JP2007513063A - 心臓血管障害に関連する分泌ポリペプチド種 - Google Patents

心臓血管障害に関連する分泌ポリペプチド種 Download PDF

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Abstract

本発明は心臓血管障害を有する患者の血漿において高レベルで循環するヒト分泌ポリペプチドを開示する。本発明はまた診断、予後診断および薬剤開発のためのポリペプチド、これらをコードするポリヌクレオチド、およびこれらのポリペプチドに特異的な抗体をも提供する。

Description

発明の詳細な説明
技術分野
本発明は心臓血管障害を有する個体において優先的に分泌されるポリペプチド種、かかるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド、その多型変異体、ならびに心臓血管障害診断および薬剤開発のための、検出アッセイにおける該核酸およびポリペプチドまたはその組成物の使用に関する。
背景技術
心臓血管障害は工業国で重大な健康リスクである。冠動脈疾患(CAD)はアテローム性動脈硬化症または動脈の硬化を特徴とする。アテローム性動脈硬化症は最も一般的な心臓血管疾患であり、心臓発作、卒中および四肢の壊疽の主要な原因であり、そしてそれにより米国の主要な死因である。アテローム性動脈硬化症は多くの細胞型および分子因子(例えばRoss, Nature 362:801-809(1993)に記載)が関与する複合疾患である。正常な環境では、動脈壁の内皮細胞および平滑筋細胞(SMC)への損傷に対する保護応答は、炎症が先行し、かつ、伴う、線維脂肪および線維病変またはプラークの形成からなる。アテローム性動脈硬化症の病変の進行は関係する動脈を閉塞させ、そして多様な形態の損傷に対する過剰な炎症−線維増殖応答の結果であり得る。血管内皮細胞の傷害または機能不全は、個体にアテローム性心臓血管疾患の加速度的発症の傾向をもたらす多くの状態の一般的な特徴である。
アテローム・プラークは関係する血管を閉塞し、そして血流を制限し、結果的に虚血を生じる。虚血は不十分な灌流のために、器官の組織における酸素供給の欠如を特徴とする状態である。かかる不十分な灌流はアテローム性または再狭窄性病変、貧血または卒中を含む多くの自然の原因を有し得る。心臓における虚血の最も一般的な原因は心外膜冠動脈のアテローム性動脈硬化症である。これらの血管の内腔の縮小により、アテローム性動脈硬化症は基底状態の心筋灌流の絶対的低下を引き起こすか、または流れに対する要求が高まったときに、適切な灌流の増加を制限する。冠動脈血液流はまた動脈血栓、痙攣、および、稀であるが、冠動脈血栓により、ならびに梅毒性大動脈炎による入口部狭窄によっても制限され得る。肺動脈からの左冠動脈前下行枝異常起始のような先天性異常は幼児の心筋虚血および梗塞を引き起こし得るが、この原因は成人では非常に稀である。
心筋虚血はまた、高血圧症または大動脈弁狭窄症による重篤な心室肥大に見られるように、心筋酸素要求が異常に高まった場合にも生じ得る。後者は冠動脈アテローム性動脈硬化症により引き起こされるものと区別できない狭心症を示し得る。極端に重篤な貧血またはカルボキシヘモグロビンの存在下で見られるように、血液の酸素担持能力の低下は稀に心筋虚血の原因になる。往々にして、左心室肥大および冠動脈アテローム性動脈硬化症に続く酸素供給の低下のための酸素要求の増大のような2つまたはそれ以上の虚血の原因が共存する。
多数の臨床試験により心臓血管障害のリスクを高める因子が同定されている。年齢、性別、および家族病歴のようなこれらの危険因子のいくつかは変えることはできない。その他の危険因子には以下のものが挙げられる:喫煙、高血圧、高脂肪および高コレステロール食、糖尿病、運動不測、肥満、およびストレス。
幸いにも、多くの関与する因子はライフスタイルの変化を通して制御可能である。喫煙者の心臓血管障害のリスクは非喫煙者のリスクの2倍以上である。ヒトが喫煙を止めると、過去に彼または彼女がどのくらい喫煙していたかに関わらず、障害を進展させるリスクは低下する。血清コレステロールレベルは心臓血管障害の有病率に直接関係し、そして高血圧症または高血圧は重要な危険因子である。身体的活動は種々のメカニズムを通して心臓血管障害を進展させるリスクを低下させると主張されている:これは心筋酸素供給を増加させ、酸素要求を低下させ、そして心筋収縮およびその電気刺激安定性を改善する。酸素要求の低下および心筋運動は安静時の心拍数および血圧の低下に反映される。身体的活動はまた冠動脈の直径および拡張能を増加させ、側副動脈形成を増加させ、そして冠動脈アテローム性動脈硬化症の進行速度を低下させる。肥満および血清脂肪酸は活動により低下する。
安静時の心臓血管障害の顕著な症状はないかもしれないが、胸部圧迫感のような症状は活動またはストレスの増加と共に生じ得る。現れ得るその他の最初の徴候は胸やけ、悪心、嘔吐、痺れ感、息切れ、ひどい冷や汗、原因不明の疲労、および不安感である。心臓血管障害のさらに重篤な症状は胸痛(狭心症)、律動障害(不整脈)、卒中または心臓発作(心筋梗塞)である。卒中および心臓発作は各々脳および心臓組織の動脈遮断の結果である。症状は異なるので、選択される試験および処置は患者によって大きく異なり得る。
心臓血管障害の程度および重篤度を決定するのに有用な診断試験には:心電図(EKG)、ストレス試験、核医学検査、冠動脈血管造影法、安静時EKG、EKG多相情報診断指標(EKG Multiphase Information Diagnosis Indexes)、ホルターモニター、遅延電位、EKGマッピング、心エコー図、タリウムスキャン、PET、MRI、CT、血管造影図およびIVUSが挙げられる。さらに別の危険因子測定および有用な診断学は一般的であり、そして医学の分野の当業者に最良に適用されている。疾患の重篤度に依存して多様な治療研究法がある。多くのヒトにとって心臓血管障害はライフスタイルの変化および薬剤治療で管理される。さらに重篤な診断により外科手術の必要性が示される場合もある。
虚血性アテローム性動脈硬化症の処置に対する外科的アプローチにはバイパス移植術、冠動脈血管形成術、レーザー血管形成術、アテローム切除術、動脈内膜切除術および経皮経管的血管形成術(PCTA)が挙げられる。これらのアプローチの後、閉塞が再発し、そしてしばしばさらに悪化する再狭窄による失敗率は異常に高い(30−50%)。再狭窄の多くはさらなる炎症、平滑筋蓄積および血栓によると思われる。心臓血管疾患に対するさらに別の治療研究法には、虚血性心臓および四肢疾患のような症状における血管形成を勧める処置が含まれる。
ほとんどのCADおよび心臓血管障害の症状の非特異的特性は明確な診断を困難にしている。より定量的な診断方法は個体間および単一の個体における測定値間の双方の変動性に苦慮する。このように、診断用測定は標準化され、そして十分に実証され、そして広範な病歴の個体に適用されなければならない。さらに、現在の診断方法はしばしば所定の観察または測定値に関する根本的な原因を示さない。したがって、特定の陽性結果に基づく治療計画は原因となる問題に対処せず、そして個体に有害にさえなり得る。
ヌクレオチド検出に依存する診断方法には遺伝学的アプローチおよび発現プロファイリングが挙げられる。例えば心臓血管障害に関与することが知られている遺伝子を、シークエンシング、ハイブリダイゼーション基盤の技術、またはPCRのような一般的な遺伝子型決定法を用いて変異に関してスクリーニングすることができる。別の実例ではRTPCR、種々のハイブリダイゼーション基盤の技術、およびシークエンシングを含む標準的な技術により、既知の遺伝子からの発現を追跡することができる。これらの試験計画ではしばしば実施者がmRNAプロセシングおよびスプライシング、翻訳率、mRNA安定性、ならびにタンパク質分解性プロセシング、リン酸化、グリコシル化、およびアミド化のような翻訳後修飾における差異を検出することができない。
心臓血管障害の分野の診断状況の現在の弱点に対処するために、本発明は対照血漿に比較して、冠動脈疾患を有する個体からの血漿において差次的に増加する特異的血漿ポリペプチドを提供する。実際のポリペプチド種を提供することにより、mRNAプロセシングおよびスプライシング、翻訳率、mRNA安定性、ならびにタンパク質分解性プロセシング、リン酸化、グリコシル化、およびアミド化のような翻訳後修飾における差異が示される。したがって本発明のポリペプチドは“心臓血管障害血漿ポリペプチド”または“CPP”と記載される。これらのポリペプチド配列は配列番号1−2、5−6、13および20−21として記載され、そしてこれらは配列番号3−4、7−12、14−19および22−25から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むものである(図1−4参照)。これらのポリペプチドはより正確には“心臓血管障害血漿ポリペプチド12、15、16および18”(CPP12は配列番号1−4に相当、CPP15は配列番号5−12に相当、CPP16は配列番号13−19に相当およびCPP18は配列番号20−25に相当)と称され、そして冠動脈疾患(CAD)を有する個体から得られた血漿において高レベルで存在するCPPのフラグメントおよび翻訳後修飾された種を含む。本発明の好ましいフラグメントは配列番号3−4、7−12、14−19および22−25として記載されているものである。
本発明は、冠動脈疾患(CAD)を有する個体から得られた血漿において高レベルで存在する“心臓血管障害血漿ポリペプチド”(CPP)、フラグメント、およびCPPの翻訳後修飾された種を含む。したがって、本発明のCPPは冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(卒中)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧症およびその他の心臓血管疾患のリスクを決定するための重要な診断手段を表す。CPPは分泌因子であり、そしてそれ自体容易に検出可能であり、そして薬剤開発、診断、および心臓血管疾患の予防に有用である。
発明の概要
本発明は心臓血管障害を有する個体からの血漿において優先的に増加する分泌ポリペプチド種に関する組成物を指向する。これらのポリペプチド種を本明細書では“心臓血管障害血漿ポリペプチド”またはCPPと称する。かかる心臓血管障害血漿ポリペプチドは配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含み、そして各々CPP12、CPP15、CPP16およびCPP18と称される。組成物はCPP前駆体、モノクローナル抗体を含むCPPに特異的な抗体、およびそれらから誘導されるその他の結合組成物を含む。さらにこれらの組成物を作成および使用する方法が含まれる。本発明の前駆体は未修飾前駆体、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25のタンパク質分解前駆体、および配列番号1−4、5−12、13−19および20−25のアミノ酸配列のまた別のタンパク質分解部位から得られた中間体を含む。
本発明の好ましい態様はリン酸化、グリコシル化、アセチル化、アミド化またはC−、N−もしくはO−結合炭水化物基のような翻訳後修飾を有するCPPを含む。これに加えて分子内または分子間相互作用、例えば高次構造を生じるジスルフィドおよび水素結合を有するCPPが好ましい。差次的mRNAプロセシングまたはスプライシングの結果であるCPPもまた好ましい。好ましくは、CPPは心臓血管障害を有する個体からの血漿中に存在する翻訳後修飾種、構造変異体、またはスプライス変異体を表す。
別の態様では、本発明は配列番号1−25からなる群の1つから選択される配列に少なくとも75%同一である配列を含むCPPを含む。好ましくは、本発明は配列番号1−25から選択される配列のいずれか1つとの、少なくとも80%、そしてさらに好ましくは少なくとも85%、そしてなおさらに好ましくは少なくとも90%の同一性を含むポリペプチドを含む。最も好ましくは、本発明は配列番号1−25からなる群の1つから選択される配列に対して少なくとも95%同一である配列を含むポリペプチドを含む。
別の態様では、本発明は選択された集団において少なくとも2%の頻度を有するCPPの天然の変異体を含む。さらに好ましくは、かかる天然の変異体は選択された集団において少なくとも5%、そしてなおさらに好ましくは、少なくとも10%の頻度を有する。最も好ましくは、かかる天然の変異体は選択された集団において少なくとも20%の頻度を有する。選択された集団は集団遺伝学の分野における任意の認められた研究集団でよい。好ましくは選択された集団は白色人種、黒色人種またはアジア人である。さらに好ましくは、選択された集団はフランス人、ドイツ人、イギリス人、スペイン人、スイス人、日本人、中国人、アイルランド人、韓国人、シンガポール人、アイスランド人、北米インディアン、イスラエル人、アラブ人、トルコ人、ギリシャ人、イタリア人、ポーランド人、太平洋諸島系人、フィンランド人、ノルウェー人、スウェーデン人、エストニア人、オーストリア人またはインド人である。さらに好ましくは、選択された集団はアイスランド人、サーミ人、フィンランド人、白色人種系のフランス人、スイス人、中国人系のシンガポール人、韓国人、日本人、ケベック人、北米ピマインディアン、ペンシルバニアアーミッシュおよびアーミッシュメノー派、ニューファンドランド人、またはポリネシア人である。
本発明の好ましい態様は単離されたCPP、すなわちCPPとは有意に異なる等電点、または有意に異なる見かけの分子量を有するタンパク質またはタンパク質アイソフォームを含有しないCPPを含む組成物を提供する。親和性およびサイズ基盤の分離クロマトグラフィー、2次元ゲル分析、および質量分析によりCPPの等電点および分子量を示すことができる。
好ましい態様では、本発明は配列番号3−4、7−12、14−19および22−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含む特定のポリペプチド種を提供する。好ましくは、特定のポリペプチド種はさらに各々配列番号1−2、5−6、13および20−21からの近接するアミノ酸配列を含む。好ましい種はi)配列番号3−4、7−12、14−19および22−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含む;ii)心臓血管障害を有する個体からの血漿において高レベルで現れる;そしてiii)場合によっては各々配列番号1−2、5−6、13および20−21のポリペプチドのタンパク質分解性プロセシングの結果であるポリペプチドである。
さらに別の態様では、本発明は配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1つから選択される2つまたはそれ以上のポリペプチドの組合せを提供する。
さらに別の態様では、本発明は修飾されたCPPを含む。かかる修飾は保護/遮断基、抗体分子またはその他の細胞リガンドに対する結合、ならびにタンパク質の検出および単離を可能にする酵素、蛍光、同位体または親和性標識のような検出可能な標識を含む。限定するものではないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、またはツニカマイシンの存在下での代謝的合成による特異的化学的切断を含む公知の技術により化学的修飾を実施することができる。
ポリペプチド溶解性、安定性および循環時間の増大、または免疫原性の低下のようなさらに別の利点を提供し得る本発明のポリペプチドの化学的修飾誘導体もまた本発明により提供される(例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー)。CPPは分子内の無作為な位置で、または分子内の予め決定された位置で修飾され、そして1、2、3またはそれ以上の結合した化学基を含むことができる。
別の実施態様では、本発明はi)CPP生物学的活性の試験モジュレーターを表1(CPP12、CPP15、CPP16およびCPP18)に列挙するアミノ酸配列からなる群の1つから選択されるアミノ酸を含むポリペプチドと接触させること;ii)該CPP生物学的活性のレベルを検出すること;およびiii)該CPP生物学的活性のレベルを、該試験モジュレーターを欠如する対照試料のレベルと比較すること:の工程を含む少なくとも1つのCPP生物学的活性のモジュレーターを同定する方法を提供する。CPPタンパク質生物学的活性のレベルにおける差異が減少である場合、試験モジュレーターは少なくとも1つのCPP生物学的活性の阻害剤である。CPP生物学的活性のレベルにおける差異が増加である場合、試験物質は少なくとも1つのCPP生物学的活性のアクチベーターである。
本発明の別の態様において、(a)候補薬剤を、心臓血管障害に罹患する素因があるかまたは罹患している非ヒト試験動物に投与すること;(b)(a)の候補薬剤を、心臓血管障害に罹患する素因がないかまたは罹患していない適合する対照の非ヒト動物に投与すること;(c)(a)に非ヒト試験動物または(b)の対照動物から得られた生物学的試料において:(i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(ii)配列番号1、2、5、6、13、20および21に示されるアミノ酸配列に相対して1つまたはそれより多いアミノ酸置換、欠失または挿入を有する少なくとも75%配列同一性を有する変異体;および(iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメントから選択される少なくとも1つのポリペプチドのレベルを検出および/または同定すること;ならびに工程(d)工程(c)のポリペプチドのレベルを比較すること:の工程を含み、ここで、非ヒト試験動物から得た生物学的試料中の1個のポリペプチドのレベルの、対照動物から得た生物学的試料のレベルに近づく変化が、候補薬剤が心臓血管障害のモジュレーターであることを示すものである、心臓血管障害のモジュレーターを同定する方法を提供する。本発明のさらなる実施態様において、該ポリペプチドレベル(複数もある)を、1個またはそれ以上の下記のポリペプチドのレベルと組み合わせて検出/定量する:CPP2、CPP8、CPP9、CPP13、CPP14、CPP17、CPP19、CPP20、CPP40、CPP41、CPP149、CPP150、CPP151、CPP501、CPP502、CPP503、CPP504、CPP505、CPP506、CPP507、CPP508、CPP509。
本発明の好ましい実施態様は、心臓血管障害に罹患する素因があるまたは罹患している非ヒト試験動物が、(i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(ii)配列番号1、2、5、6、13、20および21に示されるアミノ酸配列に相対して1つまたはそれより多いアミノ酸置換、欠失または挿入を有する少なくとも75%配列同一性を有する変異体;および(iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;から選択される少なくとも1つのポリペプチドの血漿レベルの上昇を含むことを提供する。本発明のさらなる実施態様は、さらに下記ポリペプチドの1個またはそれ以上の血漿レベルの変化を有する非ヒト試験動物に関する:CPP2、CPP8、CPP9、CPP13、CPP14、CPP17、CPP19、CPP20、CPP40、CPP41、CPP149、CPP150、CPP151、CPP501、CPP502、CPP503、CPP504、CPP505、CPP506、CPP507、CPP508、CPP509。
別の態様では、本発明は本発明のCPPをコードするポリヌクレオチド、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、診断および分析アッセイ(例えばPCR、ハイブリダイゼーション基盤の技術)のためのCPP遺伝子配列に相補的なオリゴヌクレオチド、ならびにCPPを発現するベクターを含む。
別の態様では、本発明はCPPをコードするDNAを含むベクターを提供する。本発明はまたかかるベクターを含む宿主細胞および非ヒトトランスジェニック動物をも含む。CPPまたはCPP前駆体を作成する方法もまた提供される。1つの好ましい方法は(a)前記で開示した発現ベクターを含有する宿主細胞を提供すること;(b)それによりDNAセグメントが発現される条件下で宿主細胞を培養すること;および(c)DNAセグメントによりコードされるタンパク質を回収すること;の工程を含む。別の好ましい方法は:(a)CPPを発現することができる宿主細胞を提供すること;(b)該CPPの発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養すること;および(c)該CPPを回収すること;の工程を含む。1つの実施態様内で、発現ベクターはさらにDNAセグメントに作動可能なように連結された分泌シグナル配列を含み、細胞はタンパク質を培養培地に分泌し、そしてタンパク質は培地から回収される。CPPを作成する特に好ましい方法には、“CPP組成物の化学的製造”と題したセクションおよび実施例2において記載するような、標準的なペプチド合成技術を用いる化学的合成が含まれる。
別の態様では、本発明は前記したいずれかのポリペプチド、ペプチドフラグメント、またはペプチドに特異的な単離された抗体を含む。好ましくは、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。CPPに排他的に結合する抗体、すなわちその他のポリペプチドを高い親和性で認識しない抗体がさらに好ましい。抗CPP抗体は精製、診断、および予後診断の適用を有する。精製および診断のために好ましい抗CPP抗体を標識基に結合させる。診断のために好ましいCPP関連障害には冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(卒中)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、およびその他の心臓血管疾患が挙げられる。診断方法には、限定するものではないが、CPP抗原に特異的な抗体または抗体誘導組成物を用いる方法が挙げられる。特定の組織試料および生物学的液体(好ましくは血漿)中のCPPを検出するための、ならびに組織中のCPPの発現レベルを検出するための診断方法もまた本発明の一部を成す。薬学的に許容される担体と一緒に、前記した1つまたはそれより多い抗体を含む組成物もまた、例えばインビボ診断および薬剤スクリーニングアッセイに関する本発明の範囲内である。
本発明はさらに体液の試料、好ましくは血漿中で本明細書に開示した少なくとも1つのCPPまたはその任意の組み合わせの存在またはレベルを検出することを含む心臓血管障害の診断のための方法を提供する。さらに組織および生物学的液体、好ましくは血漿中のCPPの量を検出および測定するための、CPP遺伝子に相補的なプライマーおよび/またはメッセンジャーRNAならびに抗CPP抗体を含むCPP組成物を用いる方法が含まれる。これらの方法はまた臨床スクリーニング、予後診断、治療結果のモニタリング、特定の治療的処置に対する応答の可能性の最も高い患者の同定、薬剤スクリーニングおよび開発、ならびに薬剤処置のための新しい標的の同定にも適当である。
本発明のさらに別の態様は、(a)薬剤の投与の前に対象から投与前生物学的試料を入手すること;(b)該対象からの生物学的試料において:i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ii)配列番号1、2、5、6、13、20および21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;およびiii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;から選択される少なくとも1個のポリペプチドのレベルを検出および/または定量すること;(c)対象から1個またはそれより多い投与後生物学的試料を入手すること;(d)投与後の試料または複数の試料中の少なくとも1個のポリペプチドのレベルを検出すること;(e)投与前試料中の少なくとも1個のポリペプチドのレベルを投与後試料中の少なくとも1個のポリペプチドのレベルと比較すること;ならびに(f)それに応じて薬剤の投与を調整すること;を含む、心臓血管障害を有するかまたはそれを発症させる危険性を有する対象の薬剤による処置の有効性をモニタリングするための方法に関する。本発明のさらなる実施態様において、該ポリペプチドレベル(複数もある)を、1個またはそれ以上の下記のポリペプチドのレベルと組み合わせて検出/定量する:CPP2、CPP8、CPP9、CPP13、CPP14、CPP17、CPP19、CPP20、CPP40、CPP41、CPP149、CPP150、CPP151、CPP501、CPP502、CPP503、CPP504、CPP505、CPP506、CPP507、CPP508、CPP509。
本発明は前記で列挙した方法において用いることができ、そして単一もしくは複数の調製物または抗体を、必要によりその他の試薬、標識基、基質、および使用のための指示書と一緒に含み得るキットを提供する。キットを疾患の診断に用いることができるか、またはキットは新しい診断用および/または治療用薬剤の同定のためのアッセイでよい。
本発明はさらに個体における配列番号1−4、5−12、13−19および20−25の異常な発現またはプロセッシングに関連する疾患を予防または処置するための、CPP調整組成物の使用を含む。好ましいCPP関連疾患は、冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(卒中)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧症およびその他の心臓血管疾患を含む。本発明の好ましい実施態様は、CPP関連疾患に罹患しているかまたは危険性を有する個体を決定し、そして該個体にCPP調整組成物を投与することを含む、個体におけるCPP関連疾患を予防または処置する方法である。
1つの実施態様では、冠動脈疾患(CAD)は少なくとも1つの症状の発現により定義される。かかる症状は疾患の進行につれて重篤になる。CADはしばしば左心室容量または拍出量の低下が伴う。初期のCADの症状にはコレステロールおよび低密度リポタンパク質(特に酸化型)の血漿レベルの上昇、ならびに多血小板血漿凝集が挙げられる。血管内皮細胞は炎症に応答し、そしてしたがってプラークを形成し、そして炎症およびフィブリノーゲン因子のレベルが上昇する。加えて、CADまたはアテローム性動脈硬化症は血管石灰化および動脈の硬化を特徴とする。その結果である血管の部分的閉塞は高血圧症および虚血性心臓疾患を招く。最終的な完全な血管閉塞は心筋梗塞、卒中、または壊疽に至る。
好ましい実施態様では、本発明の少なくとも1つのCPPの血漿レベルの上昇の検出は個体がCADを進展させるリスクの上昇を示す。好ましくは、該検出は、個体が少なくとも1.05倍、1.1倍、1.15倍、およびさらに好ましくは少なくとも1.2倍高いCADを進展させる可能性を有することを示している。あるいは、本発明の少なくとも1つのCPPの血漿レベルの上昇の検出は個体がCADを有していることを示している。対照試料と比較した個体において観察されたCPPの増加量はCADの予測または診断の確実性に相関する。個体の血漿CPPレベルは家族歴およびその他の危険因子に依存して変動するので、各々を個別に試験するのが好ましい。好ましい実施態様では、本発明の方法によりヒト血漿試料中のCPPを検出する。特に好ましい技術は質量分析および免疫検出である。好ましくは、CADの予測または診断は、対照に比較して実験的CPPレベルにおいて少なくとも1.1倍、1.15倍、1.2倍、1.25倍およびさらに好ましくは1.5倍の増加に基づく。
本発明のさらなる態様を明細書および請求項においても記載する。
配列表の簡単な説明
配列番号1はデフェンシン5前駆体のアミノ酸配列を記載し、一方配列番号2は成熟ペプチド(CPP12)のポリペプチド配列である。
配列番号3および4は冠動脈疾患の個体の血漿試料において、タンデム質量分析で高いレベルで発見されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号5はD59前駆体のアミノ酸配列を記載し、一方配列番号6は成熟ポリペプチド(CPP15)を示す。
配列番号7−12は冠動脈疾患の個体の血漿試料において、タンデム質量分析で高いレベルで発見されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号13はフラビンレダクターゼ(CPP16)のアミノ酸配列を記載する。
配列番号14−17および19は冠動脈疾患の個体の血漿試料において、MS−MS質量分析で上昇したレベルで発見されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号18は対照血漿において発見されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号20はMicrofibril Associated GlycoProtein(MAGP)-2前駆体のアミノ酸配列を記載し、一方配列番号21は成熟タンパク質(CPP18)のポリペプチド配列である。
配列番号22−25は冠動脈疾患の個体の血漿試料において、タンデム質量分析で上昇したレベルで発見されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列である。
図面の簡単な説明
図1はCPP12の完全長配列(配列番号1および2)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により同定されたトリプシンペプチドの配列(配列番号3−4)を示す。配列番号1および2でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドは、下線を付している。シグナルペプチドは配列番号1で二重下線を付している。
図2はCPP15の配列(配列番号6)、成熟前のタンパク質配列(配列番号5)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号7−12)を示す。配列番号5および6でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。シグナルペプチドには二重下線を付し、C末端プロペプチドは斜体と二重下線を付している。
図3はCPP16完全長配列(配列番号13)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でMS−MS質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号14−19)を示す。配列番号13でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。
図4はCPP18(配列番号21)、その前駆体(配列番号20)の配列および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号22−25)を示す。配列番号20および21でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。配列番号20でシグナルペプチドには二重下線を付している。
発明の詳細な説明
以下で詳細に記載する本発明は特定の治療的処置に応答する可能性が最も高い個体を同定するための;心臓血管障害治療の結果をモニタリングするための;CPPモジュレーターをスクリーニングするための、および薬剤開発のための、哺乳動物個体における心臓血管障害のスクリーニング、診断および予後診断に有用な方法、組成物、およびキットを提供する。本発明はまた心臓血管障害を処置または予防するための治療用組成物の哺乳動物個体への投与をも包含する。哺乳動物個体は非ヒト哺乳動物でよいが、好ましくはヒト、さらに好ましくは成人である。開示を明確にするために、そして限定のためではなく、本発明は血漿試料の分析に関して記載する。しかしながら、当業者には理解されるように、以下に記載するアッセイおよび技術を、心臓血管障害を有するかまたはそれを進展させるリスクを有する個体からのその他の生物学的液体試料(例えば脳脊髄液、リンパ液、胆汁、血清、唾液または尿)または組織試料に適用することができる。本発明の方法および組成物は生存個体のスクリーニング、診断および予後診断に有用であるが、例えば同一の障害を進展させるリスクを有する家族のメンバーを同定するために、個体の死後診断にも有用であろう。
定義
“核酸”および“核酸分子”なる用語は本明細書中で使用される際には、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)ならびにヌクレオチド類似体を用いて作成されたDNAまたはRNAの類似体を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖または二本鎖でよいが、好ましくは二本鎖DNAである。本明細書全体にわたって、ポリヌクレオチドまたは核酸を区別せずに示すために“ヌクレオチド配列”なる表現を用いることができる。さらに正確には、“ヌクレオチド配列”なる表現は核酸材料そのものを包含し、そしてしたがって、特定のDNAまたはRNA分子を生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち4つの塩基文字の中から選択される文字の連続)に限定されない。また、本明細書では“核酸”、“オリゴヌクレオチド”、および“ポリヌクレオチド”なる用語を互換的に用いる。
“単離された”核酸分子は核酸の天然の供給源において存在するその他の核酸分子から分離されたものである。好ましくは、“単離された”核酸分子は、核酸が由来する生物のゲノムDNAにおいて核酸を天然にフランキングする配列(すなわち核酸の5'および3'末端に位置する配列)を含まない。例えば種々の実施態様では、単離されたCPP核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて核酸分子を天然にフランキングする約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有することができる。さらにcDNA分子のような“単離された”核酸分子は、組換え技術により生成された場合、その他の細胞性材料もしくは培養培地を実質的に含有できないか、または化学的に合成された場合、化学的前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含有できない。核酸の全部または一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いる場合、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術を用いてCPP核酸分子を単離することができる(例えばSambrook, J., Fritsh, E.F., and Maniatis, T. Molecular Cloning. A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)。
“にハイブリダイズする”なる用語は本明細書中で使用される際には、穏やかなストリンジェントな、または高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションのための条件を記載することを意図し、ここでハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、少なくとも60%互いに相同であるヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズしたままであることを可能にするのが好ましい。好ましくは、少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、90%、95%、または98%互いに相同である配列が典型的には互いにハイブリダイズしたままであるような条件である。ストリンジェント条件は当業者に公知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y.(1989), 6.3.1-6.3.6に見出すことができる。好ましい非限定例では、核酸相互作用に関するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下のとおりである:ハイブリダイゼーション工程は6×SSCバッファー、5×Denhardt溶液、0.5%SDSおよび100μg/mlサケ精子DNAの存在下65℃で実施される。ハイブリダイゼーション工程の後に4回の洗浄工程が続き:
・好ましくは2×SSCおよび0.1%SDSバッファー中65℃で、5分間に2回洗浄;
・好ましくは2×SSCおよび0.1%SDSバッファー中65℃で、30分間に1回洗浄;
・好ましくは0.1×SSCおよび0.1%SDSバッファー中65℃で、10分間に1回洗浄;
これらのハイブリダイゼーション条件は約20ヌクレオチドの長さの核酸分子に適している。前記したハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知の技術に従って望ましい核酸の長さに応じて適合され、例えばHames and Higgins S.J.(1985) Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach. Hames and Higgins Ed., IRL Press, Oxford; およびCurrent Protocols in Molecular Biologyに開示される技術によって適合される。
本明細書では“相同性パーセント”を用いて核酸配列およびアミノ酸配列の双方を指す。アミノ酸または核酸“同一性”はアミノ酸または核酸“相同性”に等価である。2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性パーセントを決定するために、最適な比較目的に関して配列をアラインする(例えば第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸の配列または核酸配列にギャップを導入することができ、そして非相同性配列を比較目的に関して無視することができる)。比較目的のためにアラインした参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、なおさらに好ましくは少なくとも60%、そしてなおさらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%または95%である。次いで対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められている場合、分子はその位置で相同である。2つの配列間での相同性パーセントは、配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち相同性パーセント=同一位置の数/位置の全数100)。
数学的アルゴリズムを用いて2つの配列間の配列の比較および相同性パーセントの決定を達成することができる。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定例はKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68のアルゴリズム、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77のような修正版であり、その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする。かかるアルゴリズムはAltschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本発明の配列に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12でBLASTヌクレオチド検索を行うことができる。本発明のポリペプチド配列に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3でBLASTタンパク質検索を行うことができる。比較目的のためにギャップ付きアラインメントを得るために、Altschul, et al. (1997) Nucleic Acids Research 25(17):3389-3402に記載されるようなギャップ付きBLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップ付きBLASTを利用する場合、各々のプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。http://www/ncbi.nlm.nih.gov.(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照のこと。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定例は、Myers and Miller, CABIOS(1989) (その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いることができる。
“ポリペプチド”なる用語はポリマーの長さには関係なく、アミノ酸のポリマーを指す;したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質はポリペプチドの定義に含まれる。この用語はまたポリペプチドの翻訳後修飾を特定または排除せず、例えばグリコシル、アセチル、リン酸、アミド、脂質、カルボキシル、アシルまたは炭水化物基の共有結合を含むポリペプチドはポリペプチドなる用語に明確に包含される。またアミノ酸の1つまたはそれより多い類似体(例えば非天然発生アミノ酸、関連性のない生物学的な系でしか天然発生しないアミノ酸、哺乳動物系からの修飾アミノ酸等を含む)、天然発生および非天然発生の双方の、置換結合および当分野で公知のその他の修飾を有するポリペプチドを含有するポリペプチドもまた定義に含まれる。
“タンパク質”なる用語は本明細書中で使用される際には、“ポリペプチド”なる用語と同義的に用いることができるか、または加えて、ペプチド結合以外の結合により連結され得る2つまたはそれより多いポリペプチドの複合体、例えばタンパク質を構成するポリペプチドがジスルフィド結合により連結され得るようなものを指すことができる。“タンパク質”なる用語はまた、同一のアミノ酸配列を有するが、特にかかるタンパク質が真核細胞宿主において発現される場合に加えられ得るような翻訳後修飾が異なるポリペプチドのファミリーを含むことができる。
“単離された”もしくは“精製された”タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、本発明のタンパク質(すなわちCPPまたはその生物学的に活性なフラグメント)が由来する細胞もしくは組織供給源からの細胞材料もしくはその他の夾雑タンパク質を実質的に含有しないか、または化学的に合成された場合、化学的前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含有しない。“細胞材料を実質的に含有しない”なる言語は、タンパク質が、それが単離されるかまたは組換えにより生成される細胞の細胞成分から分離されている、本発明によるタンパク質の調製物を含む。1つの実施態様では、“細胞材料を実質的に含有しない”なる言語は、約30%(乾燥重量)未満の本発明のタンパク質以外のタンパク質(本明細書では“夾雑タンパク質”とも称される)、さらに好ましくは約20%未満の本発明によるタンパク質以外のタンパク質、なおさらに好ましくは約10%未満の本発明によるタンパク質以外のタンパク質、そして最も好ましくは約5%未満の本発明によるタンパク質以外のタンパク質を有する本発明によるタンパク質の調製物を含む。本発明によるタンパク質またはその生物学的に活性な部分を組換えにより生成する場合、好ましくは培養培地を実質的に含有せず、すなわち培養培地はタンパク質調製物の容量の約20%未満、さらに好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満に相当する。
“化学的前駆体またはその他の化学物質を実質的に含有しない”なる言語は、タンパク質が、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体またはその他の化学物質から分離されている本発明のタンパク質の調製物を含む。1つの実施態様では“化学的前駆体またはその他の化学物質を実質的に含有しない”なる言語は、約30%(乾燥重量)未満の化学的前駆体または非タンパク質化学物質、さらに好ましくは約20%未満の化学的前駆体または非タンパク質化学物質、なおさらに好ましくは約10%未満の化学的前駆体または非タンパク質化学物質、そして最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非タンパク質化学物質を有する本発明によるタンパク質の調製物を含む。
本明細書では“組換えポリペプチド”なる用語を用いて人工的に設計され、そしてその最初の天然の環境で近接するポリペプチドとして見出されない少なくとも2つのポリペプチド配列を含むポリペプチドを指すか、または組換えポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドを指す。
“心臓血管障害血漿ポリペプチド”または“CPP”なる用語は配列番号1−28の任意の1つにより記載される配列を含むポリペプチドを指す。かかるポリペプチドは本明細書に記載するような翻訳後修飾を行われていてよい。CPPはまたジスルフィド結合、または複合2次もしくは3次構造に至る水素およびアミド結合のようなアミノ酸側鎖相互作用のようなその他の構造的または化学的修飾を含有することもできる。CPPはまた欠失、付加、交換、またはトランケーション変異体のような変異ポリペプチド、かかるポリペプチドを含む融合ポリペプチド、および少なくとも3個の、しかし好ましくは、そして適用可能な場合、配列番号1−4、5−12、13−19および20−15の配列の8、10、12、15、または21個の近接アミノ酸のポリペプチドフラグメントをも含む。さらにCPPは配列番号1−4、5−12、13−19および20−15からなる群から選択される配列のタンパク質分解性前駆体および中間体を含む。本発明は、配列番号1−4、5−12、13−19および20−15の配列から構成される、本質的に構成される、またはこれを含む単離されたCPPを含む、CPP遺伝子またはCPPmRNA種、好ましくはヒトCPP遺伝子およびmRNA種の核酸配列によりコードされるポリペプチドを具体化する。好ましいCPPは配列番号1−2、5−6、13および20−21の配列の1つを含む配列を有する。好ましいCPPフラグメントは配列番号3−4、7−12、14−19および22−25の配列の1つを含む配列を有する。好ましいCPPは配列番号1−4、5−12、13−19および20−25のCPPの少なくとも1つの生物学的活性を保持する。
“生物学的活性”なる用語は本明細書中で使用される際には、CPPにより実施される任意の単一の機能を指す。これらには、限定するものではないが:(1)個体が心臓血管障害を有しているかまたは将来有することを示していること;(2)心臓血管障害を有する個体の血流を通して循環すること;(3)抗原性、すなわち抗CPP特異的抗体に結合する能力;(4)免疫原性、すなわち抗CPP特異的抗体を作成する能力;およびCPP12に関しては:(5)水素、アミド、または好ましくはジスルフィド結合のような分子内アミノ酸側鎖相互作用を形成すること;(6)CPP標的分子、好ましくは細菌性エンドトキシンとの相互作用;(7)細菌性エンドトキシンを中和すること;(8)肥満細胞走化性を促進すること;(9)翻訳後プロセシング、例えば特異的タンパク質分解を受けること;および(10)腸および女性生殖器管において抗微生物防御として機能すること;CPP15に関しては:(5)水素、アミド、または好ましくはジスルフィド結合のような分子内アミノ酸側鎖相互作用を形成すること;(6)CPP標的分子、好ましくは相補タンパク質C9と相互作用すること;(7)補体融解を阻害すること;および(8)翻訳後プロセシング、例えば特異的タンパク質分解および糖付加を受けること;CPP16に関しては:(5)CPP標的分子、好ましくはNAD/NADPと相互作用すること;そしてCPP18に関しては:(5)翻訳後プロセシング、例えば糖付加を受けること;および(6)CPP標的分子、好ましくはインテグリン、ミクロフィブリルまたはミブリリンと相互作用することが挙げられる。
“CPPモジュレーター”は本明細書中で使用される際には、本発明のCPPの発現または生物学的活性のいずれかを調整する(すなわち上昇または低下させる)ことができる分子(例えばポリヌクレオチド、ポリペプチド、小型分子または抗体)である。CPP発現または活性を増強させるCPPモジュレーターはCPPアクチベーターまたはアゴニストとして記載される。逆に、CPP発現または活性を抑制させるCPPモジュレーターはCPP阻害剤またはアンタゴニストとして記載される。好ましくは、CPPモジュレーターは少なくとも5、10または20%まで発現または活性を上昇/低下させる。CPP阻害剤には抗CPP抗体、そのフラグメント、アンチセンスポリヌクレオチドおよび、本明細書に記載するようなスクリーニングアッセイにより特徴付けられる分子が挙げられる。CPPアゴニストにはポリヌクレオチド発現ベクターおよび本明細書に記載するようなスクリーニングアッセイにより特徴付けられる分子が挙げられる。
“CPP関連障害”または“CPP関連疾患”は心臓血管障害を記載する。好ましい障害には冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心臓疾患(CHD)、末梢血管疾患、脳虚血(卒中)、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧症およびその他の心臓血管疾患が挙げられる。好ましくは、個体がかかる障害を進展させるか、またはすでに有している可能性は、少なくとも1つのCPPの正常血漿レベルよりも高いことにより示される。
本発明の別の態様は抗CPP抗体に関連する。“抗体”なる用語は本明細書中で使用される際には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわちCPPのような抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくは相同体を指す。好ましい抗体はCPPに排他的に結合し、そしてその他のポリペプチドを高い親和性を伴って認識することはない。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の実例には、抗体をペプシンのような酵素で処理することにより作成することができるF(ab)およびF(ab')フラグメントが挙げられる。本発明はCPPまたは生物学的に活性なそのフラグメントもしくは相同体に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。“モノクローナル抗体”または“モノクローナル抗体組成物”なる用語は本明細書中で使用される際には、CPPの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の1つの種のみを含有する抗体分子の集団を指す。したがってモノクローナル抗体組成物は典型的にはそれが免疫反応する特定のCPPに関して単一の結合親和性を表示する。好ましいCPP抗体は標識基に結合されている。
“標識基”は本明細書中で使用される際には、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(抗体を含む)に結合している場合、該ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの検出または精製を可能にする任意の化合物である。該標識基に特異的な抗体を含む2次化合物により標識基を直接的または間接的に検出または精製することができる。有用な標識基には放射性同位元素(例えば32P、35S、H、125I)、蛍光化合物(例えば5−ブロモデスオキシウリジン、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリスリンアセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン)、発光化合物(例えばルミノール、GFP、ルシフェリン、エクオリン)、酵素もしくは酵素コファクター検出標識(例えばペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)、またはストレプアビジン、GST、もしくはビオチンのような2次因子により認識される化合物が挙げられる。好ましくは、標識基はポリヌクレオチドまたはポリペプチドの生物学的活性と干渉しないような方式でポリヌクレオチドまたはポリペプチドに結合している。
放射性同位元素は放射線放出の直接計数、フィルム暴露により、または例えばシンチレーション計数により検出することができる。酵素標識は適当な基質の、通常蛍光反応を引き起こす生成物への変換を決定することにより検出することができる。蛍光および発光化合物ならびに反応を、例えば放射線放出、蛍光顕微鏡法、蛍光活性化細胞ソーティング、またはルミノメーターにより検出することができる。
抗体に関して本明細書中で使用される際には、目的の標的を含む試料、例えば生物学的試料において抗体が目的の標的を認識および結合するが、その他の分子を実質的に認識および結合しない場合、抗体は標的に“選択的に結合する”または“特異的に結合する”と称される。
本明細書中で使用される際には、“ベクター”なる用語はそれが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つの型は“プラスミド”であり、これはさらに別のDNAセグメントがライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを指す。別の型のベクターは、さらに別のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートすることができるウイルスベクターである。特定のベクターは、それが導入される宿主細胞において自己複製することができる(例えば細菌性の複製起点を有する細菌性ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば非エピソーム性哺乳動物ベクター)は宿主細胞への組込み時に宿主細胞のゲノムに組込まれ、そしてそれにより宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、それが作動可能なように連結されている遺伝子の発現を指向することができる。かかるベクターを本明細書では“発現ベクター”と称する。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形態である。プラスミドは最も一般的に用いられるベクターの形態であるので、本明細書では“プラスミド”および“ベクター”を互換的に用いることができる。しかしながら、本発明は等価の機能を提供するウイルスベクター(例えば複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような、このようなその他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
本明細書中で使用される際には、“有効量”は望ましい効果を有するのに十分な薬剤、好ましくは本発明のCPPモジュレーターの量を記載する。例えば、抗心臓血管障害の有効量は少なくとも1、2、5、10、15または好ましくは25%まで個体における心臓血管障害の症状を低減させるのに必要な薬剤の量である。その用語はまた個体における、心臓血管障害により引き起こされる症状を改善するのに必要な薬剤の量をも記載する。心臓血管障害の共通の症状には:胸部圧迫感、胸焼け、悪心、嘔吐、痺れ感、息切れ、ひどい冷や汗、原因不明の疲労、および不安感が挙げられる。心臓血管障害のさらに重篤な症状は胸痛(狭心症)、律動障害(不整脈)、卒中または心臓発作である。特定の患者のための有効量は、測定される症状の診断方法、処置される状態の状況、患者の全体的な健康状態、投与の方法、および副作用の重篤度のような因子に依存して異なり得る。
本発明のCPP
本発明の心臓血管障害血漿ポリペプチド(CPP)は配列番号1−4、5−12、13−19および20−25として列挙される配列に記載される。配列番号2−4、6−12、13−19および21−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含むCPPは、心臓血管障害を有するかまたはそれを発症させるリスクを有する個体の血漿中で高レベルで分泌され、そして循環する。
さらにCPPは配列番号3−4、7−12、14−19および22−25からなる群の1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。かかるCPPはまた血漿中で分泌され、そして循環する。好ましくはかかるCPPはまた配列番号1−2、5−6、13および20−21の群の1つからのさらに別のアミノ酸をも含む。かかるさらに別のアミノ酸は、配列番号1−2、5−6、13および20−21のタンパク質から近接アミノ酸配列を形成するために選択された配列と共にフレーム内に融合される。
興味深いことに、本発明のCPPのレベルは心臓血管障害を患う個体の血漿中で上昇する。それ自体では、本発明のCPPは、CPPのレベル上昇が心臓血管障害を進展させるリスクの上昇かまたは心臓血管障害の存在を示す、有用な診断手段を提供する。さらに、CPPは薬剤設計のために、ならびに心臓血管障害の予防および処置のための治療計画において有用である。
CPP12(配列番号2)は、抗微生物ペプチドデフェンシン5の先に報告されていない血漿形である。興味深いことに、本発明のCPPのレベルは、心臓血管障害に罹患している個体の血漿において劇的(46.2倍)に増加している。それ自体、本発明のCPPは有用な診断ツールを提供し、CPPのレベルの上昇が、心臓血管障害の発症の危険性または存在を示す。さらに、CPPは、心臓血管障害の予防および処置のための薬剤開発および治療戦略において有用である。
デフェンシンは、抗微生物特性を有する小ペプチドとして分泌される。このファミリーの最も深く特徴付けられたメンバーは、デフェンシン1−4である。デフェンシン1−4は、白血病細胞ライブラリーからクローン化され、発現は正常骨髄細胞および循環しているリンパ球で発見された(Daher, et al., PNAS. 85 :7327-7331 (1988))。これらのタンパク質は好中球の細胞性タンパク質の5%ほども構成する。デフェンシンは加工されて、微生物およびウイルス感染に応答して放出される約35アミノ酸のペプチドを形成する。小カチオン性ペプチドが入り、原核細胞膜を破壊する(Hill, et al. Science 251:1481-1485 (1991))。加えて、デフェンシンはCD8 T細胞因子CAFに応答して、HIV複製を減少させる(Zhang, et al. Science 298:995-1000 (2002))。
デフェンシン5(Def5)は、最近パネート腸上皮細胞からクローン化され、パネート細胞顆粒に局在する。他のデフェンシンタンパク質と異なり、Def5はプロペプチドとして分泌性小胞に貯蔵され、小腸管腔に放出される(Jones and Bevins, JBC 267:23216-25 (1992))。Def5発現は、上皮細胞における抗微生物ペプチドに関して初めて記載され、腸における宿主防御において重要な部分を担うと考えられる。Def5発現はまた女性生殖器管においても記載されている(Svinorich, et al., Am J Obstet Gynecol (1997) 176:470-5)。小腸管腔から単離されたDef5ペプチドは、アミノ酸56−94または63−94のタンパク質分解処理形を含む。これらは各々Arg55およびArg62部位での開裂を示し、トリプシン処理と一致する(Ghosh, et al., Nat Immunol. (2002) 3:583-90)。
CPP15(配列番号6)は、補体融解阻害物質、CD59の血漿形である。興味深いことに、本発明のCPPの本発明のCPPのレベルは、心臓血管障害に罹患している個体の血漿において劇的(43倍)に増加している。それ自体、本発明のCPPは有用な診断ツールを提供し、CPPのレベルの上昇が、心臓血管障害の発症の危険性または存在を示す。さらに、CPPは、心臓血管障害の予防および処置のための薬剤開発および治療戦略において有用である。
CD59は、最初は赤血球細胞およびリンパ細胞の表面で検出され、続いてクローン化された(Davies, et al., J. Exp. Med. 170:637-654 (1989))。128アミノ酸前駆タンパク質は、25アミノ酸シグナル配列と、26アミノ酸のC末端プロ配列を有する。Asn102は、GPIアンカーにより細胞膜に付着する。CD59は、膜侵襲複合体(MAC)成分C9の重合化を望海することにより、補体介在融解を阻害する。WO9302188は、CD59が内皮細胞を融解から保護することを記載する。CD59の糖化による阻害は、MAC形成の効果を増加する。D59の遺伝的減少は、貧血のような血液細胞欠損傷害をもたらし、一方、その補体欠損は非ホジキンリンパ腫をもたらす(Meletis, et al., Hematol J. 2:33-7 (2001))。CD59は、移植細胞のヒト宿主拒絶反応の予防に使用し得る(US5573940)。
CPP16(配列番号13)は、フラビンレダクターゼの先に記載されていない血漿形である。興味深いことに、本発明のCPPの本発明のCPPのレベルは、心臓血管障害に罹患している個体の血漿において劇的(ほぼ10倍)に増加している。それ自体、本発明のCPPは有用な診断ツールを提供し、CPPのレベルの上昇が、心臓血管障害の発症の危険性または存在を示す。さらに、CPPは、心臓血管障害の予防および処置のための薬剤開発および治療戦略において有用である。
フラビンレダクターゼは、肝臓サイトゾルフラクションから配列決定され、ビリルビンをビリベルジンに変換することが判明した(Yamaguchi, et al. Biochem Biophys Res Commun 197:1518-23 (1993))。206アミノ酸タンパク質は主に肝臓および赤血球で発現され、心臓、肺、副腎、および大脳で低レベルで発現される本酵素は通常還元型ピリジンヌクレオチドからフラビンへの電子移動を触媒する(Chicuba, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 198 :1170-1176 (1994))。フラビンレダクターゼは鉄代謝に役割を演じ、酸化的傷害から保護する。本タンパク質は尿への排泄が発見されているが(Hirota Biol Pharm Bull. 18:481-4(1995))、血漿形は記載されていない。フラビンレダクターゼの増加したレベルが、本発明の方法によって、冠動脈疾患の個体の血漿から発見された。このタンパク質の血漿中の循環は予期されず、それ自体、疾患の重要な指標である。
CPP18は、Microfibril Associated GlycoProtein-2(MAGP−2)の先に特徴付けられていない血漿形である。興味深いことに、本発明のCPPの本発明のCPPのレベルは、心臓血管障害に罹患している個体の血漿において増加している。それ自体、本発明のCPPは有用な診断ツールを提供し、CPPのレベルの上昇が、心臓血管障害の発症の危険性または存在を示す。さらに、CPPは、心臓血管障害の予防および処置のための薬剤開発および治療戦略において有用である。
Microfibril Associated GlycoProtein(MAGP)−2は、最初は微小繊維と関連する靱帯組織で検出され、続いてゲノムライブラリーからクローン化された(Gibson, et al., JBC 271:1096-1103 (1996))。MAGP−2のN末端は、インテグリン結合RGDモチーフを有し、細胞−細胞相互作用を介在する。それは、エラスチン結合および無エラスチン微小繊維の両方に関連するが、毛様体小帯および腎臓管系周辺の結合組織の微小繊維には存在しない。Penner, et al. (JBC 277:35044-9 (2002))は、MAGP−2のC末端が、これらのタンパク質の特異的EGF様反復ドメインで、フィブリリン1および2と結合していることを証明している。これらのデータは、MAGP−2が微小繊維集合と、細胞外マトリックスの形成に役割を演じることを示唆する。MAGP−2は靱帯、真皮、肺および心臓の小胞細胞、および筋周膜(筋肉、骨)で発現され、これらの組織の重要な構成要素である。
“心臓血管障害血漿ポリペプチド”および“CPP”なる用語は、本明細書で、本発明の任意のおよびすべてのペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を包含するために使用する。本末明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドならびにこのようなポリペプチドを含む融合ポリペプチドも本発明の一部を形成する。本発明は、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなるの一個から選択されたアミノ酸配列から成る、本質的にこれらから成る、またはこれらを含む、単離されたまたは精製されたCPPを含む、ヒト由来のCPPを包含する。さらに包含されるのは、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1個から選択される配列の非修飾前駆体、タンパク質分解前駆体および中間体である。
本発明はCPP生物学的活性を有する少なくとも3個のアミノ酸、好ましくは少なくとも8から10個のアミノ酸の連続した長さの単離された、精製された、および組換えポリペプチドを包含する。好ましい実施態様では、アミノ酸の連続した広がりは、CPP配列におけるアミノ酸の欠失、付加、交換またはトランケーションを含む変異または機能的変異の部位を含む。本発明はまた本発明のCPPヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド、またはその相補的配列もしくはそのフラグメントにも関する。
本発明の1つの態様は単離されたCPPおよびその生物学的に活性な部分、ならびに抗CPP抗体を上昇させる免疫原として使用するのに適当なポリペプチドフラグメントに関する。1つの実施態様では、標準的なタンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームにより元来のCPPペプチドを血漿、細胞または組織供給源から単離することができる。別の実施態様では、組換えDNA技術によりCPPを生成する。組換え発現に代わって、“CPP組成物の化学的製造”と題したセクションおよび実施例2で記載するように、ペプチド合成技術を用いてCPPを化学的に合成することができる。
典型的には、生物学的に活性な部分は少なくとも1つCPPの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。生物学的に活性なCPPは、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1つから選択される配列から、例えば少なくとも1、2、3または5個のアミノ酸変化を含むか、または配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1つから選択される配列から、少なくとも1%、2%、3%、5%、8%、10%、または15%の変化を含む。
CPPの特徴付け
本発明のポリペプチド、CPPは配列番号3−4、7−12、14−19および22−25のトリプシンペプチドにより定義される(図および表1)。実施例1に記載するように、これらのペプチドを冠動脈疾患の患者から単離し、そしてMicroProt(商標)法によって特徴付けした。配列番号2、6、13および21はトリプシンペプチドが放出されたCAD血漿において見出されたポリペプチド種を表す。
血漿試料を最初に分子量に基づいて分離するので、本発明のCPPは全てほぼ20kDまたはそれ未満の分子量である。高分子量ポリペプチド種は異なる方法により分離および特徴付けする。実施例1に記載するように、血漿試料を多くのクロマトグラフィー分離に供する。これらのクロマトグラフィー法についての詳細を実施例1で示す。
第1の分離はカチオン交換クロマトグラフィーカラムにおいてであり、これを漸増塩濃度で溶出する。18個の分画を収集する。表1のCEXの列は、どの分画が各トリプシンペプチドを含有するか、およびその溶出条件列挙している。カチオン交換による分離により、ポリペプチド種の全体的な正電荷の表示が提供される。カチオン交換の次に逆相HPLC分離が続く。表1のRP1の列は30分画のどれが各トリプシンペプチドを溶出したか、およびその溶出条件列挙している。逆相による分離により、ポリペプチド種の全体的な疎水性の表示が提供される。実行番号と記した列の最後の2つの数字は、24個の溶出された分画のどれが第2の逆相HPLC分離からのトリプシンペプチドを含有するかを表示している(実施例1参照)。
CAD対対照血漿試料におけるタンパク質レベルの比率を、2つの方法で測定する。最初の方法は、CPPを含む各試料由来のフラクションの数によりCAD/対照を計算する。結果は、CPP12ついては7、CPP15については14、CPP16については4、そしてCPP18については3.38である(表1参照)。あるいは、そしてより正確には、質量分析データ解析ソフトウエアで各ペプチドについて得たOlavスコアを重量比を得るために使用する。この結果は、CPP12については46.2、CPP15については43.1、CPP16については9.58、そしてCPP18については3.36であり、CPP12が、例えば、対照血漿と比較してCAD血漿で46.2倍のレベルで存在することを示唆する。それ自体、CPPは、CPPの増加したレベルが冠動脈疾患の発症の危険性または存在を指示する、有用な診断ツールを提供する。
Figure 2007513063
対照フラクションの数:1
CADフラクションの数:7
CAD/対照:7
Olavスコア対照:8.7
OlavスコアCAD:401.82
CAD/対照:46.2
検出された主ペプチドである配列番号3のトリプシンペプチが、タンパク質のプロペプチド部分に属することに注意することは興味深い(Ghosh, et al., Nat Immunol. (2002) 3:583-90)。このプロペプチドの疾病における増加は、したがって、該プロペプチドのデフェンシン5ペプチドへの不完全な加工を反映することが最も可能性がある。
Figure 2007513063


Figure 2007513063

Figure 2007513063

Figure 2007513063
対照フラクションの数:3
CADフラクションの数:72
CAD/対照:14
対照Olavスコア:76.02
CADOlavスコア:3276.65
CAD/対照:43.1
Figure 2007513063
対照フラクションの数:2
CADフラクションの数:8
CAD/対照:4
Olavスコア対照:28.82
OlavスコアCAD:276.22
CAD/対照:9.58
Figure 2007513063
Figure 2007513063
対照フラクションの数:8
CADフラクションの数:27
CAD/対照:3.38
Olavスコア対照:375.5
OlavスコアCAD:1260.34
CAD/対照:3.36
実施例1に記載の方法で検出して、CPP18は少なくとも2個の異なる種から成ることに注目することは興味深い。最初のものはRP1フラクション6および7に溶出し、下記のトリプシンペプチドを含む:SNYFRLPPCENVDLQRPNGLおよびLPPCENVDLQRPNGL。第2のものはRP1フラクション10および11に溶出し、したがってより疎水性であり、下記の異なるトリプシンペプチドのみを含む:QCIHQLCFTSLRおよびLYSVHRPVK。
CPP核酸
本発明の1つの態様は、さらに本明細書に記載するようなCPPまたは生物学的に活性なその部分をコードする精製された、または単離された核酸分子、およびその核酸フラグメントに関連する。該核酸を例えばさらに本明細書に記載するような、治療(DNAワクチン)および診断方法において、ならびに薬剤スクリーニングアッセイにおいて使用することができる。
本発明の対象はCPPをコードする精製された、単離された、または組換え核酸、それに相補的な配列、およびそのフラグメントである。本発明はまたCPPをコードするポリヌクレオチドと少なくとも95%のヌクレオチド同一性、CPPをコードするポリヌクレオチドと有利には99%のヌクレオチド同一性、好ましくは99.5%のヌクレオチド同一性、そして最も好ましくは99.8%のヌクレオチド同一性を有するポリヌクレオチド、またはそれに相補的な配列もしくはそれの生物学的に活性なフラグメントを含む精製された、または単離された核酸分子にも関連する。本発明の別の対象は、本明細書で定義するストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でCPPをコードするポリヌクレオチド、またはそれに相補的な配列もしくはその変異体もしくはそれの生物学的に活性なフラグメントとハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む精製された、単離された、または組換え核酸に関する。
別の好ましい態様では、本発明はCPPの一部または変異体をコードする精製された、または単離された核酸分子に関連し、そこにおいては一部または変異体はCPP生物学的活性を表示する。好ましくは該部分または変異体は天然発生CPPまたはその前駆体の一部または変異体である。
本発明の別の対象は、配列番号1−4、5−12、13−19および20−25の群の1つから選択されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、本質的にそれから構成される、またはそれから構成される、CPPをコードする精製された、単離された、または組換え核酸であり、そこにおいては単離された核酸分子は、CPP12に関しては:細菌性エンドトキシン結合部位、またはジスルフィド結合;CPP15に関しては:標的結合部位(例えば補体C9)、GPI−アンカー部位、またはジスルフィド結合;CPP16に関しては:標的結合部位(例えばNAD/NADP−結合);およびCPP18に関しては;EGF−様反復ドメイン、RGDモチーフまたはジスルフィド結合のような、1つまたはそれより多いモチーフをコードする。
CPPコード化遺伝子のクローニングから決定されたヌクレオチド配列により、その他のCPP(例えば新規機能的ドメインを共有する)およびその他の種に由来するCPP相同体を同定および/またはクローニングするのに使用するために設計されたプローブおよびプライマーの作成が可能になる。
“CPPの生物学的に活性な部分”をコードする核酸フラグメントは、CPPの生物活性を有するポリペプチドをコードする、CPPをコードするヌクレオチド配列の一部を単離することにより、そして、そのCPPのコード化部分を発現させ(例えばインビトロまたはインビボでの組換え発現による)、そしてCPPのコード化部分の活性を評価することにより調製することができる。
本発明はさらに遺伝子コードの縮重により本発明のCPPヌクレオチド配列とは異なり、そして本発明の同一のCPPをコードする核酸分子を包含する。
前記したCPPヌクレオチド配列に加えて、CPPのアミノ酸配列に変化を導くDNA配列多型性が集団(例えばヒト集団)内に存在し得ることは、当業者に理解されよう。かかる遺伝子多型は天然のアレル変異体のために集団内の個体間に存在し得る。かかる天然のアレル変異体は典型的にはCPPコード化遺伝子のヌクレオチド配列または核酸配列で1−5%の分散に至る。
ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、標準的なハイブリダイゼーション技術によって、天然のアレル変異体に相当する核酸分子および本発明のCPP核酸の相同体を、本明細書に開示するcDNA、またはその一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、本明細書に開示するCPP核酸に対する相同性に基づいて単離することができる。
本発明が、本発明の任意のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことは理解されよう。
CPP核酸の使用
CPPをコードするポリヌクレオチド配列(またはその相補体)は、染色体および遺伝子マッピングにおける、およびアンチセンスRNAおよびDNAの作成におけるハイブリダイゼーションプローブとしての用途を含む種々の適用を有している。加えて、本明細書に記載するように、CPPコード化核酸は薬学的な介在のための、例えばDNAワクチンの開発のための、および組換え技術によるCPPの調製のための標的として有用である。その配列変異体を含む、本明細書に記載するポリヌクレオチドを診断アッセイに用いることができる。したがって体液または組織試料中のかかるポリヌクレオチドの存在の検出に基づく診断方法は本発明の特徴である。本発明による核酸基盤の診断アッセイの実例には、限定するものではないが、ハイブリダイゼーションアッセイ、例えばインサイチュハイブリダイゼーション、およびPCR基盤のアッセイが挙げられる。本明細書に記載するように、ポリヌクレオチドの伸長、配列変異体およびそのフラグメントを含むポリヌクレオチドを用いてかかるアッセイで使用するためのハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーを作成することができる。かかるプローブおよびプライマーは、本明細書に記載するCPPポリヌクレオチドに類似するか、または相補的なゲノム配列を含むポリヌクレオチド配列を検出することができる。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドのセグメントを増幅するためのPCRを実施するためのプライマー対を含む。各プライマー対は、i)対の一方のプライマーは本発明のポリヌクレオチドの1本鎖と完全に対合した二本鎖を形成し、そして対の他方のプライマーは同一のポリヌクレオチドの相補鎖と完全に対合した二本鎖を形成する、およびii)プライマー対は10と2500ヌクレオチドの間の間隔で分けられたポリヌクレオチドの部位でこのような完全に対合する2本鎖を形成する;のような15と30ヌクレオチドの間の長さを有するオリゴヌクレオチドである。好ましくは、各プライマー対のその各々の相補的配列へのアニーリング温度は実質的に同一である。
本発明のポリヌクレオチドから誘導されたハイブリダイゼーションプローブを、例えば顕微鏡スライド上に調製された固定または凍結組織切片または懸濁された細胞のような組織試料でインサイチュハイブリダイゼーションを実施するのに用いることができる。簡単には、制御された条件下で、標識されたDNAまたはRNAプローブを、準備された顕微鏡上の組織切片のそのDNAまたはRNA標的試料に結合させることが可能である。一般的に、プラスミドまたはバクテリオファージDNAベクターにクローン化された目的のDNAからなるdsDNAプローブをこの目的で用いるが、ssDNAまたはssRNAプローブもまた用いることができる。プローブは一般的に約15と40ヌクレオチドの間の長さのオリゴヌクレオチドである。あるいは、プローブはPCRランダムプライミングプライマー伸長またはプラスミドからのRNAのインビトロ転写により作成されたポリヌクレオチドプローブでよい(リボプローブ)。これらの後者のプローブは典型的には数百の長さの塩基対である。多くの標識基のうちのいずれかによりプローブを標識することができ、そしてプローブで利用される標識の型には特定の検出方法が対応する(例えば、必要に応じて、オートラジオグラフィー、X線検出、蛍光または可視顕微鏡分析)。蛍光標識プローブに存在する蛍光部分に対して指向する抗体のような、使用した検出分子の標識に対して指向する免疫細胞化学的技術を用いて反応物をさらにインサイチュ増幅することができる。特異的標識およびインサイチュ検出方法を、例えばHoward, G.C., Ed., Methods in Nonradioactive Detection, Appleton & Lange, Norwalk, Conn.,(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)に見出すことができる。
ハイブリダイゼーションプローブおよびPCRプライマーもまた、天然発生ポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーター、エンハンサーエレメントおよびイントロンを含む、本発明によって同定された全長タンパク質に相当するゲノム配列から選択することができる。またCPPをコードするヌクレオチド配列を用いて、そのCPPをコードする遺伝子をマッピングするための、および個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブを構築することもできる。種々の技術により本発明のCPPをコードする遺伝子の変化、または変異を担持する個体をDNAレベルで検出することができる。診断に用いられる核酸を、例えば組織生検および死亡解剖材料を含む患者の細胞から入手することができる。ゲノムDNAを直接検出に用いることができるか、または分析の前にPCRを用いて酵素的に増幅することができる(Saiki, et al., Nature 324:163-166(1986))。またRNAまたはcDNAを同一の目的のために用いることもできる。実例としては、本発明の核酸に相補的なPCRプライマーを用いて本発明の遺伝子における変異を同定および分析することができる。正常な遺伝子型に比較して、増幅された生成物の大きさの変化により欠失および挿入を検出することができる。増幅させたDNAを本発明の放射性標識したRNA、またはこれに代えて本発明の放射性標識したアンチセンスDNA配列にハイブリダイズさせることにより点変異を同定することができる。RNアーゼおよびS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイにより、または化学的切断方法(例えばCotton, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397-4401(1985))により、または融点の差により特定の位置での配列変化を表すこともできる。“分子指標”(Kostrikis L.G. et al., Science 279:1228-1229(1998))、ヘアピン型、本発明の核酸に相補的であるプローブ配列を含有する一本鎖合成オリゴヌクレオチドを用いて点変異またはその他の配列変化を検出する、およびCPPの発現レベルをモニタリングすることもできる。
オリゴヌクレオチドおよびアンチセンス化合物
PCRプライマーおよびアンチセンス化合物を含む本発明のオリゴヌクレオチドを市販されている自動DNA合成器、例えばApplied Biosystems(Foster City, CA)モデル380B、392または394DNA/RNA合成器または同様の装置で慣用される手段により合成する。好ましくは、例えば以下の参照文献に開示されるようなホスホラミダイト化学を用いる:Beaucage and Iyer, Tetrahedron, 48:2223-2311(1992); Molko et al., 米国特許4980460;Koster et al., 米国特許4725677;Caruthers et al., 米国特許4415732;4458066;および4973679;等。治療用途では、ヌクレアーゼ抵抗性バックボーンが好ましい。ヌクレアーゼ抵抗性を付与する多くの型の修飾オリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホラミダート等が利用可能であり、多くの文献、例えばホスホロチオアート:Stec et al.、米国特許5151510;Hirschbein、米国特許5166387;Bergot、米国特許5183885;ホスホラミダート:froehler et al. 国際出願PCT/US90/03138;およびさらに別の適用可能な化学の概説に関しては:Uhlmann and Peyman(前記で引用)に記載されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さは、特異的結合が望ましい標的ポリヌクレオチドでのみ生じ、そしてその他の偶発的な部位では生じないことを確実にするのに十分大きくなければならない。長さの範囲の上限は、約30−40ヌクレオチド以上の長さのオリゴマーを合成および精製する不都合および経費、短いオリゴヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドで誤対合に関する寛容性がより大きいこと等を含む、いくつかの因子により決定される。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは15から40ヌクレオチドの反応の長さを有している。さらに好ましくは、オリゴヌクレオチド部分は約18から25ヌクレオチドの範囲の長さを有している。
プライマーおよびプローブ
例えば適切な配列のクローニングおよび制限ならびにNarang SA et al.,(Methods Enzymol 1979;68:90-98)のリン酸ジエステル法、Brown EL et al.,(Methods Enzymol 1979;68:109-151)のリン酸ジエステル法、Beaucage et al.,(Tetrahedron Lett 1981, 22:1859-1862)のジエチルホスホラミダイト、および欧州特許0707592に記載される固体支持体法のような方法(これらの開示はその全てを出典明示により本明細書の一部とする)による直接化学的合成を含むいずれかの適当な方法により本発明のプライマーおよびプローブを調製することができる。
検出プローブは一般的には、例えば国際特許出願WO92/20702に開示されているペプチド核酸、米国特許5185444;5034506および5142047に記載されるモルホリノ類似体などの核酸配列または非荷電性核酸類似体である。所望により、さらに別のdNTPをプローブに付加できないということでプローブを“伸長不可”にすることができる。類似体はそれ自体、通常伸長不可であり、そしてヒドロキシル基がもはや伸長に参加できないようなプローブの3'末端の修飾により核酸プローブを伸長不可にすることができる。例えば、それによりヒドロキシル基を消費またはそうでなければ遮断するために、プローブの3'末端を捕捉または検出標識で機能化することができる。
分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的手段により検出可能にするために所望により当分野で公知の任意の標識基を組込むことにより、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを標識することができる。さらに別の実例には、Urdea et al.,(Nucleic Acids Research. 11:4937-4957, 1988)またはSanchez-Pescador et al.,(J. Clin. Microbiol. 26(10):1934-1938, 1988)に記載されるような、核酸フラグメントの非放射性標識が挙げられる。加えて、本発明によるプローブはシグナル増幅を可能にするような構造特性を有することができ、かかる構造特性は、例えばUrdea et al.,(Nucleic Acids Symp. Ser. 24:197-200, 1991)または欧州特許0225807(Chiron)に記載されるもののような分岐したDNAプローブである。
固体支持体上でのプライマーまたは増幅されたDNAのようなプライマー伸長生成物の固定を促進するために、標識を用いてプライマーを捕捉することもできる。捕捉標識はプライマーまたはプローブに結合し、そして固相試薬の特異的結合メンバーと結合対を形成する特異的結合メンバー(例えばビオチンおよびストレプトアビジン)でよい。したがってポリヌクレオチドまたはプローブにより担持される標識の型に依存して、標的DNAの捕捉または検出を行うことができる。さらに、本明細書にて提供されるポリヌクレオチド、プライマーまたはプローブは、それ自体捕捉標識として提供され得る。例えば固相試薬の結合メンバーが核酸配列である場合、それによりプライマーまたはプローブを固相に固定するために、プライマーまたはプローブの相補的部分に結合するようにそれを選択することができる。ポリヌクレオチドプローブ自体が結合メンバーとして提供される場合、プローブが標的に相補的でない配列または“テイル”を含有することは当業者には認識されよう。ポリヌクレオチドプライマー自体が捕捉標識として提供される場合、プライマーの少なくとも一部が固相の核酸と自由にハイブリダイズする。DNA標識技術は当業者に公知である。
本発明のプローブは多くの目的に関して有用である。ゲノムDNAへのサザンハイブリダイゼーションにおいてこれらを特に使用することができる。プローブを使用してPCR増幅産物を検出することもできる。その他の技術を用いて、これらを使用してCPPコード化遺伝子またはmRNAにおける誤対合を検出することもできる。
本発明のいずれかの核酸、ポリヌクレオチド、プライマーおよびプローブを便宜的に固体支持体に固定することができる。固体支持体は当業者に公知であり、そして反応トレイのウェルの壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ、ニトロセルロースストリップ、膜、ラテックス粒子のような微粒子、ヒツジ(またはその他の動物)赤血球、デュラサイト等を含む。固体支持体はそれほど重要でなく、そして当業者により選択され得る。したがって、ラテックス粒子、微粒子、磁性または非磁性ビーズ、膜、プラスチック管、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコンチップ、ヒツジ(またはその他の動物の)赤血球およびデュラサイトは全て適当な実例である。固相に核酸を固定するための適当な方法には、イオン性、疎水性、共有結合相互作用等が挙げられる。固体支持体は本明細書中で使用される際には、不溶性であるか、または続く反応により不溶化することができる任意の材料を指す。捕捉試薬に引き付け、そして固定するその固有の能力に関して固体支持体を選択することができる。あるいは、固相は捕捉試薬を引き付け、そして固定する能力を有するさらに別の受容体を保持することができる。さらに別の受容体には、捕捉試薬自体、または捕捉試薬に結合された荷電物質に関して逆に荷電している荷電物質が挙げられる。さらに別の代替として、受容体分子は固体支持体に結合した任意の特異的結合メンバーでよく、そしてこれは特異的結合反応を介して捕捉試薬を固定する能力を有する。受容体分子は、アッセイの実施前またはアッセイの実施中の捕捉試薬の固体支持体材料への間接的な結合を可能にする。したがって固相はプラスチック、誘導体化されたプラスチック、磁性または非磁性金属、試験管のガラスまたはシリコン表面、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ、ヒツジ(またはその他の動物の)赤血球、デュラサイトおよび当業者に公知のその他の形態でよい。本発明の核酸、ポリヌクレオチド、プライマーおよびプローブを固体支持体に個別に、または単一の固体支持体に対し本発明の少なくとも2、5、8、10、12、15、20または25個の異なるポリヌクレオチドの群で結合または固定することができる。加えて、本発明のもの以外のポリヌクレオチドを本発明の1つまたはそれより多いポリヌクレオチドと同一の固体支持体に結合することができる。
本明細書で提供する任意のポリペプチドを固体支持体上で重複部分または無作為の位置で結合させることができる。あるいは、本発明のポリヌクレオチドを、任意のその他のポリヌクレオチドの結合部位と重複しない、固体支持体の異なった領域に結合させている秩序のあるアレイに結合させることができる。好ましくは、かかるポリヌクレオチドの秩序のあるアレイを、明確な位置が記録され、そしてアッセイ手順の一部として評価され得る“アドレス可能”になるように設計する。アドレス可能なポリヌクレオチドのアレイは典型的には異なる既知の位置で基質の表面に結合している複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。各ポリヌクレオチド位置の正確な位置の知識によりこれらの“アドレス可能”なアレイがハイブリダイゼーションアッセイにおいて特に有用になる。当分野で公知のアドレス可能なアレイ技術を本発明のポリヌクレオチドと共に用いることができる。これらのポリヌクレオチドアレイの1つの特定の実施態様はGenechipとして公知であり、そして米国特許5143854;PCT公開WO90/15070および92/10092に一般的に記載されており、その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする。
変異体核酸およびポリペプチドを得るための方法
集団で存在し得るCPP配列の天然発生アレル変異体に加えて、CPPをコードするヌクレオチド配列に変異により変化を導入し、それによりCPPの機能的能力を変化させるかまたは変化させずに、コードされたCPPのアミノ酸配列に変化を導くことができることは当業者には理解されよう。
変異体のいくつかの型には1)1つもしくはそれより多いアミノ酸残基を保存的、もしくは非保存的アミノ酸残基で置換し、かかる置換されたアミノ酸残基は遺伝子コードによりコードされるものであってもなくてもよいもの;2)1つもしくはそれより多いアミノ酸残基が置換基を含むもの;または3)変異したCPPが、ポリペプチドの半減期を増す化合物のような別の化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合されているもの、または4)リーダー、シグナルもしくはアンカー配列、CPPの精製に用いられる配列、もしくは前駆体タンパク質に由来する配列のようなさらに別のアミノ酸がCPPに融合されているもの;を含むことが企図されている。かかる変異体は当業者の範囲内であると考えられる。
例えば、タンパク質の生物学的活性を実質的に変化させない配列のアミノ酸置換に至るヌクレオチド置換を作ることができる。生物学的活性を変化させずに、CPPをコードする野生型配列またはその生物学的活性フラグメントもしくはその相同体からアミノ酸残基を変化させることができる。一般的に、本発明のCPP間で共有されるアミノ酸残基はあまり変化を受け易くないと予測される。
別の態様では、本発明は生物学的活性の上昇、または生物学的活性の修飾に至るアミノ酸残基における変化を含有する、CPPをコードする核酸分子に関連する。別の態様では、本発明はCPP生物学的活性に必須であるアミノ酸残基において変化を含有するCPPをコードする核酸分子に関連する。かかるCPPは配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からのアミノ酸配列で異なり、そして活性の低下、または1つまたはそれより多いCPP生物学的活性の本質的な欠如を表示する。
部位特異的変異誘発およびPCR媒介の変異誘発のような標準的な技術により、変異、置換、付加または欠失を配列番号1−4、5−12、13−19および20−25のいずれかに導入することができる。例えば、保存的アミノ酸置換を1つまたはそれより多い予測される非必須アミノ酸残基に作ることができる。“保存的アミノ酸置換”はアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換わっているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野で定義されている。これらのファミリーには塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、荷電していない極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。したがって、CPPの予測される非必須アミノ酸残基、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはその相同体を同一側鎖ファミリーからのまた別のアミノ酸残基と置き換えることができる。あるいは、別の実施態様では、飽和変異誘発によるように、CPPコード化配列の全てまたは一部に沿って無作為に変異を導入することができ、そして得られた変異体をCPP生物学的活性に関してスクリーニングして活性を保持する変異体を同定することができる。配列番号1−4、5−12、13−19および20−25の1つをコードするヌクレオチドの変異誘発の後、コードされたタンパク質を無作為に発現させ、そして例えば本明細書にて提供されるような任意の適当なアッセイでタンパク質の活性を決定することができる。
本発明またはCPPキメラまたは融合タンパク質をも提供する。CPP“キメラタンパク質”または“融合タンパク質”は本明細書中で使用される際には、非CPPポリペプチド配列に作動可能なように連結されているかまたはフレーム内で融合されている本発明のCPPまたはそのフラグメントを含む。好ましい実施態様では、CPP融合タンパク質は少なくとも1つのCPPの生物学的活性部分を含む。さらに別の好ましい実施態様では、CPP融合タンパク質は少なくとも2つのCPPの生物学的活性部分を含む。例えば1つの実施態様では、融合タンパク質は、CPPドメイン配列がGST配列のC末端に融合されているGST−CPP融合タンパク質である。かかる融合タンパク質は組換えCPPの精製を促進することができる。さらに別の実施態様では、融合タンパク質は、例えば特定の宿主細胞における望ましい細胞局在を可能にするために、そのN末端で異種性のシグナル配列を含有するCPPである。なおさらに別の実施態様では、融合はCPP生物学的活性フラグメントおよび免疫グロブリン分子である。かかる融合タンパク質は、例えばCPP結合部位の価数を増加させるのに有用である。例えば生物学的に活性なCPPフラグメントをIgG Fc部分に融合させることにより、2価のCPP結合部位を形成することができる。
本発明のCPP融合タンパク質を免疫原として用いて対象において、抗CPP抗体を生成物し、CPPまたはCPPリガンドを精製し、そしてスクリーニングアッセイにおいてCPPモジュレーターを同定することができる。
さらに、かかるペプチドをコードする対応する核酸のフラグメントから、組換えにより生成されたペプチドをスクリーニングすることにより、単離されたCPPのフラグメントを得ることもできる。加えて、慣用されるメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学のような、当分野で公知の技術を用いてフラグメントを化学的に合成することができる。例えば、本発明のCPPを適宜フラグメントの重複を含まない望ましい長さのフラグメントに分割するか、または好ましくは望ましい長さの重複フラグメントに分割することができる。(組換えによるか、または化学的合成により)フラグメントを生成し、そして例えばマイクロインジェクションアッセイまたはインビトロタンパク質結合アッセイにより試験して、CPP生物学的活性を有するこれらのペプチジルフラグメントを同定することができる。説明のための実施態様では、CPP標的結合領域のようなCPPのペプチジル部分を、その各々がCPPの別個のフラグメントを含有するチオレドキシン融合タンパク質として発現することにより、CPP活性に関して試験することができる(例えば米国特許5270181および5292646;およびPCT公開WO94/02502参照(その開示は出典明示により本明細書の一部とする))。
加えて、CPPコード化配列のフラグメントのライブラリーを用いて、CPPの変異体のスクリーニングおよび続く選択のためのCPPフラグメントの変化に富んだ集団を作成することができる。1つの実施態様では、分子あたり約1回のみニッキングを生じる条件下で、CPPコード化配列の二本鎖PCRフラグメントをヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性し、DNAを再生して異なるニッキングされた生成物からのセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼでの処理により再形成された二本鎖から一本鎖部分を除去し、そして得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターにライゲートすることにより、コード化配列フラグメントのライブラリーを作成することができる。この方法により、種々の大きさのCPPのN末端、C末端および内部のフラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導することができる。
ペプチドのアミノ酸配列における変化が機能的CPP相同体に至るかどうかを、種々のペプチドの少なくとも1つのCPP生物学的活性を評価することにより容易に決定することができる。1つ以上の置換が生じたペプチドを同一の様式で容易に試験することができる。
CPP組成物の化学的製造
標準的な技術(例えばStewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Company, Rockford, IL, 1984)により本発明のペプチドを合成する。好ましくは市販のペプチド合成器、例えばApplied Biosystems, Inc.(Foster City, CA)モデル430Aを用い、そして収束合成研究法、例えばkent et al., 米国特許6184344およびDawson and Kent, Annu. Rev. Biochem., 69:923-960 (2000)で複数の、別個に合成された、そして精製されたペプチドから本発明のポリペプチドを組み立てることができる。カルボキシル末端残基から出発し、そして段階的な様式で全ペプチドが形成されるまでアミノ酸を付加して、架橋ポリスチレン支持体上で固相合成により本発明のペプチドを組み立てることができる。以下の参照文献は合成の間に用いた化学に対する手引きである:Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res., 40:180-193 (1992);Merrifield, J. Amer. Chem. Soc., 85:2149(1963);Kent et al., Peptide 1984, Ragnarsson, Ed.(Almquist and Weksell, Stockholm, 1984)pg185;Kent et al., Peptide Chemistrty 84, Izumiya, Ed.(Protein Research Foundation, B.H. Osaka, 1985)pg217;Merrifield, Science 232:341-347(1986);Kent, Ann. Rev. Biochem. 57:957-989(1988)、およびこれらの後者の2つの参照文献で引用された参照文献。
好ましくは、Dawson et al., Science 266:776-779(1994)およびKent et al., 米国特許6184344に記載されるように、本発明のポリペプチドの化学合成を元来の化学的ライゲージョンによるペプチドフラグメントの組み立てにより実施する。簡単には、研究法では、第1のペプチドフラグメントに酸化されていないスルフヒドリル側鎖を有するN末端システインを提供し、そして第2のペプチドフラグメントにC末端チオエステルを提供する。次いでN末端システインの酸化されていないスルフヒドリル側鎖をC末端チオエステルと縮合して、第1および第2のペプチドフラグメントがβ−アミノチオエステルで連結されている中間ペプチドフラグメントを生成する。次いで中間ペプチドフラグメントのβ−アミノチオエステルに分子内再構成を行い、第1および第2のペプチドフラグメントがアミド結合で連結されているペプチドフラグメント生成物を生成する。好ましくは、以下に記載するように、環状チアゾリジン保護基により内部フラグメントのN末端システインを望ましくない環化および/または連結反応から保護する。好ましくは、かかる環状チアゾリジン保護基はチオプロリニル基である。
C末端チオエステルを有するペプチドフラグメントを以下の参照文献(これは出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるように生成することができる:Kent et al., 米国特許6184344;Tam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 92:12485-12489 (1995);Blake, Int. J. Peptide Protein Res., 17:273 (1981);Cann et al., Tetrahedron Letters, 36:1217-1220(1995);Hackeng et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 94:7845-7850 (1997);またはHackeng et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 96:10068-10073 (1999)。好ましくは、Hackeng et al. (1999)に記載される方法を用いる。簡単には、Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res., 40:180-193 (1992)(これは出典明示により本明細書の一部とする)に開示されるBoc化学のインサイチュ中和/HBTU活性化手順を用いることにより、固相支持体(前記で記載)上で典型的には0.25ミリモルのスケールでペプチドフラグメントを合成する。(HBTUはヘキサフルオロリン酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムであり、そしてBocはtert−ブトキシカルボニルである)。各合成サイクルは無溶媒のTFAとの1から2分間処理、1分間のDMF流洗浄、DIEAの存在下で予め活性化されたBoc−アミノ酸1.0ミリモルとの10から20分間の結合時間、および第2のDMF流洗浄によるNα−Boc除去からなる。(TFAはトリフルオロ酢酸であり、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドであり、そしてDIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである)。過剰のDIEA(3ミリモル)の存在下、Nα−Bocアミノ酸(1.1ミリモル)をHBTU(DMF中0.5M)1.0ミリモルで3分間、予め活性化する。各々の結合工程の後、例えばSarin et al., Anal. Biochem., 117:147-157(1981)に開示されるような、慣用される定量的ニンヒドリンアッセイで残留する遊離のアミンを測定することにより収量を決定する。Gln残基の結合の後、TFAを用いる脱保護の前および後に、DCM流洗浄を用いて、起こり得る高温(TFA/DMF)触媒されるピロリドン形成を防御する。鎖の組み立てが完了した後、ペプチドフラグメントを脱保護し、そして0℃で1時間、スカベンジャーとして4%p−クレゾールを伴って無水HFで処理することにより、樹脂から切断する。イミダゾール側鎖2,4−ジニトロフェニル(dnp)保護基をHis残基に残すが、それはdnp除去手順がC末端チオエステル基と適合しないからである。しかしながら、dnpはライゲーション反応の間にチオールにより徐々に除去される。切断の後、ペプチドフラグメントを氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、アセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥する。
Hackeng et al.,(1999)または匹敵するプロトコールに開示されるように作られたトリチル結合メルカプトプロピオン酸−ロイシン(TAMPAL)樹脂上で前記したチオエステルペプチドフラグメントを合成するのが好ましい。簡単には、DIEA6ミリモルの存在下、HBTU3.6ミリモルでNα−Boc−Leu(4ミリモル)を活性化し、そしてp−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂2ミリモル、または等価物に16分間結合させる。次に、DIEA6ミリモルの存在下、S−トリチルメルカプトプロピオン酸3ミリモルをHBTU2.7ミリモルで活性化し、そしてLeu−MBHA樹脂に16分間結合させる。TFA中3.5%トリイソプロピルシランおよび2.5%HOで1分間処理を2回でトリチル保護基を除去した後、得られたTAMPAL樹脂をポリペプチド鎖組み立てのための出発樹脂として用いることができる。Schnolzer et al.,(前記で引用)に開示されるように標準的なインサイチュ中和ペプチド結合プロトコールを1時間用いることにより、任意の望ましいアミノ酸でチオエステル結合を形成することができる。最終的なペプチドフラグメントを無水HFで処理することにより、C末端活性化されたメルカプトプロピオン酸−ロイシン(MPAL)チオエステルペプチドフラグメントを生じる。
好ましくは、Hackeng et al.,(1999)に記載される条件、または同様の条件下で元来の(native)化学的ライゲーションにおいてチオゾリジン保護されたチオエステルペプチドフラグメント中間体を用いる。簡単には、6Mグアニジン、4(容量/容量)%ベンジルメルカプタンおよび4(容量/容量)%チオフェノールを含有する0.1Mリン酸塩バッファー(pH8.5)をライゲートする乾燥ペプチドに加えて、チオールおよびTFAの添加のために凍結乾燥したペプチドから低下したpH約7で、1−3mMの最終ペプチド濃度が得られる。好ましくは、加熱ブロック中37℃でライゲーション反応を行い、そして定期的にボルテックスしてチオール添加物を平衡にする。MALDI−MSまたはHPLCおよびエレクトロスプレーイオン化MSにより、反応を完了の程度に関してモニタリングすることができる。
元来の化学的ライゲーション反応を完了または停止した後、生成物のN末端チアゾリジン環をO−メチルヒドロキシルアミン(0.5M)のようなシステイン脱保護剤とpH3.5−4.5で37℃で2時間の処理により開環し、その後10倍過剰のトリス−(2−カルボキシエチル)−ホスフィンを反応混合物に加えて、慣用される調製用HPLCによる生成物の精製の前に任意の酸化反応成分を完全に還元する。好ましくは、ライゲーション生成物を含有する分画をエレクトロスプレーMSにより同定し、プールし、そして凍結乾燥する。
合成が完了し、そして最終生成物を精製した後、最終的なペプチド生成物を、慣用される技術、例えばCreighton, Meth. Enzymol., 107:305-329 (1984);White, Meth. Enzymol., 11:481-484 (1967);Wetlaufer, Meth. Enzymol., 107:301-304 (1984);等によりリフォールディングすることができる。好ましくは、最終生成物を以下の方法等による空気酸化によりリフォールディングする:還元された凍結乾燥生成物を100mMトリス、10mMメチオニンを含む1M塩酸グアニジン(または同様のカオトロピック剤)(pH8.6)中に溶解する(約0.1mg/ml)。穏やかに一晩攪拌した後、リフォールディングした生成物を慣用されるプロトコールで逆相HPLCにより単離する。
組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本明細書に記載するポリヌクレオチド配列を、適切な宿主細胞において対応するポリペプチドの発現を指向する組換えDNA分子に用いることができる。遺伝子コードの縮重のために、その他のDNA配列は等価のアミノ酸配列をコードすることができ、そしてクローン化およびCPPの発現に用いることができる。特定の宿主細胞に好ましいコドンを選択し、そして天然発生ヌクレオチド配列に置換して発現の率および/または効率を上昇させることができる。望ましいCPPをコードする核酸(例えばcDNAまたはゲノムDNA)をクローニング(DNAの増幅)、または発現のための複製可能なベクターに挿入することができる。当分野で公知の方法によって、ポリペプチドをいずれかの多くの発現系で組換えにより発現することができる(Ausubel et al., editors, Currennt Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1990)。適切な宿主細胞には、酵母、細菌、始原細菌、真菌、ならびに昆虫および哺乳動物細胞を含む動物細胞、例えば限定するものではないが骨髄幹細胞を含む幹細胞を含む初代細胞が挙げられる。さらに具体的には、これらには、限定するものではないが組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌、および酵母発現ベクターで形質転換された酵母のような微生物が挙げられる。また(バキュロウイルスのような)組換え昆虫ウイルスおよび哺乳動物発現系で感染された昆虫細胞もまた含まれる。発現される核酸配列を種々の手順によりベクターに挿入することができる。一般的には、当分野で公知の技術を用いてDNAを適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入する。ベクター成分には一般的には、限定するものではないが、1つまたはそれより多いシグナル配列、複製起点、1つまたはそれより多いマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終止配列が挙げられる。1つまたはそれより多いこれらの成分を含有する適切なベクターの構築は当業者に公知の標準的なライゲーション技術を用いる。
タンパク質の発現を誘起するかまたは引き起こすのに適切な条件下で、CPPをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することにより本発明のCPPを生成する。当業者により確認されているように、CPP発現に適切な条件は発現ベクターおよび宿主細胞の選択で異なる。例えば発現ベクターにおける構成的プロモーターの使用は宿主細胞成長および増殖の通常的な最適化を必要とし得るが、誘導プロモーターの使用は誘導のための適切な成長条件を必要とする。加えて、いくつかの実施態様では、収集の時期が重要である。例えば昆虫細胞発現で用いるバキュロウイルス系は溶解ウイルスであり、そして収集時期の選択は生じる生成物に重要である。
挿入された配列の発現を調整する、または望ましい様式で発現されたタンパク質をプロセシングする能力に関して宿主細胞株を選択することができる。タンパク質のかかる修飾には、限定するものではないがグリコシル、アセチル、リン酸塩、アミド、脂質、カルボキシル、アシルまたは炭水化物基が挙げられる。タンパク質の“プレプロ”形態を切断する翻訳後プロセシングもまた正確な挿入、フォールディングおよび/または機能に重要であろう。実例としては、CHO、HeLa、BHK、MDCK、293、W138等のような宿主細胞は特異的細胞機構およびかかる翻訳後活性のための特徴的なメカニズムを有し、そして導入された外来のタンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするとうに選択することができる。特に興味深いのはキイロショウジョウバエ細胞、出芽酵母およびその他の酵母、大腸菌、枯草菌、SF9細胞、C129細胞、293細胞、パンカビ属、BHK、CHO、COSおよびHeLa細胞、線維芽細胞、シュワノーマ細胞系、不死化哺乳動物骨髄およびリンパ細胞系、ジャーカット細胞、ヒト細胞およびその他の初代細胞である。
CPPをコードする核酸は、それを別の核酸配列と機能的な関係に置くことにより“作動可能なように連結”されなければならない。例えば、プレ配列または分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に参加するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能なように連結されている;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響する場合、コード化配列に作動可能なように連結されている;またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置している場合、コード化配列に作動可能なように連結されている。一般的に、“作動可能なように連結された”DNA配列は近接しており、そして分泌リーダーまたはその他のポリペプチド配列の場合、近接しており、そして読み取りの相にある。しかしながら、エンハンサーは近接している必要はない。都合の良い制限部位でのライゲーションにより連結を達成する。かかる部位が存在しない場合、慣行に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いる。プロモーター配列は構成的または誘導プロモーターのいずれかをコードする。プロモーターは天然発生プロモーターかまたはハイブリッドプロモーターのいずれかでよい。1つ以上のプロモーターのエレメントを組合せるハイブリッドプロモーターもまた当分野で公知であり、そして本発明において有用である。発現ベクターはさらに別のエレメントを含むことができ、例えば発現ベクターは2つの複製系でよく、したがって2つの生物、例えば発現のためには哺乳動物または昆虫細胞で、およびクローニングおよび増幅のためには原核細胞宿主で、それを維持することが可能になる。双方の発現およびクローニングベクターは、ベクターが1つまたはそれより多い選択された宿主細胞において複製するのを可能にする核酸配列を含有する。かかる配列は種々の細菌、酵母、およびウイルスに関して周知である。プラスミドpBR322に由来する複製起点はたいていのグラム陰性細菌に適当であり、2:プラスミド起点は酵母に適当であり、そして種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞のクローニングベクターに有用である。さらに、発現ベクターを組込むために、発現ベクターは少なくとも1つの、宿主細胞ゲノムに対する配列相同体、および好ましくは発現構築物をフランキングする2つの相同配列を含有する。組込みベクターはベクターの封入に関して適切な相同配列を選択することにより、宿主細胞における特定の位置を指向することができる。組込みベクターの構築は当分野で公知である。さらに別の実施態様では、相同組換えにより異種性発現制御エレメントは宿主細胞の内因性遺伝子と作動可能なように連結することができる(米国特許6410266および6361972に記載、その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)。この技術により選択された制御エレメントで発現を望ましいレベルまで調節することが可能になるが、宿主細胞により内因的に発現されるCPPの適切なプロセシングおよび修飾を確実にする。有用な異種性発現制御エレメントには、限定するものではないがCMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーターのようなレトロウイルスLTRのプロモーター、およびメタロチオネインプロモーターが挙げられる。
好ましくは、発現ベクターは形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含有する。選択遺伝子は当分野で公知であり、そして用いる宿主細胞で異なる。発現およびクローニングベクターは典型的には選択マーカーとも称される選択遺伝子を含有する。典型的な選択遺伝子は(a)抗生物質もしくはその他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メソトレキセートもしくはテトラサイクリンに対する耐性を付与する;(b)栄養要求欠損を補う;または(c)複合培地から利用できない必須栄養、例えば桿菌にはD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給する;タンパク質をコードする。
CPPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、細胞培養からのコードされたタンパク質の発現および回収に適当な条件下で培養することができる。用いる配列および/またはベクターに依存して、組換え細胞により生成されたタンパク質を分泌する、膜結合する、または細胞内に含有することができる。当業者に理解されるように、CPPをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを、原核または真核細胞膜を通したCPPの分泌を指向するシグナル配列と共に設計することができる。望ましいCPPを直接的のみならず、異種性ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして組換えにより生成することもできる、この異種性ポリペプチドはシグナル配列または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端で特異的切断部位を有するその他のポリペプチドでよい。一般的にシグナル配列はベクターの成分でよいか、またはベクターに挿入されるCPPコード化DNAの一部でよい。シグナル配列は例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核細胞シグナル配列でよい。酵母分泌に関しては、シグナル配列は例えば酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(サッカロミセスおよびクルイベロミセスa因子リーダー、後者は米国特許5010182に記載)、または酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンスグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日に公開された欧州特許362179)、または1990年11月15日に公開されたWO9113646に記載されるシグナルでよい。哺乳動物細胞発現では、同一のまたは関連する種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列のような哺乳動物シグナル配列、およびウイルス分泌リーダーを用いてタンパク質の分泌を指向することができる。選択した発現系によってコード化配列を適当なベクターに挿入し、これは今度は特定の特徴的な“制御エレメント”または“調節配列”の存在を必要とする。適切な構築物は一般的に当分野で公知であり(Ausubel, et al., 1990)、そして多くの場合、Invitrogen(San Diego, Calif.)、Stratagene(La Jolla, Calif.)、Gibco BRL(Rockville, Md.)またはClontech(Palo Alto, Calf.)のような商業用提供者から入手可能である。
細菌系における発現
“BLUESCRIPT”Phagemid(Stratagene)または“pSPORT1”(Gibco BRL)のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導プロモーターを用いて細菌細胞の形質転換を達成することができる。加えて、限定するものではないが、“BLUESCRIPT”(a−ガラクトシダーゼ;Stratagene)またはpGEX(グルタチオンS−トランスフェラーゼ;Promega, Madison, Wis.)を含む、容易に検出および/または精製することができる切断可能な融合タンパク質を生成するために細菌細胞で使用するための多くの発現ベクターを選択することができる。適当な細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼを結合し、そしてCPP遺伝子のコード化配列のmRNAへの下流(3')転写を開始することができる任意の核酸配列である。細菌プロモーターは、通常コード化配列の5'末端に近位に位置する転写開始領域を有している。この転写開始領域は典型的にはRNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。代謝経路酵素をコードする配列は特に有用なプロモーター配列を提供する。実例には、ガラクトース、ラクトースおよびマルトースのような糖代謝酵素から誘導されるプロモーター配列、ならびにトリプトファンのような生合成酵素から誘導される配列が挙げられる。バクテリオファージに由来するプロモーターを使用することもでき、そして当分野で公知である。加えて、合成プロモーターおよびハイブリッドプロモーターもまた有用である;例えばtatプロモーターはtrpおよびlacプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターは、細菌性RNAポリメラーゼに結合しそして転写を開始する能力を有する非細菌起源の天然発生プロモーターを含むことができる。効率的なリボソーム結合部位もまた望ましい。発現ベクターは細菌においてCPPの分泌を提供するシグナルペプチド配列を含むこともできる。シグナル配列は典型的には、当分野で公知のような、細胞からのタンパク質の分泌を指向する疎水性アミノ酸からなるシグナルペプチドをコードする。タンパク質は、成長培地(グラム陽性細菌)、または細胞の膜の内と外の間に位置する細胞膜周辺腔(グラム陰性細菌)のいずれかに分泌される。細菌性発現ベクターはまた形質転換されている細菌株の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含むこともできる。適当な選択遺伝子は、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンのような薬剤抵抗遺伝子を含む。選択マーカーはまたヒスチジン、トリプトファンおよびロイシン生合成経路の遺伝子のような生合成遺伝子を含むこともできる。例えば抗生物質の誘導のために多量のCPPが必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を指向するベクターが望ましい。かかるベクターには、限定するものではないが、ハイブリッドタンパク質を生成するためにCPPコード化配列がアミノ末端Metおよびベータ−ガラクトシダーゼの続く7個の残基の配列と共にフレーム内でベクターにライゲートされ得るBLUESCRIPT(Stratagene)のような多機能大腸菌クローニングおよび発現ベクター;PINベクター(Van Heeke & Schuster J Biol Chem 264:5503-5509 (1989));PETベクター(Novagen, Madison Wis.);等が挙げられる。細菌のための発現ベクターは前記で示した種々の成分を含み、そして当分野で公知である。実例には、とりわけ枯草菌、大腸菌、ストレプトコッカス・クレモリス、およびストレプトコッカス・リビダンスのベクターが挙げられる。塩化カルシウム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション等のような当分野で公知の技術を用いて細菌性発現ベクターを細菌宿主細胞に形質転換する。
酵母における発現
酵母発現系は当分野で公知であり、そして出芽酵母、カンジダ・アルビカンスおよびカンジダ・マルトサ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、クルイベロミセス・フラギリスおよびクルイベロミセス・ラクティス、ピチア・ギレルモンジおよびピチア・パストリス、シゾサッカロミセス・ポンベ、ならびにヤロウィア・リポリティカが挙げられる。酵母宿主における使用に適当なプロモーターの実例には3−ホスホグリセラートキナーゼのプロモーター(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255:2073(1980))または、エノラーゼ、グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、アルファ因子、ADH21GAPDHプロモーター、グルコキナーゼアルコールオキシダーゼ、およびPGHのようなその他の糖分解酵素(Hess et al., J. Adv. Enzyme Reg. 7:149(1968);Holland, Biochemistry 17:4900(1978))が挙げられる。例えばAusubel et al., 1990;Grant et al., Methods in Enzymology 153:516-544(1987)を参照のこと。誘導可能なその他の酵母プロモーターは成長条件により制御されるさらに別の転写の利点を有し、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に寄与する酵素のプロモーター領域が挙げられる。酵母発現において使用するのに適当なベクターおよびプロモーターはさらに欧州特許73657に記載されている。酵母選択マーカーにはツニカマイシンに対する耐性を付与するADE2.HIS4.LEU2.TRP1.およびALG7;G418に対する耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子;ならびに銅イオンの存在下で酵母が成長するのを可能にするCUP1遺伝子が挙げられる。目的のCPPをコードするDNAからのCPPの細胞内生成または分泌のための酵母発現ベクターを構築することができる。例えば、CPPの直接的な細胞内発現のために選択されたプラスミドの適当な制限部位に、選択されたシグナルペプチドおよび適切な構成的または誘導プロモーターを挿入することができる。CPPの分泌のために、選択されたプラスミドにCPPをコードするDNAを、CPPの発現のために、プロモーターをコードするDNA、酵母アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、およびリンカー配列(必要に応じて)と一緒にクローン化することができる。次いで酵母細胞を前記で記載した発現プラスミドで形質転換し、そして適切な発酵培地中で培養することができる。次にかかる形質転換された酵母により生成されたタンパク質を、10%トリクロロ酢酸での沈殿により濃縮し、そしてSDS−PAGEによる分離およびクーマシーブルー色素でのゲルの染色の後に分析することができる。組換えCPPを続いて単離し、そして当業者に公知の技術により発酵培地から精製することができる。
哺乳動物系における発現
哺乳動物細胞においてCPPを発現することができる。哺乳動物発現系は当分野で公知であり、そしてレトロウイルスベクター媒介発現系を含む。後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体にコード化領域をライゲートすることができるアデノウイルスのような多くの異なるウイルス基盤発現系のいずれかで、哺乳動物宿主細胞を形質転換することができる。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3における挿入の結果、感染した宿主細胞における目的のポリペプチドの発現が可能な生存ウイルスに至る。好ましい発現ベクター系は一般的にPCT/US97/01019およびPCT/US97/101048に記載されるようなレトロウイルスベクター系である。適当な哺乳動物発現ベクターは、哺乳動物RNAポリメラーゼを結合し、そしてCPPのコード化配列のmRNAへの下流(3')転写の開始が可能である任意のDNA配列である哺乳動物プロモーターを含有する。プロモーターは、転写開始部位の上流に位置する25−30塩基対を用いて、通常コード化配列の5'末端の近位に置かれる転写開始領域、およびTATAボックスを有する。TATAボックスはRNAポリメラーゼIIに正確な部位でRNA合成を開始させると考えられている。哺乳動物プロモーターはまた典型的にはTATAボックスの上流100から200塩基対内に位置する上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)を含有する。上流プロモーターエレメントは転写が開始され、そしていずれかの方向で作用し得る比率を決定する。
ウイルス遺伝子はしばしば高度に発現され、そして広範な宿主範囲を有するので、哺乳動物プロモーターとして特に有用なものは哺乳動物ウイルス遺伝子に由来するプロモーターである。実例には、かかるプロモーターが宿主細胞系に適合するという条件で、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日公開のUK2211504)、(アデノウイルス2のような)アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、および熱ショックプロモーターから得られたプロモーターが挙げられる。高等真核細胞によるCPPをコードするDNAの転写を、エンハンサー配列のベクターへの挿入により増加させることができる。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増加させる約10から300bpのDNAのシス作用性エレメントである。今や哺乳動物遺伝子からの多くのエンハンサー配列が公知である(グロブリン、エラスターゼ、アルブミン、a−フェトプロテイン、およびインスリン)。しかしながら典型的には真核細胞ウイルスに由来するエンハンサーが用いられる。実例には、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、後期の複製起点のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。エンハンサーは好ましくはプロモーターから5'の部位に位置する。一般的に、哺乳動物細胞により認識される転写終止およびポリアデニル化配列は翻訳停止コドンに対して3'に位置する調節領域であり、そしてしたがって、プロモーターエレメントと一緒にコード化配列をフランキングする。成熟mRNAの3'末端は部位特異的翻訳後切断およびポリアデニル化により形成される。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの実例には、SV40から誘導されたものが挙げられる。組換えタンパク質の長期的、高収量の生成は安定した発現系で行うことができる。ウイルス性複製起点または内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含有する発現ベクターをこの目的のために用いることができる。哺乳動物細胞で使用するための選択マーカーを含有する適切なベクターは市販により容易に入手可能であり、そして当業者に公知である。かかる選択マーカーの実例には、限定するものではないが、各々tk−またはhprt−細胞で使用するための、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼおよびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼが挙げられる。外因性核酸の哺乳動物宿主およびその他の宿主への導入方法は当分野で公知であり、そして用いる宿主で異なる。技術にはデキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、リポソーム内の(複数の)ポリヌクレオチドの封入、およびDNAの核への直接マイクロインジェクションが挙げられる。
CPPコード化配列を担持する発現ベクターにより一過性に、または安定して形質転換された哺乳動物細胞の培養上清からCPPを精製することができる。好ましくは、pcD発現ベクターにより一過性にトランスフェクトされたCOS7細胞の培養上清からCPPを精製する。COS7細胞のpcDでのトランスフェクションは以下のように進行する:トランスフェクションの1日前におよそ10個のCOS7サル細胞を、10%ウシ胎仔血清および2mMグルタミンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DEM)の個々の100mmプレートに播く。トランスフェクションを行うために、各プレートから培地を吸引し、そして50mMトリスHCl(pH7.4)、400mg/mlDEAE−デキストランおよびプラスミドDNA50μgを含有するDME4mlと置き換える。プレートを37℃で4時間インキュベートし、次いでDNA含有培地を除去し、そして血清不含DME5mlで2回洗浄する。DMEをもとのプレートに加え、次いでこれを37℃でさらに3時間インキュベートする。プレートをDMEで1回洗浄し、その後4%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、ペニシリン(100U/l)およびストレプトマイシン(100μg/l)を標準的な濃度で含有するDMEを加える。次いで細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、CPPの精製のために成長培地を収集する。トランスフェクションのためのプラスミドDNAは、CPPコード化cDNAインサートを含有するpcD(SRα)または同様の発現ベクターを大腸菌MC1061(Casadaban and Cohen, J. Mol. Biol. 138:179-207(1980))または同様の生物の中で成長させることにより得られる。標準的な技術、例えばSambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989)またはAusubel et al.,(1990、前記で引用)によりプラスミドDNAを培養物から単離する。
昆虫細胞の発現
CPPを昆虫細胞においても生成することができる。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、および特にバキュロウイルス基盤の発現ベクターは当分野で公知である。かかる系の1つでは、CPPコード化DNAをバキュロウイルス発現ベクター内に含まれるエピトープタグの上流に融合する。オートグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いてスポドプテラ・フルギペルダ Sf9細胞またはトリコプルシア・ラルバエに外来性遺伝子を発現する。CPPコード化配列をポリヘドリン遺伝子のようなウイルスの非必須領域にクローン化し、そしてポリヘドリンプロモーターの制御下に置く。CPPコード化配列の連続的な挿入はポリヘドリン遺伝子を不活性化し、そして外殻タンパク質の外殻を欠く組換えウイルスを生成する。次いで組換えウイルスを用いて、CPPを発現するスポドプテラ・フルギペルダ細胞またはトリコプルシア・ラルバエを感染する(Smith et al., J. Wol. 46:584(1994);Engelhard E K et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 91:3224-3227(1994))。CPPコード化DNAに融合するのに適当なエピトープタグにはポリhisタグおよび免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域と同様)が挙げられる。pVL1393(Novagen)のような市販のプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、CPPコード化DNAまたはCPPコード化DNAの望ましい部分を5'および3'領域に相補的なプライマーを用いてPCRにより増幅する。5'プライマーはフランキング制限部位を組込むことができる。次いでPCR生成物を選択された制限酵素で消化し、そして発現ベクターにサブクローニングする。リポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)、または当業者に公知のその他の方法を用いて、前記のプラスミドおよびBaculoGold(商標)ウイルスDNA(Pharmingen)をスポドプテラ・フルギペルダ(“Sf9”)細胞(ATCC CRL 1711)に同時トランスフェクトすることにより組換えバキュロウイルスを作成する。Sf9細胞中28℃で4−5日の培養によりウイルスを生成し、そしてさらなる増幅に用いる。O'Reilley et al., BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL, Oxford University Press (1994)にさらに記載されるような手順を実施する。Rupert et al., Nature 362:175-179(1993)に記載されるように組換えウイルス感染Sf9細胞から抽出物を調製することができる。あるいは、アフィニティークロマトグラフィーにより発現されたエピトープ−タグ化CPPを精製することができるか、または例えばプロテインAもしくはプロテインGカラムクロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー技術を用いてIgGタグ化(またはFcタグ化)CPPの精製を行うことができる。
遺伝子発現の評価
例えば当業者に公知の標準的な技術、例えば本明細書で提供する配列に基づいた適当な標識プローブを用いて、mRNAの転写を決定するためのノーザンブロッティング、ドットブロッティング(DNAまたはRNA)またはインサイチュハイブリダイゼーションにより、試料中の遺伝子発現を直接評価することができる。あるいは、ポリペプチド、DNA二本鎖、RNA二本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二本鎖またはDNA−タンパク質二本鎖を含む特定の二本鎖などの核酸の検出のためにアッセイにおいて抗体を用いることができる。表面上に二本鎖を形成するときに、二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができるように、かかる抗体を標識し、そして二本鎖が表面に結合しているアッセイを行うことができる。あるいは、CPPポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を直接評価するために、細胞または組織切片の免疫組織化学的染色、および細胞培養または体液のアッセイにより遺伝子発現を測定することができる。かかる免疫学的アッセイに有用な抗体はモノクローナルまたはポリクローナルのいずれかでよく、そして元来の配列CPPに対して調製することができる。質量分析によりタンパク質レベルを検出することもできる。タンパク質検出の別の方法はタンパク質チップを用いる。
発現されたタンパク質の精製
当業者に公知の種々の方法のいずれかを用いて、発現の後、発現されたCPPを精製または単離することができる。適切な技術は、試料中に他にどんな成分が存在するかに依存して異なる。単離または精製により除去される夾雑成分は、典型的にはポリペプチドの診断または治療用途に干渉する材料であり、そして酵素、ホルモンおよびその他の溶質を挙げることができる。選択される(複数の)精製工程は、例えば用いられた生成方法および生成された特定のCPPの性質に依存する。CPPは分泌されるので、培養培地から回収することができる。あるいは、CPPを宿主細胞ライゼートから回収することができる。膜結合している場合、適当なデタージェント溶液(例えばTriton−X 100)を用いて、または酵素的切断によりそれを放出させることができる。あるいは、凍結−解凍の繰り返し、ソニケーション、機械的崩壊のような種々の物理学的もしくは化学的手段により、または細胞溶解剤の使用によりCPPの発現に用いた細胞を崩壊させることができる。精製方法の実例としては、限定するものではないが、イオン交換カラムクロマトグラフィー;シリカゲルまたはDEAEのようなカチオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィー;例えばSephadex G−75を用いるゲル濾過;IgGのような夾雑物を除去するためのプロテインAセファロースカラム;CPPのエピトープ−タグ化形態に結合させるために金属キレートカラムを用いるクロマトグラフィー;エタノール沈殿;逆相HPLC;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;および硫酸アンモニウム沈殿が挙げられる。通常、単離されたCPPは少なくとも1つの精製工程により調製される。例えば、標準的な抗CPP抗体カラムを用いてCPPを精製することができる。タンパク質濃縮と組合せた限外濾過および透析技術もまた有用である(例えば、Scopes, R., PROTEIN PURIFICATION, Springer-Verlag, New York, N.Y., 1982参照)。必要な精製の程度はCPPの用途に依存して異なる。精製が必要でない例もある。一度発現され、そして必要により精製されると、本発明のCPPおよび核酸は以下に詳記するような多くの適用において有用である。
トランスジェニック動物
本発明の宿主細胞を用いて非ヒトトランスジェニック動物を生成することもできる。例えば、1つの実施態様では、本発明の宿主細胞は、CPPコード化配列が導入されている受精した卵細胞または胚幹細胞である。次いでかかる宿主細胞を用いて、外因性のCPP配列がそのゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性CPP配列が変化している相同組換え動物を創成することができる。かかる動物はCPPまたはそのフラグメントの機能および/または活性を研究するのに、ならびにCPP生物学的活性のモジュレーターを同定および/または評価するのに有用である。“トランスジェニック動物”は本明細書中で使用される際には、1つまたはそれより多い動物の細胞が導入遺伝子を含む、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物のその他の実例には非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等が挙げられる。導入遺伝子は、そこからトランスジェニック動物が発達する細胞のゲノムに組込まれ、そして成熟動物のゲノムに残る外因性DNAであり、それによりトランスジェニック動物の1つまたはそれより多い細胞型または組織においてコード化遺伝子生成物の発現を指向する。“相同組換え動物”は本明細書中で使用される際には、動物の発達の前に、内因性遺伝子と、動物の細胞、例えば動物の胚細胞に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えにより内因性遺伝子が変化している、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはマウスである。
例えばマイクロインジェクションまたはレトロウイルス感染によりCPPコード化核酸の受精卵細胞を雄性前核に導入し、そして偽妊娠した雌里親動物において卵細胞を発達させることを可能にすることにより、本発明のトランスジェニック動物を創成することができる。CPPcDNA配列またはそのフラグメントを導入遺伝子として非ヒト動物のゲノムに導入することができる。あるいは、マウスまたはラットに由来するような、ヒトCPPコード化遺伝子の非ヒト相同体を導入遺伝子として用いることができる。導入遺伝子の発現の効率を上昇させるために、イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた導入遺伝子に含むことができる。(複数の)組織特異的調節配列をCPP導入遺伝子に作動可能なように連結させて、特定の細胞にCPPの発現を指向させることができる。胚操作およびマイクロインジェクションを介してトランスジェニック動物、特にマウスのような動物を作成するための方法が当分野で慣用されるようになっており、そして例えば双方共にLeder et al., による米国特許4736866および4870009、Wagner et al., による米国特許4873191、ならびにHogan, B., Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする))に記載されている。類似の方法をその他のトランスジェニック動物の生成に用いる。そのゲノムにおけるCPP導入遺伝子の存在および/または動物の組織もしくは細胞におけるCPPmRNAの発現に基づいて導入遺伝子創始動物を同定することができる。次いで導入遺伝子創始動物を用いて導入遺伝子を担持するさらに別の動物を繁殖させることができる。さらに、CPPをコードする導入遺伝子を担持するトランスジェニック動物をさらに繁殖させて、その他の導入遺伝子を担持するその他のトランスジェニック動物にすることができる。
相同組換えにより望ましい核酸がゲノムに導入されている動物を創成するために、それによりCPPコード化配列を変化させる、例えば機能的に崩壊させるために欠失、付加または置換が導入されている、CPPコード化配列の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。CPPコード化配列はヒト遺伝子でよいが、さらに好ましくは、ヒトCPPコード化配列の非ヒト相同体である(例えばストリンジェントハイブリダイゼーションにより単離されたCPPをコードするヌクレオチド配列を有するcDNA)。例えば、マウスCPPコード化配列を用いてマウスゲノムの内因性遺伝子を変化させるのに適当な相同組換えベクターを構築することができる。好ましい実施態様では、相同組換え時に内因性CPPコード化配列を機能的に崩壊させる(すなわちもはや機能的タンパク質をコードしない;また“ノックアウト”ベクターとも称される)ようにベクターを設計する。あるいは、相同組換え時に内因性CPPコード化配列が変異するか、または別の方法で変化するが、依然機能的タンパク質をコードする(例えば上流の調節領域を変化させて、それにより内因性CPPコード化配列の発現を変化させる)ようなベクターを設計する。相同組換えベクターでは、CPPコード化配列の変化した部分はその5'および3'末端でCPP遺伝子のさらに別の核酸配列によりフランキングされ、ベクターにより担持される外因性配列と胚幹細胞の内因性遺伝子との間で相同組換えを生じるのを可能にする。付加されるフランキング核酸配列は内因性遺伝子との相同組換えに成功するのに十分な長さである。典型的には、数キロ塩基のフランキングDNA(5'および3'末端の双方)はベクターに含まれる(例えばThomas, K.R. and Capecchi, M.R.(1987) Cell 51:503(相同組換えベクターの記載に関するその開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)。ベクターを胚幹細胞系に導入し(例えばエレクトロポレーションによる)、そして導入されたCPPコード化配列が内因性遺伝子と相同組換えされている細胞を選択する(例えばLi, E.et al.,(1992) Cell 69:915(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする))。次いで選択された細胞を動物(例えばマウス)の胚盤胞に注射して凝集キメラを形成する(例えばBradley, A. Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells. A Practical Approach, E.J. Robertson ed.(IRL, Oxford, 1987)113-152(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)。次いでキメラ胚を適当な偽妊娠雌里親動物に移植し、そして胎仔を出産させる。生殖細胞に相同組換えされたDNAを宿す子孫を用いて、導入遺伝子の生殖細胞系伝達により動物の全細胞が相同組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法はBradley, A.(1991) Current Opinion in Biotechnology 2:823-829およびLe Mouellec et al.,によるPCT国際公開WO90/11354;Smithies et al.,によるWO91/01140;Zijlstra et al.,によるWO92/0968ならびにBerns et al.,によるWO93/04169に記載されており、その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする。
別の実施態様では、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含有する非ヒトトランスジェニック動物を生成することができる。かかる系の一例はバクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の記載に関しては、例えばLakso et al.,(1992) PNAS 89:6232-6236(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の実例は出芽酵母のFLPリコンビナーゼ系である(O'Gorman et al.,(1991) Science 251:1351-1355(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする))。cre/loxPリコンビナーゼ系を用いて導入遺伝子の発現を調節する場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の双方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要とされる。例えば一方は選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、そして他方はレコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する2つのトランスジェニック動物を交配させることにより、“二重”トランスジェニック動物を構築することによりかかる動物を提供することができる。
CPP活性の評価
本発明はさらにCPPの機能的フラグメントおよび変異体ならびにCPP配列の活性を試験する、またはそれを入手する方法を提供することは理解されよう。かかる方法は、変異体または修飾されたCPPコード化核酸を提供すること、およびコード化ポリペプチドがCPP生物学的活性を表示するかどうかを評価することに関係する。したがってCPPの機能を評価する方法は:(a)CPPまたは生物学的に活性なそのフラグメントもしくは相同体を提供すること;および(b)CPP活性に適当な条件下で該CPPまたは生物学的に活性なそのフラグメントもしくは相同体をCPP生物学的活性に関して試験すること;を含む。細胞不含、細胞基盤およびインビボアッセイを用いてCPP活性を試験することができる。例えば、該アッセイは宿主細胞においてCPP核酸を発現すること、ならびに該細胞およびその他の影響を受けた細胞においてCPP活性を観察することを含むことができる。別の実例では、CPPまたは生物学的に活性なそのフラグメントもしくは相同体を細胞と接触させ、そしてCPP生物学的活性を観察する。
CPP生物学的活性には:(1)個体が心臓血管障害を有しているかまたは有することを示していること;(2)心臓血管障害を有する個体の血流を通して循環すること;(3)抗原性、すなわち抗CPP特異的抗体に結合する能力;(4)免疫原性、すなわち抗CPP特異的抗体を作成する能力;およびCPP12に関しては:(5)水素、アミド、または好ましくはジスルフィド結合のような分子内アミノ酸側鎖相互作用を形成すること;(6)CPP標的分子、好ましくは細菌性エンドトキシンと相互作用すること;(7)細菌性エンドトキシンを中和すること;(8)肥満細胞走化性を促進させること;(9)翻訳後プロセシング、例えば特異的タンパク質分解を受けること;および(10)腸および女性生殖器管で抗微生物防御として機能すること;CPP15に関しては:(5)水素、アミド、または好ましくはジスルフィド結合のような分子内アミノ酸側鎖相互作用を形成すること;(6)CPP標的分子、好ましくは補体タンパク質C9との相互作用;(7)補体融解を阻害すること;および(8)翻訳後プロセシング、例えば特異的タンパク質分解および糖付加を受けること;CPP16に関しては:(5)CPP標的分子、好ましくはNAD/NADPと相互作用すること;そしてCPP18に関しては:(5)翻訳後プロセシング、例えば糖付加を受けること;および(6)CPP標的分子、好ましくはインテグリン、ミクロフィブリルまたはミブリリンと相互作用することが挙げられる。
当分野で公知の任意の適当な方法によりCPP生物学的活性を検定することができる。例えば“抗CPP抗体”および“CPP抗体の使用”と題したセクションで記載するように、抗原性および免疫原性を検出することができる。“診断および予後診断用途”に記載するように血漿中の循環を検出することができる。CPPがCPP標的分子と結合または相互作用する能力の決定は、当分野で一般的な通り、直接的または観察的に結合を決定するための方法により達成できる。このような方法は、“薬剤スクリーニングアッセイ”と題したセクションでさらに詳述する。
当業者は個体に関して適切に決定された任意の方法により心臓血管障害を診断することができる。症状および診断のさらなる実例は背景のセクションで見出すことができ、そして患者の特定のプロフィールに基づいて当業者により適切に最良に決定される。
配列基盤の構造予測により分子内相互作用を検出することができる。かかる予測は一般的に類似する配列を有するポリペプチドに関するX線結晶学またはNMR構造データに基づく。分子内相互作用の検出をSDS−PAGEを用いて達成することもできる。ジスルフィド結合の実例に関しては、所定のタンパク質の異なる部分間で形成された連結はさらにコンパクトなタンパク質に至り、そしてしたがって、見かけの分子量の低下に至る。還元剤、例えばジチオスレイトール(DTT)によりジスルフィド結合を崩壊させることができる。したがって、SDS−PAGEにより還元剤で処理したタンパク質試料を未処理の対照と比較して、見かけの分子量における変化を検出することができる。かかる方法は当分野で一般的である。
特異的タンパク質分解は、試料ペプチドの分子量と既知分子量のペプチドを比較することにより検出できる。分子量は、SDS−PAGE、ゲルクロマトグラフィー、または質量分析のような当分野で一般的な兵法にしたがい容易に比較できる。好ましくは、試験ペプチドの分子量を質量分析により得て、翻訳後修飾を受けたペプチドの分子量を含むデータベースと比較する。データベースの例は、Genpept、SWISSPROT、EMBLおよびProtein Sequence Databaseを含む。このような方法はさらに本明細書で詳述する。
CPP12に関して、抗微生物活性を、Porter et al. (Infect. Immun. 65:2396-2401 (1997))に記載のもののような当分野で既知の方法にしたがい検出し得る。簡単に言うと、リステリア菌(L. monocytogenes)EGD、大腸菌ML35p、ネズミチフス菌(S. typhimurium)14028Sおよび7953S、ならびにカンジダ・アルビカンス(C. albicans)820を使用する。細菌培養物を増殖中期相(midgrowth phase)で回収し、洗浄し、10細胞/mlの作業希釈で、10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、1%Trypticase Soy Broth中に再懸濁する。カンジダ・アルビカンスを同じ方法であるが、静止相で回収する。コロニー形成単位(CFU)アッセイおよび放射状拡散アッセイを記載のように試験化合物の存在下で、陽性対照化合物存在下で、または化合物なしで行う。化合物なしの対照と比較して、試験化合物存在下でCFUまたは放射状拡散アッセイのいずれかで得られる値の低下は、該化合物が抗菌活性を有することを示す。
CPP12に関して、腸または生殖器管中の化合物またはペプチドの存在を、既知の方法で(例えば、さらに本明細書で詳述するような、生物学的液体試料における免疫蛍光顕微鏡またはELISA)またはJones and Bevins (JBC 267:23216-25 (1992))もしくはSvinorich, et al. (Am J Obstet Gynecol (1997) 176:470-5)により記載の通りに検出できる。
CPP12に関して、走化性活性を、T細胞に関して米国特許5837247に記載の通り評価し得る。簡単に言うと、リンパ球移動を、48ウェル・マイクロケモタキシス・チャンバー(Neuro Probe Inc. Cabin John, Md.)を使用して評価した。ケモタキシス媒体で希釈された25μlの試験すべき試料を下部区画に入れ、50μlの細胞懸濁液(5×10細胞/mlで)を上部区画に入れた。2つの区画は、10μg/mlコラーゲンタイプIVで一晩4℃でコートされたポリカーボネートフィルター(T細胞については5μmポアサイズであり、他のリンパ球についてはより大きい)で分けた。該装置を37℃で3時間、5%COの加湿空気中でインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、フィルターを除去し、固定し、LeukoStat(Fisher Scientific, Pittsburgh, Pa.)で染色した。フィルターを通して移動した細胞の数を高倍率視野あたり光学顕微鏡で計数した。結果をトリプリケート試料の平均(±SD)値として示し、少なくとも3実験の代表である。刺激に対して応答して移動した細胞の数の、対照媒体に対する統計学的有意差をスチューデントのt検定を使用して計算した。インビボアッセイに関して、BALB/CおよびCB−17scid/scid(SCID)マウスをAnimal Production Area(NCI-FCRDC, Frederick, Md.)から得た。マウスは8−12週齢で使用し、無病原体状態に維持した。SCIDマウスを抗ASGM−1で処理し、1×10 huPBL i.p.を注射した。その直後、1.0μg化合物の精製調製物含有0.1ml PBSまたは対照PBSを毎日皮下の同じ注射部位に注射した。注射部位を最初の注射4時間後または2回目の注射24時間後まで4時間毎に組織学的に試験した。
CPP15に関して、補体融解をアッセイするために、WO9302188(その関連する記載を本明細書に包含させる)に記載のような方法を使用し得る。簡単に言うと、目的のタンパク質をコードするcDNAを、ブタ大動脈内皮細胞(PAEC)のゲノムに安定に統合させ、細胞表面上に発現させる。組み換えPAECの培養を、10%ウシ胎児血清(FBS)、5mM Hepes、2mM L−グルタミンおよびペニシリンまたはストレプトマイシンいずれか1%を含む(P/S)DMEM中、37℃で、8%CO下培養する。トランスフェクションまたはトランスダクション後、目的のタンパク質(例えば、CPP)の細胞表面発現を、ヒト血清中の補体による細胞融解に対するそれらの感受性に関してアッセイする。これを行うために、組み換えPAECおよび対照PAECを47ウェル組織培養プレートに10%FBS、2mM グルタミンおよびP/Sを含むDMEM中、1.25×10細胞/ウェルの密度で播種する。培養媒体を除去し、細胞をFBSなしの培地で3回洗浄する。次に、DMEM中に種々の濃度で希釈したヒト血清を、2時間、37℃で培養物に添加する。各培養物に残っている生存可能細胞の割合を、0.1%トリパンブルーでの染色により評価する。
CPP15に関して、GPI−アンカーを、WO9936778(その関連する記載を出典明示により包含させる)に記載の通り検出し得る。簡単に言うと、GPI−アンカー部分に結合特性を有する毒素を検出剤として利用する。好ましくは、このような毒素は検出可能に標識され、該アッセイは血漿酸試料で行う。
CPP18に関して、N−連結グリコシル化を、例えば、EP特許0693559B1に記載のように決定し得る。他の一般的方法は、アルギニン含有ペプチド配列の分子量について観察されたものと予測されたものの比較を含み、予測分子量より高いとき、該ぺpついどがグリコシル化されていることを示唆する。分子量は本明細書に詳述する通り決定できる。
抗CPP抗体
本発明はCPPに特異的な抗体および結合組成物を提供する。かかる抗体および結合組成物にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、そのFabおよび一本鎖Fvフラグメント、二重特異性抗体、ヘテロ結合体、およびヒト化抗体が含まれる。かかる抗体および結合組成物を、ハイブリドーマ培養、細菌または哺乳動物細胞培養における組換え発現、およびトランスジェニック動物における組換え発現を含む種々の方式で生成することができる。特定の生成方法を選択するための文献、例えばChadd and Chamow, Curr. Opin. Biotechnol., 12:188-194(2001)に多くの手引きがある。
製造方法の選択は、望ましい抗体構造、抗体上の炭水化物部分の重要性、培養および精製の容易さ、および経費を含むいくつかの因子に依存する。標準的な発現技術を用いて、全長抗体、FabおよびFvフラグメントのような抗体フラグメント、および異なる種に由来する成分を含むキメラ抗体を含む多くの異なる抗体構造を作成することができる。エフェクター機能を有さず、そして薬剤動態活性が限定されているFabおよびFvフラグメントのような小型の抗体フラグメントを細菌発現系で作成することができる。一本鎖Fvフラグメントはインビボ腫瘍に高度に選択的であり、良好な腫瘍浸透性および低い免疫原性を示し、そして血液から急速に除去される(例えばFreyre et al., J. Biotechnol., 76:157-163(2000))。したがって、かかる分子は放射免疫検出に望ましい。
ポリクローナル抗体
本発明の抗CPP抗体はポリクローナル抗体でよい。哺乳動物において例えば免疫剤、および好ましくはアジュバントの1回またはそれより多い注射の後、かかるポリクローナル抗体を生成することができる。典型的には一連の皮下または腹腔内注射により免疫剤および/またはアジュバントを哺乳動物に注射する。免疫剤はCPPまたはその融合タンパク質を含むことができる。免疫される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に対する抗原を結合するのが有用であろう。かかる免疫原性タンパク質の実例には、限定するものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、メチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシン阻害剤が挙げられる。アジュバントには、例えばフロイント完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピッドA、合成トレハロースジコリノ−ミコラート)が挙げられる。当業者により、標準的なプロトコールに基づいてまたは通常的な実験により、免疫プロトコールを決定することができる。
別法として、CPPまたはその一部を富化させた粗製タンパク質調製物を用いて抗体を作成することができる。かかるタンパク質、フラグメントまたは調製物を適切なアジュバントの存在下、非ヒト哺乳動物に導入する。血清が望ましくないエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する場合、免疫アフィニティークロマトグラフィーによりポリクローナル抗体を精製する。
効率的なポリクローナル抗体生成は抗原および宿主の種の双方に関連する多くの因子による影響を受ける。また、宿主動物は接種の部位および用量に応答して変化し、抗原の不十分および過剰用量の結果、低力価抗血清に至る。複数の皮内部位で少量(ngレベル)の抗原投与は最も信頼性が高いようである。ポリクローナル抗血清を生成およびプロセシングするための技術は当分野で公知であり、例えばMayer and Walker (1987)(その開示は全てを出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。ウサギのための有効な免疫プロトコールをVaitukaitis, J. et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 33:988-991(1971) (その開示は全てを出典明示により本明細書の一部とする)に見出すことができる。一定間隔でブースター注射を投与し、そして半定量的に決定されるように、例えば寒天中二重免疫拡散法により抗原の既知の濃度に対してその抗体力価が低下し始めたとき、抗血清を収集することができる。例えばOuchterlony, O. et al., Handbook of Experimental Immunology D. Wier(ed)Blackwell(1973)Chap.19を参照のこと。抗体のプラトー濃度は通常血清の0.1から0.2mg/mlの範囲内である。例えばFisher, D., Manual of Clinical Immunology, 2d Ed(Rose and Friedman, Eds.) Amer. Soc. For Microbiol., Washington, D.C., Chap 42(1980)に記載されるように、競合結合曲線を準備することにより抗血清の抗原に関する親和性を決定する。
モノクローナル抗体
あるいは、抗CPP抗体はモノクローナル抗体でよい。マウス、ハムスター、またはその他の適切な動物が免疫剤で免疫されて、免疫剤に特異的に結合する抗体を生成するかまたは生成できるリンパ球を誘起するハイブリドーマによりモノクローナル抗体を生成することができる(例えばKohler and Milstein, Nature 256:495(1975))。免疫剤には典型的にはCPPまたはその融合タンパク質および場合によってはキャリヤが挙げられる。あるいは、インビトロでリンパ球を免疫することができる。一般的に、非ヒト哺乳動物の供給源が望ましい場合は脾臓細胞またはリンパ節細胞を用い、またはヒト起源の細胞が望ましい場合は末梢血リンパ球(“PBL”)を用いる。ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を生成する(例えばGoding, MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE, Academic Press, pp.59-103(1986);Liddell and Cryer, A Practical Guide to Monoclonal Antibodies (John Wiley & Sons, New York, 1991);Malik and Lillenoj, Editors, Antibody Techniques (Academic Press, New York, 1994)。一般的に不死化細胞は形質転換された哺乳動物細胞、例えばラット、マウス、ウシまたはヒト起源の骨髄腫細胞である。好ましくは融合されていない不死化細胞の成長または生存を阻止する1つまたはそれより多い物質を含有する適当な培養培地中でハイブリドーマ細胞を培養する。例えば親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を欠如する場合、ハイブリドーマ用の培養培地は典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)、HGPRT欠損細胞の成長を阻止する物質を含む。好ましい不死化細胞系は、効率的に融合し、抗体の安定した高レベル生成を支持し、そしてHAT培地のような培地に感受性があるものである。さらに好ましい不死化細胞系はマウスまたはヒト骨髄腫細胞系であり、これを例えばAmerican Type Culture Collection(ATCC), Rockville, MD.から入手することができる。ヒト骨髄腫細胞およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もまたヒトモノクローナル抗体の生成に関して記載されている(例えばKozbor, J. Immunol. 133:3001(1984));Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, pp.51-63(1987))。
ハイブリドーマ細胞を培養する培養培地(上清)を、CPPに対して指向するモノクローナル抗体の存在に関して検定することができる。好ましくはハイブリドーマ上清に存在するモノクローナル抗体の結合特異性を免疫沈澱により、または放射イムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなインビトロ結合アッセイにより決定する。適切な技術およびアッセイは当分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性を、例えばMunson and Pollard, Anal. Biochem. 107:220 (1980)のスカッチャード分析により決定することができる。望ましい抗体生成ハイブリドーマを同定した後、限界希釈法により細胞をクローン化し、そして標準的な方法により成長させることができる(Goding, 1986, supra)。この目的のための適当な培養培地には例えばダルベッコ変法イーグル培地(DEM)およびRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を哺乳動物の腹水としてインビボで成長させることができる。例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような、当業者に通常的に用いられる免疫グロブリン精製手順により、選択されたクローンにより分泌されるモノクローナル抗体を培養培地または腹水から単離または精製することができる。
モノクローナル抗体を、米国特許4816567に記載される方法のような組換えDNA法により作ることもできる。例えばマウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより、本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAをCPP特異的ハイブリドーマ細胞から単離し、そしてシークエンシングすることができる。一度単離されると、DNAを発現ベクターに挿入することができ、次いでこれをサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはそうしなければ免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞のような、宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体を合成させる。例えばマウス重鎖および軽鎖定常ドメインのコード化配列を相同ヒト配列と置換することにより(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855 (1984);Neuberger et al., Nature 312:604-608 (1984);Takeda et al., Nature 314:452-454 (1985))、または免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全部もしくは一部を共有結合させることによりDNAを修飾することもできる。非免疫グロブリンポリペプチドを本発明の抗体の定常ドメインと置換するか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインと置換して、キメラ2価抗体を創成することができる。抗体はまた1価抗体でもよい。1価抗体を調製するための方法は当分野で公知である。例えば、1価抗体を調製するのにインビトロ法が適当である。当分野で公知の通常的な技術を用いて、そのフラグメント、特にFabフラグメントを生成するための抗体の消化を達成することができる。
本発明のハイブリドーマに特徴的な抗体および抗体フラグメントもまた組換え手段により、メッセンジャーRNAを抽出し、cDNAライブラリーを構築し、そして抗体分子のセグメントをコードするクローンを選択することにより生成することができる。以下は抗体を生成するための組換え技術を開示する実例的な参照文献である:Well et al., Nucleic Acids Research, 5:3113-3128(1978);Zakut et al., Nucleic Acids Research, 8:3591-3601(1980);Cabilly et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3273-3277(1984);Bose et al., Nucleic Acids Research, 12:3791-3806(1984);Amster et al., Nucleic Acids Research, 8:2055-2065(1980);Moore et al., 米国特許4642334;Skerra et al., Science 240:1038-1041(1988);Huse et al., Science 246:1275-1281(1989);ならびに米国特許6054297;5530101;4816567;5750105;および5648237(その特許は出典明示により本明細書の一部とする)。特に、かかる技術を用いて、1つの種の結合領域が別の種の抗体の非結合領域と組合わされて免疫原性を低減させる種間モノクローナル抗体を生成することができる(例えばLiu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 84:3439-3443(1987)、ならびに特許6054297および5530101)。好ましくは、組換えにより生成されたFabおよびFvフラグメントが細菌宿主系において発現される。好ましくは、哺乳動物細胞培養技術により全長抗体を生成する。最も好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはNSO細胞において全長抗体を発現する。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の双方をELISAによりスクリーニングすることができる。その他の固相イムノアッセイと同様に、試験は高分子がプラスチックに非特異的に吸着する傾向に基づく。この反応の免疫学的活性の喪失を伴わない非可逆性により、かかる複合体の非結合材料からの分離が簡単な抗原−抗体複合体の形成が可能になる。抗ペプチド血清の力価を測定するために、免疫に用いたものとは異なるキャリヤに結合したペプチドを96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに吸着させる。次いで吸着した抗原をウェル内で抗ペプチド血清の希釈物と反応させる。非結合抗体を洗い流し、そして残りの抗原−抗体複合体を、免疫した動物のIgGに特異的な抗体と反応させる。この第2の抗体はアルカリホスファターゼのような酵素に結合している。酵素基質が添加されたときに生成される可視呈色反応は、どのウェルが抗ペプチド抗体に結合しているかを示す。分光光度計の読みの使用により、ペプチド特異的抗体結合の量のより良好な定量が可能になる。高力価の抗血清は10−3と10−5希釈の間で直線状の力価曲線を生じる。
CPPペプチドキャリヤ
本発明はCPPから誘導された免疫原、およびキャリヤと本発明のペプチドとの間の結合体を含む免疫原を含む。免疫原なる用語は本明細書中で使用される際には、免疫応答を引き起こすことができる物質を指す。キャリヤなる用語は本明細書中で使用される際には、本発明のペプチドに化学的に結合する場合、得られた結合体で免疫された宿主生物に結合したペプチドに特異的な抗体を作成させる任意の物質を指す。キャリヤには、赤血球、バクテリオファージ、タンパク質、またはアガロースビーズなどの合成粒子が含まれる。好ましくは、キャリヤは血清アルブミン、ガンマグロブリン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリン、卵白アルブミン、フィブリノーゲン等のようなタンパク質である。
合成ペプチドをキャリヤに連結する一般的な技術はいくつかの文献、例えばSetlow et al., eds., Gentetic Engineering, 5:61-95 (Plenum Press, N.Y., 1983)のWalterおよびDoolittle、“合成ペプチドに対する抗体”;Green et al., Cell 28:477-487 (1982);Lerner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 78:3403-3407(1981);Shimizu et al., 米国特許4474754;およびGanfield et al., 米国特許4311639に記載されている。したがって、これらの参照文献を出典明示により本明細書の一部とする。またハプテンをキャリヤに連結させるための用いる技術は前記で参照した技術、例えばTijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, New York, 1985), chapter 20と本質的に同一である。ペプチドをキャリヤに結合させるために最も一般的に用いられる4つのスキームは(1)例えばJaffe and Behrman, eds. Methods of Hormone Radioimmunoassay, (Academic Press, N.Y.,1979)のKagan and Glick, page.328-329およびWalter et al., Proc. Natl. Acad. Sci., vol. 77:5197-5200(1980)により開示されているようなアミノ結合のためのグルタルアルデヒド;(2)例えばHoare et al., J. Biol. Chem. 242:2447-2453(1967)に開示されるようなカルボキシルのアミノへの結合のための水溶性カルボジイミド;(3)Jaffe and Behrman, eds. (前記で引用)のBassiri et al., page. 46-47およびWalter et al. (前記で引用)に開示されるような、チロシンのチロシン側鎖結合のためのビス−ジアゾベジジン(BDB);ならびに(4)Kitagawa et al., J. Biochem.(Tokyo) 79:233-239 (1976)、およびLerner et al.,(前記で引用)に開示されるようなシステイン(またはその他のスルフヒドリル)のアミノ基への結合のためのマレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシンイミドエステル(MBS)である。所定のペプチドのタンパク質キャリヤへの結合のための適切な方法の選択のための一般的なルールを以下のように述べることができる:結合に関与する基は配列で1回のみ、好ましくはセグメントの適切な末端に生じるべきである。例えばチロシン残基がその潜在的な抗原特性のために選択された配列の主要な部分に生じる場合、BDBを用いてはならない。同様に、中央に位置するリジンはグルタルアルデヒド法から除外され、そしてアスパラギン酸およびグルタミン酸の存在によりしばしばカルボジイミド研究法は排除される。一方、適当な残基は、“元来の”タンパク質配列で生じても生じなくても、結合部位として選択された配列セグメントのいずれかの末端に位置することができる。アミノおよびカルボキシ末端とは異なって、内部セグメントは“非結合末端”で、ポリペプチドバックボーンが連続的である元来のタンパク質で見出されるのと同一の配列とは有意に異なる。α−アミノ基をアセチル化し、そして次にペプチドをそのカルボキシ末端により結合することによりある程度まで問題を改善することができる。キャリヤタンパク質に対する結合効率は、合成の1工程に放射活性アミノ酸を用いるか、またはチロシン残基のヨウ素化により完成したペプチドを標識するいずれかにより調製した放射活性標識したペプチドを用いて都合よく測定される。ペプチドにおけるチロシンの存在により、所望により感度の良い放射免疫アッセイを設定することも可能になる。したがって、チロシンが元来のポリペプチドにより定義されたペプチド配列の一部でない場合、チロシンを末端残基として導入することができる。
好ましいキャリヤはタンパク質であり、そして好ましいタンパク質キャリヤにはウシ血清アルブミン、ミオグロブリン、卵白アルブミン(OVA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等が挙げられる。Liu et al., Biochemistry, 18:690-697 (1979)に開示されるように、ペプチドをMBSによりシステインを介してKLHに連結させることができる。ペプチドをリン酸塩緩衝食塩水(pH7.5)、0.1Mホウ酸ナトリウムバッファー(pH9.0)、または1.0M酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)に溶解させる。ペプチドの溶解のためのpHはペプチドの溶解性を最適化するように選択する。Ellman法(Ellman, Arch. Biochem. Biophys. 82:7077 (1959))により可溶性ペプチドの遊離のシステインの含量を決定する。各ペプチドに関しては、10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)0.25ml中KLM 4mgをMBS(ジメチルホルムアミドに溶解させる)0.7mgと反応させ、そして室温で30分間攪拌する。KLHは>30%ホルムアミドに不溶性であるので、MBSを滴加してホルムアミドの局所濃度があまり高くないことを確認する。次いで反応生成物KLH−MBSを50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)で平衡にしたSephadex G−25に通し、遊離のMBSを除去し、カラム溶出液のピーク分画からKLHの回収(OD280によりモニタリング)はおよそ80%であると予測される。次いでKLH−MBSを選択したバッファー1mlに溶解したペプチド5mgと反応させる。pHを7−7.5に調整し、そして反応物を室温で3時間攪拌する。リン酸塩緩衝食塩水に対する結合体の試料の透析により、結合効率は放射活性ペプチドでモニタリングされ、そして8%から60%の範囲にわたり得る。一度ペプチド−キャリヤ結合体が利用されると、例えばCampbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, New York, 1984);Hurrell, ed. Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982);Schreier et al., Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980);米国特許4562003等に開示されるように、標準的な技術によりポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成する。特に、米国特許4562003を出典明示により本明細書の一部とする。
ヒト化抗体
本発明の抗CPP抗体はさらにヒト化抗体またはヒト抗体を含み得る。“ヒト化抗体”なる用語は、非ヒト抗体から誘導された配列のいくらかを含有するキメラ抗体、免疫グロブリン鎖または(Fv、Fab、Fab'、F(ab')、または抗体のその他の抗原結合部分配列のような)そのフラグメントである非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形態を指す。ヒト化抗体には、ヒト免疫グロブリンの相補性決定領域(CDR)からの残基が、望ましい結合特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種のCDRからの残基により置き換えられているヒト免疫グロブリンを含む。一般的に、ヒト化抗体は少なくとも1つの、そして一般的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここでCDR領域の全てまたは実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、そしてFR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた最適には、免疫グロブリン、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む(Jones et al., Nature 321:522-525 (1986)およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992))。ヒト化した非ヒト抗体のための方法はお当分野で公知である。一般的に、さらにヒト抗体に酷似するために、ヒト化抗体はヒト以外である供給源からそれに導入された1つまたはそれより多いアミノ酸を有するが、抗体の独自の結合活性は依然保持している。抗体のヒト化のための方法はJones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988);およびVerhoeyen et al., Science 239:1534-1536 (1988)にさらに詳記されている。かかる“ヒト化”抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない領域が、非ヒト種に由来する対応する配列で置換されている、キメラ抗体である。
ヘテロ結合型抗体
2つの共有結合した抗体を含むヘテロ結合型抗体もまた本発明の範囲内である。架橋剤に関係するものを含むタンパク質合成化学の公知の方法を用いてインビトロでヘテロ結合型抗体を調製することができる。例えばジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエステル結合を形成することにより免疫毒素を調製することができる。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なる抗原に関する結合特異性を有する。かかる抗体はモノクローナルで、そして好ましくはヒトのまたはヒト化抗体である。本発明の二重特異性抗体の結合特異性の1つはCPPに関してであり、そしてもう1つは好ましくは細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットに関してである。二重特異性抗体を作るための方法は当分野で公知であり、そして一般的に二重特異性抗体の組換え生成は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対のハイブリドーマ細胞における同時発現に基づく(例えばMilstein and Cuello, Nature 305:537-539 (1983))。もし免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為な取り合わせがハイブリドーマにより、可能性としては10個の異なる抗体分子の生成に至る場合、正確な分子の精製は通常ある種の親和性精製、例えばアフィニティークロマトグラフィーを必要とする。
CPP抗体の使用
CPP抗体は好ましくは本発明のCPPに特異的であり、そしてそれ自体、その他のタンパク質から誘導されたペプチドに高い親和性を伴って結合することはない。“重鎖可変領域”なる用語は本明細書中で使用される際には、(1)110から125アミノ酸長であり、そして(2)そのアミノ酸配列は重鎖のN末端アミノ酸から出発して、本発明の抗体の重鎖の配列に相当するポリペプチドを意味する。同様に“軽鎖可変領域”なる用語は(1)95から115アミノ酸長であり、そして(2)そのアミノ酸配列は軽鎖のN末端アミノ酸から出発して、本発明の抗体の軽鎖の配列に相当するポリペプチドを意味する。“モノクローナル抗体”なる用語は本明細書中で使用される際には、CPPに特異的に結合することができる免疫グロブリンの均質な集団を指す。
CPP抗体を機能的モジュレーターとして、好ましくはアンタゴニストとして用いることができる。好ましくは本発明の抗体モジュレーターをCPPに特異的なモノクローナル抗体から誘導する。CPPを遮断、または中和することができるモノクローナル抗体を、CPP生物学的活性を阻止するその能力により選択する。
抗体フラグメントの使用もまた周知である;例えばFabフラグメント:Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985);およびFvフラグメント:Hochman et al., Biochemistry, 12:1130-1135 (1973)、Sharon et al., Biochemistry, 15:1591-1594 (1976)およびEhrlich et al., 米国特許4355023;ならびに抗体半分子:Auditore-Hargreaves, 米国特許4470925。
好ましくは、モノクローナル抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、または本発明のモノクローナル抗体から誘導されるその他の結合組成物はCPPに関して高い親和性を有している。モノクローナル抗体および関連する分子のCPPに対する親和性を、プラスモン共鳴、ELISA、または平衡透析を含む慣用される技術により測定することができる。例えばBIAコア2000装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を用いて、製造者が推奨するプロトコールに従って、プラスモン共鳴技術による親和性測定を行うことができる。例えば、好ましくは米国特許6235883に記載されるように、ELISAにより親和性を測定する。好ましくは、CPPと本発明のモノクローナル抗体との間の解離定数は10−5モル濃度未満である。さらに好ましくは、かかる解離定数は10−8モル濃度未満であり;なおさらに好ましくは、かかる解離定数は10−9モル濃度未満であり;そして最も好ましくは、かかる解離定数は10−9から10−11モル濃度の範囲である。
加えて、本発明の抗体はCPPを検出するのに有用である。かかる検出方法は心臓血管障害、特に冠動脈疾患の診断に有利に適用される。本発明の抗体を、抗原抗体反応に関係するたいていのアッセイにおいて用いることができる。アッセイは同種性または異種性でよい。同種アッセイ研究法では、試料は血清、尿、全血、リンパ液、血漿、唾液、細胞、組織、およびインビトロで培養された細胞または組織により分泌された材料のような生物学的試料また液体でよい。必要により試料を前処理して望ましくない材料を除去することができる。免疫学的反応は通常特異的抗体、標識アナライト、および抗原を含有することが疑われる試料を必要とする。標識から生じたシグナルは、抗体の標識アナライトへの結合時に直接的または間接的に修飾される。免疫学的反応およびその程度の検出の双方は均質な溶液で行われる。用いることができる免疫化学的標識には、遊離のラジカル、蛍光色素、酵素、バクテリオファージ、補酵素等が挙げられる。
異種アッセイ研究法では、試薬は通常試料、特異的抗体、および検出可能なシグナルを生成するための手段である。一般的に標本をプレートまたはスライドのような支持体上に置き、そして液相の抗体と接触させる。次いで支持体を液相から分離し、そしてかかるシグナルを生成するための手段またはシグナル生成系を用いて、支持相かまたは液相のいずれかを検出可能なシグナルに関して試験する。このシグナルは試料中の抗原の存在に関係する。検出可能なシグナルを生成するための手段には、放射活性標識、蛍光化合物、酵素等の使用が挙げられる。異種イムノアッセイの実例は、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光法、酵素結合イムノアッセイ等である。
前記のイムノアッセイ技術のさらに詳細な議論に関しては、Edward T. Maggio, "Enzyme-Immunoassay" CRC Press, Inc., Boca Raton, Fla., 1980を参照のこと。例えば米国特許3690834;3791932;3817837;3850578;3853987;3867517;3901654;3935074;3984533;3966345;および4098876もまた参照のこと(この列挙は網羅を意図するものではない)。抗体および抗体フラグメントに標識を結合させる方法は当分野で周知である。かかる方法を米国特許4220450;4235869;3935974;および3966345に見出すことができる。本発明の抗体を用いることができる技術の別の実例は免疫ペルオキシダーゼ標識(Sternberger, Immunocytochemistry (1979) pp.104-169)である。あるいは、抗体を放射活性材料に、または薬剤に結合させて各々放射性医薬品または医薬品を形成することができる(Carrasquillo, et al., Cancer Treatment Reports (1984) 68:317-328)。
本発明の抗体を用いるアッセイの1つの実施態様は本発明のモノクローナル抗体が結合している表面の使用に関係する。表面の基礎をなす構造はさまざまな形態をとり、さまざまな組成物を有し、そして組成物の混合物または薄板またはその組み合わせでよい。表面は種々の形状および形態をとり、そして使用および測定の様式に依存して寸法が異なってよい。実例となる表面は平らな、凹型、または凸型でよいパッド、ビーズ、ディスク、またはストリップでよい。厚みは重要ではなく、一般的に約0.1から2mmの厚みであり、そして任意の都合の良い直径またはその他の寸法である。表面は典型的にはロッド、チューブ、キャピラリー、ファイバー、ストリップ、ディスク、プレート、キュベットで支持され、そして典型的には多孔性および多機能であるか、または抗体の共有結合を可能にし、そして検出可能なシグナルを生成するための手段の一部を形成するその他の化合物の結合を可能にするように多機能化することができる。天然および合成の双方の多様な有機および無機ポリマーならびにその組合せを固体表面のための材料として用いることができる。実例的なポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタアクリラート、ポリ(エチレンテレフタラート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチラート)、シリコン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、およびラテックスが挙げられる。その他の表面には紙、ガラス、セラミック、金属、メタロイド、半導体材料、セメント、ケイ酸塩等が挙げられる。ゲル、ゼラチン、リポ多糖類、ケイ酸塩、アガロースおよびポリアクリルアミド、もしくはデキストラン、ポリアルキレングリコール(炭素原子2から3個のアルキレン)のようないくつかの水相を形成するポリマーを形成する物質、またはリン脂質のような界面活性剤もまた含まれる。文献で一般的に利用できる周知の技術により抗体の表面への結合を達成することができる(例えばIchiro Chibata, "Immobillized Enzymes" Press, New York (1978)およびCuatrecasas, J. Bio. Chem., 245:3059 (1970)を参照のこと)。本発明のこの態様に従ってアッセイを実施するときに、試料を水性溶媒と混合し、そして溶媒をそこに抗体が結合している表面と接触させる。表面に随伴される検出可能なシグナルを提供するように、標識を水性溶媒に同時に含めるかまたは続いて加えることができる。検出可能なシグナルを生成するための手段は、標識されたアナライトの組込みを必要とし得るか、またはそこに結合された標識を有する第2のモノクローナル抗体の使用を必要とする。分離および洗浄工程は必要により実施する。検出されたシグナルは試料中のCPPの存在に関連する。同一の支持体上検定することは本発明の範囲内である。本発明によるアッセイの特定の実施態様は、説明のためであって限定するものではないが、スライドまたはペトリ皿のウェルのような支持体の使用に関係する。技術は適切な固定材料を有する支持体上で分析される試料を固定し、そしてモノクローナル抗体を有するスライド上で飼料をインキュベートすることを含む。例えばリン酸塩緩衝食塩水のような適切なバッファーで洗浄した後、標識した、抗体の特異的結合パートナーと支持体を接触させる。所望によりインキュベートした後、スライドを水性バッファーで2回洗浄し、そして標識されたモノクローナル抗体の抗原への結合の決定を行う。標識が蛍光である場合、スライドをカバースリップ上を蛍光抗体マウント液で覆い、そして次に結合の程度を決定するために蛍光顕微鏡で試験することができる。一方、標識をモノクローナル抗体に結合させた酵素でよく、そして沈殿、着色等の形成により示され得る酵素の活性の存在に関してスライドを試験することにより結合の程度を決定することができる。本抗体を利用するアッセイの特定の実例はダブルデターミナントELISAアッセイである。慣用される技術により例えばガラスまたはビニルプレートのような支持体をCPPに特異的な抗体でコーティングする。通常水性溶媒中のCPPを含有することが疑われる試料と支持体を接触させる。30秒から12時間のインキュベーション期間の後、支持体を溶媒から分離し、例えば水または水性緩衝溶媒で洗浄して未結合のCPPを除去し、そして再度、通常水性溶媒中でCPPに特異的な抗体と接触させる。例えば西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼのような酵素で抗体を直接的または間接的に標識する。インキュベーションの後、支持体を溶媒から分離し、そして前記のように洗浄する。支持体または水性溶媒の酵素活性を決定する。この酵素活性は試料中のCPPの量に関連する。
本発明はまた前記で開示した方法を実施するためのキット、例えば診断アッセイキットを含む。1つの実施態様では、キットは(a)前記でさらに具体的に定義したモノクローナル抗体ならびに(b)前記のモノクローナル抗体の特異的結合パートナーおよび検出可能なシグナルを生成することができる標識の結合体を含む。試薬はまた緩衝剤およびタンパク質安定剤、例えば多糖類等のような補助剤を含むこともできる。キットはさらに、必要な場合、標識が系のメンバーである、シグナル生成系のその他のメンバー、試験のバックグラウンド干渉を低減させるための薬剤、対照試薬、試験を行うための装置等を含むことができる。別の実施態様では、診断キットは本発明のモノクローナル抗体の結合体および検出可能なシグナルを生成することができる標識を含む。前記したような補助剤もまた存在し得る。
さらに、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈澱のような標準的な技術により抗CPP抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いてCPPを単離することができる。例えば抗CPP抗体は細胞からの天然のCPP、および宿主細胞において発現された組換えにより生成されたCPPの精製を促進することができる。さらに(例えば血漿、細胞ライゼートまたは細胞上清中の)低濃度のCPPの検出を助けるために、またはCPPの発現の存在度およびパターンを評価するために、抗CPP抗体を用いてCPPを単離することができる。抗CPP抗体を診断に用いて臨床試験手順の一部として、例えば所定の処置計画の有効性を決定するために組織におけるタンパク質レベルをモニタリングすることができる。抗体を標識基に結合させる(すなわち物理学的連結する)ことにより検出を促すことができる。
タンパク質アレイ
米国特許6225027および米国特許出願20010014461(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるように、リテンテートクロマトグラフィー(好ましくはプロテインアレイもしくはチップ)を用いて本発明のポリペプチドの検出、精製、およびスクリーニングを達成することができる。簡単には、リテンテートクロマトグラフィーは、ポリペプチド(および/またはその他の試料成分)が吸収剤(例えばアレイまたはチップ)に保持され、そして続いて検出される方法を記載する。かかる方法は(1)複数の異なる吸着剤/溶離剤の組合せ(“選択条件”)の下で、試料から基質にポリペプチドを選択的に吸着すること;および(2)脱離分光法により(例えば質量分析により)吸着されたポリペプチドの保持を検出すること;を含む。慣用されるクロマトグラフィー法では、吸着剤のポリペプチドは検出の前に溶出される。吸着クロマトグラフィーの脱離分光法による検出との結合により、並外れた感受性、保持された成分を種々の異なる選択条件で迅速に分析する能力、および異なる溶出条件下でアレイ上の異なる部位に吸着された成分の並行したプロセシングが提供される。
これらの方法は:コンビナトリアル、生化学的分離およびCPPの精製;差次的遺伝子発現の研究;タンパク質レベルにおける差異の検出(例えば診断用);ならびに分子認識事象の検出(例えばスクリーニングおよび創薬用);に有用である。したがって、本発明は並行および多重の双方のポリペプチドプロセシング能力を含むことを特徴とする分子発見および診断装置を提供する。本発明のポリペプチドおよびCPP結合物質は好ましくは標識基に結合されており、そしてしたがって直接検出され、単一ユニット操作の間に同一の“サーキット”(すなわちアドレス可能な“チップ”位置)から2つまたはそれより多いシグナルの同時伝達が可能になる。
質量分析によるCPPの検出
本発明に従って、任意の装置、方法、過程等を利用して試料中のタンパク質の同一性および存在度を決定することができる。同一性を得る好ましい方法は、試料中のタンパク質分子をイオン化し、そして次に得られたタンパク質の質量および電荷を検出および決定する質量分析によるものである。
タンパク質を分析するのに質量分析を使用するために、タンパク質を気体−イオン相に変換するのが好ましい。例えば高速イオン照射(FAB)、プラズマ脱離、レーザー脱離、熱脱離、好ましくはエレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)を含むタンパク質イオン化の種々の方法が有用である。限定するものではないが、飛行時間型(TOF)、イオントラップ(ITMS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTMS)、四重極イオントラップ、およびセクター(電気/磁気)分光計を含む多様な質量分析器がペプチドおよびタンパク質分析に利用可能である。例えばイオントラップMSに関しては米国特許5572025を参照のこと。質量分析器を単独で、またはその他の質量分析器と組合せてタンデム質量分析器で使用することができる。後者の場合、第1の質量分析器を用いてお互いからタンパク質イオン(前駆体イオン)を分離し、そして試料中の種々のタンパク質成分の分子量を決定する。第2の質量分析器を用いて、例えば不活性ガスを用いることにより、例えば前駆体イオンを生成イオンにフラグメント化することにより各々の別個の成分を分析することができる。例えば三連四重極、タンデム飛行時間型、イオントラップ、および/またはその組合せを含む質量分析器の任意の望ましい組合せを用いることができる。
多種の検出器を用いてタンパク質イオンを検出することができる。例えばイオン電子倍増管または低温検出器(例えば米国特許5640010)のような破壊検出器を利用することができる。これに加えて、四重極イオントラップ質量分析器またはFTMSのイオン電流ピックアップ装置として用いられるイオントラップのような非破壊検出器を用いることができる。
MALDI−TOFに関しては、乾燥液滴(Karasand Hillenkamp, Anal. Chem., 60:2299-2301, 1988)、真空乾燥(Winberger et al., Proceedings of the 41st ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, San Francisco, May 31-June 4, 1993, pp.775a-b)、結晶粉砕(Xiang et al., Rapid Coumm. Mass Spectrom., 8:199-204, 1994)、緩慢結晶成長(Xiang et al., Org, Mass Spectrom, 28:1424-1429, 1993);活性フィルム(Mock et al., Rapid Coumm. Mass Spectrom., 6:233-238, 1992;Bai et al., Anal. Chem. 66:3423-3430, 1994)、空気スプレー(Kochling et al., Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, Atlanta, GA, May 21-May 26, 1995, pp.1225);エレクトロスプレー(Hensel et al., Proceedings of the 43rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, Atlanta, GA, May 21-May 26, 1995, pp.947);高速溶媒蒸発(Vorm et al., Anal. Chem. 66:3281-3287, 1994);サンドウィッチ(Li et al., J. Am. Chem. soc. 11(8):11662-11663, 1996);および二層法(Dal et al., Anal. Chem. 71:1087-1091, 1999)を含む多くの試料調製方法を利用することができる。Liang et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., 10:1219-1226, 1996;van Adrichem et al., Anal. Chem. 70:923-930, 1998もまた参照のこと。
MALDI分析に関しては、試料を液相でエネルギー吸収化合物またはコロイド(マトリックス)と混合し、そして最終的には溶液を不活性プローブの表面上で固体の状態まで乾燥することにより固体の状態の共結晶または薄膜として調製する。エネルギー吸収分子(EAM)が試料提示表面の不可欠な成分である場合もある。EAM適用計画に関わらず、レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析器(LDIMS)への導入の前にプローブ内容物を固体状態まで乾燥させる。
TOF質量分析におけるイオン検出を典型的には電子倍増管(EMP)またはマイクロチャネルプレート(MCP)のような電気放射検出器を用いて達成する。これらの双方の装置は1次入射荷電粒子の一連の2次、3次、4次等の電子への変換により機能する。単一の入射荷電粒子の衝撃により作成される2次電子の可能性はこの荷電粒子のイオンから電子への変換効率(またはより単純には、変換効率)であると考えることができる。カスケード事象で生じた全電子は、入射荷電粒子の全数と比較した場合、典型的には検出器獲得として記載される。一般的にはMCPの全体の応答時間はEMPのものにかなり優れているので、質量/電荷分解能強化に関してはMCPが好ましい電子放出検出器である。しかしながら、EMPはイオン集団の費やされた運動エネルギーを検出するために良好に機能し、この場合迅速な応答時間および広い周波数帯域幅は必要ではない。
好ましい態様では、消化されたタンパク質の分析のために、液体クロマトグラフィータンデム質量分析器(LC−TMS)を用いる。この系により、液体クロマトグラフィー、続くタンデム質量分析器の使用による試料分離のさらに別の段階が提供される。
好ましい態様では、実施例1に記載する系に従ってカラムから溶出されたタンパク質をMSおよびMS−MS分析の双方を用いて分析する。例えば、RP2から溶出するわずかな無傷のタンパク質をLC−ESI MSを用いるオンライン検出に回すことができる。トリプシンで消化するかまたはしない、MALDI−MS用およびESI−MS用のための調製、ならびに種々のマトリックスを有するMALDIプレートの調製を可能にする多くのプレートにタンパク質を等分する。このように方法により無傷の質量に関する情報に加えて、ペプチド質量フィンガープリンティングおよびMS−MS技術の双方により分析を行うことが可能になる。
本明細書にて記載するタンパク質を分離および分画化する方法により、少数の識別されるタンパク質を含有する個々のタンパク質または分画が提供される。そのフラグメント化から得られるタンパク質およびペプチドの分子量の質量スペクトル決定によりこれらのタンパク質を同定することができる。タンパク質配列データベースの利用可能な情報を利用することで、インシリコで作成されたタンパク質分解性ペプチド質量パターンと、実験的に観察された質量との間で比較を行うことができる。(いくつかの基準の中でも特に)理論的および実験的タンパク質分解フラグメント間の適合数に基づいて、“ヒットリスト”をコンパイルし、データベースの候補タンパク質をランク付けする。ペプチドマッピングおよび配列データベース検索計画に基づいて、オンラインでのタンパク質同定に関するソフトウェアを提供するいくつかのウェブサイトにアクセスできる(例えばhttp://www.expasy.ch)。MSを用いるペプチドマッピングおよびシークエンシングの方法はWO95/252819、米国特許5538897、米国特許5869240、米国特許5572259および米国特許5696376に記載されている。Yates, J. Mass Spec., 33:1 (1998)もまた参照のこと。
質量分析器から収集したデータは各検出事象に関する強度および質量対電荷比を含む。例えばグラフ、数値、またはデジタルもしくはアナログ形態のいずれかの電子形式を含む任意の適当な形態でスペクトルデータを記録することができる。好ましくはスペクトルを例えばフロッピーディスク(登録商標)、テープもしくはハードディスクなどの磁気;CD−ROMもしくはレーザーディスクのような光学;またはROM−CHIPを含む保存媒体に記録する。
所定の試料の質量スペクトルによりタンパク質強度、質量対電荷比、および分子量に関する情報が提供される。本発明の好ましい実施態様では、データベースをクエリーするための適合基準として試料中のタンパク質の分子量を用いる。通常、例えば1価のプロトン化分子イオンに関してイオン化プロトンの質量を引くことにより、測定した質量対電荷比を多価イオンの荷電数で掛け、そしてイオン化プロトンの数を引くことにより分子量を便宜的に算出する。
本発明に従って種々のデータベースが有用である。有用なデータベースには、ゲノム配列、発現された遺伝子配列、および/または発現されたタンパク質配列を含有するデータベースが挙げられる。好ましいデータベースは、公知の生物、器官、組織または細胞型に存在するヌクレオチド配列誘導のタンパク質の分子量を含む。オープン・リーディグ・フレーム(ORF)を同定し、そしてヌクレオチド配列をタンパク質配列および分子量情報に変換するためのアルゴリズムが多く存在する。SwissPROT/TrEMBLデータベース(http://www.expasy.ch)を含むいくつかの公的にアクセス可能なデータベースを利用することができる。
典型的には質量分析器に、特定の閾値レベルを超えるピークを同定し、検出したイオンの質量、電荷および強度を計算する市販のソフトウェアを装備する。分子量を所定の出力ピークとの相関はスペクトルデータから直接達成でき、すなわちここでイオンの電荷は1であり、そしてしたがって分子量は計算機の値からイオン化プロトンの質量を引いたものに等しい。しかしながら、タンパク質イオンを、N、C、およびK'のような種々の対イオンおよび付加物と複合化することができる。このような場合、所定のタンパク質イオンが、同一タンパク質の異なるイオン状態(または種)を表す、トリプレットのような多重ピークを呈することが予測される。したがって、同一タンパク質から生じるピークのファミリーを決定するために、スペクトルデータを分析および処理することが必要かもしれない。通常、例えばMann et al., anal. Chem. 61:1702-1708 (1989)に記載されるようにこの分析を実施することができる。
質量分析器から算出した分子量を、ゲノムまたは発現された遺伝子データベースのようなデータベースから予測される分子量に適合させるのに、翻訳後プロセシングを考慮しなければならないかもしれない。タンパク質分解性プロセシング、N末端メチオニンの除去、アセチル化、メチル化、グリコシル化、リン酸化等を含む、タンパク質構造を修飾する種々のプロセシング事象がある。
未知のタンパク質の分子量に適合するタンパク質の範囲に関してデータベースをクエリーすることができる。装置の精度、試料を調製した方法等により範囲ウインドウを決定することができる。スペクトルのヒット(ここでヒットは適合である)の数に基づいて、未知のタンパク質またはペプチドを同定または分類する。
質量分析器により1つまたはそれより多いCPPを同定する方法は心臓血管障害の診断および予後診断に有用である。好ましくは、かかる方法を用いて、ヒト血漿に存在する1つまたはそれより多いCPPを検出する。実例的な技術は米国特許出願02/0060290、02/0137106、02/0138208、02/0142343、02/0155509(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
診断および予後診断用途
本明細書で記載する核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗体を1つまたはそれより多い以下の方法で使用することができる:本明細書でさらに記載するような診断アッセイ、予後診断アッセイ、臨床試験のモニタリング、薬剤スクリーニング薬理遺伝学において。
本発明はさらに記載するようなCPP核酸およびタンパク質を検出するための診断および予後診断アッセイを提供する。CPPおよびCPP標的分子、特に天然アゴニストおよびアンタゴニスト間の相互作用を検出するための診断および予後診断アッセイもまた提供される。
本発明は2つまたはそれより多い試料間で差次的に発現されるポリペプチドを同定するための方法を提供する。“差次的発現”とは試料間のポリペプチドの質または量の差異を指す。かかる差異は翻訳後修飾による転写からのタンパク質発現の任意の段階で生じ得る。例えば、タンパク質アレイ法を用いて、2つの試料を吸着剤(例えばチップ)の異なるセット上の親和性スポットに結合させ、そして認識マップを比較して吸着剤の2つのセットにより差次的に保持されるポリペプチドを同定する。差次的な保持にはポリペプチドの量的な保持および質的な差異が含まれる。例えば、タンパク質の翻訳後修飾の相違は、結合特性の差異(例えばグリコシル化タンパク質はレクチン吸着剤に差次的に結合する)または質量の差異(例えば翻訳後切断生成物)として検出可能な認識マップの差異を生じ得る。特定の実施態様では、吸着剤は疾患または症候群の診断用マーカーの組合せに選択された親和性スポットのアレイを有することができる。
脱離分光法(例えば質量分析)による分析のための種々の条件に試料を暴露することにより、試料間のポリペプチドレベルにおける差異(例えば血漿試料中に差次的に発現されたCPP)を同定することができる。物理化学的特製(例えば分子量)を検出することにより未知のタンパク質を同定することができ、そしてこの情報を用いて類似のプロフィールを有するタンパク質に関してデータベースを検索することができる。
CPPを検出する好ましい方法は質量分析技術を利用する。かかる方法は試料、例えば診断または予後診断のために提示された生物学的試料中に存在する特定のCPPアイソフォームの大きさおよび特徴についての情報を提供する。質量分析技術を“質量分析によるCPPの検出”と題したセクションに詳記する。実施例1は、生物学的試料が質量分析による特徴付けの前にクロマトグラフィーにより分離される好ましい検出スキームの概要を示す。本発明は:少なくとも1つのクロマトグラフィー工程により生物学的試料(例えば血漿、血清、リンパ液、脳脊髄液、特定の組織の細胞ライゼート)を分画化すること;分画を質量分析に供すること;および質量分析で観察されたポリペプチド種の特徴を既知のCPPポリペプチド(例えば表1に開示するようなCPP12、CPP15、CPP16およびCPP18)の特徴と比較すること;の工程を含む生物学的試料中のCPPを検出する方法を提供する。
単離された本発明の核酸分子を用いて、さらに以下に記載するように、例えば(例えば生物学的試料中の)CPPmRNAまたはCPPコード化遺伝子における遺伝的変化を検出し、そしてCPP活性を調整することができる。加えて、CPPを用いて天然発生CPP標的分子をスクリーニングし、そしてCPP活性を調整する薬剤または化合物をスクリーニングすることができる。さらに、本発明の抗CPP抗体を用いてCPPを検出および単離し、CPPの生物学的利用率を調節し、そしてCPP活性を調整することができる。
したがって本発明の1つの実施態様は本発明の分子(例えばCPP、CPP核酸、またはCPPモジュレーター)を用いて、例えば前記したいずれかのCPP活性が示される障害を診断、および/または予後診断する使用方法に関係する。別の実施態様では、本発明は、本発明の分子を、例えば前記したいずれかの活性が病理学的に乱されている対象、好ましくはヒト対象の診断および/または予後診断に用いる使用方法に関係する。
例えば本発明はa)該生物学的試料を:i)ストリンジェント条件下でCPP核酸にハイブリダイズするポリヌクレオチド;またはii)CPPに選択的に結合する検出可能なポリペプチド(例えば抗体)と接触させること;およびb)該試料内の該ポリヌクレオチドおよびmRNA種との間のハイブリダイゼーションの存在もしくは不在、または該検出可能なポリペプチドの該試料内のポリペプチドへの結合の存在もしくは不在を検出すること;を含む、CPPが生物学的試料中で発現されるかどうかを決定する方法を包含する。該ハイブリダイゼーションの、または該結合の検出は、該CPPが該試料内で発現されていることを示している。好ましくは、ポリヌクレオチドはプライマーであり、該ハイブリダイゼーションは、該プライマー配列を含む増幅産物の存在を検出することにより検出されるか、または検出可能なポリペプチドが抗体である。
特定の実施態様では、検出はアンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許4683195および4683202(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)における、または別法として、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えばLandegren et al., (1988) Science 241:1077-1080;およびNakazawa et al., (1994) PNAS 91:360-364(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)におけるプローブ/プライマーの使用を必要とし、その後者はCPPコード化遺伝子における点変異を検出するのに特に有用であり得る(Abravaya et al., (1995) Nucleic Acids Res. 23:675-682(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)。
a)該哺乳動物からの生物学的試料を提供すること;およびb)該生物学的試料内のCPPまたはCPPをコードするCPPRNA種の量を、対照試料で検出されるか、または予測されるレベルと比較することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトのCPPの発現レベルが上昇しているか、または低下しているかを決定する方法もまた想定される。該対照試料から検出されるか、または予測される該レベルと比較した、該生物学的試料内の該CPPまたは該CPPRNA種の量の増加は、該哺乳動物でCPP発現レベルが上昇していることを示し、そして該対照試料から検出されるか、または予測される該レベルと比較した、該生物学的試料内の該CPPまたは該CPPRNA種の量の減少は、該哺乳動物でCPP発現レベルが低下していることを示す。
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、および臨床試験のモニタリングを予後診断の目的で使用する予測医学の分野にも関連する。したがって、本発明の1つの態様は、それにより個体が異常なCPP発現もしくは活性に関連する疾患もしくは障害に罹患しているかどうか、または障害を進展させるリスクを有しているかどうかを決定するために、生物学的試料(例えば血液、血漿、細胞、組織)の局面でCPPおよび/または核酸発現ならびにCPP活性を決定するための診断アッセイに関する。本発明はまた個体がCPP、核酸発現または活性が関連する障害を進展させるリスクを有しているかどうかを決定するための予後診断(または予測)アッセイをも提供する。例えば、生物学的試料中のCPPコード化遺伝子における変異を検定することができる。それにより、CPP発現または活性により特徴付けられるかまたは関連する障害の発症前に予防的に個体を処置するために、かかるアッセイを予後診断または予測目的で用いることができる。
“生物学的試料”なる用語は個体から単離された組織、細胞および生物学的液体、ならびに個体内に存在する組織、細胞および液体を含むことを意図する。すなわち、本発明の検出方法を用いて生物学的試料中のCPPmRNA、タンパク質またはゲノムDNAをインビトロおよびインビボで検出することができる。好ましい生物学的試料はリンパ液、脳脊髄液、血液および、特に血漿である。例えば、CPPmRNAの検出のためのインビトロ技術にはノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。CPPの検出のためのインビトロ技術には、質量分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈澱および免疫蛍光が挙げられる。CPPコード化ゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術にはサザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらにCPPの検出のためのインビボ技術には標識抗CPP抗体を個体に導入することを含む。
好ましい実施態様では、対象方法は、一般的に個体(例えばヒト患者)の組織試料中の、(i)対象CPPの1つをコードする遺伝子の変異;または(ii)CPPコード化遺伝子の発現ミス;のうちの少なくとも1つを特徴とする遺伝的病変の存在または不在の検出を含むことを特徴とすることができる。説明するために、(i)CPPコード化遺伝子からの1つまたはそれより多いヌクレオチドの欠失、(ii)1つまたはそれより多いヌクレオチドの遺伝子への付加、(iii)遺伝子の1つまたはそれより多いヌクレオチドの置換、(iv)染色体全体の再配列または遺伝子の増幅、(v)遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルの全体的な変化、(vi)ゲノムDNAのメチル化パターンのような遺伝子の異常修飾、(vii)遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、および(viii)調節エレメントにおける病変、またはCPPコード化転写物の安定性の低下を示す発現のレベル低下;のうちの少なくとも1つの存在を確認することによりかかる遺伝的病変を検出することができる。
さらに別の実例的な実施態様ではメチル化に感受性があり、そしてその認識部位がCPPコード化遺伝子(フランキングおよびイントロン配列を含む)に存在する、1つまたはそれより多い制限エンドヌクレアーゼで患者の試料に由来するゲノムDNAを消化することによりCPP核酸のメチル化パターンの異常を検出することができきる。例えばBuiting et al., (1994) Human Mol Genet 3:893-895を参照のこと。消化したDNAをゲル電気泳動により分離し、そして例えばゲノムまたはcDNA配列から誘導されたプローブでハイブリダイズする。試料DNAから作成した制限パターンを既知のメチル化の標準のパターンと比較することにより、CPPコード化遺伝子のメチル化状態を決定することができる。
さらに別の実施態様では、CPPの細胞表面または細胞外タンパク質に結合する能力を検出する診断アッセイが提供される。例えば、細胞では相当なレベルで発現されるが、CPP標的タンパク質への結合に欠損がある(標的に関する結合親和性が低減されている、または増強されている、のいずれかである)CPP変異体を検出するのが望ましい。かかる変異体は例えば変異、例えば点変異体から生じることがあり、診断用DNAシークエンシング技術により、または前記したイムノアッセイにより検出することは非現実的であろう。したがって本発明はさらに一般的に試料組織から1つまたはそれより多いCPPコード化遺伝子をクローニングすること、および組換え遺伝子生成物と標的タンパク質との間の相互作用の検出を可能にする条件下でクローン化された遺伝子を発現することを含む診断スクリーニングアッセイを企図する。本明細書に示す種々の薬剤スクリーニングアッセイの記載から明らかなように、多様な技術を用いてCPPのその他の成分に結合する能力を決定することができる。これらの技術を用いて、野生型CPPと相対してCPP標的タンパク質に関して高いまたは低い結合親和性を有する変異タンパク質を生じさせるCPPコード化遺伝子における変異を検出することができる。逆に、CPP標的タンパク質およびCPPのうち、“ベイト”であるもの、および患者の試料から誘導されるものを交換することにより、対象アッセイを用いて、そのCPP標的タンパク質の野生型形態に相対して、CPPに関して高いまたは低い結合親和性を有するCPP標的タンパク質変異体を検出することもできる。
実例的な実施態様では、本明細書にて記載するような、GST融合タンパク質およびグルタチオン処理マイクロタイタープレートの使用によるように、標的タンパク質を固定タンパク質(“標的”)として提供することができる。
別の実施態様では、方法はさらに生物学的試料中のCPP、mRNA、またはゲノムDNAのレベルを測定し、そして対照試料中のCPP、mRNA、またはゲノムDNAのレベルを試験試料中のレベルと比較するために、対照対象から対照生物学的試料を入手すること、対照試料をCPP、mRNA、またはゲノムDNAの検出ができる化合物または薬剤と接触させることに関係する。本発明はまた生物学的試料中のCPP、mRNA、またはゲノムDNAの存在を検出するためのキットをも包含する。例えばキットは:生物学的試料中のCPP、mRNA、またはゲノムDNAを検出することができる標識化合物または薬剤;試料中のCPPの量を決定するための手段;および試料中のCPPの量を標準と比較するための手段を含むことができる。化合物または薬剤を適当な容器に包装することができる。キットはさらにCPPまたは核酸を検出するためのキットを使用するための指示書を含むことができる。
CPPクラスター
本発明の1つの態様では、心臓血管障害の診断のための方法は、別の心臓血管障害血漿ポリペプチド(CPP)の検出と組合せた、試験生物学的試料において本発明の1つまたはそれより多いCPPの存在またはレベルを検出することを含む。本発明のCPPと組合せて心臓血管障害の診断に使用するための特に好ましいその他のCPPを表2に列挙する。
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表2は各CPPに関して、実施例1に記載する手順に従って質量分析により検出された配列を詳記する。加えて、表2は各配列が見出されたCEX、RP1、およびRP2クロマトグラフィーの分画を示す。
表2に列挙したCPPは全て、実施例1に記載する手順を用いて、心臓血管障害を有する個体および対照個体間で差次的に発現されるとして同定された。特に、表2に列挙した各CPPは、以下の表3に詳記するように、対照および疾患試料間で異なることが見出された。
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当業者は、実施例1の方法により多くの疾患個体および対照個体で測定された表2からのCPPのレベルの適当な分析を用いて選択される、表2からの多くのさらに別のCPPと共に本発明のCPPを使用することができる。かかるCPPの組合せを見出すための計画は、各CPPを1つの変量と見なし、そして疾患をこれらの変量の相互作用により引き起こされる連合の、多変量効果と見なす必要がある。
線形判別分析(LDA)は、変量(すなわちCPP)のクラスターと心臓血管疾患の間の有意な関連性を検出するために用いることができるような分析手順の1つである。LDAの実施において、一連の重みは各変量(すなわちCPP)に関係付けられ、その結果、重みおよび変量の測定値の線形結合により心臓血管疾患を有する対象と心臓血管疾患を有さない対象とを判別することにより疾患の状態を同定できる。LDAへの機能強化により、変量を段階的に含める(または除く)ことでモデルの判別力を最適化できるようになる。したがってLDAの結果は診断、予後診断、治療または薬剤開発に関して制限なしに用いることができるCPPのクラスターである。可変判別分析(Flexible Discriminanat Analysis)のようなその他のLDAの強化版により、変量の非線形結合の使用で正常状態からの疾患状態の判別が可能になる。判別分析の結果をpost−hoc試験により、そしてまた分類階層(classification tree)のような代替技術を用いる分析の繰り返しにより確認することができる。
薬剤スクリーニングアッセイ
本発明はCPPに結合し、CPP発現または好ましくはCPP生物学的活性に及ぼす調整効果を有する候補モジュレーター(例えば、小型分子およびペプチド、抗体、ペプチド擬似物質またはその他の薬剤)を同定するための方法(本明細書中で使用される際には“スクリーニングアッセイ”とも称される)を提供する。いくつかの実施態様では、コンビナトリアル化学を用いて小型分子を作成することができるか、または天然生成物ライブラリーを得ることができる。アッセイは細胞基盤または非細胞基盤アッセイでよい。薬剤スクリーニングアッセイは、さらに記載するように、結合アッセイまたはさらに優先的には機能アッセイでよい。
本発明を例えばCPPモジュレーターまたは薬剤候補の抗心臓血管障害応答を誘起する能力を決定するために薬剤開発に用いる場合、少なくとも1つのCPPのレベルに関して分析する体液は非ヒト哺乳動物に由来するのが好ましい。非ヒト哺乳動物は、内因性および/または外因性薬剤による抗心臓血管障害応答の誘導が、ヒトにおけるかかる応答の誘導の予測となるものが好ましい。本発明のこの態様で用いるのにげっ歯類(マウス、ラット等)および霊長類が特に適当である。
さらに本明細書で記載するように、スクリーニングアッセイで用いてCPP活性を少なくとも5%まで、さらに好ましくは少なくとも10%まで、なおさらに好ましくは少なくとも30%まで、なおさらに好ましくは少なくとも50%まで、なおさらに好ましくは少なくとも70%まで、もっと好ましくは少なくとも90%まで調整することが見出された薬剤を予防用および/または治療用抗心臓血管疾患剤としてさらに試験するために選択することができる。
別の態様では、さらに本明細書で記載するように、スクリーニングアッセイを用いてCPP発現を少なくとも5%まで、さらに好ましくは少なくとも10%まで、なおさらに好ましくは少なくとも30%まで、なおさらに好ましくは少なくとも50%まで、なおさらに好ましくは少なくとも70%まで、もっと好ましくは少なくとも90%まで調整することが見出された薬剤を予防用および/または治療用抗心臓血管疾患剤としてさらに試験するために選択することができる。
CPP活性を調整することが見出された薬剤は、単独でまたはその他の適切な薬剤もしくは処置との組合せで、例えば心臓血管障害の処置計画を調整するか、または心臓血管障害の症状を低減させることができる。
タンパク質アレイ法はスクリーニングおよび創薬に有用である。例えば、受容体/リガンド対の1つのメンバーを吸収剤にドッキングさせ、そして試験物質の存在下、結合パートナーに結合するその能力を決定する。試験できる吸着が迅速であるので、試験物質のコンビナトリアルライブラリーを、相互作用を調整するその能力に関して容易にスクリーニングすることができる。好ましいスクリーニング法では、CPPを吸着剤にドッキングさせる。結合パートナーは標識されているのが好ましく、したがって相互作用の検出が可能になる。あるいは、特定の実施態様では、試験物質を吸着剤にドッキングさせる。本発明のポリペプチドを試験物質に暴露させて、そして結合をスクリーニングする。
別の実施態様では、アッセイは、CPPまたは生物学的に活性なその部分を発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPP活性を調整する能力を決定する細胞基盤アッセイである。試験化合物がCPP活性を調整する能力の決定を、CPPまたは生物学的に活性なその部分の生物活性をモニタリングすることにより達成することができる。細胞は例えば哺乳動物起源、昆虫起源、細菌起源、または酵母細胞でよい。
1つの実施態様では、本発明は、CPPまたは生物学的に活性なその部分の標的分子である候補物質または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の実施態様では、本発明はCPPまたは生物学的に活性なその部分に結合するかまたはその活性を調整する候補物質または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;1ビーズ1化合物ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含む、当分野で公知のコンビナトリアル法の多くの研究法のいずれかを用いて本発明の試験化合物を得ることができる。生物学的ライブラリー研究法をペプチドライブラリーと共に用いるが、その他の4つの研究法をペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小型分子ライブラリーに適用することができる(Lam, K.S.(1997) Anticancer Drug Des. 12:145(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする))。
分子ライブラリーの合成のための方法の実例を当分野で、例えば:DeWitt et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909;Erb et al., (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422;Zuckermann et al., (1994) J. Med. Chem. 37:2678;Cho et al., (1993) Science 261:1303;Carrell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059 and 2061;およびGallop et al., (1994) J. Med. Chem. 37:1233(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)で見出すことができる。
化合物のライブラリーは溶液で(例えばHoughten (1992) Biotechniques 13:412-421)またはビーズ(Lam (1991) Nature 354:82-84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555-556)、細菌(Ladner 米国特許5223409)、胞子(Ladner 米国特許'409)、プラスミド上(Cull et al., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869)、またはファージ上(Scott and Smith (1990) Science 249:386-390);(Devin (1990) Science 249:404-406);(Cwirla et al., (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382);(Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310);(Ladner supra)に存在し得る(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)。
CPPまたは生物学的に活性なその部分のその同族標的分子への結合を、複合体中の標識されたCPPまたは生物学的に活性なその部分を検出することにより決定できるように、例えばCPPまたは生物学的に活性なその部分を標識基に結合させることにより、試験化合物のCPP活性を調整する能力の決定を達成することもできる。例えば複合体を免疫沈澱させることにより、またはゲル電気泳動を実施することにより、複合体形成の程度を測定することができる。
いずれの反応体をも標識しないで、化合物がその同族標的分子と相互作用する能力を決定することもまた本発明の範囲内である。例えばマイクロフィジオメーターを用いて、化合物も標的分子も標識せずに、化合物とその同族標的分子との相互作用を検出することができる。McConnell, H.M. et al., (1992) Science 257:1906-1912(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)。サイトセンサーのようなマイクロフィジオメーターは光アドレス可能電位計測法(LAPS)を用いて細胞がその環境を酸性化する速度を測定する分析装置である。この酸性化速度の変化を化合物と受容体との間の相互作用の指標として用いることができる。
好ましい実施態様では、アッセイは:CPPまたは生物学的に活性なその部分を発現する細胞を標的分子と接触させて、アッセイ混合物を形成し、アッセイ混合物を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力を決定することを含む。試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力を決定することは:試験化合物がCPP発現細胞の生物学的活性を調整する能力(例えば前記で論じたように、CPP標的分子との相互作用)を決定することを含む。
別の好ましい実施態様では、アッセイは、CPPまたは生物学的に活性なその部分に応答する細胞をCPPまたは生物学的に活性なその部分に接触させて、アッセイ混合物を形成し、アッセイ混合物を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力を決定することを含む。試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力を決定することは:試験化合物がCPP応答細胞の生物学的活性を調整する能力を決定することを含む。
別の実施態様では、アッセイは、CPP標的分子(すなわちCPPが相互作用する分子)を発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPP標的分子の活性を調整する能力を決定することを含む細胞基盤のアッセイである。例えば標的分子の活性を評価すること、またはCPPがCPP標的分子と結合するかもしくは相互作用する能力を評価することにより、試験化合物がCPP標的分子の活性を調整する能力の決定を達成することができる。
CPPがCPP標的分子と結合するかまたは相互作用する能力の決定を、例えば結合を直接的または間接的に決定するための前記した方法の1つにより達成することができる。好ましい実施態様では、アッセイは、CPPまたは生物学的に活性なその部分を該CPP(例えばCPP抗体または標的分子)と結合する既知の化合物と接触させてアッセイ混合物を形成し、既知の該化合物の前または後にCPPを試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPPと相互作用する能力を決定することを含む。試験化合物がCPPと相互作用する能力の決定は試験化合物が既知の化合物と比較してCPPまたは生物学的に活性なその部分と優先的に結合する能力を決定することを含む。CPPがCPP標的分子と結合する能力の決定はまたリアルタイム生体分子間相互作用分析(BIA)のような技術を用いて達成することもできる。Sjolander, S. and Urbaniczky, C. (1991) Anal. Chem. 63:2338-2345およびSzabo et al., (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)。“BIA”は本明細書中で使用される際には、いずれの反応体をも標識せずに生体特異的相互作用をリアルタイムで研究するための技術である(例えばBIAcore)。表面プラスモン共鳴(SPR)の光学現象における変化を、生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として用いることができる。
別の実施態様では、アッセイは、CPPまたは生物学的に活性なその部分を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分の活性を調整する能力を決定する細胞不含アッセイである。好ましい実施態様では、CPPがCPP標的分子を調整または相互作用する能力の決定を、標的分子の活性を決定することにより達成することができる。例えば、標的分子をCPPまたはそのフラグメントと接触させ、そして標的の細胞性2次メッセンジャー(例えばcAMP、STAT3、Akt、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3等)の誘導を測定し、適切な基質に関する標的の触媒/酵素活性を検出し、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー、例えばルシフェラーゼをコードする核酸に作動可能なように連結された標的応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出するか、または標的調節された細胞性応答、例えばシグナル伝達またはタンパク質:タンパク質相互作用を検出することにより標的分子の活性を決定することができる。
本発明の細胞不含のアッセイは単離されたタンパク質(例えばCPPもしくは生物学的に活性なその部分またはCPP標的が結合する分子)の可溶性および/または膜結合形態の双方の使用に適している。膜結合形態の単離されたタンパク質を用いる細胞不含のアッセイの場合、単離されたタンパク質の膜結合形態が溶液に維持されるように可溶化剤を利用するのが望ましいかもしれない。かかる可溶化剤の実例には、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(商標)X−100、Triton(商標)X−114、Thesit(商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、スルホン酸3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−1−プロパン(CHAPS)、スルホン酸3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパン(CHAPSO)、またはスルホン酸N−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンのような非イオン性デタージェントが挙げられる。
本発明の前記のアッセイ方法の1つ以上の実施態様で、アッセイの自動化に対応するためと同時に、1つまたは双方のタンパク質の非複合形態からの複合形態の分離を促進するためにCPPまたはその標的分子のいずれかを固定するのが望ましい場合もある。試験化合物のCPPへの結合または候補化合物の存在下および不在下でのCPPと標的分子との相互作用を、反応物質を含有するのに適当な任意の容器内で、そして本明細書に記載する任意の固定プロトコールにより達成することができる。あるいは、複合体をマトリックスから解離させ、そして標準的な技術を用いてCPP結合または活性のレベルを決定することができる。
タンパク質をマトリックス上に固定するためのその他の技術を本発明のスクリーニングアッセイに用いることもできる。例えば、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合体を利用してCPPまたはCPP標的分子のいずれかを固定することができる。ビオチン化CPPまたは標的分子を当分野で周知の技術を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシサクシンイミド)から調製し(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)、そしてストレプトアビジンをコーティングした96ウェルプレートのウェル(Pierce Chemical)に固定することができる。あるいは、CPPまたは標的分子と反応するが、CPPのその標的分子への結合と干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化し、そして未結合の標的またはCPPは抗体結合によりウェルに捕捉させることができる。かかる複合体を検出するための方法には、GST固定化複合体に関して前記したものに加えて、CPPまたは標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、およびCPPまたは標的分子に随伴される酵素活性の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
別の実施態様では、細胞を候補化合物と接触させ、そして細胞中のCPPmRNAまたはタンパク質の発現を決定する方法でCPP発現のモジュレーターを同定する。候補化合物の存在下でCPPmRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、候補化合物の不在下でのCPPmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較する。次いで、この比較に基づいてCPP発現のモジュレーターとして候補化合物を同定することができる。例えば、CPPmRNAまたはタンパク質の発現が候補化合物の存在下でその不在下よりも多い(統計学的に有意に多い)場合、候補化合物をCPPmRNAまたはタンパク質発現の刺激剤として同定する。あるいは、CPPmRNAまたはタンパク質の発現が候補化合物の存在下でその不在下よりも少ない(統計学的に有意に少ない)場合、候補化合物をCPPmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定する。細胞中でのCPPmRNAまたはタンパク質発現のレベルを本明細書に記載するCPPmRNAまたはタンパク質を検出する方法により決定することができる。
本発明のさらに別の態様では、2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイでCPPを“ベイトタンパク質”として用いて(例えば、米国特許5283317;Zervos et al., (1993) Cell 72:223-232;Madura et al., (1993)J. Biol. Chem. 268:12046-12054;Bartel et al., (1993) Biotechniques 14:920-924;Iwabuchi et al., (1993) Oncogene 8:1693-1696;およびBrent WO94/10300(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)参照)、CPPと結合または相互作用し(“CPP結合タンパク質”または“CPP−bp”)、そしてCPP活性に関与するその他のタンパク質を同定することができる。かかるCPP結合タンパク質はまたCPPまたはCPP標的により、例えばCPP媒介シグナリング経路の下流エレメントとしてシグナルの伝搬に関与する可能性もある。
2ハイブリッド系は、分離可能なDNA結合および活性化ドメインからなるほとんどの転写因子のモジュール特性に基づく。簡単には、アッセイは2つの異なるDNA構築物を利用する、一方の構築物では、CPPまたはそのフラグメントをコードする遺伝子を、既知の転写因子(例えばGAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合させる。もう一方の構築物では、同定されていないタンパク質(“プレイ”または“試料”)をコードする、DNA配列のライブラリーからのDNA配列を既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合させる。“ベイト”および“プレイ”タンパク質がインビボで相互作用してCPP依存性複合体を形成できる場合、転写因子のDNA結合および活性化ドメインは密接に接近するようになる。この接近により、転写因子に応答する転写調節部位に作動可能なように連結されているレポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写が可能になる。レポーター遺伝子の発現は検出されることができ、そして機能的転写因子を含有する細胞コロニーは単離され、そしてCPPと相互作用するタンパク質をコードするクローン化された遺伝子を得るために用いられることができる。
本発明はさらに前記したスクリーニングアッセイにより同定された新規薬剤、およびこれらのアッセイの使用によりかかる薬剤を生成するための方法に関係する。したがって、1つの実施態様では、本発明は前記したスクリーニングアッセイ(例えば細胞基盤のアッセイまたは細胞不含のアッセイ)のいずれか1つの工程を含む方法により得ることができる化合物または薬剤を含む。
したがって、適切な動物モデルにおいて本明細書で記載したように同定された薬剤をさらに使用することは本発明の範囲内である。例えば、本明細書で記載したように同定された薬剤(例えばCPP調整剤またはCPP結合パートナー)を動物モデルにおいて使用して、かかる薬剤の有効性、毒性または処置の副作用を決定することができる。あるいは、本明細書で記載したように同定された薬剤を動物モデルにおいて使用して、かかる薬剤の作用のメカニズムを決定することができる。さらに、本発明は、本明細書に記載するような処置のための、前記したスクリーニングアッセイにより同定された新規薬剤の使用に関係する。
本発明はまた本明細書に記載するような診断、予後診断、予防、および処置のための、前記したスクリーニングアッセイにより同定された新規薬剤の使用にも関係する。したがって、本明細書に記載するような診断、予後診断、または処置に使用するための薬剤または医薬組成物の設計、処方、合成、製造、および/または生成におけるかかる薬剤の使用は本発明の範囲内である。例えば、1つの実施態様では、前記したスクリーニングアッセイの1つにより得ることができる化合物の構造および/または特性を参照して、本発明は薬剤または医薬組成物を合成または生成する方法を含む。例えばCPP標的分子を発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPP標的分子に結合する、またはその活性を調整する能力を決定する方法により得られた化合物の構造および/または特性に基づいて、薬剤または医薬組成物を合成することができる。別の実例的な実施態様では、本発明は、CPPまたは生物学的に活性なその部分を試験化合物と接触させ、そして試験化合物がCPPまたは生物学的に活性なその部分に結合する、またはその活性を調整する能力を決定する方法により得られた化合物の構造および/または特性に基づいて、薬剤または医薬組成物を合成する方法を含む。
動物基盤の薬剤スクリーニング
薬剤スクリーニングアッセイをインビボで実施するのも有利である。インビボスクリーニングアッセイを非ヒト動物で実施して、心臓血管疾患において役割を果たし得る有効なCPPモジュレーターを見出す。心臓血管疾患の動物基盤モデル系には、限定するものではないが、非組換え動物およびトランスジェニック動物が挙げられる。
心臓血管疾患の非組換え動物モデルには、例えば遺伝モデルが挙げられる。かかる遺伝心臓血管疾患モデルには、apoBまたはapoR欠損ブタ(Rapacz, et al., 1986, Science 234:1573-1577)およびWatanabe 遺伝性高脂血漿(WHHL)ウサギ(Kita et al., 1987 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:5928-5931)が挙げられる。アテローム性動脈硬化症の非組換え、非遺伝動物モデルには、例えばブタ、ウサギ、またはラットモデルを挙げることができ、ここで動物は例えば餌へのLDL補充による化学的損傷か、またはバルーンカテーテル血管形成による機械的損傷のいずれかに暴露されている。
当分野で示されているように(Ferns, G.A.A. et al., (1991) Science, 253:1129-1132)、再狭窄のラット頚動脈損傷モデルは治療効果の可能性を示すのに有用であろう。このモデルの実例は米国特許6500859に記載されており、その開示は出典明示により本明細書の一部とする。簡単には、国立老化研究所動物実験委員会により承認されたプロトコールは20mg/kg体重ペントバルビタール、2mg/kg体重ケタミンおよび4mg/kg体重キシラジンで腹腔内に麻酔したGRCコロニーからの6か月Wistarラットを使用した。左外頚動脈を2−French Fogarty塞栓除去カテーテルでカニューレ挿入し、食塩水で膨らまし、そして総頚動脈を3回上下に通して膨張性除内皮傷害を生成した。傷害の2時間後に開始する腹腔内注射により適切な用量の試験物質またはベヒクル単独(例えばDMSO:クレモホールEL:無水エタノール:リン酸塩緩衝食塩水 1:2:2:165のような適切な溶液で1日あたり体重に基づいて)で動物を処理した。試験物質またはベヒクル単独を腹腔内注射として1日1回、次の4日間投与した。11日後、動物(処理8匹、ベヒクル処理10匹)を前記のように麻酔し、そして頚動脈を単離し、10%緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。頚動脈の横断面を顕微鏡スライドにマウントし、そしてヘマトキシリンおよびエオシン色素で染色した。頚動脈の画像をデジタルボードに投影し、そして内膜および中膜の横断面面積を測定した。新内膜面積の減少(肥厚)は試験物質が有効な抗再狭窄剤であることを示している。
因果関係において、腸管の内腔からの胆汁酸の再循環の干渉が血清コレステロールのレベルを低下させることが見出される。かかる低下がアテローム性動脈硬化症の病態の改善に至ることを示す疫学データが蓄積されている(Stedronsky, Biochimica et Biophysica Acta, 1210:255-287 (1994))。コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻止は血漿HDL/LDL比率を効果的に修正することを示し、そして特定の心臓血管疾患の進行および/または形成を抑制すると予測される。CETPの阻止は血漿HDLコレステロールの上昇および血漿LDLコレステロールの低下に至り、それにより治療上有利な血漿脂質プロフィールを提供する(McCarthy, Medicinal Res. Revs., 13:139-159(1993))。14C−タウロコール酸の胆汁へのラット回腸取り込みを阻止する化合物に関するインビボアッセイが米国特許6489366およびUne, et al., Biochimica et Biophysica Acta, 833:196-202 (1985)に開示されており、その開示は出典明示により本明細書の一部とする。
簡単には、雄Wistarラット(200−300g)をイナクチン(100mg/kg)で麻酔する。胆管に10インチの長さのPE10チューブでカニューレ挿入する。小腸を露出させてガーゼパッドの上に置く。カニューレ(1/8”ルアーロック、先細にした雌型アダプター)を小腸および盲腸の接合部から12cmで挿入する。この同一の接合部から4cmでスリットを切断する(8cmの長さの回腸を利用する)。温ダルベッコリン酸塩緩衝食塩水(PBS)(pH6.5)20mlを用いて腸部分を洗い流す。遠位開口部に20cmの長さのシリコンチューブ(内径0.02”×外径0.037”)でカニューレ挿入する。近位カニューレを蠕動ポンプに接続し、そして腸を温PBSで、0.25ml/分で20分間洗浄する。腸部分の温度は継続的にモニタリングする。実験の開始時に対照試料(5mM非放射性標識タウロコール酸を伴う0.05mCi/mlの14C−タウロコール酸)2.0mlを3mlシリンジで腸部分に負荷し、そして胆汁試料収集を開始する。対照試料を0.25ml/分の速度で21分間注入する。胆汁試料分画は手順の最初の27分間、3分毎に収集する。試料注入の21分後、回腸ループを温PBS20ml(30mlシリンジ使用)で洗い流し、そして次にループを温PBSで0.25ml/分で21分間洗い流す。前記したように2回目の灌流を開始するが、試験化合物を同様に投与し(21分投与、続いて21分洗い流し)、そして3分毎に最初の27分間胆汁をサンプリングする。必要により、典型的には対照試料を含有する3回目の灌流を前記のように実施する。
加えて、肝臓コレステロールの濃度の測定は試験物質の心臓血管障害に対する有効性を決定するための有用なアッセイである。このアッセイでは、肝臓組織の重量測定を行い、そしてクロロホルム:メタノール(2:1)中でホモジナイズする。ホモジナイズおよび遠心の後、上清を分離し、そして窒素下で乾燥する。残留物はイソプロパノールに溶解し、そしてAllain, C.A. et al., Clin. Chem., 20:470 (1974)(出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるように、コレステロールオキシダーゼおよびペルオキシダーゼの組合せを用いてコレステロール含量を酵素的に測定する。
同様に、血清コレステロールを以下のように決定することができる。Wako Fine Chemicals(Richmond, VA)の市販のキット;コレステロールC11、カタログ番号276−64909を用いて全血清コレステロールを酵素的に測定する。この同一のキットを用いて、Sigma Chemical Co. HDLコレステロール試薬、カタログ番号352−3でVLDLおよびLDLを沈殿させた後、HDLコレステロールを検定することができる(硫酸デキストラン法)。全血清トリグリセリド(ブランク)(TGI)もまたSigma Chemical Co. GPO−Trinder、カタログ番号337−Bで酵素的に検定する。VLDLおよびLDL(VLDL+LDL)コレステロール濃度を全コレステロールとHDLコレステロールの間の差として算出する。対照に相対して、試験物質処置した試料のVLDL+LDLの低下は有効な抗心臓血管障害剤であることを示している。
例えば米国特許6489366に記載されるように、脂質低下薬を評価するためのイヌモデルを利用することもできる。
簡単には、Marshallファームのような業者から入手し、そして体重6−12kgの雄ビーグル犬に1日1回2時間食餌を与え、そして水は自由に摂らせた。イヌを無作為に、各6から12匹のイヌからなる投与群:ベヒクル、胃内投与;1mg/kg、胃内投与;2mg/kg、胃内投与;4mg/kg、胃内投与;2mg/kg、経口投与(カプセル中粉末);に割り当てることができる。水溶液(例えば0.2%Tween 80溶液[ポリオキシエチレンモノオレアート、Sigma Chemical Co., St. Louis, MO])に溶解した治療物質の胃内投与を、胃管を用いて行うことができる。投与を開始する前に、血清コレステロール(全およびHDL)およびトリグリセリドを評価するために朝に食餌を与える前に橈側皮静脈から血液試料を取ることができる。数日間連続して動物に朝、食餌の前に投与する。動物に2時間食べさせ、その後、残りの食餌すべてを除く。糞便を試験の終わりに2日間収集し、そして胆汁酸または脂質含量を分析することができる。血液試料もまた処置期間の終わりに採取し、試験前の血清脂質レベルと比較する。標準スチューデントt検定を用いてp<0.05で統計学的有意性を決定する。
血清脂質測定を同様に測定する。絶食イヌの橈側皮静脈から血清分離管(Vacutainer SST, Becton Dickinson and Co., Franklin Lakes, N.J.)に血液を収集する。血液を2000rpmで20分間遠心し、そして血清をデカンテーションする。コレステロールオキシダーゼ反応を利用して比色分析で測定される過酸化水素を生成するWako酵素診断キット(コレステロールCII)(Wako Chemicals, Richmond, VA)を用いて96ウェル様式で全コレステロールを測定することができる。プレートの最初の2つのカラムで0.5から10ugコレステロール標準曲線を調製する。血清試料(20−40ul、予測される脂質濃度に依存する)または既知の血清対照試料を別個のウェルに2検体ずつで加える。水を加えて各ウェルの容量を100ulにする。呈色試薬100ulアリコートを各ウェルに加え、そして37℃で15分間のインキュベーションの後、プレートを500nmで読む。
硫酸デキストランおよびMgイオンを利用して選択的にLDLおよびVLDLを沈殿させるSigmaキット番号352−3(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を用いてHDLコレステロールを検定することができる。各血清試料150ulの容量を個々のマイクロチューブに加え、続いてHDLコレステロール試薬(Sigma352−3)15ulを加える。試料を混合し、そして5000rpmで5分間遠心する。次いで上清の50ulアリコートを食塩水200ulと混合し、そして全コレステロール測定に関するのと同一の手順を用いて検定する。
Sigmaキット337を用いて96ウェルプレート様式でトリグリセリドを測定する。この手順はグリセロールを測定し、続いてトリグリセリドのリポタンパク質リパーゼとの反応によるその放出を測定する。1から24ugの範囲のグリセロール(Sigma339−11)標準溶液を用いて標準曲線を作成する。血清試料(20−40ul、予測される脂質濃度に依存する)をウェルに2検体ずつで加える。水を加えて各ウェルの容量を100ulにし、そして呈色試薬100ulもまた各ウェルに加える。混合し、そして15分間インキュベートした後、プレートを540nmで読み、そして標準曲線からトリグリセリド値を算出する。ブランク酵素試薬を用いる同型プレートでも実行し、血清試料中の任意の内因性グリセロールに関して補正する。
米国特許6462046(その開示は出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるように、db/dbマウス(C578BL/KsJ−db/db Jcl)において血清グルコースおよび血清インスリンに及ぼすその効果に関して試験化合物を評価することができる。化合物をベヒクル(例えば蒸留水中2%Tween80からなる)に溶解し、そして経口投与する。投与量は体重により決定する。実験および動物の処分を含む研究の全態様を、動物が関与する生物医学研究の国際ガイドライン原則(CIOMS 出版番号ISBN9290360194、1985年)に全般的に従って実施する。グルコースHAアッセイキット(Wako, Japan)を用いて血清グルコースを決定し、そしてELISAマウスインスリンアッセイキット(SPI bio, France)を利用してインスリンを決定する。適切な陽性対照はトログリタゾン(Helios Pharmaceutical, Louisville, Ky)である。
動物を各4匹の動物の20の群に分ける。動物の体重は52±5gで、8−10週齢である。実験中、動物には実験用食餌(Fwusow Industry Co., Taiwan)および水を自由に取れるようにする。任意の処置の前に、血液試料(処置前血液)を各動物から採取する。動物の4つの群であるベヒクル群はベヒクルのみを投与される。ベヒクル群の各々は100、30、10または1ml/kg体重のベヒクルを経口投与される。トログリタゾン溶液(Tween80/水中10ml/kg体重)を陽性対照の4群に各々100、30、10および1ml/kg体重の用量で経口投与する。試験化合物を同様に溶液として動物の4群に投与し、各々の群は異なる用量の化合物を投与される。ベヒクル、陽性対照および試験化合物溶液を群に処置前血液を取った後、即座に、24時間および48時間に投与する。最後の投与の後1.5時間に血液を取る(処置後血液)。血清グルコースを酵素的(ムタラトース−GOD)に決定し、そしてインスリンレベルをELISA(マウスインスリンアッセイキット)により決定する。各群の平均SEMを算出し、そして処置前血液と処置後血液との間の比較により血清グルコースおよびインスリン阻止パーセントが得られる。処置前血液に相対して、処置後血液における血清グルコースおよびインスリンレベル低下のパーセンテージを決定し、そして対応のないスチューデントt検定を対照および試験溶液群およびベヒクル群の間の比較に適用する。有意差はp<0.05と見なした。有効な抗心臓血管障害剤であるトログリタゾンは10mg/kg体重でグルコースレベル低下に至る(25±2%)。
米国特許6121319(その開示を出典明示により本明細書の一部とする)は高コレステロール血症ウサギのアテローム性動脈硬化症の進行に関するアッセイについて記載している。ウサギを屠殺し、そして大動脈を得る。スダン−4で大動脈を染色し、そして染色の程度を分析する。試験物質処置および未処置脂質食ウサギにおいて損傷に覆われた大動脈表面積のパーセントをグラフ化する。有効な抗アテローム性動脈硬化症剤で処置されたウサギの大動脈はあまり染色されず、これはアテローム性動脈硬化症の低減を示している。加えて、VCAM−1またはRam−11抗原の抗体を用いて、大動脈の切片をVCAM−1発現またはマクロファージ蓄積に関して免疫染色する。対照処置試料と比較して、VCAM−1発現またはマクロファージ蓄積の低下は有効な薬剤を示している。
LDLコレステロールの低下を霊長類モデルにおいても決定することができる。例えば試験化合物の投与の前に、高脂肪コレステロール食餌を与えることによりカニクイザルを高コレステロール血症にする。次いでサルに試験化合物または対照ベヒクルを2週間経口投与する。この期間中のサルの血清LDLコレステロールパーセンテージの低下は有効な抗アテローム性動脈硬化症剤を示している。
医薬組成物
本発明のポリペプチドが可溶性形態で、例えば形質転換された酵母または哺乳動物細胞の分泌生成物として発現される場合、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、電気泳動、アフィニティークロマトグラフィーの工程を含む当分野の標準的な手順に従って、例えばかかる精製の手引きを提供する“酵素精製および関連する技術”Methods in Enzymology, 22:233-577(1977)、およびScopes, R., Protein Purification:Principles and Practice (Springer-Verlag, New York, 1982)に従ってそれらを精製することができる。同様に、本発明のポリペプチドが不溶性形態で、例えば凝集体または封入体として発現される場合、遠心により崩壊した宿主細胞から封入体を分離すること、カオトロピック剤および還元剤で封入体を可溶化すること、可溶化した混合物を希釈すること、ならびにポリペプチドが生物学的に活性なコンフォメーションをとるようにカオトロピック剤および還元剤の濃度を低下させることを含む適切な技術によりそれらを精製することができる。後者の手順は以下の文献に開示されており、それは出典明示により本明細書の一部とする:Winkler et al., Biochemistry, 25:4041-4045 (1986);Winkler et al., Biotechnology, 3:992-998 (1985);Koths et al., 米国特許4569790;および欧州特許出願86306917.5および86306353.3。
CPPまたはCPP生物学的活性を調整することができる、本発明の小型分子、ペプチド、CPP核酸分子、および抗CPP抗体を含む化合物を投与に適当な医薬組成物に組込むことができる。かかる組成物は典型的には薬学的に許容される担体を含む。“薬学的に許容される担体”なる用語は本明細書中で使用される際には、医薬用投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。医薬的に活性な物質のためのかかる溶媒および薬剤の使用は当分野で周知である。任意の慣用される溶媒または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性化合物を組成物に組込むこともできる。
本発明の組成物をその意図される投与経路に適合するように処方する。投与経路の実例には、非経腸、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が挙げられる。非経腸、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は以下の成分を含むことができる:注射用水、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒のような無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のようなバッファーおよび塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基でpHを調整することができる。非経腸調製物をアンプル、使い捨てシリンジまたはガラスもしくはプラスチック製の多回投与用バイアルに入れることができる。
注射使用に適当な医薬組成物は無菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および無菌注射用溶液または分散液の即時調製用無菌粉末を含む。静脈内投与に適当な担体には生理学的食塩水、静菌性水、Cremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany, N.J.)またはリン酸塩緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。全例で、組成物は無菌でならなければならず、そして容易な注射針通過性が存在する程度まで流動性であるべきである。これは製造および保存条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の夾雑作用に対して保存されなければならない。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)および適当なその混合物を含有する溶媒または分散媒でよい。例えばレクチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により適切な流動性を維持することができる。種々の抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により微生物作用の防御を達成することができる。多くの場合、等張剤、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムのような糖、多価アルコールを組成物中に含むのが好ましい。組成物に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることにより、注射用組成物の吸収延長をもたらすことができる。
活性化合物がタンパク質、例えば抗CPP抗体である場合、適切な溶媒中に前記で列挙した成分の1つまたは組合せと共に必要とされる量の活性化合物を組込み、必要な場合続いて滅菌濾過することにより、無菌注射用溶液を調製することができる。一般的に、活性化合物を基本の分散媒および前記で列挙したものから必要とされるその他の成分を含有する無菌ベヒクルに組込むことにより分散液を調製する。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分プラス任意のさらに別の望ましい成分の粉末を生じる、予め滅菌濾過したその溶液からの真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む。これらをゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤に圧縮することができる。経口治療用投与の目的のために、活性化合物を賦形剤と共に組込み、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で用いることができる。吸入による投与のために、化合物を適当な噴霧剤、例えば二酸化炭素のような気体を含有する加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達する。経粘膜または経皮手段により全身投与することもできる。経粘膜または経皮投与用に、通過するバリヤに適切な浸透剤を処方で用いる。かかる浸透剤は一般的に当分野で公知であり、そして例えば経粘膜投与用には、デタージェント、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。鼻スプレーまたは坐剤の使用により経粘膜投与を達成することができる。経皮投与用には、当分野で一般的に公知であるような、軟膏、膏薬(salve)、ゲル、またはクリームに活性化合物を処方する。最も好ましくは、活性化合物を静脈内注射により対象に送達する。
1つの実施態様では、活性化合物を、移植およびマイクロカプセル送達系を含む放出制御処方のように、化合物を体内からの急速な排泄に対して保護する担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステルおよびポリ乳酸のような生体分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。かかる処方の調製方法は当業者には明らかである。Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から市販の材料を入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞にターゲティングされたリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として用いることもできる。当業者に公知の方法に従って、例えば米国特許4522811(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるようにこれらを調製することができる。
別の実施態様では、活性化合物をマイクロチップ薬剤送達装置にコーティングすることができる。かかる装置はかかる組成物に消化を受けさせないで、または個体に注射を受けさせないで、個体の血流、脳脊髄液、リンパ液、または組織へのタンパク質性組成物の制御された送達に有用である。マイクロチップ薬剤送達装置の使用方法は米国特許6123861、5797898および米国特許出願20020119176A1(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
経口または好ましくは非経腸組成物を投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与量単位形態に処方するのが特に有利である。投与量単位形態は本明細書中で使用される際には、処置される対象にとって投与量の統一に適した物理的に別個の単位を指し;各単位は望ましい治療効果を生み出すように算出された予め決定された量の活性化合物を必要とされる医薬用担体と共に含有する。本発明の投与量単位形態に関する明細は、活性化合物の独特な特性および達成される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためのかかる活性化合物の調合の分野での固有の制限により決定され、そしてそれに直接依存する。
かかる化合物の毒性および治療効果を、例えばLD50(集団の50%に致死の用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により決定することができる。毒性および治療効果の間の用量比は治療指標であり、そしてLD50/ED50比として表現することができる。大きな治療指標を呈する化合物が好ましい。毒性副作用を呈する化合物を使用することができるが、未感染細胞に対する損傷の可能性を最小にし、それにより副作用を低減するために、かかる化合物を罹患組織の部位にターゲティングさせる送達系の設計に注意を払わなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータをヒトで使用するための投与量範囲を計算するのに用いることができる。かかる化合物の投与量は、ほとんどまたは全く毒性がなく、ED50を含む循環濃度の範囲内にあるのが好ましい。投与量はこの範囲内で、用いる投与形態および利用する投与経路に依存して変動し得る。本発明の方法において用いられる任意の化合物に関して、治療上有効量を最初に細胞培養アッセイから推測することができる。動物モデルにおいて用量を処方して、循環を達成し、これを用いてヒトにおいて有用な用量をさらに正確に決定する。例えば高速液体クロマトグラフィーにより血漿中のレベルを測定することができる。
医薬組成物を投与のための指示書と一緒に容器、パックまたはディスペンサーに含めることができる。
心臓血管障害治療
本発明のCPPモジュレーターおよび抗CPP抗体をCPP関連障害の処置または予防に用いることができる。したがって1つの態様では、本発明はCPPの抗体、抗体フラグメント、またはペプチドモジュレーターを含有する、好ましくは薬学的に許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物に関する。担体または希釈剤は経口、静脈内、筋肉内または皮下投与に適合しているのが好ましい。医薬組成物は本明細書に記載するCPPモジュレーター、抗CPP抗体、または抗CPP抗体フラグメントのいずれかを含むかまたは本質的にそれから構成され得る。
多くの薬剤が心臓血管障害の処置および予防に有用である。かかる薬剤をCPP関連組成物と組合わせて有利に用いることができる。
例えば、細胞サイクル阻害剤およびプロトオンコジーン(Simari and Nabel, Semin. Intervent. Cardiol. 1:77-83(1996));NO(一酸化窒素)ドナー薬剤;bcl−xのようなプロアポトーシス剤(Pollman et al., Nature Med. 2:222-227(1998));ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子および全身性ガンシクロビル(Ohno et al., Science 265:781-784(1994);Guzman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10732-10736(1994);Chang et al., Mol. Med. 1:172-181(1995);およびSimari et al., Circulation 92:1-501(1995))はアテローム性動脈硬化症、再狭窄および新内膜平滑筋増殖を処置するのに利用されている。前記の参照文献の開示は出典明示により本明細書の一部とする。
本発明の組成物との組合せに有用な抗血栓症剤には、例えばIIb/IIIaインテグリンの阻害剤;組織因子阻害剤;および抗トロンビン剤が挙げられる。Vukmir, Am. J. Emer. Med. 13:459-470(1995);Grant, PACE 20:432-444(1997);Assmann I., Curr. Med. Res. Opin. 13:325-343(1995);およびLipka et al., Am. Heart J. 130:632-640(1995)(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるような局所麻酔剤(I群剤)、交感神経アンタゴニスト(II群剤)、抗細動性剤(III群剤)カルシウムチャネル剤(IV群剤)またはアニオンアンタゴニスト(V群剤)のような抗不整脈剤を用いることもできる。I群剤の実例には:プロカインアミド;キニジンまたはジソピラミド;リドカイン;フェニトイン;トカイニドまたはメキシレチン;エンカイニド;フレカイニド;ロルカイニド;プロパフェノン(III)またはモリシジンが挙げられる。交感神経アンタゴニストには:プロプラノロール、エスモロール、メトプロロール、アテネラル、またはアセブトロールが挙げられる。抗細動性剤の実例はブレチリウム、アミオダロン、ソタロール(II)またはN−アセチルプロカインアミドである。IV群剤にはベラパミル、ジルチアゼムおよびベプリジル、ならびにアリニジンのようなアニオンアンタゴニストが挙げられる。
鬱血性心不全治療剤にはEmbrel(商標)(Immunex Corp.;Seattle, Wash.)、TBC11251のようなTNF阻害剤またはNatrecor(ネシリチド;Scios, Inc.)のようなACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤が挙げられる。血管新生剤、例えばGenentechにより開発されたrhVEGFのような組換えVEGFアイソフォーム;VEGFの121アミノ酸アイソフォームをコードする核酸分子(BioByPass(商標);Gen Vec/Parke Davis);またはVEGF−2をコードする核酸(Vascular Genetics, Inc.);FIBLAST(商標)、Scios, Inc.(Mountain View, Calif.)およびWyeth Ayerst Laboratories(Radnor, Pa.)により開発されているFGF−2の組換え形態、GENERX(商標)またはCollateral Therapeutics(San Diego, Calif.)およびSchering AG(Miller and Abrams, Gen. Engin. News 18:1(1998)参照(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする))により開発されたFGF−4をコードするアデノウイルス遺伝子治療ベクターもまた本発明のCPP関連組成物との組合せに有用である。最後に、アムロジピン(Marche et al., Int. J. Cardiol. 62(suppl.):S17-S22(1997);Schachter, Int. J. Cardiol. 62(suppl.):S85-S90(1997));ニカルジピン、ニフェジピン;プロパノロール;硝酸イソソルビド;ジルチアゼム;およびイスラジピン(Nayler(Ed.) Calcium Antagonists pages157-260 London:Academic Press(1988);Schachter, Int. J. Cardiol. 62(suppl.):S9-S15(1997))のようなカルシウムアンタゴニストもまた心臓血管障害の有利な治療剤である。
本発明を一般的に記載してきたが、説明のみの目的で提供され、そして特記しない場合限定を意図するものではない、特定の具体的な実施例を参照することによりさらなる理解を得ることができる。
実施例1:疾患および対照集団におけるCPPレベルの特徴付け
心臓血管疾患のデュークデータバンクに登録した対象を冠動脈疾患(CAD)に基づいて選択した。CAD患者全241名および対照個体をさらに性別、年齢、および民族性に関してさらに適合させ、そして血漿異常を有する個体を排除した。CAD患者53組および対照個体53組を定めた。各組から6リットルの血漿をプールした。各個体からの血漿のアリコートを維持し、したがってプールした試料の陽性結果を集団の各メンバーに関して確認することが可能になる。かかる確認は、個体の効果を心臓血管障害に無関係である特定のポリペプチドのレベル異常と混同する可能性を払拭するのに貴重である。各集団からプールした血漿の2と1/2リットルを以下のようなMicroProt(商標)法に従って多段階クロマトグラフィー工程による分離に供した:
工程1:HSA/IgG枯渇
凍結血漿125mlを解凍し、そして無菌フード内で0.45μm無菌フィルターで濾過した。
濾液を各々300mlHSAリガンドセファロースファストフローカラム(Amersham, Upsala, Sweden)、内径5cm、長さ15cm;および100mlプロテインGセファロースファストフローカラム(Amersham, Upsala, Sweden)、内径5cm、長さ5cmの2つの直列カラムに注入した。
50mM PO4バッファー(pH7.1)、0.15M NaClでカラムを平衡にし、そして洗浄した。流速は5ml/分であった。
非保持分画(350ml)を第2工程まで凍結した。20回実行した。
工程2:ゲル濾過/逆相捕捉工程
工程1からの試料を解凍し、そして無菌フード内で0.45μm無菌フィルターで濾過した。
濾液を2つの直列ゲル濾過カラム:2×9.5リットルのSuperdex 75(Amersham, UK)カラム、内径4cm、長さ62cmに注入した。50mM PO4バッファー(pH7.4)、0.1M NaCl、8M尿素でカラムを平衡にした。疎水性不純物を逆相プレカラム:150ml PLRPS(Polymer Labs, UK)に保持した。プレカラムを試料注入用に交換した。流速40ml/分でゲル濾過を実施した。
低分子量タンパク質(<20kDa)を直列逆相捕捉カラム:50ml PLRPS 100オングストローム(Polymer Labs, UK)に適応させた。PLRPSカラムで注入を制御する3方向バルブを33mAU(280nm)のカットオフで切り換えて、ゲル濾過溶出液を逆相捕捉カラムに送った。このカットオフ値はOD値の推定される範囲を提供するために最初にSDS−PAGEを用いることにより、そして続いて3つのカットオフ値を評価することにより(OD範囲の高、中および低値)確立した。得られる低分子量タンパク質を最大にし、低分子量タンパク質部分が少なくとも85%であるように最終のカットオフ値を選択した。水中0.1%TFA、80%CH3CNの1カラム容量グラジエントにより、低分子量タンパク質およびペプチドを逆相捕捉PLRPSカラムから溶出した。溶出液分画(50ml)を次の工程まで凍結した。20回実行した。この工程の最後に、全逆相溶出液を解凍し、プールし(1リットル)、そして7個のポリプロピレン容器(143ml)に分けた。次の工程で使用するまで容器を−20度に維持した。
工程3:カチオン交換
工程2からの試料(147ml)を解凍し、そして等量のカチオン交換バッファーA(Gly/HCl バッファー50mM、pH2.7、尿素8M)と混合した。
試料を100ml Source 15Sカラム(Amersham, Upsala, Sweden)、内径35mm、長さ100mmに注入した。バッファーAでカラムを平衡にし、そして洗浄した。流速は10ml/分であった。
タンパク質およびペプチドを100%バッファーAから100%バッファーB(1M NaClを含有するバッファーA)までのステップグラジエントで溶出した:
7.5%B(75mM NaCl)3カラム容量
10%B(100mM NaCl)3カラム容量
17.5%B(175mM NaCl)3カラム容量
22.5%B(225mM NaCl)2カラム容量
27.5%B(275mM NaCl)2カラム容量
100%B(1M NaCl)2カラム容量
ピークに基づいて45から60分画を収集した。7回実行した。7回実行を達成した後、18分画を得るために、実行中および間の分画をプールした。次の工程で使用するまで分画を−20度に維持した。
工程4:還元/アルキル化および逆相HPLC分別1
濃縮トリスHClでpHを8.5に調整した後、18個のカチオン交換分画の各々をジチオスレイトール(DTE、30mM 37℃で3時間)で還元し、そしてヨードアセタミド(120mM、暗中25℃で1時間)でアルキル化した。後者の反応をDTE(30mM)の添加で停止させ、続いて酸性にした(TFA、0.1%)。次いで分画をUptispher C8、5μm、300オングストロームカラム(Interchim, French)内径21mm、長さ150mmに注入した、流速10ml/分で注入を実施した。
水中0.1%TFA(溶液A)でC8カラムを平衡にし、そして洗浄した。タンパク質およびペプチドを100%Aから100%B(水中0.1%TFA、80%CH3CN)までの二相性グラジエントを用いて60分で溶出した。流速は20ml/分であった。40mlの30分画を収集した。
その分画のタンパク質濃度を反映する、各分画の280nmで測定した光学密度(OD)に基づいて、類似のタンパク質含量のアリコートを各分画に関して創成した。
各分画あたり1つを、過剰な乾燥を防ぐために各分画で水中10%グリセロール500μlを添加した後、SpeedVac(Savant, Fischer, Geneva)で乾燥し、それ以外はさらに使用するために全アリコートを凍結し、そして維持した。乾燥した分画は次の工程で使用するまで−20℃を維持した。
工程5:逆相HPLC分別2
工程4からの乾燥した試料を溶液A(水中0.03%TFA)1mlに再懸濁し、そしてVydac LCMS C4カラム、5マイクロメーター、300オングストローム(Vydac, USA)内径4.6mm、長さ150mmに注入した。流速は0.8ml/分であった。
溶液AでC4カラムを平衡にし、そして洗浄し、そして逆相HPLC分別1の試料の溶出位置に適合させた二相性グラジエントを用いてタンパク質およびペプチドを溶出した。エレクトロスプレーイオントラップ質量分析器を用いて未修正の質量データを獲得した。CH3CN濃度範囲RP1分画相当溶媒濃度±5%で16個の異なるグラジエントを用いた。30%CH3CNに等しいかまたはそれ以上の溶媒濃度でRP1で溶出されたタンパク質に関して、RP2グラジエントに関する出発溶出条件を、CH3CNパーセンテージ、RP1溶出濃度マイナス30%で設定した。24個の溶出された分画をディープウェルプレートに収集し、最適SpeedVac濃縮およびさらなるロボット処理のために設計された、最適化された異なる収集形態に適合させた。
工程6:質量検出
逆相HPLC分別2の後、96ウェルディープウェルプレート(DWP)に約13000分画を収集した。容量のごく一部(2.5%)をLC−ESI−MS(Bruker Esquire)を用いるオンライン分析に転用した。未消化のタンパク質のアリコートをMALDIマトリックスと混合し、そして質量較正標準および感受性標準と一緒にMALDIプレートにスポットした。自動スポッティング装置(Bruker MALDI試料調製ロボット)を使用した。2つの異なるMALDIマトリックスを用いた:シナピン酸(sinapinic acid)としても公知のシナピン酸(sinapic acid)(SA)、トランス−3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸、およびアルファ−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(HCCA)。MALDIプレートをBruker Reflex III MALDI MS装置を用いる質量検出に供した。96ウェルプレートを+4℃で保存した。
96ウェルプレート(DWP)を回収し、そして2連続濃縮工程に供した。SpeedVacで乾燥することにより、容量をウェルあたり0.8mlから約50μlまで濃縮し、そして次におよそ200μlに再溶解し、そしてウェルあたり約50μlに再濃縮し、そして+4℃で保存した。次いで再緩衝、トリプシンのウェルへの添加、密封および37℃で12時間のプレートのインキュベーション、続いてクエンチング(ギ酸を添加してpHを2.0まで下げる)することによりタンパク質を消化した。各特定の分画に関して記録した280nmでのODに基づいて、ウェルに加えるトリプシンの濃度を調整した。これによりトリプシンの最適な使用および最も濃縮された分画の完全な消化が確実になる。自動スポッティング装置(Bruker MALDI試料調製ロボット)を用いて、MALDIプレート上に感受性および質量較正標準と一緒に、HCCAマトリックスと予め混合した、各ウェルからの一定容量を載せた。Bruker Reflex III MALDI MS装置を用いてMALDIプレートを分析した。96ウェルプレートの各ウェルからの含量をLC−ESI−MS−MS Bruker Esquire ESIイオントラップMS装置で分析した。
工程7: ヒト血漿における低存在度ペプチドの検出および同定
分離した分画をさらに分離および検出のための質量分析(双方共にマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)およびMS−MS)に供する。
未修正質量データ、ペプチド質量フィンガープリントおよびペプチド配列データをタンパク質同定および特徴付けのために統合した。Mascotソフトウェア(Matrix Science Ltd, London, UK)を用いてタンパク質を同定し、そしてペプチド同定からの結果をスペクトルの手分析により確認した。
この方法により同定されたタンパク質のうち、カルグラニュリンA(SwissProt受託番号P05109のS100カルシウム結合タンパク質A8)がCAD患者からプールされた試料におけるよりも、対照からプールされた試料において多量に発現されることが見出された(例えばタンパク質からのペプチドは疾患分画と比較して2倍も多くの対照分画で観察され、そしてこのタンパク質のマススペクトル同定の間に得られた累積スコアは対照試料に関して2.5倍高かった)。カルグラニュリンAは前炎症タンパク質として特徴付けられている(Odink et al., Nature 330(6143):80-82(1987)および多くのその後の参照文献)。これは炎症応答の間の骨髄性細胞の浸出により発現され、ここでこれは上皮細胞のグリコサミノグリカン構造に結合する(Robinson, et al., JBC 277:3658-3665(2002))。興味深いことに、PCT公開WO00/61472は、例えばアテローム性動脈硬化症に引き起こされる心不全の処置のためのカルグラニュリンAの使用を開示している。さらに、PCT公開WO00/18970は心筋梗塞および高血圧症の予防のための血管膜成長の阻害剤としてのカルグラニュリンAの使用を開示している。したがって、本明細書で記載するタンパク質分離および同定研究法は、疾患試料よりも対照試料において高レベルで検出される場合、研究される疾患の処置に有利な効果を有するタンパク質を提供するのに有効であると思われる。
逆に、対照からプールされた試料との比較によりCAD患者からプールされた試料において過剰発現されるので、マトリックスGlaタンパク質(SwissProt受託番号P08493)の同定が本実施例で記載するタンパク質分離および同定の方法により可能になる(例えばタンパク質からのペプチドは対照分画に比較して疾患分画でほぼ2倍多くなっており、そしてこのタンパク質のマススペクトル同定の間に得られた累積スコアは疾患試料に関して2倍高くなった)。MGPは骨および軟骨の有機基質に関連するビタミンK依存性タンパク質である。Mori et al.,は、MGPが血管石灰化を阻止できることを実証した(FEBS Letters 433:19-22(1998))。MGPレベルは、血管石灰化に対して起こり得るフィードバック応答としてアテローム・プラークにおいて上昇する。PCT公開WO01/02863およびWO01/25427はアテローム性動脈硬化症および心臓血管障害のためのバイオマーカーとしてMGPについて記載している。したがって、本明細書で記載するタンパク質分離および同定研究法は研究される疾患の診断において認識された用途を有するタンパク質を提供するのに有用であると思われる。
図1および表1に列挙した配列番号3−4、7−12、14−19および22−25のトリプシンペプチドは、タンデム質量分析により、冠動脈疾患試料のみで観察された。
トリプシンペプチドの存在は、配列番号3(QSGEDNQDLAISFAGNGLSALR)または配列番号4(ESLSGVCEISGR)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが、CADの個体からの出発血漿試料で高いレベルで存在することを示した。このようなポリペプチドは配列番号1および2(CPP12)により示されるものを含む。さらに、最も検出されたものである、配列番号3のトリプシンペプチドがタンパク質のプロペプチド部分に属する(Ghosh, et al., Nat Immunol. (2002) 3:583-90)。疾患でのこのプロペプチドの増加は、したがって、該プロペプチドのデフェンシン5ペプチドへの不完全な加工を反映することが最も可能性がある。
トリプシンペプチドの存在は、配列番号7(LQCYNCPNPTADCK)、配列番号8(TAVNCSSDFDACLITK)、配列番号9(AGLQVYNK)、配列番号10(FEHCNFNDVTTR)、配列番号11(LRENELTYYCCK)または配列番号12(ENELTYYCCK)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが、CADの個体からの出発血漿試料で高いレベルで存在することを示した。このようなポリペプチドは配列番号5および6(CPP15)により示されるものを含む。
トリプシンペプチドの存在は、配列番号14(TVAGQDAVIVLLGTR)、配列番号15(NDLSPTTVMSEGAR)、配列番号16(LQAVTDDHIR)、配列番号17(YVAVMPPHIGDQPLTGAYTVTLDGR)または配列番号19(CLTTDEYDGHSTYPSHQYQ)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが、CADの個体からの出発血漿試料で高いレベルで存在することを示した。配列番号18(HDLGHFMLR)のトリプシンペプチドは対照試料で検出された。このようなポリペプチドは配列番号13(CPP16)により示されるものを含む。
トリプシンペプチドの存在は、配列番号22(LYSVHRPVK)、配列番号23(QCIHQLCFTSLR)、配列番号24(SNYFRLPPCENVDLQRPNGL)または配列番号25(LPPCENVDLQRPNGL)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが、CADの個体からの出発血漿試料で高いレベルで存在することを示した。このようなポリペプチドは配列番号20および21(CPP18)により示されるものを含む。
CPP18が少なくとも2個の異なる種を含むことに注目することは興味深い。第1のものはRP1フラクション6および7に溶出され、下記トリプシンペプチドを含む:SNYFRLPPCENVDLQRPNGLおよびLPPCENVDLQRPNGL(表1参照)。第2のものはRP1フラクション10および11に溶出され、したがって、より疎水性であり、下記の異なるトリプシンペプチドのみを含む:QCIHQLCFTSLRおよびLYSVHRPVK。
本発明によるタンパク質分離および同定の方法は非常に鋭敏である。Microprot(商標)法は、数百pMの範囲の血漿濃度を有する非常に低い存在度のタンパク質を検出することができる。ここで記載する方法を実施する間に精度は確認された。特にアテローム性動脈硬化症およびCADにおいて、十分に特徴付けられた役割を有するタンパク質はCADおよび対照試料において差次的に検出された(前出)。したがって、対照血漿中の列挙したペプチドのいくつかの不在により、対応するCPP(CPP2、CPP9、CPP20およびCPP21)が、たとえ存在したとしても、通常血漿中で無視できるほどに低レベルで存在することが示される。
実施例2:CPPの化学的合成
この実施例では、本発明のCPPを合成する。ペプチドフラグメント中間体を最初に合成し、そして次に望ましいポリペプチドに組み立てる。
最初にCPPを、結合されるフラグメントのN末端でCys残基を有するように選択された例えば5個のフラグメントで調製することができる。フラグメント1を最初にフラグメント2に結合させて、第1の生成物を得て、次いで調製用HPLC精製の後、第1の生成物をフラグメント3に結合させて、第2の生成物を得る。調製用HPLC精製の後、第2の生成物をフラグメント4に結合させて、第3の生成物を得る。最後に、調製用HPLC精製の後、第3の生成物をフラグメント5に結合させて、望ましいポリペプチドを得て、これを精製し、そしてリフォールディングする。
チオエステル形成
前記したようにフラグメント2、3、4および5をチオエステル作成樹脂上で合成する。この目的のために、以下の樹脂を調製する:本質的にはHackeng et al.,(1999)に記載される条件下で、S−アセチルチオグリコール酸ペンタフルオロフェニルエステルをLeu−PAM樹脂に結合させる。第1の場合、DMF中10%メルカプトエタノール、10%ピペリジンで30分間処理してアセチル保護基を除去した後、得られた樹脂を出発樹脂として0.2ミリモルスケールでペプチド鎖の伸長のために用いる。従来のNαまたはSβ保護を有するCysの代わりに、Boc−チオプロリン(Boc−SPr、すなわちBoc−L−チオプロリン)の各々の鎖の末端への結合により、フラグメント2から5のN末端Cys残基のNαを保護する(例えばBrik et al., J. Org. Chem., 65:3829-3835(2000))。
ペプチド合成
Schnolzer et al., J. Peptide Protein Res., 40:180-193(1992)に記載されるように、段階的Boc化学鎖伸長のための、インサイチュ中和/2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)活性化プロトコールを用いて、Applied Biosystemsの特別修正された433Aペプチド合成器で固相合成を実施する。各々の合成サイクルは、無溶媒TFAで1から2分間処理、1分間のDMFフロー洗浄、過剰のDIEAの存在下、予め活性化したBoc−アミノ酸2.0ミリモルとの10分間の結合時間、および2回目のDMFフロー洗浄によるNα−Boc−除去からなる。Nα−Boc−アミノ酸(2ミリモル)を過剰のDIEA(6ミリモル)の存在下、HBTU1.8ミリモル(DMF中0.5M)で3分間予め活性化する。Gln残基の結合の後、TFAを用いる脱保護の前および後にジクロロメタンフロー洗浄を用いて、起こり得る高温(TFA/DMF)−触媒ピロリドンカルボン酸形成を防御する。側鎖保護アミノ酸はBoc−Arg(p−トルエンスルホニル)−OH、Boc−Asn(キサンチル)−OH、Boc−Asp(O−シクロヘキシル)−OH、Boc−Cys(4−メチルベンジル)−OH、Boc−Glu(O−シクロヘキシル)−OH、Boc−His(ジニトロフェニルベンジル)−OH、Boc−Lys(2−Cl−Z)−OH、Boc−Ser(ベンジル)−OH、Boc−Thr(ベンジル)−OH、Boc−Trp(シクロヘキシルカルボニル)−OHおよびBoc−Tyr(2−Br−Z)−OH(Orpagen Pharma, Heidelberg, Germany)である。その他のアミノ酸は側鎖保護なしで用いる。C末端フラグメント1をBoc−Leu−O−CH−Pam樹脂(負荷した樹脂の0.71ミリモル/g)で合成するが、フラグメント2から5に関しては機械支援合成をBoc−Xas−S−CH−CO−Leu−Pam樹脂で出発する。この樹脂は標準的な条件下で、S−アセチルチオグリコール酸ペンタフルオロフェニルエステルのLeu−PAM樹脂への結合により得られる。DMF中10%メルカプトエタノール、10%ピペリジンで30分間処理してアセチル保護基を除去した後、得られた樹脂を出発樹脂として0.2ミリモルスケールでペプチド鎖の伸長のために用いる。
鎖の組み立てを完了した後、ペプチドフラグメントを脱保護し、そしてスカベンジャーとして5%p−クレゾールを用いて、無水フッ化水素と0℃で1時間処理することにより樹脂から切断する。フラグメント1を除いて全例で、イミダゾール側鎖2,4−ジニトロフェニル(DNP)保護基はHis残基に残るが、それはDNP除去手順がC末端チオエステル基と適合しないためである。しかしながらDNPはライゲーション反応の間にチオールにより徐々に除去されて、保護されていないHisを生じる。切断後、ペプチドフラグメントを氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、アセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥する。バッファーA(HO/0.1%トリフルオロ酢酸)中バッファーB(アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)の直線グラジエントおよび214nmでのUV検出を用いることにより、C18カラム(Waters)でのRP−HPLCによりペプチドフラグメントを精製する。Esquire装置(Brueker, Bremen, Germany)、または同様の装置を用いてエレクトロスプレー質量分析(ESMS)により試料を分析する。
元来の化学的ライゲーション
以下にさらに十分に記載するように、保護されていないフラグメントのライゲーションを以下のように実施する:pHほぼ7で、1−8mMの最終ペプチド濃度を得るために、6M塩酸グアニジン(GuHCl)、0.2Mリン酸塩(pH7.5)中等モル量で乾燥ペプチドを溶解し、そして1%ベンジルメルカプタン、1%チオフェノールを加える。通常一晩反応を実施し、そしてHPLCおよびエレクトロスプレー質量分析によりモニタリングする。ライゲーション産物を続いて処理して依然存在する保護基を除去する。N末端チアゾリジン環の開口はさらにpH3.5で最終濃度0.5Mまでの固体メトキサミンの添加、およびさらに37℃で2時間のインキュベーションを必要とする。分取HPLC精製の前に、10倍過剰のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを加える。ポリペプチド鎖を含有する分画をESMSにより同定し、プールし、そして凍結乾燥する。
フラグメント4および5のライゲーションを6M GuHCl中、pH7.0で実施する。各反応物の濃度は8mMであり、そして1%ベンジルメルカプタンおよび1%チオフェノールを加えて還元環境を創成し、そしてライゲーション反応を促進する。37℃で一晩攪拌した後、ほぼ定量的なライゲーション反応が観察される。N末端チアゾリジン環を開くために、反応のこの点で、CH−O−NH.HClを溶液に加えて最終濃度0.5Mを得て、そしてpHを3.5に調整する。37℃で2時間のインキュベーションの後、ESMSを用いて反応の完了を確認する。続いて反応混合物をペプチドフラグメント上で10倍過剰のトリス(2−カルボキシエチルホスフィン)で処理し、そして15分後、調製用HPLC(例えばC4、20−60%CHCN、分あたり0.5%)を用いてライゲーション生成物を精製し、凍結乾燥し、そして−20℃で保存する。
残りのライゲーションのために同一の手順にわずかな修正を加えて繰り返す。
ポリペプチドフォールディング
還元された凍結乾燥タンパク質(約0.1mg/ml)を1M GuHCl、100mMトリス、10mMメチオニン(pH8.6)中に溶解することによる空気酸化によりリフォールディングを行う。一晩穏やかに攪拌した後、前記したようにRP−HPLCによりタンパク質溶液を精製する。
実施例3:CPP抗体組成物の調製
実質的に純粋なCPPまたはその一部を得る。最終調製物中のタンパク質濃度を例えばAmiconフィルター装置で濃縮することにより、mlあたり数マイクログラムのレベルまで調整する。次いでタンパク質に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を“モノクローナル抗体”および“ポリクローナル抗体”と題したセクションで記載するように調製する。
簡単には、抗CPPモノクローナル抗体を生成するために、マウスに数マイクログラムのCPPまたはその一部を数週間にわたって接種する。次いでマウスを屠殺し、そして脾臓の抗体産生細胞を単離する。脾臓細胞をポリエチレングリコールの手段によりマウス骨髄腫細胞と融合し、そして、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)上での系の成長より過剰の融合していない細胞を破壊する。うまく融合した細胞を希釈し、そして希釈のアリコートをマイクロタイタープレートのウェルに置き、ここで培養物の成長を続けさせる。最初にEngvall, E., Meth.Enzymol. 70:419(1980)(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されたように、ELISAのようなイムノアッセイ手順によりウェルの上清液中の抗体の検出により抗体産生クローンを同定する。選択した陽性クローンを広げ、そしてそのモノクローナル抗体生成物を使用のために収集することができる。モノクローナル抗体産生のための詳細な手順はDavis, L. et al., Basic Methods in Molecular Biology Elsvier, New York、Section21-2(その開示は全て出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
免疫によるポリクローナル抗体生成のために、マウスをCPPまたはその部分で免疫することにより、CPPまたはその部分の異種性エピトープに対する抗体を含有するポリクローナル抗血清を調製し、これを修飾または未修飾して免疫原性を増強させることができる。任意の非ヒト適当な動物、好ましくはラット、ウサギ、ヤギまたはウマを含む非ヒト哺乳動物を選択することができる。
モノクローナルもしくはポリクローナルプロトコールのいずれかに従って調製した抗体調製物は生物学的試料中のCPP濃度を決定する定量的イムノアッセイに有用であるか;またはこれらを半定量的もしくは定性的に用いて生物学的試料中の抗原の存在を同定する。タンパク質を発現する細胞を殺すため、または体内のタンパク質のレベルを低下させるために、抗体を治療用組成物において使用することもできる。
図1はCPP12の完全長配列(配列番号1および2)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により同定されたトリプシンペプチドの配列(配列番号3−4)を示す。配列番号1および2でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドは、下線を付している。シグナルペプチドは配列番号1で二重下線を付している。 図2はCPP15の配列(配列番号6)、成熟前のタンパク質配列(配列番号5)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号7−12)を示す。配列番号5および6でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。シグナルペプチドには二重下線を付し、C末端プロペプチドは斜体と二重下線を付している。 図3はCPP16完全長配列(配列番号13)および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でMS−MS質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号14−19)を示す。配列番号13でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。 図4はCPP18(配列番号21)、その前駆体(配列番号20)の配列および冠動脈疾患を有する個体の血漿中でタンデム質量分析により見出されたペプチド配列(配列番号22−25)を示す。配列番号20および21でタンデム質量分析により観察されたトリプシンペプチドには下線を付している。配列番号20でシグナルペプチドには二重下線を付している。

Claims (16)

  1. (a)
    i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ii)配列番号1−2、5−6、13および20−21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;および
    iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;
    から選択されるポリペプチドのレベルを対象からの生物学的試料において検出および/または定量すること;
    (b)該レベルを対照試料のレベルと比較すること;
    の工程を含み、ここで、対照のレベルに相対する該レベルの上昇が心臓血管障害を示すものである、対象における心臓血管障害のスクリーニングおよび/または診断の方法。
  2. (a)
    i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ii)配列番号1−2、5−6、13および20−21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;および
    iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;
    から選択されるポリペプチドのレベルを対象からの生物学的試料において検出および/または定量すること;
    (b)該レベルを対照試料のレベルと比較すること;
    の工程を含み、ここで、対照のレベルに相対する該レベルの上昇が心臓血管障害を発症させる危険性を示すものである、対象における心臓血管障害を予測する方法。
  3. 請求項1または2の2個またはそれより多いポリペプチドのレベルを該対象からの生物学的試料において検出および/または定量する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 該心臓血管障害が冠動脈疾患(CAD)である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 生物学的試料が血漿である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 該ポリペプチドが質量分析により検出および/または定量される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 該ポリペプチドが酵素結合免疫吸着アッセイにより検出および/または定量される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  8. 該ポリペプチドが異種性ポリペプチド配列に融合されている配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  9. 配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに選択的に結合する、抗心臓血管障害血漿ポリペプチド(CPP)抗体。
  10. i)抗体結合を可能にする条件下で請求項9に記載の抗体を生物学的試料と接触させること;および
    ii);夾雑物を除去すること;
    の工程を含む、心臓血管障害血漿ポリペプチド(CPP)に抗体を結合させる方法。
  11. 該抗体が標識基に結合している、請求項10に記載の方法。
  12. 該試料がヒト血漿である、請求項10に記載の方法。
  13. i)少なくとも1個のCPP生物学的活性を許容する試料条件下で配列番号1−4、5−12、13−19および20−25からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むCPPに試験化合物を接触させること;
    ii)少なくとも1個の該CPP生物学的活性のレベルを決定すること;
    iii)該レベルを該試験化合物を欠く対照試料のレベルと比較すること;ならびに
    iv)心臓血管障害の予防および/または治療的処置のためのCPPモジュレーターとしてさらに試験するために該レベルに変化を引き起こす試験化合物を選択すること;
    の工程を含む、心臓血管障害血漿ポリペプチド(CPP)モジュレーターを同定する方法。
  14. (a)心臓血管障害に罹患する素因があるかまたは罹患している非ヒト試験動物に候補薬剤を投与すること;
    (b)心臓血管障害に罹患する素因がないかまたは罹患していない適合する対照の非ヒト試験動物に(a)の候補薬剤を投与すること;
    (c)(a)の非ヒト試験動物または(b)の対照動物から得られた生物学的試料において:
    i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ii)配列番号1−2、5−6、13および20−21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;および
    iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;
    から選択されるポリペプチドのレベルを検出および/または同定すること;ならびに
    (d)工程(c)のポリペプチドのレベルを比較すること;
    の工程を含み、ここで、非ヒト試験動物から得た生物学的試料中の1個のポリペプチドのレベルの、対照動物から得た生物学的試料のレベルに近づく変化が、候補薬剤が心臓血管障害のモジュレーターであることを示すものである、心臓血管障害のモジュレーターを同定する方法。
  15. 心臓血管障害に罹患する素因があるかまたは罹患している非ヒト試験動物が:
    i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ii)配列番号1−2、5−6、13および20−21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;および
    iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;
    から選択されるポリペプチドの血漿レベルの上昇を含む、請求項14に記載の方法。
  16. (a)薬剤の投与の前に対象から投与前生物学的試料を入手すること;
    (b)該対象からの生物学的試料において:
    i)配列番号1−2、5−6、13および20−21からなる群の1個から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    ii)配列番号1−2、5−6、13および20−21で示されるアミノ酸配列に相対して、1個またはそれより多いアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する少なくとも75%の配列同一性を有する変異体;および
    iii)最低で10アミノ酸長である前記のi)またはii)で定義されるポリペプチドのフラグメント;
    から選択されるポリペプチドのレベルを検出および/または定量すること;
    (c)対象から1個またはそれより多い投与後生物学的試料を入手すること;
    (d)投与後の試料または複数の試料中のポリペプチドのレベルを検出すること;
    (e)投与前試料中のポリペプチドのレベルを投与後試料中のポリペプチドのレベルと比較すること;ならびに
    (f)それに応じて薬剤の投与を調整すること;
    を含む、心臓血管障害を有するかまたはそれを発症させる危険性を有する対象の薬剤による処置の有効性をモニタリングするための方法。

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