伝子変化を検出するため、および以下でさらに記述されるようなCPP活性を調節するために使用可能である。さらに、CPPを、天然に存在するCPP標的分子に関してスクリーニングするため、および、CPP活性を調節する薬剤または化合物に関してスクリーニングするために、使用可能である。さらに、本発明の抗−CPP抗体は、CPPを検出および単離するため、CPPのバイオアベイラビリティーを調整するため、およびCPP活性を調節するために使用可能である。
したがって、本発明の1つの実施様態には、本発明の分子(たとえばCPP、CPP核酸またはCPPモジュレーター)を、たとえば、任意の前述のCPP活性が示唆される、疾病を診断および/または予後するために使用する、使用の方法が含まれる。他の実施様態において、本発明は、本発明の分子を、任意の上述した活性が、病理学的に混乱する、たとえば、対象、好ましくは、ヒト対象の診断および/または予後のために使用する、使用の方法が含まれる。
たとえば、本発明は、a)前記生物学的試料を、i)逼迫条件下、CPP核酸にハイブリッド形成するポリヌクレオチド、またはii)CPPに選択的に結合する検出可能ポリペプチド(たとえば抗体)と接触させること、およびb)前記試料内、前記ポリヌクレオチドおよびRNA種間のハイブリッド形成の存在または不在、または前記試料中の前記検出可能ポリペプチドのポリペプチドへの結合の存在または不在を検出することを含む、CPPが生物学的試料内で発現するかどうかを決定する方法が含まれる。前記ハイブリッド形成、または前記結合の検出によって、前記CPPが前記試料中で発現されることが示唆される。好ましくは、ポリヌクレオチドはプライマーであり、そこで前記ハイブリッド形成は、前記プライマー配列を含む増幅産物の存在を検出することによって検出され、または検出可能なポリペプチドが抗体である。
特定の実施様態において、検出には、アンカーPCRまたはRACE PCRのような、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における(たとえば、その全てが参考文献によって本明細書にて組み込まれている開示物である、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号を参照のこと)、ライゲーション連鎖反応(LCR)における(たとえば、その全てが参考文献によって本明細書にて組み込まれている開示物である、Landegren et al.(1988)Science 241:1077−1080およびNakazawa et al.(1994)PNAS 91:360−364を参照のこと)、プローブ/プライマーの使用が含まれ、後者は、CPP−コード−遺伝子における点変異を検出するために特に有用であり得る(その全てが参考文献によって本明細書にて組み込まれている開示物である、Abravaya et al.(1995)Nucleic Acids Res.23:675−682を参照のこと)。
哺乳動物、好ましくはヒトで、CPPの発現のレベルが上昇または減少したかどうかを、a)前記動物から生物学的試料を提供すること、およびb)前記生物学的試料内のCPPの、またはCPPをコードしているCPP RNA種の量を、対照試料中で検出されたか、または予想されたレベルと比較すること、を含んで、検出する方法も想像される。前記対照試料にて検出された、または予想された前記レベルと比較した、前記生物学的試料内の、前記CPPまたは前記CPP RNA種の増加量が、前記動物が、CPP発現の増加したレベルを持つことを示唆し、前記対照試料にて検出された、または予想された前記レベルと比較した、前記生物学的試料内の、前記CPPまたは前記CPP RNA種の減少量が、前記動物が、CPPの発現の発現の減少したレベルを持つことを示唆している。
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイおよび臨床試験のモニタリングを、予後目的のために使用する、予測医療の領域に関する。したがって、本発明の1つの観点は、生物学的試料(たとえば血液、血漿、細胞、組織)との関連で、CPPおよび/または核酸発現、ならびにCPP活性を決定し、それによって、個体が、疾患または疾病を煩っている、または異常なCPP発現または活性に関連した、疾病を発達させるかどうかを決定するための、診断アッセイに関する。本発明はまた、個体が、CPP、核酸発現または活性に関連した疾病を発達させるリスクを持つかどうかを決定するための、予後(または予測)アッセイも提供する。たとえば、CPP−コード遺伝子中の変異を、生物学的試料中でアッセイ可能である。そのようなアッセイは、それによって、CPP発現または活性によって特徴づけられ得るか、または関連する疾病の発生の前に、個体を予防的に処理するための、予後または予測目的のために使用可能である。
語句「生物学的試料(biological sample)」は、個体から単離した組織、細胞および生物学的液体、ならびに個体内の組織、細胞および液体が含まれることが意図される。すなわち、本発明の検出方法は、インビトロならびにインビボでの生物学的試料中の、CPP mRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出するために使用可能である。好ましい生物学的試料は、リンパ、脊髄液、血液およびとりわけ血漿のような、生物学的液体である。たとえば、CPP mRNAの検出に関する、インビトロ技術には、ノザンハイブリッド形成およびインシツハイブリッド形成が含まれる。CPPの検出のインビトロ技術には、質量分析、酵素免疫測定法(Enzyme Linked ImmnoSorbent Assays(ELISAs))、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が含まれる。CPP−コードゲノムDNAn検出のためのインビトロ技術には、サザンハイブリッド形成が含まれる。さらに、CPPの検出のためのインビボ技術には、個体への、標識化抗−CPP抗体の導入が含まれる。
好ましい実施様態において、対象の方法は、一般的に、個体(たとえばヒト患者)の組織試料中、少なくとも1つの、(i)対象CPPの1つをコードしている遺伝子の変異、または(ii)CPP−コード遺伝子の発現ミスによって特徴づけられる遺伝子的障害の存在または不在を検出することを含むことによって、特徴づけることができる。例示するために、そのような遺伝的障害は、調節要素における障害およびCPP−コード転写物の安定性の減少を示唆している、少なくとも1つの、(i)CPP−コード遺伝子からの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの検出、(ii)遺伝子への1つまたはそれ以上のヌクレオチドの添加、(iii)1つまたはそれ以上の遺伝子のヌクレオチドの置換、(iv)遺伝子の全体クロモソーム再配置または増幅、(v)遺伝子のメッセンジャーRNA転写のレベルにおける全変化、(vi)ゲノムDNAのメチル化パターンのような、遺伝子の異常な改変、(vii)遺伝子のメッセンジャーRNA転写の、非野生型スプライシングパターン、および(viii)発現レベルの減少の存在、を解明することによって検出可能である。
また他の例示的実施様態において、CPP核酸の異常なメチル化パターンは、メチル化に感受性であり、認識部位が(隣接および導入配列中を含む)CPP−コード遺伝子に存在する、1つまたはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼによって、患者試料からのゲノムDNAを消化することによって検出可能である。たとえば、Buiting et al.(1994)Human Mol Genet 3:893−895を参照のこと。消化したDNAを、ゲル電気泳動によって分離し、たとえばゲノムまたはcDNA配列から由来するプローブとハイブリッド形成させる。CPP−コード遺伝子のメチル化状態は、標準の公知のメチル化に関するものと、試料DNAから発生した制限パターンを比較することによって決定可能である。
また他の実施様態において、診断アッセイは、細胞表面または細胞外タンパク質に結合するCPPの能力を検出して提供される。たとえば、細胞内に適切なレベルで発現している一方で、(標的に対する低下した、または増強したいずれかの結合親和性を持つ)CPP標的タンパク質の結合において、障害がある、CPP変異を検出することが望ましい可能性がある。そのような変異は、たとえば、点変異導入のような変異導入から発生し得、診断DNAシークエンシング技術によって、または上述した免疫アッセイによって、検出されることが実用的であり得る。本発明はしたがって、さらに、一般的に、試料組織から、1つまたはそれ以上のCPP−コード遺伝子をクローン化すること、およびクローン化した遺伝子を、組換え体遺伝子産物と標的タンパク質間の相互作用の検出を許容する条件下で、発現させることを含む、診断的スクリーニングアッセイを意図する。本明細書にて列記されている、種々の薬物スクリーニングアッセイの記述から明らかなように、広く種々の技術を、他の成分に結合するCPPの能力を検出するために使用可能である。これらの技術は、野生型CPPと比較して、CPP標的タンパク質に対して、より高い、またはより低い結合親和性を持つ、変異体タンパク質を発生させる、CPP−コード遺伝子中の変異を検出するために使用可能である。逆に、どのCPP標的タンパク質およびCPPが「おとり(bait)」であり、患者試料から由来するか、変更することによって、対象アッセイを、CPP標的タンパク質の野生型と比較して、CPPに対して、より高いまたはより低い結合親和性を持つ、CPP標的タンパク質変異体を検出するためにも使用可能である。
例示的実施様態において、標的タンパク質は、本明細書で記述したように、GST融合タンパク質およびグルタチオン処置マイクロタイタープレートを使用することによってのように、固定化タンパク質(「標的(target)」)として提供され得る。
他の実施様態において、方法にはさらに、対照対象から、対照生物学的試料を得ること、前記対照試料を、存在が、生物学的試料中で検出されるように、CPP、mRNAまたはゲノムDNAまたはRNAの類似体を検出可能な化合物または薬剤と接触させること、および対照試料中のCPP、mRNAまたはゲノムDNAまたはRNAの類似体のレベルを、試験試料のそれと比較すること、が含まれる。本発明はまた、生物学的試料中のCPP、mRNAまたはゲノムDNAの存在を検出するためのキットを含む。たとえば、キットは、生物学的試料中で、CPP、mRNAまたはゲノムDNAを検出可能な標識化化合物または薬剤、試料中のCPPの量を測定するための方法を含み得る。化合物または薬剤は、好適な容器中にパッケージし得る。キットはさらに、CPPまたは核酸を検出するために、キットを使用するための、説明書を含み得る。
薬物スクリーニングアッセイ
本発明は、CPP発現、好ましくはCPP生物学的活性を増強、または好ましくは阻害する、候補モジュレーター(たとえば小分子、CPPペプチド、抗体、ペプチドミメティックまたは他の薬物)を同定するための方法(また、本明細書では、「スクリーニングアッセイ(screening assay)」と呼ばれる)を提供する。いくつかの実施様態において、小分子は、コンビナトリアル化学反応を用いて作成可能であり、天然の産物ライブラリーから得ることが可能である。アッセイは、細胞に基づく、または細胞に基づかないアッセイであってよい。薬物スクリーニングアッセイは、さらに記述するように、結合アッセイ、より好ましくは機能アッセイであり得る。
本発明を、たとえばCPPポリペプチドまたは候補モジュレーターの、抗心臓血管疾病応答を誘導する能力を決定するため、薬物開発のために使用する場合、少なくとも1つのCPPのレベルに関して解析した体液が、好ましくは非ヒト哺乳動物からのものである。非ヒト哺乳動物は、好ましくは、内生および外因性薬剤による、抗心臓血管疾病応答の誘導が、ヒトにおけるそのような応答の誘導の予測であるところのものである。齧歯類(マウス、ラットなど)および霊長類が、本発明の本観点での使用にとりわけ有用である。
さらに本明細書で記述されるようなスクリーニングアッセイを用いて、少なくとも5%まで、より好ましくは少なくとも10%まで、またより好ましくは少なくとも30%まで、またより好ましくは少なくとも50%まで、またより好ましくは少なくとも70%まで、またより好ましくは少なくとも90%まで、CPP活性を調整すると発見される薬剤が、予後的および/または治療的抗心臓血管疾患薬剤として、さらなる試験のために選別され得る。
他の観点において、本明細書でさらに記述されるスクリーニングアッセイを用いて、少なくとも5%まで、より好ましくは少なくとも10%まで、またより好ましくは少なくとも30%まで、またより好ましくは少なくとも50%まで、またより好ましくは少なくとも70%まで、またより好ましくは少なくとも90%まで、CPP発現を調整すると発見される薬剤が、予後的および/または治療的抗心臓血管疾患薬剤として、さらなる試験のために選別され得る。
CPP活性を調整すると発見される薬剤は、たとえば、心臓血管疾病のための治療処方計画を調整するため、または単独または他の適切な薬剤または処置との組み合わせで、心臓血管疾患の症状を減少させるために使用し得る。
タンパク質アレイ法は、スクリーニングおよび薬物発見のために有用である。たとえば、レセプター/リガンド対の1つのメンバーを、吸着材にドックさせ、結合パートナーへ結合するその能力を、試験物質の存在下で決定する。脱離を試験可能な急速性を持つので、試験物質のコンビナトリアルライブラリーを、その相互作用を調整する能力に関して簡単にスクリーニング可能である。好ましいスクリーニング方法において、CPPは吸着材にドックする。結合パートナーを好ましくは標識化し、したがって、相互作用の検出が可能になる。あるいは、特定の実施様態で、試験物質を吸着材にドックする。本発明のポリペプチドを、この試験物質に暴露し、結合に関してスクリーニングする。
他の実施様態において、アッセイは、CPPまたはその生物学的に活性な部分を発現している細胞を、試験化合物と接触させて、試験化合物の、CPP活性を調整する能力を決定する、細胞に基づくアッセイである。試験化合物のCPP活性を調整する能力を決定することは、CPPまたはその生物学的に活性な部分の生物活性をモニタすることによって達成可能である。たとえば、細胞は、哺乳動物由来、昆虫由来、細菌由来または酵母細胞であり得る。
1つの実施様態において、本発明は、CPPまたはその生物学的に活性な部分の標的分子である、候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。他の実施様態において、本発明は、CPPまたはその生物学的に活性な部分に結合するか、またはその活性を調整する、候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的アドレス可能平行固相または液相ライブラリー、解析を必要とする合成ライブラリー法、1−ビーズ 1−化合物ライブラリー法およびアフィニティクロマトグラフィー選別を用いる合成ライブラリー法を含む、本技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法での、任意の多数のアプローチを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーと共に用い、一方で、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリーに適用可能である(その全てが参考文献にて、本明細書にて組み込まれている開示物である、Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成に関する方法の例は、たとえば、その全てが参考文献にて、本明細書に組み込ている開示物である、DeWitt et al.(1933)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909、Erb et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422、Zuckermann et al.(1994)J.Med.Chem.37:2678、Cho et al.(1993)Science 261:1303、Carrell et al.(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059およびCarrell et al.(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061、およびGallop et al.(1994)J.Med.Chem.37:1233で見ることができる。
化合物のライブラリは、溶液中(たとえば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82−84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364:555−556)、細菌(Ladner 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner 米国特許第‘409号)、プラスミド(Cull et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)、またはファージ上(Scott and Smith(1990)Science 249:386−390)、(Devin(1990)Science 249:404−406)、(Cwirla et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382)、(Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301−310)、(Ladner上記)に存在してよい。
試験化合物の、CPP活性を調整する能力を決定することは、たとえば、CPPまたはその生物学的に活性な部分の、その同族標的分子への結合が、複合体内での、標識化CPPまたはその生物学的に活性な部分を検出することによって決定可能なように、ラベル基と結合させることによって達成可能でもある。たとえば、複合体形成の程度は、CPPまたはその生物学的に活性な部分を、複合体を免疫沈降させることによって、またはゲル電気泳動を実施することによって、測定し得る。
任意の反応体の標識化なしで、その同族標的分子と相互作用する化合物の能力を決定することも、本発明の目的の範囲内である。たとえば、マイクロフィジオメーターを、化合物または標的分子の標識化なしに、その同族標的分子との化合物の相互作用を検出するために使用できる。その全てが参考文献にて組み込まれている開示物である、McConnell,H.M.et al.(1992)Science 257:1906−1912。サイトセンサーのようなマイクロフィジオメーターは、光−アドレス可能電位差測定センサー(Lighy−Addressable Potentiometric Sensor(LAPS))を用いて、細胞がその環境を酸性にする速度を測定する解析器具である。この酸性化速度の変化は、化合物とレセプター間の相互作用の指標として使用可能である。
好ましい実施様態において、アッセイには、CPPまたはその生物学的に活性な部分を発現する細胞を、標的分子と接触させて、アッセイ混合物を形成すること、前記アッセイ混合物を、試験化合物と接触させること、および試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を阻害する、または増加させる能力を決定すること、が含まれる。試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を阻害する、または増加させる能力を決定することには、試験化合物の、CPP発現細胞の生物学的活性(たとえば、以上で議論したように、CPP標的分子との相互作用)を阻害する、または増加させる能力を決定することが含まれる。
他の好ましい実施様態において、アッセイには、CPPまたはその生物学的に活性な部分に対して応答性の細胞を、CPPまたはその生物学的に活性な部分に接触させて、アッセイ混合物を形成させること、前記アッセイ混合物を試験化合物と接触させること、および試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する能力を決定すること、が含まれる。試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する能力を決定することには、試験化合物の、CPP−応答性細胞の生物学的活性を調整するための能力を決定することが含まれる。
他の実施様態において、アッセイは、CPP標的分子を発現している細胞を、試験化合物と接触させること、および試験化合物のCPP標的分子の活性を調整する能力を決定すること、を含む細胞に基づくアッセイである。試験化合物のCPP標的分子の活性を調整する能力を決定することは、たとえば、標的分子の活性を査定することによって、またはCPPの、CPP標的分子へ結合する、または相互作用する能力を査定することによって達成可能である。
CPPの、CPP標的分子へ結合する、または相互作用する能力を決定することは、たとえば、結合を直接的または間接的に決定するための、上述した方法の1つによって達成可能である。好ましい実施様態において、アッセイには、CPPまたはその生物学的に活性な部分を、前記CPPに結合する公知の化合物(たとえばCPP抗体または標的分子)と接触させて、アッセイ混合物を形成すること、前記公知化合物の前後で、CPPを試験化合物と接触させること、およびCPPと相互作用する試験化合物の能力を決定すること、が含まれる。試験化合物の、CPPと相互作用する能力を決定することには、試験化合物の、好ましくはCPPまたはその生物学的に活性な部分に結合する能力を、公知の化合物と比較して決定することが含まれる。CPPの、CPP標的分子へ結合する能力を決定することはまた、リアル−タイム生物分子相互作用解析(Biomolecular Interaction Analysis(BIA))のような技術を用いて達成可能である。その全てが参考文献にて、本明細書に組み込まれている開示物である、Sjolander,S.and Urbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338−2345およびSzabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705。本明細書で使用するところの「BIA」は、任意の反応物を標識化することなしに、リアルタイムで、生物特異的相互作用を研究するための技術である(たとえばBIAcore)。表面プラズモン共鳴の光学的現象の変化を、生物学的分子間のリアル−タイム反応の指標として使用可能である。
他の実施様態において、アッセイは、CPPまたはその生物学的に活性な部分が、試験化合物と接触し、試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する能力を測定する、細胞を含まないアッセイである。好ましい実施様態において、CPPの、CPP標的分子を調整する、または相互作用する能力を決定することは、標的分子の活性を決定することによって達成可能である。たとえば、標的分子の活性は、標的分子をCPPまたはその生物学的に活性な部分と接触させること、および標的の細胞性第二メッセンジャー(たとえば、camp、STAT3、Akt、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)の誘導を測定すること、標的適切な基質の触媒的/酵素的活性を検出すること、(検出可能なマーカー、たとえばルシフェラーゼをコードしている核酸に動作可能に連結した標的−応答性調節要素を含む)レポーター遺伝子の誘導を検出すること、または標的調節細胞応答、たとえば、シグナル伝達またはタンパク質:タンパク質相互作用を検出することによって、決定可能である。
本発明の細胞を含まないアッセイは、単離タンパク質(CPPまたはその生物学的に活性な部分またはCPP標的が結合する分子)の水溶性および/または膜結合両形態の使用にしたがう。単離タンパク質の膜結合形態を使用する、細胞を含まないアッセイの場合に、単離タンパク質の膜結合形態を溶液中に保持するように、可溶性薬剤を使用することが望ましい。そのような可溶化薬剤の例には、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton TM X−100、Triton TM X−114、Thesit TM、イソトリデシポリ(エチレン グリコール エーテル)n,3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アミノニオ−1−プロパンスルホネートのような、非イオン性界面活性剤が含まれる。
本発明の上記のアッセイ方法の1つ以上の実施様態において、タンパク質の1つまたはそれ以上の、非複合形態からの複合形態の分離を促進するため、ならびにアッセイの自動化を適合するために、CPPまたはその標的分子いずれかを固定化することが望ましい。候補化合物存在下、または非存在下で、標的分子への試験化合物のCPPへの結合、標的分子とのCPPの相互作用は、反応物を含むために好適な任意の容器中、本明細書で記述した任意の固定化プロトコールによって達成可能である。あるいは、複合体を、マトリックスから解離可能であり、CPP結合または活性のレベルを、標準の技術を用いて決定する。
マトリックス上にタンパク質を固定化するための他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイ中で使用可能である。たとえば、CPPまたはCPP標的分子いずれかを、ビオチンおよびストレプトアビジンの共役物を使用して固定化可能である。ビオチン化CPPまたは標的分子は、本技術分野でよく知られている技術(たとえばビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford,III)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシミド)から調製可能であり、ストレプトアビジン−コート96ウェルプレート(Pierce Chemical)の壁に固定化する。あるいは、CPPまたは標的分子に応答性であるが、CPPのその標的分子への結合を干渉しない、抗体を、プレートの壁へ捕獲可能であり、未結合標的またはCPPは、抗体共役によって壁に細くされる。GST−固定化複合体に関して、以上で記述したものに加えて、そのような複合体を検出するための方法には、CPPまたは標的分子に応答性の抗体を用いた、複合体の免疫検出、ならびにCPPまたは標的分子と結合する酵素的活性を検出することに基づく、酵素連結アッセイが含まれる。
他の実施様態において、CPP発現のモジュレーターを、細胞を、候補化合物と接触させ、細胞内でのCPP mRNAまたはタンパク質の発現を決定する方法にて同定する。候補化合物存在下、CPP mRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、候補化合物が存在しない場合のCPP mRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較する。ついで、候補化合物を、この比較に基づいて、CPP発現のモジュレーターとして同定可能である。たとえば、CPP mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物が存在しない場合よりも、存在する場合に、より大きい(統計学的に有意に大きい)場合に、候補化合物が、CPP mRNAまたはタンパク質発現の刺激物として同定される。あるいは、CPP mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物が存在しない場合よりも、存在する場合に、より小さい(統計学的に有意に小さい)場合に、候補化合物が、CPP mRNAまたはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。細胞内のCPP mRNAまたはタンパク質発現のレベルを、CPP mRNAまたはタンパク質を検出するために、本明細書にて記述された方法によって決定可能である。
本発明の他の観点において、CPPに結合するか、または相互作用し(「CPP−結合タンパク質(CPP−binding proteins)」または「CPP−bp」)、CPP活性に関与する、他のタンパク質を同定するために、CPPを、二次元ハイブリッドアッセイまたは三次元ハイブリッドアッセイにおける、「おとりタンパク質(bait proteins)」として使用可能である(たとえば、その全てが参考文献によって本明細書に組み込まれている開示物である、米国特許第5,283,317号、Zervos et al.(1993)Cell 72:223−232、Madura et al.(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054、Bartel et al.(1993)Biotechniques 14:920−924、Iwabuchi et al.(1993)Oncogene 8:1693−1696、およびBrent WO94/10300号を参照のこと)。そのようなCPP−結合タンパク質はまた、たとえば、CPP−仲介シグナル経路の下流要素として、CPPまたはCPP標的によって、シグナルの伝播に関与する可能性がある。
二元ハイブリッド形成は、分離可能DNA−結合および活性化領域からなる、ほとんどの転写因子の分子性質に基づいている。簡単に記すと、アッセイは、2つのDNA構造物を使用する。1つの構造において、CPPまたはその断片をコードしている遺伝子が、公知の転写因子(たとえばGAL−4)のDNA結合ドメインをコードしている遺伝子と融合する。他の構造では、同定されていないタンパク質(「捕獲(prey)」または「試料(sample)」)をコードしているDNA配列のライブラリーからのDNA配列を、公知の転写因子の活性ドメインをコードしている遺伝子に融合する。「おとり(bite)」および「捕獲(prey)」タンパク質が、インビボで相互作用可能であり、CPP−依存複合体を形成する場合、転写因子のDNA−結合および活性ドメインを、近くに持って行く。この近接さが、転写因子に応答性の転写調節部位に動作可能に連結する、レポーター遺伝子(たとえばLacZ)の転写を許容する。レポーター遺伝子の発現を検出可能であり、機能的転写因子を含んでいる細胞コロニーを、単離し、CPPに相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得るために使用可能である。
本発明はさらに、上述したスクリーングアッセイによって同定された新規薬剤、およびこれらのアッセイの使用によってそのような薬剤を産出するための工程に関する。したがって、1つの実施様態において、本発明は、任意の1つの上述したスクリーニングアッセイ(たとえば細胞に基づくアッセイまたは細胞を含まないアッセイ)の段階を含む方法によって入手可能な化合物または薬剤を含む。
したがって、適切な動物モデルにおいて、本明細書で記述したように同定した薬剤をさらに使用することが、本明細書の目的の範囲内である。たとえば、本明細書で記述したように同定した薬剤(たとえば、CPPモジュレーター薬剤、またはCPP−結合パートナー)を、そのような薬剤での処置の効果、毒性または副作用を決定するために、動物モデルで使用可能である。あるいは、本明細書で記述したように同定した薬剤を、そのような薬剤の活性機構を決定するために、動物モデルを使用可能である。さらに、本発明は、本明細書に記述したような、処置のための上述スクリーニングアッセイによって同定した、新規薬剤の使用に関する。
本発明はまた、本明細書に記述したような、診断、予後、予防および処置に関する上述したスクリーニングアッセイによって同定した、新規薬剤の使用にも関する。したがって、そのような薬剤を、本明細書にて記述したような、診断、予後、または処置での使用のための、薬物または薬理学的組成物の設計、処方、合成、製造および/または産出での使用も、本発明の目的の範囲内である。たとえば、1つの実施様態において、本発明には、上述したスクリーニングアッセイの1つによって得ることが可能な化合物の構造および/または特性を参照することにより、薬物または薬理学的組成物を合成または産出する方法が含まれる。たとえば、薬物または薬理学的組成物は、CPP標的分子を発現している細胞を、試験化合物と接触させ、前期試験化合物の、CPP標的分子に結合する、またはCPP標的分子の活性を調整する能力を決定する方法によって入手した化合物の構造および/または特性に基づいて合成可能である。他の例示的実施様態では、本発明には、CPPまたはその生物学的に活性な部分を、試験化合物と接触させ、前記試験化合物の、CPPまたはその生物学的に活性な部分に結合する、またはCPPまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する能力を決定する方法によって入手可能な、化合物の構造および/または特性に基づいて、薬物または薬理学的組成物を合成するまたは産出する方法が含まれる。
動物に基づく薬物スクリーニング
インビボでのスクリーニング薬物アッセイを実施することもまた都合がよい。インビボスクリーニングアッセイは、心臓血管疾患で役割を果たし得る効果的なCPPモジュレーターを発見するために、非ヒト動物で実施する。心臓血管疾患の動物に基づくモデル系には、限定はしないが、非組換え体動物およびトランスジェニック動物が含まれ得る。
心臓血管疾患に関する、非組換え体動物モデルには、たとえば、遺伝子モデルが含まれ得る。そのような遺伝子心臓血管疾患モデルには、apoBまたはapoR欠損ブタ(Rapacz,et al.,1986,Science 234:1573−1577)およびワタナベ遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギ(Kita et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.84:5928−5931)が含まれる。アテローム性動脈硬化症の非組換え体、非遺伝的動物モデルには、たとえば、動物を、LDLの食事補給を介した化学的損傷、またはたとえばバルーンカテーテル血管形成を介した物理的損傷いずれかに暴露した、ブタ、ウサギまたはラットモデルが含み得る。
先行技術(Ferns,G.A.A.et al.(1991)Science,253:1129−1132)で示唆されたように、再狭窄のラット頚動脈損傷モデルが、潜在的治療動作の有用な指標であり得る。本方法の例は、参考文献にて本明細書に組み込まれた開示物である、米国特許第6500859号で開示されている。簡単に記すと、National Institute on Aging Animal Care and use Committeeに承認されたプロトコールは、腹腔内に、20mg/kg体重のペントバルビタール、2mg/kg体重のケタミン、および4mg/kg体重のキシラジンで麻酔した、GRCコロニーからの6ヶ月ウイスター(Wistar)ラットを使用した。左外部頚動脈に、2−French Fogarty塞栓摘除カテーテルでカニューレ挿入し、食塩水で膨張させ、膨張しているdeendothelializing傷をつくるために、共通の頚動脈を上下に3回通過させた。動物を、創傷後2時間で開始した、腹腔内注射によって、(たとえば、1:2:2:165 DMSO:Cremophor EL:脱水エタノール:リン酸緩衝食塩水のような適切な溶液中、一日あたり体重に基づいて)適切な用量の試験基質または賦形剤のみで処理した。試験基質または賦形剤のみを、腹腔内注射として、続く4日間、一日一回投与した。11日後、動物(8匹処理、および10匹賦形剤処理)を、以上のように麻酔し、頚動脈を単離し、10%緩衝ホルマリン中で固定して、パラフィン中に包埋した。頚動脈の断面を、顕微鏡スライド上にマウントし、ヘマトキシリンとエオシン染色で染色した。頚動脈のイメージを、デジタル化板上に写し、脈管内膜と培地の断面領域を測定した。新生内膜領域(肥厚化)の減少が、試験基質が、抗再狭窄薬剤であることを示唆している。
腸管の内腔からの胆汁酸の再循環を干渉することが、因果関係にて、血清コレステロールのレベルを減少させることがわかっている。疫学的データが蓄積され、そのような減少が、アテローム性動脈硬化症の疾患状態の改善を導くことが示唆されている(Stedronsky,Biochimica et Biophysica Acta,1210,255−287(1994))。コレステリル エステル転移タンパク質(CETP)の阻害は、血漿HDL/LDL比を効果的に改変することが示されてきており、特定の心臓血管疾患の進展および/または形成を調べることが予想される。CETPの阻害は、血漿HDLコレステロールの上昇、および血漿LDLコレステロールの低下を導くに違いなく、それによって、治療的に利点のある血漿脂質プロファイルが提供される(McCarthy,Medicinal Res.Revs.,13.139−59(1993))。14C−タウロコレートの胆汁内へのラット回腸取り込みを阻害する化合物(CETP阻害)に関するインビボアッセイが、参考文献にて本明細書に組み込まれている開示物である、米国特許第6489366号およびUne,et al.Biochimica et Biophysica Acta,833,196−202(1985)にて開示されている。
簡単に記すと、オスウィスター(Wistar)ラット(200〜300g)を、インアクチン(100mg/kg)で麻酔する。胆管に、10インチ長のPE10チューブをカテーテル挿入する。小腸が、ガーゼパッド上で、暴露され、配置されるべきである。カニューレ(1/8”ルアーロック、テーパーメスアダプター)を、小腸および盲腸の連結から12cmのところに挿入する。(8cm長の回腸を用いて)部位をこの同様の連結より4cmのところで切断する。12ミリリットルの温ダルベッコ(Dulbecco’s)リン酸緩衝食塩水、pH6.5(PBS)を用いて、小腸区画を流し出す。末梢開口部で、10cm長のシリコーンチューブにてカニューレ挿入する(0.02”I.D.倍0.037”O.D.)。近接カニューレを、蠕動ポンプに取り付け、腸を20分間、温PBSにて、0.25ml/分で洗浄する。腸区画の温度を、連続的にモニタする。実験の開始にて、2.0mlの対照試料(5mM非放射活性タウロコレートでの、14C−タウロコレート、0.05mCi/mL)を、3mlのシリンジで腸区画内にロードし、胆汁試料回収を開始する。対照試料を、0.25ml/分の速度で、21分間、注ぎ込む。胆汁試料画分を、本手順の最初の27分間、3分ごとに回収する。試料注入の21分後、回腸ループを、(30mlシリンジを用いて)20mlの温PBSで洗浄し、ついでこのループを、0.25ml/分で、温PBSにて21分間洗浄する。第二潅流を、上述のように開始するが、これは、試験化合物を同様に投与し(21分間投与、続いて21分間洗浄)、最初の27分間、3分おきに胆汁をサンプリングする。必要ならば、第三潅流を、一般的に対照試料を含んで、上述のように実施する。
さらに、肝臓コレステロール濃度の測定が、心臓血管疾病に対する、試験基質の効果を決定するための有用なアッセイである。このアッセイにおいて、肝臓組織を定量し、クロロホルム:メタノール(2:1)中に均質化する。残余物を、イソプロパノール中に溶解し、コレステロール含量を、(参考文献にて、本明細書に組み込まれている)Allain,C.A.et al.,Clin.Chem.,20,470(1974)によって記述されたように、酵素的に、コレステロールオキシダーゼとペルオキシダーゼを用いて、測定する。
同様に、血清コレステロールを、以下のように決定し得る。総血清コレステロールを、Wako Fine Chemicals(Richmond,Va)、Cholesterol C11,カタログ番号第276−64909からの市販キットを用いて、酵素的に測定する。HDLコレステロールは、Sigma Chemical Co. HDL Cholesterol試薬、カタログ番号352−3(硫酸デキストラン法)にて、VLDLおよびLDLの沈殿の後、ワコーの同様のキットでアッセイ可能である。総血清トリクリセリド(ブランク)(TGI)をまた、Sigma Chemical Co. GPO−Trinder、カタログ番号337−Bで、酵素的にアッセイする。VLDLおよびLDL(VLDL+LDL)コレステロール濃度は、総およびHDLコレステロール間の差として計算する。対照と比較した、試験基質−処理試料中のVLDL+LDLコレステロールの減少が、効果的な抗心臓血管疾病薬剤の指標である。
脂質低下薬剤を評価するためのイヌモデルもまた、たとえば、米国特許第6489366号で記述されたように、使用可能である。
簡単に記すと、Marsahll牧場のような小売店から入手し、6〜12kgの体重の、オスビーグルイヌに、一日一回、2時間給餌し、適宜水を与えた。イヌを、賦形剤、i.g.;1mg/kg、i.g.;2mg/kg、i.g.;4mg/kg、i.g.;2mg/kg、p.o.(カプセル中粉末)のような、6〜12ドッグからなる投与群に割り当てた。水性溶液中に溶解させた治療物質の胃内投与(たとえば、0.2% Tween 80溶液[ポリオキシエチレン モノオレアート、Sigma Chemical Co.、St.Luis,Mo.])を、栄養補給チューブを用いて実施し得る。投与を開始する前に、血清コレステロール(総およびHDL)およびトリグリセリドを評価するために、給餌の前、朝に、血液試料を頭部動脈から抜いてよい。いくつかの連続日数の間、動物に、給餌の前に、朝に投与する。動物には2時間餌を食べさせ、その後残った食物を除去する。糞を、本研究の終わりに、2日間をかけて回収し、胆汁酸または脂質含量に関して解析し得る。処置期間の終わりにまた血液試料を抜き、試験前の血清脂質レベルと比較する。統計学的有意さは、p<0.05での標準スチューデントT−試験を用いて測定し得る。
血清脂質測定を同様に測定する。血液を、血清分離チューブ(Vacutainer SST、Becton Dickinson and Co.、Granklin Lakes,N.J.)中で、給餌イヌの頭部血管から回収する。血液を、2000rpmにて20分間遠心し、血清をデカントする。総コレステロールを、比色測定される過酸化水素を産出するコレステロールオキシダーゼ反応を用いて、ワコー(Wako)酵素診断キット(Cholesterol CII)(Wako Chemicals、Richmond、Va)を用いて、96ウェルフォーマット中で測定し得る。0.5〜10ugのコレステロールからの標準曲線を、プレートの最初の2カラムで調製する。血清試料(20〜40ul、予想される脂質濃度に依存する)または公知の血清対照試料を、二重に分離ウェルに加える。水を加えて、各ウェルで、容量を100ulとする。100ulの着色試薬分液を各ウェルに加え、プレートを、37℃にて15分間のインキュベーションの後に、500nmにて読む。
HDLコレステロールは、選択的にLDLおよびVLDLを沈殿させるために、硫酸デキストランおよびMgイオンを用いる、シグマ(Sigma)キット第352−3番(Sigma Chemical Co.、St.Louis,Mo.)を用いてアッセイし得る。各血清試料150ul容量を、個々のマイクロフュージチューブに加え、続いて15ulのHDLコレステロール試薬(シグマ352−3)を加える。試料を混合し、5000rpmにて5分間撹拌する。ついで、50ulの上清分液を、200ulの食塩水と混合し、総コレステロール測定のためのものと同様の手順を用いてアッセイする。
トリグリセリドを、シグマキット第337番を用いて、96ウェルプレートフォーマットで測定する。この手順により、トリグリセリドと、リポタンパク質リパーゼの反応によるその放出に続いて、グリセロールが測定される。1〜24ugの範囲のグリセロール(シグマ339−11)の標準溶液を使用して、標準曲線を作製する。血清試料(20〜40ul、予想される脂質濃度に依存する)を、二重でウェルに加える。水を加えて、各ウェル100ulまで容量を増やし、100ulの着色試薬も各ウェルに加える。混合および15分間のインキュベーションの後、プレートを540nmにて読み、トリグリセリド値を、標準曲線より計算する。複製プレートも、ブランク酵素試薬を用いて走らせ、血清試料中の内性グリセロールに関して訂正する。
試験化合物を、本明細書にて組込まれた開示物である、米国特許第6462046号にて記述されたように、db/dbマウス(C578BL/KsJ−db/db Jcl)中の血清グルコースおよび血清インスリンにおけるその効果に関して評価し得る。化合物を、(たとえば蒸留水中2% Tween 80からなる)賦形剤中で溶解し、経口で投与する。用量は、体重によって決定する。実験および動物の破棄を含むすべての観点の作業は、一般的に、International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals(CIOMS Publication No.ISBN 92 90360194、1985)にしたがって実施する。グルコース−HA アッセイキット(ワコー(Wako)、日本)を、血清グルコースの決定のために使用し、ELISA Mouse Insulin Assayキット(SPI bio、France)を、インスリンの決定のために使用する。適切な陽性対照は、トログリタゾン(Helios Pharmaceutical、Louisville,Ky.)である。
動物を、4匹ずつの20の群に分ける。動物は、52+/−5グラムで、8〜10週齢である。実験の間、動物には、実験食(Fwusow Industry Co.、台湾)および水へ自由にアクセスさせる。任意の処置の前に、血液試料(処置前血液)を各動物から抜く。4つの群の動物、賦形剤群には、賦形剤の投与のみを与える。各賦形剤群には、100、30、10または1ml/kg体重の賦形剤を経口で与える。トリグリタゾン溶液(tween80/水中、10ml/kg体重)を、2つの陽性対照群に、経口で、それぞれ100、30、10および1ml/kg体重で投与する。試験化合物を同様に、異なる化合物用量を各群に与えることで、4つの動物群に、溶液として経口投与する。賦形剤、陽性対照および試験化合物溶液は、処置前血液を抜いた直後、24時間後および48時間後に、群に投与する。最後の用量の投与の1.5時間後、血液を抜く(処置後血液)。血清グルコースを、酵素的に(Mutaratose−GOD)決定し、ELISA(マウスインスリンアッセイキット)によってインスリンレベルを決定する。各群の平均SEMを計算し、血清グルコースおよびインスリンのパーセント阻害を、処置前血液と処置後血液間の比較によって得る。処置前血液と比較して、処置後血液における、血清グルコースおよびインスリンレベルの減少のパーセンテージを決定し、対応のないスチューデントt検定を、対照および試験溶液群と賦形剤群の間の比較に関して適応する。有意な差は、P<0.05で考慮する。効果的な抗−心臓血管疾病薬剤としてのトログリタゾンは、10mg/kg体重にてグルコースのレベルを減少させる(25+/−2%)。
本明細書に組込まれる開示物である、米国特許第6121319号は、高コレステロール血症ウサギにおける、アテローム性動脈硬化症の進展に関するアッセイを記述している。ウサギを犠牲死させ、大動脈を得る。この大動脈を、スーダン−4にて染色し、染色の程度を解析する。試験基質処置および未処置脂質−給餌ウサギにおける、傷害で覆われた、パーセント大動脈表面積をグラフにする。効果的な抗−アテローム性動脈硬化症薬剤で処理したウサギの大動脈はあまり染まらず、これは、アテローム性動脈硬化症の減少を示唆している。さらに、大動脈の切片を、VCAM−1またはRam−11抗原に対する抗体を用いて、VCAM−1発現およびマクロファージ集積に関して免疫染色する。対照処理試料と比較した、VCAM−1発現およびマクロファージ集積の減少は、効果的な薬剤の示唆である。
LDLコレステロールの減少がまた、霊長類モデルで決定され得る。たとえば、カニクイザルを、高脂肪コレステロール食を給餌することによって、試験化合物投与前に、高コレステロール血症にする。ついでこのサルに、試験化合物または対照賦形剤を2週間、経口で投与する。この時間間隔にわたる、サルにおけるパーセント血清LDLコレステロールの減少は、効果的な抗−アテローム性動脈硬化症薬剤の指標である。
薬理学的組成物
本発明のポリペプチドが、たとえば、形質転換酵母または哺乳動物細胞の分泌産物として、可溶性形態で発現する場合、これらは、精製におけるガイダンスを提供する、たとえば「酵素精製および関連技術(Enzyme Purification and Related Techniques)」、Methods in Enzymology,22:233−557(1977)、およびScopes,R.,Protein Purification:Principles and Practice(Springer−Verlag,New York,1982)にしたがって、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、電気泳動、アフィニティークロマトグラフィーの段階を含む、本技術分野の標準の手順にしたがって精製可能である。同様に、本発明のポリペプチドが、たとえば凝集物、または封入体のような、不溶性状態で発現される場合、これらは、ペプチドを生物学的に活性な配座にするような、遠心によって封入体を分裂宿主細胞から分離すること、封入体を、カオトロピックおよび還元剤で可溶化すること、可溶化混合物を希釈すること、およびカオトロピック薬剤および還元剤の濃度を低下させること、を含む適切な技術で精製可能である。後者の手順は、参考文献にて組込まれている、以下の参考文献にて開示されている。Winkler et al,Biochemistry,25:4041−4045(1986)、Winkler et al.Biotechnology,3:992−998(1985)、Koths et al,米国特許第4,569,790号、および欧州特許出願第86306917.5号および第86306353.3号。
小分子、ペプチド、CPP核酸分子、および本発明の抗−CPP抗体を含む、CPPまたはCPP生物学的活性を調整可能な化合物を、投与に好適な薬理学的組成物に組込むことが可能である。そのような組成物は、典型的には、薬理学的に許容可能な担体を含む。本明細書で使用するところの語句「薬理学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)」は、薬理学的投与に適合可能な、任意およびすべての溶媒、分散培地、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および脱離遅延剤などが含まれる。薬理学的に活性な基質に対する、そのような培地および薬剤の使用は、本技術分野でよく知られている。任意の従来の培地または薬剤が、活性化合物と互換性がない場合を除いて、組成物内でのこれらの使用が考慮される。補助活性化合物もまた、組成物内に組込むことが出来る。
本発明の薬理学的組成物を、その意図する投与経路に適合可能なように処方する。投与経路の例には、たとえば、静脈内、皮内、皮下、経口(たとえば吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が含まれる。非経口、皮内または皮下適用のために使用する溶液または懸濁液には以下の、注射のための水のような無菌希釈液、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン類のような抗細菌剤、アスコルビン酸または二亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような毒素の調節のための薬剤が含まれる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような、酸または塩基によって調節可能である。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジまたはガラスまたはプラスチック製多重用量バイアル中に封入可能である。
注射可能な使用のために好適な薬理学的組成物には、無菌水性溶液(水に可溶性の場合)または分散液、および無菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。静脈内投与のために、好適な担体には、生理学的食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合で、組成物は、無菌でなければならず、簡単にシリンジ内に存在する程度まで流体であるべきである。製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して、予防されなければならない。担体は、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびこれらの好適な混合液を含む、溶媒または分散培地であり得る。適切な流動性を、たとえば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合、要求された粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持し得る。活動細菌の予防は、種々の抗細菌および抗真菌剤、たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサルなどによって達成可能である。多くの場合、たとえば糖類、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール類、塩化ナトリウムのような等張薬剤を組成物内に含めることが好ましい可能性がある。注射可能な組成物の吸収を長くすることは、吸収を遅延させる薬剤、たとえば、一ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを、組成物内に組込むことによって達成される。
活性化合物がタンパク質、たとえば抗−CPP抗体である場合、無菌注射可能溶液を、要求された量の活性化合物を、必要なように、以上で列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒中に組込み、続いて濾過滅菌することによって調製可能である。一般的に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散溶媒と、以上で列記したものからの他の必要な成分を含む、無菌賦形剤内に組込むことによって調製される。無菌注射可能溶液の調製のための、無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、予め無菌濾過したその溶液から、活性成分+任意の追加的な望む成分の粉末を産出する、真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に、不活性希釈液および食用担体を含む。これらは、ゼラチンカプセル中に封入可能であり、錠剤に圧縮可能である。経口治療投与の目的のために、活性化合物を、賦形剤とともに組込むことが可能であり、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用し得る。吸入による投与のために、化合物を、好適な高圧ガスたとえば二酸化炭素のような気体を含む加圧容器またはディスペンサーから、エアゾルスプレーまたはネブライザーの形態で伝達する。全身投与はまた、経粘膜または経皮法によっても可能である。経粘膜または経皮投与のために、浸透すべきバリアに対して適切な浸透剤を、処方中で使用する。そのような浸透剤は、一般的に本技術分野で公知であり、たとえば、経粘膜投与に関して、界面活性剤、胆汁塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、ネーザルスプレーまたは坐薬の使用を介して達成可能である。経皮投与のために、活性化合物を、本技術分野で一般的に公知な、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリーム内で処方する。もっとも好ましくは、活性化合物は、静脈内注射によって、対象に伝達される。
1つの実施様態において、活性化合物は、埋め込みおよびマイクロカプセル伝達系を含む、制御放出処方のような、体からの急速な消失に対して、化合物を保護し得る担体で調製される。エチレンビニル酢酸、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル類、およびポリ乳酸のような、生物分解性、生物適合ポリマーを使用可能である。そのような処方の調製に関する方法は、当業者によって明らかであり得る。材料もまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体に感染した細胞を標的とするリポソームを含む)リポソーム懸濁液をまた、薬理学的に許容可能な担体として使用可能である。これらは、たとえば、そのすべてが参考文献にて本明細書に組込まれている開示物である、米国特許第4,522,811号にて開示されたように、当業者に公知の方法にしたがって調製可能である。
さらなる実施様態において、活性化合物を、マイクロチップ薬物伝達器具上にコートし得る。そのような器具は、タンパク質性組成物を消化にかけ、個体に注射したりせずに、血流、骨髄液、リンパ、または個々の組織へ、そのような組成物を制御伝達するために有用である。マイクロチップ薬物伝達器具を用いる方法は、そのすべてが本明細書に組込まれている開示物である、米国特許第6,123,861号および第5,797,898号、および米国特許明細書第20020119176A1号にて記述されている。
用量の投与および均質化の簡素化のために、用量ユニット形態で、経口、または好ましくは非経口組成物を処方することが、とりわけ、都合がよい。本明細書で使用するところの、用量ユニット形態は、処置されるべき対照に対する、単位用量として適切な、物理的に分離したユニットを意味し、各ユニットは、必要な薬理学的担体と関連して、望む治療的効果を産出するように計算した、予め決定した量の活性化合物を含む。本発明の用量ユニット形態に関する明細は、活性化合物の特性、および達成されるべき特定の治療効果、およびそのような活性化合物を、個体の処置のために化合させる、本技術分野で本来備わっている制限によって決定され、、そして直接依存する。
そのような化合物の毒性および治療効果は、たとえば、LD50(集団の50%が致死する量)およびED50(集団の50%において、治療的に効果的な用量)を決定するために、細胞培養液または実験動物中で、標準の薬理学的手順によって決定可能である。毒性および治療効果間の用量比が、治療指標であり、比LD50/ED50で表すことが可能である。大きな治療指標を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物が使用可能である一方で、非感染細胞への潜在的なダメージを最小化し、それによって副作用を減少させるために、影響を受けている組織の部位へ、そのような化合物を標的化する伝達系を設計することに注意を払うべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータを、ヒトでの使用のための用量範囲を処方するために使用可能である。そのような化合物の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性のないED50を含む、循環濃度の範囲内である。用量は、使用した用量形態、使用した投与経路に依存して、この範囲内で変化して良い。本発明の方法で使用する任意の化合物に関して、治療的に効果用量は、細胞培養アッセイからまず推定可能である。用量を、より正確に、ヒトでの有用な用量を決定するために使用する、循環を達成するために、動物モデルにて処方して良い。血漿中のレベルを、たとえば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定して良い。
薬理学的組成物は、投与説明書とともに、容器、パックまたはディスペンサー内に含めることが可能である。
心臓血管疾患治療
本発明のCPPモジュレーターおよび抗−CPP抗体を、CPP−関連疾病の処置または予防で使用可能である。したがって、1つの観点において、本発明は、抗体、抗体断片、またはCPPのペプチドモジュレーターを含む、好ましくは薬理学的に許容可能な担体または希釈物を含む、薬理学的組成物に関する。担体または希釈物は、好ましくは、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与に適合可能である。薬理学的組成物は、本明細書で記述した、CPPモジュレーター、抗−CPP抗体、または抗−CPP抗体断片を含み、または本質的にこれらからなり得る。
多数の薬剤が、心臓血管疾病の処置および予防のために有用である。そのような薬剤は、CPP−関連組成物との組み合わせで、都合良く使用して良い。
たとえば、細胞周期インヒビターおよびプロ発癌遺伝子(Simari and Nabel,Semin.Intervent.Cardiol.1:77−83(1996)、NO(酸化窒素)ドナー薬物、bcl−xのようなプロアポトーシス薬剤(Pollman et al.,Nature Med.2:222−227(1998))、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子および全身性ガンシクロビル(Ohno et al.,Science 265:781−784(1994)、Guzman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91」10732−10736(1994)、Chang et al.,Mol.Med.1:172−181(1995)、およびSimari et al.,Circulation 92:1−501(1995))が、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、新生内膜平滑筋増殖を処置するために使用されてきた。上記参考文献の開示物は、そのすべてが、本明細書に組込まれている。
本発明の組成物との組み合わせで有用である抗−血栓症薬剤には、たとえば、IIb/IIIaインテグリンのインヒビター、組織因子インヒビター、および抗−トロンビン薬剤が含まれる。局所麻酔のような不整脈薬剤(クラスI薬剤)、交感神経アンタゴニスト(クラスII薬剤)、抗微小繊維化薬剤(クラスIII薬剤)、カルシウムチャネル薬剤(クラスIV薬剤)またはアニオンアンタゴニスト(クラスV薬剤)が、そのすべてが参考文献にて本明細書に組込まれた開示物である、Vukmir,Am.J.Emer.Med.13:459−470(1995)、Grant,PACE 20:432−444(1997)、Assmann,Curr.Med.Res.Opin.13:325−343(1995)、およびLipka et al.,Am.Heart.J.130:632−640(1995)にて記述されており、また使用して良い。クラスI薬剤の例には、プロカインアミド、キニジンまたはジソピラミド、リドカイン、フェニトイン、トカイニドまたはメキシレチン、エンカイニド、フレカイニド、ロレカイニド、プロパフェノン(III)またはモリシジンが含まれる。交感神経アンタゴニストには、プロプラノロール、エスモロール、メトプロロール、アテネルアール、またはアセブトロールが含まれる。抗繊維化薬剤の例には、ブレチリウム、アミオダロン、ソタロール(II)またはN−アセチルプロカインアミドが含まれる。クラスIV薬剤には、ベラパミル、ジルチアゼム、およびビピリジン、およびアリニジンのようなアニオンアンタゴニストが含まれる。
鬱血性心不全治療薬剤には、エムブレルTM(Immunex Corp.、Seattle,Wash)のようなTNFインヒビター、TBC11251、またはNatrecor(ネシリチド、Scios,Inc.)のようなACE(アンジオテンシン変換酵素)インヒビターが含まれる。血管新生薬剤、たとえば、Genentechによって開発されたrhVEGFのような、組換え体VEGFアイソフォーム、VEGFの121アミノ酸アイソフォームをコードしている核酸分子(BioByPass.TM、GenVec/Parke Davis)、またはVEGF−2をコードしている核酸(Vascular Genetics、Inc.)、FIBLAST.TM、Scios,Inc.(Mountain View,Calif.)およびWyeth Ayerst Laboratories(Radnor,Pa.)によって開発されている、FGF−2の組換え体形態、GENERX.TM、またはCollateral Therapeutics(San Diego,Calif.)、およびSchering AGによって開発された、FGF−4をコードしているアデノウイルス遺伝子治療ベクター(そのすべてが参考文献にて、本明細書に組込まれている開示物である、Miller and Abrams,Gen.Engin.News 18:1(1998)を参照のこと)も、本発明のCPP−関連組成物との組み合わせで有用である。最後に、アムロジピン(Marche et al.,Int.J.Cardiol.62(Suppl.):S17−S22(1997)、Schachter,Int.J.Cardiol.62(Suppl.):S85−S90(1997))、ニカルジピン、ニフェジピン、プロパノロール、イソソルビド ジニトレート、ジルチアゼム、およびイスラジピン(Nayler(Ed.)Calcium Antagonists pp157−260 London:Academic Press(1988)、Schachter,Int.J.Cardiol.62(Suppl.):S9−S15(1997))もまた、心臓血管疾病に対する、都合の良い治療薬剤である。
一般的に本発明を記述し、さらなる理解は、本明細書で例示の目的のためだけに提供され、他に言及しない限り、制限する意図のない、特定の具体的実施例を参照にして得ることが可能である。
実験および対照集団中のCPPレベルの特性化
心臓血管疾患(Cardiovascular Disease)に関してデューク データバンク(Duke Databank)に登録された対象を、冠動脈疾患(CAD)を基準に選択した。合計241人のCAD患者および対照個体を、さらに性別、年齢および民族に関してマッチさせ、血漿異常を持つ個体を除外した。53人のCAD患者の組と、53人の対照個体の組を確立した。6リットルの血漿を各組からプールした。血漿の分役を、各個体から保持し、したがって、プールした試料中の陽性の結果が、集団の各メンバーに関して確認可能である。そのような確認は、心臓血管疾病に関連しない、特定のポリペプチドの異常なレベルを持つ個体の可能性のある混乱させる効果を削除するために価値がある。各集団からの2.5リットルのプールした血漿を、以下のように、Microprot.TM工程にしたがって、多重クロマトグラフィー段階によって分離した。
段階1:HSA/IgG枯渇
125mlの凍結血漿を、解凍し、無菌フード内で、0.45μm無菌フィルター上で濾過した。
濾液を、それぞれ300mlのHSAリガンドSepharoseファストFlowカラム(Amersham,Upsala,Sweden)、5cm ID、15cm長、および100ml Protein G SepharoseファストFlowカラム(Amersham、Upsala,Sweden)、5cm ID、5cm長の2つのインラインカラム上に注入した。
カラムを平衡化し、50mM PO緩衝液、pH7.1、0.15M NaClで洗浄した。流速は、5ml/分であった。
非保持区画(350ml)を第二段階まで凍結した。20回のランを実施した。
段階2:ゲル濾過/逆相捕獲段階
段階1からの試料を解凍し、無菌フード内で、0.45μm無菌フィルター上で濾過した。
濾液を、2つのインラインゲル濾過カラム、2×9.5リットル Superdex 75(Amersham、UK)カラム、14cm ID、62cm長上に注入した。カラムを、50mM PO4緩衝液、pH7.4、0.1M NaCl、8M尿素で平衡化した。疎水性不純物が、逆相プレカラム上、150ml PLRPS(Polymer Labs、UK)上に保持された。プレカラムを試料注入に交換した。ゲル濾過は、流速40ml/分で実施した。
低分子量タンパク質(<20kDa)を、インライン逆相捕獲カラム、50ml PLRPS100オングストローム(Polymer Labs、UK)に適応させた。PLRPSカラム上の、三方向バルブ制御注入を、33mAU(280nm)のカットオフで電源を入れ、ゲル濾過溶出液を逆相捕獲カラムに送った。OD値の見積もった範囲を提供するために、SDS−PAGEを最初に用いることによって、続いて、3つのカットオフ値を評価することによって、このカットオフ値を、確立した(OD範囲の高い、中程度および低い値)。最終カットオフ値を、少なくとも85%の低分子タンパク質集団を持つ、得られた低分子量タンパク質を最大にするために選択した。低分子量タンパク質およびペプチドを、水中0.1% TFA、80%CHCNの1カラム容量勾配によって、逆相補角PLRPSカラムより溶出させた。
溶出区画(50ml)を次の段階まで凍結させた。20ランを実施した。この段階の最後に、全ての逆相溶出液を凍結し、プールし(1リットル)、7つのポリプロピレン容器(143ml)中に分けた。容器を、次の段階での使用まで、−20℃で維持した。
段階3:カチオン交換
段階2からの試料(147ml)を解凍し、等容量のカチオン交換緩衝液A(Gly/HCl緩衝液 50mm、pH2.7、尿素8M)と混合した。
試料を、100ml Source 15Sカラム(Amersham、Upsala,Sweden)、35mm ID、100mm長上に注入した。カラムを平衡化し、緩衝液Aで洗浄した。流速は10ml/分であった。
タンパク質およびペプチドを、100%緩衝液Aから100%緩衝液B(1M NaClを含む緩衝液A)までの段階勾配で溶出した。
3カラム容量 7.5% B(75mM NaCl)
3カラム容量 10% B(100mM NaCl)
3カラム容量 17.5% B(175mM NaCl)
2カラム容量 22.5% B(225mM NaCl)
2カラム容量 27.5% B(275mM NaCl)
2カラム容量 100% B(1M NaCl)
45〜60画分を、ピークに基づいて回収した。7回のランを実施した。7回のランを達成した後、画分を、18画分を得るために、イントラおよびインナーランでプールした。画分を、次の段階のための使用まで、−20℃で保存した。
段階4:還元/アルキル化および逆相HPLC画分1
濃Tris−HClでpHを8.5に調節した後、各18カチオン交換画分を、ジチオエリスリトール(DTE、30mM、37℃、3時間)で還元し、ヨードアセトアミド(120mM、暗所1時間25℃)でアルキル化した。後者の反応は、DTE(30mM)の添加、続いて酸化(TFA、0.1%)によって停止した。ついで、画分を、Uptispher C8、5μm、300オングストロームカラム(インターチム(Interchim)、France)、21mm ID、150mm長上に注入した。注入は、10ml/分流速で実施した。
C8カラムを平衡化し、水中0.1% TFA(溶液A)で洗浄した。タンパク質およびペプチドを、100%Aから100%B(水中0.1% TFA、80% CH3CN)までの二相勾配で60分溶出した。流速は20ml/分であった。40mlの30画分を回収した。
画分中のタンパク質濃度を反映する、各画分の280nmにて測定した光学密度(OD)に基づいて、同様のタンパク質含量の分液を、各画分に関して作製した。
全ての分液を凍結し、各画分あたり1つを除いて、さらなる使用のために保存し、1画分は、過剰な乾燥を防ぐために、各画分中、500μlの水中10%グリセロールの添加の後に、Speed Vac(Savant、Fischer、Geneva)で乾燥させた。乾燥画分を、次の段階での使用まで、−20℃で保持した。
段階5:逆相HPLC画分2
段階4からの乾燥試料を、1mlの溶液A(水中0.03%TFA)中に懸濁させて、Vydac LCMS C4カラム、5マイクロメーター、300オングストローム(Vydac,USA)、4.6mm ID、150mm長上に注入した。流速は、0.8ml/分であった。
C4カラムを平衡化し、溶液Aで洗浄し、タンパク質およびペプチドを、逆相HPLC画分1中の試料の溶出位置に適合させた二相勾配で溶出した。生の質量データを、電気噴霧イオントラップ質量分析(Eledtrospray Ion Trap Mass spectrometry)を用いて得た。16の異なる勾配を、溶媒濃度に相当するRP1画分のCH3CN濃度範囲マイナスおよびプラス5%のCH3CNと共に使用した。30% CH3CNと等しいかそれ以上の溶媒濃度でのRP1中に溶出されたタンパク質に関して、RP2勾配に関する開始溶出条件を、CH3CNパーセンテージで、RP1溶出濃度−30%で設定した。24の溶出された画分を、深ウェルプレート中に回収し、最適なSpeedVac濃度に関して設計された、最適化された異なる回収構造およびさらなるロボット処理を採用する。
段階6:質量検出
約13,000の画分を、96−ウェル深ウェルプレート(DWP)内に、以下の逆相HPLC画分2を回収した。容量のうち小さな割合(2.5%)を、LC−ESI−MS(Bruker Esquir)を用いたオンライン解析に転用した。消化されていないタンパク質の分液を、MALDIマトリックスと混合し、質量補正標準および感受性標準とともに、MALDIプレート上にスポットした。自動化スポッティング器具(Bruker MALCI試料準備ロボット)を使用した。2つの異なるMALDIマトリックス、シナピン酸(sinapinic acid)とも知られている、シナピン酸(sinapic acid;SA)、トランス−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシナミン酸、およびアルファ−シアノ−4−ヒドロキシシナミン酸(HCCA)を使用した。MALCIプレートを、Bruker ReflexIII MALDI MS器具を用いて質量検出にかけた。96−ウェルプレートを+4℃で保存した。
96−ウェルプレート(DWP)を回収し、2つの連続する濃縮段階にかけた。容量を0.8mlから、約50マイクロ/ウェルまで、SpeedVacによる乾燥によって濃縮し、次いで、およそ200マイクロまで再溶解し、約50マイクロ/ウェルまで再濃縮し、+4℃で保存した。ついでタンパク質を、再緩衝、ウェルへのトリプシンの添加、密封およびプレートの37℃、12時間のインキュベーション、つづいてクエンチング(pHを2.0まで下降させるための、ギ酸の添加)によって消化した。ウェルに加えられるトリプシンの濃度は、各特定の画分に関して記録された、280nmでのODに基づいて調節した。これにより、トリプシンの最適な使用、およびほとんどの濃縮した画分の完全な消化が確保された。自動化スポッティング器具(Bruker MALDO試料準備ロボット)を使用して、各ウェルからの容量を沈殿させ、感度および質量補正標準と共に、MALDIプレート上へ、HCCAマトリックスと先行混合させた。MALDIプレートを、Bruker ReflexIII MALDI MS器具を用いて解析した。96ウェルプレートの各ウェルからの成分を、LC−ESI−MS−MS Bruker Bruker Esquir ESI Ion−Trap MS器具で解析した。
段階7:ヒト血漿中の少量ペプチドの検出および同定
分離した画分をさらに、分離および検出のために、質量分析(マトリックス補助レーザー脱離/イオン化(MALDI)およびMS−MS両方)にかけた。
生の質量データ、ペプチド マス フィンガープリンツ(Peptide Mass Fingerprints)およびペプチド配列データを、タンパク質同定および特性化のために統合した。タンパク質を、Mascotソフトウェア(Matrix Science Ltd.、London、UK)を用いて同定し、ペプチド同定からの結果を、スペクトルの手動解析によって確認した。
この工程によって同定されたタンパク質のうち、カルグラニュリンA(SwissProt受け入れ番号第P05109号の、Calgranulin A)(S100カルシウム−結合タンパク質A8)が、CAD患者からのプールした試料中よりも、対照からのプールした試料中で、より大きな程度まで発現していることがわかった(たとえば、疾患画分と比較した、多くの対照画分で、2倍、このタンパク質からのペプチドが観察され、このタンパク質の質量スペクトル同定の間に得られた蓄積スコアは、対照試料に関して、2.5倍高かった)。カルグラニュリンAは、免疫促進タンパク質として特性化されている(Odink,et al.,Nature 330(6143)、80−82(1987)および多数のその後の参考文献)。免疫応答の間に、滲出している脊髄細胞によって発現され、そこで、上皮細胞上のグルコサミノグリカン構造に結合する(Robinson,et al.,JBC 277:3658−65(2002))。興味深いことに、PCT発行物WO00/61742号が、アテローム性動脈硬化症によって引き起こされる、心臓機能不全の処置のための、カルグラニュリンAの使用を開示している。さらに、PCR発行物WO00/18970号は、心筋梗塞および高血圧の予防のための、血管膜増殖のインヒビターとして、カルグラニュリンAの使用を開示している。したがって、本明細書で開示したタンパク質分離および同定アプローチが、疾患試料中よりも、対照試料中でより高いレベルで検出された場合に、研究した疾患の処置のための利益効果を持つ、タンパク質を提供することに効果があることが明らかである。
反対に、本実施例で記述したタンパク質分離および同定の方法は、対照からプールした試料との比較によって、CAD患者からのプールした試料中で、過剰発現したような、(SwissProt受け入れ番号P08493の)Matrix Gla Proteinの同定を可能にする(たとえば、タンパク質からのペプチドが、対照画分と比較して、多くの疾患画分にてほとんど2倍観察され、このタンパク質の質量同定の間に得られた蓄積スコアは、疾患試料に関して2倍高かった)。MGPは、骨およびカートリッジの有機マトリックスに関連した、ビタミンK−依存タンパク質である。Mori,et al.が、MGPが、血管石灰化を阻害可能であることを示唆した(FEBS Letters 433:19−22(1998))。MGPレベルは、血管石灰化への起こり得るフィードバック応答として、アテローム性動脈硬化プラーク中で増加する。PCT発行物WO01/02863号およびWO01/25427号が、アテローム性動脈硬化症および心臓血管疾病に関するバイオマーカーとして、MGPを記述している。したがって、本明細書で記述したタンパク質分離および同定アプローチが、研究した疾患の診断における認識された使用を持つタンパク質を提供することに効果があることが明らかである。
最後に、図1および表1で列記した配列番号5〜10のトリプシンペプチドが、冠動脈疾患(Coronary Artery Disease)試料中、およそ2倍高いレベルで、タンデム質量分析によって観察された。トリプシンペプチドの存在は、少なくともITSWMEPIVK(配列番号5)、FPGAVDGATYILVMVDPDAPSR(配列番号6)、HWLVTDIK(配列番号7)、IQGQEWLSAYQAPSPPAHSGFHR(配列番号8)、YQFFVYLQEGK(配列番号9)およびVISLLPK(配列番号10)のうちの1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドが、CADの個体からの開始血漿試料中で、より高いレベルで存在したことを示唆している。そのようなポリペプチドには、配列番号1〜2および3〜4(それぞれCPP10およびCPP11)の配列によって表されるものが含まれる。MALDI質量分析によって観察されたものに加えて、ペプチドの配列は、本発明のCPPペプチド、配列番号1〜10を定義する。
本発明にしたがったタンパク質分離および同定の方法は、非常に感度が高い。Microprot.TM処理は、数百pMの範囲の血漿濃度である、非常に少量のタンパク質を検出可能である。精度は、ここで記述した方法を実施する間に確認された。とりわけ、アテローム性動脈硬化症およびCADにて、よく特性化された役割をもつタンパク質が、CADおよび対照試料で異なって検出された。
本発明のCPPは、PEBP−様機能ドメインを持っている
本発明のCPPのC−末端領域は、PEBPタンパク質の正準活性部位構造内に折りたたまれると予想される。この構造は、中心ベータシートの1つの末端で、リガンド結合ポケットを形成する(Banfield et al.,上記)。図2において、PEBP活性に対して重要なアミノ酸を、太文字で示している。これらには、Asp−Pro−Asp−x−ProモチーフおよびGly−x−His−Argモチーフが含まれる。両方のモチーフは、PEBPタンパク質間で、および図2で示したように、本発明のCPPで、普遍的に保存されている(Banfield et al.,上記)。さらに、保存された、異常なcis−配座Glu83(PEBP_HUMANナンバリング)を強調している。この残基は、膜結合に関与する可能性がある。Glu83は、Phe残基によって、本発明のタンパク質では置換されている。本発明のCPPのマウス相同物において、相同部位は、Tyr残基である(図3を参照のこと)。
本発明のCPPは、分泌シグナルペプチドおよび保存された特異的N−末端ドメインを持つ
CPPのN−末端アミノ酸は、分泌のための非常に明白なシグナル、および4Cys残基の保存された繰り返しに相当する(図3を参照のこと)。Rosettaソフトウェアパッケージ(Rosetta 1.2(Bonneau,R.,et al.(2001)、Proteins,Suppl 5,119−126)を用いた、配列番号2の最初の67残基のコンピュータモデリングにより、安定三次構造に折りたたまれる、ジスルフィド架橋のパターンが予測される(図4)。
CPPの化学合成
この実施例では、本発明のCPPを合成する。ペプチド断片中間体をまず合成し、ついで、望むポリペプチドへアセンブルする。
CPPをまず、結合すべき断片のN−末端のCys残基を持つように選別した、たとえば5つの断片で、調製可能である。断片1をまず、断片2に結合させて、第一産物を得、ついでプレパラティブHPLC精製の後、前記第一産物を、断片3に結合させて、第二産物を得る。プレパラティブHPLC精製の後、第二産物を、断片4に結合させて、第三産物を得る。最後に、プレパラティブHPLC精製の後、第三産物を断片5に結合させて、望むポリペプチドを得、精製および再折り畳みさせる。
チオエステル形成
断片2、3、4および5を、以上で記述したように、チオエステル産出樹脂上で合成する。この目的のために、以下の樹脂を調製する。S−アセチルチオグルコール酸ペンタフルオロフェニルエステルを、Hackeng et al(1999)によって本質的に記述されたような条件下で、Leu−PAM樹脂に結合させる。第一の場合、得られた樹脂を、DMF中10%メルカプトエタノール、10%ピペリジンでの30分間の処理での、アセチル保護基の除去の後、0.2mmolスケールでの、ペプチド鎖伸長のための開始樹脂として使用する。断片2〜5のN−末端CysのNαを、Boc−チオプロリン(Boc−SPr、すなわちBoc−L−チオプロリン)を、従来のNαまたはSβ保護を持つCysの代わりにそれぞれの鎖の末端に結合することで、保護する。たとえば、Brik et al,J.Org.Chem,65:3829−3825(2000)。
ペプチド合成
固相合成を、Schnolzer et al,Int.J.Peptide Protein Res.,40:180−193(1992)によって記述されたように、段階的Boc化学鎖伸長のための、インシツ中和/2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,1,3,3−テトライエチルウロニウム ヘキサフルオロ−リン酸(HBTU)活性化プロトコールを用いて、Applied Biosystemsからのカスタム改変433A ペプチド合成器上で実施する。各合成サイクルは、ニートTFAでの1〜2分間処理、1分間DMFフロー洗浄、過剰なDIEAの存在下での、2.0mmolの先に活性化したBoc−アミノ酸との10分間結合時間、および第二DMFフロー洗浄による、Nα−Boc−除去からなる。Nα−Boc−アミノ酸(2mmol)を、過剰なDIEA(6mmol)の存在下で、1.8mmol HBTU(DMF中0.5M)で3分間先に活性化させる。Gln残基の結合の後、ジクロロメタンフロー洗浄を、TFAを用いた脱保護の前後で使用し、可能性のある高温(TFA/DMF)−触媒ピロリドン カルボン酸形成を防止する。側鎖保護アミノ酸は、Boc−Arg(p−トルエンスルホニル)−OH、Boc−Asn(キサンチル)−OH、Boc−Asp(O−シクロヘキシル)−OH、Boc−Cys(4−メチレンベンジル)−OH、Boc−Glu(O−シクロヘキシル)−OH、Boc−His(ジニトロフェニルベンジル)−OH、Boc−Lys(2−Cl−Z)−OH、Boc−Ser(ベンジル)−OH、Boc−Thr(ベンジル)−OH、Boc−Trp(シクロヘキシルカルボニル)−OH、およびBoc−Tyr(2−Br−Z)−OH(Orpagen Pharma、Heidelberg,Germany)である。他のアミノ酸を、側鎖保護なしに使用する。C−末端断片1を、Boc−Leu−O−CH−Pam(ロードした樹脂に対して0.71mmol/g)樹脂上で合成し、一方、断片2〜5機械補助合成は、Boc−Xaa−S−CH−CO−Leu−Pam樹脂上で開始する。この樹脂は、標準条件下での、S−アセチルチオグルコール酸 ペンタフルオロフェニルエステルの、Leu−PAM樹脂への結合によって得る。得られた樹脂を、DMF中10%メルカプトエタノール、10%ピペリジンでの30分間の処理での、アセチル保護基の除去の後、0.2mmolスケールで、ペプチド鎖伸長のための開始樹脂として使用する。
鎖アセンブリが完了した後、ペプチド断片を脱保護し、スカベンジャーとして、5% p−クレソールで、0℃にて1時間、無水フッ化物水素での処理によって、樹脂より開裂させる。断片1を除く全ての場合で、イミダゾール側鎖2,4−ジニトロフェニル(DNP)保護基が、DNP−除去手順がC−末端チオエステル基と不適合であるので、His残基上に残る。しかしながら、DNPは、ライゲーション反応の間に、チオールによって徐々に除去し、無保護Hisを得る。開裂の後、ペプチド断片を、氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、水性アセトニトリル中に溶解し、凍結乾燥する。ペプチド断片を、緩衝液A(H2O/0.1% トリフルオロ酢酸)中の緩衝液B(アセトニトリル/0.1% トリフルオロ酢酸)の直線勾配および214nmでのUV検出を用いることによって、ウォーター(Water)からのC18カラムでのRP−HPLCによって精製する。試料を、エスカイア(Esquire)器具(Bruker、Bremen,Germany)または類似の器具を用いて、エレクトロスプレー質量分析(ESMS)によって解析する。
ネイティブ化学ライゲーション
より完全に以下で記述するように、未保護断片のライゲーションは以下のように実施する。乾燥ペプチドを、pH7周辺で、1〜8mMの最終ペプチド濃度を得るために、6M塩酸グアニジン(GuHCl)、0.2Mリン酸、pH7.5中、等モル量で溶解し、1%ベンジルメルカプタン、1%チオフェノールを加える。通常、反応は、一晩実施し、HPLCおよびエレクトロスプレー質量分析でモニタする。ライゲーション産物を、続いて、処理して、まだ存在する保護基を除去する。N−末端チアゾリジン環の開裂には、さらに、pH3.5での0.5M最終濃度までのメトキサミンの添加、およびさらなる37℃にて2時間のインキュベーションが必要である。10倍過剰なトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを、プレパラティブHPLC精製の前に加える。ポリペプチド鎖を含む画分を、ESMSによって同定し、プールし、凍結乾燥する。
断片4および5のライゲーションを、6M GuHCl中、pH7.0にて実施する。各反応剤の濃度は、8mMであり、1%ベンジルメルカプタンおよび1%チオフェノールを加えて、還元環境をつくり、ライゲーション反応を促進する。ほとんどの定量的ライゲーション反応は、37℃での一晩の撹拌の後に観察される。反応のこの時点で、CH−O−NHHClをこの溶液に加えて、0.5M最終濃度を得、N−末端チアゾリジン環を開裂するために、pHを3.5に調整する。37℃にて2時間のインキュベーションの後、ESMSを使用して、反応の完了を確認する。続いて、反応混合液を、ペプチド断片に比べて10倍過剰なトリス(2−カルボキシエチルホスフィン)で処理し、15分後、ライゲーション産物を、プレパラティブHPLC(たとえば、C4、20〜60%CHCN、0.5%/分)を用いて精製し、凍結乾燥し、−20℃にて保存する。
同様の手順を、わずかに改変して、残りのライゲーションのために繰り返す。
ポリペプチド折り畳み
全長ペプチドを、1M GuHCl、100mM Tris、10mMメチオニン、pH8.6中で、還元凍結乾燥タンパク質(約0.1mg/mL)を溶解することによって、空気酸化によって再折り畳みする。穏やかに一晩撹拌した後、タンパク質溶液を、上述したように、RP−HPLCによって精製する。
CPP抗体組成物の調製
本質的に純粋なCPPまたはその部分を得る。最終調製物中のタンパク質の濃度を、たとえば、アミコン(Amicon)フィルター器具上での濃縮によって、数マイクログラム/mlのレベルまで調整する。ついで、タンパク質に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を、表題「モノクローナル抗体(Monoclonal antibodies)」および「ポリクローナル抗体(Polyclonal antibodies)」の項目で記述したように、調製する。
簡単に記すと、抗−CPPモノクローナル抗体を産出するために、数週間の期間にわたり、マウスにそれぞれ、数マイクログラムのCPPまたはその断片を繰り返して接種させる。ついでマウスを犠牲死させ、脾臓の抗体産出細胞を単離する。脾臓細胞を、ポリエチレングリコールの方法によって、マウス脊髄細胞に融合させ、過剰な融合しなかった細胞を、アミノペテリンを含む選択培地(HAT培地)上の系の増殖によって破壊する。うまく融合した細胞を希釈し、希釈液の分液を、マイクロタイタープレートのウェル中に入れ、そこで培養の増殖を続ける。抗体産出クローンを、もともと、その全てが本明細書に参考文献にて組み込まれている開示物である、Engvall,E.,Meth.Enzymol.70:419(1980)によって記述されたように、ELISAのような免疫アッセイ手順によって、ウェルの上清液体中の抗体を検出することによって同定する。選択した陽性クローンを、拡張し、そのモノクローナル抗体産物を使用するために回収可能である。モノクローナル抗体産出に関する詳細な手順は、その全てが本明細書に参考文献にて組み込まれている開示物である、Davis,L. et al.Basic Methods in Molecular Biology Elsevier,New York,Section 21−2にて記述されている。
免疫によるポリクローナル抗体の産出に関して、CPPまたはその部分中の異種エピトープに対する抗体を含むポリクローナル抗血清を、マウスを、免疫原性を増強するように改変できない、または改変できる、CPPまたはその一部分で免疫することによって調製する。ラット、ウサギ、ヤギまたはウマを含む、任意の好適な非ヒト動物、好ましくは、非ヒト哺乳動物を選択し得る。
モノクローナルまたはポリクローナルプロトコールいずれかにしたがって調製した抗体調製物が、生物学的試料中のCPPの濃度を決定する定量的免疫アッセイにて有用であり、またはこれらは、生物学的試料中の抗原の存在を同定するために、半定量的または定性的に使用もする。抗体はまた、タンパク質を発現している細胞を殺すため、または体内のタンパク質のレベルを減少させるための、治療的組成物中で使用し得る。
図1は、その前駆体および成熟形態のCPP10(配列番号1および2)、およびその前駆体および成熟形態のCPP11(配列番号3および4)の配列、およびタンデム質量分析によって発見されたペプチド配列(配列番号5〜10)を示している。タンデム質量分析によって観察されたトリプシンペプチドは、配列番号1〜4で下線を引いている。MALDI質量分析によって観察されたトリプシンペプチドは、イタリック体である。シグナルペプチドは、配列番号1および3にて、二重下線を引いている。 図2は、CPP10と11のC−末端半分およびPEBPファミリーからのタンパク質間の、構造的相同性を例示している。PEBP_HUMANは、ヒトPEBPタンパク質の配列であり(NCBI、http://www.ncbi.nlm.nih.gov、受け入れ番号P30086にて入手可能な配列、およびPDB、http://www.resb.org、受け入れ番号「1beh」にて入手可能な構造)、およびPEBP_BOVINは、NCBI受け入れ番号P13696およびPDB受け入れ番号「la44」を持つ、ウシPEBPの配列である。両方のタンパク質の構造は、X−線結晶学によって解決された。PEBP活性(リガンド結合)に対して重要なアミノ酸は、一本下線を引いている。これらのは、公知のPEBPタンパク質の間、および本発明のタンパク質中で一般的に保存された、Asp−Pro−Asp−x−ProおよびGly−x−His−Argモチーフが含まれる。さらに、本発明のタンパク質中でPhe残基にて置換されているので、保存cis−配座Glu83(PEBP_HUMAN番号)を強調した。cis−Glu83は、PEBPタンパク質のリガンド結合活性部位中の中心残基である。 図3は、種の間での、CPPのN−末端配列の保存を例示している。それぞれ配列番号1および3に相当するQ96S96およびQ8WW74、およびQ9D9G2およびQ9D9L9は、CPPの2つのマウスオーソロガス遺伝子である。シグナル配列は、二重下線を引き、ヒトPEBPのcis−Glu83残基に相当する4つの保存Cys残基ならびにPhe(ヒト)およびTyr(マウス)残基に一本下線を引いた。 図4は、CPPのN−末端部分(配列番号2またはCPP10)の折り畳みのモデルである。Cys架橋パターンを強調した。Cys8−Cys36およびCys21−Cys42。
【配列表】
Figure 2005533086
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Claims (13)

  1. 対象における心臓血管疾病に関するスクリーニング、および/または診断の方法であって、以下の、
    i)該対象からの生物学的試料中の、ポリペプチドのレベルを検出すること、および/または定量することで、そこで前記ポリペプチドが、
    a.配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    b.1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠損または挿入を持ち、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と比較して75%の配列同一性を持つ、変異体、
    c.少なくとも7つのアミノ酸長である、上記i)またはii)で定義したようなポリペプチドの断片、
    から選択される、および
    ii)該レベルを、対照試料のものと比較すること、
    の段階を含む方法であって、ここで、該レベルの、対照のものと比べた増加が、心臓血管疾病の指標である、方法。
  2. 対象における心臓血管疾病を予測するための方法であって、以下の、
    i)該対象からの生物学的試料中のポリペプチドのレベルを検出すること、および/または定量することで、そこで前記ポリペプチドが、
    a.配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    b.1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠損または挿入を持つ、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と比較して75%の配列同一性を持つ、変異体、
    c.少なくとも7つのアミノ酸長である、上記i)またはii)で定義したようなポリペプチドの断片、
    から選択される、および
    ii)前記レベルを、対照試料のものと比較すること、
    の段階を含む方法であって、ここで、前記レベルの、対照のものと比べた増加が、心臓血管疾病を発達させるリスクを示唆する、方法。
  3. 前記心臓血管疾病が、冠動脈疾患(CAD)である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記生物学的試料が血漿である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ポリペプチドが、質量分析によって検出される、および/または定量される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ポリペプチドが、酵素免疫測定法によって検出される、および/または定量される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. i)配列番号1〜10、および
    ii)1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠損または挿入を持つ、(i)のアミノ酸配列と比較して75%の配列同一性を持つ、変異体、
    からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
  8. 前記ポリペプチドが、異種ポリペプチド配列に融合する、請求項7のポリペプチド。
  9. 配列番号1〜10からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに選択的に結合する、抗心臓血管疾病血漿ポリペプチド(CPP)抗体。
  10. i)請求項9の抗体を、抗体結合が許容される条件下で、生物学的試料と接触させること、および
    ii)混入物質を除去すること、
    の段階を含む、心臓血管疾病血漿ポリペプチド(CPP)へ抗体を結合させる方法。
  11. 前記抗体が、標識基に結合する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記試料が、ヒト血漿である、請求項10に記載の方法。
  13. i)試験化合物を、少なくとも1つのCPP生物学的活性に関して許容な試料条件下で、配列番号1〜10からなる群より選択されるポリペプチドに接触させること、
    ii)前記少なくとも1つのCPP生物学的活性のレベルを測定すること、
    iii)前記試験化合物を欠く標準試料のものと、前記レベルを比較すること、および
    iv)心臓血管疾病の予防的、および/または治療的処置のためのCPPモジュレーターとして、さらなる試験のために、前記レベルを変化させる試験化合物を選別すること、
    の段階を含む、心臓血管疾病血漿ポリペプチド(CPP)モジュレーターを同定する方法。
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