JP2005527589A - β−L−5−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロシチジン(β−L−FD4C)を合成するための方法 - Google Patents

β−L−5−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロシチジン(β−L−FD4C)を合成するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を合成する方法を提供した。該方法により、効果的で、コスト効率が良く、かつ環境と調和したやり方でβ-L-FD4Cを大量生産することが可能となる。

Description

背景
発明の分野
本発明は、抗ウイルス薬として使用するためのヌクレオシド類似体の調製に関する。特に、本発明は、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)の合成に関する。
関連技術の説明
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により引き起こされる後天性免疫不全症候群(AIDS)は、国際的な健康危機を生み出した。世界保健機関によれば、2001年が終わる頃には、世界中で推定4000万人もの人々がHIV/AIDSを抱えて生きていた。これらの人々のうちの約500万人は、2001年にHIVに感染した。HIV/AIDSは世界で4番目に多い死因であり、2001年だけでも300万人の死者が出た(Weekly Epidemiological Record 76:381-388 (2001))。
深刻なヒトの健康障害をもたらす別のウイルスは、B型肝炎ウイルス(HBV)である。急性肝炎を引き起こす以外にも、HBVは、しばしば命に関わる肝硬変や肝臓癌に至る慢性感染症を招くことがある。2000年までに、20億人もの人々がHBVに感染したとの報告がある(Fact Sheet WHO/204, World Health Organization (October 2000))。
種々の合成ヌクレオシドが、HIVおよびHBVを治療するための強力な抗ウイルス薬として同定されている。HIV治療薬として3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT) (Mitsuyaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7096-7100 (1985))が開発された後に、幾つかの2’,3’-ジデオキシ(dd)および2’,3’-ジデヒドロ-2’,3’-ジデオキシ(D4)ヌクレオシドが強力なHIVおよびHBV治療薬として同定された。例えば、抗ウイルス薬として臨床使用が認められているヌクレオシド類似体には、2’,3’-ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’-ジデオキシシチジン(ddC)(Mitsuyaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:1911-1915 (1986))、および2’,3’-ジデヒドロ-3’-デオキシチミジン(D4T)(Mansuriら、J. Med. Chem. 32:461-466 (1989))が含まれていた。これらのヌクレオシド類似体は天然に存在する「D」エナンチオマーの形で使用されているが、この分野における近年の開発では、自然の理に反した「L」立体配置を有する幾つかのヌクレオシド類似体に注目が集まっている。例えば、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-3’-チアシチジン(FTC)(Jeongら、J. Med. Chem. 36:181-195 (1993))、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシシチジン(β-L-FddC)(Linら、Biochem. Pharmacol. 47:171-174 (1994))、およびβ-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)(Linら、J. Med. Chem. 39:1757-1759 (1996))が、HIVおよびHBV用の強力な治療薬として同定されている。
β-L-FD4Cは、HIVおよびHBVを治療するための特に有望な抗ウイルス薬であることが証明されている(Linら、J. Med. Chem. 39:1757-1759 (1996))。β-L-FD4Cを調製するための初期の合成方法(Linら、J. Med. Chem. 39:1757-1759 (1996))には低収率という欠点があったため、大量生産には向いていなかった。β-L-FD4Cを調製するための代替的な合成方法が提案されている(米国特許第6,005,097号)。しかし、HIVおよびHBVという世界規模の伝染病の治療に用いるβ-L-FD4Cを、効果的に、コスト効率良く、かつ環境に配慮した工業規模で生産しうる新規合成方法が当分野で必要とされている。
概要
本発明は、β-L-FD4Cの大量生産に適した新規合成方法を提供することにより、前記の必要性に取り組むものである。該方法により、収率および効率が改善されると同時に、コストおよび環境影響が低減される。
ある態様において、本発明は、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を合成する方法を提供する。本発明では、
(a) 式I:
Figure 2005527589
のL-キシロースを、第1酸触媒および脱水剤の存在下でアセトンと反応させることにより、式II:
Figure 2005527589
のジアセタールを得る。
(b) 式IIのジアセタールの2, 3アセタールを、第2酸触媒の存在下で加水分解することにより、式III:
Figure 2005527589
のアセタールを得る。
(c) 式IIIのアセタールのアルコール部分を、塩基触媒の存在下でアシル化することにより、式IV:
Figure 2005527589
のジエステルを得る。
(d) 式IVのジエステルのアセタール部分を、酸の存在下で加水分解することにより、式V:
Figure 2005527589
のジオールを得る。
(e) 式Vのジオールのヒドロキシル基を除去することにより、式VI:
Figure 2005527589
のグリカールを得る。
(f) 式VII:
Figure 2005527589
の5-フルオロシトシンをビス保護することにより、式VIII:
Figure 2005527589
〔式中、Zは保護基である〕
のビス保護5-フルオロシトシンを得る。
(g) 式VIのグリカールを、ハロゲン化剤の存在下で式VIIIのビス保護5-フルオロシトシンとカップリングすることにより、式IX:
Figure 2005527589
のハロゲン化シトシン誘導体を得る。
(h) 式IXのハロゲン化シトシン誘導体を、金属亜鉛および酢酸で処理することにより、式X:
Figure 2005527589
のジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体を得る。
(i) 式Xのジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体のエステル部分を、塩基の存在下で加水分解することにより、式XI:
Figure 2005527589
のβ-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を得る。
図面の簡単な説明
本発明の特定の実施形態を、本明細書とは別に提出した図面を参照しながら説明するが、該図面は単なる例示目的で提示されたものであって、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の特定の実施形態に従ってβ-L-FD4Cを調製するための合成経路を例示したものである。
詳細な説明
本発明は、β-L-FD4およびβ-L-FD4Cの合成に有用な中間体を合成するための新規方法を提供する。該方法により、収率が良く純度の高いβ-L-FD4Cを、効果的に、コスト効率良く、かつ環境に配慮した形で大量生産することが可能となる。本明細書中で引用された発行済み特許、公開特許出願、および参考文献は、各々が引用により含まれるものと明確かつ個別に示されているのと同程度まで、引用により本明細書中に含まれるものとする。これらの刊行物と本開示内容との間の矛盾は、いずれも本開示内容が優先するように解決されるものとする。
「低級アルキル」という用語は、本明細書中で使用する場合、直鎖または分岐のC1-C4アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチルなど)を意味する。「酸触媒」という用語は、本明細書中で使用する場合、目的とする化学反応を触媒する任意の酸性試剤を指す。本明細書中に記載の合成方法で用いる酸触媒の非限定的な例としては、硫酸または塩酸などの無機酸、および陽イオン交換樹脂が挙げられる。陽イオン交換樹脂は不溶性の酸性樹脂であり、限定するものではないが、スルホン化ポリスチレン樹脂、スルホン化ポリフルオロカーボン樹脂、およびポリスチレン、デキストラン、アガロース上の他の陽イオン交換体などが挙げられる。「塩基触媒」は、目的とする化学反応を触媒する任意の塩基性試剤である。本明細書中に記載の合成方法にとって有用な塩基触媒の非限定的な例としては、ピリジン、トリエチルアミン、およびジメチルアミノピリジン(DMAP)が挙げられる。「ハロゲン化剤」は、ハロゲン化を達成しうる(すなわち、ハロゲン原子を化合物に導入しうる)任意の試剤である。「脱水剤」は、水を除去する任意の試剤である。「保護基」は、化合物の1ヶ所以上の反応性部位に結合した場合に該部位で反応が生じるのを防ぎ、かつ該部位から慣用の化学的手法により除去することのできる、任意の基である。第1化合物の「誘導体」または「類似体」は、第1化合物と類似した化学構造を持つが、第1化合物と比較すると1個以上の官能基もしくは置換基が失われているか、または1個以上の追加の官能基もしくは置換基を含んでいる第2化合物である。「ジデオキシ」という用語は、本明細書中では、2個の炭素原子各々においてヒドロキシル基の代わりに水素が存在している糖類を有するヌクレオシド部分を記載するために用いられる。「ジデヒドロ」という用語は、二重結合を含む糖類を有するヌクレオシド部分を記載するために用いられる。例えば、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)は、その糖部分の2’および3’炭素においてヒドロキシル基の代わりに水素を有し、またそれらの炭素原子間に二重結合を含む。
図1は、本発明の特定の実施形態によるβ-L-FD4Cの合成を例示したものである。β-L-FD4C 11は、L-キシロース1を出発原料として、7工程からなる手順を介して合成される。少なくとも幾つかの実施形態では、β-L-FD4C 11の合成は、L-キシロース1から、中間化合物2〜10をいずれも蒸発乾固させることなく達成される。
図1に示すように、前記合成は、L-キシロース1を1,2保護アセタール3へ変換することから始まる。この変換は、ジアセタール2を調製し、次いで2の3,4アセタール部分を穏やかな条件下で加水分解してアセタール3を形成することにより、達成される。ジアセタール2を形成するためには、L-キシロース1をアセトン、脱水剤、および酸触媒と混合する。図1に示す合成で使用する脱水剤は、優れた収率を提供することが見出されている硫酸銅である。代替的な脱水剤の非限定的な例としては、MgSO4 およびNa2SO4が挙げられる。図1に例示した手順で使用する酸触媒は、Amberlyst(登録商標)15樹脂(スルホン酸官能基を有する強酸性マクロレティキュラー型陽イオン交換樹脂、Rohm and Haas, Philadelphia, PA)である。かかる樹脂触媒は、純度の優れた生成物を形成する効率的な反応を提供し、扱いやすい上にコスト効率が良く、またろ過により容易に除去することができるため、有用である。代替的な樹脂触媒の非限定的な例としては、スルホン化ポリスチレン樹脂、スルホン化ポリフルオロカーボン樹脂などの他の陽イオン交換樹脂、およびポリスチレン、デキストラン、アガロース上の他の陽イオン交換体などが挙げられる。この反応で用いる代替的な非樹脂性酸触媒としては、限定するものではないが、硫酸および塩酸が挙げられる。
ジ保護化合物2の加水分解によるアセタール3の形成は、例えば低級アルキルアルコールなどの有機溶媒中に水を加え、続いて酸触媒を加えることにより、達成される。少なくとも幾つかの実施形態では、この反応を実施する前に、L-キシロース1から調製した2の溶液を中和することにより、3を形成する早期加水分解による2の分解またはキシロースへの逆変換を伴うことなく、溶媒をアセトンから低級アルキルアルコールまたは他の有機溶媒へと確実に変更できるようにする。中和は、溶媒の変更を塩基(例えば固体炭酸ナトリウムなど)の存在下で実施することにより、達成される。溶媒を変更することで、ジアセタール2をその後の加水分解反応に直接使用してアセタール3を形成し、それによって反応工程の合間に蒸発乾固を行う必要をなくして効率を高めることが可能となる。幾つかの実施形態では、加水分解工程用の溶媒は、低級アルキルアルコール(例えば、図1に示したメタノールなど)、より毒性の低いエタノール、大量生産用無水エタノールのコスト効率の良い代替品である工業用変性アルコール(IMS)、またはそれらの組み合わせである。代替的な溶媒の非限定的な例はトルエンである。図1に示す加水分解工程で用いる酸触媒はAmberlyst(登録商標)15樹脂である。代替的な酸触媒としては、限定するものではないが、他の陽イオン交換樹脂、および無機酸(硫酸または塩酸など)が挙げられる。非樹脂性触媒を使用すると、生成する固形廃棄物の量が減少することで、前記手順の環境影響が軽減される。得られたアセタール3の溶液中の不要なキシロースは、摩砕により取り除く。適切な摩砕用溶媒の非限定的な例としては、第3級ブチルメチルエーテル(TBME)、トルエン/TBME、トルエン/酢酸エチル、およびジクロロメタン(DCM)/酢酸エチルが挙げられる。摩砕溶媒への順調な交換は、溶媒の交換を安定化塩基(例えば、重炭酸ナトリウムなど)の存在下で実施することにより、アセタール3のキシロースへの分解を伴うことなく達成される。次の反応工程における使用にも適したトルエン/TBMEなどの摩砕溶媒を使用すると、アセタール3の溶液を摩砕後の次の反応工程で直接使用することが可能となるため、効率が高まる。
化合物3のアルコール部分を、酸塩化物(例えば、塩化p-トルオイルなど)および塩基触媒で処理してアシル化することにより、化合物4中の対応するエステル部分を形成する。図1に例示した合成では、ピリジンを塩基触媒として、またDCMを反応用溶媒として使用する。有用な塩基触媒の非限定的な例としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。アシル化反応を実施する際に使用する適切な溶媒としては、DCM、トルエン、TBME、およびそれらの組み合わせが挙げられる。効率は、その後の反応工程を実施するのに適した溶媒(例えばトルエンなど)を用いて反応工程間における蒸発乾固の必要性をなくすことにより、改善される。幾つかの実施形態では、特に大量合成の場合、ピリジンやジクロロメタンといったより毒性の高い原料の使用を制限することにより、前記手順の環境影響を軽減する。
化合物4の1,2アセタール基を加水分解することにより、化合物5中の対応するアルコール基が得られる。加水分解は、水中の酸(例えば、ギ酸やトリフルオロ酢酸など)を加えることにより達成される。図1には、水中のギ酸を用いる加水分解が例示されている。加水分解工程を実施するための適切な溶媒としては、限定するものではないが、アセトニトリル、トルエン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、水中のギ酸をトルエン/アセトニトリルと共に使用することにより、優れた純度の生成物ジオール5を生じる制御均一系反応がもたらされる。幾つかの実施形態では、生成物5を、例えばヘキサン/TBMEまたはトルエン/TBME/ヘプタン中で摩砕することにより精製する。幾つかの代替的な実施形態では、溶媒交換と溶媒(例えばイソプロピルエーテルなど)からの析出を利用することにより、高純度の生成物ジオール5を単離する。
ジオール5は、2工程からなるカップリング機構を介してハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9へと変換される。最初に、ジオール5を、図1に例示したように、ヨウ素、イミダゾールおよびトリフェニルホスフィンとの反応によりグリカール6へと変換する。この反応用の適切な溶媒の非限定的な例はジクロロメタンである。得られたグリカール6は、分解を防ぐよう設計された条件の下で保存する。かかる条件の非限定的な例としては、濃縮油としての約0℃未満での保存、およびDCMまたはTBME中約5℃〜約6℃で最長約3日間の保存が挙げられる。幾つかの実施形態では、得られた6の溶液を後述のカップリング工程に直接使用し、それによって効率を高める。
グリカール6をハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9に変換するカップリング工程は、ビス保護5-フルオロシトシン8も必要とする。図1には、5-フルオロシトシン7をトリメチルシリル(TMS)基でビス保護することにより、ビス保護化合物8を得ることが例示されている。保護は、化合物7を1,1,1-3,3,3-ヘキサメチルジシリザンおよび触媒と接触させることにより達成される。幾つかの実施形態では、触媒は硫酸アンモニウムである。代替的な保護基は当分野で公知であり、限定するものではないが、ジメチルヘキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルメチルが挙げられる。保護反応に用いる適切な溶媒の非限定的な例としては、トルエン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、イソプロピルエーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、後述するその後のカップリング反応を実施するのに適した溶媒を使用し、ビス保護5-フルオロシトシン8の溶液を該カップリング反応に直接導入する。その後のカップリング工程で使用するのに適した溶媒[例えば、クロロベンゼン、ジクロロエタン(DCE)、もしくはジクロロメタン(DCM)]中で保護工程を実施すると、幾分不安定な生成物8を単離または蒸発乾固する必要がなくなるため、効率および生成物の収率と品質が改善される。幾つかの実施形態では、特に大量生産の場合、DCEやDCMといったより毒性の高い溶媒の使用を制限することにより、合成手順の環境影響を軽減する。
グリカール6およびビス保護5-フルオロシトシン8をハロゲン化剤の存在下でカップリングすることにより、ハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9を製造する。幾つかの実施形態では、ハロゲン化剤は、図1に例示したN-ヨードスクシンイミド(NIS)である。少なくとも幾つかの実施形態では、カップリング反応を塩素化溶媒(例えば、DCM、DCE、クロロベンゼン、およびそれらの組み合わせなど)中で実施する。幾つかの実施形態では、DCEの使用を控えることにより、前記手順の環境影響を低減する。生成物9は、低級アルキルアルコール(エタノールなど)を加えて9を析出させることにより、前記塩素化溶媒から単離する。生成物9を蒸発乾固することなく単離することにより、製造時間が改善され、また9を長期間加熱する(その結果、一部が分解する)必要がなくなる。あるいは、生成物9を、エタノールで摩砕することにより単離する。幾つかの実施形態では、生成物9を、例えばその後の反応工程で用いる低級酢酸アルキル(例えば、酢酸メチルまたは酢酸エチルなど)中に溶解する。この9の溶液を、その後の合成工程用の残りの反応物質に加えれば、反応容器に固形物を加える必要がなくなる。
図1に例示したように、ハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9を金属亜鉛および酢酸で処理することにより、脱ハロゲン化とトルイル酸の除去を介してジデオキシ, ジデヒドロ5-フルオロシチジン誘導体10を得る。この反応は、アルコールおよび酢酸アルキル中で実施する。例えば、低級アルキルアルコールと低級酢酸アルキル(図1に示すメタノールと酢酸エチルなど)の組み合わせを使用する。幾つかの実施形態では、アルコールおよびこれと同一のアルキル部分を有する酢酸アルキル(例えば、メタノールと酢酸メチル、またはエタノールと酢酸エチル)を使用することにより、アルコールと酢酸アルキルとの間の複雑なトランス-エステル化反応が避けられる。幾つかの実施形態では、生成物10を、ヘキサン/エタノール溶液で摩砕することにより単離する。あるいは、アセトンを生成物10の溶液に加える。アセトンにより微量の出発原料9とトルオイルに関連する副生成物が除去され、また同時に生成物10が析出するため、10を蒸発乾固させることなく単離することが可能となる。アセトンを加える前に水で洗浄し、これを逆抽出することにより、水溶性生成物10の損失が避けられる。
化合物10のエステル部分を加水分解することにより、最終生成物β-L-FD4C 11を生産する。加水分解反応用の適切な溶媒としては、限定するものではないが、メタノールなどの極性アルコールが挙げられる。少なくとも幾つかの実施形態では、加水分解は塩基を用いて達成される。該塩基は化学量論量または触媒量で存在する。有用な塩基の非限定的な例としては、アンモニア、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、およびイソプロピルアミンが挙げられる。図1に示す合成では、加水分解は、メタノール中のアンモニアを用いて実施する。幾つかの実施形態では、アンモニアガスの使用を控えることにより、有毒ガスの取扱いに伴うリスクを減らす。市販のメタノール中のアンモニアの溶液は、その後、生成物β-L-FD4C 11を固体として単離できるという点で、特に有用である。
少なくとも幾つかの実施形態では、生成物β-L-FD4Cを単離する。例えば、粗生成物11を、当分野で公知の標準技術[摩砕、結晶化、および/またはシリカプラグろ過(silica plug filtration)など]を用いて精製する。有用な精製手順の非限定的な例としては、酢酸エチルまたは酢酸エチル/エタノール中における摩砕と、その後のカラムクロマトグラフィが挙げられる。時々、特に粗β-L-FD4C 11の純度が95%未満である場合、結晶化またはシリカゲルろ過を利用して所望の生成物純度を確保するが、これらの方法により一部の原料が失われる。生成物β-L-FD4C 11の品質もまた、より純度の高い出発原料10を使用することで向上する。化合物10は、β-L-FD4C 11よりも汎用性の高い溶解度を呈する。従って、結晶化、摩砕、および/またはシリカプラグろ過を含む幅広い範囲の精製手順を実施することにより、出発原料10の品質を高め、またその結果として最終化合物β-L-FD4C 11の純度を間接的に改善することができる。
幾つかの代替的な実施形態では、β-L-FD4C 11を、これを析出させる溶媒を加えることにより単離する。純粋なβ-L-FD4C 11を析出させるための適切な溶媒の例としては、酢酸エチルおよびイソプロパノールが挙げられる。最終生成物β-L-FD4C 11を析出させると、蒸発乾固およびその後の精製手順を実施する必要がなくなる。使用する溶媒の容量および生成する固形廃棄物の分量を減らすためにシリカゲルクロマトグラフィを避けることは、環境問題を考えると特に望ましい。
当業者であれば、本発明の方法を、β-L-FD4Cに関連する化合物を調製する際にも適用しうることが理解されよう。かかる関連化合物としては、ヌクレオシド類似体、例えば、プリンまたはピリミジン塩基がリボース部分に結合している2’3’-ジデオキシヌクレオシドまたは2’3’-ジデオキシ-2’3’-ジデヒドロヌクレオシドが挙げられる。ピリミジン塩基は、ウラシル、チミン、シトシン、および関連する類似体といった化合物を包含する一般分類に属する複素環式化合物である。プリン塩基は、ヒポキサンチン、キサンチン、アデニン、グアニン、およびそれらの類似体といった化合物を包含する一般分類に属する複素環式化合物である。プリン類似体またはピリミジン類似体の非限定的な例としては、CH部分が窒素原子で置き換えられている塩基、および1個以上の環置換基が組み込まれているか、除去されているか、または当分野で公知の慣用置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、もしくはC1-C6アルキル)により修飾されている塩基などが挙げられる。本発明の方法は、本明細書中に記載した種々の合成中間体およびそれらの類似体を合成する際にも有用である。
以下の非限定的実施例を用いて、本発明の特定の実施形態についてさらに説明する。
実施例1
β-L-FD4Cは、図1に例示した手順に従って調製した。
アセタール3の調製
L-キシロース1(1000 g, 6.66 モル, 1 eq)、アセトン(10 L)、硫酸銅(1.33 kg, 8.3 モル, 1.25 eq)、およびAmberlyst(登録商標)15樹脂(1000 g)を、機械式攪拌器、温度プローブ、および窒素吸気口/排気口を取り付けた 22L丸底フラスコ中で混合した。反応物を窒素下で室温にて16時間攪拌した。TLC[100%酢酸エチル、リンモリブデン酸(PMA)により可視化]では、出発原料(Rfは約0.05である)は一切認められなかった。750 gの固体炭酸ナトリウムを加え、30分間攪拌した。この溶液をCelite(登録商標)(珪藻岩、World Minerals Inc., Santa Barbara, CA)に通してろ過することにより、固体を取り除いた。ろ液を真空下で濃縮して油とすることにより、1.4 kgの透明な油を得た。1H NMRにより、L-キシロース1の不在を確認した。その後、前記油を7Lの4:1メタノール/水溶液中に溶解した。攪拌しながら、1.4 kgのAmberlyst(登録商標)15樹脂を室温で加えた。この溶液を、TLC[100%酢酸エチル、リンモリブデン酸(PMA)により可視化]によりジ保護キシロース2(Rfは約0.75である)の不在が示されるまで、室温で攪拌した。溶液をろ過し、ろ液を固体重炭酸ナトリウム(約20 g)を用いてpH 8とした。溶媒を50%真空下で除去することにより、1160 gの軽油を得た。該油を10 Lの3:2ジクロロメタン/酢酸エチル溶液で摩砕し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させた。次に、乾燥させた溶液をCelite(登録商標)に通してろ過し、真空下で濃縮することにより、1055 g(83%)の3を得た。1H NMRおよびTLCにより構造を確認した。
ジエステル4の調製
アセタール3(1050 g, 5.52モル, 1 eq)、ピリジン(1800 mL, 23.18モル, 4.2 eq)、およびジクロロメタン(5.65 L)を、追加の漏斗、窒素吸気口/排気口、温度プローブ、機械式攪拌器、および氷浴を取り付けた22 L丸底フラスコ中で混合した。この溶液を、窒素下で氷浴を用いて5℃まで冷却した。塩化p-トルオイル(1.76 kg, 11.48モル, 2.08 eq)を、温度を25℃未満に維持しながら、追加の漏斗を介して加えた。次に、溶液を窒素下で16時間攪拌した。TLC(1:1酢酸エチル/ヘキサン、PMAにより可視化)により、反応が完了したことが示された。次に、溶液を1×5 Lの水、1×5 Lの3N HCl溶液、1×5 Lの水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムに3時間通して乾燥させた。乾燥剤をろ過して取り除き、ろ液を真空下で濃縮することにより、2460 g(量的)の4を軽油として得た。TLCおよび1H NMRにより生成物の構造を確認した。
ジオール5の調製
9.3 Lのギ酸および2 Lの水を、温度プローブ、機械式攪拌器、および加熱用マントルを取り付けた22 L丸底フラスコ中で混合した。ジエステル4(2320 g, 5.44モル, 1 eq)を2.3 Lのアセトニトリル中に溶解し、これを前記のギ酸/水溶液に一度に加えた。次に、合わせた溶液を50℃まで上げて2.5時間攪拌した。TLC(1:1酢酸エチル/ヘキサン、PMAにより可視化)により、出発原料の不在が示された。次に、溶液を6 Lの飽和食塩水で希釈し、2×8 Lのジクロロメタン(または1,2ジクロロエタンまたはクロロホルム)で抽出した。合わせたジクロロメタン層を、2×6 Lの水、2×4 Lの飽和重炭酸ナトリウム(紙により示されるpHが7〜8となるまで続ける)、1×6 Lの水、1×10 Lの食塩水で洗浄し、さらにこれを硫酸ナトリウムに通して乾燥させた。乾燥剤を取り除いた後、溶媒を真空下で除去することにより、1.88 kg(89%)の淡色固体を得た。次に、該固体を、4:0.5ヘキサン/メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(MTBE)溶液で16時間摩砕した。得られた白色固体をろ過により単離し、2 Lのヘキサンで洗浄し、35℃の真空オーブン内で乾燥させることにより、1630 g(78%)の5を淡褐色の固体として得た。純度はHPLCによると85%であり、1H NMRによって構造を確認した。
ハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9の調製
ビス保護5-フルオロシトシン8:化合物8は、次のように調製した。5-フルオロシトシン7(605 g, 4.69モル, 1.0 eq)、1,1,1-3,3,3-ヘキサメチルジシリザン(5 L, 23.7モル, 5 eq)、および硫酸アンモニウム(24 g, 触媒)を、窒素下で、機械式攪拌器、加熱用マントル、温度プローブ、コンデンサー、および窒素吸気口/排気口を取り付けた清潔で乾いた12 L丸底フラスコ中で混合した。前記固体は約30分間還流すると溶解し、この溶液を還流しながらさらに2時間加熱した。溶液を約70℃まで冷却し、窒素下でロータリーエバポレータに移した。溶媒を85℃の真空下で除去し、2×2 Lの無水キシレンと共沸させることにより、8を白色の結晶性固体として得た。該結晶性固体を6 Lのジクロロメタン中に溶解して溶液Aを作り、これをカップリング工程まで保持した。
グリカール6:化合物6は、次のように調製した。ジクロロメタン(25 L)、ヨウ素(1985 g, 7.82モル, 2 eq)、トリフェニルホスフィン(2051 g, 7.82モル, 2 eq)、およびイミダゾール(1170 g, 17.18モル, 1.4 eq)を、冷却コイル、窒素吸気口/排気口、温度プローブ、機械式攪拌器、および追加の漏斗を取り付けた100 L反応器中で混合した。イミダゾールを加えると、溶液は紫色から黄色へと変色し、温度は約30℃まで上昇した。該溶液を窒素下で15℃まで冷却した。化合物5(1510 g, 3.91モル, 1 eq)を10 Lのジクロロメタン中に溶解し、温度を20℃未満に維持しながら、前記の100 L反応器に少量ずつ加えた。5を全て加えた後、溶液を室温で少なくとも2時間攪拌した。2.5時間後のTLC(1:1酢酸エチル/ヘキサン、PMAにより可視化)により、出発原料(Rfは約0.5である)の不在、Rf約0.8におけるわずかなスポット(中間体)、および生成物グリカール6(Rfは約0.9である)が示された。溶液を20 Lの20%チオ硫酸ナトリウム溶液でクエンチした後、約20分間攪拌した。層を分離し、有機層を1×20 Lの水、1×20 Lの食塩水で洗浄し、さらにこれを少なくとも1.5時間硫酸マグネシウムに通して乾燥させた。乾燥剤を除去した後、溶液を真空下で濃縮して油とし、これを4 Lのメチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(MTBE)で摩砕した。固体(トリフェニルホスフィンオキシド)をろ過により除去し、3 LのMTBEで洗浄した。ろ液を真空下で濃縮して油とし、これをカップリング工程までアルゴン下で-10℃にて保存した。
カップリング:カップリング工程は、次のように実施した。5-フルオロシトシン保護反応で得た溶液Aを、窒素下で、機械式攪拌器、温度プローブ、氷浴、および窒素吸気口/排気口を取り付けた清潔で乾いた22 L丸底フラスコ中に加えた。グリカール6を7 Lのジクロロメタン中に溶解し、前記22 L丸底フラスコに加えた。合わせた溶液を、窒素下で、N-ヨードスクシンイミド(NIS、1100 g , 4.88モル, 1.25 eq)を少量ずつ加えながら攪拌した。温度は氷浴を用いて15℃未満に維持した。NISを加えた後、溶液を室温で少なくとも2時間攪拌した。4時間後のTLC(1:1酢酸エチル/ヘキサン、PMAにより可視化)ではグリカール6(Rfは約0.9である)の存在が示されなかったため、反応を1×20Lの20%チオ硫酸ナトリムを用いて止めた。この溶液を約20分間攪拌した。多量の固体が形成されたので、これらを24時間静置することにより、ろ過を容易にした。該固体を、遠心分離機で1ミクロンのフィルターバッグを通してろ過することにより除去した。ろ液を100 L反応器に戻し入れ、層を分離した。次に、有機層を、1×20 Lの水、1×20 Lの食塩水で洗浄し、さらにこれを硫酸ナトリウムに通して乾燥させた。乾燥剤を除去した後、ジクロロメタンを真空下で除去することにより、暗色の油を得た。この油を、20℃で4 Lのエタノールにより摩砕し、16時間攪拌した。固体をろ過により単離し、4 Lのエタノールで洗浄し、35℃で16時間真空オーブン内で乾燥させることにより、1259 g(53%)の9をオフホワイトの固体として得た。純度はHPLCによると98%であり、また1H NMRにより生成物の構造を確認した。
ジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体10の調製
2種の別個の操作は、次のように実施した。
操作1:化合物9(935 g, 1.544モル, 1 eq.)、酢酸エチル(8.4 L)、メタノール(1 L)、および酢酸(93 mL、1.544モル, 1 eq)を、清潔で乾いた22 L丸底フラスコに加えた。溶液を10分間攪拌し、亜鉛(200 g, 3.08モル, 2.0 eq)を一度に加えた。温度を15分かけて15℃から23℃に上げた。TLC(9:1酢酸エチル/メタノール、PMAおよびUVにより可視化)では、何の反応も示されなかった。もう1当量の亜鉛(100 g)を一度に加え、温度を15分かけて41℃まで上げた。TLCにより、反応が30分以内に完了したことが示された。反応物を室温で16時間(一晩)攪拌した。亜鉛をろ過により除去し、ろ液を1×10 Lの水および1×10 Lの10%塩化アンモニウム溶液で洗浄した。次に、酢酸エチルを真空下で濃縮して1.5 Lとし、得られたスラリーを室温で一晩攪拌した。固体をろ過により単離し、1 Lの酢酸エチルで洗浄し、35℃で16時間真空オーブン内で乾燥させることにより、275 g(52%)の10を白色固体として得た。純度はHPLCによると98%であり、また1H NMRにより生成物の構造を確認した。母液からより多くの化合物を得ようという試みは失敗に終わった。
操作2:この操作用の出発原料9は、-10℃で約3ヶ月間保存していたものである。TLCでは、分解は示されなかった。酢酸エチル(5.5 L)、メタノール(600 mL)、酢酸(61 mL、1.01モル, 1 eq)、および亜鉛(195 g, 3.01モル, 3 eq)を、清潔で乾いた22 L丸底フラスコに加えた。溶液を20分間攪拌した。化合物9(615 g, 101モル, 1 eq)を一度に加え、氷浴を用いて温度を30℃未満に維持した。TLC(9:1酢酸エチル/メタノール、UVおよびPMAにより可視化)により、反応が3時間以内に完了したことが示された。次に、溶液を室温で16時間(一晩)攪拌した。固体をろ過して取り出し、ろ液を1×4 Lの水、1×6 Lの10%塩化アンモニウムおよび塩化ナトリウムで飽和させた1×6 Lの10%炭酸カリウム溶液で洗浄し、最後に硫酸ナトリウムに通して乾燥させた。乾燥剤を除去した後、溶媒を真空下で除去することにより、382 g(量的)の褐色固体を得た。この固体を、9:1ヘキサン/エタノール溶液で16時間摩砕した。該固体をろ過により単離し、500 mLの前記溶液で洗浄し、35℃で16時間真空オーブン内で乾燥させることにより、226 g(65%)の10を褐色粉末として得た。純度はHPLCによると95%であり、また1H NMRによりその構造と、幾らかの不純物の存在を確認した。元素分析により8%の灰分が示されたので、これを次の工程でCelite(登録商標)に通してろ過することにより除去した。
β-L-FD4C 11の調製
2種の別個の操作は、次のように実施した。
操作1:上記操作1で調製した化合物10(273 g, 0.79モル, 1 eq)および無水メタノール(3 L)を、機械式攪拌器、氷浴、温度プローブ、およびガス分散管を取り付けた清潔で乾いた22 L丸底フラスコ中で混合した。攪拌しかつ温度を25℃未満に維持しながら、無水アンモニアガスの気泡をフラスコ中に1時間注入した。次に、このフラスコを密封し、室温で24時間(一晩)攪拌した。TLC(9:1酢酸エチル/メタノール、PMAにより可視化)により、反応が完了したことが示された。次に、溶液をCelite(登録商標)に通してろ過し、ろ液を真空下で濃縮することにより、180 gの淡色固体を得た。該固体を2Lの酢酸エチルで16時間摩砕し、ろ過により単離し、さらに35℃の真空オーブン内で16時間乾燥させることにより、151 g(84%)のβ-L-FD4C 11を白色固体として得た。純度はHPLCによると99.7%であった。1H NMR、13C NMR、MS、元素分析、および旋光度により、化合物の構造および純度を確認した。
操作2:化合物10(226 g, 0.655モル, 1 eq)および無水メタノール(3 L)を、清潔で乾いた22 L丸底フラスコ中で混合した。攪拌しかつ温度を25℃未満に維持しながら、無水アンモニアガスの気泡を溶液中に1時間注入した。次に、フラスコを密封し、24時間(一晩)攪拌した。TLCにより反応が完了したことが示されたら、溶液をCelite(登録商標)に通してろ過することにより浮遊している不溶性物質を除去した。次に、ろ液を真空下で濃縮して褐色固体とした。この固体をすり鉢とすりこぎを用いて粉砕し、3 Lの酢酸エチルで3日間(週末にかけて)摩砕した。該固体をろ過により単離し、1 Lの酢酸エチルで洗浄し、さらに35℃の真空オーブン内で16時間乾燥させることにより、147 g(98%)のβ-L-FD4C 11を褐色固体として得た。純度はHPLCによると96.5%であった。幾つかの点について調べた後、147 gの粗β-L-FD4C 11を10 mL/gの1:1酢酸エチル/エタノール溶液で16時間摩砕した。固体を単離して乾燥させることにより、105 g(70.6%)のβ-L-FD4C 11を褐色固体として得た。HPLCにより、純度は98%であることが示された。しかし、1H NMRにより幾らかの不純物の存在が示され、また元素分析により8%の灰分が示された。
実施例2
β-L-FD4Cを、図1に概説した手順に従って試験工場内で調製したが、以下に記載する幾つかの別の溶媒および試薬を使用した。全ての重量および容量は、特に明記しない限りは、名目上のものとする。投入量および産出量、純度、および収率データを、下記表1に示す。
アセタール3の調製
反応容器にLキシロース1(1.0 wt, 1.0 mol eq)およびアセトン(7.9 wt, 10.0 vol)を入れた。得られたスラリーを激しく攪拌し、反応温度を25℃未満に維持しながら無水硫酸銅(1.33 wt)を加えた。次に、反応温度を25℃未満に維持しながら、Amberlyst(登録商標)15樹脂(1.00 wt)を加えた。得られた混合物を、1H NMR の結果から2を形成する反応が完了したと判断されるまで(残存するL-キシロース1が1mol%未満となるまで、典型的には約16時間)、20〜25℃で激しく攪拌した。
次に、前記混合物をCelite(登録商標)に通してろ過し、ろ液を1μmフィルターを介して第2容器に移した。ろ過ケーキをアセトン(2×1.58 wt, 2×2.0 vol)で洗浄し、合わせたろ液を、炭酸ナトリウム(0.5 wt)を含有する第2容器に移した。得られた混合物を30〜40分間激しく攪拌した後、水中の上澄み液のpHが7以上であることを確かめた。次に、この混合物を30℃以下で減圧蒸留することにより濃縮して、約5 volとした。次に、工業用変性アルコール(IMS、2.02 wt, 2.5 vol)を容器に入れ、得られた混合物を25〜30℃で真空下で濃縮して、約5 volとした。もう一部のIMS(IMS, 2.02 wt, 2.5 vol)を容器に入れ、得られた混合物を25〜35℃の真空下で濃縮して、約5 volとした。IMSの追加と蒸留を再度繰り返した。1H NMRを使用して、試料中にはエタノールに対して1mol%未満のアセトンが含まれていることを確かめた。次に、この混合物をろ過し、ろ過ケーキをIMS(1.62 wt, 2.0 vol)で洗浄した。合わせたろ液および洗浄液を25〜30℃まで加熱し、反応温度を25〜30℃に維持しながら、1.2M HCl溶液(0.34 vol)を加えた。この時点のpHは1以下であった。反応混合物を、1H NMRの結果から化合物3を形成する脱保護が完了したと判断されるまで(生成物3が94mol%超となるまで、典型的には約4時間)、攪拌した。
得られた混合物を、温度を20〜30℃に維持しながら、IMS(1.61 wt, 2.0 vol)中の重炭酸ナトリウム(1.0 wt)のスラリーを含有する別の容器に移した。得られた混合物を30〜40分間攪拌した後、水中の上澄み液のpHが7以上であることを確かめた。この混合物を35℃以下で減圧蒸留することにより濃縮して、約4 volとした。次に、トルエン(4.31 wt, 5.0 vol)を容器に入れ、得られた混合物を25〜35℃の真空下で濃縮して、約4 volとした。もう一部のトルエン(4.31 wt, 5.0 vol)を容器に入れ、該容器の内容物を25〜35℃の真空下で濃縮することにより、全量で約4 volとした。1H NMRを使用して、試料中にはトルエンに対して1mol%未満のエタノール(IMS)が含まれていることを確かめた。次に、ターシャリー・ブチル・メチル・エーテル(TBME)(2.96 wt, 4.0 vol)を容器に入れ、1H NMR分析を実施することにより、トルエン/TBMEのモル比が1:1であることを確かめた。得られた混合物を30〜40分攪拌してからろ過し、ろ過ケーキをTBME(1.48 wt, 2.0 vol)で洗浄した。
ジエステル4の調製
ジメチルアミノピリジンDMAP(0.025 wt)を反応容器に入れた。上記の通りに調製したトルエン/TBME(合計約10 vol)中のアセタール3(1.0 wt, 1.0 mol eq)の溶液を容器に加えて攪拌し、続いてトリエチルアミン(2.11 wt, 2.9 vol、4.0 mol eq)を加えた。 次に、TBME(0.74 wt, 1.0 vol)をライン洗浄剤として容器に加えた。混合物を0〜5℃まで冷却し、温度を0〜10℃に維持しながら、少なくとも30分かけて塩化p-トルオイル(1.79 wt, 1.53 vol、2.2 mol eq)を容器に入れた。ヘッダータンクをTBME(0.74 wt, 1.0 vol)ですすぎ、これを容器内へ流し入れた。その後、混合物を30〜40分かけて20〜25℃まで温め、HPLCの結果から化合物4を形成する反応が完了したと判断されるまで(モノアシル化中間体の領域が0.5%未満となるまで、約4時間)攪拌した。3M HCl溶液(4.0 vol)を、反応器の内容物を25℃未満に維持しながら容器に入れ、水相のpHが1未満であることを確かめた。その後、この反応混合物を分離した。有機層を、水(2×2.0 vol)、およびその後重炭酸ナトリウム溶液(1.0 vol)で洗浄した。水相のpHが7より高いことを確かめた。その後、有機相を精製水(2×2.0 vol)で洗浄した。洗浄終了後、混合物を30〜35℃で減圧蒸留することにより濃縮して、約4.5 volとした。
ジオール5の調製
前工程で得たトルエン中のジエステル4(1.0 wt, 1.0 mol eq)の溶液(合計約2 vol)にアセトニトリル(1.57 wt, 2.0 vol)を入れ、続いて精製水(1.0 vol)およびギ酸(4.88 wt, 4.0 vol)を入れた。得られた2相混合物を40〜45℃まで加熱し、HPLC分析の結果からジオール5を形成する反応が完了したと判断されるまで(出発原料4が7%未満となるまで;典型的には12〜16時間)、攪拌した。
反応混合物を20〜25℃まで冷却し、30%w/w食塩水(3.0 vol)を入れ、その後TBME(0.74 wt, 1.0 vol)を入れた。層を分離し、水層をTBME(1.85 wt, 2.5 volおよび2.59 wt, 3.5 vol)で洗浄した。合わせた有機層を、水(2×3.0 vol)、次いで1:1食塩水:5%w/v重炭酸ナトリウム溶液(4.0 vol)、続いて5%w/v重炭酸ナトリウム溶液(2×3.0 vol)、および最後に精製水(3.0 vol)で洗浄した。得られた有機溶液を35℃以下で減圧蒸留することにより濃縮して約4 volとし、その含水量を調べた。含水量が3%w/wより高い場合には、トルエン(3.46 wt, 4.0 vol)を加え、35℃以下で減圧蒸留することにより除去した。含水量を再度チェックし、必要であればトルエンとの共沸を繰り返した。その後、溶液を清澄化し、フィルターをトルエン(1.73 wt, 2.0 vol)ですすぎ、さらに該溶液を35℃以下で減圧蒸留することにより濃縮して、約2 volとした。必要であれば溶液を30〜35℃に調整し、温度を30〜35℃に維持しながら、イソプロピルエーテル(IPE, 4.35 wt, 6.0 vol)をゆっくりと入れた。得られた溶液を0〜5℃まで冷却して3〜4時間寝かせた後、固体を遠心分離により単離した。固体ケーキをIPE(2×1.45 wt, 2×2.0 vol)で洗浄し、該固体を35℃以下の真空下で乾燥させた。
ハロゲン化5-フルオロシトシン誘導体9の調製
グリカール6:化合物6は、次のように調製した。ヨウ素(1.447 wt)およびジクロロメタン(DCM, 7.30 wt, 5.5 vol)を反応容器に入れた後、温度を20〜30℃に維持しながら、DCM(5.84 wt, 4.4 vol)中のトリフェニルホスフィン(1.50 wt)を入れた。次に、DCM(1.46 wt, 1.1 vol)ライン洗浄を行った。得られたスラリーに、DCM(5.84 wt, 4.4 vol)中のイミダゾール(0.85 wt)を、温度を20〜30℃に維持しながら入れた。DCM(1.46 wt, 1.1 vol)ライン洗浄を行い、スラリーを0〜10℃まで冷却した。DCM (5.84 wt, 4.4 vol)中の化合物5(1.00 wt, 1.0 mol eq)を、温度を10℃未満に維持しながらゆっくりと加え、続いてDCM(1.46 wt, 1.1 vol)ライン洗浄を行った。得られた混合物を5〜10℃に調整し、1H NMR分析の結果から6を形成する反応が完了したと判断されるまで(5が消失するまで、典型的には30分)攪拌した。反応混合物は不安定であり、3時間後には分解し始めた。
20%チオ硫酸ナトリウム溶液(11.0 vol)を、温度を10℃未満に維持しながら前記反応混合物に加え、2相混合物を5〜10℃で15分間激しく攪拌した。有機層をそのヨウ素含有量について試験し、層を分離し、さらに有機層を精製水(11.0 vol)を用いて5〜10℃で洗浄した。硫酸マグネシウム(0.55 wt)を有機相に入れ、この混合物を5〜10℃で2時間攪拌した。乾燥させた溶液をろ過し、固体をDCM(2.92 wt, 2.2 vol)で洗浄した。得られた有機溶液を20℃以下の真空下で濃縮して約5 volとし、TBME(8.14 wt, 11.0 vol)を加えた。溶液を再び濃縮して約5 volとし、TBME(8.14 wt, 11.0 vol)を加えた。溶液を再び濃縮して約5 volとし、1H NMRを使用してTBME:DCM比が10:1以上であることを確かめた。固体をろ過して取り出し(約3 volのろ過ケーキ)、TBME(2×1.63 wt, 2×2.2 vol)で洗浄した。合わせたろ液の含水量を調べた後、20℃以下で濃縮して約2 volとした。この濃縮物にDCM(7.30 wt, 5.5 vol)を加え、6の溶液を、カップリング工程で使用するまで5℃未満で保持した。生成物6は不安定であり、5℃より高い温度で48時間経過すると分解し始めた。
ビス保護5-フルオロシトシン8:化合物8は、次のように調製した。wt/vol比は上記6の調製時における5の投入重量を指し、mol eqは5-フルオロシトシン7に対するものである。5-フルオロシトシン7(0.4 wt)および硫酸アンモニウム(0.016 wt, 0.04 mol eq)を、窒素でパージした清潔で乾いた容器に入れた。クロロベンゼン(2.2 wt, 2.0 vol)を入れ、得られた懸濁液をKF分析に供した(典型的には0.01%w/w未満となる)。ヘキサメチルジシラザン(1.08 wt, 1.42 vol、2.17 mol eq)を加え、得られた白色のスラリーを110〜115℃まで加熱し、その温度で16時間攪拌した。得られたビス保護5-フルオロシトシン8の透明無色の溶液を25〜30℃まで冷却し、1H NMRにより分析し(典型的には、90〜100 mol%のジ-シリル、0〜10mol%のモノ-シリルとなる)、これをカップリング工程で使用するために必要となるまで周囲温度で保持した。
カップリング:カップリング工程は、次のように実施した。wt/vol比は上記6の調製時における5の投入重量を指す。清潔で乾いた容器を用いた。上記で調製した6のTBME/DCM溶液(約7.7 vol)を、温度を20℃未満に維持しながら、上記で調製した8のクロロベンゼン溶液(約4.4 vol)を含有する反応容器に入れた。この溶液を0〜10℃まで冷却し、NIS(0.80 wt)を5等量分ずつ10℃未満で50分かけて加えた。この反応混合物を、1H NMR分析の結果から9を形成する反応が完了したと判断されるまで(典型的には1時間)、5〜10℃で攪拌した。
10%チオ硫酸ナトリウム溶液(11.0 vol)を、温度を20℃未満に維持しながら前記反応混合物に加え、得られた2相混合物を清澄化することにより、浮遊している固体を取り除いた。その後、層を分離し、有機層を精製水(7.7 vol)で洗浄した。この有機層を、そのヨウ素含有量について調べてから、硫酸マグネシウム(1.1 wt)と共に20〜25℃で2時間攪拌した。乾燥させた有機層をろ過し、固体をDCM(2.92 wt, 2.2 vol)で洗浄した。合わせた有機物にエタノール(8.64 wt, 11.0 vol)を加え、この溶液を2時間かけて0〜5℃まで冷却した。得られた固体をろ過して取り出し、エタノール(2×1.73 wt, 2×2.2 vol)で洗浄し、単離した生成物9を20℃未満の真空下で乾燥させた。
ジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体10の調製
wt/vol比は9の投入重量を指すが、前工程のエタノールについては補正してある。亜鉛粉末(0.33 wt)を容器に入れ、続いて酢酸メチル(3.5 vol)、メタノール(0.97 vol)、および酢酸(0.09 vol)を入れた。得られた灰色のスラリーを30分間攪拌した後、25〜28℃まで加熱した。化合物9(1.0 wt)を、別容器内の酢酸メチル(4.5 vol)中に20〜25℃で溶解し、温度を30℃未満に維持しながら前記の亜鉛スラリーにゆっくりと加えた(約30〜60分)。酢酸メチル(1 vol)のライン洗浄を25℃で実施した。その結果得られた10を形成するための反応物を25〜30℃で1時間攪拌した後、試料をHPLC分析のために採取した(9が0.5%領域未満であることを確認した)。その後、反応混合物を、布を通してろ過し(ろ過ケーキ=0.08 vol)、これを再循環させることにより清澄化した。ろ過ケーキを、9:1酢酸メチル:メタノール(2×1.0 vol)を用いて25〜30℃で洗浄した。合わせたろ液を25%w/w塩化アンモニウム(5 vol)で洗浄し、層を分離した。水層を9:1酢酸メチル:メタノール(3.0 vol)を用いて25℃で洗浄し、層を分離した。その後、合わせた有機層を1:1食塩水(30%w/w):炭酸ナトリウム(20%w/w)(5 vol、混合済み)で洗浄し、層を分離した。水層を9:1酢酸メチル:メタノール(3.0 vol)を用いて25℃で洗浄し、層を分離した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム(1.0 wt)に通して乾燥させた。乾燥させた溶液をろ過し、ろ過ケーキを9:1酢酸メチル:メタノール(2×2.0 vol)を用いて25〜30℃で洗浄(置換)し、合わせたろ液を30℃以下で蒸留することにより、3 volとした。アセトン(4 vol)を加え、得られた溶液を30℃以下で蒸留することにより、3 volとした。このサイクルを、メタノールの含有量がアセトンに対して4mol%未満となるまで繰り返した。その後、得られた白色のスラリーを0〜5℃まで冷却し、1〜2時間寝かせた後にろ過した。ろ過ケーキをアセトン(2×2 vol)を用いて0〜5℃で洗浄し、35℃以下の真空下で乾燥させた。
β-L-FD4C 11の調製
wt/vol比は、10の投入重量を指す。化合物10(1.0 wt)を容器に入れ、続いてメタノール(10.0 vol)を入れた。得られたスラリーを攪拌し、アンモニア(メタノール中に6 M、5 vol)を加えた。次に、混合物を30〜35℃まで加熱し、HPLCの結果からβ-L-FD4C 11を形成する反応が完了したと判断されるまで(典型的には24〜32時間)、激しく攪拌した。温度を45〜50℃に調整し、溶液を清澄化し、続いて45〜50℃で1 volのメタノールによるライン洗浄を行った。イソプロピルアルコール(IPA、15 vol)を混合物に加えた。次に、得られた混合物を、IPA/メタノールのモル比が1.5:1〜2:1(反応容器中15〜20 vol前後)となるまで、35℃以下の減圧下で蒸留した。得られた白色のスラリーを0〜5℃まで冷却してろ過し、ろ過ケーキをIPA(2×2 vol)で洗浄し、さらに生成物β-L-FD4C 11を35℃以下の真空下で乾燥させた。
Figure 2005527589
上記の本発明について、本発明を明確にしかつ理解を深めるために詳しく記載したが、当業者であれば、本開示内容を読むことにより、本発明の範囲を逸脱することなく、その形態および細部において種々の変更を行いうることが理解されよう。
図1は、本発明の特定の実施形態に従ってβ-L-FD4Cを調製するための合成経路を例示したものである。

Claims (23)

  1. β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を合成する方法であって、
    (a) 式I:
    Figure 2005527589
    のL-キシロースを、第1酸触媒および脱水剤の存在下でアセトンと反応させることにより、式II:
    Figure 2005527589
    のジアセタールを得ること、
    (b) 式IIのジアセタールの2,3アセタールを、第2酸触媒の存在下で加水分解することにより、式III:
    Figure 2005527589
    のアセタールを得ること、
    (c) 式IIIのアセタールのアルコール部分を、塩基触媒の存在下でアシル化することにより、式IV:
    Figure 2005527589
    のジエステルを得ること、
    (d) 式IVのジエステルのアセタール部分を、酸の存在下で加水分解することにより、式V:
    Figure 2005527589
    のジオールを得ること、
    (e) 式Vのジオールのヒドロキシル基を除去することにより、式VI:
    Figure 2005527589
    のグリカールを得ること、
    (f) 式VII:
    Figure 2005527589
    の5-フルオロシトシンをビス保護することにより、式VIII:
    Figure 2005527589
    〔式中、Zは保護基である〕
    のビス保護5-フルオロシトシンを得ること、
    (g) 式VIのグリカールを、ハロゲン化剤の存在下で式VIIIのビス保護5-フルオロシトシンとカップリングすることにより、式IX:
    Figure 2005527589
    のハロゲン化シトシン誘導体を得ること、
    (h) 式IXのハロゲン化シトシン誘導体を、金属亜鉛および酢酸で処理することにより、式X:
    Figure 2005527589
    のジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体を得ること、および
    (i) 式Xのジデオキシ, ジデヒドロシチジン誘導体のエステル部分を、塩基の存在下で加水分解することにより、式XI:
    Figure 2005527589
    のβ-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジンを得ること
    を含む上記方法。
  2. 生成物β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を単離することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 単離が、β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)を析出させる溶媒による処理を含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記溶媒が酢酸エチルまたはイソプロパノールである、請求項3記載の方法。
  5. 工程(e)におけるヒドロキシル基の除去が、ヨウ素、トリフェニルホスフィン、およびイミダゾールによる処理を含む、請求項1記載の方法。
  6. 工程(f)におけるビス保護が、1,1,1-3,3,3-ヘキサメチルジシリザンおよび触媒による処理を含む、請求項1記載の方法。
  7. 前記触媒が硫酸アンモニウムである、請求項6記載の方法。
  8. 式VIII中の各存在位置における保護基Zがトリメチルシリルである、請求項1記載の方法。
  9. 工程(a)および(b)における第1および第2酸触媒が、硫酸、塩酸、および陽イオン交換樹脂からなる群より独立して選択される、請求項1記載の方法。
  10. 工程(a)における脱水剤が、硫酸銅、硫酸マグネシウム、および硫酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  11. 工程(c)における塩基触媒が、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  12. 工程(d)における酸がギ酸またはトリフルオロ酢酸である、請求項1記載の方法。
  13. 工程(i)における塩基が、アンモニア、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)およびイソプロピルアミンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  14. 工程(g)におけるハロゲン化剤がN-ヨードスクシンイミド(NIS)である、請求項1記載の方法。
  15. 工程(b)が低級アルキルアルコール溶媒中で実施される、請求項1記載の方法。
  16. 工程(e)が、ジクロロメタン、トルエン、ターシャリー・ブチル・メチル・エーテル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒中で実施される、請求項1記載の方法。
  17. 工程(d)が、アセトニトリル、トルエン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒中で実施される、請求項1記載の方法。
  18. 工程(e)がジクロロメタン中で実施される、請求項1記載の方法。
  19. 工程(f)が、トルエン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、イソプロピルエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒中で実施される、請求項1記載の方法。
  20. 工程(g)が、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒中で実施される、請求項1記載の方法。
  21. 工程(h)が低級アルキルアルコールおよび低級酢酸アルキルの存在下で実施される、請求項1記載の方法。
  22. 工程(i)がメタノール中で実施される、請求項1記載の方法。
  23. β-L-5-フルオロ-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-ジデヒドロシチジン(β-L-FD4C)の合成が、L-キシロースから、式II〜Xのいずれの中間化合物も蒸発乾固させることなく達成される、請求項1記載の方法。
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