JP2006518206A - 処置中の自殺傾向を予測するための方法 - Google Patents

処置中の自殺傾向を予測するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、処置中の患者における自殺または自己破壊的行動を予測する方法を提供する。該方法は、種々の方法でのエクソン9 A59GでのSLC6A3遺伝子の多型または代用マーカーの検出を用いる。また提供されるのは、この多型または代用マーカーの存在または非存在に基づく処置法である。また本発明の方法に使用するためのキットも提供する。

Description

発明の詳細な説明
背景技術
技術分野
本発明は、医薬およびゲノム科学の分野に属し、患者が処置中に自殺または自己破壊的行動を取る可能性を決定するためのゲノム分析の使用に関する。
背景技術
自殺または自己破壊的行動は、精神科学的および医学的な両方の多くの異なる疾患状態の関連で発生し、また、認識される疾患プロセスが何ら存在しなくても起こり得る。自殺は米国では死亡の第11番目の原因であり、毎年約30,000名が米国だけで死亡している。年齢調節した割合は10.7/100,000または0.01%であり、全死亡の1.3%が、自殺が原因である。自殺は殺人を5〜3倍上回り、自殺による死はHIV/AIDSの2倍である(1999年度)。自殺は子供の死亡原因の第3位であり、10−14歳で192例あり、15−19歳の思春期で1,615例ある(1999年度)。
自殺は、同定できる精神障害なしに起こり得る。しかしながら、自殺の可能性は、すべての種類の精神病、およびとりわけ気分障害および統合失調症で高い。実際、患者が精神病の処置中に自殺を試みる可能性は、これらの疾患の処置における一つの大きな問題である。自殺患者を、しばしば病院で密に監視していなければならないため、これは、このような患者の処置費用の大きな決定因子である。
情動および気分障害
情動および気分障害は、神経内分泌系調節異常により特徴付けられる精神障害のグループに含まれ、気分、行動および情動の制御における障害を特徴とする。情動および気分障害は、個体の機能的能力、人間関係および行動に酷い影響を与えうる。大鬱病および気分変調はこのような障害の例である。
大鬱病は、心理学的および生物学的要素の両方を伴う症候性(syndromal)、発作性および再発性病である。双極性障害の診断は、再発性の鬱病および躁病の患者になされる。再発性鬱病単独の患者は、単極性パターンを有する。抑鬱性病のスペクトル内に2種の異なるサブタイプ:メランコリー(melancholic)鬱病および非定型鬱病が存在する。Gold et al., N. Engl. J. Med., Vol. 319, pp. 348-353(1988); およびGold et al., N. Engl. J. Med., Vol. 319, pp. 413-420(1988)参照。
メランコリー鬱病は、単極性および双極性鬱病のパターンに等しく共通する。メランコリー鬱病は不眠症(hyposomnia)(早朝覚醒)、食欲不振および気分の日内変動により特徴付けられ、患者が個人的な不満足、喪失感、無益感、罪悪感および自殺観念化にとらわれ苦しんでいる状態を伴う。Licinio et al., Bailliere's Clin. Endocrin. Met., Vol. 5, No. 1, pp. 51-58(1991)参照。
非定型鬱病は、単極性抑鬱患者よりも双極性患者でより一般的である。非定型鬱病は、メランコリー鬱病と逆であると思われる状態により特徴付けられる。非定型鬱病の患者は、低覚醒(hypoarousal)で睡眠過剰、過食症、体重増加および気分障害を伴う。Licinio et al. (1991), 前掲参照。
気分変調は、食欲の低下または過食、低エネルギー(減少した覚醒)、不眠症(insomnia)または睡眠過剰および集中力の低下を含む症状により特徴付けられる慢性障害である。これらの機能は、CRHのような脳内の神経ペプチドにより調節される。Vale et al., Science, Vol. 213, pp. 1394-1397(1981)参照。
情動障害は、一般的医療行為、ならびに精神医学で非常に共通する。これらの状態の重症度は正常の悲しみに対する反応から、酷い無力化およびある場合致命的な精神病までの非常に広い範囲をカバーする。
大情動障害における自殺の生涯のリスクは約10−15%であるが、この統計値は診断基準以下(under-diagnosed)のこの病のグループの病的状態および費用を決して示していない。典型的にこれらの障害は抗鬱剤またはリチウム塩で処置される。Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergramon Press, New York, NY(1990)参照。ある症例における劇的以下の効果に加えて、事実上気分の障害の処置に使用するすべての薬剤は急激に過剰投与が行われた場合致死の可能性があり、注意深い臨床的使用でさえ、かなりの病的状態の原因となり得る。
統合失調症性障害
統合失調症は最も酷い精神障害の一つであり、脳内の複数の領域にわたる精神的機能障害により特徴付けられる。自殺または自殺企図は、統合失調症で一般集団よりも遙かに高い割合で起こり、これらの患者の死亡の約10%の原因となる。実際自殺は統合失調症における死亡の主要な原因である。Cohen et al., Am. J. Psychiatry, Vol. 147, pp. 602-607(1990)参照。統合失調症における自殺のリスクファクターは複雑であり、以前の自殺企図、物質濫用、男性、病気の発症後最初の10年、社会的孤立、鬱病および絶望感を含む。
現在の臨床試験は、非定型抗精神病性クロザピン(CLOZARIL(登録商標)またはLEPONEX(登録商標)、Novartis Pharmaceutical Corporation, East Hanover, NJ)が、統合失調症および関連する精神障害統合失調性感情障害の患者における自殺率を劇的に減少させることを示す。Meltzer et al., Arch. Gen. Psychiatry, Vol. 60, pp. 82 91(2003)参照。この多施設、無作為、国際的、2年間試験は、自殺のリスクが高いと見なされる患者におけるクロザピンとオランザピンで処置した患者の自殺行動を比較する。本試験は、自殺企図を含む自殺、自殺思考のための入院、診療の必要性、抗鬱剤、抗不安剤、催眠剤での同時の処置の必要性がすべてクロザピンで処置した患者で有意に低いと結論付けた。
自殺傾向の減少を導く最も可能性のある機構は、クロザピンの優れた抗精神病性効果および内因性抗鬱活性である。2002年12月に、米国食品医薬品局(FDA)はクロザピン(CLOZARIL(登録商標))を、慢性のリスクのある統合失調症または統合失調性感情障害の患者における再発性自殺行動の治療剤として認可した。CLOZARIL(登録商標)は、この使用で認可された最初の薬物療法である。さらに、CLOZARIL(登録商標)/LEPONEX(登録商標)は認知機能が改善できることも示されている。
しかしながら、自殺行動の長年の観察と研究および頻発、ならびに、一般的精神障害および自殺のリスクファクターの知識の大きな改善にもかかわらず、ある患者の自殺傾向を正確に予測するのは困難であり、しばしば間違いを起こしやすい仕事のままである。加えて、過去にこのような行動を予測する助けとなる客観的試験が存在していない。現在、これらの厳しい病の患者における自殺のリスクを減少するのにより有効であることが証明された薬物療法の前進と共に、精神科医にとって、自殺または自己破壊的行動の可能性を予測するための客観的かつ信頼性のある手段を有することはよりきわめて重要になってきている。故に、医師がこの困難で重要な決定を行うことを助けるための客観的試験のきわめて重要な必要性が存在する。
発明の開示
本発明は、この必要性に、統合失調症および気分障害を含むがこれらに限定されない精神障害に罹患しているまたは感受性があるかもしれない個体における自殺行動のリスクを予測する方法であり、該個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、ヌクレオチド対のエクソン9における多型部位59A→G(SLC6A3遺伝子は染色体5p15.3多型に位置する)(59A→GはGenBank配列番号AF119117.1の41370位である)の同一性を決定することを含む方法を提供することにより答える。
このヌクレオチド変異は、ドーパミントランスポーターの異常な発現に起因している可能性があり、故に、その機能に影響する。この多型は機能的にSLC6A3のエクソン9のスプライシングの効果に影響し、このエクソン9の異常なスプライシングが異常な、したがって検出可能なRNAを産生し、そしてまたはタンパク質発現産物がないか、非機能的切断型のタンパク質発現産物を発現する。故に、この遺伝子のポリペプチド産物は多型を有する患者において減少しているか変わっており、この多型に関して同型である患者で最も減少し、または変えられている。これが、この多型に関する血液検査の基礎を形成し、故に、患者における自殺の可能性の概算を提供する。
したがって、ある態様において、本発明は患者のSLC6A3エクソン9座における遺伝子型の決定法およびこの情報の自殺または自己破壊的行動のリスクがあるまたはリスクを有するかもしれない患者の自殺または自己破壊的行動のリスクを予測する方法への使用を提供する。
したがって、一つの局面において、本発明はSLC6A3エクソン9座で患者の遺伝子型を決定する方法であり:(a)患者から体液または他の組織サンプルを得、そして(b)患者の血液または組織中に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、GenBank配列受託番号AF119117.1の41370位であるSLC6A3エクソン9 A59Gにおける多型部位で、ヌクレオチド対の同一性を決定し、ここで、(i)両方のヌクレオチド対がATであるとき、患者をAAと分類し;(ii)ヌクレオチド対の一方がATであり、他方がGCであるとき、患者をAGと分類し;そして(iii)両方のヌクレオチド対がGCであるとき、患者をGGと分類することを含む、方法を提供する。
他の態様において、本発明はタイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、タイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり、上記の遺伝子型決定を行い、ここで、(a)該患者がAAと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIにあると見なし、そして(b)該患者がGCと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIIにあると見なし、そして(c)該患者がGGと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIIIにあると見なすことを含む、方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明はSLC6A3エクソン9 A59G多型の代用マーカーを利用して、上記の決定を行う方法を提供する。本方法は、タイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、タイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり、該患者においてSLC6A3エクソン9 A59G多型の代用マーカーが存在するか否かを決定し、ここで、(a)該代用マーカーが該患者をAAに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIにあると見なし、そして(b)該代用マーカーが該患者をGCに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIIにあると見なし、そして(c)該代用マーカーが該患者をGGに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIIIにあると見なすことを含む、方法に関する。
故に、他の局面において、本発明はまた両方のヌクレオチド対がATであるとき、その個体は自殺のリスクが比較的低いという知識に基づいた処置の決定法も提供する。一方のヌクレオチド対がATであり、他方がGCであるとき、その個体は自殺に中程度のリスクを有し、入院、または、他の類似の薬物療法に優先してクロザピン薬物療法のような特異的薬物療法を含むが、これに限定されない処置を含む、密な観察が必要であると考えられる。
両方のヌクレオチド対がGCであるとき、その個体は自殺行動の総体的に高いリスクがあるかもしれない。この情報に基づき、この個体を、選択する薬物療法および患者の安全性を確実にするために必要な観察の程度の両方の観点を含む、最も適当な方法で処置し得る。例えば、中程度から高リスクのカテゴリーにある個体は、彼らの安全性のために処置中に入院しなければならない可能性が高く、病院および外来患者として両方、観察のレベルを増強することが必要であろう。このような個体において、医師は、患者がこのクラスの薬物療法を必要とし、特異的な禁忌が存在しないとき、他の薬物療法よりもクロザピンを選択する。
他の局面において、本発明は自殺または自己破壊的行動のリスクがある、またはリスクがあるかもしれない個体を処置する方法であり:(a)該患者の体液または組織におけるSLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度をアッセイし、ここで、(i)SLC6A3遺伝子発現産物が、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59GでのG変異体の高いまたは少なくとも中程度のリスクの遺伝子型を指示する濃度で見られたとき、患者を他の類似の薬物療法よりもクロザピンで処置し、処置中に該個体を入院させるか、他の自殺予防手段を提供するためのより重い考慮がなされ;そして(ii)SLC6A3遺伝子発現産物の濃度が、該個体がG変異体を有しないことを示したとき、該個体は、少なくともこの多型に関して、低リスクのカテゴリーと見なされることを含む、方法を提供する。
上記決定は、好ましい態様において、SLC6A3遺伝子(ドーパミントランスポーター1[DAT1])の遺伝子産物の、ドーパミントランスポーター結合能(DATBP)の測定を介した、能力および親和性または濃度の試験により行う。これは、ドーパミントランスポーターに非常に選択的である陽電子放出断層撮影法(PET)造影放射リガンドである[11C]RTI−32を使用する。Wilson, DaSilva and Houle, J. Label. Comp. Radiopharm., Vol. 34, pp. 759-765(1994); およびWilson, DaSilva and Houle, Nucl. Med. Biol., Vol. 23, No. 2, pp. 141-146(1996)参照。DATBPのレベルの決定および該レベルのコントロールグループとの比較により、該個体がエクソン9 A59G多型部位でG変異体を有するか否か決定することができる。
他の態様において、上記決定は、DATBPを決定するための別手段として、[123I]−β−CIT単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)法の使用に基づく。Neumeister et al., Psychol. Med., Vol. 31, No. 8, pp. 1467-1473(2001)参照。
さらなる局面において、本発明は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない患者の処置法であり:(a)GenBank配列リファレンス受託番号AF119117.1の41370位である多型部位エクソン9 A59GでSLC6A3遺伝子のG変異体に対応するmRNA発現のレベルを決定し;(b)GenBank配列リファレンス受託番号AF119117.1の41370位である多型部位エクソン9 A59GでSLC6A3遺伝子のA変異体に対応するmRNA発現のレベルを決定し;そして(c)上記(a)および(b)で検出したmRNAのレベルを比較し、ここで、(i)(a)が検出されたとき、患者を中程度または高リスクカテゴリーとして認知し、適切な予防策を取る(これらの予防策は、入院を含む観察のレベルの増強、および、他の類似のタイプの薬物療法に優先してクロザピンの使用を含むが、これらに限定されない);および(ii)(a)が検出され、(b)が検出されないとき、患者を高リスクカテゴリーとみなし、上記のタイプのより厳重な予防策を処置中にとることを含む、方法を提供する。
他の態様において、本発明は、自殺、抗鬱剤または抗精神病剤の薬物療法の試験を含むが、これらに限定されない臨床試験に包含するための対象を選択する方法であり、個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、GenBank配列リファレンス受託番号AF119117.1の41370位である多型部位エクソン9 A59Gでヌクレオチド対の同一性を決定し、個体を示されるリスクカテゴリーに基づいて試験に包含するか除外することを含む、方法を提供する。
本発明の他の局面は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、またはリスクがあるかもしれない個体の処置戦略の決定に使用するためのキットである。このキットは、SLC6A3遺伝子発現産物の測定に必要な物質を含む。好ましい態様において、このキットは、DATBPの測定を介した、SLC6A3遺伝子の遺伝子発現産物(DAT1)の利用能および親和性または濃度の試験に必要な物質を含む。これは、ドーパミントランスポーターに非常に選択的であるPET造影放射リガンドである、[11C]RTI−32の使用を伴う。Wilson, DaSilva and Houle(1994), 前掲; およびWilson, DaSilva and Houle(1996), 前掲参照。DATBPのレベルを決定し、該レベルをコントロールグループと比較することにより、該個体がエクソン9 A59G多型部位でG変異体を有するかどうかの決定が可能になる。
加えて、該キットは、必要な物質および該個体からの体液サンプルを入れ、DATBPのレベルを決定し、それによりそれがG変異体SNPを含むゲノム由来であるか否かを決定するのに適当な容器を含み得、またキットの使用のための指示書も含み得る。これらの指示書は、キットの適切な使用および結果の解釈の適切な方法、ならびに同キットで試験した個体の特異性に依存した患者のマネージメントの示唆を含む。
他の態様において、上記キットは、DATBPを検出する別法として、[123I]−β−CIT SPECT法の使用に基づく。Neumeister et al. (2001), 前掲参照。
本発明のさらなる局面は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない患者の処置戦略の決定に使用するキットであり:(a)エクソン9 A59G多型部位にG変異体を含むSLC6A3遺伝子のmRNA発現産物を認識し、結合できるポリヌクレオチド;(b)該ポリヌクレオチドおよび該個体からの体液サンプルを入れるのに適し、該ポリヌクレオチドが、SLC6A3mRNAと、それが存在するならば接触できる容器;(c)該ポリヌクレオチドとSLC6A3mRNAの組み合わせを検出するための手段;(d)mRNAがSNPを含むゲノム由来であるか、またはそうでないかを決定するための手段;および(e)キットの使用指示書を含む、キットである。
他の局面において、本発明は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない患者の処置戦略の決定に使用するキットであり:(a)エクソン9 A59G多型部位にG変異体を有するSLC6A3遺伝子のDNA配列のある部分を認識し、結合できるポリヌクレオチド;(b)該ポリヌクレオチドおよび該個体由来の体液サンプルを入れるのに適し、該ポリヌクレオチドが、SLC6A3DNA配列と、それが存在するならば接触できる容器;(c)該ポリヌクレオチドとSLC6A3DNA配列の組み合わせを決定する手段(d)同DNA配列がSNPを含むゲノム由来であるか、またはそうでないかを決定するための手段;および(e)キットの使用指示書を含む、キットである。
さらなる局面において、本発明は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない個体の、クロザピン(CLOZARIL(登録商標)を含むが、これに限定されない)を含むが、これに限定されない薬物療法に対する応答を決定する方法であり:(a)該個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、SLC6A3エクソン9 A59Gに対応するGenBank配列リファレンス受託番号AF119117.1(rs6347)の41370位の多型部位と、連鎖不均衡(LD)にあるSLC6A3遺伝子の領域の、多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定し;そして(b)個体を、エクソン9 A59Gの多型部位とLDであるSLC6A3遺伝子の領域における多型部位のヌクレオチド対が、エクソン9 A59GのSLC6A3多型部位で、両方のヌクレオチド対がATであるとき、低リスクグループに割り当て、それが一方の対がATであり、他方の対がGCであるとき、中程度リスクグループに割り当て、その部位の両方の対が、SLC6A3エクソン9 A59G部位がGCであるとの指示であるとき、高リスクグループに割り当てることを含む、方法を提供する。
他の局面において、本発明は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位で遺伝子の多型パターンを決定するための手段を含む、患者のエクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位で多型パターンを同定するためのキットを提供する。
他の態様において、本発明は、さらにDNAサンプル採取手段を含むキットを提供する。
本発明の他の態様は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、キットである。
本発明のさらなる態様は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位の遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、2個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、キットである。
他の態様において、本発明は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位の遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定プライマー組成物を含む、キットを提供する。
本発明のさらなる態様は、SLC6A3遺伝子型判定プライマー組成物が、少なくとも2個の対立遺伝子特異的プライマー対を含む、キットである。
本発明の他の態様は、2個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドが別々の容器に包装されている、キットを提供する。
本発明のさらなる態様は、前記の態様に記載のキットを、個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のヌクレオチド対の同一性の決定および/またはエクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位とLDであるSLC6A3遺伝子の領域におけるヌクレオチド対の多型部位の同一性を決定するために、使用する、方法である。
本発明の他の局面は、SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段を含む、SLC6A3遺伝子のmRNA発現を同定するためのキットである。
本発明のさらなる態様は、SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が、SLC6A3遺伝子のmRNA発現産物と結合できるポリヌクレオチドを含む、キットである。
他の態様において、本発明は、SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位の一方の変異体に特異的な、少なくとも1個のポリヌクレオチドを含む、キットを提供する。
さらなる態様において、本発明は、ポリヌクレオチドが、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のG変異体のmRNA発現に特異的である、キットを提供する。
本発明の他の態様は、ポリヌクレオチドが、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のA変異体のmRNA発現に特異的である、キットを提供する。
さらなる態様において、本発明は、ポリヌクレオチドが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でSLC6A3遺伝子のGまたはA変異体のmRNA発現と結合する、キットを提供する。
本発明の他の態様は、SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が少なくとも2個のポリヌクレオチドを含み、ここで、一方のポリヌクレオチドが、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のG変異体のmRNA発現に特異的であり、他方のポリヌクレオチドが、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のA変異体のmRNA発現に特異的である、キットである。
本発明のさらなる態様において、2個のポリヌクレオチドが別々の容器に包装されている、キットを提供する。
本発明の他の態様は、前記の本発明の態様が:(a)エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のG変異体に対応するmRNA発現のレベルを検出する方法;および/または(b)エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位のA変異体に対応するmRNA発現のレベルを検出する方法のいずれかに使用する、方法である。
他の局面において、本発明は、G変異体およびA起源遺伝子型の間を区別するような形態で、SLC6A3遺伝子のポリペプチド発現産物の濃度を決定するための手段を含む、患者のSLC6A3遺伝子発現産物濃度またはレベルを同定するためのキットを提供する。
本発明のさらなる態様は、該手段が、SLC6A3遺伝子ポリペプチド発現産物の存在および濃度を評価する手段により、G変異体およびA起源遺伝子型の間の区別をする形態でSLC6A3ポリペプチドを認識する抗体を含む、キットである。
本発明の他の態様は、上記のキットを、個体体液または組織中におけるSLC6A3の存在および濃度のアッセイならびにAまたはG変異体の決定に使用する、方法である。
他の態様において、本発明は、さらに体液サンプルを採取する手段を含む、キットを提供する。
本発明のさらなる態様は、エキソビボで行う、処置を必要とする、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない個体の処置法、薬物療法の臨床試験への包含に関して対象を選択するための方法、または、処置中の患者における自殺または自己破壊的行動の可能性を決定する方法を提供する。
本発明のさらに別の局面において、上記のすべてのキットであるが、SLC6A3エクソン9 A59G多型の代用マーカーを検出するキットを提供する。このような代用マーカーは、上記の任意の方法で、例えば、代用マーカーゲノムのmRNAの検出のような手段により、または、または代用マーカーのポリペプチド遺伝子発現産物の手段により、検出してよい。代用マーカーの存在または非存在を、次いで、それと目的のSLC6A3エクソン9 A59G多型の間の既知の関係に基づき、上記決定を行うために使用し得る。
図面の簡単な説明
図1は、第IV相臨床試験集団におけるSLC6A3エクソン9多型の異なる遺伝子型グループ間の生存率のプロットを示す。
好ましい態様の記載
本明細書に引用するすべての特許出願、特許および文献は、その全体を出典明示により本明細書に包含させる。
本発明の実施に際して、分子生物学、微生物学および組み換えDNAにおける多くの慣用技術を使用する。これらの技術は既知であり、例えば、“Current Protocols in Molecular Biology”, Vols. I-III, Ausubel, Ed. (1997); Sambrook et al., “Molecular Cloning:A Laboratory Manual”, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY(1989); “DNA Cloning:A Practical Approach”, Vols. I and II, Glover, Ed. (1985); “Oligonucleotide Synthesis”, Gait, Ed. (1984); “Nucleic Acid Hybridization”, Hames and Higgins, Eds. (1985); “Transcription and Translation”, Hames and Higgins, Eds. (1984); “Animal Cell Culture”, Freshney, Ed. (1986); “Immobilized Cells and Enzymes”, IRL Press(1986); Perbal, “A Practical Guide to Molecular Cloning”; the series, Methods in Enzymol., Academic Press, Inc. (1984); “Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”, Miller and Calos, Eds., Cold Spring Harbor Laboratory, NY(1987); およびMethods in Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu and Grossman, and Wu, Eds.に各々記載されている。
故に、第一の局面において、本発明は、自殺または自己破壊的行動のリスクがある、または、リスクがあるかもしれない個体において、処置中に自殺行動を起こす可能性を決定する方法を提供する。これらの方法は、患者におけるドーパミン輸送遺伝子SLC6A3またはDAT1の遺伝子型またはハプロタイプ、特に多型SLC6A3エクソン9 A59Gの存在または非存在の決定を含む。
多型が存在せず、両方の対立遺伝子がAを含むとき、患者は、このような患者は処置中に自殺するリスクが総体的に低いことを特徴とする、カテゴリーIに分類される。このカテゴリーは、当業者が、その時点の患者の精神状態の試験、過去の病歴、家族歴、患者の病気の性質および病歴、物質濫用の存在のような自殺の既知のリスクファクターなどに基づいて、概算する、その患者に対する自殺的もしくは自己破壊的行動のリスクの程度を意味する。
多型が一方の対立遺伝子上に存在するが他方には存在しないとき、その患者はAGの遺伝子型を有し、患者は、患者が処置により自殺するリスクが相対的に高いことを特徴とする、カテゴリーIIに分類される。患者が、遺伝子型GGで多型に関して同型接合体であるとき、患者を、患者が処置中に自殺するリスクが相対的に最も高いことを特徴とする、カテゴリーIIIに分類する。
本明細書で使用する“カテゴリーI”、“カテゴリーII”および“カテゴリーIII”なる用語は、個体が処置中に自殺するまたは自己破壊的方法で行動する、すなわち、タイプ1事象が起こるリスクの相対的レベルを意味する。これらのカテゴリーは、リスクがカテゴリーIからカテゴリーIIで増加し、さらになおカテゴリーIIIで増加することを特徴とする。
当業者には容易に認識されるように、個体が自殺または自己破壊的行動を取るであろうリスクの予測または評価は、かなり不確定である。本明細書で使用するリスクのカテゴリーは、基底のリスクと比較して相対的に増加したリスクのレベルを反映することを意図する。この基底リスクは、当業者が、その患者に関して、その時点の患者の精神状態の試験、過去の病歴、家族歴、患者の病気の性質および病歴、併存する物質濫用の存在のような自殺の既知のリスクファクターなどに基づいて、概算する、リスクである。この基底リスクは、“カテゴリーI”リスク評価を構成する。カテゴリーIIリスクグループの患者は、ある一定期間中にタイプ1事象の相対的に高いリスクにあると予測される。増加したリスクはカテゴリーIの患者の1.5、2.0、3.0または4.0倍である。カテゴリーIIIの患者は、タイプI事象のリスクが最高であり、カテゴリーIの患者と比較して、3.0、4.0、5.0またはそれ以上のリスクにある。この増加したリスクは、ある一定期間中に患者が自殺的もしくは自己破壊的行動を取る、またはタイプ1事象を経験するより大きな可能性を反映する。
本明細書で使用する“自殺企図”なる用語は、故意にまたは心的(internal)強迫観念もしくは病的思考(disordered thinking)に対する応答のいずれかにより拘束された個体による、彼/彼女自身の死のリスクを高める、行動を意味する。
本明細書で使用する“タイプ1事象”は、明白な自殺企図の発生、または自殺の切迫したリスクのための監視の増加したレベルを含む入院として定義され、自殺監視委員会(Suicide Monitoring Board)により確認されている。
本明細書で使用する“特別の自殺/自己破壊的行動予防策”は、個体が彼/彼女自身を傷つけるまたは殺すかもしれない可能性を減少する意図を有する、介護者などが取るすべての行動を意味する。これは、その後の病院内または病院外での、観察の増加した頻度、すなわち、すなわち、来院の頻度の増加または、家族または友人が個体を見るための警戒の増加のいずれかまたはすべてを含むが、これに限定されず、すなわち、これは病院内では、観察の増加した頻度であってよく、すなわち、15分毎のチェックの代わりに5分毎のチェック、または、患者を絶えず観察(アイコンタクト)するか、もしくは絶えず観察することに近づけるか(アームスレングス・アイコンタクト)または患者を彼らの部屋または観察室(完全室)に制限するか、患者の届く範囲の鋭利なまたは危険な物を除くか、極端な例では、患者を拘束手段内に入れる。
本明細書で使用する“クロザピン”は、薬物クロザピン(8−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5H−ジベンゾ[be][1,4]ジアゼピン)およびその塩またはエステルを意味し、商品名薬物CLOZARIL(登録商標)またはLEPONEX(登録商標)、Novartis Pharmaceutical Corporation, East Hanover, NJを含むが、これらに限定されない。
この多型の検出は、ある患者が処置中に自殺する可能性を決定または予測するために使用できる。この多型は、直接、または、多型変異体遺伝子の特徴的mRNAの検出により、または、または体液もしくは組織中の遺伝子のポリペプチド(タンパク質)発現産物の存在の検出により検出できる。ポリペプチド発現産物の相対的レベルは、患者が同多型に関して異種接合体であるか同種接合体であるか、多型を有しないことが既知の個体である正常のコントロールグループとの比較により決定するのに使用できる。
SLC6A3遺伝子発現産物のレベルは、個体の既存の生理学的状態、環境、薬物療法、上流因子を含む多くの因子、およびまたプロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、スプライス部位およびエクソンスプライシングエンハンサー部位の機能に影響する多型のような内在する遺伝的因子に依存する。
しかしながら、SLC6A3遺伝子発現産物のレベルを測定することが可能である。SLC6A3遺伝子の遺伝子発現産物(DAT1)の利用能および親和性または濃度を試験するための一つの公開された方法は、DATBPの測定を介する。低いDATBPは、鬱病および自殺の高い可能性と関連し得る。[11C]RTI−32は、該ドーパミントランスポーターに非常に選択的なPET造影放射リガンドである。Wilson, DaSilva and Houle(1994), 前掲; およびWilson, DaSilva and Houle(1996), 前掲; Seeman, Receptor Tables, Vol. 2, “Drug Dissociation Constants For Neuroreceptors and Transporters”, Schizophrenia Research, Toronto(1993); Guttman et al., Neurology, Vol. 48, No. 6, pp. 1578-1583(1997); およびCarroll et al., J. Med. Chem., Vol. 38, No. 2, pp. 379-388(1995)参照。
このPET造影放射リガンド、すなわち、[11C]RTI−32 PETはDATBPの検出に使用できる。Meyer et al., Neuroreport, Vol. 12, No. 18, pp. 4121-4125(2001)参照。
別の態様において、DATBPはまた[123I]−β−CIT SPECT法を介して決定できる。Neumeister et al. (2001), 前掲参照。
したがって、一つの好ましい態様において、SLC6A3エクソン9 A59G多型の各遺伝子型に関連するSLC6A3遺伝子産物の正確なレベルを決定するために、DiagnosticおよびStatistical Manual of Mental Disorders, 4th Ed., American Psychiatric Association(APA), Washington, DC(1994)(DSM-IVTM)の基準にしたがい、各遺伝子型グループで行うべきであり、篩い分けされ、非統合失調症および非鬱であることが決定されている少なくとも100名の健常個体を含む。本試験に包含される個体は、脳内のSLC6A3遺伝子産物のレベルを決定するために、上記試験の一方または両方を受けるべきである。好ましい態様において、PET造影放射リガンド試験を使用する。
平均および中間の“正常”レベルが、各遺伝子型グループに関して決定されたら、各遺伝子型グループのSLC6A3遺伝子産物の平均および標準偏差を決定すべきである。
これらのレベルは標準コントロールとして働く。ドーパミントランスポーターのレベルを、ある患者において、PET法またはSPECT法のいずれかを使用して測定すべきである。
SLC6A3遺伝子発現産物の標準コントロールレベルを、故に、異なるコントロールグループで決定し、次いでそれをある患者のSLC6A3遺伝子発現産物の測定したレベルと比較する。この遺伝子発現産物は、その特定の遺伝子型グループまたはその遺伝子型グループのポリペプチド遺伝子発現産物と関連する特徴的mRNAである。次いで、患者を、あるグループに関するコントロールレベルと比較して、測定したレベルがどの程度似ているかに基づいて、特定の遺伝子型グループに分類するか割り当てる。
当業者には理解されるように、この決定を行う際には一定の不確実さが伴う。したがって、コントロールグループレベルの標準偏差を、蓋然論的決定を行うために使用でき、本発明の方法は、遺伝子型グループ決定に基づいた広範囲の確立で適用できる。故に、例として、限定する目的ではなく、一つの態様において、SLC6A3遺伝子発現産物の測定レベルが、コントロールグループの平均の2.5標準偏差内にあるとき、その個体はその遺伝子型グループに割り当ててよい。他の態様においてSLC6A3遺伝子発現産物の測定レベルが、コントロールグループの平均の2.0標準偏差内にあるとき、その個体は、その遺伝子型グループに割り当ててよい。さらに別の態様において、SLC6A3遺伝子発現産物の測定レベルが、コントロールグループの平均の1.5標準偏差内にあるとき、その個体はその遺伝子型グループに割り当ててよい。また別の態様において、SLC6A3遺伝子発現産物の測定レベルがコントロールグループのレベルの平均の1.0標準偏差またはそれ以下にあるとき、その個体はその遺伝子型グループに割り当ててよい。
故に、この方法は、種々の程度の確立で、特異的患者をどのグループに入れ、遺伝子型グループへのこのような割り当てが、次いで、個体が入れられるべきリスクカテゴリーを決定するものである、決定を可能にする。
故に、第一の局面において、本発明は、個体が処置中に自殺する可能性を決定する方法を提供する。これらの方法は:
(a)SLC6A3遺伝子の遺伝子型またはハプロタイプを決定し;そして
(b)SLC6A3遺伝子の1個またはそれ以上の多型変異体の存在または非存在に基づいて、リスクカテゴリーの決定を行う
ことを含む。
SLC6A3遺伝子は染色体5p15.3に位置する。多型エクソン9 A59G(rs6347)は、GenBank受託番号AF119117.1の41370位である。このヌクレオチド変異は、異常タンパク質の産生をもたらすか、またはこの遺伝子からのタンパク質発現産物がない。
この多型の検出は、該個体が、処置中に自殺または自己破壊的行動を経験する可能性を決定または予測するために使用できる。加えて、該多型は直接、または、またはより一般的なSLC6A3遺伝子型と対照的な多型変異体遺伝子の特徴的mRNAの検出により、または個体の体組織または体液におけるSLC6A3遺伝子のポリペプチド発現産物の濃度の検出により、検出できる。
mRNAレベルおよびポリペプチド遺伝子発現産物の検出および測定法は当分野で既知であり、ヌクレオチドマイクロアレイおよび、質量分析計および/または抗体検出を含むポリペプチド検出法および定量法を含む。Human Molecular Genetics, 2nd Edition. Tom Strachan and Andrew, Read. John Wiley and Sons, Inc. Publication, NY(1999)も参照。
さらに、体液または組織中のSLC6A3遺伝子のポリペプチド(タンパク質)発現産物の濃度の検出は、多型の存在または非存在の決定に使用でき、ポリペプチド発現産物の相対的レベルは、多型が異種接合体または同種接合体状態で存在するかの決定、したがって、個体のリスクカテゴリーの決定に使用できる。
したがって、本発明の一つの態様は、SLC6A3遺伝子のタンパク質発現産物の存在および濃度の同定による、患者における該多型の存在または非存在を決定するための方法である。
他の態様において、本発明は、処置中の自殺または自己破壊的行動に関する個体のリスクカテゴリーの決定のための、および、適当な治療戦略を開始するための方法を提供する。これらの方法は、SLC6A3遺伝子のより一般的な変異体、すなわち、59位のAと、Aの代わりにGがある一般的ではない変異体に対応するmRNAの量および比率の測定を含む。この態様において、2種のmRNAの比率を、患者の体液または体組織サンプルにおいて決定する。すべてのmRNAがA変異体由来であるならば、該患者は処置中に自殺行動を取る可能性が低い(リスクカテゴリーI)。すべてのmRNAがG変異体由来であるならば、該患者は処置中に自殺行動を取る可能性がより高い(リスクカテゴリーIII)。しかしながら、両方のタイプのmRNAが見られたとき、患者は該多型に関して異種接合体であり、自殺行動の可能性は中程度であると期待される(リスクカテゴリーII)。
当業者は、本明細書に記載の具体的多型に加えて、該多型と連鎖不均衡(LD)であるすべての多型が、LDである一ヌクレオチド多型(SNP)と同じように、同薬剤および治療に関する応答性を示唆する代用マーカーとして働き得ることを容易に認識するであろう。したがって、本明細書に記載のSNPとLDであるすべてのSNPが使用でき、本発明の方法に包含されることが意図される。
実施例1
クロザピンが、比較物抗精神病剤よりも自殺傾向を減少するか否かを決定するために、前向き、無作為、並行−グループ試験を行い、自殺の高いリスクがあることが既知の統合失調症および統合失調性感情障害患者におけるクロザピン処置中の自殺傾向の危険性を、オランザピン(ZYPREXIATM)での処置と比較して評価する。
この試験において、かつ、本明細書で使用されるように、“自殺企図”なる用語は、故意にまたは心的(internal)強迫観念もしくは病的思考(disordered thinking)に対する応答のいずれかにより拘束された個体による、彼/彼女自身の死のリスクを高める、行動を意味する。
本明細書で使用する“タイプ1事象”は、明白な自殺企図の発生、または自殺の切迫したリスクのための監視の増加したレベルを含む入院として定義され、自殺監視委員会(Suicide Monitoring Board)により確認されている。
遺伝子の変異と、自殺傾向または薬剤応答の可能性のある関連を発見するために、第IV相臨床試験における薬理遺伝学的試験を行った。同試験は、薬剤標的、関連酵素またはトランスポーターをコードする遺伝子ならびに脳機能または統合失調症に関連すると考えられている遺伝子におけるどの多型が、該臨床試験中に試験される効果の臨床的パラメーターのいずれかと関連するか否かを見た。タイプ1事象の発生およびタイプ1事象までの時間を特に試験した。
薬剤標的に関連する、または、統合失調症と関連すると考えられている遺伝子の多型を、処置応答または臨床試験結果と関連し得る遺伝的因子を同定する目的で試験した。患者集団における稀な対立遺伝子頻度(<5%)のSNPは、分析から除いた。臨床表現型、特に、タイプ1事象(明白な自殺企図の発生、または自殺の切迫したリスクのための監視の増加したレベルを含む入院として定義され、自殺監視委員会(Suicide Monitoring Board)により確認されている)を分析した。ドーパミントランスポーター遺伝子(SLC6A3またはDAT1)のエクソン9における多型との間の非常に有意な関係(p=0.0001)が観察された。
この第IV相試験の主要評価項目は、クロザピン(CLOZARIL(登録商標)/LEPONEX(登録商標))処置したおよびオランザピン(ZYPREXATM)処置した統合失調症性患者の間の自殺のリスクの比較であり、下記のいずれかで測定した:
1)基底から、最初の明白な自殺企図または自殺の切迫したリスクのための監視レベルの増加を含む入院までの時間;または
2)自殺傾向の重症度の臨床的包括評価(Clinical Global Impression of Severity of Suicidality)における基底値からの変化。
副次評価項目は下記に関連する自殺であった:
1)ZYPREXIATM処置患者と比較した、クロザピン処置患者における自殺観念化の強度の減少の証明;および
2)ZYPREXIATM処置患者と比較してクロザピン処置患者における自殺予防のための救済介入の数の減少を証明するため。
この臨床試験からの、四百二(402)名が、地元の倫理委員会により承認されたプロトコールにしたがった薬理医学的試験に同意した。十五(15)mLの血液を、臨床試験場所で患者から採った。DNAを、製造者の推奨にしたがいPUREGENETM DNA Isolation Kit(D50K)を使用して、Covance(Indianapolis, USA)により抽出した。http://www.gentra.com/purification_chemistries/puregene_protocols.asp?pid=1参照。
遺伝子型判定
SNPを2つの別々の方法により同定した。Third Wave Technologies, Inc. (Madison, WI)はSNPの一つのコレクションを作成し、一方、他のセットは公的データベースから作成した。PubMed、OMIM、SNP Consortium、Locus Link、dbSNPおよびJapanese SNPデータベースのような公的データベースが利用可能であった。SNP上の情報を作成した。候補遺伝子は、薬剤標的に関連するか、この疾患の病因に関連すると考えられている遺伝子であった。
遺伝子型判定のためのプローブセットをThird Wave Technologies, Inc.により設計し、合成した。遺伝子型判定を研究室内で、60ngのゲノムDNA上で、インベーダー(登録商標)アッセイ(Third Wave Technologies, Inc)を使用して、製造者の推奨にしたがい行った。Lyamichev et al., Nat. Biotechnol., Vol. 17, No. 3, pp. 292-296(1999); およびRyan et al., Mol. Diagn., Vol. 4, No. 2, pp. 135-144(1999)参照。
統計分析
ハーディ・ワインベルグ平衡(HWE)からの偏差
合計400名の患者からのデータを本試験に使用した。データを、確率検定を使用して、HWEからの可能性のある偏差に関して評価した。ハーディ・ワインベルグの法則は、対立遺伝子頻度は、無作為交配した大集団において、世代毎に変化しないと述べている。HWEからの偏差は下記の2つの可能性の一方を示唆する:
1)遺伝子型判定の誤り;または
2)該多型と試験している該集団の間の関連性。
2番目の場合、特定の多型が、それが病因に何らかの関係があるとき、予測よりも多い頻度で観察され得る。
遺伝子型と臨床表現型の間の相関
分析した各SNPに関して、説明変数の遺伝子型クラスとのログランク検定を使用し、異なる遺伝子型クラスの間で、臨床結果における有意な差異が存在するか否かを決定した。5%のわずかな対立遺伝子頻度のSNPのみを本分析に使用した。あるSNPに関して、試験集団で同種接合体遺伝子型が10%の頻度で見られたら、稀な同種接合体個体を異種接合体と共に分析のために集めた。
有意な結果の存在下で、コックスの比例ハザードモデルを使用し、遺伝子型クラスの危険率を概算した。ボンフェローニの補正を使用して、複数の試験を調節した。統計的分析を統計プログラムSAS Version 8.2(SAS, Cary, NC)を使用して行った。LD分析をGOLDTMパッケージを使用して行った。Abecasis and Cookson, Bioinformatics, Vol. 16, No. 2, pp. 182-183(2000)参照。フィッシャーの確率検定コントロール試験の場合に使用した。
遺伝子型判定した集団の代表的性質
該遺伝子型判定した集団が全臨床試験集団をどの程度代表するかを決定するために、遺伝子型判定したおよび非遺伝子型判定した集団の間のタイプ1事象の人数および発生を比較した。
遺伝子の変異およびタイプ1事象の間の関連試験
処置グループをまたぐ個人の分布を表1に示す。各遺伝子型に関して使用したサンプルの実数は、薬理遺伝学的試験への制限された参加または遺伝子型結果の欠失のために少ないことがある。
Figure 2006518206
22候補遺伝子から分かれた四十三(43)多型を最初に遺伝子型判定した。これらの中で、23多型が、本試験集団で稀な対立遺伝子頻度5%を示し、分析に使用した。試験した各多型に関して、生存分析を行った(図1参照)。説明変数の遺伝子型クラスとのログランク検定を使用し、異なる遺伝子型クラス間でのタイプ1事象までの時間の差異を試験した。タイプ1事象までの時間と、ドーパミントランスポーターSLC6A3遺伝子(DAT1としても既知)におけるエクソン9の同義の多型(エクソン9 A59G)の間の有意な関連が発見された(p=0.0001)。複数の試験のためのボンフェローニの補正後、調節されたp値は0.0041であった。エクソン9で同定されたコード配列変異体は、A→G置換に対応する。本試験において、AGおよびGG遺伝子型の個体は、AA遺伝子型の個体と比較して、タイプ1事象の高い発生率を有する。GG遺伝子型の個体は、特にタイプ1事象をより起こしやすいように見える。表2は、異なる遺伝子型グループに関するタイプ1事象を経験する個体数を列記する。
Figure 2006518206
3つの遺伝子型グループの間の差異を定量化するために、コックスの比例ハザード検定をエクソン9 A59G多型と行い、説明変数として処理し、後者を層別変数として処理した(表3参照)。有意な処置−遺伝子型相互作用は観察されなかった(p=0.6044)。
Figure 2006518206
本発明の方法により処置できる状態
自殺行動または自己破壊的行動のリスクを、本発明の方法または本発明の化合物を使用して評価し得る病理学的心理学的(精神医学的)は、下記のものを含むが、これらに限定されず、これらの障害の完全な臨床的記述および診断基準に関して“DSM-IVTM”, 4th Edition, APA, Washington, DCを参照のこと。
統合失調症性障害
・統合失調症、緊張性、亜慢性、(295.21)
・統合失調症、緊張性、慢性(295.22)
・統合失調症、緊張性、急性増悪を伴う亜慢性(295.23)
・統合失調症、緊張性、急性増悪を伴う慢性(295.24)
・統合失調症、緊張性、寛解期(295.55)
・統合失調症、緊張性、詳細不明(295.20)
・統合失調症、分裂性、亜慢性(295.11)
・統合失調症、分裂性、慢性(295.12)
・統合失調症、分裂性、急性増悪を伴う亜慢性(295.13)
・統合失調症、分裂性、急性増悪を伴う慢性(295.14)
・統合失調症、分裂性、寛解期(295.15)
・統合失調症、分裂性、詳細不明(295.10)
・統合失調症、パラノイア、亜慢性(295.31)
・統合失調症、パラノイア、慢性(295.32)
・統合失調症、パラノイア、急性増悪を伴う亜慢性(295.33)
・統合失調症、パラノイア、急性増悪を伴う慢性(295.34)
・統合失調症、パラノイア、寛解期(295.35)
・統合失調症、パラノイア、詳細不明(295.30)
・統合失調症、未分化型、亜慢性(295.91)
・統合失調症、未分化型、慢性(295.92)
・統合失調症、未分化型、急性増悪を伴う亜慢性(295.93)
・統合失調症、未分化型、急性増悪を伴う慢性(295.94)
・統合失調症、未分化型、寛解期(295.95)
・統合失調症、未分化型、詳細不明(295.90)
・統合失調症、分類不能、亜慢性(295.61)
・統合失調症、分類不能、慢性(295.62)
・統合失調症、分類不能、急性増悪を伴う亜慢性(295.63)
・統合失調症、分類不能、急性増悪を伴う慢性(295.94)
・統合失調症、分類不能、寛解期(295.65)
・統合失調症、分類不能、詳細不明(295.60)
・妄想性(パラノイア)障害(297.10)
・短期反応精神病(298.80)
・統合失調症様障害(295.40)
・統合失調性感情障害(295.70)
・物質誘発性精神病性障害(297.30)
・精神病性障害NOS(非定型精神病)(298.90)
情動障害
・大鬱性障害、精神病性特性を伴い重度(296.33)
・気分変調性障害(300.4)
・鬱性障害NOS(311)
・双極性I障害、単一躁病的症状、精神病性特性を伴い重度(296.23)
・双極性I障害、最近の症状軽躁(296.43)
・双極性I障害、最近の症状躁、精神病性特性を伴い重度(296.43)
・双極性I障害、最近の症状混合、精神病性特性を伴い重度(296.63)
・双極性I障害、最近の症状鬱、精神病性特性を伴い重度(296.53)
・双極性I障害、最近の症状詳細不明(296.89)
・双極性II障害(296.89)
・気分循環性障害(301.13)
・双極性障害NOS(366)
・一般的な医学的状態のための気分障害(293.83)
・気分障害NOS(296.90)
・行為障害、単独攻撃型(312.00)
・行為障害、未分化型(312.90)
・トゥーレット障害(307.23)
・慢性運動および音声チック障害(307.22)
・一過性チック障害(307.21)
・チック障害NOS(307.20)
精神活性物質使用障害
・アルコール離脱譫妄(291.00)
・アルコール幻覚症(291.30)
・アルコール中毒に関連するアルコール痴呆(291.20)
・アンフェタミンまたは類似に作用する交感神経興奮剤中毒(305.70)
・アンフェタミンまたは類似に作用する交感神経興奮剤譫妄(292.81)
・アンフェタミンまたは類似に作用する交感神経興奮剤妄想障害(292.11)
・カンナビス妄想障害(292.11)
・コカイン中毒(305.60)
・コカイン譫妄(292.81)
・コカイン妄想障害(292.11)
・幻覚剤幻覚(305.30)
・幻覚剤妄想障害(292.11)
・幻覚剤気分障害(292.84)
・幻覚剤幻覚剤後知覚障害(292.89)
・フェンシクリジン(PCP)または類似に作用するアリールシクロヘキシルアミン中毒(305.90)
・フェンシクリジン(PCP)または類似に作用するアリールシクロヘキシルアミン譫妄(292.81)
・フェンシクリジン(PCP)または類似に作用するアリールシクロヘキシルアミン妄想障害(292.11)
・フェンシクリジン(PCP)または類似に作用するアリールシクロヘキシルアミン気分障害(292.84)
・フェンシクリジン(PCP)または類似に作用するアリールシクロヘキシルアミン有機金属障害NOS(292.90)
・他のまたは詳細不明精神活性物質中毒(305.90)
・他のまたは詳細不明精神活性物質譫妄(292.81)
・他のまたは詳細不明精神活性物質痴呆(292.82)
・他のまたは詳細不明精神活性物質妄想障害(292.11)
・他のまたは詳細不明精神活性物質幻覚(292.12)
・他のまたは詳細不明精神活性物質気分障害(292.84)
・他のまたは詳細不明精神活性物質不安障害(292.89)
・他のまたは詳細不明精神活性物質人格障害(292.89)
・他のまたは詳細不明精神活性物質有機金属障害NOS(292.90)
・器質性障害
・譫妄(293.00)
・痴呆(294.10)
・器質性妄想障害(293.81)
・器質性幻覚(293.82)
・器質性気分障害(293.83)
・器質性不安障害(294.80)
・器質性人格障害(310.10)
・有機金属障害(294.80)
・強迫神経症障害(300.30)
・外傷後ストレス障害(309.89)
・全般性不安障害(300.02)
・不安障害NOS(300.00)
・身体醜形障害(300.70)
・心気症または心気症性心気症(300.70)
・身体化障害(300.81)
・未分化型身体型障害(300.70)
・身体型障害NOS(300.70)
・間欠性爆発性障害(312.34)
・盗癖(312.32)
・病的賭博(312.31)
・放火癖(312.33)
・抜毛癖(312.39)
・衝動調節障害NOS(312.39)
人格障害
・パラノイア(301.00)
・統合失調症(301.20)
・統合失調症性(301.22)
・反社会的(301.70)
・ボーダーライン(301.83)
本明細書における“精神病”なる用語は、器質性精神病、薬物誘発精神病、アルツハイマー関連精神病のような精神病のすべての形、およびパラノイア人格障害のような精神病または他の精神障害に関連する状態などを含むことを意味する。
“統合失調症”および“統合失調症様”障害は、このような障害のすべてのタイプ、例えば、緊張性、分裂性、パラノイア、詳細不明および分類不能統合失調症および、それらのポジティブなおよびネガティブな症状を含むこのような疾患に関連するすべての状態を含む。
実施例2
34歳、白人男性が最初に精神科医診察室を訪れる。この患者は過去に統合失調症の診断と一致する病歴を有し、現在は、何ら薬物療法は受けていない。この患者は自殺の考えを過去6ヶ月を通して否定していたが、このような思考を過去受け入れたことがある。精神科医は、抗精神病剤の薬物療法を指示するとの決定をする。同患者は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位の遺伝子の多型パターンを決定するために、遺伝子型判定のために送られる。結果は、患者がG変異体に関して同種接合体であることを示し、彼は、処置中に自殺または自己破壊的行動の高リスクカテゴリーに入った。この情報に基づき、精神科医は、患者を、クロザピンが処置中の自殺行動の低い発生率を示すため、定期的末梢血試験の必要性にもかかわらず、他の抗精神病剤よりもクロザピンを選択する。加えて、精神科医はその時点で患者を入院するつもりはなかったが、遺伝子型判定結果が、彼/彼女を、より頻繁な通院、家族への適切な警告などを伴う、処置中の自己破壊的行動の可能性のある発生のより密接な観察を維持する警告を与える。
実施例3
上記の患者は、精神科医の診察室に最初の処置6ヶ月後に来る。該患者は、自殺の断続的な考えを認めたが、現在の企図は否定する。精神科医は、エクソン9 A59GでのSLC6A3多型部位での同種接合体G変異体遺伝子多型パターンが、患者が処置中に重度の自殺観念化を発症し、行動する可能性が非常に高いことに基づき、観察のために同患者の入院を決める。
SNPの同定および特徴付け
多くの方法を使用し、SNPを同定および特徴付けでき、一本鎖高次構造多型分析、変性性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)によるヘテロ二本鎖分析、直接DNA配列決定およびコンピュータ使用法を含む。Shi, Clin. Chem., Vol. 47, pp. 164-172(2001)参照。公的データベースにおける豊富な配列情報のおかげで、コンピュータを使用したツールを使用して、ある遺伝子(cDNAまたはゲノム配列のいずれか)に対して独立して提出された配列を配置することにより、コンピュータ内でSNPを同定できる。実験的におよびコンピュータ内での方法により得られたSNPの比較は、SNPFinder(http://Ipgws.nci.nih.gov:82/perl/snp/snp_cgi.pl)により発見された55%の候補SNPがまた実験的に発見されることを示す。Cox, Boillot and Canzian, Hum. Mutal., Vol. 17, No. 2, pp. 141-150(2001)参照。しかしながら、これらのコンピュータ内での方法は、真のSNPの27%しか発見しない。
最も一般的なSNP分類法は、現在、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長法および開裂法を含む。これらの方法の各々は、適当な検出システムと接続しなければならない。検出法は、蛍光極性化(Chen, Levine and Kwok, Genome Res., Vol. 9, No. 5, pp. 492-499(1999)参照)、ピロホスフェート放出の発光検出(pyrosequencing)((Ahmadiian et al., Anal. Biochem., Vol. 280, No.1, pp. 103-110(2000)参照)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)−に基づく開裂アッセイ、DHPLCおよび質量分析(Shi(2001), 前掲;および米国特許6,300,076B1参照)を含む。SNPを検出し、特徴付けする他の方法は、米国特許6,297,018B1および6,300,063B1に記載されている。上記引用文献の記載は、出典明示によりその全体を本明細書に包含させる。
特定の好ましい態様において、多型の検出は、いわゆるインベーダーTM法(Third Wave Technologies Inc. Madison, WIから入手可能)の手段により達成できる。このアッセイにおいて、特異的上流“インベーダー”オリゴヌクレオチドおよび部分的に重複する下流プローブが、DNA鋳型に結合したとき、一緒に特異的構造を形成する。この構造を開裂酵素により認識し、特異的部位で切断し、これがプローブオリゴヌクレオチドの5'フラップの放出をもたらす。次いで、このフラグメントが、反応混合物に含まれる合成二次標的および二次蛍光標識シグナルプローブに対する“インベーダー”オリゴヌクレオチドとして働く。これが、開裂酵素による二次シグナルプローブの特異的開裂をもたらす。蛍光シグナルが、蛍光共鳴エネルギー移動が可能な色素分子で標識されたこの二次プローブが開裂したときに発生する。開裂は、重複DNA配列またはフラップにより形成される構造に対して厳密な要件を有し、したがって、DNA鎖の下流の開裂部位の直ぐ上流の一塩基対ミスマッチの特異的検出に使用できる。Ryan et al. (1999), 前掲; およびLyamichev et al. (1999), 前掲参照、また米国特許5,846,717および6,001,567も参照、これらの記載は、出典明示によりその全体を本明細書に包含させる。
ある態様において、組成物は、ヌクレオチドの2個またはそれ以上の多型部位の同一性の同時の探索のために、2個またはそれ以上の別々に標識した遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む。また、プライマー組成物が、多型部位を含む2個またはそれ以上の領域の同時のターゲティングおよび増幅を可能にするために、対立遺伝子特異的プライマー対の2個またはそれ以上のセットを含み得ることも意図する。
本発明のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドはまたマイクロチップ、ビーズまたはガラススライドのような固体表面上に固定化し、またはそこで合成してよい。例えば、WO98/20020およびWO98/20019参照。このような固定化遺伝子型判定オリゴヌクレオチドはまたプローブハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ伸長アッセイを含むが、これらに限定されない種々の多型検出アッセイに使用し得る。本発明の固定化SLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドは、同時に複数の遺伝子における多型に関するDNAサンプルの急速スクリーニングのために設計されたオリゴヌクレオチドの秩序配列を含み得る。
本発明の対立遺伝子−特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プライマーは、3'末端ヌクレオチド、または好ましくは3'末端から2番目のヌクレオチドを含み、それは、特定のSNPのヌクレオチドにのみ相補的であり、それによりそのヌクレオチドを含む対立遺伝子が存在するときにのみ、ポリメラーゼ−介在伸長のプライマーとして働く。コード鎖または非コード鎖のいずれかとハイブリダイズするASOプライマーは、本発明により意図される。SLC6A3遺伝子多型を検出するためのASOプライマーは、当業者に既知の技術を使用して開発できる。
本発明の他の遺伝子型判定オリゴヌクレオチドは、本発明で同定された新規多型部位の一つの一から数ヌクレオチド下流に位置する標的領域とハイブリダイズする。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の新規多型の一つを検出するためのポリメラーゼ−介在プライマー伸長法において有用であり、したがってこのような遺伝子型判定オリゴヌクレオチドは、本明細書で“プライマー−伸長オリゴヌクレオチド”と呼ぶ。好ましい態様において、プライマー−伸長オリゴヌクレオチドの3'−末端は、多型部位に直ぐに隣接して位置するヌクレオチドと相補的なデオキシヌクレオチドである。
他の態様において、本発明は、別々の容器に包装された少なくとも2個の遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。同キットは、別々の容器に包装されたハイブリダイゼーション緩衝液(オリゴヌクレオチドをプローブとして使用するとき)のような他の成分も含んでよい。あるいはオリゴヌクレオチドを標的領域の増幅に使用するとき、同キットは、別々の容器に包装された、ポリメラーゼおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようなポリメラーゼが介在するプライマー伸長法のために最適化した反応緩衝液を含んでよい。
上記のオリゴヌクレオチド組成物およびキットは、個体のSLC6A3遺伝子の遺伝子型判定および/またはハプロタイプ判定(haplotyping)のための方法に有用である。本明細書で使用する“SLC6A3遺伝子型”および“SLC6A3ハプロタイプ”なる用語は、本明細書に記載の新規多型部位の1個またはそれ以上に存在するヌクレオチド対またはヌクレオチドを各々含み、所望により、SLC6A3遺伝子における1個またはそれ以上の付加的多型部位に存在するヌクレオチド対またはヌクレオチドを含んでよい、遺伝子型またはハプロタイプを意味する。付加的多型部位はまた現在知られている多型部位または今後発見される部位であってよい。
遺伝子型判定法の一つの態様は、個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーを含む核酸混合物、またはそのフラグメントを個体から単離し、この2コピーにおける1個またはそれ以上の多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定し、SLC6A3遺伝子型を同個体に割り当てることを含む、方法である。当業者には容易に理解されるように、個体における遺伝子の2“コピー”は、同じ対立遺伝子または異なる対立遺伝子であってよい。特に好ましい態様において、該遺伝子型判定法は、各多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定することを含む。
典型的に、核酸混合物またはタンパク質を、血液サンプルまたは組織サンプルのような、個体から摂取した生物学的サンプルから単離する。適当な組織サンプルは、全血、精液、唾液、涙液、尿、糞便、汗、頬塗抹標本、皮膚ならびに、筋肉または神経組織および毛髪のような特異的臓器組織の生検サンプルを含む。核酸混合物は、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNAから成り、後者2例においては、生物学的サンプルはSLC6A3遺伝子が発現される臓器から単離すべきである。さらに当業者には、mRNAまたはcDNA調製物が、イントロンにまたは5'および3'非転写領域に位置する多型の検出に使用すべきでないことは認識されよう。SLC6A3遺伝子フラグメントを単離したら、それは遺伝子型判定すべき多型部位(複数もある)を含むべきである。
ハプロタイプ判定法の一つの態様は、個体に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーの一つのみを含む核酸分子、またはそのフラグメントを個体から単離し、そのコピーにおいて、そのコピー中の1個またはそれ以上の多型部位のヌクレオチドの同一性を決定し、個体にSLC6A3ハプロタイプを割り当てる。核酸は、SLC6A3遺伝子またはフラグメントの2コピーを分離できる任意の方法を使用して単離でき、SLC6A3イソ遺伝子の調整に関して上記の方法を含むが、これらに限定されず、標的化インビボクローニングが好ましい方法である。
当業者には容易に認識されるように、すべての個々のクローンは、個体に存在する2個のSLC6A3遺伝子コピーの一方のハプロタイプ情報しか提供しない。ハプロタイプ情報が個体の他のコピーに関して記載されているとき、付加的SLC6A3クローンを試験する必要がある。典型的に、個体のSLC6A3遺伝子の両方のハプロタイプ判定の90%以上の確率を得るために、少なくとも5クローンを試験すべきである。特に好ましい態様において、多型部位の各々のヌクレオチドを同定する。
好ましい態様において、SLC6A3ハプロタイプ対を、個体に存在するSLC6A3遺伝子の各コピーにおける多型部位での各コピーの1個またはそれ以上のヌクレオチドの位相配列(phased sequence)の同定により決定する。特に好ましい態様において、ハプロタイプ判定法は、SLC6A3遺伝子の各コピーにおける多型部位でのヌクレオチドの位相配列の同定を含む。遺伝子の両コピーをハプロタイプ判定するとき、同定工程は好ましくは別々の容器に入れられた遺伝子の各コピーで行う。しかしながら、2コピーを異なる標識で標識するか、他の方法で別々に識別可能または同定可能であるとき、ある場合、同方法を同じ容器中で行うことが可能であることも想定する。例えば、該遺伝子の第一および第2コピーを異なる第一および第二蛍光色素で各々標識し、そしてさらに第三蛍光色素で標識したASOを多型部位(複数もある)のアッセイに使用するとき、第一および第三色素の組合せの検出は第一遺伝子コピーにおける多型を同定し、一方、第二および第三色素の組合せの検出は、第二遺伝子コピーにおける多型を同定する。
遺伝子型判定およびハプロタイプ判定法の両方において、ヌクレオチド(またはヌクレオチド対)の多型部位(複数もある)の同一性は、SLC6A3遺伝子の一方または両方に直接由来する多型部位(複数もある)を含む標的領域(複数もある)またはフラグメントを増幅し、増幅した領域(複数もある)の配列を慣用法により決定することにより決定し得る。当業者には、一方のヌクレオチドのみがその部位で同種接合体である個体の多型部位で検出され、個体がその部位について異種接合体であるとき、2個の異なるヌクレオチドが検出されることは、容易に認められよう。該多型は、ポジティブタイプ同定として既知のように直接、または、ネガティブタイプ同定と見なされる推論により同定できる。例えば、SNPが基準集団においてグアニンおよびシトシンであることが知られているとき、その部位は、その部位で同種接合体である病気の個体でグアニンまたはシトシンであるか、その部位で異種接合体である個体のとき、グアニンおよびシトシンの両方であるか、ポジティブに決定できる。あるいは、その部位はグアニンではない(すなわちシトシン/シトシン)またはシトシンではない(すなわちグアニン/グアニン)であるとネガティブに決定できる。
加えて、本明細書に記載の新規多型部位のすべてに存在する対立遺伝子(複数もある)の同一性を、目的の多型部位とLDである、本明細書に記載していない多型部位の遺伝子型判定により間接的に決定できる。一つの部位の特定の変異体の存在が、第二の部位の他の変異体の予測を増強するとき、2つの部位はLDであると言う。Stevens, Mol. Diag., Vol. 4, pp. 309-317(1999)参照。本明細書に記載の多型部位と連鎖不均衡にある多型部位は、同遺伝子の領域内に、または、本明細書には記載していない他のフェの無領域に位置し得る。本明細書に記載の新規多型部位とLDにある多型部位の遺伝子型判定は、多型部位の対立遺伝子の同一性を検出するための上記の方法のいずれかをを含むが、これに限定されない方法により行うことができる。
標的領域(複数もある)を、PCR(米国特許4,965,188参照)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 88, No. 1, pp. 189 193(1991); およびWO90/01069参照)およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegren et al., Science, Vol. 241, pp. 1077-1080(1988)参照)を含むが、これらに限定されない任意のオリゴヌクレオチド−定方向増幅法を使用して増幅し得る。このような方法においてプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは、多型部位を含むか、それに隣接する核酸と特異的にハイブリダイズしなければならない。典型的に、オリゴヌクレオチドは10−35ヌクレオチド長および好ましくは、15−30ヌクレオチド長である。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは20−25ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドの正確な長さは当業者が通常考慮し、実施している多くの因子に依存する。
他の既知の核酸増幅法は、標的領域の増幅に使用し得、転写−ベースの増幅システム(米国特許5,130,238;EP329,822;米国特許5,169,766およびWO89/06700参照)および等温法を含む。Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 89, No. 1, pp. 392-396(1992)参照。
標的領域における多型はまた当分野で既知のいくつかのハイブリダイゼーション−ベースの方法の一つを使用して、増幅の前または後にアッセイできる。典型的に、ASOはこのような方法の実施に利用する。ASOを別々に標識したプローブ対として使用し、対の一方のメンバーは標的配列の一つの変異体に完全な適合を示し、他方のメンバーは異なる変異体に完全な適合を示す。ある態様において、1個以上の多型部位を、ASOまたはオリゴヌクレオチド対のセットの使用により一度に検出できる。好ましくは、同セットのメンバーは、検出すべき多型部位の各々にハイブリダイズしたとき、互いに、5℃以内およびより好ましくは2℃以内の融点を有する。
標的ポリヌクレオチドへのASOのハイブリダイゼーションは、溶液中の両方の物質で行い得、または、このようなハイブリダイゼーションは、いずれかのオリゴヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドが、固体支持体に共有結合的にまたは非共有結合的に結合しているとき、行い得る。結合は、例えば、抗体−抗原相互作用、ポリ−L−Lys、ストレプトアビジンまたはアビジン−ビオチン、塩架橋、疎水性相互作用、化学結合、熱固化UV架橋などが仲介し得る。ASOは固体支持体上に直接合成するか、または、合成後に固体支持体に結合してよい。本発明の検出法における使用に適当な固体支持体は、シリコン、ガラス、プラスチック、紙などから成る支持体を含み、それらは、例えば、ウェル(96ウェルプレートのような)、スライド、シート、膜、繊維、チップ、皿およびビーズに形作られていてよい。該固体支持体を、ASOまたは標的核酸の固定を容易にするために、処理し、被覆し、または誘導体化してよい。
個体のSLC6A3遺伝子の遺伝子型またはハプロタイプを、また、WO95/11995に記載のように、遺伝子の1個または両方のコピーを含む核酸サンプルの、核酸アレイおよびサブアレイとハイブリダイゼーションすることにより決定できる。アレイは、遺伝子型またはハプロタイプに包含されるべき多型部位の各々を代表するASOの一式を含む。
多型の同一性は、また、リボプローブを使用したRNase保護法(Winter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 82, p. 7575(1985);およびMeyers et al., Science, Vol. 230, p. 1242(1985)参照)および、ヌクレオチドミスマッチを認識するタンパク質、例えば大腸菌mutSタンパク質を含むが、これらに限定されないミスマッチ検出法を使用して決定できる。Modrich, Ann. Rev. Genet., Vol. 25, pp. 229-253(1991)参照。あるいは、変異体対立遺伝子は、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析(Orita et al., Genomics, Vol. 5, pp. 874-879(1989); Humphries et al., “Molecular Diagnosis of Genetic Diseases”, Elles, Ed., pp. 321-340(1996))または変性濃度分配ゲル電気泳動(DGGE)により同定できる。Wartell, Hosseini and Moran Jr., Nucl. Acids Res., Vol. 18, No. 9, pp. 2699-2706(1990);およびSheffield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 86, pp. 232-236(1989)参照。
ポリメラーゼ−介在プライマー伸長法も多型(複数もある)の同定に使用できる。いくつかのこのような方法が特許および科学文献に記載され、“Genetic Bit Analysis”法(WO92/15712参照)およびリガーゼ−/ポリメラーゼ−介在遺伝子ビット分析(米国特許5,679,524参照)を含む。関連法は、WO91/02087、WO90/09455、WO95/17676、米国特許5,302,509および5,945,283に記載されている。多型を含む伸長したプライマーは、米国特許5,605,798に記載のように質量分析により検出できる。他のプライマー伸長法は、対立遺伝子−特異的PCRである。Ruano and Kidd, Nucl. Acids Res., Vol. 17, p. 8392(1989); Ruano et al., Nucl. Acids Res., Vol. 19, No. 24, pp. 6877-6882(1991);WO93/22456;およびTurki et al., J. Clin. Invest., Vol. 95, pp. 1635-1641(1995)参照。加えて、複数の多型部位を、Wallace et al. (WO89/10414)に記載のように、対立遺伝子−特異的プライマーのセットを使用した核酸の複数領域の同時の増幅により試験できる。
好ましい態様において、各民族地理学的(ethnogeographic)グループのハプロタイプ頻度データを試験し、それがHWEと一致するか否かを決定する。HWE(Hartl et al., “Principles of Population Genomics”, 3rd Edition, Sinauer Associates, Sunderland, MA(1997)参照)は、ハプロタイプ対H/Hの発見の頻度が、H≠HのときPH−W(H/H)=2p(H)p(H)と等しく、H=HのときPH−W(H/H)=p(H)p(H)と等しいことを仮定する。観察されたハプロタイプ頻度と予期した値の統計的に有意な差は、集団グループにおける著しい近親交配、遺伝子上の強い選択圧、サンプリングのバイアスおよび/または遺伝子型判定法における誤りを含む、1個またはそれ以上の因子のためである。HWEからの大きな偏差が民族地理学的グループで観察されたとき、そのグループの個体数を増やし、その偏差がサンプリングのバイアスによるものであるか否か見ることができる。より大きなサンプルサイズが、観察されたハプロタイプ対頻度と予期した値の間の差を減少しないとき、個体を、例えば、CLASPER SystemTM technology(米国特許5,866,404参照)または対立遺伝子−特異的長距離PCRのような直接ハプロタイプ判定法を使用して、ハプロタイプ判定することを考えてよい。Michalotos-Beloin et al., Nucl. Acids Res., Vol. 24, No. 23, pp. 4841-4843(1996)参照。
SLC6A3ハプロタイプ対を予測するためのこの方法の一つの態様において、割り当て工程は、下記の分析を行うことを含む。第一に、可能性のあるハプロタイプ対の各々を、基準集団におけるハプロタイプ対に包含させる。一般に、基準集団におけるハプロタイプ対の1個のみが可能性のあるハプロタイプ対とマッチし、その対を該個体に割り当てる。時折、基準ハプロタイプ対の代表的な1個のハプロタイプのみ、個体の可能性のあるハプロタイプ対と一致し、このような場合、該個体をこの既知のハプロタイプおよび可能性のあるハプロタイプ対由来の新規ハプロタイプを含むハプロタイプ対に割り当てる。稀な例で、基準集団におけるハプロタイプのいずれも可能性のあるハプロタイプ対と一致しないか、または複数の基準ハプロタイプ対が可能性のあるハプロタイプ対と一致する。このような場合、個体を好ましくは、例えば、CLASPER SystemTM technology(米国特許5,866,404参照)、SMDまたは対立遺伝子−特異的長距離PCRのような直接分子ハプロタイプ判定法でハプロタイプ判定する。Michalotos-Beloin et al. (1996), 前掲参照。
本発明はまた集団中のSLC6A3遺伝子型またはSLC6A3ハプロタイプの頻度の決定法を提供する。該方法は、遺伝子型またはハプロタイプがFS63 TER多型を含むがこれに限定されない、SLC6A3遺伝子における1個またはそれ以上の多型部位で検出されるヌクレオチド対またはヌクレオチドから成る、集団の各メンバーに存在するSLC6A3遺伝子の遺伝子型またはハプロタイプ対の決定;および特定の遺伝子型またはハプロタイプが集団で発見される頻度を計算することを含む。該集団は基準集団、家族集団、同性集団、集団グループ、特性集団、例えば、医学的状態または治療的処置に対する応答のような目的の特性を示す個体のグループであってよい。
本発明の他の局面において、基準集団において見られるSLC6A3遺伝子型および/またはハプロタイプの頻度データを、特性とSLC6A3遺伝子型またはSLC6A3ハプロタイプの間の関係を同定する方法に使用する。該特性は、疾患への感受性または処置への応答を含むが、これらに限定されないすべての検出可能な表現型であってよい。該方法は、基準集団および該特性を示す集団における遺伝子型(複数もある)またはハプロタイプ(複数もある)の頻度のデータの獲得を含む。基準および特性集団の一方または両方の頻度データは、上記の方法の一つを使用した、集団における各個体の遺伝子型判定またはハプロタイプ判定により得ることができる。特性集団のハプロタイプを直接決定するか、または、上記のような予測的遺伝子型対ハプロタイプ法により決定できる。
他の態様において、基準および/または特性集団の頻度データを、予め決定した頻度データ(電子形で書かれていてよい)の評価により得る。例えば、該頻度データは、コンピュータでアクセス可能なデータベースに存在し得る。該頻度データを得たら、基準および特性集団における遺伝子型(複数もある)またはハプロタイプ(複数もある)の頻度を比較する。好ましい態様において、集団で観察される全での遺伝子型および/またはハプロタイプの頻度を比較する。SLC6A3遺伝子の特定の遺伝子型またはハプロタイプが、特性集団において統計的有意な量で基準集団より頻繁であるとき、該特性をSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプと関連すると予測する。
好ましい態様において、統計的分析を、ボンフェローニの補正を伴う分散分析(ANOVA)試験および/または遺伝子型表現型相関を複数回模倣し、有意な値を計算するブートストラッピング法により行う。多くの多型を分析するとき、因子の補正を行い、偶然発見されるであろう有意な関係を補正してよい。本発明で使用する統計法に関して、“Statistical Methods in Biology”, 3rd Edition, Bailey, Ed., Cambridge Univ. Press(1997); “Introduction to Computational Biology”, Waterman, Ed., CRC Press(2000); および“Bioinformatics”, BaxevanisおよびOuellette, Eds., John Wiley & Sons, Inc. (2001)を参照。
該方法の好ましい態様において、目的の特性は、いくつかの治療的処置に対して患者が示す臨床的応答、例えば、SLC6A3を標的とする薬剤に対する応答または医学的状態のための治療的処置に対する応答である。
本明細書で使用する“連鎖不均衡”(LD)は、遺伝子のマーカーのある組み合わせが、集団内で、ゲノムで離れている距離に基づいて予期されるまたは偶然のみよりも多いか少ない頻度で一緒に起こる状態を意味する。これは、ゲノムのこの領域における減少した組み換えまたは、マーカーの一方が集団内に挿入されていたため、平衡に達するのに十分な時間がなかった創始者効果に由来するものである可能性がある。
マーカーがそれらがあるべきであるよりも頻繁に発生するとき、これはまたマーカーがゲノム上で近く、したがって、統合して受け継がれる傾向にあることを意味する。いずれの場合も、一方のマーカーの存在が、他方のマーカーが特定の患者にも存在するという傾向を高める。この状況において、患者ゲノム中のこれらのマーカーの存在が、他方の代用マーカーとして使用できる。一方のマーカーが他方よりも簡単に検出できるとき、目的の特異的なものよりも容易に検出できるものを試験する方が望ましいことがある。連鎖不均衡におけるマーカーは、何らかの任意の機能的関係を有しても有しなくてもよい。マーカーが一緒に受け継がれる傾向は、座間の組み換えの割合により測定し得る。
本明細書において使用される“代用マーカー”は、目的のSLC6A3遺伝子のマーカーと一緒に、偶然から予測されるよりも頻繁に一緒に発生する傾向にある、SNPのような遺伝子のマーカー、または特異的遺伝子型またはハプロタイプを意味する。したがってこの代用マーカーの検出は、本発明の方法において、目的のマーカーが偶然から予測されるよりも高い可能性で存在するという指標として使用できる。この関連が十分に意味があるとき、代用マーカーの検出を目的のマーカーの存在の指標として使用できる。本発明のすべての方法は、目的のSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプと一緒に起きることが示されている代表マーカーの使用を成し得る。
したがって、本発明の一つの態様において、目的のSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプとLDである検出可能な遺伝子型またはハプロタイプを代用マーカーとして使用できる。SLC6A3遺伝子型とLDである遺伝子型は、SLC6A3遺伝子に対する特定の遺伝子型またはハプロタイプが、統計的有意な割合または量で、基準集団におけるよりも、可能性のある代用マーカー遺伝子型をまた証明する集団において頻繁であるか否かを決定することにより発見できる。このような場合、このマーカー遺伝子型を、SLC6A3遺伝子型またはハプロタイプと関係があると予測し、そして、SLC6A3遺伝子型の代わりに代用マーカーとして使用できる。本発明の種々の態様において、代用マーカーを、このマーカーが目的のマーカーと一緒に発生する可能性が50%より多い、60%より多い、70%より多い、80%より多い、または好ましい態様において90%より多い、またはより好ましい態様において95%より多いとき、この方法で使用できる。
本明細書で使用する“医学的状態”は、処置が望まれる1個またはそれ以上の肉体的および/または心理学的徴候として発症するすべての状態または疾患を含むが、これらに限定されず、以前におよび新たに同定された疾患および他の障害を含む。
本明細書で使用する“多型”なる用語は、集団内で>1%の頻度で存在する配列変異体を意味する。該配列変異体は、5%または10%またはそれ以上のような有意に高い頻度で存在してよい。また、本用語は、個体において多型部位で観察される配列変異体を言及するために使用してよい。多型は、ヌクレオチド置換、挿入、欠失およびマイクロサテライトを含み、必ずしもではないが、遺伝子発現またはタンパク質機能に検出可能な差異をもたらしてよい。
本明細書で使用する“臨床応答”なる用語は、下記のいずれかまたはすべてを意味する:応答、応答なしおよび不利な応答、すなわち副作用の定量的測定。
本明細書で使用する“対立遺伝子”なる用語は、特異的染色体位置(座)での遺伝子またはDNA配列の特定の形を意味する。
本明細書で使用する“遺伝子型”は、個体の相同染色体の対上の座の1個またはそれ以上の多型部位で発見されるヌクレオチド対(複数もある)の非位相5'から3'配列を意味する。本明細書で使用する遺伝子型は、完全−遺伝子型および/またはサブ−遺伝子型を含む。
本明細書で使用する“ポリヌクレオチド”は、非修飾もしくは修飾RNAまたはDNAであってよいすべてのRNAまたはDNAを意味する。ポリヌクレオチドは、限定しないが、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、および一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖またはより典型的に二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を含む。加えて、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む、三本鎖領域を意味する。ポリヌクレオチドなる用語は、1個またはそれ以上の修飾塩基を含むDNAまたはRNAおよび安定性または他の理由のために主鎖を修飾されたDNAまたはRNAを含む。
本明細書で使用する“一ヌクレオチド多型(SNP)”なる用語は、集団内の、ゲノムにおける一ヌクレオチド位置でのヌクレオチド変異の発生を意味する。SNPは、遺伝子内またはゲノムの遺伝子間領域内で起こり得る。
本明細書で使用する“遺伝子”なる用語は、プロモーター、エクソン、イントロン、および他の発現を制御する非翻訳領域を含む、RNA産物の生合成を制御するための全情報を含む、DNAのセグメントを意味する。
本明細書で使用する“ポリペプチド”なる用語は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわち、ペプチド等量式(isostere)により互いに結合した2個またはそれ以上のアミノ酸を含むポリペプチドを意味する。ポリペプチドは一般にペプチド、グリコペプチドまたはオリゴマーと呼んでいる短鎖、および一般にタンパク質と呼んでいるより長い鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、20遺伝子−コードアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。ポリペプチドは、翻訳後修飾のような天然の過程で、または、当分野で既知の化学修飾法により修飾されたアミノ酸配列を含む。このような修飾は基礎的テキストに、およびより詳細にモノグラフに、ならびに、多くの研究論文に記載されている。
本明細書で使用する“多型部位”なる用語は、少なくとも2個の別の配列が集団中で見られる座における位置を意味し、その最も頻繁なものは99%を超えない頻度を有する。
本明細書で使用する“ヌクレオチド対”なる用語は、個体由来の染色体の2コピー上の多型部位で見られるヌクレオチドを意味する。
本明細書で使用する“位相”は、ヌクレオチド対の配列を、座中の2個またはそれ以上の多型部位に当てはめたとき、座の1コピー上のこれらの多型部位に存在するヌクレオチドの組合せが既知であることを意味する。
臨床的処置への応答とSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプの間の相関を導き出すために、処置を受けている個体の集団(以後“臨床集団”と呼ぶ)により示される臨床応答のデータを得ることが必要である。この臨床データは、すでに行われている臨床試験の結果の分析により得ることができ、および/または臨床データは、1個またはそれ以上の新規臨床試験の計画および実施により得ることができる。
本明細書で使用する“臨床試験”なる用語は、特定の処置に対する応答の臨床データを得るために設計されたすべての研究試験を意味し、第I相、第II相および第III相臨床試験を含むが、これらに限定されない。標準法を使用して、患者集団を定義し、対象を登録する。
本明細書で使用する“座”なる用語は、遺伝子もしくは肉体的または表現型特徴に対応する染色体またはDNA分子上の位置を意味する。
臨床集団に包含される個体が、目的の医学的状態の存在に関して段階的であることが好ましい。これは、患者が示す徴候(複数もある)が1個以上の基礎を成す状態によりもたられ得るとき、および、基礎を成す状態の処置が同じでないとき、特に重要である。この例は、患者が、喘息または呼吸器感染のいずれかが原因の呼吸困難を経験するものであろう。両方の発症を喘息薬物で処置したとき、実際に喘息を有しなかった見かけ上の非応答者の疑似グループが存在するであろう。これらの人々は、ハプロタイプおよび処置結果の間の相関を検出する能力に影響し得る。可能性のある患者のこの段階付は、標準的肉体的試験または1個またはそれ以上の実験室における試験を用いる。あるいは、患者の段階付は、ハプロタイプ対と疾患感受性または重症度の間に強い相関がある状況のとき、ハプロタイプ判定を使用する。
目的の治療的処置は、試験集団の各個体への投与であり、該処置に対する各個体の応答を1個またはそれ以上の予定した基準を使用して測定する。多くの場合、試験集団は広範囲の応答を示し、試験者は、種々の応答により作成した応答者グループの数、例えば、低、中程度および高を選択する。加えて、試験集団におおける各個体のSLC6A3遺伝子を遺伝子型判定しおよび/またはハプロタイプ判定し、これは処置の適用前または後であってよい。
臨床および多型データの両方を得た後、個々の応答とSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプの内容の間の相関関係を作成する。相関関係はいくつかの方法で作成できる。一つの方法では、個体をSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)(多型グループとも呼ぶ)によりグループ分けし、次いで、各多型グループのメンバーが示す臨床応答の平均および標準偏差を計算する。
これらの結果を次いで分析し、臨床応答と多型グループの間の観察された変化が統計的有意であるか否か決定する。使用し得る統計分析法は、Fisher and vanBelle, “Biostatistics:A Methodology for the Health Sciences”, Wiley-lnterscience, NY(1993)に記載されている。この分析はまたSLC6A3遺伝子におけるどの多型部位が、表現型の差異に最も有意に関与するかの回帰計算を含む。本発明で有用な一つの回帰モデルは、2000年6月26日出願の“ハプロタイプデータの入手および使用のための方法”なる標題のPCT出願に記載されている。
SLC6A3ハプロタイプの内容と臨床応答の間の相関関係を発見するための第二の方法は、エラー最小化最適アルゴリズム(error-minimizing optimization algorithm)に基づく予測的モデルを使用する。多くの可能性のある最適化アルゴリズムの一つは、遺伝子のアルゴリズムである。Judson, “Genetic Algorithms and Their Uses in Chemistry”, Reviews in Computational Chemistry, Lipkowitz and Boyd, Eds., Vol. 10, pp. 1-73, VCH Publishers, NY(1997)参照。疑似アニーリング(Press et al., “Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing”, Ch. 10, Cambridge University Press, Cambridge(1992)参照)、神経回路網(Rich and Knight, “Artificial Intelligence”, 2nd Ed., Ch. 18, McGraw-Hill, NY(1991)参照)、標準傾斜降下法(Press et al. (1992), 前掲参照)または他の全体的または局所最適化法(Judson(1997), 前掲における考察参照)も使用できる。好ましくは、相関関係は、2000年6月26日出願の“ハプロタイプデータの入手および使用のための方法”なる標題のPCT出願に記載の遺伝子のアルゴリズム法を使用して発見する。
相関関係は、また、臨床データにおけるその変異のどの程度が、SLC6A3遺伝子の多型部位の異なるサブセットにより説明できるか、ANOVA法を使用して分析してよい。2000年6月26日出願の“ハプロタイプデータの入手および使用のための方法”なる標題のPCT出願に記載のように、ANOVAを使用して、応答の変動が、測定できる1個またはそれ以上の特性または変異体に由来するかまたは相関しているかに関する仮説を試験するために使用する。FisherおよびvanBelle(1993), 前掲参照。
上記の分析から、SLC6A3遺伝子型またはハプロタイプの内容の関数として臨床応答を予測する数学的モデルを当業者は容易に構築し得る。好ましくは、該モデルは、モデルを試験するために設計した1個またはそれ以上のフォローアップ臨床試験で確認する。
臨床応答とSLC6A3遺伝子の遺伝子型またはハプロタイプ(またはハプロタイプ対)の間の関係の同定は、処置に応答するか応答しない、または、低いレベルで応答し、さらなる処置、すなわち、薬剤のより多い量が必要である可能性がある個体を決定する診断法の設計の基礎であり得る。該診断法はいくつかの形の一つ、例えば、直接DNA試験、すなわち、SLC6A3遺伝子の多型部位の1個またはそれ以上の遺伝子型判定またはハプロタイプ判定;血清検査;または肉体的試験測定の形を取り得る。唯一の要件は、診断的試験結果と基礎となるSLC6A3遺伝子型またはハプロタイプの良好な相関、すなわち、臨床応答との相関の存在である。好ましい態様において、この診断法は上記の予測的ハプロタイプ判定法を使用する。
本発明の方法を実施する際に関係する任意のまたはすべての分析的および数学的操作をコンピュータで行い得る。加えて、コンピュータは、表示装置に表示される映像(または画面)を作成し、それにより使用者が、染色体位置、遺伝子構造および遺伝子ファミリー、遺伝子発現データ、多型データ、遺伝子配列データおよび臨床データ、集団データ、例えば、1個またはそれ以上の集団に関する民族地理学的起源、臨床応答、遺伝子型およびハプロタイプのデータを含む、SLC6A3遺伝子およびそのゲノム変異に関する大量の情報を見て、分析するために交信できる、プログラムを実行できる。本明細書に記載のSLC6A3多型データは、関係するデータベースの一部として、例えば、OracleデータベースまたはASCIIフラットファイルの例として貯蔵できる。これらの多型データをコンピュータのハードドライブに貯蔵してよく、または、例えば、CD−ROMまたはコンピュータが利用できる1個またはそれ以上の他の貯蔵デバイス上に貯蔵してよい。例えば、該データを、ネットワークを介してコンピュータで通信する1個またはそれ以上のデータベースに貯蔵してよい。
他の態様において、本発明は、個体のSLC6A3遺伝子のハプロタイプ判定および/または遺伝子型判定のための方法、組成物およびキットを提供する。本方法は、GenBank受託番号AF119117.1(dbSNP rs6347)の41370位のSLC6A3エクソン9 A59Gのヌクレオチドに存在するヌクレオチドまたはヌクレオチド対の同定を含む。該組成物は、多型部位を含むか、それに隣接する1個またはそれ以上の標的領域と特異的にハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを含む。本明細書に記載の新規多型部位での個体の遺伝子型またはハプロタイプを確立するための該方法および組成物は、SLC6A3タンパク質の発現および機能またはその欠損が影響する疾患の病因における多型の影響の研究、SLC6A3を標的とする薬剤の効果の研究、SLC6A3タンパク質の発現および機能が影響する疾患に対する個体の感受性の予測、および、SLC6A3を標的とする薬剤に対する個体の応答性の予測に有用である。
また別の態様において、本発明は、遺伝子型またはハプロタイプと特性の間の相関関係を同定する方法を提供する。好ましい態様において、該特性は、疾患への感受性、疾患の重症度、疾患の段階または薬剤への応答である。このような方法は、遺伝子型と、効果測定、薬物動態測定および副作用測定を含む処置結果の間に相関関係の可能性があるとき、すべての薬理遺伝学的適用のための診断的試験および治療的処置の開発に適用できる。
本発明はまたSLC6A3遺伝子について決定した多型データの貯蔵および表示のためのコンピュータシステムも提供する。該コンピュータシステムは、コンピュータ処理ユニット;ディスプレイ;および多型データを含むデータベースを含む。該多型データは、基準集団のSLC6A3遺伝子について同定した多型、遺伝子型およびハプロタイプを含む。好ましい態様において、コンピュータシステムは、その漸進的相関関係にしたがい整理したSLC6A3ハプロタイプを示す表示を産生できる。
本明細書で同定されている多型部位を記載する際、簡便のために遺伝子のセンス鎖について言及する。しかしながら、当業者には認められるように、SLC6A3遺伝子を含む核酸分子は、相補的二本鎖分子であって良く、故に、センス鎖上の特定の部位に関する言及は、同様に、相補的アンチセンス鎖上の対応する部位を言及し得る。故に、いずれかの鎖上の多型部位を言及して良く、オリゴヌクレオチドは、多型部位を含む標的領域のいずれかの鎖に特異的にハイブリダイズするように設計し得る。故に、本発明はまた本明細書に記載のSLC6A3ゲノム変異体のセンス鎖に相補的な、一本鎖ポリヌクレオチドを含む。
SLC6A3の発現における本明細書で同定した多型の影響は、SLC6A3遺伝子の多型変異体を含む、組み換え細胞および/または生物、好ましくは組み換え動物の調製により試験し得る。本明細書で使用する“発現”は、下記の1個またはそれ以上を含むが、これらに限定されない:遺伝子の前駆体mRNAへの転写;前駆体mRNAの成熟mRNAを産生するためのスプライシングおよび他の加工;mRNA安定性;成熟mRNAのSLC6A3タンパク質への翻訳(コドン使用頻度およびtRNA利用能を含む);およびグリコシル化および/または適切な発現および機能に必要であるとき、翻訳産物の他の修飾。
本発明の組み換え細胞を調製するために、所望のSLC6A3イソ遺伝子を、イソ遺伝子が染色体外に残るように、ベクター中で細胞内に挿入してよい。このような状況下で、該遺伝子は、細胞により染色体外位置から発現する。好ましい態様において、SLC6A3イソ遺伝子を、その細胞に存在する内在性SLC6A3遺伝子と再結合するような方法で細胞内に挿入する。このような組み換えは、二重組み換えが起こる必要があり、それにより所望のSLC6A3遺伝子多型を得る。組み換えおよび染色体外維持のために遺伝子を導入するためのベクターは当分野で既知であり、すべての適当なベクターまたはベクター構築物を本発明で使用し得る。DNAを細胞内に挿入するためのエレクトロポレーション、粒子衝撃、リン酸カルシウム共沈およびウイルス性形質導入のような方法が当分野で既知である;したがって、方法の選択は、通常の技術の実施者の能力および好みに依存するであろう。
SLC6A3イソ遺伝子を挿入し得る細胞の例は、連続培養細胞、例えばCOS、NIH/3T3、および関連組織タイプ(すなわち、SLC6A3イソ遺伝子を発現する)の初代または培養細胞を含むが、これらに限定されない。このような組み換え細胞を、異なるタンパク質変異体の生物学的活性の比較に使用できる。
変異体遺伝子を発現する組み換え生物、すなわち、トランスジェニック動物を、当分野で既知の標準法を使用して調製する。好ましくは、変異体遺伝子を含む構築物を非ヒト動物に、または該動物の先祖に、胚段階で、すなわち、一細胞段階で、または一般に約8細胞段階よりも前に挿入する。本発明の構築物を担持するトランスジェニック動物は、当業者に既知のいくつかの方法により製造できる。一つの方法は、胚に、1個またはそれ以上のインスレーター要素、目的の遺伝子または複数の遺伝子、および、導入遺伝子として遮蔽された遺伝子(複数もある)を有するベクターを提供するために当業者に既知の他の成分を含むように構築したレトロウイルスを形質移入することを含む。例えば、米国特許5,610,053参照。他の方法は、胚への導入遺伝子の直接注入を含む。第三の方法は、胚幹細胞の使用を含む。
SLC6A3イソ遺伝子を挿入し得る動物の例は、マウス、ラット、他の齧歯類および非ヒト霊長類を含むが、これらに限定されない。Recombinant DNA, Watson, Gilman, Witkowski and Zoller, Eds., W.H. Freeman and Company, NY, pp. 254-272の“The Introduction of Foreign Genes into Mice”およびその中の引用文献参照。ヒトSLC6A3イソ遺伝子を安定に発現し、ヒトSLC6A3タンパク質を産生するトランスジェニック動物を、異常なSLC6A3発現および/または活性が関与する疾患を研究するための、およびこれらの疾患の症状または影響を減少させるための種々の候補薬剤、化合物および処置レジメンのスクリーニングおよびアッセイのための生物学的モデルとして使用できる。
TAQMANTMを利用したmRNAレベル分析
RT−PCR(リアルタイム定量的PCR)アッセイは、RNA鎖(mRNA鎖を含む)からのDNA鎖の合成を触媒するためのRNA逆転写酵素を利用する。得られたDNAを特異的に検出および定量し得、この方法はmRNAの特異的種のレベルの決定のために使用し得る。これを行うための一つの方法は、商品名TAQMAN(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)として既知であり、AMPLI TAQ GOLDTM DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性を利用して、PCR反応中にプローブの特異的形態を開裂する。これはTAQMANTMプローブと呼ばれる。Luthra et al., “Novel 5' Exonuclease-Based Ral-Time PCR Assay For the Detection of t(14; 18)(q32; q21) in Patients With Follicular Lymphoma”, Am. J. Pathol., Vol. 153, pp. 63-68(1998)参照。該プローブはオリゴヌクレオチド(通常約20量体)と、5'−レポーター色素および3'−クエンチャー色素から成る。蛍光レポーター色素、例えばFAM(6−カルボキシフルオレッセイン)は、該オリゴヌクレオチドの5'末端に共有結合する。該レポーターは、3'に一するリンカー・アームを介して結合しているTAMRA(6−カルボキシ−N,N,N',N'−テトラメチルローダミン)により消光する。Kuimelis et al., “Structural Analogues of TaqMan Probes for Real-Time Quantitative PCR”, Nucl. Acids Symp. Ser., Vol. 37, pp. 255-256(1997); およびMullah et al., “Efficient Synthesis of Double Dye-Labeled Oligodeoxyribonucleodide Probes and Their Application in a Real Time PCR Assay”, Nucl. Acids Res., Vol. 26, No. 4, pp. 1026-1031(1998)参照。反応中、プローブの開裂がレポーター色素とクエンチャー色素を分離し、レポーターの発光の増強をもたらす。
PCR産物の蓄積を、直接、レポーター色素の蛍光の増加のモニタリングにより検出する。Heid et al., “Real Time Quantitative PCR”, Genome Res., Vol. 6, No. 6, pp. 986-994(1996)参照。反応は、固定回数のサイクルの後に蓄積されているPCR産物の量よりも、PCR産物の増幅が最初に検出されるときの循環中の時点により特徴付けられる。核酸標的の開始時コピー数が多ければ多いほど、より早く蛍光の有意な増加が観察される。Gibson, Heid and Williams et al., “A Novel Method For Real Time Quantitative RT-PCR”, Genome Res., Vol. 6, pp. 995-1001(1996)参照。
プローブが無傷であるとき、レポーター色素のクエンチャー色素への接近が、主に、Foersterタイプエネルギー伝達によるレポーター蛍光の抑制をもたらす。Lakowicz et al., “Oxygen Quenching and Fluorescence Depolarization of Tyrosine Residues in Proteins”, J. Biol. Chem., Vol. 258, pp. 4794-4801(1983)参照。PCR中、目的の標的が存在したとき、プローブは特にフォワードおよびリバースプライマー部位の間をアニールする。AMPLITAQ GOLDTM DNAポリメラーゼの5'−3'核酸分解活性は、プローブが標的とハイブリダイズしているときのみ、レポーターとクエンチャーの間のプローブを開裂する。該プローブフラグメントを次いで標的から離し、鎖の重合化を続ける。この工程は全サイクルで起こり、産物の指数関数的蓄積により妨害されない。該プローブの3'末端は、PCR中のプローブの伸長を防止するために遮断する。
受動的基準はTAQMANTM緩衝液に包含され、5'ヌクレアーゼアッセイに関与しない色素である。受動的基準は、レポーター色素シグナルをデータ分析中に標準化するための内部基準を提供する。標準化は、濃度または容量の変化による蛍光の変化を補正するために必要である。
標準化は、レポーター色素の放出強度を受動的基準の放出強度で割り、ある反応試験管についてR(標準化レポーター)として定義される比率を得ることにより達成される。
基準サイクル(threshold cycle)またはC値は、ΔRにおける統計的有意な増加が最初に検出されるサイクルである。R対サイクル数のグラフにおいて、基準サイクルは、配列検出アプリケーションがPCR産物の指数関数的増加に伴うシグナルの増加を検出し始めたときに起こる。
定量的測定を行うため、cRNA(標準)の連続希釈を、正確で速いmRNA定量化に必要な標準曲線を構築するために、各実験に包含させる。該方法の再現性を推測するために、同じcRNAサンプルの増幅を数回行ってよい。
細胞の転写状態を測定するための他の方法は、電気泳動分析の複雑を制限する制限フラグメントのプールを産生し、例えば、二重制限酵素消化と位相プライマー(例えば、Zabeau et al.の、1992年9月24日出願のEP0534858A1参照)を組み合わせた方法、またはmRNA末端に最も近い部位の制限フラグメントを選択する方法である。例えば、Prashar and Weissman, “Analysis of Differential Gene Expression by Display of 3' End Restriction Fragments of cDNAs”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 93, No. 2, pp. 659-663(1996)参照。
他の方法は、各cDNAを同定するための複数のcDNAのいずれかにおける十分な塩基対、例えば、20−50塩基対を配列決定することにより、または、定義したmRNA末端経路パターンに関連する既知の位置に産生された、短い標識、例えば、9−10塩基対を配列決定することにより、cDNAプールを統計的にサンプリングするものである。例えば、Velculescu, Science, Vol. 270, pp. 484-487(1995)参照。
他の局面の測定
本発明の種々の態様において、転写状態以外の生物学的状態の局面、例えば、翻訳状態、活性状態、または、混合された局面を、薬剤および経路の応答を得るために測定できる。これらの態様の詳細は本セクションに記載する。
翻訳状態測定
遺伝子(複数もある)によりコードされるタンパク質の発現を、検出可能に標識されているか、その後に標識できるプローブにより検出できる。一般に、該プローブは、発現されたタンパク質を認識する抗体である。
本明細書で使用する“抗体”なる用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体および、抗体フラグメントがタンパク質に結合するために十分な生物学的に機能する抗体フラグメントを含むが、これらに限定されない。
記載の遺伝子の一つによりコードされるタンパク質に対する抗体を製造するために、種々の宿主動物を同ポリペプチドまたはその一部の注射により免疫してよい。このような宿主動物は、例をいくつか挙げると、ウサギ、マウスおよびラットを含むが、これらに限定されない。種々のアジュバントを使用して免疫学的応答を増強することができ、宿主の種に依存して、フロインド(完全および不完全)、ミネラル・ゲル、例えば、水酸化アルミニウム;界面活性物質、例えばリソレシチン、pluronicポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油状エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノール;および有用である可能性があるヒトアジュバント、例えばカルメットーゲラン菌(BCG)およびコリネバクテリウム・パルヴム(Corynebacterium parvum)を含むが、これらに限定されない。
ポリクローナル抗体は、標的遺伝子産物のような抗原、または、その抗原機能性誘導体で免疫した動物の血清由来の抗体分子の異種集団である。ポリクローナル抗体の製造のために、上記のような宿主動物を、コードされたタンパク質、またはその一部を、同様にまた上記のアジュバントを補って注射することにより免疫できる。
特定の抗原に対する抗体の均質集団であるモノクローナル抗体(mAbs)は、培養における連続細胞系による抗体分子の産生のために提供された方法のいずれかにより得ることができる。これらは、Kohler and Milstein, Nature, Vol. 256, pp. 495-497(1975);および米国特許4,376,110のハイブリドーマ法、Kosbor et al., Immunol. Today, Vol. 4, p. 72(1983); Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 80, pp. 2026-2030(1983)のヒトB細胞ハイブリドーマ法;およびEBV−ハイブリドーマ法、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96(1985)を含むが、これらに限定されない。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む免疫グロブリンのいずれかおよびそれらのいずれかのサブクラスであってよい。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養し得る。製造法で現在好ましいのは、インビボでの最高力価のmAbの産生である。
加えて、適当な抗原特異性の分子を適当な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子を、マウス抗体由来の遺伝子とスプライシングすることにより、“キメラ抗体”を産生するために開発された方法(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 81, pp. 6851-6855(1984); Neuberger et al., Nature, Vol. 312, pp. 604-608(1984); およびTakeda et al., Nature, Vol. 314, pp. 452-454(1985)参照)を使用できる。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物に由来する分子、例えば、マウスmAb由来の可変または超可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するものである。
あるいは、一本鎖抗体の製造について記載された方法、米国特許4,946,778;Bird, Science, Vol. 242, pp. 423-426(1988); Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 85, pp. 5879-5883(1988); およびWard et al., Nature, Vol. 334, pp. 544-546(1989)を、異なって発現される遺伝子一本鎖抗体の産生に適合できる。一本鎖抗体は、Fv領域の重−および軽−鎖フラグメントを、アミノ酸架橋を介して形成し、一本鎖ポリペプチドを得る。
より好ましくは、“ヒト化抗体”の製造に有用な方法を、タンパク質、フラグメントまたはその誘導体に対する抗体の製造に適合できる。このような方法は米国特許5,932,448;5,693,762;5,693,761;5,585,089;5,530,101;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,789,650;5,661,016;および5,770,429に記載されている。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、既知の方法により産生できる。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により製造できるF(ab')フラグメント、および、F(ab')フラグメントのジスルフィド結合の還元により製造できるFabフラグメントを含むが、これらに限定されない。あるいは、Fab発現ライブラリーを、所望の特異性のモノクローナルFabフラグメントの急速で容易な同定を可能にするために、構築できる(Huse et al., Science, Vol. 246, pp. 1275-1281(1989))。
既知のタンパク質がサンプル中で発現される程度を、次いで、上記の抗体を利用するイムノアッセイ法により決定する。このようなイムノアッセイ法は、ドット・ブロッティング、ウェスタン・ブロッティング、競合的および非競合的タンパク質結合アッセイ、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、免疫組織化学、蛍光活性化細胞選別(FACS)および他の一般的に使用されており、かつ、科学文献および特許文献に広く記載されている方法を含むがこれらに限定されず、多くは市販品を用いる。
検出の容易さのために特に好ましいのは、サンドイッチELISAであり、それには多くの変法が存在し、そのすべてを本発明に包含することを意図する。例えば、典型的前向きアッセイにおいて、非標識抗体を固体支持体上に固定し、試験する物質を該結合分子と接触させ、その後、抗原−抗体バイナリー複合体の形成を可能にするのに十分な時間である適当な期間、インキュベーションする。この時点で、検出可能なシグナルを誘発できるレポーター分子で標識した二次抗体を添加し、抗体−抗原−標識抗体の3重複合体の形成を十分に可能にする。すべての未反応物質を洗い流し、抗原の存在をシグナルの観察により決定するか、または、既知の量の抗原を含むコントロールサンプルと比較することにより定量してよい。前向きアッセイの変法は、サンプルと抗体の両方を結合抗体に同時に添加する同時アッセイ、または、標識抗体と試験するサンプルを最初に合わせ、インキュベートし、非標識表面結合抗体を添加する、リバースアッセイを含む。これらの方法は当分野で既知であり、微細な変化の可能性は容易に明らかである。本明細書で使用する“サンドイッチアッセイ”は、基本的な2部位法のすべての変法を包含することを意図する。本発明のイムノアッセイに関して、唯一の制限因子は、標識抗体が目的の遺伝子により発現されるタンパク質に特異的な抗体でなければならないことである。
このタイプのアッセイにおいて最も一般的に使用されるレポーター分は、酵素、フルオロフォア−または放射性核種−含有分子のいずれかである。酵素イムノアッセイ(EIA)の場合、酵素を、通常、グルタールアルデヒドまたは過ヨウ素酸の手段により二次抗体に結合する。しかしながら、容易に認識されるように、当業者に既知の広範囲の異なるライゲーション法が存在する。一般的に使用される酵素は、とりわけホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、□−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼである。特異的酵素と共に使用すべき基質は、一般に、対応する酵素での加水分解による、検出可能な色の変化の産生のために選択する。例えば、p−ニトロフェニルホスフェートは、アルカリホスファターゼコンジュゲートとの使用に適しており;ペルオキシダーゼコンジュゲートに関して、1,2−フェニレンジアミンまたはトルイジンを一般に使用する。上記のような発色性基質よりむしろ蛍光産物を産生する、蛍光発生基質を用いることも可能である。適当な基質を含む溶液を次いで3重複合体に添加する。基質は二次抗体に結合した酵素と反応し、定質的可視シグナルを発生し、それをさらに、通常、分光光度法により定量し、血清サンプル中に存在するタンパク質の量を評価できる。
あるいは、蛍光化合物、例えば、フルオレッセインおよびローダミンを、その結合能を変えることなく、抗体と化学的に結合させ得る。特定波長の光の照射により活性化したとき、蛍光色素−標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子の興奮状態を誘発し、続いて、特徴的な長い波長の光を放出する。放出は光学顕微鏡で可視的に検出可能な特徴的な色として発現する。免疫蛍光法およびEIA法の両方とも当分野で十分に確立されており、本方法のために特に好ましい。しかしながら、他のレポーター分子、例えば放射性同位体、化学発光または生物発光分子も用いてよい。当業者には、要求される使用に適合させるためにどのように方法を変更すべきか明白であろう。
翻訳状態の測定はまたいくつかの付加的方法にしたがい行い得る。例えば、タンパク質の完全ゲノムモニタリング、すなわち、“プロテオーム”、Goffeau et al., 前掲を、結合部位が、細胞ゲノムによりコードされる多くのタンパク質種に対して特異的な、固定化された、好ましくはモノクローナルの、抗体を含む、マイクロアレイの構築により行うことができる。好ましくは、抗体はタンパク質のかなりの部分に対するか、または少なくとも目的の生物学的ネットワークモデルの試験または確認に関連するタンパク質に対して存在する。モノクローナル抗体の製造法は既知である。例えば、その全体をすべての目的のために包含させるHarlow and Lane, “Antibodies:A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor, NY(1988)参照。一つの好ましい態様において、モノクローナル抗体は、細胞のゲノム配列に基づいて設計した合成ペプチドフラグメントに対する。このような抗体アレイで、細胞由来のタンパク質を該アレイと接触させ、その結合を当分野で既知のアッセイによりアッセイする。
あるいは、タンパク質を二次元ゲル電気泳動系により分離することができる。二次元ゲル電気泳動は当分野で既知であり、典型的に第一次元に沿った等電点電気泳動と、それに続く第二次元に沿ったSDS−PAGE電気泳動を含む。例えば、Hames et al., “Gel Electrophoresis of Proteins:A Practical Approach”, IRL Press, NY(1990); Shevchenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 93, pp. 14440-14445(1996); Sagliocco et al., Yeast, Vol. 12, pp. 1519-1533(1996); およびLander, Science, Vol. 274, pp. 536-539(1996)参照。得られた電気泳動図を、質量分析法、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を使用したウェスタン・ブロッティングおよび免疫ブロット分析、ならびに内部およびN末端マイクロ・シークエンシングを含む、多くの方法で分析できる。これらの方法を使用して、薬物に暴露された細胞内、例えば、酵母を含む、生理学的条件下で、または、例えば、特異的遺伝子の欠損または過剰発現により修飾された細胞内で、産生された全タンパク質のかなりの部分の同定が可能になる。
生物学的状態の他の局面に基づいた態様
mRNA発生量以外の細胞性成分のモニタリングは、mRNAモニタリングでは遭遇しないある技術的困難さに遭遇しているが、当業者には、細胞機能の特徴と関連するタンパク質の活性を測定できる本発明の方法の使用において、本発明の態様はこのような測定を基礎とし得ることは明白であろう。活性測定は、特徴付けられている特定の活性に適当なすべての機能的、生化学的または物理的手段により行ってよい。活性が化学的変換を含むとき、細胞性タンパク質を天然基質と接触させ、変換の割合を測定できる。活性化が多数の単位の会合を包含するとき、例えば、DNAと活性化DNA結合複合体が会合するとき、会合タンパク質の量、または会合の二次的結果、例えば転写されたmRNAの量を測定できる。また、例えば、細胞サイクル制御におけるような、機能的活性のみが知られているとき、機能の実行を観察できる。どのように知られ測定されても、タンパク質活性における変化が、本発明の前記の方法により分析された応答データを形成する。
別のおよび非限定的態様において、応答データは、細胞の生物学的状態の混合された局面の形であってよい。応答データは、例えば、あるmRNA発生量の変化、あるタンパク質発生量の変化およびあるタンパク質活性の変化から構築できる。
マーカーとしての核酸およびタンパク質の検出
特定の態様において、マーカーに対応するmRNAのレベルを、生物学的サンプルで、インサイチュおよびインビトロ形式で、当分野で既知の方法を使用して決定できる。“生物学的サンプル”なる用語は、対象から単離された組織、細胞、生体液およびそれらの単離物、ならびに対象内に存在する組織、細胞および体液を含むことを意図する。多くの発現検出法は単離RNAを使用する。インビトロ法に関して、mRNAの単離に対して選択していないすべてのRNA単離法を、細胞からのRNAの精製に使用できる。例えば、Ausubel et al., Ed., Curr. Prot. Mol. Biol., John Wiley & Sons, NY(1987-1999)参照。さらに、多数の組織サンプルが当業者に既知の方法、例えば、一本鎖段階RNA単離法、Chomczynski, 米国特許4,843,155(1989)を使用して容易に処理できる。
単離mRNAをハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイに使用でき、それは、サザンまたはノーザン分析、PCR分析およびプローブアレイを含むが、これらに限定されない。mRNAレベルの検出のための一つの好ましい診断法は、単離mRNAを、検出する遺伝子によりコードされたmRNAとハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。該核酸プローブは、例えば、完全長cDNA、またはその一部、例えば、少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長であり、本発明のマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドである。本発明の診断アッセイに使用するための他の適当なプローブは本明細書に記載されている。mRNAとプローブのハイブリダイゼーションは、当該マーカーが発現されていることを示唆する。
一つの形態において、該mRNAを固体表面上に固定し、プローブと、例えば、単離mRNAをアガロースゲル状で流すことにより接触させ、mRNAを、ゲルからニトロセルロースのような膜に移す。別の形態において、プローブ(複数もある)を固体表面上に固定し、mRNAをプローブ(複数)と、例えば、Affymetrix遺伝子チップアレイにおいて接触させる。当業者は、既知のmRNA検出法を、本発明のマーカーによりコードされるmRNAのレベルの検出に使用するために容易に適合できる。
サンプル中の本発明のマーカーに対応するmRNAのレベルを検出するための別法は、例えば、RT−PCR(Mullis、米国特許4,683,202(1987)に記載の実施態様;リガーゼ連鎖反応、Barany(1991), 前掲;自己配列複製、Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 87, pp. 1874-1878(1990);転写増幅系、Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 86, pp. 1173-1177(1989);Q−Betaレプリカーゼ、Lizardi et al., Biol. Technology, Vol. 6, p. 1197(1988);ローリング・サークル複製、Lizardi et al.、米国特許5,854,033(1988);または任意の他の核酸増幅法による核酸増幅の工程、続いて、当業者に既知の方法を使用した増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少ない数で存在するとき、核酸分子の検出にとりわけ有用である。本明細書で使用する、増幅プライマーは、遺伝子の5'または3'領域(各々プラスおよびマイナス鎖またはその逆)とアニールでき、その間に短領域を含む核酸分子の対と定義される。一般的に、増幅プライマーは約10−30ヌクレオチド長であり、約50−200ヌクレオチド長の領域の側面に位置する。適当な条件下および適当な試薬により、このようなプライマーは、プライマーが側面にあるヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
インサイチュ法に関して、mRNAを検出前に細胞から単離する必要がない。このような方法において、細胞または組織サンプルを既知の組織学的方法を使用して調製/加工する。次いで、サンプルを支持体、典型的にはガラススライド上に固定し、次いで、マーカーをコードするmRNAとハイブリダイズできるプローブと接触させる。
マーカーの絶対的発現レベルに基づいて決定を成す代わりに、決定をマーカーの標準化した発現レベルに基づき成してよい。発現レベルは、その発現レベルをマーカーではない遺伝子、例えば、構造的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することにより、マーカーの絶対的発現レベルを補正することにより標準化する。標準化するための適当な遺伝子は、アクチン遺伝子または上皮細胞−特異的遺伝子のようなハウスキーピング遺伝子を含む。この標準化は、一つのサンプル、例えば1名の患者サンプルと、他のサンプルの発現レベルの比較、または、異なる供給源由来のサンプル間の比較を可能にする。
あるいは、該発現レベルは、相対的発現レベルとして提供してよい。マーカーの相対的発現レベルを決定するために、マーカーの発現レベルを、当該サンプルにおける発現レベルを決定する前に、正常の10個またはそれ以上のサンプルを、疾患生物学的サンプル、好ましくは50個またはそれ以上のサンプルに対して決定する。多くの数のサンプルでアッセイした遺伝子の各々の平均発現レベルを決定し、これをマーカーの基底発現レベルとして使用する。試験サンプル(発現の絶対的レベル)に関して決定したマーカーの発現レベルを、次いで、そのマーカーに関して得た平均発現値で割る。これにより相対的発現レベルを決定する。
好ましくは、基底値決定に使用したサンプルは、多型を有しない患者由来のものである。細胞源の選択は、相対的発現レベルの使用に依存する。正常組織に見られる発現を平均発現スコアとして使用することは、アッセイしたマーカーが特異的(正常細胞に対して)であるか否かの評価を助ける。加えて、データの蓄積が多いほど、平均発現値を再考でき、蓄積データに基づいた相対的発現値の改善を提供する。
ポリペプチドの検出
本発明の他の態様において、マーカーに対応するポリペプチドを検出する。本発明のポリペプチドを検出するための好ましい試薬は、本発明のマーカーに対応するポリペプチドと結合できる抗体、好ましくは、好ましくは検出可能な標識を伴う抗体である。抗体はポリクローナル、またはより好ましくは、モノクローナルであってよい。無傷の抗体、またはそのフラグメント、例えば、FabまたはF(ab')を使用できる。“標識”なる用語は、プローブまたは抗体に関連して、プローブまたは抗体のへの検出可能物質の結合、すなわち、物理的架橋によるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに、直接標識されている他の試薬との反応による、プローブまたは抗体の間接的標識を包含することを意図する。間接的標識の例は、蛍光標識した二次抗体、および蛍光標識したストレプトアビジンにより検出できるようなビオチンでのDNAプローブの末端標識を使用した一次抗体の検出を含む。
個体由来のタンパク質は、当業者に既知の方法を使用して単離できる。該タンパク質単離法は、例えば、HarlowおよびLane(1988), 前掲に記載のようなものを用いてよい。
種々の形態を用いて、サンプルが規定の抗体と結合できるタンパク質を包含するか否か、決定できる。このような形態の例は、EIA;ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタン・ブロット分析およびELISAを含むが、これらに限定されない。当業者は、既知のタンパク質/抗体検出法を、細胞が本発明のマーカーを発現するか否か、および、血中または他の体組織における該特異的ポリペプチド発現産物の相対的濃度の決定において使用するために容易に適合できる。
一つの形態において、抗体または抗体フラグメントを、ウェスタン・ブロットまたは免疫蛍光法法のような方法において使用し、タンパク質発現を検出できる。このような使用において、抗体またはタンパク質のいずれかを固体支持体に固定することが一般的に好ましい。適当な固相支持体または担体は、抗原または抗体を結合できるすべての支持体を含む。既知の支持体または担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩および磁鉄鉱を含む。
当業者は、抗体または抗原を結合するための多くの他の適当な担体を知っており、本発明における使用のためにこのような支持体を適合できる。例えば、患者細胞から単離したタンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に流し、ニトロセルロースのような固相支持体に固定できる。次いで、該支持体を適当な緩衝液で洗浄し、その後、検出可能に標識した抗体で処理する。固相支持体を次いで緩衝液で2回目の洗浄を行い、非結合抗体を除去してよい。固体支持体上に結合した標識の量を次いで慣用法により検出し、この測定を血液または他の体組織におけるタンパク質のレベルまたは濃度に翻訳する。
本発明はまた、例えば、血清、血漿、リンパ、嚢胞液、尿、大便、脳脊髄液、羊水(acitic fluid)または血液を含むがこれらに限定されないすべての体液および体組織の生検サンプルを含む、生理学的サンプルにおける本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたは核酸の存在を検出するためのキットも包含する。例えば、キットは、生物学的サンプル中の本発明のマーカーに対応するポリペプチドまたはポリペプチドをコートするmRNAを検出できる標識化合物または試薬、および、サンプル中のポリペプチドまたはmRNAの量を決定するための手段、例えば、ポリペプチドをコードするDNAまたはmRNAに結合するポリペプチドまたはオリゴヌクレオチドプローブに結合する抗体を含む。キットはまたキットを使用して得た結果の解釈のための指示を含んでよい。
抗体−ベースのキットに関して、キットは、例えば、
1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドに結合している、例えば、固体支持体に結合しており、第一抗体;および、所望により、
2)ポリペプチドまたは第一抗体のいずれかに結合し、検出可能標識とコンジュゲートしている、第二の異なる抗体
を含む。
オリゴヌクレオチド−ベースのキットに関して、キットは、例えば、
1)本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードする核酸とハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド;または
2)本発明のマーカーに対応する核酸分子を増幅するのに有用なプライマー対
を含む。
キットは、例えば、緩衝剤、防腐剤またはタンパク質安定化剤も含んでよい。該キットはさらに検出可能に標識した、例えば、酵素または基質を検出するのに必要な成分を含んでよい。さらにキットはまたコントロールサンプルまたは一連のコントロールサンプルを含み、これは、アッセイし、試験サンプルと比較できる。キットの各成分は個々の容器中に入れられ、種々の容器のすべてを一つの包装に、同キットを使用して行ったアッセイの結果を解釈するための指示書と一緒に包含できる。
細胞への抗体の導入
細胞内タンパク質およびそれらの濃度の特徴付けは、種々の方法で行ってよい。例えば、抗体を、細胞に、例えば、抗体の細胞へのマイクロインジェクション(Morgan et al., Immunol. Today, Vol. 9, pp. 84-86(1988))または所望の抗体をコードするハイブリドーマmRNAの細胞内への形質転換を含む、種々の方法で導入し得る。Burke et al., Cell, Vol. 36. pp. 847-858(1984)参照。さらなる方法において、組み換え抗体を工学的に作成し、標的タンパク質と結合させるため、ならびに、標的タンパク質活性を遮断するために、広範囲の非リンパ細胞型において異所的に発現させる。Biocca et al., Trends Cell Biol., Vol. 5, pp. 248-252(1995)参照。抗体の発現は好ましくは、飽和摂動(saturating perturbation)を作成するために、Tetプロモーターのような制御可能プロモーター、または常時活性なプロモーターの制御下にある。第一工程は、標的タンパク質に適当な特異性を有する特定のモノクローナル抗体の選択である(下記参照)。次いで、選択した抗体の種々の領域をコードする配列を、例えば、全抗体、Fabフラグメント、Fvフラグメント、一本鎖Fvフラグメント(ペプチドリンカーにより結合したVおよびV領域)(“ScFv”フラグメント)、二量抗体(diabodies)(異なる特性の2つの結合したScFvフラグメント)などを含む、種々の工学的に作成された抗体形態内にクローン化できる。Hayden, Gilliland and tter, Curr. Opin. Immunol., Vol. 9, No. 2, pp. 201-212(1997)。種々の形態の細胞内に発現した抗体を、例えば、細胞質、核、ミトコンドリアなどに、それらを種々の既知の細胞内リーダー配列との融合対として発現させることにより、標的下できる。Bradbury et al., 抗体Engineerinq, Borrebaeck, Ed., IRL Press, Vol. 2, pp. 295-361(1995)参照。特に、ScFv形態は細胞質ターゲティングに特に適しているように見える。
有用な抗体タイプの種類
抗体タイプは、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、FabフラグメントおよびFab発現ライブラリーを含むが、これらに限定されない。当分野で既知の種々の方法を、標的タンパク質に対するポリクローナル抗体の製造に使用できる。抗体の製造のために、種々の宿主動物を、標的タンパク質で免疫でき、このような宿主動物は、ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに限定されない。種々のアジュバントを免疫学的応答を増強するために使用でき、宿主の種類に依存し、フロインド(完全および不完全)、ミネラル・ゲル、例えば水酸化アルミニウム;界面活性物質、例えばリソレシチン、pluronicポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油状エマルジョンおよびジニトロフェノール;および有用である可能性があるヒトアジュバント、例えばBCGおよびコリネバクテリウム・パルヴムを含むが、これらに限定されない。
モノクローナル抗体
標的タンパク質に対するモノクローナル抗体を製造するために、培養中の継代細胞系による抗体分子の産生を提供する、すべての方法を使用し得る。このような方法は、ヒトモノクローナル抗体を製造するための、Kohler and Milstein(1975), 前掲により元々開発されたハイブリドーマ法;トリオーマ法;ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor et al., Immunol. Today, Vol. 4, p. 72(1983)参照);およびEBVハイブリドーマ法を含むが、これらに限定されない。Cole et al. (1985), 前掲参照。本発明のさらなる態様において、モノクローナル抗体を無菌動物から、最近の方法(PCT/US90/02545)を使用して製造できる。本発明によると、ヒト抗体を使用でき、ヒトハイブリドーマを使用して(Cole et al. (1983), 前掲参照)、またはヒトB細胞をEBVウイルスでインビトロで形質転換して得ることができる。Cole et al. (1985), 前掲参照。実際、本発明によると、適当な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子を、標的タンパク質に特異的なマウス抗体由来の遺伝子とスプライシングすることによる、“キメラ抗体”の製造のために開発された方法(Morrison et al. (1984), 前掲; Neuberger et al. (1984), 前掲; Takeda et al. (1985), 前掲参照)を使用できる;このような抗体は本発明の範囲内である。
さらに、モノクローナル抗体が有利であるとき、それらは別法として、ファージディスプレイの方法を使用して大きな抗体ライブラリーから選択できる。Marks et al., J. Biol. Chem., Vol. 267, No. 3, pp. 16007-16010(1992)参照。この方法を使用して、10−12個までの異なる抗体のライブラリーをfd糸状ファージ上に発現させ、モノクローナル抗体の選択に利用可能な抗体の“シングル・ポット”インビトロ免疫系を創成する。Griffiths et al., EMBO J., Vol. 13, No. 14, pp. 3245-3260(1994)参照。このようなライブラリーからの抗体の選択は当分野で既知であり、固定化した標的タンパク質にファージを接触させ、該標的と結合するファージを選択し、クローニングし、抗体可変領域をコードする配列を所望の抗体形式を発現する適当なベクター内にサブクローニングすることを含む。
本発明によると、一本鎖抗体の製造のために記載された方法(米国特許4,946,778参照)を、標的タンパク質の一本鎖抗体の製造に適合できる。本発明のさらなる態様は、Fab発現ライブラリーの合成に関して記載された方法(Huse et al. (1989), 前掲参照)を利用し、標的タンパク質に所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの速くて容易な同定を可能にする。
標的タンパク質のイディオタイプを含む抗体フラグメントを当分野で既知の方法により製造できる。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により製造できるF(ab')フラグメント;F(ab')フラグメントのジスルフィド結合の還元により製造できるFab'フラグメント、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより製造できるFabフラグメントt、およびFvフラグメントを含むが、これらに限定されない。
抗体の製造において、望ましい抗体のスクリーニングを、当分野で既知の方法、例えば、ELISAにより行い得る。標的タンパク質に特異的な抗体を選択するために、産生されたハイブリドーマまたはファージディスプレイ抗体ライブラリーを、標的タンパク質に結合する抗体に関してアッセイしてよい。
治療剤の投与
本明細書に記載の障害の処置に使用する薬剤の投与量は、最終の分析において、その症例を担当する医師により、該薬剤の知識、臨床試験で決定した組み合わせる薬剤の特性、および、その医師が患者を処置している以外の疾患を含む患者の特性を使用して決定されるべきである。投与量の一般的概略および好ましい投与量を本明細書に提供でき、また、提供し、例えば、イロペリドンは1日1回1−50mgおよび最も好ましくは1日1回12−16mg;オランザピンは1日1回約0.25−50mg;好ましくは1日1回1−30mg;および最も好ましくは1日1回1−25mg;クロザピンは毎日約12.5−900mg;好ましくは毎日約150−450mg;リスペリドンは毎日約0.25−16mg;好ましくは毎日約2−8mg;セルチドールは毎日約0.0001−1.0mg/kg;クエチアピンは1日1回投与でまたは分割投与で約1.0−40mg/kg;ジプラシドンは毎日約5−500mg;好ましくは毎日約50−100mg;ハルドールは1日1回または2回0.5−40mgである。
考慮されるすべての化合物は、経口で利用可能であり、通常経口で投与され、したがって、補助剤を用いた経口投与の組み合わせが好ましい。それらは、一緒に、単一の投与形で、または、別々に投与してよい。しかしながら、経口投与が唯一の経路でもましてや好ましい唯一の経路ではない。例えば、経皮投与は、経口薬を摂取することを忘れがちなまたはそれが嫌な患者にとって非常に望ましいことがある。特定の状況下で、薬剤の一方を一つの経路、例えば、経口で投与してよく、他方を、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、経鼻または直腸内経路で投与してよい。投与経路はいずれにしても非常に多様であり、薬剤の物理的特性および患者と介護者の簡便性により限定される。
引用文献
本明細書に記載のすべての引用文献は、各個々の文献または特許もしくは特許出願が具体的にそして個々に、その全体をすべての目的のために包含させると示してあるのと同程度に、その全体を引用し、かつ、すべての目的のために本明細書に包含させる。本明細書に記載の引用文献の記載は、単にその著者らにより成された主張を要約するものであり、すべての引用文献が先行技術を構成すると承認したものではない。出願人は引用文献の精度および妥当性に異議を申し立てる権利を有する。
加えて、本明細書に記載の全てのGenBank受託番号、Unigene Cluster番号およびタンパク質受託番号は、各個々の番号が具体的にそして個々に、その全体をすべての目的のために包含させると示してあるのと同程度に、本明細書にその全体を引用し、かつ、すべての目的のために、本明細書に包含させる。
本発明は、本発明の一つの態様の一つの例示であることを意図する、本明細書中に記載の特定の態様について限定すべきではない。本発明の多くの修飾および変法が、当業者には明白なように、その精神および範囲から逸脱することなく成し得る。本明細書に列記のものに加えて、本発明の範囲内の機能的に同等な方法および装置が、前記の記載および添付の図面から当業者に明白である。このような修飾および変法は、特許請求の範囲の範囲内にあると解釈する。本発明は、本発明は添付の特許請求の範囲の観点から、限定されるべきであり、このような特許請求の範囲が権利を与えられているものと等価なものの完全な範囲を含む。
第IV相臨床試験集団におけるSLC6A3エクソン9多型の異なる遺伝子型グループ間の生存率のプロットを示す。

Claims (41)

  1. SLC6A3エクソン9座で患者の遺伝子型を決定する方法であり:
    患者の血液または組織中に存在するSLC6A3遺伝子の2コピーに関して、GenBank配列受託番号AF119117.1の41370位であるSLC6A3エクソン9 A59Gにおける多型部位でヌクレオチド対の同一性を決定し、所望により患者をAA、AGまたはGGのいずれかに分類し、ここで、
    (i)両方のヌクレオチド対がATであるとき、患者をAAと分類し;
    (ii)ヌクレオチド対の一方がATであり、他方がGCであるとき、患者をAGと分類し;そして
    (iii)両方のヌクレオチド対がGCであるとき、患者をGGと分類する
    ことを含む、方法。
  2. 自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり、請求項1に記載の遺伝子型判定を行い、ここで、
    (a)該患者がAAと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIにあると見なし、そして
    (b)該患者がGCと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIIにあると見なし、そして
    (c)該患者がGGと分類されたとき、彼らはリスクカテゴリーIIIにあると見なす
    ことを含む、方法。
  3. 自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり、該患者においてSLC6A3エクソン9 A59G多型の代用マーカーが存在するか否かを決定し、ここで、
    (a)該代用マーカーが該患者をAAに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIにあると見なし、そして
    (b)該代用マーカーが該患者をGCに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIIにあると見なし、そして
    (c)該代用マーカーが該患者をGGに分類すべきであることを示すとき、彼らはリスクカテゴリーIIIにあると見なす
    ことを含む、方法。
  4. 患者が、請求項2または3に記載するリスクカテゴリーIIまたはIIIに分類されたとき、特別の自殺/自己破壊的行動予防策を処置中に行う、処置法。
  5. 患者が、請求項2または3に記載するリスクカテゴリーIIまたはIIIに分類され、かつ、患者が抗精神病剤の薬物療法を必要とするとき、クロザピンを選択して単独でまたは他の定型または非定型抗精神病剤の薬物療法と組み合わせて使用する、このような処置を必要とする患者の処置法。
  6. 処置を受けている患者において、自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり:
    (a)該患者の体液または組織におけるSLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度をアッセイし;
    (b)該患者の体液または組織中に存在するSLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度から、該個体のSLC6A3ゲノムがエクソン9 A59G多型を含むか否かを決定し;そして
    (c)SLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度がエクソン9 A59G多型を含むSLC6A3ゲノムの存在を示すとき、該患者をリスクカテゴリーIIまたはIIIに分類する
    ことを含む、方法。
  7. 請求項6に記載の決定を行い、該患者がカテゴリーIIまたはIIIに分類されたとき、特別の自殺/自己破壊的行動予防策を該患者の処置中に行う、このような処置を必要とする患者の処置法。
  8. (a)該患者の体液または組織におけるSLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度をアッセイし;
    (b)該患者の体液または組織中に存在するSLC6A3ポリペプチド遺伝子発現産物の存在および濃度から、該個体のSLC6A3ゲノムがエクソン9 A59G多型を含むか否かを決定し;そして
    (c)(b)における決定が、該患者エクソン9 A59G多型を有するSLC6A3ゲノムを有し、該患者をリスクカテゴリーIIまたはIIIに分類するものであり、かつ、該患者が抗精神病剤の薬物療法を必要とするとき、クロザピンを選択して、単独でまたは他の定型または非定型抗精神病剤の薬物療法を含むが、これに限定されない薬物療法と組み合わせて使用する
    ことを含む、このような処置を必要とする患者の処置法。
  9. 自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起きるリスクがある、またはリスクがあるかもしれない患者の処置中に、自殺的もしくは自己破壊的行動またはタイプ1事象が起こる可能性を予測する方法であり:
    (a)GenBank配列受託番号AF119117.1の41370位である多型部位エクソン9 A59GでSLC6A3遺伝子のG変異体に対応するmRNA発現のレベルを決定し;
    (b)GenBank配列受託番号AF119117.1の41370位である多型部位エクソン9 A59GでSLC6A3遺伝子のA変異体に対応するmRNA発現のレベルを決定し;そして
    (c)上記(a)と(b)で検出したmRNAのレベルを比較し、ここで、
    (i)(a)が検出されないとき、該患者をリスクカテゴリーIに分類し;そして
    (ii)(a)と(b)が両方検出されたとき、該患者をリスクカテゴリーIIに分類し;そして
    (iii)(a)が検出され、(b)が検出されないとき、該患者を高リスクカテゴリーIIIに分類する
    ことを含む、方法。
  10. (a)請求項9に記載の通り該患者のリスクカテゴリーを決定し;そして
    (b)該患者のカテゴリーがIIまたはIIIであるとき、特別の自殺/自己破壊的行動予防策を処置中に行う
    ことを含む、このような処置を必要とする患者の処置法。
  11. (a)請求項9に記載の通り該患者のリスクカテゴリーを決定し;そして
    (b)カテゴリーがIIまたはIIIであり、該患者が抗精神病剤の薬物療法を必要とするとき、クロザピンを選択して、単独でまたは他の定型または非定型抗精神病剤の薬物療法を含むが、これに限定されない薬物療法と組み合わせて使用する
    ことを含む、このような処置を必要とする患者の処置法。
  12. 自殺または自己破壊的行動の処置を必要とするかもしれない患者の処置戦略の決定に使用するキットであり:
    (a)該患者のSLC6A3遺伝子がエクソン9 A59G多型を含むか否かを決定するための、PETスキャンでDATBPのレベルを決定できる造影放射リガンド;
    (b)該造影放射リガンドと該患者由来の体液サンプルを入れるのに適した容器;
    (c)SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59G多型の存在または非存在を決定するための手段;および
    (d)(c)で行った決定に基づいた特異的薬物療法または観察のレベルのような特別の処置の必要性を含む、キットを使用するための指示書
    を含む、キット。
  13. 自殺または自己破壊的行動の処置を必要とするかもしれない患者の処置戦略の決定に使用するキットであり:
    (a)エクソン9 A59G多型を含むSLC6A3遺伝子のmRNA発現産物を認識し、結合できるポリヌクレオチド;
    (b)該ポリヌクレオチドおよび該患者の組織または体液サンプルを入れるのに適し、該ポリヌクレオチドが、SLC6A3mRNAと、それが存在するならば接触できる容器;
    (c)該ポリヌクレオチドとSLC6A3mRNAの組み合わせを検出する手段;および
    (d)(c)で行った検出に基づいた特異的薬物療法または観察のレベルのような特別の処置の必要性、および(c)で行った検出に基づくリスクのカテゴリーの決定を含む、キットを使用するための指示書
    を含む、キット。
  14. 自殺または自己破壊的行動の処置を必要とするかもしれない患者の処置戦略の決定に使用するキットであり:
    (a)エクソン9 A59G多型を含むSLC6A3遺伝子のDNA配列のある部分を認識し、結合できるポリヌクレオチド;
    (b)該ポリヌクレオチドおよび該患者の組織または体液サンプルを入れるのに適し、該ポリヌクレオチドが、SLC6A3DNA配列と、それが存在するならば接触できる容器;
    (c)該ポリヌクレオチドとSLC6A3DNA配列の組み合わせを決定する手段;および
    (d)(c)で行った検出に基づいた特異的薬物療法または観察のレベルのような特別の処置の必要性、および(c)で行った検出に基づくリスクのカテゴリーの決定を含む、キットを使用するための指示書
    を含む、キット。
  15. エクソン9 A59G多型部位でのSLC6A3多型部位における、遺伝子の多型パターンを決定するための手段を含む、SLC6A3多型部位で該患者の多型パターンを同定するためのキット。
  16. さらにDNAサンプル採取手段を含む、請求項15記載のキット。
  17. エクソン9 A59G多型部位でのSLC6A3多型部位における遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、請求項15または16に記載のキット。
  18. エクソン9 A59G多型部位でのSLC6A3多型部位における遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、少なくとも2個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、請求項15から17のいずれかに記載のキット。
  19. エクソン9 A59G部位でのSLC6A3多型部位における遺伝子の多型パターンを決定するための手段が、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドを含む、少なくとも1個のSLC6A3遺伝子型判定プライマー組成物を含む、請求項15から18のいずれかに記載のキット。
  20. SLC6A3遺伝子型判定プライマー組成物が、少なくとも2個の対立遺伝子特異的プライマー対を含む、請求項19記載のキット。
  21. 2個のSLC6A3遺伝子型判定オリゴヌクレオチドが別々の容器に包装されている、請求項18から20のいずれかに記載のキット。
  22. 該決定工程がさらに請求項15から21のいずれかに記載のキットの使用を含む、請求項1または2に記載の方法。
  23. SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段を含む、SLC6A3遺伝子のmRNA発現を同定するためのキット。
  24. SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が、SLC6A3遺伝子のmRNA発現産物と結合できるポリヌクレオチドを含む、請求項23記載のキット。
  25. SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59Gの多型部位の変異の1個に特異的な、少なくとも1個のポリヌクレオチドを含む、請求項23または24に記載のキット。
  26. ポリヌクレオチドが、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59Gの多型部位のG変異体のmRNA発現に特異的である、請求項25記載のキット。
  27. ポリヌクレオチドが、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59Gの多型部位のA変異体のmRNA発現に特異的である、請求項25記載のキット。
  28. ポリヌクレオチドが、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59GのGまたはA変異体のmRNA発現と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で結合できる、請求項25、26または27に記載のキット。
  29. SLC6A3遺伝子のmRNA産物を決定するための手段が少なくとも2個のポリヌクレオチドを含み、ここで、一方のポリヌクレオチドが、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59Gの多型部位のG変異体のmRNA発現に特異的であり、他方のポリヌクレオチドが、SLC6A3遺伝子のエクソン9 A59Gの多型部位のA変異体のmRNA発現に特異的である、請求項28記載のキット。
  30. 2個のポリヌクレオチドが別々の容器に包装されている、請求項29記載のキット。
  31. 少なくとも1個の決定工程(a)または(b)がさらに請求項25−30のいずれかに記載のキットの使用を含む、請求項6記載の方法。
  32. 該患者のSLC6A3遺伝子がエクソン9 A59G多型を含むか否かを決定するための、PETスキャンでDATBPのレベルを決定できる造影放射リガンドを検出するための手段を含む、患者のSLC6A3遺伝子ポリペプチド発現産物を同定するためのキット。
  33. 該手段が[C]RTI−32 PET造影放射リガンドの使用を含む、請求項32記載のキット。
  34. 該手段がβ−CIT SPECT法の使用を含む、請求項33記載のキット。
  35. アッセイ工程(a)が請求項32−34のいずれかに記載のキットの使用を含む、請求項6記載の方法。
  36. さらに体液サンプルを採取する手段を含む、請求項12−21、23−30または32−35のいずれかに記載のキット。
  37. 該方法をエキソビボで行う、請求項1−3、6または9のいずれかに記載の方法。
  38. 検出されるマーカーが、SLC6A3エクソン9 A59G多型の代用マーカーである、請求項12−21、23−30または32−36のいずれかに記載のキット。
  39. さらに患者から体液または他の組織サンプルを得ることを含む、請求項1記載の方法。
  40. ヒトSLC6A3遺伝子の領域の拡散配列またはそのリボヌクレオチド等価物を含み、ここで、該領域がSLC6A3エクソン9における41370位の多型部位を含む、対立遺伝子特異的核酸プローブ。
  41. 該領域が41370位(ヒトSLC6A3遺伝子のエクソン9の多型部位59)でのAまたはG塩基転換を含む、請求項40記載のプローブ。
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