JP2005530771A - 生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体 - Google Patents

生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体 Download PDF

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Abstract

生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体であって、
(i)一般式(I)又は(II)の脂質:
【化1】
Figure 2005530771

(式中、
及びXは同一又は異なり、−O−CH−、及び−OC(O)−から選択され;
及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C24炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン及びOR’(ここで、R’はC〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
各R及び各Rは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C10炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されている。)
【化2】
Figure 2005530771

(式中、
及びXは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
及びRは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
は−N(R−R(ここで、各Rは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり、
は、
(a)−[−A−Y−]−R
(式中、
各Yは同一又は異なり、−N(R−(Rは上記で定義したとおり)、
各Aは同一又は異なり、C〜C20アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
nは1から10であり;及び
は上記で定義した通りである。):又は、
(b)
−[−B−O−]−Q
(式中、各Bは同一又は異なり、C〜C10アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
mは1から10であり;及び
Qは−N(R、OH、OR’、OC(O)R’、及びハロゲン(ここで、R及びR’は上記で定義した通り)から選択される。))、及び
(ii)生物学的活性物質、
を含む該複合体。このような複合体は、生物学的活性物質を、例えば、遺伝子治療又はワクチン接種のような、細胞に運搬するのに使用することが出来る。

Description

本発明は、例えば、核酸、蛋白質及び小分子等の生物学的活性物質の細胞細胞への運搬に適した複合体に関する。本発明は又、例えば、予防、治療及びワクチンにおける、生物学的活性物質の細胞への運搬におけるこのような複合体の使用に関する。更に、本発明は本発明の複合体に使用される脂質に関する。
治療又は他の目的の為、特に、嚢胞性繊維症及びある種の癌のような病気の治療の為の遺伝子運搬は勿論周知である。かかる用語は、遺伝子又は遺伝子の一部を細胞内に運搬し、ある種の欠陥を是正することを意味する。本明細書において、この用語は標的細胞内に核酸物質を導入することも意味し、そして、遺伝子ワクチン、及び所謂「細胞工場」における産業上有用な蛋白質のインビトロ製造も意味する。
細胞運搬システムは大きく3つのクラス、即ち、裸のDNAを直接注射することを含むもの、ウィルス又は変性ウィルスを利用するもの、及び非ウイウス運搬剤を利用するものである。夫々には利点及び欠点がある。運搬剤としてウィルスは高効率及び高細胞選択性という利点があるが、毒性という欠点があり、炎症応答を惹起し、そして大きなDNA断片を扱う際に困難が伴う。本発明は、脂質を利用することで、これらの問題点を解決するものである。
遺伝子運搬においてカチオン性脂質を使用することは、1980年代後期に、フェルグナー(Felgner)によって開発され、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 84, 7413-7417に報告された。参照可能な最近のフェルグナー他の特許は米国特許第5264618号である。これらの各文献の開示内容は本明細書内に参照として取り込まれる。フェルグナーは、商品名「リポフェクチン(Lipofectin)」として知られ市販されているカチオン性リポソームを開発し、それは、サイトフェクチン、DOTMA、及び中性脂質DOPEの1:1の比から構成されている。それ以来、様々なカチオン性リポソーム製剤が考案され、それらの多くは合成カチオン性サイトフェクチン及び中性脂質の組み合わせである。所謂、LIDベクターで使用されるような標的蛋白質の利用も参考になる。これらのベクターは、インテグリン結合ペプチド、リポフェクチンのような脂質又は脂質混合物、及びDNAから構成される3成分ベクターである。インテグリンの標的から生じる特異性、及びある種のアデノウィルスベクターに匹敵するほどのトランスフェクション効率が達成された(Hart,
et al., Hum. Gene Ther., 9, 1037-47, 1998; Harbottle et al., Hum. Gene. Ther.,
9, 575-85, 1998; 及び、Jenkins et al., Gene Therapy 7, 393-400, 2000、これらの各文献の開示内容は本明細書内に参照として取り込まれる)。
サイトフェクチンは、あるスペーサーを介して疎水性尾に付着しているカチオン性頭部を有する陽性荷電分子である。DOTMAアナログのほかに、複合体アルキルアミン/アルキルアミド、コレステロール誘導体、及び、ジパルミトール、フォスファチジル−エタノールアミン、グルタメート、イミダゾール及びホスフォネートの合成誘導体を挙げることが出来る。これら物質及びそれらが機能する機構のリビューは、Angew. Chem. Int. Ed37, 1768-1785, 1998 に見られ、この開示内容は本明細書内に参照として取り込まれる。
様々な機構が示唆されてきた。早期の示唆としては、リポソームと細胞膜との間で膜融合が生起することである。最近になって、複合体のままでのエンドサイトーシスが提案されている。核酸及び脂質との間で形成された複合体は細胞表面に付着し、そしてエンドサイトーシスによって入る。それらはベシクル(小胞)又はエンドソーム内に局在して残る。核への移行は幾らか後に起こり、そこで、エンドソーム融合が起こり複合体が合体する。
この目的でウィルスではなくて脂質を使用することによって毒性の低下、コストの低減、かなり効率的な標的化(targeting)、及び核酸物質の大きな断片を扱うことを可能にする。不幸にも、トランスフェクション効率は比較的低いことが注目されている。
本発明者らは、相転移温度、脂質鎖長、該脂質における不法飽和の存在又は非存在、脂質頭部基のサイズ、及び脂質における荷電を含むトランスフェクションに影響を与える因子を考慮した。これらを検討した結果、我々は、トランスフェクション効率を改良することが出来る新たな脂質を設計した。核酸は、標的細胞によって取り込まれるか、又は内部化される形態で運搬されなければならず、適切に発現されなければならない。更に、核酸は、一般的に、ヌクレア−ゼのようなある種の細胞酵素から保護されなければ成らず、インビボ適用のためには、血清に対する適当な安定性を有していなければ成らない。即ち、脂質ベクターを設計する際には、内部化及び保護の両方を考慮しなければならない。
我々は、ある種の新たなジカチオン性脂質、及び、カチオン中心の間にすぺーさーを有するある種の新たなPEG−ベースの脂質を作成した。
本発明によれば、生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体であって、
(i)一般式(I)又は(II)の脂質:
Figure 2005530771
(式中、
及びXは同一又は異なり、−O−CH−、及び−OC(O)−から選択され;
及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C24炭化水素基であり、それは非置換又は水酸基、ハロゲン及びOR’(ここで、R’はC〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
各R及び各Rは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C10炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されている。)
Figure 2005530771
(式中、
及びXは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
及びRは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
は−N(R−R(ここで、各Rは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり、
は、
(a)−[−A−Y−]−R
(式中、
各Yは同一又は異なり、−N(R−(Rは上記で定義したとおり)、
各Aは同一又は異なり、C〜C20アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
nは1から10であり;及び
は上記で定義した通りである):又は、
(b)
−[−B−O−]−Q
(式中、各Bは同一又は異なり、C〜C10アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
mは1から10であり;及び
Qは−N(R、OH、OR’、OC(O)R’、及びハロゲン(ここで、R及びR’は上記で定義した通り)から選択される。))、及び
(ii)生物学的活性物質、
を含む該複合体が提供される。
本発明は又、
− (i)上記の式(I)又は(II)の脂質;及び(ii)生物学的活性物質を予混合することから成る、本発明の複合体の調製方法:
−このような方法で得ることが出来る複合体:
− (i)上記の式(I)又は(II)の脂質;及び
(ii)(a)インテグリン結合ペプチド;及び/又は、
(b)ポリカチオン性成分及び/又は、
(c)中性脂肪、を含む混合物:
− 本発明の混合物を生物学的活性物質と予混合することから成る、本発明の複合体の調製方法:
− インビボ、インビトロ、又はエキソビボで細胞を本発明の複合体と接触させることから成る、細胞に生物学的活性物質をトランスフェクションさせる方法:
− 本発明の複合体を、該複合体の核酸成分を発現させる条件下で上記の方法を用いて細胞にトランスフェクションすることから成る、細胞内での核酸の発現方法:
− (a)本発明の複合体を、該複合体の核酸成分にコードされたポリペプチドを発現させる条件下で上記の方法を用いて細胞にトランスフェクションし、;及び
(b)発現したポリペプチドを回収することから成る、ポリペプチドの調製方法:
− 細胞のトランスフェクション、細胞内での核酸の発現、又は、ポリペプチドの調製における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用:
− 本発明の複合体、及び薬学的に許容し得るキャリア、希釈材、又は賦形剤を含む医薬組成物:
− ヒト又は動物の体の予防又は治療方法に使用する、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体:
− 遺伝的欠陥又は修飾が基因するか又は関連する状態の予防又は治療の為の薬剤の製造における、本発明の複合体の使用:
− アンチセンス核酸又はiRNAによる状態の予防又は治療の為の薬剤の製造における、本発明の複合体の使用:
− 宿主に治療上有効量の本発明の複合体を投与することから成る、該宿主における遺伝的欠陥又は修飾に基因するか又は関連する状態の治療方法:
− 宿主に治療上有効量の本発明の複合体を投与することから成る、該宿主におけるアンチセンス核酸又はiRNAによる状態の治療方法:
− 本発明の複合体、及び薬学的に許容し得るキャリア、希釈材、又は賦形剤を含むワクチン:
− ヒト又は動物にワクチンを接種する方法における、本発明の複合体の使用:
− ヒト又は動物にワクチンを接種するための薬剤の製造における、本発明の複合体の使用:
− 哺乳類宿主に本発明の複合体を投与することから成る、該宿主において免疫を惹起させる方法:
− 細胞と本発明の複合体を接触させることから成る、該細胞を修飾する方法:及び
− 上記の式(I)又は(II)の脂質:
を提供するものである。
本明細書及び請求の範囲を通して、「含む」及び「成る」並びに、「含んでいる」及び「成っている」等のこれらの変形は包括的に理解されなければならない。即ち、これらの用語は、内容的に許される場合には、具体的に記載されていない他の要素又は成分を含む可能性を意図するものである。
本発明は、生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体に関するものである。該複合体は新規な脂質に基づくものである。本発明の複合体は、例えば、遺伝子治療及びワクチン(予防接種)に使用することが出来る。遺伝子治療は、例えば、遺伝子欠陥又は修飾を是正するために実施される。
がある
疑問を避けるために、上記の一般式(I)及び(II)において、X及びX部分の配向は、描かれた部分の右手側がR及びRに結合している。
一般式(I)及び(II)の脂質は、当然のことながら、カチオン性であり、一つ又はそれ以上の薬理学的に許容されるアニオンと会合する。許容されるアニオンの例には、例えば、塩化物(クロライド)、臭化物(ブロマイド)、ヨウ化物(イオダイド)、硫酸、硝酸、リン酸のような様々な無機酸のアニオン、並びに、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸塩メタンスルホン酸、及びp−トルエンスルホンのような有機酸のアニオンが含まれる。好適なアニオンは、塩化物(クロライド)、臭化物(ブロマイド)、ヨウ化物(イオダイド)、硫酸、硝酸、酢酸、マレイン酸、シュウ酸、及びコハク酸である。より好適なアニオンは臭化物及びヨウ化物である。
典型的には、X及びXが同一であり、好ましくは、−O−CH−である。
不飽和炭化水素基の例としては、アルキレン基及びアルキニル基がある。好適な不飽和炭化水素基は一つ又はそれ以上、例えば、一つ又は二つの二重結合(シス又はトランス)を有するアルケニル基である。典型的には、不飽和炭化水素基は、つ又は二つのシス二重結合を有するアルケニル基である。典型的には、このような炭化水素基は非置換である。
典型的には、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜Cアルキルである
好適には、R及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C10〜C22炭化水素基であり、それは非置換又は上記のとおり置換されている。より好適には、R及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C12〜C20炭化水素基であり、それは非置換又は上記のとおり置換されている。更に好適には、R及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C16〜C18炭化水素基であり、それは非置換又は上記のとおり置換されている。最も好適には、R及びRは同一又は異なり、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、又はレノレン酸の残基である。最も好適には、R及びRはオレイン酸残基[(CHCH=CH(CHCH]である。
典型的には、R及びRは同一である。典型的には、R及びRは非置換、又は、一つ、二つ又は三つの置換基を有している。好適には、R及びRは非置換である。
典型的には、各R及び各Rは、非置換、又は水酸基、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上、例えば、一つ又は二つの置換基によって置換されている。
好適には、各R及び各Rは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C炭化水素基、例えば、C〜C炭化水素基であり、それは非置換又は上記のように置換されている。典型的には、各Rは同一である。典型的には、各Rは同一である。好ましくは、各R及び各Rは同一である。
典型的には、R及びRはC〜C10アルキル基、例えば、C〜Cアルキル基である。好ましくは、R及びRはメチルである。
典型的には、R及びRは非置換又は一つ又は二つの置換基を有する。R及びRの好適な置換基は、水酸基又はOR’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)である。より好ましくは、R及びRは非置換である。
好ましくは、nは1から5、より好ましくは1から2、典型的には1である。
好ましくは、mは1から5、より好ましくは1から3、典型的には1又は2である。
好ましくは、Aは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたC〜C10アルキレン基、例えば、C、C又はC10である。より好ましくは、Aは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたC〜Cアルキレン基である。更に好ましくは、Aは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたC、C又はCアルキレン基である。最も好ましくは、Aは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたプロピレン基である。
典型的には、Aは非置換、又は一つ又は二つの上記の置換基で置換されている。Aの好適な置換基は、水酸基、ハロゲン、及びOR’(ここで、R’はC〜Cアルキル基である)から選択される。より好ましくは、Aは非置換である。
好ましくは、Bは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたC〜Cアルキレン基である。より好ましくは、Bは非置換又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたC、C又はCアルキレン基である。最も好ましくは、Bは非置換、又は一つ又はそれ以上の上記の置換基で置換されたエチレン基である。
典型的には、Bは非置換、又は一つ又は二つの上記の置換基で置換されている。Aの好適な置換基は、水酸基、ハロゲン、及びOR’(ここで、R’はC〜Cアルキル基である)から選択される。より好ましくは、Bは非置換である。
Qは好ましくはN(R又はOHである。典型的には、QはNMe又はOHである。
本発明は、更に、構造(III):
Figure 2005530771
(式中、
Rは同一又は異なり、
(a)H,
(b)−CH−N(R−CH−CH−[−Y−(CH−]−Z,又は
(c)−CH−N(R
(但し、一つのRは水素であり他方は(b)群;又は両方のRが(c)群である)であり;
Xは同一又は異なり、OCH又はO−C(O)であり;
は同一又は異なり、飽和又は不飽和で、C7〜C23鎖であり;
は同一又は異なり、C1〜C6飽和又は不飽和鎖であり;
YはNH,CH,O、N(アセチル)であり;
ZはO(C〜C)、OC(O)R,N(R、OH,F,Cl,Br又はI(ここで、RはC1〜C6アルキル)であり;
は同一又は異なり、C1〜C6鎖であり;
nは2,3又は4であり;
mは1〜200であり、少なくとも2つの繰り返し単位が同一か又は異なる。)
を含む組成物を提供する。
構造式(III)において、一つのRは水素であり他方は(b)群、又は両方のRが(c)群であることが好ましい。このうちの一番目の場合では、脂質はPEGベースであり、二番目の場合にはエリスリトールに基づくものとなる。
構造式(III)において、好ましくは、mは100以下であり、より好ましくは50以下であり、特に、25以下、更に好ましくは12以下である。好ましくはmは少なくとも2である。
構造式(III)において、好ましくは、YがCHのときは、ZはOHではなく、好ましくはO(C1−C4)ではない。
構造式(III)はカチオン性であるので、それは一つ又はそれ以上の適当な非毒性アニオンを伴う。適当なアニオンにはハロゲン化物、特に、イオダイドがある。
エリスリトールに基づく構造式(III)の脂質においては、二つのRが実質的に同一であり、及び/又は、二つのR基が実質的に同一である。二つのRが実質的に同一であり、且つ、二つのR基が実質的に同一であるときには、全構造は対称的となる。
構造式(III)においてXがOCの場合に結合はエーテルとなり、この基O−C(O)である場合に結合はエステルとなる。エーテル構造はより活性が高いので好ましい。
構造式(III)における尾Rの鎖長が検討された。結合Xの炭素原子を含めて、C10〜C22が好ましく、直鎖が好ましい。正確な値は用途に依るが、現時点では、C16又はC18程度が最適のようである。他に可能なものとして、C12、C14及びC20を挙げることが出来る。
この尾は飽和又は不飽和であり、不飽和のときはシス又はトランスである一つ又はそれ以上の二重結合、及び/又は一つ又はそれ以上の三重結合を含むことが出来る。典型的な不飽和構造には一つ又は二つのシス二重結合を含むものが含まれる。不飽和脂質においてより高いトランスフェクション効率が見出された。
構造式(III)におけるRは、好ましくは直鎖アルキルであるが、分岐基も可能である。C1,C2,C3及びC4が好ましい。Rについても同様である。
mが二つ又はそれ以上のときに構造式(III)における繰り返し単位[Y−(CH)−]は全て同じでも良いが、一つを除くずべてのYがCHであり、従って、他の可能性の一つを繰り返し単位の只一つにおいて有することが好ましい。Oが現時点では好ましい。メチレン基の数(n)は2が好ましいが、他の数、例えば、1,3,4,5、及び6も或る状況においては望ましい。
本発明の脂質は、一つ又はそれ以上のキラル中心を有する。特に、エリスリトールに基づく脂質においては、上記一般式に示されたような二つの炭素原子はキラル中心になる。即ち、構造がこれら炭素原子間に対称面を有していない場合には4つの異性体があり、そのような場合には、3つの異性体が存在する。疑問を避けるために、本明細書に記載されて化学構造は示されたずべての化合物の立体異性体を包含するものであり、それはラセミ体及び非ラセミ体混合物、並びに、純粋なエナンチオマー及び/又はジアステロアイソマーを含む。
二つのカチオン性荷電、特に、中心の分離が上記のようなときには二番目の四級アンモニウム中心の存在が、脂質と拡散物質との間の相互作用を改善する原因であることを見出した。一般的には、スペーサー(間隔)は適度に短いのが好ましく、例えば、C2〜C6、及び好ましくはC3,C4,又はC5である。意図は、形成される複合体が標的細胞内に入ることが出来、その後に、核酸が放出され、細胞核内、又は、又は遺伝子発現を調節又は影響を及ぼす他の方法でで発現することである。
本発明の脂質は、生物学的活性物質の細胞内への運搬に使用される適当な一つ又はそれ以上のほかの成分との複合体として形成されても良い。典型的には、このような複合体は本発明の脂質及び生物学的活性物質を含む。本発明の複合体はインテグリン結合ペプチド、ポリカチオン性成分、及び中性脂質の一つ又はそれ以上を含むこともできる。
適当な生物学的活性物質には、核酸、ペプチド、及びポリペプチド、及び小分子が含まれる。生物学的活性物質は、細胞内に導入されたときに、例えば、免疫応答又は炎症応答を刺激したり、酵素活性を発揮したり、変異を補完したりする等の生物学的活性を有するものである。これら特定の生物学的活性は単に例として挙げたものであり、これらに限定されるものではない。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドの高分子形態であって、デオキリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれか、又はそれらの類縁体(アナログ)を示す。ポリヌクレオチドの非限定的例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、伝令RNA(mRNA)、転移RNA,リボソームRNA,リボザイアム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、コスミド、ベクター、人工染色体、任意配列の単離DNA、任意配列の単離RNA、核酸プローブ、及び、プライマーが含まれる。
本発明のポリヌクレオチドには合成又は修飾ヌクレオチドが含まれていてもよい。ポリヌクレオチドに対する修飾の多くの異なる型が当業界で公知である。このような修飾はインビボ活性、寿命、ヌクレアーゼ耐性、又は細胞進入能力を増大させるために行われる。例えば、ホスホロチオネートオリゴヌクレオチドが使用される。他のデオキシヌクレオチドのアナログの例には、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオアート、N3‘P5’−ホスホルアミデート及びオリゴリボヌクレオチド ホスホロチオアート、並びに、それらの2‘−O−アルキルアナログ及び2‘−O−メチルリボヌクレオチド メチルホスホネートがある。
或いは、混合骨格オリゴヌクレオチド(Mixed Backbone Oligonukleotides)を使用することも出来る。MBOはホスホチオネートオリゴデオキシヌクレオチドのセグメント、及び修飾オリゴデオキシ‐又はオリゴリボヌクレオチドの適当に置換されたセグメントを含む。MBOはホスホチオネート結合のセグメント、及び、メチルホスホネートのような、非イオン性でヌクレアーゼ又はO−アルキルオリゴリボヌクレオチドに対して非常に耐性である他の修飾オリゴヌクレオチドの他のセグメントを含む。
本発明の複合体のDNAは直鎖分子、又は、例えば、プラスミド又はコスミドのような環状分子であり得る。直鎖DNA分子の例としては染色体又はミニ染色体の形態におけるDNAが含まれる。
本発明の複合体のDRNAは、ポリシストン性、即ち、一つ以上のコード配列を含むものであり得、従って、内部リボソームエントリー部位(IRES)を含むことが出来る。
本発明で使用されるDNAが一つ以上のDNAコード配列を含むときには、それらコード配列は独立した調節配列に機能的に結合することができる。又は、コード配列は、共通の調節配列に機能的に結合していても良く、そのような場合には、コード配列はIRESによって分離されていても良い。
本発明の複合体におけるRNAは直鎖、又は、レプリコン特にαウィルスレプリコンのような環状であり得る。RNAは一本鎖又は二重鎖であり得る。RNAはmRNAでも良い。適当なmRNAは典型的には5‘キャップ及び/又は3’ポリAテール(末端)構造を含んでいる。更に、ポリAの長さは標的細胞内でのmRNAの安定性を調節し、mRNAからの導入遺伝子の転写期間を調節するために調整することが出来る。典型的には、ポリAテールは約300残基長であり、好ましくは約50〜約90残基長である。
コードは配列を有する本発明の核酸は発現ベクターに含まれていても良い。適当な発現ベクターには、例えば、所望のペプチド又はポリペプチドをコードするコード配列のようなヌクレオチド配列が含まれている。このような発現ベクターは分子生物学において日常的に構築されるものであり、例えば、プラスミド又はコスミドDNA、適当なイニシエーター、プロモーター、エンハンサー、及び、ポリアデニレーションシグナルのような必要となり得る他の要素を使用し、それらはタンパク質発現を可能するために、正しい位置に配置される。アンチセンスRNAを産生するために、本発明で使用するに適した核酸をベクター内にアンチセンス方向で挿入することも出来る。
「プロモーター」とは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始するヌクレオチド配列である。プロモーターには、誘導プロモーター(プロモーターに機能的に結合したポリヌクレオチドの発現がアナライト、コファクター、調節たんぱく質等によって誘導される)、抑制プロモーター(プロモーターに機能的に結合したポリヌクレオチドの発現がアナライト、コファクター、調節たんぱく質等によって抑制される)、及び、構成的プロモーターが含まれる。更に、このようなプロモーターが組織特異性を有することも可能である。「プロモーター」又は「調節要素」いう用語には、完全長プロモーター領域及びそれら領域の機能的(例えば、転写又は翻訳の調節)なセグメントを含む。
即ち、本発明の複合体で使用するためのポリヌクレオチド、特に、コード配列は、該コード配列を宿主細胞によって発現させることを可能とする調節配列に機能的に結合している。言い換えるならば、ベクターは発現ベクターである。「機能的に結合している」という用語は、記載される成分がそれらの意図する様式で機能することを可能とする関係にあるような並列を意味する。コード配列に機能的に結合しているプロモーターのような調節配列は、該コード配列の発現が該調節配列と適合する(compatible)条件下で達成されるような様式で位置している。調節配列は典型的にはプロモーター及びオペレーターを有し、更に、適宜、例えば、エンハンサー及び/又はターミネーターのような他の型の調節配列も含むことが出来る。エンハンサーはプロモーターから開始する転写レベルを増大させる任意のポリヌクレオチド配列であり、シス又はトランスベースで機能する。ターミネーターは、RNAポリメラーゼの前記配列からの解離を促進することが出来る任意のポリヌクレオチド配列である。
調節配列はコード配列の5‘、3’又は内部(イントロン)に位置することができる。コード配列は、一つ以上、例えば、2,3,4又は5つの二つの調節配列に機能的に結合することができる。このような複数調節配列は、例えば、コード配列の完全に5‘に位置することが出来る。しかしながら、より典型的には、調節配列は、適当な内部調節配列と共に、コード配列の5‘及び3’の両方に位置することも出来る。
調節配列は任意の適当な取得源に由来するもので良く、組み換え技術又は合成手段によって生成することが出来る。
ベクターは、複製起点、適宜、所望のポリヌクレオチドの発現プロモーター及び該プロモーターのレギュレーターが備わった、例えば、プラスミド、ウィルス又はファージベクターであり得る。ベクターは一つ又はそれ以上の選択マーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合のアンピシリン耐性遺伝子または菌ベクター用の耐性遺伝子を含むことが出来る。ベクターは、例えば、DNA若しくはRNAの生産、又は哺乳類宿主細胞のような宿主細胞のトランスフェクション又は形質転換に使用するインビトロで使用することが出来る。ベクターは又、例えば、遺伝子治療又はワクチン接種のようなインビボに適用して使用することも出来る。
本発明の複合体で使用する適当な核酸は天然源から得ることが出来、又は、組み換え又は化学的合成によって製造することが可能である。それらは、例えば、核局在化配列のような特別な機能をコードする配列を含むように修飾することが出来る。
本発明の複合体で使用する適当な核酸は、遺伝子治療、遺伝子ワクチン、アンチセンス治療又は干渉RNA治療で使用するために選択することが出来る。これら使用の全ては一般的に遺伝子治療と称される。
これまで記載されてきたように、適当な転写及び翻訳調節要素は一般的に提供される。遺伝子治療には、核酸成分は一般的にプラスミド又はベクター内に挿入された形態で示される。しかしながら、ある場合には、発現を達成するために核酸成分をベクター内に取り込ませる必要はない。例えば、遺伝子ワクチン接種及びアンチセンス治療は裸の核酸(核酸そのもの)を使用して実施することが出来る。核酸は一般的には、DNAであるが、しかしながら、RNAも、例えば、癌ワクチン接種のような場合には使用することが可能である。
本発明の複合体における核酸は特定の遺伝子治療の標的となる遺伝子に関連するか、又は、遺伝子ワクチン又はアンチセンス治療剤としてとして機能する分子であり得る。該核酸は完全長コード配列であるかそれに対応するか、又は、コード配列の一部であり得る。
核酸は、アンチセンス機構又はRNA干渉(RNAi)機構を介して作用するように選択することが出来る。アンチセンスRNAは標的mRNAの全て又はその一部に実質的な相補性を有するポリヌクレオチドを含む。標的mRNAの全て又はその一部に実質的な相補性を有するポリヌクレオチドは典型的には、そのmRNAにハイブリダイズすることが出来るものである。RNAが標的mRNAの全て又はその一部に実質的な相補性を有する場合には、一般的に、そのmRNA内のヌクレオチドの連続したセットに対する実質的な相補性を有するものである。
一般的に、本発明で使用可能な2つのアンチセンス手法がある。
一つの手法は、標的mRNAの全て又はその一部に実質的に相補的な配列であるポリヌクレオチド(即ち、該mRNAとハイブリダイスが可能なポリヌクレオチド)の発現を可能にするベクターを使用するものである。これによって、RNA−RNA二重鎖が形成され、その結果、例えば、ヌクレアーゼに対して感受性とすることによって、標的メッセージの不安定化及び/又は本若ノ直接の阻害がもたらされる。このベクターは典型的には、標的mRNAのリボソーム結合領域及び/又はコード領域にハイブリダイズするポリヌクレオチドを発現させるものである。
別の手法として、標的mRNAにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドが運搬されるものである。アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNA代謝の一つ以上の態様、例えば、プロセッシング、翻訳、又は代謝変化等に干渉することによって標的遺伝子を阻害するものとされる。化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドも使用することが出来、ヌクレアーゼ耐性及び/又は細胞透過性を増加させることが出来る。
一番目の手法においては、ベクターは標的mRNAの全て又はその一部に実質的に相補的な配列であるポリヌクレオチドを発現することが出来る。このようなポリヌクレオチドは標的mRNAとハイブリダイズすることが可能である。典型的には、このようなポリヌクレオチドはRNA分子である。このようなポリヌクレオチドは標的mRNAの全て又はその一部にハイブリダイズすることが出来る。一般的には、ポリヌクレオチドは標的mRNAの全て又はその一部に相補的である。例えば、該ポリヌクレオチドはこのようなmRNAの成分そのものであり得る。しかしながら、完全な相補性は必要ではなく、生理学的条件下で40℃より高い融解温度を有する二重鎖を形成する十分な相補性(即ち、実質的な相補性)を有する好適ポリヌクレオチドは特に本発明で使用するのに適している。ポリヌクレオチドは、0.03M塩化ナトリウム及び0.03Mクエン酸ナトリウム、及び約50〜60℃のようなハイストリンジェンシーな培地条件下で標的mRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドでも良い。
ポリヌクレオチドは標的mRNAのコード領域にハイブリダイズすることが好ましい。しかしながら、このようなmRNAの5‘−又は3’−非翻訳領域の全て又はその一部にハイブリダイズするポリヌクレオチドを採用することも出来る。ポリヌクレオチドは典型的には、完全長mRNAより短く、少なくとも40、例えば、少なくとも60又は少なくとも80ヌクレオチド長であり、100,200,300,400、500、600、又は700ヌクレオチド長までであるか、又は、5つ若しくは10ヌクレオチドのような数ヌクレオチドでも良い。
ポリヌクレオチド(即ち、“アンチセンス“ポリヌクレオチド)は適当なベクターから細胞内で発現され得る。適当なベクターは典型的には、転写されてポリヌクレオオチド(典型的にはRNA)を生じる配列を含む組み換え複製ベクターである。典型的には、ポリヌクレオチドをコードする配列は該配列の転写を提供しポリヌクレオチドを生じさせることができる調節配列に機能的に結合している。機能的に結合している」という用語は、記載される成分がそれらの意図する様式で機能することを可能とする関係にあるような並列を意味する。アンチセンスRNAを生じさせるようにコード配列に機能的に結合している調節配列は、該配列の転写が調節配列と適合する(compatible)ような条件下で達成されるような様式で結合している。
ベクターは、複製起点、適宜、転写を生起させるためのプロモーター及び該プロモーターのレギュレーターが備わった、例えば、プラスミド又はウィルスベクターであり得る。ベクターは一つ又はそれ以上の選択マーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合のアンピシリン耐性遺伝子又は哺乳動物ベクター用のネオマイシン耐性遺伝子を含むことが出来る。ベクターは、例えば、アンチセンスRNAの生産、又は宿主細胞のトランスフェクション又は形質転換に使用するインビトロで使用することが出来る。ベクターは又、例えば、遺伝子治療のようなインビボに適用して使用することも出来る。
プロモーター/エンハンサー及び他の発現調節シグナルをその為に発現ベクターを設計した宿主細胞に適合する(compatible)ように選択する。例えば、β―アクチンプロモーターのような哺乳動物プロモーターを使用することが出来る。例えば、モロニーマウス白血病ウィルス長末端反復(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウィルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)IEプロモーター、単純ヘルペスウィルス又はアデノウィルスのようなウィルスプロモーターを使用することも可能である。これら全てのプロモーターは当該技術分野で容易に入手可能である。好適プロモーターは、例えば、血管組織と特異的な発現を誘導するような組織特異的プロモーターである。
アンチセンスオリゴヌクレオチド手法において、適当なオリゴヌクレオチドは典型的には、標的mRNAと結合するような配列を有するものである。従って、典型的には、このようなmRNAの一部と実質的に相補的な配列を有する。適当なオリゴヌクレオチドは典型的には、そのmRNA内のヌクレオチドの連続したセットに対する実質的な相補性を有するものである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは一般的には、約6〜40ヌクレオチドの長さである。好適には、12〜20ヌクレオチドの長さである。
一般的には、使用されるオリゴヌクレオチドは使用する配列に完全に相補的な配列を有する。しかしながら、完全な相補性は要求される必要はなく、一般的には、標的核酸と安定な二重鎖を形成するに十分な相補性(即ち、実質的な相補性)を有する任意のオリゴヌクレオチドは適切と考えられる。二重鎖(又は三重鎖)の安定性はとりわけハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの配列及び長さ、及び標的配列とアンチセンスオリゴヌクレオチドとの間の相補性の程度に依存する。より長いオリゴヌクレオチドが使用される系では、より相補性が低いものを許容される。しかしながら、生理学的条件下で40℃より高い融解温度を有する二重鎖を形成する十分な相補性を有するオリゴヌクレオチド、特に、6から40ヌクレオチド長は、本発明での使用に特に適している。ポリヌクレオチドは、0.03M塩化ナトリウム及び0.03Mクエン酸ナトリウム、及び約50〜60℃のようなハイストリンジェンシーの培地条件下で標的mRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドでも良い。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは化学的に修飾されていてもよい。例えば、ホスホロチオネートオリゴヌクレオチドが使用される。他のデオキシヌクレオチドのアナログの例には、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ホスホロジチオアート、N3‘P5’−ホスホルアミデート及びオリゴリボヌクレオチド ホスホロチオアート、並びに、それらの2‘−O−アルキルアナログ及び2‘−O−メチルリボヌクレオチド メチルホスホネートがある。
或いは、混合骨格オリゴヌクレオチド(Mixed Backbone
Oligonukleotides)を使用することも出来る。MBOはホスホチオネートオリゴデオキシヌクレオチドのセグメント、及び修飾オリゴデオキシ‐又はオリゴリボヌクレオチドの適当に置換されたセグメントを含む。MBOはホスホチオネート結合のセグメント、及び、メチルホスホネートのような、非イオン性でヌクレアーゼ又はO−アルキルオリゴリボヌクレオチドに対して非常に耐性である他の修飾オリゴヌクレオチドの他のセグメントを含む。
本発明での使用に適した核酸はRNA干渉(RNAi)機構で作用することができる。このような核酸は典型的には二重鎖RNAであり、標的mRNAの一部に対して実質的に相補的な配列を有する。この型の好適核酸は典型的には短く、例えば、15マー〜25マー、特に、18マー〜23マーである。これらの短い核酸は干渉RNA(iRNA)と称される。
上記の短い核酸を使用することは、このような阻害剤は高等生物のウィルス防御機構を開始させないようであるので、好ましい。このような核酸はmRNAの翻訳を阻害するためにも使用することが出来る。
或いは、標的遺伝子産物(又は、それに実質的に類似する配列)をコードする配列の小断片を提供して、適当なベクター内で連続して(背中合わせで:back to back)クローニングすることも可能である。上記のベクターはこのような連続した配列の発現に適当である。該配列を発現することによって、所望の二重鎖RNAが生産される。
本発明の複合体で使用するに適した核酸は抗原をコードする配列であり得る。抗原は、宿主の免疫システムを刺激して抗原特異的細胞応答、又は液性小唄応答を作成させる一つ又はそれ以上のエピトープを含む分子である。抗原をコードする適当な核酸配列は、例えば、ウィルス、細菌、寄生虫、植物、原生動物、菌類等の任意の生物又は病原菌に由来するものである。この用語は腫瘍抗原も意味する。抗原は典型的には、一つ又はそれ以上のT細胞エピトープを有する。「T細胞エピトープ」とは、一般的に、T細胞応答を誘起することが出来るペプチド構造特性を有するものである。この意味で、T細胞エピトープにはMHC分子のペプチド結合裂け目(cleft)内の伸長した構造であると思われる直鎖状ペプチド決定基を含むものであると当該技術分野において認められている(Unanue et
al., Science 236, 551-557, 1987)。本明細書において、T細胞エピトープは一片的に、約15−18、好ましくは5−10又はそれ以上のアミノ酸残基を有するぺプチドである。本発明の複合体で使用するに適した核酸はこのようなT細胞エピトープをコードしている。
本発明の複合体の他欄巣フェクション効率は高いので、所望の蛋白質を産生することができる宿主細胞(所謂、「細胞工場」)の生産に特に適している。即ち、本発明の複合体での使用に適した核酸は、例えば、酵素のような産業上又は科学上有用な、例えば、薬剤又はワクチンとして治療上又は予防上使用することが出来る蛋白質のような医薬上有用な、例えば、ELISAで使用する抗原のような診断上有用な、商業上有用な蛋白質をコードすることが出来る。
本発明の複合体で使用される生物学的活性物質はペプチド又はポリペプチドであり得る。適当なペプチド/ポリペプチドは、上記の核酸の一つでコードされるものである。即ち、ペプチド/ポリペプチドは、例えば、遺伝子疾患において欠損又は欠落しているもの、又は、抗原、又は免疫源である。或いは、ペプチド/ポリペプチドとして、例えば、組織インシュリン、カルシトニン及びヒト成長ホルモンのような天天然ホルモン、又は、これら天然ホルモンの合成アナログであっても良い。更に、本発明の複合体で使用されるペプチド/ポリペプチドは、例えば、疾患又は悪性細胞を除去できるような、インターロイキン−2、腫瘍壊死因子、組織プラスミノーゲン活性化因子VIII、エリスロポイエチン、上皮成長因子のような成長因子、成長ホルモン放出因子、神経成長因子、並びに、リシン、ジフテリア毒素、コブラ毒因子、のような毒性ペプチドを挙げることが出来る。これらペプチドの断片も本発明の複合体で使用することが出来る。
本発明の複合体での使用に適したペプチド/ポリペプチドは、例えば、翻訳後修飾のような化学的に修飾されていても良い。例えば、それらはグリコシル化されるか、または、修飾アミノ酸残基を含んでいてもよい。それらはまた、精製を容易にするためのヒスチジン残基が付加され、又は、細胞膜内への挿入を促進するためのシグナル配列が付加されていても良い。
本発明の複合体で使用される生物学的活性物質は小分子であり得る。好適な小分子は、例えば、ハイドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド及びデキサメサゾンのようなステロイド、1−アセチルサリチル酸のような非ステロイド抗炎症剤、AZT、アシクロビル及びガンシクロビルのような抗ウィルスヌクレオシド、又は、このような抗ウィルスヌクレオシドのリン脂質誘導体、抗生物質、麻酔剤、細胞増殖抑制剤、又は免疫調節剤のような治療剤を挙げることが出来る。本発明の複合体は、又、サンスクリーン又は化粧品を含むことも出来る。
本発明の複合体は典型的には、本発明の脂質及び(核酸のような)生物学的活性物質を0.25〜12:1、例えば、0.5〜8:1、特に、0.75〜4:1、更に1〜2:1の重量比で含む。
本発明の複合体は例えば、インテグリン結合ペプチドのようなインテグリン結合成分を含むことが出来る。本発明の複合体での使用に適したインテグリン結合成分は、細部表面に見出されるインテグリンに特異的に結合することができる任意の成分である。インテグリン結合成分は、例えば、細胞外マトリックス蛋白質、ウィルスキャプシド蛋白質、細菌蛋白質インベーション、ヘビ毒ディスインテグリン蛋白質、又はこれら蛋白質のインテグリン結合断片のような、天然インテグリン結合リガンドであり得る。このようなインテグリン結合蛋白質及びそれらの断片は天然源、又は組み換え技術によって取得することが出来るが、それらを合成して大量に精製することは困難である。それらはDNA若しくはRNA、又は、DNA若しくはRNA結合に対するポリカチオン要素に対する直接の共役(コンジュゲーション)を必要とし、インビボにおいて免疫原となる。
従って、特に、合成、精製及び保存の容易さ、化学的修飾の可能性、並びに、インビボにおける免疫原としての可能性が低いことから、インテグリン結合ペプチドを使用することが好ましい。インテグリン結合ペプチドの例は、Verfaille, 1994#635; Wang, 1995#645; Staatz, 1991#539;
Pierschbacker, 1984#314; Massia, 1992#86; Clements et al. J. Cell Science 107,
2127-2135, 1994; Lu et al., Biochemistry J. 296, 21-24, 1993; Koivunen et al.,
Biol/Technology 13, 265-270, 1995; Koivunen et al., Biological Chemistry 268,
20205-20210, 1993; Koivunen et al., J. Cell Biology 124(3), 373-380, 1994; O’Neil et al., Proteins 14, 509-515, 1992; Healy et al., Biochemistry
34, 3948-3955, 1995; 及びPasqualani et al., J. Cell Biology 130, 1189-1196, 1995に挙げられている。
前に示したように、保存アミノ酸配列であるアルギニンーグリシンーアスパラギン酸(RGD)を含むペプチドはインテグリンと高親和性で結合する。従って、RGD配列を有するペプチドは特に好適である。インテグリンとペプチドリガンドとの間の親和性はRGDドメインに隣接する配列によって影響を受ける。環状領域を有していてその中でのRGD配列のコンフォメーション自由度が制限されているようなぺプチドは一片的にそれらの直鎖状の対応物と比較して、インテグリン受容体に対するより高い親和性を有している。このような環状ペプチドは特に好ましい。環状ペプチドは該ペプチド中の二つのシステイン残基によって形成され、ジスルフィド結合の形成される。好ましくは、二つのシステイン残基はRGD配列の末端の直ぐ隣りでないことが好ましいが、システイン残基は一つ又はそれ以上、例えば、6残基までRGD配列から離れていても良い。
ジスルフィド結合の形成によって環状化が可能なアミノ酸配列の例は、CRGDMFGCである。このCRGDMFGC配列から成るか、又はこれを含むペプチドは、本発明におけるインテグリン結合ペプチドとして有利に使用することが出来る。CRGDMFGC配列を含み、効果的なインテグリン結合リガンドであるペプチドの例は、GGCRGDMFGC,GGCRGDMFGCG,GGCRGDMFGCA,及びGACRGDMFGCAである。
ペプチド「GACDCRGDCFCA」は二つのジスルフィド結合を形成して、RGDループを確率する可能性がある。このペプチド及び二つのジスルフィド結合を形成する能力のある他のペプチドは本発明のインテグリン結合リガンドとして特に好適である。
更に有用なペプチドは「GACATRWARECG」である。
しかしながら、全てのインテグリン結合ペプチドがRGD配列を含むものではない。例えば、GACRRETAWACA,GACRRETAWACG,及びXSXGACRRETAWACGのペプチドはインテグリン特異的ペプチドである。CRRETTAWAC又はCRRETAWACを含む他のペプチドのような、非RGDペプチド、特に、ジスルフィド結合形成能を有するほかのペプチドも使用することが出来る。
ペプチド配列は、例えば、天然インテグリン結合リガンドのインテグリン結合ドメインに基づくように、公知のリガンドに基づき、又はインテグリンに結合する公知ペプチドに基づき、設計することが出来る。
上記のように、インテグリンは細胞表面に見出されるヘテロダイマー蛋白質のファミリーである。それらは異なる幾つかのα及びβサブユニットから構成される。幾つかのインテグリンは多くの型の細胞で見出され、他のものはより特異的であって、例えば、α5及びαVインテグリンは広範に様々な範囲の細胞において見出される。インテグリン結合リガンドは異なるインテグリンに対する親和性が変動することがある。例えば、GACRGDMFGCA(ペプチド1)はα5及びαVインテグリンに対して親和性を有するが、非特異的である(O’Neil et al., 1992, 上記;Hart et al., 1997、上記)。GACDCRGDCFCA(ペプチド5)はαVインテグリンに対して高い親和性を有するが、αV特異的ではない(Koivunen
et al. 1995, 上記;Hart et al., 1997、上記)。しかしながら、GACRRETAWACGはRGD領域を含まないが、α5β1特異的である(Koivunen
et al. 1995, 上記)。様々なインテグリン結合ペプチド及びそれらのインテグリン特異性を以下に示す。
Figure 2005530771
更なる可能性として、GA−CXCG(XはSERSMNFである)、YGLPHKF,PSGAARA,VKSMVTH又はLQHKSMPがある。
インテグリン結合ペプチドの代わりに、又はそれと共役して他のオリゴペプチドを使用することも出来る。例えば、ファージによるペプチドディスプレイライブラリーとのパニングによって同定されるオリゴヌクレオチド;メルトリンのような膜活性ペプチド;HIVtat蛋白質の断片;抗体のFv領域の一本鎖;VP22;核局在化配列;ミトコンドリア局在化配列;及びインフルエンザウィルスヘマトグルチニン蛋白質に基づくペプチドのような、他の標的リガンドである。
本発明の複合体は、典型的には、本発明の脂質及びインテグリン結合ペプチドを0.25〜4:4、例えば、0.5〜2:4、特に、0.75〜1:4の重量比で含む。
一般的に、本発明の複合体はカチオン性ポリマーのようなカチオン性成分を含む。生物学的活性物質が核酸の場合の複合いについて特に該当することである。本発明での使用に適したカチオン性ポリマーは典型的には、核酸に結合することが出来るおのである。特に、好適なカチオン性は核酸を直径が約50nmから約150nmの粒子内に濃縮することができるものでる。一般的に、適当なカチオン性ポリマーは低分子量ポリマーであり、ポリマー分子当りの正電荷数は典型的には約7〜50、好ましくは約7〜25、より好ましくは約12〜16である。適当なカチオン性ポリマーは任意の数のカチオン性モノマーを有することができるが、一般的には、該ポリマーは核酸への結合能を保持していなければならない。例えば、3〜100個のカチオン性モノマー、例えば、10〜20個のカチオン性モノマーが存在することができる。
適当なポリマーは、例えば、10〜20個、例えば、15〜17個、特に、16個のリジン残基(即ち、[K]16)を有するオリゴリジンを含む。即ち、3.4kDaの分子量を有するポリL−リジン(pLL)(分子当り平均16個の正電荷を有する)が好適である。他の適当なポリマーとしては、3.4kDaの分子量を有する(中性pHにおいて分子当り平均12個の正電荷を有する)ポリエチレンイミン(pPEI)及びポリアミドアミンデンドリマーが或る。適当なペプチドは米国特許出願第09/42456及び08/836786 に記載されており、これらの開示内容は参照として本明細書中に引用される。
ポリマーpLL及びpEIは水中、又は10mM HEPES内でRNA及びDNAを濃縮する。典型的には、pKaが9.0より大きいカチオン性ポリマー(例えば、pLL)は一般的には、エンドソーム活性を有していないために、細胞質ゾルに接近するためには、エンドソーム崩壊剤、例えば、クロロキノンの存在が必要である。
ポリカチオン性成分は結合されていることが有利であるが、そうでなければ、インテグリン結合成分に付着している。例えば、ポリカチオン性ポリマーは、例えば、オリゴリジンの場合のペプチド結合のように、インテグリン結合成分に化学的に結合させることが出来る。適当な結合の他の型として、チオエーテル又はジスルフィド結合を挙げることができる。ポリカチオン性成分はインテグリン結合成分の任意の位置に結合することが出来る。インテグリン結合成分とポリカチオン性ポリマーとの好適な組み合わせはオリゴリジン、特に、[K]16がペプチド結合を介して、例えば、上記の何れか一つのペプチドのようなインテグリン結合ペプチドに結合しているものである。
本発明の複合体は、典型的には、本発明の脂質及びポリカチオン性成分(例えば、ポリカチオン性ペプチドを0.25〜4:4、例えば、0.5〜2:4、特に、0.75〜1:4の重量比で含む。
インテグリン結合ペプチド及びポリカチオン性成分が組み合わされる場合には、本発明の脂質及び組み合わされたペプチドの比は、個々のインテグリン結合ペプチド及びポリカチオン性成分に対する上記のとおりである。
例えば、サッカライド残基または脂質等の、ペプチド以外の剤も濃縮カチオン性ポリマー上に導入することができ、生特的な受容体を含む物学的な蛋白質、液体、膜及び細胞と調剤との溶解性及び相互作用を調節する。
中性脂質を本発明の複合体で使用することが出来る。しかしながら、本発明の複合体は中性脂質がなくても良い。任意の中性脂質を本発明の複合体で使用することが出来るが、典型的には、膜不安定化特性を有するものが好ましい。膜不安定化特性を有する適当な中性脂質の例は、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。DOPEは、しばしば、「融合誘導(fusogenic)」特性と呼ばれる膜不安定化特性を有する。中性脂質:本発明の脂質の重量比は約0.5〜2:1、例えば、1:1である。
本発明の複合体の他の成分に対する上記の全脂質の量は、本発明の脂質個々に関する上記の通りである。
本発明の複合体は本複合体の成分を予混合することから成るプロセスによって調製することが出来る。成分は任意の順序で予混合することが出来るが、一般的には、脂質成分を最後に添加しないことが好ましい。インテグリン結合ペプチド/ポリカチオン性成分の組み合わせがある場合には、一般的に、これら成分を以下の順序で組み合わせることが好ましい:脂質;インテグリン結合ペプチド/ポリカチオン性成分の組み合わせ;生物学的活性物質。本発明の複合体の成分は上記の量で予混合することが好ましい。
典型的な本発明複合体は、本発明の脂質/[K]16GACRRETAWACGのようなインテグリン結合ペプチド‐カチオン性成分の組み合わせ/核酸(例えば、DNA)を重量比0.75:4:1、1:4:1、又は、2:4:1で予混合することにより調製することが出来る。中性脂質が存在する場合には、本発明の脂質:中性脂質(重量比1:1)であり、他の成分に対する脂質の全量は上記で述べたとおりである。
本発明は、脂質、一つ又はそれ以上のインテグリン結合ペプチド、ポリカチオン性成分及び中性脂質を含む予混合物も提供する。このような混合物の全ては上記したとおりである。このような混合物は、生物学的活性物質を、例えば、予混合によって該混合物内に取り込むことによって、本発明の生物学的活性物質含有複合体を製造するのに使用することが出来る。
本発明は、更に、本発明の混合物を生物学的活性物質と予混合することから成る、本発明の複合体の調製方法を提供する。混合物及び複合体の製造に関して、好適な成分、好適な成分の組み合わせ、成分の好適な比、好適な混合順序は上記で本発明の複合体に関して記載した通りである。
本発明の複合体は、細胞に生物学的活性物質をトランスフェクションさせる方法(プロセス)において使用することが出来る。このような方法では、宿主細胞は本発明の複合体と接触させられる。本発明の複合体は、核酸を宿主細胞内で発現させる方法に使用することが出来る。このような方法は、核酸を含む本発明の複合体を宿主細胞と接触させることを含む。宿主細胞は、その後、例えば、該核酸の発現を可能にするような培地中で培養する等、該複合体の核酸成分を発現させる条件下にさらす。
本発明の複合体は、更にポリペプチドの製造方法で使用される。このような方法において、宿主細胞は上記の方法を用いて、核酸を細胞にトランスフェクションする。トランスフェクションは該核酸にコードされるポリペプチドの発現に適した条件下で実施されるか、或いは、トランスフェクションされた細胞を該核酸にコードされるポリペプチドの発現に適した条件に移す。ポリペプチドはその後、宿主細胞又は培養培地から回収する。
上記の全ての方法において、宿主細胞は任意の宿主細胞であり得る。従って、該細胞は原核細胞又は真核細胞であり得る。細胞は細菌、マイコバクテリウム、原生生物、寄生虫、菌類、植物又は動物であり得る。適当な動物細胞は哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。
全ての方法は、インビボ、インビトロ又はエキソビボで実施できる。又、細胞を宿主から得て、上記方法によって本発明の複合体でトランスフェクションし、宿主に戻すことが出来る。本発明は、本発明の複合体でトランスフェクションされた細胞及びこのようなトランスフェクションされた細胞の娘細胞(progeny cells)を提供するものである。
本発明の複合体を構成する様々な成分は予混合し、又は、例えば、二つ又はそれ以上の部分的キットに包装され、投与中、又はその直前に混合される。つまり、本発明は、本発明の混合物を調製するのに適した成分又は本発明の混合物を含む、生物学的活性物質の細胞への運搬キットを提供する。即ち、キットは上記の式(I)又は(II)の脂質、及び一つ又はそれ以上のインテグリン結合ペプチド、ポリカチオン性成分及び上記の中性脂質を含む。このキットは生物学的活性物質も含む。例えば、キットは、適宜、コード配列を含むか又は空のプラスミドまたはベクターの形態である核酸を含む。
本発明のキットは適当な緩衝液及び/又は対照細胞を含むことができる。更に、本発明のキットは、該キットを上記の一つの方法で使用するための適当なパッケージング及び指示が含まれていることもある。即ち、該指示は、例えば、上記に示したような成分の好適な割合(比)及び成分の予混合の好適な順序について述べている。キットは遺伝子治療、ワクチン接種、iRNA治療のアンチセンスの使用に適した複合体の製造にしようすることが出来る。或いは、該キットは商業上有用な蛋白質をコードする核酸で宿主細胞をトランスフェクションする、言い換えるならば、細胞工場の製造に適した複合体の製造に使用することが出来る。
本発明の複合体は処置又はワクチン接種方法で使用することが出来る。本発明における処置とは治療又は予防である。
本発明の治療(処置)は典型的には、遺伝子治療、アンチセンス治療又はiRNA治療である。従って、本発明の複合体は核酸の移入、例えば、ヒト又は動物の治療方法に使用することが出来る。本発明の複合体は又、核酸移入、ヒト又は動物の治療方法、特に、遺伝的欠陥又は修飾が基因するか又は関連する状態の治療の為に使用する薬剤の製造に使用することが出来る。このような状態で苦しむ患者の状態は本発明の複合体を投与することによって改善することが出来る。治療上有効量の本発明の複合体を必要とする宿主に投与することが出来る。宿主はヒト又は動物であり得る。
遺伝子治療の標的は周知であり、単一遺伝子病、例えば、嚢胞性繊維症、様々な癌、並びに、HIVのようなウィルス感染を含む。例えば、p53遺伝子のトランスフェクションは癌治療に非常に有力である。遺伝子ワクチンの標的も周知であり、天然源に由来するワクチン接種がヒトに対して危険すぎるような病原体に対するワクチン接種、及び、例えば、肝炎Bウィルス、HIV、HCV及び単純ヘルペスウィルスのような組み換えワクチンが常に有効ではない組み換えワクチン接種が含まれる。アンチセンス治療に対する標的も周知である。疾患の遺伝的基礎に関する知識が増大するにつれて、遺伝子治療及びアンチセンス治療に関する更なる標的が提案されており、遺伝子ワクチン接種についても更なる標的が提案されている。
本発明の複合体はワクチン接種で使用することが出来る。即ち、本発明の複合体は抗原又は抗原をコードする核酸を運搬するのに使用することが出来る。つまり、本発明の複合体は遺伝子ワクチン接種で使用することが出来る。本発明の複合体は、例えば、癌、アレルギー、ウィルス、細菌、菌類及び他の病原生物等の病原体による毒又は感染を含む様々な病状の治療及び/又は予防の為に、広範囲な抗原に対する免疫応答を開始させる為に使用することが出来る。
本発明の複合体で使用する適当なウィルス抗原及びこれら抗原をコードする核酸には、例えば、肝炎Aウィルス(HAV),肝炎Bウィルス(HBV)、肝炎Cウィルス(HCV)、肝炎Dウィルス(HDV)、肝炎Eウィルス(HEV)及び肝炎Gウィルス(HGV)を含む肝炎ウィルスファミリーから得られる又は由来するものがある。国際公開第WO 89/04669; WO 90/11089; 及びWO 90/14436を参照されたし。HCVゲノムはE1及びE2を含む幾つかの蛋白質をコードしている(Houghton
et al. (1991) Hepatology 14:381-388)。これらの蛋白質をコードする配列を含む核酸分子及びその抗原性断片は本発明方法で使用することが出来様.同様に、HDV由来の8抗原に対するコード配列も公知である(米国特許第5,378,814参照)。
同様の様式で、肝炎ファミリーからの広範囲な蛋白質、このような蛋白質をコードする核酸を本発明の抗原として使用することが出来る。これらには、単純ヘルペスウィルス(HSV)型1及び2に由来する蛋白質、例えば、HSV-1及びHSV-2糖蛋白質gB,gD、及びgH;水疱瘡ウィルス(VZV9、エプシュタインーバールウィルス(EBV9、及び、CMVgB及びgHのようなサイトメガロウィスル(CMV)からの抗原;及び、他のHHV6及びHHV7のようなヒト肝炎からの抗原が含まれる(J.K.
McDougall, ed., Springer Verlag, pp. 125-169; McGeoch et al. (1988) J. Gen.
Virol. 69:1531-1574; 米国特許第5,171,568; Baerエt亜l.(1984)Nature及びDavison et al. (1986) J. Gen. Virol.
67:1759-1816)。
HIVの様々な遺伝的サブタイプのメンバーを含む多くのHIV-1及びHIV-2単離物のgp120分子のようなヒト免疫不全症ウィルス(HIV)抗原は公知であり、報告されている(Myers
et al., Los Alamos Database, Los Alamos National Labolatory, Los Alamos, New
Mexico (1992); 及びModrow et al. (1987) J. Virol. 61:570-578)。これら単離物から得られる又は由来する核酸配列含有抗原は本発明で使用できる。
更に、例えば、gap160及びgp41のような様々なエンベロープ蛋白質,
p24gag 及びp55gagのようなgag抗原、並びに、HIVのpol, tat, vif, rev, nef, vpr, vpu 及びLTR領域由来の一つ又はそれ以上を蛋白質をコードする核酸配列を含む、様々な任意のHIV単離物から得られる又は由来する他の免疫原蛋白質も本発明で使用できる。
例えば、ピコウナウィルス科(ファミリー)(例えば、ポリオウィルス、リノウィルス等)、カリシウィルス科、トガウィルス科(例えば、ルベラウィルス、デングウィルス等)、フラビウィルス科、コロナウィルス科、レオウィルス科(例えば、ロタウィルス等)、ビルナウィルス科、ラボドウィルス科(例えば、ラビエスウィルス等)、オルソミコスウィルス科(例えば、インフルエンザウィルス型A,B、C等)、フィロウィルス科、パラミクソウィルス科(例えば、マンプスウィルス、メアスレスウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、パラインフルエンザウィルス等)、ブンヤウィルス科、アデノウィルス科、レトロウィルス科(たとえば、HTLV-1,HTLV-II、HIV-1(HTLV-III,
LAV, ARV, hTLR 等としても知られている)のメンバーに由来する抗原、HIVIIIb, HIVSF2, HTVLAV, HIVLAI, HIVMN 単離物、HIV1CM235,HIV-1,HIV-2、他にも、サル免疫不全症ウィルス(SIV)、パピローマウィルス、ダニ媒介脳炎ウィルス、等に由来する抗原のような、他のウィルスから得られる又は由来する抗原も本発明で使用できる。ウィルス学,
3版 (W.K. Joklik ed. 1988; 基礎ウィルス学 2版(B.N. Fields 及びD.M. Knipe, eds. 1991)をこれら及び他のウィルスの記載に関して参照されたし。このような抗原をコードする核酸配列も勿論本発明の複合体で使用することが出来る。
典型的に粘膜表面を介して体内に侵入するウィルス病原体から得られる又は由来する抗原を選択することが好ましく、それらは、例えば、HIV(AIDS)、インフルエンザウィルス(Flu)、単純ヘルペスウィルス(生殖感染、ヘルペス、STDs)、ロタウィルス(下痢)、パラインフルエンザウィルス(呼吸器感染)、ポリオウィルス(灰白髄炎)、呼吸器合胞体ウィルス(呼吸器感染)、メアスレス及びマンプスウィルス(麻疹、おたふく風邪)、ルベラウィルス(風疹)、及びリノウィルス(一般的なカゼ)のようなヒト疾患の原因であるか又はそれらに関連している。このような抗原をコードする核酸配列も勿論本発明の複合体で使用することが出来る。
適当な細菌性又は寄生虫抗原は、例えば、ジフテリア、百日咳、破傷風、結核、細菌性又は菌性肺炎、中耳炎、淋病、コレラ、腸チフス、髄脳膜炎、単核細胞症、ペスト、細菌性赤痢又はサルモネラ中毒、レジオネラ病、ライム病、ハンセン病、マラリア、つつが虫(hookworm)、回施糸状虫病、住血吸虫病、トリパノソーマ病、レスマーノ症、ジアルジアべん毛虫症、アメーバ症、フィラリア症、ボレリア(Borelia)、及び旋毛虫病のような病気の原因となる公知の病原性物質から得られるか又は由来することができる。更に、抗原は、クルー病、クロイツフェルトーヤコブ病(CJD)、スクレーピー、伝播性ミンク脳症、、及び慢性消耗性疾患の原因物質のような新たな病原体、又は、狂牛病と関連するプリオンのような蛋白質性感染性粒子から得られるか又は由来することができる。このような抗原をコードする核酸配列も勿論本発明の複合体で使用することが出来る。
抗原が得られる具体的な病原体には、M.結核菌、クラミジア、N.淋病、赤痢菌、サルモネラ菌、腸チフス菌、トリポネーマ・パリデュア(Treponema
pallidua)、シュードモナス菌、百日咳菌、ブルセラ菌、野ウサギ病菌、ヘイコバクターピロリ菌、レプトスプリア・インテロガウス(Leptospria
interrogaus)、レジオネラ肺炎菌、ペスト菌、連鎖球菌(A型及びB型)、肺炎球菌、髄膜炎菌、ヘモフィラスインフルエンザ(b型)、トキソプラズマ・ゴンディック、コンプリロ細菌症、モラクセラ・カタラリス(Moraxella
catarrhalis)、ドノーバ症、及び放線菌症、並びに、カンジダ症及びアスペルギルス症のような菌類病原体、条虫、吸虫、回虫、アメーバ症、ジアルジアべん毛虫症、クリプトスポリジウム症、住血吸虫症、カリニ肺炎症、トリコモナス症、及び旋毛虫病のような寄生虫病原体が含まれる。即ち、本発明は、口蹄疫、コロナウィルス、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella
multocida)、ヘリコバクター、ストロンギルス・バルガリス(Strongylus vulgaris)、アクチノバチルス・ピューロニューモニア(Actinobacillus
pleuropneumonia)、ウシウィルス性下痢ウィルス(BVDV)、肺炎かん菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌、百日咳菌、パラ百日咳菌、及びブロキセプティカ(Brochiseptica)のような数多くの動物疾患に対する適当な免疫応答を提供するために使用することが出来る。このような抗原をコードする核酸配列も勿論本発明の複合体で使用することが出来る。
典型的には、上記抗原の一つ又はそれ以上に対応するヌクレオチド配列は本発明の複合体において使用される。
本発明の複合体は、医薬組成物の形態で有り得、それは更に、薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤、例えば、水又は生理的許容される緩衝液を含む。同様に、ワクチン組成物は、本発明の複合体及び、薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤、例えば、水又は生理的許容される緩衝液を含む。
このような医薬又はワクチン組成物は、例えば、パッファーのような任意の適当な容器で供給され得る。
本発明の複合体は様々な投与形態で投与され得る。即ち、それは、例えば、錠剤、トローチ、甘味入り錠剤(lozenges)、水性又は油性懸濁物、分散性粉末又は顆粒等として経口投与することが出来る。複合体は又、皮下、静脈経由、筋肉経由、胸骨経由、経皮、又は注入等の非経口的に投与することも出来る。複合体は座薬としても投与することが可能である。医者は各特定の患者に対する必要な投与経路を決めることが出来る。
予防、治療又はワクチン接種で使用される複合体の形態は複合体自体の性質のような因子、医薬又は獣医薬が意図されているか、等に依存する。本発明の複合体は、同時、個別又は連続的使用の目的で製剤化することが可能である。
本発明において、典型的には、本発明の複合体は薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤と共に投与目的で製剤化される。薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤は、例えば、等張性溶液である。例えば、固形経口形態は、活性化合物と共に、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ又はポテトスターチのような希釈剤;シリカタルク、ステアリン酸、セテアリン酸マグネシウム又はカルシウム、及び/又はポリエチレングリコールのような滑剤;例えば、スターチ、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース又はポリビニルピロリドンのような結合剤;スターチ、アアルギン酸、アルギン酸塩、又はスターチグリコン酸マトリウムのような崩壊剤;発泡性混合物;色素;甘味料;レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩のような湿潤剤;及び一般的に、製薬において使用される非毒性及び薬学的に非活性な物質を含むことが出来る。このような医薬調製物は、例えば、混合、顆粒化、錠剤化、糖衣化、又は皮膜プロセス等の公知の方法で製造することが出来る。
経口投与用の液体分散物は、シロップ、乳化物又は懸濁物であり得る。シロップはキャリアとして、例えば、サッカロース、又はサッカロースとグリセリン及び/又はマンニトール/ソルビトールを含むことが出来る。
懸濁物及び乳化物はキャリアとして、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース又はポリビニルアルコールを含むことが出来る。筋肉注射用の懸濁物又は溶液には、活性物質と共に、例えば、滅菌水、オリーブ油、エチルオレート、例えば、ポリエチレングリコールのようなグリコールのような薬学的に許容されるキャリア、そして、所望に応じて適当量のリドカイン塩酸塩を含むことが出来る。
静脈投与又は注入用の溶液には、キャリアとして、例えば、滅菌水、又は、好ましくは滅菌された等張食塩水溶液が含まれていても良い。
複合体の治療上有効量を患者に投与する。複合体の投与量は様々な因子、特に、使用する物質、医療する患者の年齢、体重及び病状、投与経路、及び要求される治療計画(レジュメ)に従い決めることができる。医者は任意の特定の患者に対する必要な投与経路を決めることが出来る。
典型的には、本発明の複合体で運搬される核酸の量は、具体的な製剤の活性、治療対象者の年齢、体重及び病状、変性の型及び重度、並びに、頻度及び投与経路に応じて、1μg〜1g、好ましくは100μg〜10mgの範囲である。一日一回投与されるか、又は、例えば、2回、3回、4回、若しくは5回のような複数回分を一日に投与する。
上記の核酸の量は、治療計画において投与される全量を示すか、又は、該計画における各個別の投与を示す。
複合体をワクチン接種で使用する場合には、宿主に対して一回又は複数回投与することが出来る。典型的には、最初の投与後に、「ブースター」を与えることが出来る。典型的には、宿主は1,2,3又はそれ以上の別個の投与を受け、夫々の投与はは少なくとも12時間、1日、2日、7日、14日、1ヶ月又はそれ以上離れている。
本発明を以下の反応スキーム及び具体的な実施例によって更に説明する。
反応スキーム
本発明の脂質は公知方法との類似によって調製することができる。例えば、式(I)の化合物は、以下の反応式に従い、1,4−ジブロモブタンジオールからメタノール中のジメチルアミンを用いて調製することが可能である。
Figure 2005530771
上記式中のR’ はR及びRとして定義されているものである。上記式中のXはX及びXとして定義されているものである。上記式中のRはR及びRとして定義されているものである。
上記式中の各R’ は同一又は異なるものであり得る。式(2)中の二つのN(R’)部分が異なる場合には、工程(1)は段階的に行われる。第一のN(R’)部分は第一工程で追加され、第二のN(R’)部分は第二工程で追加される。必要であれば、このような二段階反応の前に、化合物(1)の水酸基は保護基によって保護することが出来る。勿論、第一のN(R’)部分が導入された後であって第二のN(R’)部分導入される前に該保護基は除去される。
Xが−O−CH−である場合に、工程2(XR部分の導入)は、THF中NaHの存在下の環流にて、L−R(Lはメシレート(mesylate)のような離脱基)との反応によって行うことが出来る。Xが−O−CO−である場合に、XR部分の導入は、EDCl、DMAP,トリエチルアミン及びDCMの存在下でRCOHとの反応によって行うことが出来る。典型的には、反応は室温にて暗い環境で実施される。
二つのXR部分が異なる場合には、典型的には、一つのXR部分は第一工程で導入され、第二のXR部分は第ニ工程で導入される。必要に応じて、化合物(1)の水酸基の一つはこのような二段階反応の前に標準的な水酸基保護基によって保護することが出来る。勿論、第一のXR部分が導入された後であって第二のXR部分導入される前に該保護基は除去される。
上記式においてヨウ化物アニオンが使用されているが、他の任意のアニオンを使用することが可能である。
が−[A−Y]−Rである化合物(II)は以下の様に調製することが出来る。
Figure 2005530771
上記式中のR’ はR及びRとして定義されているものである。上記式中のXはX及びXとして定義されているものである。上記式中のRはR及びRとして定義されているものである。上記式中、Zは末端N(Rが存在しないことを除いて−[A−Y]−Rに相当する。
上記反応式(工程1)におけるXR部分の導入は前に記載したように実施される。
Z基が四級アンモニウム部分の代わりにカルバメート保護アミノ部分を含むことが出来る。このような状況下では、化合物(8)におけるカルバメート保護アミノ部分は、標準的方法によって脱保護され、四級アンモニウム部分に変換される。
が−[B−O]−Qである式(II)の化合物は以下のように調製することが出来る。
Figure 2005530771
Q部分の導入は標準的方法で実施することが出来る。例えば、QがN(Rである場合には、それは、化合物(II)を対応するアミノ化合物と反応させることによって導入することができる。即ち、N(CH部分はメタノールの存在下で密閉菅(sealed tube)内でトリメチルアミン(水中45%)と90℃で24時間反応させることで導入することが出来る。
Qが臭素以外のハロゲンである場合には、勿論、適当にハロゲン化された化合物(10)を用いた合成を実施することが便利である。同様に、QがOHである場合には、適当な化合物(12)は、化合物(9)をトルエン中環流下でHBr(水中48%)と72時間反応させること、化合物HO−[B−O]−B−Brを調製することによって調製することが出来る。この化合物は、勿論、上記合成において、化合物(10)の代わりに使用され、Qが水酸基である化合物(12)を得ることが出来る。
QがOR’ 及びOC(O)R’ である化合物は、Qが水酸基である対応する化合物から公知方法を用いて調製することができる。
実施例1において、反応式Iに従い、1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレオイルオキシ−ブタン;ジイオダインを製造した。第一工程は、1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ブタンジオールの製造である。
Figure 2005530771
水酸化ナトリウム粉末(1.28g、32.0mmol)をメタノール(7ml)中0℃で攪拌した。ジメチルアミンハイドロクロライド(1.96g、24.mmol)を添加し、次いで、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール(1.00g、4.00mmol)を添加した。混合物を密閉菅内で80℃で24時間加熱した。次いで、この混合物を真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム(25ml)に再溶解させ、得られた混合液を濾過した。濾液を真空下で濃縮し、標題化合物を透明な油として得、これを冷却すると固化して無色のワックス状固形物となった(0.69g、98%)。
Figure 2005530771
上記で調製された1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ブタンジオールを用いて、1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ジオレオイルオキシ−ブタンを調製した。
Figure 2005530771
1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ブタンジオール(0.30g、1.70mmol)、EDCI(0.98g、5.1mmol)及びトリエチルアミン(1.42ml、10.2mmol)を無水DCM(35ml)中室温で攪拌した。オレイン酸(1.44g、1.50mmol)及びDMAP(62.0mg、30mol%)を添加して室温で暗所にて攪拌続けた。水(50ml)を添加し混合物を分離し、塩素化層を順次、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)及び食塩(50ml)で洗浄した。塩素化層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。産物をフラッシュクロマトグラフィ(勾配;DCMからDCM中10%メタノール)で精製し、標題化合物を透明な黄色油として得、これを冷却して固化した(0.59g、50%)。
Figure 2005530771
第三工程において、1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレオイルオキシ−ブタン;ジイオダインを製造した。
Figure 2005530771
1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレオイルオキシ−ブタン(296mg、0.42mmol)及びイオドメタン(2.00ml)を密閉菅内のメタノール(2ml)中で90℃で18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去して残渣を得た。酢酸エチルを残渣に添加し、濾過して不溶性の黄色い固体を回収し、標題化合物を黄色いワックス状固体として得た(385mg、93%)。
Figure 2005530771
実施例2においても反応スキームIを説明する。実施例1の第一工程を繰り返した。しかしながら、第二工程において、得られたブタンジオールを用いて、エステルベースの脂質ではなく、エーテル、即ち、1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ジオレイルオキシ−ブタンを調製した。
Figure 2005530771
1,4−ジ(ジメチルアミノ)−2,3−ブタンジオール(0.62g、3.50mmol)を無水THF(40ml)中の水素化ナトリウム(60%、0.40g、10.5mmol)攪拌溶液に添加した。混合物を4時間環流下で加熱した。オレイルメシラート(3.64g、10.5mmol)を添加し、得られた混合物を48時間環流下で加熱した。水(50ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)及び食塩(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。産物をフラッシュクロマトグラフィ(勾配;DCMからDCM中20%メタノール)で精製し、標題化合物を橙色油として得た(0.40g、17%)。
Figure 2005530771
第三工程において、1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレイルオキシ−ブタン;ジイオダインを製造した。
Figure 2005530771
1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレイルオキシ−ブタン(305mg、0.45mmol)を密閉菅内のイオドメタン(2.00ml)中で90℃で24時間攪拌した。余分なイオドメタンを真空下で除去した。産物を再結晶させ(酢酸エチル)、標題化合物をワックス状固体として得た(366mg、85%)。
Figure 2005530771
実施例3は反応スキーム3を説明する。[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−(3−ブロモープロピル)−ジメチル−アンモニウム;ブロマイドを第一工程で調製した。
Figure 2005530771
1,2−ジオレイルオキシ−3−ジメチルアミノ プロパン(0.50g、0.81mmol)及び1,3−ジブロモプロパン(0.82ml、8.10mmol)を密閉菅内のメタノール中で80℃で18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。産物をフラッシュクロマトグラフィ(勾配;DCMからDCM中10%メタノール)で精製し、標題化合物を黄色油として得た(0.41g、62%)。
Figure 2005530771
第二工程において、上記化合物を[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−(3−トリメチル−アンモニウム−プロピル)−ジメチル−アンモニウム;ジブロマイドに変換した。
Figure 2005530771
[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−(3−ブロモ−プオピル)−ジメチル−アンモニウム;ブロマイド(100mg、0.12mmol)及びトリメチルアミン溶液(水中45wt%、0.094ml、0.61mmol)を密閉菅内のメタノール(2ml)中で90℃で24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、得られた残渣を再結晶(酢酸エチル)で精製し、標題化合物を白っぽい固体として得た(86.6mg、82%)。
Figure 2005530771
反応スキーム4を実施例4で説明する。[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−[2−(2−ブロモ−エトキシ)−エチル]−ジメチル−アンモニウム;ブロマイドを第一工程で調製した。
Figure 2005530771
2−ブロモエチルエーテル(278mg、1.20mmol)及び1,2−ジオレイルオキシ−3−ジメチルアミノ プロパン(300mg、0.48mmol)を密閉菅内のメタノール中で90℃で24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。産物を再結晶(酢酸エチル)により精製し、標題化合物を室温においては黄色油であり、冷却すると白っぽい固体を得た(197mg、48%)。
Figure 2005530771
第二工程において、上記化合物を[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−[2−(2−トリメチル−アンモニウム−エトキシ)−エチル]−ジメチル−アンモニウム;ジブロマイドに変換した。
Figure 2005530771
[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−[2−(2−ブロモ−エトキシ)−エチル]−ジメチル−アンモニウム;ブロマイド(100mg、0.12mmol)及び及びトリメチルアミン溶液(水中45wt%、0.31ml、2.35mmol)を密閉菅内のメタノール(3ml)中で90℃で24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテルで処理し、沈殿物を濾過して回収した。標題化合物を白っぽい固体として得た(73mg、67%)。
Figure 2005530771
反応スキーム5を実施例5で説明する。2−[2−(2−ブロモ−エトキシ)−エトキシ−]−エタノールを第一工程で調製した。
Figure 2005530771
トリ(エチレン)グリコール(4.50g、30.0mmol)及び臭化水素酸溶液(48%、5.09ml、45.0mmol)をトルエン(70ml)中で還流下72時間攪拌した。冷却後、溶液に飽和炭酸水素ナトリウムを添加して中和した。水(50ml)を添加し、得られた混合物をDCM(3x50ml)で抽出した。塩素化抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で乾燥させた。これ以上の精製は必要でなく、標題化合物を黄色油として得た(2.29g、36%)。
Figure 2005530771
第二工程において、上記化合物を[2,3−ジ(オレイルオキシ)−プロピル]−{2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−エチル}−ジメチル−アンモニウム;ブロマイドに変換した。
Figure 2005530771
2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ−エタノール(223mg、0.96mmol)及び1,2−ジオレイルオキシー3−ジメチルアミノ プロパン(300mg、0.48mmol)を密閉菅内のメタノール(2ml)中90℃で24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。産物を再結晶(酢酸エチル)により精製し、標題化合物を室温においては淡黄色油であり、冷却すると白い固体を得た(247mg、62%)。
Figure 2005530771
本発明の様々な化合物の活性をHAE細胞を用いるルシフェラーゼアッセイで測定した。RLU/mgはタンパク質mg当りの相対光単位を意味する。アッセイは以下のように実施した。
クロロホルム中の脂質(10mg/ml;100μL[脂質1mg])をガラス管(滅菌)内に取った。溶媒を真空下で除去し、更に残った僅かなクロロホルムを高度真空下24時間で取り除いた。カチオン性脂質は単独で調製するか、又はDOPEと共に(モル比、1:1)調製した。
脱イオン水(1mL,MiliQ)を得られたフィルムに添加し、脂質の1mg/ml水溶液を作成した。この混合物を4℃で24時間、水和させた。40℃に暖めた後、該混合物を超音波処理(約5分間)して透明溶液を作成した。得られたリポソーム製剤は3ヶ月安定していた。
複合体の成分を所望の割合で混合した。脂質は最初にペプチドと混合し、得られた混合物をプラスミドDNAに添加した。
ヒトエアウェイ(airway)上皮細胞を96穴プレート内の完全培養培地中37℃で24時間植えつけた。トランスフェクション複合体を30分間凝集させ、その後、OptiMEM(Life
technologies) 0.5ml当たりDNA1μgの濃度に希釈した。培地を各穴から除去し、0.5mlのトランスフェクション複合体で置換し、更に4時間インキュベートした。トランスフェクション複合体を除去し、培養培地で置換し、細胞を48時間インキュベートした。
トランスフェクトされた細胞をリン酸生理食塩水(PBS)で洗浄した。リポーター溶解緩衝液(100μl)(Promega)を各穴に添加し、4℃で15分間冷却した。細胞をルシフェラーゼアッセイキットで測定した。全光放出を各穴につき60秒間測定した。各試料のタンパク質濃度はタンパク質アッセイ試薬を用いて測定し、活性はタンパク質mg当りの相対光単位(RLU/mg)で示した。
実施例1及び2で製造した化合物、及びリポフェクチン(Lipofectin)に関して得られた値を1:1及び2:1(脂質:DNAの比)で測定し、夫々の場合に、ぺプチド:DNAの比は4:1、使用したペプチドは[K]16GACRRETAWACGであった。割合は重量比である。用いた試験手順はHuman
Gne Therapy 9, 575-585, 1998 に概説されているものである。
Figure 2005530771
反応スキーム3によって製造された組成物、特に、(CH及び(CHスペーサー基(即ち、反応スキームにおける「n」が3又は6)を有するC18不飽和化合物及び末端窒素が3つのメチル基を有しているものに関しても値が得られた。結果は以下のとおりである。
n=3 31.8RLU/mg
n=6 19.8RLU/mg
リポフェクチン 12.1RLU/mg

Claims (44)

  1. 生物学的活性物質の細胞への運搬に適した複合体であって、
    (i)一般式(I)又は(II)の脂質:
    Figure 2005530771
    (式中、
    及びXは同一又は異なり、−O−CH−、及び−OC(O)−から選択され;
    及びRは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C24炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン及びOR’(ここで、R’はC〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
    各R及び各Rは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C10炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されている。)
    Figure 2005530771
    (式中、
    及びXは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
    及びRは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり;
    は−N(R−R(ここで、各Rは同一又は異なり、上記で定義したとおりであり、
    は、
    (a)−[−A−Y−]−R
    (式中、
    各Yは同一又は異なり、−N(R−(Rは上記で定義したとおり)、
    各Aは同一又は異なり、C〜C20アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
    nは1から10であり;及び
    は上記で定義した通りである。):又は、
    (b)
    −[−B−O−]−Q
    (式中、各Bは同一又は異なり、C〜C10アルキレン基であり、それは非置換、又は水酸基、ハロゲン、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されており;
    mは1から10であり;及び
    Qは−N(R、OH、OR’、OC(O)R’、及びハロゲン(ここで、R及びR’は上記で定義した通り)から選択される。))、及び
    (ii)生物学的活性物質、
    を含む該複合体。
  2. 及びXが同一である、請求項1記載の複合体。
  3. 及びRは同一又は異なり、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、又はレノレン酸の残基である、請求項1又は2記載の複合体。
  4. 各R及び各Rは、非置換、又は水酸基、OR’、−C(O)OH−、−CN、−NR’R’’及び−C(O)R’’(ここで、R’及びR’’は同一又は異なり、C〜C炭化水素基である)から選択される一つ又はそれ以上の置換基によって置換されている、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  5. 各R及び各Rは同一又は異なり、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C〜C炭化水素基であり、それは非置換、又は水酸基又はOR’(ここで、R’はC〜Cアルキル基である)から選択される一つ又は二つの置換基によって置換されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合体。
  6. nが1及び2から選択される、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  7. mが1、2及び3から選択される、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  8. Aが非置換のC、C又はCアルキレン基である、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  9. Bが非置換のC、C又はCアルキレン基である、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  10. QがN(R又はOHである、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  11. 及びRがオレイン酸の残基である、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  12. 各R及び各Rがメチルである、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  13. 生物学的活性物質が核酸、ペプチド又は小分子である、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  14. 核酸がDNAである、請求項13記載の複合体。
  15. 核酸がRNAである、請求項13記載の複合体。
  16. 核酸がコード配列を含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の複合体。
  17. インテグリン結合ペプチドを含む、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  18. インテグリン結合ペプチドが天然インテグリンリガンドのインテグリン結合ドメインの全部又は一部を含む、請求項17記載の複合体。
  19. ポリカチオン性成分を含む、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  20. インテグリン結合ペプチド及びポリカチオン性成分が結合している、請求項19記載の複合体。
  21. 中性脂肪を含む、上記請求項のいずれか一項に記載の複合体。
  22. (i)請求項1記載の式(I)又は(II)の脂質;及び(ii)生物学的活性物質を予混合することから成る、請求項1記載の複合体の調製方法。
  23. 請求項22記載の方法で得ることが出来る複合体。
  24. (i)請求項1〜12の何れか一項記載の式(I)又は(II)の脂質;及び
    (ii)(a)インテグリン結合ペプチド;及び/又は、
    (b)ポリカチオン性成分及び/又は、
    (c)中性脂肪、を含む混合物。
  25. インテグリン結合ペプチドが請求項18記載で定義されたものである、請求項24記載の混合物。
  26. 請求項24又は25記載の混合物を生物学的活性物質と予混合することから成る、請求項1ないし21の何れか一項に記載の複合体の調製方法。
  27. インビボ、インビトロ、又はエキソビボで細胞を請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体と接触させることから成る、細胞に生物学的活性物質をトランスフェクションさせる方法。
  28. 請求項16記載の複合体を、該複合体の核酸成分を発現させる条件下で請求項27記載の方法を用いて細胞にトランスフェクションすることから成る、細胞内での核酸の発現方法。
  29. (a)請求項16記載の複合体を、該複合体の核酸成分にコードされるポリペプチドを発現させる条件下で請求項27記載の方法を用いて細胞にトランスフェクションし、;及び
    (b)発現したポリペプチドを回収することから成る、
    ポリペプチドの調製方法。
  30. 細胞のトランスフェクション、細胞内での核酸の発現、又は、ポリペプチドの調製における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用。
  31. 請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体、及び薬学的に許容し得るキャリア、希釈材、又は賦形剤を含む医薬組成物。
  32. ヒト又は動物の体の予防又は治療方法に使用する、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体。
  33. 遺伝的欠陥又は修飾に基因するか又は関連する状態の予防又は治療の為の薬剤の製造における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用。
  34. アンチセンス核酸又はiRNAによる状態の予防又は治療の為の薬剤の製造における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用。
  35. 宿主に治療上有効量の請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体を投与することから成る、該宿主における遺伝的欠陥又は修飾に基因するか又は関連する状態の治療方法。
  36. 宿主に治療上有効量の請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体を投与することから成る、該宿主におけるアンチセンス核酸又はiRNAによる状態の治療方法。
  37. 請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体、及び薬学的に許容し得るキャリア、希釈剤、又は賦形剤を含むワクチン。
  38. ヒト又は動物にワクチンを接種する方法における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用。
  39. ヒト又は動物にワクチンを接種するための薬剤の製造における、請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体の使用。
  40. 哺乳類宿主に請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体を投与することから成る、該宿主において免疫を惹起させる方法。
  41. 細胞と請求項1ないし21、又は23の何れか一項に記載の複合体を接触させることから成る、該細胞を修飾する方法。
  42. 請求項1ないし12の何れか一項に記載の式(I)又は(II)の脂質。
  43. 構造(III):
    Figure 2005530771
    (式中、
    Rは同一又は異なり、
    (a)H,
    (b)−CH−N(R−CH−CH−[−Y−(CH−]−Z,又は
    (c)−CH−N(R
    (但し、一つのRは水素であり他方は(b)群;又は両方のRが(c)群である)であり;
    Xは同一又は異なり、OCH又はO−C(O)であり;
    は同一又は異なり、飽和又は不飽和で、C7〜C23鎖であり;
    は同一又は異なり、C1〜C6飽和又は不飽和鎖であり;
    YはNH,CH,O、N(アセチル)であり;
    ZはO(C〜C)、OC(O)R,N(R、OH,F,Cl,Br又はI(ここで、RはC1〜C6アルキル)であり;
    は同一又は異なり、C1〜C6鎖であり;
    nは2,3又は4であり;
    mは1〜200であり、少なくとも2つの繰り返し単位が同一か又は異なる。)
    を含む組成物。
  44. 1,4−ジ(トリメチルアンモニウム)−2,3−ジオレオイルオキシーブタン;ジイオダイド;
    [2,3−ジー(オレイルオキシ)−プロピル]−(3−トリメチルーアンモニウムープロピル)−ジメチルーアンモニウム;ジブロマイド;
    [2,3−ジ−(オレイルオキシ)−プロピル]−[2−(2−トリメチル−アンモニウム−エトキシ)−エチル]−ジメチル−アンモニウム;ジブロマイド;及び
    [2,3−ジ−(オレイルオキシ)−プロピル]−{2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)ーエトキシ]−エチル}−ジメチル−アンモニウム;ジブロマイド。
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