JP2005522221A - チロシンキナーゼ阻害剤に対する患者応答性の予測方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するチロシンキナーゼ応答性、たとえばフィラデルフィア染色体陽性白血病患者の応答性を予測するための2形態のゲノム解析の使用に関するものである。
Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)応答性疾患患者のTKI薬剤に対する応答性の予測方法に関するものである。特に、本発明は、TKI薬剤、たとえばイマチニブメシレートまたはイマチニブまたはグリベック(GLIVEC、登録商標)としても知られているグリベック(GLEEVEC、登録商標)(STI571としても知られている)に対する患者応答を予測するためのゲノム解析の幾つかの形態の使用に関するものである。ゲノム解析のタイプには、遺伝子発現プロファイリングおよび一塩基多型(SNP)の検出がある。
発明の分野
本発明は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)応答性疾患患者のTKI薬剤に対する応答性の予測方法に関するものである。特に、本発明は、TKI薬剤、たとえばイマチニブメシレートまたはイマチニブまたはグリベック(GLIVEC、登録商標)としても知られているグリベック(GLEEVEC、登録商標)(STI571としても知られている)に対する患者応答を予測するためのゲノム解析の幾つかの形態の使用に関するものである。ゲノム解析のタイプには、遺伝子発現プロファイリングおよび一塩基多型(SNP)の検出がある。
先行技術の記載
ヒトゲノムは、今や少なくとも96種のチロシンキナーゼ酵素についてコードすることが知られており、これらのいずれか一つの活性の制御が乱れても、何らかの形態の病気が誘発され得る。チロシンキナーゼ酵素の活性を阻害する薬剤は、その根元的な病因が体内のどこかにおけるチロシンキナーゼ制御の乱れを伴う広く多様な疾患において非常に有効であることが判っている。これらの薬剤にはイマチニブメシレートが含まれる。チロシンキナーゼ制御の乱れを伴うことが知られており、TKI薬剤に応答性を示す疾患には、限定されるわけではないが、慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア(Ph)染色体陽性急性リンパ芽球性白血病、消化管間質性腫瘍(GIST)および好酸球増多症候群の様々な形態がある。TKI薬剤は、様々な疾患の処置に使用されるため、これらの薬剤に著しく応答することが見出されている疾患も増加している。
ヒトゲノムは、今や少なくとも96種のチロシンキナーゼ酵素についてコードすることが知られており、これらのいずれか一つの活性の制御が乱れても、何らかの形態の病気が誘発され得る。チロシンキナーゼ酵素の活性を阻害する薬剤は、その根元的な病因が体内のどこかにおけるチロシンキナーゼ制御の乱れを伴う広く多様な疾患において非常に有効であることが判っている。これらの薬剤にはイマチニブメシレートが含まれる。チロシンキナーゼ制御の乱れを伴うことが知られており、TKI薬剤に応答性を示す疾患には、限定されるわけではないが、慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア(Ph)染色体陽性急性リンパ芽球性白血病、消化管間質性腫瘍(GIST)および好酸球増多症候群の様々な形態がある。TKI薬剤は、様々な疾患の処置に使用されるため、これらの薬剤に著しく応答することが見出されている疾患も増加している。
第一の上記公知疾患の一つは、Ph染色体陽性(Ph+)急性リンパ芽球性白血病である。様々な白血病形態は、類似した根元的病因を有する様々な関連疾患を含む。基本的病因は、正常な造血の調節障害である。この過程は、成熟末梢血細胞となる多能性造血幹細胞の厳重に調節された増殖および分化を必要とする。白血病の全タイプにおいて、一または複数の悪性事象が造血経過中のどこかで生じた結果、種々の機構により、正常には分化し得ず、代わりに制御されていない方法で増殖を続ける子孫を生じることになる。白血病は、罹患セルラインおよび進行速度によって急性型および慢性型並びに骨髄性およびリンパ球性型に分けられる。
CMLはまた、慢性骨髄性(myeloid)白血病、慢性骨髄(球)性(myelocytic)白血病または慢性顆粒球性白血病とも呼ばれる。CMLは、顆粒球、特に好中球系列および時には単球系列の細胞の過剰生産を特徴とする疾患であり、著しい脾腫および非常に高い白血球(WBC)数をまねく。好塩基球増加および血小板増加症は共通している。特徴的な細胞遺伝的異常、Ph染色体は、95%を超える症例で骨髄細胞に存在する。この改変された染色体の存在は、この型の白血病の分子病因論を理解する手掛かりであり、かつ患者における臨床的改善を評価する主要指数である。Sawyers,N.Engl.J.Med.、第340巻、17号、1330−1340頁(1999)参照。
分子病因論
CMLにおける最も著しい病理学的特徴は、典型的CML患者の90%を超える割合における骨髄細胞でのPh染色体の存在である。Ph染色体は、染色体9および22の長いアーム間における染色体物質の均衡転座により形成される。染色体9から得られるよりも多くの染色体物質が染色体22から失われるため、Ph染色体は、そのDNAの正常補体の約60%を含む短縮された染色体22である。染色体9の長いアームのバンドq34で生じる断裂により、断裂点集積領域(BCR)と呼ばれる染色体22の位置へ細胞オンコジーンC−ABLが転座され得る。BCRにおける断裂点は患者によって変化するが、一患者の全細胞では同一である。C−ABLは、V−ABLというマウスにおいて白血病を誘発するアベルソン(Abelson)ウイルスの相同体である。これら2遺伝子配列の並置により、新たなハイブリッド遺伝子(BCR/ABL)が製造され、これは分子量210000kdの新規タンパク質(P210)をコードする。P210タンパク質、チロシンキナーゼは、CML細胞の制御されていない増殖の誘発においてある一定の役割を演じ得る。Ph染色体は、赤血球、骨髄球、単球および巨核球細胞で生じ、Bリンパ球ではそれほど一般的ではなく、Tリンパ球では稀であるが、骨髄線維芽細胞では全く生じない。この広範な細胞分布により、CMLの異常は多能性幹細胞に接近することになる。CML患者における前述の細胞に単一イソ酵素が存在する場合もあるため、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)イソ酵素の試験は、多系統モノクローナル増殖の発見を裏付けている。マウス細胞へP210をコード化するレトロウイルス(BCR/ABL)を挿入すると、これらの動物においてCMLと密接に近似した病気の発現が誘発される場合もあり、BCR/ABLハイブリッド遺伝子だけでCMLを誘発し得るという仮説に信憑性を与えている。C−sis、すなわちシミアン肉腫ウイルスの相同体はまた、CMLにおいて染色体22から染色体9へ転座しているが、断裂点から離れており、良性相CMLでは発現されない。C−sisは、血小板由来増殖因子(PDGF)と同一のタンパク質をコードする。
CMLにおける最も著しい病理学的特徴は、典型的CML患者の90%を超える割合における骨髄細胞でのPh染色体の存在である。Ph染色体は、染色体9および22の長いアーム間における染色体物質の均衡転座により形成される。染色体9から得られるよりも多くの染色体物質が染色体22から失われるため、Ph染色体は、そのDNAの正常補体の約60%を含む短縮された染色体22である。染色体9の長いアームのバンドq34で生じる断裂により、断裂点集積領域(BCR)と呼ばれる染色体22の位置へ細胞オンコジーンC−ABLが転座され得る。BCRにおける断裂点は患者によって変化するが、一患者の全細胞では同一である。C−ABLは、V−ABLというマウスにおいて白血病を誘発するアベルソン(Abelson)ウイルスの相同体である。これら2遺伝子配列の並置により、新たなハイブリッド遺伝子(BCR/ABL)が製造され、これは分子量210000kdの新規タンパク質(P210)をコードする。P210タンパク質、チロシンキナーゼは、CML細胞の制御されていない増殖の誘発においてある一定の役割を演じ得る。Ph染色体は、赤血球、骨髄球、単球および巨核球細胞で生じ、Bリンパ球ではそれほど一般的ではなく、Tリンパ球では稀であるが、骨髄線維芽細胞では全く生じない。この広範な細胞分布により、CMLの異常は多能性幹細胞に接近することになる。CML患者における前述の細胞に単一イソ酵素が存在する場合もあるため、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)イソ酵素の試験は、多系統モノクローナル増殖の発見を裏付けている。マウス細胞へP210をコード化するレトロウイルス(BCR/ABL)を挿入すると、これらの動物においてCMLと密接に近似した病気の発現が誘発される場合もあり、BCR/ABLハイブリッド遺伝子だけでCMLを誘発し得るという仮説に信憑性を与えている。C−sis、すなわちシミアン肉腫ウイルスの相同体はまた、CMLにおいて染色体22から染色体9へ転座しているが、断裂点から離れており、良性相CMLでは発現されない。C−sisは、血小板由来増殖因子(PDGF)と同一のタンパク質をコードする。
細胞遺伝分析での中期の100%は通常Ph染色体の存在を示すが、ある程度正常幹細胞は残存しなければならない。正常2倍体細胞は、長期骨髄培養およびインターフェロン処理、高用量化学療法および自己骨髄移植後に出現する。
過去において、CMLについての予後は悪く、Ph陽性(Ph+)CMLでの平均生存期間は3〜4年であった。インターフェロン処理および集中的化学療法または同種骨髄移植はこれを幾分改善させたが、CML患者の処置における最大の改善はイマチニブメシレートの導入であった。Druker et al.、N.Engl.J.Med.、第344巻、14号、1031−1037頁(2001)、Druker et al.、N.Eng.J.Med.、344巻、14号、1038−1056頁(2001)参照。また、Cecil Textbook of Medicine、第21版、GoldmanおよびBennett編、W.B.Saunders、176章(2000)も参照。イマチニブメシレートまたはイマチニブはまた、グリベック(GLEEVEC、GLIVEC、登録商標)またはSTI571としても知られている。これらの語は以後、互換的に使用する。
イマチニブメシレートは、幾つかのタイプの発癌において誘発的または非常に重要な役割を演じる幾つかのタンパク質のチロシンキナーゼ活性の阻害剤である。Druker et al.、Nat.Med.、第2巻、561−566頁(1996)参照。
CMLにおいて、染色体9および22は、CML細胞を特徴づける+(9;22)相互転座の公式では切頭化されており、2つの融合遺伝子が生成される:誘導体22q−染色体、Ph染色体におけるBCR−ABL、染色体9q+におけるABL−BCR。BCR−ABL遺伝子は、調節されていないチロシンキナーゼ活性をもつ210kdタンパク質をコード化する。このタンパク質は、CMLにおいて病因的役割を演じる。Daley et al.、Science、247巻、824−830頁(199)。イマチニブメシレートは、このタンパク質および他のチロシンキナーゼの活性を特異的に阻害する。
イマチニブメシレートは、CML患者の処置およびPh染色体を伴うCMLまたはALLの急性転化(BC)における患者の処置で驚くべき効力を示している。Druker et al.(2001)前出参照。
さらに、イマチニブメシレートが増殖因子受容体末端である、すなわちc−Kitである別のチロシンキナーゼを阻害できることから、イマチニブメシレートは癌の完全非関連形態、GISTについての有効な処置法となり得る。Brief Report、Joensuu et al.、N.Engl.J.Med.、344巻、14号、1052−1056頁(2001)参照。
イマチニブメシレートは、制御されていないチロシンキナーゼ活性を特徴とする様々な疾患を有する患者において非常に有効であることが示されている。これにはPh+白血病が含まれる。CMLに対するイマチニブの効果を調べる一試験では、300mgまたはそれ以上で処置した54患者のうち、53名は完全血液応答(CHR)を発し、細胞発生応答は、主応答、すなわちPh染色体について陽性である中期細胞の0〜35%を有する17名(投薬された54患者の31%)を含む29名で生じた。これらの患者のうち7名は完全細胞遺伝学的寛解(CCR)を生じた。Druker et al.(2001)前出参照。
本明細書で使用されている「血液応答」は、少なくとも2週間維持された、ベースラインからのWBC数における50%低減化として定義される。
本明細書で使用されている「CHR」の語は、少なくとも4週間維持された、<10000/cmへのWBC数における低減化および<450000/cmへの血小板数の低減化として定義される。
細胞遺伝学的応答を、骨髄におけるPh染色体について陽性である中期細胞のパーセンテージにより決定した。中期20細胞の分析に基づいた、本明細書で使用されている「細胞遺伝学的応答」は、「CCR」(Ph染色体について陽性の細胞無し)、「少数」(Ph染色体について陽性である細胞が36〜65%)および「不存在」(Ph染色体について陽性である細胞が65%を超える)として分類される。本明細書で使用されている「主応答」の語は、完全または部分応答として定義される。
ほぼ100%の血液応答にもかかわらず、全患者がCCRを示すわけではなかった。したがって、限定はされないが、BCR−ABLおよびc−Kitを含むチロシンキナーゼが主たる誘発的役割を演じる疾患を処置するために、TKI、たとえばイマチニブメシレートの効力を予測する手段が要望される。
一塩基多型(SNP)
ヒトゲノムにおける配列変異は主としてSNPにより構成され、配列変異の残りは短い縦列反復、たとえばミクロサテライト、長縦列反復(ミニサテライト)および他の挿入および欠失である。SNPは、ヒト集団において2個のオルターナティブ塩基がかなりの頻度で、すなわち>1%で生じる場所である。SNPは、多型の存在故に、種の要員の中には非突然変異配列を有する場合もあり得、すなわち本来の「対立遺伝子」であり、他の要員は突然変異配列を有し得る、すなわち変異型または突然変異対立遺伝子であるという点で「対立遺伝子」であると言われている。最も単純な場合、突然変異配列が一つのみ存在し得、多型はジアレリックであると言われる。オルターナティブ突然変異の発生は、トリアレリック多型等を生じさせ得る。SNPはゲノム全体に広く存在し、遺伝子の機能を改変するSNPは表現型変異の直接的誘因であり得る。それらの優勢さおよび広範に及ぶ性質ゆえに、SNPは、ヒトの疾患状態に関与する遺伝子をつきとめる重要なツールである可能性を有し(たとえば、Wang et al.、Science、280巻、5366号、1077−1082頁(1998)参照)、2227SNPがDNAの2.3メガ塩基領域全体にマッピングされたパイロット試験が開示されている。
ヒトゲノムにおける配列変異は主としてSNPにより構成され、配列変異の残りは短い縦列反復、たとえばミクロサテライト、長縦列反復(ミニサテライト)および他の挿入および欠失である。SNPは、ヒト集団において2個のオルターナティブ塩基がかなりの頻度で、すなわち>1%で生じる場所である。SNPは、多型の存在故に、種の要員の中には非突然変異配列を有する場合もあり得、すなわち本来の「対立遺伝子」であり、他の要員は突然変異配列を有し得る、すなわち変異型または突然変異対立遺伝子であるという点で「対立遺伝子」であると言われている。最も単純な場合、突然変異配列が一つのみ存在し得、多型はジアレリックであると言われる。オルターナティブ突然変異の発生は、トリアレリック多型等を生じさせ得る。SNPはゲノム全体に広く存在し、遺伝子の機能を改変するSNPは表現型変異の直接的誘因であり得る。それらの優勢さおよび広範に及ぶ性質ゆえに、SNPは、ヒトの疾患状態に関与する遺伝子をつきとめる重要なツールである可能性を有し(たとえば、Wang et al.、Science、280巻、5366号、1077−1082頁(1998)参照)、2227SNPがDNAの2.3メガ塩基領域全体にマッピングされたパイロット試験が開示されている。
SNPおよび特定表現型間における関連は、SNPが表現型の原因となることを示すものでも要求するものでもない。代わりに、かかる関連は、SNPが、表現型についての決定因子が存在するゲノム上の部位付近に位置するため、これらの決定因子、すなわち興味の対象である表現型に随伴して見出されると思われることを示すのみであり得る。すなわち、SNPは、「真の」機能変異型との連鎖不平衡(LD)で存し得る。対立遺伝子関連としても知られているLDは、ゲノムの2つの異なる位置にある対立遺伝子が予想よりも高度に関連しているときに存在する。すなわち、SNPは、特定表現型を誘発する突然変異にそれが近接していることにより価値を有するマーカーとしての役割を果たし得る。病気に関連したSNPはまた、それらが位置する遺伝子の機能に対する直接効果を有し得る。配列変異型は、アミノ酸変化を生じ得るかまたはエキソン−イントロンスプライシングを改変することにより、関連タンパク質を直接修飾し得るか、またはそれは調節領域に存在し、発現周期またはmRNAの安定性を改変させ得る。Nowotny、KwonおよびGoate、Curr.Opin.Neurobiol.、11巻、5号、637−641頁(2001)参照。
共通ゲノム変異型が病気に対する感受性において演じ得る役割の最もよい例として、アポリポタンパク質E(APOE)ε4対立遺伝子がアルツハイマー病(AD)で演じる役割を挙げることができる。ε4対立遺伝子は、ADの存在および若年での発病と非常に関連している。それは、試験された多くの集団で見られる確固たる関連である。St George-Hyslop et al.、Biol.Psychiatry、47巻、3号、183−199頁(2000)参照。多型変異はまた、卒中および心臓血管疾患(WuおよびTsongalis、Am.J.Cardiol.、87巻、12号、1361−1366頁(2001)参照)、および多発性硬化症にも関係している。Oksenberg et al.、J.Neuroimmunol.、113巻、2号、171−184頁(2001)参照。
多くの共通疾患を発病させる危険性および医薬に対する個体応答およびこれらの状態の処置に使用される医薬の代謝は、一変異の影響は小さいものであり得るが、根元的なゲノム変異により実質的に影響されることはますます明白となっている。
したがって、SNPおよび臨床表現型間の関連は、1)SNPが表現型に機能的に関与していること、または2)ゲノム上のSNPの位置付近に表現型の原因となる他の突然変異が存在することを示唆している。第二の可能性は、遺伝形質の生物学に基づいている。大きなDNA片は遺伝し、互いに近接しているマーカーは、多くの世代について関連性の無い個体では組換えられなかったと考えられ、すなわちマーカーはLDに存する。
すなわち、遺伝的連鎖マーカーとしての多型の使用は、特異的形質に関与する遺伝子の位置確認、同定、および特性確認において厳密な重要性を有する。特に、上記マッピング技術により、様々な病気または様々な処置に対する疾患の応答を含む疾患関連特質に関与する遺伝子の同定が可能となる。
発明の要約
本発明は、下記の通り、限定はされないが、Ph+白血病、GIST、CMLまたは過好酸球増加症を含むTKI応答性疾患に罹患しているどの個体が、限定はされないがイマチニブメシレートを含むTKI薬剤に応答しそうであるかの決定方法を提供することによりTKI薬剤の使用における欠点を克服するものである。
本発明は、下記の通り、限定はされないが、Ph+白血病、GIST、CMLまたは過好酸球増加症を含むTKI応答性疾患に罹患しているどの個体が、限定はされないがイマチニブメシレートを含むTKI薬剤に応答しそうであるかの決定方法を提供することによりTKI薬剤の使用における欠点を克服するものである。
Ph+白血病の場合、これらの方法は、どの患者がCCR(またはCCyR)を伴ってTKI薬剤、たとえばイマチニブによる処置に応答するか、およびどの患者がCCR未満で応答するかを予測する。
本発明の一局面は、フィラデルフィア染色体陽性白血病患者において、どの患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答するかを予測する方法であって、a)表12Aおよび12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について血中RNA発現レベルを測定し、
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、d)相関係数が0.57に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そしてe)相関係数が0.57未満である場合、患者が非応答者であるものと決定することを含む方法を提供する。
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、d)相関係数が0.57に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そしてe)相関係数が0.57未満である場合、患者が非応答者であるものと決定することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、フィラデルフィア染色体陽性白血病患者において、どの患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答するかを予測する方法であって、a)表12Aおよび12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について血中RNA発現レベルを測定し、
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、d)相関係数が0.54に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そしてe)相関係数が0.54未満である場合、患者が非応答者であるものと決定することを含む方法を提供する。
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、d)相関係数が0.54に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そしてe)相関係数が0.54未満である場合、患者が非応答者であるものと決定することを含む方法を提供する。
本発明の一実施態様において、複数の55リポーター遺伝子は、表12Aおよび12Bに示された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上を含む。表12Aおよび12Bの5〜10、好ましくは5〜15、5〜20、5〜25、5〜30または5〜35、最も好ましくは5〜40または5〜50、または5〜55遺伝子が測定される。
本発明の別の実施態様において、表12Aおよび12Bに示された少なくとも5、10、20、30または40遺伝子の発現が測定される。好ましくは、少なくとも45または50遺伝子の発現が解析される。最も好ましくは、表12Aにおける31リポーター遺伝子のみが使用される。別の好ましい実施態様では、表12Aおよび12Bの55リポーター遺伝子のみの発現が測定される。
本発明のさらに別の実施態様において、チロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC(登録商標)またはGLIVEC(登録商標))またはSTI571)である。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、a)個体に存在する2コピーのCSK遺伝子について、配列AC020705.4の36211位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そしてb)両方の対がATである場合または一対がATであり、もう一対がGCである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合は低応答者群に個体を割当てることを含む方法に関するものである。
本発明のさらに別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、a)個体に存在する2コピーのCYP1A1遺伝子について、配列X02612の6819位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そしてb)両方の対がATである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合または一方がGCでもう一方がATである場合は弱応答者群に個体を割当てることを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、a)個体に存在する2コピーのIL−1β遺伝子について、配列X04500の1423位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そしてb)両方の対がCGである場合は良好応答者群に、一方の対がATであり、もう一方がCGである場合または両方の対がATである場合は弱応答者群に個体を割当てることを含む方法を提供する。
さらなる実施態様は、チロシンキナーゼ阻害剤がイマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である方法に関するものである。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者における陽性臨床応答の確率を測定する方法であって、
(a)患者から生物学的試料を得、(b)患者から得た試料において表12Aおよび12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上の遺伝子発現レベルを測定し、そして(c)(b)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを、表12Aおよび/または12Bに列挙された同遺伝子の発現レベルと比較し、そして(d)(c)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度を測定し、そして(e)2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度から、患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答する確率を測定することを含む方法に関するものである。
(a)患者から生物学的試料を得、(b)患者から得た試料において表12Aおよび12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上の遺伝子発現レベルを測定し、そして(c)(b)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを、表12Aおよび/または12Bに列挙された同遺伝子の発現レベルと比較し、そして(d)(c)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度を測定し、そして(e)2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度から、患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答する確率を測定することを含む方法に関するものである。
本発明のこの局面の別の実施態様によると、表12Aおよび12Bに列挙されている55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上は、表12Aおよび12Bの5〜10、好ましくは5〜15、5〜20、5〜25、5〜30または5〜35、最も好ましくは5〜40または5〜50、または5〜55遺伝子を含む。
本発明の別の実施態様では、表12Aおよび12Bに示されている少なくとも5、10、20、30または40遺伝子の発現が測定される。好ましくは、少なくとも45または50遺伝子の発現が解析される。最も好ましくは、表12Aにおける31リポーター遺伝子のみが使用される。別の好ましい実施亥態様では、表12Aおよび12Bの55リポーター遺伝子のみの発現が測定される。
本発明のさらなる実施態様では、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患は、フィラデルフィア染色体陽性白血病(Ph+白血病)である。好ましい実施態様では、チロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である。
好ましくは、生物学的試料は、組織生検、血液、血清、血漿、リンパ液、腹水、嚢胞液、尿、喀痰、糞便、唾液、気管支吸引物、CSFまたは毛髪から成る群から選択される。別の実施態様では、生物学的試料は組織生検細胞試料またはそこから培養された細胞である。最も好ましくは、組織生検は、骨髄または固体組織の生検である。別の実施態様では、組織生検は、固形腫瘍から取出された細胞を含む。本発明のさらなる実施態様では、生物学的試料は血液細胞である。好ましくは、試料は細胞試料のライゼートである。
本発明のさらなる実施態様において、遺伝子発現レベルは、表12Aおよび/12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子の転写レベルを測定することにより決定される。好ましくは、転写レベルは、表12Aおよび/または12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子のmRNAレベルを測定することにより決定される。別法として、転写レベルは、表12Aおよび/または12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子に対応するcDNAのレベルを測定することにより決定される。別の実施態様では、転写レベル測定段階は、さらにmRNAまたはcDNAの増幅を含む。好ましくは、転写レベルは、ノーザンブロット分析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、リボヌクレアーゼ防御およびマイクロアレイから成る群から選択される技術により測定される。
好ましい実施態様では、転写レベルは、表12Aおよび12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について測定され、最も好ましい実施態様では、複数の55リポーター遺伝子は、表12Aに示された31遺伝子を含む。別の実施態様では、複数の55リポーター遺伝子は、表12Aに示された31遺伝子により構成される。
本発明の好ましい実施態様では、段階(d)における類似性の程度は、その値が表12Aおよび12Bに示された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現値の類似性の既知関数である相関係数を計算することにより決定され、そして最も好ましい実施態様では、相関係数はピアソン相関係数である。
本発明の別の好ましい実施態様では、表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.54より大またはそれに等しい場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する非応答者として分類され、そして表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.54未満である場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答者として分類される。
本発明の別の実施態様では、表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.57より大またはそれに等しい場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する非応答者として分類され、そして表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.57未満である場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答者として分類される。
すなわち、最も好ましい一実施態様において、本発明は、Ph+白血病患者において、どの患者がTKI薬剤に応答するかを予測する方法であって、表12Aおよび12Bに示された複数の55(または31の最も好ましいリポーター遺伝子)リポーター遺伝子について血中RNA発現レベルを測定し、患者遺伝子発現プロフィールを表12Aおよび12Bに示された平均CCR発現プロフィールと比較し、比較結果から生じるピアソン相関係数(PCC)を決定し、相関係数(CC)が≧0.54または≧0.57である場合、患者はTKIに対するCCRを有するものと決定し、CCが<0.54または<0.57である場合、患者は非応答者であるとそれぞれ決定することを含む方法を提供する。
本発明のある好ましい実施態様では、患者から得た試料において表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上の遺伝子発現レベルを測定する方法は、表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの存在および発現レベルを測定することを含む。本発明の好ましい実施態様において、上記遺伝子のポリペプチドの存在および発現レベルは、上記ポリペプチドに特異的に結合する試薬を用いることにより検出される。最も好ましくは、試薬は、抗体、抗体誘導体および抗体フラグメントから成る群から選択される。本発明の一実施態様では、上記遺伝子のポリペプチドの存在および発現レベルは、各ポリペプチドに特異的な標識プローブを用いるウエスタンブロッティングを通して検出される。標識プローブは好ましくは抗体であり、最も好ましいのはモノクローナル抗体である。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、(a)患者に存在する、15q22.33領域における2コピーの推定遺伝子DKFZP434C131について、rs2290573多型として称される多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして(b)両方の対がATである場合、または一対がATであり、もう一対がGCである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合は低応答者群に個体を割当てることを含む方法を提供する。
本発明のさらなる局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、a)患者に存在する、2コピーのCYP1A1遺伝子について、配列X02612の6819位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そしてb)両方の対がATである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合または一方がGCでもう一方がATである場合は弱応答者群に個体を割当てることを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、a)患者に存在する、2コピーのIL−1ベータ遺伝子について、配列X04500の1423位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そしてb)両方の対がCGである場合は良好応答者群に、そして一方の対がATであり、もう一方がCGである場合または両方の対がATである場合は弱応答者群に個体を割当てることを含む方法に関するものである。
本発明のさらなる実施態様において、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患は、フィラデルフィア染色体陽性白血病(Ph+白血病)であり、そしてチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である。好ましくは、これらの方法はエクスビボ(ex-vivo)で実施される。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性の測定用キットであって、表12Aおよび/または3Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの検出手段を含むキットを提供する。ポリペプチド検出手段は、好ましくは抗体、抗体誘導体または抗体フラグメントを含む。ポリペプチドは、最も好ましくは標識抗体を用いるウエスタンブロッティングを通して検出される。本発明の別の実施態様では、キットはさらに患者の生物学的試料を得る手段を含む。好ましいのは、さらにポリペプチド検出手段および患者の生物学的試料を含むのに適切な容器を含み、そして最も好ましくはさらに使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含むキットである。
好ましい実施態様において、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者についての治療戦略の決定で使用されるキットは、(a)表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの検出手段、(b)上記手段およびポリペプチドを含む患者の生物学的試料を含むのに適切な容器であって、そこで上記手段がポリペプチドと複合体を形成し得る容器、(c)(b)の複合体を検出する手段、および所望により(d)使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含む。
本発明の別の局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の、チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性を測定するためのキットであって、表12Aおよび/または12Bに列挙された2個またはそれ以上の遺伝子の転写レベルを測定するための手段を含むキットに関するものである。好ましい実施態様では、転写レベル測定用手段は、上記遺伝子の転写産物に結合し得るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、上記遺伝子に対応するmRNAまたはcDNAと結合することができる。非常に好ましい実施態様では、転写レベルは、ノーザンブロット分析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、リボヌクレアーゼ防御およびマイクロアレイから成る群から選択される技術により測定される。本発明の別の実施態様では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む。好ましいのは、さらに転写レベル測定手段および患者の生物学的試料を含むのに適切な容器を含むキットであり、そして非常に好ましくはさらに使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含む。
好ましい実施態様では、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の、チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性の測定用キットは、(a)表12Aおよび/または12Bに列挙された2個またはそれ以上の遺伝子の転写産物に結合することができる若干のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、(b)オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドおよび転写産物を含む患者の生物学的試料を含むのに適切な容器であって、そこでオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが転写産物と結合し得る容器、(c)(b)の結合を検出する手段、および所望により(d)使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含む。
最も好ましくは、本発明の実施態様によるキットは、本発明の他の局面による方法の測定段階(b)について使用される。
本発明の別の好ましい局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131の多型部位の同定用キットであって、15q22.33領域における推定遺伝子DFKZP434C131の2つの多型部位における遺伝子多型パターンを測定する手段を含むキットを提供する。
本発明の別の局面では、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のCYP1A1遺伝子における多型パターン同定用キットが提供され、上記キットは、配列X02612の69819位におけるCYP1A1遺伝子多型部位での遺伝子多型パターン測定手段を含む。
本発明のさらなる局面は、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のIL−1ベータ遺伝子における多型パターン同定用キットに関するものであり、上記キットは、配列X04500の1423位にあるIL−1ベータ遺伝子における遺伝子多型パターン測定手段を含む。
好ましい実施態様では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得る手段を含み、最も好ましくは、上記手段は、DNA試料収集手段を含む。
様々な実施態様において、本発明は、特異的多型部位での遺伝子多型パターン測定手段が、少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含むキットおよび特異的多型部位での遺伝子多型パターン測定手段が、2個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含むキットおよび多型部位における遺伝子多型パターン測定手段が、少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析プライマー組成物を含むキットを提供する。さらなる実施態様において、本発明は、遺伝子解析プライマー組成物が、少なくとも2セットの対立遺伝子特異的プライマー対を含むキットおよび2個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドが、個別容器にパッケージされているキットを提供する。
本発明の好ましい実施態様において、上記に示された測定段階(a)は、本発明によるキットの使用を含む。
図面の簡単な記載
図1:リポーター遺伝子の数の最適化。遺伝子の最適数決定に関する遺伝子の数の関数としてのエラー割合のプロット。5〜55から個々の遺伝子の数を増すことにより計算された値。矢印は、偽陰性(NoCCyRとして誤分類されたCCyR:N=1)および偽陽性(CCyRとして誤分類されたNoCCyR:N=4)を最小限にする遺伝子(N=31)の最適数を示す。
図1:リポーター遺伝子の数の最適化。遺伝子の最適数決定に関する遺伝子の数の関数としてのエラー割合のプロット。5〜55から個々の遺伝子の数を増すことにより計算された値。矢印は、偽陰性(NoCCyRとして誤分類されたCCyR:N=1)および偽陽性(CCyRとして誤分類されたNoCCyR:N=4)を最小限にする遺伝子(N=31)の最適数を示す。
図2:閾値相関値の測定。31遺伝子の最適化セットの平均NoCCyR発現プロフィールを用いて計算されたPCC。偽陰性は、患者の発現プロフィールに基づいてNoCCyRとして誤分類されたCCyRの患者に等しい。偽陽性は、CCyR発現プロフィールを有するものとして誤分類されたNoCCyRの患者に等しい。矢印は、最適精度(偽陰性(N=2)および偽陽性(N=2)を最小限にする:r=0.57)および最適化特異性(10%未満偽陽性(N=1);r=0.54)での閾値相関値を示す。
図3:31リポーター遺伝子のクラスター。灰色目盛は発現の相対レベルを表し、黒色は低発現性を表し、薄色は高発現性を表す。遺伝子発現と平均NoCyR発現プロフィールとの相関関係にしたがって試料を配列し、ジーン・スプリング(GENE SPRING、登録商標)におけるピアソン類似性方法を用いて遺伝子のクラスタリングを実施した。各試料についてのCCを中央パネルでプロットし、上部を最高相関値とする。右パネルはCCyRの現状を表し、黒塗り部分はCCyR患者を示し、白色部分はNoCCyR患者を表す。実線は、偽陰性を<10%へと最小にすることが測定された閾値を示し、これを後続の分析に使用した。点線は、偽陰性をゼロに減らすことにより特異性をさらに増した閾値を示す(r=0.437)。
図4:rs2290573多型の遺伝子型および細胞遺伝的応答(OKR)間の関連。OKRを伴う推定遺伝子にマッピングされた多型の関連からの確率(OR)は4.69である(95%CI:1.23、17.76)。このグラフに伴うp値は0.00036である。
図5:NCBIマップ・ビュー・ビルド30からの15q22.33の遺伝子地図。
図6:CHRとCYP1A1遺伝子座の関連。CHRとCYP1A1座の関連からのORは12.7である(95%CI:2.6−62.1)。このグラフに伴うp値は0.004である。
図7:MCyRとIL−1ベータ座の関連。MCyRとIL−1ベータ座の関連からのORは3.0である(95%CI:1.2−7.4)。このグラフに伴うp値は0.0121である。
図8:rs2290573多型遺伝子型の関数としての病勢進行までの期間(TTP)。18ヶ月データを用いて、月単位で病勢進行までの期間(TTP)を示す生存分析プロット。rs2290573についてCC遺伝子型をもつ26イマチニブ処置患者のうち6名(23.1%)およびCTまたはTT遺伝子型をもつ79患者のうちの4名(5.1%)が進行事象を経験した。ログ‐ランク(Log−Rank)検定による遺伝子型(0.0041)およびウィルコクソン(0.0049)統計検定間で有意差が観察された。
発明の詳細な記載
本発明は、TKI応答性疾患患者がTKI薬剤での処置、薬物療法または他のTKI処置に対して陽性応答または順調な臨床結果を示す見込みまたは確率を予測または推定する幾つかの方法を提供する。これらの方法は、ゲノムまたは遺伝子解析の幾つかの形態を必然的に含む。
本発明は、TKI応答性疾患患者がTKI薬剤での処置、薬物療法または他のTKI処置に対して陽性応答または順調な臨床結果を示す見込みまたは確率を予測または推定する幾つかの方法を提供する。これらの方法は、ゲノムまたは遺伝子解析の幾つかの形態を必然的に含む。
本発明の一局面では、若干の同定遺伝子の遺伝子発現の程度を測定する。これらの遺伝子の遺伝子発現レベルは、TKI薬剤に対して十分に応答する患者と応答不十分な患者とを区別することができる。
実際は、応答状態が未知である患者においてこれらの列挙された遺伝子の2個またはそれ以上の発現パターンを、応答状態が既知である患者における同遺伝子のパターンと比較する。2パターン間の数学的類似性により、未知患者応答が既知患者応答と類似している確率を決定する。これらの遺伝子の発見および同定は、本発明の基礎の一部を形成する。様々な実施態様において、遺伝子発現パターンは、限定されるわけではないが、組織または体液におけるmRNAレベルの測定または組織または体液、たとえば限定はされないが血液、リンパ液、尿、胆汁、CSF汗、血清、糞便、唾液または生検材料、たとえば限定はされないが骨髄吸引物および固形腫瘍におけるタンパク質発現産物の測定を含む広く多様な方法で決定され得る。
本発明の好ましい一局面は、限定はされないが、イマチニブメシレート(グリベック(GLIVEC、登録商標)またはグリベック(GLEEVEC、登録商標))を含むTKI薬剤に対する、限定はされないがPh+白血病を含むTKI応答性疾患に罹患した患者の応答を予測する方法を提供する。測定は、限定はされないが生検組織または血液、血清または他の体液を含む患者から得た試料において実施され得る。
別の局面において、本発明は、TKI応答性疾患患者がTKI薬剤処置、薬物療法または処置に対して陽性臨床結果を伴う応答を示す見込みまたは確率の異なる予測方法を提供する。これらの方法は、患者ゲノムにおける1つまたはそれ以上のSNPの検出形態をとる遺伝子解析を含む。これらSNPの存在がTKI薬剤処置、薬物療法または処置に対するTKI応答性疾患患者の応答を予測し得るという新規発見は、本発明の基礎の一部を形成する。
好ましい一実施態様において、これらの同定されたSNPの存在または不存在は、TKIイマチニブメシレート(グリベック(GLIVEC、登録商標)またはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはSTI571)に対するPh+白血病患者の応答を予測するのに使用され得る。示された実施例では、この応答は、イマチニブメシレートで処置されたときのPh+白血病患者におけるCHRおよび主要細胞遺伝的応答(MCyR)の形で測定される。この方法は、以下の遺伝子における3多型部位の1個またはそれ以上における特異的SNPの存在または不存在の測定を含む:
1)CYP1A1遺伝子の配列X02612における6819位でのG→A変化、CYP1A1遺伝子におけるこの多型の存在は、発現されたタンパク質におけるアミノ酸462位でのIleからValへの変化をもたらす。
2)rs2290573多型、これは現在15q22.33領域における推定遺伝子、DKFZP434C131にマッピングされているもので、この遺伝子はチロシンキナーゼをコードする。(この多型は公式にCYP1A1遺伝子にマッピングされたもので、CSK遺伝子と称され、配列AC020705.4の36211位におけるC→Tとして報告されており、発現されたタンパク質においてアミノ酸変化は伴わなかった)。
3)プロモーター領域におけるIL−1ベータ遺伝子のヌクレオチド−511位における多型C→T;発現されたタンパク質においてアミノ酸変化は伴わず、または配列X04500のヌクレオチド1423位でのC→T。
本明細書で使用されている「チロシンキナーゼ阻害剤」または「TKI」の語は、チロシンキナーゼ酵素の有効な阻害を誘発し得る物質または化合物を意味する。これには、限定はされないが、小分子薬剤、たとえばイマチニブ(イマチニブメシレートまたはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはSTI571、ノバルティス・ファーマシューティカル・コーポレーション、バーゼル、スイス国)が含まれる。
本明細書で使用されている「TKI応答性疾患」の語は、その経過または進行がTKI薬剤の作用により何らかの点で制御、改善または有利に改変され得る疾患を全て包含する。一般に、これらの疾患は、様々なチロシンキナーゼ酵素の構成的活性を生じさせ、酵素の自己リン酸化を含むリガンド非依存的チロシンキナーゼ活性を生じさせる結果、制御されていない細胞増殖および下流シグナル伝達経路の刺激を随伴する突然変異または他の制御排除(discontrol)機構を伴う。関与し得るチロシンキナーゼには、限定はされないが、ABLおよびCMLおよびPh+急性リンパ芽球性白血病のBCR−ABL融合タンパク質;PDGF受容体およびc−kit遺伝子産物がある。TKI応答性疾患であることが知られている病気には、限定はされないが、CML、Ph+急性リンパ芽球性白血病、GISTおよび過好酸球増加症候群の様々な形態が含まれる。
しかしながら、ヒトゲノムは、現在少なくとも96チロシンキナーゼ酵素をコードすることが知られており、これらのいずれか一つの同様の制御排除は、何らかの形態の病気を誘発し得る。「TKI応答性疾患」の語は、その経過または進行が現時点で既知であるかまたは将来発見されるかもしれないチロシンキナーゼ酵素の阻害により有利に改変され得る疾患を全て包含するものとする。
本発明は、一つには、TKI薬剤処置に応答し、CCRを有するPh+白血病患者およびCCR未満での応答を示す患者からの組織で差次的発現される約55遺伝子の発見に基づいている。本発明方法は、TKI薬剤処置に応答し、CCRを有する患者およびCCR未満で応答する患者からの組織で差次的発現されることが示されている約55遺伝子の2個またはそれ以上の活性を測定し、TKI応答が未知である患者と遺伝子活性のパターンを比較することを含む。
好ましい実施態様では、55遺伝子の一部分のみを測定する。これらの測定は、様々な実施態様において、生検からの組織自体または血液または血清等で実施され得るか、または好ましい実施態様では、血液または他の体液を含む様々な組織における、限定はされないが、cRNAまたはポリペプチド発現産物を含む遺伝子発現のより間接的な測定として実施され得る。
次いで、応答状態が未知である個体からのこれら55遺伝子の2個またはそれ以上の発現割合の直接的または間接的な測定結果を、応答状態が既知である患者で測定された同じ2個またはそれ以上の遺伝子についての発現値と比較し得る。
次いで、未知の2個またはそれ以上の遺伝子発現値の、TKI薬剤で処置したときにCCRを有するかまたは有しなかった患者における同じ2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現値に対する「類似性の程度」(DOS)を測定する。
このDOSは、その値が2群の数、すなわち、そのTKI薬剤応答状態が未知であり、測定されるべき個体からの組織における2個またはそれ以上の遺伝子について測定された遺伝子発現値およびそのTKI薬剤応答状態が既知である個体からの同じ2個またはそれ以上の遺伝子について測定された遺伝子発現値の間における類似性の程度の既知関数である結果をもたらす手順により測定され得る。
本明細書で使用されている「DOS」の語は、直接的または間接的方法により測定された遺伝子発現値の比較により測定される、遺伝子発現値のパターンが同様または数的に類似している程度を意味する。
好ましい実施態様では、DOSは、相関係数(CC)をもたらす数学的計算により決定される。特に好ましい実施態様では、ピアソン相関係数(PCC)が測定されるが、その値が数の2群間におけるDOSの既知関数である結果をもたらす他の数学的手順も使用され得る。多くの上記手順は、当業者には公知である。
次いで、かくして算出されたDOS(PCC)の値を、試料がTKI薬剤処置時に陽性または陰性臨床応答を有するかまたは有しない患者からのものである確率と直接関連づけさせ得る。すなわち、有効な応答を発しなかったことが判明している患者からの遺伝子発現値と比べて患者の「DOS」(CCまたはPCC)が高いとき、またはTKI薬剤処置時に有効な応答を発したことが判明している患者からの遺伝子発現値と比べて「DOS」(CCまたはPCC)が高いとき、TKI薬剤で処置されたときに患者が類似応答を発しないかまたは発する確率は大きくなる。
好ましい実施態様では、これらの方法を用いることにより、TKI薬剤、たとえばイマチニブメシレートに対するPh+白血病患者の応答を予測し、有効な応答の定義は、完全細胞発生応答またはCCRの達成であり、弱応答の定義はCCR達成の失敗とする。
すなわち、所定の症例において、DOSの値は、予測される応答のタイプについての確率を決定するのに使用され得る。当業者であれば、各患者に関する臨床環境が、カットオフとして使用されるかまたは特異患者に関して臨床的決定を下すのを助けるDOS(PCC)の値を予測させることを理解できるはずである。たとえば、一実施態様では、TKI薬剤に対し有効な応答を発する患者群の数を最適精度で測定することが望ましい。たとえば、大部分のPh+白血病患者は、イマチニブメシレートまたはグリベック(登録商標)での処置に対して非常に有効に応答するが、患者の中には十分応答しない場合もあり、TKIの試験を完了させるのに失われた時間が他の処置、たとえば骨髄移植を始める決定を遅らすことになる。この状況では、患者が有効な応答を示す、すなわちCCRに達すると思われる時点および患者が十分には応答しないと思われる時点より先に決定することが重要である。しかしながら、この状況では、偽陽性(CCRを有する患者として誤分類されたCCRを有しない患者)および偽陰性(TKI薬剤での処置時にCCR応答を有するとは予測されない患者として誤分類されたCCR応答を有する患者)は両方とも不利である。偽陽性は、成果が得られないと判明することになる不必要で時間浪費の薬剤試験をもたらし得、偽陰性は、十分応答するのにTKIで処置されない患者を生じ得る。これは、この状況において、共に偽陽性を最小限にし、同時に偽陰性を最小限にする、すなわち正確さを最大限にすることが望ましいことを意味する。使用すべき特徴的な遺伝子の最適数の決定およびPCCの正確な値は、図1および2に示されている。
これの別の例として、本発明の好ましい一実施態様では、患者集団を応答者および非応答者に分けることが望ましく、これは、表12Aに示された最適化31予測因子遺伝子セットを用いることにより、図1および図2に示されている通り実行され(下記に記載されている通り)、患者遺伝子発現プロフィールが表12Aに示された平均無完全細胞遺伝的応答(NoCCyR)と0.570より大きいPCCで相関関係を示す場合、患者はTKI薬剤処置に対する非応答者であると見なされる。
患者遺伝子発現プロフィールが0.57またはそれ未満のCCで平均NoCCyR発現と相関関係を示す場合、患者はTKI薬剤処置に対する応答者であると見なされる。
別の好ましい実施態様では、PCCの値は最適感度を生じるように設定され得る。すなわち、起こり得る偽陽性(良好応答者として誤分類された非応答者)の数を最小限にするためである。かかる最適感度設定は、所定の患者が良好応答者であるか否かの決定を、最大限の確実性が得られるようにして決定しなければならない状況において指示される。この実施態様では、最適化特異性に関する閾値は、PCCを0.5400の閾値に設定することにより決定される。下記で示された実施例では、このPCCの値により、偽陽性の数は減少し(N=1)、極めて僅かに過ぎないが偽陰性の数は増加した(N=3)。r=0.437での閾値を用いることにより、特異性はさらに高められ、偽陽性は全て排除される。
当業者であれば、使用されるCCの値が偽陰性と比較べて偽陽性の相対数を決定するため、この値は患者の個々の臨床的要求を満たすように選択され得ることは容易に理解できるはずである。たとえば、示された実施例では、最適精度は0.540のPCCで見出された。
本明細書で使用されている「最適精度」の語は、偽陽性数および偽陰性数が両方とも最小限にされる条件を意味する。
別の好ましい実施態様において、CCの値は、最適感度をもたらすように設定され得る。すなわち、起こり得る偽陰性(非応答者として誤分類された良好応答者)の数を最小限にするためである。かかる最適感度設定は、所定の患者が良好応答者であるか否かの決定を、最大限の確実性が得られるようにして決定しなければならない状況において指示される。この実施態様では、閾値は、CCを0.620の閾値に設定することにより決定される。与えられた実施例では、表12Aに示された31遺伝子セット予測因子プローブを用いることにより、NoCCyR群と比べてCCが0.620より大きい患者は100%弱応答者であることが判明した。
実施例で示されている通り、当業者であれば、感度を最大限にするか特異性または精度を最大限にするか偽陽性または偽陰性の比率を望ましいものにするPCCを選択できるはずである。当業者であれば、容易に臨床状況に対しPCCの選択を調節できるはずであり、それによって患者は最大の恩恵および安全性を提供され得る。
すなわち、好ましい実施態様では、本発明は、TKI薬剤、たとえばイマチニブメシレートまたはグリベック(登録商標)に対するTKI応答性疾患、たとえばPh+白血病患者の応答を予測する方法を提供する。
一実施態様において、グリベック(登録商標)についての潜在的候補である患者から採血することにより、表12Aおよび12Bに示された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上を含むRNA発現プロフィールを測定する。候補からのこの遺伝子群のRNA発現レベルを、表12Aおよび12Bに示されている同遺伝子についての平均CCR発現レベルと比較し、PCCを算出する。係数が0.57以上または0.54以上である場合、候補は、グリベック(登録商標)(STI571)処置後にCCRを有することが予測される。係数がそれぞれ0.57未満または0.54未満である場合、候補は、非応答者であることが予測される。一実施態様では、表12Aおよび12Bにおける複数の遺伝子のRNA発現プロフィールを測定し、比較する。
さらに好ましい実施態様では、表12Aおよび12Bに示された全55遺伝子のRNA発現プロフィールを測定し、比較する。別の好ましい実施態様では、表12Aに示された複数の31遺伝子のRNA発現プロフィールを測定し、比較する。最も好ましい実施態様では、表12Aに示された全遺伝子1〜31のRNA発現プロフィールを測定し、表12Aにおける平均CCR発現測定値と比較する。
明らかに、他のCCも使用され得、図2で示されている通り異なるエラー割合をもたらす。当業者であれば、PCCを選択することにより、測定対象によって異なるカットオフ値として用い得る。たとえば、割合が高い場合、偽陽性の数は増加するが偽陰性の数は減少する。低いPCCを使用すると、逆に偽陰性の数は増加するが、偽陽性の数は減少する。表12Aに示された最も好ましい31遺伝子の平均NoCCyR発現プロフィールを用いて計算された0.57の最適値は、精度を最適化するものであり、0.54の値を用いると(この状況では)特異性は最適化される(偽陽性は最小限にされる)。
SNPを用いたTKI応答の測定
別の実施態様において、本発明は、グリベック(登録商標)で処置されたときのPh+白血病患者におけるCHRおよびMCyRの見込みを予測する方法を提供する。この方法は、現在推定遺伝子DKRZP434C131にマッピングされている3遺伝子、すなわちCYP1A1、IL−1ベータおよびrs2290573多型の1個またはそれ以上における特異的SNPの存在または不存在の測定を含む。
別の実施態様において、本発明は、グリベック(登録商標)で処置されたときのPh+白血病患者におけるCHRおよびMCyRの見込みを予測する方法を提供する。この方法は、現在推定遺伝子DKRZP434C131にマッピングされている3遺伝子、すなわちCYP1A1、IL−1ベータおよびrs2290573多型の1個またはそれ以上における特異的SNPの存在または不存在の測定を含む。
一実施態様では、IL−1ベータ遺伝子におけるヌクレオチド−511位での多型C→T(プロモーター領域;アミノ酸変化無し)または(配列X04500のヌクレオチド1423位でのC→T)の存在により、図7および表3に示されている通りMCyRを有する患者の見込みが予測される。
別の実施態様では、現在推定遺伝子DKRZP434C131にマッピングされているrs2290573多型部位における多型の存在により、図4および表3に示されている通り患者におけるMCyRの見込みが顕著に予測される。この推定遺伝子はチロシンキナーゼをコードする。
さらなる実施態様では、グリベック(登録商標)についての候補におけるCYP1A1遺伝子(発現されたタンパク質のアミノ酸462位でのIleからValへの変化またはヌクレオチドの配列X02612における6819位でのG→A変化をもたらす)における多型の存在が測定される。この多型が検出される場合、CHRを示す患者の見込みは図6および表3に示されている通り著しく低減化される。
実施例1
方法1
SNPの使用
SNPの同定および特性検定
SNPを同定し、特性検定するのには、1本鎖立体配座多型解析、熱変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ2本鎖解析、直接DNA配列決定およびコンピューター方法を含む多くの異なる技術が使用され得る。Shi、Clin.Chem.、第47巻、2号、164−172頁(2001)参照。公開データベースにおける豊富な配列情報のおかげで、コンピューターツールを駆使して、所定の遺伝子について独立的に提示された配列(cDNAまたはゲノム配列)を平行整列させることにより、SNPがインシリコで同定され得る。実験的に、そしてインシリコ(in silico)方法により得られたSNPの比較結果は、SNPFinder(http://lpgws.nci.nih.gov:82/perl/snp/snp_cgi.pl)により見出された候補SNPの55%が実験的にも発見されたことを示していた。Cox、BoillotおよびCanzian、Hum.Mutat.、第17巻、2号、141−150頁(2001)参照。しかしながら、これらインシリコ方法では、真のSNPの27%しか見出せ得ない。
方法1
SNPの使用
SNPの同定および特性検定
SNPを同定し、特性検定するのには、1本鎖立体配座多型解析、熱変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ2本鎖解析、直接DNA配列決定およびコンピューター方法を含む多くの異なる技術が使用され得る。Shi、Clin.Chem.、第47巻、2号、164−172頁(2001)参照。公開データベースにおける豊富な配列情報のおかげで、コンピューターツールを駆使して、所定の遺伝子について独立的に提示された配列(cDNAまたはゲノム配列)を平行整列させることにより、SNPがインシリコで同定され得る。実験的に、そしてインシリコ(in silico)方法により得られたSNPの比較結果は、SNPFinder(http://lpgws.nci.nih.gov:82/perl/snp/snp_cgi.pl)により見出された候補SNPの55%が実験的にも発見されたことを示していた。Cox、BoillotおよびCanzian、Hum.Mutat.、第17巻、2号、141−150頁(2001)参照。しかしながら、これらインシリコ方法では、真のSNPの27%しか見出せ得ない。
現在、最も一般的なSNPタイピング方法には、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長および開裂方法がある。これらの方法は各々、適切な検出システムに連結されなければらならい。検出技術には、蛍光偏光法(Chen、LevineおよびKwok、Genome Res.、第9巻、5号、492−498頁(1999)参照)、ピロリン酸放出の発光量検出法(パイロシーケンシング)(Ahmadian et al.、Anal.Biochem.、第280巻、1号、103−110頁(2000))、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基く開裂検定法、DHPLCおよび質量分析法がある。Shi(2001)、前出および米国特許第6300076B1号参照。他のSNP検出および特性検定方法は、米国特許第6297018B1号および同6300063B1号に開示されている。上記参考文献の開示内容は、本明細書において出典明示により援用する。
本発明の特に好ましい実施態様において、多型の検出は、いわゆるインベーダー(INVADER、商標)技術(ウィスコンシン、マディソンのサード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッドから入手可能)により実施され得る。この検定では、特異的上流「インベーダー」オリゴヌクレオチドおよび部分重複下流プローブが一緒になって、相補的DNA鋳型と結合したときに特異構造を形成する。この構造が認識されると、これをクリアバーゼ酵素により特異部位で切断し、この結果、プローブオリゴヌクレオチドの5'フラップが放出される。次いで、このフラグメントは、反応混合物に含まれる合成二次標的および二次蛍光標識シグナルプローブに関して「インベーダー」オリゴヌクレオチドとしての役割を果たす。この結果、クリアバーゼ酵素により二次シグナルプローブが特異開裂される。蛍光共鳴エネルギー移動し得る色素分子で標識された、この二次プローブが開裂されたとき、蛍光シグナルが発生される。クリアバーゼは、重複DNA配列またはフラップにより形成された構造に関して厳しい必要条件を有するため、下流DNA鎖にある開裂部位のすぐ上流における一塩基対誤対合の特異的検出に使用され得る。Ryan et al.、Mol.Diagn.、第4巻、2号、135−144頁(1999);Lyamichev et al.、Nat.Biotechnol.、第17巻、3号、292−296頁(1999)、および同じく米国特許第5846717号および第6001567号参照、これらについては出典明示により援用する。
実施態様の中には、組成物が、2つまたはそれ以上の多型部位におけるヌクレオチドの同一性を同時にプローブするために2個またはそれ以上の異なる標識遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む場合もある。また、プライマー組成物が、多型部位を含む2つまたはそれ以上の領域の同時ターゲッティングおよび増幅を行えるように対立遺伝子特異的プライマー対の2個またはそれ以上のセットを含み得ることも考えられる。
応答予測に関するSNPの使用
薬理遺伝学解析を実施することにより、インターフェロンの国際ランダム化試験対STI571(IRIS)試験としても知られている、臨床試験CSTI571 0106においてMCyRと関連する遺伝因子を同定した。26遺伝子における68の多型遺伝子座を調べると、十分に確認された細胞遺伝学応答(OKR)および15q22.33にマッピングされたrs2290573多型間でのイマチニブ処置患者における顕著な関連が観察された(p=0.00036、Bonferroni補正p=0.024)。この遺伝子座にCC遺伝子型を有する個体は、イマチニブで処置されたとき47%の主要細胞発生応答(McyR)率を有しており、CTまたはTT遺伝子型を有する個体はイマチニブで処置されたとき88%の応答率を有していた(OR:4.69; 95%CI:1.24、17.76)。
薬理遺伝学解析を実施することにより、インターフェロンの国際ランダム化試験対STI571(IRIS)試験としても知られている、臨床試験CSTI571 0106においてMCyRと関連する遺伝因子を同定した。26遺伝子における68の多型遺伝子座を調べると、十分に確認された細胞遺伝学応答(OKR)および15q22.33にマッピングされたrs2290573多型間でのイマチニブ処置患者における顕著な関連が観察された(p=0.00036、Bonferroni補正p=0.024)。この遺伝子座にCC遺伝子型を有する個体は、イマチニブで処置されたとき47%の主要細胞発生応答(McyR)率を有しており、CTまたはTT遺伝子型を有する個体はイマチニブで処置されたとき88%の応答率を有していた(OR:4.69; 95%CI:1.24、17.76)。
また、この多型および最良細胞遺伝学応答未確認(BKR)間にも顕著な関連性が見られた(p=0.019)。18ヶ月追跡データでも関連性は顕著であった。病勢進行までの期間(TTP)分析により、rs2290573多型についての遺伝子型に基づいた進行事象における顕著な差異が説明された、図8参照。
さらに、TATAボックス多型とのLDにあるIL−1ベータ多型、およびMCyR間には追加的な関連性が検出された(p=0.014、Bonferroni補正p値=0.95)。C−511T IL1−ベータ遺伝子座にCC遺伝子型をもつCML患者は、94%のMCyR率を有しており、CTまたはTT遺伝子型をもつ患者は72.4%の応答率を有していた(OR:5.03; 95%CI:1.21、20.81)。
さらに、イマチニブメシレート処置個体におけるCYP1A1遺伝子での応答および多型間に顕著な関連性が観察された。応答および上記多型間での関連性に加えて、これらの多型は、病勢進行までの期間と関連性を示した。したがって、個体の遺伝子型は、病気のTTPの予測マーカーとして使用され得る。
2種の異なる関連性試験は、全応答データを含む試験による患者情報に基づいて行なわれた。関連性試験は、CHRおよびMCyRの応答に基づいて実施された。IL−1ベータ遺伝子内の多型およびrs2290573多型(前にCSK遺伝子内の多型として称した)は、MCyRと著しい関連性を示した(p=0.0121およびp=0.004)。CYP1A1多型は、CHRと著しく関連していた(p=0.004)。
この試験の結果は、CYP1A1遺伝子内の多型が、STI571処置患者においてCHRについての予測マーカーとして使用され得ることを示唆する。さらに、この試験の結果により、IL−1ベータプロモーターにおける多型および推定遺伝子15q22.33領域のDKFZP434C131における多型、すなわちrs2290573多型が同定され、これらはMCyRについての予測マーカーとして使用され得る。
血液応答および/または細胞遺伝応答の予測マーカーを同定する薬理遺伝学的解析は、第三相臨床試験CSTI571 0106で実施された。CSTI571 0106は、以前にPh+CML−CP処置を受けたことが無い、新たに診断された患者におけるSTI571対シタラビンアラビノシド(Ara−C)と合わせたIFN‐アルファの試験であった。
したがって、MCyRおよび15q22.33に位置するrs2290573多型間の関連性は、驚くべきかつ新規なものであり、本発明の基礎の一部を形成する。チロシンキナーゼ領域を含む、推定遺伝子DKFZP434C131のイントロン領域にマッピングされたrs2290573多型は、イマチニブ処置患者における細胞遺伝的応答についての遺伝マーカーとして見なされ得る。
CMLの顕著な特徴であるPh染色体は、白血病細胞の増殖に結びついた若干の細胞過程に対して構成的に作用する融合タンパク質、BCR−ABLを生じる。イマチニブメシレート(グリベック(GLEEVEC、登録商標)、グリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)は、BCR−ABL融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性を阻害し、その結果Ph+細胞の増殖は阻止される。
細胞遺伝応答の遺伝マーカーを同定する薬理遺伝学的解析は、臨床試験CSTI571 0106で実施された。これは、以前にPh+CML−CP処置を受けたことが無い、新たに診断された患者におけるイマチニブ対インターフェロン‐アルファ(Ara−Cを合わせたIFN−アルファ)の第三相試験であった。薬理遺伝学的プロトコールは米国センターでのみ提供された。イマチニブまたはIFN‐アルファで処置された合計109名の患者、米国患者の57.72%はこの薬理遺伝学的解析への参加に同意した。
CSTI571 0106試験の主目的は、IFN−アルファ+Ara−Cでの処置についてランダム化した患者と比較した、イマチニブ処置についてランダム化した以前にPh+CML−CP処置を受けたことが無く新たに診断された成人患者におけるTTPの測定であった。Gathmann、ReeseおよびWehrle、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。
本明細書で使用されている「MCyR」の語は、全体的CCRの合計を意味し、定義され、また本明細書で使用されている「部分的細胞遺伝応答」の語は、Ph+細胞が骨髄細胞において35%またはそれ未満である状態を意味する。BoltonおよびGathmann(2002)、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。この薬理遺伝学的解析については、細胞遺伝応答は一次効力基準として選択された。
CSTI571 0106からの12ヶ月データは、イマチニブ処置患者におけるMCyR率(確認された)が、IFN−アルファおよびAra−Cの組合せについての12.1%と比べて、75.8%であったことを立証している。BoltonおよびGathmann(2002)前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。イマチニブによる第一線の処置により、CML処置の主目的である、MCyR達成の見込みは顕著に増加する。
イマチニブに対するCML患者の応答における遺伝子発現変異をこの報告前に調べた。イマチニブに応答する患者を、応答しない患者と比較して差別化する能力がある予測スコアシステムは公開されている。予測スコアシステムの設計は、15または30遺伝子の発現パターンに基づいていた。Kaneta et al.、Jpn.J.Cancer Res.、第93巻、849−856頁(2002)参照。
さらに、イマチニブに対する初回応答後病状が再発している患者のBCR−ABLキナーゼドメインにおいて幾つかのSNPが同定された。Shar et al.、Cancer Cell、第2巻、2号、117−125頁(2002)参照。これらの発見を、応答の遺伝マーカーとしてのrs2290573の同定と合わせることは、どの患者がイマチニブ処置に応答するかを解明する助けとなり得る。
RNA発現およびDNA多型の評価に関する第二の目的に取組むため、CSTI571 0106における細胞遺伝応答のこの薬理遺伝学的解析を完了させた。候補遺伝子方法を用いて、イマチニブ処置個体において細胞遺伝応答の遺伝マーカーを同定した。
遺伝子解析
異なる2方法によりSNPを発生させた。サード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド(マディソン、ウィスコンシン)は、SNPの一コレクションを開発し、データベースマイニング方法を用いて他のセットを組織内で開発した。公開データベース、たとえばOMIM、SNP Consortium、Locus LinkおよびdbSNPを使用した。候補遺伝子は、浮腫、ADME、DNA修復、病気の原因または薬剤作用機構におけるそれらの関与を含む根本的理由に基づいて選択された。サード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッドは、遺伝子解析用SNP検定法を開発した。
異なる2方法によりSNPを発生させた。サード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド(マディソン、ウィスコンシン)は、SNPの一コレクションを開発し、データベースマイニング方法を用いて他のセットを組織内で開発した。公開データベース、たとえばOMIM、SNP Consortium、Locus LinkおよびdbSNPを使用した。候補遺伝子は、浮腫、ADME、DNA修復、病気の原因または薬剤作用機構におけるそれらの関与を含む根本的理由に基づいて選択された。サード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッドは、遺伝子解析用SNP検定法を開発した。
投与処置前の試験の一日目、20mLの血液を、米国のみで登録された患者から入手した。別々の薬理遺伝学的インフォームドコンセントフォームを地方倫理委員会により認められたプロトコールにしたがって得た後、基礎血液試料を集めた。製造業者の勧告にしたがってピュアジーン(PUREGENE、商標)DNA分離キット(D−50K)(ジェントラ、ミネアポリス、ミネソタ)を用いて薬理遺伝学部門によりDNAが抽出された。Pharmacogenetics、PGP-13(2001)参照。製造業者の勧告にしたがってインベーダー(登録商標)アッセイ(サード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッド)を用いて60ngのゲノムDNAにおいて遺伝子解析を実施した。Lyamichev et al.(1999)前出参照。
ハーディー‐ワインバーグ(Hardy‐Weinberg)平衡(HWE)試験を追加的品質制御チェックとして実施した。遺伝子解析された個体のサブセットおよび対照のサブセットにおいてHWEを分析した。ハーディー‐ワインバーグ(Hardy−Weinberg)法則は、対立遺伝子頻度が、無作為交配の大きな集団においては世代間で変化しないと述べている。HWEからの偏向は、2つの可能性:1)遺伝子解析の誤りまたは2)多型および試験されている集団間の関連性のうちの一つを示唆している。第二の場合、特定多型は、病因にある程度関与している場合、予測されるよりも高頻度で観察され得る。統計プログラムSASバージョン8.2(キャリー、NC)で全統計処理を実施した。
統計的方法
遺伝子解析された集団の代表的性質
遺伝子解析された集団が全CSTI571 0106臨床試験集団のうちどの程度を代表するものであるかを測定するため、2集団の人口統計を比較した。さらに、遺伝子解析された集団は米国患者のみにより構成されるため、CSTI571 0106試験における全米国患者についても個別集団として調査した。ノンパラメトリックANOVAを用いて年齢を比較し、統計プログラムSASバージョン8.2における直接確率検定を用いて他の人口統計を全て分析した。
遺伝子解析された集団の代表的性質
遺伝子解析された集団が全CSTI571 0106臨床試験集団のうちどの程度を代表するものであるかを測定するため、2集団の人口統計を比較した。さらに、遺伝子解析された集団は米国患者のみにより構成されるため、CSTI571 0106試験における全米国患者についても個別集団として調査した。ノンパラメトリックANOVAを用いて年齢を比較し、統計プログラムSASバージョン8.2における直接確率検定を用いて他の人口統計を全て分析した。
遺伝子型と応答の相関関係
直接確率検定を用いて、処置により分類されたOKR(最良細胞遺伝応答、確認済み)と各患者の遺伝子型を比較した。2002年4月11日木曜日に作製されたCSTI571 0106臨床データベースからの12ヶ月eff1st.sd2パネルから応答状態を測定した。これは、試験中の各患者について記録されたデータを含む公式の臨床データベースである。患者のOKRレベルを8範ちゅうにより臨床で定義する。これら8クラスを2つの異なる群、MCyRおよびNo MCyRに分けた。Ph+細胞のパーセンテージが35%以下である場合、MCyRを達成するものとして患者を分類した。非応答者は、小細胞遺伝応答、>35〜65%Ph+細胞、極小細胞遺伝応答、>65〜95%Ph+細胞および無細胞遺伝応答、>95〜100%Ph+細胞をそれぞれ示す患者を含んでいた(表1参照)。クロスオーバー前の第一線処置結果により効力を分析した。処置を中止した(n=14)かまたは代替処置アームに交差させた(n=3)患者は、薬理遺伝学解析のこの部分には含まれなかった。さらに、評価不可能(NA)または進行性疾患(PD)として分類された患者も分析に含まれなかった(n=7)。OKRおよび多型間で観察された顕著な関連性は、BKR(最良細胞遺伝応答−未確認)を示す多型を分析することにより確認された。第一線処置の最終薬理遺伝学的解析で使用された患者の数は、91イマチニブ処置患者を含む109であった。109の最終群からの29患者は応答せず(OKR=3、4または5)、そのうち18はイマチニブで処置されていた。
直接確率検定を用いて、処置により分類されたOKR(最良細胞遺伝応答、確認済み)と各患者の遺伝子型を比較した。2002年4月11日木曜日に作製されたCSTI571 0106臨床データベースからの12ヶ月eff1st.sd2パネルから応答状態を測定した。これは、試験中の各患者について記録されたデータを含む公式の臨床データベースである。患者のOKRレベルを8範ちゅうにより臨床で定義する。これら8クラスを2つの異なる群、MCyRおよびNo MCyRに分けた。Ph+細胞のパーセンテージが35%以下である場合、MCyRを達成するものとして患者を分類した。非応答者は、小細胞遺伝応答、>35〜65%Ph+細胞、極小細胞遺伝応答、>65〜95%Ph+細胞および無細胞遺伝応答、>95〜100%Ph+細胞をそれぞれ示す患者を含んでいた(表1参照)。クロスオーバー前の第一線処置結果により効力を分析した。処置を中止した(n=14)かまたは代替処置アームに交差させた(n=3)患者は、薬理遺伝学解析のこの部分には含まれなかった。さらに、評価不可能(NA)または進行性疾患(PD)として分類された患者も分析に含まれなかった(n=7)。OKRおよび多型間で観察された顕著な関連性は、BKR(最良細胞遺伝応答−未確認)を示す多型を分析することにより確認された。第一線処置の最終薬理遺伝学的解析で使用された患者の数は、91イマチニブ処置患者を含む109であった。109の最終群からの29患者は応答せず(OKR=3、4または5)、そのうち18はイマチニブで処置されていた。
SASバージョン8.2での解析用インターフェースである、アナリスト・アプリケーションにより、ORおよび95%CIを計算した。多重試験について補正するため、ボンフェローニ(Bonferroni)補正因子を適用した。
人口統計、遺伝子型および表現型変異性間の相関分析
ヒトゲノムの配列決定は、文化集団間における生物学的差異への多大な関心をもたらした。ヒトの集団全体にわたって存在する夥しい数の遺伝子変異性は、遺伝学研究により生物学的発見と調査参加者の人種的および民族的背景間の関連性が発見され続けるにつれて、ますます明白となっている。FosterおよびSharp、Genome Res.、第12巻、6号、844−850頁(2002)参照。この変異性を評価するため、人種ごとのrs2290573多型を解析した。CSTI571 0106臨床試験データでは、人種を白人、黒人、アジア人およびその他として分類した。(統計)検定力を高めるため、白人およびその他として再コード化した人種による解析も実施した。
ヒトゲノムの配列決定は、文化集団間における生物学的差異への多大な関心をもたらした。ヒトの集団全体にわたって存在する夥しい数の遺伝子変異性は、遺伝学研究により生物学的発見と調査参加者の人種的および民族的背景間の関連性が発見され続けるにつれて、ますます明白となっている。FosterおよびSharp、Genome Res.、第12巻、6号、844−850頁(2002)参照。この変異性を評価するため、人種ごとのrs2290573多型を解析した。CSTI571 0106臨床試験データでは、人種を白人、黒人、アジア人およびその他として分類した。(統計)検定力を高めるため、白人およびその他として再コード化した人種による解析も実施した。
ハスフォード(Hasford)およびソカイ(Sokai)スコアを用いて、生存を予測し、また異なる処置について患者を選択するのにもこれを使用し得る。イマチニブ処置患者における応答およびrs2290573多型によるソカイおよびハスフォード予測スコアを分析した。貧血は、CMLの発病に伴う血液毒性である。各患者の初診時でのヘモグロビンレベル(≦80、>80)をイマチニブ処置患者での応答と共に分析した。直接確率検定を用いてp−値を計算した。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰モデルを用いて、MCyRおよび一連の説明的変異性間の関連性を調べた。この分析は、イマチニブに対する応答についての危険因子として遺伝子型の累積的予測性を調べるように設計されていた。ロジスティック回帰の結果変数は、データセットのOKRカラムから測定された、MCyRであった(表1)。データセットでのBKRカラムから決定された結果変数により、さらなる分析を完了させた。
ロジスティック回帰モデルを用いて、MCyRおよび一連の説明的変異性間の関連性を調べた。この分析は、イマチニブに対する応答についての危険因子として遺伝子型の累積的予測性を調べるように設計されていた。ロジスティック回帰の結果変数は、データセットのOKRカラムから測定された、MCyRであった(表1)。データセットでのBKRカラムから決定された結果変数により、さらなる分析を完了させた。
両モデルには、遺伝子型、人種、ヘモグロビンレベル(初診時)およびソーカルスコアが含まれた。
直接確率検定によりMCyR(OKR)と著しい関連性を示す2種の多型についての遺伝子型を、多変量解析に組入れた。これらには、CCおよびCT+TTとしてコードされたC−511T IL−1ベータ多型、およびCCおよびCT+TTとしてコードされたrs2290573多型が含まれる。検定力を高めるため、人種を白色人種およびその他の2群として再コードした。
病勢進行までの期間
病勢進行までの期間(TTP)を分析することにより、遺伝子型およびMCyR間の関係をさらに調べた。本明細書で使用されている「TTP」の語は、ランダム化と以下の事象のうちの一つとの間の期間として定義される:
1)死亡(いかなる原因にせよ、処置の中止についての主たる理由として報告されたとき)、
2)WBC数の増加(クロスオーバーについての理由として研究管理委員会[SMC]により認められた場合)、
3)CHRの消失、
4)MCyRの消失、または
5)加速相(AP)または急性転化(BC)までの進行(BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照)。
病勢進行までの期間(TTP)を分析することにより、遺伝子型およびMCyR間の関係をさらに調べた。本明細書で使用されている「TTP」の語は、ランダム化と以下の事象のうちの一つとの間の期間として定義される:
1)死亡(いかなる原因にせよ、処置の中止についての主たる理由として報告されたとき)、
2)WBC数の増加(クロスオーバーについての理由として研究管理委員会[SMC]により認められた場合)、
3)CHRの消失、
4)MCyRの消失、または
5)加速相(AP)または急性転化(BC)までの進行(BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照)。
積−極限法(カプラン−マイヤー、Kaplan−Meier)を用いて、連続生存および失敗回数から直接生存関数を推定した。CSTI0106試験の主たる有効目標は、ITT原理を用いて、イマチニブがCML−CPを示す患者の第一線処置に基くTTPに関してIFN−アルファ+Ara−Cより優れているか否かを決定することであった。BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。
薬理遺伝学解析については、イマチニブに対してランダム化された患者のみTTP解析に含まれた。12ヶ月データでは、進行事象は4回に過ぎなかった。したがって、18ヶ月追跡データをTTP解析では使用したところ、10進行事象であった。解析をrs2290573多型についての遺伝子型により分類して、CC遺伝子型を示す個体が著しく高い比率で進行事象を呈するか否かを測定した。TTPは最終試験日に検閲される。ITT原理のもと、以下の別の事象、たとえばCHR消失後のAP/BCの進行がある場合でも進行の最初の証拠が常に考えられる。BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。
結果
遺伝子型および応答との相関関係の結果
26遺伝子における68遺伝子多型の解析により、2002年4月11日木曜日に作製された、12ヶ月固定データを用い、イマチニブ処置患者においてrs2290573多型およびMCyR間に顕著な関連性が認められた(p=0.00036、ボンフェローニ補正p=0.024)。
遺伝子型および応答との相関関係の結果
26遺伝子における68遺伝子多型の解析により、2002年4月11日木曜日に作製された、12ヶ月固定データを用い、イマチニブ処置患者においてrs2290573多型およびMCyR間に顕著な関連性が認められた(p=0.00036、ボンフェローニ補正p=0.024)。
OKRによる12ヶ月固定データの解析に加えて、同じくBKRによりそれを解析した。rs2290573多型はまた、BKRと関連している、p=0.019。rs2290573多型は、15q22.33における推定遺伝子DKFZP434C131のイントロン領域内に存し、C/T塩基トランジションを表す。このSNPについてのCC遺伝子型をもつイマチニブ処置個体は、47%の応答率を有し、CTまたはTT遺伝子型をもつ個体は88%の応答率を有する(図4参照)(OR:4.69、95%CI:1.24、17.76)。18ヶ月の追跡データを分析すると、顕著な関連性が持続している。STI571 0106試験からの193個体(イマチニブおよびIFN‐アルファ処置)においてrs2290573多型を解析したところ、HWE状態であることが見出された。さらに、92名の白色人種および73名のアフリカ系アメリカ人対照においてHWEを調べた。
白色人種対照におけるrs2290573多型についてのCC:CT:TT遺伝子型の分布は45:34:13であり、アフリカ系アメリカ人対照は43:18:5であった。両セットの対照ともフィッシャー直接確率検定によりHWE状態であることが見出された。
rs2290573多型および細胞遺伝応答間の関連性は、IFN−アルファ処置個体では全く観察されなかった。しかしながら、顕著な関連性はまた、イマチニブ処置患者においてIL−1ベータC−511T多型およびOKR間でも観察された(p=0.0431)。IL−1ベータC−511多型は、IFN−アルファAra−C処置患者において細胞遺伝応答との関連性を示さなかった(p>0.05)。
人口統計、遺伝子型および表現型変異性間の相関関係の結果
rs2290573多型についてのCC:CT+TT個体の分布は、白人(7:65)、黒人(10:1)、アジア人(1:0)およびその他(1:3)の間で著しく異なる。黒人、アジア人およびその他の個体数は少ないため、個体を再び2群:白色人種およびその他に分類した。rs2290573多型についての遺伝子型分布は、2群の人種間で著しく異なっていた(p<0.001)。
rs2290573多型についてのCC:CT+TT個体の分布は、白人(7:65)、黒人(10:1)、アジア人(1:0)およびその他(1:3)の間で著しく異なる。黒人、アジア人およびその他の個体数は少ないため、個体を再び2群:白色人種およびその他に分類した。rs2290573多型についての遺伝子型分布は、2群の人種間で著しく異なっていた(p<0.001)。
rs2290573についての遺伝子型分布に差異があるため、遺伝子型および人種によるOKR分類間の相関関係を分析した。人種を白色人種およびその他の範ちゅうに分けた。イマチニブで処置された白色人種群ではrs2290573多型およびOKR間に顕著な関連性が存在した(p=0.0125)。他の人種範ちゅう(黒人、アジア人およびその他を合わせたもの)におけるイマチニブで処置された患者では、細胞遺伝応答および多型間に顕著な結果は全く観察されなかった。CC遺伝子型をもつイマチニブ処置個体は、CTまたはTT個体よりも応答しない可能性が高いという白人群での傾向は、「合わせた」人種範ちゅうでも真実であると思われるが、サイズの小さい標本では有意性を検出できるほど十分な検定力をもたない。
ソカイ予後スコアおよびイマチニブ処置に対する応答間の関連性故に、rs2290573遺伝子型によるソーカルスコアを調べたところ、顕著な関連性が観察された(p<0.01)。3範ちゅうのソーカルスコア(低‐、中間‐および高‐リスク)を用いると、rs2290573多型についてのCC遺伝子型をもつ個体の40%は高リスクソーカルスコアを有し、CTおよびTT遺伝子型をもつ個体では高リスクソーカルスコアは6.8%に過ぎなかった。高リスクソーカルスコアは、35ヶ月の最短生存期間と一致する。ハスフォードスコアは、rs2290573多型とはあまり関連性を示さない。ハスフォードスコアは、好酸球および好塩基性細胞を考慮に入れており、ソーカルスコアは予後スコアを導くためのコンピューター表現にこれらの特徴を含まない。
ロジスティック回帰の結果
多項式ロジスティック回帰は、C−511T IL−1ベータ多型およびrs2290573多型が両方ともp=0.05有意レベルでOKRモデルにおいて顕著であることを示していた。これら2つの顕著な効果間の2方向相互作用から有意な結果は得られなかった。
多項式ロジスティック回帰は、C−511T IL−1ベータ多型およびrs2290573多型が両方ともp=0.05有意レベルでOKRモデルにおいて顕著であることを示していた。これら2つの顕著な効果間の2方向相互作用から有意な結果は得られなかった。
TTPの結果
ITT原理を用いる生存分析により、18ヶ月データで遺伝子解析されたCSTI571 0106試験からの患者集団におけるイマチニブアームでは10事象が得られた。rs2290573多型についてのCC遺伝子型をもつ26イマチニブ処置患者のうち6名(23.1%)は、進行事象を経験していた。rs2290573多型についてのCTまたはTT遺伝子型をもつ79名のうち4患者(5.1%)は、進行事象を経験していた(表2参照)。ログ‐ランク(0.0041)およびウィルコクソン(0.0049)統計試験によると、遺伝子型間に顕著な差異が観察された。この観察結果は、rs2290573遺伝子型およびMCyR間において報告された関連性を強めている。この遺伝子座にCC遺伝子型をもつイマチニブ処置個体群は、CTまたはTT遺伝子型をもつイマチニブ個体群と比べて進行事象を経験した大きな患者集団を有する(図4参照)。
ITT原理を用いる生存分析により、18ヶ月データで遺伝子解析されたCSTI571 0106試験からの患者集団におけるイマチニブアームでは10事象が得られた。rs2290573多型についてのCC遺伝子型をもつ26イマチニブ処置患者のうち6名(23.1%)は、進行事象を経験していた。rs2290573多型についてのCTまたはTT遺伝子型をもつ79名のうち4患者(5.1%)は、進行事象を経験していた(表2参照)。ログ‐ランク(0.0041)およびウィルコクソン(0.0049)統計試験によると、遺伝子型間に顕著な差異が観察された。この観察結果は、rs2290573遺伝子型およびMCyR間において報告された関連性を強めている。この遺伝子座にCC遺伝子型をもつイマチニブ処置個体群は、CTまたはTT遺伝子型をもつイマチニブ個体群と比べて進行事象を経験した大きな患者集団を有する(図4参照)。
CSTI571 0106試験に関する主目的は、IFN−アルファ+Ara−Cでの処置に対してランダム化された患者と比較された、イマチニブでの処置にランダム化された以前には未処置のPh+CMLとして新たに診断された成人患者における病勢進行までの期間の測定であった。BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。第二の目的には、イマチニブに対するMCyRの割合および持続時間の測定が含まれた。MCyRは、≦35%のPh+細胞の存在を特徴とする。
イマチニブによる12ヶ月処置についてのCSTI571 0106臨床試験報告で挙げられている確認されたMCyR率は、75.8%であった。BoltonおよびGathmann(2002)、前出、およびO'Brien et al.、N.Engl.J.Med.、第348巻、994−1004頁(2003)参照。
薬理遺伝学的分析
CSTI571 0106試験からの患者のサブセットにおいて、薬理遺伝学的分析を実施することにより、イマチニブ処置に対する応答の遺伝マーカーが同定された。候補遺伝子における多型および12ヶ月間イマチニブで処置された病気の慢性相にあるCML患者におけるMCyRの存在または不存在間の関連性を同定するための統計的試験を実施した。15q22.33領域にマッピングされたrs2290573多型およびOKRの応答分類間に顕著な関連性が発見された。この関連はまた、BKRの分析でも有意であった。CSTI571 0106臨床試験報告と連携させるため確認および未確認細胞遺伝応答により分析を完了させた。CSTI571 0106においてCML患者の応答率が高いため、遺伝子型/表現型関連性は著しいものである。推定遺伝子座にCC遺伝子型をもつ応答者の47%は、CSTI571 0106臨床試験報告で観察された応答者の75.8%とかなりの対照をなしている。この関連性はまた、18ヶ月追跡からのデータでも有意である。
CSTI571 0106試験からの患者のサブセットにおいて、薬理遺伝学的分析を実施することにより、イマチニブ処置に対する応答の遺伝マーカーが同定された。候補遺伝子における多型および12ヶ月間イマチニブで処置された病気の慢性相にあるCML患者におけるMCyRの存在または不存在間の関連性を同定するための統計的試験を実施した。15q22.33領域にマッピングされたrs2290573多型およびOKRの応答分類間に顕著な関連性が発見された。この関連はまた、BKRの分析でも有意であった。CSTI571 0106臨床試験報告と連携させるため確認および未確認細胞遺伝応答により分析を完了させた。CSTI571 0106においてCML患者の応答率が高いため、遺伝子型/表現型関連性は著しいものである。推定遺伝子座にCC遺伝子型をもつ応答者の47%は、CSTI571 0106臨床試験報告で観察された応答者の75.8%とかなりの対照をなしている。この関連性はまた、18ヶ月追跡からのデータでも有意である。
多変量解析は、rs2290573多型が、このCML患者集団においてソーカルスコア、人種およびヘモグロビンレベルよりも細胞遺伝応答の優れた予測因子であることを示した。
TTPの生存分析は、rs2290573多型についての遺伝子型に基づいた進行事象における有意差を明示していた。CTまたはTT遺伝子型をもつ患者と比べて、rs2290573多型についてのCC遺伝子型をもつ患者は、著しく高いパーセンテージで進行事象を経験していた。
rs2290573多型は、SCAMP2遺伝子付近にチロシンキナーゼドメインをもつ、推定遺伝子、DKFZP434C131にマッピングされている(図5参照)。この多型は、配列AC020705.4の36211位の多型部位にあるCSK遺伝子における多型として以前から知られている。その時点で、ここに報告されているrs2290573多型は、CYP1A1遺伝子にマッピングされた。その時以来、多型がDKFZP434C131の仮記号をもつ推定遺伝子にマッピングさせるように15q領域の遺伝子地図は精密化されている。
染色体15における領域の地図を作製するのに使用されたゲノム連続体(contig)NT_010374.9は多断裂を含むため、この時点で多型がいかにCYP1A1近くに近接して存するかを測定するのは不可能である。図5に示された連続体の領域は、連続配列であり、断裂を全く含まない。
マルチプル(並列)試験法についての補正
浮腫の予測マーカーの同定に使用される方法の性質故に、マルチプル試験法については補正することが必要である。試験を多く実施するほど、偶然でもp=0.05での関連性を発見する可能性は高くなる。マルチプル試験法について幾つかの補正方法があるが、そのどれもが多数の多型の薬理遺伝学的解析には理想的なものではない。
浮腫の予測マーカーの同定に使用される方法の性質故に、マルチプル試験法については補正することが必要である。試験を多く実施するほど、偶然でもp=0.05での関連性を発見する可能性は高くなる。マルチプル試験法について幾つかの補正方法があるが、そのどれもが多数の多型の薬理遺伝学的解析には理想的なものではない。
マルチプル試験法についてのボンフェローニ補正は全く保守的なものであり、一度に開発された後、現在実行可能であるようにゲノム規模で試験することが可能となった。ボンフェローニ補正因子を用いることによりマルチプル試験法について補正するため、所望のp値を実施試験数で割る。得られた値は、「有意」とみなされる値である。
データセットの信頼性の第2試験方法は、ブートストラップ法である。この方法は、シミュレーションを適用して有意性試験を計算するコンピューター集中的統計分析法である。ブートストラップ法は、データセット全体の複製を作製することにより、普遍化のエラーを推定する。乱数作成機能を用いてデータセットを再サンプリングする。ブートす虎ぷ法を実施することにより、有意な結果の安定性を試験した。ブートストラップは、2種の表現型(CHRおよびMCyR)および69SNPにより構成され、10000イテレーション(反復)により実行された。
統計分析は全て統計プログラムSASバージョン8.2で実施された。
統計分析は全て統計プログラムSASバージョン8.2で実施された。
遺伝子型および応答との相関関係の結果
フィッシャー直接確率検定および確率の計算結果は、STI571処置患者において遺伝子型および血液または細胞遺伝応答間の3つの顕著な関連性を明らかにした:CYP1A1遺伝子における一つ、rs2290573多型(前にCSK遺伝子と称された)およびIL−1β遺伝子。I462V多型は、CYP1A1遺伝子のエキソン7におけるG→Aヌクレオチド塩基変化から成り、CHRと著しい相関関係を示す(p=0.004)。非コーディングrs2290573多型は、MCyRと著しい相関関係を示す(p=0.004)。IL−1βプロモーター内に見出されるIL−1β−511多型は、MCyRと著しい相関関係を示す(p=0.0121)。IL−1β多型は、転写開始部位から−511位塩基対においてC→T塩基トランジションを表す。これらの関連性の結果は、CHRまたはMCyRについての見込みを予測し得る遺伝子座内における多型の同定であり、イマチニブ処置患者においてORは3.0(95%CI:1.2−7.4)またはそれより大である。
フィッシャー直接確率検定および確率の計算結果は、STI571処置患者において遺伝子型および血液または細胞遺伝応答間の3つの顕著な関連性を明らかにした:CYP1A1遺伝子における一つ、rs2290573多型(前にCSK遺伝子と称された)およびIL−1β遺伝子。I462V多型は、CYP1A1遺伝子のエキソン7におけるG→Aヌクレオチド塩基変化から成り、CHRと著しい相関関係を示す(p=0.004)。非コーディングrs2290573多型は、MCyRと著しい相関関係を示す(p=0.004)。IL−1βプロモーター内に見出されるIL−1β−511多型は、MCyRと著しい相関関係を示す(p=0.0121)。IL−1β多型は、転写開始部位から−511位塩基対においてC→T塩基トランジションを表す。これらの関連性の結果は、CHRまたはMCyRについての見込みを予測し得る遺伝子座内における多型の同定であり、イマチニブ処置患者においてORは3.0(95%CI:1.2−7.4)またはそれより大である。
IL−1ベータ多型は、ヌクレオチド−511位(プロモーター領域;アミノ酸変化無し)におけるC→T、または配列X04500のヌクレオチド1423位におけるC→Tである。
CYP1A1多型は、配列X02612の6819位におけるG→Aであり、発現されたタンパク質のアミノ酸462位においてILEからVALへの変化を誘発する。
rs2290573多型は、現在15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131にマッピングされており、この推定遺伝子はチロシンキナーゼをコードする(この多型は前にCYP1A1遺伝子にマッピングされ、CSK遺伝子と称されていたもので、配列AC020705.4の36211位におけるC→Tとして報告され、発現されたタンパク質にアミノ酸変化は無かった)。
CHRおよびMCyRは、イマチニブメシレート(グリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)の効力分析についての正確な指標である。細胞遺伝学および血液学を含む応答は、STI571 0106臨床試験における効力分析についての主たる焦点であった。応答は、患者を一薬剤から他薬剤へのクロスオーバーにかける前の処置である、第一線処置に関する若干の変数により構成された。この薬理遺伝学的分析を実施することにより、イマチニブで処置したときの応答の見込みを予測するのに使用され得る遺伝マーカーが同定された。
候補遺伝子における遺伝子型およびイマチニブ処置患者、IFN−アルファ+Ara−C処置患者または両処置を含む全患者における応答の存在または不存在間の関連性を求めるための統計検査を実施した。3種の異なる遺伝子間における顕著な関連性が発見された:CYP1A1、現在15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131にマッピングされているrs2290573多型、およびIL−1ベータ、およびそれぞれCHRおよびMCyRの応答分類。
実施例2
イマチニブメシレート(グリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)で処置されたCML患者における細胞遺伝応答の薬理遺伝学的分析
方法2
遺伝子発現プロファイリング
STI571で処置されたCML患者における細胞遺伝応答の研究において、CSTI571 0106第三相臨床試験からの総数105患者からの遺伝子発現プロフィールを試験した。12000を超える遺伝子についての遺伝子発現データを、アフィメトリックスオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いてベースライン(STI571での処置前)で集められた血液試料から作製した。OKRデータを用いて、12ヶ月データから細胞遺伝応答を測定した。応答者および非応答者間で最も明白に差別化された一群の遺伝子を同定するため、CCyRを経験した個体(n=53)を、極小またはNoCyRを有する個体(n=13)と比較した。「1点除外(leave-one-out)」分析手順を適用することにより、31遺伝子の最適化セットが同定された。van't Veer et al.(2002)、前出参照。これらの遺伝子を用いて、CCyRを達成した患者の94%および極小またはNoCyRを示した患者の92%が正しく同定された。部分的または小応答の患者を考慮に入れたときも結果は有意であった。
イマチニブメシレート(グリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)で処置されたCML患者における細胞遺伝応答の薬理遺伝学的分析
方法2
遺伝子発現プロファイリング
STI571で処置されたCML患者における細胞遺伝応答の研究において、CSTI571 0106第三相臨床試験からの総数105患者からの遺伝子発現プロフィールを試験した。12000を超える遺伝子についての遺伝子発現データを、アフィメトリックスオリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いてベースライン(STI571での処置前)で集められた血液試料から作製した。OKRデータを用いて、12ヶ月データから細胞遺伝応答を測定した。応答者および非応答者間で最も明白に差別化された一群の遺伝子を同定するため、CCyRを経験した個体(n=53)を、極小またはNoCyRを有する個体(n=13)と比較した。「1点除外(leave-one-out)」分析手順を適用することにより、31遺伝子の最適化セットが同定された。van't Veer et al.(2002)、前出参照。これらの遺伝子を用いて、CCyRを達成した患者の94%および極小またはNoCyRを示した患者の92%が正しく同定された。部分的または小応答の患者を考慮に入れたときも結果は有意であった。
RNA発現の薬理遺伝学的分析を実施することにより、第三相臨床試験CSTI571 0106における細胞遺伝応答のゲノムマーカーが同定された。CSTI571 0106は、以前未処置でPh+CML−CPと新たに診断された患者におけるSTI571対Ara−Cと合わせたIFN−αの試験であった。
この試験の主目的は、IFN−α+Ara−Cに対してランダム化された患者と比較したSTI571に対してランダム化された患者における処置失敗までの時間を測定することであった。二次目的は以下の内容を含んでいた:1)IFN−α+Ara−Cの場合と比較したSTI571に対してランダム化された患者におけるMCyRの割合および持続時間の測定、および2)この患者集団における血液および骨髄の腫瘍細胞において、診査的にRNA発現およびDNA多型、たとえばBCR−ABLおよびc−KIT試験するための薬理遺伝学的評価の実施。
この薬理遺伝学的分析は、上記で列挙した二次目的に取組むために実施された。細胞遺伝応答の予測マーカーの開発努力では、極小応答またはNoCyRを有する患者と比べてSTI571処置後にCCyRを達成した患者間に遺伝子発現の差異が存在するか否かを測定するためにRNA発現を評価した。この試験では、薬剤処置前のベースラインで集められた血液からのRNA発現を評価した。第一線処置(first-line treatment)として引き続きSTI571で処置された患者のみ評価した。
細胞遺伝応答は、骨髄細胞におけるPh+中期のパーセンテージに関して定義される。この試験については、細胞遺伝応答分類を、12ヶ月固定データ(2002年1月31日)から第一線処置後の効力を調べる誘導された応答パネルにおけるOKRカラムから取った。0%Ph+細胞を有する(OKR=1)場合CCyRを有するものとして、また>65%のPh+細胞を有する(OKR=4.5)場合NoCyRを有するものとして患者を分類した。ゲノム応答プロフィールの同定は、異なる表現型に左右される。したがって、2(部分的)、3(小)、6(評価不可能)または7(PD)のOKRスコアをもつか、または試験からクロスオーバーしたか中止した患者については最初に排除した。したがって、応答者および非応答者間における最大表現型対比を有する患者から遺伝子リストが同定された。
試料
STI571 0106臨床試験に登録された米国からの200名を超える患者からRNA抽出用血液を集めた。これらの患者は各々、地方IRB委員会により認められた個別の薬理遺伝学インフォームドコンセントの書式に署名した。合計115試料を、第一線処置としてSTI571処置アームにランダム化された患者から、薬剤処置前のベースラインで集めた。これら115試料のうち、9試料は、プロセッシングされたRNAの品質が悪いためさらなる分析用に除外し、一試料については患者が非常に早く試験から脱落したため排除した。12ヶ月固定データのOKRから細胞遺伝応答(CyR)を測定した(表4参照)。応答者および非応答者間の対比を最大にするため、初回薬理遺伝学的分析を残りの105患者のサブセットで実施した。0%Ph+細胞(OKR=1)の患者をCCyRとして分類し、>65%Ph+細胞(OKR=4またはOKR=5)をNoCyRとして分類した。他の処置アームにクロスオーバーした個体(n=1)、または試験を中止した個体(n=2)は、この初回分析には含まれなかった。この結果、得られた患者試料は合計66であり、53はCCyRであり、13は極小またはNoCyRであった。
STI571 0106臨床試験に登録された米国からの200名を超える患者からRNA抽出用血液を集めた。これらの患者は各々、地方IRB委員会により認められた個別の薬理遺伝学インフォームドコンセントの書式に署名した。合計115試料を、第一線処置としてSTI571処置アームにランダム化された患者から、薬剤処置前のベースラインで集めた。これら115試料のうち、9試料は、プロセッシングされたRNAの品質が悪いためさらなる分析用に除外し、一試料については患者が非常に早く試験から脱落したため排除した。12ヶ月固定データのOKRから細胞遺伝応答(CyR)を測定した(表4参照)。応答者および非応答者間の対比を最大にするため、初回薬理遺伝学的分析を残りの105患者のサブセットで実施した。0%Ph+細胞(OKR=1)の患者をCCyRとして分類し、>65%Ph+細胞(OKR=4またはOKR=5)をNoCyRとして分類した。他の処置アームにクロスオーバーした個体(n=1)、または試験を中止した個体(n=2)は、この初回分析には含まれなかった。この結果、得られた患者試料は合計66であり、53はCCyRであり、13は極小またはNoCyRであった。
RNA発現プロファイリング
全RNAを全血から単離し、プロセッシングし、本明細書の他の箇所に記載されているTRI REAGENT(商標)BDを使用する方法を用いてガイザーズバーグ(メリーランド)のファーマコジェネティクスグループによりアフィメトリックスU95A、バージョン2のマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせた。
全RNAを全血から単離し、プロセッシングし、本明細書の他の箇所に記載されているTRI REAGENT(商標)BDを使用する方法を用いてガイザーズバーグ(メリーランド)のファーマコジェネティクスグループによりアフィメトリックスU95A、バージョン2のマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせた。
解析戦略
アフィメトリックスU95Aマイクロアレイにおける12627プローブセットからの予測因子である遺伝子の最良のセットを決定するため、遺伝子リストを最初にフィルターにかけ、van't Veer et al.(2002)、Nature;415:530−536に最近報告された「1点除外」分析戦略を適合させることにより、ゲノムプロフィールに使用するための遺伝子の最適数を測定した。
アフィメトリックスU95Aマイクロアレイにおける12627プローブセットからの予測因子である遺伝子の最良のセットを決定するため、遺伝子リストを最初にフィルターにかけ、van't Veer et al.(2002)、Nature;415:530−536に最近報告された「1点除外」分析戦略を適合させることにより、ゲノムプロフィールに使用するための遺伝子の最適数を測定した。
データのフィルタリング
66試料に関する全データを、ジーンスプリング(GENESPRING、登録商標)バージョン4.2.1(シリコン・ジェネティクス、レッドウッドシティー、カリフォルニア)へ直接インポートした。デフォルトGENESPRING(登録商標)正規化が選択された:全測定値の百分順位の50番目を各試料についての陽性対照として使用した。各遺伝子についての各測定値を、この合成陽性対照で割ることにより、これは少なくとも10であると想定された。百分順位の下位10番目を正確なバックグラウンドサブトラクション用試験として使用した。これは決して合成陽性対照の負数未満ではなかった。各遺伝子を、その遺伝子についての合成陽性対照を作製し、その遺伝子についての全測定値をこの陽性対照で割ることにより、各遺伝子をそれ自体正規化したところ、少なくとも0.01であると想定された。この合成対照は、試料全体にわたる遺伝子発現値の中央値であった。
66試料に関する全データを、ジーンスプリング(GENESPRING、登録商標)バージョン4.2.1(シリコン・ジェネティクス、レッドウッドシティー、カリフォルニア)へ直接インポートした。デフォルトGENESPRING(登録商標)正規化が選択された:全測定値の百分順位の50番目を各試料についての陽性対照として使用した。各遺伝子についての各測定値を、この合成陽性対照で割ることにより、これは少なくとも10であると想定された。百分順位の下位10番目を正確なバックグラウンドサブトラクション用試験として使用した。これは決して合成陽性対照の負数未満ではなかった。各遺伝子を、その遺伝子についての合成陽性対照を作製し、その遺伝子についての全測定値をこの陽性対照で割ることにより、各遺伝子をそれ自体正規化したところ、少なくとも0.01であると想定された。この合成対照は、試料全体にわたる遺伝子発現値の中央値であった。
データのフィルタリングを実施することにより、試料の全てにわたって発現をほとんどまたは全く示さないプローブセットを除去した。試料の少なくとも10%(66のうち7)が100または上記バックグラウンドより大きいAvgDiff値を有するように、未処理発現値をフィルターにかけた。CCyRおよびNoCyR群間に有意差が無い場合、プローブセットをさらにフィルターにかけた。これは、p値カットオフが0.05である正規化データにおけるノンパラメトリック(ウィルコクソン‐マン‐ホイットニー)試験を用いて為された。このフィルタリングにより、もとの12627のうち合計300プローブセットが得られた。これらの300プローブセット(マイナス2アフィメトリックス対照プローブセット)についての未処理データをExcel(エクセル)にエクスポートし、全ての負のAvgDiff値が1に等しく設定されるように変換した。5%未満の割合で存在(P)または限界(M)コールがある場合、および両群に50%より多く負の値が存在する場合、追加のプローブセットをフィルターにかけた。平均AvgDiff値を2群について計算し、CCyR対NoCyRの比率を測定した。1.7未満の比率差異を有するプローブセットを、さらなる分析から排除すると、合計71のプローブセットが残った。これら71プローブセットに関するデータをSASバージョン8.2へエクスポートし、ノンパラメトリック一方向ANOVAをCCyRおよびNoCyR群間で実施した。合計55のプローブセットは2群間で有意な差を示し、p値は<0.05であった。
リポーター遺伝子の最適数の決定
「1点除外」手順を用いて、CCyRおよびNoCyR間で区別できる55遺伝子から遺伝子の最適数を決定した。この分析は、van't Veer et al.(2002)前出、論文の補足情報に記載されているものと本質的に同一であり、下記で説明されている。まず、遺伝子発現(負の未処理値セット=1)および予後範ちゅう(NoCyR=0、CCyR=1)間の相関関係を、66試料の全てにわたる55遺伝子の各々について計算した。ピアソン相関係数の絶対値を、各遺伝子について取出し(等しい重量を正および負の相関関係に割当てるように)、遺伝子を最高から最低の相関関係の順に整列させた。
「1点除外」手順を用いて、CCyRおよびNoCyR間で区別できる55遺伝子から遺伝子の最適数を決定した。この分析は、van't Veer et al.(2002)前出、論文の補足情報に記載されているものと本質的に同一であり、下記で説明されている。まず、遺伝子発現(負の未処理値セット=1)および予後範ちゅう(NoCyR=0、CCyR=1)間の相関関係を、66試料の全てにわたる55遺伝子の各々について計算した。ピアソン相関係数の絶対値を、各遺伝子について取出し(等しい重量を正および負の相関関係に割当てるように)、遺伝子を最高から最低の相関関係の順に整列させた。
上位5遺伝子(CCyR予後に対して最高の相関関係を示すもの)から出発し、一試料を分析から取出し、各群(CCyRおよびNoCyR)に関する平均遺伝子発現プロフィールを残り65試料から算出した。次いで、除外試料についての予測結果を、65試料を用いて計算された平均CCyRおよびNoCyRプロフィールで除外試料の発現プロフィールのPCCを測定することにより計算した。CCが、NoCyRよりもCCyR相関関係からの方が高い場合、試料をCCyRとして分類し、1の値を割当てた。66全試料が一度除外されるまで、残りの試料を用いてこの分析を反復した。次いで、偽陰性(NoCyRとして誤分類されたCCyR)および偽陽性(CCyRとして誤分類されたNoCyR)の数を計算することにより、正確および不正確な予測件数を測定した。リストの上部から追加遺伝子を加えた後、55遺伝子が全て使用されるまで、完全な「1点除外」方法を反復した。遺伝子の数の関数としてのエラー比率を図1に示す。
最適閾値の測定
これら最適31遺伝子(遺伝子の列挙に関する結果参照)を用いての次なる段階は、CCyRおよびNoCyR間の正確な識別に使用するのに適切な閾値を計算することであった。両方からの結果を比較した後(クラスタリング結果は、NoCyRプロフィールを用いると実質的に優れている)、CCyRプロフィールとは対照的に平均NoCyRプロフィールと個々の試料を比較することが経験的に決定された。PCCを用いて、66試料の各々に関する31遺伝子の発現パターンを平均NoCyRプロフィール(NoCyRを有する66患者のうち13名を用いて計算した)と比較した。次いで、患者試料を最高から最低への相関関係によりランク付けし、閾値相関関係が引き出される関数としてエラー比率を測定した。結果を図2に示す。「最適精度」での閾値は0.570のCC(r)においてであり、これは偽陽性(N=2)および偽陰性(N=2)の両方の最小値がある点であった。
これら最適31遺伝子(遺伝子の列挙に関する結果参照)を用いての次なる段階は、CCyRおよびNoCyR間の正確な識別に使用するのに適切な閾値を計算することであった。両方からの結果を比較した後(クラスタリング結果は、NoCyRプロフィールを用いると実質的に優れている)、CCyRプロフィールとは対照的に平均NoCyRプロフィールと個々の試料を比較することが経験的に決定された。PCCを用いて、66試料の各々に関する31遺伝子の発現パターンを平均NoCyRプロフィール(NoCyRを有する66患者のうち13名を用いて計算した)と比較した。次いで、患者試料を最高から最低への相関関係によりランク付けし、閾値相関関係が引き出される関数としてエラー比率を測定した。結果を図2に示す。「最適精度」での閾値は0.570のCC(r)においてであり、これは偽陽性(N=2)および偽陰性(N=2)の両方の最小値がある点であった。
偽陽性(CCyRとして誤分類されたNoCyR)の数をさらに減らす努力において、第二の閾値をr=0.540で選択した(最適化特異性)。この閾値を用いると、偽陽性の数は減少し(N=1)、偽陰性の数は僅かに増加しただけであった(N=3)。r=0.437での閾値を用いると、偽陽性を全て排除することにより特異性はさらに高められるが、偽陰性の大幅な増加(N=11)をもたらすため感度は減少する。これらの結果に基づき、後続の全分析についてr=0.54での閾値を使用することが決定された。
統計分析
統計分析、たとえばフィッシャーの直接確率検定、ノンパラメトリック一方向ANOVAおよび95%CIを加えたORの計算を、SASバージョン8.2を用いて計算した。統計的有意性は、p<0.05で確立された。
統計分析、たとえばフィッシャーの直接確率検定、ノンパラメトリック一方向ANOVAおよび95%CIを加えたORの計算を、SASバージョン8.2を用いて計算した。統計的有意性は、p<0.05で確立された。
細胞遺伝応答の分類
表4に示されている通り、105患者のサブセットについてのOKRの分布は、STI571アーム(105患者が引き出された)における米国患者全員、およびこの試験についての全STI571処置患者集団と同等であった。
表4に示されている通り、105患者のサブセットについてのOKRの分布は、STI571アーム(105患者が引き出された)における米国患者全員、およびこの試験についての全STI571処置患者集団と同等であった。
*分析された患者は、STI571処置アームにランダム化されたIRIS試験に登録された米国患者のサブセットであった。
マイクロアレイの品質管理
STI571処置アームにおける115ベースライン患者試料についての平均スケーリング因子は、4.7〜644.7の範囲で55.6±86.2(StdDev)であった。合計9試料は、141.8よりも大きいスケーリング因子を有しており(平均+1StdDev)、非常に信頼性の低いものと見なされたため、全分析から排除された。表5に示されている通り、応答のゲノムマーカーを同定するために分析で使用された66試料に関するCCyRおよびNoCyR群間の品質管理パラメーターに統計的有意差は無かった。
STI571処置アームにおける115ベースライン患者試料についての平均スケーリング因子は、4.7〜644.7の範囲で55.6±86.2(StdDev)であった。合計9試料は、141.8よりも大きいスケーリング因子を有しており(平均+1StdDev)、非常に信頼性の低いものと見なされたため、全分析から排除された。表5に示されている通り、応答のゲノムマーカーを同定するために分析で使用された66試料に関するCCyRおよびNoCyR群間の品質管理パラメーターに統計的有意差は無かった。
ゲノムプロフィールを含む31遺伝子
方法の項で詳細に説明されている一連の66試料(53CCyR、13NoCyR)を用いて、細胞遺伝応答のゲノムプロフィールを含む31遺伝子の選択を実施した。表6は、アフィメトリックスプローブセット名、GenBank受入番号、染色体遺伝子座および機能の簡単な説明と一緒にこれらの遺伝子のリストを表す。
方法の項で詳細に説明されている一連の66試料(53CCyR、13NoCyR)を用いて、細胞遺伝応答のゲノムプロフィールを含む31遺伝子の選択を実施した。表6は、アフィメトリックスプローブセット名、GenBank受入番号、染色体遺伝子座および機能の簡単な説明と一緒にこれらの遺伝子のリストを表す。
詳細、たとえば平均発現値、標準誤差(SE)、CCyRおよびNoCyR群間の比率差、並びに応答状態に対する各遺伝子のPCC(r)およびCCyRとNoCyRを比較するノンパラメトリック一方向ANOVA結果は、応答者および非応答者間を区別することが見出された55の全遺伝子について表12Aおよび12Bに提示されている。
興味深いことに、応答者および非応答者間で異なる発現性を有するものとしてこの報告で同定された遺伝子の多くは、改変された細胞接着、構成的活性マイトジェンシグナル伝達、およびアポトーシスの阻害を含む、BCR−ABLオンコジーンによるCMLの病因と機能的に関連していると思われる。検討については、Faderl et al.、N.Engl.J.Med.、第341巻、3号、164−172頁(1999);Deininger et al.、Blood、第96巻、10号、3343−3356頁(2000)、KabaraowskiおよびWitte、Stem Cells、第18巻、6号、399−408頁(2000)参照。
31遺伝子ゲノムプロフィールを用いた応答状態の分類
図3は、細胞遺伝応答プロフィールを含む31遺伝子のクラスター解析の結果を示し、試料はCCにより整列させている。NoCyRプロフィールと最高の相関関係を有する試料は上位にあり、NoCyR状態と低い相関関係を有するものは下位にある。閾値相関関係を、偽陰性の数を10%未満に最小限とする値で選択した(最適化特異性;r=0.54)。この閾値を用いると、CCが0.54以上(平均NoCyR発現プロフィールをもつPCCに基く)である個体は、NoCyR群に分類され、rが0.54未満である個体はCCyR群に分類される。表7は、この閾値を用いることにより、頻度分析の結果を表しており、正確および不正確な予測数を示す。現実の応答データおよび(ゲノムプロフィールに基づいた)計算上の応答データ間の差異は、フィッシャーの直接確率検定によると非常に有意であり、p値は5.29×10−9であった。
図3は、細胞遺伝応答プロフィールを含む31遺伝子のクラスター解析の結果を示し、試料はCCにより整列させている。NoCyRプロフィールと最高の相関関係を有する試料は上位にあり、NoCyR状態と低い相関関係を有するものは下位にある。閾値相関関係を、偽陰性の数を10%未満に最小限とする値で選択した(最適化特異性;r=0.54)。この閾値を用いると、CCが0.54以上(平均NoCyR発現プロフィールをもつPCCに基く)である個体は、NoCyR群に分類され、rが0.54未満である個体はCCyR群に分類される。表7は、この閾値を用いることにより、頻度分析の結果を表しており、正確および不正確な予測数を示す。現実の応答データおよび(ゲノムプロフィールに基づいた)計算上の応答データ間の差異は、フィッシャーの直接確率検定によると非常に有意であり、p値は5.29×10−9であった。
r=PCC、Thr=閾値相関値、CI:信頼区間、Sens.=感度、Spec.=特異性、PV+=予測値プラス、PV−=予測値マイナス
CCyR=完全細胞遺伝応答、確認済(OKR=1)、NoCyR=極小(OKR=4)または無(OKR=5)。
この場合のORは、平均NoCyRプロフィール(r≧0.54)と密接な相関関係を示す31遺伝子についての発現プロフィールをもつ個体が、r<0.54の個体と比べると約200倍高い割合で完全細胞遺伝応答を達成しそうもないことを示している。この閾値を用いることにより、それぞれ0.943および0.923の感度および特異性についての値が達成された(表7参照)。1.00の値まで特異性を増加させるためには(誤分類されたNoCyRの場合は無し)、0.437の閾値が要求される(図3参照)。この結果、感度は0.79に減少するが、99.8のOR(95%CI:5.5〜1807)は依然として高い有意性を示す(表7参照)。
応答者および非応答者間を区別し得る遺伝子の最適セットを決定するため、クロスオーバーしたかまたは中止された3個体を除き、CCyR(OKR=1)を達成した患者およびNoCyR(OKR=4,5)を有する患者のみ使用した。後続分析を実施することにより、上記ゲノムプロフィールを用いたこの試験において105個体の全てについて計算上の応答を推定した。これらの分析については、試料の各々に関する31遺伝子のプロフィールを、0.54の閾値相関値を用いて、平均NoCyRプロフィールに対して相関させた(図3および表7参照)。
表8は、12ヶ月データを用いた、表4で定義されている通り、報告された最良の細胞遺伝応答によるゲノム分類の分解を示す。これは、OKRおよびBKRデータの両方を用いて為された。フィッシャーの直接確率検定による分析結果は、OKRおよびBKRデータの両方についてゲノムプロファイリングにより計算された応答および実際の最良の細胞遺伝応答間に顕著な関連性があることを示していた(p<0.000001)。表9は、18ヶ月臨床データを用いた追跡分析の結果を示し、計算上の応答および実際の細胞遺伝応答間の関連性が依然として有意(p<0.00001)であることを示している。
実際の最良細胞遺伝応答に基づいた2範ちゅうに個体をグループ分けすることにより、追加分析を実施した。それぞれOKRデータまたはBKRデータのいずれを用いて分類が為されたかに基づいて、0〜35%の率でPh+細胞をもつ個体(完全+部分的応答)を、MCyRまたはMKRを達成したものとして分類した。Ph+細胞が35%未満(小、極小および応答無し)である個体を、非応答者(NoMCyRまたはNoMKR)として分類した。OKRまたはBKRが7に等しい(進行性疾患)患者は、非応答者範ちゅうに含まれ、OKRまたはBKRが6に等しい(入手不可能)患者についてはこれらの分析から排除した。12ヶ月および18ヶ月データの両方に関するこれらの分析の結果を表10に示す。全ての場合において、結果は高い有意性(p<0.001)を示し、ORの範囲は8.8(95%CI:2.8〜27.9)〜19.9(95%CI:5.9〜67.1)であった。感度は0.886〜0.934の範囲であり、特異性は0.529〜0.583の範囲に過ぎなかった。
TTPと細胞遺伝応答の相関関係
IRIS試験の主たる目的は、IFN−アルファ+Ara−Cでの処置に対してランダム化された患者と比較してSTI571での処置に対してランダム化されたPh+CML患者のTTPを測定することであった。12ヶ月データを調べると、全553イマチニブ処置患者のうち24個体が病気の進行を呈していた。これらの個体のうち3名は、発現データが入手可能である105患者のサブセットに含まれていた。
IRIS試験の主たる目的は、IFN−アルファ+Ara−Cでの処置に対してランダム化された患者と比較してSTI571での処置に対してランダム化されたPh+CML患者のTTPを測定することであった。12ヶ月データを調べると、全553イマチニブ処置患者のうち24個体が病気の進行を呈していた。これらの個体のうち3名は、発現データが入手可能である105患者のサブセットに含まれていた。
18ヶ月臨床データを用いてTTPを評価した。全STI571処置アームからの追加18個体は病状が進行しており(TTP_C=0)、そのうち7名はゲノム解析用の105患者集団に含まれていた。表11は、105患者の本分析集団における病気が進行した10患者に関する応答データの詳細を示す。病気の進行を経験している10個体のうち9個体は、応答プロフィール(r<0.54)とより密接な相関関係を示す発現プロフィールを有していた。さらに、BKRおよびOKRの両方に関する値で示されている通り(表11参照)、これらの個体の幾つかはSTI571処置後に病状の改善を経験していた。
この薬理遺伝学的分析を実施することにより、STI571による処置後の細胞遺伝応答のゲノムマーカーを同定した(細胞遺伝応答の定義については表13参照)。van't Veer et al.(2002)、前出に報告された分析戦略を用いて、患者の発現プロフィールがSTI571での処置後にCCyRと相関関係を示す31遺伝子の最適セットを特定した。最大の表現型差異を呈する患者、CCyR対NoCyRを呈する患者のサブセットを用いてこれを実施した。特異性について最適化されたPCC(r)を用いて統計分析を実施したところ、応答者として誤分類される非応答者は10%に過ぎない(r=0.54;図3参照)。この結果、感度は0.943および特異性は0.923となり、ORは200(95%CI:19.1〜2096)およびp<0.0001であった(表7参照)。この場合のORは、平均NoCyR発現プロフィールとの相関関係がr≧0.54をもたらす場合、個体が、STI571での処置後に、CCyRを達成しない確率が約200倍高いことを示している。
31遺伝子発現プロフィールを用いることにより、初回分析に含まれない105患者のうち残りの39名について(部分的、小応答、進行性疾患および中止またはクロスオーバーされた患者)のゲノム分類は何になるかを評価するためにこの同じ基準が適用された。これは、OKRおよびBKR最良細胞遺伝応答スコアの両方を用いて為された(表8参照)。結果は、部分的(OKR=2)および小(OKR=3)応答者の大多数が、ゲノムプロファイリングにより応答者として分類される(r<0.54)ことを示していたが、これら両カテゴリーについての観察数は予測された数と密接にマッチしていた(表8参照)。興味深いことに、進行性疾患として(OKR=7)分類された患者はまた、両方とも応答者として分類されたが、上記2つの観察結果は2症例の予測数とマッチしていた(表8参照)。フィッシャーの直接確率検定の結果は、全ての場合において有意であり(p<0.001)、18ヶ月臨床データを用いて実施された追跡分析においても保持されていた(表9参照)。また、主応答(0〜35%Ph+細胞)対小〜無応答(>35%Ph+細胞、+進行性疾患)の分類を用いたさらなる分析により、表10に示されている通り12ヶ月および18ヶ月の両データセット(p<0.001)について、OKRまたはBKR細胞遺伝データを用いたところ、ゲノム分類および実際の応答間に顕著な関連性が得られた。
図8に示されている通り、病気の進行および31遺伝子発現プロフィールとの相関関係により決定された応答分類間に関連性は無かった。事実、病気の進行を示す10個体のうち9個体は、陽性細胞遺伝応答と相関関係を示す(r<0.54)発現プロフィールを有していた。病気が進行しているこれらの個体の多くはまた、STI571に有利に応答しており、完全または部分的細胞遺伝応答を示す個体もあった(表11参照)。病気進行の理由は、表11に示されている通り必ずしも細胞遺伝応答の消失に直接関連しているわけではなかった。
興味深いことに、応答者および非応答者間で異なる発現性を有するものとしてこの報告で同定された遺伝子の多くは、BCR−ABLオンコジーンによるCMLの病因と機能的に関連していると思われる。BCR−ABLオンコジーンが3つの主たる機構:改変された細胞接着、構成的活性マイトジェンシグナル伝達およびアポトーシスの阻害により悪性転換を招き得ると考えられている。検討については、Faderl et al.(1999)前出;Deininger et al.(2000)前出、およびKabaraowskiおよびWitte(2000)前出参照。
特に興味深い一遺伝子はCBL遺伝子であり、これはBCR−ABLオンコジーンの目立つ標的であり、若干の異なるシグナル変換経路を仲介し得る。Bhat et al.、J.Biol.Chem.、第272巻、26号、16170−16175頁(1997)参照。この試験では、STI571処置に応答する患者(CCyR群)は、NoCyR群と比べてCBL遺伝子の高い発現を示すことが見出された。興味深いことに、最近の日本の研究によると、CBL遺伝子の別のイソ型(CBLC)が、STI処置CML患者におけるCCyRおよびNoCyRで差次的発現されるものとして同定された。Kaneta et al.、(2002)、前出参照。この試験では、彼らは、第二相臨床試験に登録された22名の日本人CML患者の集団において我々のと類似したタイプの分析を実施した。これらの患者のうち18名を「学習中」セットとして用いて、彼らはどの個体がMCyRを達成するかを予測し得る79遺伝子のリストを同定し、さらに残りの4「試験」患者により彼らの発見を確認した。79遺伝子の彼らのリストを55差次的発現遺伝子のリストと比較すると(表12Aおよび12B)、2リスト間に共通の一遺伝子:CBLおよびその相同体CBLBがあった。興味深いことに、イソ型(CBL)が応答者群でアップレギュレーションされており、日本人群のイソ型(CBLB)は、非応答者と比べて応答者では発現される程度が低かった。これは、CBLおよびCBLBがBCR−ABL形質転換細胞において差次的発現されること、および2種のイソ型が異なるシグナル変換経路を通して作用することを示した試験結果と完全に一致する。Sattler et al.、Oncogene、第21巻、9号、1423−1433頁(2002)参照。
細胞遺伝応答のゲノムプロフィールの測定に使用された66試料からのデータ(53CCyR、13NoCyR)。順位=応答状態との絶対相関関係による遺伝子順位、1=最も高い相関関係。シェード部分は応答の分類に使用された平均NoCyR発現プロフィールを示す(遺伝子1〜31のみ)。
追加的RNA分離およびcDNA合成技術
当業者であれば、多くのRNA分離技術について熟知しているはずである。たとえば、以下の参考文献は、幾つかの上記手順について記載しており、それらについては出典明示により援用する。Lockhart D.J.およびWinzeler,E.A.(2000)Genomics,gene expression and DNA arrays、Nature 405、827−836、Lockhart,D.J.,et al.(1996)Nature Biotech.14、1675−1680、Schmitt,M.E.,et al.(1990)A rapid and simple method for preparation of RNA from S.cerevisiae、Nucl.Acids Res.18、3091−3092、およびFarrell,R.(1998)RNA Methodologies、アカデミック・プレス。
当業者であれば、多くのRNA分離技術について熟知しているはずである。たとえば、以下の参考文献は、幾つかの上記手順について記載しており、それらについては出典明示により援用する。Lockhart D.J.およびWinzeler,E.A.(2000)Genomics,gene expression and DNA arrays、Nature 405、827−836、Lockhart,D.J.,et al.(1996)Nature Biotech.14、1675−1680、Schmitt,M.E.,et al.(1990)A rapid and simple method for preparation of RNA from S.cerevisiae、Nucl.Acids Res.18、3091−3092、およびFarrell,R.(1998)RNA Methodologies、アカデミック・プレス。
上記の一技術は、ある程度詳細に下記で開示されている。若干の実施態様では、血液を含む患者試料からRNAを抽出し、cDNAを合成するのに以下に示されている技術が用いられる。
RNA分離
1.−80℃から血液を取出し、振とうおよび転回により37℃水浴中で解凍する。
2.6mLの全血を22.5mLのトリ試薬BDに添加する(適切にラベルされた50mL高速遠心分離管中)。
3.0.6mLの5N酢酸を加える。
4.管を密封し、転回混合した後、短時間渦状に振り混ぜる(試料はこの時点で数ヶ月間−70℃にて貯蔵され得る)。
5.試料を10分間室温で放置する。
1.−80℃から血液を取出し、振とうおよび転回により37℃水浴中で解凍する。
2.6mLの全血を22.5mLのトリ試薬BDに添加する(適切にラベルされた50mL高速遠心分離管中)。
3.0.6mLの5N酢酸を加える。
4.管を密封し、転回混合した後、短時間渦状に振り混ぜる(試料はこの時点で数ヶ月間−70℃にて貯蔵され得る)。
5.試料を10分間室温で放置する。
6.3mLの1−ブロモ−3−クロロプロパンを各試料に加える。
7.試料をしっかり保護し、15秒間激しく転回させる。
8.試料を室温で5分間放置する。
9.遠心分離管は漏れやすく、試料は特に貴重であるため、生成した混合物を9000×g、18分間4℃での遠心分離にかける。混合物は3相:赤オレンジ色相(タンパク質)、中相(DNA)および無色上部水相(RNA)に分離する。
7.試料をしっかり保護し、15秒間激しく転回させる。
8.試料を室温で5分間放置する。
9.遠心分離管は漏れやすく、試料は特に貴重であるため、生成した混合物を9000×g、18分間4℃での遠心分離にかける。混合物は3相:赤オレンジ色相(タンパク質)、中相(DNA)および無色上部水相(RNA)に分離する。
RNA沈澱
1.水相を新しい、適切にラベルされた50ml高速遠心分離管に移し入れる。
2.16.8mLのイソプロパノールを加え、短時間転回混合する。
3.試料を室温で5〜10分間放置し、一晩−20℃で沈澱させる。
4.試料を−20℃から取出し、室温で5分間放置する。
5.4℃で10分間9000×gでの遠心分離にかける。RNA沈澱物は、管の側面および底部にペレットを形成する。
1.水相を新しい、適切にラベルされた50ml高速遠心分離管に移し入れる。
2.16.8mLのイソプロパノールを加え、短時間転回混合する。
3.試料を室温で5〜10分間放置し、一晩−20℃で沈澱させる。
4.試料を−20℃から取出し、室温で5分間放置する。
5.4℃で10分間9000×gでの遠心分離にかける。RNA沈澱物は、管の側面および底部にペレットを形成する。
RNA洗浄
1.ペレットを乱すことなく、可能な限り上清の多くをピペットで取る。
2.15mLの75%エタノールを加え、試料を渦状にかき混ぜる。
3.4℃で8分間7500×gでの遠心分離にかける。
4.確実にペレットを乱さないようにしながら、上清の半分(約8〜12mL残る)をピペットで取る。
5.2mLピペットで上下にパルスすることにより、75%エタノールにペレットを再懸濁する(確実にピペットの先端で管の側面を擦り取って、全RNAを再懸濁する)。
1.ペレットを乱すことなく、可能な限り上清の多くをピペットで取る。
2.15mLの75%エタノールを加え、試料を渦状にかき混ぜる。
3.4℃で8分間7500×gでの遠心分離にかける。
4.確実にペレットを乱さないようにしながら、上清の半分(約8〜12mL残る)をピペットで取る。
5.2mLピペットで上下にパルスすることにより、75%エタノールにペレットを再懸濁する(確実にピペットの先端で管の側面を擦り取って、全RNAを再懸濁する)。
6.各試料を4本の1.5mL微細遠心分離管へアリコートに分けて入れる。
7.全速力で10分間管をスピンダウンする。
8.上清をピペットで取る(そして取っておく)。
9.別のアリコートを各管に加える。
10.全試料が使用されるまでこの過程を反復する。ペレットを再び合わせる。
11.1回最終75%エタノール洗浄を行う。
12.全速力で5分間スピンダウンする。
13.エタノールをピペットで取る。
7.全速力で10分間管をスピンダウンする。
8.上清をピペットで取る(そして取っておく)。
9.別のアリコートを各管に加える。
10.全試料が使用されるまでこの過程を反復する。ペレットを再び合わせる。
11.1回最終75%エタノール洗浄を行う。
12.全速力で5分間スピンダウンする。
13.エタノールをピペットで取る。
RNA可溶化
1.ペレットを5〜10分間風乾する。
2.DEPC温水100μlに再懸濁する。試料が容易に再懸濁しない場合、5分間65℃で加熱し、激しく上下にピペット操作で混合する。
3.短時間スピンダウンする。
4.260/280nMでの吸光度により定量し、1%アガロースゲル上で300ngを移動させる。
5.Rneasyカラムを用い続行して試料を精製する。
1.ペレットを5〜10分間風乾する。
2.DEPC温水100μlに再懸濁する。試料が容易に再懸濁しない場合、5分間65℃で加熱し、激しく上下にピペット操作で混合する。
3.短時間スピンダウンする。
4.260/280nMでの吸光度により定量し、1%アガロースゲル上で300ngを移動させる。
5.Rneasyカラムを用い続行して試料を精製する。
全RNAの精製
1.RNeasyミニ・スピンカラム(キアゲン)を用いて全RNAを精製する。多くとも100μgの全RNAをカラムにローディングする。リボヌクレアーゼ不含有水により試料の量を100μLに調節する。
2.350μLの緩衝液RLTを試料に加え、十分に混合する。
3.250μLエタノール(100%)をライゼートに加え、ピペット操作で十分に混合する。遠心分離はしない。
4.試料(700μL)を、採集管に据えたRNeasyミニ・スピンカラムに適用する。15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかける。
5.試料フロー‐スルー(700μL)をRNeasyミニ・スピンカラムに再適用する。15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかける。フロー‐スルーおよび採集管を棄てる。
6.RNeasyカラムを新しい2mL採集管(供給された)にピペットで移す。500μLの緩衝液RPEを加え、15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかけて洗浄する。フロー‐スルーを廃棄する。
1.RNeasyミニ・スピンカラム(キアゲン)を用いて全RNAを精製する。多くとも100μgの全RNAをカラムにローディングする。リボヌクレアーゼ不含有水により試料の量を100μLに調節する。
2.350μLの緩衝液RLTを試料に加え、十分に混合する。
3.250μLエタノール(100%)をライゼートに加え、ピペット操作で十分に混合する。遠心分離はしない。
4.試料(700μL)を、採集管に据えたRNeasyミニ・スピンカラムに適用する。15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかける。
5.試料フロー‐スルー(700μL)をRNeasyミニ・スピンカラムに再適用する。15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかける。フロー‐スルーおよび採集管を棄てる。
6.RNeasyカラムを新しい2mL採集管(供給された)にピペットで移す。500μLの緩衝液RPEを加え、15秒間≧8000×g(≧10000rpm)での遠心分離にかけて洗浄する。フロー‐スルーを廃棄する。
7.ピペットで500μLの緩衝液RPEを取り、最大速度で2分間遠心分離することにより膜を乾燥させる。フロー‐スルーを廃棄し、試料を1分間スピンさせて確実に乾固させる。採集管を廃棄する。
8.RNeasyカラムを新しい1.5mL採集管(供給された)へ移し入れ、30μLのリボヌクレアーゼ不含有温水(65℃)を直接RNeasy膜へピペットで移す。カラムを1分間静置する。1分間≧8000×g(≧10000rpm)で2分間遠心分離することにより、RNAを溶離する。
9.フロー‐スルーを1分間放置させたカラムへ再適用する。2分間≧8000×g(≧10000rpm)で再遠心分離する。
10.試料の濃度および量を、DU650分光光度計(ベックマン・コールター)を用いて得る。試料は、0.5μg/μLまたはそれより高い濃度とすべきである。最小限の5μgの全RNAがcDNA合成の実施に必要である。
11.300ngの全RNAを1%アガロースゲルにかけることにより、品質をチェックする。SYBERグリーンII色素(モレキュラー・プローブス)を用いてゲルを染色する。
12.試料を定量し、再びゲルにかける。
13.続けてcDNA合成に進めるかまたはさらなる処理を行うまで−80℃で貯蔵する。
8.RNeasyカラムを新しい1.5mL採集管(供給された)へ移し入れ、30μLのリボヌクレアーゼ不含有温水(65℃)を直接RNeasy膜へピペットで移す。カラムを1分間静置する。1分間≧8000×g(≧10000rpm)で2分間遠心分離することにより、RNAを溶離する。
9.フロー‐スルーを1分間放置させたカラムへ再適用する。2分間≧8000×g(≧10000rpm)で再遠心分離する。
10.試料の濃度および量を、DU650分光光度計(ベックマン・コールター)を用いて得る。試料は、0.5μg/μLまたはそれより高い濃度とすべきである。最小限の5μgの全RNAがcDNA合成の実施に必要である。
11.300ngの全RNAを1%アガロースゲルにかけることにより、品質をチェックする。SYBERグリーンII色素(モレキュラー・プローブス)を用いてゲルを染色する。
12.試料を定量し、再びゲルにかける。
13.続けてcDNA合成に進めるかまたはさらなる処理を行うまで−80℃で貯蔵する。
cDNA合成
完全長全RNAを用いることにより、スーパースクリプト・チョイス・システム(ライフ・テクノロジーズから入手可能)を用いて2本鎖cDNAを合成する。
完全長全RNAを用いることにより、スーパースクリプト・チョイス・システム(ライフ・テクノロジーズから入手可能)を用いて2本鎖cDNAを合成する。
X+Y+Z=12
1.全RNA(X)を加える
適切な量のDEPC水(Y)
1μLの100pmol/μL T7−(T)24プライマー
(T)24)(ジェノシス(GENOSYS、商標))
1.全RNA(X)を加える
適切な量のDEPC水(Y)
1μLの100pmol/μL T7−(T)24プライマー
(T)24)(ジェノシス(GENOSYS、商標))
2.混合し、70℃で10分間加熱する。
3.以下のものをRNA/プライマー混合物に加える:
試薬 量(μL)
5×第1鎖緩衝液 4.0
0.1mM DTT 2.0
10mM dNTP 1.0
4.42℃で2分間加熱する。
5.適量のSSII RT(400U合計)(ライフ・テクノロジーズ)(Z)を加える。
6.混合し、42℃で1時間加熱する。
3.以下のものをRNA/プライマー混合物に加える:
試薬 量(μL)
5×第1鎖緩衝液 4.0
0.1mM DTT 2.0
10mM dNTP 1.0
4.42℃で2分間加熱する。
5.適量のSSII RT(400U合計)(ライフ・テクノロジーズ)(Z)を加える。
6.混合し、42℃で1時間加熱する。
第2鎖cDNA合成
1.全試薬および第1鎖管を氷上に置く。
2.第1鎖管に加える。
試薬 量(μL)
DEPC H2O 91.0
5×第2鎖緩衝液 30.0
エシェリキア・コリ(E.coli)DNA POL I(40U) 4.0
10mM dNTP 3.0
エシェリキア・コリ(E.coli)DNAリガーゼ(10U) 1.0
エシェリキア・コリ(E.coli)リボヌクレアーゼH(2U) 1.0
3.16℃で2時間インキュベーションする。
1.全試薬および第1鎖管を氷上に置く。
2.第1鎖管に加える。
試薬 量(μL)
DEPC H2O 91.0
5×第2鎖緩衝液 30.0
エシェリキア・コリ(E.coli)DNA POL I(40U) 4.0
10mM dNTP 3.0
エシェリキア・コリ(E.coli)DNAリガーゼ(10U) 1.0
エシェリキア・コリ(E.coli)リボヌクレアーゼH(2U) 1.0
3.16℃で2時間インキュベーションする。
4.2μL(10U)T4 DNAポリメラーゼを加え、16℃で5分間インキュベーションする。
5.10μLの0.5M EDTAを加えて反応を停止させる。
6.さらなる処理を行うまで−20℃で貯蔵する。
5.10μLの0.5M EDTAを加えて反応を停止させる。
6.さらなる処理を行うまで−20℃で貯蔵する。
cDNAのPLG−フェノール/クロロホルム抽出
1.12000×gで1分間微細遠心分離管中においてフェース・ロックゲル(PLG)をペレットにする。
2.等量(162μL)の(25:24:1)フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(10mMのトリス−HCl pH8.0/1mM EDTA−シグマで飽和)をcDNA試料に加える。試料を渦状にかき混ぜる。
3.混合物全体をラベルしたPLG管中に移す。
4.2分間最大速度(12000×gまたはそれより大)で微細遠心分離にかける。
5.水性上相を新しいラベルした1.5mL管に移す。引き続いてEtOH沈澱を行う。
1.12000×gで1分間微細遠心分離管中においてフェース・ロックゲル(PLG)をペレットにする。
2.等量(162μL)の(25:24:1)フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(10mMのトリス−HCl pH8.0/1mM EDTA−シグマで飽和)をcDNA試料に加える。試料を渦状にかき混ぜる。
3.混合物全体をラベルしたPLG管中に移す。
4.2分間最大速度(12000×gまたはそれより大)で微細遠心分離にかける。
5.水性上相を新しいラベルした1.5mL管に移す。引き続いてEtOH沈澱を行う。
cDNAのEtOH沈澱
1.2μLの5mg/mLグリコーゲンを担体として試料に加える。
2.0.5倍量の7.5M NH4Acを試料(81μL)に加える。
3.2.5倍量の冷無水エタノール(−20℃で貯蔵)を加え、試料(405μL)を渦状にかき混ぜる。
4.すぐに全速力で20分間、室温で遠心分離にかける。
1.2μLの5mg/mLグリコーゲンを担体として試料に加える。
2.0.5倍量の7.5M NH4Acを試料(81μL)に加える。
3.2.5倍量の冷無水エタノール(−20℃で貯蔵)を加え、試料(405μL)を渦状にかき混ぜる。
4.すぐに全速力で20分間、室温で遠心分離にかける。
5.上清をピペットで注意深く取出すことにより除去する。ペレットを0.5mLの80%冷エタノール(−20℃で貯蔵)中で洗浄する。最大速度で5分間遠心分離にかける。
6.ペレットが遊離状態であり得るため、80%エタノールを非常に注意深くピペットで取出すことにより除去する。80%エタノール洗浄をさらに1回反復する。
7.ペレットが遊離状態であり得るため、80%エタノールを非常に注意深くピペットで取出すことにより除去する。ペレットを風乾する。処理にかける前に乾固についてチェックする。
8.ペレットを12μLのDEPC温水に再懸濁する。
6.ペレットが遊離状態であり得るため、80%エタノールを非常に注意深くピペットで取出すことにより除去する。80%エタノール洗浄をさらに1回反復する。
7.ペレットが遊離状態であり得るため、80%エタノールを非常に注意深くピペットで取出すことにより除去する。ペレットを風乾する。処理にかける前に乾固についてチェックする。
8.ペレットを12μLのDEPC温水に再懸濁する。
cRNA合成
Enzo BIO−ARRAY(エンゾ・バイオ‐アレイ、商標)高収率RNA転写ラベリングキット(ENZO)を用いてインビトロでcDNAを転写することにより、ビオチン標識cRNAを形成させる。下表を用いることにより、使用される精製RNAの最初の量に基づいたIVT反応で使用するcDNAの量を計算する。
Enzo BIO−ARRAY(エンゾ・バイオ‐アレイ、商標)高収率RNA転写ラベリングキット(ENZO)を用いてインビトロでcDNAを転写することにより、ビオチン標識cRNAを形成させる。下表を用いることにより、使用される精製RNAの最初の量に基づいたIVT反応で使用するcDNAの量を計算する。
2.注意深く試薬を混合し、短い微細遠心分離により管の底部に混合物を集める。
3.即座に管を37℃水浴中に置く。5時間インキュベーションする。インキュベーション中30〜45分ごとに内容物を静かに混合する。
4.1.5μLの0.5M EDTAおよび1.5μLの10%SDSを加えることにより反応を停止させる。
3.即座に管を37℃水浴中に置く。5時間インキュベーションする。インキュベーション中30〜45分ごとに内容物を静かに混合する。
4.1.5μLの0.5M EDTAおよび1.5μLの10%SDSを加えることにより反応を停止させる。
5.RNeasyミニスピンカラムでcRNA反応物を精製する。
6.試料の濃度を、DU650分光光度計(ベックマン・コールター)を用いて調べる。
7.300ngの全RNAを1%アガロースゲルにかけて品質をチェックする。SYBERグリーンII色素(モレキュラー・プローブス)を用いてゲルを染色する。
6.試料の濃度を、DU650分光光度計(ベックマン・コールター)を用いて調べる。
7.300ngの全RNAを1%アガロースゲルにかけて品質をチェックする。SYBERグリーンII色素(モレキュラー・プローブス)を用いてゲルを染色する。
cRNAのフラグメント化およびハイブリダイゼーションカクテルの調製
アフィメトリックスは、フラグメント化手順で使用されるRNAが、手順進行中体積を小さく維持するのに十分な程度まで濃縮されるべきであると勧告している。これによって最終ハイブリダイゼーションカクテル中におけるマグネシウムの量は最小限にされる。フラグメント化開始時cRNAは0.6μg/μLの最小濃度でなくてはならない。
アフィメトリックスは、フラグメント化手順で使用されるRNAが、手順進行中体積を小さく維持するのに十分な程度まで濃縮されるべきであると勧告している。これによって最終ハイブリダイゼーションカクテル中におけるマグネシウムの量は最小限にされる。フラグメント化開始時cRNAは0.6μg/μLの最小濃度でなくてはならない。
cRNAを標的調製用にフラグメント化する。RNA+H2O、8μLごとに2μLの5×フラグメント化緩衝液(2)を加える。フラグメント化混合物におけるRNAの最終濃度は0.5〜2μg/μLの範囲であり得る。以下の表は、最終濃度0.5μg/μLの20μgのcRNA試料に関するフラグメント化混合物の一例を示している。
1.94℃で35分間インキュベーションする。フラグメント化後、氷上に置く。ハイブリダイゼーションに取りかかるまで、未希釈フラグメント化試料RNAを−20℃で貯蔵する。
2.各標的についての以下の成分を混合する。
2.各標的についての以下の成分を混合する。
標的クリーンアップおよびハイブリダイゼーション
1.使用直前、室温にプローブアレイを平衡させる。
2.ハイブリダイゼーションカクテルを5分間加熱ブロックで99℃に加熱する。
3.その間、200μLの1×MESハイブリダイゼーション緩衝液(100mMのMES、1Mの[Na+]、20mMのEDTA、0.01%トウィーン20)で満たすことによりアレイを湿らせる。プローブアレイを45℃で10分間回転させながらインキュベーションする。
4.99℃でハイブリダイゼーションカクテルをインキュベーション後、ハイブリダイゼーションカクテルを、5分間45℃ハイブリダイゼーションオーブンに移す。
5.微細遠心分離器中で5分間ハイブリダイゼーションカクテルを最大速度で回転させる。
6.プローブアレイカートリッジから緩衝液を取出し、管底部にある未溶解物質を回避しながら200μLのハイブリダイゼーションカクテルで満たす。
7.45℃オーブンのあぶり器にプローブアレイを置く。一晩16時間ハイブリダイゼーションする。
1.使用直前、室温にプローブアレイを平衡させる。
2.ハイブリダイゼーションカクテルを5分間加熱ブロックで99℃に加熱する。
3.その間、200μLの1×MESハイブリダイゼーション緩衝液(100mMのMES、1Mの[Na+]、20mMのEDTA、0.01%トウィーン20)で満たすことによりアレイを湿らせる。プローブアレイを45℃で10分間回転させながらインキュベーションする。
4.99℃でハイブリダイゼーションカクテルをインキュベーション後、ハイブリダイゼーションカクテルを、5分間45℃ハイブリダイゼーションオーブンに移す。
5.微細遠心分離器中で5分間ハイブリダイゼーションカクテルを最大速度で回転させる。
6.プローブアレイカートリッジから緩衝液を取出し、管底部にある未溶解物質を回避しながら200μLのハイブリダイゼーションカクテルで満たす。
7.45℃オーブンのあぶり器にプローブアレイを置く。一晩16時間ハイブリダイゼーションする。
測定方法
本発明の実験方法は、細胞成分の測定値により異なる。測定された細胞成分は、細胞の生物学的状態のあらゆる局面からのものであり得る。それらは、RNA存在量が測定される転写状態、タンパク質存在量が測定される翻訳状態、タンパク質活性が測定される活性状態からのものであり得る。細胞特性はまた、たとえば1種またはそれ以上のタンパク質の活性が他の細胞成分のRNA存在量(遺伝子発現)と一緒に測定される混合局面から得られるものであり得る。この節は、薬剤または経路応答における細胞成分の測定方法について例を挙げて記載している。本発明は、他の上記測定方法にも適用され得る。
本発明の実験方法は、細胞成分の測定値により異なる。測定された細胞成分は、細胞の生物学的状態のあらゆる局面からのものであり得る。それらは、RNA存在量が測定される転写状態、タンパク質存在量が測定される翻訳状態、タンパク質活性が測定される活性状態からのものであり得る。細胞特性はまた、たとえば1種またはそれ以上のタンパク質の活性が他の細胞成分のRNA存在量(遺伝子発現)と一緒に測定される混合局面から得られるものであり得る。この節は、薬剤または経路応答における細胞成分の測定方法について例を挙げて記載している。本発明は、他の上記測定方法にも適用され得る。
好ましくは、本発明では、他の細胞成分の転写状態を測定する。転写状態は、次の小節で記載されている、核酸または核酸模擬プローブのアレイとのハイブリダイゼーション技術により、または後続の小節に記載されている他の遺伝子発現技術により測定され得る。測定はされるが、結果は、mRNA存在量および/または比率を表す値を含むデータであり、これらは通常DNA発現割合を反映する(RNA分解速度に差異が無い場合)。
本発明の様々な別の実施態様では、転写状態以外の生物学的状態、たとえば翻訳状態、活性状態の局面または混合局面が測定され得る。
また、無細胞検定法は、表6または表12Aまたは12Bに開示された遺伝子の1個によりコード化されるタンパク質またはタンパク質結合相手と相互作用し得る化合物を同定し、タンパク質またはその結合相手の活性を改変するのに使用され得る。また、無細胞検定法は、コード化タンパク質およびその結合相手、たとえば標的ペプチド間の相互作用を調節する化合物を同定するのに使用され得る。
一実施態様において、上記化合物を同定するための無細胞検定法は、開示された遺伝子の1個によりコード化されたタンパク質および試験化合物または試験化合物のライブラリーを、結合相手物質、たとえば生物学的不活性標的ペプチドまたは小分子の存在または不存在下で含む反応混合物を含む。したがって、乳癌の処置に有用である薬剤を同定するための無細胞方法の一例であって、タンパク質またはその機能性フラグメントまたはタンパク質結合相手物質と試験化合物または試験化合物のライブラリーを接触させ、複合体の形成を検出することを含む方法が提供される。検出目的については、タンパク質は特異的マーカーで標識され、試験化合物または試験化合物のライブラリーは異なるマーカーで標識され得る。次いで、タンパク質またはそのフラグメントまたはタンパク質結合相手物質と試験化合物の相互作用は、インキュベーションおよび洗浄段階後に2標識のレベルを測定することにより検出され得る。2標識の存在は相互作用を示すものである。
分子間の相互作用はまた、光学現象である、表面プラスモン共鳴を検出するリアルタイムBIA(生体分子相互作用分析、ファルマシア・バイオセンサー(AB))を用いることにより評価され得る。検出は、生物特異的界面における質量高分子の質量濃度の変化により異なり、分子の標識を必要とはしない。有用な一実施態様では、試験化合物のライブラリーは、センサー表面、たとえばマイクロ‐フローセルの壁面に固定され得る。次いで、タンパク質、その機能性フラグメントまたはタンパク質結合相手物質を含む溶液を、センサー表面全体にわたって連続循環させる。シグナル記録装置で示されている、共鳴角度の改変は、相互作用の発生を示す。この技術は、ファルマシアによるBIAtechnology Handbookにより詳細に記載されている。
無細胞検定法の別の実施態様では、a)少なくとも一遺伝子によりコード化されたタンパク質、タンパク質結合相手物質および試験化合物を合わせて反応混合物を形成させ、そしてb)試験化合物の存在および不存在下におけるタンパク質およびタンパク質結合相手物質の相互作用を検出する。試験化合物不存在下での相互作用と比べた試験化合物の存在下におけるタンパク質および結合相手物質の相互作用におけるかなりの変化(増強作用または阻害作用)は、試験化合物に関するタンパク質活性の潜在的アゴニスト(模擬または増強物質)またはアンタゴニスト(阻害剤)を示している。検定法の成分は同時に合わされ得るかまたはタンパク質をある一定期間試験化合物と接触させた後結合相手物質を反応混合物に加え得る。化合物の効力は、様々な濃度の化合物を用いて用量応答曲線を作製することにより評価され得る。また対照検定法は、試験化合物不存在下でのタンパク質およびその結合相手物質間における複合体の形成を定量することにより実施され得る。
タンパク質およびその結合相手物質間の複合体の形成は、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出法によって、検出可能な標識タンパク質、たとえば放射性標識、蛍光標識または酵素標識タンパク質またはその結合相手物質を用いることにより検出され得る。
好ましい実施態様では、タンパク質またはその結合相手物質を固定することにより、タンパク質およびその結合相手物質の非複合体形態から複合体の分離および検定の自動化が簡易化され得る。タンパク質とその結合相手物質との複合体形成は、たとえばマイクロタイタープレート、微細遠心分離管および試験管といったあらゆるタイプの容器で達成され得る。特に好ましい実施態様では、タンパク質を別のタンパク質、たとえばグルタチオン−S−トランスフェラーゼと融合させて、マトリックス、たとえばグルタチオンセファロースビーズ(シグマ・ケミカル、セントルイス、ミズーリ)に吸着され得る融合タンパク質を形成させ得、次いでこれらをたとえば35Sで標識した、標識タンパク質相手物質および試験化合物と合わせ、複合体形成に十分な条件下でインキュベーションする。それに続いて、ビーズを洗浄して未結合標識を除去し、マトリックスを固定し、放射性標識を測定する。
マトリックスにおけるタンパク質の別の固定方法には、ビオチンおよびストレプトアビジンの使用がある。たとえば、公知技術を用いてビオチンNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)を用いてタンパク質をビオチニル化し、ストレプトアビジンでコーティングしたプレートの壁に固定させ得る。
また、無細胞検定法を用いることにより、少なくとも一遺伝子によりコード化されたタンパク質と相互作用し得る薬剤が同定され、遺伝子によりコード化されたタンパク質の活性が調節され得る。一実施態様では、タンパク質を試験化合物とインキュベーションし、タンパク質の触媒活性を測定する。別の実施態様では、標的分子へのタンパク質の結合親和力を、当業界で公知の方法により測定し得る。
本明細書で使用されている「アンチセンス」の語は、開示された遺伝子の少なくとも1個のRNA発現産物の一部分と相補的であるヌクレオチド配列をいう。「相補的な」ヌクレオチド配列とは、標準ワトソン‐クリック相補性規則にしたがって塩基対合し得るヌクレオチド配列をいう。すなわち、プリンはピリミジンと塩基対合することにより、DNAの場合にはグアニン:シトシンおよびアデニン:チミン、またはRNAの場合にはアデニン:ウラシルの組合せを形成する。それほど一般的ではない他の塩基、たとえばイノシン、5−メチルシトシン、6−メチルアデニン、ヒポキサンチンなどは、ハイブリダイゼーションしている配列に含まれ得、対合に干渉することは無い。
全実施態様において、細胞成分の測定は、測定がいつ為されるかとは比較的関係の無い方法でなされるべきである。
転写状態の測定
好ましくは、転写状態の測定は、オリゴヌクレオチドアレイへの核酸のハイブリダイゼーションにより為され、これらについてはこの小節に記載されている。ある種の他の転写状態測定方法は、この小節で後述されている。
好ましくは、転写状態の測定は、オリゴヌクレオチドアレイへの核酸のハイブリダイゼーションにより為され、これらについてはこの小節に記載されている。ある種の他の転写状態測定方法は、この小節で後述されている。
転写物アレイ総括
好ましい実施態様において、本発明は、「オリゴヌクレオチドアレイ」(本明細書では「マイクロアレイ」とも称す)を利用する。マイクロアレイは、細胞における転写状態を分析し、特に癌細胞の転写状態を測定するのに使用され得る。
好ましい実施態様において、本発明は、「オリゴヌクレオチドアレイ」(本明細書では「マイクロアレイ」とも称す)を利用する。マイクロアレイは、細胞における転写状態を分析し、特に癌細胞の転写状態を測定するのに使用され得る。
一実施態様において、転写物アレイは、細胞に存在するmRNA転写物を表す検出可能標識されたポリヌクレオチド(例、全細胞mRNAから合成された蛍光標識cDNAまたは標識cRNA)をマイクロアレイとハイブリダイゼーションさせることにより製造される。マイクロアレイは、細胞または生物体のゲノムにおける遺伝子の多く、好ましくは遺伝子の大部分またはほぼ全部の生成物についての整列した結合(例、ハイブリダイゼーション)部位のアレイを有する表面である。マイクロアレイは、その幾つかについては下記に記載されている若干の方法で製造され得る。製造はされるが、マイクロアレイはある種の特徴を共有する:アレイは再生可能であり、所定アレイの多数コピーが製造され、互いに容易に比較され得る。好ましくは、マイクロアレイは小型で、通常5cm2より小さく、結合(例、核酸ハイブリダイゼーション)条件下で安定している材料で製造されている。マイクロアレイにおける所定の一結合部位または結合部位の特有セットは、細胞における単一遺伝子の生成物と特異的に結合する。一特異的mRNAにつき複数の物理的結合部位(以後「部位」)が存在し得るが、明瞭にするため、下記検討では単一部位があるものと仮定する。一実施態様では、各位置に既知配列の固定された核酸を含む位置的にアドレス可能なアレイを使用する。
細胞のRNAと相補的なcDNAが調製され、適切なハイブリダイゼーション条件下でマイクロアレイとハイブリダイゼーションしたとき、特定遺伝子に対応するアレイにおける部位へのハイブリダイゼーションのレベルは、その遺伝子から転写されたmRNAの細胞における優勢さを反映するものとする。たとえば、全細胞mRNAと相補的な検出可能標識(例、発蛍光団で)cDNAまたはcRNAがマイクロアレイとハイブリダイゼーションしたとき、細胞では転写されていない遺伝子に対応する(すなわち遺伝子産物と特異的に結合し得る)アレイ上の部位は、ほとんどまたは全くシグナル(例、蛍光シグナル)を発さず、コード化されたmRNAが優勢である遺伝子は比較的強いシグナルを有する。
マイクロアレイの調製
マイクロアレイは、当業界では公知であり、遺伝子産物(例、cDNA、mRNA、cRNA、ポリペプチドおよびそのフラグメント)と配列が対応するプローブが既知位置において特異的にハイブリダイゼーションまたは結合され得る表面により構成される。一実施態様では、マイクロアレイは、各位置が遺伝子によりコード化された生成物(例、タンパク質またはRNA)について異なる結合部位を表し、結合部位が、生物体ゲノムにおける遺伝子の大部分またはほぼ全部の生成物について存在するアレイ(すなわちマトリックス)である。好ましい実施態様では、「結合部位」(以後「部位」)は、特定同族体cDNAまたはcRNAが特異的にハイブリダイゼーションし得る核酸または核酸類似体である。結合部位の核酸または類似体は、たとえば合成オリゴマー、完全長cDNA、完全長には満たないcDNAまたは遺伝子フラグメントである。
マイクロアレイは、当業界では公知であり、遺伝子産物(例、cDNA、mRNA、cRNA、ポリペプチドおよびそのフラグメント)と配列が対応するプローブが既知位置において特異的にハイブリダイゼーションまたは結合され得る表面により構成される。一実施態様では、マイクロアレイは、各位置が遺伝子によりコード化された生成物(例、タンパク質またはRNA)について異なる結合部位を表し、結合部位が、生物体ゲノムにおける遺伝子の大部分またはほぼ全部の生成物について存在するアレイ(すなわちマトリックス)である。好ましい実施態様では、「結合部位」(以後「部位」)は、特定同族体cDNAまたはcRNAが特異的にハイブリダイゼーションし得る核酸または核酸類似体である。結合部位の核酸または類似体は、たとえば合成オリゴマー、完全長cDNA、完全長には満たないcDNAまたは遺伝子フラグメントである。
好ましい実施態様では、マイクロアレイは標的生物体ゲノムにおける全部またはほぼ全部の遺伝子の生成物についての結合部位を含むが、上記包括性は必ずしも要求されない。マイクロアレイは、標的生物体における遺伝子の一フラクションのみについての結合部位を有していてもよい。しかしながら、一般に、マイクロアレイは、ゲノムにおける遺伝子の少なくとも約50%、多くの場合少なくとも約75%、さらに多くの場合少なくとも約85%、さらに多くの場合約90%より大および最も多くは少なくとも約99%に対応する結合部位を有する。好ましくは、マイクロアレイは、興味の対象である生物学的ネットワークモデルの試験および確認に直接関連のある遺伝子についての結合部位を有する。「遺伝子」は、mRNAが生物体(例、単細胞の場合)または多細胞生物体での何らかの細胞で転写される好ましくは少なくとも50、75または99アミノ酸の読み枠(ORF)として同定される。ゲノムにおける遺伝子の数は、生物体により発現されたmRNAの数から、またはゲノムの十分に特性確認された部分からの外挿法により推定され得る。興味の対象である生物体のゲノムが配列決定されたとき、ORFの数が測定され、mRNAコーディング領域がDNA配列の解析により同定され得る。たとえば、サッカロマイシス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)ゲノムは、完全に配列決定されており、99アミノ酸より長い約6275ORFを有すると報告されている。これらORFの解析は、タンパク質生成物を特定すると思われる5885のORFが存在することを示している(Goffeau et al.、“Life with 6000 Genes”、Science、第274巻、546−567頁(1996)、全ての目的のためこれを出典明示により援用する)。対照的に、ヒトゲノムは、約25000〜35000遺伝子を含むと推定される。
マイクロアレイ用の核酸の調製
上記で述べた通り、特定同族体cDNAが特異的にハイブリダイゼーションする「結合部位」は、通常、その結合部位で結合される核酸または核酸類似体である。一実施態様において、マイクロアレイの結合部位は、生物体ゲノムにおける各遺伝子の少なくとも一部分に対応するDNAポリヌクレオチドである。これらのDNAは、たとえば、ゲノムDNA、cDNA(例、RT−PCRによる)またはクローン化配列からの遺伝子セグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により得られるか、または配列は、たとえばフォトリソグラフィー技術の使用によりチップ表面で新たに合成され得、たとえば、アフィメトリックスはかかる異なる技術を用いてそれらのオリゴを直接チップ上で合成する。特有フラグメント(すなわち、マイクロアレイ上における他のいずれのフラグメントとも連続同一配列を10塩基より多くは共有していないフラグメント)を増幅させるPCRプライマーは、遺伝子またはcDNAの既知配列に基づいて選択される。コンピュータープログラムは、要求される特異性および最適な増幅特性をもつプライマーの設計に有用である(たとえば、オリゴplバージョン5.0、ナショナル・バイオサイエンシーズ、参照)。非常に長い遺伝子に対応する結合部位の場合、オリゴ−dTプライマーcDNAプローブがマイクロアレイにハイブリダイゼーションしたとき、完全長に満たないプローブでも有効に結合するように、遺伝子の3'末端付近のセグメントを増幅することが望ましいこともある。典型的には、マイクロアレイの各遺伝子フラグメントは、約20bp〜約2000bp、さらに一般的には約100bp〜約1000bp、そして通常は約300bp〜約800bpの長さである。PCR方法は公知であり、たとえば、Innis et al.編、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、アカデミック・プレス・インコーポレイテッド、サンディエゴ、カリフォルニア(1990)に記載されており、あらゆる目的のためにそれを出典明示により援用する。コンピューター制御式ロボットシステムが核酸の分離および増幅に有用であることは明白である。
上記で述べた通り、特定同族体cDNAが特異的にハイブリダイゼーションする「結合部位」は、通常、その結合部位で結合される核酸または核酸類似体である。一実施態様において、マイクロアレイの結合部位は、生物体ゲノムにおける各遺伝子の少なくとも一部分に対応するDNAポリヌクレオチドである。これらのDNAは、たとえば、ゲノムDNA、cDNA(例、RT−PCRによる)またはクローン化配列からの遺伝子セグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により得られるか、または配列は、たとえばフォトリソグラフィー技術の使用によりチップ表面で新たに合成され得、たとえば、アフィメトリックスはかかる異なる技術を用いてそれらのオリゴを直接チップ上で合成する。特有フラグメント(すなわち、マイクロアレイ上における他のいずれのフラグメントとも連続同一配列を10塩基より多くは共有していないフラグメント)を増幅させるPCRプライマーは、遺伝子またはcDNAの既知配列に基づいて選択される。コンピュータープログラムは、要求される特異性および最適な増幅特性をもつプライマーの設計に有用である(たとえば、オリゴplバージョン5.0、ナショナル・バイオサイエンシーズ、参照)。非常に長い遺伝子に対応する結合部位の場合、オリゴ−dTプライマーcDNAプローブがマイクロアレイにハイブリダイゼーションしたとき、完全長に満たないプローブでも有効に結合するように、遺伝子の3'末端付近のセグメントを増幅することが望ましいこともある。典型的には、マイクロアレイの各遺伝子フラグメントは、約20bp〜約2000bp、さらに一般的には約100bp〜約1000bp、そして通常は約300bp〜約800bpの長さである。PCR方法は公知であり、たとえば、Innis et al.編、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、アカデミック・プレス・インコーポレイテッド、サンディエゴ、カリフォルニア(1990)に記載されており、あらゆる目的のためにそれを出典明示により援用する。コンピューター制御式ロボットシステムが核酸の分離および増幅に有用であることは明白である。
マイクロアレイ用の核酸を製造する別の手段は、たとえば、N−ホスホネートまたはホスホルアミダイト化学作用を用いる、合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの合成によるものである(Froehler et al.、Nucleic Acid Res、第14巻、5399−5407頁(1986)、McBride et al.、Tetra.Lett.、第24巻、245−248頁(1983)参照)。合成配列は、長さ約15〜約500塩基、さらに一般的には約20〜約50塩基である。実施態様によっては、合成核酸が、非天然塩基、たとえばイノシンを含む場合もある。上記の通り、核酸類似体は、ハイブリダイゼーション用の結合部位として使用され得る。適切な核酸類似体の一例はペプチド核酸である(たとえば、Egholm et al.、“PNA Hybridizes to Complementary Oligonucleotides Obeying the Watson-Crick Hydrogen-Bonding Rules”、Nature、第365巻、566−568頁(1993)参照、また米国特許第5539083号参照)。
別の実施態様において、結合(ハイブリダイゼーション)部位は、プラスミドまたは遺伝子のファージクローン、cDNA(例、発現された配列標識)またはそこからの挿入体から作製される(Nguyen et al.、“Differential Gene Expression in the Murine Thymus Assayed by Quantitative Hybridization of Arrayed cDNA Clones”、Genomics、第29巻、207−209頁(1995)参照)。さらに別の実施態様では結合部位のポリヌクレオチドはRNAである。
固体表面への核酸の結合
核酸または類似体を、ガラス、プラスチック(例、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロースまたは他の材料により製造されたものであり得る固体支持体に結合させる。表面への核酸の好ましい結合方法は、Schena et al.、“Quantitative Monitoring of Gene Expression Patterns with a Complementary DNA Microarray”、Science、第270巻、467−470頁(1995)に総括的に記載されている、ガラスプレートでプリントにする方法である。この方法は、cDNAのマイクロアレイの製造に特に有用である(また、DeRisi et al.、“Use of a cDNA Microarray to Analyze Gene Expression Patterns in Human Cancer”、Nature Gen.、第14巻、457−460頁(1996);Shalon et al.、“A DNA Microarray System for Analyzing Complex DNA Samples Using Two-Color Fluorescent Probe Hybridization”、Genome Res.、第6巻、639−645頁(1996);およびSchena et al.、“Parallel Human Genome Analysis; Microarray-Based Expression of 1000 Genes”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、10539−11286頁(1995)も参照)。上述の文献については、各々出典明示により援用する。
核酸または類似体を、ガラス、プラスチック(例、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロースまたは他の材料により製造されたものであり得る固体支持体に結合させる。表面への核酸の好ましい結合方法は、Schena et al.、“Quantitative Monitoring of Gene Expression Patterns with a Complementary DNA Microarray”、Science、第270巻、467−470頁(1995)に総括的に記載されている、ガラスプレートでプリントにする方法である。この方法は、cDNAのマイクロアレイの製造に特に有用である(また、DeRisi et al.、“Use of a cDNA Microarray to Analyze Gene Expression Patterns in Human Cancer”、Nature Gen.、第14巻、457−460頁(1996);Shalon et al.、“A DNA Microarray System for Analyzing Complex DNA Samples Using Two-Color Fluorescent Probe Hybridization”、Genome Res.、第6巻、639−645頁(1996);およびSchena et al.、“Parallel Human Genome Analysis; Microarray-Based Expression of 1000 Genes”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、10539−11286頁(1995)も参照)。上述の文献については、各々出典明示により援用する。
マイクロアレイの第二の好ましい製造方法は、高密度オリゴヌクレオチドアレイの製造によるものである。in situ 合成のためのフォトリソグラフィー技術を用いる、表面上の特定位置において、特定された配列に相補的な何千ものオリゴヌクレオチドを含むアレイを製造する技術(Fodor et al.、“Light-Directed Spatially Addressable Parallel Chemical Synthesis”、Science、第251巻、767−773頁(1991);Pease et al.、“Light-Directed Oligonucleotide Arrays for Rapid DNA Sequence Analysis”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第91巻、5022−5026頁(1994);Lockhart et al.、“Expression Monitoring by Hybridization to High-Density Oligonucleotide Arrays”、Nature Biotech.、第14巻、1675頁(1996)、米国特許第5578832、5556752および5510279号参照、各々、出典明示により援用する)または特定されたオリゴヌクレオチドを迅速に合成し、沈澱させる他の方法(Blanchard et al.、“High-Density Oligonucleotide Arrays”、Biosensors & Bioelectronics、第11巻、687−690頁(1996)参照)は公知である。これらの方法を使用するとき、既知配列のオリゴヌクレオチド(例、25量体)は、表面、たとえば誘導体化されたスライドグラス上で直接合成される。通常、製造されたアレイは重複しており、1RNAにつき幾つかのオリゴヌクレオチド分子を伴う。オリゴヌクレオチドプローブは、オルターナティブ・スプライシングされたmRNAを検出するのに選択され得る。
たとえばマスキング(Maskos et al.、Nuc.Acids Res.、第20巻、1679−1684頁(1992)参照)による、マイクロアレイの他の製造方法もまた使用され得る。主として、いかなるタイプのアレイでも、たとえばナイロンハイブリダイゼーション膜でのドットブロット(Sambrook et al.、“Molecular Cloning--A Laboratory Manual”、第2版、1〜3巻、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989)参照、出典明示により援用する)でも使用され得るが、当業者が認めるところによると、ハイブリダイゼーション量がより小さいため、非常に小さいアレイが好ましい。
標識プローブの生成
全およびポリ(A)*RNAの製造方法は公知であり、Sambrook et al.、前出に総括的に記載されている。一実施態様において、RNAは、グアニジニウムチオシアネート溶解、次いでCsCl遠心分離を用いて、本発明での興味の対象である様々なタイプの細胞から抽出される(Chirgwin et al.、Biochemistry、第18巻、5294−5299頁(1979)参照)。ポリ(A)*RNAは、オリゴ−dTセルロースでの選別により選択される(Sambrook et al.、前出参照)。興味の対象である細胞には、野生型細胞、薬剤曝露野生型細胞、修飾/摂動細胞成分(複数も可)をもつ細胞、および修飾/摂動細胞成分(複数も可)をもつ薬剤曝露細胞がある。
全およびポリ(A)*RNAの製造方法は公知であり、Sambrook et al.、前出に総括的に記載されている。一実施態様において、RNAは、グアニジニウムチオシアネート溶解、次いでCsCl遠心分離を用いて、本発明での興味の対象である様々なタイプの細胞から抽出される(Chirgwin et al.、Biochemistry、第18巻、5294−5299頁(1979)参照)。ポリ(A)*RNAは、オリゴ−dTセルロースでの選別により選択される(Sambrook et al.、前出参照)。興味の対象である細胞には、野生型細胞、薬剤曝露野生型細胞、修飾/摂動細胞成分(複数も可)をもつ細胞、および修飾/摂動細胞成分(複数も可)をもつ薬剤曝露細胞がある。
標識cDNAは、mRNAから、または別法として直接RNAからオリゴdT−プライマーまたはランダムプライマー逆転写により製造され、両方とも当業界ではよく知られている(たとえば、Klug et al.、Methods Enzymol.、第152巻、316−325頁(1987)参照)。逆転写は、検出可能標識にコンジュゲートされたdNTP、最も好ましくは蛍光標識dNTPの存在下で実施され得る。別法として、単離されたmRNAは、標識dNTPの存在下における2本鎖cDNAのインビトロ転写により合成された標識アンチセンスRNAに変換され得る(Lockhart et al.、“Expression Monitoring by Hybridization to High-Density Oligonucleotide Arrays”、Nature Biotech.、14巻、1675頁(1996)参照、これを出典明示により援用する)。別の実施態様では、cDNAまたはRNAプローブは、検出可能標識の不存在下で合成され得、それに続いてたとえばビオチニル化dNTPまたはrNTPまたは何らかの類似手段を組込み(例、RNAにビオチンのプソラレン誘導体を光架橋させる)、次いで標識ストレプトアビジン(例、フィコエリスリン‐コンジュゲートストレプトアビジン)または均等内容物質を加えることにより標識され得る。
蛍光標識プローブを使用する場合、フルオレセイン、リッサミン、フィコエリスリン、ローダミン(パーキン・エルマー・シータス)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、FluorX(アマシャム)などを含む、多くの適切な発蛍光団が知られている(たとえば、Kricka、“Nonisotopic DNA Probe Techniques”、アカデミック・プレス、サンディエゴ、カリフォルニア(1992)参照)。容易に識別され得るように異なる放出スペクトルを有する発蛍光団の組が選択されるものとする。
別の実施態様では、蛍光標識以外の標識が使用される。たとえば、放射性標識、または異なる放出スペクトルを有する放射性標識の組が使用され得る(Zhao et al.、“High Density cDNA Filter Analysis:A Novel Approach for Large-Scale,Quantitative Analysis of Gene Expression”、Gene、第156巻、207頁(1995);Pietu et al.、“Novel Gene Transcripts Preferentially Expressed in Human Muscles Revealed by Quantitative Hybridization of a High Density cDNA Array”、Genome Res.、6巻、492頁(1996)参照)。しかしながら、放射性粒子が散乱することから広い空間をおいた結合部位が必要とされるため、放射性同位元素の使用はそれほど好ましくない実施態様である。
一実施態様では、0.5mMのdGTP、dATPおよびdCTP+0.1mMのdTTp+蛍光デオキシリボヌクレオチド(例、0.1mMのローダミン110UTP(パーキン・エルマー・シータス)または0.1mMのCy3 dUTP(アマシャム))を含む混合物を逆転写酵素(例、 (商標)II、LTIインコーポレイテッド)と42℃で60分間インキュベーションすることにより、標識cDNAを合成する。
マイクロアレイへのハイブリダイゼーション
核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、プローブが特異的アレイ部位へ「特異的に結合」または「特異的にハイブリダイゼーション」するように、すなわち、プローブが相補的核酸配列を有する配列アレイ部位とハイブリダイゼーション、二重らせん形成または結合するが、非相補的核酸配列を有する部位とはハイブリダイゼーションしないように選択される。本明細書で使用されているところによると、ポリヌクレオチドの短い方が25塩基未満またはそれに等しい場合に標準塩基対合規則を用いることにより誤対合が存在しないか、またはポリヌクレオチドの短い方が25塩基より長い場合に誤対合が5%以下であるとき、一ポリヌクレオチド配列はもう一方と相補的であると考えられる。好ましくは、ポリヌクレオチドは完全に相補的である(誤対合無し)。特異的ハイブリダイゼーション条件が、陰性対照を含むハイブリダイゼーション検定法を実施することにより特異的ハイブリダイゼーションをもたらすことは容易に立証され得る(例、Shalon et al.、前出およびChee et al.、前出参照)。
核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、プローブが特異的アレイ部位へ「特異的に結合」または「特異的にハイブリダイゼーション」するように、すなわち、プローブが相補的核酸配列を有する配列アレイ部位とハイブリダイゼーション、二重らせん形成または結合するが、非相補的核酸配列を有する部位とはハイブリダイゼーションしないように選択される。本明細書で使用されているところによると、ポリヌクレオチドの短い方が25塩基未満またはそれに等しい場合に標準塩基対合規則を用いることにより誤対合が存在しないか、またはポリヌクレオチドの短い方が25塩基より長い場合に誤対合が5%以下であるとき、一ポリヌクレオチド配列はもう一方と相補的であると考えられる。好ましくは、ポリヌクレオチドは完全に相補的である(誤対合無し)。特異的ハイブリダイゼーション条件が、陰性対照を含むハイブリダイゼーション検定法を実施することにより特異的ハイブリダイゼーションをもたらすことは容易に立証され得る(例、Shalon et al.、前出およびChee et al.、前出参照)。
最適ハイブリダイゼーション条件は、標識プローブおよび固定化ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの長さ(例、オリゴマー対ポリヌクレオチド>200塩基)およびタイプ(例、RNA、DNA、PNA)により異なる。核酸についての特異的(すなわちストリンジェントな)ハイブリダイゼーション条件についての一般的パラメーターは、Sambrook et al.、前出、およびAusubel et al.、“Current Protocols in Molecular Biology”、グリーン・パブリッシング・アンド・ワイリー‐インターサイエンス、ニューヨーク(1987)に記載されており、これらについては出典明示により援用する。Shena et al.のcDNAマイクロアレイを使用するとき、典型的ハイブリダイゼーション条件は、65℃で4時間5×SSC+0.2%SDS中でハイブリダイゼーション、次いで低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(1×SSC+0.2%SDS)中25℃、次いで高ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.1×SSC+0.2%SDS)中25℃で10分間洗浄である(Shena et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、10614頁(1996)参照)。有用なハイブリダイゼーション条件はまた、たとえばTijessen、“Hybridization with Nucleic Acid Probes”、エルスヴィア・サイエンス・パブリッシャーズB.V.およびKricka(1993);“Nonisotopic DNA Probe Techniques”、アカデミック・プレス、サンディエゴ、カリフォルニア(1992)にも提供されている。
シグナル検出およびデータ解析
蛍光標識プローブを使用するとき、転写物アレイの各部位での蛍光放出は、好ましくは共焦レーザー顕微鏡走査により検出され得る。一実施態様では、適切な励起線を用いる別々の走査を、使用されている2種の発蛍光団の各々について実施する。別法として、使用されている発蛍光団に特異的な波長での試料照明を可能にするレーザーが使用され得、発蛍光団からの放射が分析され得る。好ましい実施態様では、コンピューター制御式X−Y載物台および顕微鏡対物レンズを備えたレーザー式蛍光スキャナーでアレイを走査する。発蛍光団の連続励起は、多重線混合ガスレーザーにより達成され、放射光は波長により分解され、光電子増倍管で検出される。蛍光レーザー走査装置は、Schena et al.、Genome Res.、第6巻、639−645頁(1996)およびそこに引用されている他の参考文献に記載されている。別法として、Ferguson et al.、Nature Biotech.、第14巻、1681−1684頁(1996)により報告された光ファイバー束が、多数の部位におけるmRNA存在量レベルを同時にモニターするのに使用され得る。
蛍光標識プローブを使用するとき、転写物アレイの各部位での蛍光放出は、好ましくは共焦レーザー顕微鏡走査により検出され得る。一実施態様では、適切な励起線を用いる別々の走査を、使用されている2種の発蛍光団の各々について実施する。別法として、使用されている発蛍光団に特異的な波長での試料照明を可能にするレーザーが使用され得、発蛍光団からの放射が分析され得る。好ましい実施態様では、コンピューター制御式X−Y載物台および顕微鏡対物レンズを備えたレーザー式蛍光スキャナーでアレイを走査する。発蛍光団の連続励起は、多重線混合ガスレーザーにより達成され、放射光は波長により分解され、光電子増倍管で検出される。蛍光レーザー走査装置は、Schena et al.、Genome Res.、第6巻、639−645頁(1996)およびそこに引用されている他の参考文献に記載されている。別法として、Ferguson et al.、Nature Biotech.、第14巻、1681−1684頁(1996)により報告された光ファイバー束が、多数の部位におけるmRNA存在量レベルを同時にモニターするのに使用され得る。
シグナルを記録し、好ましい実施態様では、たとえば12ビットのアナログ対デジタルボードを用いてコンピューターにより分析する。一実施態様では、走査画像を、グラフィックプログラム(例、ハイジャーク・グラフィックス総合ソフトウェア)を用いてデスペックルし、次いで各部位における各波長での平均ハイブリダイゼーションのスプレッドシートを作製する画像グリッドプログラムを用いて解析する。
アギレント・テクノロジーズのジーンアレイ(GENEARRAY、商標)スキャナーは、ベンチトップ式488nMアルゴン‐イオン‐レーザーに基く分析装置である。レーザーは、4ミクロン未満のスポットサイズに集束され得る。この精度により、20ミクロンほどの小さいプローブセルでのプローブアレイの走査が可能となる。レーザービームはプローブアレイに集束し、蛍光標識ヌクレオチドを励起させる。次いで、検定に使用されている色素用に選択されたフィルターを用いて走査を行う。直交座標での走査は、プローブアレイを動かすことにより達成される。レーザー放射は、ハイブリダイゼーション試料中に組込まれた色素分子により吸収され、そこから蛍光放射線を放出させる。この蛍光光線をレンズにより平行にし、波長選択用フィルターに通す。次いで、光を第二レンズにより奥行弁別用開口に集束させ、次いで高感度光電子増倍管(PMT)により検出する。PMTの出力電流をアナログ対デジタル変換器(ADC)により読み取られた電圧に変換し、処理データを試料ポイントの蛍光強度レベルとして、または現在走査されている画素(ピクセル)をコンピューターに戻す。コンピューターは、走査の進行に伴いデータを画像として示す。さらに、試料の発現プロフィールを表す、全試料の蛍光強度レベルをコンピューター読取可能フォーマットで記録する。
必要な場合、2蛍光団に関するチャネル間の「クロストーク」(または重複)について実験的に決定された補正が為され得る。転写物アレイにおける特定ハイブリダイゼーション部位については、2種の発蛍光団の放射の割合が計算され得る。この割合は、同族体遺伝子の絶対発現レベルとは関係無いが、薬剤投与、遺伝子欠失または他の何らかの試験事象により発現が著しく調節される遺伝子に有用であり得る。
好ましくは、陽性または陰性としての摂動の同定に加えて、摂動の大きさを測定することが有利である。これは、当業者には容易に理解できる方法により実施され得る。
他の転写状態測定方法
細胞の転写状態は、当業界で公知の他の遺伝子発現技術により測定され得る。幾つかの上記技術は、電気泳動分析用のコンプレキシティーが限られた制限フラグメントのプールを製造するもので、たとえば二重制限酵素消化をフェージングプライマーと組合わせる方法(たとえば、Zabeau et al.による1992年9月24日付の欧州特許第0534858A1号参照)、または特定されたmRNA末端に最も近い部位をもつ制限フラグメントを選択する方法(たとえば、Prashar et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、659−663頁(1996)参照)がある。他の方法では、たとえば多重cDNAの各々において各cDNAを同定するのに十分な塩基(例、20〜50塩基)を配列決定することにより、または特定されたmRNA末端(たとえば、Velculescu、Science、第270巻、484−487頁(1995)参照)経路パターンに関して既知の位置で生成される短い標識(例、9〜10塩基)を配列決定することによりcDNAプールを統計的にサンプリングする。
細胞の転写状態は、当業界で公知の他の遺伝子発現技術により測定され得る。幾つかの上記技術は、電気泳動分析用のコンプレキシティーが限られた制限フラグメントのプールを製造するもので、たとえば二重制限酵素消化をフェージングプライマーと組合わせる方法(たとえば、Zabeau et al.による1992年9月24日付の欧州特許第0534858A1号参照)、または特定されたmRNA末端に最も近い部位をもつ制限フラグメントを選択する方法(たとえば、Prashar et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、659−663頁(1996)参照)がある。他の方法では、たとえば多重cDNAの各々において各cDNAを同定するのに十分な塩基(例、20〜50塩基)を配列決定することにより、または特定されたmRNA末端(たとえば、Velculescu、Science、第270巻、484−487頁(1995)参照)経路パターンに関して既知の位置で生成される短い標識(例、9〜10塩基)を配列決定することによりcDNAプールを統計的にサンプリングする。
他の局面の測定
本発明の様々な実施態様において、転写状態以外の生物学的状態、たとえば翻訳状態、活性状態の局面または混合局面を測定することにより、薬剤および経路応答が得られる。これらの実施態様の詳細はこの節で記載されている。
本発明の様々な実施態様において、転写状態以外の生物学的状態、たとえば翻訳状態、活性状態の局面または混合局面を測定することにより、薬剤および経路応答が得られる。これらの実施態様の詳細はこの節で記載されている。
翻訳状態測定
遺伝子(複数も可)によりコード化されるタンパク質の発現は、検出可能標識されているか、または後続的に標識され得るプローブにより検出され得る。一般的に、プローブは、発現されたタンパク質を認識する抗体である。
遺伝子(複数も可)によりコード化されるタンパク質の発現は、検出可能標識されているか、または後続的に標識され得るプローブにより検出され得る。一般的に、プローブは、発現されたタンパク質を認識する抗体である。
本明細書で使用されている「抗体」の語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体およびタンパク質への抗体フラグメントの結合に十分な生物学的機能性抗体フラグメントを包含するが、これらに限定はされない。
開示された遺伝子の一つによりコード化されたタンパク質に対する抗体のを産生させるために、様々な宿主動物を、ポリペプチド、またはその一部分での注射により免疫化し得る。上記宿主動物は、少し例を挙げればウサギ、マウスおよびラットを含み得るが、これらに限定はされない。免疫応答を増加させるために、宿主の種によって異なる様々なアジュバントが使用され得、限定するわけではないが、フロイント(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル、たとえば水酸化アルミニウム、表面活性物質、たとえばリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールおよび潜在的に有用なヒトアジュバント、たとえばBCG(カルメッテ‐ゲラン菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)を挙げることができる。
ポリクローナル抗体は、抗原、たとえば標的遺伝子産物またはその抗原性機能性誘導体で免疫化された動物の血清から誘導された抗体分子の異種集団である。ポリクローナル抗体を産生させるため、宿主動物、たとえば上記のものを、同じく上記アジュバントを補足した、コード化タンパク質またはその一部分での注射により免疫化し得る。
特定抗原に対する抗体の同種集団である、モノクローナル抗体(mAb)は、培養中の連続セルラインによる抗体分子製造をもたらす技術により得られる。これらの例としては以下のものがあるが限定はされない:Kohler et al.、Nature、第256巻、495−497頁(1975)および米国特許第4376110号のハイブリドーマ技術、Kosbor et al.、Immunol.Today、第4巻、72頁(1983);Cole et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第80巻、2026−2030頁(1983)のヒトB細胞ハイブリドーマ技術およびEBV−ハイブリドーマ技術、Cole et al.、Monoclonal Antibodies and Cancer Ther.、Alan R.Liss,インコーポレイテッド、77−96頁(1985)。上記抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む免疫グロブリンクラスおよびそのサブクラスに属し得る。本発明のmAb産生ハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養され得る。高力価のmAbをインビボ産生するため、現時点でこれは好ましい製造方法となっている。
さらに、適切な生物活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒に適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の製造用に開発された技術が使用され得る、Morrison et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第81巻、6851−6855頁(1984);Neuberger et al.、Nature、第312巻、604−608頁(1984);Takeda et al.、Nature、第314巻、452−454頁(1985)。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種から誘導されている分子、たとえばネズミmAbから誘導された可変または超可変域およびヒト免疫グロブリン定常域を有するものである。
別法として、1本鎖抗体の製造について報告された技術(米国特許第4946778号、Bird、Science、第242巻、423−426頁(1988);Huston et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第85巻、5879−5883頁(1988);およびWard et al.、Nature、第334巻、544−546頁(1989))を適合させることにより、差次的発現遺伝子1本鎖抗体を製造することができる。1本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重および軽鎖フラグメントを連結して、1本鎖ポリペプチドを生じさせることにより形成される。
さらに好ましくは、「ヒト化抗体」の製造に有用な技術を適合させることにより、タンパク質、そのフラグメントまたは誘導体に対する抗体を製造し得る。上記技術は、米国特許第5932448、5693762、5693761、5585089、5530101、5569825、5625126、5633425、5789650、5661016および5770429号に開示されている。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知技術により生成され得る。たとえば、上記フラグメントには、抗体分子のペプシン消化により製造され得るF(ab')2フラグメントおよびF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより生成され得るFabフラグメントがあるが、これらに限定はされない。別法として、Fab発現ライブラリーを構築することにより(Huse et al.、Science、第246巻、1275−1281頁(1989))、所望の特異性をもつモノクローナルFabフラグメントの迅速で容易な同定が可能となる。
次いで、既知タンパク質が試料中で発現される程度を、上記抗体を利用するイムノアッセイ法により測定する。上記イムノアッセイ法には、ドット・ブロッティング、ウエスタンブロッティング、競合的および非競合的タンパク質結合検定法、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、免疫組織化学法、蛍光活性化細胞選別法(FACS)および一般的に使用され、科学および特許文献に広く記載されている他の方法があり、多くは商業的に使用されているが、これらに限定はされない。
検出の容易さについて特に好ましいのは、若干の変異型が存在するサンドイッチELISAであり、これらも全て本発明に包含されるものとする。たとえば、典型的フォワード検定法では、非標識抗体を固体基質に固定化し、適切なインキュベーション期間後試験すべき試料を結合分子と接触させ、抗体‐抗原2成分複合体を形成させるのに十分な期間をおく。次にこの時点で、検出可能シグナルを誘導し得るリポーター分子で標識した第二抗体を加え、抗体−抗原−標識抗体の3成分複合体を形成させるのに十分な時間インキュベーションする。未反応物質があれば洗い流し、抗原の存在をシグナルの観察により測定するか、または既知量の抗原を含む対照試料と比較することにより定量し得る。フォワード検定法に関する変異型には、試料および抗体の両方を同時に結合抗体に加える同時検定法、または標識抗体および検定すべき試料をまず合わせ、インキュベーションし、非標識表面結合抗体に加えるリバース検定法がある。これらの技術は当業者にはよく知られており、僅かな変化の可能性は一目瞭然である。本明細書で使用されている「サンドイッチ検定法」は、基本的2サイト技術に関する変形を全て包含するものとする。本発明のイムノアッセイの場合、唯一の制限因子は、標識抗体が興味の対象である遺伝子により発現されるタンパク質に特異的な抗体でなくてはならないことである。
このタイプの検定法において最も一般的に使用されるリポーター分子は、酵素、発蛍光団または放射性核種含有分子である。酵素イムノアッセイの場合、通常グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸により酵素を第二抗体にコンジュゲートする。しかしながら、容易に認められるように、当業者によく知られている広く多様な種々のライゲーション技術が存在する。一般的に使用される酵素には、特にホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ‐ガラクトシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼがある。特異的酵素について使用される基質は、一般的に対応する酵素による加水分解時、検出可能な色の変化を生じさせるように選択される。たとえば、p−ニトロフェニルリン酸は、アルカリ性ホスファターゼコンジュゲートとの使用に適切である。ペルオキシダーゼコンジュゲートについては、1,2−フェニレンジアミンまたはトルイジンが一般的に使用される。また、上記色素原基質ではなく蛍光生成物を生じる、蛍光原基質を使用することも可能である。次いで、適切な基質を含む溶液を3成分複合体に加える。基質は、第二抗体に結合された酵素と反応して定性視覚的シグナルを生じ、これをさらに通常は分光光度計で定量することにより、血清試料中に存在するタンパク質の量を評価することができる。
別法として、蛍光性化合物、たとえばフルオレセインおよびローダミンは、結合能力を改変すること無く、抗体へ化学的にカップリングされ得る。特定波長の光線での照明により活性化されると、蛍光色素標識抗体は、光エネルギーを吸収し、分子において励起状態を誘導した後、特徴的な長い波長で光線を放射する。放射は、光学顕微鏡により視覚的に検出できる特徴的な色として現れる。免疫蛍光およびEIA技術は両方とも当業界では十分に確立されており、本方法にとっては特に好ましい。しかしながら、他のリポーター分子、たとえば放射性同位元素、化学発光または生物発光分子もまた使用され得る。要求される用途に適合させるため手順をどう変えるべきかは、当業者であれば容易に分かるはずである。
翻訳状態の測定はまた、幾つかの追加的方法にしたがって実施され得る。たとえば、タンパク質の全ゲノムモニタリング(すなわち、「プロテオーム」、Goffeau et al.、前出)は、結合部位が、細胞ゲノムによりコード化される複数のタンパク質種に特異的な、固定化された好ましくはモノクローナル抗体を含むマイクロアレイを構築することにより実施され得る。好ましくは、抗体は、コード化タンパク質の実質的フラクション、または少なくとも興味の対象である生物学的ネットワークモデルを試験または確認することに関連したタンパク質に関して存在する。モノクローナル抗体の製造方法はよく知られている(たとえば、Harlow et al.、“Antibodies: A Laboratory Manual”、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1988)参照、これを出典明示により援用する)。好ましい一実施態様において、モノクローナル抗体は、細胞のゲノム配列に基づいて設計された合成ペプチドフラグメントに対して産生される。かかる抗体アレイの場合、細胞からのタンパク質をアレイと接触させ、それらの結合を当業界で公知の検定法により検定する。
別法として、タンパク質は、二次元ゲル電気泳動システムにより分離され得る。二次元ゲル電気泳動は、当業界では公知であり、典型的には第一次元に沿った等電点フォーカシング、次いで第二次元に沿ったSDS−PAGE電気泳動を含む(たとえば、Hames et al.、“Gel Electrophoresis of Proteins: A Practical Approach”、IRLプレス、ニューヨーク(1990);Shevchenko et al.、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA、第93巻、1440−1445頁(1996);Sagliocco et al.、Yeast、第12巻、1519−1533頁(1996);Lander、Science、第274巻、536−539頁(1996)参照)。得られた電気泳動図は、質量分析技術、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いるウエスタンブロッティングおよび免疫ブロット分析、および内部およびN−末端マイクロ‐シーケンシングを含む、多様な技術により分析され得る。これらの技術を用いると、薬剤に曝露された細胞で(例、酵母で)、またはたとえば特異的遺伝子の欠失または過剰発現により修飾された細胞での、所定の生理学的条件下で製造された全タンパク質の実質的フラクションを同定することが可能である。
生物学的状態の他の局面に基づいた実施態様
mRNA存在量以外の細胞成分のモニタリングは、現時点でmRNAのモニタリングでは遭遇しなかったある種の技術的な難しさを呈するが、当業者であれば、本発明方法の使用により、細胞機能の特性検定に関連したタンパク質の活性が測定され得、本発明の実施態様は上記測定結果に基き得ることは容易に理解できるはずである。活性測定は、特性検定されている特定活性に適切な機能的、生化学的または物理的手段により実施され得る。活性が化学変換を伴う場合、細胞タンパク質を天然基質と接触させ、変換速度を測定し得る。活性が多量体単位での会合、たとえばDNAと活性化DNA結合複合体の会合を伴う場合、会合タンパク質または会合の二次的結果の量、たとえば転写されたmRNAの量が測定され得る。また、たとえば細胞周期制御のように機能的活性のみが判明している場合、機能の達成能が観察され得る。既知であり、測定はされているが、タンパク質活性の変化が、上記本発明方法により解析される応答データを形成する。
mRNA存在量以外の細胞成分のモニタリングは、現時点でmRNAのモニタリングでは遭遇しなかったある種の技術的な難しさを呈するが、当業者であれば、本発明方法の使用により、細胞機能の特性検定に関連したタンパク質の活性が測定され得、本発明の実施態様は上記測定結果に基き得ることは容易に理解できるはずである。活性測定は、特性検定されている特定活性に適切な機能的、生化学的または物理的手段により実施され得る。活性が化学変換を伴う場合、細胞タンパク質を天然基質と接触させ、変換速度を測定し得る。活性が多量体単位での会合、たとえばDNAと活性化DNA結合複合体の会合を伴う場合、会合タンパク質または会合の二次的結果の量、たとえば転写されたmRNAの量が測定され得る。また、たとえば細胞周期制御のように機能的活性のみが判明している場合、機能の達成能が観察され得る。既知であり、測定はされているが、タンパク質活性の変化が、上記本発明方法により解析される応答データを形成する。
別の非限定的な実施態様では、応答データは、細胞の生物学的状態の混合局面により形成され得る。応答データは、たとえばある種のmRNA存在量における変化、ある種のタンパク質存在量の変化、およびある種のタンパク質活性の変化から構築され得る。
コンピューター履行
好ましい実施態様では、以前の方法のコンピューター操作を一コンピューターシステムまたは一またはそれ以上のネットワーク化コンピューターシステムで履行することにより、生物系のモデルを形成し、試験することが強力かつ好都合で容易なものになっている。コンピューターシステムは、内部コンポーネントを含み、外部コンポーネントにリンクされている単一ハードウェアプラットホームであり得る。このコンピューターシステムの内部コンポーネントは、メインメモリーと相互連結したプロセッサーエレメントを含む。たとえば、コンピューターシステムは、クロックレートが200Mhzまたはそれより大きく、メインメモリーが32MBまたはそれ以上のインテル・ペンティアム(Intel Pentium)(登録商標)ベースのプロセッサーであり得る。
好ましい実施態様では、以前の方法のコンピューター操作を一コンピューターシステムまたは一またはそれ以上のネットワーク化コンピューターシステムで履行することにより、生物系のモデルを形成し、試験することが強力かつ好都合で容易なものになっている。コンピューターシステムは、内部コンポーネントを含み、外部コンポーネントにリンクされている単一ハードウェアプラットホームであり得る。このコンピューターシステムの内部コンポーネントは、メインメモリーと相互連結したプロセッサーエレメントを含む。たとえば、コンピューターシステムは、クロックレートが200Mhzまたはそれより大きく、メインメモリーが32MBまたはそれ以上のインテル・ペンティアム(Intel Pentium)(登録商標)ベースのプロセッサーであり得る。
外部コンポーネントは大容量データ記憶を含む。この大容量記憶は、一またはそれ以上のハードディスク(典型的にはプロセッサーおよびメモリーと一緒にパッケージされている)であり得る。典型的には、上記ハードディスクは、少なくとも1GBの記憶容量を提供する。他の外部コンポーネントは、「マウス」または他のグラフィック入力装置であり得る位置指示装置と一緒に、モニターおよびキーボードであり得るユーザーインターフェース装置を含む。典型的には、コンピューターシステムはまた、他のローカルコンピューターシステム、リポートコンピューターシステムまたは広域通信ネットワーク、たとえばインターネットとリンクされている。このネットワークリンクにより、コンピューターシステムは他のコンピューターシステムとデータおよびプロセッシングタスクを共有することができる。
当業界では標準的であると同時に本発明に特殊なものである幾つかのソフトウェアコンポーネントは、このシステムの作動中にメモリーへローディングされる。これらのソフトウェアコンポーネントは、集合的に本発明用法にしたがってコンピューターシステムを機能させ得る。これらのソフトウェアコンポーネントは、典型的には大容量記憶装置に記憶されている。別法として、ソフトウェアコンポーネントは、除去可能な媒体、たとえばフロッピーディスク(登録商標)またはCD−ROM(説明されず)において記憶され得る。ソフトウェアコンポーネントは、コンピューターシステムの管理およびそのネットワーク相互連結を担うオペレーティングシステムを示す。このオペレーティングシステムは、たとえばマイクロソフト社のWindows(登録商標)ファミリーのもの、たとえばWindows 95(登録商標)、Windows 98(登録商標)またはWindows NT(登録商標)、またはユニックス(Unix)(登録商標)オペレーティングシステム、たとえばサン・ソラリス(Sun Solaris)であり得る。ソフトウェアは、好都合にはこのシステムに存在する共通言語および機能を含み、本発明に特異的である方法を履行するプログラムを助ける。本発明の解析方法をプログラムするのに使用され得る言語には、C、C++または、それほど好ましくはないがJAVA(登録商標)がある。最も好ましくは、本発明方法は数学的ソフトウェアパッケージでプログラムされ、それらを用いると、等式の記号入力および使用すべきアルゴリズムを含む高レベル仕様の処理手続が可能となるため、ユーザーは個々の等式またはアルゴリズムを手続上プログラムする必要性から解放される。上記パッケージには、たとえばマスワークス(ナティック、マサチューセッツ)製のMATLAB(商標)、ウォルフラム・リサーチ(シャンペイン、イリノイ)製のMATHEMATICA(商標)およびマスソフト(ケンブリッジ、マサチューセッツ)製のMATHCAD(商標)がある。
好ましい実施態様において、解析ソフトウェアコンポーネントは、実際に互いに相互作用する別々のソフトウェアコンポーネントを含む。解析ソフトウェアは、システムの操作に必要なデータを全て含むデータベースを表す。上記データは、一般的には、当業者には明白なものである、先行実験の結果、ゲノムデータ、実験手順および費用、および他の情報を含むが、これらに限定されるわけではない。解析ソフトウェアは、本発明の解析方法を実行する一またはそれ以上のプログラムを含むデータ整理および計算コンポーネントを含む。解析ソフトウェアはまた、コンピューターシステムのユーザーに試験ネットワークモデルおよび所望による実験データの管理および入力手段を提供するユーザーインターフェース(UI)を含む。ユーザーインターフェースは、仮説をシステムに条件として指定するドラッグアンドドロップ・インターフェースを含み得る。ユーザーインターフェースはまた、大容量記憶コンポーネント(例、ハードドライブ)、除去可能媒体(例、フロッピーディスク(登録商標)またはCD−ROM)、またはネットワーク(例、ローカルエリアネットワーク、または広域通信ネットワーク、たとえばインターネット)全体にわたって本システムと通信する異なるコンピューターシステムからの実験データをローディングする手段を含み得る。
代替的コンピューターシステムおよび本発明解析方法の履行方法は、当業者には明白なものであり、添付された請求の範囲内に包含されるものとする。特に、添付された請求の範囲は、当業者であれば容易に理解できるはずである本発明方法を履行する代替的プログラム構造を含むものとする。
SNPの同定および特性検定
SNPを同定し、特性検定するのには、1本鎖立体配座多型解析、熱変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ2本鎖解析、直接DNA配列決定およびコンピューター的方法を含む多くの異なる技術が使用され得る。Shi、Clin.Chem.、第47巻、2号、164−172頁(2001)参照。公開データベースにおける豊富な配列情報のおかげで、コンピューターツールを駆使して、所定の遺伝子について独立的に提示された配列(cDNAまたはゲノム配列)を平行整列させることにより、SNPがインシリコで同定され得る。実験的に、そしてインシリコ方法により得られたSNPの比較結果は、SNPFinder(http://lpgws.nci.nih.gov:82/perl/snp/snp_cgi.pl)により見出された候補SNPの55%が実験的にも発見されたことを示していた。Cox、BoillotおよびCanzian、Hum.Mutat.、第17巻、2号、141−150頁(2001)参照。しかしながら、これらインシリコ方法では、真のSNPの27%しか見出せ得ない。
SNPを同定し、特性検定するのには、1本鎖立体配座多型解析、熱変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ2本鎖解析、直接DNA配列決定およびコンピューター的方法を含む多くの異なる技術が使用され得る。Shi、Clin.Chem.、第47巻、2号、164−172頁(2001)参照。公開データベースにおける豊富な配列情報のおかげで、コンピューターツールを駆使して、所定の遺伝子について独立的に提示された配列(cDNAまたはゲノム配列)を平行整列させることにより、SNPがインシリコで同定され得る。実験的に、そしてインシリコ方法により得られたSNPの比較結果は、SNPFinder(http://lpgws.nci.nih.gov:82/perl/snp/snp_cgi.pl)により見出された候補SNPの55%が実験的にも発見されたことを示していた。Cox、BoillotおよびCanzian、Hum.Mutat.、第17巻、2号、141−150頁(2001)参照。しかしながら、これらインシリコ方法では、真のSNPの27%しか見出せ得ない。
現在、最も一般的なSNPタイピング方法には、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長および開裂方法がある。これらの方法は各々、適切な検出システムに連結されなければらならい。検出技術には、蛍光偏光法(Chan X et al.、Genome Res.1999、9:492−499頁参照)、ピロリン酸放出の発光量検出法(パイロシーケンシング)(Ahmadiian A et al.、Anal.Biochem.2000、280:103−10頁参照)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基く開裂検定法、DHPLCおよび質量分析法がある(Shi MM、Clin Chem 2001、47:164−172および米国特許第6300076B1号参照)。他のSNP検出および特性検定方法は、米国特許第6297018B1号および同6300063B1号に開示されている。上記参考文献の開示内容は、本明細書において出典明示により援用する。
本発明の特に好ましい実施態様において、多型の検出は、いわゆるインベーダー(INVADER、商標)技術(ウィスコンシン、マディソンのサード・ウェーブ・テクノロジーズ、インコーポレイテッドから入手可能)により実施され得る。この検定では、特異的上流「インベーダー」オリゴヌクレオチドおよび部分重複下流プローブが一緒になって、相補的DNA鋳型と結合したときに特異構造を形成する。この構造が認識されると、これをクリアバーゼ酵素により特異部位で切断し、この結果、プローブオリゴヌクレオチドの5'フラップが解離される。次いで、このフラグメントは、反応混合物に含まれる合成二次標的および二次蛍光標識シグナルプローブに関して「インベーダー」オリゴヌクレオチドとしての役割を果たす。この結果、クリアバーゼ酵素により二次シグナルプローブが特異開裂される。蛍光共鳴エネルギー移動し得る色素分子で標識された、この二次プローブが開裂されたとき、蛍光シグナルが発生される。クリアバーゼは、重複DNA配列またはフラップにより形成された構造に関してストリンジェントな必要条件を有するため、下流DNA鎖にある開裂部位のすぐ上流における一塩基対誤対合の特異的検出に使用され得る。Ryan D et al.、Molecular Diagnosis、第4巻、2号、1999:135−144頁およびLyamichev V et al.、Nature Biotechnology、第17巻、1999:292−296頁、および同じく米国特許第5846717号および第6001567号参照、これらについては出典明示により援用する。
実施態様の中には、組成物が、2つまたはそれ以上の多型部位におけるヌクレオチドの同一性を同時にプローブするために2個またはそれ以上の異なる標識遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む場合もある。また、プライマー組成物が、多型部位を含む2つまたはそれ以上の領域の同時ターゲッティングおよび増幅を行えるように対立遺伝子特異的プライマー対の2個またはそれ以上のセットを含み得ることも考えられる。
本発明の遺伝子解析オリゴヌクレオチドはまた、固体表面、たとえばマイクロチップ、ビーズまたはスライドグラス上において固定化または合成され得る(たとえば、国際公開第98/20020号および国際公開第98/20019号参照)。上記固定化遺伝子解析オリゴヌクレオチドは、限定するわけではないがプローブハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ伸長検定法を含む様々な多型検出検定法で使用され得る。本発明の固定化遺伝子解析オリゴヌクレオチドは、同時に同義遺伝子における多型についてDNA試料を迅速にスクリーニングするよう設計されたオリゴヌクレオチドを配列させたアレイを含み得る。
本発明の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、3’末端ヌクレオチド、または3'末端前ヌクレオチドを有し、これは特定SNPの唯一のヌクレオチドと相補的であることにより、ヌクレオチドを含む対立遺伝子が存在する場合のみポリメラーゼ仲介伸長用プライマーとして作用する。コーディングまたは非コーディング鎖とハイブリダイゼーションする対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーも本発明に包含される。15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子またはIL−1ベータにおいて遺伝子多型を検出するためのASOプライマーは、当業者に公知の技術を用いて開発され得る。
本発明の他の遺伝子解析オリゴヌクレオチドは、本発明で同定された新規多型部位の一つの下流にある幾つかのヌクレオチドに位置する標的領域とハイブリダイゼーションする。上記オリゴヌクレオチドは、本明細書記載の新規多型の一つを検出するためのポリメラーゼ介在プライマー伸長方法において有用であり、したがって、上記遺伝子解析オリゴヌクレオチドは、本明細書では「プライマー伸長オリゴヌクレオチド」と称す。好ましい実施態様において、プライマー伸長オリゴヌクレオチドの3'末端は、多型部位に隣接して位置するヌクレオチドと相補的なデオキシヌクレオチドである。
別の実施態様では、本発明は、個別容器にパッケージされた少なくとも2個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。キットはまた、個別容器にパッケージされた他の成分、たとえばハイブリダイゼーション緩衝液(オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合)を含み得る。別法として、オリゴヌクレオチドが標的領域の増幅に使用される場合、キットは、個別容器にパッケージされた、ポリメラーゼおよびポリメラーゼにより伝達されるプライマー伸長、たとえばPCRに最適化された反応緩衝液を含み得る。
上記オリゴヌクレオチド組成物およびキットは、個体での15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子またはIL−1ベータ遺伝子の遺伝子解析および/またはプロタイプ解析方法において有用である。本明細書で使用されている「遺伝子型」および「ハプロタイプ」は、ヌクレオチド対またはヌクレオチドをそれぞれ含む遺伝子型またはハプロタイプを意味するもので、本明細書記載の新規多型部位の1つまたはそれ以上に存在し、同じく所望により15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子またはIL−1ベータ遺伝子における1つまたはそれ以上の追加的多型部位に存在するヌクレオチド対またはヌクレオチドを含み得る。追加的多型部位は、現時点で公知の多型部位または後続的に発見される部位であり得る。
遺伝子解析方法の一実施態様では、個体に存在する、2コピーの興味の対象である遺伝子、すなわち15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131でのrs2290573多型、配列X02612の6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子またはそのフラグメントを含む核酸混合物を個体から分離し、2コピーにおける多型部位の一つまたはそれ以上にあるヌクレオチド対の同一性を測定することにより、個体に遺伝子型を割当てる。
当業者であれば容易に理解できるように、個体における遺伝子の2「コピー」は、同じ対立遺伝子であり得るかまたは異なる対立遺伝子であり得る。特に好ましい実施態様では、遺伝子解析方法は、各多型部位におけるヌクレオチド対の同一性の測定を含む。
典型的には、核酸混合物は、個体から採取された生物学的試料、たとえば血液試料または組織試料から単離される。適切な組織試料には、全血、精液、唾液、涙液、尿、糞便物質、汗、頬側スミア、皮膚および毛髪がある。核酸混合物は、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNAにより構成され得、そして後の2例では、生物学的試料は、15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子またはIL−1ベータ遺伝子が発現される臓器から入手されなければならない。さらに、当業者であれば、イントロンまたは5'および3'非転写領域に位置する多型を検出するのにmRNAまたはcDNA調製物が使用されないことは、容易に理解できるはずである。遺伝子フラグメントが単離される場合、それは遺伝子解析すべき多型部位(複数も可)を含まなければならない。
ハプロタイプ解析方法の一実施態様では、個体に存在する、2コピーの遺伝子の一方のみを含む核酸分子またはそのフラグメントを個体から単離し、そのコピーにおける多型部位の一つまたはそれ以上にあるヌクレオチドの同一性をそのコピーにおいて測定することにより、個体にハプロタイプを割当てる。核酸は、2コピーの遺伝子またはフラグメントを分離し得る方法、たとえば限定はされないが、イソ遺伝子製造についての上記方法の一つを用いて単離され得、ターゲッティングされたインビボクローニングが好ましい方法である。当業者であれば容易に理解できるように、個体クローンは、個体に存在する2遺伝子コピーの一方に関するハプロタイプ情報を提供するに過ぎない。ハプロタイプ情報が個体の他方のコピーにとって所望される場合、追加的クローンを調べる必要がある。典型的には、個体における両コピーの遺伝子をハプロタイプ解析する確率が90%を超えるように少なくとも5クローンを調べるべきである。特に好ましい実施態様では、多型部位の各々に位置するヌクレオチドが同定される。
好ましい実施態様では、ハプロタイプ対を、個体に存在する遺伝子の各コピーにおける多型部位の一つまたはそれ以上にあるヌクレオチドのフェイジングされた配列を同定することにより個体について測定する。特に好ましい実施態様において、ハプロタイプ解析方法では、遺伝子の各コピーにおける各多型部位にあるヌクレオチドのフェイジングされた配列を同定する。遺伝子の両コピーをハプロタイプ解析するとき、同定操作は、好ましくは個別容器に置かれている遺伝子の各コピーにより実施される。しかしながら、2コピーが異なる標識で標識されているか、またはそうではなく別々に識別可能または同定可能である場合、同じ容器中でこの方法を実施することが可能な場合もあることも予想される。たとえば、遺伝子の第一および第二コピーを異なる第一および第二蛍光色素でそれぞれ標識し、さらに第三の異なる蛍光色素で標識した対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを多型部位(複数も可)の検定に使用する場合、第一および第三色素の組合せを検出することにより、第一遺伝子コピーにおける多型が同定され、第二および第三色素の組合せを検出することにより、第二遺伝子コピーにおける多型が同定される。
遺伝子解析およびハプロタイプ解析の両方法において、多型部位(複数も可)にあるヌクレオチド(またはヌクレオチド対)の同一性は、興味の対象である遺伝子、すなわち15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子、またはそのフラグメントの一方または両方のコピーから直接多型部位(複数も可)を含む標的領域(複数も可)を増幅することにより測定され得、そして増幅領域(複数も可)の配列は慣用的方法により決定され得る。
多型部位について、その部位でホモ接合性である個体では唯一のヌクレオチドが検出され、個体がその部位についてヘテロ接合性である場合は2種の異なるヌクレオチドが検出されることは、当業者であれば容易に理解できるはずである。多型は、積極型同定として知られるように直接同定されるか、または消極型同定と称される、推論により同定され得る。たとえば、SNPがレファレンス集団においてグアニンおよびシトシンであることが判明している場合、部位は、その部位でホモ接合性である個体についてはグアニンまたはシトシンであり、個体がその部位でヘテロ接合性である場合、グアニンおよびシトシンの両方であると積極的に決定され得る。別法として、部位は、グアニン(また、すなわちシトシン/シトシン)でもなく、またはシトシン(また、すなわちグアニン/グアニン)でもないと消極的に決定され得る。
さらに、本明細書に記載されている新規多型部位のいずれかに存在する対立遺伝子(複数も可)の同一性は、興味の対象である多型部位と連鎖不平衡をなす、本明細書では開示されていない多型部位を遺伝子解析することにより間接的に測定され得る。一部位における特定変異型の存在により、第二部位における別の変異型の予測性が高められる場合、二つの部位は連鎖不平衡にあるといわれる(Stevens,JC 1999、Mol Diag 4:309−317参照)。現時点で開示されている多型部位と連鎖不平衡にある多型部位は、遺伝子の領域または本発明では調べていない他のゲノム領域に位置し得る。本明細書記載の新規多型部位と連鎖不平衡にある多型部位の遺伝子解析は、限定するわけではないが、多型部位にある対立遺伝子の同一性を検出する上記方法のいずれかにより実施され得る。
標的領域(複数も可)は、限定はされないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4965188号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al.、Proc Natl Acad Sci USA 88:189−193、1991;および国際公開第90/01069号参照)、およびオリゴヌクレオチドライゲーション検定法(OLA)(Landegren et al.、Science、241:1077−1080、1988)を含む、いずれかのオリゴヌクレオチド指向増幅方法を用いて増幅され得る。上記方法においてプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは、多型部位を含むかまたはそれに隣接している核酸の一領域と特異的にハイブリダイゼーションするべきである。典型的には、オリゴヌクレオチドは、10〜35ヌクレオチド長、好ましくは15〜30ヌクレオチド長である。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは20〜25ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドの正確な長さは、当業者により常用の手順で考慮および実践されている多くの因子に依存する。
転写に基づいた増幅系(米国特許第5130238号、欧州特許第329822号、米国特許第5169766号、国際公開第89/06700号参照)および等温的方法(Walker et al.、Proc Natl Acad Sci USA 89:392−396、1992)を含む、他の公知核酸増幅手順も標的領域を増幅するのに使用され得る。
標的領域における多型はまた、当業界で公知である幾つかのハイブリダイゼーションに基く方法の一つを用いて増幅の前後に検定され得る。典型的には、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、上記方法を実施するのに使用される。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、異なる形で標識されたプローブ対として使用され得、対の一要員は標的配列の一変異型に完全なマッチを示し、他要員は異なる変異型に完全なマッチを示す。複数の多型部位が、一セットの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド対を用いると一度に検出され得る。好ましくは、セットの要員は、検出されている多型部位の各々とハイブリダイゼーションするときに互いに5℃以内、さらに好ましくは2℃以内の融解温度を有する。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドと標的ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、溶解状態の両物質により実施され得るか、または上記ハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドが共有結合または非共有結合的に固体支持体に固定されているときに実施され得る。結合は、たとえば抗体−抗原相互作用、ポリ−L−Lys、ストレプトアビジンまたはアビジン‐ビオチン、塩架橋、疎水性相互作用、化学的連鎖、UV架橋ベーキングなどにより仲介され得る。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、固体支持体上で直接合成されるかまたは合成の後で固体支持体に結合され得る。本発明検出方法での使用に適切な固体支持体には、珪素、ガラス、プラスチック、紙などでできた基質があり、これらはたとえば、ウェル(例、96ウェルプレートの場合)、スライド、シート、膜、繊維、チップ、皿およびビーズに成形され得る。固体支持体は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドまたは標的核酸の固定化を容易にするように処理、コーティングまたは誘導体化され得る。
個体の興味の対象である遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプはまた、核酸アレイおよびサブアレイ、たとえば国際公開第95/11995号記載のものへの遺伝子の一コピーまたは両コピーを含む核酸試料のハイブリダイゼーションにより決定され得る。アレイは、遺伝子型またはハプロタイプに含まれるべき多型部位の各々を表す一連の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む。
多型の同一性はまた、限定するわけではないが、リボプローブ(Winter et al.、Proc Natl Acad Sci USA 82:7575、1985;Meyers et al.、Science 230:1242、1985)およびヌクレオチド誤対合を認識するタンパク質、たとえばエシェリキア・コリ(E.coli)mutSタンパク質(Modrich P. Ann Rev Genet 25:229−253、1991)を用いるリボヌクレアーゼ防御方法を含む、誤対合検出技術を用いて測定され得る。別法として、変異型対立遺伝子は、1本鎖立体配座多型(SSCP)解析(Orita et al.、Genomics 5:874−879、1989;Humphries et al.、Molecular Diagnosis of Genetic Diseases、R.Elles編、321−340頁、1996)または熱変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Wartell et al.、Nucl Acids Res 18:2699−2706、1990;Sheffield et al.、Proc Natl Acad Sci USA 86:232−236、1989)により同定され得る。
ポリメラーゼ介在プライマー伸長方法はまた、多型(複数も可)を同定するのに使用され得る。幾つかの上記方法は、特許および科学文献に記載されており、「遺伝子ビット解析」方法(国際公開第92/15712号)およびリガーゼ/ポリメラーゼ介在遺伝子ビット解析(米国特許第5679524号)を含む。関連方法は、国際公開第91/02087号、国際公開第90/09455号、国際公開第95/17676号、米国特許第5302509号および同第5945283号に開示されている。多型を含む伸長されたプライマーは、米国特許第5605798号に記載されている質量分析法により検出され得る。別のプライマー伸長方法は、対立遺伝子特異的PCRである(Ruafio et al.、Nucl Acids Res 17:8392、1989;Ruafio et al.、Nucl AcidsRes 19、6877−6882、1991;国際公開第93/22456号;Turki et al.、I Clin Invest 95:1635−1641、1995)。さらに、多重多型部位は、Wallace et al.(国際公開第89/10414号)に記載されている対立遺伝子特異的プライマーのセットを用いる核酸の多領域を同時増幅することにより調べられ得る。
好ましい実施態様では、各人種地理学的集団についてのハプロタイプ頻度データを調べることにより、それがハーディー‐ワインバーグ平衡と一致するか否かを測定する。ハーディー‐ワインバーグ平衡(D.L.Hartl et al.、Principles of Population Genomics、シナウアー・アソーシエーツ(サンダーランド、マサチューセッツ)、第3版、1997)は、ハプロタイプ対H1/H2を発見する頻度が、H1≠H2の場合PH−W(H1/H2)=2p(H1)p(H2)およびH1=H2の場合PH−W(H1/H2)=p(H1)p(H2)に等しいことを前提とする。観察および予測ハプロタイプ頻度間の統計的有意差は、集団グループにおける近親交配、遺伝子に対する強い選択的圧力、サンプリングの偏り、および/または遺伝子解析過程におけるエラーを含む一つまたはそれ以上の因子によるものであり得る。ハーディー‐ワインバーグ平衡からの大きな偏差が人種地理学的集団で観察される場合、その集団における個体数を増加させることにより、その偏差がサンプリングの偏りに起因するか否かが判る。サンプルの大きさを大きくしても観察および予測ハプロタイプ対頻度間の差異が縮小しない場合、直接ハプロタイプ解析方法、たとえばCLASPERシステム(商標)技術(米国特許第5866404号)、SMDまたは対立遺伝子特異的長距離PCR(Michalotos‐Beloin et al.、Nucl Acids Res 24:4841−4843、1996)を用いて個体のハプロタイプ解析を考慮に入れるのが望まれることもある。
興味の対象である遺伝子、すなわち、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子のハプロタイプ対を予測するこの方法の一実施態様において、割当て手順として以下の解析を実施する。まず、可能なハプロタイプ対の各々を、レファレンス集団におけるハプロタイプ対と比較する。一般的に、レファレンス集団におけるハプロタイプ対の一方のみが可能なハプロタイプ対とマッチし、その対が個体に割当てられる。時折、レファレンスハプロタイプ対に示された一方のハプロタイプのみが、個体についての可能なハプロタイプ対と一致することもあり、そのような場合、個体はこの既知ハプロタイプを含むハプロタイプ対に割当てられ、新たなハプロタイプは、可能なハプロタイプ対から既知ハプロタイプを減ずることにより誘導される。稀な場合に、レファレンス集団におけるいずれのハプロタイプも可能なハプロタイプ対と一致しないか、または択一的に、多重レファレンスハプロタイプ対は可能なハプロタイプ対と一致する。そのような場合には、個体は、好ましくは直接分子ハプロタイプ解析方法、たとえばCLASPERシステム(商標)技術(米国特許第5866404号)、SMDまたは対立遺伝子特異的長距離PCR(Michalotos‐Beloin et al.、Nucl Acids Res 24:4841−4843、1996)を用いてハプロタイプ解析される。
本発明はまた、集団における興味の対象である遺伝子型またはハプロタイプの頻度の測定方法を提供する。この方法では、集団の各要員に存在する興味の対象である遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプ対を測定し、その場合、遺伝子型またはハプロタイプは、興味の対象である遺伝子、たとえば、限定するわけではないが、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子における多型部位の一つまたはそれ以上で検出されるヌクレオチド対またはヌクレオチドを含むものとし、そして特定遺伝子型またはハプロタイプが集団で見出される頻度を計算する。集団は、レファレンス集団、ファミリー集団、同性集団、集団グループ、形質集団(例、興味の対象である形質、たとえば医学的状態または治療的処置に対する応答を呈する個体の群)であり得る。
本発明の別の局面では、レファレンス集団で見出される興味の対象である遺伝子型および/またはハプロタイプについての頻度データは、興味の対象である形質および遺伝子型またはハプロタイプ間の関連を同定する方法で使用される。形質は、限定はされないが、病気に対する感受性または処置に対する応答を含む検出可能な表現型であり得る。この方法では、レファレンス集団およびその形質を呈する集団における興味の対象である遺伝子型(複数も可)またはハプロタイプ(複数も可)の頻度に関するデータを入手する。レファレンスおよび形質集団の一方または両方についての頻度データは、上記方法の一つを用いて集団における各個体を遺伝子解析またはハプロタイプ解析することにより得られる。形質集団についてのハプロタイプは、直接的、または別法として上記の予測的遺伝子型対ハプロタイプ方法により測定され得る。
別の実施態様において、レファレンスおよび/または形質集団についての頻度データは、文字表記または電子形態であり得る、以前に測定された頻度データを利用することにより得られる。たとえば、頻度データは、コンピューターによりアクセス可能なデータベースに存在し得る。一旦頻度データが入手されると、レファレンスおよび形質集団における興味の対象である遺伝子型(複数も可)またはハプロタイプ(複数も可)の頻度が比較される。好ましい実施態様では、集団で観察される全遺伝子型および/またはハプロタイプの頻度が比較される。興味の対象である遺伝子についての特定遺伝子型またはハプロタイプがレファレンス集団よりも形質集団における頻度が統計的に有意な量で高い場合、形質は遺伝子型またはハプロタイプと関連していると予測される。
好ましい実施態様において、ボンフェローニ補正での標準ANOVA試験および/または遺伝子型表現型相関関係を何回もシミュレーションし、有意値を計算するブートストラップ方法の使用により統計分析を実施する。多くの多型が分析されているとき、因子に対する補正を実施することにより、偶然見出され得る顕著な関連性が補正され得る。本発明方法で使用される統計的方法については、Statistical Methods in Biology、第3版、Bailey NTJ、ケンブリッジ・ユニバーシティー・プレス(1997);Introduction to Computational Biology、Waterman MS、CRCプレス(2000)およびBioinformatics、Baxevanis AD およびOuellette BFF編者(2001)ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、インコーポレイテッド参照。
本方法の好ましい実施態様では、興味の対象である形質は、何らかの治療的処置に対して患者が呈する臨床応答、たとえばチロシンキナーゼ阻害薬剤に対する応答または医学的状態に関する治療的処置に対する応答である。
本発明の別の実施態様では、興味の対象である遺伝子型またはハプロタイプのいずれかと連鎖不平衡にある検出可能な遺伝子型またはハプロタイプは、代理マーカーとして使用され得る。興味の対象である遺伝子型と連鎖不平衡にある遺伝子型は、遺伝子についての特定遺伝子型またはハプロタイプが、統計的に有意な量でレファレンス集団におけるよりも、可能性のある代理マーカー遺伝子型を示す集団における方が高頻度であるか否かを測定することにより発見され得、そしてマーカー遺伝子型は、その遺伝子型またはハプロタイプと関連していると予測され、そして興味の対象である遺伝子型の代わりに代理マーカーとして使用され得、好ましい実施態様において、これには、限定されるわけではないが、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子がある。
本明細書で使用されている「医学的状態」とは、限定はされないが、処置が望まれる一つまたはそれ以上の肉体的および/または精神的症状として現れる状態または病気を包含し、そして以前に、および新たに同定された病気および他の疾患を含む。
本明細書で使用されている「臨床応答」の語は、応答の量的測度、無応答および不利な応答(すなわち、副作用)のいずれかまたは全部を意味する。
処置に対する臨床応答および興味の対象である遺伝子型またはハプロタイプ間の相関関係を演繹するためには、以後「臨床集団」と称する、処置を受けた個体の集団が呈する臨床応答に関するデータを得ることが必要である。この臨床データは、既に実施された臨床試験の結果を分析することにより得られ、および/または臨床データは、一つまたはそれ以上の新たな臨床試験を設計および実施することにより得られる。
本明細書で使用されている「臨床試験」の語は、特定処置に対する応答に関する臨床データを集めるように設計されたリサーチ試験をいい、限定するわけではないが、第一相、第二相および第三相臨床試験を含む。標準的方法を用いて患者集団を特定し、対象を登録する。
臨床集団に含まれる個体は、興味の対象である医学的状態の存在について等級付されているのが好ましい。これは、患者が呈している症状(複数も可)が、複数の根元的状態により誘発され得る場合、および根元的状態の処置が同じではない場合に重要である。これの一例は、患者が喘息または呼吸器感染症に起因する呼吸困難を経験している場合である。両セットを喘息薬で処置する場合、実際には喘息に罹患していなかった見かけ上の非応答者の擬似群が存在する。これらの人々は、ハプロタイプおよび処置結果間の相関関係の検出能力に影響を及ぼす。この潜在的患者の等級付けは、標準理学的診断または一つまたはそれ以上のラボ試験を使用し得る。別法として、患者の等級付けには、ハプロタイプ対および病気の感受性または重篤度間に強い相関関係が存在する状況についてのハプロタイプ解析が使用され得る。
興味の対象である治療的処置を臨床集団における各個体に施し、処置に対する各個体の応答を、1つまたはそれ以上の予め決められた基準を用いて測定する。多くの場合、臨床集団は一連の応答を呈すること、および研究者は様々な応答により構成される応答者群(例、低、中、高)の数を選択することが考えられる。さらに、臨床集団における各個体についての興味の対象である遺伝子は、遺伝子解析および/またはハプロタイプ解析され、これらは処置を施す前または後に行われ得る。
臨床および多型の両データを得た後、限定するわけではないが、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子を含め、個体応答および遺伝子型またはハプロタイプ含有量間の相関関係を作製する。
相関関係は幾つかの方法で作製され得る。一方法では、個体をそれらの遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)によりグループ分けし(多型群とも称される)、次いで各多型群の要員が呈する臨床応答の平均および標準偏差を計算する。
次いで、これらの結果を分析することにより、多型群間において臨床応答で観察された変化が統計的に有意であるか否かを決定する。使用され得る統計分析方法は、L.D.FisherおよびG.vanBelle、“Biostatistics: A Methodology for the Health Sciences”、ワイリー‐インターサイエンス(ニューヨーク、1993)に記載されている。この分析はまた、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子、またはIL−1ベータ遺伝子におけるどの多型部位が表現型の差異に最も顕著に貢献するかの回帰計算を含み得る。本発明で有用な一回帰モデルは、2000年6月26日付の「ハプロタイプの入手および使用方法」と題するPCT出願に記載されている。
ハプロタイプ含有量および臨床応答間の相関関係を発見する第二の方法では、エラー最小限化最適化アルゴリズムに基づいた予測モデルを使用する。多くの可能な最適化アルゴリズムの一つは、遺伝アルゴリズム(R.Judson、“Genetic Algorithms and Their Uses in Chemistry”、Reviews in Computational Chemistry、第10巻、1〜73頁、K.B.LipkowitzおよびD.B.Boyd編、VCHパブリッシャーズ、ニューヨーク、1997)である。シミュレーションされたアニーリング(Press et al.、“Numerical Recipes in C: The Art of Scientific Computing”、ケンブリッジ・ユニバーシティー・プレス(ケンブリッジ)1992、Ch.10)、神経ネットワーク(E.RichおよびK.Knight、“Artificial Intelligence”、第2版、マクグロウ‐ヒル、ニューヨーク、1991、Ch.18)、標準勾配下降方法(Press et al.、前出、Ch.10)、または他のグローバルまたはローカル最適化方法(Judson、前出での検討参照)もまた使用され得る。好ましくは、相関関係は、2000年6月26日付の「ハプロタイプの入手および使用方法」と題するPCT出願に記載された遺伝アルゴリズム方法を用いて見出される。
また、相関関係を、分散分析(ANOVA)技術を用いて解析することにより、臨床データ中どの程度多くの分散が、興味の対象である遺伝子における多型部位の異なるサブセットにより説明されるかを測定し得る。2000年6月26日付の「ハプロタイプの入手および使用方法」と題するPCT出願に記載されている通り、ANOVAは、応答変数が、測定され得る一つまたはそれ以上の形質または変数により誘発されるかまたはそれと相関関係を示すかについての仮説を試験するのに使用される(FisherおよびvanBelle、前出、Ch.10)。
上記解析から、遺伝子型またはハプロタイプ含有量の関数として臨床応答を予測する数学的モデルが当業者により容易に構築され得る。好ましくは、モデルは、モデルを試験するように設計された1種またはそれ以上の追跡臨床試験で確認される。
臨床応答および15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131、CYP1A1遺伝子、またはIL−1ベータ遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)間の関連の同定結果は、処置に対して応答するかしない個体、または別法として、低レベルで応答する、すなわちさらなる処置、すなわちより多量の薬剤を必要とし得る個体を決定する診断方法を設計するための基礎であり得る。
診断方法は、幾つかの形態:たとえば、直接DNA試験(すなわち、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子における多型部位の1個またはそれ以上の遺伝子解析またはハプロタイプ解析)、血清学的試験または理学的診断測定の一つを取り得る。
唯一の必要条件は、診断試験結果および臨床応答ともまた相関関係を示す根元的遺伝子型またはハプロタイプ間に有効な相関関係が存在することである。好ましい実施態様において、この診断方法は、上記の予測的ハプロタイプ解析法を使用する。
コンピューターは、本発明方法を実践する場合に含まれるあらゆる全ての解析的および数学的操作を履行し得る。さらに、コンピューターは、ディスプレイ装置で表示される画面(またはスクリーン)を生成させるプログラムを実行し得、それによってユーザーは、画面で情報交換し、染色体位置、遺伝子構造および遺伝子群、遺伝子発現データ、多型データ、遺伝子配列データおよび臨床データ集団データ(例、一またはそれ以上の集団についての人種地理学的起源、臨床応答、遺伝子型およびハプロタイプ)を含む、興味の対象である遺伝子およびそのゲノム変化に関する大量の情報を解析することができる。
本明細書記載の遺伝子多型データは、関係のあるデータベース(例、オラクル(Oracle)データベースの実例またはASCIIフラットファイルのセット)の一部として記憶され得る。これらの多型データは、コンピューターのハードドライブに記憶されるか、またはたとえば、CD−ROMまたはコンピューターによるアクセスが可能な一つまたはそれ以上の他の記憶装置に記憶され得る。たとえば、データは、ネットワークを介してコンピューターと通信する形で1種またはそれ以上のデータベースに記憶され得る。
他の実施態様では、本発明は、個体における興味の対象である遺伝子:15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子についてハプロタイプ解析および/または遺伝子解析する方法、組成物およびキットを提供する。
これらの方法では、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子に存在するヌクレオチドまたはヌクレオチド対を同定する。組成物は、多型部位を含むかまたはそれに隣接している一つまたはそれ以上の標的領域と特異的にハイブリダイゼーションするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを含む。
本明細書記載の新規多型部位において個体の遺伝子型またはハプロタイプを確立するための方法および組成物は、様々な遺伝子発現産物の発現および機能により影響される病気の原因に対する多型の影響を試験する、たとえば限定するわけではないが、これらのタンパク質をターゲッティングする薬剤の効力を試験する、チロシンキナーゼを含む発現タンパク質の発現および機能により影響される病気に対する個々の感受性を予測する、および同定された標的をターゲッティングする薬剤に対する個々の応答性を予測するのに有用である。
さらに別の実施態様において、本発明は、遺伝子型またはハプロタイプおよび形質間における関連性の同定方法を提供する。好ましい実施態様では、形質は、病気に対する感受性、病気の重篤度、病気の段階または薬剤に対する応答である。上記方法は、効力測定、PK測定および副作用測定を含む、遺伝子型および治療結果間の関連についての可能性が存在する全ての薬理遺伝学的適用についての診断的検査および治療的処置の開発における適用可能性を有する。
本発明はまた、興味の対象である遺伝子について測定された多型データを記憶し、表示するためのコンピューターシステムを提供する。コンピューターシステムは、コンピューター処理ユニット、ディスプレイおよび多型データを含むデータベースを含む。多型データは、レファレンス集団における、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子について同定された多型、遺伝子型およびハプロタイプを含む。好ましい実施態様では、コンピューターシステムは、進化関係にしたがって組織された様々なハプロタイプを示すディスプレイを作製し得る。
別の局面において、本発明は、人々をその遺伝子変化のタイプにしたがって分類するのに有用であるSNPプローブを提供する。本発明によるSNPプローブはオリゴヌクレオチドであり、慣用的対立遺伝子識別検定法においてSNP核酸の対立遺伝子間を区別することができる。
本明細書で使用されている「SNP核酸」は、個体または個体の群間において他の点では同一のヌクレオチド配列内で変化し得るヌクレオチドを含む、すなわち対立遺伝子として存在する核酸配列である。上記SNP核酸は、好ましくは約15〜約500ヌクレオチド長である。SNP核酸は染色体の一部であり得るか、またはそれらは、たとえばPCRまたはクローニングを通じて染色体のかかる一部を増幅することによる、染色体の一部の正確なコピーであり得る。SNP核酸を以後単に「SNP」と称す。本発明によるSNPプローブは、SNP核酸と相補的であるオリゴヌクレオチドである。
本明細書で使用されている「相補的」の語は、ワトソンおよびクリックが言うところのオリゴヌクレオチドの全長にわたって正確に相補的であることを意味する。
ある種の好ましい実施態様では、本発明のこの局面によるオリゴヌクレオチドは、SNP核酸の一対立遺伝子と相補的であるが、SNP核酸の他の対立遺伝子とは相補的ではな。本発明のこの実施態様によるオリゴヌクレオチドは、様々な方法でSNP核酸の対立遺伝子間を区別し得る。たとえば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、適切な長さのオリゴヌクレオチドは、SNP核酸の一対立遺伝子とハイブリダイゼーションするが、SNP核酸の他の対立遺伝子とはしない。オリゴヌクレオチドは、放射性標識または蛍光標識により標識され得る。別法として、適切な長さのオリゴヌクレオチドは、PCR用プライマーとして使用され得、その場合3'末端ヌクレオチドはSNP核酸の一対立遺伝子と相補的であるが、他の対立遺伝子とは相補的ではない。この実施態様では、PCRによる増幅の存在または不存在がSNP核酸のハプロタイプを決定する。
すなわち、一実施態様において、本発明は、興味の対象である遺伝子またはそのフラグメントについてのレファレンス配列の多型変異型であるヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。レファレンス配列は、標準的または最も一般的な配列を含み、多型変異型は、限定するわけではないが、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子を含む、少なくとも1個の多型を含む。
本発明のゲノムおよびcDNAフラグメントは、本明細書で同定された少なくとも1個の新規多型部位を含み、少なくとも10ヌクレオチドの長さを有し、遺伝子の完全長までの範囲に及び得る。好ましくは、本発明によるフラグメントは100〜3000ヌクレオチド長、さらに好ましくは200〜2000ヌクレオチド長、および最も好ましくは500〜1000ヌクレオチド長である。
本発明で同定された多型部位について記載する場合、便宜上遺伝子のセンス鎖をとりあげている。しかしながら、当業者であれば認めるところであるが、興味の対象である遺伝子を含む核酸分子は、相補的2本鎖分子でありうるため、センス鎖における特定部位という場合相補的アンチセンス鎖における対応する部位についても触れることになる。すなわち、どちらかの鎖における同じ多型部位を指すことになり得、オリゴヌクレオチドは、多型部位を含む標的領域にあるいずれかの鎖と特異的にハイブリダイゼーションするよう設計され得る。すなわち、本発明はまた、本明細書記載の様々なゲノム変異型のセンス鎖と相補的である1本鎖ポリヌクレオチドを包含する。
本発明のさらなる局面では、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子での患者の多型パターンを同定するキットであって、上記多型部位での遺伝子多型パターン測定手段を含むキットが提供される。好ましい実施態様では、上記キットはさらにDNA試料採集手段を含み得る。
好ましい実施態様において、15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子での遺伝子多型パターンを測定する手段は、少なくとも1個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む。
特に、興味の対象である多型部位における遺伝子多型パターンを測定する手段は、2個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含み得る。また、興味の対象である多型部位での遺伝子多型パターンを測定する手段は、少なくとも1個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む少なくとも1個の遺伝子解析プライマー組成物を含み得る。特に、遺伝子解析プライマー組成物は、少なくとも2セットの対立遺伝子特異的プライマー対を含み得る。好ましくは、2個の遺伝子解析オリゴヌクレオチドは、個別容器にパッケージされている。
総括的に本明細書記載の本発明方法は、本発明によるキットの使用をさらに含み得るものと理解すべきである。一般的に、本発明方法はエクスビボ(ex-vivo)で実施され得、上記エクスビボ方法も本質的に本発明に包含される。また、本発明方法がヒトまたは動物体で実践され得る段階を含み得る場合、ヒトまたは動物体では実践されない段階を含むだけの方法も本質的には本発明に包含される。
15q22.33領域の推定遺伝子DKFZP434C131におけるrs2290573多型、配列X02612における6819位の多型部位にあるCYP1A1遺伝子、および配列X04500の1423位の多型部位にあるIL−1ベータ遺伝子の発現に対する本明細書で同定された多型の効果(複数も可)は、遺伝子の多型変異型を含む組換え細胞および/または生物体、好ましくは組換え動物を製造することにより調べられ得る。本明細書で使用されている「発現」は、限定するわけではないが以下のものの一つまたはそれ以上を包含する:前駆体mRNAへの遺伝子の転写、前駆体mRNAのスプライシングおよび他のプロセッシングによる成熟mRNAの生成、mRNA安定性、成熟mRNAの発現タンパク質への翻訳(コドン使用およびtRNA利用能を含む)、および翻訳産物のグリコシル化および/または他の修飾(適切な発現および機能について要求される場合)。
本発明の組換え細胞を製造するため、所望のイソ遺伝子は、ベクターでイソ遺伝子が染色体外に残るように細胞へ導入され得る。かかる状況では、遺伝子は、染色体外位置から細胞により発現される。好ましい実施態様において、イソ遺伝子は、それが細胞に存在する内在性遺伝子と組換えられるように細胞中へ導入される。上記組換えは二重組換え事象の発生を必要とし、それによって所望の遺伝子多型が生じる。組換えおよび染色体外での維持の両方を目的とする遺伝子導入用ベクターは当業界では公知であり、適切なベクターまたはベクター構築物であれば全て本発明で使用され得る。たとえば電気泳動、粒子衝撃、リン酸カルシウム共沈澱およびDNAを細胞へ導入するためのウイルス形質導入といった方法は当業界では公知であり、したがって、方法の選択は実験者の能力および好みにより左右され得る。
イソ遺伝子が導入され得る細胞の例としては、限定するわけではないが、連続培養細胞、たとえばCOS、NIH/3T3、および関連性のある組織型の一次または培養細胞があり、すなわち、それらがイソ遺伝子を発現する。上記組換え細胞は、異なるタンパク質変異型の生物活性を比較するのに使用され得る。
変異型遺伝子を発現する組換え生物体、すなわち、トランスジェニック動物は、当業界で公知の標準的手順を用いて製造される。好ましくは、変異型遺伝子を含む構築物は、ヒト以外の動物または動物の原種へ胚段階、すなわち1細胞段階で、または一般的にはほぼ8細胞段階までに導入される。本発明の構築物を担うトランスジェニック動物は、当業者に公知の幾つかの方法により製造され得る。一方法では、1個またはそれ以上の絶縁体エレメント、興味の対象である一遺伝子または複数遺伝子、および当業者に知られている他の成分を含むように構築されたレトロウイルスを胚へトランスフェクションすることにより、導入遺伝子として絶縁性遺伝子(複数も可)を含む完全なシャトルベクターが提供される、たとえば米国特許第5610053号参照。別の方法では、胚へ導入遺伝子を直接注入する。第三の方法では、胚性幹細胞を使用する。
イソ遺伝子が導入され得る動物の例としては、限定はされないが、マウス、ラット、他のげっ歯動物、およびヒト以外の霊長類がある(“The Introduction of Foreign Genes into Mice”およびそこに引用されている参考文献、Recombinant DNA、J.D.Watson、M.Gilman、J.WitkowskiおよびM.Zoller編、W.H.Freemanアンド・カンパニー、ニューヨーク、254−272頁参照)。ヒトイソ遺伝子を安定して発現し、ヒトタンパク質を生産するトランスジェニック動物は、異常発現および/または活性に関連した病気を試験し、様々な候補薬剤、化合物、およびこれらの病気の症状または影響を低減化させる処置形態をスクリーニングおよび検定するための生物モデルとして使用され得る。
用語解説および定義
以下の定義は、前記で頻繁に使用されているある種の用語を理解し易くするためのものである。
以下の定義は、前記で頻繁に使用されているある種の用語を理解し易くするためのものである。
本明細書で使用されている「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、キメラ、1本鎖およびヒト化抗体、並びに、Fabまたは他の免疫グロブリン発現ライブラリーの生成物を含むFabフラグメントを包含する。
「ポリヌクレオチド」は、一般的にポリリボヌクレオチド(RNA)またはポリデオキシリボヌクレオチド(DNA)をいい、非修飾または修飾RNAまたはDNAであり得る。「ポリヌクレオチド」は、限定はされないが、1本−および2本−鎖DNA、1本−および2本−鎖領域の混合物であるDNA、1本−および2本−鎖RNA、および1本−および2本−鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖またはより典型的には2本鎖または1本−および2本−鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を包含する。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域をいう。「ポリヌクレオチド」の語はまた、1個またはそれ以上の修飾塩基を含むDNAまたはRNAおよび安定性または他の理由のために修飾されたバックボーンを有するDNAまたはRNAを包含する。
「ポリペプチド」とは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合により互いに連結された2個またはそれ以上のアミノ酸を含むポリペプチド、すなわちペプチドアイソスターをいう。「ポリぺプチド」とは、一般にペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと称される短鎖、および一般にタンパク質と称される長鎖をいう。ポリペプチドは、20遺伝子コード化アミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ポリペプチド」は、自然過程、たとえば翻訳後プロセッシングにより、または当業界で公知の化学的修飾技術により修飾されたアミノ酸配列を含む。上記修飾は、基本的テキストおよびより詳細なモノグラフ並びに多量の研究文献に充分に記載されている。修飾は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシ末端を含むポリペプチドのいかなる場所でも起こり得る。
ポリペプチド配列の「フラグメント」は、レファレンス配列よりも短いが、レファレンスポリペプチドと本質的に同じ生物学的機能または活性を保持しているポリペプチド配列をいう。
「変異型」とは、レファレンスポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、その本質的特性を保持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。
ポリヌクレオチドの典型的変異型は、レファレンスポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変異型のヌクレオチド配列における変化は、レファレンスポリヌクレオチドによりコード化されたポリペプチドのアミノ酸配列を改変する場合もしない場合もあり得る。ヌクレオチド変化により、下記で検討されている通り、レファレンス配列によりコード化されたポリペプチドにおいてアミノ酸置換、付加、欠失、融合および先端切除がもたらされ得る。
ポリペプチドの典型的変異型は、レファレンスポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的に、レファレンスポリペプチドおよび変異型の配列が全体的に密接に類似し、多くの領域で同一であるようにするため改変は制限される。変異型およびレファレンスポリペプチドは、1個またはそれ以上の置換、挿入、欠失を組み合わせたものによりアミノ酸配列が異なり得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝コードによりコード化されるものである場合もそうでない場合もあり得る。典型的同類置換には、Gly、Ala;Val、Iie、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln−I Ser、Thr;Lys、ArgおよびPheおよびTyrがある。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異型は、天然に存するもの、たとえば対立遺伝子であり得るか、または天然に存することが知られていない変異型であり得る。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非天然変異型は、突然変異誘発技術により、または直接合成により生成され得る。
また、一つまたはそれ以上の翻訳後修飾、たとえばグリコシル化、リン酸化、メチル化、ADPリボシル化などを有するポリペプチドも変異型として包含される。実例としては、N−末端アミノ酸のメチル化、セリンおよびトレオニンのリン酸化およびC−末端グリシンの修飾がある。
「対立遺伝子」とは、ゲノムにおける所定の座位で生じる遺伝子の2種またはそれ以上のオルターナティブ形態の一つをいう。
「多型」は、集団内のゲノムにおける所定の位置にあるヌクレオチド配列(および関連がある場合にはコード化ポリペプチド配列)の変異をいう。
「一塩基多型」(SNP)とは、集団内での、ゲノムにおける一ヌクレオチド位置でのヌクレオチド変異性の発生をいう。SNPは、遺伝子内またはゲノムの遺伝子間領域内で起こり得る。SNPは、対立遺伝子特異的増幅法(ASA)を用いて検定され得る。この過程には少なくとも3プライマーが必要とされる。
共通プライマーは、検定されている多型に対する逆相補体で使用される。この共通プライマーは、多型塩基からの50〜1500bpであり得る。他の2(またはそれ以上の)プライマーは、多型を構成する2(またはそれ以上の)対立遺伝子の一つとマッチするために最終3'塩基のゆらぎ以外は互いに同一である。次いで、各々共通プライマーおよび対立遺伝子特異的プライマーの一つを用いて、2(またはそれ以上の)PCR反応を試料DNAで実施する。
「同一性」は、配列比較により測定された、2またはそれ以上のポリペプチド配列または2またはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係を反映する。一般に、同一性とは、比較されている配列の全長にわたる、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列のそれぞれ正確なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致をいう。
「相同体」は、レファレンス配列に対する高度の配列関連性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を示すのに文献で使用されている総称的用語である。上記関連性は、前記の2配列間における同一性および/または類似性の程度を測定することにより定量され得る。「オルトログ」および「パラログ」もこの総称的用語に包含される。「オルトログ」は、別の種におけるポリヌクレオチドまたはポリペプチドの機能的均等内容物であるポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。「パラログ」とは、同種内で機能的に類似しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。
引用された参考文献
限定するわけではないが、この明細書で引用されている出版物、特許、特許出願、GenBank受入番号、Unigene Cluster番号およびタンパク質受入番号を含む全出版物および参考文献については、個々の出版物または参考文献が各々完全に記載されているものとして本明細書に引用されて具体的かつ個々に示されているかのように、出典明示により援用する。この出願が優先権を主張している特許出願があれば、出版物および参考文献について上記した要領でそれもそのまま出典明示により援用する。
限定するわけではないが、この明細書で引用されている出版物、特許、特許出願、GenBank受入番号、Unigene Cluster番号およびタンパク質受入番号を含む全出版物および参考文献については、個々の出版物または参考文献が各々完全に記載されているものとして本明細書に引用されて具体的かつ個々に示されているかのように、出典明示により援用する。この出願が優先権を主張している特許出願があれば、出版物および参考文献について上記した要領でそれもそのまま出典明示により援用する。
本発明は、この出願に記載されている実施態様について限定されているわけではなく、それらは本発明の個々の局面を説明しているに過ぎないものとする。当業者には容易に理解できるように、本発明の多くの修飾および変形もその精神および範囲から逸脱することなく為され得る。
本明細書で列挙されたものに加えて、本発明の範囲内における機能的に均等内容の方法および装置も、前記内容および添付図面から当業者であれば容易に理解できるはずである。上記修飾および変形は、添付の請求の範囲内に含まれるものとする。本発明は、添付された請求の範囲により与えられる均等内容の全範囲と共に、上記請求の範囲に関してのみ制限されるものとする。
Claims (69)
- フィラデルフィア染色体陽性白血病患者において、どの患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答するかを予測する方法であって、
a)表12Aおよび12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について血中RNA発現レベルを測定し、
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、
c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、
d)相関係数が0.57に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そして
e)相関係数が0.57未満である場合、患者が非応答者であるものと決定する
ことを含む方法。 - フィラデルフィア染色体陽性白血病患者において、どの患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答するかを予測する方法であって、
a)表12Aおよび12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について血中RNA発現レベルを測定し、
b)表12Aおよび12Bに示された平均完全細胞遺伝的応答発現プロフィールと患者遺伝子発現プロフィールを比較し、
c)b)での比較から得られるピアソン相関係数を決定し、
d)相関係数が0.54に等しいかまたはそれより大きい場合、患者がチロシンキナーゼ阻害剤に対する完全細胞遺伝的応答を有するものと決定し、そして
e)相関係数が0.54未満である場合、患者が非応答者であるものと決定する
ことを含む方法。 - 複数の55リポーター遺伝子が表12Aおよび12Bに示された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上を含む、請求項1または2記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害剤がイマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 表12Aにおける31リポーター遺伝子のみが使用される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、
a)個体に存在する2コピーのCSK遺伝子について、配列AC020705.4の36211位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
b)両方の対がATである場合または一対がATであり、もう一対がGCである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合は低応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、
a)個体に存在する2コピーのCYP1A1遺伝子について、配列X02612の6819位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
b)両方の対がATである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合または一方がGCでもう一方がATである場合は弱応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対するフィラデルフィア染色体陽性白血病罹患個体の応答性を測定する方法であって、
a)個体に存在する2コピーのIL−1β遺伝子について、配列X04500の1423位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
b)両方の対がCGである場合は良好応答者群に、一方の対がATであり、もう一方がCGである場合または両方の対がATである場合は弱応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害剤がイマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である、請求項6、7または8記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者における陽性臨床応答の確率を測定する方法であって、
(a)患者から生物学的試料を得、
(b)患者から得た試料において表12Aおよび12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上の遺伝子発現レベルを測定し、そして
(c)(b)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを、表12Aおよび/または12Bに列挙された同遺伝子の発現レベルと比較し、そして
(d)(c)で測定された2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度を測定し、そして
(e)2個またはそれ以上の遺伝子の遺伝子発現レベル間における類似性の程度から、患者がチロシンキナーゼ阻害薬剤に応答する確率を測定する
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患がフィラデルフィア染色体陽性白血病である、請求項10記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害剤がイマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である、請求項11または11記載の方法。
- 生物学的試料が、組織生検、血液、血清、血漿、リンパ液、腹水、嚢胞液、尿、喀痰、糞便、唾液、気管支吸引物、CSFまたは毛髪から成る群から選択される、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
- 生物学的試料が組織生検細胞試料またはそこから培養された細胞である、請求項13または14記載の方法。
- 組織生検が、骨髄または固体組織の生検である、請求項13または14記載の方法。
- 組織生検が、固形腫瘍から取出された細胞を含む、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
- 生物学的試料が血液細胞である、請求項13または14記載の方法。
- 試料が、細胞試料のライゼートである、請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子発現レベルが、表12Aおよび/または12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子の転写レベルを測定することにより決定される、請求項10〜18のいずれかに記載の方法。
- 転写レベルが、表12Aおよび/または12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子のmRNAレベルを測定することにより決定される、請求項19記載の方法。
- 転写レベルが、表12Aおよび/または12Bにおける2個またはそれ以上の遺伝子に対応するcDNAのレベルを測定することにより決定される、請求項19記載の方法。
- 測定段階がさらにmRNAまたはcDNAの増幅を含む、請求項19〜21のいずれかに記載の方法。
- 転写レベルが、ノーザンブロット分析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、リボヌクレアーゼ防御およびマイクロアレイから成る群から選択される技術により測定される、請求項19〜22のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子発現レベルが、表12Aおよび/または12Bに示された複数の55リポーター遺伝子について測定される、請求項10〜23のいずれかに記載の方法。
- 複数の55リポーター遺伝子が、表12Aに示された31遺伝子を含む、請求項24記載の方法。
- 複数の55リポーター遺伝子が、表12Aに示された31遺伝子により構成される、請求項24記載の方法。
- 段階(c)における類似性の程度が、その値が遺伝子発現値の類似性の既知関数である相関係数を計算することにより決定される、請求項10〜26のいずれかに記載の方法。
- 相関係数がピアソン相関係数である、請求項27記載の方法。
- 表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.54より大またはそれに等しい場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する非応答者として分類され、そして表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.54未満である場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答者として分類される、請求項28記載の方法。
- 表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.57より大またはそれに等しい場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する非応答者として分類され、そして表12Aの31リポーター遺伝子の平均NoCyR値およびチロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者から得た同遺伝子の遺伝子発現測定値間におけるピアソン相関係数が0.57未満である場合、患者はチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答者として分類される、請求項28記載の方法。
- 表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上の遺伝子発現レベルを測定する方法が、表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの存在および発現レベルを測定することを含む、請求項10〜18のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子のポリペプチドの存在および発現レベルが、上記ポリペプチドに特異的に結合する試薬を用いることにより検出される、請求項31記載の方法。
- 試薬が、抗体、抗体誘導体および抗体フラグメントから成る群から選択される、請求項32記載の方法。
- 遺伝子のポリペプチドの存在および発現レベルが、各ポリペプチドに特異的な標識プローブを用いるウエスタンブロッティングにより検出される、請求項31〜33のいずれかに記載の方法。
- 標識プローブが抗体である、請求項34記載の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項35記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、
(a)患者に存在する、15q22.33領域における2コピーの推定遺伝子DKFZP434C131について、rs2290573多型として称される多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
(b)両方の対がATである場合、または一対がATであり、もう一対がGCである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合は低応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、
a)患者に存在する、2コピーのCYP1A1遺伝子について、配列X02612の6819位にある多型部位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
b)両方の対がATである場合は良好応答者群に、両方の対がGCである場合または一方がGCでもう一方がATである場合は弱応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤による処置に対する、チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の応答性を測定する方法であって、
a)患者に存在する、2コピーのIL−1ベータ遺伝子について、配列X04500の1423位におけるヌクレオチド対の同一性を測定し、そして
b)両方の対がCGである場合は良好応答者群に、そして一方の対がATであり、もう一方がCGである場合または両方の対がATである場合は弱応答者群に個体を割当てる
ことを含む方法。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患がフィラデルフィア染色体陽性白血病である、請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害剤がイマチニブメシレート(イマチニブまたはグリベック(GLEEVEC、登録商標)またはグリベック(GLIVEC、登録商標)またはSTI571)である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
- 方法がエクスビボで実施される、請求項10〜41のいずれかに記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のチロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性の測定用キットであって、
表12Aおよび/または3Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの検出手段
を含むキット。 - ポリペプチド検出手段が、抗体、抗体誘導体または抗体フラグメントを含む、請求項43記載のキット。
- ポリペプチドが、標識抗体を用いるウエスタンブロッティングを通して検出される、請求項43または44記載のキット。
- さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む、請求項43〜45のいずれかに記載のキット。
- さらにポリペプチド検出手段および患者の生物学的試料を含むのに適切な容器を含む、請求項43〜46のいずれかに記載のキット。
- さらに使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含む、請求項43〜47のいずれかに記載のキット。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者についての治療戦略の決定で使用されるキットであって、
(a)表12Aおよび/または12Bに列挙された55リポーター遺伝子の2個またはそれ以上に対応するポリペプチドの検出手段、
(b)上記手段およびポリペプチドを含む患者の生物学的試料を含むのに適切な容器であって、そこで上記手段がポリペプチドと複合体を形成し得る容器、
(c)(b)の複合体を検出する手段、および所望により
(d)使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書
を含むキット。 - チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の、チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性を測定するためのキットであって、
表12Aおよび/または12Bに列挙された2個またはそれ以上の遺伝子の転写レベルを測定するための手段
を含むキット。 - 転写レベル測定用手段が、上記遺伝子の転写産物に結合し得るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む、請求項50記載のキット。
- オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、上記遺伝子に対応するmRNAまたはcDNAと結合することができる、請求項51記載のキット。
- 転写レベルが、ノーザンブロット分析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、リボヌクレアーゼ防御およびマイクロアレイから成る群から選択される技術により測定される、請求項50〜52のいずれかに記載のキット。
- さらに、患者の生物学的試料を得るための手段を含む、請求項50〜53のいずれかに記載のキット。
- さらに転写レベル測定手段および患者の生物学的試料を含むのに適切な容器を含む、請求項50〜54のいずれかに記載のキット。
- さらに使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書を含む、請求項50〜55のいずれかに記載のキット。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の、チロシンキナーゼ阻害薬剤処置に対する応答性の測定用キットであって、
(a)表12Aおよび/または12Bに列挙された2個またはそれ以上の遺伝子の転写産物に結合することができる若干のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、
(b)オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドおよび転写産物を含む患者の生物学的試料を含むのに適切な容器であって、そこでオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが転写産物と結合し得る容器、
(c)(b)の結合を検出する手段、および所望により
(d)使用法およびキットから得られた結果の解釈についての説明書
を含むキット。 - 測定段階(b)が、さらに請求項43〜57のいずれかに記載のキットの使用を含む、請求項10〜42のいずれかに記載の方法。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者の15q22.33領域における推定遺伝子DKFZP434C131の多型部位の同定用キットであって、15q22.33領域における推定遺伝子DFKZP434C131のrs2290573CSK多型部位における遺伝子多型パターン測定手段を含むキット。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のCYP1A1遺伝子における多型パターン同定用キットであって、配列X02612の69819位におけるCYP1A1遺伝子多型部位での遺伝子多型パターン測定手段を含むキット。
- チロシンキナーゼ阻害薬剤応答性疾患患者のIL−1ベータ遺伝子における多型パターン同定用キットであって、配列X04500の1423位にあるIL−1ベータ遺伝子における遺伝子多型パターン測定手段を含むキット。
- さらに患者の生物学的試料を得る手段を含む、請求項59、60または61記載のキット。
- 手段がDNA試料収集手段を含む、請求項62記載のキット。
- 特異的多型部位での遺伝子多型パターン測定手段が、少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む、請求項59〜63のいずれかに記載のキット。
- 特異的多型部位での遺伝子多型パターン測定手段が、2個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む、請求項59〜64のいずれかに記載のキット。
- 多型部位における遺伝子多型パターン測定手段が、少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドを含む少なくとも1個の遺伝子特異的遺伝子解析プライマー組成物を含む、請求項59〜65のいずれかに記載のキット。
- 遺伝子特異的遺伝子解析プライマー組成物が、少なくとも2セットの対立遺伝子特異的プライマー対を含む、請求項66記載のキット。
- 2個の対立遺伝子特異的遺伝子解析オリゴヌクレオチドが、個別容器にパッケージされている、請求項67記載のキット。
- 測定段階(a)がさらに請求項50〜57のいずれかに記載のキットの使用を含む、請求項37〜42のいずれかに記載の方法。
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