JP2005529608A - インスリン耐性、冠動脈疾患およびその他の表現型の発生のリスクを判断するためのハプロタイプに基づく遺伝子分析方法 - Google Patents

インスリン耐性、冠動脈疾患およびその他の表現型の発生のリスクを判断するためのハプロタイプに基づく遺伝子分析方法 Download PDF

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Abstract

ヒト亜集団について、目的のゲノム参照配列における大規模遺伝子分析に有用なハプロタイプ決定方法を開示する。本方法は、対象の遺伝子型が目的の表現型、例えばインスリン耐性または冠動脈疾患と統計的に有意な関係にあるかを統計的に評価するのに適用できる。

Description

本発明は、遺伝医学の分野に関する。
インスリン耐性症候群(代謝症候群とも称される)は冠動脈疾患(CAD; 21)のリスク上昇に関連する因子の集積の結果である。該症候群を患う患者は米国において成人の20%を超え、メキシカンアメリカンにおいて非常に高い年齢特異的罹患率を示す(22)。インスリン耐性は、代謝症候群のその他の症状を伴うか否かにかかわらず、心血管系疾患および死のリスクの上昇に関係している(23,24)。
フレーミングハム(Framingham)の子孫研究において、3つの因子則ち3つの症候群のクラスターが、インスリン耐性症候群を形成する基本リスク変数のクラスター形成の基礎をなすという証拠がある: 糖耐性の障害に特徴づけられる糖尿病に罹患しやすい症候群、心血管代謝症候群、および高血圧症候群である。疫学的研究からの多く証拠により、明白な冠動脈疾患の発症の何年も前にかかる因子が発生しているという考えが支持される。
代謝症候群におけるインスリン耐性、高血圧、中心性肥満、および胃脂肪血症のクラスター形成は、心血管疾患の危険因子として注目されている。この症候群の中心の成分である、インスリン耐性は、心血管リスクの上昇を示すことが見いだされた。San Antonio Heart Studyにおいて、恒常性モデル評価(HOMA)によって見積もられたインスリン耐性は、8年の追跡調査に渡って偶発的心血管系疾患の独立の前兆であった(24)。Helsinki Policemen Studyにおいては、糖尿病でないか、CADがベースラインである970名の男性を22年間追跡した; 経口糖耐性試験における曲線下インスリン面積によって評価して最も高いレベルのインスリン耐性を示す対象は、CAD事象および死の率がもっとも高かった(23)。絶食時インスリン濃度が高いことは、2103名の非糖尿病カナダ人男性(51)において虚血性心疾患の独立の前兆であった。インスリン耐性症候群の要素についての遺伝的基礎は、家族性集積によって実証された(52,53)。このため、研究者らは、インスリン耐性の遺伝的判断が代謝症候群のその他の要素にも影響を与えるか否かに興味を持つようになった(54)。
一例として、リポタンパク質リパーゼ(LPL)は脂質代謝において重要な役割を果たしている。毛細血管内皮に位置するLPLは、カイロミクロンおよび超低密度リポタンパク質のトリグリセリドを加水分解し、遊離の脂肪酸およびモノアシルグリセロールを生成する。LPLが全く欠乏していると、家族性乳微血症候群となる。LPL活性は重要な心血管危険因子であるトリグリセリド濃度に影響を与えるため、LPLはアテローム性動脈硬化症の候補遺伝子として研究されてきた。いくつかの研究により、LPL遺伝子と高血圧 (25,1)、インスリン耐性の間接的または代理的測定結果(2,3)、胃脂肪血症(2,26, 27)、肥満(28)およびアテローム性動脈硬化症(4,29, 30)の連動および関係が同定されてきた。LPLはインスリン耐性とアテローム性動脈硬化症とを関連づける良好な候補である。というのはLPLは遊離脂肪酸 (FFA)の筋肉、脂肪組織および血管壁マクロファージへの輸送を制御し、そこで、脂質取り込みは、末梢インスリン感受性、中心性肥満および泡沫細胞形成に影響を及ぼすからである(31,32)。
Wu et al.は、LPL座位の、2型糖尿病の台湾人対象におけるものと比較して非-糖尿病対象における収縮期血圧との関係を実証した(1)。LPL遺伝子のイントロン8におけるHindIII多型が、正常血糖のコーカサス人およびラテンアメリカ人対象(2)ならびに中国人対象(3)におけるインスリン耐性の測定結果と関連していた。Ser447Stop 多型が、アテローム性動脈硬化症リスクの減少に関連していることが見いだされた(4)。HindlIIおよびSer447Stop 多型の両方がLPL遺伝子の3'末端の組換えホットスポットの下流にある(5)。
LPL遺伝子は、インスリン耐性を含む代謝症候群の特徴についての候補遺伝子となった。LPLはカイロミクロンおよび超低密度リポタンパク質中に運ばれるトリグリセリドを加水分解し、遊離脂肪酸 (FFA)の筋肉や脂肪組織への輸送における律速段階である。 FFAから筋肉への輸送を制御することにより、LPLは、筋肉インスリン耐性 (55,56)と相関する、筋細胞内脂質のレベルに影響を与えることによりインスリン感受性に影響を及ぼす。また、LPLは内分泌器官であるとみなされているインスリン耐性調節因子を分泌することが出来る内臓脂肪組織へのFFAの輸送に影響を与えることによって、インスリン耐性に影響を及ぼす (57)。 LPL作用はまた、重要なアテローム性動脈硬化症危険因子である血漿トリグリセリド濃度も調節する(58,59)。
LPL活性は間接的にHDL-コレステロールレベルを上昇させる。というのは、VLDLのLPL-媒介加水分解はHDL3と同化してHDL2 粒子を形成する表面成分を提供するからである(60)。
LPLに媒介されるFFAおよびリポタンパク質残遺物の血管壁マクロファージへの輸送は、アテローム硬化型プラークの発生の初期現象である泡沫細胞形成において役割を果たす (32)。したがって、LPLの機能の変化はインスリン耐性とアテローム性動脈硬化症の両方に影響を与える。
LPL遺伝子とインスリン耐性との関係を報告する研究のほとんどは、インスリン耐性の代理的測定を用いるのみであった。例えば、絶食時血糖値(8,33)、絶食時インスリン(2,34-36)および経口糖耐性試験 (OGTT; 37)における曲線下インスリン面積 (AUC)など。1つの研究は、インスリン抑制試験(3)において定常状態血漿グルコースを評価するものであった。さらに、これら研究の1つ(36)を除いて全ては、イントロン制限断片長多型PvuIIおよびHindIIIの関係のみを調べるものであった。したがって現在までLPLの変動がインスリン感受性において果たす役割の証拠は間接的であった。正常血糖高インスリン性 クランプ試験の際のグルコース注入速度 (GINF)の評価は、インスリン感受性のもっとも直接的な生理的測定であると広く認識されている(28, 29)。インスリン耐性アテローム性動脈硬化症研究におけるインスリン感受性の指標の分析により、インスリン感受性の直接的生理的測定が絶食値に基づく測定よりも遺伝力が高いことが示された (例えば、HOMA; 61)。したがって単純な絶食時よりも生理的指標の使用の方が、インスリン感受性に貢献する遺伝子の発見においてより強力な手段を提供しうる。
LPLの3'末端における様々な多型、例えば、HindIIIがインスリン耐性およびアテローム性動脈硬化症の代替測定と関連しているが(2,3, 29, 30)、LPLの変動とインスリン感受性の指標との正の関係または相関は典型的には、1または2の1ヌクレオチド多型(例えば、2,3, 8,33-37)についてしか調べられていない。しかし、ハプロタイプに基づく分析により、最近、メキシカンアメリカンにおけるLPLの3'末端ハプロタイプと冠動脈疾患との関係が確認されている(30)。
LPL遺伝子とインスリン耐性との関係を報告する従来の研究は、単一のバリアントのみを用いるものであり、通常、HindIIIまたはPvuIIであった(2,3, 8,33-37)。場合によっては、結果は互いに矛盾する; HindIIIのTアレルがインスリン耐性と関係しているという報告もあるが(2)、G アレルがインスリン耐性と関係しているという報告もあり(3,37)、また、HindIIIとインスリン耐性とは関係がないとするものもあった(8)。これによって、関連研究において候補遺伝子あたり1または2の多型を調査する常套のアプローチには限界があることが示された。
ヒトゲノムの配列決定により、個体における変異は非常に甚大であることが明らかとなった。この変異はハプロタイプと称される一群の関連する多型の群によって非常によく説明されるという証拠が増えつつある (13-15)。
最近の研究は、ヒトにおける広範な変動はハプロタイプと称される一群の関連する多型の群によって非常によく説明されるということを示唆する (13-15)。ハプロタイプは遺伝子の集団の進化の歴史の際の組換えによって壊れずに残った染色体のブロックを含む。ハプロタイプは単一多型よりも疾患関連性をよく同定すると考えられる。というのは、ハプロタイプは大域的な遺伝子構造を反映し、遺伝子における共通の変異の大部分を含むからである。疾患リスクの増減に関連するハプロタイプの同定により、疾患リスクに影響を与える実際に機能するバリアントの同定が可能となるはずである。というのは、このバリアントは当該ハプロタイプによって同定される染色体領域にあるはずであるからである(17)。
したがって、ハプロタイプは遺伝子における共通の変動の大部分を捕捉する;そのため、ランダム単一多型の使用よりもハプロタイプの使用の方が疾患と変異との関係を同定しやすいと考えられる。疾患リスクの増減と関連するハプロタイプの同定により、疾患リスクに影響する実際に機能的なバリアントの同定が容易となる。というのはこのバリアントは該ハプロタイプによって同定される染色体上に位置するからである (16,17)。ハプロタイプ構造および頻度を判定するための遺伝子型同定がこのタイプの分析には必要である。難しいことは、所与の集団におけるハプロタイプの決定に使用される多型の判定と選択である。
現在、一般的な疾患、例えば冠動脈疾患およびインスリン耐性の遺伝学においてハプロタイプデータの使用が注目されるようになってきた。研究者はどれだけの、そしてどのバリアントまたはマーカーがハプロタイプ決定のための所与の候補遺伝子における遺伝子型を同定するためにあるかという問題に立ち向かっている。 Gabrielら(15)はアフリカ、ヨーロッパおよびアジアからの対象のゲノムを13 メガベースにわたって配列決定した;ヒトゲノムはハプロタイプのブロック(そのほとんどが10 キロベースを超える)において編成されていることが示され、ブロックあたり3から5の(>5%)ハプロタイプが通常存在する。6から8のバリアントのみが各ブロックにおいてもっとも一般的なハプロタイプであるかを同定するのに十分であった。これらバリアントまたはマーカーを効率的に入手できるように選択する方法が要求されている。
したがって、本発明は有用なハプロタイプを選択する方法、およびメキシカンアメリカンにおいてインスリン耐性に対する素因を予測するのに有用な特定のハプロタイプを提供する。これらおよびその他の利点を以下に説明する。
(発明の概要)
本発明は、目的のゲノム参照配列における、ヒト亜集団、例えば、メキシカンアメリカンのための大規模遺伝子分析およびスクリーニング試験に適用するために有用なハプロタイプを決定する方法に関する。該方法は、ヒト亜集団における第一の数の対象の遺伝子型におけるゲノム参照配列の位置における複数の遺伝マーカーまたはバリアントの存在を検出することを含む。検出されたマーカーの頻度ヒエラルキーを同定し、該頻度ヒエラルキーからハプロタイプのセットを構築し、ここで該セットの各ハプロタイプは少なくとも1つのもっとも高頻度に検出されたマーカーを含む。ハプロタイプのセットのより小さいサブセットを選択し、ここでより小さいブセットは、第一の数の対象にもっとも高頻度であったハプロタイプを含む。このように選択されたハプロタイプのセットのより小さいサブセットを決定するのに必要とされるマーカーを同定する。
本発明の、特定のハプロタイプと特定の表現型の間の遺伝的関連の判定に有用な態様において、ヒト亜集団における第二の数の対象が本方法によって先に同定されたマーカーについて遺伝子型を同定される; 第二の数の対象は第一の数の対象よりも大きい。第二の数の対象の遺伝子型は、目的の表現型を有するハプロタイプのセットの選択されたより小さいサブセットのあらゆるメンバーの統計的に有意な関係について評価され、ここで目的の表現型は、疾患または内科的疾患、例えば、インスリン耐性または冠動脈疾患であり得る。
本発明によると、メキシカンアメリカンヒト対象においてインスリン耐性を発症する遺伝的素因の検出方法が提供される。該方法は、対象から生物サンプルを採取する工程; ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子のニッカーソン(Nickerson)参照配列についてヌクレオチド位置7315、8292、8393、8852、9040および9712においてサンプルの遺伝子型を同定する工程 (下記の表1参照);およびハプロタイプ(本明細書において「ハプロタイプ 4」と称する; 例えば表5を参照)がサンプルに存在するかを評価する工程を含む。該ハプロタイプは以下を含む(ヌクレオチド位置:バリアントアレル): (i) 7315: G; (ii) 8292: A; (iii) 8393: G; (iv) 8852: G; (v) 9040: G; および(vi) 9712: G。
ハプロタイプの存在は、以下に説明するようにメキシカンアメリカン対象におけるインスリン耐性の発症の遺伝的素因を示す。
同様に、インスリン耐性を発症するリスクが正常より低いメキシカンアメリカンヒト対象を検出する本発明の方法によると、遺伝子型を同定されたサンプルにおける以下を含むハプロタイプの存在(ヌクレオチド位置:バリアントアレル) : (i) 7315: G; (ii) 8292: A; (iii) 8393: T; (iv) 8852: T; (v) 9040: C;および(vi) 9712: G (本明細書において、「ハプロタイプ 1」と称する ;例えば表5参照)は以下に説明するように対象におけるインスリン耐性を発症するリスクが正常より低いことを示す。
あるいは、本発明によるとメキシカンアメリカンヒト対象において冠動脈疾患を発症するリスクが正常より低いことを検出する方法が提供される。該方法は、対象から生物サンプルを採取する工程; ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子のニッカーソン参照配列についてヌクレオチド位置 7315、8292、8393、8852、9040および9712においてサンプルの遺伝子型を同定する工程;およびサンプルが以下を含むハプロタイプについてホモ接合型であるかを評価する工程を含む(ヌクレオチド位置: バリアントアレル): (i) 7315: G; (ii) 8292: A; (iii) 8393: T; (iv) 8852: T; (v) 9040: C;および (vi) 9712: G (本明細書において、「ハプロタイプ 1」と称する;例えば表5を参照)。ハプロタイプ 1についてのホモ接合性は対象において冠動脈疾患を発症するリスクが正常より低いことを示す。
本発明にしたがって、正常より高いまたは正常より低い、インスリン耐性または冠動脈疾患の発症のリスクが検出されると、この付加的な臨床情報を提供された個人に適切な、好適な治療または予防様式を選択すればよい。
本明細書における略語の意味は以下の通り: LPL、リポタンパク質リパーゼ; CAD、冠動脈疾患; MACAD、メキシカンアメリカン冠動脈疾患プロジェクト; SNP、単一ヌクレオチド多型 ; GINF、グルコース注入速度; SI、インスリン感受性。
本発明はさらに2002年6月14日出願の米国仮出願第60/388726号に記載されており、その開示内容を引用により本出願に含める。
(好適な態様の詳細な説明)
本発明は、目的のゲノム参照配列におけるハプロタイプの決定方法に関し、そのハプロタイプはヒト亜集団についての大規模遺伝子分析および遺伝的スクリーニング試験に有用なものである。目的のゲノム参照配列はいずれの目的のコード配列または非コード配列でもよく、例えば、ヒトリポタンパク質リパーゼ(LPL)遺伝子が挙げられる。
LPL遺伝子は、ヒト染色体 8の短腕の8p22に位置する (R. S. Sparkes et al., Human genes involved lipolysis of plasma lipoproteins : Mappihg of loci for lipoprotein lipase to 8p22 and hepatic lipase to 15q2l, genomics 1: 138-44 [1987] )。該遺伝子はマイクロサテライトマーカー D8S1715の近くにあり、マイクロサテライトD8S261 および D8S280に隣接している。ヒトLPLのより近い隣接配列は、GenBank 登録番号 M94221およびM94222に規定される(S. Wood et al., Support for founder effect for two lipoprotein lipase[LPL] gene mutations in French Canadians by analysis of GT microcatellites flanking the LPL gene, unpublished [1992])。該遺伝子は約30 kbに及び、475 アミノ酸のタンパク質をコードする10 エキソンを含み、27 アミノ酸の分泌シグナルペプチドが含まれる(S. Deeb and R. Peng, Structure of the human lipoprotein lipase gene, Biochemistry 28 (10): 4131-35 [1989]; T. G. Kirchgessner et al., Organization of the human lipoprotein lipase gene and evolution of the lipase gene family, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 9647-51 [1989])。
本発明の目的において、ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子の3'末端はイントロン 6 からイントロン 9にわたるヌクレオチド位置 4801 〜9734のニッカーソン参照配列を含む (GenBank登録番号AF050163)(D.A. Nickerson et al., DNA sequence diversity in a 9. 7-kb region of the human lipoprotein lipase gene, Nat. genet. 19: 233-40 [1998] )。完全なニッカーソン参照配列を以下の表1に示す。
ヒト亜集団は、民族、性別、年齢またはその他の一般集団から亜集団を区別する同定可能な特徴に基づいて目的とされるいかなる亜集団であってもよい。
本方法によると、ヒト亜集団における「第一の数の対象」とは、10以上の有限数の対象であって、好ましいくは対象の最小数は約20から約40である。第一の数は、亜集団におけるいずれの数の対象であってもよく、亜集団における個体総数−1までのいずれであってもよい。「第二の数の対象」は亜集団における個人の総数までの、亜集団におけるいずれの数の対象であってもよい。ヒト亜集団における第二の数の対象の最小数は様々な因子に依存して当業者に公知の適宜の数であり、かかる因子としては亜集団における特定のハプロタイプの頻度、亜集団における目的の特定の表現型の頻度、ハプロタイプと目的の表現型との関連強度、統計的有意差の所望のレベル、その他の因子が含まれる。
Gabriel et al. (15)は、ヒトゲノムがハプロタイプのブロック (そのほとんどが10 キロベースより長い)として編成されており、ブロックあたり3から5の共通に存在する(>5%)ハプロタイプがあることを示した。6から8のバリアントのみで、各ブロックにおけるもっとも一般的なハプロタイプを決定するのに十分であった。6から8のバリアントの遺伝子型同定により、関連分析についての集団におけるもっとも高頻度で起こるハプロタイプの決定が可能である。家族データを入手することで、このアプローチは、単一のバリアントにおける遺伝子型同定に基づいてより効率的かつ安価にハプロタイプの明白な決定を促進することにより補助される。目的のバリアントは入手可能なデータベースから選択することも出来、特にこれに限定されないが、関連のない個体群に関するデータベースから選択することが出来る。
ハプロタイプに基づく分析の利点は、それによってある領域にわたるすべての変異が捕捉され、関連を検出する能力が向上することである。
種の個々のメンバーの「ゲノム」は個体の完全な遺伝子のセットを含む。種のゲノム内の特定の位置は「座位」または「部位」と称される。「アレル」は様々な形態の所与の部位に位置するゲノムDNAである。1つの種において2種類のアレルが存在する部位の場合、アレルは「A」および「B」と称され、種のメンバーの各個体は:AA; AB; BA;およびBBの4つの組み合わせを有する可能性がある。各ペアの第1のアレルは一方の親から受け継ぎ、一致する染色体の第2のアレルは他方の親から受け継ぐ。
個々のゲノムにおける特定の部位または関連する多型部位(即ち、ハプロタイプ)の組み合わせまたは群における個体の「遺伝子型」は、その個体が受け継いだアレルの特定の組み合わせを意味する。
個体の「表現型」は、1以上の観察できる物理的特性を意味する。ある個体の表現型はその個体のプロテオームの構成タンパク質によって大部分定まる。プロテオームとは、個体を構成する細胞によって産生されるすべてのタンパク質の集団であり、個体のゲノムにコードされる。しかし、遺伝子制御要素によっても表現型は生じうる。
本発明の目的においては、「遺伝マーカー」は単一ヌクレオチド多型(SNP)である。「バリアント」、「マーカー」および「多型」は本明細書において互換的に用いられる。
本発明の目的のため、遺伝マーカー(即ち、アレル)の存在または不在、マーカーについての対象のヘテロ接合性またはホモ接合性の検出、評価または調査は個々のゲノムDNAを含む個体から回収された生物サンプル(例えば、これらに限定されないが、血液、唾液または組織診サンプルであって、生物サンプルは新たに収集されたものであってもDNAを保存するために好適に貯蔵されたものでもよい)において好適な生化学的遺伝子型同定分析アッセイ手段を実施することによって検出される。分析ハイブリダイゼーションまたはポリヌクレオチド配列決定手段が典型的に実施されるが、所望により、例えばPCRに基づく増幅手段による、生物サンプルにおけるDNAの増幅後に行ってもよい。ハイスループット分析が、当該技術分野で公知の複数の技術を組み合わせることによって所望により達成される。遺伝子型同定分析アッセイ手段は、一般的に入手可能なロボット装置および/または高密度アレイ検出装置によって行ってもよい。LPL遺伝子のマーカーおよびハプロタイプについての生物サンプルの遺伝子型同定に有用なプローブ、プライマー、およびプロトコールは例えば本明細書の表2および実施例に記載されており、その他にも当業者に知られたものがある (例えば米国特許第6297014号参照)。
本発明は、インスリン耐性の発症についてメキシカンアメリカンヒト対象における遺伝的素因の検出方法に関する。遺伝的「素因」は、現在はインスリン耐性を示さないが、将来、全体のメキシカンアメリカン亜集団と比べてインスリン耐性を発症するリスクが正常より高い対象に検出される指標である。
同様に、メキシカンアメリカンヒト対象においてインスリン耐性または冠動脈疾患を発症する正常より低いリスクを検出する本発明の方法に関して、「正常より低い」とは、全体としてのメキシカンアメリカン亜集団と比べてのものである。
本発明の目的で、「メキシカンアメリカン」とは、祖父母4名のうち少なくとも3名がメキシコ生まれの個体をいう。メキシカンアメリカン亜集団はかかる個体からなるヒト亜集団である(即ち、一般的ヒト集団のなかの1民族亜集団)。
本発明を以下の非限定的な実施例に言及することによってより詳細に説明する。
メキシカンアメリカンにおけるリポタンパク質リパーゼ遺伝子ハプロタイプ:構造および冠動脈疾患との関連
簡単に説明すると、LPLの3'末端におけるもっとも一般的なハプロタイプを識別するのに十分な6つの多型を、小パイロット集団において10つの多型の遺伝子型を決定することにより同定した。これらを用いてメキシカンアメリカンおよび非-ラテンアメリカ人であるコーカサス人の大家族サンプルのLPLのハプロタイプを決定した。ケースコントロール関連研究を行って、冠動脈疾患であるものとそうでないメキシカンアメリカンを比較した。2つの民族群は有意な遺伝的相違を示した。メキシカンアメリカンのなかで、LPL ハプロタイプ 1についてホモ接合性であるものは冠動脈疾患に対して保護されていた(OR=0.50, 95% CI 0.27-0. 91)。この研究はLPL遺伝子のハプロタイプ構造を説明するものであり、関連研究におけるハプロタイプに基づく分析の有用性を示し、また、異なる民族群についてのハプロタイプ頻度の決定の重要性を示す。
材料および方法
対象
UCLA/Cedars-Sinaiメキシカンアメリカン冠動脈疾患(MACAD)プロジェクトには、冠動脈疾患の発端者由来であると確かめられた家族が含まれた。これは心電図または入院記録による心筋梗塞の証拠、冠動脈造影または冠動脈バイバス・グラフトまたは血管形成の経歴によるアテローム性動脈硬化症の証拠により決定された。DNAは可能な全ての家族のメンバーから得、発端者の成人子孫およびかかる子孫の配偶者も一連の試験を求められ、その代謝および心血管表現型、例えば、正常血糖クランプ試験により決定されるインスリン耐性の指標、脂質パラメータ、リパーゼ活性および頸動脈内膜(intima-media)厚さを特徴づけた。
別の研究において、非ラテンアメリカ人であるコーカサス人の家族を遺伝子連鎖研究のために集め、低脂肪高炭水化物食事に応答するリポタンパク質における個体間変動に対する特定の遺伝子の影響を調べた。兄妹に高脂肪または低脂肪食を与え、脂質およびリポタンパク質の変動をモニターした。本発明者らは、メキシカンアメリカンとの比較のためにこの集団のハプロタイプ頻度を調べた。
本研究において祖父母4名のうち少なくとも3名がメキシコ生まれであるものを「メキシカンアメリカン」として分類した。
遺伝子型同定
本発明者らのハプロタイピング方法の初期段階は、制限された数の対象における候補遺伝子のある領域にわたる多数の単一ヌクレオチド多型(SNPs)の遺伝子型を同定することからなる。ハプロタイプを次ぎにこれらバリアントを用いて構築し、その後、より少数のバリアントを選択して、集団において観察される染色体の大部分のもっとも一般的なハプロタイプの識別を可能とする。ハプロタイピングプロトコールの第2段階において、第1段階で同定されたSNPsの制限されたセットをハイスループット方法を用いて多数の個体において遺伝子型を同定し、集団規模でのハプロタイプの判定に用いる。
MACADからランダムに選択された8家族からの29名の対象を10個の単一ヌクレオチド多型において遺伝子型を同定した。これら単一ヌクレオチド多型(4872、5168、5441、6863、7315、8292、8393、8852、9040、9712)は MDECODE (Molecular Diversity and Epidemiology of Common Disease) プロジェクト、即ち、フィンランド非-ラテンアメリカコーカサスアメリカンおよびアフリカンアメリカン対象の研究において見いだされたものである(9)。SNPsの番号付けはNickerson, et al. (9;表1参照)によるものと対応し、これはGenbank登録番号AF050163に対応する。
[表1]
ニッカーソン参照配列 (GenBank 登録番号AF050163). (D. A. Nickerson et al., DNA sequence diversity in a 9. 7-kb region of the human lipoprotein lipase gene, Nat. Genet. 19: 233-40 [1998] )。完全なニッカーソン参照配列は以下の通り:
Figure 2005529608
Figure 2005529608
Figure 2005529608
8393は HindIII バリアントであり、9040はSer447Stop バリアントである。4872、5168、および5441はイントロン 6にある; 6863および7315はイントロン 7にある; 8292および 8852 はイントロン 8にある; 9712はイントロン 9にある;これらマーカーを選択したのは、これらが組換えホットスポットの下流のLPL遺伝子の領域にあり、MDECODE12においてマイナーアレル頻度が15%以上であったからである。PCR増幅、次いでHindIIIによる制限酵素消化を用いて8393の多型の遺伝子型を決定した。単一ヌクレオチドプライマーエクステンション法を用いて残りの9つのSNPs (4872、5168、5441、6863、7315、8292、8852、9040、9712)の遺伝子型を決定した。これらの初期データの分析により、制限された6セットのSNPsが全てのメジャーな3'末端ハプロタイプを包含することが示された。
MACADの85家族からの514名の対象および非ラテンアメリカンコーカサス人の157家族からの629名の対象においてこれら6つのSNPsの大規模遺伝子型同定を行った。5'-エキソヌクレアーゼ(Taqman(商標) MGB) アッセイを用いた(10)。PCR プライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブ配列を以下の表2に示す。
[表2]5'-エキソヌクレアーゼアッセイに用いたプライマーおよびプローブ配列
Figure 2005529608
このアッセイにおいて、アレル-特異的オリゴヌクレオチドプローブを異なるフルオロフォア(FAMまたはVIC)でその5'-末端を、クエンチャー分子で3'末端を標識した。クエンチャーは蛍光共鳴エネルギー移動によってフルオロフォアと相互作用し、その蛍光をクエンチする。これらプローブをPCR 反応混合物に含め、中央に多型を有する100-150塩基対セグメントを増幅した。アニーリングの際、PCR産物にプローブがハイブリダイズし、伸長の際、DNA ポリメラーゼの5'-3' エキソヌクレアーゼ活性が完全に一致したアニーリングしたプローブを分解し、フルオロフォアとクエンチャーを分離する。不完全に一致したプローブは分解せずに溶液中に移動する。各フルオロフォアからの相対的蛍光の比較により遺伝子型の判定が可能となる。
データ解析
各家系のすべての個体の家系構造および遺伝子型データに基づいて、プログラムSimwalk2に用いられているシュミレーションアニーリングアルゴリズムを使用して、ハプロタイプを、家系における各個体についてのマーカー座位の完全に決定された親ハプロタイプの(最尤法により判定して)もっとも可能性のあるセットとして再構築した(19)。非関連初代の比較に含まれている対象群の間のすべての比較および初代染色体データを表に示す。初代ハプロタイプ、即ち親および家族に結婚した個体からのハプロタイプを用いて241名のメキシカンアメリカン初代からの482 染色体および291名の非-ラテンアメリカコーカサス人初代からの582 染色体のハプロタイプ頻度を計算した。6名のメキシカンアメリカンおよび21名の非-ラテンアメリカコーカサス人初代を、そのハプロタイプが明白に決定できなかったため分析から除外した。χ2検定を用いて冠動脈疾患でないメキシカンアメリカンと非-ラテンアメリカコーカサス人の間のアレルおよびハプロタイプ頻度を比較した。
冠動脈疾患のケースコントロール関連研究を、メキシカンアメリカン初代と冠動脈疾患でないメキシカンアメリカン初代の間のハプロタイプ頻度を比較することによって行った。ケースは、冠動脈疾患の77名の発端者(154 染色体);コントロール(164 個体、328 染色体)は、その配偶者と、子孫世代と結婚した配偶者とした。ケースおよびコントロールは遺伝的に関連していないため、そのアレルおよびハプロタイプ頻度および性別分布はχ2検定を用いて比較した。スチューデントT検定を用いてケースとコントロールの平均年齢を比較した。ハプロジェノタイプによる冠動脈疾患についてのオッズ比を、ケースコントロール比較における年齢と性別の交絡効果を調整するためにロジスティック回帰分析を用いて計算した。分析はSAS システムソフトウェアを用いて行った(20)。
結果
予備的研究において、28 の独特の染色体のハプロタイプをメキシカンアメリカン家族データを用いて導き、これを頻度順に表3 (以下)に示す。これらの結果を用いて大きな集団サンプルにおいて遺伝子型を同定されたマーカーを選択した。表3に示すように、マーカー 7315、8292、8393、8852および9040がハプロタイプを互いに識別するのに十分である。これら5つのSNPsに加え、9712も選択した。というのはこれはTempleton, et al. (6)によってMolecular Diversity and Epidemiology of Common Disease (MDECODE) プロジェクトにおいて構築されたハプロタイプツリーにしたがって2つのメジャーな古代のクレードを識別すると予測されたからである。ここに報告する結果は、4つの古代の分岐学群を説明する、LPL遺伝子の9.7 kbのハプロタイプ構造の研究と一致する。マーカー 7315、8393、および9712は古代 3'LPL クレードの4つのすべてを識別するのに有用である。
[表3]LPL ハプロタイプ予備的研究
Figure 2005529608
第2段階において、6つの選択されたマーカーについて、85 家族からの514名のメキシカンアメリカン対象および157非-ラテンアメリカコーカサス人 家族からの629名の対象において遺伝子型を同定した。アレル頻度を表4に示す(以下)。冠動脈疾患ではないメキシカンアメリカンからのマーカーを民族比較を行うにおいて疾患に基づく確認の偏向を除く目的で表4に示す。
[表4]メキシカンアメリカンおよび非-ラテンアメリカコーカサス人におけるLPL SNP アレル頻度
Figure 2005529608
注目すべきことに、9040 (Ser447Stop)は以前のMDECODE研究対象において非常にまれであったが(アフリカンアメリカン、フィンランド人においては検出されず、米国非ラテンアメリカコーカサス人において4%の頻度でみられた)、本研究においては、9040 (Ser447Stop)はメキシカンアメリカンにおいて7%の頻度、そして非-ラテンアメリカコーカサス人において9%の頻度でみられた。メキシカンアメリカンと非-ラテンアメリカコーカサス人を比較すると、アレル頻度は6つのバリアントのうち4つについて有意差があった (表4)。
冠動脈疾患ではないメキシカンアメリカン(EKGまたは入院記録例えば、血管形成、冠動脈バイバス・グラフト手術または血管造影によって判定)からの初代ハプロタイプ頻度を非ラテンアメリカコーカサス人と比較した。各群について観察されたハプロタイプの99%を含む、6つのもっとも一般的なハプロタイプを表5に示す(以下)。両群はハプロタイプ 1をもっとも一般的なハプロタイプとして共有していた。その他のハプロタイプに関して2群の間でいくつかの差があった。ハプロタイプ2、3、4および5は 非-ラテンアメリカコーカサス人集団でより多かった;ハプロタイプ1および6はメキシカンアメリカンにおいてより多かった。これらの差は3つのもっとも頻度の高いハプロタイプについて統計的に有意であった。
ケースコントロール研究において、冠動脈疾患のメキシカンアメリカン発端者を、冠動脈疾患でないその配偶者およびその子孫の配偶者と比較した。したがって、これらケースおよびコントロールの個体はすべて遺伝的に関連していなかった。ケースの平均年齢は62.2歳であり;コントロールの平均年齢は42.6歳であった(P<0.0001)。コントロール群は親および子孫世代の両方からの個体からなるため、この年齢差は予測されたものであった。性別分布は群間で同様であり、ケースの44%が男性、コントロールの38%が男性であった(χ2=0. 9, P=0.35)。
[表5]非ラテンアメリカコーカサス人と比較したメキシカンアメリカンにおけるLPL ハプロタイプ頻度
Figure 2005529608
6つのすべてのマーカーについての遺伝子型頻度はケースおよびコントロールの両方についてハーディ・ワインバーグ平衡にあった。6つのSNPsのアレル頻度は、冠動脈疾患状態によってメキシカンアメリカン内で有意差はなかった(表6)。遺伝子型頻度の比較は、ケースおよびコントロールの間で差はなかったが、ただし、8393 (HindIII) バリアントについて中程度の有意差があった(P=0.05)。しかし冠動脈疾患であるメキシカンアメリカンとそうでないメキシカンアメリカンの間の共通のハプロタイプ頻度の比較により、冠動脈疾患であるものにおいてもっとも一般的なハプロタイプの頻度に有意な減少が明らかとなった(表7、以下)。これはケースの間での一般的でないハプロタイプの頻度の上昇を示し、その検出は入手可能なサンプルの大きさによって妨げられていた。ハプロタイプ 1は冠動脈疾患のリスクの有意な減少と関連していた(P=0.03)。一般的でないハプロタイプのなかで、ハプロタイプ 4が冠動脈疾患の最大リスクと顕著に関連があったが(P=0. 10)、この結果は与えられたサンプルの大きさにおいては統計的有意差に達しなかった。ハプロタイプ 1についてホモ接合型である対象と、その他のすべての遺伝子型の対象との比較を表8に示す(以下)。ハプロタイプ 1についてのホモ接合性はオッズ比0.50 (95% CI 0.27-0. 91)にて冠動脈疾患に対する保護と関連していた。ロジスティック回帰モデルを別々にそして組み合わせて年齢と性別の調整に用いたが(表7)、この関連の有意性は変わらなかった (オッズ比見積0.39〜0.51)。ハプロタイプ 1以外のプロタイプはいずれも冠動脈疾患と統計的に有意な関係を示さなかった(データ示さず)。
[表6]CADであるメキシカンアメリカンとCADでないメキシカンアメリカンにおけるLPL SNP アレルおよび遺伝子型頻度
Figure 2005529608
ケースおよびコントロール間のアレル頻度の比較について:χ2 (1 d.f.)
メジャーおよびマイナーなアレルは表4に挙げる。
メジャーなアレルホモ接合体・対・ヘテロ接合体+マイナーなアレルホモ接合体、ケースおよびコントロールを比較: χ2 (1 d. f.)
[表7]冠動脈疾患であるメキシカンアメリカンと冠動脈疾患でないメキシカンアメリカンにおけるLPL ハプロタイプ頻度
Figure 2005529608
[表8]ハプロタイプ 1 ホモ接合体とその他のすべてのハプロジェノタイプを比較するロジスティック回帰分析
Figure 2005529608
2種類の民族群の比較において、本発明者らはアレルおよびハプロタイプ頻度のいくらかの差が3'LPLマーカーにおいて観察されることを見いだした。かかる差異は異なる集団において行われる関連研究の結果に影響を与える可能性がある。特に、HindIIIの異なるアレルが異なる頻度で起こり、これは異なる集団において行われた関連研究の結果が異なることの原因である可能性がある。例えば、月経の閉止したコーカサス人女性の研究では、HindIII バリアントとグルコースまたはインスリンレベルとは関係がないという結果であり、冠状動脈性心臓病の中国人男性の研究では、 HindIII と、インスリン耐性のマーカーである定常状態血漿グルコースレベルの関連が見いだされた(3,8)。
本明細書に記載するハプロタイプは、LPL遺伝子と心血管代謝不全症候群の要素との関連を調査する将来の研究において非常に有用である可能性がある。本明細書において、ハプロタイプ頻度が冠動脈疾患状態によって異なっていたことを説明する。6つの単一多型部位のうち1つだけが冠動脈疾患と関連していた。これは候補遺伝子あたり1または2つの多型を調査する一般的なアプローチでは表典型関連性を検出することが出来ないことを示す。単一バリアント分析と比較して、ハプロタイプに基づく分析は関連研究における偽陰性の可能性を減少させる。ハプロタイプに基づく分析の利点は、それによってある領域にわたるすべての変異が捕捉され、本発明者が行った研究におけるように、関連性の検出能力を向上させることが出来ることである。この研究はしたがって、疾患遺伝子関連性の解明におけるハプロタイピングの高い能力および民族特異的ハプロタイプデータの重要性を立証する。
リポタンパク質リパーゼ遺伝子とインスリン感受性の関連のハプロタイプ分析
リポタンパク質リパーゼ (LPL)は、心血管代謝不全症候群、アテローム性動脈硬化症の特徴およびインスリン耐性症候群の要素、即ち、高血圧、脂質レベルおよび絶食時インスリンに関与する候補遺伝子である。
本研究の目的は、LPL遺伝子と、高頻度のインスリン耐性を有する障害であるCAD患者集団により調べたメキシカンアメリカン家族におけるインスリン感受性の直接的測定の関係を調べることにある。インスリン感受性は正常血糖高インスリン性クランプ試験の間のグルコース注入速度(GINF)の測定によって評価でき、これはもっとも直接的であると広く認められているインスリン感受性の生理的測定である(38,39)。
メキシカンアメリカン核家族がロサンゼルス地域においてCADとされた患者由来であると確かめられた。全部で91名の成人子孫の正常血糖クランプにより末梢グルコース処理を調べた。インスリン感受性 (SI)は各子孫についてのグルコース注入速度 (GINF) および基底値以上の血漿インスリン増加によって計算した。親と子孫の両方について染色体 8上のLPL遺伝子上またはLPL遺伝子近くの6.9 cM に渡って存在する8つの多型マーカー(D8S261、LPL3、HindIII、PvuII、LPL5、D8S258、D8S282、D8S136)について遺伝子型を同定した。
連鎖解析をSAGEパッケージのSIBPALプログラムにて行われる線形回帰法を用いて行った。HindIII 多型 マーカー とSIの関連はASSOCプログラムにて行われる家族相関を組み込む2つのモデル(マーカー無しまたは有り)の最大尤度を比較することによって評価した。
結果
LPL遺伝子上またはLPL遺伝子近くの複数のマーカーがSIに対して連鎖の有意な証拠を示した(0. 003p0. 05)。さらに、LPL遺伝子内のHindIII 多型のアレル 2とインスリン感受性 (SI)の間で有意な関連が観察された(p=0.008)。
これは冠動脈疾患発端者由来であると確かめられたメキシカンアメリカンの家族研究においてLPL近くまたはLPL内のマーカーとインスリン耐性の連鎖を示し、さらに、HindIII 多型とインスリン感受性の直接的測定(SI,正常血糖クランプ試験から計算)との関連を示す。HindIII アレル 2 はSIの減少と関連している。したがって、CAD 発端者由来であると確かめられたメキシカンアメリカン家族において、本発明者らは初めてLPL遺伝子がインスリン耐性の直接的測定と連鎖および関連していることを示した。この観察はインスリン耐性症候群におけるLPL遺伝子の重要性のもっとも直接的な証拠を提供し、そしてそのCAD の発症との関連についての病態生理学的機構を提供する。
以下に記載するさらなる研究における本発明者らの目的は、グルコースクランプを経たより広い家族サンプルにおいてインスリン感受性と関連する特異的ハプロタイプ (同じ染色体上のアレルの群)を同定することであった。
メキシカンアメリカン高血圧家族におけるLPLとインスリン感受性/耐性との連鎖および関連の証拠
本発明者らは上記にて血圧 (BP)とインスリン感受性/耐性 (IR)がメキシカンアメリカン家族において同時分離し、おそらくBPとIRの両方に寄与する1または複数の遺伝子が存在することを示した。以前の研究により、LPL遺伝子におけるHindIII 多型とIRの連鎖および/または関連、そしてIR-関連性高血圧、胃脂肪血症およびアテローム性動脈硬化症の証拠が示されている。しかし多くの場合、インスリン感受性は間接的方法によって評価されてきた。LPL遺伝子のIRにおける役割をさらに調べるために、本発明者らは6つの(7315、8292、8393、8852、9040、9712) LPL 3'末端単一ヌクレオチド多型 (SNPs)について、高血圧発端者由来であると確かめられた77のラテンアメリカ人家族の390名のメンバーの遺伝子型を同定した。インスリン感受性/耐性を高インスリン性正常血糖グルコースクランプによって直接調べた。複数点連鎖分析をSIBPAL2を用いて行った。6つのSNPs、LPLハプロタイプおよびIR-関連形質の間の関連をQTDT プログラムを用いて調べた。
材料及び方法
対象
UCLA/Cedars-Sinai メキシカンアメリカン冠動脈疾患 (MACAD) プロジェクトに心電図 または入院記録による心筋梗塞の証拠、冠動脈造影によるアテローム性動脈硬化症の証拠、冠動脈バイバス・グラフトまたは血管形成の履歴(30)によって判断した冠動脈疾患発端者由来であると確かめられた家族を登録した。DNAをすべての可能な家族のメンバーから得、発端者の成人子孫 (18歳以上) およびかかる子孫の配偶者も一連の試験を受けてその代謝および心血管表現型を特徴づけた。
遺伝子型同定
上記研究において本発明者らはLPL遺伝子の3'末端にあるもっとも一般的なハプロタイプを同定するのに十分な6つのSNPsのセットを調べた(30)。これらは7315、8292、8393、8852、9040および9712であった。SNPsの番号付けはGenbank登録番号AF050163に対応し、これはフィンランド人、非-ラテンアメリカコーカサスアメリカン、およびアフリカンアメリカン対象の研究である、Molecular Diversity and Epidemiology of Common Disease (MDECODE) プロジェクト(9)において配列決定されたLPL遺伝子の9.7 kb セグメントを指す。8393はイントロン 8 に位置するHindIII バリアントであり、9040はエキソン 9に位置するSer447Stop バリアントであり、7315はイントロン 7; 8292および8852 はイントロン 8; 9712はイントロン 9に位置する。
MACAD 家族における6つのSNPsの大規模遺伝子型同定を5'-エキソヌクレアーゼ (Taqman (商標)MGB)アッセイを用いて行った(10)。PCR プライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブ配列を表2に示す(Goodarzi et al. ; 30)。このアッセイにおいて、アレル-特異的オリゴヌクレオチドプローブを異なるフルオロフォアで(FAMまたはVIC) その5'-末端を標識し、クエンチャー分子で3'末端を標識した。クエンチャーは、フルオロフォアと蛍光共鳴エネルギー移動によって相互作用し、その蛍光をクエンチする。これらプローブをPCR 反応混合物に含め、中央に多型を有する100-150 塩基対セグメントを増幅した。アニーリングの際、プローブはPCR産物にハイブリダイズし、伸長の際、DNA ポリメラーゼ の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が完全に一致するアニーリングしたプローブを分解しフルオロフォアとクエンチャーを分離する。不完全に一致するプローブは分解せずに溶液中に移動する。
各フルオロフォアからの相対的蛍光の比較により遺伝子型の決定が可能となる
LPLマーカーを85のMACAD 家族の514名の個体において遺伝子型を同定した。これらのなかで、29名の個体の遺伝子型は、その遺伝子型がプログラム Pedcheck (40)により検出したところその家系と不適合であったため排除した。これにより残りの485名の個体の遺伝子型をLPLにおいて同定した。6つのマーカーのすべての遺伝子型頻度はハーディ・ワインバーグ平衡にあった。
表現型決定
発端者の成人子孫と子孫の配偶者に3日間の表現型決定プロトコールを実施した。これには正常血糖クランプ試験により測定されるインスリン耐性指標、脂質パラメータおよび頸動脈内膜厚さが含まれる。LPLにおいて遺伝子型を同定された485名の対象のうち、125名は表現型決定を行っていない親世代由来であり、69名はクランプされていない子孫世代由来であった。したがって、74 家族からの291名の対象がLPL マーカーについてクランプおよび遺伝子決定された。
いくつかのインスリン感受性の指標をMACAD研究において得た。絶食時インスリンおよびグルコースはインスリン感受性の簡便な代理的測定であり、恒常性モデル評価指標(HOMA)の計算を可能とする。mmol/LにおけるグルコースおよびμIU/mlにおけるインスリンを用いると、HOMA 指標は(グルコース x インスリン) /22. 5である。理想的な正常体重の35歳未満のHOMAは1である(41)。
高インスリン性正常血糖クランプ(38)の際、ヒトインスリン (Novolin, Clayton, NC; 60 mU/m2/分)を120分間一定速度で注入し、血漿インスリン 濃度を100 μIU/ml以上とした。血液を5分ごとに採取し、20%率のデキストロースを共注入して血漿グルコース濃度が95〜100 mg/dLを維持するよう調整した。定常状態インスリンおよびグルコース濃度の最後の30分間のグルコース注入速度(GINF、mg/分)はすべての体内組織によるグルコース取り込みを反映し(主として筋肉におけるインスリン-媒介グルコース取り込み)、それゆえ組織インスリン感受性の直接的生理的測定である。GINFはまた、体重で割ることもあり、その結果 M 値(mg/kg/分 ; 38)という特徴を表す。
データ解析
各家系のすべての個体の家系構造および遺伝子型データに基づき、家系における個々の個体についてマーカー座位の完全に決定された親のハプロタイプの(最尤法により測定して)もっとも有望なセットとしてハプロタイプを再構築した。プログラム Simwalk2のシュミレート・アニーリング・アルゴリズムを用いた(19)。この方法を用いて本発明者らは485名の遺伝子型を同定された対象のうち475名にハプロタイプを割り当てることができた。これには291名の遺伝子型を同定され、クランされた対象のうちの285名が含まれる。初代ハプロタイプ、即ち、親および家族と結婚した個体からのハプロタイプを用いて241名のメキシカンアメリカン初代からの(125名の親、子孫の116名の配偶者) 482の染色体におけるハプロタイプ頻度を計算した。冠動脈疾患でない164名の初代(48名の親、116名の配偶者)の328の染色体のなかでもっとも一般的なハプロタイプの頻度を表9に示す。同時に6つのSNPsのメジャーアレル頻度も示す。冠動脈疾患でないメキシカンアメリカンからのマーカーを疾患に基づく確認の偏向を除くために表9に示す。
[表9]メキシカンアメリカンにおけるLPL単一マーカーおよびハプロタイプ頻度
Figure 2005529608
Log-変換(身体計測値、絶食時血糖値、絶食時インスリン)または平方根変換(HOMA, GINF, M) 形質の値を用いてすべての統計分析の歪みを減少させた。対応のない両側T検定を用いて男女間の形質の値を比較した。
連鎖を兄妹対検定を用いて評価した(42)。このアプローチの基本概念は、座位が研究中の量的形質または表現型に影響を与える場合、その座位におけるより多くのアレルを共有する兄妹は、より少ないアレルを共有する兄妹よりも表現型において類似しているというものである。理論的には、この手法は各兄妹対間の量的形質における差の二乗を共有されるアレル数に対してプロットし、そして線形回帰を用いて、どれほど形質における差が、 共有されるアレル数に依存しているかを評価する。有意な連鎖が負の回帰係数により示される。連鎖がなければ回帰係数は0と見積もられる。本発明者らはSAGE 4.2 におけるSIBPAL2 プログラム(43)を用いて兄妹対分析を行った。これは従属変数として平均修正外積を兄妹の形質値の差の平方の代わりに用いる;この修正方法はより強力であって家族における複数の兄妹に適応する(44)。
QTDT プログラムを用いて個々の多型およびハプロタイプの両方について関連を定量的伝達不均衡検定によって評価した(45)。伝達不均衡検定は最初、親から罹患した子孫へと伝達される、そして伝達されないアレルを比較してあるアレルが疾患に関連するかを調べる二又形質のために開発された(46)。これは後に量的形質について拡張された(47)。Abecasisは、あらゆるサイズの家族に適合し、すべての入手可能な遺伝子型情報を用いるアレル伝達のスコアリングのための一般的アプローチを開発した(45)。家族データによって、あらゆる非初代についての予測される遺伝子型の構築が可能となり、この予測から逸脱する直交はアレル伝達の尺度である。QTDT プログラムはAbecasisの直交モデルを用いてこの一般的伝達不均衡検定を実行する(48)。年齢、性別および体重指標は共変動として特定された。環境による変動、多遺伝子性変動および追加的なメジャーな座位がこの変動モデルにおいて特定された。正の関連の結果のすべての場合において、集団層別化モデルは、有意な集団層別化の不在を確認するために行われた。
結果
インスリン耐性の定量的評価を行った291名の対象(112名の男性、179名の女性)の臨床的特徴を以下の表10に示す。これは平均年齢35.3歳のメキシカンアメリカンの成人群である。平均するとこれらの個体は過体重である。これは観察されたインスリン耐性の程度を説明する可能性がある;しかし、メキシカンアメリカンは、内臓肥満症, 高インスリン血症およびインスリン耐性 (49,50)の素因を有することが知られている。平均HOMAレベルはこれらの人々が平均して正常の4倍インスリン耐性が高いことを示唆している。男性は統計的に有意に高い体重(P<0. 0001)および絶食時血糖値(P=0. 0023)レベルを示すが、女性はGINF (P=0. 0001)が有意に低いがM値はそうではない。
[表10]遺伝子型を同定され、クランプされた291名の個体の臨床的特徴
Figure 2005529608
連鎖結果を表11に示す。インスリン感受性のいくつかの指標のなかで、連鎖はGINFによって表される直接的定量についてのみ示された。M値、GINF/体重と等しいクランプ-由来指標はLPLハプロタイプと有意に連鎖していなかった。
[表11]インスリン感受性およびLPL ハプロタイプの測定値の連鎖結果
Figure 2005529608
関連は定量的伝達不均衡検定によって評価した。特定のハプロタイプについての正の関連の結果を表12 (以下)に示す。どのハプロタイプも絶食時血糖値、絶食時インスリン、HOMAとは有意に関連していなかったが、ハプロタイプ1および4はGINFとM値の両方と有意に関連していた。ハプロタイプ1および4とインスリン耐性の関連の性質を特徴づけるために、本発明者らはこれらハプロタイプのキャリアにおける平均インスリン感受性レベルを調べた(表12および図2)。本発明者らは、ハプロタイプ1はもっとも好ましい平均インスリン感受性と関連しており、ハプロタイプ4のキャリアはインスリン感受性が最も低い (即ちインスリン耐性が最高)ということを観察した。絶食時インスリン、HOMA、GINFおよびMについて、平均インスリン感受性はハプロタイプ1ホモ接合体からハプロタイプ1ヘテロ接合体、そしてハプロタイプ1のない個体の順に悪くなった。逆に、ハプロタイプ4ヘテロ接合体はハプロタイプ4 (ハプロタイプ4ホモ接合体はクランプした対象にはみられなかった)を有さないものよりインスリン耐性であった。図3はさらに、ハプロタイプ1および4が独立にインスリン感受性に及ぼす効果を調べることによるこれらの関連を説明する。ハプロタイプ1ヘテロ接合体およびハプロタイプ1を有さないものからハプロタイプ4を有する対象を除くことによっては、ハプロタイプ1の数が多いことによってみられるインスリン感受性に対して有利な傾向に影響は与えられなかった。同様にハプロタイプ1キャリアをハプロタイプ4を有する、または有さないものから除いても後者の対象における低いインスリン感受性という傾向に影響はなかった;実際、ハプロタイプ1を有さずハプロタイプ4のキャリアである対象は最低のインスリン感受性 (最高のインスリン耐性)をその他のハプロジェノタイプ群と比較して示した。同様の傾向はM値についても観察された。
[表12]インスリン感受性の指標についてのLPL ハプロタイプ関連結果
Figure 2005529608
上記の研究はLPLとの関連研究において表現型として正常血糖クランプによって評価されるインスリン感受性を使用した初めてのものであると考えられる。2つのLPL ハプロタイプはGINFの変動と関連していた。これらハプロタイプはインスリン感受性に対して逆の効果を有する。もっとも一般的なハプロタイプであるハプロタイプ1は、高いインスリン感受性と関連していた。個体においてハプロタイプ1の染色体数が減少すると (2から1そして0)、GINF、HOMA および絶食時インスリンによるインスリン感受性は順に低下する。さらにハプロタイプ4キャリアはインスリン感受性が最低である。即ち、もっともインスリン耐性である。これらの関連の傾向はハプロタイプを別々に考慮しても同様であった。入手可能なデータによって本発明者らはインスリン-感作機能性バリアントがハプロタイプ1染色体にあるのか、および/またはハプロタイプ4-担持染色体においてインスリン耐性を促進するバリアントがあるのか決定することは出来なかった。しかし、代謝症候群と関連する心血管リスクに関しては、本発明者らの研究は、ハプロタイプ 1が冠動脈疾患に対する保護に関連しており、ハプロタイプ4が冠動脈疾患のリスクの増加に関連していることを示すものであった(実施例1参照)。
引用文献
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図1は、LPL 3'末端ハプロタイプの分岐構造を示す。ハプロタイプ間を連結する線は、連結されたハプロタイプの間の単一ヌクレオチド差を示し、対応するバリアント番号を線上に示す。ハプロタイプは頻度が減少する順に番号付けしてある。ハプロタイプ1、2、6および7はHindIII アレル 1を含み; ハプロタイプ3、4、5、8および9はHindIII アレル 2を含む。 図2は、LPL 3'末端ハプロタイプのインスリン感受性の指標に対する効果を示す。各グラフの中央の太線は全ハプロタイプ決定され、固定された(clamped)集団の平均を表す。 図3は、ハプロタイプ1とハプロタイプ4のインスリン感受性に対する独立した効果を示す。左は、ハプロタイプ 4を有するものを除いたハプロタイプ1遺伝子型である。右はハプロタイプ1を有するものを除いたハプロタイプ4遺伝子型である。中央の太線は全ハプロタイプ決定され、固定された(clamped)集団の平均GINFレベルを表す。
【配列表】
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Claims (7)

  1. 以下の工程を含む、目的のゲノム参照配列におけるヒト亜集団についての大規模遺伝子分析に有用なハプロタイプ決定方法:
    ヒト亜集団における第一の数の対象の遺伝子型において、ゲノム参照配列の位置の複数の遺伝マーカーの存在を検出する工程;
    検出されたマーカーの頻度ヒエラルキーを同定する工程;
    頻度ヒエラルキーからハプロタイプのセットを構築する工程、ここで各セットのハプロタイプは少なくとも1つのもっとも高頻度に検出されたマーカーを含む;
    ハプロタイプのセットのより小さいサブセットを選択する工程、ここでより小さいサブセットは第一の数の対象においてもっとも高頻度であったハプロタイプを含む;そして、
    こうして選択されたハプロタイプのセットのより小さいサブセットを規定するのに必要なマーカーを同定する工程。
  2. さらに同定されたマーカーについてヒト亜集団において第二の数の対象の遺伝子型を同定する工程、ここで第二の数の対象は第一の数の対象より多い;そして、
    第二の数の対象の遺伝子型をハプロタイプのセットの選択されたより小さいサブセットのあらゆるメンバーと目的の表現型との統計的に有意な関係について評価する工程を含む請求項1の方法。
  3. 表現型がインスリン耐性である請求項2の方法。
  4. 表現型が冠動脈疾患である請求項2の方法。
  5. 以下の工程を含むメキシカンアメリカンヒト対象においてインスリン耐性を発症する遺伝的素因を検出する方法:
    a) 対象からの生物サンプルを収集する工程;
    b)ヌクレオチド位置 7315、8292、8393、8852、9040および9712においてヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子のニッカーソン参照配列についてサンプルの遺伝子型を同定する工程;および、
    c) 以下を含むハプロタイプ(ヌクレオチド位置: バリアントアレル)がサンプルに存在するかを評価する工程:
    (i) 7315: G;
    (ii) 8292: A;
    (iii) 8393: G;
    (iv) 8852: G;
    (v) 9040: G; および
    (vi) 9712: G、
    ここでハプロタイプの存在はメキシカンアメリカン対象におけるインスリン耐性を発症する遺伝的素因を示す。
  6. 以下の工程を含むメキシカンアメリカンヒト対象においてインスリン耐性を発症する正常より低いリスクを検出する方法:
    a) 対象から生物サンプルを収集する工程;
    b) ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子のニッカーソン参照配列についてヌクレオチド位置 7315、8292、8393、8852、9040および9712においてサンプルの遺伝子型を同定する工程; および
    c)以下を含むハプロタイプ(ヌクレオチド位置: バリアントアレル)がサンプルに存在するかを評価する工程:
    (i) 7315: G;
    (ii) 8292: A;
    (iii) 8393: T;
    (iv) 8852: T;
    (v) 9040: C; および
    (vi) 9712: G、
    ここでハプロタイプの存在は対象におけるインスリン耐性の発症の正常より低いリスクを示す。
  7. 以下の工程を含むメキシカンアメリカンヒト対象における冠動脈疾患を発症する正常より低いリスクを検出する方法:
    a) 対象から生物サンプルを収集する工程 ;
    b) ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子のニッカーソン参照配列についてヌクレオチド位置 7315、8292、8393、8852、9040および9712においてサンプルの遺伝子型を同定する工程;および、
    c)以下を含むハプロタイプ(ヌクレオチド位置 : バリアントアレル)についてサンプルがホモ接合型であるかを評価する工程:
    (i) 7315: G;
    (ii) 8292: A;
    (iii) 8393: T;
    (iv) 8852: T;
    (v) 9040: C; および
    (vi) 9712: G、
    ここでハプロタイプについてのホモ接合性は対象における冠動脈疾患の発症の正常より低いリスクを示す。
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