JP2005525321A - 雄性の性機能障害の治療 - Google Patents
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Abstract
Description
性機能障害(SD)は、雄性および雌性の両方に影響しかねない重要な臨床問題である。SDの原因は、器質的ならびに心理的の両方であり得る。SDの器質的面は、典型的には、高血圧または糖尿病と関係するもののような血管の疾患が根本にあることにより、処方箋による投薬により、および/またはうつ病のような精神的疾患により引き起こされる。生理学的要素としては、恐怖、遂行不安および対人関係の葛藤が挙げられる。SDは、性的遂行を害し、自尊心を傷つけ、そして個人的苦悩が生じることにより対人関係を崩壊させる。クリニックにおいては、SD障害は、雌性の性機能障害(FSD)障害および雄性の性機能障害(MSD)障害に分けられてきた(メルマン(Melman)等1999
J. Urology 161 5-11)。FSDは、女性が性的表現に満足を見いだすことが困難又はできないことと最もよく定義される。雄性の性機能障害(MSD)は、通常、雄性の勃起機能障害(MED)としても知られる勃起機能障害および/または早発射精のような射精障害、無オルガスム症(オルガスムを得ることができない)または性的欲望低下障害(性交に対する興味の欠如)のいずれかと関係する。
PEは、男性では比較的ありふれた性機能障害である。それは、いくつかの異なるやり方で定義されてきたが、最も広く受け入れられているのは、精神障害の診断および統計マニュアルIV (Diagnostic
and Statistical Manual of Mental Disorders IV)であり、
“PEは、終生持続する又は再発性の、貫通前、時または直後で且つ患者がそれを望む前の最小の性的刺激での射精である。臨床家は、年齢、性交相手または刺激の新規性、および性的活動の頻度のような興奮段階の持続に影響する要素を考慮に入れなければならない。心の動揺は、対人関係の困難という著しい苦悩の原因となる。”と述べている。
International Classification of Diseases 10 definition)は、
“以下:(1)性交の開始前または非常にすぐ後(時間制限が要求される場合、性交の開始の前または15秒以内)に射精の発生;(2)性交を可能にするのに十分な勃起がない状態で射精が起きるのいずれかとしてはっきり示される性交を楽しむために十分射精を遅らすことができないこと。問題は、性的活動の長期禁断の結果ではない”と述べている。
●相手のオルガスムに関連した
●貫通と射精の間の持続時間
●押し込む回数および自由意志による制御の能力
射精は、二つの別々の構成要素−射出および射精を含む。射出は、遠位精巣上体、精管、精嚢および前立腺から尿道前立腺部への精液および精子の寄託である。この寄託に続いて起こるのは、尿管口からの精液内容物の力強い射出である。射精は、純粋に脳の事象であるオルガスムとは異なる。しばしば、二つの過程は、一致する。
Anat. Basel 128: 76-79 [1987])は、性的覚醒および射精中の男性の血漿オキシトシンおよびアルギニンバソプレッシン(AVP)濃度を測定し、オキシトシンではなく血漿AVPが、性的覚醒中に著しく増加することを発見した。しかしながら、射精時に平均血漿オキシトシンは、約5倍上昇し、30分以内に基礎的濃度に戻ったが、しかるにAVPは、射精の時点で既に基礎的水準に戻り、以後安定したままであった。
Reviews 81巻:2号2001年4月629−683ページ)に詳細に述べられているように、オキシトシンは、ラット、ラビットおよびサルにおいて陰茎勃起を誘導する最も効力ある物質の一つであることが発見されている。加えて、オキシトシンの中枢投与は、射精を達成する潜時を減少させ、射精後の間隔を短くすると主張される。同様に、メストン(Meston)等(Arch.
Gen Psychiatry,57巻、2000年11月)は、雄性の動物において、脳の特定の領域(即ち、視床下部の脳室周囲核)内に注射した場合、オキシトシンが、陰茎勃起を容易にし、中枢または末梢のいずれかで注射した場合、射精潜時および射精後間隔を短くすると述べている。
Letters 265 (1999) 171-174参照)。加えて、オキシトシンアンタゴニスト バソトシンの脳室内(ICV)注射は、受け入れる雌の存在下、経験を積んだ雄性ラットの性的遂行を害し、射精がなくなる(おそらく、減少した挿入頻度により引き起こされた)ことが、アルギオラス(Argiolas)等(ヨーロッピアン ジャーナル オブ ファーマコロジー(European
Journal of Pharmacology) 149 (1988) 389-392)に示された。オキシトシンアンタゴニストが陰茎勃起を妨げることが分かっていることから、挿入頻度の減少は、陰茎勃起を達成するための動物の減少した能力を反映すると考えられた。
Behav 63: 49-53 [1997])において、大型細胞ニューロンはそのままにするが小細胞PVNニューロンを破壊するN−メチル−D−アスパラギン酸傷害は、下位腰椎脊髄(L5−L6)のオキシトシン−免疫反応性線維を減少させた。この減少は、射精時点での精液射出の著しい減少と関係しているが、背のり、挿入および射精潜時は、影響されなかった。
(a)本発明による測定法を実施する;
(b)射精潜時を増加および/または回復させることのできる1種以上の物質を同定する;そして
(c)一定量のそれらの1種以上の同定された物質を調製する(ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)
段階を含む方法に関する。この態様に関して、段階(b)で同定された物質は、例えば活性を最大限にするように改変することができ、次いで、段階(a)を繰り返すことができる。これらの段階は、所望の活性またはファーマコキネティックスプロフィールが達成されるまで繰り返すことができる。
(a1)本発明による測定法を実施する;(b1)射精潜時を直接増加および/または回復させることのできる1種以上の物質を同定する;(b2)1種以上のこれらの同定された物質を改変する;(a2)段階(a1)を任意に繰り返しても良い;そして(c)一定量のそれらの1種以上の同定された物質(即ち、改変されたもの)を調製する(ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)段階を含む方法に関する。
(i)本発明による測定法を実施する;
(ii)射精潜時を増加および/または回復させることのできる1種以上の物質を同定する;
(iii)同定された物質を、麻酔した齧歯類動物のような試験動物における陰茎勃起に対するそれらの影響について試験する;
(iv)陰茎勃起に対し全く又は実質的に全く影響しない物質を選択する;そして
(v)一定量のそれらの1種以上の選択された物質を調製する(ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)
段階を含む方法に関する。この態様に関して、段階(ii)で同定された物質は、例えば活性を最大限にするように改変することができ、次いで、段階(i)を繰り返すことができる。これらの段階は、所望の活性またはファーマコキネティックスプロフィールが達成されるまで繰り返すことができる。
一つの態様において、好ましくは、本発明による用途用の物質は、経口投与用である。
本発明は、以下の(番号をつけた)好ましい態様を提供する:
1.選択的オキシトシンアンタゴニストが、薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合されてもよい、雄性の射精障害の治療または予防における用途用の選択的オキシトシンアンタゴニストを含む組成物。
2.雄性の射精障害が早発射精である、態様1に記載の組成物。
3.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様1または態様2に記載の組成物。
4.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様3に記載の組成物。
5.雄性射精障害の治療に用いる医薬の製造における選択的オキシトシンアンタゴニストの使用。
6.雄性射精障害が早発射精である、態様5に記載の使用。
7.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較した場合オキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様5または態様6に記載の使用。
8.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様7に記載の使用。
9.この選択的オキシトシンアンタゴニストが、性的覚醒の前および/または最中に投与される、態様5−8のいずれか一つに記載の使用。
10.この選択的オキシトシンアンタゴニストが、口腔により投与される、態様5−9のいずれか一つに記載の使用。
11.ヒトまたは動物における雄性射精障害を治療または予防する方法であって、この選択的オキシトシンアンタゴニストが薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合されてもよい、効果的な量の選択的オキシトシンアンタゴニストを個体に投与することを含む方法。
12.雄性射精障害が早発射精である、態様11に記載の方法。
13.この選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様11または態様12に記載の方法。
14.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様13に記載の方法。
15.この選択的オキシトシンアンタゴニストが、性的覚醒の前および/または最中に投与される、態様11−14のいずれか一つに記載の方法。
16.医薬が、口腔により投与される、態様11−15のいずれか一つに記載の方法。
17.少なくとも一つのコンパートメントが1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストを含む、1つ以上のコンパートメントを含む医薬パック。
18.この選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様17に記載の医薬パック。
19.このバソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様18に記載の医薬パック。
20.医薬組成物の調製法であって、1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストと薬学的に許容することのできる希釈剤、医薬品添加物または担体を混合することを含む前記方法。
21.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様20に記載の方法。
22.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様21に記載の方法。
23.雄性の射精障害を治療および/または予防するのに用いることができる物質を同定するための測定法であって、試験物質が内因性射精過程を直接増強することができるかどうかを測定することを含む測定法;ここで、この増強は、本明細書で定義される通りの試験物質の存在下における射精潜時の増加および/または回復と定義され;試験物質によるこのような増強作用は、試験物質が雄性射精障害の治療または予防に有用であり得ることを示しており、ここで、この試験物質は選択的オキシトシンアンタゴニストである。
24.この雄性射精障害が早発射精である、態様23に記載の測定法。
25.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様23または態様24に記載の測定法。
26.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様25に記載の測定法。
27.態様23から26のいずれか一つに記載の測定法により同定される物質。
28.雄性射精障害を治療または予防する用途のための態様27に記載の物質。
29.この雄性射精障害が早発射精である、態様28に記載の物質。
30.医薬が態様27に記載の物質を含む、雄性射精障害を治療するための経口投与用医薬。
31.この雄性射精障害が早発射精である、態様30に記載の医薬。
32.この医薬が、性的覚醒の前および/または最中に投与される、態様30または態様31に記載の医薬。
33.医薬が口腔により投与される、態様30−32のいずれか一つに記載の医薬。
34.(a)態様23−26のいずれか一つの測定法を実施する;(b)射精潜時を増加および/または回復させることのできる1種以上の物質を同定する;そして(c)一定量のそれらの1種以上の同定された物質を調製する段階を含む方法;ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである。
35.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様34に記載の方法。
36.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様35に記載の方法。
37.雄性射精障害を治療または予防することのできる物質を同定するための動物モデルであって、受け入れる雌の導入後のこの動物の射精潜時を測定する手段を含む雄性動物を含む前記モデル;ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである。
38.この雄性射精障害が早発射精である、態様37に記載の動物モデル。
39.選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、態様37または態様38に記載の動物モデル。
40.バソプレッシン受容体が、V1a受容体である、態様39に記載の動物モデル。
41.射精障害を治療または予防するために内因性射精過程を直接増強することのできる物質を同定するための測定法であって、態様37から40のいずれか一つの動物モデルに物質を投与し;そして受け入れる雌の導入後のこの動物の射精潜時を測定することを含む測定法;ここで、この物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである。
42.雄性射精障害の治療および/または予防用医薬の製造/調製における1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストおよび1種以上の以下の補助的活性物質から成る多剤併用薬の使用法:
i)PDE阻害剤、更に詳しくはPDE5阻害剤、この阻害剤は、好ましくはそれぞれの酵素に対し100nM未満のIC50を有する;
ii)セロトニン受容体アゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはアンピルトリンを含む、5HT2C、5HT1Bおよび/または5HT1D受容体のアゴニストまたはモジュレーター;
iii)セロトニン受容体アンタゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはNAD−299(ロバルゾタン(robalzotan))およびWAY−100635を含む、5HT1Aのアンタゴニストまたはモジュレーター、および/または更に詳しくはバタノピルド(batanopirde)、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピストロン(tropistron)およびMDL−73147EFを含む5HT3受容体のアンタゴニストまたはモジュレーター;
iv)抗うつ薬、特に、i)セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRi);ii)クロミプラミン、デサプラミン(desapramine)、イミプラミン、アミトリプチリン、ドキセピン、アモキサピン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミンおよびブプロプリオン(buproprion)を含む三環式抗うつ薬(TCA);およびiii)モノアミンオキシダーゼ;
v)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト(α−アドレナリン遮断薬、α−遮断薬またはα−受容体遮断薬としても知られている);適切なα1−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、フェントールアミン、プラゾシン、フェントールアミンメシラート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン(tamsulosin)、フェノキシベンザミン、ラウオルフィア総アルカロイド、レコルダティ15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン(doxazosin)、テラゾシンおよびアバノキル(abanoquil)が挙げられ;適切なα2−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ジベナルニン(dibenarnine)、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサン、クロニジンおよびジベナルニンが挙げられ;適切な非選択的α−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ダピプラゾールが挙げられ;更なるα−アドレナリン受容体アンタゴニストは、WO99/30697、US4,188,390、US4,026,894、US3,511,836、US4,315,007、US3,527,761、US3,997,666、US2,503,059、US4,703,063、US3,381,009、US4,252,721およびUS2,599,000に記載されている;
vi)迅速な効き目の選択的セロトニン再取り込み阻害剤。
43.雄性射精障害の治療または予防用医薬の製造/調製における1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストおよび1種以上のPDE阻害剤(PDEi’s)から成る多剤併用薬の使用。
44.この雄性射精障害が早発射精である、態様42または態様43に記載の使用。
45.このPDEiがPDE5阻害剤(PDE5i)である、態様43または態様44に記載の使用。
46.医薬が、口腔により投与される、態様42−45のいずれか一つに記載の使用。
47.薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合しても良い1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストおよび1種以上のPDEi’sから成る医薬組成物。
48.このPDEiがPDE5iである、態様47に記載の医薬組成物。
49.組成物が口腔により投与される、態様47または48のいずれか一つに記載の医薬組成物。
50.射精障害の治療および/または予防用医薬の調製における態様47−49のいずれか一つに記載の医薬組成物の使用。
本発明は、
(a)選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、射精潜時を増加させる。好ましくは、選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、射精潜時を好ましくは正常な水準近くまで回復させる;
(b)選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、勃起形成メカニズム、特に陰茎勃起を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、射精潜時を予想外にも増加させる。好ましくは、選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、勃起形成メカニズム、特に陰茎勃起を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、射精潜時を好ましくは正常な水準近くまで回復させる;
(c)選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、性的衝動を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、射精潜時を増加させる。好ましくは、選択的オキシトシンアンタゴニストの投与が、性的衝動を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、射精潜時を好ましくは正常な水準近くまで回復させる
という驚くべき且つ予想外の発見を実証する。
本発明は、
(a)選択的オキシトシンアンタゴニストの使用によりオキシトシン受容体を選択的に阻害することが、早発射精の治療に帰する;
(b)選択的オキシトシンアンタゴニストの使用によりオキシトシン受容体を選択的に阻害することが、勃起形成メカニズム、特に陰茎勃起を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、予想外にも早発射精の治療に帰する;
(c)選択的オキシトシンアンタゴニストの使用によりオキシトシン受容体を選択的に阻害することが、性的衝動を実質的に妨げる及び/または不利に影響することなく、予想外にも早発射精の治療に帰する
ことから有利である。
射精障害、特に早発射精患者は、選択的オキシトシンアンタゴニストでの治療の恩恵を受けるはずである。
上記で示したように、物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストとして作用することのできるいずれの適切な物質であってもよい。
゛キムラ等(1992: Nature 356: 526-529)は、発現クローニングにより単離されたヒトのオキシトシン受容体cDNAの構造および発現を報告した。コードされた受容体は、G蛋白質共役型受容体に典型的な7回膜貫通ドメインを有する388個のアミノ酸のポリペプチドであった。アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞において発現されたオキシトシン受容体は、オキシトシンに特異的に応答し、内側への膜電流を誘導した。この受容体のメッセンジャーRNAsは、胸で3.6kbならびに卵巣、子宮内膜および子宮筋層で4.4kbの2サイズがあった。子宮筋層内のmRNA水準は、出産予定日の時点で非常に高かった。イノウエ等(1994
Biol. Chem. 269: 32451-32456)は、OXTR遺伝子がヒトゲノムに1コピー存在することをサザンブロット法により示した。蛍光 in
situ ハイブリッド形成法により、彼等は、遺伝子が3p26.2上に位置することを示した。遺伝子は、約17kbに及び、3個のイントロンおよび4個のエキソンを有する。エキソン1および2は、5−プライム非コード領域に対応し、続いてエキソン3および4は、受容体のアミノ酸をコードする。12kbの位置の最も大きいイントロン3は、推定上の6回の膜貫通に及ぶドメインの直ぐ後のコード領域を分断する。プライマー伸長法分析により示された転写開始部位は、メチオニン開始コドンの上流618および621bpにある。体細胞ハイブリッドのPCR分析および蛍光
in situ ハイブリッド形成法により、サイモンス(Simmons)等(1995 Genomics 26: 623-625)は、OXTR遺伝子を3p25に指定した。゛
Eur. J. Biochem. 215, 1-7 1993)、ラット(ロゼン(Rozen)等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA
92:200-204 1995)、ヒツジ(リリー(Riley)等 J. Biol. Chem. 266: 21428-21433, 1991)、ウシ(バスゲート(Bathgate)等
DNA Cell Biol. 14: 1037-1048, 1995)、マウス(クボタ等 Mol. Cell Endocrinol 124: 25-32
1996)およびアカゲザル(サルバトーレ(Salvatore)等 J. Recept Signal Transduct Res. 18: 15-24,
1998)から得たオキシトシン受容体をコードする配列も同定された。
ヒトのオキシトシン受容体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、文献で入手可能である。例として、ヒトのオキシトシン受容体のアミノ酸配列のみを、配列番号:1に提供する。
オキシトシンアンタゴニストを同定および/または研究するのに好適な測定システムの詳細が、以後の゛オキシトシンアンタゴニスト測定゛と題したセクションに提供される。
A. オキシトシン受容体リガンド結合IC50測定
i)バッファー
細胞増殖培地 Hams F12栄養ミックス
10%FCS
2mMのL−グルタミン
400μg/mlのG418
15mMのHEPES
膜調製バッファー 50mMのTris−HCl,pH7.8
10mMのMgCl2
プロテアーゼ阻害剤
冷凍バッファー 50mMのTris−HCl,pH7.8
10mMのMgCl2
20%グリセロール
測定培地 50mMのTris−HCl,pH7.8
10mMのMgCl2
0.25%BSA
Max. 2.5%DMSO/50mMのTris−HCl,
pH7.8中に調製した0.5μM(arg8)−バソ
トシン、10mMのMgCl2
Min. 2.5%DMSO/50mMのTris−HCl,
pH7.8、10mMのMgCl2
ii)化合物希釈(測定における10μMの最終濃度)
a)100%DMSO中の4mMのHTAストック化合物
b)化合物をdH2O中に200μMになるように希釈する。
c)化合物を100mMのTris−HCl,pH7.8、20mMのMgCl2中に100μMになるように更に希釈する。これにより、2.5%DMSO、50mMのTris−HCl,pH7.8、10mMのMgCl2の最終濃度になる。
d)希釈したストックを用い、TECANゲネシス(TECAN Genesis)を含有する50mMのTris−HCl,pH7.8、10mMのMgCl2、2.5%DMSO中に10ポイントにわたり1:2希釈物を調製する。
e)標準(arg8)−バソトシンIC50用のスペースを残してECADAによる分析に必要とされるプレートのレイアウトに従って384ウェルのオプティプレート(Optiplate)中に10μlの化合物を分配する。これらのプレートは、4℃で貯蔵することができる。
f)測定の当日、10μlのMax.を+ウェルに、および10μlのMin.を−ウェルに加え、100nMの最高濃度(最終20nM)で(arg8)−バソトシンを重複して10ポイントにわたる1:2段階希釈をする。
iii)オキシトシン受容体−CHO細胞の維持
● 細胞系を、225cm2のフラスコ内の50ml増殖培地中で連続培養として定期的に維持する。
● 細胞を、単層から培地を除去し、PBSで洗浄し、細胞が解離の兆候を示すまでトリプシンと共にインキュベートすることにより継代する。強く打ってフラスコの底から細胞を落とした後、細胞を増殖培地に再懸濁し、8x105細胞/フラスコの濃度で225cm2のフラスコ中に播種する。
iv)ローラーボトル内での細胞の増殖
● 細胞を、10x850cm2のローラーボトル中に6x106細胞/ボトルの濃度で播種し、集密的近くに到達させる。
● 細胞を、上述したようにトリプシンを用いてボトルから取り出し、細胞を100xローラーボトルに播種する(即ち、1:10の分割比率)。
● 増殖培地を除去し、40mlのPBS/ボトルを加え、そしてセルメイト(CellMate)を用いてかき落とすことにより回収する前に、細胞を、再び、集密近くに到達させる。細胞懸濁液を、次いで、2000rpmで遠心分離し、PBS中で洗浄し、再度遠心分離し、そしてペレットを、分けて−80℃で冷凍する。
v)膜調製
● 細胞ペレットを冷凍庫から取り出し、氷上で解凍し、詰めた細胞容量ml当たり3mlの膜調製バッファーに再懸濁する。
● 25,000xgで30分間遠心分離する前に、懸濁液を、次いで、機械的ホモジェナイザーを用い氷上で5秒の数回のバーストによりホモジェナイズする。
● 初めに詰めた細胞容量の1ml当たり1mlの冷凍バッファーにペレットを再懸濁した後、懸濁液を短時間ホモジェナイズして細かい塊を除く。蛋白質濃度を、次いで、測定し、膜懸濁液を、最後に、最小5mg/mlで分けて−80℃で冷凍する。
vi)測定
● 膜を、測定バッファー中に1mg/mlになるよう希釈する前に、氷上で解凍する。SPAビーズを、測定バッファーに50mg/mlで再懸濁する。これらの濃縮物から、4℃で2時間トップ−ツー−テール(top-to-tail)シェーカー上でビーズmg当たり30μgの蛋白質をインキュベートすることにより、ビーズを膜と予め結合させる。ビーズ/膜を、次いで、2000rpmで10分間遠心分離し、そしてペレットを3mg/mlで再懸濁する。
● 125I−OVTAの全ての操作は、シグマコート(SigmaCote)を用いてシラン処理されたチップを用いて行う。全てのボトルおよびチューブも、シラン処理される。125I−OVTAを、50μCiの凍結乾燥リガンド当たり1mlの測定バッファーに希釈する。5μlの試料を、次いで、液体シンチレーションカウンティング(ワラクカウンター(Wallac
Counter)によりプロトコール61)を用いて重複してカウントし、リガンドの濃度を算定する(下記の例参照)。これは、ねばねばによるリガンドの損失を克服することになる。測定した濃度を用い、125I−OVTAを、測定バッファーに0.3nMになるよう希釈する。
例:
5μlが500000dpmになり、そしてリガンドの比活性が2200Ci/ミリモルであるならば:
濃度=500000/(2.2x2200x5)nM
● 20μlのビーズ/膜調製物を、調製したオプティプレートにマルチ−ドロップ(Multi-drop)を用いて加える。ビーズ/膜調製物は、攪拌フラスコを用いて懸濁状態で維持される。20μlの125I−OVTAを、次いで、マルチ−ドロップを用いてオプティプレートの各ウェルに加える。室温で4時間のインキュベーション後、プレートを、30s/ウェルの間トップカウント(TopCount)NXTを用いてカウントする。
B.バソプレッシンV1A受容体結合測定
i)物質
● CHO細胞内のヒトクローン プロテイン/セルサイエンシーズ
バソプレッシンV1a受容体 (Protein/cell sciences)
● HEPES シグマ(Sigma)(H7523)
● 塩化マグネシウム(MgCl2) シグマ(M2670)
● ウシ血清アルブミン(BSA) シグマ(A6003)
● グリセロール シグマ(G5150)
● プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤 ロシェ(Roche)(1697498)
● ピアスBCA蛋白質測定試薬 ピアス(Pierce)(23225)
● 8−Arg[フェニルアラニル−3,4,5
−3H]−バソプレッシン(3H−AVP) NEN(NET800)
● d(CH2)5Tyr(Me)AVP[β−メルカプト−β,β−シクロペンタ
メチレンプロピオニル,O−Me−Tyr2,Arg8]−バソプレッシン
(βMCPVP) シグマ(V2255)
● ジメチルスルホキシド ストアーズ(Stores)(W34)
● 96ウェルのポリプロピレンブロックス ストアーズ(D8281)
● ポリエチレンイミン(PEI) シグマ(P3143)
● 96ウェルのユニフィルター(Unifilter) パッカード
プレートGF/C (Packard)(6005174)
● トップシール(Topseal)A パッカード(6005185)
● マイクロシンチ(Microscint)−O パッカード(6013611)
● SR49059(UK222,633) 対照化合物
装置:パッカード ユニフィルター ユニット
トップカウンター/NXTカウンター
ii)方法
作業溶液:
膜調製バッファー: 25mMのHEPES(pH7.4)
5mMのMgCl2
プロテアーゼ阻害剤(50ml当たり1錠剤)
冷凍バッファー: 25mMのHEPES(pH7.4)
5mMのMgCl2
20%グリセロール
測定バッファー: 25mMのHEPES(pH7.4)
5mMのMgCl2
0.05%BSA
洗浄バッファー: 25mMのHEPES(pH7.4)
5mMのMgCl2
3H−AVP 測定バッファー中の5nM溶液(0.5nMの最終測定濃度)
合計 ddH2O中の25%DMSO
NSB 25%DMSO/ddH2O中の10μMのβMCPVP(1μMの最終測定濃度)
STD SR49059(UK222,633)を、1μMの最高濃度(100nMの最終測定濃度)で開始し、そして0.5対数段階で30pM(3pMの最終測定濃度)まで継続して25%DMSO/ddH2O中に希釈する。
化合物:100%DMSO中の4mMの化合物50μl。これを、dH2O中に4倍希釈して25%DMSO中の1mMの最高濃度を得る。化合物を、18%DMSO中にあることになる最初の希釈(1mMから300μM)を除いては25%DMSO中に半対数段階で更に希釈する(希釈後25%DMSO)。希釈を、手技で又はテカン(Tecan)およびプロトコールファイルKin28IC50dilution2.gemを用いて実施する。10pt IC50曲線は、化合物により必要とされる場合、より低い濃度で開始するが、全ての薬物は、100μMで初めに開始して選別する。
0.5%PEI 蒸留したH2O中に50%PEIを調製し、dH2O中に0.5%になるように希釈する。
iii)膜調製
● 冷凍細胞ペレットを冷凍庫から取り出し、氷上で穏やかに解凍する。
● 初めに詰めた細胞容量ml当たり3mlの膜調製バッファーを加え、1000rpmで10分間遠心分離する前に、十分分散するまで懸濁液を、ポリトロンを用い氷上で5秒の数回のバーストによりホモジェナイズする。
● 上澄を取り出し、氷上で貯蔵する。初めに詰めた細胞容量ml当たり更に3mlの膜調製バッファーをペレットに加え、氷上でホモジェナイズし、次いで、1000rpmで10分間遠心分離する。
● 上澄を取り出し、前に取り出した容量の上澄に加え、次いで、25,000xgおよび4℃で30分間遠心分離する。
● 25,000xgペレットを、初めに詰めた細胞容量ml当たり1mlの冷凍バッファー中でのホモジェナイズにより再懸濁し、蛋白質濃度を測定する。
iv)蛋白質濃度の測定
● BSAを、以下の濃度:2000、1000、500、250、125、62.5および31.255μg/mlで蒸留H2O中に調製する。
● 10μlの各BSA溶液を、透明な96ウェルのプレートに3回重複して加え(添付のプレートマップ参照)、10μlの蒸留H2Oを3つのブランクのウェルに加える。
● 10μlの膜調製物を、膜調製物の1/3、1/10、1/30および1/100希釈であるように、プレートに3回重複して加える。
● 200μlのピアス蛋白質試薬(50A:1B)を各ウェルに加え、プレートを37℃で30分インキュベートし、次いで、アントス(Anthos)分光光度計により570nmの吸収セッティングで読み取る。
● BSA標準曲線から、膜調製物中の蛋白質の濃度を決定する(標準曲線の中心に位置する膜調製物の希釈を用いる)。
● 膜調製物を、200μlずつ−80℃で冷凍する前に、冷凍バッファー中に5mg/mlの蛋白質濃度になるよう希釈する。
v)測定プロトコール
● 測定試薬を調製する(3H−AVP、βMCPVP(NSB化合物)および試験化合物−上記作業溶液参照)。いずれのペプチド溶液も、氷上で保持する。
● プレートフォーマットは、プレートの重複実験の別々の列当たり10ポイントのIC50−4化合物である。以下の試薬を、96ウェルポリプロピレンブロックの適切なウェルに加え、攪拌する。
それぞれの全部のウェルに(T): 25μl 3H−AVP
(A1、B1、C1、D1、E12、 25μl 賦形剤
F12、G12&H12)
それぞれのNSBウェルに(N): 25μl 3H−AVP
(A12、B12、C12、D12、 25μl βMCPVP
E1、F1、G1&H1)
それぞれの測定ウェルに: 25μl 3H−AVP
25μl 試験化合物
C1=濃度1、C2=濃度2、C3=濃度3、等。
列A&B=STD
列C&D=化合物1
列E&F=化合物2
列G&H=化合物3
● 膜蛋白質を、氷上で穏やかに解凍し、測定に最適な蛋白質濃度に希釈する(蛋白質線形性測定用付録参照)(およそ100μg/ml)
● 200μlの膜蛋白質を各ウェルに加えて反応を開始し、ブロックを、次いで、RTで60分間穏やかに振とうしながらインキュベートする。
● 反応は、0.5%PEIに予め浸しておいたユニフィルターGF/Cフィルターを通じた濾過および3x1mlの氷冷洗浄バッファーでの素早い洗浄により終了する。
● フィルターを、55℃の乾燥器で2時間乾燥するか、またはベンチ上で一晩(〜16時間)放置する。
● フィルターを底に封じ、30μlのマイクロシンチ−Oを各ウェルに入れる。フィルターを、次いで、トップシールAで封じ、[3H]96ウェルユニフィルタープロトコール11を用いてパッカードトップカウンター(Bld503/G7A)によりカウントする。
C.データ分析
データ分析をECADAにより行う
特異的結合を次の通りに算定する:
特異的結合=平均合計cpm−平均NSBcpm
試験化合物では、受容体に結合したリガンドの量を、次の通りに表す:
%結合=(試料cpm−平均NSBcpm)/特異的結合cpmx100
リガンド結合のパーセンテージ阻害を、次の通りに算定される%阻害で報告する:
%阻害=100−%結合
ヒト、ヒト以外の霊長類および齧歯類から得た子宮筋層の自発的収縮は、インビトロで選択的オキシトシン受容体アンタゴニストに感受性がある(ウィルソン(Wilson)等BJOG2001年9月;108(9):960−6参照)。
更に詳細には、本発明は、本明細書で概説したような雄性射精障害、特に早発射精の治療のための本発明の化合物と1種以上の補助的活性物質(適切な例は、後の考察参照)の多剤併用薬を更に含む。
本発明の多剤併用薬の用途に好適な補助的活性物質としては以下のものが挙げられる:
1)PDE阻害剤、更に詳しくはPDE5阻害剤(以後を参照)、この阻害剤は、好ましくはそれぞれの酵素に対し100nM未満のIC50を有する;
2)セロトニン受容体アゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはアンピルトリンを含む、5HT2C、5HT1Bおよび/または5HT1D受容体のアゴニストまたはモジュレーター;
3)セロトニン受容体アンタゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはNAD−299(ロバルゾタン)およびWAY−100635を含む、5HT1Aのアンタゴニストまたはモジュレーター、および/または更に詳しくはバタノピルド、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピストロンおよびMDL−73147EFを含む5HT3受容体のアンタゴニストまたはモジュレーター;
4)抗うつ薬、特に、i)セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRi);ii)クロミプラミン、デサプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、ドキセピン、アモキサピン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミンおよびブプロプリオンを含む三環式抗うつ薬(TCA);およびiii)モノアミンオキシダーゼ;
5)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト(α−アドレナリン遮断薬、α−遮断薬またはα−受容体遮断薬としても知られている);適切なα1−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、フェントールアミン、プラゾシン、フェントールアミンメシラート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン、フェノキシベンザミン、ラウオルフィア総アルカロイド、レコルダティ15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン、テラゾシンおよびアバノキルが挙げられ;適切なα2−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ジベナルニン、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサン、クロニジンおよびジベナルニンが挙げられ;適切な非選択的α−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ダピプラゾールが挙げられ;更なるα−アドレナリン受容体アンタゴニストは、そのそれぞれを参照により本明細書に含めるものとする、WO99/30697、US4,188,390、US4,026,894、US3,511,836、US4,315,007、US3,527,761、US3,997,666、US2,503,059、US4,703,063、US3,381,009、US4,252,721およびUS2,599,000に記載されている;
6)例えば3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(WO01/72687−実施例28に公開されているような)のような迅速な効き目の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(早い効き目のSSRI)。
本発明による用途に適したcGMP PDE5阻害剤としては:
EP−A−0463756に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;EP−A−0526004に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;公開された国際特許出願WO93/06104に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;公開された国際特許出願WO93/07149に開示された異性体のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン類;公開された国際特許出願WO93/12095に開示されたキナゾリン−4−オン類;公開された国際特許出願WO94/05661に開示されたピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン類;公開された国際特許出願WO94/00453に開示されたプリン−6−オン類;公開された国際特許出願WO98/49166に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;公開された国際特許出願WO99/54333に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;EP−A−0995751に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン類;公開された国際特許出願WO00/24745に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類;EP−A−0995750に開示されたピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン類;公開された国際出願WO95/19978に開示された化合物;公開された国際出願WO99/24433に開示された化合物および公開された国際出願WO93/07124に開示された化合物が挙げられる。
1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)(EP−A−0463756参照);
5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004参照);
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166参照);
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照);
3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンとしても知られている(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照);
1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113,実施例8参照);
5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113,実施例15参照);
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113,実施例66参照);
5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112,実施例124参照);
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112,実施例132参照);
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2´,1´:6,1]ピリド[4,3−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351)、即ち公開された国際出願WO95/19978の実施例78および95の化合物ならびに実施例1、3、7および8の化合物;
1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られている2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル(vardenafil))、即ち公開された国際出願WO99/24433の実施例20、19、337および336の化合物;ならびに
公開された国際出願WO93/07124の実施例11の化合物(EISAI);ならびに
ロテラDP(Rotella D P), J. Med. Chem., 2000, 43, 1257の化合物3および14。
Wellcome);ファルマプロジェクツNo.5051(ベイヤー(Bayer);ファルマプロジェクツNo.5064(協和発酵;WO96/26940参照);ファルマプロジェクツNo.5069(シャーリングプラウ(Schering
Plough);GF−196960(グラクソウェルカム);E−8010およびE−4010(Eisai);Bay−38−3045&38−9456(ベイヤー)ならびにSch−51866が挙げられる。
本明細書で用いる場合、用語゛陰茎海綿体゛は、特に陰茎にある一塊の組織を指す。この点で、陰茎の体は、白膜と呼ばれる線維組織によってそれぞれが囲まれた3本の円柱状の塊の組織から成る。対になっている側背の塊は、陰茎海綿体(体=主要な本体;海綿状=穴)と呼ばれ;より小さい中腹の塊である尿道海綿体は、海綿状の尿道を有し、海綿状の尿道を射精の間開いたままにするよう機能する。3本の塊全てが、筋膜および皮膚により包まれており、血管洞により満たされる勃起組織から成る。陰茎海綿体は、平滑筋細胞を含む。
射精は、二つの別々の構成要素−射出および射精を含む。射出は、遠位精巣上体、精管、精嚢および前立腺から尿道前立腺部への精液および精子の寄託である。この寄託に続いて起こるのは、尿管口からの精液内容物の力強い射出である。射精は、純粋に脳の事象であるオルガスムとは異なる。しばしば、二つの過程は、一致する。
本明細書で用いる場合、用語゛陰茎勃起゛は、視覚的、触覚的、聴覚的、嗅覚的または想像からであってもよい刺激により、陰茎に供給する動脈が広がり、大量の血液が血管洞に入る状況を指す。これらの空間の膨張は、陰茎から血液を流出させる静脈を締め付けるので血液の流出が緩慢である。副交感神経の反射によるこれらの血管の変化は、勃起に帰する。動脈が収縮し、そして静脈上の圧力が除かれる時、陰茎はそのぐにゃぐにゃした状態に戻る。
本明細書で用いる場合、用語゛平滑筋゛は、中空内臓の壁にあり、自律神経の運動ニューロンにより神経支配される平滑筋線維(細胞)から成る、収縮に特化した組織を指す。用語゛平滑筋゛は、横紋がない、従ってそれに滑らかな外観を与える筋肉を意味する。それは、また、不随意筋とも呼ばれる。平滑筋細胞質ゾル中のCa2+濃度の増加は、横紋筋におけるのと丁度同じように収縮を開始する。しかしながら、筋小胞体(横紋筋におけるCa2+の貯蔵庫)は、平滑筋ではわずかである。カルシウムイオンが、細胞外液および筋小胞体の両方から平滑筋細胞質ゾルに流入するが、平滑筋線維には横細管がないことから、Ca2+が線維の中心のフィラメントに達し収縮過程の引き金を引くのに、より長くかかる。これは、部分的に、緩慢な開始および長くなった平滑筋収縮の原因となる。
いくつかのメカニズムが、平滑筋細胞の収縮および弛緩を制御する。一つには、カルモジュリンと呼ばれる調節蛋白質が、細胞質ゾルのCa2+に結合する。カルシウムイオンが平滑筋線維に徐々に入るだけでなく、それらは興奮がおさまれば筋線維から徐々に出て行き、弛緩を遅らせる。細胞質ゾル中のCa2+の長引く存在は、平滑筋の調子、継続する部分的収縮の状態に備える。平滑筋組織は、血管、肺への気道、胃、腸の胆嚢、膀胱、陰茎の陰茎海綿体および陰核のような中空内蔵の壁にある。
本明細書における治療に対する全ての言及には、一つ以上の治癒的、緩和的および予防的治療が含まれることが理解されるはずである。
本発明は、また、性的刺激の前および/または最中の選択的オキシトシンアンタゴニスト(および適用できる場合補助的物質)の投与を経る上記で定義した通りの使用法を包含する。ここで、用語゛性的刺激゛は、用語゛性的覚醒゛と同義であってもよい。本発明のこの態様は、全身の(生理学的)選択性を提供することから有利である。
本発明による雄性射精障害、特に早発射精の治療の用途用物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストとして作用することができ且つ選択的オキシトシンアンタゴニストおよび上記で詳細に説明した通りの補助的物質の多剤併用に充てるいずれの適切な物質であっても良い。本明細書で用いる場合、用語゛物質゛には、オキシトシン受容体を選択的に阻害することのできるいずれの因子も含まれる。
疑いを避けるために、特に断らない限り、置換という用語は、1個以上の規定された基による置換を意味する。基を多数の代替基から選ぶことができる場合、選ばれた基は、同じでも又は異なってもよい。疑いを避けるために、独立にという用語は、1個より多い置換基が多数の可能な置換基から選ばれる場合、それらの置換基は同じでも又は異なってもよいことを意味する。
物質は、薬学的に許容することのできる塩、例えば酸付加塩または塩基塩、またはその水和物を含むその溶媒和物の形態であってもよいし、および/又はそれとして投与することができる。適切な塩に関する概説は、バージ(Berge)等, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19参照。
物質は、多形で存在することができる。
本発明は、また、物質または薬学的に許容することのできるその塩の全ての適切な同位体変形物も含む。本発明の物質または薬学的に許容することのできるその塩の同位体変形物は、少なくとも1個の原子が、同じ原子番号ではあるが天然に普通に見出される原子質量と異なる原子質量を有する原子により置換されているものと定義される。物質および薬学的に許容することの出来るその塩に組み込まれることのできる同位体の例としては、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、および36Clのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が挙げられる。物質および薬学的に許容することのできるその塩の特定の同位体変形物、例えば、3Hまたは14Cのような放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。トリチウム化、即ち3H、および炭素−14、即ち、14C同位体は、調製の容易さ及び検出能ゆえに特に好ましい。更に、ジウテリウム、即ち、2Hのような同位体での置換は、より大きい代謝安定性に起因する特定の治療上の有利性、例えば、増大したインビボ半減期または減少した必要量を得ることができ、従って、ある状況では好ましいかもしれない。物質および薬学的に許容することのできるその塩の同位体変形物は、通常、適切な試薬の適切な同位体変形物を用い従来の手法により調製することができる。
物質をプロドラッグから誘導することができることは、当業者等により理解されるはずである。プロドラッグの例には、特定の保護された基を有し、それ自体薬理学的活性を有することができないが、特定の場合に、投与され(例えば、経口的にまたは非経口的に)、その後体内で代謝されて薬理学的に活性である物質を形成する因子が含まれる。
例えば、H.バンドガード エルシビア(H. Bundgaard, Elsevier), 1985 による゛プロドラッグの設計゛(この開示物は、参照により本明細書に含めるものとする)で説明されたような゛プロ−部分゛として知られる特定の部分を、物質の適切な官能基上に配置することができることは、更に理解されるはずである。このようなプロドラッグも、やはり本発明の範囲に含まれる。
選択的オキシトシンアンタゴニストに関連して本明細書で用いる用語アンタゴニストは、用語阻害剤と同じ意味であるとみなすことができる。同様に、例えば(適用できる場合PDEiまたはPDE5i化合物のような)上記で提供した補助的物質に関連して本明細書で用いる用語阻害剤は、用語アンタゴニストと同じ意味であるとみなすことができる。
本発明は、また、治療上効果的な量の本発明の物質および薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物(その組み合わせを含む)を含む医薬組成物を提供する。
R. Gennaro) 編 1985)の中で説明されている。製薬担体、医薬品添加物または希釈剤の選択は、意図する投与経路および標準製薬慣習に関して選ぶことができる。医薬組成物は、担体、医薬品添加物または希釈剤として、またはそれに加えて任意の適切な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、被覆剤、可溶化剤を含むことができる。
用語゛投与゛には、ウィルスまたは非ウィルス技法による送達が含まれる。ウィルス送達メカニズムには、アデノウィルスベクター、アデノ関連ウィルス(AAV)ベクター、ヘルペスウィルスベクター、レトロウィルスベクター、レンチウィルスベクター、およびバキュロウィルスベクターが含まれるが、これらに限定される訳ではない。非ウィルス送達メカニズムには、脂質が仲介するトランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン(lipofectin)、陽イオン面両親媒性物質(CFAs)及びその組み合わせが含まれる。
代表的には、医師が、個々の対象者に最も適切である実際の用量を決定する。特定の個体にとっての特定の用量水準および頻度は、変えることができ、用いる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全般的健康、性別、食餌、投与の様式および時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、特定の症状の重篤度、ならびに個体が受ける治療を含む種々の要素に依存する。本発明の物質および/または医薬組成物は、1日当たり1回または2回のような1日当たり1から10回までの投与計画に従って投与することができる。
本発明の物質は、例えば、一つ以上の適切な担体、希釈剤または医薬品添加物と混合することにより、当業界で知られている技法を用いることにより、医薬組成物に処方することができる。
重量/mg
物質 250
セルロース,微結晶 400
二酸化ケイ素,発煙 10
ステアリン酸 5
合計 665
成分を混合し、圧縮してそれぞれ665mg重量の錠剤を形成する。
物質 100mg
等張生理食塩水 1,000ml
本明細書で用いる場合、用語゛個体゛は、脊椎動物、特に哺乳類の種の構成員を指す。この用語には、家庭用動物、スポーツ動物、霊長類およびヒトが含まれるが、それらに限定される訳ではない。
好ましくは、本発明の化合物(および多剤併用薬)は、経口的に生物学的利用が可能である。経口生物学的利用能は、全身的循環に達する経口的に投与された薬物の割合を指す。薬物の経口生物学的利用能を決定する要素は、溶解性、膜透過性および代謝安定性である。代表的には、まず初めにインビトロ、次いでインビボ技法の選別カスケードを用いて経口生物学的利用能を決定する。
28, 1518-1523 に説明されている。
Drug Met. Disp., 1999, 27, 221-226 に見ることができる。
代表的には、本発明に従う用途に好適な選択的オキシトシンアンタゴニスト(および/または適用できる場合PDEi/PDE5i)は、化学的合成技法により調製される。
Freeman and Co, ニューヨークNY)。合成ペプチドの組成物は、アミノ酸分析または配列決定法(例えば、エドマン(Edman) 分解手法;上記のクレイトン)により確認することができる。
Elmer))を用いて達成することができる。更に、物質又はその任意の一部を含むアミノ酸配列は、直接合成中に変える及び/または他のサブユニットから得た配列若しくはその任意の一部と化学的方法を用いて組み合わせて変形体物質または例えば変形体オキシトシン受容体のような標的を得ることができる。
(1980) Nuc Acids Res Symp Ser 225-232参照)。
本明細書で用いる場合、用語゛模倣体゛は、いずれかの化学物質に関し、それには、論及物質即ち例えば選択的オキシトシンアンタゴニスト、標的即ち例えばオキシトシン受容体と同じ質的活性または作用を有する、ペプチド、ポリペプチド、抗体または他の有機化学物質が含まれるが、これらに限定される訳ではない。即ち、模倣体は、公知の物質と機能的に同等であってもよい。
本明細書で用いる用語゛誘導体゛または゛誘導された゛には、物質の化学的改変が含まれる。このような化学的改変の具体例は、ハロ基、アルキル基、アシル基またはアミノ基による水素の置換であろう。
本発明の一態様において、物質は、化学的に改変された物質であってもよい。
本発明の一態様において、オキシトシン受容体は、オキシトシン受容体を阻害することのできる物質を同定する選別における標的として用いることができる。この点で、標的は、組み換えおよび/または合成法により調製される配列番号:1として示されるアミノ酸配列又はその変形体、相同体、誘導体もしくは断片又はこれらを含む発現因子を含むことができる。
本発明の物質および/または標的は、組み換えDNA技法により調製することができる。
本明細書で用いる場合、用語゛アミノ酸配列゛は、用語゛ポリペプチド゛および/または用語゛蛋白質゛と同じ意味である。ある場合には、用語゛アミノ酸配列゛は、用語゛ペプチド゛と同じ意味である。ある場合には、用語゛アミノ酸配列゛は、用語゛蛋白質゛と同じ意味である。
本明細書で用いる場合、用語゛ヌクレオチド配列゛は、用語゛ポリヌクレオチド゛と同じ意味である。
本明細書で述べた特定のアミノ酸配列に加え、本発明は、やはり、その変形体、相同体および誘導体の使用も包含する。ここで、用語゛相同゛は、゛同一゛と同一視してもよい。
Bestfit)パッケージ(下記参照)を用いる場合、アミノ酸配列のデフォルトギャップペナルティは、ギャップについては−12および各伸長については−4である。
1999 ibid 第18章参照)、FASTA(アッシュル(Atschul)等, 1990, J. Mol. Biol. 403-410)およびGENEWORKSの一そろいの比較道具が挙げられるが、これらに制限される訳ではない。BLASTおよびFASTAの両方ともが、オフラインおよびオンライン検索で入手可能である(オースベル等,
1999 ibid , ページ7-58ないし7-60参照)。しかしながら、GCGベストフィットプログラムを用いることが好ましい。BLAST2シーケンシーズ(Sequences)と呼ばれる新規な道具も、蛋白質およびヌクレオチド配列を比較するのに入手可能である(FEMS
Microbiol Lett 1999 174 (2): 247-50; FEMS Microbiol Lett 1999 177 (1): 187-8 およびtatiana@ncbi.nlm.nih.gov
参照)。
また、相同置換(本明細書で、置換および交換を両方とも用いて、現存するアミノ酸残基の代替残基での交換を意味する)、即ち塩基性には塩基性、酸性には酸性、極性には極性等のような似たもの同士の置換も包含する本発明もあってもよい。また、非相同置換、即ち、一方のクラスの残基から他方へ又は代わりにオルニチン(以後、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以後、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以後、Oと称する)、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンのような非天然のアミノ酸の含有を含むことが起こってもよい。
Trends Biotechnol. (1995) 13(4), 132-134。
本明細書で用いる用語゛ハイブリッド形成゛には、゛一本鎖の核酸が塩基対合を通じて相補的鎖と結合する方法゛ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術で行われるような増幅法が含まれる。
Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology)、152巻、アカデミック出版(Academic
Press)、サンジエゴCA)で教示されるような核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、下記で説明されるような定義された゛ストリンジェンシー゛を賦与する。
本発明の一態様において、物質(即ち、選択的オキシトシンアンタゴニスト)は、直接個体に投与することができる。
射精障害、特に早発射精の治療に用いる本発明の物質をコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、好ましくは宿主細胞ゲノムに相同のフランキング配列を更に含む゛裸の核酸構築物゛として直接投与することができる。
あるいは、本発明のアミノ酸もしくは本発明の物質(即ち選択的オキシトシンアンタゴニスト)または本発明の標的(即ち、オキシトシン受容体)をコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、トランスフェクション、形質転換、エレクトロポレーションおよびバイオリスティック(biolistic)形質転換のような当業界で公知の種々の非ウィルス技術を用いて適切な宿主細胞に導入することができる。
1998 Nature Biotechnology 16:421)及びその組み合わせが含まれる。
あるいは、本発明の物質もしくは標的または本発明のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むベクターは、例えばレトロウィルス、ヘルペス単純ウィルスおよびアデノウィルスのような組み換えウィルスベクターを用いる感染のような当業界で公知である種々のウィルス技法を用い、適切な宿主細胞に導入することができる。
用語゛標的ベクター゛は、細胞に感染/トランスフェクション/形質導入する又は宿主および/または標的細胞内で発現される能力が、宿主生物内の特定の細胞型、通常、共通または同様の表現型を有する細胞に制限されるベクターを指す。
本発明の物質(即ち、選択的オキシトシンアンタゴニストまたは適用可能な場合PDEiもしくはPDE5i)または標的(例えば、オキシトシン受容体)をコードするヌクレオチド配列は、組み換え複製可能ベクター内に組み込むことができる。ベクターを用いて適合宿主細胞内のヌクレオチド配列を複製することができる。従って、本発明の一態様において、本発明は、本発明のヌクレオチド配列を複製可能ベクターに導入し、ベクターを適合宿主細胞に導入し、そしてベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を生育することによる本発明の標的を製造する方法を提供する。ベクターは、宿主細胞から回収することができる。
ベクター内に挿入される本発明の物質または本発明のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列または本発明の標的は、宿主細胞による本発明のオキシトシン受容体のコード配列のようなコード配列の発現を提供することのできる制御配列に操作可能に結合される、即ち、ベクターは、発現ベクターである。宿主組み換え細胞により産生される本発明の物質または標的は、用いる配列および/またはベクターに依存して分泌することができるか、または細胞内に含有することができる。当業者等により理解されるように、本発明の物質または標的をコードする配列を有する発現ベクターは、特定の原核または真核細胞膜を通じて、配列がコードする本発明の物質または標的の分泌を指示するシグナル配列と共に設計することができる。
本発明のベクターは、本発明の物質または標的の発現に備えるために、下記で説明するような適切な宿主細胞および/または標的細胞を形質転換またはトランスフェクションすることができる。この方法は、本発明の物質または標的をコードするコード配列のベクターによる発現に備える条件下、発現ベクターで形質転換した宿主細胞および/または標的細胞を培養し、そして発現した本発明の物質または標的を任意に回収することを含んでもよい。ベクターは、例えば、複製起点、任意にこのポリヌクレオチドの発現のためのプロモーターおよび任意にプロモーターのレギュレーターを提供するプラスミドまたはウィルスベクターであってもよい。ベクターは、一つ以上の選択可能マーカー遺伝子、例えば細菌のプラスミドの場合アンピシリン耐性遺伝子、または哺乳類ベクターにはネオマイシン耐性遺伝子を有することができる。本発明の物質または本発明の標的の発現は、それらが継続的に産生されるように構成的であってもよいし、または発現を開始する刺激を必要とする誘導可能であってもよい。誘導可能発現の場合、本発明の物質または標的の産生は、例えば、培養培地への誘導物質例えばデキサメタゾンまたはIPTGの添加により要求された場合に開始することができる。
オキシトシン受容体もしくはバソプレッシン受容体または本発明の物質(即ち、選択的オキシトシンアンタゴニスト)は、本発明の物質または受容体標的の抽出および精製および/または個体への送達を助ける、および/または物質の選別の開発を容易にする融合蛋白質として発現してもよい。融合蛋白質の相手の例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合および/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。また、融合蛋白質配列の除去を可能にするよう融合蛋白質の相手と目的の蛋白質配列の間に蛋白質分解部位を含めることが好都合かもしれない。好ましくは、融合蛋白質は、標的の活性を妨げない。
種々の宿主細胞を、本発明の選択的オキシトシンアンタゴニストまたは本発明のオキシトシンもしくはバソプレッシン受容体標的のような物質をコードするヌクレオチド配列の発現に用いることができる。これらの細胞は、原核および真核宿主細胞の両方であってもよい。適切な宿主細胞としては、細菌例えば大腸菌、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳類細胞、代表的には、不死化した例えばマウス、CHO、ヒトおよびサル細胞系並びにその誘導体が挙げられる。
niger var. tubigenis)、アスペルギルス・ニガー変種アワモリ、アスペルギルス・アキュレアチス(Aspergillus
aculeatis)、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリゼ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)、バシラス・サチリス、バシラス・リシェニフォルミス、バシラス・アミロリクェファシエンス(Bacillus
amyloliquefaciens)、クライベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)およびサッカロミセス・エレビシエ(Saccharomyces
cerevisiae)から選ぶことができる。
本発明の一態様において、物質は、抗体であってもよい。加えて、または代わりに、標的は、抗体であってもよい。
Calmette-Guerin)およびコリネバクテリウム・バルブム(Corynebacterium parvum)は、精製された物体ポリペプチドを、全身的防御を刺激する目的のために免疫学的に妥協した個々に投与するならば用いることのできる潜在的に有用なヒトのアジュバントである。
Immunol Today 4:72;コテ(Cote)等 (1983) Proc Natl Acad Sci 80:2026-2030)およびEBV−ハイブリドーマ技法(コール(Cole)等(1985)
Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, アランRリス社(Alan R Liss Inc.), pp 77-96)が挙げられるが、限定される訳ではない。加えて、゛キメラ抗体゛の製造の為に開発された技法、適切な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得るためのヒトの抗体遺伝子へのマウスの抗体遺伝子のスプライシングを用いることができる(モリソン(Morrison)等
(1984) Proc Natl Acad Sci 81: 6851-6855;ノイベルゲル(Neuberger)等 Nature 312: 604-608;タケダ等
(1985) Nature 314: 452-454)。あるいは、一本鎖抗体の作製のために説明された技法(米国特許第4,946,779号)を適応して物体特異的一本鎖抗体を作製することができる。
G)およびミルステインC (1991; Nature 349: 293-299)に開示されているような非常に特異的な結合試薬のパネルを選別することにより作製することができる。
種々のレポーターを、本発明の測定法(同様に選別)に用いることができ、好ましいレポーターは、便利に検出できるシグナル(例えば、分光法)を提供する。例として、レポーター遺伝子は、光吸収特性を変える反応を触媒する酵素をコードすることができる。
Press), セントポールMN)およびマドックスDE(Maddox DE)等(1983, J Exp Med 15 8:121 1)に説明されている。
Biochemical Corp)(クリーブランド(Cleveland),OH)のような多数の会社が、これらの手法のための商業的キットおよびプロトコールを供給する。適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または発色物質ならびに基質、補因子、阻害剤、磁気粒子等が挙げられる。このような標識の使用法を教示する特許としては、US−A−3817837;US−A−3850752;US−A−3939350;US−A−3996345;US−A−4277437;US−A−4275149およびUS−A−4366241が挙げられる。また、組み換え免疫グロブリンも、US−A−4816567に示される通りに作製することができる。
C)等 1993 Anal Biochem 229-36)ヌクレオチド、対照の核酸の補助増幅、および実験結果が補間される標準曲線が含まれる。多数の試料の定量化は、問題のオリゴマーが種々の希釈で提供され分光光度または熱量応答が迅速な定量化をもたらすELISAフォーマットで測定を行うことにより迅速化することができる。
いずれかの1つ以上の適切な標的、例えばオキシトシン受容体および/またはバソプレッシン受容体好ましくはV1a受容体は、種々の薬物選別技法において物質、例えば選択的オキシトシン受容体アンタゴニストを同定するために用いることができる。このような試験に用いられる標的は、溶液状態で自由である、固形支持体に固定されている、細胞表面上にのせられている、または細胞内に位置してもよい。標的は、動物モデル内にあってさえよく、ここで、この標的は、外来標的または導入された標的であってもよい。動物モデルは、ヒト以外の動物モデルである。標的活性の喪失または標的と試験される物質間の結合複合体の形成を測定することができる。
本発明は、また、早発射精に対するこれまでの素因の検出のための診断法、組成物またはキットを提供する。この点で、方法、組成物またはキットは、試験試料、好ましくは性的に覚醒した雄性から採取した血液試料中の因子、好ましくはオキシトシンを検出する手段を含む。
本発明による測定法は、含まれるがそれらに限定される訳ではない一つ以上の以下の技法:競合および非競合測定法、放射性免疫測定法、生物発光および化学発光測定法、蛍光定量法、サンドイッチ測定法、免疫放射性定量法、ドットブロット、ELISAを含む酵素結合測定法、マイクロタイタープレート、尿または血液の迅速な監視のための抗体被覆条片またはディップスティック、免疫組織化学および免疫細胞学を用いることができる。
本発明の別の態様は、オキシトシン受容体または対立遺伝子のような密接に関連した分子をコードする領域のような標的コード領域をコードするゲノム配列を含むポリヌクレオチド配列を検出することのできる核酸ハイブリッド形成またはPCRプローブ(特に、選択的に選択することのできるもの)の備えである。プローブの特異性、即ち、それが高度に保存された、保存された又は保存されていない領域またはドメインに由来するかどうか、およびハイブリッド形成または増幅のストリンジェンシー(厳密、中間又はゆるやか)は、プローブが天然に存在する標的コード配列または関連配列のみを同定するかどうかを決定する。関連した核酸配列の検出用プローブは、標的ファミリー構成員の保存された又は高度に保存されたヌクレオチド領域から選ばれ、このようなプローブは、縮重プローブのプールに用いることができる。同一の核酸配列の検出には、または最大特異性を所望である場合、核酸プローブは、標的ポリヌクレオチドの保存されていないヌクレオチド領域または独特の領域から選ばれる。本明細書で用いる場合、用語゛保存されていないヌクレオチド領域゛は、本明細書で開示された標的コード配列に独特であり、関連ファミリー構成員に存在しないヌクレオチド領域を指す。
Chromosomes: A Manual of Basic Techniques), パーガモン出版(Pergamon Press), ニューヨーク市)、フロー−ソーティッド(flow-sorted)
染色体調製物、またはYACs、細菌の人工染色体(BACs)、細菌のPI構築物もしくは単一の染色体cDNAライブラリーのような人工染色体構築物が含まれる。
(1995; 270:410f および1994; 265:1981f) に見つけることができる。しばしば、たとえ特定のヒト染色体の番号または腕が未知であっても、別の哺乳類の種の染色体上の遺伝子の配置が、関連したマーカーを現すかもしれない。新しい配列を、物理的マッピングにより染色体の腕、又はその一部に割り当てることができる。これは、ポジショナルクローニングまたは他の遺伝子発見技法を用い疾患遺伝子を調査する探求者に価値ある情報を提供する。一旦疾患または症候群が、特定のゲノム領域に対する遺伝的連鎖によりそのまま局在化してきたならば、その領域に対する配列マッピングは、更なる探求のための関連した又は調節遺伝子を示すことができる。本発明のヌクレオチド配列は、また、正常者、キャリアまたは罹患した個々間の転座、逆位等による染色体の位置の差異を検出するのに用いることができる。
本発明に関した用語゛生物゛には、標的および/またはそれから得られる生成物を含むことができるいずれの生物も含まれる。生物の例には、哺乳類、真菌、酵母または植物を含めてもよい。
前に示したように、宿主生物は、原核または真核生物であってもよい。適切な原核宿主の例としては、大腸菌およびバシラス・サチリスが挙げられる。原核宿主の形質転換に関する教示は、当業界で十分文書により証明されている、例えばサンブルック(Sambrook)等(分子クローニング:実験の手引き(Molecular Cloning: A Laboratory Manual),
第2版、1989、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press))およびオスベル(Ausubel)等,
分子生物学における今日のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)(1995),ジョン・ウィリー&サンズ社(John
Wiley & Sons, Inc.)参照。
401-429, アレン・アンド・ウンウィン(Allen and Unwin), ロンドン)により、およびキング(King)等(1989, 酵母の分子および細胞生物学(Molecular
and Cell Biology of Yeasts), EFウォルトン(E F Walton)およびGTヤロントン(G T Yarronton)編, pp
107-133, ブラッキー(Blackie), グラスゴー)により概説されてきた。
vehicle for the expression of heterologous genes)゛, Yeasts, 第5巻アントニー・H・ローズ(Anthony
H Rose)およびJスチュアート・ハリソン(J Stuart Harrison)編,第二版,アカデミック出版社)により示される。
Science of the USA 75, 1929); ベッグズ,JD(Beggs, J D) (1978, Nature,ロンドン, 275,
104); およびイト,H等(1983, J Bacteriology 153, 163-168) の教示に従うことにより調製することができる。
(Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27)による論文に見出すことができる。植物形質転換に関する更なる教示は、EP−A−0449375に見出すことができる。
本明細書で論及されるPDE作用効力値は、以下の測定法により測定される:
本発明による用途に好ましいPDE化合物は、効力ある選択的cGMP PDE5阻害剤である。サイクリックグアノシン3´,5´−一リン酸(cGMP)およびサイクリックアデノシン3´,5´−一リン酸(cAMP)ホスホジエステラーゼに対するインビトロPDE阻害活性は、それらのIC50値(酵素活性の50%阻害に必要とされる化合物の濃度)の測定により決定することができる
311) の方法により実質的に必要とされるPDE酵素は、ヒトの陰茎海綿体、ヒトおよびラビットの血小板、ヒトの心室、ヒトの骨格筋およびウシの網膜を含む種々の源から単離することができる。特に、cGMP−特異的PDE(PDE5)および、cGMPを阻害するcAMP PDE(PDE3)は、ヒトの陰茎海綿体組織から、そしてcAMP−特異的PDE(PDE4)はヒトの骨格筋から得ることができる。ホスホジエステラーゼ7−11は、SF9細胞中にトランスフェクションされた全鎖長のヒト組み換えクローンから得ることができる。
Curve)’マイクロソフト・エクセル・エクステンション(Microsoft Excel extension)を用いて得る。
これは、S.A.バラード(S. A. Ballard)等 (Brit. J. Pharmacol., 1996, 118 (suppl.), 要約153P)により説明される通りに、予め収縮したラビット陰茎海綿体組織条片のニトロプルシドナトリウム誘導弛緩を増強する本発明の化合物の能力を測定することによりインビトロで評価することができる。
1.1. 動物試験方法
1.1.1. 麻酔したラットにおける陰茎勃起および射精試験方法
陰茎勃起および射精を研究するために、用いた方法は、ヨネザワ等(2000) Life Sciences 67, 3031-3039 に教示された方法論に基づく。論及を容易にするために、この方法論を下記に説明する。
全ての性的行動試験では、雄性ラットを観察舞台(直径50−60cm)に載せ、5時に開始して暗サイクルにもっていき、赤い照明下で観察する。雄を舞台に載せて3から4分後、受け入れる雌(卵巣摘出した、行動研究の48時間前に安息香酸エストラジオール/プロゲステロン注射)を舞台に導入し、以下のパラメーターを書き留める:
i)射精潜時(EJL;受け入れる雌を舞台に導入してから射精までにかかる時間);
ii)性交効率(CE;射精潜時/射精までの挿入回数、即ち、挿入間の秒数);
iii)挿入頻度(IF;射精までの挿入回数);
iv)背のり頻度(MF;射精までの背のり回数);
v)射精後の間隔(PEI;射精から性交行動の開始までにかかる時間)。
以下の実施例に用いる化合物は、次の通りである:
選択的オキシトシン受容体アンタゴニストL−368,899。この化合物に関する更なる詳細は、上記に提供されている。L−368,899は、V1a受容体と比較してオキシトシン受容体に対し20倍超選択的である[6.3nMのOT:148nMのV1a]。
オキシトシン受容体アンタゴニストL−368,899は、麻酔したラット(0.1−10mgkg−1、皮下(sc))におけるp−クロロアンフェタミン(PCA)が誘導する射精をオキシトシン選択的用量で有意に遅らせた。射精は、遊離血漿濃度5.4±1.5nM(0.9xKi OT、図1参照)で140%(最大効果近く)遅れた−この用量で、オキシトシン受容体の拮抗作用によりいくらかの活性が生じると考えられる。
L−368,899は、CNS侵入がほとんどなく、それだけで、この研究は、オキシトシンが、PCAが誘導する射精において末梢部位の作用を有することを示す。PCAは、陰茎勃起をもたらす非アドレナリン作動性非コリン作動性神経および射精を制御する交感神経経路を活性化する5HT遊離薬である。これらのプロセクシュアル(prosexual)効果は、5HT1Bおよび5HT2C受容体に対し作用する脊髄の5HTの放出を経て仲介されると考えられる。PCAは、また、おそらく下垂体後葉または脊髄中心から、オキシトシンの分泌も誘導する。男性におけるようなオキシトシンのこの増加は、これらの研究におけるオキシトシン受容体の拮抗作用が、射精を達成するのにかかる時間に対して著しい効果があることから、射精過程に関与する。
L−368,899は、麻酔したラット(1−3mgkg−1、静脈)の精嚢圧における内蔵神経が刺激する増加を著しく減少させた。精嚢収縮は、射出に必須であり、前立腺尿道へ供給される精液が、射精の引き金を引くと考えられる。オキシトシンは、哺乳類の精嚢に対し直接的収縮作用を有し、更に、射精中に交感神経支配に影響を及ぼすニューロモジュレーター役割を有するかもしれない。この研究において、精嚢収縮は、1mgkg−1のボーラス注射後41%減少した(下記図2参照)。予備研究は、1.0mgkg−1静脈注射後に得られるL−368,899の遊離血漿濃度が、文献のPKおよび蛋白質血漿結合に基づき、およそ60nMであることを示唆する。
L−368,899は、10mgkg−1scまでの用量で性的に経験を積んだラットの性交行動に何ら影響しない。齧歯類の性交行動は、膣挿入を伴う及び伴わない一連の背のり(背のりの50−80%は、挿入[膣貫通]に帰する)により特徴付けられ、射精は、6から12回の挿入後に起きる。各挿入は、およそ数秒続く−挿入の長さ、即ち膣内潜時を定量化することは可能ではない。L−368,899の効果は、多数の性交パラメーター(上記参照)に関して評価された。本発明者等は、膣貫通を要約する尺度として性交効率に焦点を絞った。
L−368,899は、また、脳室内(icv)により投与された。L−368,899は、50ng/ラットicv投与された場合、性的に経験を積んだラットにおける性交効率に対し何ら有意の影響がない。
性交行動に対するd(CH2)5Tyr(Me)−Orn8−バソプレッシン、即ちペプチド性非選択的オキシトシンアンタゴニストの影響を調査する前の研究は、25ng/ラットicvまでの用量で、何ら射精潜時の影響はないことを示した。5ng/ラットicv注射後、性交効率において(有意の)減少があった−賦形剤対照動物における25秒/挿入に比較して46秒/挿入。この影響は、オキシトシンおよび/またはバソプレッシン受容体により仲介されるかもしれない。50ng/ラットicv投与後、性交行動はなくなり(メリス(Melis)等 Neuroscience Letters 265 (1999) 171-174)は、100ng/ラットicvが非接触勃起の回数を減少させ、100ng/ラットicvが薬剤誘導勃起を完全になくすことを示した。この後者のデータは、選択的オキシトシン受容体アンタゴニスト(L−368,899)を用いた研究と対照的に、中枢のオキシトシンおよびバソプレッシンの両方の受容体の拮抗作用が、勃起のメカニズムおよび覚醒能力を含む性的行動に不利であるかもしれないことを示すことができる。
PE = 早発射精
OT = オキシトシン
cAMP = サイクリックアデノシン−3´,5´−一リン酸
cGMP = サイクリックグアノシン−3´,5´−一リン酸
PDE = ホスホジエステラーゼ
PDEcGMP= cGMPを加水分解するPDE
PDEi = PDEの阻害剤(I:PDEとしても知られている)
PDE5 = ホスホジエステラーゼ5型
PDE5i= PDE5の阻害剤
kDa = キロダルトン
bp = 塩基対
kb = キロ塩基対
配列番号:1は、ヒトのオキシトシン受容体のアミノ酸配列を示し;そして
配列番号2は、ヒトのバソプレッシンV1A受容体のアミノ酸配列を示す。
Claims (30)
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合されてもよい、雄性の射精障害の治療または予防における用途のための選択的オキシトシンアンタゴニストを含む組成物。
- 雄性の射精障害が早発射精である、請求項1に記載の組成物。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
- 雄性射精障害の治療の用途のための医薬の製造における選択的オキシトシンアンタゴニストの使用。
- 雄性射精障害が早発射精である、請求項4に記載の使用。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項4または請求項5に記載の使用。
- ヒトまたは動物における雄性射精障害を治療または予防する方法であって、当該選択的オキシトシンアンタゴニストが薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合されてもよい、効果的な量の選択的オキシトシンアンタゴニストを個体に投与することを含む方法。
- 雄性射精障害が早発射精である、請求項7に記載の方法。
- 当該選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項7または請求項8に記載の方法。
- 少なくとも一つのコンパートメントが1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストを含む、1つ以上のコンパートメントを含む医薬パック。
- 当該選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項10に記載の医薬パック。
- 医薬組成物の調製法であって、1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストと薬学的に許容することのできる希釈剤、医薬品添加物または担体を混合することを含む当該方法。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項12に記載の方法。
- 雄性の射精障害を治療および/または予防するのに用いることができる物質を同定するための測定法であって、試験物質が内因性射精過程を直接増強することができるかどうかを測定することを含む測定法(ここで、当該増強は、本明細書で定義される通りの試験物質の存在下における射精潜時の増加および/または回復と定義され;試験物質によるこのような増強作用は、試験物質が雄性射精障害の治療または予防に有用であり得ることを示しており、ここで当該試験物質は選択的オキシトシンアンタゴニストである)。
- 当該雄性射精障害が早発射精である、請求項14に記載の測定法。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項14または請求項15に記載の測定法。
- 請求項14から16のいずれか1項に記載の測定法により同定される物質。
- 医薬が請求項17に記載の物質を含む、雄性射精障害を治療するための経口投与用医薬。
- 当該雄性射精障害が早発射精である、請求項18に記載の医薬。
- (a)請求項14から16のいずれか1項の測定法を実施する;(b)射精潜時を増加および/または回復させることのできる1種以上の物質を同定する;そして(c)一定量のそれらの1種以上の同定された物質を調製する(ここで、当該物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)段階を含む方法。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項20に記載の方法。
- 雄性射精障害を治療または予防することのできる物質を同定するための動物モデルであって、受け入れる雌の導入後の当該動物の射精潜時を測定する手段を含む雄性動物を含む当該モデル(ここで、当該物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)。
- 当該雄性射精障害が早発射精である、請求項22に記載の動物モデル。
- 選択的オキシトシンアンタゴニストが、バソプレッシン受容体と比較してオキシトシン受容体に少なくとも20倍選択的である、請求項22または請求項23に記載の動物モデル。
- 射精障害を治療または予防するために内因性射精過程を直接増強することのできる物質を同定するための測定法であって、請求項22から24のいずれか1項の動物モデルに物質を投与し;そして受け入れる雌の導入後の当該動物の射精潜時を測定することを含む測定法(ここで、当該物質は、選択的オキシトシンアンタゴニストである)。
- 雄性射精障害の治療および/または予防用医薬の製造/調製における1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストおよび1種以上の以下の補助的活性物質から成る多剤併用薬の使用:
i)PDE阻害剤、更に詳しくはPDE5阻害剤、当該阻害剤は、好ましくはそれぞれの酵素に対し100nM未満のIC50を有する;
ii)セロトニン受容体アゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはアンピルトリンを含む、5HT2C、5HT1Bおよび/または5HT1D受容体のアゴニストまたはモジュレーター;
iii)セロトニン受容体アンタゴニストまたはモジュレーター、更に詳しくはNAD−299(ロバルゾタン(robalzotan))およびWAY−100635を含む、5HT1Aのアンタゴニストまたはモジュレーター、および/または更に詳しくはバタノピルド(batanopirde)、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピストロン(tropistron)およびMDL−73147EFを含む5HT3受容体のアンタゴニストまたはモジュレーター;
iv)抗うつ薬、特に、i)セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRi);ii)クロミプラミン、デサプラミン(desapramine)、イミプラミン、アミトリプチリン、ドキセピン、アモキサピン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミンおよびブプロプリオン(buproprion)を含む三環式抗うつ薬(TCA);およびiii)モノアミンオキシダーゼ;
v)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト(α−アドレナリン遮断薬、α−遮断薬またはα−受容体遮断薬としても知られている);適切なα1−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、フェントールアミン、プラゾシン、フェントールアミンメシラート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン(tamsulosin)、フェノキシベンザミン、ラウオルフィア総アルカロイド、レコルダティ15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン(doxazosin)、テラゾシンおよびアバノキル(abanoquil)が挙げられ;適切なα2−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ジベナルニン(dibenarnine)、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサン、クロニジンおよびジベナルニンが挙げられ;適切な非選択的α−アドレナリン受容体アンタゴニストとしては、ダピプラゾールが挙げられ;更なるα−アドレナリン受容体アンタゴニストは、WO99/30697、US4,188,390、US4,026,894、US3,511,836、US4,315,007、US3,527,761、US3,997,666、US2,503,059、US4,703,063、US3,381,009、US4,252,721およびUS2,599,000に記載されている;
vi)迅速な効き目の選択的セロトニン再取り込み阻害剤。 - 当該雄性射精障害が早発射精である、請求項26に記載の使用。
- 薬学的に許容することのできる担体、希釈剤または医薬品添加物と任意に混合しても良い1種以上の選択的オキシトシンアンタゴニストおよび1種以上のPDEi’sから成る医薬組成物。
- 当該PDEiがPDE5iである、請求項28に記載の医薬組成物。
- 射精障害の治療および/または予防用医薬の調製における請求項28または請求項29に記載の医薬組成物の使用。
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