JP2005529166A - ペプチドカップリングのための試薬の化学合成 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ホスフィノチオール試薬の合成のための改善された方法、ならびに(特に、ペプチド連結のための)アミド結合の形成において使用するための新規の保護された試薬を提供する。本発明は、(特に、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質のうちの任意の2つの間でのアミド結合の形成のための)アミド結合の形成における試薬として有用なホスフィンボラン複合体を提供する。アミド結合を形成するための方法、アミド結合を形成するためのキットであって、ホスフィン−ボラン複合体を備えるキットもまた提供される。

Description

(関連出願の引用)
本願は、本明細書中の開示と矛盾しない程度まで本明細書中に参考として援用される、米国仮出願第60/387,171号(2003年6月7日出願)による、米国特許法119条(e)項の下での優先権を主張する。
(背景)
ペプチドの化学選択的連結を用いて、タンパク質の全体的化学合成を達成し得る。最も一般的な連結方法である、天然化合物連結は、各連結接合部のN末端でのシステイン残基の存在に依存する2,3。近年、本発明者らは、普遍的である、すなわち、任意の特定の側鎖の存在とは独立しているペプチド連結方法「シュタウディンガー連結」を報告した。この方法は、シュタウディンガー反応に基づき、ここでは、ホスフィンが、アジドを安定なイミノホスホラン中間体を介して還元する。このイミノホスホランのアシル化により、アミドが得られる6,7
スキーム1は、2000年5月11日出願のPCT出願PCT/01/15440にさらに詳細に記載される本発明者らのシュタウディンガー連結を例示する。C末端ホスフィノチオエステルを有するペプチドフラグメント(2)は、N末端アジドを有する別のペプチドフラグメント(3)と反応する。得られるイミノホスホラン(4)は、S−アシルからN−アシルへのシフト後に、アミドホスホニウム塩(5)をもたらす。このアミドホスホニウム塩のP−N結合は、容易に加水分解されて、アミド生成物(6)および酸化ホスフィン(7)を生成する。重要なことには、残りの原子はアミド生成物中には残らず4,6b、それゆえ、この連結は、痕跡がない。ホスフィノチオエステル(2)は、ホスフィノチオール試薬(1)(例えば、PhCH−SH、ここで、Phは、フェニル基である)の反応によって調製される。シュタウディンガー連結は、ペプチド結合を形成するために一般的に用いられ得、それゆえ、2つのアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質をアミノ酸またはペプチドまたは2つのタンパク質と連結するために用いられ得る。より一般的には、このシュタウディンガー連結は、アミド結合を形成するために用いられ得る。このアミド結合は、チオエステルとアジドとの間で形成される。一般に、この反応は、任意のチオエステルおよび任意のアジドについて機能する。このチオエステルは、ホスフィノチオエステルへと変換され、次いでこれは、このアジドと反応する。例えば、このチオエステル基は、アミノ酸のカルボキシ基において、またはペプチドもしくはタンパク質のカルボキシ末端において、またはペプチドもしくはタンパク質中のアミノ酸もしくは1以上のアミノ酸の酸性側鎖において形成され得る。このアジド基は、例えば、アミノ酸のアミノ基において、またはペプチドもしくはタンパク質のアミノ末端において、またはペプチドもしくはタンパク質中のアミノ酸もしくは1以上のアミノ酸の塩基性側鎖基において、形成され得る。このシュタウディンガー連結はまた、アミノ酸基、ペプチド基またはタンパク質基を炭水化物基(この炭水化物基は、単糖、二糖、三糖または多糖であり得る)またはヌクレオシドへと連結するために用いられ得る。このシュタウディンガー連結はまた、アミノ酸基、ペプチド基またはタンパク質基を、レポーター基、タグまたは標識(例えば、その存在が光学分光法もしくは質量分析法または他の機器方法によって検出され得る基;蛍光基または燐光基、同位体標識または放射性標識が挙げられる)へと連結するために用いられ得る。
グリシンを除く全ての天然のα−アミノ酸は、そのα−炭素に不斉炭素中心を有する。タンパク質の全体的化学合成に関して有効なツールであるためには、ペプチド連結反応は、エピマー化を伴わずに進行しなければならない。ネイティブな化学連結におけるチオエステルのカップリング(これは、シュタウディンガー連結(スキーム1)と同様に、チオエステル交換反応(transthioesterification)、続いてS−アシルからN−アシルへのシフトを含む2,3)は、検出可能なラセミ化を伴わずに進行することが公知である。本発明者らは、このシュタウディンガー連結(スキーム1)が、ほぼ定量的収率で、検出可能なエピマー化を伴わずに進行することを実証した。
スキーム1のシュタウディンガー連結は、ホスフィノチオール試薬(1)を用いる。このような試薬の以前に報告された合成方法4a,4bは、一般に、低い収率で進行する。RおよびR’がフェニル基である式1のホスフィノチオールの合成は、4つの合成工程を必要とし、これらのうちの2つは問題があり、全体の収率は約39%である。RおよびR’が小さなアルキル基(例えば、エチル基)である式1の試薬の合成において、この試薬自体の不安定性に起因して、困難に遭遇し得る。種々の種の間でのアミド結合の形成のためのシュタウディンガー連結の使用は、ホスフィノチオール試薬の合成のための改善された方法の開発および改善された安定性を有するこのような試薬の開発によって容易にされる。本発明は、このシュタウディンガー連結を実施するための改善を提供する。
Figure 2005529166
Figure 2005529166
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(発明の要旨)
本発明は、ホスフィノチオール試薬の合成のための改善された方法、ならびにアミド結合の形成において使用するための、特に、スキーム1およびスキーム2において例示される通りのペプチド連結のための、新規の保護された試薬を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、ホスフィノチオール(例えば、1(スキーム1);これは、ペプチドのシュタウディンガー連結をもたらすために最も有効な既知のホスフィノチオールであった)の合成のための改善された方法を提供する。1つの局面では、本発明は、ホスフィノチオール自体の合成を提供する。別の局面では、本発明は、ホスフィノチオエステルを調製するためにシュタウディンガー連結において用いられ得るホスフィン−ボラン複合体である、保護されたホスフィノチオール試薬(10、スキーム2)を提供する。
本発明のホスフィノチオール試薬(1)は、ホスフィン−ボラン複合体の脱プロトン化において、PRが保護基(特に、アシル基−COR(以下で定義される))であり、そしてXが脱離基(LG)である、式の保護されたアルキル化剤(20)を、式のホスフィン−ボラン複合体(25、ここで、R、R’およびR”は、以下の式10においての通りに定義される)と反応させて、保護されたホスフィン−ボラン付加複合体(10)を生成することにより、一般化されたスキーム3において例示される通りに合成される。このホスフィノチオール試薬(1)は、ホスフィン−ボラン複合体(10)の破壊および保護基(PR)の除去によって生成される。
特定の実施形態では、この保護基PRは、−CO−Rであり、ここで、Rは、H、アルキル基、アリール基または置換されたアルキル基もしくは置換されたアリール基である。特定の実施形態では、RおよびR’は、アリール基(特に、フェニル基)である。特定の実施形態では、RおよびRは、Hまたはアルキル基である。特定の実施形態では、R”は、全て水素であるかまたは全て小さなアルキル基である。特定の実施形態では、Xは、「良好な脱離基」であり、この用語は、当該分野で理解され、特にXは、ハロゲン基、またはOTs基、Otf基もしくはOMs基であり得る。
あるいは、式10のホスフィン−ボラン複合体が用いられ得る。
本発明はまた、以下の式:
Figure 2005529166
のホスフィン−ボラン複合体を提供し、ここで:
PRは、適切な保護基であり、これは、とりわけ、−CO−R基を包含し得、ここで、Rは、H、アルキル基もしくはアリール基または置換されたアルキル基もしくは置換されたアリール基から選択され得、ここで、この置換基は、本明細書中に例示した反応についての保護基としてのPRの機能に影響を与えず;
RおよびR’は、互いに独立して、アルキル基もしくはアリール基または置換されたアルキル基もしくはアリール基であり、ここで、この置換基は、本明細書中に例示した通りの反応に有意に有害には影響を与えず、RおよびR’は、同じ基であっても異なる基であってもよく、RおよびR’は、互いに共有結合され得;
R”は、この化合物中の他のR”とは独立して、H、アルキル基もしくはアリール基または置換されたアルキル基もしくは置換されたアリール基であり得、ここで、この置換基は、ホスフィン−ボラン複合体の形成に有意に負には影響を与えないか、またはホスフィンについての保護基としてのB(R”)の性質に有意に負に影響を与えず;3つのR”は全て同じであっても各々異なっていてもよく、そしてR”の任意の2つまたは3つは、互いに共有結合され得;そして
およびRは、互いに独立して、H、アルキル基、アリール基または置換されたアルキル基もしくは置換されたアリール基から選択され得、ここで、この置換基は、(特に、スキーム2に例示した通りの)シュタウディンガー連結におけるホスフィン−ボラン複合体の機能に有意に負には影響を与えず;RおよびRは、互いに共有結合され得る。
特定の実施形態では、本発明は、ペプチド連結試薬として使用するためのホスフィン−ボラン複合体を提供し、ここで、RおよびR’は、アルキル基(特に、エチル基、プロピル基またはブチル基)またはアリール基(特に、フェニル基または置換されたフェニル基)であり;R”は全てHまたは小さなアルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり;RおよびRは、Hまたは小さなアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり、そしてPRは、−CO−R基であり、ここで、RはHおよびアルキル基またはアリール基である。
より特定の実施形態では、本発明は、RおよびR’がアルキル基(特に、エチル基、プロピル基またはブチル基)であり;R”が全てHまたは小さなアルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり;RおよびRがHであり、そしてPRが−CO−R基であり、ここでRがH、アルキル基またはアリール基である、式10のホスフィン−ボラン複合体を提供する。
他の特定の実施形態では、本発明は、RおよびR’がフェニル基であり;R”が全てHまたは小さなアルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり;RおよびRがHであり、そしてPRが−CO−R基であり、ここでRがH、アルキル基またはアリール基である、式10のホスフィン−ボラン複合体を提供する。
別の局面では、本発明は、以下の式12:
Figure 2005529166
のホスフィン−ボラン複合体を提供し、ここで、
R、R’、R”、RおよびRは、上記に定義の通りであり、そしてAAは、アミノ酸、ペプチドもしくはタンパク質または完全にもしくは部分的に保護されたその誘導体である。このAA基は、このアミノ酸のCOOH基における(すなわち、
Figure 2005529166
ここで、PRは、アミン保護基であり、そしてRは、アミノ酸側鎖基である)、ペプチドまたはタンパク質のカルボキシル末端における(すなわち、
Figure 2005529166
)、またはアミノ酸側鎖基Rのカルボキシ基における、チオエステルの形成により、式12の複合体のチオ基に連結され得る。どこでチオエステル結合が形成されるかに依存して、このAA基は、(必要に応じて、そのCOOH末端またはアミノ酸(amino cid)側鎖基のCOOH基において適切なPR基を用いて)保護され得る。式12の複合体は、1つのチオエステル結合の形成を示す。しかし、AAが、Rにカルボキシレートを有するアミノ酸または1以上のカルボキシレートを含む1以上のRを含むペプチドもしくはタンパク質である場合、アミノ酸またはペプチドの2以上(最も一般的にはn)のカルボキシル基が、式12のホスフィンボラン複合体に連結される複数のホスフィン−ボラン複合体が、式12dに例示される通りに形成され得る:
Figure 2005529166
ここで、nは、この複合体中のチオエステル結合の数であり、nは、1、2、3またはより大きなものであり得る。AAは、任意の天然に存在するかもしくは合成によって調製されたアミノ酸、または任意の天然に存在するかまたは合成によって調製された、ペプチド、タンパク質もしくはタンパク質フラグメントであり得る。
特定の実施形態では、AAは、天然に存在する(D−、L−、アキラルまたはラセミ体の)アミノ酸であり、特に、以下のうちの任意の1以上からなる群より選択され得る:(D−、L−、アキラルまたはラセミ体の)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、プロリン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、O−ホスホセリン、オルニチン、ホモアルギニンおよびそれらの種々の保護された誘導体。アミノ酸保護基は、当該分野で公知の任意のアミノ酸保護基から選択され得、アミノ酸保護基としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:Mtr、Pmc、Tos、Mts、Mbh、Tmob、Trt、Xan、tBu、Bzl、OcHEX、Acm、S−tBu、MeBzl、Mob、Bum、Dnp、Bom、Z、ClZ、Boc、CHOまたはBrZ、ここで、従来の略号が、保護基を命名するために用いられている。当業者は具体的に列挙したものを含めて公知のアミノ酸保護基の中から、所定のアミノ酸および所定のアミノ酸内の所定の部分について、ならびに本発明の反応において使用するために化学的に適合性である基について、適切な保護基を選択し得る。
さらなる特定の実施形態では、本発明は、RおよびR’が、必要に応じて置換され得る、アルキル基またはアリール基であり得る、式12dのホスフィン−ボラン複合体(特に、RおよびR’が両方ともエチル基であるもの)を提供する。他の特定の実施形態では、本発明は、R、RがHである、式12dのホスフィン−ボラン複合体を提供する。他の特定の実施形態では、本発明は、R”が全てHまたは全て小さなアルキル(例えば、メチルまたはエチル)である、式12dのホスフィン−ボラン複合体を提供する。
Figure 2005529166
Figure 2005529166
Figure 2005529166
他の特定の実施形態では、本発明は、RおよびR’がアルキル基またはフェニル基であり;R”が全てHであり;RおよびRがHであり、そしてPRが−CO−R基であり、ここでRが、H、アルキル基またはアリール基である、式10のホスフィン−ボラン複合体を提供する。
本発明はさらに、スキーム2に例示される通りのシュタウディンガー連結を実施するための、またはより一般的には、チオエステルとアジドとの間でのアミド結合の形成のための指示書と組み合わせて、式10、12の1以上のホスフィン−ボラン複合体を備える、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質の連結のためのキットを提供する。式10、12のホスフィン−ボラン試薬は、このキット中の1以上の適切な容器または入れ物中に提供され得、そして選択された量の、連結されるべき、出発アミノ酸、出発ペプチドまたは出発タンパク質について選択されたスケールで連結反応を実施するために充分な試薬を提供するために予め計量され得る。このキットは、1以上の保護されたアミノ酸出発物質または連結のための他の出発物質をさらに備え得る。このキットはさらに、反応を実施するための1以上の溶媒、このホスフィン−ボラン複合体を脱保護するための脱保護剤、または連結用の出発物質もしくは連結の最終生成物の精製において有用な他の有用な試薬もしくは材料を備え得る。
このシュタウディンガー連結は、アミド結合を形成するために一般的に用いられ得る。このアミド結合は、チオエステルとアジドとの間で形成され、そしてこの反応は、最も一般的には、任意のチオエステルおよび任意のアジドについて機能する。この反応において、このチオエステル基は、アミノ酸のカルボキシ基において、ペプチドもしくはタンパク質のカルボキシ末端において、またはペプチドもしくはタンパク質中のアミノ酸もしくは1以上のアミノ酸の酸性側鎖基において形成され得る。このアジド基は、例えば、アミノ酸のアミノ基において、ペプチドもしくはタンパク質のアミノ末端において、またはペプチドもしくはタンパク質中のアミノ酸もしくは1以上のアミノ酸の塩基性側鎖基において、形成され得る。本発明の試薬はまた、アミノ酸基、ペプチド基またはタンパク質基を、炭水化物基(この炭水化物基は、単糖、二糖、三糖または多糖であり得る)またはヌクレオシドへと連結するために用いられ得る。本発明の試薬はまた、アミノ酸基、ペプチド基またはタンパク質基を、レポーター基、タグまたは標識(例えば、その存在が、光学分光法もしくは質量分光法または他の機器方法によって検出され得る基;蛍光基もしくは燐光基、同位体標識または放射性標識が挙げられる)へと連結するために用いられ得る。本発明は、アミド結合の形成のための、より詳細には、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質を炭水化物、ヌクレオシドまたはレポーター基、タグもしくは標識へと連結するための、式10、12の1以上のホスフィン−ボラン複合体を備えるキットを提供する。
本発明はまた、式10、12のホスフィン−ボラン試薬を用いる、シュタウディンガー連結によってアミド結合を形成するための改善された方法を提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、アミド結合を形成するための改善された方法、より詳細には、アミド結合を形成する際に有用な試薬を形成するための改善された合成方法、ならびにアミド結合を形成するための改善された試薬に関する。
以下の用語は、本明細書中での使用に関して定義される:
アルキル基とは、直鎖状、分枝状または環状であり得る、飽和炭化水素基をいう。小さなアルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル基は、置換基が、それが見出される化合物または化合物の一部分の機能に対して有意に有害に影響を与えないかぎり、置換され得る。
アリール基とは、5員環または6員環であり得る少なくとも1つの芳香族環を含む基をいう。アリール基の1以上の環は、縮合環を含み得る。アリール基は、1以上のアルキル基で置換され得、このアルキル基は、直鎖状、分枝状または環状であり得る。アリール基はまた、置換基が見出される化合物または化合物の一部分の機能に対して有意に有害には影響を与えない置換基で、環位置において置換され得る。置換されたアリール基はまた、1以上のヘテロ原子(例えば、必要に応じて、適切な価数のための水素または置換基を有する、N、OまたはS)が、環における1以上の炭素と置き換わる、複素環式芳香族環を有するアリール基を包含し得る。
スキーム3Aは、本発明のホスフィノチオール試薬(1)の合成のための一般化された方法を提供する。この合成は、アルキル化剤20とボラン−オルガノホスフィン複合体25との反応に基づく。ホスフィン−ボラン複合体25のホスフィンは、塩基を用いて脱保護され、続いて20を用いてアルキル化されて、ホスフィン−ボラン複合体10が得られる。ホスフィン−ボラン複合体10は、空気および水分に対して安定であり、酸化の徴候も分解の徴候もまったくなく、室温にて何ヶ月間も保存され得る。
このボラン複合体10は、(好ましくは、トルエン中でのDABCOを用いた)アミンの存在下での4時間にわたる温和な加熱によって破壊されて、保護されたホスフィノチオール11(PRは、この場合、複合体破壊IIIaの条件下での脱保護に耐性であるべきである)を生成する。好ましい保護基は、−CO−R基(特に、アシル基)であり、これは、以前に記載された4b通りに除去されて、ホスフィノチオール1が得られ得る。他の適切な保護基の使用および他の適切な保護基の除去のための方法は、当該分野で公知である。
スキーム3Aの合成の最初の工程において、ホスフィン−ボラン複合体25の脱プロトン化のための有用な塩基は、NaH、LiH、KH、KOtBu、NaOMe、NaOEtであり、そしてNaHの使用が好ましい。アミン塩基は好ましくない。なぜなら、これらは、BH保護基を除去し得るからである。DMFがこの第1工程について好適な溶媒であるが、他の有用な溶媒としては、THF、トルエン、DMAが挙げられ、そしてより一般的には、種々の成分を溶解するが所望の反応に有意に有害な影響を与えない任意の溶媒が挙げられる。チオール、チオエーテルおよびアミンを含む溶媒は、使用すべきではない。
ボラン複合体10を破壊するために好ましい試薬は、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)であるが、一級、二級、三級または芳香族のアミン、チオールまたはチオエーテルもまたこの工程において用いられ得る。アミン(例えば、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラ−メチルエチレンジアミン、ジエチルアミン、トリエチレンジアミン、またはジメチルスルフィド)は、特に用いられ得る。この工程について好ましい溶媒はトルエンであるが、ベンゼン、THFまたはこの試薬を溶解する任意の溶媒が用いられ得る。
アシルホスフィノチオールの保護基は、アルコール中の塩基を用いた反応によって除去され得る。好ましい脱保護剤は、MeOH中の1当量NaOHである。他の試薬としては、過剰なNaOH、(1当量または過剰な)LiOH、KOH、NH、NHOH NaHCO(HO/THF中)、LiAlH(エーテル中)、AgNO(MeOH中)またはリパーゼ酵素が挙げられる。メタノールが好ましい溶媒であるが、他のアルコール(EtOH、iPrOHが挙げられる)またはHOが用いられ得る。酸素ガスは、ホスフェンの酸化ホスフェンへの酸化を防止するために、この溶媒から除去されるべきである。DMSOは、この工程において溶媒としては避けられるべきである。
このアシルホスフィノチオールの保護基は、アルコール中の塩基を用いた反応によって除去され得る。好ましい脱保護剤は、MeOH中の1当量NaOHである。他の試薬としては、過剰のNaOH、(1当量または過剰の)LiOH、KOH、NHまたはNHOHが挙げられる。メタノールが好ましい溶媒であるが、他のアルコール(EtOH、iPrOHが挙げられる)またはHOが用いられ得る。O(g)はこの溶媒から除去されて、ホスフェンの酸化ホスフェンへの酸化を予防すべきである。DMSOは、この工程において溶媒としては避けられるべきである。
スキーム3Bは、RおよびR’が両方ともフェニル基であり、RおよびRが両方とも水素である、特定のホスフィノチオール1bの合成を例示する。スキーム3Bの例示された合成によって、約74%という全体的収率が得られた。実験の詳細については実施例を参照のこと。
スキーム3Aにおける出発試薬に関して、RおよびR’は、一般に、アミンもチオールもチオエーテルも含まない、任意の有機部分(アルキルおよびアリールが挙げられる)であり得る。このR’基およびR基は、C−P結合またはO−P結合を介してPへと連結され得る。より詳細には、R’およびRは、必要に応じて置換された、アルキル基、アルコキシド基、アリール基またはアリールオキシ基である。アルキル基としては、直鎖状、分枝状または環状のアルキル基が挙げられる。アリール基は、炭素環式環または複素環式環であり得る、1以上の(好ましくは1個または2個の)芳香族環を含み得る。好ましいアルキル基は、必要に応じて置換されたエチル基である。好ましいアルコキシ基は、エトキシ基である。好ましいアリール基は必要に応じて置換されたフェニル基(フェニル基およびハロゲン(特に、フッ素)置換フェニル基またはカルボキシ置換フェニル基が挙げられる)である。
種々の公知の保護基(PR)は、スキーム3Aの出発試薬において用いられ得る。本明細書中の教示および当該分野で周知の事項を考慮した当業者は、当該分野で入手可能なものから、適切な保護基を選択し得る。好ましい保護基は、−CO−R基であり、ここで、Rは、水素、アルキル、アリールまたは置換されたアルキルまたは置換されたアリール基(Rは、具体的には、水素、メチル、エチルまたは他の小さなアルキル基、−CH−Ph基(Ph=フェニル)、−CH−Ph(Y)基(ここで、Yは、置換基であり、そしてnは置換基の数である)(Yは、例えば、ハロゲン(フッ素が挙げられる)または−OR(ここで、Rは、必要に応じて置換されたアリル基またはアリール基である)であり得る)であり得る)である。
全ての場合、必要に応じた置換基としては、ハロゲンおよびアルコキシ基が挙げられ、そして適切な基については、アルキル置換基および/またはアリール置換基であり得る。必要に応じた置換基は、アミン、チオールまたはチオエステル基を含まない。
スキーム3Aでは、チオエステル試薬は、この用語は一般に当該分野で公知であり受け入れられているように、アミン、チオールまたはチオエーテル基を含まないので、「良好な脱離基」である。好ましいXは、ハロゲン(Br、ClまたはI)、OT(トシル、CHSO−)、OTf(トリフレート、CFSO−)、またはOMs(メシル、CHSO−)である。最も好ましいXは、Brである。
脱離基Xは好ましくは、−CR−基(例えば、−CH−)によってSから分離され、ここで、RおよびRは、スキーム3Aおよびスキーム3Bに例示されるように、両方とも水素である。しかし、Sに対するリンカーはまた、−CH−CH−または以下の通りのo置換Phe基であり得る:
Figure 2005529166
ここで、R基およびR基は、同じ分子中の他のR基およびR基とは独立して、上記に定義の通りであり、Arが、必要に応じて置換されたアリール基である場合、これは、1以上の芳香属環を含み得る。PRは、好ましくは、アシル基(例えば、上記で定義された通りの−COR基)である。
スキーム3Aの反応のための出発物質および試薬は、商業的供給源から、公知の合成方法の使用によって、または公知の合成方法の慣用的適用によってのいずれかにより、容易に入手される。
スキーム4Aは、本発明の保護された試薬10の合成のための2つの関連した一般化方法を提供する。この合成は、ホスフィン−ボラン複合体(具体的には示さない)にアルデヒドまたはケトン(31)を付加して、ホスフィン−ボラン複合体アルコール35を形成することに基づく。形成された最初のホスフィン−ボラン複合体のホスフィンは、塩基を用いて脱プロトン化され、続いてアルデヒドまたはケトンの付加によって誘導体化アルコールホスフィン−ボラン複合体35が得られる。アルコール含有ホスフィン−ボラン複合体(35)は、AX(37)との反応による活性化基Aの導入によって活性化される。このアルコールは、保護されたチオール(39)(例えば、アシルチオール、特に、チオ酢酸)との反応のために活性化されて、ホスフィン−ボラン複合体10が形成される。複合体10は、空気および水分に対して安定であり、そして酸化の徴候も分解の徴候も全くなく、室温で何ヶ月も保存され得る。
あるいは、反応IVBは、アルデヒドまたはケトン31を硫黄アナログ32で置換することにより、複合体10を直接的に調製するために用いられ得る。
このボラン複合体10は、(好ましくは、トルエン中でのDABCOを用いた)アミンの存在下での中程度の加熱によって破壊されて、保護されたホスフィノチオール11が生成され得る(PRは、この場合、複合体破壊の条件下で脱保護に対して耐性であるべきである)。好ましい保護基は、アシル基(例えば、−CO−R基、特に、アセチル基)であり、これは、参考文献4aおよび参考文献4bに記載される通りに除去されて、式1のホスフィノチオールを生じ得、式1のホスフィノチオールは、シュタウディンガー連結において、スキーム3Aにおいて例示された通りに用いられて、チオエステルを形成し得る。他の適切な保護基の使用およびその除去方法は、当該分野で公知である。
しかし、ホスフィノチオール1を生成するよりも、複合体10は、式12の誘導体化されたアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質の試薬を生成するために用いられ得、これらは、スキーム2において例示される通りにシュタウディンガー連結において用いられ得る。式10の複合体は、良好な脱離基LGの取り込みによって活性化される、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質とカップリングされる。式12の複合体のアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質には、適切な保護基が提供されて、スキーム2の最初の反応に示した通りに反応を進行させ得る。式12の誘導体化されたアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質の複合体が、ホスフィン−ボラン複合体の破壊の際に、スキーム2に示される通りにアジドと反応することが見出されている。スキーム2は、2つのペプチドの間にアミド結合を形成するシュタウディンガー連結を例示する。式12dの複合体はまた、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質のうちの任意の2つの間にアミド結合を形成するために用いられ得る。式12dの複合体は、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質と、炭水化物、ヌクレオシドまたは適切なレポーター、タグもしくは標識の間にアミド結合を形成するためにさらに用いられ得る。
スキーム2の方法は、不安定であるホスフィノチオール(例えば、RおよびR’がエチル基であるホスフィノチオール)との使用について好ましい。
アミン塩基は、そうではないと記載しない限り、スキーム2およびスキーム4Aの反応における使用に関して好ましくない。なぜなら、これらは、BH保護基を除去し得るからである。好ましい塩基KOHに加えて、複合体35および複合体36の形成に関して、他の塩基(NaH、LiH、KH、KOtBu、NaOMe、およびNaOEtが挙げられる)が用いられ得る。THFはこの反応に関して好ましい溶媒であるが、他の有用な溶媒としては、THF、トルエン、DMAおよび、種々の成分を溶解するが所望の反応に対して有意な有害な影響を与えない、より一般的な任意の溶媒が挙げられる。チオール、チオエーテルおよびアミンを含む溶媒は、他に示されない限り、スキーム2およびスキーム4Aの反応において用いないべきである。
ホスフィン−ボラン複合体の破壊のために好ましい試薬は、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)であるが、一級、二級、三級または芳香族のアミン、チオールまたはチオエーテルもまたこの工程において用いられ得る。アミン(例えば、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラ−メチルエチレンジアミン、ジエチルアミン、トリエチレンジアミン、またはジメチルスルフィド)は、具体的に用いられ得る。この工程に関して好ましい溶媒は、トルエンであるが、ベンゼン、THF、またはこの試薬を溶解する任意の溶媒が用いられ得る。
保護された複合体10の保護基は、所望の場合、アルコール中の塩基との反応によって、除去され得る。他の試薬としては、過剰のNaOH、(1当量または過剰の)LiOH、KOH、NH、NHOH NaHCO(HO/THF中)、LiAlH(エーテル中)、AgNO(MeOH中)またはリパーゼ酵素が挙げられる。酸素ガスは、ホスフェンの酸化ホスフェンへの酸化を防止するために、溶媒から除去されるべきである。
スキーム4Bは、RおよびR’が両方ともエチル基であり、そしてRおよびRが両方とも水素である、特定のホスフィン−ボラン複合体10cの合成を例示する。
上記の通り、式12および式12dの複合体は、アミノ酸、ペプチドもしくはタンパク質の間に、またはアミノ酸と別の種(例えば、炭水化物(例えば、糖)、ヌクレオシドまたは単に適切なレポーター基、タグもしくは標識に対して)との間でアミド結合を形成するために、例えば、スキーム2に例示される通りに用いられ得る。所望の場合、複合体12または複合体12dは、DABCOまたは他のアミンを用いたスキーム2(2頁)に例示される通りに破壊され得る。
スキーム4Aの反応のための出発物質および試薬は、商業的供給源から、公知の合成方法の使用によって、または公知の合成方法の慣用的適用によってのいずれかにより、容易に入手される。
いくつかの非グリシルα−アジド酸を、シュタウディンガー連結の間のエピマー化を調べるために調製した。フェニルアラニン、セリン、およびアスパラギン酸のD鏡像異性体およびL鏡像異性体の両方のアジドベンズアミドを調製した(スキーム5)。アジド基を、ジアゾ転移によって調製した10;このベンズアミド(benazmide)を、ベンジルアミンを用いたDCC/HOBtカップリングによって調製した。フェニルアラニン、アスパラギン酸、およびセリンを、3つの別個の側鎖、および標準的ペプチドカップリングの間の中程度のエピマー化傾向(フェニルアラニン)から高度のエピマー化傾向(アスパルテートおよびセリン)の代表として選択した16
これらのアジド酸の各々を、ホスフィノチオエステル51(これは、AcGlySCHPPhである;表1)とカップリングした。カップリングを、1:1の化学量論の出発物質を用いて、THF/HO(3:1)中で12時間、室温にて実施した。得られたペプチドを、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、ほぼ定量的な収率の各生成物を得た(表1)。ホスフィノチオール1と非グリシルアジドとのこの等モル量の反応の高い収率は、以前4bに観察された収率と一貫している。ホスフィノチオエステル51の調製を、DCCを単独で用いたカップリングがより低い収率およびいくつかの所望でない副生成物をもたらす参考文献4aおよび参考文献4bに記載された調製から改変した。HOBtおよびDCCでのN−アセチルグリシンの前処理、続いてホスフィノチオール1の添加は、収率を劇的に改善した。実施例を参照のこと。
D αアジド酸およびL αアジド酸の反応からのシュタウディンガー連結生成物のキラリティーを、D−フェニルグリシンキラルカラムを用いたHPLCによって分析した。このクロマトグラフィー条件は、2つの可能な鏡像異性体生成物のベースライン分解を可能にした(図1)。分析されるべき物質を、D−フェニルグリシン分析用HPLCカラムに注入し、そしてヘキサン中の30%(v/v)イソプロパノール(0にて20分間イソクラティック(isocratic))、続いて40分間かかる50%(v/v)イソプロパノールまでの浅い勾配によって溶出させた。Dエピマーの反応後、Lエピマーを含む生成物の証拠は存在せず、その逆もまたそうであった。従って、このシュタウディンガー連結は、アジド酸のα炭素の検出可能なエピマー化を伴わずに進行する。用いたHPLCクロマトグラフィー分析の検出限界は、0.5%以下であると見積もられ、その結果、シュタウディンガー連結は、キラリティーの99.5%以上を保持して進行する。
当業者は、具体的に開示された以外の出発物質、試薬、溶媒、温度および他の反応条件が、過度の実験を必要とせずに本発明の実施において用いられ得ることを認識する。全てのこのような当該分野で認識された等価物は、本発明によって包含されるように含まれる。本明細書中に引用された全ての参考文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される。特に、公開されたPCT出願WO01/87920は、本明細書中に引用され、そしてホスフィノチオール試薬(1)ならびにホスフィン−ボラン複合体10、ホスフィン−ボラン複合体12およびホスフィン−ボラン複合体12dを用いた、シュタウディンガー(Stauding)連結ならびにアミド結合形成のための方法の詳細を提供するために、本明細書中に参考として援用される。
アミノ酸は、NovaBiochem(San Diego,California)製であり、そして他の全ての化学物質および溶媒は、Aldrich(Milwaukee,Wisconsin)製であった。反応を、UV光またはニンヒドリンもしくはIを用いた染色による可視化とともにWhatman TLCプレート(AL SIL G/UV)を用いた薄層クロマトグラフィーによってモニタリングした。フラッシュクロマトグラフィーにおいて用いられるシリカゲルを、SiliCycle(Quebec,Canada)から入手した。キラルHPLCは、MetaChem(Torrance,California)からD−フェニルグリシン分析用キラルカラムを用いて実施した。NMRスペクトルを、University of Wisconsin核磁気共鳴設備において、Varian INOVA−500 MHz分光計またはBruker AC−300 300MHz分光計を用いて得た。炭素−13およびリン−31のNMRスペクトルは両方とも、プロトン脱共役されており、そしてリン−31スペクトルを、重水素化リン酸(0ppm)の外部標準に対して参照した。質量スペクトルを、Micromass LCT機器でのエレクトロスプレー電離(ESI)技術を用いて得た。
(ボラン−チオ酢酸S−[(ジフェニルホスファニル)−メチル]エステル複合体(10b)。)
ボラン−ジフェニルホスフィン複合体25b(10.33g、51.6mmol)を、Ar(g)下で乾燥DMFに溶解し、そして0℃まで冷却した。NaH(1.24g、51.6mmol)をゆっくりと添加し、そして混合物を、発泡が止むまで0℃にて攪拌した。次いで、アルキル化剤20b13(8.73g、51.6mmol)を添加し、そして混合物を室温まで温め、そして12時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中10% v/v EtOAc)によって精製した。化合物10bを、無色のオイルとして86%の収率で得た。スペクトルデータ。
Figure 2005529166
チオ酢酸S−[(ジフェニルホスファニル)−メチル]エステル(11b)。化合物10b(4.00g、13.9mmol)を、Ar(g)下でトルエン(0.14L)中に溶解した。DABCO(1.56g、13.9mmol)を添加し、そして混合物を40℃にて4時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をCHCl中に溶解し、そして1N HClおよび飽和ブラインの両方で洗浄した。有機層をMgSO(s)で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。化合物11bを95%の収率で単離し、そしてさらなる精製を行わずに用いた。スペクトルデータ。以前4bに報告された通り。
(ジフェニルホスフィノ)メタンチオール(1b)。化合物11b(17.27g、63.0mmol)を無水メタノール中に溶解し、そしてAr(g)をこの溶液を通して1時間バブリングした。次いで、水酸化ナトリウム(2.52g、63mmol)を添加し、そして混合物をAr(g)下で2時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を塩化メチレン中に溶解した。この溶液を2N HClで2回およびブラインで1回洗浄した。有機層をMgSO(s)で乾燥し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をクロマトグラフィー(アルミナ、ヘキサン中25% v/v酢酸エチル)によって精製して、1bを透明なオイルとして94%の収率で得た。あるいは、ホスフィノチオール1bを、ホスフィノチオエステルの形成のためにその粗製形態で用い得る。スペクトルデータ。
Figure 2005529166
2(S)−アジド−N−ベンジル−3−フェニル−プロピオンアミド(48−L)。N(L)PheOH(1SL)を、本質的にLundquistおよびPelletier17の手順によって、L−フェニルアラニンから合成した。N(L)PheOH(1.08g、5.7mmol)を無水DMF(40mL)中に溶解した。次いで、HOBt(0.87g、5.7mmol)を添加し、続いてDCC(1.17g、5.7mmol)を添加した。一旦沈澱物が反応物中に観察されたら、ベンジルアミン(0.62mL、5.7mmol)を添加した。この反応物をAr(g)下で3時間攪拌した。得られた沈澱物(DCU)を濾過によって除去し、そして濾液を減圧下で濃縮して、黄色オイルを得た。このオイルをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中35%v/v/酢酸エチル)によって精製した。N(L)Penh(48−L)を、オフホワイトの固体として、90%の収率で単離した。この手順を、D−フェニルアラニンを用いて繰り返して、同一であるN(D)Penh生成物(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)を得た。
Figure 2005529166
3(S)−アジド−N−ベンジル−コハク酸メチルエステル(49−L)。ベンジル保護されたL−アスパルテートをLundquistおよびPelletier17の手順において用いて、N(L)Asp(OMe)OH(46−L)を得た。これらの条件下で、本発明者らは、ベンジルエステルとは逆にメチルエステル生成物を生じるエステル交換反応を観察した。N(L)Asp(OMe)OH(46−L)は、黄色がかったオイルとして78%の収率で生成された。次いで、N(L)Asp(OMe)OH(46−L)を、上記の通りにベンジルアミンとカップリングして、N(L)Asp(OMe)NHBn(49−L)を黄色がかったオイルとして90%の収率(全体として70%、2工程)で得た。上記の手順を、ベンジル保護されたD−アスパルテートを用いて繰り返して、N(L)Asp(OMe)NHBn(49−D)を黄色がかったオイルとして67%の全体的収率で得た。スペクトルデータ。両方のNAsp(OMe)OH(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)および両方のNAsp(OMe)NHBn(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)生成物についてのスペクトルデータは同一である。
Figure 2005529166
(2(S)−アジド−N−ベンジル−3−ベンジルオキシ−プロピオンアミド(50−L)。)
ベンジル保護されたL−セリンを上記の手順において用いて、N(L)Ser(Bzl)NHBn(50−L)を黄色がかったオイルとして、93%の収率で得た。この手順を、ベンジル保護されたD−セリンを用いて繰り返して、N(D)Ser(Bzl)NHBn(50−D)を黄色がかったオイルとして90%の収率で得た。スペクトルデータ。両方のNSer(Bzl)NHBn生成物(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)についてのスペクトルデータは同一である。
Figure 2005529166
アセチルアミノ−チオ酢酸S−[(ジフェニルホスファニル)−メチル]エステル(51)。N−アセチルグリシン(1.90g、16.2mmol)を無水DMF(75mL)中に溶解した。HOBt(2.48g、16.2mmol)を、得られた溶液に添加し、続いてDCC(3.34g、16.2mmol)を添加した。一旦沈澱物(DCU)が観察されたら、ホスフィノチオール1b(3.77g、16.2mmol)を添加した。反応混合物をAr(g)下で3時間攪拌した。沈澱物を濾過によって除去し、そして濾液を減圧下で濃縮して、白色固体を得た。この固体を酢酸エチル中に溶解し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)によって精製した。化合物51は、96%の収率で単離された。スペクトルデータ。以前4bに報告された通り。
2(S)−(2−アセチルアミノ−アセチルアミノ)−N−ベンジル−3−フェニル−プロピオンアミド(52−L)。N−アセチルグリシルホスフィノチオエステル9(0.166g、0.5mmol)およびN(L)PheNHBn(18−L)(0.140g、0.5mmol)をTHF/HO(3:1、4mL)中に溶解し、そして混合物を室温で12時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中5% v/vメタノール)によって精製した。AcGly(L)PheNHBn(52−L)を、白色固体として90%の収率で得た。この手順を、N(D)PheNHBn(48−D)を用いて繰り返して、AcGly(D)PheNHBn(22−D)を93%の収率で得た。スペクトルデータ。両方のジペプチド生成物(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)についてのスペクトルデータは、同一である。
Figure 2005529166
(3(S)−(2−アセチルアミノ−アセチルアミノ)−N−ベンジル−コハク酸メチルエステル(53−L)。)
(L)Asp(OMe)NHBn(49−L)を上記の手順において用いて、AcGly(L)Asp(OMe)NHBn(53−L)を白色固体として91%の収率で得た。この手順を、N(D)Asp(OMe)NHBn(49−D)を用いて繰り返して、AcGly(D)Asp(OMe)NHBn(53−D)を白色固体として95%の収率で得た。スペクトルデータ。両方のAcGlyAsp(OMe)NHBn生成物(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)についてのスペクトルデータは同一である。
Figure 2005529166
(2(S)−(2−アセチルアミノ−アセチルアミノ)−N−ベンジル−3−ベンジルオキシ−プロピオンアミド(54−L)。)
(L)Ser(Bzl)NHbn(50−L)を上記の手順において用いて、AcGly(L)Ser(Bzl)NHBn(54−L)を白色固体として92%の収率で得た。この手順をN(D)PheNHBn(50−D)を用いて繰り返して、AcGly(D)Ser(Bzl)NHBn(54−D)を白色固体として99%の収率で得た。スペクトルデータ。両方のAcGlySer(Bzl)NHBn生成物(D鏡像異性体およびL鏡像異性体)についてのスペクトルデータは同一である。
Figure 2005529166
(35bの合成:)
Figure 2005529166
新たに蒸留したテトラヒドロフラン(10mL)中のボランジメチルスルフィド複合体(THF中10M、2.5mL)の溶液に、ジエチルホスフィン(30b、2mL、17.45mmol)を添加した。この溶液を窒素下で2時間攪拌した。この反応物を、氷を用いて注意深くクエンチし、次いで酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製のホスフィン−ボラン複合体を、テトラヒドロフラン(10mL)と水性ホルムアルデヒド(37%、10mL)との混合物に溶解した。水酸化カリウム(1g、17.86mmol)をこの溶液に添加し、そして窒素下で4時間にわたって攪拌し続けた。揮発性溶媒を減圧下で除去し、そして水溶液を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:酢酸エチル)を用いて精製して、アルコール(35b)を無色のオイル(2.34g、2工程全体で100%の収率)として得た。H NMR(CDCl)3.96(s,2H)、1.63−1.76(m,4H)、1.10−1.18(m,6H)、−0.13−0.77(m,3H)31P NMR(CDCl)23(q,J=56.7Hz)。
(38bの合成:)
Figure 2005529166
新たに蒸留した塩化メチレン(10mL)中のアルコール35b(743mg、5.58mmol)およびトリエチルアミン(1.2mL、8.6mmol)の溶液を、0℃まで冷却した。この溶液に、塩化メシル37b(600μL、7.75mmol)を添加し、そして混合物を窒素下で一晩攪拌した。この溶液を水(2×5mL)、HCl(0.5M、5mL)および水(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(3:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、メシレート38bを淡黄色オイル(794mg、67%の収率)として得た。H NMR(CDCl)4.46(d,J=1.8Hz,2H)、3.07(s,3H)、1.49−1.84(m,4H)、1.11−1.22(m,6H)、−0.13−0.75(m,3H)31P NMR(CDCl)26.08(q,J=42.8Hz)。
(10cの合成:)
Figure 2005529166
メシレート38b(228mg、1.04mmol)を、乾燥した、アミンを含まないN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、続いてチオール酢酸39b(85μL、1.19mmol)を添加した。この溶液を0℃まで冷却し、そして炭酸セシウム(340mg、1.04mmol)を添加した。窒素下で一晩攪拌した後、暗く着色した溶液を濾過し、そして濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(3:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、チオール酢酸10cをわずかに黄色がかったオイル(174mg、87%の収率)として得た。
Figure 2005529166
(式12dの化合物の合成:)
Figure 2005529166
チオールアセテート10c(190mg、1mmol)をメタノール(5mL)に溶解し、続いてナトリウムメトキシド溶液(メタノール中1M、1mL)を添加した。この溶液を窒素下で10分間攪拌した。この溶液をpH6.5リン酸緩衝液によって中和し、酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製生成物を、保護されたアミノ酸であるBoc−Asp−OBzl(323mg、1mmol)を含む、新たに蒸留した塩化メチレン(5mL)中に溶解した。この溶液に、触媒量のDMAP(2mg)およびDCC(206mg、1mmol)を添加した。この溶液を窒素下で2時間攪拌し続けた。揮発性溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(3:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、チオールエステル63を無色のオイル(430mg、2工程全体で95.4%の収率)を得た。
Figure 2005529166
(式1のホスフィノールチオールの合成:)
Figure 2005529166
ホスフィン−ボラン複合体63(170mg、0.373mmol)およびDABCO(84mg、0.75mmol)を、新たに蒸留したトルエンに溶解した。この溶液をアルゴン下で80℃にて2時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、そしてシリカゲルプラグを通して窒素下で濾過した。ホスフィノチオールエステル64をオイル(131mg、80%の収率)として得た。H NMR(CDCl)7.35(m,5H)、5.44(d,J=9.3Hz,1H)、5.19(s,2H)、4.59(m,1H)、3.18−3.25(m,2H)、3.01(d,J=5.4Hz,2H)、1.44(m,13H)、1.05(dt,J=18.6,9.3Hz,6H)。この化合物の不安定性に起因して、13C NMRを実施しなかった。
Figure 2005529166
Figure 2005529166
Figure 2005529166
Figure 2005529166
Figure 2005529166

Claims (32)

  1. 以下の式:
    Figure 2005529166
    のホスフィン−ボラン複合体であって、ここで:
    PRは、保護基であり;
    RおよびR’は、互いに独立して、必要に応じて置換された、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、ここで、RおよびR’は、同じ基であっても異なる基であってもよく、そしてRおよびR’は、互いに共有結合され得;
    R”は、この化合物中の他のR”とは独立して、H、必要に応じて置換された、アルキル基またはアリール基であり得、ここで、3つのR”は全て同じであっても各々異なっていてもよく、そしてR”の任意の2つまたは3つは、互いに共有結合され得;そして
    およびRは、互いに独立して、H、または必要に応じて置換された、アルキル基もしくはアリール基から選択され得、ここで、RおよびRは、互いに共有結合され得る、複合体。
  2. PRが、アシル基である、請求項1に記載の複合体。
  3. PRが、−CO−R基であり、Rが、水素または必要に応じて置換された、アルキル基もしくはアリール基である、請求項1に記載の複合体。
  4. RおよびR’が、必要に応じて置換されたアルキル基である、請求項1に記載の複合体。
  5. RおよびR’が、必要に応じて置換されたアリール基である、請求項1に記載の複合体。
  6. R”が、全て同じであり、そしてHまたは小さなアルキル基から選択される、請求項1に記載の複合体。
  7. およびRが、Hまたは小さなアルキル基である、請求項1に記載の複合体。
  8. RおよびR’が、エチル基である、請求項1に記載の複合体。
  9. 以下の式:
    Figure 2005529166
    のホスフィン−ボラン複合体であって、ここで、
    RおよびR’は、互いに独立して、必要に応じて置換された、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、ここで、RおよびR’は、同じ基であっても異なる基であってもよく、そしてRおよびR’は、互いに共有結合され得;
    R”は、この化合物中の他のR”とは独立して、H、必要に応じて置換された、アルキル基またはアリール基であり得、ここで、3つのR”は全て同じであっても各々異なっていてもよく、そしてR”の任意の2つまたは3つは、互いに共有結合され得;
    およびRは、互いに独立して、H、または必要に応じて置換された、アルキル基もしくはアリール基から選択され得、ここで、RおよびRは、互いに共有結合され得;
    nは、整数であり;そして
    AAは、アミノ酸、ペプチドもしくはタンパク質、または完全もしくは部分的に保護されたその誘導体である、複合体。
  10. 前記AA基が、アミノ酸または完全にもしくは部分的に保護されたその誘導体である、請求項9に記載の複合体。
  11. 前記AA基は、ペプチドまたは完全にもしくは部分的に保護されたその誘導体である、請求項9に記載の複合体。
  12. nが、1、2または3である、請求項9に記載の複合体。
  13. AAが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、プロリン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパルテート、グルタメート、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、O−ホスホセリン、オルニチン、ホモアルギニンおよび種々の保護されたその誘導体からなる群より選択される、請求項9に記載の複合体。
  14. AAが、天然に存在するアミノ酸または合成によって調製されたアミノ酸である、請求項9に記載の複合体。
  15. RおよびR’が、必要に応じて置換された、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基である、請求項9に記載の複合体。
  16. RおよびR’が、エチル基である、請求項9に記載の複合体。
  17. 、Rが、Hである、請求項9に記載の複合体。
  18. R”が、全てHであるかまたは全て小さなアルキル基である、請求項9に記載の複合体。
  19. ホスフィノチオール試薬の合成のための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)以下の式:
    Figure 2005529166
    のホスフィン−ボラン複合体を、以下の式:
    Figure 2005529166
    のアルキル化剤と反応させて、以下の式:
    Figure 2005529166
    のホスフィン−ボラン複合体を形成する工程;
    (b)工程aのホスフィン−ボラン生成物を破壊する工程;および
    (c)工程bの生成物を脱保護して、ホスフィノチオール試薬を形成する工程
    を包含し、ここで:
    PRは、保護基であり;
    Xは、脱離基であり;
    RおよびR’は、互いに独立して、必要に応じて置換された、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、ここで、RおよびR’は、同じ基であっても異なる基であってもよく、そしてRおよびR’は、互いに共有結合され得;
    R”は、この化合物中の他のR”とは独立して、H、必要に応じて置換された、アルキル基またはアリール基であり得、ここで、3つのR”は全て、同じであっても各々異なっていてもよく、そしてR”の任意の2つまたは3つは、互いに共有結合され得;そして
    およびRは、互いに独立して、H、または必要に応じて置換された、アルキル基もしくはアリール基から選択され得、ここで、RおよびRは、互いに共有結合され得る、方法。
  20. アミド結合を形成するための方法であって、該方法は、アジドを、以下の式:
    Figure 2005529166
    のホスフィン−ボラン複合体と反応させる工程であって、ここで、RおよびR’は、互いに独立して、必要に応じて置換された、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、ここで、RおよびR’は、同じ基であっても異なる基であってもよく、そしてRおよびR’は、互いに共有結合され得;
    R”は、この化合物中の他のR”とは独立して、H、必要に応じて置換された、アルキル基またはアリール基であり得、ここで、3つのR”は全て、同じであっても各々異なっていてもよく、そしてR”の任意の2つまたは3つは、互いに共有結合され得;
    およびRは、互いに独立して、H、または必要に応じて置換された、アルキル基もしくはアリール基から選択され得、ここで、RおよびRは、互いに共有結合され得;
    nは、整数であり;そして
    AAは、アミノ酸、ペプチドもしくはタンパク質または完全にもしくは部分的に保護されたその誘導体である、工程;
    続けて、合わせた反応物を加水分解して、アミド結合を形成する工程
    を包含する、方法。
  21. RおよびR’が、必要に応じて置換されたアルキル基である、請求項20に記載の方法。
  22. RおよびR’が、エチル基である、請求項20に記載の方法。
  23. nが1であり、そしてAAがアミノ酸である、請求項20に記載の方法。
  24. AAが、ペプチドまたはタンパク質である、請求項20に記載の方法。
  25. nが1である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記アジドが、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質のアジドである、請求項20に記載の方法。
  27. 前記アジドが、炭水化物のアジドである、請求項20に記載の方法。
  28. 前記アジドが、単糖、二糖または三糖であり得る糖のアジドである、請求項20に記載の方法。
  29. R”が、全てHであるかまたは全て小さなアルキル基である、請求項20に記載の方法。
  30. およびRが、両方ともHである、請求項20に記載の方法。
  31. アミド結合を形成するためのキットであって、請求項1に記載の1以上のホスフィン−ボラン複合体を備える、キット。
  32. アミド結合を形成するためのキットであって、請求項9に記載の1以上のホスフィン−ボラン複合体を備える、キット。
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