JP2005527194A - アメフラシ、Aplysiapunctataの細胞傷害性サイプラシン、生物反応性組換え体のcDNAクローニングおよび発現 - Google Patents

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Abstract

自律的に増殖する哺乳動物細胞に対して優先的な毒性を示す「サイプラシン」と呼ばれるタンパク質をコードする核酸に関する。このタンパク質により誘導される細胞死は、アポトーシスおよびネクローシスのどちらとも異なる。細胞培養物中でサイプラシンを組換え調製する場合に生じる細胞内細胞死は、サイプラシン配列中の分泌シグナルの除去により回避されうる。この修飾は、サイプラシンを、得られるタンパク質のグリコシル化パターンに関して好ましい哺乳動物細胞培養物中で発現することを可能にする。従って、本発明はまた、真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞中でのタンパク質の組換え産生方法に関し、このタンパク質は、外部に適用された場合、上記細胞に対して細胞傷害性である。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、自律的に増殖する哺乳動物細胞に対して優先的な毒性を示す「サイプラシン(cyplasin)」と呼ばれるタンパク質をコードする核酸に関する。このタンパク質により誘導される細胞死は、アポトーシスおよびネクローシスのどちらとも異なる。細胞培養物中でサイプラシンを組換え調製する場合に生じる細胞内細胞死は、サイプラシン配列中の分泌シグナルの除去により回避されうる。この修飾は、サイプラシンを、得られるタンパク質のグリコシル化パターンに関して好ましい哺乳動物細胞培養物中で発現することを可能にする。従って、本発明はまた、真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞中でのタンパク質の組換え産生方法に関し、このタンパク質は、外部から(externally)適用された場合、上記細胞に対して細胞傷害性である。
海洋生物は、潜在的な生物学的および/または薬学的な重要性を伴う遺伝子および代謝産物の本質的に開拓されていない宝庫を表す[1、2、3]。これまで、海洋生物に由来する天然産物に関する文献は、細胞傷害性により特徴づけられる低分子量化合物により優位を占められている。かかる天然薬物のいくらかは、臨床適用されているか、または潜在的な抗癌剤として評価中である[1、2、3]。対照的に、海洋生物由来の利用できる遺伝子およびその産物に関する報告はまれである。クラゲAequorea victoriaに由来するグリーン蛍光タンパク質は、基本的な生物学的重要性を伴う遺伝子の例として役立ち得、これは、生存する細胞における遺伝子発現およびタンパク質局在化に関する研究のためのレポーターとしてバイオテクノロジーにおいて広範に使用されている[4]。
アメフラシは、重要な高分子遺伝子産物を産生する別の種を表すようである。本来、軟体動物Aplysiaの毒性は、藻類食餌に由来する低分子量代謝物質によることが見出された[5]。しかし、細胞傷害性の抗菌性および抗真菌性の活性は、アメフラシAplysia kurodai、Aplysia julianaおよびDolabella auriculariaに由来する高分子量の生化学的単離物中で検出され得た。従って、これらの生物が薬理学的重要性の高い水溶性の遺伝子発現バイオポリマーを産生しうるが示唆された[5、6]。さらに、これらの生化学的調査は、アメフラシが種々のサイズの、かつ種々の生物学的活性を有する多数の密接に関連する糖タンパク質を産生することを示唆する。配列レベルでこれらのタンパク質を特徴づける最初の試みは、ジャイアントアフリカカタツムリAchatina fuluicaにより産生されるタンパク質をコードするcDNAと有意な配列同一性を示す1つのAplysia kurodai由来のcDNAの分子クローニングを導いた[7]。しかし、クローン化Aplysia kurodai cDNAによりコードされるタンパク質と何らかの生物学的活性との明確な関係は見出されていない。これは、おそらく、生物学的に活性な分子が糖タンパク質であり、大腸菌における組換え発現が生物学的に不活性なタンパク質を生じるという事実に因る。
従って、本発明の根底にある技術的課題は、Aplysia由来のサイプラシンのような細胞傷害性タンパク質を生物学的に活性な形態で組換え産生するための手段を提供することであった。
上記技術的課題の解決手段は、特許請求の範囲に特徴づけられる態様を提供することにより達成される。
Aplysia由来タンパク質の潜在的な薬理学的価値は、ヨーロッパアメフラシAplysia punctata細胞傷害性活性を配列レベルで同定する本発明者らのアプローチを刺激した。アルブミン腺の分泌粘液のバイオアッセイガイド分画は、ナノモル濃度で自律的に増殖する細胞に対して細胞傷害性効果を示す56kDa糖タンパク質を示す。その細胞傷害性、異常増殖に対するその考えられうる効果およびその起源Aplysiaに基づいて、タンパク質はサイプラシンと命名された。サイプラシンは、自律的に増殖するトランスフォームした哺乳動物細胞に対して優先的な毒性を示す。このタンパク質により誘導される細胞死は、アポトーシスおよびネクローシスのどちらとも異なる。細胞傷害性効果は、不可逆的であり、細胞型依存性様式でナノモル濃度で明らかになる。対照的に、マウスへのミクロモル濃度の注射は、明らかなネガティブな結果を伴うことなく耐性である。56kDaタンパク質のミクロシークエンシングは、対応するヌクレオチド配列がAplysia punctata RNAベースcDNAをスクリーニングし、標的ペプチドを含有するポリペプチドをコードするcDNAクローンを選択するためのプローブとして使用されるペプチド配列を示した。2つの密接に関連するcDNAが検出された。558 aa長のポリペプチドをコードするcDNAは、細胞傷害性タンパク質をコードする真のクローンを示すと考えられた。そのタンパク質コードセクションを、大腸菌、哺乳動物細胞および昆虫細胞それぞれにおける発現に適切なベクターに再クローニングした。大腸菌発現ポリペプチドは生物学的に不活性であった。トランスフェクトした哺乳動物細胞は、細胞傷害性因子を発現し、まるで真正(genuine)の細胞傷害性タンパク質で処理されたかのように細胞傷害性因子により死滅した。対照的に、真正タンパク質で処理された場合、大いに低い感受性であることが示されたトランスフェクト昆虫細胞は、細胞傷害性因子を発現し、増殖し続け、さらなる特徴付けに十分な量の細胞傷害性因子を発現する安定した昆虫細胞株の樹立を可能にした。最後に、分泌シグナル配列を有さないタンパク質をコードするDNA配列を用いた場合、生物学的に活性なタンパク質が哺乳動物細胞において組換え産生されうることが示され得た。
従って、本発明は、
(a)図2(a)の20位または53位から558位までのアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;
(b)図2(b)のヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(c)遺伝コードの縮重により(a)または(b)に記載されるヌクレオチド配列とは異なる核酸配列を含む核酸分子;および
(d)(a)、(b)または(c)に記載される核酸配列の断片、誘導体または対立遺伝子バリエーションを表す核酸分子
からなる群より選ばれる、分泌シグナル配列を欠失しているか、または非機能性分泌シグナル配列を有するタンパク質サイプラシン、またはその生物学的特性を示すタンパク質をコードする単離された核酸分子に関する。
本明細書中で使用される場合、サイプラシンの生物学的特性を示すタンパク質は、サイプラシンの少なくとも1つの生物学的活性、例えば、細胞傷害活性を有するタンパク質であることが理解される。
本明細書中で使用される用語「単離された核酸分子」は、それが天然に会合する他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に含まない核酸分子を含む。例えば、単離された核酸分子は、ベクターまたは物質(matter)の組成物の一部であり得、または細胞内に含まれ得、そのベクター、物質の組成物、または特に細胞は、上記核酸分子の元の環境ではないのでなおも「単離されている」。
本発明の核酸分子は、DNAおよびRNA分子の両方でありうる。適切なDNA分子は、例えば、ゲノムまたはcDNA分子である。サイプラシンの全てまたは一部をコードする全ての核酸分子は、それらが生物学的活性を有するタンパク質をコードする限り、同様に含まれると理解される。本発明の核酸分子は、天然の供給源から単離されうるか、または公知の方法に従って合成されうる。
本発明の核酸分子はまた、遺伝コードの結果として縮重している配列を有する分子を含む。
さらなる態様では、本発明は、本発明のタンパク質をコードする上記の核酸分子の断片、誘導体および対立遺伝子バリアントを含有する核酸分子を提供する。「断片」は、記載されるタンパク質の1つをコードするのに十分な長さである核酸分子の一部であると理解される。これらの断片は、本発明の核酸分子の転写物に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。これらの核酸分子は、例えば、診断アッセイおよび/またはキットにおけるプローブまたはプライマーとして使用され得、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長を有するオリゴヌクレオチドである。本発明の核酸分子およびオリゴヌクレオチドはまた、例えば、PCR反応用のプライマーとして使用されうる。
この文脈において用語「誘導体」は、これらの分子の配列が、1つまたはいくつかの位置で上記の核酸分子の配列とは異なるが、これらの配列に対して高いレベルの同一性を有することを意味する。本明細書中において同一性は、少なくとも40%、特に少なくとも60%の同一性、好ましくは、80%または85%よりも高く、特に好ましくは、90%、92%、95%または98%の配列同一性を有することを意味する。核酸分子によりコードされるこれらのタンパク質は、図2に記載される本発明のアミノ酸配列に対して少なくとも60%または70%、好ましくは80%または85%および特に好ましくは90%、95%、97%および99%よりも高い配列同一性を有する。上記の核酸分子に対する偏差(deviation)は、欠失、置換、挿入または組換えにより生じうる。
上記分子に対して相同であり、およびこれらの核酸の誘導体を表す核酸分子は、通常、同じ生物学的機能を有する修飾を表すこれらの核酸分子のバリエーション(variation)である。それらは、天然に存在するバリエーション、例えば、他の生物由来の配列、または自然に生じるか、もしくは特異的な変異誘発により導入されたかのいずれかでありうる変異に由来する配列である。さらに、バリエーションは、合成により生じた配列でありうる。対立遺伝子バリアントは、天然に存在するバリアントまたは合成により生じたバリアントまたは組換えDNAプロセスにより生じたバリアントでありうる。
一般に、従来の分子生物学的プロセスによって、本発明の核酸分子に種々の変異を導入することができる(例えば、Sambrookら、1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY参照)。
遺伝子工学による原核生物細胞における操作のために、本発明の核酸分子またはこれらの分子の一部は、プラスミドに導入され得、DNA配列の組換えによる配列の変異誘発または改変が可能になる。従来の方法(Sambrookら、1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, USA参照)により、塩基は置換され、天然または合成配列が付加されうる。DNA断片を互いに連結するために、アダプターまたはリンカーが断片に付加されうる。さらに、操作は、適切な切断を提供するか、または余分なDNAもしくは切断部位を除去する、好ましくは、分泌シグナルを除去する操作が行われうる。挿入、欠失または置換が可能である場合、インビトロ変異誘発、プライマー修復、制限またはライゲーションが行われる。解析方法として、通常、配列解析、制限解析および他の生化学的または分子生物学的方法が用いられる。
本発明の核酸分子の様々なバリアントによりコードされるタンパク質は、酵素活性、分子量、免疫学的反応性もしくは立体配座、または電気泳動移動度、クロマトグラフィー性質、沈降係数、溶解性、分光特性、安定性;至適pH、至適温度といった物理的特性などの特定の共通した特徴を示す。
本発明は更に、本発明の核酸分子を含むベクターに関する。好ましくは、それらはプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよび遺伝子工学の分野で通常使用される他のベクターである。本発明の使用に適したベクターは、細菌における発現用のT7ベ−スの発現ベクター、哺乳動物細胞における発現用のpMSXND発現ベクターおよび昆虫細胞における発現用のバキュロウイルス由来ベクターを含むが、これらに限定されない。好ましくは、原核生物細胞および/または真核生物細胞において、翻訳され得るRNAの転写および合成を保証する本発明の組換えベクター内で、本発明の核酸分子は作動可能に調節因子に連結される。転写される核酸配列は、T7、メタロチオネインI、ポリヘドリンプロモーターなどのプロモーターに作動可能に連結され得る。
更なる態様において、本発明は、本発明の核酸分子またはベクターを一時的にまたは安定的に含む組換え宿主細胞に関する。宿主細胞は、インビトロ組換えDNAを受け入れ得る生物であり、またこの場合は、本発明の核酸分子によりコードされるタンパク質を合成し得る生物であると理解される。好ましくは、これらの細胞は原核生物細胞または真核生物細胞、例えば哺乳動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞である。本発明の宿主細胞は、好ましくは、導入された本発明の核酸分子が形質転換細胞に対して異種由来である、すなわち、それは天然ではこれらの細胞に存在しないか、または対応する天然に存在する配列とは異なるゲノムの場所に配置される、という事実により特徴付けられる。
本発明の更なる態様は、サイプラシン (好ましくは、通常存在する分泌配列が除去されているか非機能性であり、本発明の核酸分子によりコードされるサイプラシン) の生物学的特性を示す単離されたタンパク質、ならびに、それらの産生方法 (例えば本発明の宿主細胞が該タンパク質の合成を可能にする条件下で培養され、続いて該タンパク質が培養細胞および/または培養液から単離される) に関する。組換え的に産生されたタンパク質の単離および精製は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを含む、調製用クロマトグラフィーならびにアフィニティーおよび免疫学的分離を含む従来の手段により行われ得る。本明細書中で使用される場合、用語「単離されたタンパク質」は、他のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物または天然に会合している他の物質から実質的に離れたタンパク質を含む。しかしながら、かかるタンパク質は組換え的に産生されたタンパク質だけでなく、単離された天然に存在するタンパク質、合成的に産生されたタンパク質、またはこれらの方法の組み合わせにより産生されたタンパク質も含む。かかるタンパク質の調製手段は、当該分野でよく理解されている。本発明のタンパク質は、好ましくは、実質的に精製された型である。
サイプラシンに加えて、腫瘍細胞に対して細胞傷害性であり、従って治療上の価値があり得る種々のタンパク質が存在する。かかるタンパク質を充分な量/質で得るために、それらは組換え的に産生される。好ましくは、前記タンパク質は、グリコシル化など細胞傷害活性に必要とされる二次修飾の存在を確実にするために、哺乳動物細胞で、好ましくはヒト細胞で産生されるべきである。しかし、タンパク質が宿主細胞から分泌され、細胞膜の外側と反応する場合のみ細胞傷害性である場合には、分泌されたタンパク質がその宿主細胞を死滅させるために、その組換え産生は達成され得ない。本発明者らにより、この問題は克服され得ること、すなわち、かかる細胞傷害性タンパク質は、宿主細胞からのその輸出が合成後に阻害される場合には、哺乳動物細胞で産生され得ることが見出されている。これは分泌誘導配列を有さないタンパク質をコードする遺伝子を発現することによって達成され得る。かかる改変タンパク質はその宿主細胞内に残存するため、もはや該細胞に対する細胞傷害性は無い。細胞の溶解/ホモジナイゼーション後、タンパク質は放出され、確立された生化学的方法によって、細胞傷害性物質として単離および精製される (下記の、HeLa細胞における分泌誘導配列を除去したサイプラシンの組換え産生に関する実施例11を参照のこと)。
従って本発明はまた、真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞(例えばHeLa細胞)における、外部から適用された場合には該細胞に対して細胞傷害性であるタンパク質の一般的な製造方法であって:
・ 該タンパク質が発現する条件下で、欠失されたまたは非機能性の分泌シグナル配列を有する該タンパク質をコードする核酸配列でトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程;および
・ 該細胞から該タンパク質を収集する工程
を含む方法に関する。
細胞のトランフェクション方法、タンパク質の組換え産生方法および細胞からの該タンパク質の回収方法は、既に上記されている。当業者らは周知の方法、例えばインビトロ突然変異誘発により、もはや宿主細胞からは分泌されないタンパク質をコードする核酸配列を生成し得る。分泌シグナル配列の配置/位置を決定するための、例えば [19〜22] に記載される方法もまた周知である。
最後に、本発明はまた、(i) 核酸分子、好ましくは分泌リーダー配列を有するか、または有さないタンパク質をコードする核酸分子、または (ii) 薬学的に許容されうるレシピエント、賦形剤または担体と組み合わされた本発明のタンパク質を含む医薬組成物、ならびにガンの処置用の医薬組成物を調製するための前記化合物の使用に関する。
適切な薬学的担体などの例としては、当該分野で周知であり、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々な型の湿潤剤、滅菌溶液などが挙げられる。かかる担体は、従来の方法により処方され得、被験体に対して適切な容量で投与され得る。適切な組成物の投与は、異なる経路により (例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所または皮内投与により) 実施され得る。投与経路は、もちろん、腫瘍の性質、その位置および医薬組成物に含まれる化合物の種類に依存する。投薬管理は、担当の医師および他の医学的要因により決定される。医学分野で周知の通り、任意の患者に対する投薬は、患者のサイズ、体の表面積、年令、性別、投与される特定の化合物、投与の時間および経路、腫瘍の種類および段階、一般的な健康状態および同時に投与される他の薬物を含む、多くの要因に依存する。
本発明の核酸分子の送達は直接適用により、または、好ましくは、これらの化合物またはコロイド分散系を含むキメラウイルスなどの組換え発現ベクターを使用することにより、達成され得る。標的部位への直接適用は、例えば、コロイド分散系としての弾道送達により、または動脈のある部位へのカテーテルにより行われ得る。上記の核酸分子の送達に使用され得るコロイド分散系としては、マクロ分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、磁性スフェア (magnetosphere)、ビーズ、ならびに、オイルインウォーターエマルジョン (混合された) 、ミセル、リポソーム、およびリポプレックス (lipoplex) を含む脂質ベースの系を含む。好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームの組成は、通常リン脂質とステロイド、特にコレステロールの組み合わせである。当業者は所望の核酸分子の送達に適切なこのようなリポソームを選択する立場にいる。器官特異的または細胞特異的リポソームは所望の腫瘍に対してのみ送達を達成するために使用され得る。リポソームのターゲティングは、当業者によって、一般的に公知の方法を適用することにより実行され得る。このターゲティングは、受動ターゲティング (洞様毛細血管を含む器官において、RESの細胞に分配するリポソームの天然性質を利用する) または能動ターゲティング (例えば、周知の方法を用いて特定のリガンド (例えば、抗体、レセプター、糖、糖脂質、タンパク質など) にリポソームを結合させることによる) を含む。本発明において、モノクローナル抗体は特定の細胞表面リガンドを介して特定の腫瘍にリポソームを標的づけるために好ましく使用される。
遺伝子治療に有用な好ましい組換えベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、より好ましくは、レトロウイルスなどのRNAウイルスである。更により好ましくは、レトロウイルスベクターはマウスまたは鶏レトロウイルスの誘導体である。本発明で使用され得るかかるレトロウイルスベクターの例は:モロニーマウス白血病ウイルス (MoMuLV)、ハーベイ (Harvey) マウス肉腫ウイルス (HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス (MuMTV) およびラウス肉腫ウイルス (RSV) である。最も好ましくは、マウスベクターと比較して広い宿主範囲を提供する、テナガザル白血病ウイルス (GaLV) などの非ヒト類人猿レトロウイルスベクターが使用される。組換えレトロウイルスは不完全であるため、感染粒子を産生するためには補助が必要とされる。かかる補助は、例えば、LTR内の制御配列の調節下で、レトロウイルスの構造遺伝子の全てをコードするプラスミドを含むヘルパー細胞系を使用することによって提供され得る。適切なヘルパー細胞株は当業者に周知である。前記ベクターは更に、形質導入された細胞が同定され得るように選択的マーカーをコードする遺伝子を含み得る。更に、レトロウイルスベクターは、それらが標的特異的になるように改変され得る。これは例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質、好ましくは抗体をコードするポリヌクレオチドを挿入することにより達成され得る。当業者らは標的特異的ベクターを生成するための更なる方法を知っている。インビトロまたはインビボ遺伝子治療のための更なる適切なベクターおよび方法は、文献に記載されており、当業者に公知である;例えば、WO94/29469またはWO97/00957を参照のこと。
例えば、特定の腫瘍が処置される標的器官においてのみ発現を達成させるために、本発明の核酸分子は組織特異的プロモーターに連結され、遺伝子治療に使用され得る。かかるプロモーターは当業者らに周知である (例えば、Zimmermannら, (1994) Neuron 12, 11-24; Vidalら; (1990) EMBO J. 9, 833-840; Mayfordら, (1995), Cell 81, 891-904; Pinkertら, (1987) Genes & Dev. 1, 268-76を参照のこと)。
以下の実施例により、本発明を例証する。
要約すると、実施例の結果は、Aplysia種 [5,6] により産生および分泌された高分子量の細胞傷害性物質に注目した先の提案を支持する。A.punctataの分泌粘液からのタンパク質画分は細胞傷害性を示し、例えば培地において、増殖調節活性から独立して増殖する細胞に添加した場合は、最終的に致死活性を示す。これらの因子の1つはペプチド配列レベルで特徴付けられており、サイプラシンと呼ばれている。興味深いことに、サイプラシンは培地中の細胞に対して段階的な細胞傷害性を示す。サイプラシンは、グリア細胞株およびPtK細胞として示される樹立された細胞株、ならびに試験されたヒトメラノーマなどの多数の原発性腫瘍細胞に対して、高い細胞傷害性を示す。ヒト皮膚繊維芽細胞は、顕著により高い寛容性を示す。試験された他の腫瘍細胞もまた高度に感受性である (示さず) ため、サイプラシンは、樹立された細胞株および原発性腫瘍細胞に対して特に細胞傷害性であることが明らかである。原発性ヒト繊維芽細胞の異なる応答は、おそらく、これらの細胞が自己増殖するにもかかわらず、腫瘍細胞として考えられていないという事実によるものである [17]。従って、サイプラシンは生物において、腫瘍細胞などの所望されない細胞の特異的な排除に有用であり得る。
かかる見解はインビボでの予備実験により支持される。正常マウスに注入した場合、高濃度のサイプラシンを使用した場合でも、注入サイプラシンの毒性効果は見られなかった。
サイプラシンの天然の供給源は限定されている;そのため、その組換え産生が、抗癌剤としての利用可能性に必須であることは明らかである。第1の工程において、我々は、バイオアッセイ−ガイド分画手順により単離されていた、明確な56 kDaの分子量を有するタンパク質をコードすると考えられるcDNAを検索した。このタンパク質の部分配列をプローブとして、また、従来のPCRおよびcDNAクローニング技術を使用して、我々は特異的プローブとして使用される部分配列を含む1以上のA.punctata転写産物を見出した。異なるカルボキシル末端を有するポリペプチドをコードする2つのcDNAは、配列レベルで同定され得た。更に、完全長A.punctatacDNAライブラリーテンプレート、および第1工程で同定されたcDNAコード領域にフィットするプライマー対を基礎として調製されたPCR産物がクローニングされた際、個々のcDNAクローンはわずかに異なるヌクレオチド配列を示した。実際これまでに調査された全ての個々のクローンは、対応するポリペプチドにおいて、結果として1以上のアミノ酸変換が生じる、わずかに異なるヌクレオチド配列を示した。これら全ての転写産物が、A.punctataにおける異なる遺伝子に起源をもつとは大いに考えがたい。オルタネーティブスプライシング、識別的ポリアデニル化およびRNA編集などの翻訳後プロセスは、異なるポリペプチドをコードする転写産物を生じ得た。
この段階では、転写レベルで同定された異なるポリペプチドが全て同一機能を示すかどうかは知られていない。この状況で、1つのみのcDNA種 (サイプラシン−Lと呼ばれるタンパク質をコードする) を選択することおよびこの配列が細胞傷害性タンパク質であるかどうかを調査することは価値があるようであった。E.Coliにおいて産生された組換えポリペプチドは生物学的に不活性であると見出された。しかしながら、この選択されたcDNAまたはEGFP−コードヌクレオチド配列と融合したこのcDNAを発現する構成物でトランスフェクトされた真核生物細胞は、非トランスフェクト細胞においても、サイプラシン−Sトランスフェクト細胞においても存在していなかった細胞傷害性因子を産生した。PIZ作動発現構築物でトランスフェクトされた昆虫細胞 (Sf9) は特に有用であった。この場合、A.punctataの分泌粘液から生物学的に単離され得る物質と、該組換えタンパク質の生物学的活性を比較するために充分な量で、生物学的に活性なEGFP−タグ付サイプラシン−Lの調製物を許容する、安定したトランスフェクト細胞株が確立され得た。生物学的単離物によりおよび組換え的に発現されたタンパク質により達成された非常に類似した形態学的効果により、選択されたcDNAは、妥当なクローンであり、A.punctataの真正(genuine)サイプラシンの細胞傷害性の原理を示すタンパク質をコードすることが示唆された。最終的に、生物学的に活性なサイプラシンは、分泌シグナル配列を有さないタンパク質をコードするDNA配列を使用した場合、HeLa細胞において組換え的に産生され得ることが示された。現在は、生物活性組換えサイプラシンの有効性により、その潜在的抗腫瘍治療価を評価することが可能である。
実施例1:材料および方法
(A)サイプラシンの生化学的単離
アメフラシA.punctataのタンパク腺の粘液は、彼等が岸にやって来る産卵期 (Ile d’Yeuの4月頃) の間の動物から得ることができる。穏やかに動物を圧迫することにより、空気にさらされるとゲルを形成する紫色の液体である粘液 (およそ2.5 ml) を排出させた。粘液をすぐにリン酸緩衝生理食塩水 (PBS, 150 mM NaCl, 10 mM NaH2PO4, pH 7.2) で希釈 (1:1, 量/量) し、4℃に静置した。2〜3時間後、該混合物は完全に溶解する。この工程後、10.000×g、15分、4℃で遠心分離し、残屑を除去する。上清を凍結させ、−80℃で活性を失うことなしに保存し得る。更なる精製のために、粘液を1000容量の50 mM MOPS、1 mM ジチオエリスリトール、0.5 mM EDTA、5 mM KCl、pH 7.2に対して、4℃で24時間、透析する。細胞傷害活性を含むタンパク質画分を、硫酸アンモニウムでの分画沈澱により単離した。33% / 50% (ペレット1)、および50% / 66% (ペレット2) の間の飽和状態で回収された沈殿物中で、細胞傷害活性をそれぞれ検出した。細胞傷害活性の大部分を、通常ペレット1に見出した。細胞傷害試験のために、ペレットを300 μlのPBSに溶解し、上記バッファーに対して透析した。大部分の活性画分は、SDS-PAGEゲル上を本質的に単一バンドとして移動するタンパク質を含んでいた (図1)。
(B)細胞傷害性タンパク質画分におけるSGDYILIASYADペプチドの同定
マイクロシークエンシング手順に使用される材料を50 mM MOPS、1 mM ジチオエリスリトール、0.5 mM EDTA、5 mMKClを含み、pH 7.2のバッファー内でのゲル濾過 (G-200-column, Sigma-Aldrich, Taufkirchen, Germany) により更に精製した。透析し、凍結乾燥した精製物をSDS-PAGEに供し、PVDFメンブレン (ProtoBlot, Applied Biosystems) にブロットした。目的の領域を含む断片を、WITA GmbH (Berlin, Germany) で実行されるマイクロシークエンシングの手順に従って分析した。
(C)細胞傷害性試験
300 μlのPBSに溶解された各ペレット由来の水溶液を、自律的に増殖する細胞に対する毒性効果に関して試験した。用語「自律的に増殖する細胞」は、生物内で増殖する細胞と対照的に、インビトロで増殖が可能な全ての細胞に使用される。ネズミカンガルー細胞株 PtK2 およびヒト細胞株 HeLa を使用して、通常試験を行った。24時間後に約50%のコンフルエンシーを生じる細胞密度を使用して、各ウェルあたり500μlの培地を含む24ウェルプレートに細胞を播種した。この際、再溶解したペレットの非希釈溶液の一部 (5μl) を添加し、平行したウェルの細胞培養物を、一連の希釈溶液の一部 (5μl) で補完した。
(D)真正サイプラシンにより誘導される細胞死の特徴付け
サイプラシン誘導死を起こす細胞の形態学的変化を、光学顕微鏡により記録した。更に、非膜透過性化合物 H33257 (SIGMA-ALDRICH, Taufkirchen, Germany)、0.5μg/ml、またはヨウ化プロピジウム (Boehringer Ingelheim, Germany)、1μg/ml と共にサイプラシン処理細胞をインキュベートすることにより、原形質膜の透過性変化を調べた。核の染色を、ネクローシスまたはアポトーシスの最終ステージに関連する異常な透過性変化の指標として考えた。アポトーシス型の死を識別するために、サイプラシン処理細胞をCa2+含有バッファー中で20分間、5μg/mlのFITC標識Annexin V (Boehringer Ingelheim, Germany) でインキュベートし、潜在的なホスファチジルセリン−アネキシン複合体を、適切なフィルターを使用して蛍光顕微鏡により評価した (8)。対照のために、0.2μg/mlのスタウロスポリンとともに3時間インキュベートすることより、細胞においてアポトーシスを誘導した。この処理は、ホスファチジルセリンの、原形質膜の外表面への明らかな移動を導き、従ってFITC−アネキシンにアクセス可能となった [9];しかし、スタウロスポリンの濃度は、ヨウ化プロピジウムでの細胞核の並行染色を妨げるために充分に低かった。
(E)A.punctatacDNA
Quiagen RNA単離キットを使用して、アメフラシA.punctataのアルブミン腺から全RNAを単離した。Clontech SMART II PCR cDNA合成キット (K1052-1) を使用して、100 ng量の全RNAをcDNAに変換した。キットに含まれる修飾オリゴdTを用いて第1鎖合成を行い、推奨されるRNase H- 点突然変異体逆転写酵素 (Superscript II, Gibco BRL) を用いてプライマー伸長を行った。5'末端でテンプレートの切り換えを誘導するSMART IIオリゴを、第1鎖反応において含めた。これらの反応、ならびに、修飾オリゴ(dT)およびSMART IIプライマーを使用した第1鎖cDNAのPCR増幅を、キットの製造者による使用説明書に従い実行した。
(F)ペプチドSGDYILIASYADを含むタンパク質をコードするcDNAの分子クローニング
増幅したcDNAをテンプレートとして使用し、PCR反応を検索配列に対応した特異的プライマーの組み合わせおよび非特異的プライマー (例えば、修飾オリゴdTおよびSmart II) それぞれを用いて行った。増幅産物を、pBluescript由来のT突出ベクターに再クローニングし、配列決定した。これらの配列の妥当性を、特異的なSGDYILIASYAD−コードプライマーの上流および下流配列に対応するオリゴデオキシヌクレオチドを用いて行ったPCR反応により検証した。これらのプローブ依存性産物はペプチドSGDYILIASYADをコードするヌクレオチド配列を含んでいた。SGDYILIASYAD−コード配列の上流に見られる配列は、本文脈中で論じられるいくつかの塩基交換を除き、ユニークであった。対照的に、2つの3'末端配列は異なる長さで検出され得た (LおよびS)。
(G)融合および発現構築物
該タンパク質コード断片を、増幅産物の5'および3'末端に適切な制限部位を配置したプライマーを用いてPCR増幅した。対応する制限酵素を用いた消化に続き、産物を発現ベクター pcDNA3 (Invitrogen, 哺乳動物細胞における発現用)、pQE30 (Quiagen, E.Coliにおける発現用)、pIZ/V5-His (Invitrogen, 昆虫細胞における発現用) に直接クローニングしたか、またはpBluescriptベクターのXhoI/NotI部位で調製されたEGFP−コードcDNA (Clontech) と融合したかのいずれかを行った。EGFP−タグ断片の切り出しおよびpcDNA3ベクターまたはpIZ/V5-Hisベクターの適切な部位における再クローニングは、哺乳動物細胞および昆虫細胞それぞれにおいて、蛍光標識された融合タンパク質の発現に適した、対応するサイプラシン−EGFP発現構築物を生じた。
(H)トランスフェクションおよび組換えタンパク質発現
E.coli M15細胞を、ベクターのHisタグを有する枠組みにサイプラシン−Lおよびサイプラシン−Sコード挿入物を含むpQE30プラスミドで形質転換させた。発現したHisタグ付タンパク質を、Qiagenにより供給されたプロトコルに従い、Ni-NTAアガロースを使用して単離した。HeLa細胞を、EGFP−タグ付またはタグ無しいずれかのサイプラシン−Lおよびサイプラシン−Sコード挿入物を含むpcDNA3プラスミドで、Effecteneトランスフェクションキット (Qiagen) を用いてトランスフェクトした。サイプラシン−Lまたはサイプラシン−L−EGFPをコードする挿入物を含む構築物でトランスフェクトされた細胞は、長期間生存し得なかった。しかしながら、かかる培養液の上清は本文脈中に記載される細胞傷害性因子を含んだ。Effecteneトランスフェクションキット (Qiagen) を更に使用して、SF9細胞を、EGFP−タグ付またはタグ無しいずれかのサイプラシン−Lコード挿入物を含むpIZ/V5-Hisプラスミドでトランスフェクトした。哺乳動物細胞とは対照的に、トランスフェクト昆虫細胞は生存した。発現後、生存細胞の蛍光顕微鏡観察、または細胞傷害性因子の存在に関するサイトゾル抽出物の試験を行った。
(I)サイプラシン(cyplasin)-L-EGFPの大規模産生のための安定にトランスフェクトされたSF9細胞
プラスミドpIZ/V5-His-サイプラシンL-EGFPでトランスフェクトしたSF9細胞を、10%ウシ胎児血清、5mM Glutamax (LIFE Technologies, Karlsruhe, Germany)および100μg/ml ゼオシン(zeocin)(Invitrogen, Groningen, The Netherlands)を添加したTNM-FH昆虫培地(Applichem, Darmstadt, Germany)中、26℃で半接着細胞として3ヶ月間増殖させた。細胞培養物を4日おきに1:3で希釈した。最初のトランスフェクション効率は約10%であり、3ヶ月後、細胞の5%が蛍光性を維持していた。後者の画分を、安定にトランスフェクトされたとみなした。この画分の細胞を蛍光標示式細胞分取器(Beckton-Dickinson)により分離した。4週間後に2回目の分取を行なった後、得られた培養物を攪拌培養にて数リットルまで増殖させることができ、これらの細胞の90%より多くがサイプラシンL-EGFP融合タンパク質を発現した。
(J)サイプラシンL-EGFPを安定に発現するSF9からの細胞傷害性因子の回収
EGFP-タグサイプラシンLは、SF9の培地内に分泌されない。常套的には、1〜2×108の安定にトランスフェクトされたSf9細胞を、懸濁および遠心分離(1000×g、3分)により、PBS中で1回および50mM MES、1mM EDTA、5mM KCl、0.1%メルカプトエタノール、pH 6.0中で1回洗浄した。それらを、5mlの後者バッファー中でホモジナイズした。ホモジナイズおよびその後の全ての工程は4℃で行なった。プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を、精製手順を全体を通して存在させた。ホモジネートを遠心分離し(100000×g、60分)、上清みを、上記バッファーで平衡化しておいたDEAE-セルロースカラム(DE52、Sigma Aldrich, Taufkirchen, Germany)に供した。カラムを、平衡化で使用したバッファーで充分に洗浄した後、NaCl勾配(0〜200mM)を負荷した。100μlの各画分を培養培地500μl中で増殖中の指標細胞(PtK)に添加することにより、溶出された画分を細胞傷害性因子の存在について試験した。存在する場合、細胞傷害性効果は約5時間後に観察された。因子含有画分を60〜80 mMの間のNaClで溶出した。このような特徴を有する画分を「標準」抽出物とみなし、他の生物学的試験、例えば図5に記載のものに使用した。
(K)安定にトランスフェクトされたSF9細胞から単離された細胞傷害性抽出物中におけるサイプラシンL-EGFPの同定
上記のようにして単離され、かつ細胞傷害活性を示すタンパク質画分を濃縮し、12.5% SDS-PAGEにより分離した。2つの同一の試料(標準タンパク質を含む)を同じゲル上で分離した。ゲルの一方の切片を、銀染色手順を用いて染色し、他方の切片を、PVDF転写膜(Westran, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)にエレクトロブロッティング(半乾燥ブロッティング装置、Biometra, Goettingen, Germany)した。バッファー組成は、3.03gホウ酸、200mlメタノール、800ml H2O、pH 9.0とした。BLOTTO [10]でのブロッキング後、0.1% BSA含有PBS、pH 7.2で1:2000に希釈した抗GFP抗体(ABCAM, Cambridge, U.K.)とともに膜を3時間(26℃)インキュベートした。PBS中での長時間のリンス後、0.1% BSA含有PBS、pH 7.2での1:12000希釈に26℃で3時間供したアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギ抗体(Dianova, Hamburg Germany)により免疫検出を行なった。ブロットをPBS中でリンスし、100 mMTRIS、5 mM MgCl2、0.3mg/mlニトロブルーテトラゾリウム、0.15mg/ml 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスペート、pH 9.5からなる染色溶液中に入れた。
(L)動物実験
DBA2マウスに真正サイプラシン300μl (10μM)を、尾静脈中(群1)または皮下(群2)のいずれかに注射した。サイプラシンは、事前に大量のPBSに対して24時間4℃で透析しておき、PtK細胞を10 nMサイプラシンとともにインキュベートすることにより、注射の直前、陽性細胞傷害性について試験した。また、組換えサイプラシンをPBSに対して透析し、注射の直前に陽性細胞傷害性について試験し、300μlを尾静脈に注射した。マウスを標準条件下に維持し、4週間観察した。
(M)分泌シグナル配列のないサイプラシンL-EGFPの大規模産生のための安定にトランスフェクトされたHeLa細胞
対応するレストリクターゼ(restrictase)での消化後、サイプラシンL-(-Sig.Seq)コードcDNAを、pBluescriptベクターのXhoI/NotI部位内に調製したEGFPコードcDNA(Clonthech, Heidelberg, Germany)と融合した。EGFPタグ断片の切除およびpcDNA3ベクター(Invitrogen)の適切な部位での再クローン化により、哺乳動物細胞において、蛍光標識融合タンパク質である対応サイプラシンL-(-Sig.Seq)-EGFP発現がもたらされた。良好にトランスフェクトされた細胞の選択は、G-418-硫酸塩耐性を用いて行なった。
(N)他の方法
データベースの検索および配列解析を、GCG Inc. (Madison, WI., USA)により開発されたGCGプログラムパッケージに基づく一群(collection)の配列解析ツールであるHUSARプログラムパッケージ(DKFZ) により行なった。分泌シグナル配列の同定のため、本発明者らは、McGeochスキャンプログラム[11]を適用した。DNA配列決定は、自動DNAシークエンサー、373A型(Applied Biosystems)によりA. Hunziker(German Cancer Research Center)により行なった。
実施例2:サイプラシンコードcDNAの分子クローン化
A. punctataの蛋白腺のRNAから調製したcDNAは、ペプチドSGDYILIASYADをコードする1つより多い転写物を構成する。カルボキシ末端部が有意に異なるが、標的配列を含有するタンパク質(図2)をコードする2つのcDNAをクローン化した。これらのcDNAの一方は、分子量62.4kDaの558 aa残基のタンパク質(サイプラシンLと呼ぶ)をコードし、別のcDNAは、より短いタンパク質(421 aa残基、分子量46.9kDa、サイプラシンSと呼ぶ)をコードする転写物を反映する。さらに、サイプラシンL特異的プライマー対を用いた全cDNAに関するPCRは、その配列が、それぞれサイプラシンLおよびサイプラシンSをコードするものとは異なるDNA断片をもたらす。したがって、サイプラシンLともサイプラシンSとも同一でないmRNAが存在するようである。これらの配列微小不均一性は、A. punctataが、非常に類似しているが100%同一ではない、標的配列を含有する未知数のタンパク質を産生することを示唆する。これらの異なるmRNAおよびタンパク質が、例えばRNA編集との組み合わせでの選択的スプライシングによるもので、1つの単独遺伝子に由来するのかどうか、あるいは非常に類似しているが100%同一ではない遺伝子のクラスターが存在するのかどうかを、入手可能なデータに基づいて決定することはできない。
実施例3:クローン化cDNAにコードされたタンパク質サイプラシンLおよびサイプラシンSの配列特性付け
生化学的データ(示さず)は、天然に生じるサイプラシンが糖タンパク質であることを示唆する。サイプラシンL cDNA由来アミノ酸配列は、5つのAsn-結合(N-X-SまたはN-X-T)グリコシル化部位をN-151、N-271、N-401、N-416およびN-422位に有し、これは、生化学的データと一致する。グリコシル化部位1〜4は、サイプラシンS cDNAに由来するポリペプチドでは不変であるが、より短い配列ではN-422位が欠けている。
N末端は、高確率の疎水性分泌シグナル配列およびaa残基52 (Ser)と53 (Ala)の間の推定切断部位から始まる。したがって、機能性であることが期待される成熟タンパク質の分子量は、それぞれ、57.2 kDaおよび41.6 kDaになる。これらの成熟タンパク質の計算等電点は、サイプラシンLで5.54 (荷電-13)、サイプラシンSで6.20 (荷電-5)である。
ヌクレオチド配列に関するデータベース検索により、2つの他のAplysia配列、すなわちアプリシアニン(aplysianin)-A前駆体のA. Kurodai蛋白腺mRNA([12], 70.9%同一性、D83255)およびアチャシン(achacin)のA. fulica Ferussac mRNA([7], 52.2%同一性、X64584)について類似性が明らかにされた。サイプラシンサブ配列に関するデータベース検索により、上記Aplysia種のアミノ酸配列および局所同一性または相同性をもつ長鎖を有するタンパク質配列のいくつかが明らかにされた。後者の配列はすべてモノアミンオキシダーゼクラスに属する。表1は、真核生物および原核生物のモノアミンオキシダーゼのサブ配列を有する1つの顕著なサイプラシンペプチド鎖のアラインメントを示す。これおよび他のサイプラシンに典型的な鎖に関するデータベース検索では、他のクラス由来のタンパク質に関して意義のあるものはヒットしなかったことに注目するのは重要である。
表1:pCyplasin誘導アミノ酸配列に関するデータベース検索の結果、いくつかヒットしたモノアミンオキシダーゼを反映する配列
Figure 2005527194
実施例4:生物学的に不活性な組換え体の大腸菌における発現
pQE/大腸菌M15系におけるサイプラシンコードcDNA配列の組換え発現は、界面活性剤を含有しないバッファーに全く不溶性のポリペプチドをもたらし、組換え発現されたかかるポリペプチドの懸濁液は、培養細胞とともにインキュベートした場合、なんら細胞傷害性効果を発揮し得なかった(示さず)。この細胞傷害活性の欠如は、おそらく、大腸菌系で発現されたポリペプチドの不正確なフォールディングおよび/または翻訳後修飾の非存在によるものである。
実施例5:哺乳動物細胞における生物活性組換え体の作製
対照的に、哺乳動物細胞、例えばHeLa S3懸濁細胞は、サイプラシンLまたはEGFPタグサイプラシンLのいずれかを指定するCMVベクター誘導発現構築物でトランスフェクトすると、細胞傷害性因子を産生する。この因子は、非トランスフェクト細胞の培養物においてもサイプラシンS型を発現する構築物でトランスフェクトした培養物においても検出され得ない。因子産生培養物の細胞すべてが、A. punctataの粘膜から単離される真正サイプラシンで哺乳動物細胞を処理した場合に観察される典型的な様式で最終的に死滅するため、細胞傷害性因子の産生が明らかになる。かかる培養物の一部の細胞のみがトランスフェクトされるため、細胞傷害性因子は、産生細胞および非産生細胞の細胞死という結果を伴って産生細胞から放出されるはずである。細胞傷害性因子の放出は、cDNA誘導アミノ酸配列のアミノ末端における推定分泌シグナルと充分一致する(図2)。
この自己破壊システムは、有意な量の生物学的活性組換え体を産生させるのには適さないが、cDNAクローン化アプローチの妥当性を明白にし、より長い挿入物を有するcDNAにコードされる因子はサイプラシンに典型的な特徴を示すことを示す。
実施例6:昆虫細胞における生物活性サイプラシンLおよびサイプラシンL-EGFPの組換え発現
昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)は、哺乳動物細胞と同様の翻訳後修飾を行ない得ることが知られている。Sf9細胞は、真正サイプラシン調製物(示さず)に対して感受性がずっと低いことが証明されたので、それらは、生物学的試験に充分な量の組換えサイプラシンを作製するのに特に適している。サイプラシンLまたはEGFPタグサイプラシンLの発現を指定するpIZベクター誘導構築物によるSF9細胞のトランスフェクションは、SF9細胞の増殖率に影響し得なかった。さらに、サイプラシンLを指定する構築物でトランスフェクトしたSF9細胞の消費培地は、哺乳動物細胞培養物に有意な細胞傷害活性を有し、これは、サイプラシンLの分泌シグナルは昆虫細胞においても機能性であることを示す。
対照的に、EGFPタグサイプラシンLを指定する構築物でトランスフェクトしたSF9細胞からは細胞傷害性因子は放出されなかった。サイプラシンL-EGFP融合タンパク質は、EGFP依存性蛍光によって示されるように、明らかにSF9細胞で発現されるが(図3)、攪拌培養物の消費培地では有意な量の細胞傷害性因子は検出され得ない。興味深いことに、図4に示すウェスタンブロットは、該融合タンパク質のサイプラシンL部内のシグナル配列の欠如を示す。この切断は、切断型融合タンパク質がサイトゾル性を維持するように起こるはずである。あるいはまた、ERからサイトゾルへの逆行性移動(retrograde translocation)が前提となるはずである。かかる逆行性移動は、以前に他の系において観察されている[13, 14, 15, 16]。
しかしながら、組換え発現された切断型サイプラシンLの細胞傷害活性は、EGFPと融合されると維持される。ホモジナイズされたサイプラシンL-EGFP発現SF9細胞の高速上清みは、培養哺乳動物細胞に対して細胞傷害性である因子を含有することがわかった。その結果、安定にトランスフェクトされたサイプラシンL-EGFP発現Sf9細胞株は、蛍光標示式細胞分取(FACS)により作製され、かかる培養物の高速上清みの画分はサイプラシンL-EGFP融合タンパク質を含有し(図4)、図5に示すような生物学的活性を示した。
実施例7:サイプラシン依存的細胞傷害性の特性
増殖中の哺乳動物細胞を、A. punctataの粘膜から生化学的に単離された真正サイプラシンで処理すると、時間および濃度依存性の特徴的な形態学的変化を示す(図5)。真正サイプラシンの細胞傷害性効果は、例えばPtK細胞において、50nMでは1時間以内に目で認識できるようになる。この細胞株での最低細胞傷害性サイプラシン濃度は2nM程度であるが、この濃度では、24時間後に細胞傷害性効果が最初に現れる。いったん誘導されると、サイプラシン効果は不可逆であり、サイプラシン含有培地を新しい培地と交換しても細胞死が観察される。他の培養哺乳動物細胞は、いくぶん低いか(ヒト皮膚線維芽細胞)、またはいっそう高い(ヒト黒色腫細胞、グリア細胞)感受性を示す(図5)。
サイプラシン誘導細胞死の形態学は特異的である。単層としてまたはクラスターで増殖する場合、細胞は基層から剥がれると、縮小したり、互いに分離したりし、時には多数の小原形質液胞を示す。このタイプの形態学的変化は、アポトーシス細胞死中の細胞においても観察され得るが、核断片化および外膜でのホスファチジルセリンの露出を含む、アポトーシスに典型的な指標はない(図6)。
さらに、サイプラシンは、間期の細胞においてのみ、その細胞傷害性効果を発揮する。有糸分裂細胞は、同じ培養物中の間期細胞のほとんどがサイプラシンに典型的な形態変化をすでに示している時でも、なお後期および細胞質分裂を完了し得る(図7)。しかしながら、有糸分裂の完了後、再度間期に入ると、これらの細胞も死滅する。細胞浸透性も微小管細胞骨格も細胞内Ca2+レベルもサイプラシンによる影響を受けない(示さず)。
実施例8:生物活性組換えサイプラシンL-EGFPの評価
生化学的に単離される真正サイプラシンと組換えサイプラシンL-EGFP型との徹底的な並行(side-by-side)比較は、組換えが、現状では富化抽出物のレベルでのみ得られ得るという問題に直面する。正確な定量はこれまでになされていないが、安定にトランスフェクトされたSF9細胞から抽出されたサイプラシンL-EGFPが、生化学的に単離される真正サイプラシンによって誘導されるものと非常に類似した細胞傷害活性を示すことは明らかである。図5は、真正サイプラシンに対して異なる確立された感受性を示す4つの異なる細胞株に関する、真正サイプラシンおよび組換えサイプラシンL-EGFPの効果を並行に示す。サイプラシンL-EGFP発現SF9細胞に由来する一定量の抽出物を用いると、ヒト皮膚線維芽細胞(HSF)は、組換えサイプラシンL-EGFPに対して比較的感受性が低いことが明白であり、これは、生化学的に単離される真正サイプラシンについてもあてはまる。これらの細胞は、真正サイプラシン(50nM)またはサイプラシンL-EGFP含有標準抽出物のいずれかで処理すると、わずかな初期収縮および弱い縮小傾向を示すのみである。最後に、それらは回復し、増殖を継続する。HSF細胞の死は、100nM程度のサイプラシン濃度でのみ観察される(示さず)。対照的に、ヒト黒色腫の生検組織由来細胞は、真正サイプラシン(20nM)および標準抽出物とともにインキュベートすると、有意に高い感受性を示す。真正サイプラシンまたは組換えサイプラシンL-EGFPのいずれかで処理した黒色腫細胞は、典型的なサイプラシン誘導収縮、液胞の形成、および最終的には細胞死を示す。この図の他のパネルは、ラット胚皮質に由来する確立された細胞株由来グリア細胞を示す。これらの細胞は、これまで試験したすべての細胞の中で最も高いサイプラシン感受性を示す。典型的なサイプラシン効果は、0.2nMくらい低い濃度でも観察され、完全な細胞死は、5時間の観察期間内に観察される。ネズミカンガルー系PtKの細胞は、5時間後の2nM真正サイプラシンとのインキュベーションにより、5時間以内に不可逆的な障害を受ける。標準抽出物での処理後、同様の効果が観察される。真正サイプラシンおよび組換えサイプラシンL-EGFPにより、これらの細胞において明白な原形質液胞形成および膜変化が誘導される。
まとめると、これらの結果は、分子クローン化アプローチが、A. punctataの分泌粘液において検出されたものと同様の細胞傷害活性を示す因子をコードするcDNAを明らかにしたこと、および組換えタンパク質の細胞傷害性効果はそのEGFPへの融合により消滅しないことを示す。
実施例9:サイプラシン作用の標的部位
サイプラシンおよび組み換えサイプラシンの細胞傷害性効果の背景にある正確なメカニズムは、まだ詳細に述べられていない。しかしながら、細胞が、負の細胞内影響を及ぼす結果を伴って、この大きさのタンパク質を取り込むことはありえそうにない。サイプラシン処理細胞の長期観察により、細胞傷害性作用の最初の徴候が外側細胞膜で、内部細胞形態学が異常を示していない時に起こることを示す。この観察は、サイプラシンの外側細胞膜への結合が、最終的に細胞死に至る、なお未知の事象のカスケードの誘因であることを示す。この見解は、他の観察とも一致する。サイプラシン LまたはEGFPタグサイプラシン Lを指定する発現構築物でトランスフェクトした哺乳動物細胞は、初期では生存し、細胞傷害性因子を産生することができる。しかしながら、細胞傷害性因子が消費培地内で検出可能になるやいなや、形態学変化を示し始める。これは、細胞外サイプラシンは細胞傷害性であるが、細胞内サイプラシンはむしろ非毒性であることを示す。最後に、安定にトランスフェクトされたSF9細胞から抽出されたサイプラシンL-EGFP融合タンパク質で処理した哺乳動物細胞は、蛍光性融合タンパク質からのかすかな発光により囲まれるようになり、続いて特徴的な収縮および縮小が起こる。
実施例10:サイプラシンのインビボ毒性の非存在
サイプラシンがインビボにおいても細胞傷害性効果を示したかどうかを試験するため、真正または組換えいずれかのサイプラシンを、3群のマウスに注射した。群1は、12匹のDBA2マウスからなり、これらには高濃度のサイプラシンを尾静脈に注射した。使用した濃度はインビトロで毒性が認められた濃度をはるかに超えるものであった。それにもかかわらず、すべてのマウスは少なくとも4週間まで生存した。第2の群において12匹のDBA2マウスに同一条件下で皮下注射すると、同じ結果が得られた。観察期間中、それらは生存し、負の効果は認められなかった。最後に、第3の群(6匹のマウス)に組換えサイプラシンを用いて尾静脈に注射した。この場合もやはり、マウスはすべて生存した。
実施例11:HeLa細胞における分泌リーダー配列をもたないサイプラシンの組換え産生
サイプラシンは、分泌されると宿主細胞に対して細胞傷害性となる。したがって、この問題が、分泌シグナル配列をもたないサイプラシンをコードするDNAを、ヒト細胞におけるサイプラシンの組換え産生のために使用することによって克服され得るかどうかを調べた。サイプラシンのアミノ酸配列(図2)を、「シグナルPプログラム」[19〜22]を用いて解析した。サイプラシンを分泌タンパク質として特徴づけるアミノ酸配列のN-末端部に、シグナル配列の2つの予想切断部位を見出した(図10参照)。推定切断部位は、aa 19位と20位の間(最も可能性が高い)または52位と53位の間(可能性は低い)である。完全なシグナルペプチドの除去を確実にするため、aa 1位から52位由来シグナルペプチドをコードするDNA配列を、上記実施例1(F, G)に記載のサイプラシンコードプラスミドの挿入物から除去した。EGFPタグを含有する修飾DNA配列を、pcDNA3ベクターの適切な部位内でクローン化し、対応するサイプラシンL-(Sig-Seq.)-EGFP発現構築物を得た。次いで、HeLa細胞をこの構築物でトランスフェクトした。形質転換された細胞の同定を可能にするため、この構築物を、さらに、マーカーとしての緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子を発現できるようにした。正しく形質転換された細胞を抗生物質G418硫酸塩の使用により選択した後、およびゲノム内に安定に組み込まれたベクターを有する形質転換体を選択するためにトランスフェクト細胞を数週間培養した後、単一細胞クローニングを行なった。図12に示すように、安定にトランスフェクトされた細胞はサイプラシンを発現する。サイプラシンは、実施例1(J, K)に記載のようにして単離し、実施例1(C, D)に記載の方法を用いることにより、それが、A. punctataから単離された天然サイプラシンと同じ細胞傷害活性を示すことが示すことができた。
シグナル配列をもたないサイプラシンのコード配列を含有するプラスミド[pcDNA3-Cytoplasin.Mut-(-Sig.Seq.)-EGFP]は、ブダペスト条約のもと、DSMZ (Deutsche Sammlung von Mikroorganismenund Zellkulturen Gmbh, Mascheroder Weg 2, Braunschweig, Germany)に2002年8月22日に、DSM 15153によって寄託されている。
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図1:A.punctataの分泌粘液のバイオアッセイガイド分画により単離されたサイプラシンのSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 この図は、最も活性な画分(レーン サイプラシン)が負荷された12%SDSポリアクリルアミドゲルを示す。56kDaの見かけ上の分子量のタンパク質性物質が移動する。レーンMにはマーカータンパク質が負荷されている。 図2:(a)(下線を付した)内部ペプチドSGDYILIASYADをコードするヌクレオチドサブ配列を含有するA.punctata cDNA由来の前駆体タンパク質のアミノ酸配列 上部の配列(588 aa残基)は、サイプラシン-Lと呼ばれるポリペプチドをコードするcDNAのヌクレオチド配列に由来し、下部の配列(421 aa残基)は、サイプラシン-Sと呼ばれるポリペプチドをコードするcDNAのヌクレオチド配列に由来する。これらのヌクレオチド配列は、登録番号AJ304802(サイプラシン-L cDNA)およびAJ304801(サイプラシン-S cDNA)という項目でデータベース中に見出されうる。これらの明らかに異なる転写産物に加えて、他のmRNAは、さらなる差異を有して存在しうる。テンプレートとしての全cDNA、およびサイプラシン-L特異的プライマー対を用いるPCRは、クローン化したサイプラシン-Lおよびサイプラシン-SコードcDNA配列とはわずかに異なる配列を示す。PCR手順により検出されるアミノ酸置換は、角括弧で示される。Asn-結合グリコシル化部位は、aa位置N-151、N-271、N-401、N-416およびN-422で見出される。分泌シグナル配列の推定上の切断点は、aa 52(S)とaa 53(A)との間である。(b)タンパク質Cyp1-Mut-(-Sig.Seq)のヌクレオチド配列。 図3:サイプラシン-L-EGFPを発現するpIZベクター駆動構築物でトランスフェクトされた昆虫細胞(Sf9) 上部パネルは、明るいフィールドにSf9細胞を示し、下部のパネルは、蛍光モードでの同一のセクションを示す(515nm)。バー10μM。 図4:SF9から放出された細胞傷害性タンパク質画分中での組換えサイプラシン-L-EGFP融合タンパク質の富化細胞傷害性因子を含有する抽出物を、材料および方法に記載されるようにサイプラシン-L-EGFP発現-SF9細胞から調製した。同一のサンプルを12%ポリアクリルアミド上で分離した。タンパク質サイズマーカーとともにゲルセクション上で平行して移動したポリペプチドを、銀染色手順により可視化するか、またはPVDF膜にブロットした。膜を抗EGFP抗体でプローブし、形成される免疫複合体をアルカリホスファターゼ結合二次抗体により可視化した。(a)は、タンパク質サイズマーカーを示し、(b)は、抽出物中に存在する顕著なポリペプチドを示し、(c)は、EGFP特異的抗体により検出される抗体を示す。抗EGFP抗体が、EGFP(27kDa)よりも有意に大きい70kDaのオーダーのペプチドを同定したことに留意されるべきである。この結果は、細胞傷害性画分中のEGFP-タグ融合タンパク質の富化を示す。サイプラシン-L前駆体タンパク質(57.2kDa)とEGFPとの間の融合タンパク質の計算上の分子量は84.2kDaである。処理した、シグナル配列を欠失したサイプラシン-Lは、41.6kDaの計算上の分子量を有し、EGFPと融合された場合、ブロット上で検出された融合タンパク質のサイズに近い68.6kDaの分子量を有する。従って、細胞傷害性抽出物は、EGFPタグした、および処理したサイプラシン-Lを含むと考るべきである。 図5:真正および組換えサイプラシン-L-EGFPの細胞傷害性効果 4つの異なる細胞株を、真正サイプラシンおよびサイプラシン-L-EGFPを安定に発現するSF9細胞に由来する標準抽出物(実施例1)で5時間処理した。真正サイプラシン:初代ヒト皮膚線維芽細胞(HSF)を50nM サイプラシンとともにインキュベートした。この濃度で、HSF細胞は、細胞膜の退縮および部分的な脱離を示す、わずかであるが典型的な反応を示す。細胞死はこの濃度では観察されない。細胞は回復し、増殖し続ける。バイオプシー由来の初代ヒトメラノーマ細胞は、HSF細胞よりもサイプラシンの細胞傷害活性に対して敏感である。サイプラシン(2nM)の添加後、上記細胞は、典型的なサイプラシン誘導性膜変化を示し、最終的に死滅する。ラット胎仔の脳皮質から生じた永久細胞株に由来するグリア細胞は、サイプラシンで処理された場合、最も敏感である。0.5nMサイプラシンの添加は、細胞死を誘導するのに十分である。ネズミカンガルー(Rat kangaroo)PtK細胞は、瀕死の細胞の形態を示すのに2nMサイプラシンを必要とする。組換えサイプラシン-L-EGFP:組換えサイプラシン-L-EGFPの標準的な抽出物(100μl/500μl培地)は、パラレルな培養物において、本質的に同一であり、段階的な細胞傷害性効果を示す。バー10μM。 図6:種々の細胞株に関するサイプラシンの用量応答曲線 グリア細胞は、サイプラシンに対して最も敏感な細胞である。1nM未満のサイプラシンは、それらの大部分を死滅させるのに十分である。初代ヒトメラノーマ細胞およびPtK細胞はまた、サイプラシンに対して高い感受性を示し、一方、HSFは大いにより耐性である;100nm程の高い用量でのみサイプラシンは、これらの細胞を死滅させる。 図7:スタウロスポリンにより誘導されるアポトーシス性細胞死および真正サイプラシンにより誘導される細胞死 PtK細胞を10nMサイプラシンで5時間(上部パネル)、または1μg/mlスタウロスポリンで3時間(下部パネル)処理した。細胞を、他[8]で詳細に記載されるようにFITC-標識アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムの混合物で染色した。FITC-アネキシンV染色は、原形質膜の内側から外側へのホスファチジルセリンの特徴的な移行を示す。FITC-アネキシンV染色は、特徴的なサイプラシン誘導形態学的変化を示すサイプラシン処理細胞において見出されなかった。スタウロスポリンまたはサイプラシンのいずれも細胞を透過せず、これは、核のヨウ化プロピジウム染色が存在しないことにより明らかである。 図8:2nM真正サイプラシンで1時間処理した培養物中に存在するPtK細胞の後期進行 左上から右下:後期の進行との干渉は観察されず、これは、見かけ上正常な細胞質分裂で終結する。間期に進入後、この細胞は、形態おいて典型的なサイプラシン誘導変化を示した。バー10μm。 ヒト初代メラノーマ細胞のアクチン細胞骨格に対するサイプラシンの効果 サイプラシン(10nM)は、1-アクチン染色が持続する(矢印)皮質領を例外として、アクチン線維の迅速な脱重合を引き起こす。(a)非処理対照;8b)30分サイプラシンインキュベーション;(c)60分サイプラシンインキュベーション;(d)90分サイプラシンインキュベーション;(e)120分サイプラシンインキュベーション;(f)150分サイプラシンインキュベーション。バー10μm。 図10:サイプラシンのN末端アミノ酸配列のシグナルペプチドおよびその切断部位の予測 切断の可能性が最も高いのは、aa位置19と20との間、または(低い可能性で)aa位置52と53との間であると決定された。 図11:分泌リーダー配列が除去されたサイプラシンのアミノ酸配列 このサイプラシンをコードするcDNAでトランスフェクトされたヒト細胞では、このタンパク質のバリアント(依然として細胞傷害性である)は、細胞の細胞質に残存する。 図12:修飾サイプラシンcDNAでトランスフェクトされたHeLa細胞の顕微鏡写真 下部パネル:明るいフィールド;上部パネル:蛍光モードでの同一のセクション。全ての細胞は、EGFP、結果として、サイプラシンを含む。

Claims (12)

  1. (a)図2(a)の20位または53位から558位までのアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;
    (b)図2(b)の配列を含む核酸分子;
    (c)遺伝コードの縮重により(a)または(b)に記載された核酸配列とは異なる核酸配列を含む核酸分子;および
    (d)(a)、(b)または(c)に記載される核酸配列の断片、誘導体または対立遺伝子バリエーションを表す核酸分子、
    からなる群より選ばれ、分泌シグナル配列を欠失しているか、または非機能性分泌シグナル配列を有するタンパク質サイプラシンまたはその生物学的特性を示すタンパク質をコードする単離された核酸分子。
  2. 請求項1記載の核酸分子を含有してなる組換えベクター。
  3. 核酸分子が調節エレメントと作動可能に連結され、原核生物および/または真核生物の宿主細胞において翻訳可能なRNAの転写および合成が可能である請求項2記載の組換えベクター。
  4. 請求項2または3記載の組換えベクターを含有してなる組換え宿主細胞。
  5. 哺乳動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞である請求項4記載の組換え宿主細胞。
  6. 請求項1記載の核酸分子によりコードされるサイプラシンの生物学的特性を示す単離されたタンパク質。
  7. (a)サイプラシンの生物学的特性を示すタンパク質が発現される条件下で請求項4記載の組換え宿主細胞を培養する工程;および
    (b)該タンパク質を収集する工程、
    を含むサイプラシンの生物学的特性を示すタンパク質の製造方法。
  8. (a)真核生物宿主細胞から分泌されるか、または外部から適用された場合、該細胞に対して細胞傷害性であるタンパク質が発現される条件下で、分泌シグナル配列を欠失しているか、または非機能性分泌シグナル配列を有する該タンパク質をコードする核酸配列でトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程;および
    (b)該タンパク質を収集する工程、
    を含む、真核生物宿主細胞から分泌されるか、または外部から適用された場合、該細胞に対して細胞傷害性であるタンパク質を真核生物宿主細胞において製造する方法。
  9. 真核生物細胞が哺乳動物細胞である請求項8記載の方法。
  10. クレーム7または8記載の方法により産生されるタンパク質。
  11. 請求項1記載の核酸分子または請求項6または10記載のタンパク質を含有してなる医薬組成物。
  12. 癌の処置用の医薬組成物を調製するための請求項1記載の核酸分子または請求項6または10記載のタンパク質の使用。
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