JP2005523280A - Cks1インヒビター - Google Patents

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Abstract

アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、ヒトCks1およびヒトSkp2のインヒビター、方法、ならびにヒトCks1およびヒトSkp2に特異的な組成物が、提供される。Cks1発現およびSkp2発現を調節するために、そして細胞増殖(特に、腫瘍細胞増殖)を調節するためにこの組成物を使用する方法もまた、提供される。本発明は、Cks1またはSkp2と特異的にハイブリダイズ可能なアンチセンス化合物およびリボザイム化合物を提供する。

Description

(発明の背景)
(技術分野)
本発明は、Cks1およびSkp2の発現を調節するための方法および組成物、ならびにCks1またはSkp2と特異的にハイブリダイズ可能なアンチセンス化合物およびリボザイム化合物を提供する。
(関連技術の説明)
Cksタンパク質は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)/サイクリン複合体に直接結合する、低分子量(9〜18kDa)の遍在的に発現されるタンパク質である。これらは最初、酵母においてCDKの欠損対立遺伝子を遺伝的に抑制することが可能な変異体として同定された。ヒトCks1およびCks2は1990年にクローニングされ、そしてこれらのデータのほとんどは、遍在化されたサイクリンBのプロテアソーム分解のような、有糸分裂の間の機能を示した。最近、Cks1は、マウスに必須ではないことが示され、Cks1−/−細胞は、よりゆっくりと増殖するが、有糸分裂において停止しないことが示された。同時に、Cks1は、p45Skp2と会合することが示された。このp45Skp2は、SCFユビキチンリガーゼのサブユニットであり、これは、G1/S期における幾つかの細胞周期調節因子の分解を媒介する。Cks1−/−細胞の分析は、Cks1の喪失が、サイクリンEレベルおよびp27Kiplタンパク質レベルの増加を誘導することを明らかにした。このことは、Cks1が、実際に、G1/S期の間の分解において役割を果たし、CDKとは独立した機能を果たすことを示す。
Skp2は、哺乳動物G1進行の調節因子(サイクリン依存性キナーゼp27を含む)のユビキチン媒介性分解に関連している。p27は、用量依存性様式で作用する腫瘍抑制因子タンパク質である(Fero,M.L.ら,Nature(1998)396:177−180)。
癌における役割に関連する、細胞周期におけるその役割に起因して、Cks1および会合タンパク質であるSkp2の発現および/または機能を調節する組成物および方法についての必要性が、当該分野において存在する。
(発明の要旨)
本発明は、1つの実施形態において、Cks1およびSkp2のインヒビターを提供する。本発明のインヒビターとしては、アンチセンス分子、リボザイム、抗体または抗体フラグメント、タンパク質またはポリペプチドならびに低分子が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアンチセンス分子は、配列番号1の核酸の少なくとも10、15または20個連続したヌクレオチドを含むか、またはストリンジェントな条件下で配列番号1の核酸にハイブリダイズする。配列番号1の配列の少なくとも25個連続したヌクレオチドを含むか、またはストリンジェントな条件下で配列番号1の配列にハイブリダイズするアンチセンス分子がより好ましい。代表的なアンチセンス分子は、配列番号26〜30として本明細書に提供される。
さらなる実施形態において、薬学的に受容可能なキャリア中に1つ以上のCks1またはSkp2のインヒビターを含む組成物が提供される。
さらなる実施形態は、Cks1またはSkp2の遺伝子発現または生物学的活性を減少させる方法を提供する。
本発明は、少なくとも1つの改変されたヌクレオシド間連結を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はさらに、ホスホロチオエート連結を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はなおさらに、少なくとも1つの改変された糖部分を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はまた、2’−O−メチル糖部分である少なくとも1つの改変された糖部分を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はさらに、少なくとも1つの改変された核酸塩基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はなおさらに、改変された核酸塩基が、5−メチルシトシンである改変された核酸塩基を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
本発明はまた、アンチセンス化合物が、キメラオリゴヌクレオチドであるアンチセンス化合物を提供する。
本発明は、ヒトの細胞または組織におけるヒトのCks1またはSkp2の発現を阻害する方法を提供し、この方法は、ヒトのCks1またはSkp2をコードする核酸分子に標的化された8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物もしくはリボザイムと、細胞もしくは組織とをインビボで接触させ、それにより、ヒトのCks1またはSkp2の発現が阻害される工程を包含する。
本発明はさらに、癌細胞の増殖を調節する方法を提供し、この方法は、ヒトのCks1またはSkp2をコードする核酸分子に標的化された8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物もしくはリボザイムと、癌細胞とをインビボで接触させ、それにより、ヒトのCks1またはSkp2の発現が阻害される工程を包含する。
本発明はなおさらに、Cks1またはSkp2のポリヌクレオチドの標的領域を同定するための方法を提供する。本発明はまた、インサイチュハイブリダイゼーションにより、Cks1またはSkp2のポリヌクレオチドを同定するための標識化プローブを提供する。
本発明は、細胞増殖を調節するための医薬を調製するための本発明によるCks1またはSkp2のインヒビターの使用を提供する。
本発明はまた、Cks1またはSkp2の発現を阻害するための薬学的組成物を提供し、これは、生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤との混合物中に、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
本発明はさらに、Cks1またはSkp2のRNAを特異的に切断し得るリボザイム、およびこのリボザイムを含む薬学的組成物を提供する。
本発明はまた、Cks1の低分子インヒビターを提供し、ここで、このインヒビターは、Cks1もしくはSkp2の活性を減少し得るか、またはCks1もしくはSkp2のmRNAの発現を減少または防止し得る。
従って、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択される単離されたCks1を提供する。
特定の実施形態において、単離されたCks1インヒビターは、アンチセンス分子である。
より特定の実施形態において、単離されたCks1インヒビターアンチセンス分子またはその相補体は、配列番号1の配列の少なくとも10個連続した核酸を含む。
別の特定の実施形態において、単離されたCks1インヒビターアンチセンス分子またはその相補体は、配列番号1の配列に高ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズする。
特定の実施形態において、単離されたCks1インヒビターアンチセンス分子は、配列番号26〜30からなる群より選択される核酸配列を含む。
別の実施形態において、単離されたCks1インヒビターは、リボザイムであり、なお別の実施形態において、単離されたCks1インヒビターは、抗体および抗体フラグメントからなる群より選択される。
本発明はさらに、薬学的に受容可能なキャリア中の治療有効量のCks1インヒビターを含む組成物を提供する。
特定の実施形態において、この組成物は、組成物中に2つ以上のCks1インヒビターを含み、このCks1インヒビターは、アンチセンス分子である。
組成物の特定の実施形態において、アンチセンス分子またはその相補体は、配列番号1の配列の少なくとも10個の連続した核酸を含み、この組成物のより特定の実施形態において、アンチセンス分子は、配列番号26〜30からなる群より選択される核酸配列を含む。
本発明はなおさらに、哺乳動物細胞においてCks1の発現を阻害する方法を提供し、この方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択されるCks1インヒビターを、この細胞に投与する工程を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態において、Cks1インヒビターは、アンチセンス分子である。
本発明はなおさらに、被験体におけるCks1遺伝子発現の発現を阻害する方法を提供し、この方法は、このCks1遺伝子由来の選択された標的核酸配列の全部または一部に特異的にハイブリダイズするのに有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に有効なビヒクルでこの被験体に投与する工程を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号26〜30からなる群より選択される。
本発明はまた、腫瘍性疾患を処置する方法を提供し、この方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択されるCks1インヒビターを、哺乳動物細胞に投与して、それにより、腫瘍性疾患の重症度が低減される工程を包含する。
他の実施形態は、ヒトCks1をコードする核酸分子に標的化された8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物を提供し、ここで、このアンチセンス化合物は、ヒトCks1の発現を阻害し、そして単離されたポリヌクレオチドは、転写開始領域を含む配列および少なくとも8個のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログであるアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする配列、ならびに配列番号26〜30からなる群より選択される35ヌクレオチド長以下のヌクレオチドを有する。
転写開始領域を含む配列および少なくとも8個のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログであるアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする配列、ならびに配列番号26〜30からなる群より選択される35ヌクレオチド長以下のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた、提供される。
従って、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択される単離されたSkp2インヒビターを提供する。
特定の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターは、アンチセンス分子である。
より特定の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターアンチセンス分子またはその相補体は、配列番号3の配列の少なくとも10個の連続した核酸を含む。
別の特定の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターアンチセンス分子またはその相補体は、配列番号3の配列に高ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズする。
特定の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターアンチセンス分子は、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される核酸配列を含む。
別の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターは、リボザイムであり、なお別の実施形態において、単離されたSkp2インヒビターは、抗体および抗体フラグメントからなる群より選択される。
本発明はさらに、薬学的に受容可能なキャリア中に、治療有効量のSkp2インヒビターを含む組成物を提供する。
特定の実施形態において、この組成物は、組成物中に2つ以上のSkp2インヒビターを含み、このSkp2インヒビターは、アンチセンス分子である。
この組成物の特定の実施形態において、アンチセンス分子またはその相補体は、配列番号25の配列の少なくとも10個連続した核酸を含み、この組成物のより特定の実施形態において、このアンチセンス分子は、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される核酸配列を含む。
本発明はなおさらに、哺乳動物細胞においてSkp2の発現を阻害する方法を提供し、この方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択されるSkp2インヒビターを、この細胞に投与する工程を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態において、Skp2インヒビターは、アンチセンス分子である。
本発明はなおさらに、被験体におけるSkp2遺伝子発現の発現を阻害する方法を提供し、この方法は、このSkp2遺伝子由来の選択された標的核酸配列の全部または一部に特異的にハイブリダイズするのに有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に有効なビヒクルで被験体に投与する工程を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される。
本発明はまた、腫瘍性疾患を処置する方法を提供し、この方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、ポリペプチド、抗体、および低分子からなる群より選択されるSkp2インヒビターを、哺乳動物細胞に投与して、それにより、腫瘍性疾患の重症度が低減される工程を包含する。
他の実施形態は、ヒトSkp2をコードする核酸分子に標的化された8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物を提供し、ここで、このアンチセンス化合物は、ヒトSkp2の発現を阻害し、そして単離されたポリヌクレオチドは、転写開始領域を含む配列および少なくとも8個のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログであるアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする配列、ならびに配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される35ヌクレオチド長以下のヌクレオチドを有する。
転写開始領域を含む配列および少なくとも8個のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログであるアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする配列、ならびに配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される35ヌクレオチド長以下のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた、提供される。
(発明の詳細な説明)
(導入)
本発明は、Cks1ヌクレオチド配列またはSkp2ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの発現を標的化および調節するための、阻害剤(好ましくはオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンス分子またはリボザイム))の利用に関する。
本明細書中に開示される発明は、Cks1が、腫瘍形成において中心的な役割を果たすことを実証する。腫瘍細胞における、Cks1 mRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたCks1の枯渇は、2日後に細胞死を誘導し、細胞増殖を低下させ、そして軟寒天中のコロニー形成を阻害し、従って、Cks1が、細胞の生存、細胞増殖、および腫瘍細胞の足場非依存性増殖に必要であることを示した。Cks1阻害は、ウエスタンブロット分析によって実証されるように、CDK阻害剤p27Kip1の蓄積を誘導するが、SW620細胞の細胞周期プロフィールに影響を及ぼさない。
Cks1は、タンパク質ユビキチンリガーゼ(E3)SCF(Skp2)によるCDK結合基質p27Kip1のユビキチン媒介性のタンパク質分解を指向する。(Spruck,Cら、Mol.Cell.2001 7:639−650)。Cks1は、Fボックスタンパク質Skp2に関連し、インビボおよびインビトロのユビキチン結合のためのp27Kip1基質の認識に必須である。p27Kip1ユビキチン結合活性は、Cks1に依存する。CKS1−/−マウスは異常に小さく、これらのマウス由来の細胞は、おそらく高められたp27Kip1のレベルに起因して、不十分に増殖する(特に、マイトジェンが制限される条件下において)。本明細書中の発明は、Skp2ポリヌクレオチドに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが、腫瘍細胞増殖を阻害し、同時に腫瘍細胞死を誘導することを実証する。
腫瘍組織データベースの解析により、Cks1(CHIR39)mRNAレベルが、結腸癌および乳癌患者の腫瘍において、正常組織と比較して20〜40%増大することを明らかにした。さらなる発現データにより、乳癌および結腸癌細胞株ならびに乳癌および結腸癌組織におけるCks1の過剰発現を確認した。
本明細書中に開示されるデータはまた、Cks1および、より少ない程度にCks2が、腫瘍細胞における細胞増殖に必要であることを示した。Cks1またはCks2に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたSW620細胞の処理によって、Cks1アンチセンス処理細胞の増殖は阻害されるが、Cks2アンチセンス処理細胞の増殖は阻害されない(図4)。Cks1アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたSW620細胞の処理はまた、p27Kip1の蓄積を引き起こすが(図6)、Cks2アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた処理は、この効果を生じなかった。これらの結果により、マウス由来のCks1−/−細胞におけるp27Kip1レベルの以前の研究を確認する。
Skp2(配列番号15)に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた正常ヒト線維芽細胞およびSW620細胞の処理は、Skp2 mRNAレベルを低下させ、一方、対応する逆方向コントロールオリゴヌクレオチド(reverse control oligonucleotide)(配列番号16)を用いた処理は、Skp2 mRNAレベルに影響を及ぼさなかった(それぞれ、図11および図10A)。図12に示すように、配列番号15を用いた処理によるSkp2枯渇は、SW620細胞の足場非依存性増殖をある程度阻害した。
腫瘍抑制因子p27を介してSkp2が果たす役割のために、サイクリンE分解およびp27Kip1レベルに対するSkp2アンチセンス処理の影響を測定した。図10Bに示すように、28時間および48時間の両方で、アンチセンスで処理したSW620細胞が、逆方向コントロールで処理した細胞が示したレベルよりも、高いレベルのp27Kip1を示した。サイクリンEタンパク質レベルは、Skp2アンチセンス処理によって有意には変更されなかった。p34cdc2は、分解によって影響されないタンパク質であり、ゲル負荷コントロール(gel−loading control)としての役割を果たした(図10B)。図13に示すように、p27枯渇はまた、SW620細胞における足場非依存性増殖に対するCks1枯渇の影響を逆転させた。
本明細書中の結果は、Skp2が発癌性でありヒト癌において発現されるという最近の報告と一致する。Gstaiger,M.ら(P.N.A.S.98:5043−5048,2001)は、増大したレベルのSkp2タンパク質が、正常上皮コントロールと比較して口腔上皮性形成異常および癌腫において低いレベルの腫瘍抑制因子p27と関連することを見出した。本結果は、Skp2に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたSkp2の阻害が、インビトロで腫瘍細胞増殖を阻害し得ることを初めて実証することによって、この情報に追加する。Skp2の阻害はp27Kiplの増大したレベルに関連するので、この阻害は、p27レベルに関連してSkp2の公知の役割に起因するようである(図10Bを参照のこと)。アンチセンスオリゴヌクレオチドによるp27タンパク質レベルの低減が、SW620細胞の足場非依存性増殖に対するCks1−特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの阻害効果を逆転させることが示されたことが興味深く(図13を参照のこと)、このことは、Cks1による増殖の阻害が、実際にp27Kiplを介することを示す。
(Cks1ポリヌクレオチドおよびSkp2ポリヌクレオチド標的化のためのオリゴヌクレオチド)
本発明に従って、Cks1ポリヌクレオチドまたはSkp2ポリヌクレオチドとハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド分子は、結腸癌細胞株SW620の増殖を阻害した。この細胞株は、インビボにおける癌細胞の増殖および成長についての標準モデルであり、これらの結果は、Cks1アンチセンス分子およびSkp2アンチセンス分子のインビボにおける使用を支持し、これらのアンチセンス分子は、ヒトおよび他の哺乳類における癌を回復する。
SW620は、当業者によって認識されるように、結腸癌のための確立されたモデル系である。これらの細胞は、一人の結腸癌患者から切除された転移二次性腫瘍に由来する(Hewittら、J.Pathol.(2000)192:446−54)。これらは外観上は線維芽様であり、極めて腫瘍形成性である;SW620異種移植片は、腫瘍細胞の固体シートを形成する。SW620細胞は、結腸癌の進展期の研究に使用されている(Hewittら、J.Pathol.(2000)192:455−59;Smithら、J.Nucl.Med(2000)41:1753−59;O’Connellら、J.Cell Physiol.(2000)185:331−38)。
本発明は、Cks1またはSkp2ポリヌクレオチドに指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。SW620細胞の他の遺伝子に対して指向されるアンチセンスストラテジーが、以前に開示された。アンチセンスFasL cDNAをコードするプラスミドでトランスフェクトしたSW620細胞は、FasL翻訳を障害することにより腫瘍進行を阻害し得ることを示唆する。FasL翻訳は、腫瘍の進行を阻害し得る(Nyhusら、Gene Ther.(2001)8:209−14)。p53アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SW620の増殖を阻害し(Hirotaら、Jpn.J.Cancer Res.(1996)87:635−42)、そしてアンチセンスを介してSW620細胞のマトリリシン(matrilysin)レベルを低減させることが、結腸直腸腫瘍の腫瘍形成および進行を低減させる方法として提案されている(Wittyら、Cancer Res.(1994)54:4805−12)。本発明は、Cks1に指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドが、結腸癌を処置するための適切な薬剤であることを初めて開示することによって、この結腸癌細胞の処置についての知識に追加する。
Cks1 DNAまたはRNAとハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド(標的ポリヌクレオチドと呼ばれる)が、本発明の範囲内に含まれる。オリゴヌクレオチドは、特異的ハイブリダイゼーションが達成される限りは、標的ポリヌクレオチドに100%相補的である必要はない。達成されるべきハイブリダイゼーションの程度は、標的ポリヌクレオチドの正常な機能(転写、翻訳、相補的配列との対合、またはタンパク質のような別の生物学的成分との結合)を妨害する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAの複製および転写を妨害し得、そしてRNAの転座、翻訳、スプライシング、および触媒活性を妨害し得る。
本発明は、本明細書中に記載されるような変異体を含む、約8〜約35ヌクレオチド長の任意のオリゴヌクレオチドをその範囲内に含み、ここで、このオリゴヌクレオチドは、DNAまたはmRNAを含むCks1ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、その結果、ポリヌクレオチドの正常な機能に対する影響が達成される。このオリゴヌクレオチドは、8、10、15、17、18、20、22、25、28、30、32、または35ヌクレオチド長であり得る。Cks1のヌクレオチド配列を、図1に示す(配列番号1)。好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、以下が挙げられる:
Figure 2005523280
コントロールオリゴヌクレオチドは、以下である:
Figure 2005523280
本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチドの抗腫瘍用途は、Cks1アンチセンスオリゴヌクレオチドが腫瘍細胞中のCks1 mRNAレベルを低減し得、そして2つの別個の腫瘍細胞株の細胞の増殖を阻害し得るという発見に基づく。mRNAに対する影響を測定するために、MRC9細胞およびSW620細胞を、オリゴヌクレオチドとキャリアー(特に、リピトイド(lipitoid)またはコレステロイド(cholesteroid)であるが、他のキャリアーが当該分野で公知のように使用され得る)のトランスフェクション混合物と共にインキュベートした。インキュベーションの2〜24時間後、トランスフェクション混合物を除去し、そして実施例に記載されるように正常増殖培地と交換した。
全RNAを、これらの細胞から抽出し、逆転写し、そして実施例に記載されるように増幅した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号26〜30)とのインキュベーションは、MRC9細胞およびSW620細胞におけるアクチンに対するCks1 mRNAレベルを低減した。
軟寒天アッセイを行い、足場依存性増殖に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの影響を決定した。両方の細胞株において、各々のアンチセンスオリゴヌクレオチドによってコロニー形成が阻害された。この結果より、Cks1発現の阻害もまた、腫瘍細胞の足場非依存性様式で増殖する能力を阻害することを実証する。
本発明において有用な好ましいアンチセンス化合物の例は、配列番号26〜30に基づき、これは、改変された骨格または非天然のヌクレオシド間連結を含むオリゴヌクレオチドを含む。改変された骨格を有するオリゴヌクレオチドとしては、この骨格内にリン原子を維持しているオリゴヌクレオチド、およびこの骨格内にリン原子を有さないオリゴヌクレオチドが挙げられる。改変された好ましいオリゴヌクレオチド骨格としては、以下が挙げられる:ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホネート(3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホロアミデート(3’−アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートを含む)、チオホスホロアミデート、チオアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル(thionoalkylphosphotriester)、ならびにボラノホスフェート(boranophosphate)(通常の3’−5’連結、これらの2’−5’連結アナログ、およびヌクレオシド単位の隣接した対が3’−5’〜5’−3’または2’−5’〜5’−2’で連結する、逆位の極性を有する)。種々の塩、混合塩および遊離酸形態もまた、包含される。
Cks1ポリヌクレオチドに結合する能力を有する20マーのオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号1を参照して、ポリヌクレオチド位置で示される、以下のオリゴヌクレオチドが挙げられる:
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Cks1ポリヌクレオチドに結合する能力を有する25マーのオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号1を参照して、ポリヌクレオチド位置で示される、以下のオリゴヌクレオチドが挙げられる:
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Skp2ポリヌクレオチドに結合する能力を有する20マーのオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号25を参照して、ポリヌクレオチド位置で示される、以下のオリゴヌクレオチドが挙げられる:
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Skp2ポリヌクレオチドに結合する能力を有する25マーのオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号25を参照して、ポリヌクレオチド位置で示される、以下のオリゴヌクレオチドが挙げられる:
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好ましいSkp2アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、以下が挙げられる:
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本発明は、Cks1ポリヌクレオチドまたはSkp2ポリヌクレオチドの正常な機能と干渉するように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。アンチセンス技術に対して広範に適用可能であることが当該分野で公知である、アンチセンス分子のいかなる改変もバリエーションも、本発明の範囲内に包含される。このような改変としては、米国特許第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,625,050号および同第5,958,773号において開示されるような、リン含有連結の調製が挙げられる。
本発明のアンチセンス化合物としては、5,958,773およびそれに開示されている特許に開示されるような、改変された塩基が挙げられ得る。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、オリゴヌクレオチドを1種以上の部分または結合体に化学的に連結して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取り込みを増強させることによって、改変され得る。このような部分または結合体としては、脂質(例えば、コレステロール)、コール酸、チオエーテル、脂肪族酸、リン脂質、ポリアミン、ポリエチレングリコール(PEG)、パルミトイル部分、ならびに例えば、米国特許第5,514,758号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,597,696号および同第5,958,773号において開示されるような他のものが挙げられる。
キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた、本発明の範囲内であり、例えば、米国特許第5,013,830号、同第5,149,797号、同第5,403,711号、同第5,491,133号、同第5,565,350号、同第5,652,355号、同第5,700,922号および同第5,958,773号において記載される方法を使用して、本発明のオリゴヌクレオチドから調製され得る。
配列番号26〜30のものに加えて、好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、実施例において記載されるアッセイを使用して、慣習的な実験によって選択され得る。本発明者らは、特定の作用機構によって束縛しないが、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Watson−Crick塩基対形成を使用して、細胞内の標的オリゴヌクレオチドの相補性領域への結合によって、阻害効果を達成すると考えられる。この標的ポリヌクレオチドがRNAである場合、実験の証拠は、ハイブリッドのRNA成分がRNase Hによって切断されることを示している(Giles,R.V.ら、Nuc.Acids Res.(1995)23:954−961;米国特許第6,001,653号)。一般に、10塩基対を含むハイブリッドは、RNase Hに対する基質として働くのに十分な長さのものである。しかし、結合特異性を達成するために、この長さの配列がヒト遺伝子の間で特有である可能性がある場合、少なくとも17ヌクレオチドのアンチセンス分子を使用することが、好ましい。
米国特許第5,998,383号(本明細書中で参考として援用される)において開示されるように、オリゴヌクレオチドは、その配列が、それらの相補的テンプレートとのオリゴヌクレオチド二重鎖形成に重要な、適切なエネルギー関連特徴を示し、かつ自己二量体形成または自己相補性について低い潜在性を示すように選択される(Anazodoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1996)229:305−309)。コンピュータープログラムOLIGO(プライマー分析ソフトウェア、バージョン3.4)を使用して、アンチセンス配列融解温度、自由エネルギー特性を決定し、そして潜在的な自己二量体形成特性および自己相補性特性を推定する。このプログラムは、これら2つのパラメーター(潜在的な自己二量体形成および自己相補性)の定性的な推定の決定を可能にし、かつ「潜在的でない」か「ある程度潜在的である」か「本質的に完全に潜在的である」かという指標を提供する。これらのパラメーターにおいて潜在的でないと推定されたCks1ポリヌクレオチドのセグメントが、一般に、選択される。しかし、カテゴリーの1つにおいて、「ある程度潜在的である」セグメントが、使用され得る。これらのパラメーターの平衡が、その選択において使用される。
アンチセンスの分野において、特定の標的に対する最適なアンチセンス分子を選択するために、ある程度の慣習的実験が必要とされる。効果的であるように、このアンチセンス分子は、好ましくは、標的RNA分子のアクセス可能な部分、すなわち曝露された部分に標的化される。いくつかの場合において、標的mRNA分子の構造についての情報が利用可能であるが、アンチセンスを使用した、阻害に対する現在のアプローチは、実験による。本発明によれば、この実験は、実施例1において記載される方法を使用して、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトすることによって、慣習的に行われ得る。この細胞におけるmRNAレベルは、このmRNAの逆転写、およびそのcDNAレベルをアッセイすることによって、処理細胞およびコントロール細胞において慣習的に測定され得る。その生物学的効果は、当該分野で公知であるように、細胞増殖または細胞生存度を測定することによって、慣習的に決定され得る。
cDNAレベルをアッセイおよび分析することによってアンチセンス活性の特異性を測定することは、当該分野で認知されている、アンチセンス結果を確証する方法である。処理細胞およびコントロール細胞由来のRNAを逆転写すべきであり、得られたcDNA集団を分析すべきであることが、示唆されている(Branch,A.D.,T.I.B.S.(1998)23:45−50)。本発明に従って、SW620細胞の培養物を、Cks1を標的化するように設計された5つの種々のアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてトランスフェクトした。これらのオリゴヌクレオチドは、配列番号26〜30において示される。Cks1に対応するmRNAのレベルを、処理細胞およびコントロール細胞において測定した。配列番号26〜30は、アクチンmRNAレベルに標準化された場合、Cks1 mRNAの劇的な減少を引き起こした。
さらなるインヒビターとしては、リボザイム、タンパク質またはポリペプチド、抗体またはそのフラグメント、および低分子が挙げられる。これらのCks1インヒビターおよびSkp2インヒビターの各々は、それらがそれぞれCks1およびSkp2の発現および/または生物学的活性を低下させるという点で、共通の特徴を共有する。本明細書中に開示される例示的なCks1インヒビターおよびSkp2インヒビターに加えて、代替のインヒビターは、本明細書中で詳細に開示されたかまたはさもなければ容易に利用可能であるかのいずれかの方法論を使用し、当業者の技術範囲内で、慣習的な実験によって得られ得る。
(リボザイム)
Cks1インヒビターおよびSkp2インヒビターは、リボザイムであり得る。リボザイムは、特異的な阻害を生じるかまたは細胞遺伝子発現と干渉するRNA基質(例えば、mRNA)を特異的に切断するRNA分子である。本明細書中で使用される場合、用語「リボザイム」は、特異的認識に対するアンチセンス配列、およびRNA切断酵素活性を含むRNA分子を包含する。触媒鎖は、化学量論的濃度よりも高い濃度にて、標的RNAの特定の部位を切断する。
広範な種々のリボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(例えば、ForsterおよびSymons、Cell(1987)48:211−220;HaseloffおよびGerlach、Nature(1988)328:596−600;WalbotおよびBruening、Nature(1988)334:196;HaseloffおよびGerlach、Nature(1988)334:585によって記載される);ヘアピンリボザイム(例えば、Haseloffら、米国特許第5,254,678号(1993年10月19日発行)およびHempelら、欧州特許公開番号0 360 257(1990年3月26日公開));ならびにテトラヒメナリボソームRNAベースのリボザイム(Cechら、米国特許第4,987,071号を参照のこと)が挙げられる)が、本発明の文脈内で利用され得る。本発明のリボザイムは、代表的に、RNAからなるが、DNA、核酸アナログ(例えば、ホスホロチオエート)、またはそれらのキメラ(例えば、DNA/RNA/RNA)からもまた構成され得る。
リボザイムは、任意のRNA転写物に標的化され得、かつそのような転写物を酵素学的に切断し得る(例えば、米国特許第5,272,262号;米国特許第5,144,019号;ならびにCechらに対する、米国特許第5,168,053号、同第5,180,818号、同第5、116、742号および同第5,093,246号を参照のこと)。本発明の特定の実施形態に従って、任意のこのようなCks1 mRNA特異的リボザイム、またはこのようなリボザイムをコードする核酸を、宿主細胞に送達し、Cks1遺伝子発現の阻害をもたらし得る。従って、リボザイムなどは、真核生物プロモーター(例えば、真核生物ウイルスプロモーター)に連結されたリボザイムをコードするDNAによって、宿主細胞に送達され得、その結果、核への導入の際に、このリボザイムは、直接転写される。
(タンパク質およびポリペプチド)
本明細書中に開示されるアンチセンス分子およびリボザイムに加えて、本発明のCks1インヒビターはまた、Cks1遺伝子発現を低下させるかまたは1以上のCks1の生物学的活性を減少させる際に有効な、タンパク質またはポリペプチドを含む。慣習的な実験を介して、当業者がこのようなCks1インヒビターを迅速に同定する種々の方法が、当該分野で容易に利用可能である。本発明は、以下の例示的な方法論によって制限されない。
Cks1の生物学的活性およびSkp2の生物学的活性のインヒビターは、Cks1活性またはSkp2活性と干渉するタンパク質および/またはポリペプチドを含む。このような干渉は、Cks1活性ドメインもしくはSkp2活性ドメインとの直接的な相互作用を介してか、または例えば、アロステリック部位への結合によって、非競合的阻害もしくは不競合的阻害を間接的に介して、生じ得る。従って、Cks1またはSkp2に結合するタンパク質および/またはポリペプチドを同定するために利用可能な方法を用いて、本明細書中に開示される方法論を介して、それらのCks1インヒビター活性またはSkp2インヒビター活性について特徴付けられ得るリード化合物を同定し得る。
タンパク質−タンパク質相互作用を検出および分析するための方法を記載している文献が、当業者に利用可能である。Phizicky,E.Mら、Microbiological Reviews(1995)59:94−123(本明細書中で参考として援用される)において総説される。このような方法としては、物理的方法(例えば、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティーブロッティング、アフィニティー免疫沈降および架橋)、およびライブラリーベースの方法(例えば、タンパク質プロービング、ファージディスプレイおよびツーハイブリッドスクリーニング)が挙げられるが、これらに制限されない。タンパク質−タンパク質相互作用を同定するために用いられ得る他の方法としては、遺伝的方法(例えば、先天性形成欠損(extragenic)サプレッサ、合成致死効果および未結合の非相補性の使用)が挙げられる。例示的な方法が、以下でさらに詳細に記載される。
本発明のCks1インヒビターまたはSkp2インヒビターは、Cks1タンパク質またはSkp2タンパク質と、潜在的なインヒビタータンパク質のパネルまたはライブラリーとの間の直接的な相互作用に依存する、生物学的スクリーニングアッセイを介して同定され得る。生物学的スクリーニング方法論(種々の「n−ハイブリッド技術」を含む)は、例えば、以下に記載されている:Vidal,Mら、Nucl.Acids Res.(1999)27(4):919−929;Frederickson,R.M.,Curr.Opin.Biotechnol.(1998)9(1):90−6;Brachmann,R.K.ら、Curr.Opin.Biotechnol.(1997)8(5):561−568;およびWhite,M.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1996)93:10001−10003(これらの各々が、本明細書中で参考として援用される)。
ツーハイブリッドスクリーニング方法論を用いて、阻害性特性を有するCks1結合タンパク質またはSkp2結合タンパク質についての新規または既存の標的cDNAライブラリーを検索し得る。このツーハイブリッド系は、レポーター遺伝子の転写を増加させることによって、タンパク質−タンパク質相互作用を検出する遺伝的方法である。この系は、部位特異的転写アクチベーターがDNA結合ドメインおよび転写活性ドメインを有するという事実に起因する。このDNA結合ドメインは、活性ドメインを、発現される特定の遺伝子に標的化する。転写アクチベーターのモジュラー性質に起因して、そのDNA結合ドメインは、いずれのドメインの活性も損失することなく、転写活性ドメインから共有結合的に切断され得る。さらに、これら2つのドメインは、転写機構に関連しない2つのタンパク質間のタンパク質−タンパク質接触によって近位にされ得る。従って、2つのハイブリッドは、機能的系を作製するように構築される。第一のハイブリッド(すなわち、ベイト(bait))は、目的のタンパク質に融合された転写アクチベーターDNA結合ドメインからなる。第二のハイブリッド(標的)は、転写活性ドメインとタンパク質またはポリペプチドのライブラリーとの融合によって作製される。ベイトタンパク質と標的ライブラリーのメンバーとの間の相互作用は、DNA結合ドメインおよび転写活性ドメインの近位、ならびにレポーター遺伝子発現の結果的なアップレギュレーションを生じる。
種々のツーハイブリッドベースの系は、当業者に入手可能であり、これらは、酵母Gal4またはE.coli LexAのいずれかのDNA結合ドメイン(BD)および酵母Gal4または単純ヘルペスウイルスVP16転写活性化ドメインを最も一般的に使用する。Chien,C.−T.ら.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1991)88:9578−9582;Dalton,S.ら,Cell(1992)68:597−612;Durfee,T.K.ら,Genes Dev.(1993)7:555−569;Vojtek,A.B.ら,Cell(1993)74:205−214;およびZervos,A.S.ら,Cell(1993)72:223−232。一般的に使用されるレポーター遺伝子としては、E.coli lacZ遺伝子、ならびに選択可能な酵母遺伝子(例えば、HIS3およびLEU2)が挙げられる。Fields,S.ら,Nature(London)(1989)340:245−246;Durfee,T.K.,前出;ならびにZervos,A.S.,前出。広範な種々の活性化ドメインライブラリーは、当該分野で容易に入手可能であり、その結果、相互作用性タンパク質についてのスクリーニングは、慣用的な実験を介して実施され得る。
Cks1相互作用性タンパク質およびSkp2相互作用性タンパク質の同定のための適切なバイトタンパク質は、本明細書でそれぞれ配列番号1および3として表されるCks1 cDNA配列またはSkp2 cDNA配列に基づいて設計され得る。このようなバイトタンパク質としては、全長Cks1タンパク質またはそのフラグメントのいずれかが挙げられる。
Cks1およびSkp2のバイト構築物および標的ライブラリーを調製するためのプラスミドベクター(例えば、pBTM116およびpAS2−1)は、当業者に容易に入手可能であり、例えば、Clontech(Palo Alto,CA),Invitrogen(Carlsbad,CA)およびStratagene(La Jolla,CA)のような市販の供給源から得られ得る。これらのプラスミドベクターにより、それぞれLexAまたはGal4BDのようなDNA結合ドメインとcDNAとのインフレーム融合が可能になる。
本発明のCks1インヒビターまたはSkp2インヒビターは、あるいは、タンパク質−タンパク質相互作用を検出するために当該分野で利用可能な物理的方法または生化学的方法のうちの1つにより同定され得る。
タンパク質アフィニティクロマトグラフィー方法論によって、潜在的なCks1またはSkp2のインヒビターとして試験されるリード化合物は、固体マトリックス(例えば、Sepharoseビーズ)に共有結合または非共有結合された場合、Cks1またはSkp2に対するそれらの特異的な保持によって同定され得る。タンパク質親和性カラムの調製は、例えば、Beeckmans,S.ら,Eur.J.Biochem.(1981)117:527−535およびFormosa,T.ら,Methods Enzymol.(1991)208:24−45に記載されている。細胞性タンパク質の全補体を含む細胞溶解物は、Cks1またはSkp2の親和性カラムを通じ得る。Cks1またはSkp2に対して高い親和性を有するタンパク質は、低塩条件下で特に保持され、一方、細胞性タンパク質の大部分は、カラムを通過する。このような高親和性タンパク質は、カオトロピック溶媒またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて、高塩濃度下で固定化されたCks1またはSkp2から溶出され得る。幾つかの実施形態において、Cks1またはSkp2の特異的結合タンパク質を同定するのに役立つので、溶解物を調製する前に細胞を放射標識することは好ましい。哺乳動物細胞を放射標識するための方法は、当該分野で周知であり、例えば、Sopta,M.ら,J.Biol.Chem.(1985)260:10353−10360に提供される。
アフィニティクロマトグラフィーについての適切なCks1またはSkp2のタンパク質は、タンパク質またはポリペプチドに融合され得、適切な親和性樹脂上での迅速な精製が可能になる。例えば、Cks1またはSkp2のcDNAは、グルタチオンS−トランスフェラーゼについてのコード領域に融合され得、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)は、グルタチオン−アガロースカラムへの融合タンパク質の吸着を促進する。Smithら,Gene(1988)67:31−40。あるいは、融合タンパク質としては、以下が挙げられ得る:プロテインA(免疫グロブリンGを保有するカラム上で精製され得る);オリゴヒスチジン含有ペプチド(これは、Ni2+を保有するカラム上で精製され得る)マルトース結合タンパク質(これは、アミロース含有樹脂上で精製され得る);ならびにジヒドロ葉酸レダクターゼ(これは、メトトレキサートカラム上で精製され得る)。本明細書で示されるCks1またはSkp2の融合タンパク質を調製するのに適した1つの例示的なタグは、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)に対するエピトープであり、これに対して、モノクローナル抗体は、容易に入手可能であり、この抗体から親和性カラムが、調製され得る。
Cks1またはSkp2の親和性カラム上で特異的に保持されるタンパク質は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した後に、同定され得る。従って、細胞が、細胞溶解物の調製前に放射標識され、Cks1またはSkp2の親和性カラムを通過する場合、Cks1またはSkp2に対して高い親和性を有するタンパク質は、オートラジオグラフィーによって検出され得る。Cks1またはSkp2の特異的結合タンパク質の同定は、タンパク質配列決定技術によって決定され得、この技術は、当業者に対して容易に入手可能である(例えば、Mathews,C.K.ら,Biochemistry,The Benjamin/Cummings Publishing Company,Inc.pp.166−170(1990))。
(抗体フラグメント)
本発明のCks1またはSkp2のインヒビターとしては、Cks1もしくはSkp2の遺伝子発現および/または生物学的活性を低下させる際に有効な抗体および/または抗体フラグメントが挙げられる。適切な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体であり得る。抗体は、従来のハイブリドーマベースの方法論によって誘導され得、これらは、Cks1またはSkp2を接種された動物から単離された抗血清由来であるか、または組換えDNA技術を介するものである。あるいは、本発明の抗体または抗体フラグメントは、1つ以上の容易に入手可能なファージ提示ライブラリーの使用によってインビトロで同定され得る。例示的な方法は、本明細書に開示される。
本発明の1つの実施形態において、Cks1またはSkp2のインヒビターは、以下のように産生され得るモノクローナル抗体である。Cks1またはSkp2のタンパク質は、例えば、バキュロウイルスベースの系におけるCks1またはSkp2のcDNAの発現によって産生され得る。この方法によって、Cks1もしくはSkp2のcDNAまたはこれらのフラグメントは、適切なプラスミドベクターに連結され、このベクターを引き続いて使用して、Sf9細胞を形質転換し、タンパク質産生を促進する。さらに、エピトープタグまたは他の部分を組み込んで、Cks1またはSkp2のタンパク質の親和性精製を促進することは有利であり得る。Cks1またはSkp2を発現するSf9細胞のクローンは、例えば、酵素連結化イムノソルベントアッセイ(ELISA)によって同定され、溶解物が調製され、Cks1またはSkp2のタンパク質はアフィニティクロマトグラフィーによって精製され、そして精製されたタンパク質は、BALB/cマウスに腹膜内に注射され、抗体産生を誘導する。アジュバント(例えば、フロイントアジュバント)を加えて、得られる免疫応答を増大させることは有利であり得る。
特異的抗体の産生について、血清を試験し、ポジティブな特異的抗体力価を有する動物由来の脾臓細胞は、骨髄腫との細胞融合について使用され、ハイブリドーマクローンを生成する。ハイブリドーマクローン由来の上清を、Cks1またはSkp2に対して特異性を有するモノクローナル抗体の存在について試験する。モノクローナル抗体方法論の一般的な記述について、例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)を参照のこと。
バキュロウイルス発現系に加えて、他の適切な細菌発現系または酵母発現系が、Cks1またはSkp2のタンパク質またはそのポリペプチドの発現のために使用され得る。バキュロウイルス系を用いる際に、1つの市販のアフィニティタグを利用して、動物の接種の前に生成を促進することは有利であり得る。従って、Cks1もしくはSkp2のcDNAまたはそのフラグメントは、例えば、アガロースゲル精製によって単離され得、そして適切なタグタンパク質(例えば、6−His、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST))または他のこのような容易に入手可能なアフィニティタグによりインフレームで連結され得る。例えば、Molecular Biotechnology:Principles and Applications of Recombinant DNA,ASM Press pp.160−161(Glick編,B.R.およびPasternak,J.J.編1998)を参照のこと。
本発明の他の実施形態において、Cks1またはSkp2のインヒビターは、ヒト化抗Cks1モノクローナル抗体または抗Skp2モノクローナル抗体である。句「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体、代表的にはマウスモノクローナル抗体由来の抗体をいう。あるいは、ヒト化抗体は、親の非ヒト抗体の抗原結合特性を保持するか、実質的に保持するが、ヒトに投与された場合に親抗体と比較して減少した免疫原性を呈するキメラ抗体由来であり得る。句「キメラ抗体」とは、本明細書で使用される場合、2つの異なる抗体由来の配列を含む抗体をいい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、これは、代表的に、異なる種を起源とする。最も代表的には、キメラ抗体は、ヒトおよびマウスの抗体フラグメント、一般的には、ヒト定常領域およびマウス可変領域を含む。
ヒト化抗体は、親マウスモノクローナル抗体よりもヒトにおいて免疫原性が低いので、それらは、アナフィラキシーの危険性のより少ないヒトの処置のために使用され得る。従って、これらの抗体は、ヒトへのインビボでの投与を含む治療適用(例えば、腫瘍性疾患の処置のための放射感作物質としての使用または例えば、癌治療の副作用を低減させるための方法における使用)において好ましくあり得る。
ヒト化抗体は、例えば、以下の種々の方法によって達成され得る:(1)ヒトフレームワーク領域および定常領域への非ヒト相補性決定領域(CDR)のグラフト(当該分野で「ヒト化」と称されるプロセス)、あるいは、(2)全体非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換によってヒト様表面によりそれらを「被覆」すること(当該分野で「ベニアリング」と称されるプロセス)。本発明において、ヒト化抗体は、「ヒト化」抗体および「ベニア」抗体の両方を含む。これらの方法は、例えば、Jonesら,Nature(1986)321:522−525;Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,(1984)81:6851−6855;MorrisonおよびOi,Adv.Immunol.(1988)44:626−302;Verhoeyerら.,Science(1988)239:1534−1536;Padlan,Molec.Immun.(1991)28:489−498;Padlan,Molec.Immunol.(1994)31(3):169−217;ならびにKettleborough,C.A.ら,Protein Eng.(1991)4:773−83(これらの各々は、本明細書で参考として援用される)に開示される。
句「相補性決定領域」とは、ネイティブの免疫グロブリン結合部位の天然のFv領域の結合親和性および特異性を一緒に規定するアミノ酸配列をいう。例えば、Chothiaら,J.Mol.Biol.(1987)196:901−917;Kabatら,U.S.Dept.of Health and Human Services NIH Publication No.91−3242(1991)を参照のこと。句「定常領域」とは、エフェクター機能を与える抗体分子の部分をいう。本発明において、マウス定常領域は、ヒト定常領域によって置換される。目的のヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリン由来である。その重鎖定常領域は、5つのアイソタイプのいずれかから選択され得る:α、δ、ε、γまたはμ。
抗体をヒト化する1つの方法は、ヒト重鎖配列およびヒト軽鎖配列に対して非ヒト重鎖配列および非ヒト軽鎖配列を整列する工程、このような整列に基づいてヒトフレームワークにより非ヒトフレームワークを選択および置換する工程、分子モデリングして、ヒト化配列のコンフォメーションを予測する工程、ならびに親抗体のコンフォメーションを比較する工程を包含する。このプロセスに続いて、ヒト化配列モデルの予測されたコンフォメーションが、親非ヒト抗体の非ヒトCDRのコンフォメーションに近似するまで、CDRの構造を妨害するCDR領域における残基の逆突然変異が反復される。このようなヒト化抗体は、さらに誘導体化され得、例えば、Ashwellレセプターを介する取り込みおよびクリアランスを促進する。例えば、米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号(これらの特許は、本明細書で参考として援用される)を参照のこと。
Cks1またはSkp2に対するヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように操作されたトランスジェニック動物を使用して産生され得る。例えば、WO 98/24893は、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物を開示し、ここで、この動物は、内因性の重鎖遺伝子座および軽鎖遺伝子座の不活性化に起因して、機能的内因性免疫グロブリンを産生しない。WO 91/10741はまた、免疫原に対する免疫応答を増大させ得るトランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主を開示し、ここで、この抗体は、霊長類定常領域および/または加変領域を有し、ここで、内因性免疫グロブリンコード遺伝子座は、置換または不活性化される。WO 96/30498は、哺乳動物における免疫グロブリン遺伝子座を改変するためのCre/Lox系の使用を開示し、それにより、定常領域または可変領域の全部または一部を置換して、改変された抗体分子を形成する。WO 94/02602は、不活性化された内因性Ig遺伝子座および機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳動物宿主を開示する。米国特許第5,939,598号は、内因性重鎖(heavy claim)を欠き、そして1つ以上の異種間の定常領域を含む外因性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスを作製する方法を開示する。
上述のトランスジェニック動物を使用して、免疫応答は、選択された抗原性分子に対して生成され得、そして抗体産生細胞は、動物から取り除かれ、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを生成するために使用される。免疫プロトコル、アジュバントなどは、当該分野で公知であり、例えば、WO 96/33735に記載されるようにトランスジェニックマウスの免疫に使用される。この公開公報は、種々の抗原性分子(例えば、IL−6、IL−8、TNFα、ヒトCD4、L−セレクチン、gp39、および破傷風毒素)に対するモノクローナル抗体を開示する。これらのモノクローナル抗体は、それらの対応するタンパク質の生物学的活性または生理学的作用を阻害または中和する能力について試験され得る。WO 96/33735は、IL−8に対するモノクローナル抗体(IL−8により免疫されたトランスジェニックマウスの免疫細胞由来)が、好中球のIL−8誘導性機能をブロックすることを開示する。トランスジェニック動物を免疫するために使用される抗原に対して特異性を有するヒトモノクローナル抗体はまた、WO 96/34096に開示される。
本発明において、本発明のCks1またはSkp2のポリペプチドおよびそれらの改変体を使用して、上述のトランスジェニック動物を免疫する。モノクローナル抗体は、当該分野で公知の方法を使用して作製され、抗体の特異性は、単離されたCks1またはSkp2のポリペプチドを使用して試験される。臨床的用途のための抗体の適合性は、例えば、SW620細胞を抗体に曝露すること、および細胞増殖を測定することによって試験される。本発明に従って、Cks1またはSkp2のポリヌクレオチドに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いるCks1またはSkp2の発現の阻害は、結腸癌細胞株であるSW620の足場非依存性増殖の阻害を引き起こす。アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、卵巣癌細胞株であるSKOV3の増殖を阻害する。Cks1またはSkp2に特異的なヒトモノクローナル抗体またはその変異体もしくはフラグメントは、それらの増殖を阻害する能力、コロニー増殖、または腫瘍増殖、移動、もしくは転移(特に上皮起源の腫瘍細胞)の制御を示す任意の他の生物学的パラメータについて試験され得る。このような抗体は、癌細胞の増殖を予防または制御するための薬剤として、前臨床試験および臨床試験に適切である。
代替のCks1またはSkp2のインヒビター抗体が、当該分野で一般的に公知の他の方法によって容易に得られ得ることが理解される。Cks1に対して高い特異性を有する抗体を同定するための1つの例示的な方法論は、ファージ提示技術である。
高親和性抗体の産生のためのファージ提示ライブラリーは、例えば、Hoogenboom,H.R.ら,Immunotechnology(1998)4(1):1−20;Hoogennboom,H.R.,Trends Biotechnol.(1997)15:62−70およびMcGuinness,B.ら,Nature Bio.Technol.(1996)14:1149−1154(これらの各々は、本明細書で参考として援用される)に記載されている。ファージ提示技術の利点としては、従来のハイブリドーマ技術によって別の方法では容易に単離され得ないヒト起源の抗体を単離する能力である。さらに、ファージ提示抗体は、動物の免疫系に依存することなくインビトロで単離され得る。
抗体ファージ提示ライブラリーは、例えば、McCaffertyら,Nature(1990)348:552−554(これは、本明細書で参考として援用される)の方法によって達成され得る。手短に言うと、抗体可変領域のコード配列は、ファージマイナーコートタンパク質(pIII)のアミノ末端に融合される。抗体可変領域−pIII融合構築物の発現により、ファージ粒子内に包含される対応する遺伝物質を有するファージ表面に対する抗体の「提示」が生じる。
ファージライブラリーをスクリーニングするのに適切なCks1またはSkp2タンパク質は、例えば、記載されるようなバキュロウイルスSf9細胞(前出)における発現によって得られ得る。あるいは、Cks1またはSkp2のコード領域は、Cks1またはSkp2のタンパク質の所望の領域に特異的なプライマーを使用してPCR増幅され得る。上で議論されたように、Cks1タンパク質は、市販のアフィニティタグのうちの1つとの融合物として、E.coliまたは酵母において発現され得る。
得られる融合タンパク質は、次いで、固体マトリックス(例えば、組織培養プレートまたはビーズ)に吸着され得る。所望の抗Cks1結合特性または抗Skp2結合特性を有するファージ発現抗体は、続いて、固体マトリックスの場合には連続的なパニングによって、またはCks1またはSkp2の抗原カラムへの親和性吸着によって単離され得る。所望のCks1阻害活性を有するファージは、感染によって細菌へと再導入され得、そして当業者に公知の標準的な方法によって伝播され得る。ポジティブ抗体−pIIIファージについてのスクリーニングのための方法の概説である、Hoogenboom,H.R.,Trends Biotechnol.,前出を参照のこと。
(低分子)
本発明はまた、ハイスループットスクリーニング(HTS)方法論の慣用的な適用によって容易に同定され得る低分子Cks1またはSkp2インヒビターを提供する。Persidis,A.,Nature Biotechnolgy(1998)16:488−489によって概説されている。HTS方法とは、一般的に、リード化合物(例えば、低分子)の治療的潜在能力についての迅速なアッセイを可能にする技術をいう。HTS方法論は、試験物質の機械操作、ポジティブシグナルの検出およびデータの解釈を使用する。このような方法論としては、例えば、可溶性分子を使用する機械スクリーニング技術ならびに細胞ベースの系(例えば、上で詳述されたツーハイブリッド系)が挙げられる。
操作の容易さおよび、溶液とは対照的に細胞の状況内で生じる相互作用の臨床的関連性から恩恵を受ける種々の細胞ベースのHTS法が、利用可能である。リード化合物は、放射能の組み込み、または読み出しとして吸光度、蛍光または発光に頼る光学アッセイによって、同定され得る。例えば、Gonzalez,J.E.ら,Curr.Opin.Biotechnol.(1998)9(6):624−631(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
HTS法は、例えば、Cks1またはskp2の生物学的活性の1つをブロックするリード化合物についてスクリーニングするために用いられ得る。この方法によって、Cks1タンパク質またはSkp2タンパク質が、このタンパク質を発現する細胞から免疫沈降され得、そしてロボット式スクリーニングに適切なアッセイプレート上のウェルに適用される。次いで、個々の試験化合物は、この免疫沈降されたタンパク質と接触され、そしてCks1またはSkp2のキナーゼ活性に対する各試験化合物の効果が、例えば、適切な緩衝液系中のγ−32P−ATPの存在下でインキュベートし、そして32Pの組み込みを測定することによって、評価され得る。
(Cks1およびSkp2のインヒビターの効果を評価する方法)
リード分子または化合物は、アンチセンス分子であろうとリボザイムであろうと、タンパク質および/またはペプチド、抗体および/または抗体フラグメントもしくは低分子(これらは本明細書中に記載の方法の1つによって、またはその他の当該分野で利用可能な技術によってのいずれかで同定される)は、種々のインビトロ、エキソビボおよびインビボの動物モデルアッセイ系において、Cks1またはSkp2の遺伝子発現または生物学的活性を阻害するその能力についてさらに特徴付けされ得る。以下の実施例でさらに詳細に考察されるように、本発明のCks1インヒビターまたはSkp2インヒビターは、Cks1またはSkp2の発現レベルを減少させる際に有効である。従って、本発明はさらに、当業者が候補インヒビターの効果を評価することを可能にする方法を開示する。
候補Cks1インヒビターまたはSkp2インヒビターは、内因性のCks1またはSkp2を発現するか、または哺乳動物細胞の組換えCks1またはSkp2プラスミド構築物でのトランスフェクションによってCks1またはSkp2を発現するように作製されるかのいずれかである細胞に投与することによって、試験され得る。
有効なCks1阻害分子またはSkp2阻害分子は、例えば、ノーザンブロットまたはRT−PCR分析によって決定したところ、Cks1またはSkp2のmRNAのレベルを減少させる際に有効である。これらの手順の一般的な記載については、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press(1989)およびMolecular Biotechnology:Principles and Applications of Recombinant DNA,ASM Press(Glick,B.R.およびPasternak,J.J.編,1998)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。所定の候補アンチセンス分子の効力は、哺乳動物細胞に投与された場合にCks1またはSkp2の発現に対して実質的な影響を有さないことが知られているコントロール「アンチセンス」分子と比較することによって、評価され得る。例示的なコントロール分子としては、配列番号31〜35(Cks1)および配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22および24(Skp2)として開示される、Cks1オリゴヌクレオチドまたはSkp2オリゴヌクレオチドが挙げられる。
本発明の代替の実施形態において、放射線または化学療法剤でのチャレンジ後のDNA合成の速度に対するCks1インヒビターまたはSkp2インヒビターの効果は、例えば、YoungおよびPainter.Hum.Genet.(1989)82:113−117の方法によって評価され得る。簡単に述べると、培養細胞を、14C−チミジンの存在下でインキュベートし、その後、例えば、X線に曝露し得る。照射の直後に、細胞を、短時間インキュベートし、その後、H−チミジンを添加し得る。細胞を洗浄し、過塩素酸で処理し、そして濾過(Whatman GF/C)する。このフィルターを、過塩素酸、70%アルコール次いで100%エタノールでリンスし;放射能を測定し、そして得られたH/14C比を使用して、DNA合成の速度を決定する。
上記の方法の1つ以上によってCks1またはSkp2の遺伝子発現を減少させる際に有効なCks1インヒビターまたはSkp2インヒビターは、容易に利用可能な動物モデル系の1つにおいて、効力についてインビボでさらに特徴付けされ得る。癌および遺伝子の不安定性に関連する遺伝子の研究のための種々の動物モデル系が、例えば、Donehower,L.A.Cancer Surveys(1997)29:329−352(本明細書中で参考として援用される)に開示される。
(薬学的組成物)
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムは、リボ核酸またはデオキシリボ核酸のヌクレオチドについて当該分野で公知の任意の方法によって合成され得る。例えば、これらのオリゴヌクレオチドは、固相合成(例えば、Applied Biosystems 380B DNA合成機)を使用して調製され得る。これらのオリゴヌクレオチドの最終純度は、当該分野で公知のよう決定される。
本発明の方法を使用して同定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、腫瘍細胞増殖を調節する。従って、細胞増殖、好ましくは腫瘍細胞増殖を妨害するための薬学的組成物および方法が、提供され、この方法は、組織または細胞と、本発明の方法を使用して同定された1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドとを接触させる工程を包含する。好ましくは、配列番号26〜30または配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23の1つを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドが投与される。
この方法および組成物はまた、他の形態の癌を含む増殖性障害(例えば、白血病、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、肉腫、黒色腫、アデノーマ、固形組織の癌腫、低酸素性腫瘍、口、咽喉、咽頭および肺の扁平上皮細胞癌腫、泌尿生殖器癌(例えば、頸部癌および膀胱癌)、造血性癌、結腸癌、膵臓癌、頭部癌および首部癌、および神経系の癌、良性病変(例えば、パピローマ、関節硬化症、乾癬、原発性多血症および続発性多血症)、肥満細胞腫、自己免疫疾患、脈管形成、細菌感染、およびウイルス感染(例えば、HIV感染、肝炎感染およびヘルペス感染))を処置するために使用され得る。
本発明は、Cks1またはSkp2のmRNA遺伝子配列に相補的な、治療用途のための活性成分としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの薬学的組成物を提供する。これらの組成物はまた、本発明の方法において使用され得る。必要な場合、この化合物は、ヌクレアーゼ耐性である。一般的に、哺乳動物における細胞増殖を調節するため、または細胞傷害性のための薬学的組成物は、本発明の実施に必要な上記の有効量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、または同じ効果を有することが示されているそのフラグメント、ならびに薬学的、生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含む。
本発明の一実施形態において、被験体における転移を減少させるための方法が提供され、この方法は、転移を減少させるために有効な量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する工程を包含する。最も好ましくは、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号26〜30の1つである。
哺乳動物における新生物形成性細胞の腫瘍形成性を阻害するための薬学的組成物は、有効量の少なくとも1つの活性成分および薬学的、生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤から構成され、この活性成分は、Cks1またはSkp2のmRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドから選択され、Cks1またはSkp2のmRNAは、Cks1またはSkp2のmRNAの全体を含むか、配列番号26〜30(Cks1)または配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21および23(Skp2)に記載されるような短い配列を有する。活性成分の組合せが使用され得る。
この組成物は、悪性細胞が処置されるのに必要な場合、経口投与、皮下投与または非経口投与(静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および鼻腔内投与、ならびにくも膜下投与および注射技術を含む)され得る。CNS内の送達について、くも膜下送達が、例えば、Ommayaリザバまたは当該分野で公知の他の方法と共に使用され得る。薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、アジュバントおよびビヒクル、ならびに移植キャリアは、一般的に、本発明の活性成分と反応しない、不活性か、非毒性固体かまたは液体のフィラー、希釈剤もしくはカプセル化材料をいう。カチオン性脂質もまた、オリゴヌクレオチド取込みを促進するために、この組成物中に含有され得る。この化合物の移植もまた有用である。一般に、薬学的組成物は、無菌である。
本発明の方法において、新生物形成性細胞を含む増殖中の細胞は、Cks1もしくはSkp2のmRNAまたは実質的に同じ効果を有することが示されているそれらのフラグメントに対する増殖阻害量の生体活性アンチセンスオリゴヌクレオチドと接触される。一実施形態において、処置される哺乳動物は、ヒトであるが、他の哺乳動物種が、獣医学用途において処置され得る。
生体活性(発現可能)とは、オリゴヌクレオチドが、細胞に直接送達される場合および/または適切なプロモーターにより発現される場合、細胞において生物学的に活性であり、かつ以下に記載されるようなベクターの形態で細胞に送達される場合、活性であることを意味する。ヌクレアーゼ耐性は、本明細書中で記載される生物学的活性を実質的に妨害しない当該分野で公知の任意の方法によって提供される。
「細胞を接触させる」とは、直接的であってもウイルスベクターもしくは非ウイルスベクターを介しても、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞への曝露または送達の方法をいい、ここでこのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、送達の際に生体活性である。送達方法は、処置される特定の癌について選択される。送達に影響を与えるパラメーターは、医療分野において公知であるように、罹患した細胞型および腫瘍位置を含み得る。
処置は、一般に、疾患プロセスおよび薬物効果の長さ、ならびに処置される患者種に比例する長さを有する。ヒトは、一般に、本明細書中で例示される実施例よりも長く処置されることが記載され、この処置は、疾患プロセスおよび薬物効果の長さに比例した長さを有する。用量は、医師によって決定されるような単回用量であっても複数回用量であってもよく、そして処置過程は、疾患の軽減が達成されるまで、必要に応じて繰り返される。最適な投薬スケジュールは、身体における薬物蓄積の測定値を使用して計算され得る。当該分野の医師は、最適な投薬量、投薬法および反復速度を容易に決定し得る。最適な投薬量は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの相対効力に基づいて変化し得、そして一般に、インビトロおよびインビボの動物研究および臨床研究における値に基づいて決定され得る。使用される実施形態におけるバリエーションもまた使用され得る。その量は、改善(腫瘍増殖の減少もしくは腫瘍サイズの減少、または生存率および生存長さの改善、または薬物耐性の減少、または当業者によって適切な測定値として選択されるような他の指標が挙げられるが、これらに限定されない)を達成するのに有効でなければならない。
いくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、腫瘍細胞増殖をインビトロで完全には回避し得ないかもしれないが、これらのアンチセンス化合物は、これらが化学療法のような相補処置を有効にするのに十分腫瘍増殖を阻害する場合、臨床的に有用であり得る。従って、本発明の薬学的組成物は、単独でか、または他の薬物(例えば、細胞傷害性薬剤、免疫毒素、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗体および他の抗癌薬)、ならびに当該分野で公知の処置様式と組み合わせて投与される。この組成物は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与スケジュール、ならびに医師に公知の他の要因を考慮して、良好な医療行為に従って投与および投薬される。従って、増殖阻害のための「有効量」は、当該分野で公知のようなこのような考察によって決定される。薬学的組成物は、本発明の1つ以上の実施形態を含み得る。
本発明のヌクレオチド配列は、直接的か、またはウイルスベクターもしくは非ウイルスベクターを用いてかのいずれかで送達され得る。直接送達される場合、この配列は、一般に、減少したヌクレアーゼ耐性を有する。あるいは、この配列は、発現カセットまたは発現構築物に組み込まれ得、その結果、この配列は、細胞において発現される。一般に、この構築物は、この配列を標的細胞において発現させ得る適切な調節配列またはプロモーターを含む。
一旦、オリゴヌクレオチド配列が送達の準備ができると、これらは当該分野で公知のように、細胞に導入される。トランスフェクション、エレクトロポレーション、融合、リポソーム、コロイド状ポリマー粒子およびウイルスベクター、ならびに当該分野で公知の他の手段が、オリゴヌクレオチド配列を細胞に送達するために使用され得る。選択された方法は、少なくとも、処置される細胞および細胞の位置に依存し、そして当業者に公知である。局在化は、リポソームを指向するための表面上の特異的マーカーを有するリポソームによって、標的細胞を含む組織への直接注射を有することによって、標的細胞と空間的に近位で会合した蓄積物を有することによって、特異的なレセプター媒介性取込みによって、ウイルスベクターなどによって、達成され得る。
本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含むベクターを提供する。本発明は、適切な真核生物細胞および原核生物細胞から選択される宿主細胞をさらに提供し、これらの細胞は、必要に応じてこれらのベクターで形質転換されている。このような形質転換細胞は、悪性腫瘍の機能および調節の研究、ならびに本発明の処置治療を可能にする。
ベクターは、当業者に公知であるか、または当業者によって構築され得、そして配列の所望の転写を達成するのに必要な全ての発現エレメントを含まなければならない。他の有利な特性(例えば、異なる形態のオリゴヌクレオチドの回復についての機構)もまた、ベクターに含まれ得る。ファージミドは、このような有利なベクターの具体例である。なぜなら、これらは、プラスミドとしてまたはバクテリオファージベクターとしてのいずれかで使用され得るからである。他のベクターの例としては、ウイルス(例えば、バクテリオファージ、バキュロウイスルおよびレトロウイルス)、DNAウイルス、リポソーム、および他の組換えベクターが挙げられる。これらのベクターはまた、原核生物宿主系または真核生物宿主系のいずれかにおいて使用するためのエレメントを含み得る。当業者は、どの宿主系が特定のベクターに適合性であるかを理解している。
ベクターは、当該分野で公知の種々の方法のいずれか1つによって、細胞または組織に導入され得る。このような方法は、一般に、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992)、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989),Chang ら、Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vegaら、Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)、およびGilboaら,BioTechniques(1986)4:504−512において見出され得、そしてこれには、例えば、安定なまたは一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび組換えウイルスベクターでの感染が挙げられる。
当該分野で公知の組換え方法はまた、標的核酸のアンチセンス阻害を達成するために使用され得る。例えば、アンチセンス核酸を含むベクターが、標的核酸の発現の減少、従ってその活性を減少させるアンチセンスメッセージを発現するために使用され得る。
本発明はまた、化合物が、Cks1またはSkp2の遺伝子の転写または翻訳を阻害し、それにより細胞増殖を調節(すなわち、減少)するか否かを評価する方法を提供し、この方法は、細胞を、Cks1またはSkp2をコードする核酸配列を含む発現ベクター(核酸の転写または翻訳に必要なエレメント)でトランスフェクトする工程;試験化合物を投与する工程、およびCks1またはSkp2の発現レベルを、試験化合物の非存在下で、コントロールを用いて得られるレベルと比較する工程、を包含する。
本発明は、細胞内のCks1またはSkp2のポリヌクレオチドを画像化するための検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを提供する。このようなオリゴヌクレオチドは、遺伝子増幅が生じたか否かを決定するために、そして例えば、当該分野で公知のインサイチュハイブリダイゼーションを使用して、細胞または組織における発現レベルをアッセイするために、有用である。
本発明は、特定の好ましい実施形態に従って具体的に記載されてきたが、以下の実施例は、本発明を例示するためのみに役立ち、本発明を限定することを意図しない。
(実施例1)
(標的RNAのアンチセンス阻害)
(A.トランスフェクションのためのオリゴヌクレオチドの調製)
トランスフェクションのためのキャリア分子(リピトイド(lipitoid)またはコレステロイド(cholesteroid)を含む)を、水中0.5mMに希釈し、続いて超音波処理して均一な溶液を生成し、0.45μmのPVDF膜を通して濾過することによって調製した。リピトイドまたはコレステロイドを、次いで、適切な容量のOptiMEMTM(Gibco/BRL)に希釈し、その結果、最終濃度は、約1.5〜2nmolリピトイド/μgオリゴヌクレオチドであった。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびコントロールオリゴヌクレオチドを、まず、滅菌Millipore水中100μMの作業濃度に希釈し、次いで、OptiMEMTM中2μM(約20mg/mL)に希釈することによって調製した。次いで、この希釈オリゴヌクレオチドを、直ちに、希釈リピトイドに添加し、そしてピペットを上下させることによって混合した。
(B.トランスフェクション)
SW620または正常ヒト線維芽細胞を、6ウェル培養皿中の血清を含む増殖培地に、2×10細胞/ウェルでプレーティングし、一晩インキュベートした。次いで、混合後直ちに、オリゴヌクレオチド/リピトイド混合物を200nMのオリゴヌクレオチドの最終濃度まで添加することによって、これらの細胞をトランスフェクトした。次いで、これらの細胞を、トランスフェクション混合物と共に、37℃、5% COで、一晩インキュベートした。インキュベーション後、このトランスフェクション混合物を除去し、そして血清を含む通常の増殖培地で置換した。
(C.総RNA抽出および逆転写)
総RNAを、RNeasyTMキット(Qiagen Corporation,Chatsworth,CA)を使用して、製造者によって提供されたプロトコルに従って、トランスフェクトされた細胞から抽出した。抽出に次いで、RNAをPCRテンプレートとして使用するために逆転写した。一般的に、総量0.2〜1μgの抽出されたRNAを、滅菌マクロファージ管に配置し、そして総容量12.5μLまで水を添加した。7.5μLの緩衝液/酵素混合物を、各管に添加した。緩衝液/酵素混合物を、混合することによって、列挙されるオーダーで調製した:2.5μL HO、2.0μL 10×反応緩衝液、10μL(20pmol)オリゴdT、1.0μL dNTPミックス(各10mM)、0.5μL(20u)RNAsin(登録商標)(Ambion,Inc.,Hialeah,FL)および0.5μL(50u)MMLV逆転写酵素(Ambion,Inc.)。マクロファージ管の含量を、ピペッティングによって混合し、そして反応物を1時間、42℃にてインキュベートした。
(D.標的化配列のPCR増幅および定量)
逆転写に次いで、標的遺伝子を、Roche Light CyclerTMリアルタイムPCR機を使用して、増幅した。20μLアリコートのPCR増幅混合物を、以下に列挙でされるオーダーで以下の成分を混合することによって、調製した:2μL 10×PCR緩衝液II(10mM Tris(pH8.3)および50mM KClを含む、Perkin−Elmer、Norwalk,CT)、3mM MgCl、140μMの各dNTP、0.175pmolの各Cks1オリゴ、1: 50,000希釈のSYBR(登録商標)Green、0.25mg/mL BSA、1単位のTaqポリメラーゼ、および20μLまでのHO。SYBR(登録商標)Green(Molecular Probes,Eugene,OR)は、二本鎖DNAに結合する場合に蛍光を発する染料であり、各反応において生成されるPCR産物の量を直接測定することを可能にする。2μLの完全な逆転写反応物を、各20μLアリコートのPCR増幅混合物に添加し、そして増幅を、標準のプロトコルに従って行った。
各PCR反応物から得られた増幅した標的配列の量を、内部コントロール(例えば、β−アクチン)と比較して正規化した。以下の表1は、Cks1 mRNAレベルが、Cks1アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号26〜30)を用いるトランスフェクション後に、コントロールmRNAと比較して、SW620細胞において減少したことを示す。
(表1:SW620細胞におけるアンチセンスCks1オリゴヌクレオチドノックアウトCks1 mRNA)
Figure 2005523280
(実施例2:軟寒天アッセイ)
下層は、細胞の層状化の数時間内で新しくプレーティングした倍地中、2mlの0.6%の寒天からなった。細胞層について、実施例1に記載されるようにトランスフェクトされた細胞を、0.05%のトリプシン中のプレートから取り出し、そして培地中で2回洗浄した。細胞を、クールター計数器中で計数し、そして培地1mlあたり106に再懸濁した。10mlアリコートを、96ウェルプレート中の培地に配置するか(WST1で計数をチェックする)、または軟寒天アッセイのためにさらに希釈した。2000細胞を、0.6%寒天の下層の上の複製ウェル中の800mlの0.4%寒天にプレーティングした。
培地層:細胞層寒天を凝固した後、2mlの培地を、上部から取り出し、そしてアンチセンスまたは逆コントロールオリゴを、送達ビヒクルを用いることなく添加した。新しい培地およびオリゴを3〜4日毎に添加した。
コロニーを、10日〜3週間で形成した。コロニーの領域を、目で数えた。WST−1の代謝値を使用して、開始細胞数のわずかな差異を補正した。より大きな領域を、差異の可視記録についてスキャンし得る。アンチセンスでトランスフェクトしたSW620細胞は、コントロールオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした細胞と比較してわずかなコロニーを生じた。
細胞コロニーを、各軟寒天ウェルを横切る6つのランダムに選択された格子中で計数した。コロニーの数を、開始WST1値と比較することによって正規化した(例えば、Panveraから利用可能なWST−1細胞増殖アッセイ)。
以下の表2は、Cks1アンチセンスオリゴヌクレオチドでのSW620細胞の処理は、それぞれの逆相補体(reverse complement)オリゴヌクレオチドを用いてトランスフェクトしたコントロール細胞と比較して、足場依存性増殖を減少したことを示す。
(表2:Cks1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、足場依存性増殖を阻害する)
Figure 2005523280
類似の実験を、Skp2アンチセンス処理SW620細胞を使用して行い、そして結果を図12に示す。
改変したプロトコルを使用して、図12に示されるデータを作成した。このプロトコルにおいて、コロニーの数を、Alamarブルー読み取り機(Alamar blue reading)で測定し、このアッセイを96ウェル様式で行った。このプロトコルを使用して、図12および13に示したデータを作成した。このプロトコルは以下のとおりである。
ポリ(HEMA)でコーティングされたプレート中での96ウェル軟寒天アッセイ。軟寒天アッセイは、細胞が、足場依存性様式で増殖する能力(形質転換した表現型についての性質)をモニターする。アッセイの一般的な設計は、プラスチックへの結合の可能性のないプレート中で、三次元ゲル構造に細胞を強制的に置き、そしてこれらの条件下で増殖についてのリードアウトとしてコロニー形成をモニターすることである。ポリ(HEMA)の下層は、プラスチックへの結合から細胞を妨げ、そして定義された数の細胞は、低い割合の寒天の上部の薄層に包埋される。このアッセイは、設定が簡単であり、そして完了まで6〜7日間かかる。各セットのアッセイに、軟寒天において増殖に影響することが公知であるポジティブコントロールを含むことが好ましい。ネガティブなトランスフェクション効果 対 問題の軟寒天設定との間を識別するためにアッセイに野生型のトランスフェクトしていない細胞株を含むこともまた好ましい。
(寒天の調製)
新規の寒天を、1×PBS−CMF(約100ml/ボトル)中、4%で作製し、そしてオートクレーブする(液体サイクル、121℃、15分間)。その後室温で維持し、そして固体にする。
(ポリ(HEMA)プレートの調製)
非組織培養処理された96ウェルプレート(Costar参照番号3370)を、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(HEMA)(Sigma参照番号P3932)で被膜する。ポリ(HEMA)は、プレートの下部への結合から細胞を妨げる公知の抗接着剤である。
ポリ(HEMA)のマスター溶液を、以下のように作製する:3gの粉末を、50mlのFalcon管中で、最終25mlの95%エタノールに溶解する(好ましくは、95%産業エタノールを用意するのではなく、100%エタノールを希釈する)。管を、パラフィンでカバーし、エバポレートを避ける。管を、室温にて完全に溶けるまで1〜2日間激しく振盪する。
1/10希釈したポリ(HEMA)のマスター溶液を、(100%エタノールを使用して)95%エタノールに調製する。96ウェルプレートの各ウェルを、50μlの希釈ポリ(HEMA)で被膜する。プレートを、このプレートが乾燥するまで(約24時間)、可変速度(5〜6の速度設定で)で設定されたLabsystem Wellmix振盪機に配置する。好ましくは、被膜は、全て半透明である。いくつかのウェルに、小さな穴がなお存在する場合、これらを、さらに24時間、20μlの希釈ポリ(HEMA)で再被膜し得る。
次いで、プレートを、組織培養フード中、UV下で一晩配置し、滅菌する。最終工程は、複数チャネルのピペットを使用して、200μlのPBS 1×で各ウェルを2回穏やかに洗浄することである。PBSを除去し、次いで、プレートを、Saranプラスチックで包み、使用するまで室温で保存する。
このアッセイにおいて、全ての工程を、同じ日に行う。アッセイを行う細胞を、トリプシン処理し、そして血球計を使用して計数する。(細胞型に依存して)1ウェルあたり350〜700細胞を50μl培地に播種するように希釈を計算する。なおプレーティングをコントロールするために、100μl/ウェルの細胞を、ポリ(HEMA)プレートと同じ配置で通常の平面下部プレート(ポリ(HEMA)で処理されていない)に播種する。次いで、50μlを各ウェルから複数チャネルのピペットを使用して取り出し、ポリ(HEMA)プレートに移す;このプレートを、約2時間でトランスフェクトする。細胞をインキュベーターに戻し、再生する。
有効なプレート(ポリ(HEMA)処理していない)について、培地中に1/10希釈した50μlのAlamar Blue (Trek Diagnostic Systems,参照番号00100−100)を、各ウェルに添加する。このプレートを37℃にて、24〜36時間インキュベートする。蛍光を励起530nmおよび発光590nmでモニターする。播種が一様である場合、蛍光値は、一様であるはずである。播種が一様でない場合、これらの読み取りに関する最終データの正規化が、起こる。
細胞トランスフェクション。アッセイの設定は、4プレートの代わりに1プレートのみであることを除いて、増殖アッセイに類似する。プレートの外縁は使用されないが、縁効果(edge effect)を避けるために培地を含む。オリゴを、1行の列B〜列G中の1つの遺伝子セットについてASおよびRCを用いて、3連で試験する。ブランクは、1行のB〜Gを使用する。これは、細胞がこれらのウェル中に存在しないことを除いて、野生型細胞と同様に処理される。増殖アッセイにおけるように11行が使用される。野生型(トランスフェクトされていない細胞)ならびにポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを使用する。7遺伝子/プレートをASおよびRCを用いて3連で試験する。
使用される液体の型は、細胞型に依存する。SW620細胞について、400細胞/ウェルを、1:2.5の比のリピトイド2(L2)を使用して、300nMオリゴを用いてトランスフェクトする。各オリゴについて、3ウェルのみをトランスフェクトする。トランスフェクションおよび寒天添加後の各ウェル中の最終容量は、150μlである(50μlの細胞+50μlのトランスフェクションミックス+50μlの寒天)。トランスフェクションミックスを、オリゴの最終濃度が300nMになるように3回計算した50μlで行う。一旦、寒天がゲル状になると、100μlの培地を上部に添加する。
各々の3つ組みについて、以下の溶液を2つのエッペンドルフ管において調製する:(a)150μl OptiMEM+3μlのオリゴ;および(b)150μl OptiMEM+7.5μlのL2;直ちにAをBへと混合し、そして4〜5回ピペットを上げ下げし、次いで、50μlの混合物を3つの適切なウェルに添加する。この操作を、次のオリゴについて繰り返す。一旦、カラムを30μlの複数チャネルセットで充填すると、6ウェルを、カラム中に8〜10回にわけて徐々に混合し、確実に全ての細胞を均質なトランスフェクション溶液にする。
野生型(トランスフェクトされていない細胞)およびブランクについて、以下の溶液を2つのエッペンドルフ管において調製する:(a)150μl OptiMEM;および(b)150ul OptiMEM。直ちに、AをBへと混合し;そして4〜5回ピペットを上げ下げし、次いで、50μlを適切なウェルに分配する。
寒天を、2時間内に添加するべきである。新規の寒天(DIFCO)4%を、電子レンジで溶かし、そして完全に溶けた場合、寒天を、少なくとも10分間(しかし、30分より短い)水浴中に56℃にて配置する。96ウェル設定において、0.35%の寒天の最終濃度を使用する。12×5mlのポリスチレンの丸底 Falcon管を、840μlの培地で調製し、そして37℃にて熱遮断で維持する(37℃〜40℃は、受容可能である)。3〜4mlの溶かした4%寒天を含む2×15mlのポリプロピレンコニカルFalcon管を調製し、次いで、60℃にて熱遮断中に配置する(60〜63℃は、受容可能である)。これらの管は、後日の希釈のための濃寒天のストックとして作用する;容量が大きくなると、溶解温度での維持に、より不活発になる。
8〜10回のカラムのトランスフェクト細胞を、徐々に混合し、均質な細胞懸濁液を作製する。300μlの4%寒天を、840μl温かい培地(これは、1.05%の寒天溶液を作る)に添加し、そして均質になるように混合する。250μlのリペティター(repetitor)セットを用いて、50μl(4回)に分け、50μlの同一のASを3つのウェルに添加し、次いで、残りを廃棄する;この手順を、RCについて同じ操作で繰り返す。このプレートを、室温にて10〜15分間でセットし、堅固にゲルにし、次いで、100μlの培地を、複数チャネルのピペットを使用して全てのウェル上に徐々に添加する。このプレートを、37℃にて6〜7日間セットする。4〜5日後、コロニーが可視化されるはずである。
Alamar Blue染色。6〜7日後、どのくらい早くコロニーが現われるかに依存して、20μlの希釈していないAlamar blue染料を、ブランクを含む各ウェルに添加する。次いで、プレートを、寒天メッシュでの浸透をなお保証するために、10〜15分間徐々に振盪する。次いで、プレートをインキュベーターに戻し、そして蛍光(励起530nm、発光590nm)を数時間後にモニターする(一般的に、約3時間、5時間および24時間での複数の読み取りが好ましい)。細胞の数およびトランスフェクション効果に依存して、統計学的な有意性は、約5時間後に到達し、そしてより長いインキュベーション時間で改善する。
Alamar Blueは、代謝活性の検出に依存して、増殖指標として使用され得る蛍光色素である。蛍光は、Alamar Blueが細胞増殖に応答して化学的に還元される場合に現われる。細胞の数が多くなると、還元された染料が、より多く生産され、530nmの励起、590nmで検出される。染料の酸化された形態は、その範囲で有意に蛍光発光しない。色素のほとんどが還元される場合、Alamar Blueは、青色からピンクに変わる。しかし、任意の明確な色変化を伴わずに、還元された染料が形成され得る。
別の実験において、SW620細胞を、上記のように、Skp2アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号15)または逆コントロールオリゴヌクレオチド(配列番号16)でトランスフェクトした。図10Aに示されるように、逆コントロール処理ではなく、アンチセンス処理は、24および48時間の両方でSkp2 mRNAレベルでの還元を生じる。図10Bは、p27Kip1のレベルが、逆コントロール処理細胞においてよりもアンチセンス処理細胞において高かったことを示す。Cyclin Eレベルは、ゲル充填コントロールとして働くp34cdc2タンパク質レベルと比較することによって決定されるレベルを維持した。細胞周期の間、p34cdc2タンパク質レベルは、変化しない。
(実施例3:アンチセンス処理細胞による乳酸デヒドロゲナーゼの増加した放出)
SW620細胞およびMRC9細胞を、配列番号30のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび逆相補体(配列番号35)を使用して、実施例1に記載される通りに形質転換した。LDHアッセイを、Roche LDHキットを使用して行った。図6に示されるように、配列番号30は、対応する逆コントロールオリゴヌクレオチドよりもより大きな細胞毒性を誘導した。Bcl−2およびBcl−2RCは、例示的な条件を確認するためのポジティブコントロールである。40−1(配列番号36)およびRC40−1(配列番号41)は、Cks2に特異的まアンチセンスおよび逆コントロールオリゴヌクレオチドである。
(実施例4:アンチセンス処理細胞の細胞周期プロフィール)
このアッセイを、以下の物質を使用して行った:PI/RNaseA溶液:1ml PBS+1%血清−20μl PIストックおよび10μl RNaseストックに添加される。50×PIストック:38mMのクエン酸ナトリウム(pH 7.0)中0.5mg/mlのヨウ化プロピジウム。光から保護された冷蔵庫中で貯蔵される。100×RNaseAストック:Tris/HCl(pH 7.5)中25mg/ml RNaseA、15mM NaCl。粉末から作製される場合、これを15分間ボイルし、RTまで冷却し、等分し、そして−20℃で保存する。
哺乳動物の6ウェル皿の1ウェルを、サンプルとして使用した。細胞を、トリプシンの代わりに、少数の死亡細胞およびより少ない塊を生じるPBS/EDTAを使用して、日常的に回収した。細胞を、1000gで5分間スピンし、そして上清を廃棄した。ペレットを、1%の血清で補充したPBSで一回洗浄し、次いで、細胞を、0.5ml PBS中に再懸濁した。レベル3〜5でボルテックスする間に、10mlのEtOH(80%)を、非常にゆっくりと添加して塊にならないようにした。
細胞を、少なくとも15分間4℃で固定液中に置いた。そして固定した細胞を、冷蔵庫中で数週間この様式で維持し得る。細胞を、1000gで5分間遠心分離し、次いで1%の血清を補充したPBSで洗浄した。次いで、細胞を、1mlのヨウ化プロピジウム/RNaseA溶液に再懸濁し、その都度新しく作製し、そして30分間37℃でインキュベートした。
必要に応じて、細胞を、FACS管に細胞濾過器に通してピペッティングする。細胞を、24時間内分析し、そして細胞を氷上に維持し、そしてFACS分析まで光から保護した。10,000細胞を、フィルターとしてFL2−Aを使用して計数した。図9に示されるように、アンチセンス処理によるCks欠乏は、非同期的に増殖するSW620細胞およびMRC9細胞の細胞周期プロフィールを有意に変更しなかった。
本発明の特定の実施形態が、例示の目的のために本明細書中に記載されるが、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、前記から理解される。
図1は、Cks1ポリヌクレオチド(配列番号1)である。 図2は、Skp2ポリヌクレオチド(配列番号3)およびポリペプチド(配列番号4)である。 図3は、腫瘍細胞株におけるCks1メッセンジャーRNAの発現を、アクチンに対して正規化して示す棒グラフである。 図4は、Cks1およびCks2が、腫瘍細胞における細胞増殖に必要であることを示す棒グラフである。図4Aは、Cks1(配列番号30)に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドでSW620細胞を処理することによって示す。 図4は、Cks1およびCks2が、腫瘍細胞における細胞増殖に必要であることを示す棒グラフである。図4Bは、Cks2(配列番号39)に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドでSW620細胞を処理することによって示す。 図4は、Cks1およびCks2が、腫瘍細胞における細胞増殖に必要であることを示す棒グラフである。図4Cは、配列番号15(Skp2に特異的)で処理した細胞の増殖を示す。 図5は、配列番号27および配列番号30を用いて、Cks1枯渇が、SW620細胞の足場非依存性増殖を阻害することを示す棒グラフである。 図6は、アンチセンス処理によるCks1枯渇が、MRC9(図6A)細胞およびSW620(図6B)細胞において細胞毒性を引き起こすことを示す棒グラフである。 図7Aは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたCks1発現の阻害により、p27Kip1が蓄積することを示す棒グラフである。図7Bは、p27Kip1の蓄積を確認する写真である。p34cdc2は、細胞周期依存性キナーゼ(Ckd1としても公知)である。p45kp2は、タンパク質Skp2である。 図8は、Cks2ではなくCks1の枯渇が、腫瘍細胞におけるp27Kip1タンパク質レベルに影響を及ぼすことを示す。 図9は、アンチセンス処理によるCks1枯渇が、非同期的に増殖するSW620細胞およびMRC9細胞の細胞周期プロフィールを有意には変更しないことを示す。 図10は、Skp2枯渇が、サイクリンE分解に直接には影響を及ぼさないことを示す。Skp2ASは配列番号15であり、そしてSkp2RCは配列番号16である。図10Aにおいて、Skp2RCではなくSkp2ASが、処理したSW620結腸癌細胞におけるSkp2 mRNAレベルを低下した。図10Bにおいて、サイクリンEレベルは、Skp2ASによって有意には影響されない。 図11は、Skp2RC(配列番号16)ではなくSkp2AS(配列番号15)が、正常ヒト線維芽細胞におけるSkp2 mRNAレベルを低下させることを示す棒グラフである。 図12は、足場非依存性増殖に対するCks1およびSkp2枯渇の影響を示す棒グラフである。 図13は、p27枯渇が、足場非依存性増殖に対するCks1アンチセンスの影響を逆転することを示す棒グラフである。
【配列表】
Figure 2005523280
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  1. 抗cks1アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて癌を処置する方法。
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