JP2005522465A - 気腫を治療するための組成物および方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、肺中の線維(例えば、肺胞壁中のコラーゲンおよびエラスチン線維)が耐えなければならない力の量を減少させることによる、気腫を治療するための組成物および方法を特徴とする。一実施形態において、より詳細には、本発明は、拡張した肺胞(例えば、健常な患者(すなわち、明確な肺疾患を有さない患者)における平均的な肺胞よりも実質的に大きい(例えば、5、10、20、50もしくは100%またはそれより大きい)直径を有する肺胞)に適用されると、正常な吸気により膨張する際の肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるように肺胞中の表面張力を変化させる、脂質を含む製薬上許容できる組成物を特徴とする。本組成物は、約30〜約70ダイン/cmのγを示しうる。

Description

技術分野
本発明は、気腫のような特定の肺疾患を有する患者を治療するための組成物および方法を特徴とする。
背景
気腫とは、喘息および慢性気管支炎とともに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)として知られる疾患の症候群をいう。これら3つの疾患は、いずれも呼吸困難を引き起こし、そして多くの場合、長期にわたって進行する点で関連している。しかしながら、その病因、病状、および予後の点で、本質的な差異が存在する。例えば、喘息および慢性気管支炎が気道の疾患であるのに対し、気腫は、終末細気管支よりも末梢側の肺の実質における不可逆的な破壊的変化に関連している。喫煙が気腫の第一の原因である;喫煙は、エラスターゼおよびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の双方の活性化に関連した、肺の内部での炎症応答を誘発する。これらの酵素は、肺の組織ネットワークを作り上げる主要なタンパク質を分解する(Shapiro et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 160:s29−s32, 1999; Hautamaki et al., Science 277:2002−2004)。実際、気腫における肺の機能不全の病理学的な決定要因は、弾性組織の進行性の破壊であると考えられ、これにより肺の収縮力(recoil)が失われ、進行性の過剰膨張が引き起こされる。
二百万人近いアメリカ人および少なくとも3倍もの多くの世界中の人が、気腫に罹患している(American Thoracic Society, Am. J. Resp. Crit. Care Med. 152:s77 s121, 1995)。気腫を有する平均的な患者は、約60歳までに危機的な悪化レベルに達し、この時点で、多くの場合に息切れのような兆候を経験し始める。加えて、身体機能が低下し始め、生活の質が悪化し、そして入院の頻度が増加する。健康に対する公的な積極的な唱導にもかかわらず、喫煙は相変わらず一般的であり、気腫はおそらく新たなミレニアムに入っても依然として主要な健康問題であり続けるであろう。
気腫が独特な病気であるとしても、気腫を治療するために開発してきた療法は、喘息および慢性気管支炎を治療するために用いられる療法を模範としている。その治療は、5つのカテゴリに分類されうる:(1)気道の筋肉の弛緩を促進することにより狭窄または収縮した気道の開放を助ける、吸入および経口の医薬;(2)気道の炎症および分泌を減少させる、吸入および経口の医薬;(3)慢性低酸素血症を有する患者における肺の過剰緊張および肺性心(右心不全)の進行を遅延させまたは予防するように設計される、酸素療法;(4)心臓血管機能、身体機能、および生活の質を改善する運動プログラム;並びに(5)喫煙に関連した障害の進行を予防することにより肺機能の欠損を遅延させるための喫煙休止プログラム(Camilli et al., Am. Rev. Resp. Dis. 135:794 799, 1987)。これらのアプローチはそれぞれこの患者集団において有益な効果を示しているが、酸素療法および喫煙の休止のみがこの疾患の自然歴を有意に変化させる(Nocturnal Oxygen Therapy Trial Group, Ann. Intern. Med. 93:391, 1980)。
要約
上述したように、気腫のような特定の肺疾患においては、肺の内部の線維ネットワークが徐々に破壊される。その結果、肺の内部の収縮圧が減少し、長期にわたって、残りのそれぞれの線維はますます大きな力を支えなければならなくなる。ある時点で、線維が受ける応力は、正常な呼吸の負荷によって線維が切断するポイントにまで達する。応力による線維の断裂が気腫の進行に寄与しているという発想は、従来の思考からの転換を意味する。
本発明は、肺中の線維(例えば、肺胞壁中のコラーゲンおよびエラスチン線維)が耐えなければならない力の量を減少させることにより、気腫を治療するための組成物および方法を特徴とする。本発明の組成物は、一般的には気管支樹(肺胞は、気管支樹の末端部分におけるとても小さい嚢状構造である;酸素および二酸化炭素は、毛細血管が肺胞と接触する部位の血液を利用して交換される)を通じて肺胞の内表面に適用されることから、本明細書中、「界面フィルム」とも称されうる。このフィルムは、その組成それ自体によってのみならず、当該フィルムが示す生物物理学的特性によっても定義される。本発明の界面フィルムの内容、および得られる生物物理学的特性は、当業者に現在周知の通常のサーファクタントまたはサーファクタント代替物(例えば、エキゾサーフ(EXOSURF)およびサーバンタ(SURVANTA);例えば、エキゾサーフは5ダイン/cm未満の最小表面張力を有さない)のいずれのものとも異なる。現在知られている代替物は、サーファクタントの機能不全が主要な異常である疾患(例えば、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、胎児肺硝子膜症、および先天性横隔膜ヘルニア)を治療するために用いられている。従って、正常なサーファクタントを模造する努力が払われている。結果として、代替のサーファクタントは、サーファクタントの機能不全がほとんどもしくは全くない気腫の治療には有効でない。
下記の実施例には、天然に存在するサーファクタントの値に類似しうるk、k、γmin、およびm値(これらのパラメータは以下で定義される(γは、本明細書中、「g」とも示される))を与えるが、天然または代替のサーファクタントとは異なり、約30ダイン/cmより大きいγ値(例えば、約32、35、40、45、50、55、60、65または70ダイン/cmより大きい)を有する、脂質から作られる広範な界面フィルムの生物物理学的特性の体系的な分析が記載されている。(サーファクタントのような)界面活性剤は、溶液に添加されると気液界面に優先的に分配する。これは、その配置が熱力学的に有利なためである。この気液界面に生じる表面張力(γ)は、2つの因子の関数である:(1)添加される具体的なサーファクタント;および(2)添加されるサーファクタントの量。少量のサーファクタントのみが添加される場合、表面張力は徐々に低下する。さらにサーファクタントが添加されると、表面張力はさらに低下する。しかしながら、さらに多くのサーファクタントが添加されると、さらにサーファクタントを添加しても表面張力がそれ以上低下しない限界まで達する。この限界がγである。サーファクタントの濃度およびサーファクタントのタイプの双方の関数であるγとは異なり、γは、サーファクタントのタイプのみの関数である。γは、サーファクタントの濃度が無限大となった場合の極限において到達する表面張力である。γは、サーファクタント、界面フィルム、または他の界面活性剤に固有の特性である。
一実施形態において、本発明は、脂質を含む(そして、他の実施形態においては、タンパク質(もしくはペプチド)および/または多糖をさらに含む)製薬上許容できる組成物を特徴とする。肺に適用される他の組成物中にも脂質は含まれているが、本明細書中に記載される界面フィルムの脂質成分は、従来適用されているものとは異なる。本願では、生物物理的な重要な特性を有する界面フィルムが拡張した肺胞(例えば、約200〜300μを超える直径を有する肺胞)に適用されると、当該界面フィルムは、正常な吸気、またはより好ましくは、正常な深吸気により膨脹する際の肺胞中の線維への応力を低下させるように肺胞中の表面張力を変化させる。この応力の減少は、線維の断裂を阻害する(すなわち、処置されていない患者の肺、または現在知られているサーファクタント、例えば、エキゾサーフを用いて処置された患者の肺でみられるのと比較して、断裂する線維の数を減少させる、または線維が断裂するまでの時間を延長させる)のに充分であるべきである。応力の減少は生理学的レベル(例えば、線維の断裂)で評価されうるが、患者の全体的な健康状態または肺の状態についてのその他の客観的または主観的な指標の改善によってもまた、評価されうる。従って、本明細書中に記載の1以上の特徴(例えば、本明細書中に記載のγ)を有する、脂質から作られる組成物は、正常な吸気により膨脹する際の肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるように、拡張した肺胞(または、健常人もしくは他の動物における肺胞の平均直径よりも大きい平均直径を有する肺胞群)中の表面張力を変化させる。後述するように、拡張した肺胞は、気腫のような肺疾患を有する患者におけるものであってもよく、応力の低下は、肺の検査や肺中の線維の検査から、または患者の健康状態の改善(例えば、呼吸の容易さの改善もしくは努力する能力の改善;疾患の進行の遅れもまた、界面フィルムが表面張力を減少させていることの指標である)といった外部パラメータから、明らかとなりうる。
肺容量減少療法を受けた、進行性の気腫を有する患者の臨床的な観察、および最近の実験的な観察に基づくと、気腫を有する患者の肺中の線維は、10〜20cmHOの吸気圧で断裂しうるようである。断裂を予防するため、界面フィルムは、好ましくは、患者が深呼吸をする際に生じる収縮力の50〜75%を支えるべきである。直径が約300μの肺胞に対して、かようなフィルムにより生じる表面張力は、約50ダイン/cmにまで達するべきであろう。以下にさらに述べるように、界面フィルムが、吸気の最後の表面張力が肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるのに充分大きく、呼気の最後の表面張力が肺胞の虚脱を実質的に防止するのに充分小さい(そうでなければ、界面フィルムはガス交換に悪影響を及ぼすであろう)表面張力−表面積プロファイルを示す限り、前記フィルムの組成は変動しうる。フィルムが線維への応力を実質的に低下させるとは、フィルムが、患者の健康状態もしくは疾患プロセスが起こる速度の減少のいずれかにおける改善を患者が期待しうる、または実際に経験するポイントまで、応力を低下させる場合をいう。
肺胞の表面上の表面張力を少しでも増大させると、線維ネットワークにかかる応力は減少する傾向にあるが、肺中に均一に高い表面張力を生じさせる薬剤を投与すると、危険な結果を招来しうる。
現在、気腫の進行を遅延させる療法はないことから、本発明の界面フィルムは、患者、特に気腫を有する患者にとって有益であろう。容量減少処置を受けた患者群では短期間の改善の後は加速度的に機能が消失するため、やはりこれらの患者にとってさえも、有益であろう。かような患者は、(Cooper et al., J. Thorac. &Cardiovasc. Surg. 112:1319− 133O, 1996に記載のような)外科的な肺容量の減少を受けていてもよいし、(Ingenito et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 164:295 301, 2001に記載のような)非外科的な減少を受けていてもよい。
さらに、本明細書中に記載の組成物および方法は、外科手術の危険を伴うことなく、LVRSに類似した利益を提供しうる。(本発明の組成物および方法は、LVRSに代えて、あるいはLVRSとともに、用いられうる。)界面フィルムにより生じる収縮力は、界面フィルムが広がる表面積の大きさに応じて変化するため、呼吸時の可動域(excursion)が小さい、大きな肺胞は、より小さい肺胞よりも大きい内向きの収縮力を有する。その結果、本明細書中に記載の界面フィルムは、化学的な、界面フィルムにより誘導される容量の減少に相当する現象を起こすことで、大きい、機能不全の肺胞を実質的に縮小させ、そして肺機能を改善させることができる。気腫の進行を遅らせる界面フィルムは、(急性投与または慢性投与のいずれの後にも)毒性を示さず、合成または代謝回転または正常なサーファクタントに対してほとんどまたは全く影響を及ぼさなければ、より安全かつ効果的であろう。本明細書中にさらに記載されるように、表面張力−表面積プロファイルは重要であり、この界面フィルムのプロファイルは、線維ネットワークへの応力が最大となる肺容量が大きい場合(吸気の最後)には表面張力がより大きく、肺容量が小さい場合(呼気の最後)には肺胞の虚脱を生じないように表面積がより小さいというものでなければならない。最適な界面フィルムは、周期的な呼吸およびより困難な呼吸の際に生じるのと同程度の表面積可動域(surface area excursion)を超えるように充分機能すべきである。さらに、必要であれば、界面フィルムは、少なくとも数時間持続する有利な効果を発現すべきである(そうでなければ、服薬スケジュールが不便となりうる)。本発明の界面フィルムは天然に存在するサーファクタントの抽出物ではないため、従来のもののように、ウイルス性の汚染物質またはプリオンのようなタンパク質性の汚染物質を含有することはほとんどありえない。ウシ海綿状脳症(BSE)とヒトクロイツフェルト−ヤコブ病との関係は、動物性製品を用いて処置される際に患者が負うべき危険性を思い出させる。本発明の界面フィルムが脂質を含有していることを考えれば、これらは比較的安価に製造でき、それゆえ誰にとっても容易に入手可能であることが期待される。
より詳細には、一実施形態において、本発明は、拡張した肺胞(例えば、健常な患者(すなわち、明確な肺疾患を有さない患者)の平均的な肺胞よりも(例えば、5、10、20、50、もしくは100%、またはそれを超えて)実質的に大きい直径を有する肺胞)に適用されると、正常な吸気により膨張する際の肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるように肺胞中の表面張力を変化させる、脂質を含む製薬上許容できる組成物を特徴とする。治療上有効であるために、本組成物は、肺胞中の線維への応力を、前記線維が断裂しない、または、本組成物の不存在下で(すなわち、処置されていない患者または公知のサーファクタントを用いて処置された患者で)線維が断裂するのよりも小さい速度で前記線維が断裂する点まで減少させなければならない。治療上の有効性は、患者の疾患の経過を追跡することにより(疾患の進行の減衰として示される有効性)、または疾患の客観的な兆候もしくは臨床症状を評価することにより(1以上のこれらの兆候もしくは症状の改善として示される有効性)、決定されうる。上述したように、本組成物は、吸気の最後の表面張力が肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるのに充分大きく、さらに、呼気の最後の表面張力が肺胞の虚脱を実質的に防止するのに充分小さい表面張力−表面積プロファイル(例えば、図6に示すプロファイルに実質的に類似するプロファイル)を示す。本組成物は、約30〜約70ダイン/cm(例えば、約35〜約65ダイン/cm;約40〜約60ダイン/cm;約45〜約55ダイン/cm;または少なくとも32、35、40、45、50、55、60、65、もしくは70ダイン/cm)のγを示しうる。
前記脂質は、例えば、ジアラキドニルホスファチジルコリン(DAPC;例えば、少なくとも約50%のDAPC(例えば、50、55、60、65、70、75、または80%のDAPC))であってもよく、本組成物は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC;例えば、5〜30%のDPPC(例えば、5〜25%、5〜15%、5〜10%、または6、7、8、9、12、15、18、20、もしくは25%のDPPC))をさらに含んでもよい。これらの脂質の一方または双方を含む組成物は、ホスファチジルグリセロール、アラキドン酸、パルミチン酸、コレステロール、および/または1以上のタンパク質もしくはペプチド(例えば、天然のサーファクタントタンパク質B、天然のサーファクタントタンパク質A、天然のサーファクタントタンパク質C、組換えサーファクタントタンパク質C、疎水性を有する小さいαらせんペプチド、もしくは他のペプチド様化合物)をさらに含んでもよい。特定の実施形態において、本組成物は、例えば、脂質の合計組成が組成物の100%を越えないように選択されて、50〜80%のジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、10〜30%のホスファチジルグリセロール、1〜10%のパルミチン酸、および1〜10%のアラキドン酸を含みうる。加えて、脂質から作られる本発明の界面フィルムは、いずれも、抗炎症薬、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベクラメタゾン、もしくはフルチカゾン)、気管支拡張薬、抗コリン性化合物、または、炎症もしくは気道の緊張を調節する薬をも含みうる。本発明の組成物はまた、標的領域における組成物の検出を容易にするためのマーカー(例えば、フッ素系化合物)をも含みうる。
本発明の組成物は、気腫または肺胞中の線維が増大した応力を受ける他の肺疾患を有する患者(例えば、ヒト患者)を治療するために用いられうる。前記患者は、外科的なまたは非外科的な肺容量減少療法を受けた患者であってもよい。
気腫を有する患者の治療における実用性を考えると、本組成物は、吸入による投与、または気管を通して肺中に界面フィルムを喉頭注入すること(installation)による投与のために製剤化されうる。従って、本発明は、吸入による投与(例えば、乾燥粉末として)または喉頭注入による投与(例えば、水もしくは緩衝化生理溶液(例えば、生理食塩水)中の溶液として)のために製剤化された、本明細書中に記載の界面フィルム組成物を特徴とする。
本発明はまた、本明細書中に記載の界面フィルム組成物を含む装置を特徴とする。一実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の界面フィルム組成物を含む乾燥粉末の吸入に適した携帯吸入装置を含む。かような装置の多くは、通常は呼吸器系に抗喘息薬(例えば、気管支拡張薬およびステロイド)または抗炎症薬をデリバリーするために設計されて、市販されている。前記装置は、粉末を湿気から保護し、偶発的な大量服用の危険性を最小化するために設計されうる、乾燥粉末の吸入器であってもよい。前記吸入器は、単回吸入器(single−dose inhaler)であってもよいし、複数回吸入器(multi−dose inhaler)であってもよい。他の実施形態において、本発明は、例えば、本発明の界面フィルムを含む、超音波ネブライザーまたは加圧メッシュネブライザー(pressure mesh nebulizer)などのネブライザーを含む。
本発明はまた、例えば、滅菌水または生理学的に許容できる緩衝液のバイアルを前記界面フィルムに加えて含有するキットを特徴とする。必要であれば、前記キットは、粒子状物質を発生させるための噴霧システム(噴霧器は現在市販されている)並びに、使用説明書、および他の、例えば起こりうる副作用を記載した、印刷物を含有してもよい。
本発明の1以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明中に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明および図面から、並びに特許請求の範囲から、明らかであろう。
図面の簡単な説明
図1は、肺胞の区画およびその内部で均衡している力の概略図である。
図2は、40%の歪み振幅(strain amplitude)の前(上)および後(下)の肺におけるコラーゲン線維ネットワークの2つの蛍光顕微鏡画像である。肺胞壁はラベル化されている。組織が伸びる前には、損傷していない六角形のネットワークがみられる。伸びた後、このネットワークは不完全となり、これは線維の断裂を示している(Kononov et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 164: 1920−1926, 2001)。
図3は、有限要素コンピュータモデルシミュレーションにより作成された画像である。この画像は、既存の水疱性領域、すなわち孔を有する気腫の肺に類似した系における応力分布を示している。これらの水疱性領域の縁において応力は最大であり、この領域では、線維の断裂により、水疱の拡張、持続的かつ局所的な応力集中、およびさらなる線維の障害が引き起こされる(Suki et al. Am. J. Resp. Crit. Care Med. 163:A824,; 2001)。
図4は、1mg/mlの濃度の通常のサーファクタントについて、表面張力(ダイン/cm)を表面積プロファイルと比較するグラフである。最小の表面張力は1ダイン/cm未満であり、低容量時に肺胞が虚脱する傾向を最小化する。完全膨張時に、通常のサーファクタントは、表面張力を約30ダイン/cmに変化させる。
図5は、異なる肺胞の半径において、界面フィルムが膨張圧を完全に支える能力を示すグラフである。より大きい表面張力を生じさせうるフィルムは、有意により高い膨張圧を支えることができる。
図6は、気腫を有する患者の治療において有効であると考えられる界面フィルムの生物物理学的特性を示すグラフである。前記フィルムは、高いγmaxおよび低いγminを有しており、これにより、呼気の最後近くに虚脱を引き起こすことなく、完全な肺の吸気に近い膨張圧を支えることができる。
図7は、コンピュータモデルにより作成されたグラフである。このグラフは、面積(mm)に対して表面張力(γ(ダイン/cm))をプロットしており、呼吸をシミュレートした周期的な発振(cyclic oscillation)時の表面積の変化に従った、界面フィルムの挙動の異なる状態を示している。
図8は、天然の子牛の肺サーファクタントの等温線のグラフである。前記等温線は、溶液中のサーファクタントの濃度(ここでは、γに達するのに必要な量に対するサーファクタントの濃度として示され、これはG/Gに等しい)と表面張力γとの関係を示している。白丸は、平衡条件下においてこの関係を示す異なる濃度で、子牛の肺サーファクタントについて記録されたデータを示す。白三角は、平衡から徐々に圧縮した場合の準静的条件下において、子牛の肺サーファクタントについて記録されたデータを示す。
図9は、通常の子牛の肺サーファクタントについて測定された(左のグラフ)、および、下記のパラメータセット:K=6×10ml/g/分;K=5ml/g;γ=22.2ダイン/cm;γmin<0.5ダイン/cm、およびBからDへの傾き、指定されるM=170ダイン/cm、を用いて、対応するマッチングコンピュータシミュレーション(matching computer simulation)により測定された(右のグラフ)、2つの表面張力、表面積プロファイルを示すグラフである。
図10は、異なる平衡表面張力(γ)を有するフィルムについて、表面積(mm)に対する表面張力(ダイン/cm)を示すグラフである。
図11は、ジアラキドニルホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、パルミチン酸(PA)、およびアラキドン酸(AA)の混合物についての、(75%のdA/Aについての)表面張力−表面積プロファイルを示すグラフである。拍動性サーファクトメトリー(pulsating surfactometry)により測定されたこのプロファイルは、1、20、および100サイクル/分で示される。この挙動は、表1に記載のk、k、γ、およびm値により説明される。
図12は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスにおける、ベースラインでの、並びに、生理食塩水または脂質から作られる本発明の組成物(すなわち、70%のDAPC、20%のホスファチジルグリセロール、5%のDPPCおよび5%のアラキドン酸を含有する組成物)を用いた処置後2、10、20、および60分での気道抵抗(Raw)をまとめたグラフである。
図13は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスにおける、ベースラインでの、並びに、生理食塩水または脂質から作られる本発明の組成物(すなわち、70%のDAPC、20%のホスファチジルグリセロール、5%のDPPCおよび5%のアラキドン酸を含有する組成物)を用いた処置後2、10、20、および60分での組織抵抗(G)をまとめたグラフである。
図14は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスについての、準静的収縮の圧力体積曲線をまとめたグラフである。0Ptpでの体積は、浸水による容積置換により測定した。TskマウスについてのP−V関係は上方および左方にシフトしており、気腫の生理と一致している。Tskマウスにおいて0Ptpでの体積は増加しており、コントロールと比較した、捕捉されたガスの増加と一致している。
図15は、コントロールC57B/6マウス(左のグラフ)およびTsk(+/−)マウス(右のグラフ)についての、生理食塩水投与後の(実線)または脂質から作られる本発明の組成物を用いた処置後の(点線)準静的な圧力体積曲線をまとめた2つのグラフである。処置されたマウスでは、双方の系統のマウスについて、曲線の右方への有意なシフトがみられ、収縮力が増大したことを示している。Tsk(+/−)マウスでは、コントロールよりも、サーファクタントにより、捕捉されたガスが大きく減少した。
詳細な説明
本明細書中に記載の組成物は、肺疾患(より詳細には、気腫;実施例における、組織モデル、コンピュータモデル、およびインビボモデルを参照)との関連で設計され、そして試験された。これらのモデルは、収縮圧、並びに界面フィルムおよびサーファクタントの他の生物物理学的特性のような、肺機能に重要な種々のパラメータを評価するために用いられうる。肺において、収縮圧は、2つの因子によって決定される:組織線維ネットワークが伸びることに起因する収縮圧、および肺胞の表面に(すなわち、気液界面に)存在するサーファクタントにより生じる表面張力に起因する収縮圧。これらの圧力を図1に示す。図1において、肺胞の隔壁に沿って伝達される力は、線維によって支えられている(大きい矢印)のに対し、内向きの収縮力は界面フィルムによって与えられ、個々の肺胞の内部に分散している(小さい矢印)。
平衡状態(例えば、深吸気に続いて息を止めているとき)では、肺の内部での力のバランスは以下の関係により説明される:
Figure 2005522465
ただし、P膨張は、封入されたガスの体積により生じる肺中の膨張圧であり、P組織は、線維ネットワークにより生じる収縮圧であり、および、P表面張力は、肺胞の内部を覆うサーファクタントにより生じる表面張力による圧力である(Stamenovic, Physiol. Rev. 70:1117−1134, 1990)。膨張圧は、吸気の最後、すなわち深吸気の直後に最大であり、このとき肺は膨張している。呼吸サイクルにおけるこれらの時点において、P組織が線維の降伏限界を超える可能性が最も高く、これを超えることにより線維が断裂する。
本明細書中に記載の界面フィルムは、肺の内部での力のバランスに影響を及ぼす。前記フィルムは、特定の機構により機能するものに制限されないが、本発明者らは、前記フィルムは、気腫における肺の機能不全の主要な決定因子であるP組織を変化させるのではなく、P表面張力を変化させることで、力のバランスに影響を及ぼしうると考えている。よって、本発明が特定のメカニズムによって機能する組成物に制限されることなく、本明細書中に記載の界面フィルムは、機械的に作用し、そしてP組織と協調して肺中の膨張力を支えるための線維への応力を逆に軽減させるP表面張力を増加させることによって、上記の等式によって記述される平衡関係に影響を及ぼすと考えられる。この応力を緩和させることにより、収縮圧が全肺気量近くまで増加し、組織の収縮力が低下している患者(例えば、気腫を有する患者)における肺機能が改善する。肺中の線維ネットワークを保護することにより、疾患の進行が遅れる。さらに、P表面張力が増加する(そして組織の収縮力が改善される)と、肺容量の減少による恩恵が長引く。
近年、上記の薬物療法の補助手段として外科的療法が導入されつつあり、その結果は目覚ましいものがある。肺容量減少手術(LVRS)として知られる外科的アプローチにより、特定の選択基準を満たす気腫患者の大多数において、肺機能、運動能力、呼吸症状、および生活の質が改善している(Cooper et al., J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 109:106 116, 1995)。LVRSでは、損傷し、過剰に膨張した肺が除去され、これにより、過剰に拡張した肺と、より正常な大きさの胸壁とがより適合する。胸腔の内部に残存する、肺の一部は、より拡張でき、これにより、換気に効率的に寄与しうる肺の割合が増加する(Fessler et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 157:715 722, 1998)。収縮圧は増加し、呼気の流通が改善される。今日まで、LVRSは、気腫の主要な生理学的異常である肺の過剰拡張を直接的に処置する唯一の治療法である。
残念なことに、LVRSの恩恵は時間が経つと減衰しうる場合がある。ピーク応答は手術後1年かそこらで生じるが、その後減衰しうる。LVRS患者の多くは、初期の優れた改善にもかかわらず、3〜4年以内に、処置前の機能状態に戻ったかもしれない(Gelb et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 163: 1562−1566, 2001)。
従って、本発明の組成物は、肺胞中の線維ネットワークが傷害されている(すなわち、肺疾患を有しない患者よりも断裂しやすい)肺疾患を有する患者に対して、投与されうる。かような患者には気腫を有する患者が含まれ、気腫を有する患者は、肺容量の減少(外科的または非外科的技術のいずれによりなされたものであるかにかかわらず)の前または後に処置されうる。本発明の組成物および方法は、例えば、WO01/13908に記載のものと組み合わせて用いられうる。
界面フィルムの生物物理学的特性。図4は、天然に存在する肺サーファクタントの表面張力−表面積の挙動を示す。最小の表面張力は約0.5ダイン/cm未満であり、最大の表面張力は約32ダイン/cmである。最大膨張時にこのサーファクタントにより支えられうる膨張圧は、ラプラスの法則により表されるように、局所的な肺胞の半径の関数である:
Figure 2005522465
ただし、ΔPは、肺胞に対する膨張圧であり、γは、フィルムの表面張力であり、そしてrは、肺胞の半径である。約100ミクロンの半径を有する正常な肺胞に対して、界面フィルムは約6.3cmHOの膨張圧を支えることができる。線維ネットワークは、それを超える膨張圧を支えなければならない。線維ネットワークが損傷し、または徐々に破壊され、平均的な肺胞の大きさが増加している肺疾患においては、界面フィルムが膨張圧を支える能力が低下する。例えば、半径が約300μmまで増加した肺胞について、通常のサーファクタントが支えうる膨張圧はたった2.1cmHOである。従って、深吸気後の全肺気量における膨張圧が10cmHO(深刻な気腫を有する患者での一般的な値)であり、肺胞壁における線維の降伏応力が約7.0cmHOである場合、通常のサーファクタントは、半径が約100μmの肺胞中の線維を保護することはできるが、約300μmの半径を有する肺胞中の線維を保護することはできない。
図5は、異なる大きさの肺胞の内部を覆う界面フィルムにより支えられうる膨張圧の範囲を示す。各線は、約32ダイン/cmのγmaxを有する通常のフィルムから、約70ダイン/cmのγmaxを有するフィルムにまで分布する異なる最大表面張力を有するフィルムを示す(通常のサーファクタントは最も低い線で示される;40、50、60および70ダイン/cmを有する界面フィルムについてのデータは、徐々に高くなるそれぞれの線で示される)。これらのデータは、γmaxが(例えば、約32ダイン/cmから70ダイン/cmまで)増加すると、界面フィルムがより大きい膨張圧を支え、それにより肺胞のより多くの部位を潜在的な線維の障害から保護する能力が向上することを示している。
本明細書中に記載の目的にとっては好ましい高値のγmaxは、γminの上昇をも伴うのが一般的である。残念なことに、フィルムは、呼気の最後に肺胞の虚脱を防止するために最小表面張力をゼロ近くまで変化させなくてはならないため、かようなフィルムは治療上有用でありそうもない。従って、(線維ネットワークが応力を受ける)肺疾患を有する患者の治療において有用な界面フィルムは、図6に示す生物物理学的特性:界面フィルムの完全拡張時の大きい最大表面張力、およびフィルム圧縮時の小さい最小表面張力、に類似の特性を有しているであろう。従って、本発明の組成物は、約1.0〜約3.0mmの肺胞表面積に対して、図6に示す表面張力と実質的に同じ表面張力を示す、脂質から作られる組成物を含む。例えば、本発明の組成物は、吸気に伴って表面積が増加している肺胞中に膨張して、約60〜70ダイン/cm(例えば、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72ダイン/cm)の最大表面張力を示し、そして、呼気に伴って表面積が減少している肺胞中で圧縮して、0〜約10ダイン/cm(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ダイン/cm)の最小表面張力を示す。(グラフの上昇する線および上方の横軸線は吸気時の表面張力の変化を示し、グラフの下降する線および下方の横軸線は呼気時の変化を示す。)
下記の実施例に記載されているように、本発明の界面フィルムの生物物理学的特性を分析および定義するために、組織モデルおよびコンピュータモデルが用いられており、これらのモデルは、種々の成分(本明細書中に記載の1以上の成分を含む)を有する界面フィルムが必要な生物物理学的特性を有するかどうかを決定する目的で、前記界面フィルムを簡単に検査するために用いられうる。これらのモデルにおいてうまく機能するフィルムは、肺疾患の動物モデルにおいて検査されうる。
有用な界面フィルムとしては、約30〜約70ダイン/cm(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、または70ダイン/cm)に及ぶγ(実施例2を参照)を有するものが挙げられる。実際、天然に存在するサーファクタントと、(特に気腫を有する患者において)P膨張のバランスをとるための生物物理学的ステントとして用いられうる界面フィルムとの間の重要な違いは、γである。界面フィルムにおけるγは、天然に存在するサーファクタントにおけるよりも大きくあるべきである。さらに、P膨張のバランスをとるために有用な界面フィルムは、以下の一以上の生物物理学的特性:約6×10ml/g/分のk;約5ml/gのk;および約170ダイン/cmのm、を有してもよい。好ましくは、界面フィルムは2つの目的を達成する。第1に、界面フィルムは、肺中の間質線維ネットワークに対する膨張圧の潜在的な障害効果を予防する。第2に、界面フィルムは同時に、肺胞が最も虚脱しやすくなる呼気の最後に、肺胞の安定化を助ける。
界面フィルムに要求される具体的な生物物理学的特性は、含有する脂質の量およびタイプが変化する多くの組成物によって、付与されうる。本明細書中に記載の組織モデル、コンピュータモデル、およびインビボモデルにおいて、脂質の具体的な組合せが検査され、他の組合せはこれらのまたは類似のモデル(例えば、偏光角顕微鏡および原子間力顕微鏡の使用)において簡単に検査されうる。
実施例3には種々の界面フィルムが記載されており、多くの界面フィルムの生物物理学的特性をまとめた表1によれば、種々の異なる脂質プロファイルを用いて類似の生物物理学的挙動が生じうることが示される。
Figure 2005522465
表1に示される組成物はほとんど全体が脂質成分からなる混合物であるが、天然に存在するタンパク質または合成ペプチドが含まれてもよい。実際、これらのタンパク質またはペプチドの添加によっても、組成物に好ましい生物物理学的特性が付与されうる。インビトロにおいて合成脂質混合物の機能を増大させることが示されている、天然のサーファクタントタンパク質および/または合成の両親媒性短鎖αらせんペプチドのより具体的な類似体も含まれうる(例えば、McLean et al., Am. Rev. Resp. Dis. 147:462 465,1993; Lipp et al., 5 Science 273:1196−1199, 1996; Nilsson etal., Ear. J. Biochem. 255:116−124, 1998;およびGustafsson et al. FEBS Letters, 384:185−188, 1996を参照)。
本明細書中に記載の界面フィルムは、気腫の生理学的な関係で特定の利点を有しており、生体外(ex vivo)での試験により示唆される利点は、インビボでの研究により確認される(実施例4を参照)。これらの組成物は、おそらく肺の拡張した機能不全領域の虚脱を選択的に引き起こすことによって、高肺容量時に特異的に収縮力を増大させ、ガスの捕捉の減少を促進する。
上述したように、本発明の組成物は、肺容量減少処置を受けた患者を含め、気腫を有する患者の治療に有用である。気腫の進行において重要な機械的な力は、損傷した肺組織をよりよく機能させようとして拡張する場合には、肺容量の減少後に顕著である。しかしながら、この再拡張過程によって、組織中の張力が増大し、進行中の組織線維の損傷が促進される。このことは、肺機能の急速な減退として臨床的にも明白である。
製剤および使用
本発明の組成物は乾燥粉末として製剤化されてもよく、当該組成物は使用前にもどされ(reconstituted)うる。例えば、気腫の治療に適切な生物物理学的特性を有する界面フィルムは、乾燥粉末として製剤化されてもよく、投与の前に水(例えば、滅菌された、防腐剤を含まない水)を用いてもどされうる。可能であれば、そして防腐剤や抗ウイルス薬が排除されている場合には、界面フィルムは無菌技術を用いてもどされるべきである。もどされた界面フィルムは、約2〜8℃で貯蔵すれば、約24時間、無菌かつ安定なままであると考えられる。無菌技術が保証されない場合には、使用前に迅速にもどすことが好ましく、未使用の懸濁液はいずれも廃棄されるべきである。
患者が意識不明で挿管状態にある場合には、気管内のチューブを経由して、全量が投与されうる。投与速度は変動する可能性があるが、もどされた懸濁液が蓄積することなくチューブ(または、チューブの内部に挿入されたカテーテルのような装置)を通過し、肺に到達できるように充分大きくすべきである。今日までに行われた研究により、推奨される最短の全量投与時間は4分間であることが示されている。患者の状態が悪化したら、投与を遅らせ、または中断すべきである。悪化の兆候および症状としては、皮膚の退色(患者が青白くまたは土気色に見える)、心拍の遅れまたはむら、および一過性に留まらない動脈血中酸素濃度の低下などが挙げられる。界面フィルムが気管内のチューブに蓄積した場合にもまた、投与を遅らせ、または中断すべきである。
界面フィルムは、例えば、滅菌水、生理学的に許容できる緩衝液、または他の生理学的に許容できる懸濁媒体、担体、もしくは希釈剤のバイアルを界面フィルムに加えて含有する、キットの形態で供給されてもよい。必要であれば、当該キットは、粒子状物質を発生させるための噴霧システム(噴霧器は現在市販されている)並びに、使用説明書(印刷されても、音声もしくはビデオカセット、またはその双方でもよい)、および他の、例えば起こりうる副作用を記載したものを含有してもよい。
他の投与方法も適切であり、当該方法には、代替サーファクタント療法について現在適切かつ有効と考えられている全ての方法が含まれる。直接的かつ有効な方法は、気管を通して肺中に界面フィルムを喉頭注入することである。前記フィルムは、水または緩衝化生理溶液(例えば、生理食塩水、PBSなど)における溶液として投与されてもよく、数分(例えば、5〜15(例えば、約6、8、10、12、または14分))にわたって投与されうる。今日までに行われた研究により、一般的な用量は患者の体重1キログラム当たり約10〜約300ミリグラムの界面フィルムに及んでもよく、好ましくは約25〜約125mg/kg(例えば、25、30、35、40、45、50、75、または100mg/kg)であることが示されている。界面フィルムは、1時間毎に、1日に1回もしくは数回(例えば、4、6、8、12、もしくは24時間毎に)、1週間に数回、長期間規則的に(例えば、1週間毎に、2週間毎に、1ヶ月毎に、もしくは半年毎に)、または頓用で不規則に、投与されうる。
患者の肺中へ粉末をデリバリーするための有用な機構は、乾燥粉末の吸入に適した携帯吸入装置を介したものである。かような装置の多くは、呼吸器系に抗喘息薬(例えば、気管支拡張薬およびステロイド)または抗炎症薬をデリバリーするために設計されて、市販されている。前記装置は、粉末を湿気から保護し、偶発的な大量服用の危険性を最小化するために設計されうる、乾燥粉末の吸入器であってもよい。さらに、前記装置は界面フィルムを光から保護することができ、そして以下の1以上を提供しうる:広範な流速の間隔における、高度に呼吸に適した画分および肺への高度な堆積;用量および呼吸に適した画分のばらつきが小さいこと;マウスピース中への粉末の残留が少ないこと、吸入器表面への吸着が少ないこと;用量サイズに対して柔軟であること;および、吸入抵抗が低いこと。前記吸入器は、単回吸入器であってもよいし、複数回吸入器であってもよい。
粉末形態の界面フィルムは、従来の方法を用いて、種々の方法により製造されうる。必要であれば、活性成分(例えば、1以上の脂質)を微粉化してもよい。また、より狭い(すなわち、10μM未満)気道中に最大に堆積させるのに適切なサイズ範囲の1次粒子を製造する目的で、適当なミル(例えば、ジェットミル)を用いてもよい。例えば、脂質および界面フィルムの他の成分(例えば、タンパク質またはペプチド)、並びに担体(必要な場合)を乾燥混合させ、これらの物質を一緒に微粉化してもよい。あるいは、これらの物質を別々に微粉化し、次いで混合してもよい。混合される化合物が異なる物理的特性(例えば、硬度または脆性)を有する場合、微粉化に対する耐性が変わり、適切な粒子径にまで崩壊するために、各化合物は異なる圧力を必要としうる。
分子レベルで混合させる目的で、上記成分をまず適当な溶媒(例えば、滅菌水、PBSなど)に溶解させてもよい。こうすれば、pH値を所望のレベルに調節することができる。粉末を得るためには、界面フィルムがその生物学的活性を持ち続けるような工程によって、溶媒を除去すべきである。適当な乾燥方法としては、減圧濃縮、オープンドライ(open drying)、スプレードライ、および凍結乾燥が挙げられる。乾燥後、必要であれば、粗粉末を得るために固体の材料を粉砕してもよく、さらに必要であれば、微粉化してもよい。
さらに、必要であれば、微粉化された粉末を加工し、吸入(または他の)装置中および外からの流れ方を改善してもよい。例えば、取扱い性に優れた球状の凝集体を形成するために、粉末を乾式造粒により加工してもよい。その場合には、大量の凝集体が装置から出ないように、装置が設定される。この加工により予想される利点は、患者の気管に進入する粒子がほとんど所望のサイズ範囲内であるということである。
デリバリー装置はまた、界面フィルムの成分を含有するエアロゾルクラウド(aerosol cloud)を発生させるネブライザーであってもよい。ネブライザーは本技術分野において知られており、ジェットネブライザー(空気または液体;例えば、EP−A−0627266およびWO94/07607を参照)、超音波ネブライザー、または加圧メッシュネブライザーであってもよい。通常は振動圧電素子を用いて発生する超音波を用いて液体を噴霧させる超音波ネブライザーは、多くの形態を有する(例えば、米国特許第4,533,082号および5,261,601号、並びにWO97/29851を参照)。加圧メッシュネブライザーは、圧電素子を含んでも含まなくてもよく、WO96/13292において開示されている。
ネブライザーは、乾燥粉末や定量吸入器とともに、物質を肺気道へデリバリーするために一般的に用いられる。定量吸入器は一般的であり、溶解した形態で、または分散剤(推進システムは歴史的に一以上のクロロフルオロカーボンを含んでいたが、これらは環境にやさしい推進剤に取って代わられている)として、薬剤をデリバリーするために用いられうる。一般的に、これらの吸入器は、エアロゾル化された薬剤を装置の起動によって気管中へ進入させるための比較的蒸気圧の高い推進剤を含む。一方、乾燥粉末の吸入器は一般的に、乾燥粉末形態の薬剤を肺中に導入するには患者の吸気の努力に全面的に頼っている。ネブライザーは溶液にエネルギを伝えることにより、薬剤のエアロゾルを形成する。より最近では、フッ素系媒体を用いて、液体換気または肺洗浄時に治療薬が肺中にデリバリーされている。
実施例1:気腫の組織モデル
肺胞壁内部のコラーゲンおよびエラスチン線維は視覚化され、あるいは多くの状況により評価されうる(例えば、図2を参照)。例えば、肺胞を含む肺組織は、健常な動物(ヒト患者を含む)または自然のもしくは実験的に誘導された気腫のような疾患プロセスの結果として拡張した肺胞を有するヒトもしくは他の哺乳動物から得られうる。インビボでの呼吸(浅い呼吸、正常な呼吸、または深い呼吸を含む)時に組織に課される力を模擬した力により、当該組織は機械的に伸ばされることができ、医薬組成物が線維の断裂を抑制する能力を評価する目的で、公知のサーファクタントや本発明の界面フィルムのような医薬組成物の存在下または不存在下において、当該組織は伸ばされうる。
上述したように、肺胞が拡張すると、正常な呼吸の歪みに近い歪みにおいて線維の断裂が生じる。この結果は肺全体の規模で生じうるが、特定の位置での局所的な規模の方がより起こりやすい。しかしいずれにせよ、応力に関連する組織ネットワーク繊維の断裂によって、組織の損傷が急速かつ自己伝播的に進行し、この断裂は気腫の進行に寄与する。
実験的な気腫を有するラットから単離された組織片の応力歪み関係を明らかにした。繰り返しの応力による線維ネットワークの形状および完全性を評価する目的で、オーガンバス(organ bath)システム中で機械的応力を適用する際に、蛍光抗体ラベル化を用いてコラーゲンおよびエラスチン線維を直接視覚化した。得られた顕微鏡画像の1つを図2に示す。線維は伸びるにつれて、より歪むようになる。正常な呼吸の歪みに近い歪みにおいて、線維の断裂が観察された。このことは、深刻な末期の気腫を有する患者が組織の障害の危機的レベルに達したときに、この患者において起こることに類似している。
実施例2:肺容量の減少の影響を受けた、気腫のコンピュータモデル
肺胞壁中のコラーゲンおよびエラスチン線維に相当する、応力を支える線維のネットワークからなる肺をシミュレートするために、有限要素コンピュータモデルを用いた。ヒトの肺生理の典型的なパラメータ値を用いることにより、高い応力が集中する中心がこのモデルにより同定され、この中心は小さい水疱の縁に沿って局在化する傾向がある。伸びている際には、高い引張り応力を受ける線維(図3において線維1、2、および3として示す)が断裂し、これにより水疱が拡張し、局所的な歪みの集中が増幅される。断裂によってより弱くなるにつれて、このプロセスは自己伝播的となる。最終的な結果は臨床の診療においてみられるのと同等であり、LVRS後の観察とも一致する。初期の改善にもかかわらず、LVRS後の肺機能においては、最終的に急速な減衰がみられる。この処置は組織の収縮力を増大させるために行われるが、これは同時に、線維ネットワークの内部における応力場の増大を引き起こしうる。
肺容量減少処置を受けた患者は、一般的に深刻な肺疾患および重大な組織の障害を有しているため、応力に関連した変化によって、これらの患者の肺生理に対して顕著な影響が生じることが期待されうる。しかしこの処置は、明らかに外部摂動であり、弾性収縮圧を増大させることから、線維が耐える応力に対して唐突な「ステップチェンジ(step change)」を負荷する。(気腫を有する患者は呼吸による応力を支えるための線維をほとんど有していないけれども、気腫の自然歴の一部である応力緩和の結果として、全体の応力は減少している。)肺容量の減少は、肺生理に対し短時間では、有益な影響を及ぼすが、コンピュータモデルでシミュレートし、そして実施例1に記載の組織片実験において観察したメカニズムによれば、長期的には、急速な線維の断裂をも引き起こしうる。
上述したように、方程式:
Figure 2005522465
によれば、収縮圧は少なくとも2つの成分、すなわち、線維ネットワークにより生じる「組織」成分、および、界面フィルムにより生じる「表面張力」成分によって発生する。
LVRSが収縮圧を増大させるのはP組織を増大させることによるが、これによって、線維ネットワークに対する障害が引き起こされる;界面フィルム療法が収縮圧を増大させるのはP表面張力を増大させることによるが、このことが線維ネットワークに対して障害を及ぼすことはない。
本実施例により、多くのあらゆる状況において、肺内部の線維に対する応力を評価する目的でコンピュータモデルが用いられうることが示される。コンピュータモデルは、例えば、種々の条件下(例えば、浅い呼吸、正常な呼吸、または深い呼吸)の、健常な動物(ヒト患者を含む)または、気腫で起こるような拡張した肺胞を有する動物における肺組織をシミュレートするために、用いられうる。コンピュータモデルはまた、(外科的もしくは非外科的な肺容量減少処置により)肺容量が減少した後の肺組織をシミュレートするために、および、公知のサーファクタント、サーファクタント代替物、もしくは本発明の界面フィルムを用いて処置された組織をシミュレートするために、用いられうる。従って、本明細書中に記載のようなコンピュータモデルは、これらの組成物が線維の断裂を抑制する能力を評価する目的で、用いられうる。
界面バランス装置(surface balance device)を用いて測定される表面張力−表面積プロファイルから界面フィルムの界面の挙動を明らかにするために、第1の原理に基づくコンピュータモデルが用いられてきた(Ingenito et al. Appl Plysiol. 86:1702−1714, 1999)。本実施例において用いられるモデルは、動的な界面挙動が、それぞれがフィルムが拡張している(液体状態で)か、または圧縮している(ゲル相または固相で;図7を参照)かに応じて、繰り返し中の異なる時点に適用される、3つの異なるプロセスの観点から記述されうることを前提としている。コンピュータモデルは、3つの異なる界面濃度形態の観点から、界面へのまたは界面からのサーファクタント(または任意の界面フィルム)の輸送を特徴付けうる。
第1の形態において、界面濃度(Γ、表面積cmあたりのサーファクタントのモルとして測定される)は、バルク相(bulk phase)の濃度(C)が増大すると到達しうる、最大平衡界面濃度(Γ)未満である。これは図7の線分FCで表される。本形態において、界面への吸着および界面からの脱着は、ラングミュア(Langmuir)の関係に従って起こると仮定されている:
Figure 2005522465
ただし、tは、時間であり、kは、吸着係数であり、kは、脱着係数であり、Aは、界面の面積であり、そして、M=ΓAは、界面におけるサーファクタント(または界面フィルム)の量である。表面張力(γ)は、Γ/Γ=0のときにγ=70ダイン/cmであり、Γ/Γ=1のときにγ=γであるというように界面濃度の上昇に伴って直線的に減少することが示される静的等温関係を通して、界面濃度と関係している。この関係から、等温の傾きはm=−dγ/d(Γ/Γ)と定義される。図8を参照。
図7で線分CDおよびEFとして示される第2の形態において、界面濃度Γは、Γよりも大きい。しかしながら、Γは、界面における界面活性剤の側方圧縮(lateral compression)時に到達しうる最大濃度(Γmax)未満のままである。本形態において、サーファクタント(または界面フィルム)は不溶性としてモデル化されており、このことは、サーファクタント(または界面フィルム)がバルク相と界面活性剤の交換を行わないことを意味する。図8に示すように、本形態におけるγとΓ/Γとの関係は、mとは異なる、ある傾き−mで、直線的に減少する。この領域は、サーファクタントの静的な測定により特徴付けられないということに留意することは重要である。フィルムは、かような低い表面張力に到達するためには、外部の動的圧縮を受けなければならない。
図7で線分DEとして示される第3の形態において、ΓはΓmaxに等しい。サーファクタント分子は可能な限り強く界面に圧縮されており、界面濃度はそれ以上増加することができない。この時点で表面張力はその最小値(γmin)に達し、フィルムの圧縮により表面積がさらに減少しても一定のままである。さらに圧縮すると、スクイーズアウト(squeeze−out)またはフィルムの崩壊によって、界面からバルクへと材料が失われる。
γは、バルク濃度が5mg/mLまで上昇したときに測定される最小平衡表面張力として定義され;そしてγは、Γに等しいサーファクタントの界面濃度に対応する。故意の最高バルク濃度(1mg/mL)における動的なフィルムの圧縮時に到達する最小表面張力により、γminが決定される。等温の傾きであるmは、高いバルク濃度(1mg/mL)でのサンプルのためのフィルムの圧縮中に表面張力がγからγminへと減少した、動的な発振時の不溶性形態(図7の線分CD)における表面積に対する表面張力の傾き(dγ/dA)を用いて決定された。m2は、Γ/Γが1より大きいときの傾きdγ/d(Γ/Γ)として定義される。この傾きは、表面張力を測定し、そして表面張力が一旦減少し始めると、界面フィルム内のサーファクタント材料の量は一定なままであると仮定することによって、準静的なフィルム圧縮時に実験的に決定される。従って、界面濃度および表面張力は、気液界面でのサーファクタント分子の数の変化というよりも、むしろ単に表面積の変化の結果として変化する。
界面フィルムの生物物理学を説明するためのモデルパラメータの評価。モデルの挙動は5つのパラメータによって決定される:形態(i)におけるサーファクタントの吸着(k)および脱着(k)の速度定数、最小平衡表面張力(γ)、傾きm、および、フィルムの圧縮時に到達可能な最小表面張力(γmin)。mはγにより決定されることに留意すべきである。これらのパラメータは、気泡型表面張力計(pulsating bubble surfactometer)のような装置を用いてインビトロでなされる、平衡のおよび動的な表面張力測定により、評価されうる。
このパラメータセットの観点から界面フィルムの挙動を記述することにより、任意の特定の生物物理学的特性を有する界面フィルムの生物物理学的特性を容易に比較し、そして完全に明らかにすることが可能である。図9を参照すると、左のパネルは、正常な子牛の肺サーファクタントについて測定された表面張力−表面積プロファイルを示し、一方、右のパネルは、以下のパラメータセット:k=6×10ml/g/min;k=5ml/g;γ=22.2ダイン/cm;γmin<0.5ダイン/cm;およびBからDへの傾き(mと示す)=170ダイン/cm、を用いた、対応する「マッチング」コンピュータシミュレーションを示す。図9に示すように、このパラメータセットを用いて行われたシミュレーションは、拍動性表面張力計を用いて測定されたものとほとんど同一であった。このモデルを用いることで、図6に示す表面張力−表面積プロファイルにより示される生物物理学的特性に類似の特性を有する界面フィルム(本発明の範囲内であるプロファイルを有し、気腫のような肺疾患を有する患者の治療に有用な界面フィルム)を生じさせるためにはどのパラメータの組み合わせが必要とされるかを決定することが可能である。シミュレーションは、所望の標的プロファイルに適合する組み合わせが決定されるまで、コンピュータモデルのパラメータのそれぞれを一定の範囲の値で体系的に変化させることにより行った。このアプローチは、生物物理学的パラメータのセットまたは好ましいと思われる表面張力−表面積プロファイルを示すフィルムの特定の組み合わせが特異的であることは保証しないが、有用な製品の開発にとって特異性は本質的なことではない。フィルム圧縮時に5ダイン/cm未満の表面張力を維持し、50ダイン/cmを超える表面張力を達成する、脂質、あるいは脂質とタンパク質および/または多糖との任意の組み合わせが、所望の目的を発揮しうる(例えば、気腫を有する患者の有効な治療法として機能しうる)。
気腫の線維ネットワークを支えるための理論上の「理想的な」界面フィルムの挙動に最もよく合うパラメータセットは、以下の通りである:k=6×10ml/g/min;k=5ml/g;m=170ダイン/cm;および約20〜約70ダイン/cm(例えば、30〜65ダイン/cm)にわたるγ。通常のサーファクタントから「生物物理学的ステント」として用いられうる理論上の理想的なものへの界面フィルムの変化を生じさせるために必要とされる最も重要なパラメータ変化は、おそらくγの増加である。
γの体系的な増加に伴って、表面張力が表面積に対してどのように変化するかを表すシミュレーションを、図10に示す。これらのシミュレーションにより、急速に吸収され、動的な圧縮時に高い界面圧を維持し、そして40ダイン/cmを超える平衡表面張力を示す能力を有する脂質の組み合わせが有用であることが確認される。かようなフィルムは、肺中の間質線維ネットワークに対する膨張圧による潜在的な損傷効果を防止し、一方で同時に、肺胞が最も虚脱しやすい呼気の最後において肺胞を安定化するという、2つの目的を達成することができる。
静的な条件下では、気液界面に吸着するサーファクタントフィルムは、当該フィルムがラプラスの法則に従って拡散する構造の幾何学的特徴によって表面張力が変化するという独特な特性を示す。上述したモデリング分析によれば、動的な繰り返し時には表面張力は系に特有の要因の変化の振幅の関数であることがさらに示されている。このことは、具体的には、表面張力が、表面積自体の大きさに対する表面積の変化の振幅であるΔA/Aの関数として変化することを意味している。この挙動特性は、ラングミュア速度論の生物物理学に特異的に関連している。界面フィルムが平均的な所定の面積から大きく変動すると、小さな変動の際よりも多くの界面活性物質が界面へ移動する。その結果、表面積が比較的大きく変動すると、圧縮しているフィルムは、表面積の変動の小さいフィルムよりも、より早く低い表面張力へと到達しうる。
これらの静的および動的な独特の生物物理学特性は、界面フィルムを生化学的ステントとして利用するという特定の目的で気腫を有する患者に対して界面フィルムを投与することの潜在的な有用性に関して、重要な意味合いをもつ。γ平衡およびγmaxが増大するように界面フィルムを変化させると、収縮力が増大し、結果としてより小さい肺胞サイズでの新たな平衡が生じる傾向がある。しかしながら、変動が大きくなると表面張力の低下が生じ、機械的安定性が付与される傾向がみられるため、これらの同一のフィルムが、ΔA/Aがより大きいより正常な肺の領域に対して有害な効果を示すことはない。従って、これらの生物物理学的特性を満足する界面フィルムは、2つの異なるメカニズムを介して、気腫を有する容量減少療法の前後の患者を利する可能性を有している。第1に、肺胞の大きさとは無関係に、界面フィルムは、大きい表面張力および大きいP界面フィルムを生じ、通常のサーファクタントフィルムよりも大きい収縮力を肺膨張時に肺胞の隔壁に対して付与することによって、実質の線維ネットワークに対する機械的な支持を提供しうる。これにより、ネットワーク内部の個々の線維のコラーゲンおよびエラスチン成分に対する応力が減少し、そして線維の断裂の傾向が緩和されうる。第2に、これらの特性を有するフィルムは、肺の最も損傷した領域に位置する最大の肺胞に対して、より損傷していない領域に対するのと比較して、より大きい静的な収縮力、より大きい虚脱の傾向、および化学的な「肺容量減少」を引き起こすより大きい傾向を付与する。
実施例3
上述したように、サーファクタントの機能不全が主要な異常である疾患において、研究者や外科医らは、正常なサーファクタントの特性を有するサーファクタント代替物を提供することに狙いを定めている。その目的は、(本発明者らのコンピュータモデルシステムによって定義されるような)以下の生物物理学的特性:k=6×10ml/g/min;k=5ml/g;γ=22.2ダイン/cm;γmin<0.5ダイン/cm;および、BからDへの傾き(mと示す)=170ダイン/cm、を有するサーファクタントを投与することによって、表面張力を低下させ、肺胞の安定性を回復させることである。また、上述したように、かような組成物は有効なサーファクタント代替物であるけれども、気腫を治療するための有効な治療薬ではない。
本発明者らは、どの脂質の組み合わせが、35〜65の間のγ値を示し、かつ天然のサーファクタントのものに類似のk、k、γmin、およびm値を示しうるのかを評価する目的で、脂質に基づく広範な代替療法の生物物理学的特性の体系的な分析を行った。
候補となる脂質サンプルを、1.5mMのCaClを含有する通常の生理食塩水中で調製し、マイクロプローブソニケータを用いて3×20秒、氷上で超音波分解し、次いで、従来記載のように、1、20、および100サイクル/分で表面張力対表面積プロファイルを測定するために、気泡型表面張力計中にロードした(Ingenito et al., J. Appl. Physiol. 86:1702−1714, 1999)。生物物理学的特性を完全に特徴付けるために、サンプルを1.0、0.1、および0.01mg/mLの濃度で測定した。その後、k、k、m、γ、およびγmin値の推定値を得るために、それぞれの濃度およびサイクル振動数で測定されたプロファイルを、オティス(Otis)らによって従来記載された(J. Appl. Physiol. 77:2681−2688, 1994)ように、コンピュータシミュレーションと照合した。このアプローチを用いることで、本発明者らは、肺の、特に気腫によって損傷している領域の線維ネットワークを保護しうるフィルムについての上記の具体的な設計特性に適合する生物物理学的特性を有する脂質の特有の組み合わせを同定した。
ある形態において、脂質混合物は、70%のジアラキドイルホスファチジルコリン(PC)、25%のホスファチジルグリセロール(PG)、2.5%のパルミチン酸(PA)、および2.5%のアラキドン酸(AA)から構成される。75%のdA/Aについての代表的な表面張力−表面積プロファイルを図11に示す。
リン脂質および脂肪酸のこの組み合わせは、生体適合性であり、合成でき、かつ免疫原性がない。個々の試薬は購入および再構成するのが安価ですみ、ネブライザーを介して容易に投与され、またはターボヘイラー(turbohaler)投与用の乾燥粉末として容易に調製されうる。
本発明者らが検査した他のいくつかの組成物は、おそらく上記の組成物ほど好ましくはないが、それでも気腫の治療に用いられうる程度の特性を有する。かような組成物としては、ジパルミトイルホスファチジルコリンを、ホスファチジルグリセロールおよびパルミチン酸と65:25:10%の混合物として混合したもの;ジパルミトイルホスファチジルコリンを、ホスファチジルグリセロールと70:30%の混合物で混合したもの;並びに、10%までの、アラキドン酸もしくはパルミチン酸のような脂肪酸、および数%のコレステロールを含むまたは含まないホスファチジルグリセロールからなる他の30%とともに、ジアラキドイルホスファチジルコリンおよびパルミトイルホスファチジルコリンを混合物全体の70%まで互いに混合したものが挙げられる。
実施例4
ヒトの気腫の特有の性質を有する種々の小動物モデルが開発され、臨床研究において利用されている。それぞれは、この疾患に関する1以上の疑問を解決するのに適した特有の性質を有している。この作業のためには、この混合物の投与によって、肺胞の虚脱および短絡の伝播に起因するガス交換における顕著な異常を引き起こすことなく収縮圧が増大しうるという仮説を検証する目的で、過剰膨張および弾性収縮圧の低下という生理学的特性を示すモデルが必要である。
これらの必須の生理学的特性を示す、遺伝子操作されたマウスの種々の系統が、作成され、特性が明らかにされている(Shapiro et al., Am J i Respir Cell Mol Biol. 22:4−7, 2000)。これらとしては、タイトスキン(Tightskin)マウス(Tsk +/−)、ブロッチーマウス(Blo)、SP−Dノックアウトマウス、コラゲナーゼトランスジェニックマウス、クロト(klotho)トランスジェニックマウス、IL−11トランスジェニックマウス、およびPDGF−Aノックアウトマウスが挙げられる。いくつかの系統はジャクソン ラボラトリーズ(Jackson Laboratories)(Bar Harbor, ME)より市販されている。この初期の検査ではTskマウスを用い、その生理を野生型C57BL/6マウスの生理と比較した。
マウスをウイルスフリーの施設にて飼育し、供給業者からの配達の1および3週間後(6〜8週齢)に検査した。12匹のTsk(+/−)マウス(重量19.6±3.7g)および12匹のC57BL/6マウス(重量21.3±1.6g)(ジャクソン ラボラトリーズ)を、それぞれ2つのグループに分けた。グループIの動物(各系統につきn=6)はコントロールとして機能し、測定されたベースラインの静的および動的な肺機能、並びに、生理食塩水の単独投与後の繰り返しの測定値を有していた。グループIIの動物(各系統につきn=6)は検査群を構成し、同様に測定されたベースラインの静的および動的な肺機能、並びに、吸入された、超音波分解された検査用脂質混合物の投与後の繰り返し測定された値を有していた。
動物を腹腔内のペントバルビタール(60mg/kg)により麻酔し、気管内に挿管した。剣状突起の下部(subxiphoid)をわずかに切開して胸郭内腔を露出させ、大気圧を基準として口腔内圧を評価することにより肺圧差を測定できるようにした。機械的な換気を開始する前に、全ての測定が類似の容量歴(volume history)または肺の圧力−容量状態を反映することを保証する目的で、動物の肺を一旦0.75mLまで膨張させた。換気装置による支持は、コンピュータ制御された容量サイクル式小動物換気装置を用いて、換気容量0.3mL、150呼吸/分、3cmHO呼気終末陽圧でのFio=0.21(大気)の設定で管理した。
ルッチェン(Lutchen)らの換気装置最適波形(optimal ventilator waveform)(OVM)法(J. Appl. Plysiol. 75:478−488, 1993)を用いて、肺機能の動的測定を行った。複数の振動数のエネルギを有する強制振動容量波形を入力信号として入力し、従属出力変数として肺圧差を測定する。振動数および振幅の強制は、有効な換気を得るように選択し、一方では同時に、ある幅の振動数にわたる肺インピーダンスの評価を可能にする。低い振動数での応答では肺抵抗の組織成分(Rti)についての具体的な情報が得られ、高い振動数での応答では気道抵抗(Raw)の正確な評価が可能となり、そして振動数によるエラスタンス(EL)の変化のパターンにより、肺内部の時定数の不均一性についての情報が得られる。肺のメカニクスの測定は3回行い、肺抵抗および動的エラスタンスは振動数の関数として表した。肺の粘弾性特性を記述しているハントス(Hantos)らの一定位相モデル(constant phase model)(J. Appl. Pllysiol. 73:427−433, 1992)にインピーダンスデータを当てはめることにより結果をまとめた:
Figure 2005522465
このアプローチを用いることにより、肺の動的な生理を3つのパラメータの観点からまとめることができる:Raw、G(組織の抵抗を示す)、およびH(組織のエラスタンスを示す)。
肺のメカニクスに対する各吸入療法の効果を評価する目的で、曝露の前(ベースライン)並びに曝露の2、10、20および60分後に、生理学的測定を3回記録した。Ptp=0からPtp=25cmHOまでの準静的膨張−収縮曲線を、ベースライン、吸入後10分、および吸入後60分において記録した。
各実験の完了後、心臓および肺をまとめて除去し、心臓、および縦隔の過剰な組織を切除により除去した。気管をPtp=0で結紮し、目盛りつきの10mLメスシリンダ中で容積置換することにより、肺の絶対容量を測定した。次いで、この容量を用い、Ptp=0での個々の動物の肺容量ではなく(これでは動物毎に異なる可能性があるため)、測定した肺の絶対容量を基準にして、準静的圧力容量曲線を作成した。
次いで、特定の生理学的パラメータの観点から、応答が定量的に特徴付けられるように、準静的な圧力容量関係を、サラザー(Salazaar)およびクノールズ(Knowles)の指数関数的な関係式(J. Appl. Plysiol. 19:97 104, 1964)に当てはめた。用いた関係式は:
Figure 2005522465
であり、ただし、Vmaxは、無限大の圧力において到達する肺の容量であり、A=Vmax−Vminであり、Vminは、膨張圧が0のときの肺の容量であり、kは、圧力と容量との間の適合のプロファイルを示す形状係数であり、Vは容量であり、およびPは、肺圧差である。この式を用いると、圧力−容量の関係が、Vmax、Vmin、およびkの関係として一意的に記述されうる。
吸入療法により得られた各グループの生理の変化を、繰り返し測定用のANOVAを用いて、統計的有意性について評価した。グループ間の生理の変化については、ツーウェイ分散分析(two way ANOVA)により評価した。統計的有意性は、p<0.05として定義した。
生理食塩水および界面フィルムの吸入前および後の肺生理の測定の結果を、図13〜17にまとめてある。界面フィルムの投与後のB6コントロールマウスにおいて、気道抵抗は、おそらく狭い気道に対する効果によって、増大した。Tskマウスでは、気道の生理に対する界面フィルム投与の効果は最小であった。界面フィルムの投与は、気道の生理よりも肺組織のメカニクスに対してより顕著な効果を示した(図14および15に示す)。界面フィルムの投与によって、B6(時間0における5.75±0.71対時間60分における7.70±0.82cmHO/mL、34%の増加、対応のあるt検定においてp<0.05)およびTsk(4.51±0.66対7.73±0.92cmHO/mL、71%の増加、対応のあるt検定においてp<0.05)マウスの組織抵抗において、持続的な、統計的に有意な増加が引き起こされた。界面フィルムの投与により、双方の系統で、動的エラスタンス値における同様の変化が引き起こされた(図15)。B6マウスでは、処置後にエラスタンスが55%増加し(28.2±4.6対43.5±7.8cmHO/mL、対応のあるt検定においてp<0.05)、一方、Tskマウスでは、56%の増加がみられた(21.0±5.2対32.7±6.9cmHO/mL、対応のあるt検定においてp<0.05)。これらの結果から、この界面フィルムは、気腫を有するヒト患者において有益であると期待されるタイプの、持続的な動的生理学的効果を生じさせうることが示される。
図16および17にまとめられる、静的な肺の生理は、類似の好ましい生理学的効果を示す。図16は、B6コントロールマウスおよびTsk気腫マウスにおけるベースラインの静的な肺のメカニクスを示している。Tskマウスでは、全ての容量において収縮圧が減少しており、0Ptpで保持されるガス容量はB6マウスよりもTskマウスにおいて大きかった。これらの知見は、気腫の生理と一致し、Tsk動物において観察される病理学的変化が、異常な病理と実際に一致していることが示唆される。
静的な肺のメカニクスに対するサーファクタント吸入の効果を、図17にまとめてある。双方のマウスの系統において、生理食塩水吸入の60分後のQSPVCを、界面フィルム吸入の60分後のものと比較している。治療用組成物の投与により、B6およびTskマウスの双方で、全ての肺容量において収縮圧の増大が引き起こされた。全肺気量(0Ptpでの容量よりも1.2mL大きい値に対応する容量として定義される)での収縮圧は、これらの系統の双方において、同様に増大した(B6マウスにおいて26.5%、およびTskマウスにおいて36%)。サーファクタント療法はまた、双方の系統において、捕捉されたガスの容量を減少させた。B6マウスにおいては、Ptp=0での肺容量が18%減少したのに対し、Tskマウスではこの減少は44%であった。
界面フィルムが静的な肺のメカニクスにどのように影響を及ぼすかについてのさらなる知見を得る目的で、QSPVCデータをサラザーおよびクノールズの指数関数データに当てはめた。その結果を以下の表2にまとめてある。本治療用組成物は、圧力と容量との指数関数的な関係の「曲率」を決める、「形状因子」(パラメータk)の一貫した減少を引き起こした。この減少は、B6およびTskマウスの双方で、処置によって、より大きい肺容量において生理食塩水処置後と比べて大きい収縮力の増大が特異的に引き起こされることを意味するが、より小さい肺容量においては影響が小さいこと(すなわち、インビトロでの表面張力表面積プロファイルにより示唆される容量特異的収縮効果)を示唆する。処置はまた、ガスの捕捉においてもまた、一貫した減少を引き起こした。これは、B6コントロールマウスよりもTsk気腫マウスにおいて実質的に大きかった減少である、Vminの減少を反映していた。
Figure 2005522465
本発明の多くの実施形態が記載されている。しかしながら、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、種々の修飾がなされうるものと解される。例えば、上述したように、本明細書中に記載の脂質含有組成物は異なってもよく、フィルム拡張時の最大表面張力を増大させ、5ダイン/cm未満の最小表面張力を維持しうるように組成物が振舞う限り、生物学的に活性または不活性な他の成分(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリエチレングリコール、または他の合成洗剤製剤)を含有しうる。
図1は、肺胞の区画およびその内部で均衡している力の概略図である。 図2は、40%の歪み振幅(strain amplitude)の前(上)および後(下)の肺におけるコラーゲン線維ネットワークの2つの蛍光顕微鏡画像である。肺胞壁がラベル化されている。組織が伸びる前には、損傷していない六角形のネットワークがみられる。伸びた後、このネットワークは不完全となり、これは線維の断裂を示している(Kononov et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 164: 1920−1926, 2001)。 図3は、有限要素コンピュータモデルシミュレーションにより作成された画像である。この画像は、既存の水疱性領域、すなわち孔を有する気腫の肺に類似した系における応力分布を示している。これらの水疱性領域の縁において応力は最大であり、この領域では、線維の断裂により、水疱の拡張、持続的かつ局所的な応力集中、およびさらなる線維の障害が引き起こされる(Suki et al. Am. J. Resp. Crit. Care Med. 163:A824,; 2001)。 図4は、1mg/mlの濃度の通常のサーファクタントについて、表面張力(ダイン/cm)を表面積プロファイルと比較するグラフである。最小の表面張力は1ダイン/cm未満であり、低容量時に肺胞が虚脱する傾向を最小化する。完全膨張時に、通常のサーファクタントは、表面張力を約30ダイン/cmに変化させる。 図5は、異なる肺胞の半径において、界面フィルムが膨張圧を完全に支える能力を示すグラフである。より大きい表面張力を生じさせうるフィルムは、有意により高い膨張圧を支えることができる。 図6は、気腫を有する患者の治療において有効であると考えられる界面フィルムの生物物理学的特性を示すグラフである。前記フィルムは、高いTmaxおよびひくいTminを有しており、これにより、呼気の最後近くに虚脱を引き起こすことなく、肺の完全に近い膨張を支えることができる。 図7は、コンピュータモデルにより作成されたグラフである。このグラフは、面積(mm)に対して表面張力(γ(ダイン/cm))をプロットしており、呼吸をシミュレートした周期的な発振中の表面積の変化に従った、界面フィルムの挙動の異なる状態を示している。 図8は、天然の子牛の肺サーファクタントの等温線のグラフである。前記等温線は、溶液中のサーファクタントの濃度(ここでは、G/Gに等しいγに達するのに必要な量に対するサーファクタントの濃度として示される)と表面張力γとの関係を示している。白丸は、平衡条件下においてこの関係を示す異なる濃度で、子牛の肺サーファクタントについて記録されたデータを示す。白三角は、平衡から徐々に圧縮した場合の準静的条件下において、子牛の肺サーファクタントについて記録されたデータを示す。 図9は、通常の子牛の肺サーファクタントについて測定された(左のグラフ)、および、下記のパラメータセットを用いて、対応するマッチングコンピュータシミュレーション(matching computer simulation)により測定された(右のグラフ)、2つの表面張力、表面積プロファイルを示すグラフである:K=6×10ml/g/分;K=5ml/g;γ=22.2ダイン/cm;γmin<0.5ダイン/cm、およびBからDへの傾き、指定されるM=170ダイン/cm。 図10は、異なる平衡表面張力(γ)を有するフィルムについて、表面積(mm)に対する表面張力(ダイン/cm)を示すグラフである。 図11は、ジアラキドニルホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、パルミチン酸(PA)、およびアラキドン酸(AA)の混合物についての、(75%のdA/Aについての)表面張力−表面積プロファイルを示すグラフである。拍動性サーファクトメトリー(pulsating surfactometry)により測定されたこのプロファイルは、1、20、および100サイクル/分で示される。この挙動は、表1に記載のk、k、γ、およびm値により説明される。 図12は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスにおける、ベースラインでの、並びに、生理食塩水または脂質から作られる本発明の組成物(すなわち、70%のDAPC、20%のホスファチジルグリセロール、5%のDPPCおよび5%のアラキドン酸を含有する組成物)を用いた処置後2、10、20、および60分での気道抵抗(Raw)をまとめたグラフである。 図13は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスにおける、ベースラインでの、並びに、生理食塩水または脂質から作られる本発明の組成物(すなわち、70%のDAPC、20%のホスファチジルグリセロール、5%のDPPCおよび5%のアラキドン酸を含有する組成物)を用いた処置後2、10、20、および60分での組織抵抗(G)をまとめたグラフである。 図14は、C57BL/6マウスおよびTsk(+/−)マウスについての、準静的収縮の圧力体積曲線をまとめたグラフである。0Ptpでの体積は、浸水による容積置換により測定した。TskマウスについてのP−V関係は上方および左方にシフトしており、気腫の生理と一致している。Tskマウスにおいて0Ptpでの体積は増加しており、コントロールと比較した、捕捉されたガスの増加と一致している。 図15は、コントロールC57B/6マウス(左のグラフ)およびTsk(+/−)マウス(右のグラフ)についての、生理食塩水投与後の(実線)または脂質から作られる本発明の組成物を用いた処置後の(点線)準静的な圧力体積曲線をまとめたグラフである。処置されたマウスでは、双方の系統のマウスについて、曲線の有意な右方へのシフトがみられ、収縮力が増大したことを示している。Tsk(+/−)マウスでは、コントロールよりも、サーファクタントにより、捕捉されたガスが大きく減少した。

Claims (29)

  1. 拡張した肺胞に適用されると、正常な吸気により膨張する際の肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるように肺胞中の表面張力を変化させる、脂質を含む製薬上許容できる組成物。
  2. 吸気の最後の表面張力が肺胞中の線維への応力を実質的に低下させるのに充分大きく、呼気の最後の表面張力が肺胞の虚脱を実質的に防止するのに充分小さい表面張力−表面積プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
  3. 図6に示す表面張力−表面積プロファイルに実質的に類似する表面張力−表面積プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
  4. 約30〜約70ダイン/cmのγを示す、請求項1に記載の組成物。
  5. 約35〜約60ダイン/cmのγを示す、請求項4に記載の組成物。
  6. 約45〜約55ダイン/cmのγを示す、請求項4に記載の組成物。
  7. 少なくとも55ダイン/cmのγを示す、請求項4に記載の組成物。
  8. 吸入による投与のために製剤化される、請求項1に記載の組成物。
  9. ジアラキドニルホスファチジルコリン(DAPC)を含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 少なくとも50%のDAPCを含む、請求項9に記載の組成物。
  11. ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
  12. ホスファチジルグリセロールをさらに含む、請求項9または11に記載の組成物。
  13. アラキドン酸をさらに含む、請求項9または11に記載の組成物。
  14. コレステロールをさらに含む、請求項9または11に記載の組成物。
  15. 50〜80%のジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、10〜30%のホスファチジルグリセロール、1〜10%のパルミチン酸、および1〜10%のアラキドン酸を含み、ただし、脂質の合計組成は組成物の100%を越えない、請求項1に記載の組成物。
  16. 天然のサーファクタントタンパク質B、天然のサーファクタントタンパク質A、天然のサーファクタントタンパク質C、組換えサーファクタントタンパク質C、疎水性を有する小さいαらせんペプチド、またはペプチド様化合物をさらに含む、請求項9または11に記載の組成物。
  17. 抗炎症薬、ステロイド、気管支拡張薬、抗コリン性化合物、または、炎症もしくは気道の緊張を調節する薬をさらに含む、請求項9または11に記載の組成物。
  18. 前記ステロイドがヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベクラメタゾン、またはフルチカゾンである、請求項17に記載の組成物。
  19. 気腫または肺胞中の線維が応力を受ける他の肺疾患を有する患者に対して請求項15に記載の組成物を含む、前記患者の治療方法。
  20. 前記患者がヒトである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記患者が肺容量減少療法を受けた患者である、請求項19に記載の方法。肺胞中の線維が応力を受ける肺疾患の治療のための医薬の調製における、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  22. 肺疾患の治療のための医薬の調製における、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  23. 前記肺疾患が気腫である、請求項22に記載の組成物の使用。
  24. 前記医薬が、ヒト患者の治療のために製剤化される、請求項22または23に記載の使用。
  25. 前記医薬が、肺容量減少手術を受けた患者の治療のために製剤化される、請求項22または23に記載の使用。
  26. 肺胞中の線維が応力を受ける肺疾患を有する患者の治療のために製剤化された請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  27. 気腫を有する患者の治療のために製剤化された請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  28. 前記患者がヒトである、請求項26または27に記載の使用。
  29. 前記患者が肺容量減少手術を受けた患者である、請求項26または27に記載の使用。
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